JP2005034275A - 歯科用補綴物の製造方法及びそれに用いるキット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】歯科用補綴物23の製造方法は、所定の鋳込み温度において下地コート層5を形成する第一の陶材の粘度よりも、鋳込みコート層21を形成する第二の陶材の粘度を低くする。特に第一の陶材の粘度が第二の陶材の粘度の少なくとも1.5倍であることが好ましい。キットには、このような第一の陶材を調製するための第一の原料と、第二の陶材を調製するための第二の原料とを含む。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科用補綴物の製造方法、及びそれに用いられるキットに関する。
【0002】
【従来の技術】口腔内で使用される歯科用補綴物には、強い咀嚼力にも耐え得る強度が必要であるほか、天然の歯と同等に見せるための審美性が要求されている。このため、従来から、強度の高いフレーム等の基体(即ち補綴物のベース(コア)となるボディー部分)上に天然歯に近い色合や透明性を醸し出すための外装部が形成された歯科用補綴物が製造されている。この種の歯科用補綴物としては、例えば特許文献1及び2に記載されたものがある。
基体上に外装部を形成する手段としては、粉末状態の陶材(ポーセレンとも言われる歯科用セラミック材料をいう。以下同じ。)を水又は専用に調合された溶媒と練和して基体(前記フレーム等)の表面上に筆のような器具で築盛する方法が広く採用されている。
【0003】
また、かかる築盛手段と異なる他の手段として、所望の形状の鋳型を用いて、外装部形成用陶材をフレーム等の表面に高温下に鋳込む方法、いわゆる鋳込み法がある。この鋳込み法は、高い精度で所望の形状と厚さの外装部を基体上に形成し得る点で優れている。この種の技術としては、例えば特許文献3に開示されたものがある。
【0004】
【特許文献1】特開平7−23986号公報
【特許文献2】特開2000−139953号公報
【特許文献3】国際公開第WO01/021088号パンフレット
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、より天然歯に近い色合いや光透過性(透明性)を歯科用補綴物(例えばクラウン)の表面に表現するべく、少なくとも二層の装飾層を基体上にコートして外装部を形成する場合がある。
従来、基体上にコートされた下地となる装飾層(以下「下地コート層」という。)の表面に、鋳込み法によって更に他の装飾層(以下「鋳込みコート層」という。)を形成する場合、当該鋳込みコート層を形成するための鋳込み用陶材を高温で鋳込んだ際に当該鋳込み陶材の高温流動に応じて下地コート層の一部が移動し、延いては下地コート層に厚みムラを生じさせる場合があった。このことは、所望する色合や透明性を表現するために形成した鋳込みコート層の形成位置や厚みが設計と異なる原因となる。また、下地コート層の移動が過度に生じると、基体表面が露出したり基体表面に直接的に鋳込みコート層が形成されるなどの不具合が生じて補綴物表面に所望の色合いや透明性が実現されない虞があった。
【0006】
以上のことから、鋳込み法によって基体上にコート層を複数形成する場合(典型的には二層以上のコート層を積層して外装部を形成する場合)には、下地コート層の表面に鋳込みコート層形成用の陶材が鋳込まれた際に当該下地コート層(厳密には該コート層を形成しているセラミック材料)が移動しないことが要求される。この要求を実現し得る方法及び該方法に使用する材料(例えば下地層形成用陶材及び鋳込みコート層形成用陶材)が望まれている。
そこで本発明は、前記要求を実現し得る方法及び材料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】本発明は、鋳込み法によって下地コート層の表面に他のコート層を形成することを包含する歯科補綴物製造方法を提供する。
すなわち、本発明によって提供される歯科用補綴物の製造方法は、歯科用成形材料から構成された歯科用補綴物の基体を用意する工程と、その基体の少なくとも一部の表面に、セラミックを主体とする第一の陶材を用いて下地コート層を形成する工程と、その基体を装着した鋳型であって前記下地コート層の表面上に所定の空隙が設けられた鋳型を形成する工程と、所定の鋳込み温度において前記鋳型に前記第一の陶材とは異なる組成のセラミックを主体とする第二の陶材を前記空隙に注入し、前記下地コート層の表面の少なくとも一部に鋳込みコート層を形成する工程とを包含する方法である。
そして、本発明の製造方法に使用される前記第二の陶材は、前記鋳込み温度における粘度が前記第一の陶材よりも低いことを特徴とする陶材である。
【0008】
かかる本発明の製造方法では、外装部を構成する少なくとも二層のコート層を形成するにあたって、下地となる下地コート層の少なくとも一部に鋳込みにより鋳込みコート層を積層する。このときの鋳込み温度において、鋳込みコート層を形成する第二の陶材の粘度を、下地コート層を形成する第一の陶材よりも低くする。このことによって、下地コート層の移動を防止することができる。
すなわち、第二の陶材を鋳込む温度において、第二の陶材よりも第一の陶材の粘度が高いことで、第二の陶材に比べて第一の陶材の流動性を低下させることができる。このため、第一の陶材は、鋳込み時の高温においても第二の陶材の流動に影響を受け難く、第一の陶材が移動するよりも先に、より流動性の高い第二の陶材が所定形状の鋳型及び下地コート層間(即ち前記空隙部)に鋳込まれることとなる。この結果、第一の陶材即ち既に形成された下地コート層が、その後に鋳込まれる第二の陶材の流動方向に移動することを防止することができる。
従って、本発明の製造方法によると、少なくとも二つのコート層(装飾層)から成る審美性に優れる外装部を有する歯科用補綴物を鋳込み法を用いて製造することができる。また、必要に応じて更に陶材を築盛することにより、より天然歯に近い、審美性に優れた歯科用補綴物(例えば人工歯冠)を得ることもできる。
【0009】
本発明の製造方法として好ましいものは、前記鋳型形成工程が、前記下地コート層の少なくとも一部の表面に焼却除去可能な材料から成る所定形状の模型層を形成する処理と、前記鋳型を構成するマトリックス(典型的には埋没材と呼ばれるリン酸塩系もしくは石膏系材料から形成される。)中に前記模型層を埋没させる処理と、前記マトリックスを硬化させた後、前記模型層を焼却除去することにより前記模型層に対応する前記空隙が設けられた鋳型を形成する処理とを包含する。
これらの処理により鋳型を形成すると、前記模型層に対応する形状、サイズの空隙部を有する鋳型を形成することができる。従って、下地コート層の少なくとも一部の表面上に所望の形状の模型層を形成することにより、模型層と同形状の鋳込みコート層を精度よく形成することができる。
【0010】
ここで開示される製造方法として好ましいものは、前記基体が金属製又はセラミック製のフレームである。
金属製又はセラミック製のフレームは、高温時にも充分に高い機械的強度を有しており、鋳込み法によって外装部を形成するための歯科用補綴物の基体として好適に用いることができる。
【0011】
また、ここで開示される製造方法として他の好ましいものは、前記鋳込み温度における粘度が前記第二の陶材の粘度の少なくとも1.5倍である陶材を前記第一の陶材として使用する。
鋳込み温度における第一の陶材の粘度と第二の陶材の粘度との差を1.5倍又はそれ以上設けることにより、鋳込み時における下地コート層の移動防止効果を更に向上させることができる。
【0012】
ここで開示される製造方法として他の好ましいものは、前記鋳込み温度において、前記第一の陶材の粘度が2×106〜5×107cPの範囲内にあり、前記第二の陶材の粘度が1×106〜3×107cPの範囲内にある方法である。
第一の陶材の粘度及び第二の陶材の粘度をかかる所定の範囲内に設定することにより、好適に下地コート層の移動を防止することができる。また、第二の陶材の粘度をかかる範囲に設定することにより、過剰な力を加えることなく、鋳型に設けられた空隙の細部にまで陶材を鋳込むことができる。
【0013】
また、ここで開示される製造方法として他の好ましいものは、前記第一の陶材および前記第二の陶材が、それぞれ、以下の含有率の酸化物から実質的に構成されるガラス組成物を主成分とする。
すなわち、第一の陶材に含まれるガラス組成物は、その全体を100質量%として、40〜75質量%のSiO2、10〜20質量%のAl2O3、5〜15質量%のK2O、2〜10質量%のNa2O、0.1〜2質量%のLi2O、0〜7質量%のZrO2、0〜5質量%のCaO、0〜5質量%のMgO、及び、0〜30質量%のSnO2を含む。
他方、第二の陶材に含まれるガラス組成物は、その全体を100質量%として、60〜70質量%のSiO2、10〜20質量%のAl2O3、5〜15質量%のK2O、3〜15質量%のNa2O、0.1〜3質量%のLi2O、0〜3質量%のZrO2、0.1〜5質量%のCaO、0.1〜5質量%のMgO、0〜3質量%のB2O3、0〜3質量%のCeO2、及び、0〜7質量%のSb2O3を含む。
前記第一の陶材に含まれるセラミックが前記ガラス組成物を主成分としたものであると、天然歯に近い自然な色合いの下地コート層を容易に形成することができる。また、前記第二の陶材に含まれるセラミックが前記ガラス組成物を主成分としたものであると、天然歯に近い透明感を有する鋳込みコート層を容易に形成することができる。これら少なくとも二層のコート層の組み合わせにより、天然歯に近い自然な外観の外装部を形成することができる。
【0014】
また、本発明は、ここで開示された歯科用補綴物の製造方法に好適に用いられる、歯科用補綴物の基体の表面に少なくとも二層のコート層から成る外装部を形成するために使用される材料の組み合わせ(即ちキット)を提供する。
本発明によって提供される外装部形成用キットは、前記基体の表面に下地コート層を形成する第一の陶材を調製するためのセラミックを主体とする第一の原料と、前記下地コート層の少なくとも一部の表面に鋳込みによりコート層を形成する第二の陶材を調製するためのセラミックを主体とする第二の原料とを含む。そして、本発明のキットに備えられる前記第二の原料は、所定の鋳込み温度における粘度が前記第一の原料から構成される第一の陶材の粘度よりも低いことを特徴とする第二の陶材を構成するように調製されている。
かかる構成のキットを使用すると、ここで開示される製造方法を容易に実施することができる。従って、本発明のキットによると、少なくとも二つのコート層(装飾層)から成る審美性に優れる外装部を有する歯科用補綴物を容易に製造することができる。
【0015】
好ましいキットは、前記鋳込み温度における前記第一の陶材の粘度が前記第二の陶材の粘度の少なくとも1.5倍となるように、前記第一の原料及び第二の原料がそれぞれ調製されている。
このように鋳込み温度における第一の陶材の粘度と第二の陶材の粘度とを少なくとも1.5倍の差とすることにより、鋳込み時における下地コート層の移動を好適に防止することができる。
【0016】
また、ここで開示されるキットとして他の好ましいものは、前記鋳込み温度における前記第一の陶材の粘度が2×106〜5×107cPの範囲内となり、前記第二の陶材の粘度が1×106〜3×107cPの範囲内となるように、前記第一の原料及び第二の原料がそれぞれ調製されている。
第一の陶材の粘度及び第二の陶材の粘度が前記所定範囲の粘度となるように予め調製された第一の原料及び第二の原料を使用することにより、鋳込み時における下地コート層の移動をより効果的に防止することができる。また、第二の陶材の粘度をかかる範囲に設定することにより、過剰な力を加えることなく、鋳型に設けられた空隙の細部にまで陶材を鋳込むことができる。
【0017】
また、ここで開示されるキットとして他の好ましいものは、前記第一の原料および前記第二の原料が、それぞれ、以下の含有率の酸化物から実質的に構成されるガラス組成物を主成分とする。
すなわち、第一の原料に含まれるガラス組成物は、その全体を100質量%として、40〜75質量%のSiO2、10〜20質量%のAl2O3、5〜15質量%のK2O、2〜10質量%のNa2O、0.1〜2質量%のLi2O、0〜7質量%のZrO2、0〜5質量%のCaO、0〜5質量%のMgO、及び、0〜30質量%のSnO2を含む。
他方、第二の原料に含まれるガラス組成物は、その全体を100質量%として、60〜70質量%のSiO2、10〜20質量%のAl2O3、5〜15質量%のK2O、3〜15質量%のNa2O、0.1〜3質量%のLi2O、0〜3質量%のZrO2、0.1〜5質量%のCaO、0.1〜5質量%のMgO、0〜3質量%のB2O3、0〜3質量%のCeO2、及び、0〜7質量%のSb2O3を含む。
前記第一の原料が前記組成のガラス組成物を含むことにより、天然歯に近い自然な色合いの下地コート層を容易に形成し得る第一の陶材を調製することができる。また、前記第二の原料が前記組成のガラス組成物を含むことにより、天然歯に近い透明感を有する鋳込みコート層を容易に形成し得る第二の陶材を調製することができる。従って、これら原料を含むキットを使用することによって、鋳込み法を利用して天然歯に近い自然な外観の外装部を補綴物基体表面に容易に形成することができる。
また、好ましくは、ここで開示されるキットは、前記製造方法で使用される形態の第一の陶材および第二の陶材を、それぞれ、第一の原料および第二の原料としてそのまま含み得る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば第一の陶材及び第二の陶材の粘度や組成等)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばコート層の形成手段、鋳込み法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において使用する用語「質量%(mass%)」は、従前使用されていた「重量%(wt%)」と実質同義である。
【0019】
本明細書において「歯科用補綴物」は、口腔内に装着される補綴物であってここで開示される方法により製造され得るものであれば特に限定されない。歯科用補綴物には、歯科分野で取り扱われる歯冠(クラウン)、ブリッジ、被覆冠、インレー、アンレー、有床義歯等、失われた歯の一部若しくは全部を補填するもの全てが包含される。
【0020】
ここで開示される製造方法において用いられる基体(補綴物のコア部材)は、いずれの歯科用成形材料から構成されたものでもよく、特定のいくつかの材料に限定されない。歯科用補綴物の基体として充分な強度を有する従来公知のいずれのものも使用可能である。
特に金属製又はセラミック製であることが、耐熱性であり高い機械的強度を実現できるために好ましい。金属材料としては、生体に影響を与え難いものの使用が好適である。具体的には、ニッケル、コバルト、パラジウム、イリジウム、金、銀、銅、白金、等が挙げられる。また、これら金属の2種以上が所定の配合割合で組み合わされて成る合金材料であってもよい。このうち、特に生体に影響が少ない金、白金、パラジウム、銀、或いはこれら金属から成る合金が好ましい。
【0021】
一方、セラミック材料としては、生体親和性に優れる従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。特に強度及び耐食性に優れるアルミナ、ジルコニア、スピネル、ムライト等が好適である。
セラミック材は金属に比べると色合いも透明性も天然歯に近い点で好ましい。このうち、ジルコニアは天然歯の色に近い白色を有するために特に好適である。
【0022】
基体の形状は、補綴される歯の位置や形状に合わせて適宜決定される。例えば、虫歯等を削り取った歯や破損した歯の形状に合わせて成形され得る。
基体の成形方法としては、従来公知のいずれの手段を用いてもよい。具体的には、例えば所望の形状の歯型模型を用いて鋳込み成形することにより、該基体を容易に精度よく製造することができる。或いは、補綴物の内容によっては、既成の歯形状及び/又は口腔内の装着部位に対応した形状に予め成形された基体であってもよい。歯科用補綴物の基体(フレーム等)として入手可能ないずれの基体を用いることもできる。
【0023】
基体としては、該基体の本体のみから成るものだけでなく、該本体の表面上に一つ又は二つ以上の材質の異なる何らかの被覆が予め施されているものであってもよい。本発明の実施にあたって基体という場合には、このような予め被覆が施されているものを包含する。このような基体についても、その表面に前記下地コート層を形成することによって、本発明を実施することができるからである。
【0024】
次に、本発明の実施に使用される好適な材料について説明する。
ここで開示される製造方法において下地コート層を形成するために用いられる第一の陶材としては、従来、歯科用補綴物の外装部を形成するのに使用されているセラミック主体の陶材を使用することができるが、後述する第二の陶材を鋳込む際の高温条件下において、比較的高粘度のものが好ましい。更に、基体の色を見え難くする或いは基体の色との組合せによって天然歯に近い色合い及び/又は透明性(光透過性)を実現し得る下地コート層を形成し得る組成から成るセラミック材料が好ましい。更にまた、加熱時におけるクラック等の発生防止の観点から、基体と熱膨張率が近似しているセラミック材料が好ましい。
【0025】
第一の陶材の主体となるセラミックは歯科用途に適するものであれば、特に制限されない。補綴物の良好な審美性を実現するためには酸化物セラミックの利用が好ましい。例えば、SiO2、Al2O3、K2O、Na2O、Li2O、ZrO2、CaO、MgO、SnO2、B2O3、CeO2、P2O5、F2O3、La2O3、Sb2O3、BaO、SrO、ZnO、TiO2、CeO2、Y2O3、Tb2O3、及びFe2O3等を成分とする酸化物セラミックの利用が好ましい。SiO2の他に、Al2O3、K2O、Na2O、及びLi2Oを含有することが天然歯に近い色合いを表現するために好適であり、所望によりさらにZrO2、CaO、MgO、及び/又はSnO2を含有してもよい。これら酸化物から構成されるガラス組成物を主成分とする材料(陶材)の利用が審美性向上に特に好ましい。例えば、ガラス組成物全体を100質量%として、以下の含有率の酸化物:SiO240〜75質量%、Al2O310〜20質量%、K2O5〜15質量%、Na2O2〜10質量%、Li2O0.1〜2質量%、ZrO20〜7質量%、CaO0〜5質量%、MgO0〜5質量%、及びSnO20〜30質量%から実質的に構成されたガラス組成物を主成分とするセラミック材料、例えば、実質的に当該ガラス組成物のみから成るセラミック材料、或いは当該ガラス組成物に加えて他の結晶性セラミック成分をセラミック全量の50質量%以下(好ましくは30質量%以下)の含有率で含むセラミック材料の利用が好ましい。
【0026】
また、下地コート層を形成する第一の陶材としては、結晶化ガラス(ガラスセラミック)を主体とするものが好ましい。例えば、前記組成の酸化物から成るガラス組成物が結晶化ガラスであるものが好ましい。
また、第一の陶材はセラミックを主体としつつ他の成分を含み得る。例えば、当該セラミックが粉末状で提供される場合には、当該セラミック粉末を分散させる分散媒を含有させてもよい。或いは、所望の色合いを表現するために歯科分野で利用可能な顔料等の着色剤を含有させてもよい。また、天然歯と同様の蛍光性を付与するために蛍光材を含有させてもよい。
【0027】
下地コート層を形成する手段としては、従来公知のいずれの手段を用いてもよい。例えば、基体の少なくとも一部の表面に第一の陶材を所望の形状及び厚さに筆等を用いて塗布(築盛)することができる。この手段による場合には、塗布が容易となるように、セラミック粉末及び他の添加剤を適当な分散媒に分散させるとよい。分散媒としては、特に限定されないが、例えば、水、専用液(例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン)あるいは樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリノルマルブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリビニルアセテート等のビニル系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂)が挙げられる。これら分散媒を使用することにより、筆などによる築盛に好適なスラリー又はペースト状の陶材を容易に調製することができる。
【0028】
或いは、所望の形状及び厚さを有する鋳型を用いて、基体の少なくとも一部の表面上に第一の陶材を鋳込むことによって下地コート層を形成してもよい。かかる鋳型の製造法及び鋳込み法は、従来公知の方法であればよく、以下に詳述する鋳込みコート層を形成する場合と同様の鋳込み法により下地コート層を鋳込み形成することができる。
【0029】
典型的には、第一の陶材は、前述したような方法によって基体表面に塗布又は鋳込まれた後に、基体との結合強度を高め、かつ、塗布時に使用された有機成分を除くために焼成される。焼成温度は、第一の陶材の組成や下地コート層の形状等により適宜決定されるが、通常600〜1600℃、好ましくは700〜1500℃、より好ましくは800〜1300℃、さらに好ましくは900〜1100℃である。焼成雰囲気としては、特に限定されない。典型的には、大気中もしくは減圧下で行われる。
【0030】
下地コート層は、所望の色合いや透明性を実現するために、基体のいずれの表面部分に形成してもよく、例えば、基体表面のほぼ全体を被覆するようにして形成してもよく、その表面の一部にのみ形成してもよい。特に、基体表面全体を被覆するように形成することが好ましい。このことによって基体外面を見え難くすることができる。
また、その形状や厚さについても特に制限はなく、歯科用補綴物の種類に応じて、或いは求められる色合い及び透明性が実現されるように適宜決定される。例えば、クラウン、ブリッジ等の義歯の場合、基体(ボディ)上に厚さ0.01〜0.3mm程度、好ましくは0.1mm以下(例えば厚さ0.01〜0.1mm程度)の下地コート層を形成するとよい。
【0031】
次に、鋳型形成手段について説明する。本発明の製造方法では、目的とする鋳込みコート層形成用鋳型が形成されればよく、その作製方法に特に制限はない。
典型的には、前記下地コート層が形成された基体の表面に焼却除去可能な模型層を形成する。好ましくは、このときの模型層の形状は、目的とする鋳込みコート層に対応した形状とする。次いで、該模型層を適当な硬化性埋没材により構成された鋳型マトリックス中に埋没させ、そして該マトリックスを硬化させる。次いで、適当な炉中で該模型層を焼却除去することにより、前記模型層に対応する空隙が生じた鋳型を形成することができる。
【0032】
かかる模型層は、焼却可能な材料によって構成されていることが必要であり、成形性に優れることが好ましい。例えば歯科用途に適するワックスや樹脂が好適な材料として挙げられる。特にワックスは、成形性が良好である点から好ましい。なお、ここで「焼却除去可能」とは、模型層構成材料を高温下において消失させ得ることを意味しており、典型的な焼失の他に、高温により溶融していずれかの流出経路を経て鋳型内から除去されることを包含する。焼却温度は材料により適宜選択されるが、通常600〜1200℃、好ましくは800〜1000℃程度である。また、特に限定しないが、鋳型の焼成時間は、通常、20分〜3時間(例えば30分〜2時間)程度である。
【0033】
鋳型のマトリックスは、硬化性を有し且つ成形性の良好な材料から構成される。歯科用埋没材として市販されているものであればいずれも使用することができる。例えば、石膏系、リン酸塩系、エチルシリケート系、アルミナセメント系等の埋没材が使用可能である。特に作業性が良好であることから、常温硬化性であることが好ましい。
【0034】
本発明の製造方法において、鋳込みコート層を形成する前記第二の陶材としては、鋳込み温度における粘度が、使用した第一の陶材の同温度における粘度よりも低いことを条件として、歯科補綴物の外装部を形成するために用いられる従来公知の種々の陶材を用いることが可能である。特に、歯冠の表面又は表面近くの外装部を形成する場合には、透明性の高い組成のセラミック(特にガラス組成物)を主体とするものが好ましい。
かかる第二の陶材の主体となるセラミック成分は、歯科用補綴物の内容に応じて異なり得るため特に制限されないが、補綴物の良好な審美性を実現するために前記第一の陶材において例示されたものと同様な酸化物セラミックの利用が好ましい。例えば、SiO2、Al2O3、K2O、Na2O、Li2O、CaO、及びMgOを含有することが天然歯に近い透明性を表現するために好適であり、さらに品質向上のためにZrO2、B2O3、CeO2及び/又はSb2O3を含有していてもよい。これら酸化物から構成されるガラス組成物を主成分とするセラミック材の利用が審美性向上の観点から特に好ましい。例えば、ガラス組成物全体を100質量%として、以下の含有率の酸化物:SiO260〜70質量%、Al2O310〜20質量%、K2O5〜15質量%、Na2O3〜15質量%、Li2O0.1〜3質量%、ZrO20〜3質量%、CaO0.1〜5質量%、MgO0.1〜5質量%、B2O30〜3質量%、CeO20〜3質量%、及びSb2O30〜7質量%から実質的に構成されたガラス組成物を主成分とするセラミック材料、例えば、実質的に当該ガラス組成物のみから成るセラミック材料、或いは当該ガラス組成物に加えて他の結晶性セラミック成分をセラミック全体の50質量%以下(好ましくは10質量%以下)の含有率で含むセラミック材料の利用が好ましい。
【0035】
また、鋳込みコート層を形成する第二の陶材としては、結晶化ガラス(ガラスセラミック)を主体とするものであってもよい。例えば、前記組成の酸化物から成るガラス組成物が結晶化ガラスであってもよい。
また、第一の陶材と同様、第二の陶材についてもセラミックを主体としつつ他の成分を含み得る。例えば、所望の色合いを表現するために歯科分野で利用可能な顔料等の着色剤を含有させてもよく、蛍光性を付与するための蛍光材を含有させてもよい。
【0036】
ここで開示される製造方法において、第二の陶材は、第二の陶材の鋳込み温度において前記第一の陶材よりもその粘度が低いことが必要である。かかる温度域での第一の陶材と第二の陶材との粘度差は、第二の陶材が第一の陶材よりも低ければ特に制限はないが、第二の陶材に対する第一の陶材の粘度が少なくとも1.2倍あることが望ましく、少なくとも1.5倍あることが好ましく、少なくとも2倍あることが特に好ましい。粘度差が大きい方が、鋳込み時における第一の陶材の流動防止効果が高くなる。
【0037】
例えば、第一の陶材の粘度(所定の鋳込み温度における粘度。以下同じ。)は概ね2×106〜5×107cP(1センチポアズ(cP)を0.001Pa・sとして換算可能である。)の範囲に設定し得る。他方、第二の陶材の粘度は概ね1×106〜3×107cPの範囲に設定し得る。
セラミック(例えばジルコニア)を基体とする場合には、第一の陶材は当該セラミックと熱膨張係数が近似するセラミック体を形成する材料(組成)であることが好ましい。そして、第一の陶材の粘度は8×106〜3×107cPの範囲、且つ、第二の陶材の粘度は2×106〜7×106cPの範囲に設定することが好ましい。さらには、第一の陶材の粘度が8×106〜1.5×107cPの範囲、且つ、第二の陶材の粘度が3×106〜7×106cPの範囲に設定することが好ましい。
【0038】
一方、貴金属その他の金属を基体とする場合には、第一の陶材は当該セラミックと熱膨張係数が近似するセラミック体を形成する材料(組成)であることが好ましい。そして、第一の陶材の粘度は1.3×107〜5×107cPの範囲、且つ、第二の陶材の粘度は1×106〜1.2×107cPの範囲に設定することが好ましい。さらには、第一の陶材の粘度が1.3×107〜3×107cPの範囲、且つ、第二の陶材の粘度が5×106〜1.2×107cPの範囲に設定することが好ましい。
【0039】
第二の陶材の使用(鋳込み)時の形態は特に限定されない。例えば、前記のような組成を有するガラス組成物(結晶化ガラスであり得る)から成るインゴットを好適に用いることができる。かかるガラスインゴットは、従来公知のいずれの手段、例えば目的のガラス組成物の各成分を構成するセラミック原料を粉砕・混合した後に、加熱溶融して所望の大きさの型枠に充填し、冷却することによって得ることができる。
或いは、セラミック粉末を主体とする粉末形態の陶材であってもよい。
【0040】
第二の陶材を鋳型に鋳込む方法としては、加熱下に陶材を軟化させ、これをプレスする方法が挙げられる。この方法は、前記ガラスインゴットを使用する方法として好適である。材料を軟化させるのに適当な加熱時間は、通常、5分〜3時間程度である。10分〜1時間であり得る。プレスは、0.1〜5MPa程度でよく、典型的には0.1〜1MPaの圧で行い得る。加熱温度は陶材に含まれるセラミックが軟化可能な温度であればよく、通常、400〜1500℃の範囲に設定され得る。典型的には600〜1300℃、好ましくは800〜1200℃程度である。
【0041】
鋳込み温度は、歯科分野において従来公知の鋳込み法において、材料に応じて適宜採用される温度範囲であればよく、使用する第二の陶材の組成、形成する鋳込みコート層の形状等に応じて適宜決定され得る。通常、600〜1500℃の範囲内に設定され、典型的には800〜1300℃、好ましくは900〜1200℃程度である。
また、第二の陶材の鋳込みが完了すれば直ちに冷却を開始してもよいが、コート層の成形性を高めるためには、鋳込み完了後も鋳込み温度域にて所定時間(例えば5分〜1時間、好ましくは5〜30分程度)保持しておくことが好ましい。
【0042】
鋳込みコート層は、所望の色合いや透明性を実現するために、下地コート層のいずれの表面部分に形成してもよく、例えば、下地コート層の表面全体を被覆するように形成してもよく、その表面の一部に形成してもよい。下地コート層の色合いと合わさって、より天然歯に近い外観を得るためには、下地コート層の表面全体を被覆するように形成することが好ましい。
鋳込みコート層の形状や厚さは歯科用補綴物の内容に応じて異なり得るものであり、所望の色合いや透明性を実現するために適宜決定される。例えば、目的の補綴物がクラウンの場合、典型的には、その厚さは最も厚い部分の厚さにおいて1〜3mm程度であり得る。
【0043】
鋳込み完了後、典型的には鋳型に装着したまま冷却し、形成された鋳込みコート層を基体ごと鋳型から取り出す。取り出す手段は特に限定されない。一般的な硬化性埋没材から形成された鋳型では、鋳型を壊して取り出すことができる。または、鋳型を開閉可能に形成しておいて、鋳型を開いて取り出すことも可能である。
【0044】
鋳込みコート層を形成した表面上に、さらに審美性を向上するために他の一つ又は二つ以上のコート層を別途形成してもよい。かかる付加的なコート層は、前記のように陶材を筆により塗布(築盛)して形成してもよいし、前記のような鋳込み法によっても形成してもよい。鋳込み法の場合には、前記製造方法と同様、最初に形成した鋳込みコート層(下地コート層と見立てることができる。)を形成した第二の陶材よりも粘度の低い陶材(第三の陶材)を使用して付加的なコート層を形成することが好ましい。
【0045】
次に、本発明により提供されるキットについて説明する。ここで開示されるキットに含まれる第一の原料及び第二の原料は、前記製造方法において説明したような粘度差を有する第一の陶材及び第二の陶材をそれぞれ調製可能に構成されていればよい。
キットに含まれる第一の原料は、前記製造方法において説明した第一の陶材の主体となるセラミックを主成分とする。典型的にはかかるセラミックを粉末形状で含む。所望により、他の添加剤(例えば顔料)を含み得る。また、キットは、スラリー(又はペースト)状の陶材を調製するための適当な分散媒(水等)をセラミック粉末とは別に或いはセラミック粉末と混合した状態で含み得る。前記製造方法において説明したいずれかの形態の第一の陶材をそのまま第一の原料として含むこともできる。
【0046】
他方、キットに含まれる第二の原料は、前記製造方法において説明した第二の陶材の主体となるセラミックを主成分とする。典型的にはかかるセラミックを粉末形状で含む。所望により、他の添加剤(例えば顔料)を含み得る。
或いは、キットには、第二の原料として、第二の陶材の主体となるセラミックから成るインゴットを含み得る。前記製造方法において説明したいずれかの形態の第二の陶材をそのまま第二の原料として含むこともできる。
【0047】
【実施例】以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0048】
<実施例1>
本実施例では、歯科用補綴物として、成人の第1小臼歯に装着する歯冠(クラウン)を製造した。図1に本実施例の製造方法の手順を模式的に示す。
本実施例では、基体としてジルコニア製のフレームを用いた。ジルコニア製フレームは、従来公知の手段、例えば石膏による歯型の型取りとジルコニアの鋳込みにより容易に製造することができる。
まず、図1(a)に示すように、ジルコニア製フレーム1の表面3に、第一の陶材を筆で0.1mm程度の厚みで均一に塗布(築盛)した。ここで使用した第一の陶材は、以下の表1に示す組成のセラミック粉末を含み、このセラミック粉末の合計100質量部に対して、100質量部のプロピレングリコール水溶液を混合して調製したスラリーである。
築盛後、これを1050℃にて焼成し、図1(b)に示すようにフレーム1の表面3の全体に下地コート層5を形成した。
【0049】
【表1】
【0050】
次いで、図1(c)に示すように、得られた下地コート層5の表面7に、歯科用ワックス(GC社製品「ブルーインレーワックス」)を用いて所望する歯冠形状の模型層9を形成した。
これに図1(d)に示すようにスプルー線(GC社製品「レディーキャスティングワックス R20」)と呼ばれるピン11をつけ、台座13に移した。さらに図1(e)に示すように、台座13に典型的には金属製又はゴム製の鋳造用リング14を設置し、この内側に常温硬化性の歯科用埋没材15(デグサデンタル社製品「セルゴフィットスピード」)を流し込み、模型層9をフレーム1ごと埋没した。
歯科用埋没材15が硬化した後、ピン11及び台座13を取り除き、内部にフレーム1が装着された状態の埋没材15から成る硬化体を電気炉中に移した。そして炉内を850℃に加熱し、その温度で1時間保持した。これによって、図1(f)に示すように、模型層9が焼却除去され、当該模型層部分が空隙部8となった鋳型17を作製した。
【0051】
次いで、第二の陶材として、表1に示す組成の、加熱処理によって結晶化させたガラス組成物(粉末)を、金型中に設置してプランジャーによってプレスした後、加熱し、徐冷して円柱状に予備形成した。
このガラスインゴットを鋳型17に押し込むプランジャー(図示せず)と共に、鋳型17のセラミックス保持部(台座のあった部分)19に装着し、これを高温プレス炉(イボクラ株式会社製、型式:EP500)中にセットした。かかるプレス炉を1050℃に加熱し、当該温度で20分間保持した後、軟化したインゴット(即ち第二の陶材)を図示しないプランジャーによって約0.5MPaの圧力で鋳型17方向にプレスした。これにより、陶材導入路12(即ちピン11のあった部分)から溶融状態の第二の陶材が鋳型内に注入され、空隙部8に充填された。
この時点即ち鋳込み温度(1050℃)における第一の陶材及び第二の陶材の粘度は、表1に示す通りである。尚、本実施例中において粘度の測定は、ニューマンテック社製の高温平行板粘度測定装置(型式:PPVM−1350)により行った。
【0052】
第二の陶材が鋳型17内の空隙8に充填された後、更に10分間、1050℃に保持し、次いで冷却した。冷却完了後、鋳型17を壊して歯冠(クラウン)23を取り出した。以上の処理によって、図1(g)に示すような下地コート層5の表面7に鋳込みコート層21が形成された歯冠(クラウン)23を得た。
得られた歯冠23を切断して目視にて断面を観察した。その結果、下地コート層5の移動や変形は認められず、ほぼ設計どおりの厚みを維持しつつフレーム1全体を覆っていた。また、歯冠23は天然歯に近い外観を有していた。
【0053】
<実施例2〜10>
これら実施例では、第二の陶材として表2に示す組成のセラミック粉末を用い、鋳込み時におけるそれらの粘度が表2に示す通りであった以外は、実施例1と同様にして同形状の歯冠(クラウン)を製造した。
【0054】
【表2】
【0055】
表2から明らかなように、全ての実施例で、鋳込み温度において、下地コート層を形成する第一の陶材の粘度(9×106cP)が鋳込みコート層を形成する第二の陶材の粘度(4.5〜8.5×106cP)よりも高かった。このため、実施例1と同様、鋳込み後の下地コート層に目立った移動及び変形は認められず、フレーム全体をほぼ均一な厚みで覆っていた。また、得られた歯冠は、天然歯に近い外観を有していた。
特に、実施例2、3、4及び5は、下地コート層を形成する第一の陶材の粘度(9×106cP)が鋳込みコート層を形成する第二の陶材の粘度(5〜6×106cP)よりも1.5倍以上高いことから、下地コート層の移動及び変形が全く認められなかった。また、天然歯同様の優れた外観を有していた。
【0056】
<実施例11>
本実施例では、基体として金属製フレームを用いた。金属製のフレームの組成は、78質量%のAu、7.1質量%のPt、9.8質量%のPd、2.4質量%のAg及び不可避的不純物から構成される。
また、本実施例では、第一の陶材として表1に示す組成に代えて、表3に示す組成のセラミック粉末を含むこと、及び下地コート層の焼成温度を980℃としたこと以外は、実施例1と同様にして下地コート層を形成した。
【0057】
【表3】
【0058】
次いで、第二の陶材として表1に示す組成のセラミック粉末に代えて、表3に示す組成のセラミック粉末を用いたこと、さらに鋳込み温度を960℃、及び20分間の保持時間を15分間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして鋳込みコート層を形成した。尚、鋳込み温度における第一の陶材及び第二の陶材の粘度は、表3に示す通りである。
得られた歯冠を切断して目視にて断面を観察した。この結果、鋳込み温度において下地コート層を形成する第一の陶材の粘度(1.5×107cP)が鋳込みコート層を形成する第二の陶材の粘度(1×107cP)の1.5倍高いことから、下地コート層の移動及び変形が全く認められなかった。また、天然歯同様の優れた外観を有していた。
【0059】
<実施例12〜19>
これら実施例では、第二の陶材として表4に示す組成のセラミック粉末を用い、鋳込み時におけるそれらの粘度が表4に示す通りであった以外は、実施例11と同様にして歯冠を製造した。
【0060】
【表4】
【0061】
表4から、全ての実施例で、鋳込み温度において、下地コート層を形成する第一の陶材の粘度(1.5×107cP)が鋳込みコート層を形成する第二の陶材の粘度(0.6〜1.48×107cP)よりも高いために、下地コート層は移動、変形が少なく、フレーム全体を均一な厚みで覆っていた。また、得られた歯冠は、天然歯に近い外観を有していた。特に、実施例12における歯冠は、下地コート層を形成する第一の陶材の粘度(1.5×107cP)が鋳込みコート層を形成する第二の陶材の粘度(0.6×107cP)の2倍以上高いために、下地コート層の移動、変形防止効果が高く、天然歯に近い優れた外観を有していた。
【0062】
<比較例1>
第一の陶材のセラミック粉末の組成を表5に示す組成に変更し、この第一の陶材の1050℃での鋳込み時における粘度が表5に示す粘度であったこと以外は、実施例1と同様にして歯冠を製造した。
【0063】
【表5】
【0064】
得られた歯冠を切断して目視にて断面を観察した。この結果、鋳込み温度において、下地コート層を形成する第一の陶材の粘度(1×106cP)が鋳込みコート層を形成する第二の陶材の粘度(5.5×106cP)よりも小さかったために、下地コート層は鋳込んだ第二の陶材と共に移動し、フレーム開口部(マージン部)に露出してしまった。また、下地コート層の厚みがマージン部に近づくほど厚くなってしまったため、色むらも発生した。
【0065】
<比較例2>
第一の陶材のセラミック粉末の組成を表6に示す組成に変更し、この第一の陶材の960℃での鋳込み時における粘度が表6に示す粘度であったこと以外は、実施例2と同様にして歯冠を製造した。
【0066】
【表6】
【0067】
得られた歯冠を切断して目視にて断面を観察した。この結果、鋳込み温度において、下地コート層を形成する第一の陶材の粘度(1×106cP)が鋳込みコート層を形成する第二の陶材の粘度(1×107cP)よりも小さかったために、下地コート層は鋳込んだ第二の陶材と共に移動し、フレーム開口部(マージン部)に露出してしまった。また、下地コート層の厚みがマージン部に近づくほど厚くなってしまったため、色むらも発生した。
【0068】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例に係る歯冠(クラウン)の製造工程を説明するフロー図である。図1(a)は、ジルコニア製フレームの断面図である。図1(b)は、フレームの表面に下地コート層が形成された状態を示す断面図である。図1(c)は、下地コート層表面に歯科用ワックスから成る模型層が形成された状態を示す断面図である。図1(d)は、下地コート層及び模型層が形成されたフレームが台座に取り付けられた状態を示す断面図である。図1(e)は、台座に鋳造用リングが設置され、この内側に歯科用埋没材が流し込まれた状態を示す断面図である。図1(f)は、模型層が焼却除去されて当該模型層部分に空隙部を有する鋳型が作製された状態を示す断面図である。図1(g)は、下地コート層表面に鋳込みコート層が形成された歯冠(クラウン)を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 フレーム(基体)
5 下地コート層
8 空隙部
9 模型層
15 埋没材
17 鋳型
21 鋳込みコート層
23 歯冠(歯科用補綴物)
Claims (10)
- 歯科用成形材料から構成された歯科用補綴物の基体を用意する工程と、
前記基体の少なくとも一部の表面に、セラミックを主体とする第一の陶材を用いて下地コート層を形成する工程と、
前記基体を装着した鋳型であって、前記下地コート層の表面上に所定の空隙が設けられた鋳型を形成する工程と、
所定の鋳込み温度において、前記鋳型に前記第一の陶材とは異なる組成のセラミックを主体とする第二の陶材であって該鋳込み温度における粘度が前記第一の陶材よりも低いことを特徴とする第二の陶材を前記空隙に注入し、前記下地コート層の少なくとも一部の表面に鋳込みコート層を形成する工程と、
を含む、歯科用補綴物の製造方法。 - 前記鋳型形成工程は、
前記下地コート層の少なくとも一部の表面に、焼却除去可能な材料から成る所定形状の模型層を形成する処理と、
前記鋳型を構成するマトリックス中に前記模型層を埋没させる処理と、
前記マトリックスを硬化させた後、前記模型層を焼却除去することにより前記模型層に対応する前記空隙が設けられた鋳型を形成する処理と、
を含む、請求項1に記載の製造方法。 - 前記基体は、金属製又はセラミック製のフレームである、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記鋳込み温度における粘度が前記第二の陶材の粘度の少なくとも1.5倍である陶材を、前記第一の陶材として使用する、請求項1〜3のうちのいずれかに記載の製造方法。
- 前記第一の陶材は、以下の含有率の酸化物:
SiO2 40〜75質量%;
Al2O3 10〜20質量%;
K2O 5〜15質量%;
Na2O 2〜10質量%;
Li2O 0.1〜2質量%;
ZrO2 0〜7質量%;
CaO 0〜5質量%;
MgO 0〜5質量%;及び
SnO2 0〜30質量%;
から実質的に構成されたガラス組成物を主成分としており、
前記第二の陶材は、以下の含有率の酸化物:
SiO2 60〜70質量%;
Al2O3 10〜20質量%;
K2O 5〜15質量%;
Na2O 3〜15質量%;
Li2O 0.1〜3質量%;
ZrO2 0〜3質量%;
CaO 0.1〜5質量%;
MgO 0.1〜5質量%;
B2O3 0〜3質量%;
CeO2 0〜3質量%;及び
Sb2O3 0〜7質量%;
から実質的に構成されたガラス組成物を主成分とする、請求項1〜4のうちのいずれかに記載の製造方法。 - 前記鋳込み温度において、前記第一の陶材の粘度が2×106〜5×107cPの範囲内にあり、前記第二の陶材の粘度が1×106〜3×107cPの範囲内にある、請求項1〜5のうちのいずれかに記載の製造方法。
- 歯科用補綴物の基体の表面に少なくとも二層のコート層から成る外装部を形成するためのキットであって、
前記基体の表面に下地コート層を形成する第一の陶材を調製するためのセラミックを主体とする第一の原料と、
前記下地コート層の少なくとも一部の表面に鋳込みによりコート層を形成する第二の陶材を調製するためのセラミックを主体とする第二の原料であって、所定の鋳込み温度における粘度が前記第一の原料から構成される第一の陶材の粘度よりも低いことを特徴とする第二の陶材を構成するように調製された第二の原料と、を含むキット。 - 前記鋳込み温度における前記第一の陶材の粘度が前記第二の陶材の粘度の少なくとも1.5倍となるように、前記第一の原料及び第二の原料がそれぞれ調製されている、請求項7に記載のキット。
- 前記第一の原料は、以下の含有率の酸化物:
SiO2 40〜75質量%;
Al2O3 10〜20質量%;
K2O 5〜15質量%;
Na2O 2〜10質量%;
Li2O 0.1〜2質量%;
ZrO2 0〜7質量%;
CaO 0〜5質量%;
MgO 0〜5質量%;及び
SnO2 0〜30質量%;
から実質的に構成されたガラス組成物を主成分としており、
前記第二の原料のセラミックは、以下の含有率の酸化物:
SiO2 60〜70質量%;
Al2O3 10〜20質量%;
K2O 5〜15質量%;
Na2O 3〜15質量%;
Li2O 0.1〜3質量%;
ZrO2 0〜3質量%;
CaO 0.1〜5質量%;
MgO 0.1〜5質量%;
B2O3 0〜3質量%;
CeO2 0〜3質量%;及び
Sb2O3 0〜7質量%;
から実質的に構成されたガラス組成物を主成分とする、請求項7又は8に記載のキット。 - 前記鋳込み温度における前記第一の陶材の粘度が2×106〜5×107cPの範囲内となり、前記第二の陶材の粘度が1×106〜3×107cPの範囲内となるように、前記第一の原料及び第二の原料がそれぞれ調製されている、請求項7〜9のうちのいずれかに記載のキット。
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