JP2005034202A - エネルギー治療装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】出射部から出射したエネルギーの利用効率を上げ、出射出力を抑えつつ目的部位に対するエネルギー集積を高めるようにしたエネルギー照射装置を提供するものである。
【解決手段】エネルギー治療装置1は、エネルギーを生体組織に照射するエネルギー治療装置1であって、エネルギーを出射するエネルギー出射部3と、エネルギー出射部3から出射されたエネルギーを目的部位80に反射するように、エネルギー出射部に相対する位置に設置する反射手段4とを備えてなる。
【選択図】 図1
【解決手段】エネルギー治療装置1は、エネルギーを生体組織に照射するエネルギー治療装置1であって、エネルギーを出射するエネルギー出射部3と、エネルギー出射部3から出射されたエネルギーを目的部位80に反射するように、エネルギー出射部に相対する位置に設置する反射手段4とを備えてなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、血管、食道、や直腸等の消化管、尿道、腹腔、胸腔等の生体内腔あるいは管腔に挿入し、あるいは外科手術的に生体組織に押し当て、または体表に押し当て、超音波、レーザ光等のエネルギーを生体組織に照射して、癌等の腫瘍や前立腺肥大等を高温度治療するためのエネルギー治療装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体の体腔を利用し、あるいは生体に小切開を施して生体内に長尺状の挿入部を挿入し、この挿入部から病変を含む生体組織に超音波、レーザ光等のエネルギーを照射し、その病変部位の組織又は病変部位を含む周辺組織を、変性、壊死、凝固、焼灼あるいは蒸散により消滅させて治療する加熱治療技術(ハイパーサーミア、高温度治療、アブレーション、蒸散術)が知られている。
【0003】
一般にこれらの技術は、生体組織の表層またはその近傍に位置する病変部位にエネルギーを直接照射して治療するものであるが、例えば、前立腺などのように生体組織の深部に位置する病変部位の加熱治療にも利用されている。
【0004】
特許文献1は、このような加熱治療に適用した医療用エネルギー照射装置の例が開示されている。特許文献2は、高密度焦点式超音波(high intensity focused ultrasound:HIFU)療法に適用した治療装置が開示されている。この医療用エネルギー照射装置は、例えば前立腺の治療を行う場合、一般に以下の手順で行われている。すなわち、前立腺の治療を行う医師は、直腸に医療用エネルギー照射装置の挿入部を挿入し、出射部の位置を前立腺に到達させてから、出射部の位置を目標部位方向に合わせ、エネルギーを照射する。この一連の操作は、医師が内視鏡で尿道を観察しながら行うのが一般的である。
【0005】
図17は、生体組織にダメージ(壊死)与える温度と時間の関係を示したグラフである。組織は、温度を上げる程、短時間で壊死する。例えば、組織を壊死させるためには、温度55℃で3分、温度45℃で50時間かかる(非特許文献1)。
【特許文献1】
特開2000−319号公報
【特許文献2】
米国特許5,743,863号明細書
【非特許文献1】
Lasers in Surgery and Medicine 18:22−33(1996)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来からの加熱療法用のエネルギー照射装置は、出射部から出射した例えば、レーザ等のエネルギーを目的部位に集中して照射するように構成されている。レーザ照射時に上述したような加温状態を保ちながら目的部位を治療するためには、エネルギーの利用効率を上げる必要がある。エネルギーの利用効率を上げるには、出射の出力を上げることになり、目標部位以外の正常な組織にダメージを与える可能性があった。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑み、出射部から出射したエネルギーの利用効率を上げ、出射出力を抑えつつ目的部位に対するエネルギー集積を高めるようにしたエネルギー照射装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエネルギー治療装置は、エネルギーを生体組織に照射するエネルギー治療装置であって、エネルギーを出射するエネルギー出射部と、エネルギー出射部から出射されたエネルギーを目的部位に反射するように、エネルギー出射部に相対する位置に設置する反射手段とを備えてなる。
【0009】
本発明に係るエネルギー治療装置では、エネルギー出射部と、出射部に相対する位置に設置された反射手段とを備えるので、エネルギー出射部からのエネルギーと反射手段で反射したエネルギーとを利用することができる。また、エネルギー出射部からのエネルギーを目的部位に照射し、一部目的部位を透過し反射手段で反射されたエネルギーとエネルギー出射部からエネルギーとを目的部位に照射することができ、効率的に目的部位のエネルギー集積密度を高め、それ以外の生体組織へのエネルギー集積密度を弱めることができる。
【0010】
本エネルギー治療装置は、エネルギー出射部からの出射エネルギーと、反射手段からのエネルギーとが、目的部位で重なり合うようにして成ることが好ましい。
【0011】
本エネルギー治療装置は、エネルギー出射部を含む本体と反射手段を配置する配置装置を有することが好ましい。
【0012】
配置装置は、エネルギー出射部を含む本体の保持部と反射手段の保持部と、エネルギー出射部と反射手段の相対位置を調整する機構を有することが好ましい。
【0013】
本エネルギー治療装置は、配置装置を制御する配置制御手段を有することが好ましい。
【0014】
配置制御手段は、エネルギー出射部からの出射エネルギーと、反射手段からの反射エネルギーとが目的部位で重なり合うように制御することが好ましい
【0015】
配置装置がエネルギー出射部の向きを変更できることが好ましい。
【0016】
本エネルギー治療装置は、エネルギー出射部から出射エネルギーを制御する出射制御手段を有することが好ましい。
【0017】
上記出射制御手段は、出射エネルギーを目的部位に集中させる照射パターンと、照射出力と照射時間を制御することが好ましい。
【0018】
出射制御手段は、出射エネルギーを目的部位に集中させる照射パターンと照射出力と照射時間を制御することが好ましい。
【0019】
出射制御手段は、出射部からの出射エネルギーを間歇的に目的部位に照射するように照射パターンを制御することが好ましい。
【0020】
出射制御手段は、エネルギー出射部から間歇的に出射されたエネルギーと、反射手段により反射された反射エネルギーとが同時に目的部位に到達するように照射パターンを制御することが好ましい。
【0021】
反射手段は、固定反射面または可変反射面を有することが好ましい。
【0022】
反射手段は、反射面の曲率が可変であることを有し、曲率半径はエネルギーを効率良く反射するように可変であることが好ましい。
【0023】
本エネルギー治療装置は、反射手段を制御する反射制御手段を有することが好ましい。
【0024】
反射手段には、エネルギー出射部から到達したエネルギー量を検出するエネルギー検出手段を有することが好ましい。
【0025】
反射手段は、空気抜き手段を有することが好ましい。
【0026】
本エネルギー治療装置は、エネルギー出射部と、エネルギー出射部を含む本体に接触する生体組織とのうち1つ以上を冷却する冷却手段を有することが好ましい。
【0027】
本エネルギー治療装置は、反射手段と反射手段に接触する生体組織とのうち1つ以上を冷却する冷却手段を有することが好ましい。
【0028】
本エネルギー治療装置は、冷却手段を制御する冷却制御手段を有することが好ましい。
【0029】
本エネルギー治療装置は、配置制御手段を制御する制御装置を有することが好ましい。
【0030】
本エネルギー治療装置は、配置制御手段、または配置制御手段と出射制御手段を制御する制御装置を有することが好ましい。
【0031】
本エネルギー治療装置は、反射制御手段、または反射手段と配置制御手段と出射制御手段のうちの2つ以上を制御する制御装置を有することが好ましい。
【0032】
本エネルギー治療装置は、冷却制御手段、または冷却制御手段と配置制御手段と出射制御手段と反射制御手段のうちの2つ以上を制御する制御装置を有することが好ましい。
【0033】
本エネルギー治療装置は、エネルギー出射部を含む本体に、出射エネルギーの広がり角度を収束、平行または拡大する手段を有することが好ましい。
【0034】
エネルギー出射部を含む本体には、位置決め及び生体内を観察する観察手段を有することが好ましい。
【0035】
エネルギー出射部を含む本体あるいは反射手段、あるいは本体と反射手段の両方の表面に、位置固定のための拡張、収縮するバルーンを有することが好ましい。
【0036】
エネルギー出射部を含む本体あるいは反射手段、あるいは本体と反射手段の両方の表面には、親水性高分子材料を含む表面層を有することが好ましい。
【0037】
エネルギーとしては、超音波、レーザ光等を用いることが可能である。特に、超音波は深達性を有するので、本発明のエネルギー照射装置を例えばエネルギーの深達性が要求される前立腺治療等に適用した場合には、エネルギーとして超音波を用いることが好ましい。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0039】
図1は、本発明に係るエネルギー治療装置の実施の形態の基本構成を示す。本実施の形態に係るエネルギー治療装置1は、長尺状の挿入部であるアプリケータ2と、このアプリケータに設置されてエネルギーを生体組織に照射するエネルギーの出射部3と、出射部3に相対して設置されて出射部3から出射されたエネルギーを反射する反射手段4と、エネルギーを生体組織の目的部位、即ち治療部位80に集中させるための照射パターンを指示する制御部及びその他の制御部を有する制御装置5とを備えて成る。反射手段4は、実質的にエネルギーを反射する平面または凹面を形成する反射体6とこの反射体6を挿入させるための操作棹7とから構成される。即ち、操作棹7の先端に反射体6が一体に設けられる。
【0040】
出射エネルギーとしては、超音波、レーザ光、指向性を持った電磁波等を用いることが可能である。本例のエネルギー治療装置1では、エネルギーとして深達性の高い超音波を用いた超音波治療装置に適用している。このため、アプリケータ2内の先端側に出射部3となる超音波振動子が設置される。この超音波振動子3から超音波が出射される。超音波振動子としては、例えば、圧電セラミックス(PZT、チタン酸バリウム等)、圧電ポリマー(PVDF、P(VDF−TrFE)等)等の電圧をかけると形状が変化する素子を用いることができる。
【0041】
制御装置5から指示される照射パターンは、超音波振動子3から出射された超音波と、この超音波が反射体6で反射した反射超音波との協同によって、治療部位80では超音波の強度が高くなり、その他の部位では超音波の強度が低くなるようなパターンに設定する。本実施の形態では、超音波振動子3から超音波が治療部位80へ向けて照射され、一部治療部位80を透過した超音波が反射体6で反射し、その反射超音波を再び治療部位80へ照射するようになされる。
【0042】
アプリケータ2及び反射手段4は、後述するように相互間の距離を制御できるように移動可能に配置されるため、比較的高い硬度のある材料で形成されるのが好ましく、例えばステンレス等で形成することができる。アプリケータ2の構成材料の詳細は後述する。
【0043】
次に、本実施の形態に係るエネルギー治療装置1、即ち超音波治療装置の原理的な使用例を説明する。本例では、前立腺がん、前立腺肥大の治療に適用する場合について説明する。
【0044】
図1及び図2A,Bに示すように、アプリケータ2を尿道81内に挿入し、反射体6を操作棹7を介して直腸82内にアプリケータ2に対応した位置に挿入する。アプリケータ2はその先端側の超音波振動子3が前立腺83の治療部位80に対応した位置に来るように挿入される。この場合、例えばアプリケータ2に備えられた内視鏡により尿道を観察することにより前立腺部尿道に特徴的な形状を見出し治療部位80の前後位置を判定することができる。この状態で、超音波振動子3から超音波85を治療部位80に向って間歇的に出射する。出射された超音波85は治療部位80に照射されると共に、一部が治療部位80を透過して直腸82に挿入されている反射体6によって反射され反射体6からの反射超音波85´が再び治療部位80を照射されることになる。治療部位80では、超音波振動子3から直接の超音波85と、反射体6からの反射超音波85′とが照射され、両超音波85及び85′が重畳されることで超音波エネルギーの強度が強くなる。治療部位以外の部位84では、超音波エネルギーの強度が弱いので、正常な組織細胞はダメージを受けず正常状態に維持される。従って、選択的に治療部位80の組織細胞、例えば前立腺がんの悪性腫瘍あるいは前立腺肥大の良性腫瘍を変成して前立腺を選択的に治療することができる。
【0045】
本実施の形態では、治療部位80での温度が、高温度治療が可能であり、且つ、蒸散しない温度、好ましくは55℃〜100℃、より好ましくは70℃〜90℃近辺の温度域になるように、治療部位80において超音波エネルギーを集積させるようになす。
【0046】
なお、図2Aに示すように、アプリケータ2と反射手段4とは、保持部14に固定されて両者の距離Lが所要の距離に設定されている。
【0047】
制御装置5から指示される照射パターンとしては、本実施の形態の場合、超音波振動子3からの超音波85を間欠的に治療部位80に照射し、一部治療部位80を透過し反射体6で反射した反射超音波85′と超音波振動子3からの次の超音波85とが同期して治療部位80に照射されるパターンとする。即ち、超音波振動子3からの超音波85と反射超音波85′とが治療部位80において重畳される。
【0048】
この照射パターンの一例を説明する。本例では、超音波振動子3から超音波85をパルス発振させ、反射体6で反射した反射超音波85′が治療部位80に達するのに同期して次の超音波パルス列85を治療部位80に照射し、治療部位80において超音波を重ねて超音波強度を強め合うようになす。
【0049】
図3は、照射パターンの超音波進行状態を模式的に示す。
図3Aは、出射部3側より照射された1回目の超音波パルス列851が出射される。図3Bは、1回目の超音波パルス列851が、エネルギーを与えながら位置を変化させて、反射体6へ進行する。図3Cは、2回目の超音波パルス列852が出射され、反射体6で反射された1回目の超音波パルス列851´の進行を示している。2回目の超音波パルス列852の出射のタイミングは、エネルギー密度を強めたい位置(治療部位)80で反射されたパルス列851´と重なり合うようになす。図3Dは、2回目の超音波パルス列852と反射されたパルス列851´が任意の位置に同時に到着し、エネルギー密度を強め合う。図3Eは、2回目の超音波パルス列852と反射されたパルス列851´が相反する方向へ進行している。反射後に位置80を通過したパルス列851´の強度は図示するように減衰される。以降は、図3C〜図3Eを繰り返して目的部位に高いエネルギー密度を達成する。
【0050】
図4Aは、この照射パターンによる治療部位の加温状態を示す。即ち、横軸を時間、縦軸を出射部と反射体の距離としたとき、超音波による治療部位の加温状態を示すグラフである。
出射部3より照射された1回目の超音波パルス列(基本波)851は反射体6により反射され、治療部位80に到達する。2回目の超音波パルス列(遅延波)852は、反射された1回目の超音波パルス列851´と治療部位80で重畳するタイミングで照射されて、即ち、グラフでは丸印の位置で強め合う。
【0051】
図4Aでは、治療部位80がアプリケータ2と反射体6との間の距離の1/2の距離にある場合であり、超音波振動子3から半位相遅れて次の超音波パルス列が出射され、両超音波パルス列が中心付近で重なり合う。治療部位の位置に応じて超音波パルス列の出射のタイミングを任意に設定することができる。例えば治療部位80がアプリケータ2に近ければパルス間隔は大きく、治療部位80が反射体6に近ければパルス間隔は小さくなる。また、治療部位の幅に応じてパルス幅を任意に可変することができる。この超音波パルス列のパルス間隔(周期)とパルス幅を設定することにより、治療領域を選択することができる。図4Aの破線で示す領域が加熱領域である。
【0052】
次に図4Bを用いて出射部から間歇的に出射する超音波パルス列について説明する。
パルス列85が一定時間ごとに出射される。繰り返し周期T、パルス列85の出射時間をt1、出射部と反射部の距離をL、音速をvとするとき、T=2L/vとなり、間歇的なエネルギーの出射時間t1は、0<t1<T/2となる。t2は、パルス列が出射されてない休止期間である。
ここで、超音波の場合、以下の条件で高温度治療を行うことができる。
1.許されるパルス周波数は、100kHz〜50MHz、望ましくは1MHz〜5MHzの範囲とする。
2.出射部から反射部までの距離Lは、0.1cm〜10cm、望ましくは1cm〜6cmの範囲とする。
3.パルス幅の範囲は、λ=v/fで、v=1530m/secと条件1のパルス周波数より、15mm〜0.03mm、望ましくは1.5mm〜0.3mmとする。
4.繰り返し周期Tは、条件1及び2より 1.3μsec〜130μsec望ましくは13μsec〜80μsecの範囲とする。
5.パルス出射時間t1は、上記繰り返し時間Tの1/20〜1/2望ましくは1/10〜1/3の範囲とすることができる。
つまりTの範囲が、1.3μsec〜130μsecのときには、tの範囲は、1.3μsec×1/20〜130μsec×1/2、望ましくは1.3μsec×1/10〜130μsec×1/3とする。
Tの範囲が13μsec〜80μsecのときには、tの範囲は13μsec×1/20〜80μsec×1/2、望ましくは13μsec×1/10〜80μsec×1/3とすることができる。
上例では超音波を用いたが、レーザーや電磁波等で高温度治療を行う場合は、目的に応じて最適な条件を決定することができる。
【0053】
照射パターンの他の例を説明する。本例では、超音波振動子3から超音波を連続発振させ、超音波振動子3をアプリケータ2の軸線を中心に回転させて超音波振動子が1回転する毎に超音波が治療部位に間歇的に、即ち見かけ上パルス的に照射されるようになす。この照射パターンによる高温度治療は、例えば前立腺がんの発症部位以外の部位も疑わしい場合に前立腺全周の治療に適用して好適である。
図5は、この照射パターンを適用したときの超音波治療装置1のアプリケータ2と前立腺83の断面構造を示す。前立腺83は辺縁領域83aと移行領域83bで成っている。ここでは、前立腺がんの発症部位80を含む前立腺全周に対する治療を施す場合とする。本例では、超音波振動子3を所要の周期で回転できるようにアプリケータ2内に配置される。一方、反射体6が挿入される直腸82は、非常に柔軟性を持った臓器であり、図5に示すように、前立腺83の移行域83bを除く辺縁域83aの全域に延伸可能である。
【0054】
治療は、アプリケータ2を尿道81内に挿入し、反射体6を直腸82内に挿入し、超音波振動子3をアプリケータ2の軸線を中心に回転させ、尿道81を取り巻く周囲の前立腺の治療部位に対して超音波85を照射させる。前立腺がんの部位80では超音波振動子3の1回転毎に1回超音波85が照射され、その他の全周の治療部位に対しても同様に1回転毎に1回超音波85が照射される。反射体6は、超音波振動子3の回転に対応して直腸82を延伸させながら鎖線で示すように移動させる。このような操作により、治療部位に超音波を集中させながら、前立腺の全周にわたる温熱治療が可能になる。なお、直腸82の延伸できない移行域83bは治療しない。
【0055】
次に、図6は、前述した基本構成を具体化した本発明に係るエネルギー治療装置1の一実施の形態を示す全体構成である。本実施の形態のエネルギー治療装置1は、前述と同様に、長尺状の挿入部であるアプリケータ2と、このアプリケータ2に設置されたエネルギーの出射部3と出射部3に相対して設置されて出射部3から出射されたエネルギーを反射する反射体6及び操作棹7からなる反射手段4と、制御装置5とを有して構成される。アプリケータ2と反射手段4の操作棹7とは、生体外において配置装置14に保持される。
【0056】
制御装置5は、マイクロプロセッサ等のCPUで構成される制御部91、制御部91により実行されるプログラムや各種データを記憶しているデータベース92を備えている。制御部91には出射部3、例えば超音波振動子を駆動するための送信出力の設定、照射パターンの設定を行う出射制御手段93、アプリケータ2および反射体6へ冷却液を供給し、排出するための冷却液制御手段94、アプリケータ2と反射手段4間の距離、方向を設定するための配置制御手段95、反射手段の反射体の例えば曲率半径を制御する反射制御手段96及びエネルギー出射部3から出射されるエネルギー強度、例えば超音波強度を検出するためのエネルギー検出手段97が接続される。さらに、入力情報の演算結果等を表示する表示手段として、例えば陰極線管や液晶等のモニター98が設けられる。
冷却液制御手段94としては、超音波振動子3から出射される超音波で治療部位でない生体組織の表面層、即ちアプリケータ2、反射体6に接触する表面層を加温しないようにするために冷却液を循環的に注入・排出するようになす。
【0057】
出射部3として超音波振動子を用いた場合、超音波を収束して治療部位80に照射することが望ましい。図7は超音波を収束させるための構成を示す。図7Aに示す例では、超音波振動子3に1/2波長板22を組み合わせ、音響レンズ23を装着して構成される。超音波振動子3で発生した超音波は、1/2波長板22を通過したのち音響レンズ23で収束されて、治療部位80に照射される。また、超音波を平行に照射する場合は、音響レンズ23を変えることで平行な超音波にして、治療部位80に照射することができる。図7Bの例では、音響レンズの代わりに凹面の反射体26を配置して構成される。この凹面の反射体26を用いることで超音波を収束することができる。図示しないが、音響レンズで拡大して治療部位80に照射することもできる。
【0058】
次に、反射手段4の各実施の形態について説明する。
図8に示す本実施の形態に係る反射手段41は、照射された超音波を反射する1枚の短冊状の反射体6を有し、この反射体6の両端を所定の間隔を置いて配置された1対の支持台30、31上に湾曲するように固定し、操作棹7の先端を軸方向に可動自在に配した他方の支持台31に固定して構成される。操作棹7は、一方の支持台30に設けた透孔30aを軸方向に移動可能に挿通して他方の支持台31に固定される。この反射手段41は、操作棹7を移動させることにより、短冊状の反射体6の反射面6aの曲率が可変する。すなわち、操作棹7を手前に引くことにより、支持台31が破線位置に移動して反射体6の湾曲が大きくなり、反射面6aの曲率半径が小さくなる。逆に操作棹7を押せば反射体6の曲率半径が大きくなる。従って、例えば、照射された超音波を治療すべき部位に向け的確に反射したい場合は、操作棹7を引いたり押したりすることで反射体6の曲率が変更され、反射された超音波を治療部位80に照射する。
【0059】
図9A,Bに示す本実施の形態の反射手段42は、中央の幅が広く両端に向って漸次幅が狭くなるように且つ両辺が弓状をなす複数枚の反射素体33により反射体6が構成される。この複数枚の反射素体33は、半球状に束ねるように配され、その両端が支持台30及び31に一体の軸34に挿通されるようにして支持される。その他の構成は図8と同様である。この反射手段42は、操作棹7の操作により、反射体6の反射面6aの曲率を可変させることができる。即ち、操作棹7を押すことにより、両支持台30及び31間の距離が大きくなり、反射体6の全体の幅が狭まるように変化して反射面6aの曲率半径が大きくなる。逆に操作棹7を引くことにより、両支持台30及び31間の距離が短くなり、反射体6の全体の幅が広がるように変化して反射面6aの曲率半径が小さくなる。
【0060】
図10A,Bに示す本実施の形態の反射手段43は、操作棹7の先端にスプーン形状の反射体6を形成して構成される。この反射手段43では、例えば、反射体6の中央に出射部3より照射された超音波を検知する超音波センサー35が設けられると共に、他部にスプーン形状の内部の空気を排出するための空気孔36と超音波ゼリーを注入するための超音波ゼリー注入孔37が形成される。この場合、超音波ゼリー注入孔37は、操作棹7を通してスプーン形状の反射面に連通するように形成される。この反射手段43を使用するときは、出射部3から例えば超音波が出射された場合、その超音波を反射手段43に設けた超音波センサー35により超音波の出力強度が検知される。この超音波センサー35からの出力を制御部91にフィードバックすることにより、出射部3の超音波出力を制御できる。また、超音波ゼリー注入孔37を通して超音波ゼリーをスプーン形状の反射体6内に注入することにより、反射面6aと生体壁との間の空気が空気孔36から抜ける。空気が存在すると、超音波の伝播が阻害される。超音波ゼリーの注入により空気が無くなるので、出射部3からの超音波が反射面に良好に到達する。
【0061】
図11A〜Cは、夫々反射手段4のさらに他の実施の形態を示す。本例は、反射体6に冷却液、例えば冷却水を注入して、治療部位でない部位、即ち反射手段4に接触する生体組織の表面層部分の加温を和らげるように構成した場合である。
【0062】
図11Aに示す反射手段44は、操作棹7が筒状の外操作棹7Aと、外操作棹7A内に軸方向に移動可能に配置されたパイプ状の内操作棹7Bとからなり、外操作棹7Aの先端側の皿状部7C内に前述の図9と同様の複数枚の反射素体33からなる反射体6が配置されて成る。反射体6は、その一端が皿状部7Cに固定され、その他端が内操作棹7Bの先端に固着され、内操作棹7Bと共に軸方向に移動可能に配置された支持台30に固定される。この反射手段44では、内操作棹7Bを前進、後退させることにより、図9で説明したように反射体6の曲率を変更することができる。一方、反射体6が配置された皿状部7Cの周囲は、軟性膜38によって覆われ、皿状部7C内が液密的に封止される。軟性膜38は超音波を阻害しない材料、例えば、シリコンゴム、ラテックスで形成される。この反射手段44では、パイプ状の内操作棹7Bから冷却液(例えば冷却水)181を反射体6へ注入し(矢印a)、反射体6は配された領域を冷却して後、筒状の外操作棹7Aを通して冷却液181を外部に排出する(矢印b)ようにした冷却手段が構成される。この冷却液181は例えば循環して用いることができる。反射体6は、冷却液181の循環によって、全体が冷却され、例えば、出射部3より照射された超音波を反射体6で反射するときに発生する反射体6近傍領域の熱を取り除くことができ、治療部位を集中的に温熱治療することができる。
【0063】
図11Bに示す反射手段45は、移動可能な支持台30の透孔を挿通して、パイプ状の内操作棹7Bが固定され、この内操作棹7B内を前進、後退し得るワイヤー182が配置され、ワイヤー182の先端を反射体6の中央に固着して構成される。その他の構成は、図11Aと同様であるので、対応する部分に同一符号を付して重複説明を省略する。この反射手段45では、ワイヤー182を後退、前進させることにより、反射体6の中央部が図において上下に移動し、このため支持台30が前進、後退して反射体6の曲率を変更することができる。反射体6近傍の冷却は図11Aと同様に行うことができる。
図11Cに示す反射手段46は、反射体6をバイメタル材料で形成し、反射体6の下部にヒーター40を設置して構成される。その他の構成は、図11Aと同様であるので、対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この反射手段46では、ヒーター40による加熱により湾曲することで反射体6の曲率を変更することができる。反射体6近傍の冷却は、図11Aと同様に行うことができる。
【0064】
図12は、反射手段4の更に他の実施の形態を示す。本例では挿入時に反射体を狭めて挿入し易くし、挿入後に反射体を所要の大きさに広げるようにする。本実施の形態に係る反射手段47は、反射体6を、所要の曲率の反射面を有する複数枚の反射素体51、52、53からなり、複数枚の反射素体51、52、53を重ね合せ、互いに広げたときに所要の大きさの反射体となるように形成して成る。即ち、中間で連結されるように2つ折りされた所要の曲率の反射面を有する第1の反射素体51と、第1の反射素体51の2つ折りされた部材間に重ね合うように配置された所要の曲率の反射面を有する第2及び第3の反射体52及び53とが設けられる。
【0065】
第2の反射素体52は、その一端が第1の反射素体51の2つ折りされた連結部51Aに一体の軸54に回転自在に取付けられ、その他端が軸54と同軸線上に配置された第1の回転ギア55の軸に取付けられるように形成される。第3の反射素体53は、その一端が第1の反射体51の2つ折りされた連結部51Aに一体の軸56に回転自在に取付けられ、その他端が軸56と同軸線上に配置された第2の回転ギア57の軸に取付けられるように形成される。第1の回転ギア55は第1の反射素体51の端部と操作棹7側の基部間に軸支され、第2の回転ギア57は操作棹7を通じて配置される回転シャフト58に連結され、両回転ギア55及び57は互いに噛み合わされるように構成される。回転シャフト58には、例えば手動により操作する操作レバー59が取付けられる。操作棹7に設けられたハウジング60には操作レバー59の案内溝61が設けられ、操作レバー59はこの案内溝61に沿って回動される。さらに、前述特許同様に反射体6の全体を覆う軟性膜38が形成され、ハウジング60を通じて反射体6へ冷却液を注入する注入チューブ63及び冷却液を排出する排出チューブ64が配置される。反射手段47の部分と操作棹7とは、連結手段65によって連結される。
【0066】
この反射体6は、生体管腔内に挿入する時点では図13Aに示すように、3枚の反射素体51、52及び53が折り重なるように細く畳み込まれている。生体管腔内の所定位置に挿入された時点では、操作レバー59を回動して回転シャフト58を回転させると、第2の回転ギア57が回転すると共に、第1の回転ギア55が逆回転し、両回転ギア55及び57に夫々取付けられている第2の反射素体52及び第3の反射素体53が第1の反射素体51を中心に左右に開かれ、図13Bに示すように目的の広さのスプーン形状の反射体6になる。
【0067】
図14は、本発明に係るエネルギー治療装置の全体的構成の実施の形態を示す。本例は前立腺治療に適用した場合である。本実施の形態に係るエネルギー治療装置1は、エネルギー出射部である超音波振動子3を備えたアプリケータ2及び反射手段4を配置する配置装置、即ちアプリケータ2及び反射手段4を保持する配置装置14と、超音波振動子3及び反射手段4を制御する制御装置5と、モニター98とを備えて成る。
【0068】
配置装置14は、基台101の主面上に反射手段4を保持する第1の保持部102と、基台101の一側より延長する支柱103に支持され、第1の保持部102に対向してアプリケータ2を保持する第2の保持部104と、超音波振動子3及び反射手段4の位置を調整する位置調整機構とを有する。第1の保持部102は、反射手段4を保持してスプーン状の反射体6の位置及び向きが任意に調整できるように構成される。例えば、図5に示すように反射体6を直腸82内で前立腺83を中心にして移動可能に、また前立腺83に対して近接離間可能に、更に操作棹7を中心に回転可能となるように反射手段が保持される。図14では、第1の保持部102に斜線で示した領域内で反射体4の操作棹7が移動し任意の位置位置、回転位置で保持されるようになされている。
【0069】
第2の保持部104は、断面円形のアプリケータ2を挟持的に保持するように、第1の保持部102と同様に蓋部104Aと固定部104Bに2分割されて構成される。この第2の保持部104は支柱103に沿って上下動可能の支持体108に支持され、支持体108を介して上下移動される。この上下移動の制御は例えば図示せざるも磁気センサーを用いた磁気スケールにより行うができる。この構成により、第2の保持部104の位置、したがって反射手段4と超音波振動子3との間の距離は、ハンドル110を操作して送りネジを有する移送軸(図示せず)を介して支持体108を移動させ、磁気スケールにより設定することができる。位置調整機構は、第2の保持部104の上下移動、第2の保持部104におけるアプリケータ2の軸方向移動と軸を中心としたアプリケータ2回動、第1の保持部102における反射手段4の軸方向移動と操作棹7の軸を中心とした反射体の回動と斜線で示す領域内での操作棹7の移動、を夫々行う手段から成る。
【0070】
超音波振動子3を備えたアプリケータ2は、ケーブル112を通して制御装置5に接続される。このケーブル112は、電気配線、アプリケータ2内の超音波振動子3が配置された領域への冷却液の注入、排出のための冷却液送排出用チューブを含む。また、反射手段4は、冷却液の注入、排出のための冷却液送排出用チューブ113出力検知センサーの信号線が制御装置5に接続される。制御装置5は、キー操作部、前述した制御部91、データベース92を備え、さらに冷却液タンク等を備え、超音波振動子3から出射される超音波の出力の制御、冷却液の流量制御、反射体6の超音波センサー35からの検出信号の処理、その他、後述する機能を備えたときには、その機能の制御等を行うように構成される。フットスイッチ114を備えることもできる。
【0071】
一方、アプリケータ2の先端内には、生体組織を観察するための観察手段、例えば内視鏡やCCDカメラ等を設置することができる。この内視鏡について説明する。
内視鏡は、照明光の照射を兼ねた光ファイバを用いており、先端には結像レンズが設けられる。内視鏡は、エネルギー照射装置の基端部から出し入れ自在に設置されている。内視鏡観察により、超音波の出射部3の位置決めを行うことが出来る。また、ガイド光機能付きにすることによって、視覚的に超音波照射位置を確認できる。更に超音波照射中に連続して照射表面を観察できるため、状態を観察しながら照射条件を最適化することが可能となる。
【0072】
アプリケータ2及び反射手段4は、配置装置14によって相互間の距離を制御きるように移動可能に配置されるため、比較的高い硬度のある材料で形成されるのが好ましく、例えばステンレス等で形成することができる。アプリケータ2の構成材料の詳細は後述する。アプリケータ2には、出射部3からのエネルギーを照射するための窓(図示しない)が有り、この窓は、後述する観察手段、本例では内視鏡の観察にも使用することができる。窓の材質は、例えばポリエチレンテレフタレート、石英ガラス、アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニリデン、テフロン(登録商標)、ポリエステル等の透過特性の優れたものを利用することが望ましい。
【0073】
また、アプリケータ2の生体体腔に挿入される部分には、挿入後の位置固定のために拡張、収縮するバルーンを設けることができる。バルーンの構成材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ラテックス、セルロース等の超音波透過性に優れた材料が好ましい。これにより、バルーンでの超音波の吸収によるエネルギーの損失や発熱を低減することができる。
【0074】
バルーンを拡張するための作動流体としては、空気、冷却液を用いることができる。作動流体としては、バルーンを拡張・収縮し得るものであれば特に限定されないが、冷却液が好ましい。作動流体として冷却液を用いることにより、超音波照射の際、その冷却液により生体組織の表層部を冷却することができ、これにより、表層部の損傷をより確実に防止することができる。
【0075】
冷却液の温度は、生体組織の表層部を冷却し得る程度であれば特に限定されないが、0℃〜37℃以下が好ましく、0℃〜25℃程度がより好ましい。
【0076】
作動流体としては、生理食塩水またはリンゲル液等が好ましい。それらを作動流体として用いることにより、何らかの原因で作動流体が体内に漏出した場合、その漏出による影響を低減することができる。
【0077】
作動流体としては冷却液を用いる場合には、冷却液を循環させるのが好ましく、超音波照射前から超音波照射が終了し、治療を終えるまで冷却液を循環させるのがより好ましい。冷却液を循環されることにより、冷却能率を向上されることができ、超音波照射前から超音波照射が終了するまで冷却液を循環させることにより、表層部をより一層冷却することができる。
【0078】
排出部には、例えば、一定の圧力を超えると開放する圧力弁を設けるのが好ましい。これにより、冷却液の流量によらず、一定の圧力でバルーンを拡張することができる。
【0079】
冷却液の温度や冷却液の流量を超音波照射と連動して制御するのが好ましい。これにより、表層部の過剰冷却や過剰加熱を防止することができる。
【0080】
バルーンに生体組織の表面温度を検出する温度センサーを設けるのが好ましい。この場合には、温度センサーにより生体組織の表面温度を検出し、その情報(検出値)を冷却制御に利用することができる。これにより、効率良く、必要かつ十分に冷却することができる。
【0081】
バルーンは、ハウジングの超音波出射部以外の全周を囲むように形成されても良い。この場合、バルーンの拡張により、本体の超音波出射部が体腔壁に押し付けられるので、照射目的部と出射部との距離が安定し、照射時の安定性が良い。
【0082】
また、アプリケータ2の構成材料としては、例えば、ステンレススチール等の金属などからなる硬質パイプが好ましい。また、その他の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂等、これらのうちの1種を含むポリマーアロイ、またはこれらのうちの2以上を組み合わせたものが挙げられる。
【0083】
また、本体の表面には親水性高分子材料や、シリコン、フッ素樹脂等の潤滑性コーティングを施しても良い。これにより本体表面の摩擦を低減し、体腔への挿入をスムーズなものとすることができる。
【0084】
潤滑性コーティングに用いる親水性高分子材料としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、多糖類、ボリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、水溶性ポリアミド等が好ましく、これらのうち、特にメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体が好ましい。
【0085】
親水性高分子材料をコーティングしたエネルギー治療装置を使用する際は、例えば、生理食塩水等に、エネルギー治療装置の表面層を浸す。これにより、表面層が湿潤し、エネルギー治療装置の表面の潤滑性が生じる。このエネルギー治療装置では、親水性高分子材料を含む表面層を有しているので、生体組織に対するエネルギー治療装置の摩擦が減少し、これにより、患者の負担が軽減されるとともに、安全性が向上する。例えば、エネルギー治療装置の体腔内への挿入、体腔内からの引き抜き、体腔内での移動や回転を円滑に行うことができる。
【0086】
図15は、図14による本実施の形態に係るエネルギー治療装置1を使った治療を表すフローチャート図である。
まず、ステップS1で患者に麻酔をかける。麻酔は全身麻酔でも局所麻酔でも良い。ステップS2でアプリケータ2を尿道に挿入する。ステップS3で反射手段4を直腸に挿入する。ステップS4では、アプリケータ2と反射手段4を配置装置14に固定する。ステップS5では、治療部位の照射位置を決定し、アプリケータ2と反射手段4の位置を調整する。ステップS6では、超音波の照射条件を制御装置5に入力する。ステップS7では、フットスイッチ114を押して治療を開始する。ステップS8では、治療部位の治療が完了したら、ステップS9の治療終了に進み、もし、次の治療部位があれば、ステップS5に戻り、治療部位がなくなるまでステップS5〜S8を繰り返す。
【0087】
図16は、治療部位の位置調整を行うフローチャートを示す。
ステップS10では、アプリケータ2の軸線を中心とした回転角を決定して、出射部(超音波振動子)3の照射方向を決定する。ステップS11では、超音波を弱くあるいは短時間照射する。ステップS12では、反射体6に付けられた受信体、本例では超音波センサー35で受信して、超音波を一番強く受ける位置で反射体6を固定する。ステップS13で、調整を終了する。
【0088】
上述した本実施の形態に係るエネルギー治療装置1によれば、治療部位80に対して超音波振動子3からの超音波と反射体6から反射超音波を同期して治療部位で重なるように照射することにより、超音波の利用効率と共に超音波の治療部位80への集積効率を向上することができ、最適な高温度治療の温度に加温をすることを可能にする。
【0089】
照射エネルギーとして、深達性を有する超音波を用いることにより、深部にある部位に対する高温度治療を可能にする。
【0090】
アプリケータ2及び反射手段4は、配置装置14により、治療部位に応じてアプリケータ2の長軸方向、又は/及び長軸方向に対して垂直方向に移動できるので、超音波振動子3より照射された超音波を治療部位80に対して最適な位置に設定することができる。また、観察しながら位置決めをすることもできる。
【0091】
制御装置5は、エネルギー出射部3及び反射手段4を制御することで、より効率的かつ短時間で治療を行うことができる。
【0092】
配置装置5は、エネルギー出射部3及び反射手段4を配置できるので、目的部位との位置をより安定でき、エネルギー照射時も目的部位に対し正確にエネルギーを照射することができる。
【0093】
アプリケータ2に対して、冷却手段を備えるので冷却液により生体組織の表層部を冷却することができ、表層部の損傷をより確実に防止することができる。
【0094】
超音波振動子3の超音波出射面に超音波を収束、平行または拡大する音響レンズ23を設けることにより、治療部位の状態次第で、超音波を広域、狭域に照射したり、超音波を集中的に照射することができる。
【0095】
反射手段4に対して、冷却手段を備えるので冷却液により生体組織の表層部を冷却することができ、表層部の損傷をより確実に防止することができる。
【0096】
反射手段4に固定反射面または可変反射面を備えることで、目的部位の治療の範囲によって、最適な反射面を使うことができ、より効率的な治療を行うことができる。
【0097】
配置装置14では、超音波振動子3からの超音波の照射方向を変えるための変更機能を有するので、治療部位に対して、超音波振動子3を的確な位置に変更することができ設定時間の短縮を図ることができる。
【0098】
反射体6の反射面の曲率を可変にすることで、治療部位に深さ方向の位置、面積に応じて照射範囲を可変することができる。
【0099】
反射体6に超音波センサー35を設けることにより、超音波の出力強度を検出することができ、超音波振動子3から出射する超音波出力の制御、条件の設定の見直し等を行うことができる。
【0100】
本実施の形態に係るエネルギー治療装置によれば、反射体6に空気抜きの孔36及び超音波ゼリー注入孔37を設けるときは、反射体6に超音波ゼリーを注入することにより、体腔壁に反射体6を密着することができ、超音波を乱反射させず、治療部位80に正確に反射することができる。
【0101】
本体と反射体6を保持する配置装置14を有することにより、本体と反射体6を最適な位置で固定することができ、エネルギーの照射を安定して行うことが出来る。
【0102】
制御装置5は、エネルギーを目的部位に集中させる照射パターンを指示することで、目的部位によって効率の良い治療をすることができる。
【0103】
制御装置5は、本体の冷却手段及び反射手段の冷却手段を制御するので、常に、冷却液により生体組織の表層部を冷却することができ、表層部の損傷をより確実に防止することができるので、短時間且つ効率の良い治療を行うことができる。
【0104】
制御装置5は、反射手段を制御するので、即ち、固定反射面または可変反射面の曲率を可変するとき、目的部位の深さ方向の位置、面積に応じる照射範囲に調整することができ、短時間且つ効率の良い治療を行うことができる。
【0105】
アプリケータ2に内視鏡を配置するときは、治療部位の治療前後の状態を観察することができ、状態を観察しながら照射条件を最適化することが可能となる。
【0106】
アプリケータ2に拡張、収縮するバルーンを設けるときは、治療部位の近傍でアプリケータ2を体腔壁に押し付けることができ、治療部位80と超音波振動子3との距離が安定し、治療部位に対する超音波照射を安定にすることができる。
【0107】
アプリケータ2の表面に親水性高分子材料を含む表面層を形成するときは、アプリケータ2の表面の摩擦を低減し、体腔への挿入、引き抜き、移動、回転をスムーズなものとすることが出来る。
【0108】
冷却手段として、本体、反射手段及びバルーンの夫々に設けていることを説明したが、冷却条件に応じて、本体、反射手段及びバルーンの冷却手段を任意に組み合わせて設けることができる。
【0109】
本実施の上例では、生体組織に向けて照射されるエネルギーとして、超音波を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、レーザ光等のエネルギー照射を行うものでもよい。この場合、必要に応じてアプリケータの出射部に対応する部分にエネルギー照射を阻害しないために窓を設けるようにする。
【0110】
上例では、本実施の形態としては、高温度治療の対象となる生体組織として、前立腺の場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、血管や消化管(食道、腸管など)、腹腔などの生体内から、あるいは体表からエネルギーを照射して高温度治療を行うことが可能な生体組織の全てを含む。
【0111】
なお、以上説明した実施の形態は、本発明を限定するために記載されたものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。
【0112】
【発明の効果】
本発明に係るエネルギー治療装置によれば、エネルギー出射部と反射手段とを有することにより、エネルギー利用効率が上がり、出射出力を抑えつつ目的部位に対するエネルギーの集積、従ってエネルギーの強度を上げることができる。よって、高温度治療の温度に加温をすることを可能にし、低出力による効率の良い高温度治療を可能にする。
【0113】
エネルギー出射部から出射されるエネルギーの出射を制御する出射手段を有することにより、エネルギーの出射パターンが制御され、効率的に目的部位へのエネルギー集積を行うことができる。
【0114】
一部目的部位を透過し反射手段で反射されたエネルギーと、エネルギー出射部から次のエネルギーとが目的部位にて重なり合うように照射することにより、エネルギー集積が上がり目的部位を最適な温度に加温することができる。
【0115】
エネルギー出射部からのエネルギーを目的部位に照射することにより、エネルギーの一部が目的部位を透過し反射手段で反射されたエネルギーと次のエネルギーを目的部位で重なり合うようにすることができ、エネルギーの集積が上がり目的部位を最適な温度に加温することができる。
【0116】
配置装置は、エネルギー出射部を含む本体と反射手段を配置できるので、目的部位との位置をより安定でき、エネルギー照射時も目的部位に対し正確にエネルギーを照射することができる。
【0117】
配置装置は、エネルギー出射部を含む本体の保持部と反射手段の保持部と、エネルギー出射部と反射手段の相対位置を調整する機構を有することにより、エネルギー出射部と反射手段を最適な位置で固定することができ、エネルギーの照射を安定して行うことが出来る。
【0118】
配置装置を制御する配置制御手段を有することにより、最適な配置でエネルギー照射を効率的に行うことができる。
【0119】
配置制御手段がエネルギー出射部からの出射エネルギーと、反射手段からの反射手段からの反射エネルギーとを目的部位で重なり合うように制御するので、より効率且つ短時間で治療を行うことができる。
【0120】
配置装置がエネルギー出射部の向きを変更できるので、目的部位に対して出射部の位置を的確な向きに変更することができ設定時間の短縮を図ることができる。
【0121】
出射制御手段によりエネルギー出射部からのエネルギーの出射が、反射手段で反射されたエネルギーと制御されるときは、出射エネルギーと反射エネルギーを目的部位で重ね合わせることができ、効率的にエネルギー集積を行うことができる。
【0122】
出射制御手段が出射エネルギーを目的部位に集中させる照射パターンと、照射出力と照射時間を制御するので、目的部位に最適で効率良く且つ短時間で治療することができる。
【0123】
出射制御手段は、出射部からの出射エネルギーを間歇的に目的部位に照射するように照射パターンを制御することで、短時間且つ効率の良い治療を行うことができる。
【0124】
出射制御手段は、エネルギー出射部から間歇的に出射されたエネルギーと、反射手段により反射された反射エネルギーとが同時に目的部位に到達するように照射パターンを制御するので、短時間且つ効率の良い治療を行うことができる。
【0125】
反射手段に固定反射面または可変反射面を備えることで、目的部位の治療の範囲によって、最適な反射面を使うことができ、より効率的な治療を行うことができる。
【0126】
反射手段を反射面の曲率半径が可変できるように形成するときは、目的部位の深さ方向の位置、面積に応じて照射範囲を可変することができる。
【0127】
反射手段を制御する反射制御手段を有するので、短時間且つ効率の良い治療を行うことができる。
【0128】
反射体にエネルギーの到達効率を検出するエネルギー検出手段を有するときは、出射エネルギーを検出することができ、出射エネルギーの出力の制御、照射条件の設定の見直し等を行うことができる。
【0129】
反射体に空気抜きの孔の溝を有することにより、空気を抜いて、体腔壁に反射体を密着することができ、出射部より照射されたエネルギーを乱反射させず、目的部位に正確に反射することができる。
【0130】
冷却手段をエネルギー出射部と、エネルギー出射部を含む本体に備えることにより、冷却液により生体組織の表層部を冷却することができ、表層部の損傷をより確実に防止することができる。
【0131】
冷却手段を反射手段に備えることにより、反射手段の周辺の生体組織への温度上昇を防ぐことができ、目的部位の治療を効率良く且つ安定的に行うことができる。
【0132】
冷却手段を制御する冷却制御手段を有するので、反射手段の周辺の生体組織への温度上昇を防ぐことができ、目的部位の治療を効率良く且つ安定的に行うことができる。
【0133】
配置制御手段を制御する制御装置を有するので、目的部位に対する出射部と反射手段の位置設定を最適に行うことができ、自動化して効率的且つ短時間で治療をすることができる。
【0134】
配置制御手段、または配置制御手段と出射制御手段を制御する制御装置を有するので、それぞれを自動化して効率的且つ短時間で治療をすることができる。
【0135】
反射制御手段、または反射手段と配置制御手段と出射制御手段のうちの2つ以上を制御する制御装置を有するので、それぞれを自動化して効率的且つ短時間で治療をすることができる。
【0136】
冷却制御手段、または冷却制御手段と配置制御手段と出射制御手段と反射制御手段のうちの2つ以上を制御する制御装置を有するので、それぞれを自動化して効率的且つ短時間で治療をすることができる。
【0137】
エネルギー出射部を含む本体に、出射エネルギーの広がり角度を収束、平行または拡大する手段を設けることにより、目的部位の状態次第で、エネルギーを広域、狭域に照射したり、超音波を集中的に照射することができる。
【0138】
エネルギー出射部を含む本体に観察手段を有するときは、目的部位の治療前後の状態を観察することができ、状態を観察しながら照射条件を最適化することが可能となる。
【0139】
エネルギー出射部を含む本体あるいは反射手段、あるいは本体と反射手段の両方の表面に拡張、収縮するバルーンを有するときは、目的部位の近傍で本体や反射手段を体腔壁に押し付けることができ、目的部位と出射部との距離が安定し、目的部位に対するエネルギー照射及びエネルギーの反射を安定にすることができる。
【0140】
エネルギー出射部を含む本体あるいは反射手段、あるいは本体と反射手段の両方の表面に親水性高分子材料を含む表面層を有するときは、本体あるいは反射手段の表面の摩擦を低減し、体腔への挿入、引き抜き、移動、回転をスムーズなものとすることが出来る。
【0141】
出射部より照射するエネルギーを超音波にすることで、深部にある部位に対して選択的に照射することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエネルギー治療装置の実施の形態の基本構成を示す構成図である。
【図2】A 図1のエネルギー治療装置の要部の側面図である。
B 図2AのA−A線での断面図である。
【図3】A〜E 本発明に係るエネルギー治療装置のエネルギー照射パターンのエネルギー(超音波)進行状態を模式的に示す説明図である。
【図4】A 本発明に係るエネルギー治療装置のエネルギー照射パターンの一例の説明に供する加温グラフである。
B 本発明に係るエネルギー治療装置のパルス列の一例の説明図である。
【図5】本発明に係るエネルギー治療装置のエネルギー照射パターンの他の例の説明に供する断面図である。
【図6】本発明に係るエネルギー治療装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図7】A 本発明に係るエネルギー治療装置に適用される超音波の収束素子の一実施の形態を示す構成図である。
B 本発明に係るエネルギー治療装置に適用される超音波の収束素子の他の実施の形態を示す構成図である。
【図8】本発明に係るエネルギー治療装置の反射手段の一実施の形態を示す斜視図である。
【図9】A 本発明に係るエネルギー治療装置の反射手段の他の実施の形態を示す斜視図である。
B 図9AのB−B線での断面図である。
【図10】A 本発明に係るエネルギー治療装置の反射手段の他の実施の形態を示す斜視図である。
B 図10AのC−C線での断面図である。
【図11】A 本発明に係るエネルギー治療装置の反射手段の他の実施の形態を示す断面図である。
B 本発明に係るエネルギー治療装置の反射手段の他の実施の形態を示す断面図である。
C 本発明に係るエネルギー治療装置の反射手段の他の実施の形態を示す断面図である。
【図12】A 本発明に係るエネルギー治療装置の反射手段の他の実施の形態を示す断面図である。
B 図12Aの反射手段の側面図である。
【図13】A,B 図12の反射手段の動作図である。
【図14】本発明に係るエネルギー治療装置の一実施の形態を示す全体構成図である。
【図15】本発明に係るエネルギー治療装置による治療の実施の形態を示すフローチャートである。
【図16】本発明に係るエネルギー治療装置の反射体の位置調整の一実施の形態を示すフローチャートである。
【図17】従来のエネルギー治療装置による温度と時間に関するグラフである。
【符号の説明】
1・・エネルギー治療装置、2・・アプリケータ、3・・出射部、4,41,42,43,44,45,47・・反射手段、5・・制御装置、6,26・・反射体、6a・・反射面、7・・操作棹、7A・・外操作棹、7B・・内操作棹、7C・・皿状部、14・・配置装置、22・・1/2波長板、23・・音響レンズ、30,31・・支持台、30a・・透孔、33,51,52,53・反射素体、35・・超音波センサー、36・・空気孔、37・・超音波ゼリー注入孔、38・・軟性膜、40・・ヒーター、51A・・連結部、55・・第1の回転ギア、56・・一体の軸、57・・第2の回転ギア、58・・回転シャフト、59・・操作レバー、60・・ハウジング、63・・注入チューブ、64・・排出チューブ、65・・連結手段、80・・治療部位、81・・尿道、82・・直腸、83・・前立腺、84・・治療部位以外の部位、85・・超音波、85´・・反射超音波、91・・制御部、92・・データベース、93・・出射制御手段、94・・冷却液制御手段、95・・配置制御手段、96・・反射制御手段、97・・エネルギー検出手段、98・・モニター、101・・基台、102・・第1の保持部、102A・・蓋部、102B・・固定部、103・・支柱、104・・第2の保持部、105・・可動ブロック、106・・移送軸、107,110・・ハンドル、108・・支持体、112・・ケーブル、113・・冷却液送排出用チューブ、114・・フットスイッチ、181・・冷却液、182・・ワイヤー、851・・1回目の超音波パルス列、852・・2回目の超音波パルス列、851´・・反射された1回目の超音波パルス列
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、血管、食道、や直腸等の消化管、尿道、腹腔、胸腔等の生体内腔あるいは管腔に挿入し、あるいは外科手術的に生体組織に押し当て、または体表に押し当て、超音波、レーザ光等のエネルギーを生体組織に照射して、癌等の腫瘍や前立腺肥大等を高温度治療するためのエネルギー治療装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体の体腔を利用し、あるいは生体に小切開を施して生体内に長尺状の挿入部を挿入し、この挿入部から病変を含む生体組織に超音波、レーザ光等のエネルギーを照射し、その病変部位の組織又は病変部位を含む周辺組織を、変性、壊死、凝固、焼灼あるいは蒸散により消滅させて治療する加熱治療技術(ハイパーサーミア、高温度治療、アブレーション、蒸散術)が知られている。
【0003】
一般にこれらの技術は、生体組織の表層またはその近傍に位置する病変部位にエネルギーを直接照射して治療するものであるが、例えば、前立腺などのように生体組織の深部に位置する病変部位の加熱治療にも利用されている。
【0004】
特許文献1は、このような加熱治療に適用した医療用エネルギー照射装置の例が開示されている。特許文献2は、高密度焦点式超音波(high intensity focused ultrasound:HIFU)療法に適用した治療装置が開示されている。この医療用エネルギー照射装置は、例えば前立腺の治療を行う場合、一般に以下の手順で行われている。すなわち、前立腺の治療を行う医師は、直腸に医療用エネルギー照射装置の挿入部を挿入し、出射部の位置を前立腺に到達させてから、出射部の位置を目標部位方向に合わせ、エネルギーを照射する。この一連の操作は、医師が内視鏡で尿道を観察しながら行うのが一般的である。
【0005】
図17は、生体組織にダメージ(壊死)与える温度と時間の関係を示したグラフである。組織は、温度を上げる程、短時間で壊死する。例えば、組織を壊死させるためには、温度55℃で3分、温度45℃で50時間かかる(非特許文献1)。
【特許文献1】
特開2000−319号公報
【特許文献2】
米国特許5,743,863号明細書
【非特許文献1】
Lasers in Surgery and Medicine 18:22−33(1996)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来からの加熱療法用のエネルギー照射装置は、出射部から出射した例えば、レーザ等のエネルギーを目的部位に集中して照射するように構成されている。レーザ照射時に上述したような加温状態を保ちながら目的部位を治療するためには、エネルギーの利用効率を上げる必要がある。エネルギーの利用効率を上げるには、出射の出力を上げることになり、目標部位以外の正常な組織にダメージを与える可能性があった。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑み、出射部から出射したエネルギーの利用効率を上げ、出射出力を抑えつつ目的部位に対するエネルギー集積を高めるようにしたエネルギー照射装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエネルギー治療装置は、エネルギーを生体組織に照射するエネルギー治療装置であって、エネルギーを出射するエネルギー出射部と、エネルギー出射部から出射されたエネルギーを目的部位に反射するように、エネルギー出射部に相対する位置に設置する反射手段とを備えてなる。
【0009】
本発明に係るエネルギー治療装置では、エネルギー出射部と、出射部に相対する位置に設置された反射手段とを備えるので、エネルギー出射部からのエネルギーと反射手段で反射したエネルギーとを利用することができる。また、エネルギー出射部からのエネルギーを目的部位に照射し、一部目的部位を透過し反射手段で反射されたエネルギーとエネルギー出射部からエネルギーとを目的部位に照射することができ、効率的に目的部位のエネルギー集積密度を高め、それ以外の生体組織へのエネルギー集積密度を弱めることができる。
【0010】
本エネルギー治療装置は、エネルギー出射部からの出射エネルギーと、反射手段からのエネルギーとが、目的部位で重なり合うようにして成ることが好ましい。
【0011】
本エネルギー治療装置は、エネルギー出射部を含む本体と反射手段を配置する配置装置を有することが好ましい。
【0012】
配置装置は、エネルギー出射部を含む本体の保持部と反射手段の保持部と、エネルギー出射部と反射手段の相対位置を調整する機構を有することが好ましい。
【0013】
本エネルギー治療装置は、配置装置を制御する配置制御手段を有することが好ましい。
【0014】
配置制御手段は、エネルギー出射部からの出射エネルギーと、反射手段からの反射エネルギーとが目的部位で重なり合うように制御することが好ましい
【0015】
配置装置がエネルギー出射部の向きを変更できることが好ましい。
【0016】
本エネルギー治療装置は、エネルギー出射部から出射エネルギーを制御する出射制御手段を有することが好ましい。
【0017】
上記出射制御手段は、出射エネルギーを目的部位に集中させる照射パターンと、照射出力と照射時間を制御することが好ましい。
【0018】
出射制御手段は、出射エネルギーを目的部位に集中させる照射パターンと照射出力と照射時間を制御することが好ましい。
【0019】
出射制御手段は、出射部からの出射エネルギーを間歇的に目的部位に照射するように照射パターンを制御することが好ましい。
【0020】
出射制御手段は、エネルギー出射部から間歇的に出射されたエネルギーと、反射手段により反射された反射エネルギーとが同時に目的部位に到達するように照射パターンを制御することが好ましい。
【0021】
反射手段は、固定反射面または可変反射面を有することが好ましい。
【0022】
反射手段は、反射面の曲率が可変であることを有し、曲率半径はエネルギーを効率良く反射するように可変であることが好ましい。
【0023】
本エネルギー治療装置は、反射手段を制御する反射制御手段を有することが好ましい。
【0024】
反射手段には、エネルギー出射部から到達したエネルギー量を検出するエネルギー検出手段を有することが好ましい。
【0025】
反射手段は、空気抜き手段を有することが好ましい。
【0026】
本エネルギー治療装置は、エネルギー出射部と、エネルギー出射部を含む本体に接触する生体組織とのうち1つ以上を冷却する冷却手段を有することが好ましい。
【0027】
本エネルギー治療装置は、反射手段と反射手段に接触する生体組織とのうち1つ以上を冷却する冷却手段を有することが好ましい。
【0028】
本エネルギー治療装置は、冷却手段を制御する冷却制御手段を有することが好ましい。
【0029】
本エネルギー治療装置は、配置制御手段を制御する制御装置を有することが好ましい。
【0030】
本エネルギー治療装置は、配置制御手段、または配置制御手段と出射制御手段を制御する制御装置を有することが好ましい。
【0031】
本エネルギー治療装置は、反射制御手段、または反射手段と配置制御手段と出射制御手段のうちの2つ以上を制御する制御装置を有することが好ましい。
【0032】
本エネルギー治療装置は、冷却制御手段、または冷却制御手段と配置制御手段と出射制御手段と反射制御手段のうちの2つ以上を制御する制御装置を有することが好ましい。
【0033】
本エネルギー治療装置は、エネルギー出射部を含む本体に、出射エネルギーの広がり角度を収束、平行または拡大する手段を有することが好ましい。
【0034】
エネルギー出射部を含む本体には、位置決め及び生体内を観察する観察手段を有することが好ましい。
【0035】
エネルギー出射部を含む本体あるいは反射手段、あるいは本体と反射手段の両方の表面に、位置固定のための拡張、収縮するバルーンを有することが好ましい。
【0036】
エネルギー出射部を含む本体あるいは反射手段、あるいは本体と反射手段の両方の表面には、親水性高分子材料を含む表面層を有することが好ましい。
【0037】
エネルギーとしては、超音波、レーザ光等を用いることが可能である。特に、超音波は深達性を有するので、本発明のエネルギー照射装置を例えばエネルギーの深達性が要求される前立腺治療等に適用した場合には、エネルギーとして超音波を用いることが好ましい。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0039】
図1は、本発明に係るエネルギー治療装置の実施の形態の基本構成を示す。本実施の形態に係るエネルギー治療装置1は、長尺状の挿入部であるアプリケータ2と、このアプリケータに設置されてエネルギーを生体組織に照射するエネルギーの出射部3と、出射部3に相対して設置されて出射部3から出射されたエネルギーを反射する反射手段4と、エネルギーを生体組織の目的部位、即ち治療部位80に集中させるための照射パターンを指示する制御部及びその他の制御部を有する制御装置5とを備えて成る。反射手段4は、実質的にエネルギーを反射する平面または凹面を形成する反射体6とこの反射体6を挿入させるための操作棹7とから構成される。即ち、操作棹7の先端に反射体6が一体に設けられる。
【0040】
出射エネルギーとしては、超音波、レーザ光、指向性を持った電磁波等を用いることが可能である。本例のエネルギー治療装置1では、エネルギーとして深達性の高い超音波を用いた超音波治療装置に適用している。このため、アプリケータ2内の先端側に出射部3となる超音波振動子が設置される。この超音波振動子3から超音波が出射される。超音波振動子としては、例えば、圧電セラミックス(PZT、チタン酸バリウム等)、圧電ポリマー(PVDF、P(VDF−TrFE)等)等の電圧をかけると形状が変化する素子を用いることができる。
【0041】
制御装置5から指示される照射パターンは、超音波振動子3から出射された超音波と、この超音波が反射体6で反射した反射超音波との協同によって、治療部位80では超音波の強度が高くなり、その他の部位では超音波の強度が低くなるようなパターンに設定する。本実施の形態では、超音波振動子3から超音波が治療部位80へ向けて照射され、一部治療部位80を透過した超音波が反射体6で反射し、その反射超音波を再び治療部位80へ照射するようになされる。
【0042】
アプリケータ2及び反射手段4は、後述するように相互間の距離を制御できるように移動可能に配置されるため、比較的高い硬度のある材料で形成されるのが好ましく、例えばステンレス等で形成することができる。アプリケータ2の構成材料の詳細は後述する。
【0043】
次に、本実施の形態に係るエネルギー治療装置1、即ち超音波治療装置の原理的な使用例を説明する。本例では、前立腺がん、前立腺肥大の治療に適用する場合について説明する。
【0044】
図1及び図2A,Bに示すように、アプリケータ2を尿道81内に挿入し、反射体6を操作棹7を介して直腸82内にアプリケータ2に対応した位置に挿入する。アプリケータ2はその先端側の超音波振動子3が前立腺83の治療部位80に対応した位置に来るように挿入される。この場合、例えばアプリケータ2に備えられた内視鏡により尿道を観察することにより前立腺部尿道に特徴的な形状を見出し治療部位80の前後位置を判定することができる。この状態で、超音波振動子3から超音波85を治療部位80に向って間歇的に出射する。出射された超音波85は治療部位80に照射されると共に、一部が治療部位80を透過して直腸82に挿入されている反射体6によって反射され反射体6からの反射超音波85´が再び治療部位80を照射されることになる。治療部位80では、超音波振動子3から直接の超音波85と、反射体6からの反射超音波85′とが照射され、両超音波85及び85′が重畳されることで超音波エネルギーの強度が強くなる。治療部位以外の部位84では、超音波エネルギーの強度が弱いので、正常な組織細胞はダメージを受けず正常状態に維持される。従って、選択的に治療部位80の組織細胞、例えば前立腺がんの悪性腫瘍あるいは前立腺肥大の良性腫瘍を変成して前立腺を選択的に治療することができる。
【0045】
本実施の形態では、治療部位80での温度が、高温度治療が可能であり、且つ、蒸散しない温度、好ましくは55℃〜100℃、より好ましくは70℃〜90℃近辺の温度域になるように、治療部位80において超音波エネルギーを集積させるようになす。
【0046】
なお、図2Aに示すように、アプリケータ2と反射手段4とは、保持部14に固定されて両者の距離Lが所要の距離に設定されている。
【0047】
制御装置5から指示される照射パターンとしては、本実施の形態の場合、超音波振動子3からの超音波85を間欠的に治療部位80に照射し、一部治療部位80を透過し反射体6で反射した反射超音波85′と超音波振動子3からの次の超音波85とが同期して治療部位80に照射されるパターンとする。即ち、超音波振動子3からの超音波85と反射超音波85′とが治療部位80において重畳される。
【0048】
この照射パターンの一例を説明する。本例では、超音波振動子3から超音波85をパルス発振させ、反射体6で反射した反射超音波85′が治療部位80に達するのに同期して次の超音波パルス列85を治療部位80に照射し、治療部位80において超音波を重ねて超音波強度を強め合うようになす。
【0049】
図3は、照射パターンの超音波進行状態を模式的に示す。
図3Aは、出射部3側より照射された1回目の超音波パルス列851が出射される。図3Bは、1回目の超音波パルス列851が、エネルギーを与えながら位置を変化させて、反射体6へ進行する。図3Cは、2回目の超音波パルス列852が出射され、反射体6で反射された1回目の超音波パルス列851´の進行を示している。2回目の超音波パルス列852の出射のタイミングは、エネルギー密度を強めたい位置(治療部位)80で反射されたパルス列851´と重なり合うようになす。図3Dは、2回目の超音波パルス列852と反射されたパルス列851´が任意の位置に同時に到着し、エネルギー密度を強め合う。図3Eは、2回目の超音波パルス列852と反射されたパルス列851´が相反する方向へ進行している。反射後に位置80を通過したパルス列851´の強度は図示するように減衰される。以降は、図3C〜図3Eを繰り返して目的部位に高いエネルギー密度を達成する。
【0050】
図4Aは、この照射パターンによる治療部位の加温状態を示す。即ち、横軸を時間、縦軸を出射部と反射体の距離としたとき、超音波による治療部位の加温状態を示すグラフである。
出射部3より照射された1回目の超音波パルス列(基本波)851は反射体6により反射され、治療部位80に到達する。2回目の超音波パルス列(遅延波)852は、反射された1回目の超音波パルス列851´と治療部位80で重畳するタイミングで照射されて、即ち、グラフでは丸印の位置で強め合う。
【0051】
図4Aでは、治療部位80がアプリケータ2と反射体6との間の距離の1/2の距離にある場合であり、超音波振動子3から半位相遅れて次の超音波パルス列が出射され、両超音波パルス列が中心付近で重なり合う。治療部位の位置に応じて超音波パルス列の出射のタイミングを任意に設定することができる。例えば治療部位80がアプリケータ2に近ければパルス間隔は大きく、治療部位80が反射体6に近ければパルス間隔は小さくなる。また、治療部位の幅に応じてパルス幅を任意に可変することができる。この超音波パルス列のパルス間隔(周期)とパルス幅を設定することにより、治療領域を選択することができる。図4Aの破線で示す領域が加熱領域である。
【0052】
次に図4Bを用いて出射部から間歇的に出射する超音波パルス列について説明する。
パルス列85が一定時間ごとに出射される。繰り返し周期T、パルス列85の出射時間をt1、出射部と反射部の距離をL、音速をvとするとき、T=2L/vとなり、間歇的なエネルギーの出射時間t1は、0<t1<T/2となる。t2は、パルス列が出射されてない休止期間である。
ここで、超音波の場合、以下の条件で高温度治療を行うことができる。
1.許されるパルス周波数は、100kHz〜50MHz、望ましくは1MHz〜5MHzの範囲とする。
2.出射部から反射部までの距離Lは、0.1cm〜10cm、望ましくは1cm〜6cmの範囲とする。
3.パルス幅の範囲は、λ=v/fで、v=1530m/secと条件1のパルス周波数より、15mm〜0.03mm、望ましくは1.5mm〜0.3mmとする。
4.繰り返し周期Tは、条件1及び2より 1.3μsec〜130μsec望ましくは13μsec〜80μsecの範囲とする。
5.パルス出射時間t1は、上記繰り返し時間Tの1/20〜1/2望ましくは1/10〜1/3の範囲とすることができる。
つまりTの範囲が、1.3μsec〜130μsecのときには、tの範囲は、1.3μsec×1/20〜130μsec×1/2、望ましくは1.3μsec×1/10〜130μsec×1/3とする。
Tの範囲が13μsec〜80μsecのときには、tの範囲は13μsec×1/20〜80μsec×1/2、望ましくは13μsec×1/10〜80μsec×1/3とすることができる。
上例では超音波を用いたが、レーザーや電磁波等で高温度治療を行う場合は、目的に応じて最適な条件を決定することができる。
【0053】
照射パターンの他の例を説明する。本例では、超音波振動子3から超音波を連続発振させ、超音波振動子3をアプリケータ2の軸線を中心に回転させて超音波振動子が1回転する毎に超音波が治療部位に間歇的に、即ち見かけ上パルス的に照射されるようになす。この照射パターンによる高温度治療は、例えば前立腺がんの発症部位以外の部位も疑わしい場合に前立腺全周の治療に適用して好適である。
図5は、この照射パターンを適用したときの超音波治療装置1のアプリケータ2と前立腺83の断面構造を示す。前立腺83は辺縁領域83aと移行領域83bで成っている。ここでは、前立腺がんの発症部位80を含む前立腺全周に対する治療を施す場合とする。本例では、超音波振動子3を所要の周期で回転できるようにアプリケータ2内に配置される。一方、反射体6が挿入される直腸82は、非常に柔軟性を持った臓器であり、図5に示すように、前立腺83の移行域83bを除く辺縁域83aの全域に延伸可能である。
【0054】
治療は、アプリケータ2を尿道81内に挿入し、反射体6を直腸82内に挿入し、超音波振動子3をアプリケータ2の軸線を中心に回転させ、尿道81を取り巻く周囲の前立腺の治療部位に対して超音波85を照射させる。前立腺がんの部位80では超音波振動子3の1回転毎に1回超音波85が照射され、その他の全周の治療部位に対しても同様に1回転毎に1回超音波85が照射される。反射体6は、超音波振動子3の回転に対応して直腸82を延伸させながら鎖線で示すように移動させる。このような操作により、治療部位に超音波を集中させながら、前立腺の全周にわたる温熱治療が可能になる。なお、直腸82の延伸できない移行域83bは治療しない。
【0055】
次に、図6は、前述した基本構成を具体化した本発明に係るエネルギー治療装置1の一実施の形態を示す全体構成である。本実施の形態のエネルギー治療装置1は、前述と同様に、長尺状の挿入部であるアプリケータ2と、このアプリケータ2に設置されたエネルギーの出射部3と出射部3に相対して設置されて出射部3から出射されたエネルギーを反射する反射体6及び操作棹7からなる反射手段4と、制御装置5とを有して構成される。アプリケータ2と反射手段4の操作棹7とは、生体外において配置装置14に保持される。
【0056】
制御装置5は、マイクロプロセッサ等のCPUで構成される制御部91、制御部91により実行されるプログラムや各種データを記憶しているデータベース92を備えている。制御部91には出射部3、例えば超音波振動子を駆動するための送信出力の設定、照射パターンの設定を行う出射制御手段93、アプリケータ2および反射体6へ冷却液を供給し、排出するための冷却液制御手段94、アプリケータ2と反射手段4間の距離、方向を設定するための配置制御手段95、反射手段の反射体の例えば曲率半径を制御する反射制御手段96及びエネルギー出射部3から出射されるエネルギー強度、例えば超音波強度を検出するためのエネルギー検出手段97が接続される。さらに、入力情報の演算結果等を表示する表示手段として、例えば陰極線管や液晶等のモニター98が設けられる。
冷却液制御手段94としては、超音波振動子3から出射される超音波で治療部位でない生体組織の表面層、即ちアプリケータ2、反射体6に接触する表面層を加温しないようにするために冷却液を循環的に注入・排出するようになす。
【0057】
出射部3として超音波振動子を用いた場合、超音波を収束して治療部位80に照射することが望ましい。図7は超音波を収束させるための構成を示す。図7Aに示す例では、超音波振動子3に1/2波長板22を組み合わせ、音響レンズ23を装着して構成される。超音波振動子3で発生した超音波は、1/2波長板22を通過したのち音響レンズ23で収束されて、治療部位80に照射される。また、超音波を平行に照射する場合は、音響レンズ23を変えることで平行な超音波にして、治療部位80に照射することができる。図7Bの例では、音響レンズの代わりに凹面の反射体26を配置して構成される。この凹面の反射体26を用いることで超音波を収束することができる。図示しないが、音響レンズで拡大して治療部位80に照射することもできる。
【0058】
次に、反射手段4の各実施の形態について説明する。
図8に示す本実施の形態に係る反射手段41は、照射された超音波を反射する1枚の短冊状の反射体6を有し、この反射体6の両端を所定の間隔を置いて配置された1対の支持台30、31上に湾曲するように固定し、操作棹7の先端を軸方向に可動自在に配した他方の支持台31に固定して構成される。操作棹7は、一方の支持台30に設けた透孔30aを軸方向に移動可能に挿通して他方の支持台31に固定される。この反射手段41は、操作棹7を移動させることにより、短冊状の反射体6の反射面6aの曲率が可変する。すなわち、操作棹7を手前に引くことにより、支持台31が破線位置に移動して反射体6の湾曲が大きくなり、反射面6aの曲率半径が小さくなる。逆に操作棹7を押せば反射体6の曲率半径が大きくなる。従って、例えば、照射された超音波を治療すべき部位に向け的確に反射したい場合は、操作棹7を引いたり押したりすることで反射体6の曲率が変更され、反射された超音波を治療部位80に照射する。
【0059】
図9A,Bに示す本実施の形態の反射手段42は、中央の幅が広く両端に向って漸次幅が狭くなるように且つ両辺が弓状をなす複数枚の反射素体33により反射体6が構成される。この複数枚の反射素体33は、半球状に束ねるように配され、その両端が支持台30及び31に一体の軸34に挿通されるようにして支持される。その他の構成は図8と同様である。この反射手段42は、操作棹7の操作により、反射体6の反射面6aの曲率を可変させることができる。即ち、操作棹7を押すことにより、両支持台30及び31間の距離が大きくなり、反射体6の全体の幅が狭まるように変化して反射面6aの曲率半径が大きくなる。逆に操作棹7を引くことにより、両支持台30及び31間の距離が短くなり、反射体6の全体の幅が広がるように変化して反射面6aの曲率半径が小さくなる。
【0060】
図10A,Bに示す本実施の形態の反射手段43は、操作棹7の先端にスプーン形状の反射体6を形成して構成される。この反射手段43では、例えば、反射体6の中央に出射部3より照射された超音波を検知する超音波センサー35が設けられると共に、他部にスプーン形状の内部の空気を排出するための空気孔36と超音波ゼリーを注入するための超音波ゼリー注入孔37が形成される。この場合、超音波ゼリー注入孔37は、操作棹7を通してスプーン形状の反射面に連通するように形成される。この反射手段43を使用するときは、出射部3から例えば超音波が出射された場合、その超音波を反射手段43に設けた超音波センサー35により超音波の出力強度が検知される。この超音波センサー35からの出力を制御部91にフィードバックすることにより、出射部3の超音波出力を制御できる。また、超音波ゼリー注入孔37を通して超音波ゼリーをスプーン形状の反射体6内に注入することにより、反射面6aと生体壁との間の空気が空気孔36から抜ける。空気が存在すると、超音波の伝播が阻害される。超音波ゼリーの注入により空気が無くなるので、出射部3からの超音波が反射面に良好に到達する。
【0061】
図11A〜Cは、夫々反射手段4のさらに他の実施の形態を示す。本例は、反射体6に冷却液、例えば冷却水を注入して、治療部位でない部位、即ち反射手段4に接触する生体組織の表面層部分の加温を和らげるように構成した場合である。
【0062】
図11Aに示す反射手段44は、操作棹7が筒状の外操作棹7Aと、外操作棹7A内に軸方向に移動可能に配置されたパイプ状の内操作棹7Bとからなり、外操作棹7Aの先端側の皿状部7C内に前述の図9と同様の複数枚の反射素体33からなる反射体6が配置されて成る。反射体6は、その一端が皿状部7Cに固定され、その他端が内操作棹7Bの先端に固着され、内操作棹7Bと共に軸方向に移動可能に配置された支持台30に固定される。この反射手段44では、内操作棹7Bを前進、後退させることにより、図9で説明したように反射体6の曲率を変更することができる。一方、反射体6が配置された皿状部7Cの周囲は、軟性膜38によって覆われ、皿状部7C内が液密的に封止される。軟性膜38は超音波を阻害しない材料、例えば、シリコンゴム、ラテックスで形成される。この反射手段44では、パイプ状の内操作棹7Bから冷却液(例えば冷却水)181を反射体6へ注入し(矢印a)、反射体6は配された領域を冷却して後、筒状の外操作棹7Aを通して冷却液181を外部に排出する(矢印b)ようにした冷却手段が構成される。この冷却液181は例えば循環して用いることができる。反射体6は、冷却液181の循環によって、全体が冷却され、例えば、出射部3より照射された超音波を反射体6で反射するときに発生する反射体6近傍領域の熱を取り除くことができ、治療部位を集中的に温熱治療することができる。
【0063】
図11Bに示す反射手段45は、移動可能な支持台30の透孔を挿通して、パイプ状の内操作棹7Bが固定され、この内操作棹7B内を前進、後退し得るワイヤー182が配置され、ワイヤー182の先端を反射体6の中央に固着して構成される。その他の構成は、図11Aと同様であるので、対応する部分に同一符号を付して重複説明を省略する。この反射手段45では、ワイヤー182を後退、前進させることにより、反射体6の中央部が図において上下に移動し、このため支持台30が前進、後退して反射体6の曲率を変更することができる。反射体6近傍の冷却は図11Aと同様に行うことができる。
図11Cに示す反射手段46は、反射体6をバイメタル材料で形成し、反射体6の下部にヒーター40を設置して構成される。その他の構成は、図11Aと同様であるので、対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この反射手段46では、ヒーター40による加熱により湾曲することで反射体6の曲率を変更することができる。反射体6近傍の冷却は、図11Aと同様に行うことができる。
【0064】
図12は、反射手段4の更に他の実施の形態を示す。本例では挿入時に反射体を狭めて挿入し易くし、挿入後に反射体を所要の大きさに広げるようにする。本実施の形態に係る反射手段47は、反射体6を、所要の曲率の反射面を有する複数枚の反射素体51、52、53からなり、複数枚の反射素体51、52、53を重ね合せ、互いに広げたときに所要の大きさの反射体となるように形成して成る。即ち、中間で連結されるように2つ折りされた所要の曲率の反射面を有する第1の反射素体51と、第1の反射素体51の2つ折りされた部材間に重ね合うように配置された所要の曲率の反射面を有する第2及び第3の反射体52及び53とが設けられる。
【0065】
第2の反射素体52は、その一端が第1の反射素体51の2つ折りされた連結部51Aに一体の軸54に回転自在に取付けられ、その他端が軸54と同軸線上に配置された第1の回転ギア55の軸に取付けられるように形成される。第3の反射素体53は、その一端が第1の反射体51の2つ折りされた連結部51Aに一体の軸56に回転自在に取付けられ、その他端が軸56と同軸線上に配置された第2の回転ギア57の軸に取付けられるように形成される。第1の回転ギア55は第1の反射素体51の端部と操作棹7側の基部間に軸支され、第2の回転ギア57は操作棹7を通じて配置される回転シャフト58に連結され、両回転ギア55及び57は互いに噛み合わされるように構成される。回転シャフト58には、例えば手動により操作する操作レバー59が取付けられる。操作棹7に設けられたハウジング60には操作レバー59の案内溝61が設けられ、操作レバー59はこの案内溝61に沿って回動される。さらに、前述特許同様に反射体6の全体を覆う軟性膜38が形成され、ハウジング60を通じて反射体6へ冷却液を注入する注入チューブ63及び冷却液を排出する排出チューブ64が配置される。反射手段47の部分と操作棹7とは、連結手段65によって連結される。
【0066】
この反射体6は、生体管腔内に挿入する時点では図13Aに示すように、3枚の反射素体51、52及び53が折り重なるように細く畳み込まれている。生体管腔内の所定位置に挿入された時点では、操作レバー59を回動して回転シャフト58を回転させると、第2の回転ギア57が回転すると共に、第1の回転ギア55が逆回転し、両回転ギア55及び57に夫々取付けられている第2の反射素体52及び第3の反射素体53が第1の反射素体51を中心に左右に開かれ、図13Bに示すように目的の広さのスプーン形状の反射体6になる。
【0067】
図14は、本発明に係るエネルギー治療装置の全体的構成の実施の形態を示す。本例は前立腺治療に適用した場合である。本実施の形態に係るエネルギー治療装置1は、エネルギー出射部である超音波振動子3を備えたアプリケータ2及び反射手段4を配置する配置装置、即ちアプリケータ2及び反射手段4を保持する配置装置14と、超音波振動子3及び反射手段4を制御する制御装置5と、モニター98とを備えて成る。
【0068】
配置装置14は、基台101の主面上に反射手段4を保持する第1の保持部102と、基台101の一側より延長する支柱103に支持され、第1の保持部102に対向してアプリケータ2を保持する第2の保持部104と、超音波振動子3及び反射手段4の位置を調整する位置調整機構とを有する。第1の保持部102は、反射手段4を保持してスプーン状の反射体6の位置及び向きが任意に調整できるように構成される。例えば、図5に示すように反射体6を直腸82内で前立腺83を中心にして移動可能に、また前立腺83に対して近接離間可能に、更に操作棹7を中心に回転可能となるように反射手段が保持される。図14では、第1の保持部102に斜線で示した領域内で反射体4の操作棹7が移動し任意の位置位置、回転位置で保持されるようになされている。
【0069】
第2の保持部104は、断面円形のアプリケータ2を挟持的に保持するように、第1の保持部102と同様に蓋部104Aと固定部104Bに2分割されて構成される。この第2の保持部104は支柱103に沿って上下動可能の支持体108に支持され、支持体108を介して上下移動される。この上下移動の制御は例えば図示せざるも磁気センサーを用いた磁気スケールにより行うができる。この構成により、第2の保持部104の位置、したがって反射手段4と超音波振動子3との間の距離は、ハンドル110を操作して送りネジを有する移送軸(図示せず)を介して支持体108を移動させ、磁気スケールにより設定することができる。位置調整機構は、第2の保持部104の上下移動、第2の保持部104におけるアプリケータ2の軸方向移動と軸を中心としたアプリケータ2回動、第1の保持部102における反射手段4の軸方向移動と操作棹7の軸を中心とした反射体の回動と斜線で示す領域内での操作棹7の移動、を夫々行う手段から成る。
【0070】
超音波振動子3を備えたアプリケータ2は、ケーブル112を通して制御装置5に接続される。このケーブル112は、電気配線、アプリケータ2内の超音波振動子3が配置された領域への冷却液の注入、排出のための冷却液送排出用チューブを含む。また、反射手段4は、冷却液の注入、排出のための冷却液送排出用チューブ113出力検知センサーの信号線が制御装置5に接続される。制御装置5は、キー操作部、前述した制御部91、データベース92を備え、さらに冷却液タンク等を備え、超音波振動子3から出射される超音波の出力の制御、冷却液の流量制御、反射体6の超音波センサー35からの検出信号の処理、その他、後述する機能を備えたときには、その機能の制御等を行うように構成される。フットスイッチ114を備えることもできる。
【0071】
一方、アプリケータ2の先端内には、生体組織を観察するための観察手段、例えば内視鏡やCCDカメラ等を設置することができる。この内視鏡について説明する。
内視鏡は、照明光の照射を兼ねた光ファイバを用いており、先端には結像レンズが設けられる。内視鏡は、エネルギー照射装置の基端部から出し入れ自在に設置されている。内視鏡観察により、超音波の出射部3の位置決めを行うことが出来る。また、ガイド光機能付きにすることによって、視覚的に超音波照射位置を確認できる。更に超音波照射中に連続して照射表面を観察できるため、状態を観察しながら照射条件を最適化することが可能となる。
【0072】
アプリケータ2及び反射手段4は、配置装置14によって相互間の距離を制御きるように移動可能に配置されるため、比較的高い硬度のある材料で形成されるのが好ましく、例えばステンレス等で形成することができる。アプリケータ2の構成材料の詳細は後述する。アプリケータ2には、出射部3からのエネルギーを照射するための窓(図示しない)が有り、この窓は、後述する観察手段、本例では内視鏡の観察にも使用することができる。窓の材質は、例えばポリエチレンテレフタレート、石英ガラス、アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニリデン、テフロン(登録商標)、ポリエステル等の透過特性の優れたものを利用することが望ましい。
【0073】
また、アプリケータ2の生体体腔に挿入される部分には、挿入後の位置固定のために拡張、収縮するバルーンを設けることができる。バルーンの構成材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ラテックス、セルロース等の超音波透過性に優れた材料が好ましい。これにより、バルーンでの超音波の吸収によるエネルギーの損失や発熱を低減することができる。
【0074】
バルーンを拡張するための作動流体としては、空気、冷却液を用いることができる。作動流体としては、バルーンを拡張・収縮し得るものであれば特に限定されないが、冷却液が好ましい。作動流体として冷却液を用いることにより、超音波照射の際、その冷却液により生体組織の表層部を冷却することができ、これにより、表層部の損傷をより確実に防止することができる。
【0075】
冷却液の温度は、生体組織の表層部を冷却し得る程度であれば特に限定されないが、0℃〜37℃以下が好ましく、0℃〜25℃程度がより好ましい。
【0076】
作動流体としては、生理食塩水またはリンゲル液等が好ましい。それらを作動流体として用いることにより、何らかの原因で作動流体が体内に漏出した場合、その漏出による影響を低減することができる。
【0077】
作動流体としては冷却液を用いる場合には、冷却液を循環させるのが好ましく、超音波照射前から超音波照射が終了し、治療を終えるまで冷却液を循環させるのがより好ましい。冷却液を循環されることにより、冷却能率を向上されることができ、超音波照射前から超音波照射が終了するまで冷却液を循環させることにより、表層部をより一層冷却することができる。
【0078】
排出部には、例えば、一定の圧力を超えると開放する圧力弁を設けるのが好ましい。これにより、冷却液の流量によらず、一定の圧力でバルーンを拡張することができる。
【0079】
冷却液の温度や冷却液の流量を超音波照射と連動して制御するのが好ましい。これにより、表層部の過剰冷却や過剰加熱を防止することができる。
【0080】
バルーンに生体組織の表面温度を検出する温度センサーを設けるのが好ましい。この場合には、温度センサーにより生体組織の表面温度を検出し、その情報(検出値)を冷却制御に利用することができる。これにより、効率良く、必要かつ十分に冷却することができる。
【0081】
バルーンは、ハウジングの超音波出射部以外の全周を囲むように形成されても良い。この場合、バルーンの拡張により、本体の超音波出射部が体腔壁に押し付けられるので、照射目的部と出射部との距離が安定し、照射時の安定性が良い。
【0082】
また、アプリケータ2の構成材料としては、例えば、ステンレススチール等の金属などからなる硬質パイプが好ましい。また、その他の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂等、これらのうちの1種を含むポリマーアロイ、またはこれらのうちの2以上を組み合わせたものが挙げられる。
【0083】
また、本体の表面には親水性高分子材料や、シリコン、フッ素樹脂等の潤滑性コーティングを施しても良い。これにより本体表面の摩擦を低減し、体腔への挿入をスムーズなものとすることができる。
【0084】
潤滑性コーティングに用いる親水性高分子材料としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、多糖類、ボリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、水溶性ポリアミド等が好ましく、これらのうち、特にメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体が好ましい。
【0085】
親水性高分子材料をコーティングしたエネルギー治療装置を使用する際は、例えば、生理食塩水等に、エネルギー治療装置の表面層を浸す。これにより、表面層が湿潤し、エネルギー治療装置の表面の潤滑性が生じる。このエネルギー治療装置では、親水性高分子材料を含む表面層を有しているので、生体組織に対するエネルギー治療装置の摩擦が減少し、これにより、患者の負担が軽減されるとともに、安全性が向上する。例えば、エネルギー治療装置の体腔内への挿入、体腔内からの引き抜き、体腔内での移動や回転を円滑に行うことができる。
【0086】
図15は、図14による本実施の形態に係るエネルギー治療装置1を使った治療を表すフローチャート図である。
まず、ステップS1で患者に麻酔をかける。麻酔は全身麻酔でも局所麻酔でも良い。ステップS2でアプリケータ2を尿道に挿入する。ステップS3で反射手段4を直腸に挿入する。ステップS4では、アプリケータ2と反射手段4を配置装置14に固定する。ステップS5では、治療部位の照射位置を決定し、アプリケータ2と反射手段4の位置を調整する。ステップS6では、超音波の照射条件を制御装置5に入力する。ステップS7では、フットスイッチ114を押して治療を開始する。ステップS8では、治療部位の治療が完了したら、ステップS9の治療終了に進み、もし、次の治療部位があれば、ステップS5に戻り、治療部位がなくなるまでステップS5〜S8を繰り返す。
【0087】
図16は、治療部位の位置調整を行うフローチャートを示す。
ステップS10では、アプリケータ2の軸線を中心とした回転角を決定して、出射部(超音波振動子)3の照射方向を決定する。ステップS11では、超音波を弱くあるいは短時間照射する。ステップS12では、反射体6に付けられた受信体、本例では超音波センサー35で受信して、超音波を一番強く受ける位置で反射体6を固定する。ステップS13で、調整を終了する。
【0088】
上述した本実施の形態に係るエネルギー治療装置1によれば、治療部位80に対して超音波振動子3からの超音波と反射体6から反射超音波を同期して治療部位で重なるように照射することにより、超音波の利用効率と共に超音波の治療部位80への集積効率を向上することができ、最適な高温度治療の温度に加温をすることを可能にする。
【0089】
照射エネルギーとして、深達性を有する超音波を用いることにより、深部にある部位に対する高温度治療を可能にする。
【0090】
アプリケータ2及び反射手段4は、配置装置14により、治療部位に応じてアプリケータ2の長軸方向、又は/及び長軸方向に対して垂直方向に移動できるので、超音波振動子3より照射された超音波を治療部位80に対して最適な位置に設定することができる。また、観察しながら位置決めをすることもできる。
【0091】
制御装置5は、エネルギー出射部3及び反射手段4を制御することで、より効率的かつ短時間で治療を行うことができる。
【0092】
配置装置5は、エネルギー出射部3及び反射手段4を配置できるので、目的部位との位置をより安定でき、エネルギー照射時も目的部位に対し正確にエネルギーを照射することができる。
【0093】
アプリケータ2に対して、冷却手段を備えるので冷却液により生体組織の表層部を冷却することができ、表層部の損傷をより確実に防止することができる。
【0094】
超音波振動子3の超音波出射面に超音波を収束、平行または拡大する音響レンズ23を設けることにより、治療部位の状態次第で、超音波を広域、狭域に照射したり、超音波を集中的に照射することができる。
【0095】
反射手段4に対して、冷却手段を備えるので冷却液により生体組織の表層部を冷却することができ、表層部の損傷をより確実に防止することができる。
【0096】
反射手段4に固定反射面または可変反射面を備えることで、目的部位の治療の範囲によって、最適な反射面を使うことができ、より効率的な治療を行うことができる。
【0097】
配置装置14では、超音波振動子3からの超音波の照射方向を変えるための変更機能を有するので、治療部位に対して、超音波振動子3を的確な位置に変更することができ設定時間の短縮を図ることができる。
【0098】
反射体6の反射面の曲率を可変にすることで、治療部位に深さ方向の位置、面積に応じて照射範囲を可変することができる。
【0099】
反射体6に超音波センサー35を設けることにより、超音波の出力強度を検出することができ、超音波振動子3から出射する超音波出力の制御、条件の設定の見直し等を行うことができる。
【0100】
本実施の形態に係るエネルギー治療装置によれば、反射体6に空気抜きの孔36及び超音波ゼリー注入孔37を設けるときは、反射体6に超音波ゼリーを注入することにより、体腔壁に反射体6を密着することができ、超音波を乱反射させず、治療部位80に正確に反射することができる。
【0101】
本体と反射体6を保持する配置装置14を有することにより、本体と反射体6を最適な位置で固定することができ、エネルギーの照射を安定して行うことが出来る。
【0102】
制御装置5は、エネルギーを目的部位に集中させる照射パターンを指示することで、目的部位によって効率の良い治療をすることができる。
【0103】
制御装置5は、本体の冷却手段及び反射手段の冷却手段を制御するので、常に、冷却液により生体組織の表層部を冷却することができ、表層部の損傷をより確実に防止することができるので、短時間且つ効率の良い治療を行うことができる。
【0104】
制御装置5は、反射手段を制御するので、即ち、固定反射面または可変反射面の曲率を可変するとき、目的部位の深さ方向の位置、面積に応じる照射範囲に調整することができ、短時間且つ効率の良い治療を行うことができる。
【0105】
アプリケータ2に内視鏡を配置するときは、治療部位の治療前後の状態を観察することができ、状態を観察しながら照射条件を最適化することが可能となる。
【0106】
アプリケータ2に拡張、収縮するバルーンを設けるときは、治療部位の近傍でアプリケータ2を体腔壁に押し付けることができ、治療部位80と超音波振動子3との距離が安定し、治療部位に対する超音波照射を安定にすることができる。
【0107】
アプリケータ2の表面に親水性高分子材料を含む表面層を形成するときは、アプリケータ2の表面の摩擦を低減し、体腔への挿入、引き抜き、移動、回転をスムーズなものとすることが出来る。
【0108】
冷却手段として、本体、反射手段及びバルーンの夫々に設けていることを説明したが、冷却条件に応じて、本体、反射手段及びバルーンの冷却手段を任意に組み合わせて設けることができる。
【0109】
本実施の上例では、生体組織に向けて照射されるエネルギーとして、超音波を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、レーザ光等のエネルギー照射を行うものでもよい。この場合、必要に応じてアプリケータの出射部に対応する部分にエネルギー照射を阻害しないために窓を設けるようにする。
【0110】
上例では、本実施の形態としては、高温度治療の対象となる生体組織として、前立腺の場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、血管や消化管(食道、腸管など)、腹腔などの生体内から、あるいは体表からエネルギーを照射して高温度治療を行うことが可能な生体組織の全てを含む。
【0111】
なお、以上説明した実施の形態は、本発明を限定するために記載されたものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。
【0112】
【発明の効果】
本発明に係るエネルギー治療装置によれば、エネルギー出射部と反射手段とを有することにより、エネルギー利用効率が上がり、出射出力を抑えつつ目的部位に対するエネルギーの集積、従ってエネルギーの強度を上げることができる。よって、高温度治療の温度に加温をすることを可能にし、低出力による効率の良い高温度治療を可能にする。
【0113】
エネルギー出射部から出射されるエネルギーの出射を制御する出射手段を有することにより、エネルギーの出射パターンが制御され、効率的に目的部位へのエネルギー集積を行うことができる。
【0114】
一部目的部位を透過し反射手段で反射されたエネルギーと、エネルギー出射部から次のエネルギーとが目的部位にて重なり合うように照射することにより、エネルギー集積が上がり目的部位を最適な温度に加温することができる。
【0115】
エネルギー出射部からのエネルギーを目的部位に照射することにより、エネルギーの一部が目的部位を透過し反射手段で反射されたエネルギーと次のエネルギーを目的部位で重なり合うようにすることができ、エネルギーの集積が上がり目的部位を最適な温度に加温することができる。
【0116】
配置装置は、エネルギー出射部を含む本体と反射手段を配置できるので、目的部位との位置をより安定でき、エネルギー照射時も目的部位に対し正確にエネルギーを照射することができる。
【0117】
配置装置は、エネルギー出射部を含む本体の保持部と反射手段の保持部と、エネルギー出射部と反射手段の相対位置を調整する機構を有することにより、エネルギー出射部と反射手段を最適な位置で固定することができ、エネルギーの照射を安定して行うことが出来る。
【0118】
配置装置を制御する配置制御手段を有することにより、最適な配置でエネルギー照射を効率的に行うことができる。
【0119】
配置制御手段がエネルギー出射部からの出射エネルギーと、反射手段からの反射手段からの反射エネルギーとを目的部位で重なり合うように制御するので、より効率且つ短時間で治療を行うことができる。
【0120】
配置装置がエネルギー出射部の向きを変更できるので、目的部位に対して出射部の位置を的確な向きに変更することができ設定時間の短縮を図ることができる。
【0121】
出射制御手段によりエネルギー出射部からのエネルギーの出射が、反射手段で反射されたエネルギーと制御されるときは、出射エネルギーと反射エネルギーを目的部位で重ね合わせることができ、効率的にエネルギー集積を行うことができる。
【0122】
出射制御手段が出射エネルギーを目的部位に集中させる照射パターンと、照射出力と照射時間を制御するので、目的部位に最適で効率良く且つ短時間で治療することができる。
【0123】
出射制御手段は、出射部からの出射エネルギーを間歇的に目的部位に照射するように照射パターンを制御することで、短時間且つ効率の良い治療を行うことができる。
【0124】
出射制御手段は、エネルギー出射部から間歇的に出射されたエネルギーと、反射手段により反射された反射エネルギーとが同時に目的部位に到達するように照射パターンを制御するので、短時間且つ効率の良い治療を行うことができる。
【0125】
反射手段に固定反射面または可変反射面を備えることで、目的部位の治療の範囲によって、最適な反射面を使うことができ、より効率的な治療を行うことができる。
【0126】
反射手段を反射面の曲率半径が可変できるように形成するときは、目的部位の深さ方向の位置、面積に応じて照射範囲を可変することができる。
【0127】
反射手段を制御する反射制御手段を有するので、短時間且つ効率の良い治療を行うことができる。
【0128】
反射体にエネルギーの到達効率を検出するエネルギー検出手段を有するときは、出射エネルギーを検出することができ、出射エネルギーの出力の制御、照射条件の設定の見直し等を行うことができる。
【0129】
反射体に空気抜きの孔の溝を有することにより、空気を抜いて、体腔壁に反射体を密着することができ、出射部より照射されたエネルギーを乱反射させず、目的部位に正確に反射することができる。
【0130】
冷却手段をエネルギー出射部と、エネルギー出射部を含む本体に備えることにより、冷却液により生体組織の表層部を冷却することができ、表層部の損傷をより確実に防止することができる。
【0131】
冷却手段を反射手段に備えることにより、反射手段の周辺の生体組織への温度上昇を防ぐことができ、目的部位の治療を効率良く且つ安定的に行うことができる。
【0132】
冷却手段を制御する冷却制御手段を有するので、反射手段の周辺の生体組織への温度上昇を防ぐことができ、目的部位の治療を効率良く且つ安定的に行うことができる。
【0133】
配置制御手段を制御する制御装置を有するので、目的部位に対する出射部と反射手段の位置設定を最適に行うことができ、自動化して効率的且つ短時間で治療をすることができる。
【0134】
配置制御手段、または配置制御手段と出射制御手段を制御する制御装置を有するので、それぞれを自動化して効率的且つ短時間で治療をすることができる。
【0135】
反射制御手段、または反射手段と配置制御手段と出射制御手段のうちの2つ以上を制御する制御装置を有するので、それぞれを自動化して効率的且つ短時間で治療をすることができる。
【0136】
冷却制御手段、または冷却制御手段と配置制御手段と出射制御手段と反射制御手段のうちの2つ以上を制御する制御装置を有するので、それぞれを自動化して効率的且つ短時間で治療をすることができる。
【0137】
エネルギー出射部を含む本体に、出射エネルギーの広がり角度を収束、平行または拡大する手段を設けることにより、目的部位の状態次第で、エネルギーを広域、狭域に照射したり、超音波を集中的に照射することができる。
【0138】
エネルギー出射部を含む本体に観察手段を有するときは、目的部位の治療前後の状態を観察することができ、状態を観察しながら照射条件を最適化することが可能となる。
【0139】
エネルギー出射部を含む本体あるいは反射手段、あるいは本体と反射手段の両方の表面に拡張、収縮するバルーンを有するときは、目的部位の近傍で本体や反射手段を体腔壁に押し付けることができ、目的部位と出射部との距離が安定し、目的部位に対するエネルギー照射及びエネルギーの反射を安定にすることができる。
【0140】
エネルギー出射部を含む本体あるいは反射手段、あるいは本体と反射手段の両方の表面に親水性高分子材料を含む表面層を有するときは、本体あるいは反射手段の表面の摩擦を低減し、体腔への挿入、引き抜き、移動、回転をスムーズなものとすることが出来る。
【0141】
出射部より照射するエネルギーを超音波にすることで、深部にある部位に対して選択的に照射することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエネルギー治療装置の実施の形態の基本構成を示す構成図である。
【図2】A 図1のエネルギー治療装置の要部の側面図である。
B 図2AのA−A線での断面図である。
【図3】A〜E 本発明に係るエネルギー治療装置のエネルギー照射パターンのエネルギー(超音波)進行状態を模式的に示す説明図である。
【図4】A 本発明に係るエネルギー治療装置のエネルギー照射パターンの一例の説明に供する加温グラフである。
B 本発明に係るエネルギー治療装置のパルス列の一例の説明図である。
【図5】本発明に係るエネルギー治療装置のエネルギー照射パターンの他の例の説明に供する断面図である。
【図6】本発明に係るエネルギー治療装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図7】A 本発明に係るエネルギー治療装置に適用される超音波の収束素子の一実施の形態を示す構成図である。
B 本発明に係るエネルギー治療装置に適用される超音波の収束素子の他の実施の形態を示す構成図である。
【図8】本発明に係るエネルギー治療装置の反射手段の一実施の形態を示す斜視図である。
【図9】A 本発明に係るエネルギー治療装置の反射手段の他の実施の形態を示す斜視図である。
B 図9AのB−B線での断面図である。
【図10】A 本発明に係るエネルギー治療装置の反射手段の他の実施の形態を示す斜視図である。
B 図10AのC−C線での断面図である。
【図11】A 本発明に係るエネルギー治療装置の反射手段の他の実施の形態を示す断面図である。
B 本発明に係るエネルギー治療装置の反射手段の他の実施の形態を示す断面図である。
C 本発明に係るエネルギー治療装置の反射手段の他の実施の形態を示す断面図である。
【図12】A 本発明に係るエネルギー治療装置の反射手段の他の実施の形態を示す断面図である。
B 図12Aの反射手段の側面図である。
【図13】A,B 図12の反射手段の動作図である。
【図14】本発明に係るエネルギー治療装置の一実施の形態を示す全体構成図である。
【図15】本発明に係るエネルギー治療装置による治療の実施の形態を示すフローチャートである。
【図16】本発明に係るエネルギー治療装置の反射体の位置調整の一実施の形態を示すフローチャートである。
【図17】従来のエネルギー治療装置による温度と時間に関するグラフである。
【符号の説明】
1・・エネルギー治療装置、2・・アプリケータ、3・・出射部、4,41,42,43,44,45,47・・反射手段、5・・制御装置、6,26・・反射体、6a・・反射面、7・・操作棹、7A・・外操作棹、7B・・内操作棹、7C・・皿状部、14・・配置装置、22・・1/2波長板、23・・音響レンズ、30,31・・支持台、30a・・透孔、33,51,52,53・反射素体、35・・超音波センサー、36・・空気孔、37・・超音波ゼリー注入孔、38・・軟性膜、40・・ヒーター、51A・・連結部、55・・第1の回転ギア、56・・一体の軸、57・・第2の回転ギア、58・・回転シャフト、59・・操作レバー、60・・ハウジング、63・・注入チューブ、64・・排出チューブ、65・・連結手段、80・・治療部位、81・・尿道、82・・直腸、83・・前立腺、84・・治療部位以外の部位、85・・超音波、85´・・反射超音波、91・・制御部、92・・データベース、93・・出射制御手段、94・・冷却液制御手段、95・・配置制御手段、96・・反射制御手段、97・・エネルギー検出手段、98・・モニター、101・・基台、102・・第1の保持部、102A・・蓋部、102B・・固定部、103・・支柱、104・・第2の保持部、105・・可動ブロック、106・・移送軸、107,110・・ハンドル、108・・支持体、112・・ケーブル、113・・冷却液送排出用チューブ、114・・フットスイッチ、181・・冷却液、182・・ワイヤー、851・・1回目の超音波パルス列、852・・2回目の超音波パルス列、851´・・反射された1回目の超音波パルス列
Claims (29)
- エネルギーを生体組織に照射するエネルギー治療装置であって、
前記エネルギーを出射するエネルギー出射部と、
前記エネルギー出射部から出射されたエネルギーを目的部位に反射するように、前記エネルギー出射部に相対する位置に設置する反射手段とを備えて成る
ことを特徴とするエネルギー治療装置。 - 前記エネルギー出射部からの出射エネルギーと、前記反射手段からの反射エネルギーとが目的部位で重なり合うようにして成る
ことを特徴とする請求項1記載のエネルギー治療装置。 - 前記エネルギー出射部を含む本体と、前記反射手段を配置する配置装置を有して成る
ことを特徴とする請求項1記載のエネルギー治療装置。 - 前記配置装置は、前記エネルギー出射部を含む本体の保持部と、前記反射手段の保持部と、前記エネルギー出射部及び前記反射手段の相対位置を調整する機構とを備えて成る
ことを特徴とする請求項3記載のエネルギー治療装置。 - 前記配置装置を制御する配置制御手段を有する
ことを特徴とする請求項3記載のエネルギー治療装置。 - 前記配置制御手段は、前記エネルギー出射部からの出射エネルギーと、前記反射手段からの反射エネルギーとが目的部位で重なり合うように制御する
ことを特徴とする請求項5記載のエネルギー治療装置。 - 前記配置装置が前記エネルギー出射部の向きを変更できる
ことを特徴とする請求項3記載のエネルギー治療装置。 - 前記エネルギー出射部からの出射エネルギーを制御する出射制御手段を有して成る
ことを特徴とする請求項1、2、3、5または6記載のエネルギー治療装置。 - 前記出射制御手段は、前記出射エネルギーを前記目的部位に集中させる照射パターンと、照射出力と、照射時間を制御する
ことを特徴とする請求項6記載のエネルギー治療装置。 - 前記出射制御手段は、前記出射エネルギーを前記目的部位に集中させる照射パターンと、照射出力と、照射時間を制御する
ことを特徴とする請求項8記載のエネルギー治療装置。 - 前記出射制御手段は、前記出射部からの出射エネルギーを間歇的に前記目的部位に照射するように前記照射パターンを制御する
ことを特徴とする請求項8記載のエネルギー治療装置。 - 前記出射制御手段は、前記エネルギー出射部から間歇的に出射されたエネルギーと、前記反射手段により反射された反射エネルギーとが同時に目的部位に到達するように前記照射パターンを制御する
ことを特徴とする請求項8、9、10又は11記載のエネルギー治療装置。 - 前記反射手段は、固定反射面または可変反射面を有する
ことを特徴とする請求項1記載のエネルギー治療装置。 - 前記反射手段は、反射面の曲率が可変であるようにして成る
ことを特徴とする請求項1又は13記載のエネルギー治療装置。 - 前記反射手段を制御する反射制御手段を有する
ことを特徴とする請求項1、2、3、5、6、8、12、13又は14記載のエネルギー治療装置。 - 前記反射手段に、前記エネルギー出射部から到達したエネルギー量を検出するエネルギー検出手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載のエネルギー治療装置。 - 前記反射手段に空気抜き手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載のエネルギー治療装置。 - 前記エネルギー出射部と、前記エネルギー出射部を含む本体に接触する生体組織とのうち一つ以上を冷却する冷却手段を有する
ことを特徴とする請求項1、2、3、5、6、8、12又は15記載のエネルギー治療装置。 - 前記反射手段と、前記反射手段に接触する生体組織とのうち一つ以上を冷却する冷却手段を有する
ことを特徴とする請求項1、2、3、5、6、8、12、15又は18記載のエネルギー治療装置。 - 冷却手段を制御する冷却制御手段を有する
ことを特徴とする請求項18又は19記載のエネルギー治療装置。 - 前記配置制御手段を制御する制御装置を有する
ことを特徴とする請求項5記載のエネルギー治療装置。 - 前記配置制御手段、または前記配置制御手段と前記出射制御手段を制御する制御装置を有する
ことを特徴とする請求項8記載のエネルギー治療装置。 - 前記反射制御手段、または前記反射手段と前記配置制御手段と前記出射制御手段のうちの2つ以上を制御する制御装置を有する
ことを特徴とする請求項15記載のエネルギー治療装置。 - 前記冷却制御手段、または前記冷却制御手段と前記配置制御手段と前記出射制御手段と前記反射制御手段のうちの2つ以上を制御する制御装置を有する
ことを特徴とする請求項20記載のエネルギー治療装置。 - 前記エネルギー出射部を含む本体に、前記出射エネルギーの広がり角度を収束、平行または拡大する手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載のエネルギー治療装置。 - 前記エネルギー出射部を含む本体に観察手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載のエネルギー治療装置。 - 前記エネルギー出射部を含む本体、あるいは前記反射手段、あるいは前記本体と前記反射手段の両方の表面に拡張、収縮するバルーンを有することを特徴とする請求項1記載のエネルギー治療装置。
- 前記エネルギー出射部を含む本体、あるいは反射手段、あるいは前記本体と前記反射手段の両方の表面に親水性高分子材料を含む表面層を有する
ことを特徴とする請求項1記載のエネルギー治療装置。 - 前記エネルギーが超音波である
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27又は28記載のエネルギー治療装置。
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