JP2005036319A - 二次加工用タングステン素材の製造方法 - Google Patents

二次加工用タングステン素材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コイリングなどの二次加工工程に供した場合においても、脆性が高まるおそれが少なく、二次加工工程において曲げ,圧縮,ねじり,引張応力等が作用した場合においても断線や破損が少なく優れた耐久性を有し、二次加工での歩留りを大幅に改善することが可能な二次加工用タングステン素材の製造方法を提供する。
【解決手段】Al,Si,Kがドープ添加されたタングステン(W)を、コイリングなどの二次加工工程を経て製品に加工される二次加工用タングステン素材の製造方法において、タングステン焼結体を転打・線引き加工してタングステン素材を調製し、このタングステン素材の直径Dの1/3を基準長さとしたときの粗さ曲線の凹凸の平均間隔(Sm)を√(D/5)以上とすると共に、上記粗さ曲線の山頂線と谷底線との間隔(Ry)をD/50以下とすることを特徴とする二次加工用タングステン素材の製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は二次加工用タングステン素材の製造方法に係り、特にコイリングなどの二次加工工程に供した場合においても、脆性が高まるおそれが少なく、二次加工工程において曲げ,圧縮,ねじり,引張応力等が作用した場合においても断線や破損が少なく優れた耐久性を有し、二次加工での歩留りを大幅に改善することが可能な二次加工用タングステン素材の製造方法に関する。
従来からTV用電子銃のカソードヒータや自動車ランプ,家電機器の照明ランプのフィラメント材,蒸着用素子,放電電極,電子管用ヒータ,溶接用電極棒,等の構成材として各種タングステン線やタングステン棒が使用されている。
上記のタングステン線等は、一般に以下のような製造プロセスを経て製造されていた。すなわち、タングステンのアンモニウム塩を水素または大気中で分解しタングステン酸化物にAl,Si,Kなどのドープ剤を添加し、水素中で還元した後に酸洗浄を行ってドープタングステン原料粉末を調製する。次に得られた原料粉末を金型プレス機等で成形後、2700〜3000℃程度の温度で焼結してタングステン焼結体を形成する。そして、最終製品の径や寸法が比較的大きな場合もしくは板形状である場合には、上記タングステン焼結体を鍛造加工したり、圧延加工することにより直接的に最終製品とされる。
一方、最終製品がランプ用フィラメントのように線径が極めて微細である場合には、まず転打・伸線(線引き)加工等の一次加工処理を施して、ある程度小径のタングステン素材までに加工処理される。しかる後に、得られたタングステン素材について、さらに転打,線引きなどの加熱加工および再結晶化熱処理などの加工工程を段階的に繰り返して微細直径のタングステン線を作成している。また、従来はタングステン素材の表面を平滑にするために、電解研磨法などが採用されていた。
こうして得られたタングステン線を巻回(コイリング)する二次加工処理を実施してフィラメントを作製し、さらに熱処理(フラッシング)して二次再結晶化されて、ランプ等に装着している。
しかしながら、上記のようなタングステンを主成分とし、一次加工して形成された従来のタングステン素材を、さらに二次加工処理して、より細径の線材を製作したり、コイリングする場合には、二次加工処理工程において素材の脆性が高くなることが多く、曲げ,圧縮,ねじり,引張等の応力が作用したときに破損や欠けを生じ易く、最終製品の製造歩留りが大幅に低下する問題点があった。
また連続処理運転を基本とする現在の加工処理設備において、素材の断線事故が発生すると、その素材の交換や設備の復旧作業に多大な労力負荷が運転員にかかり、製品のコストが上昇し製造効率が低下して大きな損失に直結する問題点もあった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、コイリングなどの二次加工工程に供した場合においても、脆性が高まるおそれが少なく、二次加工工程において曲げ,圧縮,ねじり,引張応力等が作用した場合においても断線や破損が少なく優れた耐久性を有し、二次加工での歩留りを大幅に改善することが可能な二次加工用タングステン素材の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明者は従来の二次加工用タングステン素材を二次加工した場合に、素材が脆化したり、破断事故が多発する原因を鋭意究明した。その結果、タングステン素材の表面性状や潤滑剤の存在の有無が二次加工時における脆化や欠陥の発生に大きな影響を及ぼすことが判明した。
すなわち、タングステン焼結体を転打・線引き加工等の一次加工を施し二次加工用のタングステン素材を調製する際に必須となる、グラファイト(カーボン)を含む潤滑剤が二次加工用素材表面に残留しており、このカーボン成分が高温度の線引き加工時や熱処理時にタングステン素材を脆化させることが判明した。このとき、タングステン素材の表面粗さが大きいと上記カーボンの汚染も大きくなり脆化への影響がより顕著になる。一方、タングステン素材の表面粗さが小さい場合には、水素気流中での熱処理等により、カーボン成分が揮散し易くなるため、脆化は小さくなることも判明した。
上記問題点を解決する手段として、例えばタングステン素材表面を電解研磨して潤滑剤や酸化物層を予め除去したタングステン素材とすることも考えられる。また一次加工後に化学処理を施したり、表面にめっき層を形成してタングステン素材とすることも考えられる。
しかしながら、上記研磨処理,化学処理,めっき処理を追加することは製品コストの上昇を招き得策ではない。また上記潤滑剤層および酸化物層は、一次加工を施す際に必ず形成されるものであり、上記脆化や欠陥の原因となる反面、防錆効果や素材のさらなる酸化を防止する上で有効である面を考慮すると、一概に完全に除去することが必要であるものではない。
本願発明者はさらに検討を進めた結果、次のような知見も得た。すなわち、タングステン焼結体を一次加工して二次加工用タングステン素材を調製する際に、特に線引き(伸線)加工時の条件等を変えることによりタングステン素材の表面性状を適正化したときに、潤滑剤層および酸化物層が残留している場合においても、二次加工時にタングステン素材の脆化や欠陥が少ない安価な二次加工用タングステン素材が得られ、製品の製造歩留り,製造効率が大幅に改善されるという知見を得た。本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明に係る二次加工用タングステン素材の製造方法は、Al,Si,Kがドープ添加されたタングステン(W)を、コイリングなどの二次加工工程を経て製品に加工される二次加工用タングステン素材の製造方法において、タングステン焼結体を転打・線引き加工してタングステン素材を調製し、このタングステン素材の直径Dの1/3を基準長さとしたときの粗さ曲線の凹凸の平均間隔(Sm)を√(D/5)以上とすると共に、上記粗さ曲線の山頂線と谷底線との間隔(Ry)をD/50以下とすることを特徴とする。
また、タングステン素材表面にグラファイトを主成分とする潤滑剤層を形成するように構成してもよい。さらに、タングステン素材表面に酸化物層を形成するように構成してもよい。
また、タングステン素材の直径Dを0.01〜0.5mmの範囲にすることが好ましい。
本発明方法で製造される二次加工用タングステン素材は、タングステン(W)を主成分とするものであるが、再結晶温度を高め、特にWフィラメント製品のノンサグ性を高めるために、Al,Si,Kなどのドープ剤を微量に含有させてもよい。さらに、酸化トリウム(ThO)の分散強化によりWフィラメントの高温強度を高めるために0.5〜5重量%のThOを従成分として含有してもよい。またノンサグ性および耐振性を高めるために所定量のコバルト(Co)を含有してもよい。さらに、高温強度および再結晶後の延性を高めるために2〜27重量%レニウム(Re)を含有してもよい。
本発明方法で規定される二次加工用タングステン素材の表面性状は、日本工業規格(JIS B 0601−1994)の規定に準拠して表示されている。すなわち、凹凸の平均間隔(Sm)は、図1に示すように直径がDである二次加工用タングステン素材1の表面性状を示す粗さ曲線から、その平均線mの方向に、素材の直径Dの1/3に相当する基準長さLだけを抜き取り、この抜き取り部分において一つの山およびそれに隣合う一つの谷に対応する平均線mの長さの和(凹凸の間隔)を求め、この多数の凹凸の間隔(Sm1,Sm2,…,Smi,…Smn)の算術平均値を下記(1)式で算出しミリメートル(mm)で表したものである。
Figure 2005036319
また、山頂線は粗さ曲線から抜き取った基準長さLの中の最も高い山頂を通る平均線に平行な線であり、谷底線は粗さ曲線から抜き取った基準長さLの中の最も低い谷底を通る平均線に平行な線であり、上記抜き取り部分の山頂線と谷底線との間隔をマイクロメートル(μm)で表わしたものがRy(最大高さ)である。
本発明方法で製造される二次加工用タングステン素材において、タングステン素材の直径Dの1/3を基準長さLとしたときの粗さ曲線の凹凸の平均間隔(Sm)は、タングステン素材の直径Dの平方根の1/5以上、すなわち√D/5以上に設定される。この凹凸の平均間隔(Sm)が素材直径Dの平方根の1/5未満となるように素材表面の凹凸の出現頻度が増加すると、この素材をさらに二次加工に供し、圧縮,折曲げ,ねじりその他の応力を付加した際に、凹部を起点として亀裂が伝播し易くなり、線材製品の破断事故が増加してしまう。あるいは、素材表面に付着していた潤滑剤のグラファイト成分(カーボン)に起因する素材の脆性が高まり、最終製品に至る前に破断したり、製品の強度特性を大きく損なうことになる。したがって、上記凹凸の平均間隔(Sm)は素材直径Dの平方根の1/5以上とされるが、1/3以上がより好ましい。
また、本発明方法において、粗さ曲線の山頂線と谷底線との間隔(Ry)はタングステン素材の直径Dの1/50以下とされる。この山頂線と谷底線との間隔、すなわち最大高さ(Ry)がタングステン素材の直径の1/50を超えるように、タングステン素材表面の谷底が深くなると、前記凹凸が増加した場合と同様に、さらなる二次加工をタングステン素材に施したときに、谷底を起点として亀裂が伝播し易くなり、線材製品の破断事故が急増してしまう。
また、谷底に付着していた潤滑剤のグラファイト成分(カーボン)がタングステンと反応して、脆化領域を素材のより深部まで拡大することになり、破断事故の頻発や製品特性の劣化を招き易い。したがって、上記最大高さ(Ry)は、素材直径Dの1/50以下とされるが、1/70以下がより好ましい。
さらに、タングステン素材の直径Dが0.01〜0.2mmの範囲であるときに、二次加工時における破断や脆化が少なくなり、二次加工後における歩留りが向上する。すなわち、素材の直径Dが0.01mm未満と過小になる場合には表面性状を平滑に仕上げることが困難になり潤滑剤の影響を受け易くなる。一方、素材の直径Dが0.2mmを超えるように過大になると、二次加工性が低下し易くなり、素材の破断が生じ易くなる。
上記のような表面性状を有する二次加工用タングステン素材であれば、グラファイトを主成分とする潤滑剤が残存したままの線引き上り線、いわゆるブラック線であっても二次加工時における破断や脆化のおそれは少なく、特性劣化が少ない製品が得られる。
すなわち、本発明方法で製造されるタングステン素材表面には、グラファイトを主成分とする潤滑剤層を形成してもよい。上記潤滑剤層は、転打された棒材を線引き加工して二次加工用タングステン素材を調製する際に使用される潤滑剤が素材に付着して必然的に形成されるものである。
しかしながら、製造された二次加工用タングステン素材が本発明で規定するように良好な表面性状を有する場合には、たとえ二次加工工程において高温度に加熱されても、潤滑剤層のカーボンは揮散し易いため、素材を脆化させるおそれが少ない。この事実から、本発明のタングステン素材は改めて電解研磨処理や化学処理などの表面処理を施す必要がなく、潤滑剤が付着した線引き上り線(ブラック線)のままで製品とすることが可能であり、上記表面処理を必要とする従来の二次加工用タングステン素材と比較して製造コストを大幅に低減ことができる。
また、本発明方法において、タングステン素材表面にグラファイトを主成分とする潤滑剤層を形成してもよい。本来、タングステンは酸化し易く素材表面に形成された酸化物層は、延性などの加工特性および製品特性を劣化させるものである。特に表面処理仕上げ線である場合に、この傾向は顕著である。
しかしながら、上記酸化物層の厚さが2μm以上5μm以下であれば、グラファイト(カーボン)による汚染を防ぎつつタングステン素材の酸化の進展を抑制する防錆効果も発揮されるので有効である。
上記のような表面性状,潤滑剤層および酸化物層を有する二次加工用タングステン素材は、具体的には、φ0.175mmの線径となるまで12〜27%の減面率で650〜950℃の加熱温度で加熱しながら伸線後、一旦電解により2〜12%電解した後、再度表面を酸化させ、さらに潤滑剤を塗布した後に伸線を行うことによって製造される。この後、通常の方法にて二次加工して所定の製品サイズまで伸線を行って最終製品とされる。
上記構成に係る二次加工用タングステン素材の製造方法によれば、素材表面の凹凸の平均間隔(Sm)および最大高さ(Ry)を所定範囲に調整されるため、二次加工処理時に圧縮,曲げ,ねじり,その他の応力を受けた場合においても亀裂の進展等による破断が少なく、二次加工処理における加工処理効率を大幅に改善することができる。
また、素材の表面形状が適正に調整されるため、一次加工時に付着した潤滑剤が残存していても、二次加工における加熱処理や水素炉処理時に、潤滑剤のカーボン成分等が揮散し易く、カーボン成分等による素材の汚染や脆化が効果的に防止でき、二次加工時における破断事故が解消され、製品特性の劣化も防止できる。
本発明に係る二次加工用タングステン素材の製造方法によれば、素材表面の凹凸の平均間隔(Sm)および最大高さ(Ry)を所定範囲に調整しているため、二次加工処理時に圧縮,曲げ,ねじり,引張,その他の応力を受けた場合においても亀裂の進展等による破断が少なく、二次加工処理における加工処理効率を大幅に改善することができる。
また、素材の表面形状が適正に調整されているため、一次加工時に付着した潤滑剤が残存していても、二次加工における加熱処理や水素炉処理時に、潤滑剤のカーボン成分等が揮散し易く、カーボン成分等による素材の汚染や脆化が効果的に防止でき、二次加工時における破断事故が解消され、製品特性の劣化も防止できる。
次に本発明の実施形態について、以下の実施例および比較例に基づいて具体的に説明する。
(実施例1〜6および比較例1〜6)
ドープ剤としてAlを0.08重量%,Siを0.5重量%,Kを0.7重量%含有するタングステン原料粉末を調製し、このタングステン原料粉末を常法により圧粉成形し、得られた成形体を水素炉にて1200℃で30分間仮焼結後、2700〜3000℃で30分間通電焼結を行いタングステン焼結体とした。
さらに得られたタングステン焼結体を転打処理,再結晶処理,伸線処理等の一次加工を実施した。具体的には転打機を使用してタングステン焼結体を温度1300〜1500℃で線径が2〜4mm程度になるまで鍛延した。さらに鍛延したW線材を温度900℃で超硬合金・焼結ダイヤモンドダイスにより線径が0.18mm位になるまで減面率が12〜27%となるように伸線し、さらに電解研摩を2〜4%実施した。さらに各線材をダイヤモンドダイスにより、さらに線引きした。各伸線(線引き)工程では、グラファイトを主成分とする潤滑剤を使用した。上記処理を実施することにより、最終的に表1に示す線径(直径)Dを有する各実施例および比較例に係る二次加工用タングステン素材をそれぞれ調製した。なお、各比較例については減面率が上記実施例での範囲を外れるように設定した。
上記のように調製された各実施例および比較例のタングステン素材の表面には一次加工時に付着したグラファイトからなる潤滑剤層が形成されていた。各タングステン素材から試料を採取し、潤滑剤層を除去した後に、各試料の表面粗さを、エリオニクス社製ERA−8000にて測定し、それぞれ図1に示すように、表面に数ミクロンの不規則な凹凸が形成されていることを示す粗さ曲線を得た。そして各粗さ曲線から凹凸の間隔(Sm)を測定し、前記(1)式に基づいて粗さ曲線の凹凸の平均間隔(Sm)を算出するとともに、粗さ曲線における山頂線と谷底線との間隔である最大高さ(Ry)を測定した。さらに上記Sm値およびRy値の、素材直径Dに対する比を算出して表1に示す結果を得た。
また、各実施例および比較例に係る二次加工用タングステン素材の二次加工性を評価するために、次のような衝撃試験を実施した。すなわち、グラファイトを主成分とする潤滑剤層が形成されたままの各実施例および比較例に係るタングステン素材をコイリングした後に水素気流中で温度1200℃で加熱して形付け処理を施し、表1に示す重量を有する鋼球錘を、コイルの上方で表1に示す落下高さから自由落下させてコイルに衝突せしめ、コイルが脆化して変形能がなくなり粉々に砕け破損するコイルの割合を測定し、表1に示す結果を得た。
なお、上記衝撃試験によりコイルに付加される衝撃力および前処理として水素気流中で加熱して形付け処理される際の温度条件は、このタングステン素材をさらに二次加工する際に、素材に付加される温度環境条件および衝撃力に相当するものと考えられている。
Figure 2005036319
上記表1に示す結果から明らかなように、一次加工した後における素材表面の凹凸の平均間隔(Sm)および最大高さ(Ry)の素材直径Dに対する比を所定の範囲内に調整した各実施例に係るタングステン素材は、脆化することが少なく、衝撃試験によって付加される温度や衝撃力に対して優れた耐久性を有し、二次加工性が良好であることが確認できた。
これは、各実施例に係るタングステン素材の表面粗さが小さいため、表面に付着していた潤滑剤のカーボン成分等が水素気流中での熱処理によって容易に揮散する結果、カーボンとW,Moとの反応による脆化が少ないためであると考えられている。
一方、凹凸の平均間隔(Sm)が小さく、また最大高さ(Ry)が相対的に高く、表面粗さが大きい各比較例に係るタングステン素材においては、衝撃試験により破損する割合が大きく、二次加工性が低下することが確認できた。これは、各比較例のタングステン素材の表面粗さが大きいため、付着していた潤滑剤のカーボン成分の揮散が十分ではなく、素材のカーボンによる汚染が素材組織の深部まで進展し脆化を促進するためであると考えられる。
また、各実施例に係る二次加工用タングステン素材によれば、潤滑剤が付着したままの線引き上がり線(ブラック線)をそのまま二次加工用のタングステン素材として使用できる。すなわち、潤滑剤の悪影響を回避するために、予め電解研磨処理や化学的な表面処理、またはめっき処理等を施工する必要がない。したがって、フィラメントなどの最終製品を製造する際の工程数を削減することができ、製品原価を低減することもできる。
さらに、潤滑剤層を形成したままのブラック線としてのタングステン素材を、そのまま二次加工に供した場合でも、潤滑剤成分による脆化が少なく断線も少ないため、二次加工設備を長時間に亘って連続的に稼動させることができ、タングステン製品の製造効率を高め、設備の運転管理のための労力を大幅に低減することもできる。
本発明方法で製造される二次加工用タングステン素材の表面性状の規定法を説明する部分断面図。
符号の説明
1 二次加工用タングステン素材

Claims (4)

  1. Al,Si,Kがドープ添加されたタングステン(W)を、コイリングなどの二次加工工程を経て製品に加工される二次加工用タングステン素材の製造方法において、タングステン焼結体を転打・線引き加工してタングステン素材を調製し、このタングステン素材の直径Dの1/3を基準長さとしたときの粗さ曲線の凹凸の平均間隔(Sm)を√(D/5)以上とすると共に、上記粗さ曲線の山頂線と谷底線との間隔(Ry)をD/50以下とすることを特徴とする二次加工用タングステン素材の製造方法。
  2. 前記タングステン素材表面にグラファイトを主成分とする潤滑剤層を形成することを特徴とする請求項1記載の二次加工用タングステン素材の製造方法。
  3. 前記タングステン素材表面に酸化物層を形成することを特徴とする請求項1記載の二次加工用タングステン素材の製造方法。
  4. 前記タングステン素材の直径Dを0.01〜0.2mmの範囲とすることを特徴とする請求項1記載の二次加工用タングステン素材の製造方法。
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