JP2005036697A - 内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】高出力の内燃機関において、高負荷時におけるバルブの傘部の温度低下を図り、かつ低温始動時の排気ガスの温度上昇遅れを防止して排気ガス浄化用の触媒を迅速に活性化できる内燃機関を提供する。
【解決手段】排気バルブ3の傘部3aからステム部3bにかけて穿設した中空部4内に冷媒15を封入した中空バルブとし、傘部3aがステム部3bよりも上方に位置となるように配置する。内燃機関が停止して冷媒が固化した状態では中空部4の傘部3a側が中空状態となり、内燃機関を始動した際の冷媒15による燃焼ガスの熱伝達が抑制されるので、低温始動時の排気ガスの温度上昇遅れが防止でき、排気ガス浄化用の触媒を迅速に活性化することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】排気バルブ3の傘部3aからステム部3bにかけて穿設した中空部4内に冷媒15を封入した中空バルブとし、傘部3aがステム部3bよりも上方に位置となるように配置する。内燃機関が停止して冷媒が固化した状態では中空部4の傘部3a側が中空状態となり、内燃機関を始動した際の冷媒15による燃焼ガスの熱伝達が抑制されるので、低温始動時の排気ガスの温度上昇遅れが防止でき、排気ガス浄化用の触媒を迅速に活性化することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属ナトリウム等の冷媒を封入した中空バルブを備える内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車用内燃機関においては、高出力化と共に低燃費化が要求されている。一方、内燃機関の高出力化に伴って燃焼温度が高くなるため、特に排気バルブへの熱負担が増大して傘部が高温となり、強度が低下して耐久性の低下が懸念される。また、内燃機関の許容回転数を高めると、バルブの慣性質量が大きくなりカムに対する追従性が損なわれることからバルブの軽量化が要求される。
【0003】
この傘部の熱負荷の軽減及び軽量化を満たすバルブとして、例えば図3に一部断面で示すように、熱的に最も厳しい環境下にある排気バルブ21に、傘部21aからステム部21bにかけて直管状の中空部21cを穿設して、この中空部21c内に冷媒22を封入したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、このような中空バルブとして、高出力化に対応するために、例えば図4に断面図を示すように、バルブ25の中空部25cを、ステム部25b側においては直管状に延在させ、傘部25a側においては傘部25aとほぼ同形状のロート状に拡大して、中空部25c内に冷媒22を封入することにより、高負荷時における傘部25aの温度上昇をより効率良く抑えるようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
なお、上記のような中空バルブ内に封入する冷媒22は、通常、高温域では液化状態となり、低温域では固化状態となる金属ナトリウムや、Sn−Bi系あるいはSn−Bi−Zn系の低融点合金が用いられ、内燃機関の作動による高温域において、バルブの駆動により中空部内でシェークされて、傘部が燃焼室およびポートを通る燃焼ガスから受けた熱を冷媒22によってステム部に伝達し、ステム部からバルブガイドおよびシリンダヘッドを介して逃がすことにより、傘部の温度上昇を低減するようになっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−184404号公報(図1、図2)
【特許文献2】
実開平5−50008号公報(図1、図3)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図3あるいは図4に示したような中空バルブを備える従来の内燃機関にあっては、中空バルブを、その傘部がステム部よりも下方に位置するように配置している。
【0008】
このため、特に、図4に示したように、高出力化に対応するために、傘部25a側において中空部25cをロート状に拡大させた中空バルブ25を用いると、内燃機関の停止状態においては、冷媒22が重力によって中空部25c内の傘部25a側に溜まることになり、傘部25a側に溜まった冷媒22が内燃機関の温度低下に伴って固化することになる。
【0009】
このように、冷媒22が中空部25cの傘部25a側において固化すると、その後に内燃機関を始動した際に、始動の瞬間から燃焼ガスの熱が冷媒22により奪われて、排気管に排出される排気ガスの温度上昇が緩慢になる。その結果、排気ガス浄化用の触媒の温度上昇が遅れて触媒の活性化が遅れることが懸念される。図3に示す中空バルブを備えた内燃機関でも同様の現象が懸念される。
【0010】
従って、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、高出力の内燃機関において、高負荷時におけるバルブの傘部の温度上昇を抑制し、かつ低温始動時の排気ガスの温度上昇遅れを防止して触媒を迅速に活性化できる内燃機関を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1に記載の内燃機関の発明は、排気バルブおよび吸気バルブの少なくとも一方のバルブを、傘部からステム部にかけて穿設した中空部内に冷媒を封入した中空バルブとした内燃機関において、上記中空バルブは、上記傘部がステム部よりも上方に位置するように配置したことを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明によると、中空バルブの傘部がステム部よりも上方に位置しているので、内燃機関の停止状態では、中空部内に封入された冷媒は重力によりステム部側に溜まり、冷媒はステム部側に溜まった状態で内燃機関の温度低下に伴って固化することになる。従って、冷媒が固化した状態では中空バルブの傘部側の中空部内が中空状態となり、内燃機関を始動した際の冷媒による燃焼ガスの熱伝達が抑制されるので、低温始動時の排気ガスの温度上昇遅れを防止して、排気ガス浄化用の触媒を迅速に活性化することが可能となる。
【0013】
一方、高負荷時においては、傘部が燃焼室およびポートを通る燃焼ガスから受けた熱を液化した冷媒による熱交換作用によりステム部に伝達し、ステム部からバルブガイドおよびシリンダヘッドを介して速やか逃がすことにより傘部の温度上昇が低減できる。この結果、ノッキングの発生が抑制され、点火進角が可能となり、内燃機関の性能向上が期待できる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1の内燃機関において、上記中空部は、上記傘部側において傘部とほぼ同形状に拡大したことを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明によると、中空部を傘部とほぼ同形状に拡大することによって冷媒が固化した状態では傘部側の拡大された中空部が中空状態となり、該部によって断熱機能が得られ低温始動時の排気ガスの温度上昇遅れがより効率的に防止でき、排気ガス浄化用の触媒を迅速に活性化することが可能となる。一方、高負荷時においては傘部側において傘部と冷媒との接触面積が増大して冷媒への熱伝達量が多くなり、傘部の熱を冷媒によりステム部およびシリンダヘッドにより効率よく伝達できる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2の内燃機関において、上記冷媒は、内燃機関の停止状態下で上記中空部のステム部範囲内に収まる量としたことを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明によると、冷媒が固化した状態では、中空部の傘部側に冷媒が存在しないので、その後の内燃機関の始動時における燃焼ガスの熱伝達がより確実に防止されて排気ガスの温度上昇が早められ、排気ガス浄化用の触媒をより迅速に活性化することが可能となる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの内燃機関において、上記中空バルブは、排気バルブであることを特徴とする。
【0019】
請求項5請求項4の発明によると、冷媒が固化した内燃機関の低温始動時には、排気ガスの温度上昇を早めて排気ガス浄化用の触媒を迅速に活性化することが可能になると共に、冷媒が液化した内燃機関の高負荷時には、冷媒によって排気バルブの傘部の温度上昇を抑えることができるので、内燃機関の更なる高出力化が可能となる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の内燃機関において、上記中空バルブを有する気筒をほぼ水平に配置したことを特徴とする。
【0021】
請求項5の発明によると、気筒がほぼ水平に配置されているので、中空バルブを、例えば気筒の軸線よりも下側に配置することで、その傘部をステム部よりも上方に簡単に位置させることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による内燃機関の実施の形態について、図1および図2を参照して説明する。
【0023】
図1は内燃機関のシリンダヘッド部の要部構成を示す断面図であり、図2は図1に示す排気バルブの構成を示す拡大断面図である。
【0024】
本実施の形態の内燃機関は、複数の気筒を水平に対向して配置した水平対向型エンジンで、シリンダヘッド1内には、各気筒に対応して上部側に吸気バルブ2が配置され、下部側に排気バルブ3が配置されている。
【0025】
吸気バルブ2は、バルブガイド5を介してシリンダヘッド1に摺動可能に取り付けられ、インテークカムシャフト6の回転によりバルブスプリング7のばね力に抗して駆動されて、図示しないインテークマニホールドから吸気ポート8を経て対応する気筒の燃焼室9に混合気を選択的に供給するようになっている。
【0026】
また、排気バルブ3は、バルブガイド10を介してシリンダヘッド1に摺動可能に取り付けられ、エキゾーストカムシャフト11の回転によりバルブスプリング12のばね力に抗して駆動されて、対応する気筒の燃焼室9内の燃焼ガスを排気ポート13から図示しないエキゾーストマニホールドおよび排気ガス浄化装置の排気ガス浄化用の触媒を経て排出するようになっている。
【0027】
本実施の形態では、排気バルブ3として、図4と同様の構成の中空バルブを用いる。すなわち、図2に示すように、傘部3aからステム部3bにかけて中空部4が穿設されている。中空部4はステム部3b側に形成される直管部4aと傘部3a側において傘部3aとほぼ同形状にロート状に拡大する拡大部4bが連続形成されて、中空部4内に冷媒15が封入されている。
【0028】
この中空バルブからなる排気バルブ3は、その傘部3aがステム部3bよりも上方に位置するように、即ち、中空部4の拡大部4bが直管部4aより上方に位置してシリンダヘッド1に配置される。
【0029】
また、冷媒15は、高温域では液化状態となり、低温域では固化状態となる金属ナトリウムや、Sn−Bi系あるいはSn−Bi−Zn系の低融点合金を用い、エンジンの停止状態下では重力によって直管部4aのステム部3bの範囲内に収まる量が封入される。
【0030】
本実施の形態によると、エンジン負荷の高い領域では、排気バルブ3の温度も高いので、冷媒15は液化状態となって排気バルブ3の駆動により中空部4内でシェークされる。これにより、燃焼室9および排気ポート13を通る燃焼ガスから傘部3aが受けた熱は、冷媒15の熱交換作用によりステム部3b側に円滑に伝達され、バルブガイド10およびシリンダヘッド1を介して放熱されて、傘部3aの温度上昇が低減される。この結果、ノッキングの発生が抑制され、点火進角が可能となるので、高出力化が可能となり、性能向上が期待できる。
【0031】
ここで、特に、中空部4の傘部3a側を傘部3aとほぼ同形状の拡大部4aとすることによって、傘部3aと冷媒15との接触面積が増大して傘部3aから冷媒15への熱伝達量が多く確保でき、燃焼室9および排気ポート13を通る燃焼ガスから傘部3aが受けた熱は、効率よくステム部3b側に伝達されて傘部3aの温度上昇が低減できる。
【0032】
その後、エンジンを停止すると、中空部4内の冷媒15は、液化状態となっているので、重力により排気バルブ3のステム部3b側の直管部4aに溜まって落ち着き、その状態でエンジンの温度低下に伴って固化状態となる。
【0033】
このように、排気バルブ3内の冷媒15が固化すると、傘部3a側の拡大部4b内は中空状態となって冷媒15も存在しないので、傘部3aにおける熱容量は小さくなると共に中空状態の拡大部4bが断熱機能を果たす。従って、この状態でエンジンを始動すると、傘部3aからステム部3b側への熱伝達が抑制されて傘部3aによって燃焼ガスから奪われる熱量が減少するので、排気ポート13を経てエキゾーストマニホールドに排出される排気ガスの温度上昇を妨げる作用が緩慢になり温度上昇の遅れが防止される。その結果、排気ガス浄化用の触媒が迅速に活性化される。
【0034】
以上のように、本実施の形態によれば、水平対向型エンジンの排気バルブ3を、傘部3a側において中空部4に拡大部4bを形成した中空バルブとしたので、この排気バルブ3を、その傘部3aがステム部3bよりも上方に位置するようにシリンダヘッド1に簡単に取り付けることができ、中空部4の拡大部4bが直管部4aより上方に位置し、排気バルブ3の中空部4内に封入する冷媒15の量を、エンジンの停止状態下では直管部4a内、即ちステム部3bの範囲内に収まる量としたので、高出力エンジンにおいて、高負荷時の排気バルブ3の温度低下を図りながら、低温始動時の排気ガスの温度上昇遅れを防止して、排気ガス浄化用の触媒を迅速に活性化することができる。
【0035】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明は水平対向型エンジンに限らず、他の配置形式の内燃機関にも適用することができる。また、排気バルブを中空バルブとする場合に限らず、吸気バルブを中空バルブとしたり、排気バルブおよび吸気バルブの双方を中空バルブとすることもできる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、排気バルブおよび吸気バルブの少なくとも一方のバルブを、傘部からステム部にかけて穿設した中空部内に冷媒を封入した中空バルブとした内燃機関において、中空バルブを、その傘部がステム部よりも上方に位置するように配置したので、高負荷時の中空バルブの温度低下を図りながら、低温始動時には冷媒をステム部側に留めて排気ガスの温度上昇遅れが防止でき、触媒を迅速に活性化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による内燃機関の実施の形態の要部構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す排気バルブの構成を示す拡大断面図である。
【図3】従来の内燃機関に用いられている中空バルブの一例を一部断面で示す外観図である。
【図4】同じく、従来の内燃機関に用いられている中空バルブの他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド
2 吸気バルブ
3 排気バルブ
3a 傘部
3b ステム部
4 中空部
4a 直管部(ステム部側)
4b 拡大部(傘部側)
5 バルブガイド
6 インテークカムシャフト
7 バルブスプリング
8 吸気ポート
9 燃焼室
10 バルブガイド
11 エキゾーストカムシャフト
12 バルブスプリング
13 排気ポート
15 冷媒
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属ナトリウム等の冷媒を封入した中空バルブを備える内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車用内燃機関においては、高出力化と共に低燃費化が要求されている。一方、内燃機関の高出力化に伴って燃焼温度が高くなるため、特に排気バルブへの熱負担が増大して傘部が高温となり、強度が低下して耐久性の低下が懸念される。また、内燃機関の許容回転数を高めると、バルブの慣性質量が大きくなりカムに対する追従性が損なわれることからバルブの軽量化が要求される。
【0003】
この傘部の熱負荷の軽減及び軽量化を満たすバルブとして、例えば図3に一部断面で示すように、熱的に最も厳しい環境下にある排気バルブ21に、傘部21aからステム部21bにかけて直管状の中空部21cを穿設して、この中空部21c内に冷媒22を封入したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、このような中空バルブとして、高出力化に対応するために、例えば図4に断面図を示すように、バルブ25の中空部25cを、ステム部25b側においては直管状に延在させ、傘部25a側においては傘部25aとほぼ同形状のロート状に拡大して、中空部25c内に冷媒22を封入することにより、高負荷時における傘部25aの温度上昇をより効率良く抑えるようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
なお、上記のような中空バルブ内に封入する冷媒22は、通常、高温域では液化状態となり、低温域では固化状態となる金属ナトリウムや、Sn−Bi系あるいはSn−Bi−Zn系の低融点合金が用いられ、内燃機関の作動による高温域において、バルブの駆動により中空部内でシェークされて、傘部が燃焼室およびポートを通る燃焼ガスから受けた熱を冷媒22によってステム部に伝達し、ステム部からバルブガイドおよびシリンダヘッドを介して逃がすことにより、傘部の温度上昇を低減するようになっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−184404号公報(図1、図2)
【特許文献2】
実開平5−50008号公報(図1、図3)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図3あるいは図4に示したような中空バルブを備える従来の内燃機関にあっては、中空バルブを、その傘部がステム部よりも下方に位置するように配置している。
【0008】
このため、特に、図4に示したように、高出力化に対応するために、傘部25a側において中空部25cをロート状に拡大させた中空バルブ25を用いると、内燃機関の停止状態においては、冷媒22が重力によって中空部25c内の傘部25a側に溜まることになり、傘部25a側に溜まった冷媒22が内燃機関の温度低下に伴って固化することになる。
【0009】
このように、冷媒22が中空部25cの傘部25a側において固化すると、その後に内燃機関を始動した際に、始動の瞬間から燃焼ガスの熱が冷媒22により奪われて、排気管に排出される排気ガスの温度上昇が緩慢になる。その結果、排気ガス浄化用の触媒の温度上昇が遅れて触媒の活性化が遅れることが懸念される。図3に示す中空バルブを備えた内燃機関でも同様の現象が懸念される。
【0010】
従って、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、高出力の内燃機関において、高負荷時におけるバルブの傘部の温度上昇を抑制し、かつ低温始動時の排気ガスの温度上昇遅れを防止して触媒を迅速に活性化できる内燃機関を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1に記載の内燃機関の発明は、排気バルブおよび吸気バルブの少なくとも一方のバルブを、傘部からステム部にかけて穿設した中空部内に冷媒を封入した中空バルブとした内燃機関において、上記中空バルブは、上記傘部がステム部よりも上方に位置するように配置したことを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明によると、中空バルブの傘部がステム部よりも上方に位置しているので、内燃機関の停止状態では、中空部内に封入された冷媒は重力によりステム部側に溜まり、冷媒はステム部側に溜まった状態で内燃機関の温度低下に伴って固化することになる。従って、冷媒が固化した状態では中空バルブの傘部側の中空部内が中空状態となり、内燃機関を始動した際の冷媒による燃焼ガスの熱伝達が抑制されるので、低温始動時の排気ガスの温度上昇遅れを防止して、排気ガス浄化用の触媒を迅速に活性化することが可能となる。
【0013】
一方、高負荷時においては、傘部が燃焼室およびポートを通る燃焼ガスから受けた熱を液化した冷媒による熱交換作用によりステム部に伝達し、ステム部からバルブガイドおよびシリンダヘッドを介して速やか逃がすことにより傘部の温度上昇が低減できる。この結果、ノッキングの発生が抑制され、点火進角が可能となり、内燃機関の性能向上が期待できる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1の内燃機関において、上記中空部は、上記傘部側において傘部とほぼ同形状に拡大したことを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明によると、中空部を傘部とほぼ同形状に拡大することによって冷媒が固化した状態では傘部側の拡大された中空部が中空状態となり、該部によって断熱機能が得られ低温始動時の排気ガスの温度上昇遅れがより効率的に防止でき、排気ガス浄化用の触媒を迅速に活性化することが可能となる。一方、高負荷時においては傘部側において傘部と冷媒との接触面積が増大して冷媒への熱伝達量が多くなり、傘部の熱を冷媒によりステム部およびシリンダヘッドにより効率よく伝達できる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2の内燃機関において、上記冷媒は、内燃機関の停止状態下で上記中空部のステム部範囲内に収まる量としたことを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明によると、冷媒が固化した状態では、中空部の傘部側に冷媒が存在しないので、その後の内燃機関の始動時における燃焼ガスの熱伝達がより確実に防止されて排気ガスの温度上昇が早められ、排気ガス浄化用の触媒をより迅速に活性化することが可能となる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの内燃機関において、上記中空バルブは、排気バルブであることを特徴とする。
【0019】
請求項5請求項4の発明によると、冷媒が固化した内燃機関の低温始動時には、排気ガスの温度上昇を早めて排気ガス浄化用の触媒を迅速に活性化することが可能になると共に、冷媒が液化した内燃機関の高負荷時には、冷媒によって排気バルブの傘部の温度上昇を抑えることができるので、内燃機関の更なる高出力化が可能となる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の内燃機関において、上記中空バルブを有する気筒をほぼ水平に配置したことを特徴とする。
【0021】
請求項5の発明によると、気筒がほぼ水平に配置されているので、中空バルブを、例えば気筒の軸線よりも下側に配置することで、その傘部をステム部よりも上方に簡単に位置させることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による内燃機関の実施の形態について、図1および図2を参照して説明する。
【0023】
図1は内燃機関のシリンダヘッド部の要部構成を示す断面図であり、図2は図1に示す排気バルブの構成を示す拡大断面図である。
【0024】
本実施の形態の内燃機関は、複数の気筒を水平に対向して配置した水平対向型エンジンで、シリンダヘッド1内には、各気筒に対応して上部側に吸気バルブ2が配置され、下部側に排気バルブ3が配置されている。
【0025】
吸気バルブ2は、バルブガイド5を介してシリンダヘッド1に摺動可能に取り付けられ、インテークカムシャフト6の回転によりバルブスプリング7のばね力に抗して駆動されて、図示しないインテークマニホールドから吸気ポート8を経て対応する気筒の燃焼室9に混合気を選択的に供給するようになっている。
【0026】
また、排気バルブ3は、バルブガイド10を介してシリンダヘッド1に摺動可能に取り付けられ、エキゾーストカムシャフト11の回転によりバルブスプリング12のばね力に抗して駆動されて、対応する気筒の燃焼室9内の燃焼ガスを排気ポート13から図示しないエキゾーストマニホールドおよび排気ガス浄化装置の排気ガス浄化用の触媒を経て排出するようになっている。
【0027】
本実施の形態では、排気バルブ3として、図4と同様の構成の中空バルブを用いる。すなわち、図2に示すように、傘部3aからステム部3bにかけて中空部4が穿設されている。中空部4はステム部3b側に形成される直管部4aと傘部3a側において傘部3aとほぼ同形状にロート状に拡大する拡大部4bが連続形成されて、中空部4内に冷媒15が封入されている。
【0028】
この中空バルブからなる排気バルブ3は、その傘部3aがステム部3bよりも上方に位置するように、即ち、中空部4の拡大部4bが直管部4aより上方に位置してシリンダヘッド1に配置される。
【0029】
また、冷媒15は、高温域では液化状態となり、低温域では固化状態となる金属ナトリウムや、Sn−Bi系あるいはSn−Bi−Zn系の低融点合金を用い、エンジンの停止状態下では重力によって直管部4aのステム部3bの範囲内に収まる量が封入される。
【0030】
本実施の形態によると、エンジン負荷の高い領域では、排気バルブ3の温度も高いので、冷媒15は液化状態となって排気バルブ3の駆動により中空部4内でシェークされる。これにより、燃焼室9および排気ポート13を通る燃焼ガスから傘部3aが受けた熱は、冷媒15の熱交換作用によりステム部3b側に円滑に伝達され、バルブガイド10およびシリンダヘッド1を介して放熱されて、傘部3aの温度上昇が低減される。この結果、ノッキングの発生が抑制され、点火進角が可能となるので、高出力化が可能となり、性能向上が期待できる。
【0031】
ここで、特に、中空部4の傘部3a側を傘部3aとほぼ同形状の拡大部4aとすることによって、傘部3aと冷媒15との接触面積が増大して傘部3aから冷媒15への熱伝達量が多く確保でき、燃焼室9および排気ポート13を通る燃焼ガスから傘部3aが受けた熱は、効率よくステム部3b側に伝達されて傘部3aの温度上昇が低減できる。
【0032】
その後、エンジンを停止すると、中空部4内の冷媒15は、液化状態となっているので、重力により排気バルブ3のステム部3b側の直管部4aに溜まって落ち着き、その状態でエンジンの温度低下に伴って固化状態となる。
【0033】
このように、排気バルブ3内の冷媒15が固化すると、傘部3a側の拡大部4b内は中空状態となって冷媒15も存在しないので、傘部3aにおける熱容量は小さくなると共に中空状態の拡大部4bが断熱機能を果たす。従って、この状態でエンジンを始動すると、傘部3aからステム部3b側への熱伝達が抑制されて傘部3aによって燃焼ガスから奪われる熱量が減少するので、排気ポート13を経てエキゾーストマニホールドに排出される排気ガスの温度上昇を妨げる作用が緩慢になり温度上昇の遅れが防止される。その結果、排気ガス浄化用の触媒が迅速に活性化される。
【0034】
以上のように、本実施の形態によれば、水平対向型エンジンの排気バルブ3を、傘部3a側において中空部4に拡大部4bを形成した中空バルブとしたので、この排気バルブ3を、その傘部3aがステム部3bよりも上方に位置するようにシリンダヘッド1に簡単に取り付けることができ、中空部4の拡大部4bが直管部4aより上方に位置し、排気バルブ3の中空部4内に封入する冷媒15の量を、エンジンの停止状態下では直管部4a内、即ちステム部3bの範囲内に収まる量としたので、高出力エンジンにおいて、高負荷時の排気バルブ3の温度低下を図りながら、低温始動時の排気ガスの温度上昇遅れを防止して、排気ガス浄化用の触媒を迅速に活性化することができる。
【0035】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明は水平対向型エンジンに限らず、他の配置形式の内燃機関にも適用することができる。また、排気バルブを中空バルブとする場合に限らず、吸気バルブを中空バルブとしたり、排気バルブおよび吸気バルブの双方を中空バルブとすることもできる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、排気バルブおよび吸気バルブの少なくとも一方のバルブを、傘部からステム部にかけて穿設した中空部内に冷媒を封入した中空バルブとした内燃機関において、中空バルブを、その傘部がステム部よりも上方に位置するように配置したので、高負荷時の中空バルブの温度低下を図りながら、低温始動時には冷媒をステム部側に留めて排気ガスの温度上昇遅れが防止でき、触媒を迅速に活性化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による内燃機関の実施の形態の要部構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す排気バルブの構成を示す拡大断面図である。
【図3】従来の内燃機関に用いられている中空バルブの一例を一部断面で示す外観図である。
【図4】同じく、従来の内燃機関に用いられている中空バルブの他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド
2 吸気バルブ
3 排気バルブ
3a 傘部
3b ステム部
4 中空部
4a 直管部(ステム部側)
4b 拡大部(傘部側)
5 バルブガイド
6 インテークカムシャフト
7 バルブスプリング
8 吸気ポート
9 燃焼室
10 バルブガイド
11 エキゾーストカムシャフト
12 バルブスプリング
13 排気ポート
15 冷媒
Claims (5)
- 排気バルブおよび吸気バルブの少なくとも一方のバルブを、傘部からステム部にかけて穿設した中空部内に冷媒を封入した中空バルブとした内燃機関において、
上記中空バルブは、上記傘部がステム部よりも上方に位置するように配置したことを特徴とする内燃機関。 - 上記中空部は、上記傘部側において傘部とほぼ同形状に拡大したことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
- 上記冷媒は、内燃機関の停止状態下で上記中空部のステム部範囲内に収まる量としたことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関。
- 上記中空バルブは、排気バルブであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の内燃機関。
- 上記中空バルブを有する気筒をほぼ水平に配置したことを特徴とする請求項1〜4に記載の内燃機関。
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-
2003
- 2003-07-18 JP JP2003199116A patent/JP2005036697A/ja active Pending
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