JP2005040663A - 洗浄装置及び洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被洗浄物の被処理面の表面粗さを抑制しつつ被洗浄物を洗浄することができる洗浄装置及び洗浄方法を提供する。
【解決手段】洗浄液26を用いて被洗浄物33を洗浄する洗浄手段25,27と、純水17に炭酸ガス13を混入させ、pH値が3.0以上7.0未満のリンス液19とするリンス液生成手段11,15と、洗浄手段25,27による洗浄後の被洗浄物33をリンス液19にさらすリンス手段23とを備えることを特徴とする洗浄装置100及び洗浄方法。
【選択図】 図1
【解決手段】洗浄液26を用いて被洗浄物33を洗浄する洗浄手段25,27と、純水17に炭酸ガス13を混入させ、pH値が3.0以上7.0未満のリンス液19とするリンス液生成手段11,15と、洗浄手段25,27による洗浄後の被洗浄物33をリンス液19にさらすリンス手段23とを備えることを特徴とする洗浄装置100及び洗浄方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄装置及び洗浄方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタのような液体噴射装置のインクを貯める部分(以下「インク貯め」という)は、加工面に対して垂直にエッチングして形成する必要がある。このため、結晶方向が例えば(110)方向の面方位を有するSi単結晶をエッチングして形成されている(例えば特許文献1参照)。このエッチングの際には、Si単結晶の被処理面には有機物が形成される。この有機物は、例えば以下のような洗浄方法を用いて除去される。
【0003】
図4は、従来の被処理物の洗浄方法の手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、例えばRCA洗浄について説明する。
まず、ステップST101では、被処理物の有機物が、例えば硫酸水(H2SO4/H2O2)の洗浄液を用いて洗浄が行われる。次にステップST102では、被処理物に付着した洗浄液が、例えば25℃の超純水を用いてリンスが行われる。次にステップST103では、被処理物が、例えば希フッ酸(HF)の洗浄液を用いて洗浄が施され、パーティクルが除去される。次にステップST104では、被処理物に付着した洗浄液が、例えば超純水を用いてリンスが行われる。
【0004】
次にステップST105では、被処理物が、例えばNH4CH/H2O2/H2Oのアルカリ性の洗浄液を用いて洗浄が行われる。次にステップST106では、被処理物に付着した洗浄液が、例えば超純水を用いてリンスが行われる。次にステップST107では、被処理物が、例えば80℃に加熱された超純水に2分程度侵漬される。次にステップST108では、被処理物が、例えば超純水を用いてリンスが行われる。次にステップST109では、被処理物が、例えば希フッ酸(HF)を用いて洗浄が施され、パーティクルが除去される。次にステップST110では、例えば超純水を用いてリンスが行われる。
【0005】
このように、Si単結晶をエッチングする際には、結晶方向に応じてエッチングレートが異なるため、例えば(110)面のように面方位によっては、純水によってもエッチングされる場合がある(例えば特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−11365号公報
【特許文献2】
特開平10−256215号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1及び特許文献2の従来技術では、それぞれエッチングの後は被処理面が純水を用いて洗浄されるが、この際、処理面が荒れてしまう問題点があった。これは、結晶方位が例えば(110)面の面方位を有する被処理面は、純水を用いた洗浄により、例えば2.21×1017[atoms/cm2](220原子層)の単位面積当たりのSi溶解量を有するためである。
【0008】
このように単位面積当たりのSi溶解量が多いことは、純水を用いた洗浄により、被処理物の被処理面が荒れることを意味している。具体的には、図5(A)に示すような表面粗さのSi単結晶基板は、例えば純水を用いた洗浄により、図5(B)に示すように大変大きく表面粗さが増してしまうことがわかる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消して、被洗浄物の被処理面の表面粗さを抑制しつつ被洗浄物を洗浄することができる洗浄装置及び洗浄方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、第1の発明によれば、洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄手段と、純水に炭酸ガスを混入させ、pH値が3.0以上7.0未満のリンス液とするリンス液生成手段と、洗浄後の前記被洗浄物を前記リンス液にさらすリンス手段とを備えることを特徴とする洗浄装置により、達成される。
上記構成によれば、被洗浄物を洗浄すると被洗浄物の表面が粗くなりそうであるが、純水に炭酸ガスを混入したリンス液でリンスを施すと、純水中の炭酸ガスの作用により純水が被洗浄物の表面を粗くすることを抑制することができる。このため、被洗浄物の被処理面の表面粗さを抑制しつつ被洗浄物を洗浄することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記リンス手段によって前記被洗浄物を前記リンス液にさらす際に、前記被洗浄物を回転させる回転手段を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、被洗浄物が回転していることから、被洗浄物に吹き付けたリンス液が広がり、リンス液がムラなく均一に塗布され、被洗浄物に付着した洗浄液に対して効率よくリンスを施すことができる。
【0012】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明のいずれかの構成において、前記被洗浄物はシリコン基板の(110)面であり、前記リンス手段は、前記シリコン基板の(110)面を前記リンス液にさらす構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、シリコン基板の(110)面を洗浄すると、被洗浄物の表面が粗くなりそうであるが、純水に炭酸ガスを混入したリンス液でリンスを施すと、純水中の炭酸ガスの作用により純水がシリコン基板の(110)面を粗くすることを抑制することができる。このため、シリコン基板の(110)面の表面粗さを抑制しつつシリコン基板の(110)面を洗浄することができる。
【0013】
第4の発明は、第1の発明ないし第3の発明のいずれかの構成において、前記被処理物は、液体噴射装置の液体を貯める部分であることを特徴とする。
上記構成によれば、液体噴射装置の液体を貯める部分を洗浄すると、被洗浄物の表面が粗くなりそうであるが、純水に炭酸ガスを混入したリンス液でリンスを施すと、純水中の炭酸ガスの作用により純水が、液体噴射装置の液体を貯める部分を粗くすることを抑制することができる。このため、液体噴射装置の液体を貯める部分の表面粗さを抑制しつつ液体噴射装置の液体を貯める部分を洗浄することができる。
【0014】
第5の発明は、第1の発明ないし第4の発明のいずれかの構成において、純水に少なくともCO2を混入させ、pH値が3.0以上7.0未満の洗浄液とする洗浄液生成手段を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、被洗浄物を洗浄すると被洗浄物の表面が粗くなりそうであるが、純水に炭酸ガスを混入した洗浄液を用いて洗浄を施すと、純水中の炭酸ガスの作用により純水が被洗浄物の表面を粗くすることを抑制することができる。このため、被洗浄物の被処理面の表面粗さを抑制しつつ被洗浄物を洗浄することができる。
【0015】
第6の発明は、第1の発明ないし第5の発明のいずれかの構成において、前記洗浄液は、純水であることを特徴とする。
第7の発明は、第1の発明ないし第5の発明のいずれかの構成において、前記洗浄液は、アルカリ性の液体であることを特徴とする。
【0016】
上述の目的は、第8の発明によれば、洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄ステップと、純水に少なくともCO2を混入させ、pH値が3.0以上7.0未満のリンス液とするリンス液生成ステップと、洗浄後の前記被洗浄物を前記リンス液にさらすリンスステップとを有することを特徴とする洗浄方法により、達成される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態としての洗浄装置100の構成例を示す図である。
洗浄装置100は、炭酸ガス供給装置11、液体槽15、ポンプ21、リンス液噴射部23、洗浄液噴射部25及び洗浄液供給部27を備えており、好ましくは被洗浄物回転装置29を備えている。
【0018】
洗浄装置100は、洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄し、被洗浄物に付着した洗浄液をリンスする機能を有する。被洗浄物としては、液体噴射装置の一例としてのインクジェット記録装置の記録ヘッドにおけるインク(液体)を貯める部分や、例えばIC(Integrated Circuit)のような半導体装置である。以下の説明では、被洗浄物として記録ヘッドのインクを貯める部分(以下「インク貯め」という)を例示する。
【0019】
インク貯めは、加工面に対して垂直にエッチングして面を形成する必要がある。このインク貯めは、例えばSi単結晶を材質とし、このSi単結晶は特定の面方位を有している。このような面方位を有する面としては、上述のように垂直にエッチングしやすい、例えば(110)面が採用されている。以下、このようにエッチングが行われる面を、被処理面という。このような被処理面は、インゴッドのようなSi単結晶等を、例えば水酸化カリウムを用いてエッチングすることにより、加工面に対して垂直に形成されている。
【0020】
加工面に対して垂直に形成された被処理面は、例えばO3の洗浄液、O3及び純水の混合液でなる洗浄液、CO2の洗浄液の順で洗浄が行われる。また、この被処理面は、例えばO3の洗浄液を用いた洗浄後に、被処理面に付着した有機物の溶解処理が行われる。この溶解処理では、被処理面の表面処理及び洗浄処理が行われる。被処理面には、エッチングによる加工の際に有機物が形成されている。
【0021】
表面処理では、例えばCO2及びH2O2を用いて被処理面の処理が施され、被処理面に付着した有機物を溶解する。そして、表面処理の後、被処理面は、例えばメガソニック洗浄が行われる。メガソニック洗浄とは、洗浄液の中で制御されたキャビテーションを発生させることによって作動する超音波振動子が、高周波の超音波と制御されたキャビテーションを発生させ、それを被処理物の被処理面に送り出す洗浄方法であり、このような洗浄方法によれば、被処理面に付着するパーティクル等を除去することをいう。
【0022】
また、溶解処理が終了した被処理面は、上述のように、例えばO3及び純水の混合液でなる洗浄液、CO2の洗浄液の順で洗浄され、本実施形態において特徴的なすすぎ(リンス)処理が行われる。このリンス処理で用いるリンス液は、例えば純水とCO2の混合液である。このリンス処理では、上述した例えばメガソニック洗浄とほぼ同様の処理が行われる。
【0023】
次に図1に示す洗浄装置100について具体的に説明する。
この洗浄装置100は、ワーク33の被処理面に対して、主として洗浄処理及びリンス処理を施す機能を有する。
まず、洗浄液供給部27は、上述した例えばO3の洗浄液、O3及び純水の混合液でなる洗浄液、CO2の洗浄液のいずれかを洗浄液噴射部25に対して供給する機能を有する。洗浄液噴射部25は、例えばテーブル31上に配置されたワーク33の被処理面に対して洗浄液を噴射する機能を有する。
【0024】
ここで、この洗浄装置100は、好ましくは被洗浄物回転装置29を備えているのが望ましい。この被洗浄物回転装置29は、上記テーブル31が上面に設けられており、ワーク33が配置されたテーブル31をR方向に回転させる構成となっている。このような被洗浄物回転装置29が設けられていると、洗浄液噴射部25が、回転するワーク33の被処理面に対して効率よく洗浄液等を噴射することができる。
【0025】
また、炭酸ガス供給装置11は、液体槽15に接続されており、液体槽15に対して、例えばCO2のような炭酸ガス13を供給する機能を有する。液体槽15は、表面処理後のワーク33の被処理面が粗くならないように抑制するためのリンス液の基となる液体の一例としての純水17を収容する容器である。
【0026】
液体槽15は、純水17に侵漬するようにその底部に多孔質体16が設けられている。この多孔質体16は、例えば多くの孔が形成されており、気体を放出することで純水17中に細かい気体の泡を形成する機能を有する。具体的には、炭酸ガス供給装置11から供給された炭酸ガス13は、この多孔質体16によって泡状となり、液体槽15の純水17中に充満するようになる。液体槽15は、純水17に炭酸ガス13を混合させ、リンス液19を生成する機能を有する。
【0027】
この液体槽15にはポンプ21が接続されており、ポンプ21は、リンス液噴射部23に接続されている。このポンプ21は、液体槽15からリンス液19を吸い出し、所定の圧力でリンス液19をリンス液噴射部23に供給する機能を有する。リンス液噴射部23は、ワーク33をリンス液にさらす機能を有し、ここでは、例えばテーブル31上のワーク33に対してリンス液を噴射し、ワーク33の被処理面に付着した洗浄液をリンスする機能を有する。尚、ワーク33のリンス方法としては、このようにリンス液噴射部23によってワーク33に対してリンス液を吹き付ける代わりに、ワーク33にリンス液を注ぎかけたり、ウェハーごとワーク33を槽にディップするようにしても良いとはいうまでもない。
【0028】
ここで、洗浄装置100には、上述のように被洗浄物回転装置29が設けられており、被洗浄物としてのワーク33を回転させていることから、被洗浄物に吹き付けたリンス液が広がり、リンス液がムラなく均一に塗布され、ワーク33に付着した洗浄液に対して効率よくリンスを施すことができる。
【0029】
洗浄装置100は以上のような構成であり、次に上記図1を参照しつつその洗浄方法の一例について説明する。
図2は、本発明の好ましい実施形態としての洗浄方法の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップST1では、ワーク33の被処理面が洗浄される。ここで用いられる洗浄液としては、上述のように例えばO3が5ml/l程度混入された洗浄液を用いることができる。
【0030】
具体的には、図1に示す洗浄装置100では、洗浄液が洗浄液供給部27によって洗浄液噴射部25に供給される。ワーク33は、例えば上述のように被洗浄物回転装置29上のテーブル31上に配置されており、R方向に回転されている。洗浄液噴射部25は、例えばテーブル31と共に回転するワーク33の被処理面に対して、例えば霧状の洗浄液を噴射する。ワーク33の被処理面は、洗浄液が付着し、いわゆるオゾン洗浄が行われる。
次にステップST2では、ワーク33の被処理面に対して、表面処理及び洗浄処理が行われる。この表面処理では、上述のように例えばCO2及びH2O2を用いてワーク33の被処理面を処理し、例えば被処理面に付着した有機物を溶解する。そして、表面処理の後、被処理面は、例えばメガソニック洗浄が行われる。
【0031】
また、溶解処理が終了したワーク33の被処理面は、上述のように、例えばO3及び純水の混合液でなる洗浄液、CO2の洗浄液の順で洗浄され、本実施形態において特徴的なリンス(すすぎ)処理が行われる。このリンス処理で用いるリンス液は、例えば純水とCO2の混合液である。このリンス処理では、上述した例えばメガソニック洗浄とほぼ同様の処理が行われる。このように洗浄を行うと、ワーク33の被処理面が荒れてしまうのが一般的である。
【0032】
次にステップST3では、ワーク33の被処理面がさらに洗浄される。このステップST3では、例えば純水にO3を5ml/l程度混入させた洗浄液を洗浄液噴射部25によって霧状とし、ワーク33の被処理面に対して噴射することで、例えばメガソニック洗浄が行われる。次にステップST4では、ワーク33の被処理面のドライ洗浄が行われる。具体的には、このステップST4では、ワーク33の被処理面に対して、例えばCO2及びO3を用いてドライ洗浄が行われる。
【0033】
次に本発明の好ましい実施形態において特徴的なリンス処理が、ワーク33の被処理面に対して施される。具体的には、このリンス処理は、ステップST5〜ステップST7を含んでいる。まず、ステップST5では、リンス液の生成が行われる。尚、リンス液の生成は、この段階の前に予め準備しておいても良いことはいうまでもない。このステップST5では、純水17に炭酸ガスを混入させ、pH値が3.0以上7.0未満のリンス液を生成する。この炭酸ガスとしては、例えばCO2を採用することができる。
【0034】
ここで、pH値を3.0以上としたのは、純水17に炭酸ガスをいくら混入させてもpH値がこの値以下とならないためである。一方、pH値を7.0未満としたのは、CO2を混入させると、CO2は炭酸イオンになり、酸性に傾くので自然にpHは、7以下になるためである。
【0035】
具体的には、以下のようになっている。まず、炭酸ガス供給装置11は、液体槽15に対して、例えばCO2のような炭酸ガス13を供給する。液体槽15は、純水17に侵漬するようにその底部に多孔質体16が設けられており、この多孔質体16は、例えば多くの孔が形成されており、純水17において気体を細かい泡状とする機能を有する。炭酸ガス供給装置11から供給された炭酸ガス13は、この多孔質体16によって泡状となり、液体槽15の純水17中に充満するようになる。従って、液体槽15は、純水17に炭酸ガス13を混合させ、リンス液19を生成している。
【0036】
次にステップST6では、リンス液をワーク33の被処理面に対して吹き付ける。具体的には、ステップST6では、図1に示すポンプ21が、液体槽15からリンス液19を吸い出し、所定の圧力としたリンス液19をリンス液噴射部23に供給する。このリンス液噴射部23は、テーブル31上のワーク33に対してリンス液を噴射し、ワーク33の被処理面に付着した洗浄液をリンスする。
次にステップST7では、リンス後のワーク33の被処理面に対して、洗浄処理が行われる。ここでは、ワーク33の被処理面は、例えばメガソニック洗浄が行われる。
【0037】
図3は、上記洗浄方法により洗浄されたワーク33の被処理面の断面の構成例を示す拡大断面図である。
上記洗浄方法により洗浄されたワーク33の被処理面の断面の構成例を参照するとわかるように、ワーク33の被処理面の表面粗さが5nm以下である。これを、図5(B)に示す従来の洗浄方法を用いて処理を行ったときと比較すると、縦軸のメモリの単位が大きく異なることを加味しても、本発明の好ましい実施形態に係る洗浄方法は、ワーク33の被処理面の表面粗さが改善していることがわかる。
【0038】
これは、Si単結晶の純水17への溶解量を参照すると、以下のようにわかる。まず、ワーク33の被処理面の一例としての(220)面には、例えば9.6×1014[atoms/cm2]と非常に少ない純水への溶解がある。しかし、(110)面の場合、ワーク33の被処理面は、純水17には例えば2.21×1017[atoms/cm2](110)面の単位面積当たりのSi溶解量であるのに対して、例えばCO2のような炭酸ガスを含むリンス液19には例えば2.52×1016[atoms/cm2](110)面の単位面積当たりのSi溶解量である。
このようなことから、リンス液19に炭酸ガスを含まない場合よりも、含む場合の方が、一桁溶解量が少ないことがわかる。このように溶解量が少ないことは、リンス液19でリンス処理後は、ワーク33の被処理面の表面粗さ生じにくいことを意味する。
【0039】
このように本発明の好ましい実施形態によれば、ワーク33の被処理面を洗浄すると、ワーク33の被処理面の表面が粗くなりそうであるが、純水17に炭酸ガスを混入したリンス液19を吹き付けてリンスを施すと、純水17中の炭酸ガスの作用により純水17等がワーク33の被処理面の表面を粗くすることを抑制することができる。このため、ワーク33の被処理面の表面粗さを抑制しつつワーク33の被処理面を洗浄することができる。
【0040】
本発明は、上記実施の形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
また、上記実施形態では、炭酸ガスが純水17に混入されてなるリンス液19が使用されていたのに対して、その代わりに或いは併せて、炭酸ガスを洗浄液にも混入させるようにしても良い。このようにすると、リンス液19でワーク33の被処理面に付着した洗浄液のリンス処理を施す場合に表面粗さが悪くなることを防止することができるばかりでなく、洗浄液26でワーク33の被処理面を洗浄する場合に表面粗さが悪くなることを防止することができる。
また、本発明の実施形態は、上記インク貯め以外にも、例えば半導体装置やSOI(Silicon On Insulator)を用いた表示素子にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施形態としての洗浄装置の構成例を示す図。
【図2】洗浄方法の手順の一例を示すフローチャート。
【図3】被洗浄物の被処理面の表面粗さの一例を示す図。
【図4】従来の被処理物の洗浄方法の手順の一例を示すフローチャート。
【図5】被洗浄物の被処理面の表面粗さの一例を示す図。
【符号の説明】
11・・・炭酸ガス供給装置(リンス液生成手段)、13・・・炭酸ガス、15・・・液体槽(リンス液生成手段)、16・・・多孔質体(リンス液生成手段)、17・・・純水、19・・リンス液、23・・・(リンス手段)、25・・・洗浄液噴射部(洗浄手段)、26・・・洗浄液、27・・・洗浄液供給部(洗浄手段)、29・・・被洗浄物回転装置(回転手段)、100・・・洗浄装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄装置及び洗浄方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタのような液体噴射装置のインクを貯める部分(以下「インク貯め」という)は、加工面に対して垂直にエッチングして形成する必要がある。このため、結晶方向が例えば(110)方向の面方位を有するSi単結晶をエッチングして形成されている(例えば特許文献1参照)。このエッチングの際には、Si単結晶の被処理面には有機物が形成される。この有機物は、例えば以下のような洗浄方法を用いて除去される。
【0003】
図4は、従来の被処理物の洗浄方法の手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、例えばRCA洗浄について説明する。
まず、ステップST101では、被処理物の有機物が、例えば硫酸水(H2SO4/H2O2)の洗浄液を用いて洗浄が行われる。次にステップST102では、被処理物に付着した洗浄液が、例えば25℃の超純水を用いてリンスが行われる。次にステップST103では、被処理物が、例えば希フッ酸(HF)の洗浄液を用いて洗浄が施され、パーティクルが除去される。次にステップST104では、被処理物に付着した洗浄液が、例えば超純水を用いてリンスが行われる。
【0004】
次にステップST105では、被処理物が、例えばNH4CH/H2O2/H2Oのアルカリ性の洗浄液を用いて洗浄が行われる。次にステップST106では、被処理物に付着した洗浄液が、例えば超純水を用いてリンスが行われる。次にステップST107では、被処理物が、例えば80℃に加熱された超純水に2分程度侵漬される。次にステップST108では、被処理物が、例えば超純水を用いてリンスが行われる。次にステップST109では、被処理物が、例えば希フッ酸(HF)を用いて洗浄が施され、パーティクルが除去される。次にステップST110では、例えば超純水を用いてリンスが行われる。
【0005】
このように、Si単結晶をエッチングする際には、結晶方向に応じてエッチングレートが異なるため、例えば(110)面のように面方位によっては、純水によってもエッチングされる場合がある(例えば特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−11365号公報
【特許文献2】
特開平10−256215号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1及び特許文献2の従来技術では、それぞれエッチングの後は被処理面が純水を用いて洗浄されるが、この際、処理面が荒れてしまう問題点があった。これは、結晶方位が例えば(110)面の面方位を有する被処理面は、純水を用いた洗浄により、例えば2.21×1017[atoms/cm2](220原子層)の単位面積当たりのSi溶解量を有するためである。
【0008】
このように単位面積当たりのSi溶解量が多いことは、純水を用いた洗浄により、被処理物の被処理面が荒れることを意味している。具体的には、図5(A)に示すような表面粗さのSi単結晶基板は、例えば純水を用いた洗浄により、図5(B)に示すように大変大きく表面粗さが増してしまうことがわかる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消して、被洗浄物の被処理面の表面粗さを抑制しつつ被洗浄物を洗浄することができる洗浄装置及び洗浄方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、第1の発明によれば、洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄手段と、純水に炭酸ガスを混入させ、pH値が3.0以上7.0未満のリンス液とするリンス液生成手段と、洗浄後の前記被洗浄物を前記リンス液にさらすリンス手段とを備えることを特徴とする洗浄装置により、達成される。
上記構成によれば、被洗浄物を洗浄すると被洗浄物の表面が粗くなりそうであるが、純水に炭酸ガスを混入したリンス液でリンスを施すと、純水中の炭酸ガスの作用により純水が被洗浄物の表面を粗くすることを抑制することができる。このため、被洗浄物の被処理面の表面粗さを抑制しつつ被洗浄物を洗浄することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記リンス手段によって前記被洗浄物を前記リンス液にさらす際に、前記被洗浄物を回転させる回転手段を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、被洗浄物が回転していることから、被洗浄物に吹き付けたリンス液が広がり、リンス液がムラなく均一に塗布され、被洗浄物に付着した洗浄液に対して効率よくリンスを施すことができる。
【0012】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明のいずれかの構成において、前記被洗浄物はシリコン基板の(110)面であり、前記リンス手段は、前記シリコン基板の(110)面を前記リンス液にさらす構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、シリコン基板の(110)面を洗浄すると、被洗浄物の表面が粗くなりそうであるが、純水に炭酸ガスを混入したリンス液でリンスを施すと、純水中の炭酸ガスの作用により純水がシリコン基板の(110)面を粗くすることを抑制することができる。このため、シリコン基板の(110)面の表面粗さを抑制しつつシリコン基板の(110)面を洗浄することができる。
【0013】
第4の発明は、第1の発明ないし第3の発明のいずれかの構成において、前記被処理物は、液体噴射装置の液体を貯める部分であることを特徴とする。
上記構成によれば、液体噴射装置の液体を貯める部分を洗浄すると、被洗浄物の表面が粗くなりそうであるが、純水に炭酸ガスを混入したリンス液でリンスを施すと、純水中の炭酸ガスの作用により純水が、液体噴射装置の液体を貯める部分を粗くすることを抑制することができる。このため、液体噴射装置の液体を貯める部分の表面粗さを抑制しつつ液体噴射装置の液体を貯める部分を洗浄することができる。
【0014】
第5の発明は、第1の発明ないし第4の発明のいずれかの構成において、純水に少なくともCO2を混入させ、pH値が3.0以上7.0未満の洗浄液とする洗浄液生成手段を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、被洗浄物を洗浄すると被洗浄物の表面が粗くなりそうであるが、純水に炭酸ガスを混入した洗浄液を用いて洗浄を施すと、純水中の炭酸ガスの作用により純水が被洗浄物の表面を粗くすることを抑制することができる。このため、被洗浄物の被処理面の表面粗さを抑制しつつ被洗浄物を洗浄することができる。
【0015】
第6の発明は、第1の発明ないし第5の発明のいずれかの構成において、前記洗浄液は、純水であることを特徴とする。
第7の発明は、第1の発明ないし第5の発明のいずれかの構成において、前記洗浄液は、アルカリ性の液体であることを特徴とする。
【0016】
上述の目的は、第8の発明によれば、洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄ステップと、純水に少なくともCO2を混入させ、pH値が3.0以上7.0未満のリンス液とするリンス液生成ステップと、洗浄後の前記被洗浄物を前記リンス液にさらすリンスステップとを有することを特徴とする洗浄方法により、達成される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態としての洗浄装置100の構成例を示す図である。
洗浄装置100は、炭酸ガス供給装置11、液体槽15、ポンプ21、リンス液噴射部23、洗浄液噴射部25及び洗浄液供給部27を備えており、好ましくは被洗浄物回転装置29を備えている。
【0018】
洗浄装置100は、洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄し、被洗浄物に付着した洗浄液をリンスする機能を有する。被洗浄物としては、液体噴射装置の一例としてのインクジェット記録装置の記録ヘッドにおけるインク(液体)を貯める部分や、例えばIC(Integrated Circuit)のような半導体装置である。以下の説明では、被洗浄物として記録ヘッドのインクを貯める部分(以下「インク貯め」という)を例示する。
【0019】
インク貯めは、加工面に対して垂直にエッチングして面を形成する必要がある。このインク貯めは、例えばSi単結晶を材質とし、このSi単結晶は特定の面方位を有している。このような面方位を有する面としては、上述のように垂直にエッチングしやすい、例えば(110)面が採用されている。以下、このようにエッチングが行われる面を、被処理面という。このような被処理面は、インゴッドのようなSi単結晶等を、例えば水酸化カリウムを用いてエッチングすることにより、加工面に対して垂直に形成されている。
【0020】
加工面に対して垂直に形成された被処理面は、例えばO3の洗浄液、O3及び純水の混合液でなる洗浄液、CO2の洗浄液の順で洗浄が行われる。また、この被処理面は、例えばO3の洗浄液を用いた洗浄後に、被処理面に付着した有機物の溶解処理が行われる。この溶解処理では、被処理面の表面処理及び洗浄処理が行われる。被処理面には、エッチングによる加工の際に有機物が形成されている。
【0021】
表面処理では、例えばCO2及びH2O2を用いて被処理面の処理が施され、被処理面に付着した有機物を溶解する。そして、表面処理の後、被処理面は、例えばメガソニック洗浄が行われる。メガソニック洗浄とは、洗浄液の中で制御されたキャビテーションを発生させることによって作動する超音波振動子が、高周波の超音波と制御されたキャビテーションを発生させ、それを被処理物の被処理面に送り出す洗浄方法であり、このような洗浄方法によれば、被処理面に付着するパーティクル等を除去することをいう。
【0022】
また、溶解処理が終了した被処理面は、上述のように、例えばO3及び純水の混合液でなる洗浄液、CO2の洗浄液の順で洗浄され、本実施形態において特徴的なすすぎ(リンス)処理が行われる。このリンス処理で用いるリンス液は、例えば純水とCO2の混合液である。このリンス処理では、上述した例えばメガソニック洗浄とほぼ同様の処理が行われる。
【0023】
次に図1に示す洗浄装置100について具体的に説明する。
この洗浄装置100は、ワーク33の被処理面に対して、主として洗浄処理及びリンス処理を施す機能を有する。
まず、洗浄液供給部27は、上述した例えばO3の洗浄液、O3及び純水の混合液でなる洗浄液、CO2の洗浄液のいずれかを洗浄液噴射部25に対して供給する機能を有する。洗浄液噴射部25は、例えばテーブル31上に配置されたワーク33の被処理面に対して洗浄液を噴射する機能を有する。
【0024】
ここで、この洗浄装置100は、好ましくは被洗浄物回転装置29を備えているのが望ましい。この被洗浄物回転装置29は、上記テーブル31が上面に設けられており、ワーク33が配置されたテーブル31をR方向に回転させる構成となっている。このような被洗浄物回転装置29が設けられていると、洗浄液噴射部25が、回転するワーク33の被処理面に対して効率よく洗浄液等を噴射することができる。
【0025】
また、炭酸ガス供給装置11は、液体槽15に接続されており、液体槽15に対して、例えばCO2のような炭酸ガス13を供給する機能を有する。液体槽15は、表面処理後のワーク33の被処理面が粗くならないように抑制するためのリンス液の基となる液体の一例としての純水17を収容する容器である。
【0026】
液体槽15は、純水17に侵漬するようにその底部に多孔質体16が設けられている。この多孔質体16は、例えば多くの孔が形成されており、気体を放出することで純水17中に細かい気体の泡を形成する機能を有する。具体的には、炭酸ガス供給装置11から供給された炭酸ガス13は、この多孔質体16によって泡状となり、液体槽15の純水17中に充満するようになる。液体槽15は、純水17に炭酸ガス13を混合させ、リンス液19を生成する機能を有する。
【0027】
この液体槽15にはポンプ21が接続されており、ポンプ21は、リンス液噴射部23に接続されている。このポンプ21は、液体槽15からリンス液19を吸い出し、所定の圧力でリンス液19をリンス液噴射部23に供給する機能を有する。リンス液噴射部23は、ワーク33をリンス液にさらす機能を有し、ここでは、例えばテーブル31上のワーク33に対してリンス液を噴射し、ワーク33の被処理面に付着した洗浄液をリンスする機能を有する。尚、ワーク33のリンス方法としては、このようにリンス液噴射部23によってワーク33に対してリンス液を吹き付ける代わりに、ワーク33にリンス液を注ぎかけたり、ウェハーごとワーク33を槽にディップするようにしても良いとはいうまでもない。
【0028】
ここで、洗浄装置100には、上述のように被洗浄物回転装置29が設けられており、被洗浄物としてのワーク33を回転させていることから、被洗浄物に吹き付けたリンス液が広がり、リンス液がムラなく均一に塗布され、ワーク33に付着した洗浄液に対して効率よくリンスを施すことができる。
【0029】
洗浄装置100は以上のような構成であり、次に上記図1を参照しつつその洗浄方法の一例について説明する。
図2は、本発明の好ましい実施形態としての洗浄方法の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップST1では、ワーク33の被処理面が洗浄される。ここで用いられる洗浄液としては、上述のように例えばO3が5ml/l程度混入された洗浄液を用いることができる。
【0030】
具体的には、図1に示す洗浄装置100では、洗浄液が洗浄液供給部27によって洗浄液噴射部25に供給される。ワーク33は、例えば上述のように被洗浄物回転装置29上のテーブル31上に配置されており、R方向に回転されている。洗浄液噴射部25は、例えばテーブル31と共に回転するワーク33の被処理面に対して、例えば霧状の洗浄液を噴射する。ワーク33の被処理面は、洗浄液が付着し、いわゆるオゾン洗浄が行われる。
次にステップST2では、ワーク33の被処理面に対して、表面処理及び洗浄処理が行われる。この表面処理では、上述のように例えばCO2及びH2O2を用いてワーク33の被処理面を処理し、例えば被処理面に付着した有機物を溶解する。そして、表面処理の後、被処理面は、例えばメガソニック洗浄が行われる。
【0031】
また、溶解処理が終了したワーク33の被処理面は、上述のように、例えばO3及び純水の混合液でなる洗浄液、CO2の洗浄液の順で洗浄され、本実施形態において特徴的なリンス(すすぎ)処理が行われる。このリンス処理で用いるリンス液は、例えば純水とCO2の混合液である。このリンス処理では、上述した例えばメガソニック洗浄とほぼ同様の処理が行われる。このように洗浄を行うと、ワーク33の被処理面が荒れてしまうのが一般的である。
【0032】
次にステップST3では、ワーク33の被処理面がさらに洗浄される。このステップST3では、例えば純水にO3を5ml/l程度混入させた洗浄液を洗浄液噴射部25によって霧状とし、ワーク33の被処理面に対して噴射することで、例えばメガソニック洗浄が行われる。次にステップST4では、ワーク33の被処理面のドライ洗浄が行われる。具体的には、このステップST4では、ワーク33の被処理面に対して、例えばCO2及びO3を用いてドライ洗浄が行われる。
【0033】
次に本発明の好ましい実施形態において特徴的なリンス処理が、ワーク33の被処理面に対して施される。具体的には、このリンス処理は、ステップST5〜ステップST7を含んでいる。まず、ステップST5では、リンス液の生成が行われる。尚、リンス液の生成は、この段階の前に予め準備しておいても良いことはいうまでもない。このステップST5では、純水17に炭酸ガスを混入させ、pH値が3.0以上7.0未満のリンス液を生成する。この炭酸ガスとしては、例えばCO2を採用することができる。
【0034】
ここで、pH値を3.0以上としたのは、純水17に炭酸ガスをいくら混入させてもpH値がこの値以下とならないためである。一方、pH値を7.0未満としたのは、CO2を混入させると、CO2は炭酸イオンになり、酸性に傾くので自然にpHは、7以下になるためである。
【0035】
具体的には、以下のようになっている。まず、炭酸ガス供給装置11は、液体槽15に対して、例えばCO2のような炭酸ガス13を供給する。液体槽15は、純水17に侵漬するようにその底部に多孔質体16が設けられており、この多孔質体16は、例えば多くの孔が形成されており、純水17において気体を細かい泡状とする機能を有する。炭酸ガス供給装置11から供給された炭酸ガス13は、この多孔質体16によって泡状となり、液体槽15の純水17中に充満するようになる。従って、液体槽15は、純水17に炭酸ガス13を混合させ、リンス液19を生成している。
【0036】
次にステップST6では、リンス液をワーク33の被処理面に対して吹き付ける。具体的には、ステップST6では、図1に示すポンプ21が、液体槽15からリンス液19を吸い出し、所定の圧力としたリンス液19をリンス液噴射部23に供給する。このリンス液噴射部23は、テーブル31上のワーク33に対してリンス液を噴射し、ワーク33の被処理面に付着した洗浄液をリンスする。
次にステップST7では、リンス後のワーク33の被処理面に対して、洗浄処理が行われる。ここでは、ワーク33の被処理面は、例えばメガソニック洗浄が行われる。
【0037】
図3は、上記洗浄方法により洗浄されたワーク33の被処理面の断面の構成例を示す拡大断面図である。
上記洗浄方法により洗浄されたワーク33の被処理面の断面の構成例を参照するとわかるように、ワーク33の被処理面の表面粗さが5nm以下である。これを、図5(B)に示す従来の洗浄方法を用いて処理を行ったときと比較すると、縦軸のメモリの単位が大きく異なることを加味しても、本発明の好ましい実施形態に係る洗浄方法は、ワーク33の被処理面の表面粗さが改善していることがわかる。
【0038】
これは、Si単結晶の純水17への溶解量を参照すると、以下のようにわかる。まず、ワーク33の被処理面の一例としての(220)面には、例えば9.6×1014[atoms/cm2]と非常に少ない純水への溶解がある。しかし、(110)面の場合、ワーク33の被処理面は、純水17には例えば2.21×1017[atoms/cm2](110)面の単位面積当たりのSi溶解量であるのに対して、例えばCO2のような炭酸ガスを含むリンス液19には例えば2.52×1016[atoms/cm2](110)面の単位面積当たりのSi溶解量である。
このようなことから、リンス液19に炭酸ガスを含まない場合よりも、含む場合の方が、一桁溶解量が少ないことがわかる。このように溶解量が少ないことは、リンス液19でリンス処理後は、ワーク33の被処理面の表面粗さ生じにくいことを意味する。
【0039】
このように本発明の好ましい実施形態によれば、ワーク33の被処理面を洗浄すると、ワーク33の被処理面の表面が粗くなりそうであるが、純水17に炭酸ガスを混入したリンス液19を吹き付けてリンスを施すと、純水17中の炭酸ガスの作用により純水17等がワーク33の被処理面の表面を粗くすることを抑制することができる。このため、ワーク33の被処理面の表面粗さを抑制しつつワーク33の被処理面を洗浄することができる。
【0040】
本発明は、上記実施の形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
また、上記実施形態では、炭酸ガスが純水17に混入されてなるリンス液19が使用されていたのに対して、その代わりに或いは併せて、炭酸ガスを洗浄液にも混入させるようにしても良い。このようにすると、リンス液19でワーク33の被処理面に付着した洗浄液のリンス処理を施す場合に表面粗さが悪くなることを防止することができるばかりでなく、洗浄液26でワーク33の被処理面を洗浄する場合に表面粗さが悪くなることを防止することができる。
また、本発明の実施形態は、上記インク貯め以外にも、例えば半導体装置やSOI(Silicon On Insulator)を用いた表示素子にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施形態としての洗浄装置の構成例を示す図。
【図2】洗浄方法の手順の一例を示すフローチャート。
【図3】被洗浄物の被処理面の表面粗さの一例を示す図。
【図4】従来の被処理物の洗浄方法の手順の一例を示すフローチャート。
【図5】被洗浄物の被処理面の表面粗さの一例を示す図。
【符号の説明】
11・・・炭酸ガス供給装置(リンス液生成手段)、13・・・炭酸ガス、15・・・液体槽(リンス液生成手段)、16・・・多孔質体(リンス液生成手段)、17・・・純水、19・・リンス液、23・・・(リンス手段)、25・・・洗浄液噴射部(洗浄手段)、26・・・洗浄液、27・・・洗浄液供給部(洗浄手段)、29・・・被洗浄物回転装置(回転手段)、100・・・洗浄装置
Claims (8)
- 洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄手段と、
純水に炭酸ガスを混入させ、pH値が3.0以上7.0未満のリンス液とするリンス液生成手段と、
洗浄後の前記被洗浄物を前記リンス液にさらすリンス手段と
を備えることを特徴とする洗浄装置。 - 前記リンス手段によって前記被洗浄物を前記リンス液にさらす際に、前記被洗浄物を回転させる回転手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
- 前記被洗浄物はシリコン基板の(110)面であり、
前記リンス手段は、前記シリコン基板の(110)面を前記リンス液にさらす構成としたことを特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれかに記載の洗浄装置。 - 前記被処理物は、液体噴射装置の液体を貯める部分であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の洗浄装置。
- 純水に少なくともCO2を混入させ、pH値が3.0以上7.0未満の洗浄液とする洗浄液生成手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の洗浄装置。
- 前記洗浄液は、純水であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の洗浄装置。
- 前記洗浄液は、アルカリ性の液体であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の洗浄装置。
- 洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄ステップと、
純水に少なくともCO2を混入させ、pH値が3.0以上7.0未満のリンス液とするリンス液生成ステップと、
洗浄後の前記被洗浄物を前記リンス液にさらすリンスステップと
を有することを特徴とする洗浄方法。
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JP2003200481A JP2005040663A (ja) | 2003-07-23 | 2003-07-23 | 洗浄装置及び洗浄方法 |
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WO2012067025A1 (ja) * | 2010-11-15 | 2012-05-24 | 栗田工業株式会社 | シリコンウェハ清浄化方法及びシリコンウェハ清浄化装置 |
-
2003
- 2003-07-23 JP JP2003200481A patent/JP2005040663A/ja active Pending
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KR20130132861A (ko) * | 2010-11-15 | 2013-12-05 | 쿠리타 고교 가부시키가이샤 | 실리콘 웨이퍼 청정화 방법 및 실리콘 웨이퍼 청정화 장치 |
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