JP2005031189A - 画像表示装置用粉体及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板1、2間に、色および帯電特性が異なる少なくとも1種類以上の粒子5および/または粒子6からなる粒子群が構成する粉体を封入し、粒子群に対して電界を与えて、粒子を移動させることによって画像表示を行う画像表示装置に用いる粉体であって、内部空間電荷を有する半永久荷電体からなる粒子5および/または粒子6を用いる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、色および帯電特性が異なる少なくとも1種類以上の粒子群からなる粉体を封入し、粒子群に対して電界を与えて、粒子を移動させることによって画像表示を行う画像表示装置に用いる粉体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ペーパーレス化といった環境意識の高揚に伴い、電気的な力を利用して表示基板に所望の画像を表示でき、さらには書き換えも可能であるような電子ペーパーディスプレイに関する研究がなされてきている。この電子ペーパー技術において特に有名なのは、電気泳動型、サーマルリライタブル型等といった液相型のものであるが、液相型では液中を粒子が泳動するので、液の粘性抵抗により応答速度が遅くなるという問題があるため、最近では、対向する基板間に着色粒子群が封入された構成の乾式のもの(例えば、非特許文献1参照)や、易移動性の絶縁性着色粒子群あるいは粉流体が封入された構成のものが着目されている。
【0003】
【非特許文献1】
趙 国来、外3名、“新しいトナーディスプレイデバイス(I)”、1999年7月21日、日本画像学会年次大会(通算83回)“Japan Hardcopy’99”論文集、p.249−252
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの画像表示装置において、表示メカニズムの根本となるものは粉体を構成する粒子の表面電荷であり、安定した高精細な表示を得るためには、この粒子表面電荷を安定的に保つ必要がある。しかしながら、表面電荷というものは非常に不安定であり、例えば湿度などの粉体周囲の環境によって容易に減衰してしまうし、他物質との接触あるいは摩擦によっても容易に変化が起こってしまう。また、粒子中において何らかの物質移動や変形が起これば、それだけでも表面電荷の変化が起こってしまうものである。これらの表面電荷の変化は、上述の表示メカニズムで明らかなように表示状態の変化に結びつき、画像表示装置が備える画像表示用パネルの長期保管、長期使用などによって、表示状態が不安定なものとなってしまう問題があった。
【0005】
本発明の目的は上述した課題を解消して、画像表示用パネルを長期間にわたって保管や使用しても、安定した画像表示状態を維持することができる画像表示装置用粉体及び画像表示装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像表示用粉体は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、色および帯電特性が異なる少なくとも1種類以上の粒子群からなる粉体を封入し、粒子群に対して電界を与えて、粒子を移動させることによって画像表示を行う画像表示装置に用いる粉体であって、内部空間電荷を有する半永久荷電体からなる粒子を用いることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の画像表示用粉体では、内部空間電荷を有する半永久荷電体からなる粒子を用いることで、粒子に内部空間電荷を与え、粉体を構成する粒子の持つ電荷量を安定に保持することができ、画像表示用パネルを長期間にわたって保管や使用しても、安定した画像表示状態を維持することができる。
【0008】
本発明の画像表示用粉体の好適例としては、粒子を構成する半永久荷電体として、試料の両面に高電圧を印加した状態で加熱溶融させ、その電圧を保持したまま冷却固化して作製したエレクトレット材料を用いること、粒子を構成する半永久荷電体として、外部電極に高電圧を印加し試料に放電することによって作製したエレクトレット材料を用いること、粒子として、作製したエレクトレット材料を粉砕して得た正帯電性および/または負帯電性のエレクトレット材料粒子を用いること、各粒子が、単一の特性に帯電した単一の色の粒子であること、各粒子が、色および帯電特性の異なる部分を有する粒子であること、がある。いずれの場合も本発明をさらに好適に実施することができる。
【0009】
また、本発明の画像表示装置は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、色および帯電特性が異なる少なくとも1種類以上の粒子群からなる粉体を封入し、粒子群に対して電界を与えて、粒子を移動させることによって画像表示を行う画像表示装置において、上述した画像表示装置用粉体を利用したことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1(a)〜(c)はそれぞれ本発明の画像表示装置を構成する画像表示用パネルの画像表示素子における一例の構成とその表示駆動原理を示す図である。図1(a)〜(c)に示す例において、1は透明基板、2は対向基板、3は表示電極、4は対向電極、5は負帯電性粒子、6は正帯電性粒子、7は隔壁である。本例では、画像表示装置用粉体を負帯電性粒子5と正帯電性粒子6とから構成している。
【0011】
図1(a)に示す例では、対向する基板(透明基板1と対向基板2)の間に、負帯電性粒子5及び正帯電性粒子6を配置した状態を示す。この状態のものに、表示電極3側が低電位、対向電極4側が高電位となるように電圧を印加すると、図1(b)に示すように、クーロン力によって、正帯電性粒子6は表示電極3側に移動し、負帯電性粒子5は対向電極4側に移動する。この場合、透明基板1側から見る表示面は正帯電性粒子6の色に見える。次に、電位を切り換えて、表示電極3側が高電位、対向電極4側が低電位となるように電圧を印加すると、図1(c)に示すように、クーロン力によって、負帯電性粒子5は表示電極3側に移動し、正帯電性粒子6は対向電極4側に移動する。この場合、透明基板1側から見る表示面は負帯電性粒子6の色に見える。
【0012】
図1(b)と図1(c)の間は電源の電位を反転するだけで繰り返し表示することができ、このように電源の電位を反転することで可逆的に色を変化させることができる。粒子群の色は、随意に選定できる。例えば、負帯電粒子5を白色とし、正帯電性粒子6を黒色とするか、負帯電性粒子5を黒色とし、正帯電性粒子6を白色とすると、表示は白色と黒色間の可逆表示となる。この方式では、各粒子群は一度電極に鏡像力により貼り付いた状態にあるので、電源を切った後も表示画像は長期に保持され、メモリー保持性が良い。
【0013】
本発明では、各帯電粒子は気体中を移動するため、画像表示の応答速度が速く、応答速度を1msec以下にすることができる。また、液晶表示素子のように配向膜や偏光板等が不要で、構造が単純で、低コストかつ大面積が可能である。温度変化に対しても安定で、低温から高温まで使用可能である。さらに、視野角がなく、高反射率、反射型で明るいところでも見易く、低消費電力である。メモリー性もあり、画像保持する場合に電力を消費しない。
なお、本発明において粒子群にかかる力は、上述した粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他、電極間にかかる電気影像力、分子間力、さらに液架橋力、重力などが考えられる。
【0014】
図2(a)〜(c)はそれぞれ本発明の画像表示装置を構成する画像表示用パネルの画像表示素子における他の例の構成とその表示駆動原理を示す図である。図2(a)〜(c)に示す例において、1は透明基板、2は対向基板、3は表示電極、4は対向電極、5は負帯電性粒子、7は隔壁、8はカラー板である。本例では、画像表示装置用粉体を負帯電性粒子5から構成している。
【0015】
図2(a)は対向する基板の間に負帯電性粒子5が配置されている状態を示す。この状態のものに、電源により表示電極3側が高電位、対向電極4側が低電位となるように電圧を印加すると、図2(b)に示すようにクーロン力などによって、負帯電性粒子5は透明基板1側に移動する。この場合、透明基板1側から見る表示面は負帯電性粒子5の色に見える。次に電源の電位を切り替えて、表示電極側3が低電位、対向電極4側が高電位となるように電圧を印加すると、図1(c)に示すようにクーロン力などによって、負帯電性粒子5は対向基板2側に移動する。この場合、透明基板1側から見る表示面はカラー板8の色に見える。
【0016】
上述した例のうち、図1(a)〜(c)に示す例では、色および帯電特性の異なる2種類の粒子群から粉体を構成し、図2(a)〜(c)に示す例では、単一の色および帯電特性の1種類の粒子群から粉体を構成し、いずれの場合も、各粒子は、単一の特性に帯電した単一の色の粒子であった。本発明の画像表示装置用粉体では、これらの単一の特性に帯電した単一の色の粒子の他に、各々が色および帯電特性の異なる部分を有する粒子群から粉体を構成することもできる。すなわち、例えば1粒子の半分ずつを、色および帯電特性の異なる材料から構成し、電界の反転によって粒子が回転することにより表示体とする例にも本発明を適用することができる。
【0017】
本発明の特徴は、これらの粒子に内部空間電荷を与えることで、粒子の持つ電荷量を安定に保持できるようにした点である。
【0018】
まず、内部空間電荷を保持した粒子とは、エレクトレットと呼ばれる永久荷電体に代表される特性を持ち、粒子表面に電荷を保持するものではなく、粒子材料そのものが分極することによって電荷を保持したり、外部から試料に直接イオン電荷を打ち込むことによって荷電させたものである。また、単に樹脂を摩擦帯電させた場合に比べて電荷のトラッピング準位が深くなり、外部への取り出しエネルギーが大きくなることによって、粒子は安定的に電荷を保持できることとなる。このために、表面電荷に比べて表面の摩擦や接触、あるいは周囲の環境などによる電荷の変動が著しく小さく、表示の繰り返しによっても安定した帯電電荷を発現し、すなわち長期にわたって安定した表示特性が得られるものである。
【0019】
このようなエレクトレットの作製方法としては、絶縁高分子体を加熱溶融し、この両端に直流電圧を印加して、印加状態のまま冷却、固化した後に電圧を解除すると、両端が正・負に半永久的に帯電する。このときに中心から色を変えておけば、1粒子回転表示体用粒子として使用することができる。また、このような物質は正・負に分極しているものの、総量としての電荷量はゼロであり、正帯電性粒子と負帯電性粒子の両者を利用する2粒子系表示体用の粒子としてはそのまま使用することが難しい。この場合には、この分極した物質を粉砕などにより分極中心から分割すると、正に帯電した粒子、負に帯電した粒子が得られ、2粒子系表示体用に好適に用いることができる。
【0020】
その他のエレクトレットの作製方法としては、直流高電圧を針状電極に印加して、前記高分子材料に直接電荷を埋め込む方法や、鋸電極にパルス放電を発生させて試料に内部電荷を与える方法も好適に用いられている。
これらの電荷安定性をより高くするためには、材料の電気抵抗が高く、撥水性であることが重要な項目となる。
【0021】
次に、本発明の画像表示用粉体に用いる粒子群を構成する粒子として、画像表示装置に使用する際に必要な種々の特性、エレクトレット材料を得る基準となる材料、その他の構成部分等について説明する。なお、以下の記載のうち帯電量に関する記載については、各粒子が、色および帯電特性の異なる部分を有する粒子である場合、すなわち1粒子回転表示体用粒子である場合には、そのまま適用できないことは明らかである。
【0022】
本発明の画像表示装置用粉体に用いる粒子群を構成する粒子は、負又は正帯電性の着色粒子で、クーロン力により移動するものであればいずれでも良いが、特に、球形で比重の小さい粒子が好適である。粒子には単一の色のものであり、白色又は黒色の粒子が好適に用いられる。その中でも特に白色の粒子に本発明をさらに好適に適用することができる。粒子の平均粒子径は0.1〜50μmが好ましく、特に1〜30μmが好ましい。粒子径がこの範囲より小さいと粒子の電荷密度が大きすぎて電極や基板への鏡像力が強すぎ、メモリー性はよいが、電界を反転した場合の追随性が悪くなる。反対に粒子径がこの範囲より大きいと、追随性は良いが、メモリー性が悪くなる。
【0023】
粒子の帯電量は、ファラデーケージを用いる事によって計測する事ができる。本発明における半永久荷電体は、特に他物質との接触、摩擦がなくても安定した帯電量を発現する。実際の画像表示装置における粒子は、基板やその他の構成部材との接触は避けられず、それによって何らかの摩擦帯電が発生し、表面電荷を得ることとなる。しかしながら、その表面電荷は連続した使用環境下において徐々に減少し、最終的には半永久荷電体が内部に有する電荷のみが残存することになる。ここにおいて、摩擦帯電による表面電荷は低く抑えた方が初期から長期使用後においても安定した表示性能を得ることが出来る。そして、該粒子の粒子径と比重を別途求めることにより該粒子の表面電荷密度を算出することができる。
【0024】
画像表示装置用粉体においては、用いる粒子の粒子径は小さく、重力の影響はほぼ無視できるほど小さいため、粒子の比重は粒子の動きに対して影響しない。しかし、粒子の帯電量においては、同じ粒子径の粒子で単位重量あたりの平均帯電量が同じであっても、粒子の比重が2倍異なる場合に保持する帯電量は2倍異なることとなる。従って、画像表示装置に用いられる粒子の帯電特性は粒子の比重に無関係な表面電荷密度(単位:μC/m2)で評価するのが好ましいことが分かった。
【0025】
そして、粒子間においてこの表面電荷密度の差が十分にある時、2種類の粒子はお互いの接触により異なる極性の帯電量を保持し、電界により移動する機能を保持するのである。
【0026】
ここで、表面電荷密度は2粒子の帯電極性を異なるものにするためにある程度の差が必要であるが、大きいほどよいというものではない。粒子移動による画像表示装置においては粒子の粒子径が大きいときは主に電気影像力が粒子の飛翔電界(電圧)を決定する因子となる傾向が強いため、この粒子を低い電界(電圧)で動かすためには帯電量が低いほうがよいこととなる。また、粒子の粒子径が小さいときは分子間力・液架橋力等の非電気的な力が飛翔電界(電圧)決定因子となることが多いため、この粒子を低い電界(電圧)で動かすためには帯電量が高いほうがよいこととなる。しかし、これは粒子の表面性(材料・形状)にも大きく依存するため一概に粒子径と帯電量で規定することはできない。
【0027】
本発明者らは平均粒子径が0.1〜50μmの粒子においては、ファラデーケージを用いる方法で測定した2種類の粒子の、表面電荷密度の差の絶対値が5〜150μC/m2である場合に画像表示装置として使用できる粒子と成り得ることを見出した。
【0028】
粒子はその帯電電荷を保持する必要があるので、体積固有抵抗が1×1010Ω・cm以上の絶縁性粒子が好ましく、特に1×1012Ω・cm以上の絶縁性粒子が好ましい。
【0029】
本発明の画像表示装置用粉体に用いる粒子群を構成する粒子のエレクトレット材料の基礎となる材料は、いずれの材料から構成されても良い。例えば樹脂、着色剤、無機添加剤等から、或いは着色剤単独等で形成することができる。但し、作製においては、粉体の一部が接触によって物質移動が起こらないように設計する事が重要である。また、粒子を構成する複合材の体積抵抗あるいは表面抵抗を大きくする事が重要である。
【0030】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフイン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられ、特に基板との付着力を制御する上から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。2種以上混合することもできる。
【0031】
着色剤としては、以下に例示すような、有機又は無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭などがある。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどがある。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKなどがある。
【0032】
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレツド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどがある。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがある。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどがある。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどがある。
また、白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などがある。
【0033】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどがある。
更に、塩基性、酸性、分散、直接染料などの各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルーなどがある。
これらの着色剤は、単独で或いは複数組合せて用いることができる。
特に黒色着色剤としてカーボンブラックが、白色着色剤として酸化チタンが好ましい。
【0034】
本発明の画像表示装置における透明基板1と対向基板2の間隔は、粒子が移動でき、コントラストを維持できれば良いが、通常10〜5000μm、好ましくは30〜500μmに調整される。
粉体充填量(体積占有率)は、基板間の空間体積に対して、10〜80%、好ましくは10〜70%を占める体積になるように充填するのが良い。
【0035】
また、ここで繰り返し耐久性を更に向上させるためには、該粒子を構成する樹脂の安定性、特に、吸水率と溶剤不溶率を管理することが効果的である。
基板間に封入する粒子を構成する樹脂の吸水率は、3重量%以下、特に2重量%以下とすることが好ましい。なお、吸水率の測定は、ASTM D570に準じて行い、測定条件は23℃で24時間とする。
該粒子を構成する樹脂の溶剤不溶率に関しては、下記関係式で表される粒子の溶剤不溶率を50%以上、特に70%以上とすることが好ましい。
溶剤不溶率(%)=(B/A)×100
(但し、Aは樹脂の溶剤浸漬前重量、Bは良溶媒中に樹脂を25℃で24時間浸漬した後の重量を示す)
この溶剤不溶率が50%未満では、長期保存時に粒子表面にブリードが発生し、粒子との付着力に影響を及ぼし粒子の移動の妨げとなり、画像表示耐久性に支障をきたす場合がある。
なお、溶剤不溶率を測定する際に用いる溶剤(良溶媒)としては、フッ素樹脂ではメチルエチルケトン等、ポリアミド樹脂ではメタノール等、アクリルウレタン樹脂ではメチルエチルケトン、トルエン等、メラミン樹脂ではアセトン、イソプロパノール等、シリコーン樹脂ではトルエン等が好ましい。
【0036】
また、粒子は球形で、粒子径が均一で揃っていることが好ましい。
本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な粒子移動が可能となる。
【0037】
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。
たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに接近して動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
【0038】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0039】
次に、本発明の画像表示装置の構成部分を説明する。
先ず、基板について説明する。
透明基板1は装置外側から粒子群の色が確認できる基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。可とう性の有無は用途により適宜選択され、例えば、電子ペーパー等の用途には可とう性のある材料、携帯電話、PDA、ノートパソコン類の携帯機器表示等の用途には可とう性のない材料が用いられる。
【0040】
基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネートなどのポリマーシートや、ガラス、石英などの無機シートが挙げられる。
基板厚みは、2〜5000μm、好ましくは5〜1000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、厚すぎると、表示機能としての鮮明さ、コントラストの低下が発生し、特に、電子ペーパー用途の場合には可とう性に欠ける。
【0041】
基板には、必要に応じて電極を設けても良い。
基板に電極を設けない場合は、基板外部表面に静電潜像を与え、その静電潜像に応じて発生する電界にて、所定の特性に帯電した色のついた粒子群を基板に引き寄せあるいは反発させることにより、静電潜像に対応して配列した粒子群を透明な基板を通して表示装置外側から視認する。なお、この静電潜像の形成は、電子写真感光体を用い通常の電子写真システムで行われる静電潜像を本発明の画像表示装置の基板上に転写形成する、あるいは、イオンフローにより静電潜像を基板上に直接形成する等の方法で行うことができる。
【0042】
基板に電極を設ける場合は、電極部位への外部電圧入力により、基板上の各電極位置に生じた電界により、所定の特性に帯電した色の粒子群が引き寄せあるいは反発させることにより、電極電位に対応して配列した粒子群を透明な基板を通して表示装置外側から視認する方法である。
透明基板側に設ける電極は、透明かつパターン形成可能である導電性材料で形成され、例示すると、酸化インジウム、アルミニウムなどの金属類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が挙げられ、真空蒸着、塗布などの形成手法が例示できる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障なければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。
背面基板側に設ける電極は、透明である必要はなくパターン形成可能である導電性材料で形成され、例示すると、酸化インジウム、アルミニウム、金、銀、銅などの金属類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が挙げられ、真空蒸着、塗布などの形成手法が例示できる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障なければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。
この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0043】
本発明の隔壁7の形状は、表示にかかわる粒子のサイズにより適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜5000μm、好ましくは10〜500μmに調整される。
また、隔壁7を形成するにあたり、対向する両基板の各々にリブ(隔壁)を形成した後に接合する両リブ法による隔壁形成を用いても、対向する両基板の一方にリブを形成した後に接合する片リブ法による隔壁形成を用いてもよい。
これらリブからなる隔壁により形成される表示セルは、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状(ハニカム構造)が例示される。
表示側から見える隔壁断面部分に相当する部分(表示セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、画像表示の鮮明さが増す。
【0044】
なお、本発明の画像表示用パネルは、ノートパソコン、PDA、携帯電話などのモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞などの電子ペーパー、看板、ポスター、黒板などの掲示板、コピー機、プリンター用紙代替のリライタブルペーパー、電卓、家電製品の表示部、ポイントカードなどのカード表示部、電子広告、電子POPなどに用いられる。
【0045】
【実施例】
次に実施例、比較例を示して、本発明を更に具体的に説明する。但し本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【0046】
<実施例1>
一般フィルム用ポリプロピレンに有極性核剤パラジトリリデンソルビトールを0.3wt%、酸化チタンを50wt%添加し、成型温度240℃で厚さ50μmのフィルムに成型した。フィルムの両面に電極を配設し、10KVの電圧を印加したまま200℃に昇温して30分間保持した。その後、電圧を印加したまま室温まで冷却し、十分に固化したところで電圧を解除した。本フィルムを粉砕、分級し、平均粒子径10μmの粒子を得た。
【0047】
この粒子をGND電極に接続した電極面に均一に散布した。その電極から200μm離れた位置に金属電極を配置し、この電極に+1KVを印加して粒子をGND電極から飛翔させ、付着した粒子を捕集した。これらの白色粒子は負帯電性を示し、ファラデーケージを用いた方法で測定した表面電荷密度は−15μC/m2であった。
【0048】
同様に金属電極を配置し、−1KVを印加して飛翔した粒子を捕集した。この粒子の表面電荷密度は+12μC/m2を示し、白色の正帯電性粒子が得られた。上記樹脂において酸化チタンの代わりにカーボン5wt%を混入し、同様の操作で正・負帯電性の黒色粒子を得た。表面電荷密度はそれぞれ+10μC/m2、−12μC/m2であった。これら4種類の粒子において、色、極性の異なる粒子を以下の表1に示すように組み合わせ、実施例1(1)、実施例1(2)の画像表示用パネルを作製した。
【0049】
そして、負帯電性粒子と正帯電性粒子のそれぞれについて、粒子径を求めるとともに、粒子作製時の平均帯電量q0、100回作動後の平均帯電量q1、1000000回作動後の平均帯電量q2を求めた。ここで、粒子作製時の帯電量測定は、分級後得られた粒子を25℃50%の環境下に1週間放置し、そのまま摩擦を加えないように注意しながらファラデーケージに投入して測定した。また、100回または1000000回作動後の帯電量の測定は、全く同様の表示体を2つ作製し、同時に100回または1000000回表示を繰り返す。2つのうち1つのパネルを分解し、白、黒粒子を吸引式ファラデーケージで帯電量を測定した。
【0050】
また、画像表示用パネルに対し、100回作動後と1000000回作動後の全面白表示時画像反射率と全面黒表示時画像反射率とをそれぞれ求めるとともに、それらからコントラストを求めた。結果を以下の表1に示す。
【0051】
<実施例2>
通常の押し出しグレードのポリプロピレンと有極性核剤パラジトリリデンソルビトールを0.3wt%、酸化チタンを50wt%添加し、2軸混練機で混練・押し出しを行い、得られた混合体を粉砕・分級して粒子径約10μmの粒子を得た。
【0052】
得られた粒子を厚さ5mmのポリプロピレン板上に均一に付着させた。鋸歯電極にパルス放電電圧(放電立ち上がり約50nS、パルス最高電圧約50KV、200パルス/秒)の条件で粒子上に放電を行い、表面電荷密度が約30μC/m2となるまで継続した。得られた粒子は正帯電性を示し、ファラデーケージ法にて帯電量を測定したところ表面電荷密度が約+20μC/m2であった。パルス放電電圧の極性を反転させ、同様の操作を行い、表面電荷密度約−22μC/m2の負帯電性粒子を得た。
【0053】
同様に金属電極を配置し、−1KVを印加して飛翔した粒子を捕集した。この粒子の表面電荷密度は+12μC/m2を示し、白色の正帯電性粒子が得られた。上記樹脂において酸化チタンの代わりにカーボン5wt%を混入し、同様の操作で正・負帯電性の黒色粒子を得た。表面電荷密度はそれぞれ+10μC/m2、−12μC/m2であった。これら4種類の粒子において、色、極性の異なる粒子を以下の表1に示すように組み合わせ、実施例2(1)、実施例2(2)の画像表示用パネルを作製した。
【0054】
そして、実施例1と同様に、負帯電性粒子、正帯電性粒子、画像表示用パネルに対し種々の特性を求めた。結果を以下の表1に示す。
【0055】
<比較例1>
負帯電性の白粒子を、汎用のスチレン樹脂に荷電制御剤としてボントロンE89(オリエント化学(株)製)を10phr、着色剤として酸化チタンを20phr添加して混練、粉砕後、分級して作製した。また、正帯電性の黒粒子を、汎用のアクリル樹脂に荷電制御剤としてボントロンN21(オリエント化学(株)製)を5phr、着色剤としてカーボンブラックを5phr添加して混練、粉砕後、分級して作製した。作製した負帯電性の白粒子と正帯電性の黒粒子を利用して、画像表示用パネルを作製した。そして、実施例1と同様に、負帯電性粒子、正帯電性粒子、画像表示用パネルに対し種々の特性を求めた。結果を以下の表1に示す。
【0056】
<比較例2>
負帯電性の白粒子を、比較例1と同様にして作製するとともに、正帯電性の黒粒子として、市販の正帯電トナーを使用した。準備した負帯電性の白粒子と正帯電性の黒粒子を利用して、画像表示用パネルを作製した。そして、実施例1と同様に、負帯電性粒子、正帯電性粒子、画像表示用パネルに対し種々の特性を求めた。結果を以下の表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1の結果から、本発明に従った実施例1(1)、実施例1(2)、実施例2(1)、実施例2(2)のいずれもが、比較例1、比較例2と比べて、1000000回作動後でも高いコントラストを維持できることがわかり、これから、画像表示用パネルを長期間にわたって保管や使用しても、安定した画像表示状態を維持することができることがわかる。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、内部空間電荷を有する半永久荷電体からなる粒子を用いているため、粒子に内部空間電荷を与え、粉体に用いる粒子群を構成する粒子の持つ電荷量を安定に保持することができ、画像表示用パネルを長期間にわたって保管や使用しても、安定した画像表示状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の画像表示装置を構成する画像表示用パネルの画像表示素子における一例の構成とその表示駆動原理を示す図である。
【図2】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の画像表示装置を構成する画像表示用パネルの画像表示素子における他の例の構成とその表示駆動原理を示す図である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 対向基板
3 表示電極
4 対向電極
5 負帯電性粒子
6 正帯電性粒子
7 隔壁
8 カラー板
Claims (7)
- 少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、色および帯電特性が異なる少なくとも1種類以上の粒子群からなる粉体を封入し、粒子群に対して電界を与えて、粒子を移動させることによって画像表示を行う画像表示装置に用いる粉体であって、内部空間電荷を有する半永久荷電体からなる粒子を用いることを特徴とする画像表示装置用粉体。
- 粒子を構成する半永久荷電体として、試料の両面に高電圧を印加した状態で加熱溶融させ、その電圧を保持したまま冷却固化して作製したエレクトレット材料を用いる請求項1に記載の画像表示装置用粉体。
- 粒子を構成する半永久荷電体として、外部電極に高電圧を印加し試料に放電することによって作製したエレクトレット材料を用いる請求項1に記載の画像表示装置用粉体。
- 粒子として、作製したエレクトレット材料を粉砕して得た正帯電性および/または負帯電性のエレクトレット材料粒子を用いる請求項2または3に記載の画像表示装置用粉体。
- 各粒子が、単一の特性に帯電した単一の色の粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示装置用粉体。
- 各粒子が、色および帯電特性の異なる部分を有する粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示装置用粉体。
- 少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、色および帯電特性が異なる少なくとも1種類以上の粒子群からなる粉体を封入し、粒子群に対して電界を与えて、粒子を移動させることによって画像表示を行う画像表示装置において、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像表示装置用粉体を利用したことを特徴とする画像表示装置。
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