JP2005035674A - 缶蓋用樹脂フィルム、および缶蓋用樹脂フィルムを被覆してなる缶蓋用樹脂フィルム被覆金属板、ならびにそれを用いた缶蓋 - Google Patents

缶蓋用樹脂フィルム、および缶蓋用樹脂フィルムを被覆してなる缶蓋用樹脂フィルム被覆金属板、ならびにそれを用いた缶蓋 Download PDF

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Abstract

【課題】 安定した開口性と耐フェザリング性を有する缶蓋用樹脂フィルム、缶蓋用樹脂フィルムを被覆してなる缶蓋用樹脂フィルム被覆金属板、それを用いた缶蓋を提供する。
【解決手段】 ポリエステル樹脂と非相溶のポリオレフィン樹脂をポリエステル樹脂にブレンドしてなるブレンド樹脂の上層と共重合ポリエステル樹脂に無機質粒子を含有させて破断伸びを250%以下とした樹脂の下層とからなる2層の樹脂フィルム、またはもしくは無機質粒子を含有させた共重合ポリエステル樹脂の上層とポリオレフィン樹脂をポリエステル樹脂にブレンドしてなるブレンド樹脂の下層とからなる2層の樹脂フィルム、もしくは前者の2層樹脂フィルムのブレンド樹脂層の上にポリエステル樹脂層を設けてなる3層の樹脂フィルムを金属板に積層被覆してなる樹脂フィルム被覆金属板をEOE缶蓋とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、手で開口可能な缶蓋(イージーオープンエンドまたはEOE)に用いる缶蓋用樹脂フィルム、および缶蓋用樹脂フィルムを被覆してなる缶蓋用樹脂フィルム被覆金属板、ならびにそれを用いた缶蓋に関する。
近年のジュース、ビールなどを充填した飲料缶や野菜や魚肉などを充填した食缶には、缶切りなどの開口治具を用いずに手で開口可能なイージーオープンエンドまたはEOEと呼ばれる缶蓋(以下、EOEという)が取り付けられている。これらのEOEはアルミニウム合金、または錫めっき鋼板やクロメート処理鋼板などの鋼板に塗料を塗布したものが用いられていた。しかし、金属板に塗料を塗布し、焼き付ける際の有機溶媒やヒュームの飛散による環境に与える悪影響などの観点から、塗料の塗布に替えて熱可塑性樹脂を被覆してなる樹脂被覆金属板がEOEとして用いられるようになっている。
樹脂被覆金属板をEOEに適用した例としては次のようなものがある。例えば特許文献2は、面配向係数を一定範囲に規定した2軸延伸してなる金属缶蓋用ポリエステル樹脂フィルムを開示している。このフィルムは成形性、耐衝撃性、および開口性、すなわちV字型のスコア加工部を断裂させて開口させた後に開口端面に樹脂が残る(フェザリング)ことなく開口できる特性に優れることを目的としたものである。この公報の実施例によれば、面配向係数を一定範囲(0.128〜9.141:実施例1〜5)に規定した2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを加熱した金属板にラミネートして面配向係数を一定の値(0.06)に低下させることにより、ポリエステル樹脂フィルムの強度を低下させることにより開口性を向上させるとともにフェザリングの防止を図るものである。
この公報においては、耐食性、フレーバー性、加工性などを両立することが可能な2軸延伸ポリエステルフィルムを用い、金属板に積層一体化した際に開口性と耐フェザリング性を両立可能とするため、金属板にラミネートする前のフィルムの配向度(面配向係数で表される。面配向係数が大きいほど引張強度が大きく引裂にくい。一方、面配向係数が小さいほど破断伸びが大きく、千切れにくくフェザリングを生じやすい)やフィルム厚さ×引張強度の値を一定範囲に規定しているが、開口性と耐フェザリング性は金属板にラミネートした後のフィルムの特性で定まるものであり、2軸延伸ポリエステルフィルムを用いて、金属板にラミネートした後のフィルムの配向度(面配向係数)を0.06のような一定の値に制御して、常時良好な開口性と耐フェザリング性を得ることは極めてむずかしい。
特許文献2は、ラミネート缶蓋を構成する金属薄板に合成樹脂フィルムを接着した後、合成樹脂フィルム層に多数の微細孔を穿設して破断を容易にすることにより、フェザリングの1種であるエンゼルヘアの発生を防止する方法を開示している。しかし、この方法による缶蓋を缶に用いた場合、缶が高所から落下して変形が生じた場合、微細孔に亀裂が生じて金属板面が大気中に露出し、金属部分が腐食することがある。
本出願に関する先行技術文献情報として次のものがある。
特開2001−335650号公報 特開2002−254557号公報
本発明においては、安定した開口性と耐フェザリング性を有する缶蓋用樹脂フィルム、缶蓋用樹脂フィルムを被覆してなる缶蓋用樹脂フィルム被覆金属板、それを用いた缶蓋を提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するため、本発明の缶蓋用樹脂フィルムは、上層がポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂、下層が無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂の2層の樹脂からなる缶蓋用樹脂フィルム(請求項1)、または
上層が無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂、下層がポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂の2層の樹脂からなる缶蓋用樹脂フィルム(請求項2)、さらにまたは
上層がポリエステル樹脂、中間層がポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂、下層が無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂の3層の樹脂からなる缶蓋用樹脂フィルム(請求項3)であり、
上記(請求項1〜3)の缶蓋用樹脂フィルムにおいて、ブレンド樹脂が70〜95重量%のポリエステル樹脂と30〜5重量%のポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂である(請求項4)ことを特徴とし、また
上記(請求項1〜4)の缶蓋用樹脂フィルムにおいて、ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートである(請求項5)ことを特徴とし、さらにまた
上記(請求項1〜5)の缶蓋用樹脂フィルムにおいて、ポリオレフィン樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体のいずれかである(請求項6)ことを特徴とし、さらにまた
上記(請求項1〜6)の缶蓋用樹脂フィルムにおいて、共重合ポリエステル樹脂がエチレンテレフタレート・エチレンイソフタレート共重合体である(請求項7)ことを特徴とし、さらにまた
上記(請求項1〜6)の缶蓋用樹脂フィルムにおいて、無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂中の無機質粒子が平均粒径0.2〜5.0μmの酸化珪素または酸化チタンであり、無機質粒子の共重合ポリエステル樹脂中における含有量(重量%)と平均粒径(μm)の積が下記の式
3≦含有量(重量%)×平均粒径(μm)≦10
の関係にある(請求項8)ことを特徴とし、さらにまた
上記(請求項1〜8)の缶蓋用樹脂フィルムにおいて、無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂からなる層の破断伸びが250%以下である(請求項9)ことを特徴とし、さらにまた
上記(請求項1、2、4〜9)の缶蓋用樹脂フィルムにおいて、樹脂フィルムの全厚さが10〜50μm、ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂層の厚さが7〜40μm、無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂層の厚さが3〜10μmである(請求項10)ことを特徴とし、さらにまた
上記(請求項3〜9)の缶蓋用樹脂フィルムにおいて、樹脂フィルムの全厚さが10〜50μm、ポリエステル樹脂層の厚さが1〜10μm、ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂層の厚さが6〜30μm、無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂層の厚さが3〜10μmである(請求項11)ことを特徴とする。
本発明の缶蓋用樹脂フィルム被覆金属板は、上記(請求項1〜11)の缶蓋用樹脂フィルムを金属板に被覆してなる缶蓋用樹脂フィルム被覆金属板(請求項12)であり、
上記(請求項12)の缶蓋用樹脂フィルム被覆金属板において、金属板が鋼板またはアルミニウム板である(請求項13)ことを特徴とする。
本発明の缶蓋は、上記(請求項12または13)の缶蓋用樹脂フィルム被覆金属板を用いた缶蓋(請求項14)である。
本発明のEOE缶蓋用樹脂フィルムは、ポリエステル樹脂と非相溶のポリオレフィン樹脂をポリエステル樹脂にブレンドすることにより、ポリエステル樹脂中にポリオレフィン樹脂を分散させて引裂性を向上させてなるブレンド樹脂層からなる上層と、共重合ポリエステル樹脂に無機質粒子を含有させて破断伸びを250%以下として引裂性を向上させてなる下層の樹脂層とからなる2層の樹脂フィルム、または無機質粒子を含有させた共重合ポリエステル樹脂からなる樹脂層を上層とし、ポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂からなるブレンド樹脂層を下層とする2層の樹脂フィルム、もしくは前者の2層樹脂フィルムのブレンド樹脂層の上にフレーバー性に優れたポリエステル樹脂層を設けてなる3層の樹脂フィルムのいずれかであり、引張った際に断裂しやすく、優れた耐フェザリング性を示す。
本発明においては、EOE用の缶蓋に用いた際に、強度、加工性、耐食性、フレーバー性などの缶特性には優れるが、金属板にラミネートした後の開口性と耐フェザリング性が常時良好な状態で得られることが困難である2軸延伸ポリエステルフィルムに替えて、ポリエステル樹脂と非相溶のポリオレフィン樹脂をポリエステル樹脂にブレンドすることにより、ポリエステル樹脂中にポリオレフィン樹脂を分散させて引裂性を向上させてなるブレンド樹脂層と、共重合ポリエステル樹脂に無機質粒子を含有させて引裂性を向上させてなる樹脂層とからなる複層の樹脂層を主体とする樹脂フィルムを用いることにより、優れた缶特性と優れた開口性や耐フェザリング性を両立可能であることを見出し、本発明に至った。以下、本発明の内容を説明する。
ポリエステル樹脂は縦横2軸方向に延伸加工した後、配向した結晶状態を熱固定したフィルムとすることにより、強度、加工性、および液体や気体などの耐透過性などの優れた特性が発現する。金属板に2軸延伸ポリエステルフィルムを積層被覆したポリエステル被覆金属板を缶材として適用する場合、2軸延伸ポリエステルフィルムの熱固定温度以上に加熱した金属板に2軸延伸ポリエステルフィルムを当接して熱圧着する。接着強度を向上させるために、ポリエステルフィルムと金属板の間に接着剤を介在させる場合もある。熱圧着する際に金属板に接する部分の樹脂は配向した結晶状態が崩れて非晶質化し、引張強度が低下し伸びが向上し、加工性が増大する。この非晶質化する部分は金属板の加熱温度が高く、金属板に接している時間が長いほど増大する。そのため、絞り缶や絞りしごき缶などの厳しい加工が施される缶用途にポリエステル被覆金属板を適用する場合は、非晶質化する部分を増大させて加工性を高めることが行われている。
一方、ポリエステル被覆金属板をEOEに適用する場合は、金属板に設けたV字型のスコア加工部を断裂させて開口させる際に、金属板と被覆したポリエステルフィルムが共に断裂し、開口端面に樹脂が残ったり、缶蓋のプルタブ以外の部分からポリエステルフィルムが剥離する(フェザリング)ことのない、開口性(フィルムの引裂性)と接着性を両立することが要求される。このような特性を満足させるためには、ポリエステルフィルムの厚さ、金属板に積層する前の引張強度や伸びなどの物性、すなわち、フィルムの面配向係数、すなわち延伸倍率や熱固定温度などの製膜条件を厳密に管理したフィルムを用い、金属板に積層する際に金属板の温度を一定範囲に保持し、金属板との接触温度や加圧力を厳密に制御するなど、製膜条件を厳しく管理しなくてはならない。しかし、上記の特性を満足する範囲が極めて狭いために、製膜条件を厳しく管理してもEOEに適用可能なポリエステル被覆金属板を高歩留で製造することは極めて困難である。
本発明においては、開口性、すなわち樹脂フィルムの引裂性を向上させるために、ポリエステル樹脂と非相溶のポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂をブレンドしてプルタブを取り付けるために施されるリベット加工や、缶を積み重ねた際の滑り性を向上させるために凸部を設ける加工の加工性を向上させたブレンド樹脂層を上層とし、金属板との接着性およびフレーバー性に優れる共重合ポリエステル樹脂に無機質粒子を含有させて引裂性を向上させた樹脂層を下層とする2層フィルム、または無機質粒子を含有させた共重合ポリエステル樹脂層を上層とし、ポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂のブレンド樹脂層を下層とする2層フィルム、もしくはフレーバー性を向上させるためにこの2層樹脂層の上にポリエステル樹脂層を設けてなる3層フィルムからなり、フレーバー性などに優れるとともに優れた引裂性を有し、フェザリングを生じにくい樹脂フィルムを金属板に積層被覆してEOEに適用するものである。
本発明の缶蓋用樹脂フィルムは、上層がポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂、下層が無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂の2層の樹脂、または上層が無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂の2層の樹脂、下層がポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂の2層の樹脂、もしくは上層がポリエステル樹脂、中間層がポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂、下層が無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂の3層の樹脂から構成される。これらの2層または3層の樹脂に用いるポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂は、70〜95重量%のポリエステル樹脂に30〜5重量%のポリオレフィン樹脂をブレンドしてなるものが好ましい。ポリオレフィン樹脂のブレンド量が5重量%未満では十分な引裂性が得られない。一方、30重量%を超えてブレンドすると樹脂フィルムの引張強度が著しく低下するので好ましくない。
2層フィルムおよび3層フィルムにおけるブレンド樹脂層として用いるポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのホモポリマーや、これらのホモポリマーを構成する多塩基酸や多価アルコールの一部を他の多塩基酸や多価アルコールで置換してなる共重合ポリエステル樹脂を用いることができるが、安価であることや製膜しやすさの観点からポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては安価で汎用に用いられているポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体のいずれかを用いることが好ましい。
3層フィルムの上層として用いるポリエステル樹脂としては、ブレンド樹脂に用いるポリエステル樹脂と同様のポリエステル樹脂を適用できるが、フレーバー性に優れていること、安価であること、製膜しやすさの観点からポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
2層フィルムの上層または下層として、および3層フィルムにおける下層として用いる無機質粒子を含有させる共重合ポリエステル樹脂としては、上記のポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのホモポリマーを構成する多塩基酸や多価アルコールの一部を他の多塩基酸や多価アルコールで置換してなる共重合ポリエステル樹脂を適用できるが、比較的安価で汎用に用いられまたフレーバー性に優れるエチレンテレフタレート・エチレンイソフタレート共重合体を用いることが好ましい。この共重合ポリエステル樹脂は、接着性の観点から75〜90モル%のエチレンテレフタレートと25〜10モル%のエチレンイソフタレートからなることが好ましい。
共重合ポリエステル樹脂に含有させる無機質粒子は平均粒径が0.2〜5.0μmの酸化珪素または酸化チタンであることが好ましい。平均粒径が0.2μm未満であると樹脂中に多量に含有させないと引裂性が向上せず、樹脂中に多量含有させると樹脂の金属板に対する接着性が劣化する。平均粒径が5.0μmを超えるとリベット加工性や凸部形成の加工性が低下し、好ましくない。これらの無機質粒子は、引裂性の観点から微細粒子の場合は多量に含有させ、粗大粒子の場合は少量含有させることが好ましい。そのため、平均粒子径と含有量を掛け合わせた積である下記の式を満足するように無機質粒子を共重合ポリエステル樹脂に含有させることが好ましい。
3≦含有量(重量%)×平均粒径(μm)≦10
含有量(重量%)×平均粒径(μm)の値が3未満または10を超える場合は良好な引裂性が得られない。
このようにして得られる無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂は、単層の樹脂フィルムの状態における破断伸びが250%以下であることが好ましい。破断伸びが250%を超えると千切れにくくなり、良好な引裂性が得られない。
上記のポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂と無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂のペレット、または上記のポリエステル樹脂、ブレンド樹脂、および無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂のペレットを、複数層の樹脂フィルムを押出可能な共押出機を用いて加熱溶解してTダイから押し出し、2層樹脂フィルムまたは3層樹脂フィルムに製膜する。このようにして得られる本発明の2層の缶蓋用樹脂フィルムの厚さは全厚さが10〜50μm、ブレンド樹脂層の厚さが7〜40μm、無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂層の厚さが3〜10μmであることが好ましい。全厚さが10μm未満であると、缶蓋とした場合に内容物が樹脂フィルムを透過して、被覆素地の金属板を腐食することがある。一方、50μmを超えると開口により大きな力が必要となり、またフェザリングが生じやすくなり好ましくない。またこの10〜50μmの全厚さの2層樹脂フィルムにおいて、ブレンド樹脂層の厚さが7μm未満、無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂層の厚さが3μm未満であると良好な引裂性が得られない。また共重合ポリエステル樹脂は高価であるので、10μmの厚さを上限とする。
また本発明の3層の缶蓋用樹脂フィルムの厚さは、全厚さを2層樹脂フィルムにおける場合と同様の理由で10〜50μmとし、フレーバー性を向上させるために設ける上層のポリエステル樹脂の厚さは1〜10μmであることが好適である。その結果、2層樹脂フィルムにおける場合と同様の理由でブレンド樹脂層の厚さを6〜30μm、無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂層の厚さを3〜10μmとすることが好ましい。
本発明の缶蓋用樹脂フィルム被覆金属板は上記の本発明の2層または3層の缶蓋用樹脂フィルムを金属板の片面に積層被覆することにより得られる。積層は上記の2層の缶蓋用樹脂フィルムにおいてはいずれの層が金属板に接してもよいが3層の缶蓋用樹脂フィルムでは無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂層が金属板に接するようにして公知の熱接着法を用いて接着する。接着強度を高めるために金属板と樹脂フィルムの間に接着剤を介して熱接着してもよい。また、前記した本発明の樹脂フィルムの製造において、共押出機で樹脂ペレットを加熱溶融し、Tダイから押し出す際に、金属板上に直接押し出して積層被覆してもよい。
樹脂フィルムを被覆する金属板としては、冷延鋼板に錫めっきや島状の錫めっきを施し、次いで電解クロム酸処理や浸漬クロム酸処理などのクロメート処理、リン酸処理、ノンクロム処理(バナジウム塩処理)などの化成処理を施してなる錫めっき鋼板、冷延鋼板に電解クロム酸処理を施してなる電解クロム酸処理鋼板、アルマイト処理やクロメート処理、リン酸処理、リン酸クロメート処理、ノンクロム処理(ジルコニウム塩処理)などの化成処理を施したアルミニウム合金板が用いられる。これらの金属板の板厚は、0.15〜0.35mm程度であることが好ましい。
本発明の缶蓋は、上記のようにして金属板の片面に缶蓋用樹脂フィルムを被覆して得られる缶蓋用樹脂フィルム被覆金属板を円板状のブランクに打ち抜き、金属板の樹脂フィルムを被覆していない側の面にスコア溝を刻設することによって獲られる。
以下、実施例にて本発明をさらに詳細に説明する。
ポリエチレンテレフタレート(表1,2中、「PET」で表示)、ポリエチレン(表1,2中、「PE」で表示)、ポリプロピレン(表1,2中、「PP」で表示)、60モル%のエチレンと40モル%のプロピレンからなるエチレン・プロピレン共重合体(表1,2中、「E・P」で表示)、酸化珪素を含有する85モル%のエチレンテレフタレートと15モル%のエチレンイソフタレートからなるエチレンテレフタレート・エチレンイソフタレート共重合体(表1,2中、「ET(85)・EI(15)」で表示)、または酸化チタンを含有する85モル%のエチレンテレフタレートと15モル%のエチレンイソフタレートからなるエチレンテレフタレート・エチレンイソフタレート共重合体(表1,2中、「ET(85)・EI(15)」で表示)のそれぞれのペレットを用いて、押出法により表1および表2に示す樹脂組成、層構成、および厚さを有する2層または3層の無延伸の樹脂フィルム(樹脂番号:a〜o)を作成した。
また,比較用にこれらの樹脂フィルムの上層または下層として用いる酸化珪素または酸化チタンを含有する85モル%のエチレンテレフタレートと15モル%のエチレンイソフタレートからなるエチレンテレフタレート・エチレンイソフタレート共重合体(表2中、「ET(85)・EI(15)」で表示)の単層フィルム(樹脂番号:P)も押出法により作成した。
これらの製膜した樹脂フィルムの破断伸びをテンシロンを用いて測定した。測定結果を表1および表2に示す。
Figure 2005035674
Figure 2005035674
次いで、金属板として電解クロム酸処理鋼板(厚さ:0.20mm、表3中「TFS」で表示)とアルミニウム合金板(JISH4000の合金番号:5182、厚さ:0.30mm、表3中「Al」で表示)の2種を準備し、これらの金属板の片面に表1および表2に示す樹脂フィルムを熱接着法を用いて積層被覆し、表3に示す樹脂フィルム被覆金属板(試料番号:1〜16)を作成した。
このようにして得られた表3に示す試料番号:1〜16の樹脂フィルム被覆金属板から円板状のブランクを打ち抜き、樹脂フィルムを被覆していない面にスコア残圧が50μmとなるようにしてスコア溝を刻設し、プルタブリングを取り付けてEOE缶蓋を作成した。EOE缶蓋を各試料板から500個作成して開口し、開口端部の樹脂の残存状態を肉眼観察し、以下の基準で耐フェザリング性を評価した。
◎:500個全てにおいて樹脂の残存は認められない。
○:500個のうち2個未満でわずかな樹脂の残存が認められる。
△:500個のうち2個以上5個未満で樹脂の残存が認められる。
×:500個のうち5個以上で樹脂の残存が認められる。
評価結果を表3に示す。
Figure 2005035674
表3に示すように、本発明の樹脂フィルムを金属板に被覆してなる樹脂フィルム被覆金属板から作成した缶蓋においては、優れた耐フェザリング性を示す。
本発明の缶蓋用樹脂フィルムを金属板に積層被覆してなる樹脂フィルム被覆金属板をEOE缶蓋に用いた場合、フェザリングを生じることなく安定して開口することが可能である。

Claims (14)

  1. 上層がポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂、下層が無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂の2層の樹脂からなる缶蓋用樹脂フィルム。
  2. 上層が無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂、下層がポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂の2層の樹脂からなる缶蓋用樹脂フィルム。
  3. 上層がポリエステル樹脂、中間層がポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂、下層が無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂の3層の樹脂からなる缶蓋用樹脂フィルム。
  4. ブレンド樹脂が70〜95重量%のポリエステル樹脂と30〜5重量%のポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の缶蓋用樹脂フィルム。
  5. ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートである、請求項1〜4のいずれかに記載の缶蓋用樹脂フィルム。
  6. ポリオレフィン樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体のいずれかである、請求項1〜5のいずれかに記載の缶蓋用樹脂フィルム。
  7. 共重合ポリエステル樹脂がエチレンテレフタレート・エチレンイソフタレート共重合体である、請求項1〜6のいずれかに記載の缶蓋用樹脂フィルム。
  8. 無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂中の無機質粒子が平均粒径0.2〜5.0μmの酸化珪素または酸化チタンであり、無機質粒子の共重合ポリエステル樹脂中における含有量(重量%)と平均粒径(μm)の積が下記の式
    3≦含有量(重量%)×平均粒径(μm)≦10
    の関係にある、請求項1〜7のいずれかに記載の缶蓋用樹脂フィルム。
  9. 無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂からなる層の破断伸びが250%以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の缶蓋用樹脂フィルム。
  10. 樹脂フィルムの全厚さが10〜50μm、ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂層の厚さが7〜40μm、無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂層の厚さが3〜10μmである、請求項1、2または4〜9のいずれかに記載の缶蓋用樹脂フィルム。
  11. 樹脂フィルムの全厚さが10〜50μm、ポリエステル樹脂層の厚さが1〜10μm、ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるブレンド樹脂層の厚さが6〜30μm、無機質粒子を含有する共重合ポリエステル樹脂層の厚さが3〜10μmである、請求項3〜9のいずれかに記載の缶蓋用樹脂フィルム。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の缶蓋用樹脂フィルムを金属板に被覆してなる缶蓋用樹脂フィルム被覆金属板。
  13. 金属板が鋼板またはアルミニウム板である、請求項12に記載の缶蓋用樹脂フィルム被覆金属板。
  14. 請求項12または13に記載の缶蓋用樹脂フィルム被覆金属板を用いた缶蓋。
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WO2006008913A1 (ja) * 2004-07-23 2006-01-26 Toyo Kohan Co., Ltd. 樹脂被覆アルミニウム合金板およびそれを用いた缶蓋
CN115298025A (zh) * 2020-04-03 2022-11-04 东洋钢钣株式会社 层叠聚酯树脂被覆金属板、层叠聚酯树脂膜和罐盖

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