JP2005036989A - 空気調和システム - Google Patents

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Abstract

【課題】システム全体の容量が大きくなって設置スペースをとりすぎたり、潜熱負荷や顕熱負荷の変化に追従して処理できなかったり、室外機が故障すると室内の温湿度を適切な条件に維持できないという課題があった。
【解決手段】この空気調和システムは、圧縮機21、室外熱交換器22、膨張弁11および室内熱交換器12を順次接続して構成された冷媒回路系統10aと、圧縮機31、室外熱交換器32、膨張弁13および室内熱交換器12が設置されている同一の室内5に設置された室内熱交換器14を順次接続して構成された冷媒回路系統10bと、室内機送風手段16と、室内5の温湿度検知手段51と、温湿度検知手段51による検知温度および検知湿度に基づいて少なくとも一つの冷媒回路系統10a,10bの室内熱交換器12,14における所定除湿運転を行う室内機制御手段15とを備えている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発熱機器が設置された室内を冷却したり除湿する空気調和システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今般、高顕熱負荷を発生する発熱機器等が設置された空間の空気調和においては、圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、室内熱交換器を順次接続した冷媒回路が汎用されるが、室内熱交換器の容量を大きくし、蒸発温度を高くして顕熱比を大きくすることにより、顕熱負荷だけを処理するようにしている。
【0003】
このような従来技術の一つとして、後述する特許文献1に記載された空気調和システムが挙げられる。特許文献1に記載の空気調和システムを図4,5,6に示す。かかる文献記載の空気調和システムの構成および動作を説明する。図4は空気調和システム61の概略構成を示す正面構成図、図5は空気調和システム61の概略構成を示す平面構成図、図6は空気調和システム61の概略構成を示す側面構成図である。尚、この空気調和システム61は、クリーンルーム70に適用した例を示している。また説明のため、図5では、高性能フィルタ77を省略して示している。
【0004】
クリーンルーム70は建物71の内部に形成されており、図示はしないが、クリーンルーム70内にはその目的に応じて各種の機器が設置されている。このクリーンルーム70の天井面は給気面72に形成されており、クリーンルーム70の床面は、例えばパンチング板やグレイチング床などからなる還気面73に形成されている。給気面72の上方(天井裏空間)に形成された給気チャンバー74と、還気面73の下方(床下空間)に形成された還気チャンバー75とは還気ダクト76によって接続されている。これらの還気チャンバー75と還気ダクト76と給気チャンバー74とによって、クリーンルーム70内に空気を循環供給するようになっている。給気面72には、HEPAフィルタやULPAフィルタなどといった高性能フィルタ77が設置されており、給気面72の全体に高性能フィルタ77が並べてある。
【0005】
還気ダクト76には、複数(この例では、図5に示すように6台)の室内機80,80,80,80,80,80が設置されており、これらの室内機80に冷媒管81を通じて液状の冷媒を供給する2台の室外機82,82が、クリーンルーム70内から熱的に隔離された建物71の外部に設置されている。各室内機80には、冷媒を蒸発させて空気を冷却させるための冷却コイルおよび図示しない膨張弁を備える直膨型熱交換器85と、ファン86とがそれぞれ設けられている。そして、ファン86の稼働により、還気チャンバー75、還気ダクト76および給気チャンバー74を通じてクリーンルーム70内に清浄な空気を循環供給し、その際に、直膨型熱交換器85によって空気を冷却することにより、クリーンルーム70内に設置された各種の発熱機器(図示せず)の発熱を補償するようになっている。
【0006】
各室外機82には、室内機80内に介装された膨張弁によって直膨型熱交換器85で蒸発したガス状の冷媒が、冷媒管87を通じて戻されるようになっている。各室外機82には、冷媒をガス状から液状に戻すのに必要な圧縮機や凝縮器等がそれぞれ設けられている。そして、クリーンルーム70内から熱的に隔離された外気と冷媒を室外機内に設けた送風機によって熱交換させるようになっている。そして、前述の各室内機80に設けられた直膨型熱交換器85と、これら各室外機82に設けられた圧縮機や凝縮器等によってヒートポンプを構成している。
【0007】
図6に示すように、この例では建物71の外部に2台の室外機82を設置し、建物71の内部に6台の室内機80を設置することにより、直膨型熱交換器85の設置数を室外機82の設置数よりも多くしている。そして、各直膨型熱交換器85の容量は例えば25ずつになっており、各室外機82の容量は例えば50ずつになっている。これにより、直膨型熱交換器85の合計容量(25×6=150)が室外機82の合計容量(50×2=100)よりも大きくなるように構成されている。これは、例えば通常の事務所の空調で用いられるマルチパッケージシステムにおいて、室外機の容量を室内機の1.5倍とした構成となっている。
【0008】
以上のように構成された従来の空気調和システムにあっては、クリーンルーム70内の空気が、還気面73から下向きに吐出されて還気チャンバー75に排気される。そして、各室内機80に設けられたファン86の稼働により、還気チャンバー75、還気ダクト76および給気チャンバー74を通じて送風され、フィルタ77でろ過された清浄な空気がクリーンルーム70内に循環供給される。その際、各室内機80に設けられた直膨型熱交換器85において冷媒が蒸発することにより空気が冷却され、クリーンルーム70内に設置された発熱機器の発熱が補償される。また一方で、各直膨型熱交換器85に供給されて蒸発した冷媒は、建物71の外部に設置された各室外機82によって圧縮、凝縮され再び直膨型熱交換器85に供給される。
【0009】
この空調システムにあっては、先に図6で説明したように直膨型熱交換器85の合計容量を室外機82の合計容量よりも大きく設定するとともに直膨型熱交換器85の伝熱面積を大きくすることで、一台当たりの熱負荷が相対的に少なくなり、処理空気の直膨型熱交換器85出入口温度差(コイル出入口温度差)を小さくし、直膨型熱交換器85における冷媒の蒸発温度と表面温度をより高く設定できる。これにより、直膨型熱交換器85を通過する空気中の水分の凝縮量が少なくなるか、もしくは水分が凝縮しないようになっている。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−356422号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来システムのように、室外機と室内機の稼動台数を調整して室内熱交換器の蒸発温度により除湿するものでは、システム全体の容量が大きくなって設置スペースをとりすぎたり、顕熱能力が不足したりする。
また、室内に取り込まれた外気による潜熱負荷や、発熱機器の温度上昇による顕熱負荷が急激に変化した場合に、これらの負荷変化に適切に追従して処理することができない。
そして、一つの冷媒回路系統に複数の室内機が接続されているので、室外機が故障した際には室内の温湿度を適切な条件に維持できない。
更には、外気等に伴って持ち込まれた潜熱負荷により、ルーム内で局所的に潜熱負荷が大きくなる空間(換気扇の近傍空間など)ができやすくなるが、その空間の潜熱負荷を重点的に処理することが困難であった。
そのうえ、潜熱負荷と顕熱負荷の双方が大きい場合に、どちらかを優先して処理するといった工夫もなされていなかった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記した種々の課題を解決するために、この発明は、発熱機器が設置された室内を冷却する空気調和システムであって、容量制御可能な第1の圧縮機、第1の室外熱交換器、第1の膨張弁および第1の室内熱交換器、を順次接続して構成された第1の冷媒回路系統と、容量制御可能な他の圧縮機、他の室外熱交換器、他の膨張弁および第1の室内熱交換器が設置されている同一の室内に設置された他の室内熱交換器、を順次接続して構成された他の冷媒回路系統と、第1の室内熱交換器および他の室内熱交換器に通風して室内に送風する可変風量制御可能な第1の送風手段と、室内の温度および湿度を検知する温湿度検知手段と、温湿度検知手段による検知温度および検知湿度に基づいて第1または他の圧縮機、第1または他の膨張弁、あるいは第1の送風手段を制御することにより、少なくとも一つの冷媒回路系統の室内熱交換器における冷媒の蒸発温度を一時的に室内空気の露点以下にする所定除湿運転を行う第1の制御手段とを備えて成る空気調和システムを提供する。
【0013】
また、発熱機器が設置された室内を冷却する空気調和システムであって、容量制御可能な第1の圧縮機、第1の室外熱交換器、第1の膨張弁および第1の室内熱交換器、を順次接続して構成された第1の冷媒回路系統と、容量制御可能な他の圧縮機、他の室外熱交換器、他の膨張弁および第1の室内熱交換器が設置されている同一の室内に設置された他の室内熱交換器、を順次接続して構成された他の冷媒回路系統と、第1の室内熱交換器に通風して室内に送風する可変風量制御可能な第2の送風手段と、他の室内熱交換器に通風して室内に送風する可変風量制御可能な第3の送風手段と、室内の温度および湿度を検知する温湿度検知手段と、温湿度検知手段による検知温度および検知湿度に基づいて第1または他の圧縮機、第1または他の膨張弁、あるいは第2または第3の送風手段を制御することにより、少なくとも一つの冷媒回路系統の室内熱交換器における冷媒の蒸発温度を一時的に室内空気の露点以下にする所定除湿運転を行う第2の制御手段とを備えて成る空気調和システムを提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明による実施の形態1を図1に示す。図に示すように、この実施形態に係る空気調和システムは、冷媒回路系統(第1の冷媒回路系統)10aと、冷媒回路系統(他の冷媒回路系統)10bを併有している。冷媒回路系統10aは、容量制御可能な圧縮機(第1の圧縮機)21、室外熱交換器(第1の室外熱交換器)22、膨張弁(第1の膨張弁)11および室内熱交換器(第1の室内熱交換器)12がそれぞれ冷媒配管23を介して順次接続されることにより構成されている。また、冷媒回路系統10bは、容量制御可能な圧縮機(他の圧縮機)31、室外熱交換器(他の室外熱交換器)32、膨張弁(他の膨張弁)13および室内熱交換器(他の室内熱交換器)14がそれぞれ冷媒配管33を介して順次接続されることにより構成されている。
【0015】
この例では、冷媒回路系統10aの構成要素のうち、圧縮機21および室外熱交換器22が室外機2に搭載され、膨張弁11および室内熱交換器12は室内機1に搭載されている。そして、室外機2には、室外熱交換器22に送風する室外機送風手段24と、圧縮機21や室外機送風手段24を駆動制御する室外機制御手段25が搭載されている。一方、冷媒回路系統10bの構成要素のうち、圧縮機31および室外熱交換器32は室外機3に搭載されている。膨張弁13および室内熱交換器14は、室内熱交換器12が設置されたと同一の室内機1に搭載されている。そして、室外機3に、室外熱交換器32に送風する室外機送風手段34と、圧縮機31や室外機送風手段34を駆動制御する室外機制御手段35が搭載されている。また、室内機1内には、室内熱交換器12および室内熱交換器14の双方に通風して室内5に送風する可変風量制御可能な案内機送風手段(第1の送風手段)16が1つ配備されている。
【0016】
前記の室内機1は、発熱機器4が設置された室内5に配置されて室内5を冷却・除湿するようになっている。室内5には、当該室内温度および室内湿度を検知する温湿度検知手段51が配備されている。温湿度検知手段51は通信手段17を介して室内機1内の室内機制御手段15(第1の制御手段)と通信接続されている。また、室内機制御手段15は通信手段18を介して室外機制御手段25および室外機制御手段35と通信接続されている。室内機制御手段15は、温湿度検知手段51による検知温度および検知湿度に基づいて冷媒回路系統10aおよび/または冷媒回路系統10bを制御するようになっている。
【0017】
上記構成の空気調和システムにおいて、温湿度検知手段51により検知された検知信号は通信手段17を介して室内機制御手段15へ送信される。室内機制御手段15は、室内機1の冷媒配管温度、室内熱交換器12,14の温度、室内機1への吸込み空気温度、室内機1からの吹き出し空気温度、室内5の温湿度状態等の検知データを取り込んで、膨張弁11、膨張弁13、あるいは、室内機送風手段16を適宜組み合わせて制御する。また、通信手段18を介して室外機制御手段25および/または室外機制御手段35と通信を行う。室外機制御手段25および/または室外機制御手段35は、室内機制御手段15から送信された情報と、室外機2,3の冷媒配管温度、室外熱交換器温度、吸込み外気温度等に基づいて、圧縮機21および/または圧縮機31の容量制御を行う。これにより、室内熱交換器12および/または室内熱交換器14における冷媒の蒸発温度を一時的に室内空気の露点以下にするといった除湿運転(以下、かかる運転態様が「所定除湿運転」である)が実行される。
【0018】
すなわち、室内湿度が予め設定されている目標湿度範囲の上限を超えたと温湿度検知手段51によって検知された場合、室内機制御手段15は例えば室外機2に接続された冷媒回路系統10aの圧縮機21の出力増加や膨張弁11の開度増加を行なって冷媒循環量を増やしたり、室内機送風手段16の風量を低下させたりすることで、室内熱交換器12の蒸発温度を通常運転時よりも一時的に室内空気の露点以下まで低くして除湿運転を行う。一定時間、前記の所定除湿運転を行って室内湿度が目標湿度範囲内に戻ると、通常運転に戻す。一方、室内機制御手段15は除湿能力が足りないと判断すると、他方の冷媒回路系統10bの室内熱交換器14においても同様に蒸発温度を低くし、除湿能力を増大させる。この時、潜熱処理量を増やしたことによって顕熱処理能力が低下する。
【0019】
しかしながら、室内湿度と同時に温湿度検知手段51によって室内温度も検知されているため、室内機制御手段15は、検知温度および検知湿度のうちで設定目標範囲を大きく外れている方(温度または湿度)を判断し、除湿(潜熱)優先運転または冷却(顕熱)優先運転を選択して実施することができる。また、一つの室内機1で、各冷媒回路系統10a,10bごとに除湿運転の優先度合いを変化させられるため、能力を潜熱負荷の変化に追従させることが可能である。更には、一方の冷媒回路系統が故障しても、他方の冷媒回路系統で運転を継続できるので、急激に室内5の空調状態を悪化させることもない。そして、冷媒回路系統を有しているにも拘わらず、室内機1(特に、室内機送風手段16)は1台で済むので、システム全体の容量を小さくでき省スペース化を図ることが可能となる。尚、室内機1に搭載される他の冷媒回路系統の室内熱交換器は上記のように1系統のものだけでなく、2系統以上の室内熱交換器を搭載しても構わない。
【0020】
実施の形態2.
本発明による実施の形態2を図2に示す。図において、この実施形態に係る空気調和システムは、冷媒回路系統(第1の冷媒回路系統)10cと、冷媒回路系統(他の冷媒回路系統)10dと、冷媒回路系統(他の冷媒回路系統)10eを併有している。冷媒回路系統10cは室内機1aと室外機2aとが冷媒配管23aを介して接続され、冷媒回路系統10dは室内機1bと室外機2bとが冷媒配管23bを介して接続され、冷媒回路系統10eは室内機1cと室外機2cとが冷媒配管23cを介して接続されている。いずれも図示は省略するが、室外機2a,2b,2cには、実施形態1の室外機2,3と同様の、容量制御可能な第1の圧縮機または他の圧縮機、第1の室外熱交換器または他の室外熱交換器および室外機送風手段がそれぞれ搭載されている。
室内機1aには第1の室内熱交換器12a、第1の膨張弁11a、第1の室内機制御手段15a(第2の制御手段)が配備され、室内機1bには他の室内熱交換器12b、他の膨張弁11b、他の室内機制御手段15b(第3の制御手段)が配備され、室内機1cには他の室内熱交換器12c、他の膨張弁11c、他の室内機制御手段15c(第3の制御手段)が配備されている。
【0021】
この実施形態では、それぞれの室内機1a,1b,1cに個別に送風手段が配備されている。すなわち、第1の室内熱交換器12aに通風して室内5に送風する可変風量制御可能な送風手段(第2の送風手段)16aが室内機1aに配備され、他の室内熱交換器12bに通風して室内5に送風する可変風量制御可能な送風手段(第3の送風手段)16bが室内機1bに配備され、他の室内熱交換器12cに通風して室内5に送風する可変風量制御可能な送風手段(第3の送風手段)16cが室内機1cに配備されている。
そして、室内機1a,1b,1cは、発熱機器4が設置された室内5に配置されて室内5を冷却・除湿する。室内5には、当該室内温度および室内湿度を検知する温湿度検知手段51が配備されている。温湿度検知手段51は通信手段17を介して室内機1内の室内機制御手段15と通信接続されている。室内機1a,1b,1cの室内機制御手段15a,15b,15cと室外機2a,2b,2cの制御手段(図示省略)とは、実施形態1と同様に、通信手段18によって接続され相互通信される。
【0022】
上記のように構成された空気調和システムでは、室内湿度が予め設定されている目標湿度範囲の上限を超えたと温湿度検知手段51によって検知された場合、室内機制御手段15a,15b,15cは冷媒回路系統10c,10d,10eにおける圧縮機(図示省略)の出力増加や膨張弁11a,11b,11cの開度増加を行なって冷媒循環量を増やしたり、室内機送風手段16a,16b,16cの風量を低下させたりすることで、室内熱交換器12a,12b,12cの蒸発温度を通常運転時よりも一時的に室内空気の露点以下まで低くする所定除湿運転を行う。
この場合も、室内機制御手段15a,15b,15cは実施形態1と同様に作用する。すなわち、検知温度および検知湿度のうちで設定目標範囲を大きく外れている方(温度または湿度)を判断し、除湿(潜熱)優先運転または冷却(顕熱)優先運転を選択して実行させることができる。また、一つの室内機1で、各冷媒回路系統10c,10d,10eごとに除湿運転の優先度合いを変化させられるため、能力を潜熱負荷に追従させることが可能である。更には、一つの冷媒回路系統が故障しても、残りの冷媒回路系統で運転を継続できるので、急激に室内5の空調状態を悪化させることがない。
【0023】
実施の形態3.
本発明による実施の形態3を図3に示す。この実施形態に示した室内5には、室外空気導入用として2つの換気手段52a,52bが設けられ、2つの加熱機器4a,4bが設置され、室内5の複数箇所の温度および湿度を検知する3つの温湿度検知手段51a,51b,51cが配備されている。そして、この実施形態の空気調和システムは、実施形態1で示した冷媒回路系統10a,10bと、実施形態2で示した冷媒回路系統10d,10eの合計4系統を備えている。各冷媒回路系統10a,10b,10d,10eの室内機1,1b,1cは室内5で発熱機器4a,4bの近傍位置に設置されており、それぞれに室内機送風手段16,16b,16cが配備されている。また、この空気調和システムは、3つの温湿度検知手段51a,51b,51cによる検知温度および検知湿度に基づいて室内5における潜熱負荷の高い空間を検知する空間検知手段40と、空間検知手段40による検知空間に近い室内熱交換器12,14,12b,12cを持つ冷媒回路系統10a,10b,10d,10eに所定の除湿運転を実行させる室内機制御手段41(第3の制御手段)とを備えている。温湿度検知手段51、空間検知手段40、室内機制御手段41、室内機1,1b,1cの室内機制御手段(不図示)は、通信手段17を介して通信接続されている。室内機1,1b,1cの室内機制御手段は図示せぬ通信手段を介して室外機2,3,2b,2cの室外機制御手段(不図示)と通信接続されている。
【0024】
従って、換気手段52a,52bの駆動によって湿度の高い外気が室内5に取り込まれた場合でも、温湿度検知手段51a,51b,51cおよび空間検知手段40によって、潜熱負荷が高いと判断された空間に近い室内熱交換器12,14,12b,12cを持つ冷媒回路系統10a,10b,10d,10eが、当該室内熱交換器の蒸発温度を通常運転時よりも一時的に室内空気の露点以下まで低くした所定除湿運転を行って室内5の温湿度を適切な状態に維持するのである。これにより、室外などから室内5に持ち込まれた潜熱負荷が一部の空間に偏っても、その空間の潜熱負荷を適切に処理することができる。
【0025】
実施の形態4.
本発明による実施の形態4を下記に示す。この実施形態による空気調和システムは、図3に示した実施の形態3の構成とほとんど同じである。但し、温湿度検知手段51a,51b,51cによる検知温度と設定目標温度との温度差および検知湿度と設定目標湿度との湿度差に基づいて顕熱負荷除去運転と潜熱負荷除去運転のどちらを優先させるかを判定する優先運転判定手段の機能と、優先運転判定手段により判定された運転を優先させながら所定の除湿運転を行う第4の制御手段の機能を、室内機制御手段41に持たせた点に特徴がある。
【0026】
この場合、温湿度検知手段51a,51b,51cによって検知された全ての相対湿度が、例えば90%なら一時的に全ての室内機1,1b,1cで除湿運転をし、75〜90%、60〜75%、50〜60%というように冷媒回路系統10a,10b,10d,10eの稼動系統数を段階的に変えて所定の除湿運転をする。この時、除湿運転を優先して行っているが、室内温度が上昇しすぎないように、両方(温度または湿度)の設定目標範囲から大きく外れたほうを優先して運転をする。これにより、潜熱、顕熱負荷ともに効率よく処理することができる。
例えば、室内温度の設定目標範囲が20〜25℃であり、室内相対湿度の設定目標範囲が20〜50%であったとすると、検知温度が28℃で検知湿度が40%のときは、優先運転判定手段の機能により顕熱負荷除去運転が優先されると判定され、或る冷媒回路系統により顕熱負荷除去運転を優先させながら他の冷媒回路系統では所定の除湿運転を実行するのである。従って、潜熱負荷および顕熱負荷も大きい場合でも、どちらかを優先して処理することができる。尚、例えば、検知温度が28℃で検知湿度が80%といったように両方が設定目標範囲から外れている場合は、より外れた度合いの大きい方(この例では湿度)を抑えるために、この例では除湿運転を優先させながら他の冷媒回路系統で顕熱負荷除去運転を行う。
【0027】
また、実施の形態3の構成について、温湿度検知手段51a,51b,51cによる検知湿度に基づいて各冷媒回路系統10a,10b,10d,10eに優先順位をつける系統優先順付与手段の機能と、この系統優先順付与手段により付された優先順位に従って各冷媒回路系統10a,10b,10d,10eに所定の除湿運転を実行させる第5の制御手段の機能を、室内機制御手段41に付加してもよい。
【0028】
尚、これまでに述べた室内機制御手段15,15a,15b,15c,41、空間検知手段40、あるいは室外機制御手段25,35の機能は、特に限定されるものでないが、例えばマイクロコンピュータおよびメモリの組合せ構成により実現される。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、検知した室内温度および室内湿度に応じて、複数の冷媒回路系統のうち少なくとも一つの冷媒回路系統の室内熱交換器における冷媒の蒸発温度を一時的に室内空気の露点以下にして除湿運転するので、潜熱除去運転はもとより顕熱除去運転も同時に行える。従って、システム全体として顕熱能力不足に陥りにくい。また、一つの冷媒回路系統が故障した場合でも、残りの冷媒回路系統により室内の温湿度を適切な状態に維持することが可能である。更には、外気の導入や発熱機器からの急な発熱などにより室内の潜熱負荷や顕熱負荷が急激に変化しても、適切に追従してそれぞれの負荷を処理できる。一方、複数の冷媒回路系統の室内熱交換器全てに対し一つの送風手段で通風して室内へ送風するように構成した場合は、室内熱交換器ごとに個別に送風手段を配備した場合と比べてシステム全体をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和システムの構成図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る空気調和システムの構成図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る空気調和システムの構成図である。
【図4】従来技術に係る空気調和システムの正面構成図である。
【図5】前記従来技術に係る空気調和システムの平面構成図である。
【図6】前記従来技術に係る空気調和システムの側面構成図である。
【符号の説明】
1 室内機、1a 室内機、1b 室内機、1c 室内機、2 室外機、2a室外機、2b 室外機、2c 室外機、3 室外機、4,4a,4b 発熱機器、5 室内、10,10a,10b,10c,10d,10e 冷媒回路系統、11,11a,11b,11c,13 膨張弁、12,12a,12b,12c,14 室内熱交換器、15,15a,15b,15c 室内機制御手段、16,16a,16b,16c 室内機送風手段、21 圧縮機、22 室外熱交換器、23 冷媒配管、31 圧縮機、32 室外熱交換器、33 冷媒配管、51,51a,51b,51c 温湿度検知手段。

Claims (2)

  1. 発熱機器が設置された室内を冷却する空気調和システムであって、
    容量制御可能な第1の圧縮機、第1の室外熱交換器、第1の膨張弁および第1の室内熱交換器、を順次接続して構成された第1の冷媒回路系統と、
    容量制御可能な他の圧縮機、他の室外熱交換器、他の膨張弁および前記第1の室内熱交換器が設置されている同一の室内に設置された他の室内熱交換器、を順次接続して構成された他の冷媒回路系統と、
    前記第1の室内熱交換器および前記他の室内熱交換器に通風して前記室内に送風する可変風量制御可能な第1の送風手段と、
    前記室内の温度および湿度を検知する温湿度検知手段と、
    前記温湿度検知手段による検知温度および検知湿度に基づいて前記第1または他の圧縮機、前記第1または他の膨張弁、あるいは前記第1の送風手段を制御することにより、少なくとも一つの冷媒回路系統の室内熱交換器における冷媒の蒸発温度を一時的に室内空気の露点以下にする所定除湿運転を行う第1の制御手段とを備えて成ることを特徴とする空気調和システム。
  2. 発熱機器が設置された室内を冷却する空気調和システムであって、
    容量制御可能な第1の圧縮機、第1の室外熱交換器、第1の膨張弁および第1の室内熱交換器、を順次接続して構成された第1の冷媒回路系統と、
    容量制御可能な他の圧縮機、他の室外熱交換器、他の膨張弁および前記第1の室内熱交換器が設置されている同一の室内に設置された他の室内熱交換器、を順次接続して構成された他の冷媒回路系統と、
    前記第1の室内熱交換器に通風して前記室内に送風する可変風量制御可能な第2の送風手段と、
    前記他の室内熱交換器に通風して前記室内に送風する可変風量制御可能な第3の送風手段と、
    前記室内の温度および湿度を検知する温湿度検知手段と、
    前記温湿度検知手段による検知温度および検知湿度に基づいて前記第1または他の圧縮機、前記第1または他の膨張弁、あるいは前記第2または第3の送風手段を制御することにより、少なくとも一つの冷媒回路系統の室内熱交換器における冷媒の蒸発温度を一時的に室内空気の露点以下にする所定除湿運転を行う第2の制御手段とを備えて成ることを特徴とする空気調和システム。
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