JP2005037501A - 光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリンドリカルレンズの内部反射によるゴースト光が偏向器に到達しないようにする。
【解決手段】シリンドリカルレンズ4を副走査方向から見た図において、シリンドリカルレンズ4の入射側の面4a(副走査方向にのみパワーを持つシリンドリカル面)に対する法線(レンズ光軸)jと、出射側の面4b(平面)に対する法線(レンズ光軸)kとを非平行とする。これにより、シリンドリカルレンズ4の内部で内部反射が生じた場合でも、その反射光によるゴースト光8cは、レンズ保持部材9方向に向かい、そのベース面で拡散されるので、被走査面に到達しないようにすることができる。
【選択図】 図5
【解決手段】シリンドリカルレンズ4を副走査方向から見た図において、シリンドリカルレンズ4の入射側の面4a(副走査方向にのみパワーを持つシリンドリカル面)に対する法線(レンズ光軸)jと、出射側の面4b(平面)に対する法線(レンズ光軸)kとを非平行とする。これにより、シリンドリカルレンズ4の内部で内部反射が生じた場合でも、その反射光によるゴースト光8cは、レンズ保持部材9方向に向かい、そのベース面で拡散されるので、被走査面に到達しないようにすることができる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザプリンタ、レーザ複写機等の画像形成装置に用いられる光書込光学系としての光走査装置及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光書込光学系の低コスト化を図るために、光書込光学系を構成する各光学素子のプラスチック化が進んでいる。従来では各光学素子はガラスが使用され、反射防止のためにコーティングが施されていた。しかし、プラスチック化すると、プラスチックへのコートは技術的、コスト的に問題が多いため、コーティングを省略する傾向にある。
【0003】
このため、反射防止コートを施したガラスレンズの場合には問題にならなかったレンズの面間での反射によるゴースト光が、反射防止コートを省略されたプラスチックレンズの場合は光量的に大きくなり、また、近年の感光体の感度向上にもより、ゴースト光が画像として現れ画質劣化を引き起こし問題となっていた。
特に、偏向器の回転に関係なく発生するゴースト光の場合は、走査されずに同じ位置を照射し続けるため、微弱なエネルギー量であっても蓄積されて結果的に大きな光量となってしまい、これが画像として現れ画質劣化を引き起こし問題となっていた。
【0004】
このようなゴースト光対策として、従来より次のような様々な技術が提案されている。
その1つとして、偏向器前のゴースト光の防止方法として、透明体からなる光学窓を副走査方向に対し傾け、光学窓の表面又は裏面での反射によるゴースト光を被走査媒体上に至らないような構成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、シリンドリカルレンズを傾けてゴースト光を光軸から外すというものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、走査レンズ系を偏芯させてゴースト光が被走査媒体へ至らないようにしたものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、走査レンズ系を偏芯させてゴースト光が被走査媒体へ至らないようにしたものが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
また、画像形成装置においては出力スピードの向上が要求されており、この要求に応えるために、光書込装置としては回転多面鏡の回転速度の向上を図ってきたがそれにも限界があり、光源の複数光源化(LD合成)や発光点の複数化(LDA)による高速化が図られるようになり、光源部の構成も様々な方法が提案されてきた。複数の光束を同時に感光体上を走査させるマルチビーム光源ユニットの場合は、走査させる複数の光束の間隔の調整方法が複雑であった。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−274134号公報
【特許文献2】
実開平6−82620号公報
【特許文献3】
特開平7−230051号公報
【特許文献4】
特開2001−264665号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1のような構成とした場合は、シリンドリカルレンズが組み付け誤差により傾いてしまうと、レンズの内部反射光がゴースト光となってしまうという問題があった。尚、この問題については後述する本発明の実施の形態において詳しく説明する。
【0009】
前記特許文献2の方法を用いると、シリンドリカルレンズを傾けることにより、光線の光軸からレンズ光軸がずれる(偏芯する)ため、波面収差が劣化し、その結果ビームスポットの径太りを発生させるという問題があった。
前記特許文献3は、偏向器(ポリゴンスキャナ)以降の走査光学系に関してのものであり、ポリゴン以前の光学素子により発生するゴースト光に関しては考慮されていない。
前記特許文献4は、偏向器以降の走査光学素子間の反射に関するもので、ポリゴン以前の光学素子により発生するゴースト光に関しては考慮されていない。
【0010】
さらに、前述したように複数の走査光束を用いる場合における各光束の間隔の簡単な調整方法が望まれていた。
【0011】
本発明は上記の問題を解決するためのもので、反射防止コートを施すことなくゴースト光の影響を防止することを目的とする。
また本発明は、上記ゴースト光の除去に加え、さらに複数の走査光束の間隔を簡単に調整できるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明による光走査装置は、光源の発散光束をカップリングする第1結像光学系と、前記第1結像光学系の出射光を偏向反射面近傍に線像を形成するように導光する第2結像光学系と、前記偏向反射面を有する偏向器と、前記偏向器により偏向反射された光束を被走査面上に光スポットとして結像する第3結像光学系とから構成される光走査装置において、前記第2結像光学系は、光束の入射側の面に対する法線(光軸)と出射側の面に対する法線(光軸)とが非平行であることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明による光走査装置は、光源の発散光束をカップリングする第1結像光学系と、前記第1結像光学系の出射光を偏向反射面近傍に線像を形成するように導光する第2結像光学系と、前記偏向反射面を有する偏向器と、前記偏向器により偏向反射された光束を被走査面上に光スポットとして結像する第3結像光学系とから構成される光走査装置において、前記第2結像光学系に入射する光束の入射方向と射出する光束の出射方向とが非平行であることを特徴とするものである。
【0014】
また、前記光走査装置においては、前記第2結像光学系に入射する光束の入射方向に対して、入射側の面の法線(光軸)は略平行で、出射側の面の法線(光軸)は非平行であることが好ましい。
また、前記光走査装置においては、前記第2結像光学系の内部反射によるゴースト光が前記被走査面に至らないように入射面と出射面が構成されていることが好ましい。
【0015】
また、前記光走査装置においては、前記光源は複数の発光点を有し、複数の光束を出射する光源装置であってよい。
また、前記光走査装置においては、前記光源及び第1結像光学系を複数組設け複数の光束を出射するものであってよい。
【0016】
また、前記光走査装置においては、前記被走査面上に光スポットとして結像されたときに、各光源からの光束が前記偏向器の偏向反射面近傍で交差するように構成されていることが好ましい。
また、前記光走査装置においては、前記第2結像光学系は、入射光束の光軸に対して略平行な回転軸の周りを回転可能になされていることが好ましい。
また、前記光走査装置においては、前記第2結像光学系と前記偏向器との間に透明体からなる光学窓を設けてよい。
【0017】
また、本発明による画像形成装置は、前記光走査装置を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図6は本発明の実施の形態による光走査装置の構成図である。
図6において、半導体レーザ(LD)からなる光源1からの発散光束をカップリングするカップリングレンズ(第1結像光学系)2及び光束幅を規制する開口絞り3から構成される光源装置から出射した光束は、線像結像光学系であるシリンドリカルレンズ(第2結像光学系)4により偏向器(ポリゴンスキャナ)5の偏向反射面5A近傍に主走査方向に長い線状に結像される。
【0019】
偏向器5は回転軸5Bを軸として矢印A方向に等角速度回転しており、入射光束を等角速度的に偏向する。偏向器5はカバー5Cにより周りを覆われており、光束は透明体からなる光学窓5Dを通り偏向反射面5Aで偏向され、再び光学窓5Dを通って出射される。
偏向器5と被走査媒体7との間に第3結像光学系6(図では2枚レンズ構成であるが、枚数は問わず、また反射光学系でもよい)を配置し、光束8は被走査媒体7上に結像スポット7aを形成する。結像スポット7aは偏向器5の回転によって被走査媒体7上を矢印B方向に光走査する。
【0020】
同期検知光学系100は、偏向器5により偏向された光束をミラー103により同期検知用結像素子102に導き、同期検知用結像素子102は、一般的にフォトダイオード等から構成される同期検知素子101に偏向光束を導く。光束が同期検知素子101上を通過した際に検知信号が出力され、この検知信号は図示していない演算回路で演算処理されることにより、書込開始信号が所定のタイミング後に出力される。ここで所定のタイミングとは、同期検知素子101の検知位置から書込開始位置に光束が至るまでの時間である。
【0021】
同期検知用結像素子102は、副走査方向にのみパワー(屈折力)を持つレンズ、主走査方向にのみパワーを持つレンズ、主副両方向にパワーを持つレンズのいずれでもよい。また、同期検知用結像素子102として、レンズの代わりにパワーを持つ曲面ミラー等のミラーを用いてもよい。また、同期検知用結像素子102を用いず、ミラー103に上述のようなパワーを持たせて同期検知素子101に直接導くようにして同期検知光学系100を構成してもよい。
【0022】
従来技術について前述したように、プラスチック化された光学素子に反射防止コートを施さない場合は、内部反射光によるゴースト光が現れ、画質劣化を引き起こす。
偏向器5より前のゴースト光の防止方法として、前記特許文献1においては、光学窓5Dを副走査方向に対して傾け、光学窓5Dの表面又は裏面での反射によるゴースト光を被走査媒体7上に至らないようにしている。
しかし、このような構成とした場合でも、図7(副走査方向から見た図)に示すように、シリンドリカルレンズ4が組み付け誤差によりδ傾いてしまうと、シリンドリカルレンズ4の内部反射光8bがゴースト光となってしまうという問題が発生する。
【0023】
図8は副走査方向から見た図で、光学窓5Dを傾け、光学窓5Dによる反射光が被走査媒体7に至らないようにしたものである。
図8においては、光学窓5Dをθ傾けて取り付けているため、理想的に光学窓5Dに到達した光束は光学窓5Dで反射しても、その反射光束8aは図示のように第3結像光学系6の光軸に対してθ’の傾きを持つので、第3結像光学系6は透過せず、被走査媒体7へは到達しない。
【0024】
これに対して図7のようにシリンドリカルレンズ4が傾いて組み付けられた場合は、レンズ内部反射光8bがレンズ光軸に対して傾き、光学窓5Dの到達位置がシフトする。その結果、図8のように第3結像光学系6を光束8bが通過してしまい、その結果被走査媒体7に到達しゴースト画像となって現れてしまう。
図9は主走査方向から見た図で、光学窓5Dで反射したゴースト光の光束8bは第3結像光学系6を通過し、被走査媒体7上の7gの位置に到達する。この光束8bは、偏向器5の回転に関係なく同じ位置に現れるため、微少なエネルギーでも蓄積され、画像となって現れるに充分なエネルギーとなってしまう。
【0025】
本発明は、このシリンドリカルレンズ4の内部反射によるゴースト光が被走査媒体7に到達しないような構成を提案するものである。
図1に請求項1の発明に関する第1の実施の形態を示す。
図1はシリンドリカルレンズ4を副走査方向から見た図で、シリンドリカルレンズ4の入射側の面4a(図の例では副走査方向にのみパワーを持つシリンドリカル面)に対する法線(レンズ光軸)jと、出射側の面4b(図の例では平面)に対する法線(レンズ光軸)kとを非平行としている。
【0026】
このようにすることにより、レンズ内部で内部反射が生じた場合でも、その反射光によるゴースト光8bは被走査媒体7に到達しないようにすることができる。図示の例では、ゴースト光8bはレンズ保持部材9方向に向かい、そのベース面で拡散される。
【0027】
図2は本発明の第2の実施の形態を示すもので、主走査方向から見た図である。
前記第1の実施の形態がシリンドリカルレンズ4の出射側の面4bを副走査方向に傾けたのに対し、第2の実施の形態では出射側の面4bを主走査方向に傾けている。
このように構成することにより、やはり、レンズ内部で発生したゴースト光8bを被走査媒体7に到達しないようにすることができる。本実施の形態では、ゴースト光8bは偏向器5を覆っているカバー5cに当たり拡散される。
【0028】
第1及び第2の実施の形態では、シリンドリカルレンズ4の出射側の面4bを傾けているため、レンズへの入射光の入射方向と内部反射光の出射方向とは、図1、図2に示すように非平行となる。例えば、図2の場合、出射側の面4b(図の例では平面)が傾いているため、出射光束はプリズム効果により、出射方向を傾けられる。このため、シリンドリカルレンズ4の入射側の面4a(図の例では副走査方向にのみパワーを持つシリンドリカル面)への入射方向qと、出射光束の方向rとが異なり、非平行となる。図1の場合も同様である。
このように構成することにより、レンズ内部で発生したゴースト光が被走査面7上に至らないようにすることができる。この構成は請求項2の発明に関する。
【0029】
以上説明した第1及び第2の実施の形態によれば、第2結像光学系としてのシリンドリカルレンズ4の内部反射によるゴースト光が偏向器5に至らないようにすることができる。
【0030】
また、シリンドリカルレンズ4の入射側の面4aであるシリンドリカル面は、面を偏芯させて光束を入射させると、光束の波面が乱れて波面収差が発生し、これがビームスポットの径太りの原因となる。そのため、シリンドリカル面4aに対して光束はレンズの法線と略平行に光束を入射させることが好ましい。その場合、出射側の面4bは傾いているので、その結果、シリンドリカルレンズ4は光束の入射方向に対し、入射側の面4aの法線は略平行で、出射側の面4bの法線は非平行ということになる(請求項3の発明に関する)。
これによって、シリンドリカル面における波面収差の発生を押さえることができ、ビームスポットの径太りを防ぐことができる。
【0031】
しかし、光学レイアウトによっては、シリンダレンズ面4aの法線と平行に配置するのが困難な場合がある。その場合は、シリンダレンズ面の屈折力のある方向に関しては、レンズ光軸と入射光束の入射方向を略平行にし、屈折力のない方向に関して光束を斜入射とし、レイアウトを行うように対応する。このようにすることにより、シリンドリカルレンズ4による波面収差の発生を抑えることができる。
従って、第1及び第2に実施の形態は、レンズ内部の反射により生じるゴースト光が、被走査媒体7へ到達しないように構成されていることは明らかである(請求項4の発明に関する)。
【0032】
光源としては半導体レーザ(LD)が一般的に用いられるが、複数の発光点を有する半導体レーザアレイ(LDA)や、LDを複数個組み合わせて光源部を構成してもよい。また、LDAを複数個組み合わせて光源部を構成してもよい。このように複数光源を用い、複数光束で走査することにより、光走査装置を搭載した画像形成装置の出力スピードを上げることができる(請求項5の発明に関する)。
【0033】
次に、図3を用いて本発明の第3の実施の形態による光走査装置について説明する。
本実施の形態は、光源と複数組の第1結像光学系とを組み合わせて構成した光走査装置であり、請求項6の発明に関するものである。
図3において、複数の半導体レーザ(LD)からなる光源1A及び1Bからの発散光束をカップリングするカップリングレンズ(第1結像光学系)2A及び2B、光束幅を規制する開口絞り3A及び3Bから構成される光源装置から出射した光束は、線像結像光学系であるシリンドリカルレンズ4(第2結像光学系)により偏向器5の偏向反射面5A近傍に線状に結像される。本実施の形態では、シリンドリカルレンズ4の出射側の面4bは主走査方向に傾いている。
【0034】
本実施の形態によれば、光源と第1結像光学系の組合せを複数化することにより感光体上を光走査する光束の本数を増やし出力速度を上げることができる。
【0035】
主走査平面内において発光点から被走査媒体7までの間で、光源1A、1Bからの光束は交差するように各光学素子は配置されている。図示の例では、偏向反射面5A近傍で交差するように配置されているが、偏向反射面5Aより光源側でも、被走査媒体側で交差してもよい。
偏向反射面近傍で光束が交差するようにすることにより、走査光学系である第3結像光学系に対する光軸を同じくし、走査面上の走査光束の結像性能(像面湾曲、倍率誤差、等)の劣化を防ぐことができる(請求項7の発明に関する)。
【0036】
偏向器5は回転軸5Bを軸として矢印A方向に角速度回転しており、入射光束を等角速度的に偏向する。偏向器5はカバー5Cにより周りを覆われており、光束は透明体からなる光学窓5Dを通り偏向反射面5Aで偏向され、再び光学窓5Dを通り出射される。偏向器5と被走査媒体7との間に第3結像光学系6(図では2枚のレンズ構成であるが、枚数は問わず、また反射光学系でもよい)を配置し、光束8A及び8Bは被走査媒体7上に結像スポット7A及び7Bを形成する。
【0037】
結像スポット7A、7Bは、偏向器5の回転によって被走査媒体7上を間隔Pmを以って矢印B向に光走査する。この結像スポット7Aと7Bとの間隔Pmは光束が主走査平面内で交差するように配置されている関係上、必然的に発生する。
【0038】
同期検知光学系100は、偏向器5で偏向された光束を103により同期検知用光学系102を用いて、フォトダイオード等から構成される同期検知素子101に偏向光束を導き、光束が同期検知素子101上を通過した際に検知信号が出力され、図示しない演算回路により演算処理され、書込開始信号が所定のタイミングの後出力される。所定タイミングとは、同期検知素子101の検知位置から書込開始位置に光束が至るまでの時間である。
【0039】
光源1A、1Bによる結像スポット7A、7Bは主走査方向に間隔Pmを持っているため、結像スポット7Aに対する書込開始信号が出力され、結像スポット7Aにより被走査媒体7上に光書込みが開始された後、上記のタイミングで結像スポット7Bが書込開始位置に到達したとき、結像スポット7Bに対する書込開始信号が出力され、結像スポット7Bにより被走査媒体7上に光書込みが開始される。
【0040】
図4は上記走査光学系の被走査面7上での結像スポット7A、7Bの位置関係を模式的に示した図である。
結像スポット7Aと7Bは主走査方向にピッチ間隔Pmを持っている。また、副走査方向の間隔Psは書込密度により一義的に決定される。例えば600dpiの場合は42.3μmで、1200dpiの場合は21.2μmである。結像スポット7A、7Bは被走査媒体7上を主走査方向に走査している際に、被走査媒体7は副走査方向に移動速度V(mm/s)で移動している。
【0041】
次に、本実施の形態の構成の場合の被走査面7上での副走査ビームピッチPsの調整方法について説明する。
原理的には、図5に示すように楔形状プリズム50を、入射光の光軸に略平行な回転軸回りにγ回転させると、副走査ビームピッチPsを調整することができる。この楔形状プリズム50に相当するのがシリンドリカルレンズ4である。図1、図2、図3に示されるシリンドリカルレンズ4は完全な楔形形状ではないが、実質的に楔形状プリズム50としての機能を有している。
【0042】
図5に示すように第2結像光学系を入射光軸回りに回転することにより、屈折により最大φだけ偏向角度を可変できる。最大偏向角φは、頂角αと第2結像光学系の屈折率をnとしたとき式(1)で表される。
φ=(n−1)×α・・・(1)
【0043】
また、カップリングレンズ(第1結像光学系)2A、2Bの焦点距離をfcol、光学系全系の副走査横倍率をm、第2結像光学系の回転軸回りの調整角をΔγとしたとき、被走査面7上のビームスポット位置(副走査方向)の変化量Δzは式(2)で表される。
Δz=m×fcol×tan(φ×sinΔγ)・・・(2)
【0044】
従って、上記式(2)に基づいてシリンドリカルレンズ4を入射光の光軸に略平行な回転軸回りに回転させることにより、被走査面7上のピッチ間隔を簡単に調整できる(請求項8の発明に関する)。
【0045】
尚、本実施の形態では、シリンドリカルレンズ4は光源1A、1Bの両方の光束を共通に透過する構成となっているが、個々の光源1A及び光源1Bそれぞれに対してシリンドリカルレンズ4を設けてもよい。
【0046】
図10は本発明の実施の形態による画像形成装置を示す構成図である。この画像形成装置30は、上述した本発明による光走査装置36を搭載したものである。
図10において、原稿31はコンタクトガラス32上に置かれ、ランプ33で照射された原稿画像はミラー45でスキャナレンズブロック34へ導かれ、CCDにより画像データとして処理される。
【0047】
画像データ35は光走査装置36に転送され、LDは画像データに応じてON/OFFを繰り返し、帯電器40により帯電された前記被走査面7としての感光体ドラム20上を光スポットが走査する。これによって感光体ドラム20上に静電潜像が形成され、この静電潜像は現像器37によりトナー像として現像される。
【0048】
一方、給紙トレイ38から用紙が給紙ローラ39により感光体ドラム20に搬送され、トナー像は転写ローラ40により用紙に転写される。転写後の用紙は定着器41により定着され、排紙ローラ44により排紙トレイ42に排出される。感光体ドラム20は除電・クリーナ43により除電及びクリーニングがなされ、再び帯電からの工程を繰り返す。
本実施の形態によれば、本発明による光走査装置36を組み込むことにより、ゴースト光による画像劣化を抑え、かつ出力速度の速い画像形成装置を実現することができる。
【0049】
さらに本実施の形態による画像形成装置と電子演算装置(コンピュータ等)、画像情報通信システム(ファクシミリ等)等とをネットワークを介して接続することにより、1台の画像形成装置で複数の機器からの出力を処理することができる情報処理システムを構築することができる。また、ネットワーク上に複数の画像形成装置を接続すれば、各出力要求から各画像形成装置の状態(ジョブの混み具合、電源が入っているかどうか、故障しているかどうか等)を知ることができ、一番状態の良い(使用者の希望に一番適した)画像出力装置を選択し、出力を行うことができるようになる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シリンドリカルレンズ等の第2結像光学系の内部反射によるゴースト光が偏向器に至らないようにすることができ、これにより画像劣化を防ぐことができる。
また、複数の光束で走査する場合には、各光束の間隔を簡単に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による光走査装置のシリンドリカルレンズ部分の構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態による光走査装置のシリンドリカルレンズ周辺部の構成図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態による光走査装置の構成図である。
【図4】複数光束のピッチ調整を説明する構成図である。
【図5】楔形プリズムを用いて複数光束のピッチ調整を説明する構成図である。
【図6】本発明の実施の形態による光走査装置を示す構成図である。
【図7】ゴースト光が生じることを説明するシリンドリカルレンズ部分の構成図である。
【図8】ゴースト光が生じることを説明する光学窓付近の構成図である。
【図9】ゴースト光による結像を示す構成図である。
【図10】本発明の実施の形態による画像形成装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1、1A、1B 光源
2、2A、2B カップリングレンズ(第1結像光学系)
4 シリンドリカルレンズ(第2結像光学系)
4a シリンドリカルレンズ4の入射側の面
4b シリンドリカルレンズ4の出射側の面
5 偏向器
5A 偏向反射面
5D 光学窓
6 第3結像光学系
7 被走査媒体
7a、7A、7B 結像スポット
8a、8b シリンドリカルレンズ4の内部反射光(ゴースト光)
36 光走査装置
30 画像形成装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザプリンタ、レーザ複写機等の画像形成装置に用いられる光書込光学系としての光走査装置及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光書込光学系の低コスト化を図るために、光書込光学系を構成する各光学素子のプラスチック化が進んでいる。従来では各光学素子はガラスが使用され、反射防止のためにコーティングが施されていた。しかし、プラスチック化すると、プラスチックへのコートは技術的、コスト的に問題が多いため、コーティングを省略する傾向にある。
【0003】
このため、反射防止コートを施したガラスレンズの場合には問題にならなかったレンズの面間での反射によるゴースト光が、反射防止コートを省略されたプラスチックレンズの場合は光量的に大きくなり、また、近年の感光体の感度向上にもより、ゴースト光が画像として現れ画質劣化を引き起こし問題となっていた。
特に、偏向器の回転に関係なく発生するゴースト光の場合は、走査されずに同じ位置を照射し続けるため、微弱なエネルギー量であっても蓄積されて結果的に大きな光量となってしまい、これが画像として現れ画質劣化を引き起こし問題となっていた。
【0004】
このようなゴースト光対策として、従来より次のような様々な技術が提案されている。
その1つとして、偏向器前のゴースト光の防止方法として、透明体からなる光学窓を副走査方向に対し傾け、光学窓の表面又は裏面での反射によるゴースト光を被走査媒体上に至らないような構成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、シリンドリカルレンズを傾けてゴースト光を光軸から外すというものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、走査レンズ系を偏芯させてゴースト光が被走査媒体へ至らないようにしたものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、走査レンズ系を偏芯させてゴースト光が被走査媒体へ至らないようにしたものが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
また、画像形成装置においては出力スピードの向上が要求されており、この要求に応えるために、光書込装置としては回転多面鏡の回転速度の向上を図ってきたがそれにも限界があり、光源の複数光源化(LD合成)や発光点の複数化(LDA)による高速化が図られるようになり、光源部の構成も様々な方法が提案されてきた。複数の光束を同時に感光体上を走査させるマルチビーム光源ユニットの場合は、走査させる複数の光束の間隔の調整方法が複雑であった。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−274134号公報
【特許文献2】
実開平6−82620号公報
【特許文献3】
特開平7−230051号公報
【特許文献4】
特開2001−264665号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1のような構成とした場合は、シリンドリカルレンズが組み付け誤差により傾いてしまうと、レンズの内部反射光がゴースト光となってしまうという問題があった。尚、この問題については後述する本発明の実施の形態において詳しく説明する。
【0009】
前記特許文献2の方法を用いると、シリンドリカルレンズを傾けることにより、光線の光軸からレンズ光軸がずれる(偏芯する)ため、波面収差が劣化し、その結果ビームスポットの径太りを発生させるという問題があった。
前記特許文献3は、偏向器(ポリゴンスキャナ)以降の走査光学系に関してのものであり、ポリゴン以前の光学素子により発生するゴースト光に関しては考慮されていない。
前記特許文献4は、偏向器以降の走査光学素子間の反射に関するもので、ポリゴン以前の光学素子により発生するゴースト光に関しては考慮されていない。
【0010】
さらに、前述したように複数の走査光束を用いる場合における各光束の間隔の簡単な調整方法が望まれていた。
【0011】
本発明は上記の問題を解決するためのもので、反射防止コートを施すことなくゴースト光の影響を防止することを目的とする。
また本発明は、上記ゴースト光の除去に加え、さらに複数の走査光束の間隔を簡単に調整できるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明による光走査装置は、光源の発散光束をカップリングする第1結像光学系と、前記第1結像光学系の出射光を偏向反射面近傍に線像を形成するように導光する第2結像光学系と、前記偏向反射面を有する偏向器と、前記偏向器により偏向反射された光束を被走査面上に光スポットとして結像する第3結像光学系とから構成される光走査装置において、前記第2結像光学系は、光束の入射側の面に対する法線(光軸)と出射側の面に対する法線(光軸)とが非平行であることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明による光走査装置は、光源の発散光束をカップリングする第1結像光学系と、前記第1結像光学系の出射光を偏向反射面近傍に線像を形成するように導光する第2結像光学系と、前記偏向反射面を有する偏向器と、前記偏向器により偏向反射された光束を被走査面上に光スポットとして結像する第3結像光学系とから構成される光走査装置において、前記第2結像光学系に入射する光束の入射方向と射出する光束の出射方向とが非平行であることを特徴とするものである。
【0014】
また、前記光走査装置においては、前記第2結像光学系に入射する光束の入射方向に対して、入射側の面の法線(光軸)は略平行で、出射側の面の法線(光軸)は非平行であることが好ましい。
また、前記光走査装置においては、前記第2結像光学系の内部反射によるゴースト光が前記被走査面に至らないように入射面と出射面が構成されていることが好ましい。
【0015】
また、前記光走査装置においては、前記光源は複数の発光点を有し、複数の光束を出射する光源装置であってよい。
また、前記光走査装置においては、前記光源及び第1結像光学系を複数組設け複数の光束を出射するものであってよい。
【0016】
また、前記光走査装置においては、前記被走査面上に光スポットとして結像されたときに、各光源からの光束が前記偏向器の偏向反射面近傍で交差するように構成されていることが好ましい。
また、前記光走査装置においては、前記第2結像光学系は、入射光束の光軸に対して略平行な回転軸の周りを回転可能になされていることが好ましい。
また、前記光走査装置においては、前記第2結像光学系と前記偏向器との間に透明体からなる光学窓を設けてよい。
【0017】
また、本発明による画像形成装置は、前記光走査装置を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図6は本発明の実施の形態による光走査装置の構成図である。
図6において、半導体レーザ(LD)からなる光源1からの発散光束をカップリングするカップリングレンズ(第1結像光学系)2及び光束幅を規制する開口絞り3から構成される光源装置から出射した光束は、線像結像光学系であるシリンドリカルレンズ(第2結像光学系)4により偏向器(ポリゴンスキャナ)5の偏向反射面5A近傍に主走査方向に長い線状に結像される。
【0019】
偏向器5は回転軸5Bを軸として矢印A方向に等角速度回転しており、入射光束を等角速度的に偏向する。偏向器5はカバー5Cにより周りを覆われており、光束は透明体からなる光学窓5Dを通り偏向反射面5Aで偏向され、再び光学窓5Dを通って出射される。
偏向器5と被走査媒体7との間に第3結像光学系6(図では2枚レンズ構成であるが、枚数は問わず、また反射光学系でもよい)を配置し、光束8は被走査媒体7上に結像スポット7aを形成する。結像スポット7aは偏向器5の回転によって被走査媒体7上を矢印B方向に光走査する。
【0020】
同期検知光学系100は、偏向器5により偏向された光束をミラー103により同期検知用結像素子102に導き、同期検知用結像素子102は、一般的にフォトダイオード等から構成される同期検知素子101に偏向光束を導く。光束が同期検知素子101上を通過した際に検知信号が出力され、この検知信号は図示していない演算回路で演算処理されることにより、書込開始信号が所定のタイミング後に出力される。ここで所定のタイミングとは、同期検知素子101の検知位置から書込開始位置に光束が至るまでの時間である。
【0021】
同期検知用結像素子102は、副走査方向にのみパワー(屈折力)を持つレンズ、主走査方向にのみパワーを持つレンズ、主副両方向にパワーを持つレンズのいずれでもよい。また、同期検知用結像素子102として、レンズの代わりにパワーを持つ曲面ミラー等のミラーを用いてもよい。また、同期検知用結像素子102を用いず、ミラー103に上述のようなパワーを持たせて同期検知素子101に直接導くようにして同期検知光学系100を構成してもよい。
【0022】
従来技術について前述したように、プラスチック化された光学素子に反射防止コートを施さない場合は、内部反射光によるゴースト光が現れ、画質劣化を引き起こす。
偏向器5より前のゴースト光の防止方法として、前記特許文献1においては、光学窓5Dを副走査方向に対して傾け、光学窓5Dの表面又は裏面での反射によるゴースト光を被走査媒体7上に至らないようにしている。
しかし、このような構成とした場合でも、図7(副走査方向から見た図)に示すように、シリンドリカルレンズ4が組み付け誤差によりδ傾いてしまうと、シリンドリカルレンズ4の内部反射光8bがゴースト光となってしまうという問題が発生する。
【0023】
図8は副走査方向から見た図で、光学窓5Dを傾け、光学窓5Dによる反射光が被走査媒体7に至らないようにしたものである。
図8においては、光学窓5Dをθ傾けて取り付けているため、理想的に光学窓5Dに到達した光束は光学窓5Dで反射しても、その反射光束8aは図示のように第3結像光学系6の光軸に対してθ’の傾きを持つので、第3結像光学系6は透過せず、被走査媒体7へは到達しない。
【0024】
これに対して図7のようにシリンドリカルレンズ4が傾いて組み付けられた場合は、レンズ内部反射光8bがレンズ光軸に対して傾き、光学窓5Dの到達位置がシフトする。その結果、図8のように第3結像光学系6を光束8bが通過してしまい、その結果被走査媒体7に到達しゴースト画像となって現れてしまう。
図9は主走査方向から見た図で、光学窓5Dで反射したゴースト光の光束8bは第3結像光学系6を通過し、被走査媒体7上の7gの位置に到達する。この光束8bは、偏向器5の回転に関係なく同じ位置に現れるため、微少なエネルギーでも蓄積され、画像となって現れるに充分なエネルギーとなってしまう。
【0025】
本発明は、このシリンドリカルレンズ4の内部反射によるゴースト光が被走査媒体7に到達しないような構成を提案するものである。
図1に請求項1の発明に関する第1の実施の形態を示す。
図1はシリンドリカルレンズ4を副走査方向から見た図で、シリンドリカルレンズ4の入射側の面4a(図の例では副走査方向にのみパワーを持つシリンドリカル面)に対する法線(レンズ光軸)jと、出射側の面4b(図の例では平面)に対する法線(レンズ光軸)kとを非平行としている。
【0026】
このようにすることにより、レンズ内部で内部反射が生じた場合でも、その反射光によるゴースト光8bは被走査媒体7に到達しないようにすることができる。図示の例では、ゴースト光8bはレンズ保持部材9方向に向かい、そのベース面で拡散される。
【0027】
図2は本発明の第2の実施の形態を示すもので、主走査方向から見た図である。
前記第1の実施の形態がシリンドリカルレンズ4の出射側の面4bを副走査方向に傾けたのに対し、第2の実施の形態では出射側の面4bを主走査方向に傾けている。
このように構成することにより、やはり、レンズ内部で発生したゴースト光8bを被走査媒体7に到達しないようにすることができる。本実施の形態では、ゴースト光8bは偏向器5を覆っているカバー5cに当たり拡散される。
【0028】
第1及び第2の実施の形態では、シリンドリカルレンズ4の出射側の面4bを傾けているため、レンズへの入射光の入射方向と内部反射光の出射方向とは、図1、図2に示すように非平行となる。例えば、図2の場合、出射側の面4b(図の例では平面)が傾いているため、出射光束はプリズム効果により、出射方向を傾けられる。このため、シリンドリカルレンズ4の入射側の面4a(図の例では副走査方向にのみパワーを持つシリンドリカル面)への入射方向qと、出射光束の方向rとが異なり、非平行となる。図1の場合も同様である。
このように構成することにより、レンズ内部で発生したゴースト光が被走査面7上に至らないようにすることができる。この構成は請求項2の発明に関する。
【0029】
以上説明した第1及び第2の実施の形態によれば、第2結像光学系としてのシリンドリカルレンズ4の内部反射によるゴースト光が偏向器5に至らないようにすることができる。
【0030】
また、シリンドリカルレンズ4の入射側の面4aであるシリンドリカル面は、面を偏芯させて光束を入射させると、光束の波面が乱れて波面収差が発生し、これがビームスポットの径太りの原因となる。そのため、シリンドリカル面4aに対して光束はレンズの法線と略平行に光束を入射させることが好ましい。その場合、出射側の面4bは傾いているので、その結果、シリンドリカルレンズ4は光束の入射方向に対し、入射側の面4aの法線は略平行で、出射側の面4bの法線は非平行ということになる(請求項3の発明に関する)。
これによって、シリンドリカル面における波面収差の発生を押さえることができ、ビームスポットの径太りを防ぐことができる。
【0031】
しかし、光学レイアウトによっては、シリンダレンズ面4aの法線と平行に配置するのが困難な場合がある。その場合は、シリンダレンズ面の屈折力のある方向に関しては、レンズ光軸と入射光束の入射方向を略平行にし、屈折力のない方向に関して光束を斜入射とし、レイアウトを行うように対応する。このようにすることにより、シリンドリカルレンズ4による波面収差の発生を抑えることができる。
従って、第1及び第2に実施の形態は、レンズ内部の反射により生じるゴースト光が、被走査媒体7へ到達しないように構成されていることは明らかである(請求項4の発明に関する)。
【0032】
光源としては半導体レーザ(LD)が一般的に用いられるが、複数の発光点を有する半導体レーザアレイ(LDA)や、LDを複数個組み合わせて光源部を構成してもよい。また、LDAを複数個組み合わせて光源部を構成してもよい。このように複数光源を用い、複数光束で走査することにより、光走査装置を搭載した画像形成装置の出力スピードを上げることができる(請求項5の発明に関する)。
【0033】
次に、図3を用いて本発明の第3の実施の形態による光走査装置について説明する。
本実施の形態は、光源と複数組の第1結像光学系とを組み合わせて構成した光走査装置であり、請求項6の発明に関するものである。
図3において、複数の半導体レーザ(LD)からなる光源1A及び1Bからの発散光束をカップリングするカップリングレンズ(第1結像光学系)2A及び2B、光束幅を規制する開口絞り3A及び3Bから構成される光源装置から出射した光束は、線像結像光学系であるシリンドリカルレンズ4(第2結像光学系)により偏向器5の偏向反射面5A近傍に線状に結像される。本実施の形態では、シリンドリカルレンズ4の出射側の面4bは主走査方向に傾いている。
【0034】
本実施の形態によれば、光源と第1結像光学系の組合せを複数化することにより感光体上を光走査する光束の本数を増やし出力速度を上げることができる。
【0035】
主走査平面内において発光点から被走査媒体7までの間で、光源1A、1Bからの光束は交差するように各光学素子は配置されている。図示の例では、偏向反射面5A近傍で交差するように配置されているが、偏向反射面5Aより光源側でも、被走査媒体側で交差してもよい。
偏向反射面近傍で光束が交差するようにすることにより、走査光学系である第3結像光学系に対する光軸を同じくし、走査面上の走査光束の結像性能(像面湾曲、倍率誤差、等)の劣化を防ぐことができる(請求項7の発明に関する)。
【0036】
偏向器5は回転軸5Bを軸として矢印A方向に角速度回転しており、入射光束を等角速度的に偏向する。偏向器5はカバー5Cにより周りを覆われており、光束は透明体からなる光学窓5Dを通り偏向反射面5Aで偏向され、再び光学窓5Dを通り出射される。偏向器5と被走査媒体7との間に第3結像光学系6(図では2枚のレンズ構成であるが、枚数は問わず、また反射光学系でもよい)を配置し、光束8A及び8Bは被走査媒体7上に結像スポット7A及び7Bを形成する。
【0037】
結像スポット7A、7Bは、偏向器5の回転によって被走査媒体7上を間隔Pmを以って矢印B向に光走査する。この結像スポット7Aと7Bとの間隔Pmは光束が主走査平面内で交差するように配置されている関係上、必然的に発生する。
【0038】
同期検知光学系100は、偏向器5で偏向された光束を103により同期検知用光学系102を用いて、フォトダイオード等から構成される同期検知素子101に偏向光束を導き、光束が同期検知素子101上を通過した際に検知信号が出力され、図示しない演算回路により演算処理され、書込開始信号が所定のタイミングの後出力される。所定タイミングとは、同期検知素子101の検知位置から書込開始位置に光束が至るまでの時間である。
【0039】
光源1A、1Bによる結像スポット7A、7Bは主走査方向に間隔Pmを持っているため、結像スポット7Aに対する書込開始信号が出力され、結像スポット7Aにより被走査媒体7上に光書込みが開始された後、上記のタイミングで結像スポット7Bが書込開始位置に到達したとき、結像スポット7Bに対する書込開始信号が出力され、結像スポット7Bにより被走査媒体7上に光書込みが開始される。
【0040】
図4は上記走査光学系の被走査面7上での結像スポット7A、7Bの位置関係を模式的に示した図である。
結像スポット7Aと7Bは主走査方向にピッチ間隔Pmを持っている。また、副走査方向の間隔Psは書込密度により一義的に決定される。例えば600dpiの場合は42.3μmで、1200dpiの場合は21.2μmである。結像スポット7A、7Bは被走査媒体7上を主走査方向に走査している際に、被走査媒体7は副走査方向に移動速度V(mm/s)で移動している。
【0041】
次に、本実施の形態の構成の場合の被走査面7上での副走査ビームピッチPsの調整方法について説明する。
原理的には、図5に示すように楔形状プリズム50を、入射光の光軸に略平行な回転軸回りにγ回転させると、副走査ビームピッチPsを調整することができる。この楔形状プリズム50に相当するのがシリンドリカルレンズ4である。図1、図2、図3に示されるシリンドリカルレンズ4は完全な楔形形状ではないが、実質的に楔形状プリズム50としての機能を有している。
【0042】
図5に示すように第2結像光学系を入射光軸回りに回転することにより、屈折により最大φだけ偏向角度を可変できる。最大偏向角φは、頂角αと第2結像光学系の屈折率をnとしたとき式(1)で表される。
φ=(n−1)×α・・・(1)
【0043】
また、カップリングレンズ(第1結像光学系)2A、2Bの焦点距離をfcol、光学系全系の副走査横倍率をm、第2結像光学系の回転軸回りの調整角をΔγとしたとき、被走査面7上のビームスポット位置(副走査方向)の変化量Δzは式(2)で表される。
Δz=m×fcol×tan(φ×sinΔγ)・・・(2)
【0044】
従って、上記式(2)に基づいてシリンドリカルレンズ4を入射光の光軸に略平行な回転軸回りに回転させることにより、被走査面7上のピッチ間隔を簡単に調整できる(請求項8の発明に関する)。
【0045】
尚、本実施の形態では、シリンドリカルレンズ4は光源1A、1Bの両方の光束を共通に透過する構成となっているが、個々の光源1A及び光源1Bそれぞれに対してシリンドリカルレンズ4を設けてもよい。
【0046】
図10は本発明の実施の形態による画像形成装置を示す構成図である。この画像形成装置30は、上述した本発明による光走査装置36を搭載したものである。
図10において、原稿31はコンタクトガラス32上に置かれ、ランプ33で照射された原稿画像はミラー45でスキャナレンズブロック34へ導かれ、CCDにより画像データとして処理される。
【0047】
画像データ35は光走査装置36に転送され、LDは画像データに応じてON/OFFを繰り返し、帯電器40により帯電された前記被走査面7としての感光体ドラム20上を光スポットが走査する。これによって感光体ドラム20上に静電潜像が形成され、この静電潜像は現像器37によりトナー像として現像される。
【0048】
一方、給紙トレイ38から用紙が給紙ローラ39により感光体ドラム20に搬送され、トナー像は転写ローラ40により用紙に転写される。転写後の用紙は定着器41により定着され、排紙ローラ44により排紙トレイ42に排出される。感光体ドラム20は除電・クリーナ43により除電及びクリーニングがなされ、再び帯電からの工程を繰り返す。
本実施の形態によれば、本発明による光走査装置36を組み込むことにより、ゴースト光による画像劣化を抑え、かつ出力速度の速い画像形成装置を実現することができる。
【0049】
さらに本実施の形態による画像形成装置と電子演算装置(コンピュータ等)、画像情報通信システム(ファクシミリ等)等とをネットワークを介して接続することにより、1台の画像形成装置で複数の機器からの出力を処理することができる情報処理システムを構築することができる。また、ネットワーク上に複数の画像形成装置を接続すれば、各出力要求から各画像形成装置の状態(ジョブの混み具合、電源が入っているかどうか、故障しているかどうか等)を知ることができ、一番状態の良い(使用者の希望に一番適した)画像出力装置を選択し、出力を行うことができるようになる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シリンドリカルレンズ等の第2結像光学系の内部反射によるゴースト光が偏向器に至らないようにすることができ、これにより画像劣化を防ぐことができる。
また、複数の光束で走査する場合には、各光束の間隔を簡単に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による光走査装置のシリンドリカルレンズ部分の構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態による光走査装置のシリンドリカルレンズ周辺部の構成図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態による光走査装置の構成図である。
【図4】複数光束のピッチ調整を説明する構成図である。
【図5】楔形プリズムを用いて複数光束のピッチ調整を説明する構成図である。
【図6】本発明の実施の形態による光走査装置を示す構成図である。
【図7】ゴースト光が生じることを説明するシリンドリカルレンズ部分の構成図である。
【図8】ゴースト光が生じることを説明する光学窓付近の構成図である。
【図9】ゴースト光による結像を示す構成図である。
【図10】本発明の実施の形態による画像形成装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1、1A、1B 光源
2、2A、2B カップリングレンズ(第1結像光学系)
4 シリンドリカルレンズ(第2結像光学系)
4a シリンドリカルレンズ4の入射側の面
4b シリンドリカルレンズ4の出射側の面
5 偏向器
5A 偏向反射面
5D 光学窓
6 第3結像光学系
7 被走査媒体
7a、7A、7B 結像スポット
8a、8b シリンドリカルレンズ4の内部反射光(ゴースト光)
36 光走査装置
30 画像形成装置
Claims (10)
- 光源の発散光束をカップリングする第1結像光学系と、
前記第1結像光学系の出射光を偏向反射面近傍に線像を形成するように導光する第2結像光学系と、
前記偏向反射面を有する偏向器と、
前記偏向器により偏向反射された光束を被走査面上に光スポットとして結像する第3結像光学系とから構成される光走査装置において、
前記第2結像光学系は、光束の入射側の面に対する法線(光軸)と出射側の面に対する法線(光軸)とが非平行であることを特徴とする光走査装置。 - 光源の発散光束をカップリングする第1結像光学系と、
前記第1結像光学系の出射光を偏向反射面近傍に線像を形成するように導光する第2結像光学系と、
前記偏向反射面を有する偏向器と、
前記偏向器により偏向反射された光束を被走査面上に光スポットとして結像する第3結像光学系とから構成される光走査装置において、
前記第2結像光学系に入射する光束の入射方向と出射する光束の出射方向とが非平行であることを特徴とする光走査装置。 - 前記第2結像光学系に入射する光束の入射方向に対して、入射側の面の法線(光軸)は略平行で、出射側の面の法線(光軸)は非平行であることを特徴とする請求項1又は2記載の光走査装置。
- 前記第2結像光学系の内部反射によるゴースト光が前記被走査面に至らないように入射面と出射面が構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光走査装置。
- 前記光源は複数の発光点を有し複数の光束を出射する光源装置であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光走査装置。
- 前記光源及び第1結像光学系を複数組有し、複数の光束を出射することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光走査装置。
- 前記被走査面上に光スポットとして結像されたときに、前記複数の光束が前記偏向器の偏向反射面近傍で交差するように構成されていることを特徴とする請求項5又は6記載の光走査装置。
- 前記第2結像光学系は、入射光束の光軸に対して略平行な回転軸の周りを回転可能になされていることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の光走査装置。
- 前記第2結像光学系と前記偏向器との間に透明体からなる光学窓を設けたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の光走査装置。
- 請求項1から9記載の光走査装置を備えた画像形成装置。
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