JP2005035850A - 隔壁用ペースト、隔壁付き基板の製造方法、およびプラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマディスプレイパネルに例示されるフラットディスプレイパネルの背面板に好適な隔壁付き基板の製造において、誘電体層と隔壁との同時焼成による形成を行うこと。
【解決手段】未焼成状態の誘電体層上に、グリコールジアセテート類、グリセリルジアセテート類、グリセリルトリアセテート類、脂肪族ジオール類、脂肪族トリオール類、炭素数3以下のアルキレンを2つもつジアルキレングリコールメチルエーテル類、クエン酸エステル類、2価の脂肪酸エステル類、および水からなる群から選ばれる特定の溶剤成分を含有する隔壁用ペーストを塗布する。
【選択図】 なし
【解決手段】未焼成状態の誘電体層上に、グリコールジアセテート類、グリセリルジアセテート類、グリセリルトリアセテート類、脂肪族ジオール類、脂肪族トリオール類、炭素数3以下のアルキレンを2つもつジアルキレングリコールメチルエーテル類、クエン酸エステル類、2価の脂肪酸エステル類、および水からなる群から選ばれる特定の溶剤成分を含有する隔壁用ペーストを塗布する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、プラズマディスプレイパネルなどフラットディスプレイパネルの背面板の隔壁に主に用いられる隔壁用ペーストに関する。また、フラットディスプレイパネルの背面板等に好適な隔壁付き基板の製造方法、およびプラズマディスプレイパネルに関する。
薄型の平面型のカラー表示装置、いわゆるフラットディスプレイとして、プラズマディスプレイが近年注目されている。この表示装置のパネル構造における特徴の一つとして、画素を区切るために画面全域に形成される隔壁が挙げられる。通常、プラズマディスプレイパネルでは、前面板と背面板が重ね合わされている。前面板の基板表面には、通常、透明電極および該透明電極を被覆する誘電体層が形成されており、該誘電体層はMgO膜で被覆され、保護されている。また、背面板の基板の表面には、通常、アドレス電極および該アドレス電極を被覆する絶縁被覆層(背面誘電体層)が形成されており、該背面誘電体層の上には隔壁が形成されている。前面板、背面板とも、基板には通常ガラス基板が用いられる。隔壁は画面全域に格子状もしくはストライプ状などに形成され、その格子間隔は典型的には200〜300μmであり、隔壁の幅、高さは、典型的にはそれぞれ80μm、150μm程度である。
プラズマディスプレイパネルの隔壁を含む背面板は、たとえば、次のように形成される。
まず、表面にアドレス電極が形成されたガラス基板上に、主成分としてガラス粉末、樹脂および溶剤を含有するガラスペーストを塗布し、または主成分としてガラス粉末および樹脂を含有するシート材料を貼り合わせ、乾燥後、焼成することにより、アドレス電極を被覆する背面誘電体層を形成する。
次に、隔壁用ペーストを背面誘電体層上の全面に塗布し、乾燥させる。隔壁用ペーストは、隔壁形状を保持するためのセラミックフィラー、固着材であるガラス粉末、色調調整のための耐熱顔料等からなる無機粉末をビヒクルと混合して作製する。通常、ガラス粉末としてはPbO−SiO2−B2O3系ガラスの粉末が、耐熱顔料としてはチタニア等の白色顔料またはCr−Cu複合酸化物等の黒色顔料が、セラミックフィラーとしてはアルミナ、ジルコン、ジルコニア等の粉末が、それぞれ使用される。前記PbO−SiO2−B2O3系ガラスのモル%表示の代表的な組成は、B2O3 15%、SiO2 40%、PbO 35%、Al2O3 5%、TiO2 5%、である。ビヒクルは樹脂と有機溶剤を含み、樹脂にはエチルセルロース等の熱可塑性樹脂が使用される。また、有機溶剤には、ターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等が単独または混合して使用される(例えば、特許文献1参照)。
まず、表面にアドレス電極が形成されたガラス基板上に、主成分としてガラス粉末、樹脂および溶剤を含有するガラスペーストを塗布し、または主成分としてガラス粉末および樹脂を含有するシート材料を貼り合わせ、乾燥後、焼成することにより、アドレス電極を被覆する背面誘電体層を形成する。
次に、隔壁用ペーストを背面誘電体層上の全面に塗布し、乾燥させる。隔壁用ペーストは、隔壁形状を保持するためのセラミックフィラー、固着材であるガラス粉末、色調調整のための耐熱顔料等からなる無機粉末をビヒクルと混合して作製する。通常、ガラス粉末としてはPbO−SiO2−B2O3系ガラスの粉末が、耐熱顔料としてはチタニア等の白色顔料またはCr−Cu複合酸化物等の黒色顔料が、セラミックフィラーとしてはアルミナ、ジルコン、ジルコニア等の粉末が、それぞれ使用される。前記PbO−SiO2−B2O3系ガラスのモル%表示の代表的な組成は、B2O3 15%、SiO2 40%、PbO 35%、Al2O3 5%、TiO2 5%、である。ビヒクルは樹脂と有機溶剤を含み、樹脂にはエチルセルロース等の熱可塑性樹脂が使用される。また、有機溶剤には、ターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等が単独または混合して使用される(例えば、特許文献1参照)。
次に、乾燥した隔壁用ペースト塗布層の上に、ドライフィルムレジストをラミネートし、所望の隔壁パターンの露光マスクをセットして露光後、炭酸ナトリウム水溶液等を用いて現像し、前記塗布層の上に隔壁パターンを形成する。
この隔壁パターンが形成された塗布層の不要部をサンドブラストによって切削し、未焼成の隔壁を得る。この未焼成の隔壁の上に残っているドライフィルムを水酸化ナトリウム水溶液、エタノールアミン等によって除去後、500〜620℃で焼成することで、隔壁を形成する。
続いて、隔壁で区切られたセル内に蛍光体を形成し、さらに基板の周囲にシール層を形成することで、背面板が完成する。
この隔壁パターンが形成された塗布層の不要部をサンドブラストによって切削し、未焼成の隔壁を得る。この未焼成の隔壁の上に残っているドライフィルムを水酸化ナトリウム水溶液、エタノールアミン等によって除去後、500〜620℃で焼成することで、隔壁を形成する。
続いて、隔壁で区切られたセル内に蛍光体を形成し、さらに基板の周囲にシール層を形成することで、背面板が完成する。
このように、プラズマディスプレイパネルの背面板は、ガラス基板上に電極パターンを形成し、それを被覆する背面誘電体層、さらに画像を形成する画素を区切る隔壁を形成する必要があり、多数の層を積層することにより製造される。また、その前面板も、同様に多数の層が積層され製造される。そのため、製造コストを低減するため、製造工程の簡略化が求められ、簡略化のための技術開発が各パネルメーカーなどで進められている。
その一例としては、背面板において、背面誘電体層と隔壁とがともに同程度の焼成条件により焼成され、形成されていることから、背面誘電体層と隔壁を同時焼成して形成することで、焼成工程を一つ省く試みが挙げられる。たとえば、電離放射線樹脂または熱硬化性樹脂を用い、該樹脂を予め硬化させて未焼成の背面誘電体層を形成することで、背面誘電体層と隔壁とを同時焼成して形成することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−104756号公報(段落0027)
特開2003−109498号公報
その一例としては、背面板において、背面誘電体層と隔壁とがともに同程度の焼成条件により焼成され、形成されていることから、背面誘電体層と隔壁を同時焼成して形成することで、焼成工程を一つ省く試みが挙げられる。たとえば、電離放射線樹脂または熱硬化性樹脂を用い、該樹脂を予め硬化させて未焼成の背面誘電体層を形成することで、背面誘電体層と隔壁とを同時焼成して形成することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
上述の通り、製造コスト低減のため、背面誘電体層と隔壁とを同時焼成により形成することが試みられているが、従来の隔壁用ペーストでは、使用される溶剤などの溶出成分の、未焼成状態の背面誘電体層へのしみ込みや浸食、また混ざり合いが問題であった。この状態で隔壁のパターニングや焼成を行うと、背面誘電体層の膜厚が変動したり、切れ目、割れ目が生じたり、基板からの浮きなどが生じてしまう。
上記特許文献2に開示される技術により、隔壁用ペーストの溶剤による未焼成の背面誘電体層へのしみ込みや侵食、混ざり合いなどの問題はある程度解決される。しかし、この場合、硬化状態の樹脂が焼成により抜けきらず背面誘電体層に残ってしまうこと、つまり背面誘電体層の脱バインダー性が悪いおそれがあり問題である。脱バインダー性が悪いと、残留カーボンによりプラズマ発光時にCO2などが発生しパネル内のガス組成を変えてしまい、プラズマディスプレイパネルの発光特性や寿命を悪化させてしまうことになる。
上記特許文献2に開示される技術により、隔壁用ペーストの溶剤による未焼成の背面誘電体層へのしみ込みや侵食、混ざり合いなどの問題はある程度解決される。しかし、この場合、硬化状態の樹脂が焼成により抜けきらず背面誘電体層に残ってしまうこと、つまり背面誘電体層の脱バインダー性が悪いおそれがあり問題である。脱バインダー性が悪いと、残留カーボンによりプラズマ発光時にCO2などが発生しパネル内のガス組成を変えてしまい、プラズマディスプレイパネルの発光特性や寿命を悪化させてしまうことになる。
本発明は、このような状況に鑑み、誘電体層との同時焼成可能な隔壁用ペーストを提供することを課題とする。また、本発明は、誘電体層と隔壁との同時焼成による形成を行うことのできる隔壁付き基板の製造方法、及び該隔壁付き基板を用い、ディスプレイの性能劣化を招くことなく、製造コストを抑えて製造できるプラズマディスプレイパネルを提供することを課題とする。
本発明者らは、未焼成状態の誘電体層へのしみ込み、浸食等が起こりにくい特定の溶剤を隔壁用ペーストに使用することにより、誘電体層に悪影響を与えず、誘電体層と隔壁とを同時焼成により形成できることを見出した。
すなわち、本発明は、前記課題を解決するために、ガラス粉末を40〜89質量%、樹脂を0.5〜8.0質量%、および溶剤を10〜50質量%含有し、該溶剤が、グリコールジアセテート類、グリセリルジアセテート類、グリセリルトリアセテート類、脂肪族ジオール類、脂肪族トリオール類、炭素数3以下のアルキレンを2つもつジアルキレングリコールメチルエーテル類、クエン酸エステル類、2価の脂肪酸エステル類、および水からなる群から選ばれる溶剤成分の少なくとも1種を含有し、該群から選ばれる溶剤成分の含有量が合計で5質量%以上である隔壁用ペーストを提供する。
上記隔壁用ペーストは、未焼成状態の誘電体層上に塗布され、サンドブラスト法などによるパターニングされた後、未焼成状態の誘電体層と同時に500から620℃で焼成され、緻密な隔壁が形成されるのに適する。なお、パターニング方法はサンドブラスト法に限るものではない。
ここで、溶剤として上記群から選ばれる溶剤成分の含有量は合計で9〜25質量%であることがより好ましい。また、上記群に挙げられる溶剤成分のグリコールジアセテート類としてはプロピレングリコールジアセテート、グリセリルトリアセテート類としてはグリセロールトリアセテート、脂肪族ジオール類としては2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、脂肪族トリオール類としてはグリセロール、炭素数3以下のアルキレンを2つもつジアルキレングリコールメチルエーテル類としてはジプロピレングリコールメチルエーテル、クエン酸エステル類としてはクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、2価の脂肪酸エステル類としてはアジピン酸ジメチルが好ましい。
ここで、溶剤として上記群から選ばれる溶剤成分の含有量は合計で9〜25質量%であることがより好ましい。また、上記群に挙げられる溶剤成分のグリコールジアセテート類としてはプロピレングリコールジアセテート、グリセリルトリアセテート類としてはグリセロールトリアセテート、脂肪族ジオール類としては2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、脂肪族トリオール類としてはグリセロール、炭素数3以下のアルキレンを2つもつジアルキレングリコールメチルエーテル類としてはジプロピレングリコールメチルエーテル、クエン酸エステル類としてはクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、2価の脂肪酸エステル類としてはアジピン酸ジメチルが好ましい。
また、隔壁用ペーストの樹脂としてエチルセルロースを、溶剤としてグリコールジアセテート類またはクエン酸エステル類を含有することが好ましい。隔壁用ペーストの樹脂がエチルセルロースの場合に、グリコールジアセテート類またはクエン酸エステル類を溶剤成分として含有させることは、樹脂と溶剤との相溶性が向上し、また該隔壁用ペーストを未焼成状態の誘電体層上に塗布した際に、該未焼成状態の誘電体層への溶剤の浸食等が起こりにくいので、好ましい。
上記隔壁用ペーストは、プラズマディスプレイパネルの背面板等の製造に用いるのに適しており、本発明は、さらに、下記隔壁付き基板の製造方法を提供する。すなわち、本発明は、表面に電極が形成された基板上に、ガラス粉末および樹脂を含有し、焼成されて該電極を被覆する誘電体層となるべき誘電体樹脂層を形成し、該誘電体樹脂層上に、上記隔壁用ペーストを塗布した後に乾燥、加工し、焼成されて隔壁となるべき隔壁樹脂層を形成し、該誘電体樹脂層および該隔壁樹脂層を同時に焼成する、誘電体層および隔壁が形成された隔壁付き基板の製造方法を提供する。ここで、未焼成の誘電体層、すなわち上記誘電体樹脂層はアクリル樹脂を含むことが好ましい。特に上記誘電体樹脂層はアクリル樹脂を含むシート材料から形成されることが好ましい。
さらに、本発明は、表面にアドレス電極が形成されたガラス基板上に、該電極を被覆する背面誘電体層が形成され、該誘電体層上に隔壁が形成されているプラズマディスプレイパネルの背面板として、上記の製造方法により製造された背面板を用いたプラズマディスプレイパネルを提供する。
本発明によれば、隔壁用ペーストに特定の溶剤成分を含有させることにより、プラズマディスプレイに例示されるフラットパネル用基板の製造工程において、該隔壁用ペーストを未焼成状態の誘電体層に直接塗布しても当該未焼成状態の誘電体層を浸食しにくいため、乾燥後、そのまま、500から620℃の焼成で誘電体層と同時に焼成することが可能であり、焼成回数を減ずることによる簡略化、並びに製造コストの低減に有効である。
本発明においては、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)などのフラットディスプレイパネルの背面板に好適な隔壁付き基板を製造するにあたり、表面に電極が形成された基板上に、焼成されて該電極を被覆する誘電体層となるべき誘電体樹脂層を形成し、特定の溶剤成分を含有する隔壁用ペーストを塗布した後に乾燥、加工し、焼成されて隔壁となるべき隔壁樹脂層を形成し、該誘電体樹脂層および該隔壁樹脂層を同時に焼成して、誘電体層および隔壁を形成する。
ここで、隔壁樹脂層とは、未焼成状態の隔壁であり、固着材としてのガラス粉末、バインダーとしての樹脂、溶剤、さらに必要に応じて形状保持のためのセラミックフィラー、色調調整のための顔料、その他の添加物を含む隔壁用ペーストを塗布後乾燥、加工して形成される。上記の通り、本発明では、該隔壁用ペーストに特定の溶剤成分を含有させる。
また、誘電体樹脂層とは、未焼成状態の誘電体層であり、固着材としてのガラス粉末、バインダーとしての樹脂、さらに必要に応じてセラミックフィラー、溶剤、その他の添加物を含むペーストまたはシート状材料から形成される。
以下、本発明について詳細に説明する。
ここで、隔壁樹脂層とは、未焼成状態の隔壁であり、固着材としてのガラス粉末、バインダーとしての樹脂、溶剤、さらに必要に応じて形状保持のためのセラミックフィラー、色調調整のための顔料、その他の添加物を含む隔壁用ペーストを塗布後乾燥、加工して形成される。上記の通り、本発明では、該隔壁用ペーストに特定の溶剤成分を含有させる。
また、誘電体樹脂層とは、未焼成状態の誘電体層であり、固着材としてのガラス粉末、バインダーとしての樹脂、さらに必要に応じてセラミックフィラー、溶剤、その他の添加物を含むペーストまたはシート状材料から形成される。
以下、本発明について詳細に説明する。
<隔壁用ペースト>
(構成)
1)溶剤
本発明における隔壁用ペーストは、グリコールジアセテート類、グリセリルジアセテート類、グリセリルトリアセテート類、脂肪族ジオール類、脂肪族トリオール類、炭素数3以下のアルキレンを2つもつジアルキレングリコールメチルエーテル類、クエン酸エステル類、2価の脂肪酸エステル類、および水からなる群から選ばれる溶剤成分の少なくとも1種を隔壁用ペースト全体に対して合計で5質量%以上、好ましくは9〜25質量%含有する。これら特定の溶剤成分を含む溶剤を用いることにより、ペースト塗布の下地となる誘電体樹脂層への溶剤のしみ込み、浸食等を起こりにくくすることができる。
さらに、本発明の隔壁用ペーストに用いる溶剤としては、下地となる誘電体樹脂層に滴下して、乾燥したときに誘電体樹脂層の変形が小さいものが好ましく、具体的には、誘電体樹脂層断面の凹凸(後述する断面変形高さ)が10μm以内の溶剤が、溶剤の誘電体樹脂層への浸食を起こりにくくするためには、好ましい。
(構成)
1)溶剤
本発明における隔壁用ペーストは、グリコールジアセテート類、グリセリルジアセテート類、グリセリルトリアセテート類、脂肪族ジオール類、脂肪族トリオール類、炭素数3以下のアルキレンを2つもつジアルキレングリコールメチルエーテル類、クエン酸エステル類、2価の脂肪酸エステル類、および水からなる群から選ばれる溶剤成分の少なくとも1種を隔壁用ペースト全体に対して合計で5質量%以上、好ましくは9〜25質量%含有する。これら特定の溶剤成分を含む溶剤を用いることにより、ペースト塗布の下地となる誘電体樹脂層への溶剤のしみ込み、浸食等を起こりにくくすることができる。
さらに、本発明の隔壁用ペーストに用いる溶剤としては、下地となる誘電体樹脂層に滴下して、乾燥したときに誘電体樹脂層の変形が小さいものが好ましく、具体的には、誘電体樹脂層断面の凹凸(後述する断面変形高さ)が10μm以内の溶剤が、溶剤の誘電体樹脂層への浸食を起こりにくくするためには、好ましい。
上記特定の溶剤成分であるグリコールジアセテート類としては、プロピレングリコールジアセテートが例示される。グリセリルトリアセテート類としては、グリセロールトリアセテートが例示される。脂肪族ジオール類としては、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールが例示される。脂肪族トリオールとしては、グリセロールが例示される。炭素数3以下のアルキレンを2つもつジアルキレングリコールメチルエーテル類としては、ジプロピレングリコールメチルエーテルが例示される。クエン酸エステル類としては、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルが例示される。2価の脂肪酸エステル類としては、アジピン酸ジメチルが例示される。なかでも、プロピレングリコールジアセテート、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ジプロピレングリコールメチルエーテルが特に好ましい。
本発明における隔壁用ペーストに用いる溶剤は、下地の誘電体樹脂層への浸食が許容される範囲(たとえば、溶剤として上記誘電体樹脂層の断面変形高さが10μm以内となる)で、上記特定の溶剤成分以外にも他の溶剤成分を含有することも可能である。他の溶剤成分としては、たとえばターピネオール、ジヒドロターピネオールや、ジヒドロターピネーオールアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3ペンタジオールモノイソブチレートに例示されるエステル−アルコール系溶剤、ブチルカルビトールアセテートやブチルカルビトールに例示されるエチレングリコール系溶剤、トリプロピレングリコール−nブチルエーテルなどに例示されるプロピレングリコール系溶剤、フタル酸ジブチルに例示されるフタル酸エステル、セバシン酸ジブチルに例示されるセバシン酸エステル、などが挙げられる。
本発明の隔壁用ペーストが樹脂としてエチルセルロースを含有する場合には、溶剤として、グリコールジアセテート類またはクエン酸エステル類を含有することが好ましく、特に、グリコールジアセテート類としてはプロピレングリコールジアセテートが好ましく、またクエン酸エステル類としてはクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルが好ましい。
本発明の隔壁用ペーストにおける溶剤の構成割合は、隔壁ペースト全体に対して10〜50質量%の範囲であり、好ましくは20〜25質量%である。構成割合をこのように設定することにより塗布時に好ましい流動性を持たすことができる。
2)ガラス粉末
本発明における隔壁用ペーストに用いるガラス粉末は、下記酸化物基準のモル%表示で本質的に、
B2O3+ZnO+PbO+Bi2O3:20〜90%、SiO2:0〜65%、MgO+CaO+SrO+BaO:0〜50%、Li2O+Na2O+K2O:0〜30%、Al2O3+TiO2+ZrO2:0〜13%、CuO:0〜3%、SnO2:0〜3%、
からなることが好ましい。ここで、たとえば「SnO2:0〜3%」とは、SnO2は必須ではないが3%まで含有してもよい、の意である。
下記組成のガラス粉末が典型的である。
B2O3:7%、SiO2:40%、PbO:43%、Al2O3:7%、TiO2:3%。
本発明における隔壁用ペーストに用いるガラス粉末は、下記酸化物基準のモル%表示で本質的に、
B2O3+ZnO+PbO+Bi2O3:20〜90%、SiO2:0〜65%、MgO+CaO+SrO+BaO:0〜50%、Li2O+Na2O+K2O:0〜30%、Al2O3+TiO2+ZrO2:0〜13%、CuO:0〜3%、SnO2:0〜3%、
からなることが好ましい。ここで、たとえば「SnO2:0〜3%」とは、SnO2は必須ではないが3%まで含有してもよい、の意である。
下記組成のガラス粉末が典型的である。
B2O3:7%、SiO2:40%、PbO:43%、Al2O3:7%、TiO2:3%。
ガラス粉末の平均粒径は、好ましくは0.5μmから10μmの範囲であり、最大粒径は、好ましくは40μm以下である。
また、隔壁形成時の焼成温度が500〜620℃である場合、ガラス粉末の軟化点は450〜650℃であることが好ましい。450℃未満では焼成時にガラスが流動しすぎ、所定の隔壁形状が得られない恐れがある。より好ましくは500℃以上である。650℃超では焼成時のガラス流動性が低下し、緻密な隔壁が得られない恐れがある。より好ましくは620℃以下、特に好ましくは600℃未満である。
また、隔壁形成時の焼成温度が500〜620℃である場合、ガラス粉末の軟化点は450〜650℃であることが好ましい。450℃未満では焼成時にガラスが流動しすぎ、所定の隔壁形状が得られない恐れがある。より好ましくは500℃以上である。650℃超では焼成時のガラス流動性が低下し、緻密な隔壁が得られない恐れがある。より好ましくは620℃以下、特に好ましくは600℃未満である。
本発明の隔壁用ペーストにおけるガラス粉末の構成割合は、隔壁用ペースト全体に対して40〜89質量%の範囲である。
ガラス粉末の組成、粒子径、軟化点、構成割合を上記のように設定することにより焼成時に緻密な隔壁を得ることができる。
ガラス粉末の組成、粒子径、軟化点、構成割合を上記のように設定することにより焼成時に緻密な隔壁を得ることができる。
3)樹脂
本発明における隔壁用ペーストに用いる樹脂としては、一般的な熱可塑性樹脂が挙げられる。例示すれば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、スチレン樹脂、フェノール樹脂、などが挙げられる。なかでも、エチルセルロースが好ましい。
本発明の隔壁用ペーストにおけるこれら樹脂の構成割合は、これら樹脂を単独または組み合わせて、隔壁ペースト全体に対して0.5〜8.0質量%の範囲である。構成割合をこのように設定することにより塗布時に好ましい流動性を持たすことができるとともに、サンドブラスト時のマスクフィルムの接着性とブラスト切削性のバランスを持たせ良好な隔壁パターンを得ることができる。
本発明における隔壁用ペーストに用いる樹脂としては、一般的な熱可塑性樹脂が挙げられる。例示すれば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、スチレン樹脂、フェノール樹脂、などが挙げられる。なかでも、エチルセルロースが好ましい。
本発明の隔壁用ペーストにおけるこれら樹脂の構成割合は、これら樹脂を単独または組み合わせて、隔壁ペースト全体に対して0.5〜8.0質量%の範囲である。構成割合をこのように設定することにより塗布時に好ましい流動性を持たすことができるとともに、サンドブラスト時のマスクフィルムの接着性とブラスト切削性のバランスを持たせ良好な隔壁パターンを得ることができる。
4)セラミックフィラー、耐熱性顔料
本発明における隔壁用ペーストに用いることのできるセラミックフィラーとしては、アルミナ、石英結晶および石英ガラス、ジルコニア、ジルコン、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、リン酸ジルコニウム、アルミニウムボレート、ムライト、β−ユークリプタイト、β−スポジュメンなどの各種無機酸化物粉末が挙げられる。
また、必要に応じて、着色を目的に耐熱性顔料を加えることもできる。耐熱性顔料は、隔壁形成時の一般的な焼成温度である500から620℃において耐熱性を有していれば特に制限はなく、目的の色調に応じて適宜選択される。たとえば、白色顔料としてアナタース型、ルチル型のチタニアなど、黒色顔料として目的の色調が黒色の場合、鉄マンガンの酸化物を主体とするもの、銅クロムの酸化物を主体とするもの、銅マンガンの酸化物を主体とするもの、コバルトクロムの酸化物を主体とするものなどが選ばれる。
本発明の隔壁用ペーストにおけるこれらセラミックフィラーおよび耐熱性顔料は、いずれも必須ではないが、これらを含有する場合、隔壁ペースト全体に対して合計で40質量%以下であることが好ましい。構成割合をこのように設定することにより焼成時に緻密な隔壁を得ることができる。
本発明における隔壁用ペーストに用いることのできるセラミックフィラーとしては、アルミナ、石英結晶および石英ガラス、ジルコニア、ジルコン、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、リン酸ジルコニウム、アルミニウムボレート、ムライト、β−ユークリプタイト、β−スポジュメンなどの各種無機酸化物粉末が挙げられる。
また、必要に応じて、着色を目的に耐熱性顔料を加えることもできる。耐熱性顔料は、隔壁形成時の一般的な焼成温度である500から620℃において耐熱性を有していれば特に制限はなく、目的の色調に応じて適宜選択される。たとえば、白色顔料としてアナタース型、ルチル型のチタニアなど、黒色顔料として目的の色調が黒色の場合、鉄マンガンの酸化物を主体とするもの、銅クロムの酸化物を主体とするもの、銅マンガンの酸化物を主体とするもの、コバルトクロムの酸化物を主体とするものなどが選ばれる。
本発明の隔壁用ペーストにおけるこれらセラミックフィラーおよび耐熱性顔料は、いずれも必須ではないが、これらを含有する場合、隔壁ペースト全体に対して合計で40質量%以下であることが好ましい。構成割合をこのように設定することにより焼成時に緻密な隔壁を得ることができる。
5)添加剤
本発明における隔壁用ペーストは、必須ではないが、その他の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、リン酸エステル系、カルボン酸エステル系、ポリアルキルグリコールエーテル系、アルキルポリエーテルアミン系、アルキルアンモニウム塩系等が例示される。
本発明における隔壁用ペーストは、必須ではないが、その他の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、リン酸エステル系、カルボン酸エステル系、ポリアルキルグリコールエーテル系、アルキルポリエーテルアミン系、アルキルアンモニウム塩系等が例示される。
本発明における隔壁用ペーストは、通常、ガラス粉末、セラミックフィラー等の無機粉末と樹脂、溶剤等により構成されるビヒクルを混練して製造することができる。
<隔壁樹脂層>
本発明の隔壁付き基板の製造方法における隔壁樹脂層は、上記の隔壁用ペーストを誘電体樹脂層上へ塗布し、乾燥後、サンドブラスト法等により所望のパターン形状に加工することで形成することができる。なお、パターニングの方法としては、サンドブラスト法以外にも、ドライフィルム法、感光性障壁法などを用いることもできる。また、スクリーン印刷により、隔壁を形成することもできる。
本発明の隔壁付き基板の製造方法における隔壁樹脂層は、上記の隔壁用ペーストを誘電体樹脂層上へ塗布し、乾燥後、サンドブラスト法等により所望のパターン形状に加工することで形成することができる。なお、パターニングの方法としては、サンドブラスト法以外にも、ドライフィルム法、感光性障壁法などを用いることもできる。また、スクリーン印刷により、隔壁を形成することもできる。
<誘電体樹脂層>
本発明の隔壁付き基板の製造方法における誘電体樹脂層は、電極が形成された基板上に、ガラス粉末、樹脂、溶剤、さらに必要に応じてセラミックフィラーを含むペーストを塗布、乾燥する、またはガラス粉末、樹脂、さらに必要に応じてその他の成分を含むシート状に成形されたシート状材料を貼り付けて形成する。本発明の誘電体樹脂層はシート状材料であることが、誘電体樹脂層上に塗布される隔壁用ペーストからの溶剤のしみ込み、浸食等を起こりにくくする上では、好ましい。
本発明の隔壁付き基板の製造方法における誘電体樹脂層は、電極が形成された基板上に、ガラス粉末、樹脂、溶剤、さらに必要に応じてセラミックフィラーを含むペーストを塗布、乾燥する、またはガラス粉末、樹脂、さらに必要に応じてその他の成分を含むシート状に成形されたシート状材料を貼り付けて形成する。本発明の誘電体樹脂層はシート状材料であることが、誘電体樹脂層上に塗布される隔壁用ペーストからの溶剤のしみ込み、浸食等を起こりにくくする上では、好ましい。
本発明の誘電体樹脂層を形成するシート状材料は、ガラス粉末、樹脂、さらに必要に応じてセラミックフィラー等を溶剤で分散後、シート状に塗工し、乾燥することで得られる。
ガラス粉末、セラミックフィラー等は、上記隔壁用ペーストの説明で挙げたものを用いることができる。また、分散時に用いる溶剤としては、トルエン等の公知の溶剤を用いることができる。
ガラス粉末、セラミックフィラー等は、上記隔壁用ペーストの説明で挙げたものを用いることができる。また、分散時に用いる溶剤としては、トルエン等の公知の溶剤を用いることができる。
本発明の誘電体樹脂層を形成するシート材料に用いる樹脂としては、アクリル樹脂が、基板に対する接着性および焼成時に層から完全に酸化除去されやすい等の点で、好ましい。本発明の誘電体樹脂層に用いるアクリル樹脂としては、(メタ)アクリレート化合物の単独重合体、2種以上の共重合体、または(メタ)アクリレート化合物と他の共重合性単量体との共重合体が含まれる。(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレートおよび2−エトキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。アクリル樹脂における、上記(メタ)アクリレート化合物由来の共重合成分は、通常70質量%以上、好ましくは90質量%以上である。
他の共重合性単量体としては、上記(メタ)アクリレート化合物と共重合可能な化合物ならば特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マイレン酸、ビニルフタル酸などの不飽和カルボン酸類;ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどのビニル基含有ラジカル重合性化合物が挙げられる。
好ましいアクリル樹脂の具体例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ−2−エチルヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体などを例示することができる。
<隔壁付き基板およびPDPの製造方法>
以下では、隔壁付き基板の製造方法をPDPの背面板の製造に適用する場合を例にして説明する。
本発明において、PDPは、たとえば交流方式であれば次のようにして製造される。
図1に示すように、前面ガラス基板1aの上に、電極2をパターニングして形成し、バス線(図示せず)を形成した後、通常MgOからなる電極を保護する透明誘電体層3を形成し、前面板を製造する。
一方、背面板の作製では、まず、背面ガラス基板1bの上に、パターニングされたアドレス電極5を形成したのち、背面誘電体層8および隔壁6を形成する。
以下では、隔壁付き基板の製造方法をPDPの背面板の製造に適用する場合を例にして説明する。
本発明において、PDPは、たとえば交流方式であれば次のようにして製造される。
図1に示すように、前面ガラス基板1aの上に、電極2をパターニングして形成し、バス線(図示せず)を形成した後、通常MgOからなる電極を保護する透明誘電体層3を形成し、前面板を製造する。
一方、背面板の作製では、まず、背面ガラス基板1bの上に、パターニングされたアドレス電極5を形成したのち、背面誘電体層8および隔壁6を形成する。
背面誘電体層8および隔壁6は、前述した通り、電極5を有する基板1b上に、誘電体樹脂層を形成し、さらに隔壁樹脂層を形成した後、誘電体樹脂層と隔壁樹脂層を同時に焼成することで形成する。前記焼成が行われる温度は通常、500〜620℃である。500℃未満では焼成後の隔壁に前記樹脂が一部残留し、プラズマディスプレイにおいてパネルを封着する際またはパネル放電時にこれら残留樹脂がガスとなって放出されるおそれがある。620℃超ではガラス基板が変形するおそれがある。
背面誘電体層8および隔壁6の形成に次いで、蛍光体層4を印刷・焼成して形成する。
プラズマディスプレイは、前面ガラス基板1a、背面ガラス基板1bの周縁にシール材(図示せず)をディスペンサで塗布し、上記のように作製した前面板と背面板を、基板の電極が対向するように組み立ててパネル化し、焼成して、プラズマディスプレイの内部を排気して、放電空間7にNeやHe−Xeなどの放電ガスを封入して作製する。
なお、上記の例は交流方式について述べたが、本発明は直流方式にも適用できる。
プラズマディスプレイは、前面ガラス基板1a、背面ガラス基板1bの周縁にシール材(図示せず)をディスペンサで塗布し、上記のように作製した前面板と背面板を、基板の電極が対向するように組み立ててパネル化し、焼成して、プラズマディスプレイの内部を排気して、放電空間7にNeやHe−Xeなどの放電ガスを封入して作製する。
なお、上記の例は交流方式について述べたが、本発明は直流方式にも適用できる。
モル%表示の組成が、SiO2:25%、B2O3:37%、PbO:25%、BaO:9%、Al2O3:3%、SnO2:1%となるように原料を調合・混合し、1200〜1350℃の電気炉中で白金るつぼを用いて1時間溶解し、溶融ガラスを流し出して薄板状ガラスに成形した。該薄板状ガラスをボールミルおよびジェットミルで粉砕して平均粒径が2μmのガラス粉末とした。
次に、表1に示す質量割合でガラス粉末とセラミックフィラー、あらかじめ溶剤に溶解した樹脂と溶剤を混合、三本ロールで混練し、ずり速度4s-1での粘度が40Pa・sとなるように粘度調整し、隔壁用ペーストを作製した。
表1において、例1〜6は実施例、例7〜8は比較例である。
一方、隔壁用ペーストを塗布する際の下地となる誘電体樹脂層を次に述べる方法によって作成した。
軟化点550℃のPbO−B2O3−SiO2−Al2O3系ガラス粉末(平均粒径1.0μm、最大粒径20μm)65質量部とセラミックフィラー(アルミナとチタニア)35質量部の混合物100質量部を40質量部のポリ−2−エチルヘキシルメタアクリレートと50質量部のトルエンで分散後、シート状に塗工、乾燥して得られたフィルム状のグリーンシートを誘電体樹脂層形成材料として用いた。
軟化点550℃のPbO−B2O3−SiO2−Al2O3系ガラス粉末(平均粒径1.0μm、最大粒径20μm)65質量部とセラミックフィラー(アルミナとチタニア)35質量部の混合物100質量部を40質量部のポリ−2−エチルヘキシルメタアクリレートと50質量部のトルエンで分散後、シート状に塗工、乾燥して得られたフィルム状のグリーンシートを誘電体樹脂層形成材料として用いた。
このグリーンシートをガラス基板(旭硝子製PD200)に貼り付け、誘電体樹脂層とした。
各種溶剤による誘電体樹脂層の変形を評価するために、上記のように得られた誘電体樹脂層上に表2に示す溶剤を滴下、23℃の環境で10分間静置した後、120℃の環境で静置乾燥したときに観察される断面変形凹凸の大きさ(断面変形高さ)を触診式表面粗度計で計測した。結果を表2に示す。表2においてプロピレングリコールジアセテートから2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールまではいずれも前記群から選ばれる溶剤成分であり、それらの断面変形高さはいずれも10μm以下である。
各種溶剤による誘電体樹脂層の変形を評価するために、上記のように得られた誘電体樹脂層上に表2に示す溶剤を滴下、23℃の環境で10分間静置した後、120℃の環境で静置乾燥したときに観察される断面変形凹凸の大きさ(断面変形高さ)を触診式表面粗度計で計測した。結果を表2に示す。表2においてプロピレングリコールジアセテートから2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールまではいずれも前記群から選ばれる溶剤成分であり、それらの断面変形高さはいずれも10μm以下である。
次に、上記の通り作製した隔壁用ペーストを誘電体樹脂層上に400μmのスペーサでブレードコートし、23℃の環境で10分間放置後、120℃の環境にて1.5時間乾燥させ、隔壁樹脂層とした。
得られた隔壁樹脂層を目視観察した結果、例1〜8のいずれについても亀裂は認められなかった。
得られた隔壁樹脂層を目視観察した結果、例1〜8のいずれについても亀裂は認められなかった。
次に、例1〜8の隔壁樹脂層について、以下に述べるようにしてブラスト法により隔壁パターンを形成した。
隔壁樹脂層上に、東京応化工業社製のドライフィルムBF704をロール温度110℃、ロール圧150kPa、基板搬送速度0.45m/分の条件で1回ラミネータに通し、ラミネートした。隔壁パターンの露光マスクをセットして250mJ/cm2で露光し、0.3%炭酸ナトリウム水溶液の現像液で現像したものを50℃の乾燥機で15分乾燥させた。これを不二製作所社製サンドブラスト装置(型式 SCM−1ADE−NH−401P)を用いて、サクション圧150kPa、圧送エアー圧75kPa、ガン移動速度4m/分、ローラー回転数2.5rpmの条件で乾燥膜を4回またはそれ以下の回数ブラストし、隔壁パターンに切削した。
続いて、ドライフィルムマスクを剥離処理した後、乾燥し、焼成炉にて350℃−30分保持後、560℃−30分保持にて焼成し、隔壁および誘電体層を形成した。
隔壁樹脂層上に、東京応化工業社製のドライフィルムBF704をロール温度110℃、ロール圧150kPa、基板搬送速度0.45m/分の条件で1回ラミネータに通し、ラミネートした。隔壁パターンの露光マスクをセットして250mJ/cm2で露光し、0.3%炭酸ナトリウム水溶液の現像液で現像したものを50℃の乾燥機で15分乾燥させた。これを不二製作所社製サンドブラスト装置(型式 SCM−1ADE−NH−401P)を用いて、サクション圧150kPa、圧送エアー圧75kPa、ガン移動速度4m/分、ローラー回転数2.5rpmの条件で乾燥膜を4回またはそれ以下の回数ブラストし、隔壁パターンに切削した。
続いて、ドライフィルムマスクを剥離処理した後、乾燥し、焼成炉にて350℃−30分保持後、560℃−30分保持にて焼成し、隔壁および誘電体層を形成した。
このサンプルの破断面をSEM観察し、隔壁、誘電体層に欠陥がないか評価した。ここで言う欠陥とは、隔壁−誘電体層間の剥離、誘電体層−ガラス基板間の剥離、誘電体層の切れ、へこみを指す。評価基準は、以下の通りで、評価結果は表3に示す。
○:欠陥が全く観察されない。
△:欠陥が観察されるが、その程度が軽微なもの。
×:その程度が軽微ではない欠陥が観察される。
○:欠陥が全く観察されない。
△:欠陥が観察されるが、その程度が軽微なもの。
×:その程度が軽微ではない欠陥が観察される。
表3から明らかなように、実施例1〜6は誘電体樹脂層への浸食などの悪影響が小さく、同時焼成した場合に欠陥の少ない隔壁、誘電体層を得ることができる。また、実施例1,2と3〜6との結果より、本発明で定める特定の溶剤成分を隔壁用ペーストに9〜25質量%含有させた場合に、より好ましい結果が得られることが分かる。
さらにまた、表2の結果と表3の結果より、断面変形凹凸の大きさが10μm以内である溶剤を含む隔壁用ペーストは、誘電体樹脂層への浸食などの悪影響が小さく、同時焼成した場合に、欠陥の少ない隔壁および誘電体層を得ることができるといえる。
1a:前面ガラス基板
1b:背面ガラス基板
2: 電極
3: 透明誘電体層
4: 蛍光体層
5: アドレス電極
6: 隔壁
7: 放電空間
8: 背面誘電体層
1b:背面ガラス基板
2: 電極
3: 透明誘電体層
4: 蛍光体層
5: アドレス電極
6: 隔壁
7: 放電空間
8: 背面誘電体層
Claims (7)
- ガラス粉末を40〜89質量%、樹脂を0.5〜8.0質量%、および溶剤を10〜50質量%含有し、該溶剤が、グリコールジアセテート類、グリセリルジアセテート類、グリセリルトリアセテート類、脂肪族ジオール類、脂肪族トリオール類、炭素数3以下のアルキレンを2つもつジアルキレングリコールメチルエーテル類、クエン酸エステル類、2価の脂肪酸エステル類、および水からなる群から選ばれる溶剤成分の少なくとも1種を含有し、該群から選ばれる溶剤成分の含有量が合計で5質量%以上であることを特徴とする隔壁用ペースト。
- 溶剤として前記群から選ばれる溶剤成分の含有量が合計で9〜25質量%であることを特徴とする請求項1に記載の隔壁用ペースト。
- 前記群のグリコールジアセテート類としてプロピレングリコールジアセテート、グリセリルトリアセテート類としてグリセロールトリアセテート、脂肪族ジオール類として2−メチル−2,4−ペンタンジオールまたは2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、脂肪族トリオール類としてグリセロール、前記ジアルキレングリコールメチルエーテル類としてジプロピレングリコールメチルエーテル、クエン酸エステル類としてクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチルまたはアセチルクエン酸トリブチル、2価の脂肪酸エステル類としてアジピン酸ジメチルが選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の隔壁用ペースト。
- 樹脂としてエチルセルロースを、溶剤としてグリコールジアセテート類またはクエン酸エステル類を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の隔壁用ペースト。
- 表面に電極が形成された基板上に、ガラス粉末および樹脂を含有し、焼成されて該電極を被覆する誘電体層となるべき誘電体樹脂層を形成し、該誘電体樹脂層上に、請求項1〜4のいずれかに記載の隔壁用ペーストを塗布した後に乾燥、加工し、焼成されて隔壁となるべき隔壁樹脂層を形成し、該誘電体樹脂層および該隔壁樹脂層を同時に焼成することを特徴とする、誘電体層および隔壁が形成された隔壁付き基板の製造方法。
- 誘電体樹脂層が、アクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項5に記載の隔壁付き基板の製造方法。
- 表面にアドレス電極が形成されたガラス基板上に、該電極を被覆する背面誘電体層が形成され、該誘電体層上に隔壁が形成されている背面板が、請求項5または6のいずれかに記載の隔壁付き基板の製造方法を用いて製造されたものであることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
Priority Applications (1)
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JP2003276078A JP2005035850A (ja) | 2003-07-17 | 2003-07-17 | 隔壁用ペースト、隔壁付き基板の製造方法、およびプラズマディスプレイパネル |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005097086A (ja) * | 2003-08-29 | 2005-04-14 | Nippon Electric Glass Co Ltd | ガラスペースト |
JP2007043092A (ja) * | 2005-07-01 | 2007-02-15 | Shoei Chem Ind Co | 積層電子部品用導体ペーストおよびそれを用いた積層電子部品 |
-
2003
- 2003-07-17 JP JP2003276078A patent/JP2005035850A/ja active Pending
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JP4697652B2 (ja) * | 2003-08-29 | 2011-06-08 | 日本電気硝子株式会社 | ガラスペースト |
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JP4650794B2 (ja) * | 2005-07-01 | 2011-03-16 | 昭栄化学工業株式会社 | 積層電子部品用導体ペーストおよびそれを用いた積層電子部品 |
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