JP2005035405A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Katsunori Tanaka
克則 田中
Shuichi Kimura
修一 木村
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Abstract

【課題】ロードノイズを低減すると共に転動抵抗も減少可能な空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ビード2及びフィラー3に巻き付けられているカーカス4とリムフランジ1との間に、隣接するリムクッション8よりtanδの大きい減衰ゴム9を配設する。減衰ゴム9の配設領域は、リムフランジ1との接触領域全域とし、特にサイドウォール6側にはみ出さないようにすることで、タイヤの変形を抑制して転動抵抗を確保できる。減衰ゴム9の16Hz50℃相当のtanδを0.25〜0.30とすることで、ロードノイズの吸収効果が得られる。減衰ゴム9をシート状にすることで、リムクッション8の効果が確保される。減衰ゴム9の硬度をJIS硬度65〜85°とすることで、リムクッション8の効果と自身の音振効果とを両立することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車両に用いられる空気入りタイヤに関するものである。
一般的な乗用車両の空気入りタイヤは、ロードホイールのリムフランジに沿ってスチール等のコードを複数回巻いたビードと硬いコンパウンドを配するフィラーとの回りにカーカスの端部を外側に巻き上げるようにして巻き付け、その状態でカーカスとホイールリムとの間にリムクッションを配設し、前記カーカスの周囲にトレッド部やサイドウォール部等のゴム層を成形する。
ロードノイズは、車両が走行する際に、路面から車体に伝わる振動騒音であり、タイヤの振動特性が影響する。例えば、タイヤに使用されるゴムのtanδ(損失正接/タンデルタ)を大きくすると、ロードノイズが低減されることが知られている(例えば特許文献1)。
また、転動抵抗は、タイヤが転動する際に後ろ向きに発生する力であり、転動抵抗が小さいほど燃費性能に優れる。そこで、例えばタイヤに使用されるゴムのtanδを小さくすることで、転動抵抗が低減されることが知られている(例えば特許文献2)。
また、転がり抵抗に対するビード部の影響は20〜30%程度と大きいことが知られている(例えば特許文献3)。
特開平5−169928号公報(段落番号[0008]) 特開平11−278018号公報(段落番号[0006]) 特開平9−193626号公報(段落番号[0005])
しかしながら、前記従来の空気入りタイヤでは、使用されるゴムのtanδを大きくすればロードノイズを低減できるが転動抵抗が大きくなり、ゴムのtanδを小さくすれば転動抵抗は小さくなるがロードノイズが大きくなる。つまり、単にゴムのtanδを調整するだけでは、ロードノイズの低減と転動抵抗の減少という二つの課題を同時に解決することはできない。
本発明はこれらの諸問題を解決するために開発されたものであり、ロードノイズの低減と転動抵抗の減少とを同時に解決することができる空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。
上記諸問題を解決するため、本発明の空気入りタイヤは、少なくとも隣接する部位よりtanδの大きい減衰ゴムを、リムフランジに接する領域のカーカスとリムクッションとの間に配設したことを特徴とするものである。
而して、本発明の空気入りタイヤによれば、リムフランジに接する領域のカーカスとリムクッションとの間にtanδの大きい減衰ゴムを配設したことにより、ホイールリムに伝達される振動騒音、即ちロードノイズを効率よく低減しながら、ゴム層のtanδは大きくすることができるので、転動抵抗を減少することが可能となる。
次に、本発明の空気入りタイヤの一実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1、図2は、本実施形態の空気入りタイヤを示す縦断面図である。これらの図に二点鎖線で示す符号1がロードホイールのリムフランジである。ビード2は、このリムフランジ1に沿って、スチール等のコードを複数回、周方向に巻回したものであり、これに隣接して、硬いコンパウンドからなるフィラー3がリムフランジ1から離れる方向に延設されている。カーカス4は、空気入りタイヤの内壁をなす膜材であり、その端部は、前記ビード2及びフィラー3を包むようにして、外側に巻き上げられている。カーカス4のトレッド部分には、補強コードをコーティングしてなるベルト層5が配設されており、その外側に、サイドウォール部6やトレッド部7をなすゴム層が成形されている。
前記カーカス4とリムフランジ1との間にはリムクッション8が配設されている。このリムクッション8は、タイヤーリム間の力の伝達を適正化し且つタイヤが破壊されないようにするために、一般的に硬いゴム材で構成される。そして、本実施形態では、このリムクッション8と前記ビード2及びフィラー3を包み込んでいるカーカス4との間に減衰ゴム9が介装されている。この減衰ゴム9は、空気入りタイヤからリムフランジ1に伝達される振動騒音、即ちロードノイズを吸収するためのものであり、少なくとも隣接する部位よりtanδの大きいゴム材からなり、例えば周波数が16Hzで且つ温度が50℃におけるtanδが0.25〜0.30であることが望ましい。これは、減衰ゴム9のtanδが小さいと音振効果が得られず、tanδが大きいと転動抵抗が大きくなるためである。
また、前記減衰ゴム9は、前記リムクッション8の平均厚さより薄いシート状に形成することが望ましく、そのようにすることにより前記リムクッション8の効果を損ねることがない。また、前記減衰ゴム9の硬度をJIS硬度65〜85°とするのが望ましい。これは、減衰ゴム9の硬度が小さいと前記リムクッションの効果が損ねられ、硬度が大きいと音振効果が得られないためである。
そして、最も重要なのは、前記減衰ゴム9を、リムフランジ1に接する領域にだけ配設することである。即ち、減衰ゴム9がリムフランジ1接触領域からはみ出すと、タイヤの回転に合わせて、減衰ゴム9がはみ出した部分が変形してしまい、転動抵抗が大幅に悪化する。また、逆に減衰ゴム9を配設する範囲が狭いと、音振効果が小さくなってしまうので、リムフランジ1接触領域全域に減衰ゴム9を配設することが肝要である。
本実施形態の空気入りタイヤの効果を確認するために、実施例及び比較例1〜5のタイヤを用意した。下記表1及び図3に実施例及び各比較例の諸元を示す。なお、図3には、リムフランジ1、ビード2、フィラー3、カーカス3、減衰ゴム9だけを抽出して描いた。また、比較例を示す図面にも、便宜上、同じ符号を使用した。また、タイヤサイズは、全て185/65R14サイズである。また、全てのタイヤのリムクッションのtanδは0.23とした。なお、全てのtanδは、後述するように16Hz、50℃に相当する値である。
比較例1は、所謂従来品であり、図3aに示すように減衰ゴムのないものである。比較例2は、本実施形態の実施例と同じく、図3bに示すように、リムフランジ1の接触領域全域に減衰ゴム9を配設したものであるが、減衰ゴム9のtanδを、前記リムクッションのtanδと同じ、0.23としたものである。本実施形態の実施例は、図3bに示すように、リムフランジ1の接触領域全域に減衰ゴム9を配設し、且つ減衰ゴム9のtanδを、前記リムクッションのtanδより大きい0.27とした。比較例3も、本実施形態の実施例と同じく、図3bに示すように、リムフランジ1の接触領域全域に減衰ゴム9を配設したものであるが、減衰ゴム9のtanδを、本発明の推奨範囲である0.30より大きい0.32とした。比較例4は、減衰ゴム9のtanδを、本発明の推奨範囲内である0.27としたが、減衰ゴム9の配設範囲が、図3cに示すように、リムフランジ1の接触領域よりも狭い。比較例5は、前記比較例4と同様に、減衰ゴム9のtanδを、本発明の推奨範囲内である0.27としたが、図3dに示すように、減衰ゴム9の配設範囲がリムフランジの接触領域よりはみ出している。
Figure 2005035405
これらの実施例及び比較例1〜5の空気入りタイヤに対し、有限要素法(FEM)による転動抵抗と振動特性の計算を行った。tanδは、前述したように周波数16Hz、温度50℃に相当する値を用いた。ちなみに、周長1.4mのタイヤが80km/hで走行したときの振動数は16Hzとなる。
転動抵抗は、例えば「最適化法を用いたタイヤの転がり抵抗低技術開発」(中島幸雄、自動車研究、Vol.21,No.6,1999)や「転がり抵抗低減のための構造技術」(加部和幸他、日本ゴム協会誌、Vol.73,No.2,2000)に示すように、一般的に計算が行われている。ここでは、FEMで得られた応力、歪みに対し、粘弾性による位相差を用いて損失エネルギーを算出した。計算は、空気圧200kPa、リム幅5.5インチ、垂直荷重3.7kN相当の転動抵抗を算出し、結果は、従来品、つまり前記比較例1を100とする指数で示した。この値が小さいほど、転動抵抗が小さく、燃費に優れることになり、目標値を、従来品の100以下とした。
振動特性は、例えば「タイヤ空洞共鳴音に関する理論解析と走行中の改良手法の提案」(山内他、自動車技術会論文集、Vol.32,No.2,2001)に示すように、一般的に計算が行われている。ここでは、FEMから得られた入力と出力の比を振動伝達率として算出した。計算は、入力をトレッド中央部の節点力として与え、出力をリム部の節点力とし、空気圧200kPa、リム幅5.5インチ、垂直荷重0kN(無負荷)相当の振動特性を算出し、結果は、従来品を“0”とするオーバオール値の差で示した。この値が小さいほど、振動伝達率が低く、静粛性に優れることになり、目標値をー0.4以下とした。
前記表1から明らかなように、本実施形態の実施例だけが前記転動抵抗も振動伝達率も目標値を達成し、ロードノイズの低減と転動抵抗の減少とを両立することができた。このうち、比較例2は、減衰ゴム9のtanδが従来品である比較例1と同等であるために減衰ゴム自体の音振効果が得られなかった。また、比較例3は、減衰ゴム9のtanδが3.2と本発明の推奨範囲より大きかったために転動抵抗が大きくなってしまった。また、比較例4は、減衰ゴム9の配設範囲が狭いために、リムフランジに振動が伝達されてしまい、音振性能が得られなかった。また、比較例5は、減衰ゴム9がリムフランジの接触範囲からはみ出してしまったため、このはみ出した部分のゴム層が変形し、この変形に伴って転動抵抗が大きくなってしまった。
本発明の空気入りタイヤの一実施形態を示す縦断面図である。 図1の空気入りタイヤのビード部分の詳細図である。 実施例及び比較例の空気入りタイヤの説明図である。
符号の説明
1はリムフランジ
2はビード
3はフィラー
4はカーカス
5はベルト層
6はサイドウォール部
7はトレッド部
8はリムクッション
9は減衰ゴム

Claims (4)

  1. 少なくとも隣接する部位よりtanδの大きい減衰ゴムを、リムフランジに接する領域のカーカスとリムクッションとの間に配設したことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記減衰ゴムを、リムクッションの平均厚さより薄いシート状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記減衰ゴムは、温度が50℃におけるtanδが0.25〜0.30であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記減衰ゴムの硬度をJIS硬度65〜85°としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の空気入りタイヤ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008189019A (ja) * 2007-02-01 2008-08-21 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
KR20220051741A (ko) * 2020-10-19 2022-04-26 넥센타이어 주식회사 비드 보강 구조를 포함하는 공기입 타이어 및 그 제조방법

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