JP2005038389A - 真偽判定方法、装置及びプログラム - Google Patents

真偽判定方法、装置及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 固体の真偽判定を簡単かつ高精度に行う。
【解決手段】 紙を形成する繊維質材料の絡み具合は製造時に制御できないランダム性を有しており、これに伴い紙の透明度も個々の紙固有のランダムな変化が生じている。これを利用し、紙上の基準領域(例えば約2×2mm程度のサイズの非印刷部分)を光学的に読み取り、基準データとして登録しておく。真偽判定時には、基準領域を含み基準領域よりも大サイズ(例えば約4×4mm程度)の照合領域(図では照合画像として示す)をスキャナで読み取り、読み取りによって得られた照合データから基準領域と同サイズの部分領域(図では演算範囲として□で囲んで示す)のデータを抽出し、基準データとの相関値を正規化相関法により演算することを、照合領域内での部分領域の位置をずらしながら繰り返し、相関値の最大値及び該最大値のノーマライズド・スコアを各々閾値と比較することで真偽判定を行う。
【選択図】 図2

Description

本発明は真偽判定方法、真偽判定装置及びプログラムに係り、特に、ランダム性を有する読み取り可能な固有の特徴が表面に沿って分布している固体の真偽を判定する真偽判定方法、該真偽判定方法を適用可能な真偽判定装置、及び、コンピュータを該真偽判定装置として機能させるためのプログラムに関する。
近年、複写機やプリンタの性能向上に伴い、紙幣や有価証券等を複写機やプリンタで複写した複写物が悪用される事例が増加してきていることを背景として、偽造や複写物の悪用を抑止するために、各種の紙文書(上述した紙幣や有価証券以外に、例えば旅券、各種の権利書、住民票、出生証明書、保険証書、保証書、機密文書等)の真偽を高精度に判定できる技術の確立が待望されている。
紙文書の真偽を判定する技術として、特許文献1には、部分的に不透明度の異なる用紙に、特定波長域の光を照射すると固有の波長域の光を発光する発光物質を付与し、この用紙に特定波長の光を照射し発光物質から発せられた光を受光センサで受光して真偽判定を行う技術が開示されている。また、特許文献2には、導電性標識物質(透明な導電性ポリマー又は導電性顔料又はその組み合わせ)を文書、有価証券および銀行券のための紙料ウエブに統合するための技術が開示されている。
また、特許文献3には、サンプル紙試料を透過又は反射した光によって得られた画像データに対して周波数解析を行い、周波数解析後のデータから複数の波長範囲についての積算データを求め、標準紙試料の積算データとの相関を求めることで、サンプル紙試料が標準紙試料と同一か否かを判断する技術が開示されている。
更に、特許文献4には、紙を形成する繊維質材料の絡み具合のランダム性に起因して紙の透明度がランダムに変化していることを利用し、タッグTの所定エリアを多数個の四角形領域に区切り、このうちランダムに選択した6個の四角形領域の透明度を検出し、検出した透明度を個々の四角形領域のアドレスと共に情報として記録しておき、真偽判断時には、記録情報によって特定される個々の四角形領域の透明度を検出し、検出結果を記録情報が表す透明度と比較することで真偽判定を行う技術が開示されている。
特開2000−094865号公報 特表2002−518608号公報 特開2000−146952号公報 特公平6−16312号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の技術は、真偽判定のために紙に特殊な物質を付与して偽造を防止するものであるので、コストが嵩むと共に、真偽判定を行うために特殊な物質を検出するための特別な装置が必要となるという問題もある。
また、特許文献3に記載の技術は、抄紙過程でつく紙の地合や抄紙ワイヤ等の模様の周期性を利用して紙を同定する技術であり、この技術を紙文書の真偽判定に適用したとすると、例えば悪意を持った者が紙文書の原本と製造ロットが同一の紙を入手して原本の内容を複写した場合に、この複写物を原本と誤判定してしまうという欠点がある。
一方、特許文献4に記載の技術は、紙を形成する繊維質材料の絡み具合のランダム性に起因して紙の透明度がランダムに変化していることを利用しているため、紙に特殊な物質を付与する必要がなくなると共に、製造ロットが同一の紙であっても個々の紙を区別できるという利点を有している。しかし、この技術では紙上の微小な領域の透明度を比較して真偽判定を行っているので、情報記録のための読み取り時と真偽判定のための読み取り時とで紙上の読取領域の位置や向きが僅かでも相違していると紙の真偽を誤判定する可能性が高い。また、透明度の検出値は読み取り時の光源光量の不一致や紫外線等による紙の変色等の影響も受ける。これに対して特許文献4に記載の技術は、上記のような事象に起因する真偽判定の精度低下への対策について何ら考慮しておらず、真偽判定の精度が十分でないという問題があった。
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、固体の真偽判定を簡単かつ高精度に行うことができる真偽判定方法、真偽判定装置及びプログラムを得ることが目的である。
本願発明者等は、ランダムに変化している紙の透明度のように、ランダム性を有し固体の表面に沿って分布している固体固有の特徴は、固体の真偽判定に有用であるとの認識の下、固体固有の特徴を利用した真偽判定における判定精度の向上には、真偽判定のための比較対象としての領域(固有の特徴が分布している固体上の領域)の面積を真の固体と判定対象の固体とで相違させ、小面積の領域を大面積の領域内で移動させながら相関値を繰り返し演算することで多数の相関値を求め、求めた相関値の最大値に加え、求めた多数の相関値の分布具合を表す特徴量も用いて真偽判定を行うことが有効ではないかとの仮説を立てた。
真偽判定における誤判定には、真物を偽物と誤判定する場合と偽物を真物と誤判定する場合がある(なお、真物を偽物と誤判定する確率はFRR(:False Rejection Rate)と称し、偽物を真物と誤判定する確率はFAR(:False Acceptance Rate)と称する)。本願発明者等は上記の仮説が、真物が偽物と誤判定される確率が高いケース、及び偽物が真物と誤判定される確率が高いケースでも有効か否かを検証すべく、以下の実験を行った。
すなわち、まずフラットベッド型スキャナにより、400dpiの解像度・8ビットグレイスケールの階調で紙(原本)の未印刷の部分の32×32ドット(約2mm×約2mm)の基準領域を読み取り、スキャナから出力された画像データ(この画像データは、紙を形成する繊維質材料の絡み具合のランダム性に起因する紙(原本)上の基準領域内における紙の透明度のランダムな変化を表している)を基準データとして記憶した。図1(A)には基準データを「基準画像」として視覚化(目視での確認が容易なようにコントラストを補正)して示す。
紙を形成する繊維質材料の絡み具合を製造時に制御することは不可能であるので、紙を形成する繊維質材料の絡み具合はランダムと見なすことができる。紙を形成する繊維質材料の絡み具合いは透過光顕微鏡を用いれば観察できる。一方、図1(A)に示す「基準画像」では、繊維質材料の絡み具合いまでは確認できないものの、繊維質材料の絡み具合のランダム性に起因する(紙を漉くときの諸条件により生ずる紙表面の凸凹も影響している可能性もある)紙の透明度のランダムな変化を反映したランダムな明暗のパターンが生じているので、基準画像に対応する基準データが、紙(原本)上の基準領域内における紙(原本)に固有の特徴、すなわち紙(原本)上の基準領域内の透明度のランダムな変化を表す情報となっていることは確認できる。
次に、比較例として、原本として用いた紙のうちの64×64ドット(約4mm×約4mm)の照合領域(前述の基準領域を含む領域)の読み取りを行い、スキャナから出力された画像データを第1の照合データとして記憶した。この第1の照合データは、紙(原本)の前記照合領域内における紙の透明度のランダムな変化を表している。なお、図1(B)には第1の照合データを「照合画像」として視覚化して示す。
また、真物が偽物と誤判定される確率が高いケースとして、原本として用いた紙を、第1の照合データ取得時に対して位置を若干ずらすと共に向きを若干回転させてスキャナの原稿台上に載置した状態で、64×64ドットの照合領域の読み取りを行い(これにより第1の照合データ取得時の読取領域に対して位置及び向きが若干異なる領域が読み取られることになる)、スキャナから出力された画像データを第2の照合データとして記憶した。更に、別の比較例として、原本として用いた紙と異なる紙のうちの64×64ドットの照合領域を読み取り、スキャナから出力された画像データを第3の照合データとして記憶した。
次に、第1〜第3の照合データが各々表す第1〜第3の照合画像と基準データが表す基準画像との相関値を各々演算した。具体的には、例として図2に示すように、演算対象の照合画像から基準画像と同一サイズの部分領域(図2では「相関値演算範囲」と表記して示す)を抽出し、部分領域と基準画像との相関値を正規化相関法により演算する(次の(1)式参照)ことを、照合画像上での部分領域の位置をX方向及びY方向に1ドット(画素)ずつずらしながら繰り返した。
Figure 2005038389
但し、Fは基準画像(基準データの集合)、fiは基準画像の個々の画素の明度値、Nは基準画像(及び照合画像の部分領域)の総画素数、Gは照合画像の部分領域(の集合)、giは照合画像の部分領域の個々の画素の明度値、fAVEは基準画像の個々の画素の明度値の平均値、gAVEは照合画像の部分領域の個々の画素の明度値の平均値である。第1〜第3の照合画像を演算対象の照合画像として上記の演算を各々行うことで、基準画像のドット数をm×n、照合画像のドット数をM×Nとすると、単一の照合画像当たり(M―m+1)×(N−n+1)個の相関値が得られる。
続いて第1〜第3の照合画像に対し、相関値の分布具合を表す特徴量として、相関値の最大値のノーマライズド・スコアを次の(2)式に従って各々演算した。
ノーマライズド・スコア=(相関値の最大値−相関値の平均値)÷相関値の標準偏差 …(2)
図3(A)〜(B)には、相関値の最大値及び相関値の最大値のノーマライズド・スコアの演算結果を、照合画像上での部分領域の位置と相関値の関係を視覚的に示すチャートと共に示す。
図3(A)に示すように、同一の紙上の基準領域を含む照合領域を、位置及び向きのずれなく読み取った場合、相関値の最大値は非常に高い値を示す。また、相関値の分布も、相関値が最大となっているピーク部分以外の部分では、最大値に比して相関値が非常に低い値を示しており、これに伴い相関値の最大値のノーマライズド・スコアも非常に高い値を示している。また、原本と異なる紙を読み取った場合には、図3(C)に示すように、相関値の最大値は非常に低い値となり、相関値の分布についても、ピーク部分を含めて全体的に相関値が低い値を示しているので、相関値の最大値のノーマライズド・スコアも非常に低い値となっている。
一方、同一の紙上の基準領域を含む照合領域を位置及び向きを若干変えて読み取った場合(真物が偽物と誤判定される確率が高いケースに相当)、相関値の最大値及び相関値の最大値のノーマライズド・スコアは、図3(B)に示すように何れも同一の紙を位置及び向きのずれなく読み取った場合と異なる紙を読み取った場合の中間的な値になる。このため、相関値の最大値及び相関値の最大値のノーマライズド・スコアの閾値として図3(B)に示す値と図3(C)に示す値の中間的な値を各々採用し(例えば相関値の最大値の閾値≒0.3、相関値の最大値のノーマライズド・スコアの閾値≒5.0)、相関値の最大値を閾値と比較すると共に相関値の最大値のノーマライズド・スコアを閾値と比較することで真偽判定を行うようにすれば、照合領域読み取り時の紙の位置及び向きが若干ずれている等のように真物が偽物と誤判定される確率が高いケースにおいて、相関値の最大値のみを用いて判定を行う場合よりも、真偽判定の判定精度が向上する可能性があることが理解できる。
また、本願発明者等は、上記実験と同一のスキャナを用い、同一の解像度・階調でA4の白紙の紙(原本)の任意の32×32ドット(約2mm×約2mm)の基準領域を読み取って基準データを取得すると共に、第1の比較例として、原本として用いた紙の略全面を読み取り、読み取りによって得られた画像データから64×64ドットの照合領域のデータを抽出し、抽出した照合データから更に抽出した部分領域のデータと基準データとの相関値を(1)式に従って演算することを、照合領域内における部分領域の位置を1ドットずつずらしながら繰り返した(これにより、1000万個以上の相関値が得られた)。
また、第2の比較例として、原本として用いた紙の略全面の読み取りを、位置を若干ずらすと共に向きを若干回転させてから再度行い、前述の第1の比較例と同様に、読み取りによって得られた画像データから64×64ドットの照合領域のデータを抽出し、抽出した照合データから更に抽出した部分領域のデータと基準データとの相関値を(1)式に従って演算することを、照合領域内における部分領域の位置を1ドットずつずらしながら繰り返した。また、第3の比較例として、原本として用いた紙と異なる紙を用い、第1及び第2の比較例と同様に、読み取り・相関値の演算を行った。
そして、偽物が真物と誤判定される確率が高いケースとして、原本として用いた紙の基準領域を故意に過大な光量で読み取ることで、基準領域内の透明度の変化が部分的に白くとんでしまっている画像を表す第2の基準データを取得すると共に、第3の比較例で用いた紙の略全面を読み取り、読み取りによって得られた画像データから64×64ドットの照合領域のデータを抽出し、抽出した照合データから更に抽出した部分領域のデータと第2の基準データとの相関値を(1)式に従って正規化相関法により演算することを、照合領域内における部分領域の位置を1ドットずつずらしながら繰り返した。
上記の実験によって得られた相関値の分布(横軸に相関値、縦軸に頻度の対数をとったチャート)を図4〜図7に示す。図4は第1の比較例、図5は第2の比較例で得られた相関値の分布であり、何れの分布においても、多数の相関値のうちの大多数は0又は0に近い値を示しているものの、所定値以上(例えば0.3以上)の高い相関値を示しているデータも含まれており、第1の比較例における相関値の最大値が1.00、第2の比較例における相関値の最大値が0.657と、何れも高い値を示しているので、相関値の最大値のみを用いたとしても真物を真物と判定できることが理解できる。また、図6は第3の比較例で得られた相関値の分布であるが、全ての相関値が所定値(例えば0.3)未満であり、相関値の最大値も02.54と低い値を示しているので、上記と同様に相関値の最大値のみを用いたとしても偽物を偽物と判定できる。
一方、図7は、偽物が真物と誤判定される確率が高いケースとして想定した実験によって得られた相関値の分布であるが、所定値以上(例えば0.3以上)の高い相関値を示しているデータも含まれており(相関値の最大値は0.348)、相関値の最大値のみを用いて真偽判定を行ったとすると偽物を真物と誤判定する可能性がある。これに対し、図7の分布を図6の分布と比較しても明らかなように、図7に示す相関値の分布は裾が広がっている形状となっており、これに伴って図7の分布における相関値の標準偏差が図6の分布よりも大きくなり、前出の(2)式からも明らかなように、図7の分布における相関値の最大値のノーマライズド・スコアの値が図6の分布よりも小さくなる(図6の分布における相関値の最大値のノーマライズド・スコアが5.32、図7の分布における相関値の最大値のノーマライズド・スコアが4.91)ので、偽物が真物と誤判定されることを回避できることが理解できる。
このように、偽物が真物と誤判定される確率が高いケース(図7のケース)においても、相関値の最大値及び相関値の最大値のノーマライズド・スコアを用いて真偽判定を行えば誤判定を回避することができるので、相関値の最大値に加え、相関値の最大値のノーマライズド・スコアのように相関値の分布具合を表す特徴量も用いて真偽判定を行えば、真偽判定の判定精度向上を実現できることが確認された。
上記に基づき請求項1記載の発明に係る真偽判定方法は、ランダム性を有する読み取り可能な固有の特徴が表面に沿って分布している固体の真偽を判定する真偽判定方法であって、真の固体の特徴が予め読み取られることで得られた、前記真の固体上に分布する特徴を表す基準データを取得すると共に、判定対象の固体の特徴を読み取ることで、前記判定対象の固体上に分布する特徴を表す照合データを求め、前記基準データ及び前記照合データに基づき、真の固体及び判定対象の固体のうちの一方の固体上の所定サイズの第1領域に分布する特徴を表すデータと、他方の固体上で前記第1領域と同サイズの第2領域に分布する特徴を表すデータとの相関値を演算することを、前記他方の固体上での前記第2領域の位置を前記所定サイズよりも大きい領域内で移動させながら繰り返し、演算によって得られた複数の相関値の最大値及び該複数の相関値から求まる相関値の分布具合を表す特徴量に基づいて、判定対象の固体の真偽を判定することを特徴としている。
請求項1記載の発明では、ランダム性を有する読み取り可能な固有の特徴が表面に沿って分布している固体の真偽を判定する。本発明に係る固体の典型例としては、繊維質材料の絡み具合のランダム性に起因して、固有の特徴として、光透過率又は光反射率のランダムな変化が表面に沿って分布している紙(例えば紙に何らかの印刷がされた印刷物、詳しくは公文書や有価証券等、原本が存在している文書)が挙げられるが、本発明は、ランダム性を有する読み取り可能な固有の特徴が表面に沿って分布している固体であれば適用可能であり、具体的には、例えばランダムな凹凸が表面に沿って分布している合成樹脂製のカード(例えばテレフォンカードやハイウェイカード等では裏面にランダムな凹凸が生じている)や、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等が挙げられる(CDやDVDも表面にランダムな凹凸が生じている)。
請求項1記載の発明では、真の固体(すなわち原本)の特徴が予め読み取られることで、真の固体上に分布する特徴を表す基準データが予め求められており、請求項1記載の発明ではこの基準データを取得する。基準データは、例えば固体自体に担持(例えばコード化された状態で記録)されていてもよいし、基準データは固体と別体の記憶手段に記憶され、固体自体には、記憶手段に記憶されているデータのうち対応する基準データを特定するための識別情報が担持されていてもよい。
また、請求項1記載の発明では、判定対象の固体の特徴を読み取ることで、判定対象の固体上に分布する特徴を表す照合データを求める。なお、固体の特徴が光学的に読み取り可能である場合、この照合データ(及び前述の基準データ)としては、例えば請求項2に記載したように、判定対象の固体(又は真の固体)に光を照射し、反射光又は透過光を読み取ることで得られた画像データを用いることができる。また、固体の特徴はその他の読み取り方法(例えば可視光以外の波長域の電磁波や磁気を利用した読み取り方法)で読み取り可能な特徴であってもよい。
そして、請求項1記載の発明では、取得した基準データ及び求めた照合データに基づき、真の固体及び判定対象の固体のうちの一方の固体上の所定サイズの第1領域に分布する特徴を表すデータと、他方の固体上で第1領域と同サイズの第2領域に分布する特徴を表すデータとの相関値を演算することを、他方の固体上での第2領域の位置を所定サイズよりも大きい領域内で移動させながら繰り返し、演算によって得られた複数の相関値の最大値及び該複数の相関値から求まる相関値の分布具合を表す特徴量に基づいて、判定対象の固体の真偽を判定する。
このように、請求項1記載の発明では、相関値の最大値及び相関値の分布具合を表す特徴量に基づいて固体の真偽を判定するので、前述した実験の結果からも明らかなように、固体の真偽判定を高精度に行うことができる。また、真偽判定のために固体に特殊な物質を付与する必要はなく、特殊な物質を検出するための特別な装置も不要となるので、固体の真偽判定を簡単に行うことができる。
なお、前述のように固体の特徴が光学的に読み取り可能である場合には、固体がシート状又は平板状の媒体であれば、例えば請求項3に記載したように、固体の特徴をフラットベッド型のスキャナで読み取ることが好ましい。フラッドベッド型のスキャナは広範に普及しているため安価に入手可能であり、本発明を容易に実施することができる。
また、請求項1記載の発明において、相関値の演算には公知の演算方法の何れを適用してもよいが、例えば請求項4に記載したように、正規化相関法で相関値を演算することが好ましい。前出の(1)式より明らかなように、正規化相関法では、演算対象の明度値から明度値の平均値を減算することで正規化した明度値を用いて相関値を演算するので、例えば固体の特徴を光学的に読み取る態様において、基準データを求めるための読み取り時と照合データを求めるための読み取り時とで光源光量が相違していた等の場合にも、光源光量の相違等に起因する明度値の相違が正規化によって補正され、光源光量の相違等の影響が排除された正確な相関値を得ることができる。
また請求項1記載の発明において、相関値の分布具合を表す特徴量としては、例えば請求項5に記載したように、相関値の最大値から相関値の平均値を減じた値を相関値の標準偏差で除すことで得られる相関値の最大値のノーマライズド・スコアを用いることができる。この場合、相関値の最大値が第1の所定値以上でかつ相関値の最大値のノーマライズド・スコアが第2の所定値以上か否かに基づいて判定対象の固体の真偽を判定することができる。
ところで、ランダム性を有し光学的に読み取り可能な固体の特徴が表面に沿って分布している固体の真偽判定において、真の固体や判定対象の固体上に汚れ等の付着を原因とする濃淡部分が存在していた場合、真の固体や判定対象の固体上を光学的に読み取ることで得られる(固体上のランダム性を有する固体の特徴を表す)基準データや照合データに、上記の濃淡部分に相当するノイズ成分が混入することになる。そして、真の固体及び判定対象の固体上に上記の濃淡部分が各々存在しており、かつ判定対象の固体上に存在している濃淡部分の特徴(例えばサイズや形状、濃度等)が真の固体上に存在している濃淡部分の特徴と類似していた場合、相関値の最大値や相関値の分布具合を表す特徴量が高い相関を示す値になることで、判定対象の固体が偽物であっても真物と誤判定される確率が高くなるという問題がある。この問題は、例えば基準データを得るための真の固体の読み取りに際し、真の固体上に存在している濃淡部分を検知し、真の固体上の濃淡部分が存在していない領域を読取範囲に設定することで解決することができるが、濃淡部分が存在していない領域が全く存在していない場合には、読取範囲を上記のように設定することは困難であり、また、読取範囲の位置を予め固定的に定めておく態様には適用できないという欠点もある。
一般に、ランダム性を有し光学的に読み取り可能な固体の特徴が表面に沿って分布している固体上に汚れ等の付着を原因とする濃淡部分が存在していた場合、前記固体上を光学的に読み取ることで得られる基準データや照合データに混入している上記の濃淡部分に相当するノイズ成分は、基準データや照合データの階調値の分布において或る階調値範囲内に分布している。上記に基づき請求項6記載の発明は、請求項2記載の発明において、基準データ及び照合データの少なくとも一方に対し、階調値の分布に基づいてノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲を設定し、設定した階調値範囲に属するデータを除外した後に、相関値の演算を行うことを特徴としている。
請求項6記載の発明では、基準データ及び照合データの少なくとも一方に対し、階調値の分布に基づいてノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲を設定し、設定した階調値範囲に属するデータを除外するので、真の固体や判定対象の固体上に汚れ等の付着を原因とする濃淡部分が存在しており、この濃淡部分に相当するノイズ成分が基準データ及び照合データに混入していた場合にも、この影響を受けて相関値の最大値や相関値の分布具合を表す特徴量が高い相関を示す値になることを防止することができるので、固体の真偽判定を精度良く行うことができる。また、ノイズ成分が分布している階調値範囲は、基準データ又は照合データを得るための読み取り時の照明条件の変動等の影響を受けて変化するが、請求項6記載の発明では、基準データ及び照合データの少なくとも一方に対し、階調値の分布に基づいてノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲を設定するので、前記照明条件の変動等の影響を受けることなく、ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲を適切に設定することができ、ノイズ成分に相当するデータを相関値の演算対象から精度良く除外することができる。
なお、請求項6記載の発明に係るノイズ成分は、固体上に付着した汚れ等を原因とする濃淡部分に相当するノイズ成分に限られるものではなく、例えば固体としての紙に印刷された文字部分のデータについても、固体の真偽判定に悪影響を与えるノイズ成分であり、この文字部分に相当するノイズ成分についても、請求項6記載の発明により、上記と同様に相関値の演算対象から除外することができる。
また、請求項6記載の発明において、ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲の設定、設定した階調値範囲に属するデータの除外は、基準データのみに対して行ってもよいし、照合データのみに対して行ってもよいし、基準データ及び照合データの各々に対して行ってもよいが、本発明における相関値の演算が、一方の固体上の第1領域に分布する特徴を表すデータと、他方の固体上の第2領域に分布する特徴を表すデータとの相関値を演算することを、他方の固体上での第2領域の位置を所定サイズよりも大きい領域内で移動させながら繰り返すことで行われることを考慮すると、ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲に属するデータの除外は、第1領域に分布する特徴を表すデータに対してのみ行った方が演算負荷が低減されるので望ましい。また、真の固体の特徴が光学的に読み取られることで得られた基準データを所定の媒体(固体自体又は固体とは別体の記憶媒体でもよい)に一旦記録した後に、所定の媒体から読み出して取得する場合、基準データの容量を低減するために、第1領域に分布する特徴を表すデータとして基準データを適用することが望ましく、この場合、ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲に属するデータの除外は、基準データに対してのみ行うことが望ましい。
そして、上記のように真の固体の特徴が光学的に読み取られることで得られかつ所定の媒体に記録された基準データを所定の媒体から読み出すことで取得すると共に、基準データに対してノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲に属するデータを除外する場合には、例えばノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲に属するデータを除外した後の基準データを所定の媒体に記録してもよいが、所定の媒体に記録した基準データを固体の真偽判定以外の用途に使用する可能性があることを考慮すると、例えば請求項7に記載したように、所定の媒体から読み出すことで取得した基準データの階調値の分布に基づき、基準データに対してノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲を設定し、設定した階調値範囲に属するデータを基準データから除外した後に、相関値の演算を行うことが好ましい。請求項7記載の発明では、所定の媒体から読み出した後の基準データに対して、ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲に属するデータを除外するので、所定の媒体に記録される基準データには上記階調値範囲に属するデータも含まれており、所定の媒体から読み出した後の基準データを固体の真偽判定以外にも用いることができる。すなわち、シリアル番号やバーコード等の文字や図形を印刷した領域を基準データとして用いた場合には、インクまたはトナーがのった部分は真偽判定にとってはノイズ成分になるが、真偽判定以外の用途には重要な情報となり得る。
なお、請求項6又は請求項7記載の発明において、ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲としては、例えば請求項8に記載したように、階調値の最大値又は最小値から累積頻度が所定値に達する迄の範囲、又は、階調値の平均値をAVE、階調値の分布の標準偏差をσ、所定値をnとしたときに、階調値がAVE+nσ以上又はAVE−nσ以下の範囲を設定することができる。
請求項9記載の発明に係る真偽判定装置は、ランダム性を有する読み取り可能な固有の特徴が表面に沿って分布している固体の真偽を判定する真偽判定装置であって、真の固体の特徴が予め読み取られることで得られた、前記真の固体上に分布する特徴を表す基準データを取得する取得手段と、判定対象の固体の特徴を読み取ることで、前記判定対象の固体上に分布する特徴を表す照合データを求める読取手段と、前記基準データ及び前記照合データに基づき、真の固体及び判定対象の固体のうちの一方の固体上の所定サイズの第1領域に分布する特徴を表すデータと、他方の固体上で前記第1領域と同サイズの第2領域に分布する特徴を表すデータとの相関値を演算することを、前記他方の固体上での前記第2領域の位置を前記所定サイズよりも大きい領域内で移動させながら繰り返す演算手段と、演算された複数の相関値に基づいて判定対象の固体の真偽を判定する判定手段と、を備えたことを特徴としているので、請求項1記載の発明と同様に、固体の真偽判定を簡単かつ高精度に行うことができる。
請求項10記載の発明に係るプログラムは、固体の表面に沿って分布しかつランダム性を有する前記固体固有の特徴を読み取り可能な読取装置が接続されたコンピュータを、真の固体の特徴が予め読み取られることで得られた、前記真の固体上に分布する特徴を表す基準データを取得する取得手段、判定対象の固体の特徴を前記読取装置によって読み取らせることで、前記判定対象の固体上に分布する特徴を表す照合データを求める読取制御手段、前記基準データ及び前記照合データに基づき、真の固体及び判定対象の固体のうちの一方の固体上の所定サイズの第1領域に分布する特徴を表すデータと、他方の固体上で前記第1領域と同サイズの第2領域に分布する特徴を表すデータとの相関値を演算することを、前記他方の固体上での前記第2領域の位置を前記所定サイズよりも大きい領域内で移動させながら繰り返す演算手段、及び、演算された複数の相関値に基づいて判定対象の固体の真偽を判定する判定手段として機能させる。
請求項10記載の発明に係るプログラムは、固体の表面に沿って分布しかつランダム性を有する固体固有の特徴を読み取り可能な読取装置が接続されたコンピュータを、上記の取得手段、読取制御手段、演算手段及び判定手段として機能させるためのプログラムであるので、コンピュータが請求項10記載の発明に係るプログラムを実行することにより、コンピュータ及び読取装置が請求項9に記載の真偽判定装置として機能することになり、請求項1及び請求項9記載の発明と同様に、固体の真偽判定を簡単かつ高精度に行うことができる。
以上説明したように請求項1記載の発明は、真の固体の表面に沿って分布しているランダム性を有する読み取り可能な固有の特徴が予め読み取られることで得られた基準データを取得すると共に、判定対象の固体の特徴を読み取ることで照合データを求め、真の固体及び判定対象の固体のうちの一方の固体上の所定サイズの第1領域に分布する特徴を表すデータと、他方の固体上で第1領域と同サイズの第2領域に分布する特徴を表すデータとの相関値を演算することを、他方の固体上での第2領域の位置を前記所定サイズよりも大きい領域内で移動させながら繰り返し、演算によって得られた複数の相関値の最大値及び相関値の分布具合を表す特徴量に基づいて、判定対象の固体の真偽を判定するので、固体の真偽判定を簡単かつ高精度に行うことができる、という優れた効果を有する。
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図8には本実施形態に係るカラープリンタ10が示されている。カラープリンタ10は像担持体としての感光体ドラム12を備え、この感光体ドラム12は帯電器14によって帯電される。感光体ドラム12の上方には、形成すべき画像に応じて変調されると共に主走査方向(感光体ドラム12の軸線に平行な方向)に沿って偏向された光ビームを射出する光ビーム走査装置16が配置されている。光ビーム走査装置16から射出された光ビームは感光体ドラム12の周面上を主走査方向に走査し、同時に感光体ドラム12が回転されて副走査が成されることで、感光体ドラム12の周面上に静電潜像が形成される。
また、図8における感光体ドラム12の右側方には多色現像器18が配置されている。多色現像器18はC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)の何れかの色のトナーが装填された現像器18A〜18Dを備えており、感光体ドラム12に形成された静電潜像をC,M,Y,Kの何れかの色に現像する。なお、カラープリンタ10におけるフルカラー画像の形成は、感光体ドラム12上の同一の領域に対して静電潜像を形成して互いに異なる色に現像することが複数回繰り返され、前記領域上で各色のトナー像が順次重ね合わされることによって成される。
感光体ドラム12の近傍には無端の転写ベルト20が配置され、転写ベルト20の配置位置の下方には記録用紙22を収容する用紙トレイ24が配置されている。転写ベルト20の周面は、感光体ドラム12の回転方向に沿って多色現像器18による現像位置よりも下流側で感光体ドラム12の周面に接触しており、感光体ドラム12に形成されたトナー像は転写ベルト20に一旦転写された後に、用紙トレイ24から引き出されて転写ベルト20の配置位置迄搬送された記録用紙22に再転写される。カラープリンタ10への機体外へと向かう記録用紙22の搬送路の途中には定着器26が配置されており、トナー像が転写された記録用紙22は、定着器26によってトナー像が定着された後にカラープリンタ10への機体外へ排出される。
また、用紙トレイ24から転写ベルト20の配置位置へ至る記録用紙22の搬送路(図8に想像線で示す)の途中には読取部28が設けられている。読取部28は、記録用紙22に光を照射する発光器28Aと、該発光器28Aから射出され記録用紙22を反射した光を受光する受光器28Bを備えると共に、受光器28Bから出力された信号をデジタルデータに変換して出力する信号処理回路を備えており(図示省略)、記録用紙22を形成している繊維質材料の絡み具合のランダム性により記録用紙22の表面に沿って分布している光反射率のランダムな変化を、所定の解像度(例えば400dpi)かつ所定の階調(例えば8ビットグレイスケール)で読み取り可能とされている。
光ビーム走査装置16にはプリンタコントローラ30が接続されている。このプリンタコントローラ30には、キーボード及びディスプレイを含んで構成された操作部(図示省略)と読取部28が接続されており、更に、記録用紙22に印刷すべきデータを入力するパーソナル・コンピュータ(図示省略)が、直接又はLAN等のネットワークを介して接続されている。プリンタコントローラ30はマイクロコンピュータを含んで構成されており、光ビーム走査装置16を含むカラープリンタ10の各部の動作を制御する。
また、図9には、本発明に係る真偽判定装置として機能することが可能なパーソナル・コンピュータ(PC)32及びスキャナ34が示されている。図示は省略するが、PC32はCPU,ROM,RAM及び入出力ポートを備え、これらはバスを介して互いに接続されている。また、入出力ポートにはディスプレイ、キーボード、マウス、ハードディスクドライブ(HDD)が接続されている。HDDにはOSや各種のアプリケーションソフトのプログラムが記憶されており、更に、後述する真偽判定処理を行うための真偽判定プログラムも記憶されている。なお、この真偽判定プログラムは請求項10記載の発明に係るプログラムに対応している。
一方、スキャナ34はフラットベッド型であり、原稿台(図示省略)上に載置された原稿を、前述の読取部28と同一の解像度(例えば400dpi)かつ同一の階調(例えば8ビットグレイスケール)で読み取る機能を備えている。スキャナ34はPC32の入出力ポートに接続されており、スキャナ34による原稿の読み取りはPC32によって制御されると共に、スキャナ34が原稿を読み取ることによって得られた画像データはPC32に入力される。
次に本実施形態の作用として、まずカラープリンタ10における処理について説明する。本実施形態に係るカラープリンタ10は、記録用紙22に印刷する文書が原本である場合に、原本としての印刷を行う(該文書の真偽判定に使用するための基準データも記録用紙22に印刷する)機能を有している。カラープリンタ10を利用して印刷を行う場合、利用者は、記録用紙22に印刷すべき文書を表す印刷データをPCからカラープリンタ10へ送信させると共に、印刷する文書が原本として用いる文書である場合には、印刷対象の文書を原本として印刷するようカラープリンタ10に指示する。
上記の指示が有った場合、カラープリンタ10のプリンタコントローラでは基準データ登録処理が行われる。以下、この基準データ登録処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。ステップ100では、原本としての文書を印刷する記録用紙22を用紙トレイ24から取り出し、読取部28の配置位置(読取位置)へ搬送する。記録用紙22が読取位置に到達すると、次のステップ102では読取部28により、所定の解像度(400dpi)かつ所定の階調(8ビットグレイスケール)で、記録用紙22上の所定の基準領域(32×32ドット(約2mm×約2mm)の大きさの領域)を読み取る。
これにより、読取部28からは、読取対象の記録用紙22を形成する繊維質材料の絡み具合のランダム性に起因して、読取対象の記録用紙22の基準領域内における紙の透明度のランダムな変化を表す基準データが出力されることになる。本実施形態では、読取解像度を400dpi、読み取りの階調を8ビットグレイスケール、読取対象の基準領域を32×32ドットとしているので、基準データのサイズは1024バイトとなり、個々の画素(ドット)の階調値(明度値)は0〜255の範囲内の整数値となる。上記の読み取りによって得られる基準データに基づき、該基準データが表す画像を可視化(目視が容易なようにコントラスト補正)した画像の一例を図11に示す。
なお、基準領域は記録用紙22上の任意の位置でよく、記録用紙22上での基準領域の位置を固定してもよいし、記録用紙22上での基準領域の位置を文書によって変化させてもよい。但し、基準領域読み取り後の印刷により記録用紙22上の基準領域内にトナー(或いはインク)が付着された場合、後述する真偽判定で演算される相関値の最大値が大幅に低くなることで誤判定が発生する可能性が非常に高い。このため、基準領域の位置を固定する場合は、記録用紙22のうちトナーが付着される可能性のない位置(例えばカラープリンタ10の印刷可能範囲外に相当する位置)とし、基準領域の位置を文書によって変化させる場合は、印刷データに基づいて記録用紙22のうち印刷によってトナー等が付着されない範囲を判断し、判断した範囲内に基準領域を設定することが望ましい。特に、後述する真偽判定処理では照合領域として基準領域より広い領域(例えば64×64ドットの領域)を読み取るので、基準領域は周囲の領域にも印刷によってトナー等が付着されない領域であることが望ましい。
また、基準領域の読み取りは、記録用紙22への印刷が行われた後に実行することも可能であり、この場合、記録用紙22のうち印刷によってトナー等が付着された部分が基準領域に含まれていたとしても、前述のように基準領域の読み取りを行った後に行われた印刷により記録用紙22上の基準領域内にトナー等が付着された場合と比較すれば、真偽判定で誤判定が発生する可能性は低いが、紙上のトナー等が付着されている部分の透明度の変化はランダム(個々の紙に固有の変化)とは言えず、透明度の変化がランダムでない部分を基準領域に設定し、該基準領域を読み取ることで得られた基準データを真偽判定に用いたとすると、偽造に対して脆弱になるので、記録用紙22への印刷が行われた後に基準領域を読み取る場合にも、基準領域は紙上のトナー等が付着されていない範囲内に設定することが望ましい。
記録用紙22への印刷が行われた後に基準領域を読み取る場合に、記録用紙22上のトナーが付着されていない範囲を判断することは、前述のように印刷データを利用することで実現できるが、記録用紙22上のトナー等が付着されている部分は、トナー等が付着されていない部分と比較してコントラストが明らかに大きいので、上記のように印刷データを利用することに代えて、記録用紙22を読み取り、該読み取りによって得られたデータに基づき、記録用紙22上の各部分毎にコントラスト(階調値(明度値又は濃度値)の最大値と最小値の差)を求めることで、記録用紙22上のトナー等が付着されていない範囲を判断することも可能である。
また、一般に読取対象の領域(詳しくは真偽判定で相関値の演算対象とする領域)のサイズが大きくなるに従って真偽判定の判定精度は向上する(FAR及びFRRの少なくとも一方が低下する)が、代りに、記録用紙22のうち印刷を行ってもトナー等が付着されない範囲をより広い面積とする必要があるために印刷の自由度が低くなり、真偽判定等の処理も複雑になるという問題が生ずる。このため本実施形態では、読取解像度400dpiにおける基準領域のサイズを32×32ドット(約2mm×約2mm)としている。後で説明する実験結果からも明らかなように、基準領域を上記サイズよりも小さくすると真偽判定の判定精度は低下するが、基準領域を上記サイズより大きくしても判定精度向上の程度は僅かである。従って、読み取りにあたって高価で取り扱いが面倒な顕微鏡を使う必要はなく、400dpi程度の解像度での読み取りが可能な読取装置(カラープリンタ10に内蔵されている読取部28や安価な市販のスキャナ等)を使用するのが実用的である。
更に、基準領域の読み取りにおいて、受光器28Bに過大な光量の光が入射された等により受光器28Bの出力信号が飽和してしまうと、読み取りによって得られる基準データが表す基準領域内の透明度の変化が部分的に白くとんでしまう等のように、基準領域内の透明度の変化を正確に表す基準データが得られないので、基準領域の読み取りに際しては露出を適度に抑えることが望ましい。また、カラープリンタ10に内蔵されている読取部28に代えて、読取モードとして写真モード/書類モード等が設けられているスキャナを用いて読み取りを行う場合には、紙の透明度の変化をより高精細に読取可能な読取モード(例えば写真モード)を選択して読み取りを行うことが望ましい。
上記のようにして基準領域の読み取りを行うと、ステップ104では、読み取りによって得られた基準データに対して離散コサイン変換等を適用して圧縮し、次のステップ106では、圧縮後のデータに基づき、該データを機械が自動的に読み取り可能な形式のコード(例えば2次元バーコード等)として記録用紙(原本)22へ印刷するためのビットマップデータを生成する。なお、ステップ104におけるデータ圧縮は必須ではなく、データ圧縮を行うことなくコード化してもよい。また、基準領域の位置を文書によって変化させる場合には、読み取りによって得られた基準データに基準領域の位置を表す情報を付加した後に圧縮・コード化を行うことが好ましい。また、データの暗号化も行うようにしてもよい。
次のステップ108では、基準データを表すコードが記録用紙(原本)22の所定位置に印刷されるように、印刷対象のビットマップデータ(カラープリンタ10がPCから受信した印刷データをビットマップデータへ展開することで得られる)に、ステップ106で生成したビットマップデータを付加する。そしてステップ110では、記録用紙(原本)22への印刷時に、上記のビットマップデータを光ビーム走査装置16へ出力する。これにより、利用者が原本としての印刷を所望している文書が、基準データを表すコードが所定位置に付加された状態で記録用紙(原本)22に印刷されることになる。
なお、原本としての文書が印刷された記録用紙22のうち、基準領域として読み取りを行った領域に、例えばインクが付着する等の汚れが付着すると、次に説明する真偽判定における判定精度が低下するという問題がある。このため、原本としての文書の印刷に際しては、例えば基準領域として読み取りを行った領域を明示するマーク等を同時に印刷することで、前記領域に汚れ等が付着しないよう利用者に注意を喚起することが好ましい。一方、基準領域として読み取りを行った領域を明示しないことは偽造防止に有効であるので、偽造防止を目的として前記領域を意図的に明示しないようにしてもよい。
また、基準領域として読み取りを行った領域に汚れ等が付着していた場合にも真偽判定の判定精度の低下を回避するために、基準領域を複数設定し、個々の基準領域を各々読み取り、読み取りによって得られた複数の基準データを各々保存しておくことが好ましい。これにより、基準領域として読み取りを行った複数の領域の一部に汚れ等が付着した場合にも、この領域を除外し、汚れ等が付着していない他の領域を用いて真偽判定を行うことができ、真偽判定の判定精度が低下することを回避することができる。
続いて、所定位置にコードが印刷されている紙(文書)の真偽を判定する場合にPC32で実行される真偽判定処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。なお、この真偽判定処理は、例えば上記文書の真偽の確認を所望している利用者によって真偽判定の実行が指示されると、PC32のHDDから真偽判定プログラムが読み出され、読み出された真偽判定プログラムがPC32のCPUで実行されることによって実現される。
ステップ120では、真偽判定対象の文書をスキャナ34にセット(原稿台上に載置)するよう要請するメッセージをディスプレイに表示することで、真偽判定対象の文書をスキャナ34にセットさせる。ステップ122では文書のセットが完了したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ122を繰り返す。真偽判定対象の文書がスキャナ34にセットされると、ステップ122の判定が肯定されてステップ124へ移行し、スキャナ34に対し、原稿台上に載置された文書の読み取りを指示する。
これにより、真偽判定対象の文書の全面が、基準領域読み取り時と同一の解像度(400dpi)かつ同一の階調(8ビットグレイスケール)でスキャナ34によって読み取られ、該読み取りによって得られた画像データがスキャナ34からPC32に入力される。なお、この読み取りにおいても、真偽判定対象の文書の、特に照合領域内の透明度の変化を正確に表す画像データが得られるように、露出を適度に抑えることが望ましい。スキャナ34の読取モードとして写真モード/書類モード等が設けられている場合には、読取モードとして、紙の透明度の変化をより高精細に読取可能な読取モード(例えば写真モード)を選択することが望ましい。
スキャナ34から画像データが入力されると、次のステップ126では、入力された画像データから、基準データを表すコードが印刷されている領域のデータを抽出する。また、ステップ128では、ステップ126で抽出したデータに基づいて、真偽判定対象の文書に印刷されているコードが表すデータを認識し、認識したデータに対して解凍(暗号化されていれば復号化)等の処理を行うことで基準データを復元する。なお、上述したステップ124〜ステップ128は、実際に読み取りを行うスキャナ34と共に、本発明における「基準データを取得する」ステップ及び請求項9に記載の取得手段に対応している。
次のステップ130では、スキャナ34から入力された画像データから、領域の中心位置が基準領域の中心位置と一致し、かつ基準領域よりも広面積(64×64ドット)の照合領域(従って、この照合領域は基準領域を含んでいる)のデータを抽出する。なお、基準領域の位置を文書によって変化させる場合、基準領域の位置は、例えば基準データに付加されている基準領域の位置を表す情報に基づいて認識することができる。このステップ130は、先に説明したステップ124及び実際に読み取りを行うスキャナ34と共に、本発明に係る「照合データを求め」るステップ及び請求項9に記載の読取手段に対応している。
また、基準データに付加した情報に基づいて基準領域の位置を認識することに代えて、印刷時に基準領域の近傍に何らかのマークを印刷しておき、真偽判定のための読み取りを行った後、読み取りによって得られた画像データ上で前記マークを探索することで、基準領域の位置を自動的に認識するようにしてもよい。これにより、真偽判定のための読み取り時に、原稿台上に載置された真偽判定対象の文書に若干の位置ずれが生じていたとしても、この位置ずれの影響を受けることなく基準領域の位置を正確に認識することができる。
上記のマークは例えば点形状とすることができる。また、重なり合わない位置に複数個のマークを印刷しておけば(マークの数はなるべく少ないことが望ましいので、最適な個数は2個である)、個々のマークと基準領域の位置関係が既知であれば、複数個のマークの位置から基準領域の位置及び向き(角度)は特定できる。またマークの検出は、例えば以下のようにして行うことができる。
すなわち、画像データ上でマークを探索した結果、例えばマークと見なせる点が1個検出された場合には、検出失敗又は基準領域の読み取りが行われていない(原本として印刷された文書でない)紙と判断する。また、例えばマークと見なせる点が2個検出された場合には、2個のマークのユークリッド距離を求め、許容範囲内であれば基準領域を示すマークであると判断し、許容範囲外であれば検出失敗と判断する。マークと見なせる点が3個以上検出された場合には、それぞれのマーク間のユークリッド距離を求め、距離が許容範囲内のマーク対が1組あれば、該マーク対を基準領域を示すマークであると判断する。距離が許容範囲内のマーク対が0組および2組以上であった場合には、検出失敗と判断してもよいし、距離が許容範囲に近い組をとりあえず候補としてもよい。本発明では真偽判定の閾値を適切に定めることでFARを極めて低くすることができるので、実際には基準領域を示すマークではない点を基準領域を示すマークと誤判断したとしても、処理時間は長くなるものの真偽判定の判定精度に悪影響を及ぼすことは殆どない。
ところで、本実施形態に係る真偽判定処理では、照合領域のデータから基準領域(本発明に係る第1領域に相当)と同サイズの領域(演算対象領域:本発明に係る第2領域に相当)に相当するデータを取り出し、該データと基準データとの相関値を演算することを、演算対象領域の位置を移動させながら繰り返す。このため、次のステップ132では照合領域内におけるデータ取出位置(演算対象領域の位置)を初期化する。
ステップ134では、照合領域のデータから、設定したデータ取出位置に位置している基準領域と同サイズの領域のデータ(照合データ)を取り出す。そしてステップ136では前出の(1)式に従い、ステップ128で復元した基準データとステップ134で取り出した照合データとの相関値を正規化相関法により演算し、演算によって得られた相関値をRAM等に記憶させる。
次のステップ138では、演算対象領域が照合領域の全面をスキャンしたか否か判定する。判定が否定された場合はステップ140へ移行し、データ取り出し位置を1ドットだけ縦又は横に移動させた後にステップ134に戻る。これにより、ステップ138の判定が肯定される迄の間ステップ134〜ステップ140が繰り返される。本実施形態では基準領域が32×32ドット、照合領域が64×64ドットであるので、相関値の演算が(64−32+1)×(64−32+1)=1089回行われ、1089個の相関値が得られることになる。なお、上述したステップ132〜ステップ140は、本発明に係る「相関値の演算を繰り返す」ステップ及び請求項9に記載の演算手段に対応している。
相関値の演算が終了するとステップ138の判定が肯定されてステップ142へ移行し、上記の演算によって得られた多数個の相関値の中からその最大値を抽出する。また、次のステップ144では、多数個の相関値の標準偏差及び平均値を演算した後に、演算した標準偏差・平均値及びステップ142で求めた相関値の最大値を前出の(2)式に各々代入することで、相関値の最大値のノーマライズド・スコアを演算する。
ステップ146では、ステップ142で求めた相関値の最大値が閾値以上で、かつステップ144で演算したノーマライズド・スコアが閾値以上か否か判定する。なお、相関値の最大値の閾値としては例えば「0.3」を、ノーマライズド・スコアの閾値としては例えば「5.0」を用いることができる。ステップ146の判定が肯定された場合にはステップ148へ移行し、真偽判定対象の文書が「真物」であることを表すメッセージをディスプレイに表示する等により判定結果を出力し、真偽判定処理を終了する。また、ステップ146の判定が否定された場合はステップ150へ移行し、真偽判定対象の文書が「偽物」であることを表すメッセージをディスプレイに表示する等により判定結果を出力し、真偽判定処理を終了する。これにより、真偽判定対象の文書(紙)の真偽を、簡単な処理により高精度に判定することができる。上述したステップ142〜ステップ150は、本発明に係る「判定対象の固体の真偽を判定する」ステップ及び請求項9に記載の判定手段に対応している。
また、上記の真偽判定処理において、基準領域を複数設定した場合には、個々の基準領域についてステップ130〜ステップ150の処理を各々行えばよい。また、複数の基準領域の中にはインク等による汚れが付着している可能性があるので、例えば個々の基準領域に対応する照合領域を各々読み取ることで得られたデータについて、画素毎の階調値の最大値及び最小値を求め、階調値の最大値と最小値の差が、予め定められた閾値、或いは読み取りによって得られたデータから動的に算出した閾値を越えていた場合には、警告を発したり、対応する基準領域及び照合領域を除外して真偽判定を行うようにしてもよい。
また、上記では基準領域及び照合領域から切り出した演算対象領域の全画素のデータを用いて相関値の演算を行う例を説明したが、これに限定されるものではなく、原本としての文書が印刷された記録用紙22のうち、基準領域として読み取りを行った領域に、インク(或いはトナー)や汚れの付着を原因とする濃淡部分が存在している可能性を考慮し、図13に示すように、基準データの階調値の分布に基づいて、上記の濃淡部分に相当するノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲を設定し、設定した階調値範囲に属する画素のデータを基準データから除外した後に、相関値の演算を行うようにしてもよい。
図13に示す真偽判定処理について、図12に示す真偽判定処理と異なる部分についてのみ説明すると、図13の真偽判定処理では、ステップ128で復元した基準データに対し、次のステップ160において、階調値のヒストグラムを作成する等により基準データの階調値の分布を分析する。階調値のヒストグラムの作成は、例えば複数の階調値範囲を設定し、基準データから単一の画素のデータを取り出し、該画素の階調値が予め設定した複数の階調値範囲の何れに属するかを判定し、属すると判定した階調値範囲に対応する画素のカウント値を1インクリメントすることを、基準データの全ての画素に対して繰り返すことで行うことができる。この処理を行うことで生成される階調値の分布の一例を次の表1に示す。
Figure 2005038389
なお、表1は1画素当り8ビットのデータで表される0〜255の階調値(明度値)の範囲を29個の階調値範囲に区切り、各階調値範囲毎の画素数を計数した結果の一例を示している。
次のステップ162では、ステップ160で求めた基準データの階調値の分布に基づいて、基準データにおいて階調値(明度値)の最小値からの累積頻度が所定値を越えない最大の階調値閾値を抽出する。例えば表1に示す階調値分布において、所定値が3%の場合には階調値の最小値からの累積頻度が1.99%となる階調値=183が階調値閾値として抽出され、所定値が5%の場合には階調値の最小値からの累積頻度が4.66%となる階調値=188が階調値閾値として抽出される。そしてステップ164では、基準データのうち、階調値の最小値からステップ162で求めた階調値閾値迄の階調値範囲に属する画素のデータに対し、相関値の演算対象から除外するためのマーキングを行う。これにより、例えば表1に示す階調値分布において、所定値が3%の場合には階調値≦183の326個の画素のデータが相関値の演算対象から除外され、所定値が5%の場合には階調値≦188の763個の画素のデータが相関値の演算対象から除外されることになる。
また、図13の真偽判定処理では、図12の真偽判定処理のように単に相関値を演算する(ステップ136)ことに代えて、ステップ166において、基準データのうち相関値の演算対象から除外するためのマーキングを行っていない非マーキング画素のデータと、照合データ(照合領域のデータから取り出した、設定したデータ取出位置に位置している基準領域と同サイズの領域のデータ)のうち非マーキング画素に対応する画素のデータのみを用いて正規化相関法により相関値を演算し、演算によって得られた相関値をRAM等に記憶させる。ステップ166において、相関値は、相関値の演算対象の画素のデータのみを(1)式に代入することで求めることができるが、より簡単には、基準データのうち非マーキング画素の総数をn、非マーキング画素の階調値の総和をmsum、非マーキング画素の階調値の自乗総和をmsum2、照合データのうち非マーキング画素に対応する画素の階調値の総和をtsum、非マーキング画素に対応する画素の階調値の自乗総和をtsum2、非マーキング画素の階調値lum1と照合データのうち非マーキング画素に対応する画素の階調値lum2の積の総和をmtsumとしたときに、次の(2)式の演算を行うことによっても求めることができる。
Figure 2005038389
上記のように、基準データに対して階調値の分布に基づいてノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲(階調値の最小値から階調値閾値迄の階調値範囲)を設定し、設定した階調値範囲に属する画素(非マーキング画素)のデータ及び照合データにおける非マーキング画素に対応する画素のデータを相関値の演算対象から除外することは、請求項6(詳しくは請求項7)記載の発明に対応している。これにより、原本としての文書が印刷された記録用紙22のうち、基準領域として読み取りを行った領域に、インク(或いはトナー)や汚れの付着を原因とする濃淡部分が存在していた場合にも、「偽物」である真偽判定対象の文書のうちの照合領域内に同様の濃淡部分が存在していることで、真偽判定対象の文書が「偽物」であるにも拘らず、相関値の最大値や相関値の最大値のノーマライズド・スコアが閾値以上となることを防止することができるので、真偽判定を精度良く行うことができる。
また、基準データにおいてノイズ成分が分布している階調値範囲は、基準領域読み取り時の照明条件の変動等の影響を受けて変化するが、上記では、基準データにおける階調値(明度値)の最小値からの累積頻度が所定値を越えない最大の階調値閾値を抽出し、階調値の最小値から階調値閾値迄の階調値範囲に属する画素のデータを相関値の演算対象から除外するので、基準領域読み取り時の照明条件の変動等の影響を受けることなく、ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲を適切に設定することができ、ノイズ成分に相当するデータを相関値の演算対象から精度良く除外することができる。
更に、上記ではノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲の設定、設定した階調値範囲に属するデータの除外を基準データのみに対して行う例を説明したが、これに限定されるものではなく、照合データのみに対して行ってもよいし、基準データ及び照合データの各々に対して行ってもよい。但し、階調値範囲の設定及び該階調値範囲に属するデータの除外を照合データに対して行った場合、照合領域から照合データとしてデータを抽出する演算対象領域の位置を移動させる毎に、移動後の演算対象領域に対して上記処理を繰り返す必要があるので、階調値範囲の設定及び該階調値範囲に属するデータの除外は基準データに対して行う方が演算負荷が低減されるので望ましい。また、基準データに対する階調値範囲の設定及び該階調値範囲に属するデータの除外は基準データ登録時に行うようにしてもよいが、登録した基準データを真偽判定以外の用途にも使用する可能性がある等の場合には、登録した基準データを読み出した後に上記の処理を行うことが望ましい。
また、上記では階調値閾値として階調値(明度値)の最小値からの累積頻度が所定値を越えない最大の階調値閾値を用いていたが、これに限られるものではなく、階調値(明度値)の最大値からの累積頻度が所定値を越えた最小の階調値閾値を適用してもよいし、階調値の平均値をAVE、階調値の分布の標準偏差をσ、所定値をn(例えば2)としたときに、階調値閾値をAVE−nσとし、相関値の演算対象から除外する階調値範囲をAVE−nσ以下の範囲としてもよい。また上記では、ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲として、階調値の最小値から階調値閾値迄の階調値範囲を設定する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば文書が印刷された記録用紙22の下地が黒である等の場合には、階調値の最大値から階調値閾値(例えば階調値(明度値)の最大値からの累積頻度が所定値を越えない最小(又は所定値を越えた最大)の階調値閾値、或いは階調値の平均値をAVE、階調値の分布の標準偏差をσ、所定値をnとしたときにAVE+nσ)迄の階調値範囲を、ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲として設定するようにしてもよい。
また、上記では基準領域及び照合領域を矩形状(詳しくは正方形状)とした例を説明したが、これに限定されるものではなく、長方形、台形、三角形、円形、楕円形、直線状(例えば1〜数ドット幅の非常に扁平な矩形状)等、任意の形状を採用可能である。また、上記領域は連続して存在している必要もなく、とびとびに存在していてもよい。但し、領域の形状を複雑にしたとしても真偽判定の精度向上には寄与しないので、紙上の印刷されている部分が多い等の特別の事情が無い限りは、基準領域及び照合領域の形状は単純な矩形や円形であることが望ましい。
一般に文書や有価証券等では紙が矩形状であり、基準領域及び照合領域を矩形状にした場合、前記領域の任意の一辺を紙の任意の一辺と平行にすれば、紙と前記領域は全ての辺が互いに平行または垂直になるので、基準データの登録時に基準領域の任意の一辺が紙の任意の一辺と平行となるように照合領域を設定しておき、真偽判定時にも、照合領域の任意の一辺が紙の任意の一辺と平行となるように照合領域を設定すれば、基準領域に対する照合領域の回転を回避することができるので、真偽判定の判定精度を向上させることができる。
基準領域及び照合領域を円形状にした場合は、照合領域の中心を何らかの方法で基準領域の中心と重ね合わせることができれば、極座標形式に変換することで矩形状の場合と同様の処理が行える。但し、一般にスキャナはラインセンサと原稿を副走査方向(ラインセンサのセンサ配列と直交する方向)へ相対移動させて2次元の読み取りを行う構造であり、スキャナからのデータの出力順序も矩形状領域のデータの取込みに好適な順序であるため、基準領域及び照合領域をわざわざ円形状にするメリットは少なく、また双方の領域の中心を重ね合わせる処理も簡易な処理ではないので、実用的には、基準領域及び照合領域は矩形状とすることが妥当である。
更に、真偽判定対象の固体固有のランダム性を有する特徴が、色変化を伴う特徴である場合には、固体の特徴を光学的に読み取るに際して複数の色成分に分解して読み取ることが有効であるが、固体としての紙固有の特徴として、紙を形成する繊維質材料の絡み具合のランダム性に起因する紙の透明度のランダムな変化を用いる場合には色情報は不要であり、本実施形態のように単一色のグレイスケールで読み取れば十分である。また、読み取りにおける階調の分解能も、読取対象が紙であれば256階調(8ビット)もあればよい。読み取りにおける階調分解能をこれ以上高くしたとしても、真偽判定の判定精度は殆んど向上しない。
市販されている安価なスキャナでも大抵は最低8ビットの階調分解能で読み取れるが、何らかの事情で階調値のビット数の圧縮が求められる場合は、例えばシャドーからハイライトの間の階調値の変化に対して均等(線形)にビットを割当てることに代えて、紙の透明度のランダムな変化に対応する階調値の変化が分布している明度範囲(ハイライトに近い明度範囲)により多くのビットを割り当てれば、階調値のビット数を6ビット、或いは4ビットにしたとしても、階調値のビット数を8ビットとし階調値の変化に対して均等にビットを割り当てた場合と同等の真偽判定精度を得ることができる。また、読み取りによって得られたデータに対してJPEG等の非可逆圧縮を適用してもよい。
また、上記では基準データをコード化して紙(原本)に記録しておく例を説明したが、これに限定されるものではなく、真偽判定を行うPC32とネットワークを介して接続されたデータベースに基準データを登録しておくようにしてもよい。この場合、紙(原本)には、データベースに登録されている対応する基準データを特定するための情報を記録しておくようにすれば、該情報に基づき対応する基準データをネットワーク経由でデータベースから取得することを容易に行うことができる。
更に、上記では照合領域のサイズを基準領域のサイズよりも大きくした例を説明したが、これに限定されるものではなく、基準領域のサイズを照合領域のサイズよりも大きくし(この場合、照合領域が本発明に係る第1領域に対応することになる)、基準領域内における照合領域と同サイズの部分領域(本発明に係る第2領域に相当)と照合領域との相関値を演算することを、基準領域内における部分領域の位置をずらしながら繰り返して真偽判定を行うようにしてもよい。但し、この場合、基準データが大容量化するという欠点があり、照合領域のサイズを基準領域のサイズよりも大きくする方が基準データを記憶するための記憶容量を節減できるので好ましい。
また、上記では本発明に係る固体として紙を例に説明したが、本願発明者等は、ハイウェイカードやパスネットカードに代表される、裏面が銀色のプリペイドカードにおける裏面の非印字領域にも、個々のカード固有の特徴(製造時に制御できないランダムな凹凸)が分布しており、この特徴は読み取り可能で真偽判定に利用可能であることを実験で確認しており、本発明に係る固体としてこれらのカード類を適用することも可能である。例えばハイウェイカードの真偽判定は、具体的には、例えばカード製造時に裏面の非印字領域のうちの一部の領域(基準領域)に分布しているランダムな凹凸をカード固有の特徴として読み取り、読み取りによって得られた基準データに電子署名を付与して磁気データとしてカードに記録しておき、料金徴収所において、カードに対して磁気データの読み取り及び書き込みを行う際に、カードの裏面のうち基準範囲を含みかつ基準範囲よりも広い照合領域を光学的に読み取り、読み取りによって得られた照合データと、カードから読み出した磁気データに含まれる基準データの相関値を演算し、相関値の最大値及び相関値の最大値のノーマライズド・スコアを各々閾値と比較することで、カードの真偽を判定することができる。
次に、本発明を適用した場合の真偽判定の判定精度を確認するために本願発明者等が行った実験について説明する。この実験では、A4の500枚入A4事務用紙(富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社C2紙商品コードV436)から連続する10枚を抜き取り、サンプルとして用いた。
〔FRR確認のための実験〕
この実験では、A4の各サンプルに対して全面に略等間隔で40個所の読取領域を設定した(図14参照)。サンプルの長手方向を上下方向とした状態で、各サンプルの読取面における向かって左上隅を原点としたときの個々の読取領域の中心座標は、400dpiのドット数換算で以下の通りである。
(500,500),(500,1000),(500,1500),(500,2000),(500,2500),(500,3000),(500,3500),(500,4000),(1000,500),(1000,1000),(1000,1500),(1000,2000),(1000,2500),(1000,3000),(1000,3500),(1000,4000),(1500,500),(1500,1000),(1500,1500),(1500,2000),(1500,2500),(1500,3000),(1500,3500),(1500,4000),(2000,500),(2000,1000),(2000,1500),(2000,2000),(2000,2500),(2000,3000),(2000,3500),(2000,4000),(2500,500),(2500,1000),(2500,1500),(2500,2000),(2500,2500),(2500,3000),(2500,3500),(2500,4000)
各サンプルの読み取りにはFUJITSU fi-4010CU(フラットベッド型スキャナ)を用い、400dpiの解像度・8ビットグレイスケールの階調で読み取った。
読取領域のサイズとしては16×16ドット(約1mm×約1mm)、32×32ドット(約2mm×約2mm)、64×64ドット(約4mm×約4mm)、128×128ドット(約8mm×約8mm)の4種類を設定した。この実験では個々の読取領域を基準領域としても照合領域としても利用し、読み取り回数削減のためスキャナによってサンプルの全面を読み取り、読み取りによって得られた画像データから個々の読取領域に対応するデータ(基準領域のデータ及び照合領域のデータとして用いるデータ)を切り出して真偽判定に用いた。基準領域に対する照合領域の大きさが、辺の長さの比で2倍又は4倍となるように、基準領域及び照合領域の大きさの組み合わせとしては次の表2に示す組み合わせを用いた。
Figure 2005038389
また、スキャナの原稿台がA4サイズより多少大きいことを利用し、原稿台へのサンプルの置き方として、原稿台を上から見て右上突き当て(通常の置き方)、左下突き当て(右上突き当てに対してサンプルの位置が長手方向に約2mm、短手方向に約10mmずれる)、時計回り回転右寄せ(時計回りに約1degree回転)、反時計回り回転左寄せ(反時計回りに約1degree回転)の4種類の置き方を定め、個々のサンプルを各置き方で原稿台上に載置した状態で各々読み取りを行った。
また本実験では、真偽判定に用いる基準領域のデータと照合領域のデータの組み合わせとして、サンプルの置き方が互いに異なる状態で読み取ることによって得られたデータ同士を組み合わせて真偽判定を行った。或る置き方に対して組み合わせ可能な異なる置き方が3種類存在しているので、表2に示した基準領域及び照合領域の大きさの組み合わせのうちの単一の組み合わせにおいて、単一のサンプルの単一の読取領域について4×3=12回の真偽判定を行うことになり、単一のサンプルには40個の読取領域が存在し、サンプルの枚数が10枚であるので、基準領域及び照合領域の大きさについての個々の組み合わせ毎に、12×40×10=4800回の真偽判定を行った。
なお、前述のように、真偽判定に用いる基準領域及び照合領域のデータとして、サンプルの置き方が互いに異なる状態で読み取ることによって得られたデータ同士を組み合わせるため、画像データからの読取領域に対応するデータの切り出しにあたっては、基準領域の中心位置と照合領域の中心位置が略一致するように読取領域の位置を補正した。
すなわち、読取領域のデータの切り出しを行う画像データが、サンプルを「右上突き当て」で載置して読み取りを行うことで得られたデータである場合は、読取領域の位置補正は特に行わない。「左下突き当て」の場合には、スキャナによる読み取りによって得られた画像データに基づき、サンプルの端部における位置ずれ量を算出して読取領域の位置を補正した。また「時計回り右寄せ」及び「反時計回り左寄せ」については、画像データに基づきサンプルの角部の位置を検出し、検出した角部の位置に基づき、サンプルを回転及び移動させた後の実際の読取領域の位置を算出し、画像データからデータとして切り出す読取領域の位置を補正した(補正対象は中心位置のみ、回転歪みは未補正)。
真偽判定は、先に説明した実施形態と同様に、照合領域内における基準領域と同サイズの部分領域と基準領域との相関値を正規化相関法により演算することを、前記部分領域を照合領域内で1ドットずつ移動させながら繰り返すことで、(m−n+1)×(m−n+1)個の相関値を求め(但し、基準領域がm×mドット、照合領域がn×nドット)、相関値の最大値及び相関値の最大値のノーマライズド・スコアを求め、相関値の最大値が0.3以上かつ相関値の最大値のノーマライズド・スコアが5.0以上か否かを判定することにより行った。上記実験の結果を以下の表3に示す。
Figure 2005038389
表3より明らかなように、400dpiの解像度、8ビットグレイスケールの階調での読み取りという条件では、基準領域のサイズを32×32ドット、照合領域のサイズを64×64ドットとすれば、実用上問題が生じない程度にFRRが低い値となることが理解できる。また、上記の読取条件は市販な安価なスキャナで十分に実現可能な条件であり、読み取りにあたって顕微鏡等の高価な読取装置を用いる必要がないことも明らかである。
また本願発明者等が、上記の実験において、真偽判定で誤判定(真物を偽物とされる誤判定)が生じたケースについて分析した結果、特にサンプルを時計回り又は反時計回りに回転させた場合に誤判定が生じ易い傾向があることが明らかとなった。従って、例えば回転歪みを検出して補正する、スキャナの原稿台上に読取対象の紙を載置する際に紙が回転しないように注意する、スキャナの原稿台を紙が回転し難い構造にする等の回転歪み防止又は軽減対策を講じれば、FRRの改善は容易に達成できるものと思われる。
〔FAR確認のための実験〕
FRRの実験と同様に、A4のサンプルの全面を400dpiの解像度かつ8ビットグレイスケールの階調で読み取ることによって得られた画像データから基準領域に相当するデータ及び照合領域に相当するデータを切り出した。FARは偽物を真物と誤判定する確率であるので、FARを確認するための実験では、サンプル上の全ての領域を照合領域として利用できる。今回の実験では、A4全面の基準領域を除く全領域について基準領域との相関値を演算して相関値の最大値と相関値の最大値のノーマライズド・スコアから偽物と判定されれば、同一のサンプル上の任意の照合領域についても偽物と判定されるのは自明であるので、照合領域はA4のサンプルの全面を含むスキャナの全読み取り領域を400dpiで読取った3307×4676ドットの領域とした。
また、この実験ではサンプルの枚数を5枚とし、各サンプルに対して全面に略等間隔で4個所の読取領域を設定した。個々の読取領域の中心座標は、400dpiのドット数換算で(500,500),(500,3500),(2500,500),(2500,3500)である。また、基準領域のサイズは16×16ドット、32×32ドット、64×64ドット、128×128ドットの4種類とした。
1枚のサンプル当り4個所の基準領域について、他の4枚のサンプルの全面に亘って真偽判定を行うので、1枚のサンプル当り4個所×4枚=16回の真偽判定を行うことになる。これを5枚のサンプルに対して実施するので、真偽判定の回数は合計で5×16=80回となる。FRR確認のための実験に対して回数が少ないように見えるが、先に述べた通り、A4のサンプル全面を含むスキャナの全読み取り領域を照合領域としたためにそう見えるだけであり、照合領域を小領域に分割したとすると1千万回以上の真偽判定を行ったことに相当する。次の表4に実験結果を示す。
Figure 2005038389
表4からも明らかなように、基準領域のサイズが16×16ドット以外の場合にはFAR=0.0000%となっているので、照合領域を任意のサイズの小領域に分割して真偽判定を行ったとしてもFARは0.0000%になることが保証されたことになる。一方、基準領域のサイズが16×16ドットの場合はFAR=31.250%と実用に適さない値を示している。これは最悪値であり、照合領域を小領域に分割すればFARが向上する可能性があるが、前述したFRR確認のための実験でも、基準領域のサイズを16×16ドットとした場合、基準領域のサイズをより大きくした場合と比べての真偽判定の判定精度が低い。従って、400dpiの解像度では基準領域のサイズは32×32ドットを下限とすべきであることが明らかとなった。
続いて、基準データに対してノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲を設定し、設定した階調値範囲に属するデータを相関値の演算対象から除外する処理を行った場合の効果を確認するために本願発明者等が行った実験の結果について説明する。
この実験では、先の実施例1と同じA4の用紙を、カラー複合機(富士ゼロックス株式会社製Ducu Centre Color 400)のプリンタプロセスを通過させることで、トナー飛散に相当する黒点のノイズが全面の各個所に付加されたサンプルを作成した。このサンプルの全面を同機のスキャナで解像度600dpiのフルカラーで読み取り、読み取りによって得られた画像データをPCに取り込んで画像処理を行うことで、4967× 7020ドットの8ビットグレースケール画像を得た。この画像に対して縦横とも750ドットおきに40個(横5個所×縦8個所)の基準点を設定し、この基準点を中心として128×128ドットの正方形状の基準領域のデータ(基準データ)を画像処理で抽出した。なお、サンプル上の各基準領域に相当する範囲には、例として図15に示すように黒点ノイズが各々存在しており、これに伴い40個所の基準領域から抽出された基準データには、黒点ノイズに相当するノイズ成分が各々混入している。
次に、上記の基準データ取得のための読み取りを行った際のスキャナの原稿台上でのサンプルの載置位置を基準として、スキャナの原稿台上で同一のサンプルを、(1)縦横数mm移動させる、(2)時計回りに約1度回転させる、(3)反時計回りに約1度回転させる、(4)基準位置に戻す、の各種移動及び回転を行いながら、基準データ取得のための読み取り時と同一の読取条件で、その全面をスキャナによって繰り返し(4回)読み取り、読み取りによって得られた画像データをPCに取り込んで画像処理を行うことで、4967× 7020ドットの8ビットグレースケール画像を得、前述と40個の基準点を中心として256×256ドット、512×512ドットの照合領域のデータを画像処理で抽出した。なお、前述のように40個所の基準領域内には各々黒点ノイズが存在しているので、何れかの基準領域を含む各照合領域にも、例として図16に示すように黒点ノイズが各々存在しており、これに伴い各照合領域から抽出される照合データにもは、黒点ノイズに相当するノイズ成分が各々混入している。
続いて、FRRの確認のため、単一の基準領域から抽出した基準データと、前記基準領域を含み位置又は角度が各々異なる4種類の照合領域のデータとの相関値を、(1)演算対象から除外するデータ無し、(2)基準データのうち階調値の最小値から累積頻度3%迄の階調値範囲のデータを演算対象から除外、(3)基準データのうち階調値の最小値から累積頻度5%迄の階調値範囲のデータを演算対象から除外、の3種類の演算方法で各々演算し、相関値の最大値及び相関値の最大値のノーマライズド・スコアを演算することを、40個所の基準領域の基準データに対して各々行う。これにより、単一の演算方法について、単一の基準領域当り4通りの演算結果が得られるので、40個所の基準領域から160通りの演算結果が得られる。なお、上記演算を行った基準領域のサイズと照合領域のサイズの組み合わせは以下の通りである。
基準領域のサイズ 照合領域のサイズ
128×128ドット 256×256ドット
128×128ドット 512×512ドット
また、FARの確認のため、単一の基準領域から抽出した基準データと、前記基準領域と異なる39個所の基準領域を含む照合領域(39個所×4種類=156個の照合領域)のデータとの相関値を、前述した3種類の演算方法で各々演算し、相関値の最大値及び相関値の最大値のノーマライズド・スコアを演算することを、40個所の基準領域の基準データに対して各々行う。これにより、単一の演算方法について、単一の基準領域当り156通りの演算結果が得られるので、40個所の基準領域から6240通りの演算結果が得られる。なお、上記の演算を行った基準領域のサイズと照合領域のサイズの組み合わせも先と同様である。
そして、相関値に最大値の閾値を 0.0〜1.0まで0.01刻みで101通りに変化させると共に、相関値の最大値のノーマライズド・スコアの閾値を0.0〜10.0まで0.1刻みで101通り変化させることで得られる、相関値の最大値と相関値の最大値のノーマライズド・スコアの10201通りの組合わせの各々について、FRRの確認のためのデータ(相関値の最大値及びノーマライズド・スコアの演算結果)に適用したときのFRRを各演算方法毎に求めると共に、FARの確認のためのデータ(相関値の最大値及びノーマライズド・スコアの演算結果)に適用したときのFARを各演算方法毎に求めた。
基準データのうちノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲のデータを相関値の演算対象から除外する処理を行った場合の効果は、FRR=0.00%、FAR=0.00%になる閾値の組合わせ数の変化から把握することができる。実験結果を以下に示す。
〔演算除外対象のデータ無し〕
基準領域のサイズ 照合領域のサイズ 閾値の組合わせ数
128×128ドット 256×256ドット 1008通り
128×128ドット 512×512ドット 1316通り
〔階調値の最小値から累積頻度3%迄の階調値範囲のデータを演算対象から除外〕
基準領域のサイズ 照合領域のサイズ 閾値の組合わせ数
128×128ドット 256×256ドット 2093通り
128×128ドット 512×512ドット 2800通り
〔階調値の最小値から累積頻度5%迄の階調値範囲のデータを演算対象から除外〕
基準領域のサイズ 照合領域のサイズ 閾値の組合わせ数
128×128ドット 256×256ドット 1904通り
128×128ドット 512×512ドット 2581通り
また、実験結果をより視覚的に効果を確認できるように、図17には、横軸に相関値の最大値(左端が0.00、右端が1.00)をとり、縦軸に相関値の最大値のノーマライズド・スコア(上端が0.0、下端が10.0)をとったときに、相関値の最大値及び相関値の最大値のノーマライズド・スコアの閾値の変化に対するFRR及びFARの値の変化を示す。図17より明らかなように、ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲のデータを相関値の演算対象から除外した場合、FRR=0.00%かつFAR=0.00%になる閾値の領域の面積が増大している。また、真偽判定においてはFRRよりもFARの方が重要であるが、FAR=0.00%かつFRR>0.00%の領域が横軸方向に拡大していることも確認できる。従って、ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲のデータを相関値の演算対象から除外することで、真偽判定を精度良く行うための閾値設定の要求精度が緩和されるので、結果として真偽判定の精度が向上することが理解できる。
なお、ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲のデータを相関値の演算対象から除外すると演算に用いるデータ数が減少するので、基準領域内や照合領域内にインク(或いはトナー)や汚れの付着を原因とする濃淡部分が存在していなかった場合に、相関値の最大値及び相関値の最大値のノーマライズド・スコアの演算精度の低下、ひいては真偽判定の精度の低下に繋がる懸念がある。このため、本願発明者等は、上記の実験を黒点ノイズを付加していないサンプルに対しても行った。この実験の結果を図18に示す。図18からも明らかなように、基準領域内や照合領域内にインク(或いはトナー)や汚れの付着を原因とする濃淡部分が存在しておらず、基準データや照合データにノイズ成分が混入していない場合に、ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲のデータを相関値の演算対象から除外したとしても、真偽判定の精度が悪化することはないことが理解できる。
従って、基準領域内や照合領域内にインク(或いはトナー)や汚れの付着を原因とする濃淡部分が存在しているか否かに拘らず、ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲のデータを相関値の演算対象から一律に除外したとしても、基準領域内や照合領域内に濃淡部分が存在していない場合の真偽判定の精度に悪影響を与えることなく、基準領域内や照合領域内に濃淡部分が存在している場合の真偽判定の精度を向上させることができることが理解できる。
本願発明者等が実施した実験を説明するための、(A)は登録画像、(B)は照合画像の一例を各々示すイメージ図である。 上記実験における登録画像と照合画像の相関値の演算を説明するためのイメージ図である。 (A)〜(C)は各種条件での相関値の分布を相関値の最大値及びノーマライズド・スコアと共に示す線図である。 本願発明者等が実施した実験のうち第1の比較例における相関値の分布を示す線図である。 第2の比較例における相関値の分布を示す線図である。 第3の比較例における相関値の分布を示す線図である。 偽物が真物と誤判定される確率が高いケースとして想定した実験における相関値の分布を示す線図である。 本実施形態に係るカラープリンタの概略構成図である。 真偽判定装置として機能するPC及びスキャナの外観図である。 カラープリンタで実行される基準データ登録処理の内容を示すフローチャートである。 基準データの一例を可視化したイメージ図である。 PC(真偽判定装置)で実行される真偽判定処理の内容を示すフローチャートである。 真偽判定処理の他の例の内容を示すフローチャートである。 FRR確認のための実験における読取領域の位置を示すイメージ図である。 黒点ノイズが存在している基準領域の一例を示すイメージ図である。 黒点ノイズが存在している照合領域の一例を示すイメージ図である。 黒点ノイズ有りの基準領域及び照合領域を用いた実験における、相関値の最大値及び相関値の最大値のノーマライズド・スコアの閾値とFAR,FRRの関係を示すイメージ図である。 黒点ノイズ有りの基準領域及び照合領域を用いた実験における、相関値の最大値及び相関値の最大値のノーマライズド・スコアの閾値とFAR,FRRの関係を示すイメージ図である。
符号の説明
10 カラープリンタ
28 読取部
30 プリンタコントローラ
32 PC
34 スキャナ

Claims (10)

  1. ランダム性を有する読み取り可能な固有の特徴が表面に沿って分布している固体の真偽を判定する真偽判定方法であって、
    真の固体の特徴が予め読み取られることで得られた、前記真の固体上に分布する特徴を表す基準データを取得すると共に、
    判定対象の固体の特徴を読み取ることで、前記判定対象の固体上に分布する特徴を表す照合データを求め、
    前記基準データ及び前記照合データに基づき、真の固体及び判定対象の固体のうちの一方の固体上の所定サイズの第1領域に分布する特徴を表すデータと、他方の固体上で前記第1領域と同サイズの第2領域に分布する特徴を表すデータとの相関値を演算することを、前記他方の固体上での前記第2領域の位置を前記所定サイズよりも大きい領域内で移動させながら繰り返し、
    演算によって得られた複数の相関値の最大値及び該複数の相関値から求まる相関値の分布具合を表す特徴量に基づいて、判定対象の固体の真偽を判定することを特徴とする真偽判定方法。
  2. 前記固体の特徴は光学的に読み取り可能であり、前記基準データ及び照合データは、前記真の固体又は前記判定対象の固体に光を照射し、反射光又は透過光を読み取ることで得られた画像データであることを特徴とする請求項1記載の真偽判定方法。
  3. 前記固体はシート状又は平板状の媒体であり、前記固体の特徴をフラットベッド型のスキャナで読み取ることを特徴とする請求項2記載の真偽判定方法。
  4. 前記相関値を正規化相関法で演算することを特徴とする請求項1記載の真偽判定方法。
  5. 前記相関値の分布具合を表す特徴量は、相関値の最大値から相関値の平均値を減じた値を相関値の標準偏差で除すことで得られる相関値の最大値のノーマライズド・スコアであり、相関値の最大値が第1の所定値以上でかつ相関値の最大値のノーマライズド・スコアが第2の所定値以上か否かに基づいて判定対象の固体の真偽を判定することを特徴とする請求項1記載の真偽判定方法。
  6. 前記基準データ及び前記照合データの少なくとも一方に対し、階調値の分布に基づいてノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲を設定し、設定した階調値範囲に属するデータを除外した後に、前記相関値の演算を行うことを特徴とする請求項2記載の真偽判定方法。
  7. 真の固体の特徴が光学的に読み取られることで得られかつ所定の媒体に記録された基準データを前記所定の媒体から読み出すことで前記基準データを取得し、取得した前記基準データの階調値の分布に基づき、前記基準データに対してノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲を設定し、設定した階調値範囲に属するデータを前記基準データから除外した後に、前記相関値の演算を行うことを特徴とする請求項6記載の真偽判定方法。
  8. 前記ノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲として、階調値の最大値又は最小値から累積頻度が所定値に達する迄の範囲、又は、階調値の平均値をAVE、階調値の分布の標準偏差をσ、所定値をnとしたときに、階調値がAVE+nσ以上又はAVE−nσ以下の範囲を設定することを特徴とする請求項6又は請求項7記載の真偽判定方法。
  9. ランダム性を有する読み取り可能な固有の特徴が表面に沿って分布している固体の真偽を判定する真偽判定装置であって、
    真の固体の特徴が予め読み取られることで得られた、前記真の固体上に分布する特徴を表す基準データを取得する取得手段と、
    判定対象の固体の特徴を読み取ることで、前記判定対象の固体上に分布する特徴を表す照合データを求める読取手段と、
    前記基準データ及び前記照合データに基づき、真の固体及び判定対象の固体のうちの一方の固体上の所定サイズの第1領域に分布する特徴を表すデータと、他方の固体上で前記第1領域と同サイズの第2領域に分布する特徴を表すデータとの相関値を演算することを、前記他方の固体上での前記第2領域の位置を前記所定サイズよりも大きい領域内で移動させながら繰り返す演算手段と、
    演算された複数の相関値に基づいて判定対象の固体の真偽を判定する判定手段と、
    を備えたことを特徴とする真偽判定装置。
  10. 固体の表面に沿って分布しかつランダム性を有する前記固体固有の特徴を読み取り可能な読取装置が接続されたコンピュータを、
    真の固体の特徴が予め読み取られることで得られた、前記真の固体上に分布する特徴を表す基準データを取得する取得手段、
    判定対象の固体の特徴を前記読取装置によって読み取らせることで、前記判定対象の固体上に分布する特徴を表す照合データを求める読取制御手段、
    前記基準データ及び前記照合データに基づき、真の固体及び判定対象の固体のうちの一方の固体上の所定サイズの第1領域に分布する特徴を表すデータと、他方の固体上で前記第1領域と同サイズの第2領域に分布する特徴を表すデータとの相関値を演算することを、前記他方の固体上での前記第2領域の位置を前記所定サイズよりも大きい領域内で移動させながら繰り返す演算手段、
    及び、演算された複数の相関値に基づいて判定対象の固体の真偽を判定する判定手段
    として機能させるためのプログラム。
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