JP2005037366A - 赤外線構造物診断システム及び赤外線構造物診断方法 - Google Patents

赤外線構造物診断システム及び赤外線構造物診断方法 Download PDF

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隆洋 長野
Takahito Komiyama
貴仁 込山
Osamu Kudo
修 工藤
Tadashi Nishikawa
忠 西川
Hiroshi Haneya
洋 羽矢
Tomoaki Inaba
智明 稲葉
Mitsuhiro Wada
光弘 和田
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Abstract

【課題】 構造物のひび割れや浮き等の欠陥部の有無、位置、大きさを容易に検出・特定することができる診断システムを提供する。
【解決手段】 赤外線構造物診断システムは、診断すべき対象の構造物の可視画像を撮像するディジタルカメラ10と、構造物の熱画像を撮像する赤外線カメラ11と、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11と構造物との間の距離を測定するレーザ測距計12とを有する撮像部1と、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11の視野を水平方向及び垂直方向に振るパンチルト雲台2と、撮像部1によって撮像されて得られた画像に対して各種処理を施す処理装置5とを備える。処理装置5は、撮像部1から構造物の可視画像及び熱画像を、レーザ測距計12によって測定された距離とパンチルト雲台2の振り角度とに基づいて補正する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ビルや橋梁等の構造物の欠陥を診断する診断システム及び診断方法に関し、特に、赤外線を用いてコンクリートやモルタルの浮き上がりやひび割れ等の欠陥を診断する赤外線構造物診断システム及び赤外線構造物診断方法に関する。
近年、トンネルや高架橋といったコンクリート構造物のコンクリートが劣化してその一部が剥落する事故が発生し、問題となっている。これにともない、コンクリートの健全度を的確に検査し得る非破壊検査方法の確立が求められている。コンクリートの非破壊検査方法としては、赤外線カメラを用いる赤外線写真法(サーモグラフィ)と、ディジタルスチルカメラを用いるディジタル写真法が知られている。
赤外線写真法は、赤外領域の光によるコンクリート表面の画像に基づいて欠陥の有無や程度を把握する方法である。この赤外線写真法によれば、例えば、構造物の表面を覆うコンクリート、モルタル、タイル等の浮き、空洞やジャンカといった表面付近の内部欠陥を発見することが可能である。
タイルやモルタル等の浮き部、コンクリート中のジャンカ、空洞、漏水部といった構造物において欠陥が存在する箇所は、熱伝導率や比熱等の熱的性質が、欠陥が存在しない健全部とは異なる現象を呈する。かかる健全部と欠陥部との熱的性質の違いは、気温や日射、或いは人工的な過熱・冷却に起因して生じる構造物の温度変動の中で、表面温度の差となって現れる。土木・建築分野における赤外線写真法とは、赤外線を照射して物体を撮像する赤外線映像装置を用いて物体の熱画像を取得することによって当該物体の表面温度分布を測定し、熱画像上に現れる表面温度の異常部分に基づいて、内部欠陥の存在を推定する方法である。具体的には、赤外線写真法においては、図27に示すように、構造物500の内部に生じた欠陥部501が空隙断熱層となることから、日射や気温変化に起因して生じる表面温度の日変動の中で、欠陥部501と健全部との間に表面温度差が生じる時間帯があることを利用して、内部欠陥を検出することができる。
一方、ディジタル写真法は、可視領域の光によるコンクリート表面の画像に基づいて欠陥の有無や程度を把握する方法である。このディジタル写真法によれば、コンクリート、モルタル、タイル等のひび割れや、表面の欠損を発見することが可能である。
これら赤外線写真法及びディジタル写真法は、測定の際の安全性、取り扱いの簡便性、処理の高速性の観点で優れたものであり、近年急速に普及しつつある。かかる赤外線写真法を用いた構造物の欠陥を検出する技術としては、例えば特許文献1等が提案されている。また、ディジタル写真法を用いた構造物の欠陥を検出する技術としては、例えば特許文献2等が提案されている。
特開2001−50921号公報 特開2003−57188号公報
具体的には、特許文献1には、構造物内部の欠陥を自動的に検出する物体の内部欠陥の自動検出装置が開示されている。特に、この物体の内部欠陥の自動検出装置は、物体表面温度の上昇又は下降過程で物体の熱画像測定する手段と、当該熱画像の画素線を解析して画素線の変曲点を求める手段と、これらの変曲点に囲まれた上に凸又は上に凹の温度勾配を示す領域を検出演算する手段とを備えたものである。これにより、この物体の内部欠陥の自動検出装置においては、判断基準の個人差による誤診を防止することができるとしている。
また、特許文献2には、現存する人工建造物の少なくとも1つの画像を撮像し、その人工建造物における1以上の欠陥の存在を検出する方法が開示されている。特に、この欠陥検出方法は、(a)現存する人工建造物の表面又は内部に、検出可能な材料を、その一部が人工建造物の1以上の欠陥に存在するように提供する提供ステップと、(b)画像センサによって人工建造物の少なくとも1つのディジタル画像を撮像する撮像ステップと、(c)撮像された1以上のディジタル画像を処理して、人工建造物の視覚画像を提供し、人工建造物における1以上の欠陥の存在を判断する処理ステップとからなり、画像センサは、人工建造物の少なくとも1つの画像を撮像し、1以上の欠陥における検出可能な材料の存在の有無により、1以上の欠陥を識別するものである。これにより、この欠陥検出方法においては、現存の人工建造物に欠陥があるかどうかを適切に判断することができるとしている。
しかしながら、従来の赤外線写真法やディジタル写真法は、以下のような問題があった。
まず、ひび割れや空洞等の欠陥を検査・診断するためには、欠陥部の有無、欠陥部の位置、及び欠陥部の大きさを知る必要があるが、従来の赤外線写真法やディジタル写真法においては、欠陥部の有無を検出することができたとしても、その大きさを計測することは困難であった。
また、ディジタル写真法においては、撮像した画像の歪みを避けることができないことから、画像上で特定された欠陥部の位置が実際の構造物におけるどの位置に相当するのかを特定する必要があり、この処理に時間を要するという問題があった。
さらに、赤外線写真法においては、構造物の輪郭や目安となる箇所が画像上に現れないことから、欠陥部を特定したとしても、その部位が実際の構造物のどの位置に相当するのかを特定する必要があり、この処理に時間を要するという問題があった。
さらにまた、赤外線写真法やディジタル写真法においては、構造物が大きなビル等の場合には部分画像を多数撮像し、これら部分画像を合成する必要があるが、構造物を正面から撮像した部分画像と、当該構造物に対して角度をもって撮像した部分画像とでは、構造物における実際の欠陥部の大きさが同じであっても、画面上の欠陥部の大きさは異なるものとなる。したがって、赤外線写真法やディジタル写真法においては、かかる部分画像の合成をともなう場合には、欠陥部の大きさや形状を求める必要があり、この処理に時間を要するという問題があった。
また、赤外線写真法やディジタル写真法を個別に用いる方法においては、撮像した画像を単に表示するか、拡大・縮小して表示するかといった程度の表示モードしか存在しないことから、欠陥部を健全部から区別すること自体に困難をともなうことも多々あった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、画像の歪みを補正したり画像を合成したりすることが容易となり、構造物のひび割れや空洞等の欠陥部の有無を容易に検出することができるのみならず、当該欠陥部の位置や大きさを容易に特定することができる赤外線構造物診断システム及び赤外線構造物診断方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成する本発明にかかる赤外線構造物診断システムは、所定の構造物の欠陥を診断する赤外線構造物診断システムであって、診断すべき対象の構造物を撮像する撮像手段と、上記撮像手段を搭載するパンチルト手段と、上記撮像手段によって撮像されて得られた画像に対して各種処理を施す処理手段とを備え、上記撮像手段は、上記構造物の可視画像を撮像するディジタルカメラと、上記構造物の熱画像を撮像する赤外線カメラと、上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラと上記構造物との間の距離を測定する測距計とを有し、上記パンチルト手段は、上記処理手段からの信号に応じて上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラの視野を水平方向及び垂直方向に振る手段からなり、上記処理手段は、上記撮像手段から上記構造物の可視画像及び熱画像と上記測距計によって測定された距離を示す信号とを入力し、上記可視画像及び上記熱画像を、上記測距計によって測定された距離と上記パンチルト手段の振り角度とに基づいて補正する処理と、補正された画像を表示手段に表示する処理と、上記表示手段に表示された画面上で上記構造物の欠陥部をポインティングデバイスで指示することによって当該欠陥部の長さ及び/又は面積を算出する処理とを行うことを特徴としている。
このような本発明にかかる赤外線構造物診断システムにおいては、構造物を撮像して得られた可視画像及び熱画像を補正し、補正した可視画像及び熱画像を表示した表示手段の画面上で構造物の欠陥部をポインティングデバイスで指示することによって当該欠陥部の長さ及び/又は面積を算出する。
ここで、上記処理手段は、可視画像及び熱画像に対する補正として、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとの撮像範囲のずれを補正するパララックス補正処理を行う。また、上記処理手段は、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのカメラレンズの歪曲収差に基づく画像の光学歪みを補正するレンズ収差補正処理を行う。
そして、上記処理手段は、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとによって上記構造物の部分画像を複数枚撮像し、これら部分画像を合成して1枚の画像を生成し、上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラと上記構造物の各部分までとの距離の差異、及び上記各部分を視認する角度の差異に基づく画像の歪みを、上記測距計によって測定された距離と上記パンチルト手段の振り角度とに基づいて補正する。
また、上述した目的を達成する本発明にかかる赤外線構造物診断システムは、所定の構造物の欠陥を診断する赤外線構造物診断システムであって、診断すべき対象の構造物の可視画像を撮像するディジタルカメラと、上記構造物の熱画像を撮像する赤外線カメラと、レーザ測距計とを筐体に収納し、上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラ並びに上記レーザ測距計を、上記構造物の略同一の部分を指向するように配置した撮像手段と、上記撮像手段を搭載し、当該撮像手段の指向する方向を水平方向及び垂直方向に調整可能に支持するパンチルト手段と、上記撮像手段によって撮像されて得られた画像に対して各種処理を施す処理手段とを備え、上記処理手段は、上記パンチルト手段に対して上記水平方向及び上記垂直方向に振る振り角度を指示する信号を出力するとともに、上記撮像手段から上記構造物の可視画像及び熱画像と上記レーザ測距計によって測定された距離を示す信号とをリアルタイムで入力し、取り込んだ可視画像と熱画像とを、上記レーザ測距計によって測定された距離と上記パンチルト手段の振り角度とに基づいて補正した画像をリアルタイムで表示手段に表示することを特徴としている。
このような本発明にかかる赤外線構造物診断システムにおいては、構造物を撮像して得られた可視画像及び熱画像をリアルタイムで取り込み、これら可視画像及び熱画像を、レーザ測距計によって測定された距離とパンチルト手段の振り角度とに基づいて補正し、補正した画像をリアルタイムで表示手段に表示する。
また、上記処理手段は、補正して上記表示手段に表示した画像における上記構造物の欠陥部をポインティングデバイスで指示することによって当該欠陥部の長さ及び/又は面積を算出して当該表示手段に表示する。
さらに、上述した目的を達成する本発明にかかる赤外線構造物診断システムは、所定の構造物の欠陥を診断する赤外線構造物診断システムであって、診断すべき対象の構造物を撮像する撮像手段と、上記撮像手段を搭載し、当該撮像手段の視野を水平方向及び垂直方向に振るパンチルト手段と、上記撮像手段によって撮像されて得られた画像に対して各種処理を施す処理手段とを備え、上記撮像手段は、上記構造物の可視画像を撮像するディジタルカメラと、上記構造物の熱画像を撮像する赤外線カメラと、上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラと上記構造物との間の距離を測定する測距計とを有し、上記パンチルト手段は、上記撮像手段の水平角及び仰俯角を測定する角度測定器を有し、上記処理手段は、撮像対象を決定するために、上記構造物の可視画像及び熱画像を上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラの視野の移動に追随するように表示手段に並置して表示し、撮像対象を確定して上記構造物の可視画像及び熱画像を取り込んだ後、当該可視画像及び熱画像を等縮尺に補正し、補正した可視画像及び熱画像を上記表示手段に並置して表示し、さらに等縮尺の可視画像及び熱画像を同一視野及び同一画角となるように補正し、補正した可視画像と熱画像とについての画像強度を可変可能に重畳して融合させた熱可視融合画像を生成し、上記熱可視融合画像を上記表示手段に表示し、上記熱可視融合画像を表示する上記表示手段の画面上で上記構造物の欠陥部をポインティングデバイスで指示することによって当該欠陥部の長さ及び/又は面積を算出し、当該熱可視融合画像上に当該欠陥部の長さ及び/又は面積の値を上記表示手段に表示するとともに、これら欠陥部のリストを別ウィンドウとして当該表示手段に表示することを特徴としている。
このような本発明にかかる赤外線構造物診断システムにおいては、構造物を撮像して得られた可視画像及び熱画像をリアルタイムで表示手段に表示して撮像対象を確定させ、撮像対象を確定して可視画像及び熱画像を取り込んだ後、当該可視画像及び熱画像を等縮尺に補正した画像を表示手段に並置して表示し、さらに、等縮尺の可視画像及び熱画像を同一視野及び同一画角となるように補正し、補正した可視画像と熱画像とについての画像強度を可変可能に重畳して融合させた熱可視融合画像を生成する。そして、本発明にかかる赤外線構造物診断システムにおいては、生成した熱可視融合画像を表示手段に表示し、この表示手段の画面上で構造物の欠陥部をポインティングデバイスで指示することによって当該欠陥部の長さ及び/又は面積を算出し、当該熱可視融合画像上に当該欠陥部の長さ及び/又は面積の値とこれら欠陥部のリストとを表示手段に表示する。
具体的には、上記処理手段は、上記構造物の可視画像及び熱画像を上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラの視野の移動に追随するように上記表示手段に並置して表示する際に、上記ディジタルカメラの画素数よりも少ない画素数の可視画像、及び上記赤外線カメラの画素数よりも少ない画素数の熱画像を上記表示手段に表示する。これにより、本発明にかかる赤外線構造物診断システムにおいては、処理手段による処理負担が軽減され、ディジタルカメラ及び赤外線カメラの視野の移動に滑らかに追随したリアルタイム画像を表示手段に表示することができる。
また、上記処理手段は、上記等縮尺の可視画像及び熱画像を同一視野及び同一画角となるように補正する際に、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのカメラレンズの歪曲収差に基づく画像の光学歪みを補正する処理を行い、さらに、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとの視差を補正する処理を行う。このとき、上記処理手段は、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのそれぞれのカメラ光学系中心間距離と、上記測距計によって得られた距離と、上記角度測定器によって得られた水平角及び仰俯角とを用いて、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとの視差を補正する処理を行う。さらに、上記処理手段は、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのカメラレンズ画角差を補正する処理を行う。このとき、上記処理手段は、上記ディジタルカメラのカメラレンズ画角と上記赤外線カメラのカメラレンズ画角とのうち、カメラレンズ画角が小さい方の値を用いて、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのカメラレンズ画角差を補正する処理を行う。
さらに、上記処理手段は、上記熱可視融合画像上での欠陥部の有無を容易に認識可能とするために、下地の画像に可視画像を用い、その上地として熱画像を重ね合わせた上記熱可視融合画像を上記表示手段に表示するのが望ましい。このとき、上記処理手段は、可視画像の情報を不要に阻害しないために、上記熱可視融合画像を表示する上記表示手段の画面上での上記欠陥部の指定後は、当該欠陥部の領域のみについて熱情報を反映し、当該欠陥部以外の領域については透明とした熱画像を可視画像に対して重畳した熱可視融合画像を当該表示手段に表示するようにしてもよい。
さらにまた、上述した目的を達成する本発明にかかる赤外線構造物診断方法は、所定の構造物の欠陥を診断する赤外線構造物診断方法であって、診断すべき対象の構造物の可視画像をディジタルカメラによって撮像するとともに、上記構造物の熱画像を赤外線カメラによって撮像する撮像工程と、撮像対象を決定するために、上記構造物の可視画像及び熱画像を上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラの視野の移動に追随するように表示手段に並置して表示する第1の表示工程と、撮像対象を確定して上記構造物の可視画像及び熱画像を取り込んだ後、当該可視画像及び熱画像を等縮尺に補正し、補正した可視画像及び熱画像を上記表示手段に並置して表示する第2の表示工程と、さらに等縮尺の可視画像及び熱画像を同一視野及び同一画角となるように補正し、補正した可視画像と熱画像とについての画像強度を可変可能に重畳して融合させた熱可視融合画像を生成し、上記熱可視融合画像を上記表示手段に表示する第3の表示工程と、上記熱可視融合画像を表示する上記表示手段の画面上で上記構造物の欠陥部をポインティングデバイスで指示することによって当該欠陥部の長さ及び/又は面積を算出し、当該熱可視融合画像上に当該欠陥部の長さ及び/又は面積の値を表示するとともに、これら欠陥部のリストを別ウィンドウとして表示する第4の表示工程とを備えることを特徴としている。
このような本発明にかかる赤外線構造物診断方法においては、構造物を撮像して得られた可視画像及び熱画像をリアルタイムで表示手段に表示して撮像対象を確定させ、撮像対象を確定して可視画像及び熱画像を取り込んだ後、当該可視画像及び熱画像を等縮尺に補正した画像を表示手段に並置して表示し、さらに、等縮尺の可視画像及び熱画像を同一視野及び同一画角となるように補正し、補正した可視画像と熱画像とについての画像強度を可変可能に重畳して融合させた熱可視融合画像を生成する。そして、本発明にかかる赤外線構造物診断方法においては、生成した熱可視融合画像を表示手段に表示し、この表示手段の画面上で構造物の欠陥部をポインティングデバイスで指示することによって当該欠陥部の長さ及び/又は面積を算出し、当該熱可視融合画像上に当該欠陥部の長さ及び/又は面積の値とこれら欠陥部のリストとを表示手段に表示する。
具体的には、上記第1の表示工程では、上記ディジタルカメラの画素数よりも少ない画素数の可視画像、及び上記赤外線カメラの画素数よりも少ない画素数の熱画像が上記表示手段に表示される。
また、上記第3の表示工程では、上記等縮尺の可視画像及び熱画像を同一視野及び同一画角となるように補正する際に、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのカメラレンズの歪曲収差に基づく画像の光学歪みを補正する処理が行われ、さらに、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとの視差を補正する処理が行われる。このとき、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとの視差を補正する処理は、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのそれぞれのカメラ光学系中心間距離と、上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラと上記構造物との間の距離を測定する測距計によって得られた距離と、上記撮像手段の水平角及び仰俯角を測定する角度測定器によって得られた水平角及び仰俯角とを用いて行われる。さらに、上記第3の表示工程では、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのカメラレンズ画角差を補正する処理が行われる。このとき、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのカメラレンズ画角差を補正する処理は、上記ディジタルカメラのカメラレンズ画角と上記赤外線カメラのカメラレンズ画角とのうち、カメラレンズ画角が小さい方の値を用いて行われる。
さらに、上記第3の表示工程では、上記熱可視融合画像上での欠陥部の有無を容易に認識可能とするために、下地の画像に可視画像を用い、その上地として熱画像を重ね合わせた上記熱可視融合画像が上記表示手段に表示されるのが望ましい。このとき、上記第4の表示工程では、可視画像の情報を不要に阻害しないために、上記熱可視融合画像を表示する上記表示手段の画面上での上記欠陥部の指定後は、当該欠陥部の領域のみについて熱情報を反映し、当該欠陥部以外の領域については透明とした熱画像を可視画像に対して重畳した熱可視融合画像が当該表示手段に表示されるようにしてもよい。
本発明においては、可視画像及び熱画像の歪みを補正したり、これら可視画像及び熱画像を合成したりすることが容易となり、構造物のひび割れや空洞等の欠陥部の有無を容易に検出することができるのみならず、当該欠陥部の位置や大きさを容易に特定することができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施の形態は、赤外線を用いて構造物の欠陥を診断する赤外線構造物診断システムである。特に、この赤外線構造物診断システムは、欠陥の有無を検出することができるのみならず、当該欠陥部の位置や大きさを容易に特定することができるものである。
赤外線構造物診断システムは、図1に示すように、診断すべき対象の構造物である対象構造物を撮像する撮像部1と、この撮像部1の視野を水平方向及び垂直方向に振るパンチルト雲台2と、撮像部1によって得られた情報に対して各種処理を施す処理装置5とを備える。
撮像部1は、対象構造物の可視画像を撮像するディジタルカメラ10と、対象構造物の熱画像を撮像する赤外線カメラ11と、これらディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11の両方と対象構造物との距離を測定するレーザ測距計12とを有する。
ディジタルカメラ10は、例えば有効画素数が6.1メガピクセル(3026ピクセル×2018ピクセル)程度であるディジタルスチルカメラを用いて構成することができる。ディジタルカメラ10は、処理装置5の制御のもとに、対象構造物の可視画像を撮像し、得られた可視画像を、インターフェース回路4を介して処理装置5に供給する。
赤外線カメラ11は、例えば、測定温度範囲が−20℃〜100℃程度であり、撮像された画像データの画素数が320(H)×240(V)ドット程度である市販の赤外線カメラを用いて構成することができる。赤外線カメラ11は、処理装置5の制御のもとに、対象構造物から放射された赤外線を受光することによって当該対象構造物の熱画像を撮像し、得られた熱画像を、インターフェース回路4を介して処理装置5に供給する。
レーザ測距計12は、例えば、測定範囲が0.3m〜100m程度であり、測定精度が±3〜5mm程度である市販のレーザ測距計を用いて構成することができる。レーザ測距計12は、処理装置5の制御のもとに、対象構造物までレーザビームを出射し、対象構造物からの反射光を受光することにより、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11の両方と対象構造物との距離を測定し、得られた距離データを、インターフェース回路4を介して処理装置5に供給する。
このような撮像部1は、その具体的な構造については後に詳述するが、ディジタルカメラ10、赤外線カメラ11、及びレーザ測距計12を、特に図示しない筐体に収納した上で、パンチルト雲台2に搭載されて構成される。このとき、撮像部1は、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11並びにレーザ測距計12が、対象構造物の略同一の部分を指向するように配置されて構成されている。赤外線構造物診断システムにおいては、空間的に離隔されたディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11のカメラ光学系の中心の空間座標値と、レーザ測距計12から出射されるレーザビームの空間座標値とが既知とされ、処理装置5におけるROM等に記憶されている。
パンチルト雲台2は、通常のパーソナルコンピュータによって制御可能であり、水平方向の振り角(水平角;パン)が±130°程度であり、垂直方向の振り角(仰俯角;チルト)が±45°程度である市販の装置を用いて構成することができる。パンチルト雲台2は、手動又は処理装置5の制御のもとに、撮像部1の指向する方向を水平方向及び垂直方向に調整可能に支持する。なお、パンチルト雲台2による撮像部1の視野の0点からの変化量、すなわち、水平角と仰俯角は、当該パンチルト雲台2に設けられた特に図示しない角度測定器によって測定される。赤外線構造物診断システムにおいては、この角度データも、インターフェース回路4を介して処理装置5に供給される。なお、赤外線構造物診断システムにおいては、このパンチルト雲台2、及びバッテリを含むインターフェース回路4が三脚3に載置されて使用される。
処理装置5は、例えば、メモリ容量が512MB以上であり、ハードディスクの容量が2GB以上であり、さらにモニタの解像度が640×480ドット以上のカラーモニタを有する通常のパーソナルコンピュータを用いて構成することができる。処理装置5は、各部を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)51と、プログラム等の各種情報を格納するROM(Read Only Memory)52と、撮像部1から供給されたデータやプログラムの実行中に生成されたデータ等を一時的に保持するRAM(Random Access Memory)53と、例えばキーボードやマウス等の入力操作装置54と、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の各種情報を表示する表示装置55と、インターフェース回路4を介して撮像部1との間でデータの送受信を行うインターフェース回路56と、各種情報を記憶するハードディスク装置57とを有する。このような処理装置5は、撮像部1を制御するとともに、この撮像部1によって得られた可視画像、熱画像、及び距離データ、並びに角度測定器によって得られた角度データを入力し、これらデータに対して各種処理を施す。
このような各部から構成される赤外線構造物診断システムは、以下のような動作を行う。
まず、赤外線構造物診断システムにおいては、図2に示すように、ひび割れや空洞等の欠陥部61を含む対象構造物60の可視画像を撮像部1におけるディジタルカメラ10によって撮像するとともに、当該対象構造物60の熱画像を撮像部1における赤外線カメラ11によって撮像する。また、赤外線構造物診断システムにおいては、これらディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11による撮像の際における対象構造物60までの距離をレーザ測距計12によって測定する。このとき、赤外線構造物診断システムにおいては、撮像部1を手動で移動させる場合と、パンチルト雲台2の水平振り角及び垂直振り角を処理装置5によってリモート制御する場合とがある。そして、赤外線構造物診断システムにおいては、得られた可視画像、熱画像、距離データ、及び角度データを、インターフェース回路4を介して処理装置5に供給する。
処理装置5は、ROM52に後述する撮像システム部プログラムを格納しており、COU51の制御のもとにこのプログラムを実行することにより、取得した可視画像及び熱画像を補正する。また、処理装置5は、熱画像から特定の温度範囲のデータのみを抽出して表示した画像(以下、熱ISO表示画像という。)を生成したり、熱画像と可視画像とを重畳して融合させた画像(以下、熱可視融合画像という。)を生成し、これら生成した熱ISO表示画像及び熱可視融合画像をハードディスク装置57等に形成された画像データファイル57Aに格納する。赤外線構造物診断システムにおいては、処理装置5によって処理されて得られた補正画像、熱ISO表示画像、及び熱可視融合画像を表示装置55に表示することにより、診断者70に提示する。診断者70は、これらの画像を視認しながら、当該画像上における欠陥部61に該当する箇所を例えばマウス等のポインティングデバイスを用いて指示する。例えば、診断者70は、欠陥部61がひび割れの場合には、マウスを用いてその上をトレースし、また、欠陥部61が空洞の場合には、健全部と空洞部との境界をマウスを用いてトレースするような操作を行う。赤外線構造物診断システムにおいては、このような診断者70の操作に応じて、処理装置5におけるCPU51の制御のもとに撮像システム部プログラムを実行し、欠陥部61の長さや面積等の大きさを算出し、算出した欠陥部データをハードディスク装置57等に形成された欠陥部データファイル57Bに格納するとともに、欠陥部の長さや面積の具体的な数値を表示装置55を介して診断者70に提示する。
つぎに、赤外線構造物診断システムに用いられるソフトウェアについて説明する。
赤外線構造物診断システムのソフトウェアは、撮像システム部プログラムと、画像編集システム部プログラムとに大別される。図3に、撮像システム部プログラムを実行することによって行われる処理のフローチャートを示す。また、図15、図17、及び図18に、画像編集システム部プログラムを実行することによって行われる処理のフローチャートを示す。以下、各処理について説明する。
まず、撮像システム部プログラムを実行することによって行われる処理について説明する。
赤外線構造物診断システムにおいては、撮像システム部プログラムを起動すると、図4に示すようなコントロール画面が表示装置55に表示される。勿論、このコントロール画面は、単なる一例であり、本発明がこれに限定されるものではない。コントロール画面における表示領域301には、撮像部1と対象構造物60との間の距離として、レーザ測距計12によって得られた距離がリアルタイムに表示される。また、コントロール画面における表示領域302には、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11の撮像角度として、角度測定器によって得られた水平角と仰俯角とがリアルタイムに表示される。さらに、コントロール画面における表示領域303には、赤外線カメラ11の制御情報として、測定温度レンジ、赤外レンズの種類、温度レベルやセンス感度が設定可能に表示される。さらにまた、コントロール画面における表示領域304には、ディジタルカメラ10の制御情報として、画面サイズや可視レンズの種類が設定可能に表示される。
赤外線構造物診断システムにおいては、このようなコントロール画面における撮影データ入力開始ボタン305が入力操作装置54を介して選択されると、図3中ステップS100において、撮像対象を決定するために、対象構造物60の熱画像及び可視画像を赤外線カメラ11及びディジタルカメラ10の視野の移動に追随するように表示装置55に並置して表示する。具体的には、赤外線構造物診断システムにおいては、例えば図5に示すように、赤外線カメラ11によって得られた熱画像とディジタルカメラ10によって得られた可視画像とについてのリアルタイム画像が、それぞれ、表示領域310,311に表示される。この画面に表示される画像は、処理装置5の制御のもとに、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11に対して一定の時間間隔で画像データを要求し、送られてきたデータをそのまま表示装置55に表示したものである。このとき、赤外線構造物診断システムにおいては、赤外線カメラ11の画素数よりも少ない画素数の熱画像を表示装置55に表示するとともに、ディジタルカメラ10の画素数よりも少ない画素数の可視画像を表示装置55に表示することにより、処理装置5による処理負担を軽減し、赤外線カメラ11及びディジタルカメラ10の視野の移動に滑らかに追随したリアルタイム画像を表示装置55に表示することができる。
赤外線構造物診断システムにおいては、診断者70がこの画面を視認しながら手動又は処理装置5からの制御信号に基づいてパンチルト雲台2を駆動させ、撮像対象を確定した状態で、図5に示すシャッタボタン312を入力操作装置54を介して選択することにより、図3中ステップS106において、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11によって撮像されている可視画像及び熱画像を処理装置5に取り込み、各種処理を行う。このとき、赤外線構造物診断システムにおいては、処理装置5に可視画像及び熱画像を取り込んだ後については、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11の最大画素数の画像について処理を行うのが望ましく、これにより、診断者70にとって使い勝手がよく欠陥部の検出を容易且つ確実に行うことが可能となる。
具体的には、赤外線構造物診断システムにおいては、処理装置5に可視画像及び熱画像を取り込むと、これら可視画像及び熱画像を等縮尺に補正し、この補正後の等縮尺画像を当該処理装置5における表示装置55に表示するとともに、RAM53に格納する。また、赤外線構造物診断システムにおいては、図5に示す画面に、レンズ収差補正処理を行うためのレンズ収差補正ボタン313と、パララックス補正処理を行うためのパララックス補正ボタン314と、欠陥部指定処理を行うための欠陥部指定画面ボタン315とが実装されており、以下に説明するレンズ収差補正処理、パララックス補正処理、及び欠陥部指定処理への遷移を実行することができる。
(a)レンズ収差補正
赤外線構造物診断システムにおいては、図5に示すレンズ収差補正ボタン313を入力操作装置54を介して選択すると、図3中ステップS101において、取り込んだ等縮尺画像のレンズ補正処理を処理装置5によって実行する。これにともない、赤外線構造物診断システムにおいては、表示装置55に表示される画面が図6に示すような画面へと遷移し、補正後の熱画像及び可視画像を表示領域310,311に並置して表示する。
このレンズ収差補正処理は、カメラレンズの歪曲収差と称される光学歪みを補正する処理であり、その一例が特願2002−379548号明細書に記載されている。すなわち、赤外線構造物診断システムにおいては、撮像後の画像が樽状に歪む現象をもたらす歪曲収差を補正するために、処理装置5によってアフィン変換と称される処理を施す。
このアフィン変換は、ユークリッド幾何学的な線形変換と平行移動の組み合わせによる図形や形状の移動又は変形を行う方法であり、4×4の行列演算で表現できる移動、回転、左右反転、拡大、縮小、シアーの座標変換である。このアフィン変換は、元の図形で直線状に並ぶ点は変換後も直線状に並び、平行線は変換後も平行線であるといったように、幾何学的性質が保たれる変換方式である。したがって、赤外線構造物診断システムにおいては、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11のカメラレンズの光学歪みの性質、すなわち、カメラレンズの収差特質を予めデータとして採取しておき、処理装置5におけるROM52等に記憶させておく。これにより、赤外線構造物診断システムにおいては、CPU51の演算により、カメラレンズの収差特質を示すデータを用いて、当該カメラレンズの収差による光学歪みを除去した可視画像及び熱画像を得ることができる。
赤外線構造物診断システムにおいては、このようなレンズ収差補正処理を行うと、図3中ステップS107において、ディジタルカメラ10によって得られた可視画像を補正した画像と、赤外線カメラ11によって得られた熱画像を補正した画像とを、処理装置5におけるハードディスク装置57に形成された画像データファイル57Aに格納する。
(b)パララックス補正
赤外線構造物診断システムにおいては、図5又は図6に示すパララックス補正ボタン314を入力操作装置54を介して選択すると、図3中ステップS102において、パララックス補正処理を処理装置5によって実行する。
このパララックス補正処理は、特願2002−379548号明細書に詳述されている。すなわち、撮像部1は、筐体にディジタルカメラ10と赤外線カメラ11とが並置されて収納された構造とされることから、ディジタルカメラ10の撮像範囲と赤外線カメラ11の撮像範囲との間にずれ、すなわち、視差(パララックス)が生じる。
一例として、図7に示すように、ディジタルカメラ10と赤外線カメラ11とが並置されている場合を考える。ここで、説明の便宜上、これらディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11のカメラレンズ画角は、いずれも水平方向が30°であり、垂直方向が20°であるものとする。
この場合、ディジタルカメラ10と赤外線カメラ11との水平方向の位置ずれ量が10cmであるものとすると、カメラレンズの前方50cmに存在する被写体を撮像する際には、水平方向の撮像範囲の長さは、26.8cmとなり、垂直方向の撮像範囲の長さは、17.6cmとなる。この場合、ディジタルカメラ10と赤外線カメラ11との水平方向の位置ずれ量(10cm)は、水平方向の撮像範囲の長さ26.8cmに対して、37.3%という大きな比率となることがわかる。なお、以下では、この比率(%)をパララックス量(撮像範囲全体に対する画像のずれの割合)と称するものとする。
一方、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11から被写体までの距離が5mである場合には、水平方向の撮像範囲の長さは、2.68mとなり、垂直方向の撮像範囲の長さは、1.76mとなる。この場合、ディジタルカメラ10と赤外線カメラ11との水平方向の位置ずれ量(10cm)のパララックス量は、水平方向の撮像範囲の長さ2.68mに対して、3.73%となり、被写体までの距離が50cmである場合に比べて相対的に小さくなることがわかる。
このように、ディジタルカメラ10と赤外線カメラ11との位置ずれの影響は、被写体までの距離に応じて異なり、撮像する被写体が近い場合には非常に大きな影響が出るのに対して、遠方の被写体を撮像する場合には殆ど無視することができる。
ディジタルカメラ10と赤外線カメラ11との位置ずれ量をdとし、水平方向の撮像範囲の長さをA1とすると、パララックス量Pは、次式(1)によって算出することができる。赤外線構造物診断システムにおいては、このようなパララックス量Pの算出を、処理装置5におけるCPU51によって実行する。
P(%)=(d/A1)×100 ・・・(1)
赤外線構造物診断システムにおいては、水平方向のカメラレンズ画角が等しく、且つ垂直方向のカメラレンズ画角が等しいディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11を平行に並べて同一方向委の被写体を撮像した場合には、これら2台のカメラのうちいずれか一方のカメラの撮像画像を、パララックス量の分だけ水平方向に移動させることにより、これら2台のカメラによって得られた画像を重ね合わせ、合致させた画像を合成することができる。また、赤外線構造物診断システムにおいては、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11のカメラレンズ画角が異なる場合には、これらディジタルカメラ10と赤外線カメラ11とのそれぞれのカメラ光学系中心間距離と、レーザ測距計12によって得られた距離と、角度測定器によって得られた水平角及び仰俯角とを用いて、可視画像と熱画像との視点の違いによる視差を補正することができる。
また、赤外線構造物診断システムにおいては、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11のカメラレンズ画角が異なる場合には、可視画像と熱画像とを同一視野及び同一画角となるように補正する。このとき、赤外線構造物診断システムにおいては、カメラレンズ画角が小さい方の値を用いて可視画像と熱画像との視野及び画角を一致させる。
赤外線構造物診断システムにおいては、このようなパララックス補正処理を行うと、図3中ステップS108において、ディジタルカメラ10によって得られた可視画像を補正した画像と、赤外線カメラ11によって得られた熱画像を補正した画像とを、処理装置5におけるハードディスク装置57に形成された画像データファイル57Aに格納する。
(c)欠陥部指定画面の表示
赤外線構造物診断システムにおいては、図5に示すレンズ収差補正画面又は図6に示すパララックス補正画面のいずれかに設けられた欠陥部指定画面ボタン315を入力操作装置54を介して選択すると、図3中ステップS103において、欠陥部を指定するために用意された3つの欠陥部指定画面を表示装置55に表示することができる。
第1の欠陥部指定画面は、赤外・可視画像欠陥部指定画面であり、例えば図8に示すように、表示領域310に熱画像を表示するとともに、これと並べて表示領域311に可視画像を表示するモードである。
また、第2の欠陥部指定画面は、熱可視融合画像欠陥部指定画面であり、例えば図9に示すように、1つの表示領域330に、可視画像と熱画像とを重ね合わせて表示するモードである。赤外線構造物診断システムにおいては、この熱可視融合画像欠陥部指定画面に設けられたスクロールバー320を入力操作装置54を介して操作することにより、重ね合わせる可視画像及び熱画像の表示濃度比率を可変とすることができる。なお、この熱可視融合画像については、さらに後に詳述するものとする。
さらに、第3の欠陥部指定画面は、撮像現画像欠陥部指定画面であり、例えば図10に示すように、表示領域340に可視画像のみを撮像時の解像度で表示するモードである。すなわち、赤外線構造物診断システムにおいては、診断する対象構造物60の表面のひび割れ等を調査するために、解像度が高い可視画像を用いることにより、欠陥部の指摘を容易に行うことを可能としている。
赤外線構造物診断システムにおいては、診断者70が、これら3つの欠陥部指定画面を視認しながらマウス等のポインティングデバイスを用いてひび割れや空洞等の欠陥部を指定する。このとき、赤外線構造物診断システムにおいては、1つの欠陥部指定画面にて指定した欠陥部が、リアルタイムに他の2つの欠陥部指定画面にも反映される。赤外線構造物診断システムにおいては、図3中ステップS109において、欠陥部を指定した情報と欠陥箇所の情報とをリンクしたまま処理装置5におけるハードディスク装置57に形成された欠陥部データファイル57Bに格納する。
(d)熱ISO表示画像の表示
赤外線構造物診断システムにおいては、図11に示すISO表示ボタン318を入力操作装置54を介して選択すると、例えば図12に示すような上述した熱ISO表示画像を表示する画面へと遷移する。この画面には、入力操作装置54を介して操作可能なスクロールバー351,352が設けられており、赤外線構造物診断システムにおいては、これらスクロールバー351,352を操作することにより、熱画像の表示最低温度及び表示最高温度が設定される。赤外線構造物診断システムにおいては、これら表示最低温度及び表示最高温度が設定されると、赤外線カメラ11によって得られた熱画像から、この設定された温度範囲に属するデータのみを抽出し、これを表示領域350にカラー表示することができる。
(e)数量積算
赤外線構造物診断システムにおいては、診断者70が欠陥部指定画面にて欠陥部であるものと認識した部分をマウス等のポインティングデバイスを用いてトレースすることにより、図3中ステップS104において、当該欠陥部の長さや面積をCPU51によって算出する。具体的には、赤外線構造物診断システムにおいては、欠陥部がひび割れの場合にはその長さを算出し、欠陥部が浮きや空洞の場合にはその面積を算出する。この算出方法については、特願2002−379548号明細書に詳述されている。
すなわち、赤外線構造物診断システムにおいては、例えば図13に示すように、レーザ測距計12によってディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11と対象構造物60との距離をリアルタイムで測定し、この距離データを処理装置5に供給する。なお、同図においては、ディジタルカメラ10と対象構造物60との距離を測定している様子を示している。これに応じて、処理装置5におけるCPU51は、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11と対象構造物60との距離Lをリアルタイムで求め、RAM53等に記憶する。
ここで、図13に示す角度θ1は、ディジタルカメラ10の水平方向のカメラレンズ画角、すなわち、画像両端間の角度を表している。このカメラレンズ画角θ1は、ディジタルカメラ10による既知の値であり、赤外線構造物診断システムにおいては、この値をROM52に記憶している。また、同図に示す距離A1は、ディジタルカメラ10が、距離Lの場合に撮像することができる水平方向の最大範囲を示す値である。この距離A1は、距離Lとカメラレンズ画角θ1とを用いて次式(2)によって算出することができる。赤外線構造物診断システムにおいては、この距離A1をCPU51によって算出する。
A1=2L×tan(θ1/2) ・・・(2)
一方、ディジタルカメラ10によって撮像された画像における水平方向の画素数mと垂直方向の画素数nは、既知の値である。この場合、ディジタルカメラ10によって撮像された画像は、m×n個の画素の集合によって構成されることになる。
したがって、この場合、対象構造物60の水平方向の撮像範囲の距離A1は、ディジタルカメラ10による画像上ではm個の画素に対応している。このため、水平方向の1画素は、対象構造物60の水平方向の撮像範囲の距離A1において、次式(3)で表される距離a1に相当することになる。
a1=A1/m ・・・(3)
例えば、赤外線構造物診断システムにおいては、対象構造物60がコンクリート表面であった場合であり、欠陥部(被写体)の水平方向の距離(水平方向の長さ)が図13に示すD1であって場合には、ディジタルカメラ10による画像上での水平方向の画素数を検出し、この画素数が5であった場合には、CPU51によって5×a1の演算を行うことにより、距離D1の値を算出することができる。
また、赤外線構造物診断システムにおいては、このような方法と同様にして、ディジタルカメラ10における対象構造物60の被写体の垂直方向、すなわち、距離A1に対して垂直な方向の距離又は長さについても、ディジタルカメラ10による画像における垂直方向の画素数nに基づいて算出することができる。この場合、赤外線構造物診断システムにおいては、ディジタルカメラ10の垂直方向のカメラレンズ画角をθ2とすると、CPU51によって上式(2)に示すθ1に代えてθ2を代入することにより、対象構造物60の垂直方向の撮像範囲の距離を算出することができる。
さらに、赤外線構造物診断システムにおいては、ディジタルカメラ10についてのこのような方法と同様にして、赤外線カメラ11における対象構造物60の被写体の水平方向及び垂直方向の距離又は長さについても、赤外線カメラ11による画像における水平方向及び垂直方向の画素数に基づいて算出することができる。
赤外線構造物診断システムにおいては、このような演算処理を行うことにより、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11によって撮像された画像に基づいて、例えばコンクリートの浮きやひび割れ等の欠陥部の実際の長さや幅、面積等を算出することができる。赤外線構造物診断システムにおいては、このようにして認識された欠陥部に対して例えば図14に示すように連番を付し、当該欠陥部の長さや面積等のデータを集計し、図3中ステップS110において、欠陥部データとしてハードディスク装置57等に形成された欠陥部データファイル57BやRAM53等に格納する。
赤外線構造物診断システムにおいては、処理装置5によって撮影システム部プログラムを実行することにより、以上のような各種処理を行うことができる。
つぎに、画像編集システム部プログラムを実行することによって行われる処理について説明する。
赤外線構造物診断システムにおいては、画像編集システム部プログラムを実行することにより、現場で撮像した可視画像及び熱画像について各種画像編集処理を行うことができる。例えば、赤外線構造物診断システムにおいては、大きなビルの劣化診断を行う場合には、当該ビルに近接した所定の場所に三脚3を設置してパンチルト雲台2を制御し、当該ビルの部分画像を複数枚撮像し、処理装置5に取り込む。この取り込んだ画像は、上述したように、レンズ収差補正やパララックス補正等の処理が施されるが、赤外線構造物診断システムにおいては、さらに診断者70に提示するデータを得るために、以下のような画像編集処理を行う。
図15に、処理装置5による可視画像についての画像編集処理を示す。
まず、赤外線構造物診断システムにおいては、同図に示すように、ステップS401において、取り込んだ複数の可視画像の一覧を小画面に表示するいわゆるサムネイル表示を行う。そして、赤外線構造物診断システムにおいては、ステップS402において、撮像した可視画像のファイルをインポートする。
続いて、赤外線構造物診断システムにおいては、ステップS403において、個別の可視画像をズーム表示し、ステップS404において、各可視画像のサイズを変更する。さらに、赤外線構造物診断システムにおいては、ステップS405において、可視画像の回転角度をオブジェクト毎に修正し、各可視画像の回転を補正する。
そして、赤外線構造物診断システムにおいては、ステップS406において、可視画像のあおり(斜め方向から撮像した可視画像の遠近感)を補正する。例えば図16に示すように、ディジタルカメラ10によって対象構造物60を撮像した場合には、当該対象構造物60に同じ大きさの窓60a,60b,60cが設置されていたとしても、ディジタルカメラ10からの距離L及び角度θが異なることから、これら窓60a,60b,60cは、可視画像上では異なる大きさとして表示される。したがって、同じ大きさの欠陥部が対象構造物60の正面部と隅部にあったとしても、これら欠陥部は、可視画像上では異なる大きさとして表示される。このため、対象構造物60の設計図面と同様の可視画像を表示するには、可視画像のあおりを補正する必要がある。赤外線構造物診断システムにおいては、ディジタルカメラ10から対象構造物60までの距離データを取得していることから、このようなあおり補正を極めて容易に行うことができる。すなわち、赤外線構造物診断システムにおいては、図16に示す例の場合には、次式(4)及び次式(5)に示すa1,a2が同じ大きさとなるように、可視画像を補正すればよい。
a1=tan(θ1/2)・L1 ・・・(4)
a2=tan(θ2/2)・L2 ・・・(5)
赤外線構造物診断システムにおいては、このようなあおり補正を行うと、図15中ステップS407において、各オブジェクト毎に、当該可視画像の明度やコントラスト、ガンマ値といったパラメータの調整を行うとともに、ステップS408において、各オブジェクト毎に可視画像のシャープネスの調整を行う。さらに、赤外線構造物診断システムにおいては、ステップS409において、各オブジェクトを適宜移動し、ステップS410において、これらを結合して1枚の可視画像を生成する。
そして、赤外線構造物診断システムにおいては、ステップS411において、結合した可視画像をトリミングし、ステップS412において、対象構造物60の設計図面と可視画像とが一致するポイントを入力操作装置54を介して指定することにより、当該設計図面と可視画像とを合成する。
赤外線構造物診断システムにおいては、このような一連の工程を経ることにより、可視画像についての画像編集処理を行うことができる。
一方、赤外線構造物診断システムにおいては、処理装置5によって図17に示すような一連の工程を経ることにより、熱画像についての画像編集処理を行う。
まず、赤外線構造物診断システムにおいては、同図に示すように、ステップS501乃至ステップS506において、可視画像についてのステップS401乃至ステップS406と同様の処理を行う。
続いて、赤外線構造物診断システムにおいては、ステップS507において、熱画像のゲイン及び表示の際の中心温度の調整を行い、ステップS508において、撮影システム部プログラムと同様に、所定の温度範囲のデータのみを抽出した熱画像を表示装置55にカラー表示するとともに、その他の領域についてはグレースケール化して表示する。その後、赤外線構造物診断システムにおいては、ステップS509において、各オブジェクトを適宜移動し、ステップS510において、これらを結合して1枚の熱画像を生成する。
そして、赤外線構造物診断システムにおいては、ステップS511において、結合した熱画像をトリミングし、ステップS512において、対象構造物60の設計図面と熱画像とが一致するポイントを入力操作装置54を介して指定することにより、当該設計図面と熱画像とを合成する。
赤外線構造物診断システムにおいては、このような一連の工程を経ることにより、熱画像についての画像編集処理を行うことができる。
赤外線構造物診断システムにおいては、画像編集システム部プログラムを起動すると、以上のような可視画像についての画像編集処理及び熱画像についての画像編集処理をともなう処理を行う。具体的には、赤外線構造物診断システムにおいては、画像編集システム部プログラムを実行し、図18に示すような一連の処理を行う。
まず、赤外線構造物診断システムにおいては、同図に示すように、ステップS201において、可視画像レイヤを作成する。この可視画像レイヤの作成は、図15に示した可視画像についての画像編集処理である。すなわち、図18中ステップS202乃至ステップS204は、具体的には、図15中ステップS401乃至ステップS412に相当する。赤外線構造物診断システムにおいては、最終的に対象構造物60の設計図面と可視画像との合成画像を生成し、図18中ステップS205において、この合成画像をファイルとしてハードディスク装置57等に形成された画像データファイル57Aに格納する。
続いて、赤外線構造物診断システムにおいては、ステップS206において、熱画像レイヤを作成する。この熱画像レイヤの作成は、図17に示した熱画像についての画像編集処理である。すなわち、図18中ステップS207乃至ステップS209は、具体的には、図17中ステップS501乃至ステップS512に相当する。赤外線構造物診断システムにおいては、最終的に対象構造物60の設計図面と熱画像との合成画像を生成し、図18中ステップS210において、この合成画像をファイルとしてハードディスク装置57等に形成された画像データファイル57Aに格納する。
続いて、赤外線構造物診断システムにおいては、ステップS211において、上述のようにして生成された可視画像及び熱画像を表示装置55に表示し、ステップS212において、画像上でのひび割れ、浮き、空洞等の欠陥部をマウス等のポインティングデバイスを用いてトレースすることによって当該欠陥部の長さや面積等を積算し、ステップS213において、このデータを適当なソフトウェアによって閲覧可能なファイル形式でハードディスク装置57等に形成された欠陥部データファイル57Bに格納する。
赤外線構造物診断システムにおいては、このようにして編集された画像を処理装置5におけるRAM53やハードディスク装置57に格納し、必要に応じて表示装置55に表示することができる。例えば、赤外線構造物診断システムにおいては、図19に画面を示すように、対象構造物60にひび割れ361及び浮き362があった場合には、図16に示したNo.2及びNo.8のような長さ及び面積のデータとともに劣化集計表としてRAM53やハードディスク装置57に格納する。そして、赤外線構造物診断システムにおいては、図19に示す画面における表示領域363,364に示すように、ひび割れ361を青色で表示した上でその長さが552mmである旨を表示するとともに、浮き363を赤色で表示した上でその面積が32013mmである旨を表示する。診断者70は、このような画面を視認することにより、欠陥部の詳細を容易且つ即座に認識することが可能となる。
さて、赤外線構造物診断システムにおいては、上述したように、視野が一致した可視画像と熱画像とを重畳して融合させた熱可視融合画像を生成することができる。以下、このような熱可視融合画像の生成とこれを用いた欠陥部の指定とについて、現実にコンクリートで覆われた構造物を撮像した画面を用いて説明する。
赤外線構造物診断システムにおいては、撮像対象を確定して処理装置5に可視画像及び熱画像を取り込んだ後、上述したように、これら可視画像及び熱画像を等縮尺に補正し、例えば図20に示すように、補正後の等縮尺画像を当該処理装置5における表示装置55に並置して表示する。なお、同図は、先に図6等に示した画面に相当するものであり、左側の画像が熱画像であり、右側の画像が可視画像である。赤外線構造物診断システムにおいては、このような等縮尺画像に対して上述した各種補正処理を行うことにより、同一視野及び同一画角の可視画像及び熱画像を生成し、これら同一視野及び同一画角の可視画像及び熱画像に基づいて、熱可視融合画像を生成する。このとき、赤外線構造物診断システムにおいては、欠陥部の有無を容易に認識可能とするために、熱可視融合画像として、下地の画像に可視画像を用い、その上地として熱画像を重ね合わせるのが望ましい。
赤外線構造物診断システムにおいては、上述したように、この熱可視融合画像について、重ね合わせる可視画像及び熱画像の表示濃度比率を変化させることができる。具体的には、赤外線構造物診断システムにおいては、図20に示した可視画像及び熱画像について補正した画像について、熱画像強度:可視画像強度を75:25とした場合には、図21に示すように、可視画像の成分に比べ熱画像の成分が強く現れる熱可視融合画像を表示装置55に表示する。また、赤外線構造物診断システムにおいては、熱画像強度を小さくし、熱画像強度:可視画像強度を50:50とした場合には、図22に示すように、可視画像の成分と熱画像の成分とが同等レベルで現れる熱可視融合画像を表示装置55に表示する。さらに、赤外線構造物診断システムにおいては、熱画像強度をさらに小さくし、熱画像強度:可視画像強度を25:75とした場合には、図23に示すように、可視画像に対して熱画像が弱レベルで重畳された熱可視融合画像を表示装置55に表示する。
このように、赤外線構造物診断システムにおいては、熱可視融合画像を表示する際に、可視画像及び熱画像の表示濃度比率を任意に変化させることができる。したがって、赤外線構造物診断システムにおいては、可視画像のみでは認識できない欠陥部の存在を把握したい場合には熱画像強度を大きくしたり、熱画像強度を小さくした熱可視融合画像から欠陥部であるものと推測した箇所を、熱画像強度を大きくすることによって確認したりする作業を行うことが可能となる。
そして、赤外線構造物診断システムにおいては、診断者70が、このような熱可視融合画像に基づく上述した熱可視融合画像欠陥部指定画面を視認しながらマウス等のポインティングデバイスを用いて欠陥部を指定することにより、当該欠陥部の長さや面積等が算出されると、例えば図24に示すように、先に図19に示した画面に相当する欠陥部診断画面として、熱可視融合画像上に欠陥部の長さや面積等の値を表示するとともに、これら欠陥部のリストを別ウィンドウとして表示することができる。なお、赤外線構造物診断システムにおいては、可視画像の情報を不要に阻害しないために、欠陥部を指定した後は、当該欠陥部の領域のみが熱情報を反映し、欠陥部以外の領域については透明とした熱画像を可視画像に対して重畳した熱可視融合画像としてもよい。
このように、赤外線構造物診断システムにおいては、重ね合わせる可視画像及び熱画像の表示濃度比率を任意に変化させることができる熱可視融合画像を生成することにより、診断者70にとって極めて利便の高いツールを提供することができる。
つぎに、赤外線構造物診断システムにおける光軸調整機構について説明する。
赤外線構造物診断システムにおいては、対象構造物60の撮像精度を高めるためには、撮像部1を構成するディジタルカメラ10、赤外線カメラ11、及びレーザ測距計12のそれぞれについての光軸を合わせることが極めて重要である。そこで、赤外線構造物診断システムは、かかる光軸合わせを実現することができる光軸調整機構を備える。赤外線構造物診断システムにおいては、撮像部1と光軸調整機構とを1つの筐体内部に固定して設置することができる。
かかる光軸調整機構としては、ディジタルカメラ10に対して少なくとも3軸の自由度で調整可能な機構を設け、赤外線カメラ11に対して少なくとも1軸の自由度で調整可能な機構を設け、さらに、レーザ測距計12に対して少なくとも2軸の自由度で調整可能な機構を設けることが考えられる。
具体的には、赤外線構造物診断システムは、図25に示すように構成される。同図には、撮像対象が存在する方向から撮像部1を視認した正面図を示している。この赤外線構造物診断システムにおいて、赤外線カメラ11は、所定の筐体400の内部に、固定ネジ401を用いて固定して設置される。また、レーザ測距計12は、赤外線カメラ11に隣接して筐体400の内部に設けられる。このとき、レーザ測距計12は、筐体400の内部底面から立設されたレーザ測距計保持板402に、固定ネジ403を用いて固定して設置され、レーザ測距計保持板402は、筐体400の内部に、2つの調整ネジ404を用いて微動可能に設けられる。なお、同図においては、1つの調整ネジ404のみを示しているが、調整ネジ404は、前後方向に1つずつ設けられる。さらに、ディジタルカメラ10は、筐体400の上面に3つの調整ネジ405を用いて微動可能に設けられたディジタルカメラ保持板406に、固定ネジ407を用いて固定して設置される。なお、3つの調整ネジ405は、直線状に配設されるのではなく、例えば、同図における中央の調整ネジを前方に配設するとともに、右側及び左側の調整ネジを後方に配設するといったように、略三角形の頂点に対応させて配設される。さらにまた、赤外線構造物診断システムにおいては、筐体400の水平角及び仰俯角を測定する図示しない角度測定器が設けられる。
このように、赤外線構造物診断システムにおいては、ディジタルカメラ10を3つの調整ネジ405によって調整可能なディジタルカメラ保持板406に載置することにより、当該ディジタルカメラ10に3軸の自由度を与える。また、赤外線構造物診断システムにおいては、赤外線カメラ11を固定ネジ401を用いて筐体400の内部に固定して設置することにより、当該赤外線カメラ11に1軸の自由度を与える。さらに、赤外線構造物診断システムにおいては、レーザ測距計12を2つの調整ネジ404によって調整可能なレーザ測距計保持板402に固定して設置することにより、当該レーザ測距計12に2軸の自由度を与える。
このような光軸調整機構を備える赤外線構造物診断システムは、光軸合わせを可能とするために、撮像部1が以下のようにして組み立てられる。
まず、赤外線構造物診断システムにおいては、レーザ測距計12をレーザ測距計保持板402に固定ネジ403を用いて固定して設置した上で、当該レーザ測距計保持板402を筐体400に2つの調整ネジ404による2点で仮止めする。これにより、赤外線構造物診断システムにおいては、レーザ測距計12に2軸の自由度を与える。
続いて、赤外線構造物診断システムにおいては、ディジタルカメラ10をディジタルカメラ保持板406に固定ネジ407を用いて固定して設置した上で、当該ディジタルカメラ保持板406を筐体400に3つの調整ネジ405による3点で仮止めする。これにより、赤外線構造物診断システムにおいては、ディジタルカメラ10に3軸の自由度を与える。
最後に、赤外線構造物診断システムにおいては、赤外線カメラ11を筐体400に固定ネジ401を用いて固定して設置する。これにより、赤外線構造物診断システムにおいては、赤外線カメラ11に1軸の自由度を与える。
このようにして撮像部1が組み立てられた赤外線構造物診断システムにおいては、各要素の光軸を調整する際には、まず、レーザ測距計保持板402を2軸に微動させる2つの調整ネジ404を用いて、赤外線カメラ11の光軸に対して、レーザ測距計12の光軸が平行となるように調整する。続いて、赤外線構造物診断システムにおいては、ディジタルカメラ保持板406を3軸に微動させる3つの調整ネジ405を用いて、赤外線カメラ11の光軸に対して、ディジタルカメラ10の光軸が平行となるように調整する。
そして、赤外線構造物診断システムにおいては、ディジタルカメラ10とレーザ測距計12との光軸平行度を調べ、そのずれが例えば±0.1°よりも大きい場合には、2つの調整ネジ404を用いて、当該ずれを例えば50%補正した位置にまでレーザ測距計12の光軸をシフトする。
赤外線構造物診断システムにおいては、ディジタルカメラ10、赤外線カメラ11、及びレーザ測距計12の光軸平行度が±0.1°以内に収まるまで、このような工程を繰り返し行う。なお、赤外線構造物診断システムにおいては、調整ネジ404,405による調整を手動で行う他、処理装置5による制御のもとに、これら調整ネジ404,405を駆動させて調整を行うようにしてもよい。
このように、赤外線構造物診断システムにおいては、ディジタルカメラ10、赤外線カメラ11、及びレーザ測距計12のそれぞれについての光軸を機械的に調整する機構を設けることにより、対象構造物60の撮像精度を高めることができる。
また、光軸調整機構としては、機械的な調整ではなく、光軸合わせを実現するための光学系を用いて構成することもできる。
具体的には、赤外線構造物診断システムは、図26に示すように、光軸調整機構として、光学ガラス450上に、波長が8μm乃至15μm程度の赤外線を反射する誘電体多層膜451をコーティングした第1の光学ミラーをディジタルカメラ10の前方に設けるとともに、光学ガラス452上に金属膜453をコーティングした第2の光学ミラーを赤外線カメラ11の前方に設けて構成される。
このような赤外線構造物診断システムにおいて、光軸に沿って入射した外光のうち可視光成分は、第1のミラーを透過してディジタルカメラ10のカメラレンズ10aに到達し、当該ディジタルカメラ10の結像光学系に入射してCCD(Charge Coupled Devices)等のカメラセンサ10bにて結像する。一方、光軸に沿って入射した外光のうち赤外光成分は、第1のミラーにおける誘電体多層膜451によって選択的に反射され、第2のミラーにおける金属膜453に入射する。そして、当該赤外光成分は、金属膜453によって反射された後、赤外線カメラ11のカメラレンズ11aに到達し、当該赤外線カメラ11の結像光学系に入射してカメラセンサ11bにて結像する。
したがって、赤外線構造物診断システムにおいては、第1のミラー及び第2のミラーの光軸が一致するように当該第1のミラーと当該第2のミラーとを平行に配設するとともに、被写体から光軸に沿ったディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11のそれぞれの結像光学系の主点10c,11cまでの距離が等しくなるように、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11を配設することにより、ディジタルカメラ10と赤外線カメラ11との光軸を合わせることができる。すなわち、赤外線構造物診断システムにおいては、このような光学系を備えることにより、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11をそれぞれ単独で撮像させるのではなく、これらディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11の撮像対象を同じものとすることができる。
このように、赤外線構造物診断システムにおいては、機械的な調整ではなく、所定の光学系を用いて光軸調整機構を構成することができる。ここで、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11についてのそれぞれの光学系の画角は、同一でないことが多い。しかしながら、赤外線構造物診断システムにおいては、このような光軸調整機構を設けることにより、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11のそれぞれによって撮像される画像の中心が、被写体上の同じ点を示すことになる。したがって、赤外線構造物診断システムにおいては、ディジタルカメラ10及び赤外線カメラ11についてのそれぞれの光学系の画角に基づいて算出される視野サイズの比を考慮して、画角が大きい方の画像の中心付近から、画角が小さい方の画像の画角分を切り取って重ね合わせることにより、被写体までの距離にかかわらず、可視画像と熱画像とを重ね合わせることができ、高精度の熱可視融合画像を生成することが可能となる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、ひび割れや浮き等の欠陥部を表示装置55に表示するものとして説明したが、本発明は、かかる表示のみならず、これを印刷して顧客に提示するレポートを作成する機能を追加してもよい。このレポートは、所望により、可視画像及び熱画像等の画像情報と欠陥部の場所を示す情報、並びに欠陥部の長さや面積等のデータを含めたものとすることができる。
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
本発明の実施の形態として示す赤外線構造物診断システムの構成を説明するブロック図である。 同赤外線構造物診断システムの機能を説明するための図である。 同赤外線構造物診断システムにおける撮影システム部プログラムを実行することによって行われる一連の処理を説明するフローチャートである。 撮影システム部プログラムを起動して表示されるコントロール画面の例を説明する図である。 赤外線カメラによって得られた熱画像と、ディジタルカメラによって得られた可視画像とについてのリアルタイム画像を表示する画面の例を説明する図である。 レンズ収差補正処理後の可視画像及び熱画像を表示する画面の例を説明する図である。 パララックス補正処理の内容を説明するための図である。 赤外・可視画像欠陥部指定画面の例を説明する図である。 熱可視融合画像欠陥部指定画面の例を説明する図である。 撮像現画像欠陥部指定画面の例を説明する図である。 ISO表示ボタンが表示された画面の例を説明する図である。 熱ISO表示画像を表示する画面の例を説明する図である。 欠陥部の数量積算の内容を説明するための図である。 欠陥部データの集計例を説明する図である。 同赤外線構造物診断システムにおける画像編集システム部プログラムを実行することによって行われる可視画像についての一連の画像編集処理を説明するフローチャートである。 あおり補正の内容を説明するための図である。 同赤外線構造物診断システムにおける画像編集システム部プログラムを実行することによって行われる熱画像についての一連の画像編集処理を説明するフローチャートである。 同赤外線構造物診断システムにおける画像編集システム部プログラムを実行することによって行われる一連の画像編集処理を説明するフローチャートである。 欠陥部診断画面の例を説明する図である。 等縮尺に補正した後の可視画像及び熱画像を表示する画面の例を説明する図である。 図20に示した可視画像及び熱画像について補正した画像について、熱画像強度:可視画像強度を75:25とした場合における熱可視融合画像を表示する画面の例を説明する図である。 図20に示した可視画像及び熱画像について補正した画像について、熱画像強度:可視画像強度を50:50とした場合における熱可視融合画像を表示する画面の例を説明する図である。 図20に示した可視画像及び熱画像について補正した画像について、熱画像強度:可視画像強度を25:75とした場合における熱可視融合画像を表示する画面の例を説明する図である。 欠陥部診断画面及び欠陥部のリストを表示する画面の例を説明する図である。 撮像対象が存在する方向から撮像部を視認した同赤外線構造物診断システムの正面図であり、光軸調整機構の構成を説明するための図である。 光学系を用いた光軸調整機構の構成を説明するための図である。 赤外線写真法による欠陥部検出の原理を説明するための図である。
符号の説明
1 撮像部
2 パンチルト雲台
3 三脚
4 インターフェース回路
5 処理装置
10 ディジタルカメラ
11 赤外線カメラ
12 レーザ測距計
51 CPU
52 ROM
53 RAM
54 入力操作装置
55 表示装置
56 インターフェース回路
57 ハードディスク装置
57A 画像データファイル
57B 欠陥部データファイル
60 対象構造物
61 欠陥部
400 筐体
401,403,407 固定ネジ
402 レーザ測距計保持板
404,405 調整ネジ
406 ディジタルカメラ保持板
450,452 光学ガラス
451 誘電体多層膜
453 金属膜

Claims (24)

  1. 所定の構造物の欠陥を診断する赤外線構造物診断システムであって、
    診断すべき対象の構造物を撮像する撮像手段と、
    上記撮像手段を搭載するパンチルト手段と、
    上記撮像手段によって撮像されて得られた画像に対して各種処理を施す処理手段とを備え、
    上記撮像手段は、
    上記構造物の可視画像を撮像するディジタルカメラと、
    上記構造物の熱画像を撮像する赤外線カメラと、
    上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラと上記構造物との間の距離を測定する測距計とを有し、
    上記パンチルト手段は、上記処理手段からの信号に応じて上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラの視野を水平方向及び垂直方向に振る手段からなり、
    上記処理手段は、
    上記撮像手段から上記構造物の可視画像及び熱画像と上記測距計によって測定された距離を示す信号とを入力し、上記可視画像及び上記熱画像を、上記測距計によって測定された距離と上記パンチルト手段の振り角度とに基づいて補正する処理と、
    補正された画像を表示手段に表示する処理と、
    上記表示手段に表示された画面上で上記構造物の欠陥部をポインティングデバイスで指示することによって当該欠陥部の長さ及び/又は面積を算出する処理とを行うこと
    を特徴とする赤外線構造物診断システム。
  2. 上記処理手段は、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとの撮像範囲のずれを補正するパララックス補正処理を行うこと
    を特徴とする請求項1記載の赤外線構造物診断システム。
  3. 上記処理手段は、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのカメラレンズの歪曲収差に基づく画像の光学歪みを補正するレンズ収差補正処理を行うこと
    を特徴とする請求項1記載の赤外線構造物診断システム。
  4. 上記処理手段は、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとによって上記構造物の部分画像を複数枚撮像し、これら部分画像を合成して1枚の画像を生成し、上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラと上記構造物の各部分までとの距離の差異、及び上記各部分を視認する角度の差異に基づく画像の歪みを、上記測距計によって測定された距離と上記パンチルト手段の振り角度とに基づいて補正すること
    を特徴とする請求項1記載の赤外線構造物診断システム。
  5. 所定の構造物の欠陥を診断する赤外線構造物診断システムであって、
    診断すべき対象の構造物の可視画像を撮像するディジタルカメラと、上記構造物の熱画像を撮像する赤外線カメラと、レーザ測距計とを筐体に収納し、上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラ並びに上記レーザ測距計を、上記構造物の略同一の部分を指向するように配置した撮像手段と、
    上記撮像手段を搭載し、当該撮像手段の指向する方向を水平方向及び垂直方向に調整可能に支持するパンチルト手段と、
    上記撮像手段によって撮像されて得られた画像に対して各種処理を施す処理手段とを備え、
    上記処理手段は、上記パンチルト手段に対して上記水平方向及び上記垂直方向に振る振り角度を指示する信号を出力するとともに、上記撮像手段から上記構造物の可視画像及び熱画像と上記レーザ測距計によって測定された距離を示す信号とをリアルタイムで入力し、取り込んだ可視画像と熱画像とを、上記レーザ測距計によって測定された距離と上記パンチルト手段の振り角度とに基づいて補正した画像をリアルタイムで表示手段に表示すること
    を特徴とする赤外線構造物診断システム。
  6. 上記処理手段は、補正して上記表示手段に表示した画像における上記構造物の欠陥部をポインティングデバイスで指示することによって当該欠陥部の長さ及び/又は面積を算出して当該表示手段に表示すること
    を特徴とする請求項5記載の赤外線構造物診断システム。
  7. 所定の構造物の欠陥を診断する赤外線構造物診断システムであって、
    診断すべき対象の構造物を撮像する撮像手段と、
    上記撮像手段を搭載し、当該撮像手段の視野を水平方向及び垂直方向に振るパンチルト手段と、
    上記撮像手段によって撮像されて得られた画像に対して各種処理を施す処理手段とを備え、
    上記撮像手段は、
    上記構造物の可視画像を撮像するディジタルカメラと、
    上記構造物の熱画像を撮像する赤外線カメラと、
    上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラと上記構造物との間の距離を測定する測距計とを有し、
    上記パンチルト手段は、上記撮像手段の水平角及び仰俯角を測定する角度測定器を有し、
    上記処理手段は、
    撮像対象を決定するために、上記構造物の可視画像及び熱画像を上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラの視野の移動に追随するように表示手段に並置して表示し、
    撮像対象を確定して上記構造物の可視画像及び熱画像を取り込んだ後、当該可視画像及び熱画像を等縮尺に補正し、補正した可視画像及び熱画像を上記表示手段に並置して表示し、
    さらに等縮尺の可視画像及び熱画像を同一視野及び同一画角となるように補正し、補正した可視画像と熱画像とについての画像強度を可変可能に重畳して融合させた熱可視融合画像を生成し、上記熱可視融合画像を上記表示手段に表示し、
    上記熱可視融合画像を表示する上記表示手段の画面上で上記構造物の欠陥部をポインティングデバイスで指示することによって当該欠陥部の長さ及び/又は面積を算出し、当該熱可視融合画像上に当該欠陥部の長さ及び/又は面積の値を上記表示手段に表示するとともに、これら欠陥部のリストを別ウィンドウとして当該表示手段に表示すること
    を特徴とする赤外線構造物診断システム。
  8. 上記処理手段は、上記構造物の可視画像及び熱画像を上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラの視野の移動に追随するように上記表示手段に並置して表示する際に、上記ディジタルカメラの画素数よりも少ない画素数の可視画像、及び上記赤外線カメラの画素数よりも少ない画素数の熱画像を上記表示手段に表示すること
    を特徴とする請求項7記載の赤外線構造物診断システム。
  9. 上記処理手段は、上記等縮尺の可視画像及び熱画像を同一視野及び同一画角となるように補正する際に、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのカメラレンズの歪曲収差に基づく画像の光学歪みを補正する処理を行うこと
    を特徴とする請求項7記載の赤外線構造物診断システム。
  10. 上記処理手段は、さらに、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとの視差を補正する処理を行うこと
    を特徴とする請求項9記載の赤外線構造物診断システム。
  11. 上記処理手段は、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのそれぞれのカメラ光学系中心間距離と、上記測距計によって得られた距離と、上記角度測定器によって得られた水平角及び仰俯角とを用いて、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとの視差を補正する処理を行うこと
    を特徴とする請求項10記載の赤外線構造物診断システム。
  12. 上記処理手段は、さらに、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのカメラレンズ画角差を補正する処理を行うこと
    を特徴とする請求項10記載の赤外線構造物診断システム。
  13. 上記処理手段は、上記ディジタルカメラのカメラレンズ画角と上記赤外線カメラのカメラレンズ画角とのうち、カメラレンズ画角が小さい方の値を用いて、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのカメラレンズ画角差を補正する処理を行うこと
    を特徴とする請求項12記載の赤外線構造物診断システム。
  14. 上記処理手段は、下地の画像に可視画像を用い、その上地として熱画像を重ね合わせた上記熱可視融合画像を上記表示手段に表示すること
    を特徴とする請求項7記載の赤外線構造物診断システム。
  15. 上記処理手段は、上記熱可視融合画像を表示する上記表示手段の画面上での上記欠陥部の指定後は、当該欠陥部の領域のみについて熱情報を反映し、当該欠陥部以外の領域については透明とした熱画像を可視画像に対して重畳した熱可視融合画像を当該表示手段に表示すること
    を特徴とする請求項14記載の赤外線構造物診断システム。
  16. 所定の構造物の欠陥を診断する赤外線構造物診断方法であって、
    診断すべき対象の構造物の可視画像をディジタルカメラによって撮像するとともに、上記構造物の熱画像を赤外線カメラによって撮像する撮像工程と、
    撮像対象を決定するために、上記構造物の可視画像及び熱画像を上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラの視野の移動に追随するように表示手段に並置して表示する第1の表示工程と、
    撮像対象を確定して上記構造物の可視画像及び熱画像を取り込んだ後、当該可視画像及び熱画像を等縮尺に補正し、補正した可視画像及び熱画像を上記表示手段に並置して表示する第2の表示工程と、
    さらに等縮尺の可視画像及び熱画像を同一視野及び同一画角となるように補正し、補正した可視画像と熱画像とについての画像強度を可変可能に重畳して融合させた熱可視融合画像を生成し、上記熱可視融合画像を上記表示手段に表示する第3の表示工程と、
    上記熱可視融合画像を表示する上記表示手段の画面上で上記構造物の欠陥部をポインティングデバイスで指示することによって当該欠陥部の長さ及び/又は面積を算出し、当該熱可視融合画像上に当該欠陥部の長さ及び/又は面積の値を表示するとともに、これら欠陥部のリストを別ウィンドウとして表示する第4の表示工程とを備えること
    を特徴とする赤外線構造物診断方法。
  17. 上記第1の表示工程では、上記ディジタルカメラの画素数よりも少ない画素数の可視画像、及び上記赤外線カメラの画素数よりも少ない画素数の熱画像が上記表示手段に表示されること
    を特徴とする請求項16記載の赤外線構造物診断方法。
  18. 上記第3の表示工程では、上記等縮尺の可視画像及び熱画像を同一視野及び同一画角となるように補正する際に、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのカメラレンズの歪曲収差に基づく画像の光学歪みを補正する処理が行われること
    を特徴とする請求項16記載の赤外線構造物診断方法。
  19. 上記第3の表示工程では、さらに、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとの視差を補正する処理が行われること
    を特徴とする請求項18記載の赤外線構造物診断方法。
  20. 上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとの視差を補正する処理は、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのそれぞれのカメラ光学系中心間距離と、上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラと上記構造物との間の距離を測定する測距計によって得られた距離と、上記撮像手段の水平角及び仰俯角を測定する角度測定器によって得られた水平角及び仰俯角とを用いて行われること
    を特徴とする請求項19記載の赤外線構造物診断方法。
  21. 上記第3の表示工程では、さらに、上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのカメラレンズ画角差を補正する処理が行われること
    を特徴とする請求項19記載の赤外線構造物診断方法。
  22. 上記ディジタルカメラと上記赤外線カメラとのカメラレンズ画角差を補正する処理は、上記ディジタルカメラのカメラレンズ画角と上記赤外線カメラのカメラレンズ画角とのうち、カメラレンズ画角が小さい方の値を用いて行われること
    を特徴とする請求項21記載の赤外線構造物診断方法。
  23. 上記第3の表示工程では、下地の画像に可視画像を用い、その上地として熱画像を重ね合わせた上記熱可視融合画像が上記表示手段に表示されること
    を特徴とする請求項16記載の赤外線構造物診断方法。
  24. 上記第4の表示工程では、上記熱可視融合画像を表示する上記表示手段の画面上での上記欠陥部の指定後は、当該欠陥部の領域のみについて熱情報を反映し、当該欠陥部以外の領域については透明とした熱画像を可視画像に対して重畳した熱可視融合画像が当該表示手段に表示されること
    を特徴とする請求項23記載の赤外線構造物診断方法。
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