JP2005032385A - 位置ずれ補正方法、及びこれを応用した磁気テープ式システム - Google Patents

位置ずれ補正方法、及びこれを応用した磁気テープ式システム Download PDF

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Abstract

【課題】 複数のヘッド素子をデータトラックに確実にトラッキングする。
【解決手段】 圧電素子27〜27によって、複数のヘッド24〜24素子を磁気テープ20の幅方向に沿って移動させ、これらヘッド素子24〜24をデータトラック23〜23にオントラックさせる。磁気テープ20の幅方向に沿ったヘッド素子24〜24とデータトラック23〜23の位置ずれを補正するように各ヘッド素子24〜24を個別に移動させることにより、従来磁気ヘッド21全体を移動させるだけでは補正することができなかった位置ずれを補正することが可能となり、確実にヘッド素子24〜24をデータトラックにオントラックさせた状態でデータの記録や再生を行うことができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ヘッド装置に複数配設されるヘッド素子の位置とデータトラックの位置とを精度良く一致させることができる位置ずれ補正方法、及び、これを応用した磁気テープ式システムに関する。更に詳しくは、上述した位置ずれ補正方法を応用することにより記録密度が高められた磁気テープを確実にトラッキングすることができる磁気テープ式システムに関する。
近年、磁気記録の分野においては、高音質の音声データや高画質の映像データの如きデータを大量に記録する必要性が高まっており、記録或いは再生するデータ量が飛躍的に増大している。また、記録或いは再生するデータ量の飛躍的な増大とともに、データを短時間で記録或いは再生する高転送レート化が望まれている。このような実情の下、いわゆる線形記録方式によってデータの記録や再生を行う磁気テープ式ストレージシステムにおいては、記録密度を向上させるために一つのデータトラック当りの線記録密度を向上させることに加え、磁気テープのトラック密度を高めるための技術開発が進められている。
また、線形記録方式の磁気テープ式ストレージシステムにおいて記録密度の向上と転送レートの向上とを両立させるためには、記録や再生を行うヘッド素子をヘッドに複数配設してチャネル数を増やすことで転送レートの向上を図っている。通常、このような線形記録方式の磁気テープ式ストレージシステムにおいては、データの記録や再生を行う際にサーボヘッドによってサーボバンドのサーボ信号を読み取ることで磁気ヘッドの位置決めを行う。このような磁気テープ式ストレージシステムとしては、LTO Ultrium(登録商標)テープドライブが知られている。LTO Ultriumは、Hewlett−Packard社、IBM社、Seagate社の3社が共同開発したLTO(Linear Tape―Open)テクノロジーに基づいて策定された大容量高速テープ規格である。このような規格に基づく磁気テープ式ストレージシステムにおいては、磁気ヘッド装置に設けられた複数のヘッド素子により、複数のデータトラックに対して同時にデータの記録や再生が行われ、データの転送レートが高められている。
図9は、上述した磁気テープ式ストレージシステムでヘッド素子とデータトラックとのミストラックが生じた際の位置ずれ補正方法を示す図である。図9(a)は、磁気テープ100が図中矢印A方向に磁気テープ100全体が振れることにより、磁気ヘッド101に配設されたヘッド素子104〜104とデータトラック103〜103とに位置ずれが生じた状態を示す図である。磁気テープ100は、磁気テープ100の長手方向L、すなわち磁気テープ100の走行方向に沿って走行される。磁気テープ100は、長手方向Lに沿って延在するように形成された複数のデータトラック103〜103からなるデータ領域と、このデータ領域の両側にそれぞれ形成されたサーボバンド105,105を備える。磁気テープ100が幅方向Wに沿って矢印Aで示す方向に振れた際には、データトラック103〜103とヘッド素子104〜104とに位置ずれdが生じ、ヘッド素子104〜104によるデータの記録や再生に不都合が生じる。図9(b)は、この位置ずれdを補正して全てのヘッド素子104〜104の位置をデータトラック103〜103の位置に一致させた状態を示す。位置ずれdを補正するためには、サーボヘッド106,106がサーボバンド105,105から検出するサーボ信号に基づいて、矢印Bで示す方向に位置ずれdに相当する距離だけ磁気ヘッド装置101を移動させることにより、全てのヘッド素子104〜104をデータトラック103〜103に追従させて位置合わせを行う。
また、上述した磁気ヘッド装置101とデータトラック103〜103との位置ずれを補正する方法だけでなく、磁気テープが収縮した場合にヘッド素子とデータトラックとのミストラックを低減する技術も検討されており、例えば、磁気ヘッドに複数配設されたトランスデューサの方位角度を変更することにより、磁気テープが収縮した際にこれらトランスデューサをデータトラックに正しく位置合わせする技術も開示されている(例えば、特許文献1。)。
特開平11−353630号公報
ところで、今後、磁気テープの記録密度及び磁気テープを用いた場合の転送レートを高めていくうえで、磁気ヘッド装置と磁気テープの熱膨張係数の違い、或いは湿度膨張係数の違いによる影響が顕在化してくることが予想される。例えば、高精度でヘッド素子をデータトラックに位置決めすることができるサーボ方式を確立し、これを用いてヘッド素子の位置決めを極めて正確に行ったとしても、磁気ヘッド装置と磁気テープの熱膨張係数が異なる場合には、ヘッド素子とデータトラックとの間に位置ずれが生じることになる。例えば、記録時の温度と再生時の温度とが異なる場合、磁気テープが幅方向に沿って膨張或いは収縮した結果生じる寸法変化と、磁気ヘッド装置が幅方向に沿って膨張或いは収縮した結果生じる寸法変化とが異なるため、磁気ヘッド装置全体を移動させてさせるだけでは磁気ヘッド装置に複数設けられているヘッド素子を各データトラックにそれぞれ精度良く位置決めすることが困難となる。特に、磁気テープの外側に形成されたデータトラックほどヘッド素子との位置ずれは大きくなる。
また、上述した磁気ヘッド装置と磁気テープの膨張、又は収縮による寸法変化の差に起因するミストラックは、磁気テープの収縮或いは膨張の前後においてデータトラックのトラック幅によらず少なくともデータトラックの間隔の1/2以上のズレが起きると確実に発生すると考えられる。すなわち、式(1)で示す関係式が成立する場合にミストラックが生じる。ここで、αhは磁気ヘッド装置の熱膨張係数、αmは磁気テープの熱膨張係数、ΔTは環境温度差、Lは磁気テープの幅方向の寸法、Tpはデータトラックのピッチを示す。
Figure 2005032385
したがって、正確にサーボを行って複数のヘッド素子をデータトラックに位置合わせしても、磁気テープの膨張或いは収縮の前後におけるデータトラックの幅方向への移動量が各データトラックで異なるため、従来のヘッド全体を移動させる方法では全てのヘッド素子によって正確にデータトラックをトラッキングすることは困難となる。
また、特許文献1によって開示された技術は、磁気ヘッド装置に複数配設されたトランスデューサの方位角度を変更することによりトランスデューサとデータトラックとの位置合わせを行うことから、磁気テープの収縮及び膨張によって生じるヘッド素子とデータトラックとの位置ずれを自在に補正することは困難となる。
さらに、ヘッド素子とデータトラックとの位置ずれは、温度や湿度の如き使用環境による磁気テープの膨張或いは収縮に起因するものに限定されない。例えば、磁気テープ毎のデータトラックのピッチのばらつきによってもヘッド素子とデータトラックとの位置ずれは生じ、磁気テープ式ストレージシステムで用いる磁気テープを交換する毎にデータトラックのピッチに合わせて個別にヘッド素子を位置合わせすることも必要となる。
このような実情の下、今後、データトラックの幅寸法の狭め、且つデータトラックのピッチを狭めることで磁気テープの記録密度を高めていくうえで、複数のヘッド素子とデータトラックとを精度良く位置合わせし、確実にトラッキングする技術は益々重要になると考えられる。
よって、本発明は、記録密度、及びデータの転送レートを向上させた場合でも、精度良くトラッキングを行うことができる位置ずれ補正方法、及びこれを応用した磁気テープ式システムを提供することを目的とする。
本発明にかかる位置ずれ補正方法は、線形記録方式によってデータが記録されるテープに複数形成されるデータトラックと、前記データを記録するヘッド装置に複数配設されるヘッド素子との位置ずれを補正する位置ずれ補正方法であって、前記ヘッド素子の位置と前記データトラックの位置とが略一致するように、前記テープの幅方向に沿って前記位置ずれを個別に補正することを特徴とする。本発明にかかる位置ずれ補正方法によれば、データトラックの位置とヘッド素子の位置とのテープの幅方向に沿った位置ずれを個別の位置ずれに応じて自在に補正することができ、複数のヘッド素子をデータトラックにそれぞれ正確に位置合わせすることができる。よって、データトラックのトラック幅及びピッチを狭めて記録密度を高めた場合でも、複数のヘッド素子の全てによって正確にデータトラックをトラッキングすることが可能となり、複数のヘッド素子を用いることによって高められたデータの転送レートを維持したまま、テープの記録密度を高めることができる。
また、本発明にかかる位置ずれ補正方法においては、前記ヘッド素子は前記幅方向に沿って配設され、前記ヘッド素子を前記幅方向に沿って移動させることができる。これにより、テープの幅方向に沿って生じたヘッド素子とデータトラックとの位置ずれを個別に補正することができる。
さらにこのような位置ずれ補正方法においては、前記ヘッド素子の間に配設される位置ずれ補正手段を前記位置ずれに応じて伸縮させても良い。ヘッド素子とデータトラックとの位置ずれに応じて位置ずれ補正手段を伸縮させることにより、複数のヘッド素子を個別に位置合わせすることが可能となる。このような位置ずれ補正手段としては、例えば、圧電素子が好適であり、ヘッド素子とデータトラックとの位置ずれに応じた電圧を各圧電素子に印加することにより圧電素子の伸縮を個別に調整することができ、ヘッド素子とデータトラックとの個別の位置ずれに応じて自在にヘッド素子を移動させることで位置ずれを補正することが可能となる。
また、本発明にかかる位置ずれ補正方法においては、前記テープの長手方向に沿って加えられる引っ張り力を調整することにより、前記テープを前記幅方向に沿って伸縮させることもできる。テープの長手方向に加える引っ張り力を調整することにより、テープは長手方向だけでなく幅方向にも伸縮する。テープが幅方向に伸縮することにより、データトラックの位置を調整することができる。これにより、ヘッド素子とデータトラックとの位置ずれを補正して複数のヘッド素子によってデータトラックを確実にトラッキングすることが可能となる。また、本発明にかかる位置ずれ補正方法は、前記位置ずれが前記テープの使用環境によって前記テープの寸法が変化することで生じる場合にヘッド素子とデータトラックとを位置合わせする際に好適であり、さらにまた、前記位置ずれが、前記データトラックの位置のばらつきによって生じる場合にも適用可能である。
本発明にかかる磁気テープ式システムは、線形記録方式によって磁気テープにデータを記録する磁気テープ式システムにおいて、前記磁気テープに複数形成されるデータトラックの位置と、前記データトラックに前記データを記録するヘッド装置に複数配設されるヘッド素子の位置との位置ずれを検出する位置ずれ検出手段と、前記位置ずれを前記磁気テープの幅方向に沿って個別に補正して、前記データトラックの位置と前記ヘッド素子の位置とを略一致させる位置ずれ補正手段とを備えることを特徴とする。本発明にかかる磁気テープ式システムによれば、ヘッド素子とデータトラックとの位置ずれを検出し、この位置ずれを磁気テープの幅方向に沿って個別に補正することにより、磁気ヘッドに複数配設されたヘッド素子の全てとデータトラックとを略一致させることが可能となる。これにより、複数のヘッド素子によって同時にデータトラックへのデータの記録や再生を行うことができ、データの転送レートを高めるとともに確実にトラッキングすることができる。さらに、ヘッド素子とデータトラックとを正確に位置合わせすることができることにより、磁気テープ上にデータトラックを密に形成して記録密度をより高めることも可能となる。
このような磁気テープ式システムにおいては、前記ヘッド素子は前記幅方向に沿って配設され、前記位置ずれ補正手段は前記ヘッド素子の間に配設されて前記ヘッド素子を前記幅方向に沿って移動させても良い。これにより、ヘッド素子とデータトラックと位置ずれに応じてヘッド素子を自在に移動させ、ヘッド素子の位置とデータトラックの位置とを略一致させて確実にデータの記録や再生を行うことができる。このような位置ずれ補正手段としては、例えば圧電素子を用いることができ、印加される電圧によって圧電素子の伸縮を正確に調整してヘッド素子の移動量を調整することができる。
本発明にかかる磁気テープ式システムにおいては、前記位置ずれ補正手段は、前記磁気テープの長手方向に沿って加えられる引っ張り力を調整することにより前記磁気テープを前記幅方向に伸縮させても良い。磁気テープを幅方向に沿って伸縮させることにより当該磁気テープに形成されたデータトラックの位置を補正することが可能であることから、データトラックとヘッド素子との位置ずれを補正し、確実にデータの記録や再生を行うことができる。また、前記位置ずれ検出手段を前記磁気テープに形成されたサーボトラックからサーボ信号を検出するサーボヘッドとしても良い。
以上、説明したように本発明にかかる位置ずれ補正方法によれば、テープの幅方向に沿って生じたデータトラックとヘッド素子との位置ずれを補正することができる。これにより、複数のヘッド素子によりトラックを正確にトラッキングすることができ、データの転送レートを維持したまま確実なトラッキングを行うことができる。さらに、テープの記録密度を高めるためにデータトラックの幅寸法を狭めて細線化した場合でも、各データトラックとこれらデータトラックにデータの記録、又は再生を行うヘッド素子との位置ずれを個別に補正することができる。これにより、テープの幅方向に沿った位置ずれをそれぞれ個別に補正することができ、複数のヘッド素子により確実にデータトラックをトラッキングすることができる。したがって、データの転送レート及びテープに記録されるデータの記録密度を高めることが可能となる。
また、温度や湿度の変化によるテープの幅寸法変化によるデータトラックとヘッド素子との位置ずれに限定されず、テープ毎のばらつきに起因するミストラックも低減することができる。磁気テープ式システムで交換される磁気テープごとにデータトラックとヘッド素子との位置ずれを検出し、この位置ずれ量に応じて磁気テープの引っ張り力を調整し、ヘッド素子のピッチをデータトラックのピッチに合わせて調整することにより、確実にトラッキングを行うことができる。すなわち、従来磁気テープとヘッド全体との相対的な位置ずれを調整するだけで行われていたトラッキングだけでなく、磁気テープの幅方向に沿ってデータトラックとヘッド素子との位置ずれを個別に補正することができることにより、複数のヘッド素子全てによって確実にトラキングすることができる。
さらに本発明にかかる位置ずれ補正方法により応用してデータの記録・再生を行うことができる磁気テープ式システムによれば、線形記録方式によってデータの記録や再生が行われる磁気テープの転送レートを高めることができるとともに、記録密度を高めることも可能となる。
以下、本発明にかかる位置ずれ補正方法、及びこれを応用した磁気テープ式システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明にかかる位置ずれ補正方法、及びこれを応用した磁気テープ式システムは本実施形態のものに限定されず、ヘッド素子とデータトラックとの位置ずれを補正することができるものであれば、本発明の範囲内で適宜変更可能であることは勿論である。
[第1の実施の形態]
本実施形態にかかる位置ずれ補正方法は、線形記録方式によってデータが記録される磁気テープに複数形成されるデータトラックと、データを記録する磁気ヘッド装置に複数配設されるヘッド素子との位置ずれを補正する位置ずれ補正方法であって、ヘッド素子の位置とデータトラックの位置とが略一致するように、磁気テープの幅方向に沿って位置ずれを個別に補正することを特徴とする。本実施形態にかかる位置ずれ補正方法は、例えば、磁気テープを記録媒体とする磁気テープ式システムに好適とされる。
図1は、本実施形態にかかる磁気テープ式システムで用いられる磁気テープの構成を示す図であり、図1(a)は、磁気テープカートリッジ1から磁気テープ10が引き出された状態を示す図である。磁気テープ10は、磁気テープカートリッジ1に巻回された状態で磁気テープ式システムに取り付けられて使用されて、データの記憶や再生が行われる。なお、磁気テープ10は線形記録方式で記録可能な磁気テープであれば如何なるものでも良く、データ領域数やデータトラック数も磁気テープ10のものに限定されない。
図1(b)は磁気テープ10の一部を拡大して示した図である。図1(b)に示すように、磁気テープ10は、例えばデータを記録するためのデータ領域12が磁気テープ10の幅方向に沿って4つ形成されており、各データ領域12の両側にサーボバンド11が形成されている。サーボバンド11は、磁気テープ10の長手方向、すなわち磁気テープ10の走行方向に沿って延在するように形成されており、データ領域12に記録されたデータの位置情報が記録されている。
図1(c)は、図1(b)において点線で示した領域の拡大図である。データ領域12は、8つのデータトラック15を備えている。データトラック15は、磁気テープ10の長手方向に沿って延在するように形成されている。また、データトラック15は、磁気テープ10の幅方向に沿って略等しいピッチで形成されている。磁気テープカートリッジ1が取り付けられる磁気テープ式システムは、磁気テープ10にデータを記録及び再生の少なくとも一方を行う磁気ヘッド装置を備える。この磁気ヘッド装置は、データ領域12へのデータの記録が完了した後、磁気テープ10の幅方向に沿って移動し、他のデータ領域12でデータの記録や再生を行う。
この磁気ヘッド装置がデータ領域12にデータを記録する際には、磁気ヘッド装置に複数設けられたヘッド素子でそれぞれのデータトラック15をトラッキングしながらデータを記録する。これら複数のヘッド素子は、それぞれ所定のデータトラック15にオントラックされ、磁気テープ10がその長手方向に沿って往復するように走行されることで、データトラック15にデータを記録する。すなわち、この磁気ヘッド装置は、複数のデータトラック15に同時にデータを記録するいわゆるマルチトラックヘッドとされ、データの転送レートが単一のヘッド素子でデータを記録する場合に比べて格段に高められている。また、磁気テープ10に記録されたデータの再生もデータを記録する場合と略同様の手順で行われる。なお、データ領域12に形成されるデータトラック15の数は8トラックに限定されず、所要のトラック数が形成されていれば良いことはいうまでもなく、データトラック数に応じたヘッド素子が磁気ヘッド装置に設けられていれば良い。
続いて、図2を参照しながら本実施形態にかかる位置ずれ補正方法について詳細に説明する。図2(a)は、図1で説明した磁気テープ10と同様の構成とされる磁気テープ20のデータ領域22に磁気ヘッド装置21をトラッキングした状態を示す図である。磁気ヘッド装置21は、磁気テープ20の幅方向Wを長手方向とし、略矩形状とされる。さらに、磁気ヘッド装置21は、サーボヘッド26,26、ヘッド素子24〜24、及び圧電素子27〜27が配設されている。なお、磁気ヘッド装置21は、磁力によってデータの記録や再生を行うヘッド装置であるが、本発明にかかる位置ずれ補正方法は磁力によってデータの記録や再生を行う場合に限定されるものではない。
サーボヘッド26,26は磁気ヘッド21の両端にそれぞれ配設されている。サーボヘッド26,26はサーボバンド25,25に記録されたサーボ信号を読み取り、磁気ヘッド装置21がデータ領域22からずれている場合の位置ずれを検出する位置ずれ検出手段とされる。磁気ヘッド装置21はこのサーボ信号に基づいてトラッキングが調整されるとともに、サーボヘッド26,26は磁気ヘッド21に配設された各ヘッド素子24〜24のデータトラック23〜23からの位置ずれを検出する。なお、サーボバンド25,25は複数のサーボトラックから構成されており、磁気ヘッド21がデータ領域22でデータの記録を行うために幅方向Wに逐次移動する際に、これらサーボトラックに記録された信号をサーボヘッド26,26がその都度読み取ることでデータ領域22内での磁気ヘッド装置21の移動量が制御される。
ヘッド素子24〜24はデータ領域22を構成するデータトラック23〜23にデータを記録する素子であり、データを記録する記録部と、記録したデータがデータトラックに記録されたことを確認するための再生部とを備える。ヘッド素子24〜24は、磁気ヘッド装置21の長手方向、すなわち磁気テープ20の幅方向Wに沿って8素子配設されており、磁気ヘッド装置21は複数のヘッド素子24〜24を備えるマルチトラックヘッドとされる。さらに、各ヘッド素子24〜24のピッチはデータトラック23〜23のピッチに合わせて略等しい値とされ、各ヘッド素子24〜24の位置はそれぞれデータトラック23〜23の位置と略一致している。
圧電素子27〜27は、ヘッド素子24〜14の間、及びサーボヘッド26,26とヘッド素子24,24との間に、それぞれ一素子ずつ配設され、合わせて9素子配設されている。圧電素子27〜17は、ヘッド素子24〜24とデータトラック23〜23との位置ずれを補正する位置ずれ補正手段とされる。圧電素子27〜17は、ヘッド素子24〜24とデータトラック13〜13とが位置ずれしている際に、ヘッド素子24〜24を幅方向Wに沿ってそれぞれ所要量だけ移動させることにより、各ヘッド素子24〜24の位置をそれぞれデータトラック23〜23の位置に略一致させる。圧電素子27〜27は、例えば圧電性を有するセラミックスで形成され、印加される電圧に応じて幅方向Wに沿って伸縮することで幅方向Wに沿った寸法が可変とされる。
図2(b)は、磁気テープ20が膨張することによりデータトラック23〜23とヘッド素子24〜24とに位置ずれが生じた状態を示す図である。このような位置ずれは温度変化や湿度変化の如き環境変化によって生じる。通常、磁気ヘッド21の熱膨張率より磁気テープ20の熱膨張率が大きいことから、図中上側、すなわち磁気テープ20の外側に近い領域に形成されたデータトラックほどヘッド素子との位置ずれが大きくなる。例えば、データ領域22の磁気テープの外側に最も近い領域に形成されているデータトラック23とヘッド素子24との位置ずれの大きさd11は、データ領域22の磁気テープの内側に最も近い領域に形成されているデータトラック23とヘッド素子24との位置ずれの大きさd18に比べて比較的大きくなる傾向にある。
また、磁気テープ20の外側に近い領域に形成されているサーボバンド25とサーボヘッド26との位置ずれは、磁気テープ20の内側に近い領域に形成されるサーボバンド25とサーボヘッド26との位置ずれに比べて大きくなる。したがって、サーボバンド25,25とサーボヘッド26,26で検出されるサーボ信号の違いにより、ヘッド素子24〜24とデータトラック23〜23の位置ずれ量を検出することができる。例えば、サーボバンド25,25に記録されたサーボ信号が幅方向Wに沿って傾斜した信号強度を有し、このサーボ信号をサーボヘッド26,26が検出することによりヘッド素子24〜24の位置の調整方向及びヘッド素子24〜24の移動量を決めることができる。各圧電素子27〜27の伸び幅は圧電素子27〜27に印加される電圧によって調整することができ、この電圧はサーボヘッド26,26で検出されたサーボ信号に基づいて調整される。さらに精度良く圧電素子27〜27の伸び幅を調整する場合には、各データトラック23〜23毎にサーボバンドを形成しておいても良い。
図2(c)は、圧電素子27〜27が伸びることによりヘッド素子24〜24が幅方向Wに沿って移動し、ヘッド素子24〜24の位置とデータトラック23〜23の位置とが略一致している状態を示す。ヘッド素子24〜24の幅方向Wに沿った各移動量は、磁気テープ20の外側に近い領域ほど大きくなるため、圧電素子27〜27の伸び幅を調整してヘッド素子24〜24の移動量が個別に調整される。このように、所定のデータトラックからのヘッド素子の位置ずれに応じて各ヘッド素子24〜24の幅方向Wに沿った移動量を個別に調整することにより、複数のヘッド素子24〜24の位置をそれぞれ所定のデータトラック23〜23の位置に略一致させることができ、磁気ヘッド装置21に設けられた全てのヘッド素子24〜24をデータトラック23〜23に位置合わせして、データの記録や再生を行うことが可能となる。
本実施形態では磁気テープ20が熱膨張した場合について説明したが、本実施形態にかかる位置ずれ補正方法は、磁気テープの収縮によってヘッド素子とデータトラックとの間に位置ずれが生じた場合にも適用することができる。磁気テープが収縮した場合には、圧電素子の寸法を磁気テープの幅方向に沿って縮めることにより、全てのヘッド素子をデータトラックにトラッキングすることができる。すなわち、圧電素子の如き位置ずれ補正手段を用いることにより、磁気テープが膨張或いは収縮した場合でも全てのヘッド素子の位置を自在に調整することができ、これにより全てのヘッド素子をデータトラックにトラッキングすることができる。なお、本実施形態では、磁気ヘッドの寸法を一定に維持しながら当該磁気ヘッドに配設されたヘッド素子を磁気ヘッド内で移動させているが、圧電素子によって各ヘッド素子間の間隔が補正されることにより、磁気ヘッドの長手方向に沿った寸法が可変とされても良い。また、本実施形態にかかる位置ずれ補正方法によれば、磁気テープ20の一部が膨張又は収縮することによって生じたヘッド素子とデータトラックの位置ずれも容易に補正することができる。
図1及び図2を参照しながら説明したように、本実施形態にかかる位置ずれ補正方法によれば、磁気ヘッドに対する磁気テープの相対的な位置ずれを補正する従来の位置ずれ補正方法に比べて、複数のヘッド素子を複数のデータトラックに精度良く位置合わせすることができる。特にマルチトラックヘッドの如きヘッド装置においては、好適な位置ずれ補正方法とされる。また、上述した位置ずれ補正手段は、圧電素子の如き伸縮自在の素子に限定されず、ヘッド素子のシフト量を個別に調整することができるものであれば、如何なる手段でも良いことはいうまでもない。さらに、データトラックとヘッド素子との位置ずれが磁気テープの膨張或いは収縮によって生じるものに限定されず、磁気テープの寸法ばらつきや磁気テープに形成されるデータトラックのピッチばらつきによる位置ずれでも良く、このような位置ずれを補正する際にも本実施形態にかかる位置ずれ補正方法は好適である。さらに、磁気テープの幅方向に沿ってデータトラックのピッチに粗密が生じた場合でもヘッド素子の位置を自在に調整してヘッド素子をデータトラックにトラッキングさせることができる。
また、本実施形態にかかる位置ずれ補正方法を応用した磁気テープ式システムによれば、線形記録方式によりデータの記録や再生を行う場合に精度良くトラッキングすることができ、磁気テープに記録されたデータの転送レート及び記録密度を高めることができる。
[第2の実施の形態]
本実施形態にかかる位置ずれ補正方法は、線形記録方式によってデータが記録される磁気テープに複数形成されるデータトラックと、磁気データを記録する磁気ヘッド装置に複数配設されるヘッド素子との位置ずれを補正する位置ずれ補正方法であって、ヘッド素子の位置とデータトラックの位置とが略一致するように、磁気テープの幅方向に沿って位置ずれを個別に補正するものであり、磁気テープの長手方向に沿って加えられる引っ張り力を調整することにより、磁気テープを幅方向に沿って伸縮させることを特徴とする。
図3及び図4は、本実施形態にかかる位置ずれ補正方法の基本的な概念を説明する図である。なお、磁気テープは、第1の実施形態で説明した磁気テープと略同様に構成とされることから詳細な説明は省略する。
図3は、磁気テープ30が磁気テープ30の幅方向に伸びた場合に磁気テープ30の幅方向に沿った伸びを補正する手順を示す図である。図3(a)に示すように、磁気テープ30は所定の引っ張り力Fで引っ張られた状態で幅寸法がWとされ、磁気テープ式システムに走行される。磁気テープ30に形成されたデータトラックと、これらデータトラックにデータを記録する磁気ヘッド装置に形成された複数のヘッド素子のピッチは略一致しており、磁気テープ30は、ヘッド素子がデータトラックに位置合わせされた状態でデータが記録、又は再生される。
図3(b)に示すように、磁気テープ30が幅方向に沿って伸びた場合に磁気テープ30に加える引っ張り力を増大させることにより磁気テープ30の幅方向の伸びを補正する。図中点線で示した磁気テープは、磁気テープ30が膨張することにより幅寸法Wが幅寸法W'に増大した磁気テープ30aを示す。磁気テープ30から磁気テープ30aへの幅寸法の増大は、使用環境の変化、例えば湿度や温度の変化により生じる。幅寸法が幅寸法Wから幅寸法W'に伸びた磁気テープ30aにおいては、磁気テープ30aに形成されているデータトラックの位置が磁気テープ30の本来のデータトラックの位置からずれており、磁気ヘッド装置に配設された複数のヘッド素子の位置と磁気テープ30aのデータトラックの位置とに位置ずれが生じている。このとき、磁気テープ30aの長手方向に沿って加える引っ張り力Fを引っ張り力Fに強めることにより磁気テープ30aの幅寸法が幅寸法W'から幅寸法Wに縮まり、データトラックの位置をヘッド素子の位置に略一致させることができる。このように磁気テープ30の長手方向に沿って加える引っ張り力を調整することにより、複数のヘッド素子の全てをデータトラックにトラッキングさせることができる。
図4は、磁気テープ40が幅方向に沿って収縮した磁気テープ40aの縮みを補正する手順を示す図である。図4(a)に示すように、磁気テープ40が所定の引っ張り力Fで引っ張られた状態で磁気テープ式システムに走行される際には、磁気テープ40の幅寸法はWとされる。磁気テープ40に形成されたデータトラックと、これらデータトラックにデータを記録する磁気ヘッド装置に配設された複数のヘッド素子のピッチは略一致しており、磁気テープ40はヘッド素子がデータトラックにトラッキングされた状態でデータが記録される。
図4(b)に示すように、磁気テープ40が幅方向に沿って収縮した磁気テープ40aに加える引っ張り力を引っ張り力Fから引っ張り力Fに弱めることにより磁気テープ40の幅方向の縮みを補正する。図中点線で示した磁気テープは、磁気テープ40が収縮することにより幅寸法Wが幅寸法W'に減少した磁気テープ40aを示す。磁気テープ40から磁気テープ40aへの幅寸法の減少は、使用環境の変化、例えば湿度や温度の変化により生じる。幅寸法が幅寸法Wから幅寸法W'に縮んだ磁気テープ40aにおいては、磁気テープ40aに形成されているデータトラックの位置が磁気テープ40のデータトラックの位置からずれており、磁気ヘッドに配設された複数のヘッド素子の位置と磁気テープ40aのデータトラックの位置とに位置ずれが生じている。このとき、磁気テープ40aの長手方向に沿って加える引っ張り力Fを引っ張り力Fに減少することにより磁気テープ40aが幅方向に沿って伸び、幅寸法W'を幅寸法Wに増大させることができる。この幅寸法の補正によって各データトラックが元の位置に位置合わせされてデータトラックの位置をヘッド素子の位置に略一致させることができる。
続いて、図3及び図4を参照しながら説明した本実施形態にかかる位置ずれ補正方法を更に詳細に説明する。図5は、図3に示した磁気テープ30の一部を拡大した図である。図5(a)は、図3(b)に示した磁気テープ30aの一部を拡大した図であり、磁気ヘッド装置31に複数配設されたヘッド素子34〜34とサーボヘッド36,36とが磁気テープ30aの幅方向に沿って位置ずれを生じている。図5(a)に示すように、ヘッド素子34〜34とデータトラック33〜33との位置ずれは、磁気テープ30aの外側に近い領域に形成されたデータトラックほど大きく、例えば、ヘッド素子34とデータトラック33の位置ずれd38に比べて、磁気テープ30aの外側に配設されるヘッド素子34とデータトラック33との位置ずれd31は比較的大きい。そこで、図5(b)に示すように、磁気テープ30aに加えられる引っ張り力Fを引っ張り力Fに強めることにより、磁気テープ30aの幅方向への伸びを補正して本来の幅寸法に補正して、データトラック33〜33をそれぞれヘッド素子34〜34に位置合わせする。磁気テープ30及び幅方向へ伸びが生じた磁気テープ30aに加える引っ張り力を制御するためのテンション制御機構は、磁気テープ30自身の幅方向に沿った寸法を調整することによりデータトラック33〜33とヘッド素子34〜34の位置ずれを補正する位置ずれ補正手段であり、これについては後述する。
図6は、磁気テープ40aの幅方向寸法が補正される状態を示す図である。図6(a)は、図4(b)に示した磁気テープ40aの一部を拡大した図であり、磁気ヘッド41に複数配設されたヘッド素子44〜44とサーボヘッド46,46とがそれぞれデータトラック43〜43とサーボバンド45,45から幅方向に沿って位置ずれを生じている。図6(a)に示すように、データトラック43〜43とヘッド素子44〜44との位置ずれは、磁気テープ30aの外側に近い領域に形成されたデータトラックほど大きくなる傾向にあり、例えば、ヘッド素子34とデータトラック33の位置ずれd48に比べて、最も外側に配設されるヘッド素子34とデータトラック33との位置ずれd41は大きくなる。そこで、図6(a)及び(b)に示すように、磁気テープ40aに加えられる引っ張り力Fを引っ張り力Fに弱めることにより、磁気テープ40の幅方向への収縮を補正して、データトラック43〜43をそれぞれ本来の位置に移動させ、ヘッド素子44〜44に位置合わせする。磁気テープ40及び幅方向へ縮んだ磁気テープ40aに加える引っ張り力を制御するためのテンション制御機構は、データトラック43〜43とヘッド素子44〜44の位置ずれを補正する位置ずれ補正手段であり、磁気テープ自身の幅方向に沿った寸法を調整する。なお、テンション制御機構については後述する。
上述したように、磁気テープの幅方向に沿ったデータトラックとヘッド素子との位置ずれに応じて当該磁気テープを走行させる際の引っ張り力を調整することにより、複数のヘッド素子をデータトラックに位置合わせすることができ、データトラックの位置とヘッド素子の位置との位置ずれを補正しながらデータの記録、又は再生を行うことが可能となる。これにより、記録密度を高めるためにデータトラックのトラック幅やピッチを狭めた場合でも、正確に複数のヘッド素子によってデータトラックをトラッキングすることができる。
このように、磁気テープに形成されたデータトラックの位置と、これらデータトラックにデータを記録、再生するヘッド素子の位置との位置ずれを個別に補正することにより、ヘッド素子が配設される磁気ヘッド全体と磁気テープとの相対的な位置ずれを補正する場合に比べて、高精度にオントラック状態を確保することができる。すなわち、磁気ヘッドに固定された状態で配設される複数のヘッド素子に対しては、磁気テープを幅方向に伸縮させることでデータトラックの位置ずれが個別に補正され、ヘッド素子の位置とデータトラックの位置とを略一致させてオントラック状態を確保することができる。また、磁気テープは、使用環境だけに止まらず、磁気テープ毎の寸法ばらつき、或いは磁気テープに形成されるデータトラックやサーボバンド自体の幅寸法やこれらデータトラックの位置のばらつきによってもヘッド素子の位置に対して位置ずれを生じる。このような位置ずれについても、本実施形態にかかる位置ずれ補正方法を行うことにより位置ずれを個別に補正して、確実にトラッキングすることができる。さらに、磁気テープの幅方向に沿ってデータトラックのピッチに粗密が生じた場合でも自在にデータトラックとヘッド素子を位置合わせすることができる。
さらに、本実施形態にかかる位置ずれ補正方法を応用した磁気テープ式システムよれば、複数のヘッド素子によりデータの記録、又は再生を行うことができることから、データの転送レートを高めるとともに磁気テープの記録密度を高めることもできる。磁気テープは使用環境によっては、1%〜2%程度の寸法変化を伴う場合があり、例えば、磁気テープの幅寸法が約12.7mm(1/2インチ)の場合においては、磁気テープの幅方向の寸法変化は約100〜約300μm程度伸縮する。磁気テープに形成されるデータトラックの幅寸法が約5μmの場合、データトラックにおいて実際にデータの記録、再生を行うための領域はヘッド素子との位置ずれによるマージンを考慮して約1〜約2μm幅とされ、磁気テープの変形に起因するデータトラックとヘッド素子との位置ずれは甚大なものとなる。このような位置ずれを補正するためには、磁気テープと磁気ヘッド装置全体との相対的な位置を調整するだけでは不十分である。したがって、本実施形態の如き位置ずれ補正方法によってデータトラックとヘッド素子との位置ずれを位置ずれした寸法だけそれぞれ補正することにより、確実にトラッキングを行うことができる。これにより、データトラックのトラック幅とピッチを狭めることが可能となり、磁気テープの記録密度高めることができる。さらに、複数のヘッド素子によるデータの記録、再生を行うことによるデータの転送レートを高めることも可能となる。
次に、磁気テープを走行させる際に加える引っ張り力を制御するテンション制御機構について説明する。図7及び図8は、テンション制御機構の構成を示す図であり、図7は平面図、図8はテンション制御機構の要部の構成を示す斜視図である。
図7及び図8に示すように、テンション制御機構70は、一方の端をベルト固定部71に固定され他方の端をテンションレギュレータ73に固定された状態でブレーキドラム77に巻回されるスチールベルト72と、支持体74と支持体74に設けられたガイド76からなるテンションレギュレータ73、ガイド76によって案内される磁気テープ79のテンションを調整する引っ張りバネ80、及び引っ張りバネ80の引っ張り力を調整するアクチュエータ81から構成される。なお、図9では、テープ供給リール78を図示していない。テンションレギュレータ73は支持体74の回転軸75を中心として回転自在とされており、アクチュエータ81が図中方向A又は方向Bに可動自在とされることにより、引っ張りバネ80の引っ張り力を調整することができる。これにより、テープ供給リール78から供給される磁気テープ79にガイド76を押し付ける押付力を調整し、磁気テープ79のテンションを調整することができる。このようなテンション制御機構70によれば、磁気テープ79の長手方向、すなわち走行方向に沿って加えられる引っ張り力をアクチュエータ81によって自在に調整することができる。なお、アクチュエータ81は、磁気テープ79が走行する際に摺接される磁気ヘッドと磁気テープ79との位置ずれを検出するサーボヘッドから送られるサーボ信号に基づいて制御される。
実施例
次に、本実施形態にかかる位置ずれ補正方法について、本願発明者が行った実験について説明する。本実験では、テープに加えられるテンションと、当該テープの幅方向寸法の補正量との関係を調べた。実験に用いたテープの幅寸法は12.7mm(1/2インチ)、厚さが6μmであった。また、実験に用いたテープのポアソン比σは約0.3であり、ヤング率Eは約4500MPaであった。本実験に用いたテープはベースフィルムとしてPETを用いた。また、温度が0℃から45℃に変化した際のテープの幅方向寸法の変化の割合を調べたところ、テープの幅方向に伸びを示す幅方向寸法の変化の割合は、約0.2%であった。この0.2%の幅寸法を補正するために、以下に示す式(2)乃至式(5)、及び上述したポアソン比σ、ヤング率Eを参照してテープに加えられるテンションを算出する。
式(2)は、ポアソン比σを示す式であり、テープ幅方向の縮み(ΔW/W)、及びテープの長手方向の伸び(ΔL/L)を用いて表される。
Figure 2005032385
また、式(3)は、テープのヤング率Eを示す式であり、テープの長手方向の伸び(ΔL/L)、テープの断面積S、及びテープの長手方向に沿って加えられるテープテンションFを用いて表される。
Figure 2005032385
したがって、式(2)及び式(3)から式(4)の如き関係式が成り立ち、テープテンションFは式(5)で表されることになる。
Figure 2005032385
Figure 2005032385
式(5)にそれぞれ求めた値を代入すると、上述した温度変化によるテープの幅方向への伸びを補正するためには、式(6)で示すように、テープテンションFとして約2.3(N)を加えれば良いことが分かった。
Figure 2005032385
なお、本実施例においては、テープベースとしてPETを用いた場合の例であり、テープの幅寸法を補正するために加える引っ張り力の調整範囲は、テープのテープベース及び使用環境に応じて所要の引っ張り力をテープに加えれば良く、上述した引っ張り力の値に限定されることはない。例えば、PENやアラミドなどの他の種類のベースフィルムを用いた場合や、テープベースに磁性層、バック層などを形成した際には、テープの幅方向寸法を補正するために加えられる引っ張り力はそれぞれのテープの物性に応じて調整すれば良い。よって、それらいずれのテープベースを用い場合においても、本実施形態にかかる位置ずれ補正方法が好適であることは言うまでもない。
第1の実施の形態で用いられる磁気テープの構成を示す図である。 第1の実施の形態にかかる位置ずれ補正方法の手順を説明する図である。 第2の実施の形態にかかる位置ずれ補正方法の基本的な手順を説明する図である。 第2の実施の形態にかかる位置ずれ補正方法の別の手順を説明する図である。 第2の実施の形態にかかる位置ずれ補正方法の手順を詳細に説明するための図である。 第2の実施の形態にかかる位置ずれ補正方法の別の手順を詳細に説明するための図である。 第2の実施の形態にかかる磁気テープ式システムに好適なテンション制御機構の構成図である。 第2の実施の形態にかかる磁気テープ式システムに好適なテンション制御機構の構成を示す斜視図である。 従来の位置ずれ補正方法の手順を説明する図である。
符号の説明
1 磁気テープカートリッジ、10,20,30,40,30a,40a 磁気テープ、11 サーボバンド、15 データトラック、21,31,41 磁気ヘッド、70 テンション制御機構、71 ベルト固定部、72 スチールベルト、73 テンションレギュレータ、74 支持体、75 回転軸、76 ガイド、77 ブレーキドラム、78 テープ供給リール、79 磁気テープ、80 バネ、81 アクチュエータ

Claims (12)

  1. 線形記録方式によってデータが記録されるテープに複数形成されるデータトラックと、前記データを記録するヘッド装置に複数配設されるヘッド素子との位置ずれを補正する位置ずれ補正方法であって、
    前記ヘッド素子の位置と前記データトラックの位置とが略一致するように、前記テープの幅方向に沿って前記位置ずれを個別に補正すること
    を特徴とする位置ずれ補正方法。
  2. 前記ヘッド素子は前記幅方向に沿って配設され、
    前記ヘッド素子を前記幅方向に沿って移動させること
    を特徴とする請求項1記載の位置ずれ補正方法。
  3. 前記ヘッド素子の間に配設される位置ずれ補正手段を前記位置ずれに応じて伸縮させること
    を特徴とする請求項2記載の位置ずれ補正方法。
  4. 前記位置ずれ補正手段は、圧電素子であること
    を特徴とする請求項3記載の位置ずれ補正方法。
  5. 前記テープの長手方向に沿って加えられる引っ張り力を調整することにより前記テープを前記幅方向に沿って伸縮させること
    を特徴とする請求項1記載の位置ずれ補正方法。
  6. 前記位置ずれは、前記テープの使用環境によって前記テープの寸法が変化することで生じること
    を特徴とする請求項1記載の位置ずれ補正方法。
  7. 前記位置ずれは、前記データトラックの位置のばらつきによって生じること
    を特徴とする請求項1記載の位置ずれ補正方法。
  8. 線形記録方式によって磁気テープにデータを記録する磁気テープ式システムにおいて、
    前記磁気テープに複数形成されるデータトラックの位置と、前記データトラックに前記データを記録するヘッド装置に複数配設されるヘッド素子の位置との位置ずれを検出する位置ずれ検出手段と、
    前記位置ずれを前記磁気テープの幅方向に沿って個別に補正して、前記データトラックの位置と前記ヘッド素子の位置とを略一致させる位置ずれ補正手段とを備えること
    を特徴とする磁気テープ式システム。
  9. 前記ヘッド素子は前記幅方向に沿って配設され、
    前記位置ずれ補正手段は前記ヘッド素子の間に配設されて前記ヘッド素子を前記幅方向に沿って移動させること
    を特徴とする請求項8記載の磁気テープ式システム。
  10. 前記位置ずれ補正手段は、圧電素子であること
    を特徴とする請求項9記載の磁気テープ式システム。
  11. 前記位置ずれ補正手段は、前記磁気テープの長手方向に沿って加えられる引っ張り力を調整することにより前記磁気テープを前記幅方向に伸縮させること
    を特徴とする請求項8記載の磁気テープ式システム。
  12. 前記位置ずれ検出手段は、前記磁気テープに形成されたサーボトラックからサーボ信号を検出するサーボヘッドであること
    を特徴とする請求項8記載の磁気テープ式システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013057924A1 (ja) * 2011-10-21 2013-04-25 パナソニック株式会社 情報装置
JP2020161200A (ja) * 2019-03-25 2020-10-01 富士フイルム株式会社 記録再生装置及び記録再生方法

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