JP2005036051A - 放射線硬化性シリコーンゴム組成物および電気・電子装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A) 複数のアクリロイル基および/またはメタクリロイル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B) 放射線増感剤、
(C) 一般式:Si(OR6)4(式中、R6は、炭素原子数1〜4の非置換またはアルコキシ置換のアルキル基である)で表されるアルコキシシランおよびその部分加水分解縮合物より成る群から選ばれる有機けい素化合物、および
(D) 平均粒径5μm以下のハイドロタルサイト類
(更に、好ましくは(E) チタネート化合物およびチタンキレート化合物より成る群から選ばれる少なくとも一種のチタン含有有機化合物)
を含有する放射線硬化性シリコーンゴム組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着性に優れた硬化物を形成でき、電気・電子部品または装置の電極等の防食性に優れた硬化被膜を与える放射線硬化性シリコーンゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外線等の放射線を照射して硬化物とすることができるオルガノポリシロキサン組成物としては、例えば、複数個のアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等のビニル官能性基含有オルガノポリシロキサンと光重合開始剤からなる放射線硬化性光ファイバー用コーティング剤(特許文献1参照)が知られている。しかし、この組成物は基材に対する接着性が低く、特に、電気・電子部品関連のコーティング剤、接着剤、またはポッティング剤としては使用できるものではなかった。
【0003】
また、先に、本出願人は複数のアクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基を有するオルガノポリシロキサンと光増感剤とともに、アルコキシシラン(および/またはその部分加水分解縮合物)を含有し、接着性に優れた硬化物を形成できる放射線硬化性シリコーンゴム組成物(特許文献2)を提案しているが、この組成物は接着力の発現が十分に速やかでなく、また、特に過酷な条件下における基材との接着が未だ不十分であり、防食性が満足できるものではなく、特に有機基の加水分解により有機酸が発生し、金属製基材を侵し腐食が発生するとの問題を有するものであった。
【0004】
【特許文献1】
特公平4−25231号公報
【特許文献1】
特開平11−302348号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、短時間の放射線照射で硬化し速やかに各種基材に対し良好な接着性を示し、かつ過酷な条件下でも基材の防食効果に優れた硬化被膜を与える放射線硬化性組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものとして、
(A) 下記一般式(1):
【0007】
【化4】
〔式中、R1 は独立に非置換または置換の炭素原子数1〜9の1価炭化水素基であり、
Xは独立に下記一般式(2):
【0008】
【化5】
{式中、R2 は炭素原子数2〜4の2価炭化水素基または酸素原子であり、R3 は独立に下記一般式:
【0009】
【化6】
(式中、Rは水素原子またはメチル基である)
で表されるアクリロイル基および/またはメタクリロイル基を1〜3個有する炭素原子数4〜25の1価の有機基であり、R4 は独立に非置換または置換の炭素原子数1〜9の1価炭化水素基であり、R5 は独立に炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、nは1〜3、mは0〜2、かつn+mの和は1〜3の整数である。但し、n=1のとき、前記R3 は2〜3個のアクリロイル基および/またはメタクリロイル基を有する有機基である。}で表される基であり、Lは8〜10,000の整数である〕
で表されるオルガノポリシロキサン、
(B) 放射線増感剤、
(C) 一般式:Si(OR6)4(式中、R6は、炭素原子数1〜6の非置換またはアルコキシ置換のアルキル基である)で表されるアルコキシシランおよびその部分加水分解縮合物より成る群から選ばれる有機ケイ素化合物、および
(D) 平均粒径5μm以下のハイドロタルサイト類
を含有する放射線硬化性シリコーンゴム組成物、およびその硬化物で封止された電気および/または電子装置を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル((meth)acryloyl)、(メタ)アクリル、(メタ)アクリレート等は、それぞれ、アクリロイル(acryloyl)およびメタクリロイル(methacryloyl)、アクリルおよびメタクリル、並びにアクリレートおよびメタクリレート等を包含する用語として使用する。また、「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「Pr」はプロピル基を、「iPr」はイソプロピル基を意味するものである。
【0011】
[(A) オルガノポリシロキサン]
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、下記一般式(1)で表されるものであり、本発明の放射線硬化性シリコーンゴム組成物の主剤(ベースポリマー)として使用されるものである。
【0012】
【化7】
〔式中、R1 は独立に非置換または置換の炭素原子数1〜9の1価炭化水素基であり、
Xは独立に下記一般式(2):
【0013】
【化8】
{式中、R2 は炭素原子数2〜4の2価炭化水素基または酸素原子、R3 は独立に下記一般式:
【0014】
【化9】
(式中、Rは水素原子またはメチル基である)
で表されるアクリロイル基および/またはメタクリロイル基を1〜3個有する炭素原子数4〜25、好ましくは5〜20の1価の有機基、R4 は独立に非置換または置換の炭素原子数1〜9、好ましくは1〜6の1価炭化水素基、R5 は独立に炭素原子数1〜18、好ましくは1〜8の1価炭化水素基であり、nは1〜3、mは0〜2、かつn+mの和は1〜3の整数である。但し、n=1のとき、前記R3 は2〜3個のアクリロイル基および/またはメタクリロイル基を有する有機基である。}で表される基であり、Lは8〜10,000、好ましくは 48〜1,000の整数である〕
【0015】
上記R1 の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基等のアルキル基;シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;および、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部をハロゲン原子、シアノ基等の置換基で置換した、クロロメチル基、シアノエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
【0016】
中でも、メチル基が全R1 の 50モル%以上、より好ましくは 80モル%以上、特に 90モル%以上を占めるものがよく、フェニル基が全R1 の 25モル%以下、好ましくは 10モル%以下(0〜10モル%)であるものが望ましい。
【0017】
上記一般式(2)におけるR2 は炭素原子数2〜4の2価炭化水素基または酸素原子であるが、加水分解等に対する化学的安定性の点から好ましくは2価炭化水素基である。この2価炭化水素基の具体例としては、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基等のアルキレン基が挙げられるが、好ましくはエチレン基である。
【0018】
一般式(2)におけるR3は1〜3個、好ましくは2〜3個、更に好ましくは3個の(メタ)アクリロイル基、即ち、CH2=CHCO−および/または CH2=C(CH3)CO−を、例えば(メタ)アクリロイルオキシ((meth)acyloyloxy)基として有する1価有機基である。この(メタ)アクリロイル基を含む1価有機基の具体例としては、CH2=CHCOOCH2CH2−、[CH2=C(CH3)COOCH2]3C−CH2−、(CH2=CHCOOCH2)3C−CH2−、(CH2=CHCOOCH2)2C(C2H5)CH2−、
【0019】
【化10】
等の、1〜3個の(メタ)アクリロイルオキシ基で置換された炭素原子数1〜10、好ましくは2〜6のアルキル基等が挙げられる。中でも好ましくは、[CH2=C(CH3)COOCH2]3C−CH2−、(CH2=CHCOOCH2)3C−CH2−、(CH2=CHCOOCH2)2C(C2H5)CH2−および
【0020】
【化11】
であり、更に好ましくは、[CH2=C(CH3)COOCH2]3C−CH2−、(CH2=CHCOOCH2)3C−CH2−および
【0021】
【化12】
である。
【0022】
一般式(2)におけるR4 の具体例としては、一般式(1)におけるR1 として例示したものと同じものが挙げられるが、R1 の場合と同様に、メチル基が全R4 の 50モル%以上、より好ましくは 80モル%以上、特に 90モル%以上を占めるものがよく、フェニル基が全R1 の 25モル%以下、好ましくは 10モル%以下(0〜10モル%)であるものが望ましい。
【0023】
一般式(2)におけるR5 の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基;アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基等が挙げられるが、好ましくはアルケニル基等の脂肪族不飽和基ではないものがよい。
【0024】
上記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの好ましい具体例としては、例えば、以下の式で表されるものが挙げられる。
【0025】
【化13】
【0026】
【化14】
【0027】
【化15】
【0028】
【化16】
【0029】
【化17】
【0030】
【化18】
【0031】
【化19】
【0032】
【化20】
【0033】
【化21】
【0034】
【化22】
【0035】
【化23】
【0036】
【化24】
【0037】
【化25】
【0038】
【化26】
【0039】
【化27】
【0040】
【化28】
【0041】
【化29】
【0042】
【化30】
【0043】
【化31】
【0044】
【化32】
【0045】
【化33】
【0046】
【化34】
【0047】
【化35】
〔上記各式中、R’はメチル基、フェニル基または 3,3,3−トリフルオロプロピル基を表し、Lは前記のとおりである。〕
【0048】
この(A)成分のオルガノポリシロキサンは放射線重合性基として、−OR3 基を有している(即ち、分子鎖両末端にそれぞれ複数個の、具体的には2〜9個、好ましくは2〜6個の(即ち、1分子中に4〜18個、好ましくは4〜12個の)(メタ)アクリロイル基を有している)ので、このものは紫外線、遠紫外線、電子線、X線、γ線等の放射線照射により容易に重合して本発明の組成物を硬化させることができるという特徴を有している。なお、この(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0049】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、例えば、対応するクロロシロキサン類と、活性水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物との脱塩化水素反応等によって調製することができる。前記クロロシロキサン類としては、例えば、次式で示されものが挙げられる。
【0050】
【化36】
【0051】
【化37】
【0052】
また、活性水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、例えば、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパン等が挙げられる。
【0053】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、上記一般式(2)に記載の1つのケイ素原子に複数個の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましいので、この点からみて、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましく、特にペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0054】
[(B) 放射線増感剤]
(B)成分の放射線増感剤としては、特に限定されないが、好ましくは、ベンゾフェノン等のベンゾイル化合物(または、フェニルケトン化合物)、特に、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等のカルボニル基のα−位の炭素原子上にヒドロキシ基を有するベンゾイル化合物(またはフェニルケトン化合物);2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビスアシルモノオルガノフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4,−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のオルガノホスフィンオキサイド化合物;イソブチルベンゾインエーテル等のベンゾインエーテル化合物;アセトフェノンジエチルケタール等のケタール化合物;チオキサントン系化合物;アセトフェノン系化合物等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0055】
本発明の組成物中の該(B)成分の含有量は、放射線増感剤として本発明の組成物の紫外線等に照射による硬化に有効な量であればよく、特に制限されないが、上記(A)成分 100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ましくは 0.5〜10重量部、より好ましくは 1.0〜5.0重量部である。
【0056】
[(C) アルコキシシランおよび/またはその部分加水分解縮合物]
(C)成分の一般式:Si(OR6)4(式中、R6は、炭素原子数1〜6、好ましくは1〜4の非置換またはアルコキシ置換のアルキル基である)で表されるアルコキシシランおよびその部分加水分解縮合物より成る群から選ばれる有機ケイ素化合物は、本発明の組成物から得られる硬化物の接着力を向上させる接着助剤として配合されるものであり、この(C)成分の配合により、各種基材に対して良好な接着性を付与することができる。
【0057】
前記R6 としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等のアルコキシ置換のアルキル基が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基である。なお、前記アルコキシシランの部分加水分解縮合物とは、前記アルコキシ基の加水分解縮合反応によって生成する、分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上のアルコキシ基が残存するシロキサン化合物(ケイ素原子数が2〜100個、好ましくは2〜30個程度のシロキサンオリゴマー)を意味する。
【0058】
この(C)成分は、一種単独でも二種以上を組み合わせても使用することができる。また、本発明の組成物中の該(C)成分の含有量は、(A)成分 100重量部に対して、0.5〜10重量部、好ましくは 0.5〜5.0重量部である。
【0059】
[(D) ハイドロタルサイト類]
(D)成分の平均粒径が5μm以下のハイドロタルサイト類は、マグネシウムおよびアルミニウムを含む層状構造の化合物であり、本発明に用いられるものの例としては、KW2200,KW2100,DHT−4A,DHT−4A,DHT−4C(以上、商品名、協和化学工業(株)製)等があり、特に、DHT−4A(平均組成式:Mg4.3Al2(OH)12.6CO3・mH2O、平均粒径:1μm)が好ましい。
【0060】
ハイドロタルサイト類(例えば、前記DHT−4A)は、本質的に陰イオン交換能を有し、その化学構造中のCO3 2−は、例えば、塩酸と反応した場合、その塩素イオン(Cl−)と容易に置換され、そして塩素イオンは結晶構造の中に組み込まれる。これを反応式で示せば、下記のとおりである。
【0061】
上記イオン交換反応により生成する塩素イオン型ハイドロタルサイト類は水および有機溶剤に溶けず、組み込まれた塩素イオン(Cl−)は約 450℃の温度になるまで結晶構造から脱離しないという特性を有している。また、同様に、本発明の上記(A)成分が有する(メタ)アクリロイル基が加水分解により分解して腐食性の有機酸(蟻酸等)が生成した場合にも、それをトラップするとの効果を有する。
【0062】
この(D)成分の平均粒径は、5μm以下、通常、0.05〜5μm、好ましくは 0.1〜3.0μm、より好ましくは 0.1〜2.0μmであり、前記平均粒径が大きすぎると分散性や前記トラップ効果が不十分となる場合がある。
【0063】
また、本発明の組成物中の該(D)成分の含有量は、上記(A)成分 100重量部に対して、通常、1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは3〜8重量部である。前記含有量が少なすぎると有機酸のトラップによる防食効果が期待できず、また、逆に多すぎると組成物中の不純物(特に、塩素イオン等)が減少する点では好ましいが、遊離したマグネシウムイオンおよびアルミニウムイオンが増加することによって、かえって防食効果を損なうという問題が生じるおそれがある。
【0064】
[(E) チタン含有有機化合物]
本発明の組成物には、上記(A)〜(D)成分に加えて、更に、必要に応じて配合される任意成分として、(E) チタネート化合物およびチタンキレート化合物より成る群から選ばれる少なくとも一種のチタン含有有機化合物を配合することができる。この(E)成分のチタネート化合物およびチタンキレート化合物より成る群から選ばれるチタン含有有機化合物は、接着助剤として機能する上記(C)成分のアルコキシシランおよび/またはその部分加水分解縮合物と併用することによって、放射線照射で硬化した際に、各種基材に対する接着性を速やかに発現させる成分である。
【0065】
この(E)成分としては、例えば、式:(R7O)pTi(OSiR8R9R10)4− p(式中、R7 は炭素原子数1〜8、好ましくは2〜4のアルキル基であり、R8、R9、R10 は各々独立に炭素原子数1〜10、好ましくは1〜8のアルキル基またはアルコキシ基であり、pは0〜4の整数である)で表される化合物が挙げられる。上記R7、R8〜R10 としては、上記R6 について例示したと同様のアルキル基、またはアルコキシ基が例示される。
【0066】
上記式で表される化合物の具体例としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラヘキシルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート等のチタネート化合物;(C3H7O)3TiOSi(CH3)(OC3H7)2、(C3H7O)3TiOSi(CH3)2(OC3H7)、[(CH3)3SiO]3TiOSi(CH3)2(OC3H7)、[(CH3)3SiO]4Ti等のトリアルキルシロキシ基、アルコキシジアルキルシロキシ基、トリアルコキシシロキシ基、アルキルジアルコキシシロキシ基等のトリオルガノシロキシ基を有するチタン化合物が挙げられる。
【0067】
(E)成分としては、更に、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸メチルもしくはアセト酢酸エチルに由来する配位子を有するチタンキレート化合物が挙げられる。このチタンキレート化合物としては、前記配位子とともにケイ素原子含有基を有し、かつチタン原子に酸素原子を介して前記ケイ素原子含有基中のケイ素原子が結合しているものが好ましい。このチタンキレート化合物の具体例としては、例えば、以下のものが例示される。
【0068】
【化38】
【0069】
【化39】
(式中、nは2〜100の整数である)
【0070】
この(E)成分は、一種単独でも二種以上を組み合わせても使用することができる。
また、本発明の組成物中の該(E)成分の含有量は、上記(A)成分 100重量部に対して、20重量部以下(即ち、0〜20重量部)の範囲で必要に応じて配合することができ、通常、0.001〜20重量部、好ましくは 0.01〜10重量部、より好ましくは 0.1〜5重量部である。
【0071】
[他の配合成分]
本発明の組成物には、上記(A)〜(D)成分に加えて、本発明の目的および効果を損なわない限度において他の成分を配合することは任意である。例えば、硬化時における収縮率、および得られる硬化物の熱膨張係数、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、難燃性、燃膨張係数、ガス透過率等を適宜調整することを目的として各種添加剤を配合してもよい。
【0072】
例えば、煙霧質シリカ、シリカエアロゲル、石英粉末、ガラス繊維、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機質充填剤;ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のラジカル重合禁止剤(ポットライフ延長剤)等を配合してもよい。
【0073】
[組成物の調製および硬化]
本発明の上記(A)〜(D)成分、および必要に応じてその他の配合成分を混合することにより得られる。得られた組成物は、これに放射線を照射することにより速やかに硬化して硬化直後から強固な接着性を発現するゴム状弾性体を与える。
【0074】
照射する放射線としては、紫外線、遠赤外線、電子線、X線、γ線等が挙げられるが、装置の手軽さ、扱いの容易性等から、紫外線を使用することが好ましい。紫外線を発する光源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアークランプ、キセノンランプ等が挙げられる。紫外線(ピーク波長:320〜390nm)の照射量は、例えば、本発明の組成物を厚み2mmに成形したもの対して、200〜2,400mJ/cm2、好ましくは 400〜1,600mJ/cm2である。
【0075】
[用途]
本発明の組成物により得られる硬化物は、例えば、フラットパネルディスプレイ、プラズマディスプレイ等の電極、各種電気・電子部品等の保護膜・封止剤として有用であり、過酷な条件下で試験した場合であっても非常に優れた防食性効果が発揮される。
【0076】
【実施例】
以下、本発明を、合成例、実施例等によって説明する。なお、下記において、「部」は重量部を示す。
【0077】
(合成例)
攪拌装置、還流冷却器、滴下ロートおよび乾燥空気導入器を備えた1,000mLの反応装置に、(A)下記平均一般式:
【0078】
【化40】
で示されるオルガノポリシロキサン 571g、2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパン(商品名:NKエステル701−A、新中村化学工業(株)製)47g、トルエン 200mL、トリエチルアミン 26g、および重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール)2,000ppmとを仕込み、これらを攪拌しながら、70℃に昇温して7時間加熱した。その後、放冷し、濾過し、得られたろ液に中和剤としてプロピレンオキサイド4gを添加し室温にて1時間攪拌した。その後、100℃/30mmHgの条件でストリップを行って、次式で示される透明なオイル状のオルガノポリシロキサンを得た。
【0079】
【化41】
【0080】
[実施例1]
(A)合成例1で得られたオイル状のオルガノポリシロキサン 100部、(B1) 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1オン2部、(B2) 2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド1部、(C)テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(メトキシシロキサンオリゴマー)1部、(D)ハイドロタルサイト(前記DHT−4A)3部、および(E)下記式:
【0081】
【化42】
で示されるチタンキレート化合物 0.1部を混合して、放射線硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得た。
【0082】
この組成物を深さ1mm、幅 120mm、長さ 170mmの金型に流し込み、メタルハライド水銀灯2灯を備えるコンベア炉内(照度:80W/cm2)で2秒間紫外線を照射し(エネルギー量:800mJ)、硬化物を得た。
【0083】
<各種性能評価>
・物性
得られた硬化物について、その物性(硬度、伸び、引張り強度)を、JIS K 6301 に準拠して測定した(なお、硬度はスプリング式A型試験機によって測定した)。その結果を表1に示す。
【0084】
・接着性
また、前記組成物を、シリコン、シリカ、ガラス、アルミニウム、ポリイミド(商品名:カプトン、デュポン社製)およびクロム製の各基板の上に、2cm×2cmの面積に厚さ2mmに塗布した後、上記照射条件(照度:80W/cm2、エネルギー量:800mJ)で紫外線を照射し、硬化させた。硬化後 16時間室温に放置した後に、得られた硬化被膜の各基板に対する接着性を、以下のようにして評価した。その結果を表1に示す。
【0085】
ピンセットで硬化皮膜の一端をつかみ、被膜の引き剥がしを試みた。剥離するか否か、また、剥離状態を観察して下記のとおりに評価した。
完全に接着して、剥離できない(凝集破壊率:90%以上)場合について、接着性が良好であると評価して○で表示した。
被膜の一部が剥離する(凝集破壊率:20%以上90%未満)場合について、接着性がやや不良であると評価して△で表示した。
全部が完全に剥離する(凝集破壊率:20%未満)場合について、接着性が不良であると評価して×で表示した。
【0086】
・防食性
間隔が5μmのAlくし形電極を作成し、その電極表面上に、前記組成物を平均50μmの厚みで被覆した後、上記条件で紫外線を照射して硬化させた。同様にして5個のテストパッケージを作製し、温度 85℃、湿度 85%、25V電圧印加という条件下で、表2に記載の時間連続して導通試験を行い、腐食の発生の有無を確認した。
即ち、顕微鏡にて目視し、腐食状態(断線やサビ状物の発生)となっているものを、防食性が不良であると評価し、その不良品の個数を母数とともに表2に示す。
【0087】
[実施例2]
実施例1に記載の(D)ハイドロタルサイト(前記DHT−4A)の配合量3部を 10部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の試験を行った。その結果を表1および表2に示す。
【0088】
[実施例3]
実施例1に記載の(D)ハイドロタルサイト(前記DHT−4A)の配合量3部を 15部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の試験を行った。その結果を表1および表2に示す。
【0089】
[比較例1]
実施例1に記載の(D)ハイドロタルサイト(前記DHT−4A)の配合量3部を 0.1部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の試験を行った。その結果を表1および表2に示す。
【0090】
[比較例2]
実施例1に記載の(D)ハイドロタルサイト(前記DHT−4A)の配合量3部を 30部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、実施例1と同様の試験を行った。その結果を表1および表2に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【発明の効果】
本発明の組成物は、放射線、例えば紫外線の短時間の照射により容易に硬化し、室温において接着性が発現する。更に、耐腐食性に優れた硬化被膜を形成することから、例えば、液晶電極、有機EL電極、プラズマディスプレイ電極の保護コーティング剤、各種電気・電子部品の保護コーティング剤に有用であり、製品の信頼性を向上させることができる。
Claims (6)
- (A) 下記一般式(1):
Xは独立に下記一般式(2):
で表されるアクリロイル基および/またはメタクリロイル基を1〜3個有する炭素原子数4〜25の1価の有機基であり、R4 は独立に非置換または置換の炭素原子数1〜9の1価炭化水素基であり、R5 は独立に炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、nは1〜3、mは0〜2、かつn+mの和は1〜3の整数である。但し、n=1のとき、前記R3 は2〜3個のアクリロイル基および/またはメタクリロイル基を有する有機基である。}で表される基であり、Lは8〜10,000の整数である〕
で表されるオルガノポリシロキサン、
(B) 放射線増感剤、
(C) 一般式:Si(OR6)4(式中、R6は、炭素原子数1〜6の非置換またはアルコキシ置換のアルキル基である)で表されるアルコキシシランおよびその部分加水分解縮合物より成る群から選ばれる有機ケイ素化合物、および
(D) 平均粒径5μm以下のハイドロタルサイト類
を含有する放射線硬化性シリコーンゴム組成物。 - 請求項1に記載の組成物であって、前記(A)成分の前記一般式(2)のR3 が2〜3個のアクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基を有するアルキル基である組成物。
- 請求項1または2項に記載の組成物であって、更に、(E) チタネート化合物およびチタンキレート化合物より成る群から選ばれる少なくとも一種のチタン含有有機化合物を含有する組成物。
- 請求項3に記載の組成物であって、前記(E)成分のチタン含有有機化合物が、式:(R7O)pTi(OSiR8R9R10)4− p(式中、R7 は炭素原子数1〜8のアルキル基であり、R8、R9、R10は各々独立に炭素原子数1〜10のアルキル基またはアルコキシ基であり、pは0〜4の整数である)で表される化合物、並びに、アセチルアセトン、アセト酢酸メチルもしくはアセト酢酸エチルに由来する配位子を有する錯体、およびケイ素原子含有基を有し、かつチタン原子に酸素原子を介して前記ケイ素原子含有基中のケイ素原子が結合している錯体より成る群から選ばれる化合物である組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物であって、前記(A)成分 100重量部に対して、前記(B)成分 0.1〜10重量部、前記(C)成分 0.5〜10重量部、前記(D)成分1〜20重量部、および前記(E)成分0〜20重量部を含有する組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物に放射線を照射して得られた硬化物で封止された電気および/または電子装置。
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JP2006253218A (ja) * | 2005-03-08 | 2006-09-21 | Tdk Corp | 光学半導体装置及び製造方法 |
JP2008024944A (ja) * | 2007-08-27 | 2008-02-07 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 放射線硬化性シリコーンゴム組成物で封止又はコーティングされた電子部品 |
JP2008248239A (ja) * | 2007-03-08 | 2008-10-16 | Toray Ind Inc | シロキサン樹脂組成物、それを用いた硬化膜および光学デバイス |
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-
2003
- 2003-07-17 JP JP2003198269A patent/JP2005036051A/ja active Pending
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