JP2005030859A - 光干渉式流体特性測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被検ガスが流入する測定セル1と、標準ガスが封入された標準セル2,3とを併設し、測定セル1と標準セル2、3とに異なる波長の光を照射する光源10、11と、測定セル1と標準セル2、3とを通過した光を検出するラインイメージセンサ16と、ラインイメージセンサ16の信号に基づいてフーリエ解析により各波長の干渉縞の位相差から次数を検出し、少なくとも一方の波長による干渉縞の次数を特定した総変移量を検出する測定回路20とを備えるようにした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被測定流体と標準流体との光の屈折率の相異を干渉縞の変位として検出し、この変位に基づいて被測定流体の濃度等の特性を測定する装置、より詳細には2種類の流体間の光の屈折率の相違による干渉縞の移動量を検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
2種類の流体間の光の屈折率の相違による干渉縞の移動量を検出して流体の特性を測定する装置における、干渉縞の移動を検出する技術には、特許文献1に見られるように1サンプリング周期の期間中に、干渉縞の位相変化が±πを越えないように構成された測定セル、及びこれに併設されたリファレンスセルと、各セルを通過した光ビームにより生じる干渉縞の像を受けるイメージセンサと、イメージセンサからの干渉縞信号に含まれる基本波成分の位相θを算出するフーリエ解析手段と、フーリエ解析手段で算出された位相θが、1サンプリング周期中に測定セルの流体特性による位相変化が±πを超えない物理的制約を満足するか否かを判断し、満足する場合には位相θを位相変化量として、また満足しない場合には2πを加減算した値を位相変化量として出力する手段とを備え、測定セルの流体特性を積極的に利用してフーリエ解析手段からの位相の矛盾を排除するものが提案されている。
【特許文献1】特開2000−292351号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、測定中の干渉縞の移動を追尾しつつ干渉縞の次数をカウントするため、測定セル内の流体の屈折率が急激に変化した場合、つまり測定セルに流入する流体の圧力や濃度が急激に変化した場合には、イメージセンサの検出速度が干渉縞の移動に対応できず、次数のカウントにミスが生じ、検出誤差が生じるという問題がある。
このような問題を解消するため、測定セルへの流体の流入速度を制限して、濃度や圧力の急激な変動を防止することが行われているが、測定装置としての応答速度が低下するという新たな問題が生じる。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは干渉縞の位相変化の履歴に頼ることなく、その時点での干渉縞の位相自体から干渉縞の次数を特定して干渉縞の総変移量を検出することができる光干渉式流体特性測定装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解消するために本発明においては、被検ガスが流入する測定セルと、標準ガスが封入された標準セルとを併設し、前記測定セルと標準セルとに異なる波長の光を照射する光源と、前記測定セルと標準セルとを通過した光を検出するラインイメージセンサと、前記ラインイメージセンサの信号に基づいてフーリエ解析により前記各波長の干渉縞の位相差から次数を検出し、少なくとも一方の波長による干渉縞の次数を特定した総変移量を検出する手段とを備えるようにした。
【0005】
【作用】
請求項1の発明によれば、急激な濃度変化や圧力変化が発生しても、次数を読み誤ることなく、干渉縞の総変移量を求めることができる。
請求項2の発明によれば、干渉縞のコントラストの変化を利用して、特定できる次数の範囲を拡大して、測定可能な総変移量の範囲を広げて、流体特性の急激な変化にも対応することができる。
【0006】
【実施例】
そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例を示すものであって、測定セル1と、測定セル1の両側に標準セル2、3とを備え、測定セル1の流入口H1には図示しないサンプリングポンプの吐出口が、また流出口H2には図示しない電磁弁が接続されている。
なお、サンプリングポンプは、外力により容積を膨張収縮するダイヤフラムと、排気口、吸気口にそれぞれ逆止弁を設けたダイヤフラム型ポンプとして構成するのが望ましい。
一方、標準セル2、3は、その流体流入口、流出口H3、H4、H5、H6が図示しない流路により連通関係となるように接続されて、1つの標準ガス源からの同一の標準ガスの供給を受けている。なお、図中符号4、5は、チャンバの光透過窓を形成するガラス板を示す。
【0007】
これら各チャンバ1、2、3の一側にはビームスプリッタをなす平行平面鏡7が、また他側にはこれらセル1、2、3の光路領域をカバーできるサイズのメインプリズム8が配置されている。
【0008】
10、11は、相互の波長が相違する光源で、後述する測定回路20からの信号により交互に点灯され、一方の光源10は中心波長λ1(660nm)の発光ダイオードが、また他方の光源11は中心波長λ2(612nm)の発光ダイオードが使用されていて、これら光源10、11からの光はハーフミラー12を介して平行平面鏡7の一側寄りの所定位置P0を照射する。
【0009】
光源10を点灯し、また他方の光源11を消灯した場合には、光源10からの波長λ1の光は、ハーフミラー12を透過してビームL0となり、平行平面鏡7により2本のビームL1、L2に分割され、一方のビームL1は測定セル1の一側寄りの光路を通って、メインプリズム8に入射し、再び測定セル1の他側寄りの光路を通るビームL3となって平行平面鏡7に入射する。
【0010】
他方のビームL2は、一方の標準セル2を通過してプリズム8に入射し、他方の標準セル3からビームL4として出射し、平行平面鏡7に入射し、測定セル1から出射したビームL3の照射点と同一点P1で重なって、光L5として平面鏡13に入射する。平面鏡13から出射した光L6は、凸レンズ14、凹レンズ15を通過してCCDなどからなるラインイメージセンサ16に干渉縞の像を形成する。
【0011】
また光源10を消灯し、光源11を点灯した場合には、光源11からの波長λ2の光は、ハーフミラー12で反射して光L0となり、その後は前述の光源10の光と同様の経路を通ってラインイメージセンサ16に干渉縞の像を形成する。
【0012】
ここで、ラインイメージセンサ16は、図2に示したようにその受光面のサイズが、一方の光源、この実施例では光源10からの光による干渉縞(以下、「干渉縞λ1」という)のn周期分を受光できるように調整されている。したがって、ラインイメージセンサ16は、他方の光源の波長λ2の干渉縞(以下、「干渉縞λ2」という)をn×(λ1/λ2)周期分だけ受光することになる。
【0013】
再び図1に戻って、符号20は測定回路で、ラインイメージセンサ16からの信号を受けて、干渉縞の位相差に基づいて少なくとも一方の光源からの光による干渉縞の変移量を検出するように構成されている。
【0014】
すなわち、図3に示したようにラインイメージセンサ16からの信号に基づいてフーリエ解析を行い位相差を検出するフーリエ解析手段21と、位相差から一方の波長の光の次数を検出する次数検出手段22と、ラインイメージセンサ16からの信号に基づいてコントラストを検出するコントラスト判定するコントラスト判定手段23と、次数検出手段22とコントラスト判定手段23との信号に基づいて総変位量を検出する総変位量検出手段23と、タイミング信号発生手段25からの信号により光源10、11を交互に点灯する点灯手段26とから構成されている。
【0015】
次に測定回路20による次数の検出方法について説明する。
なお、以下の説明に使用する各記号は、
θλ1 干渉縞λ1の次数を含まない位相(−π〜π)
θλ2 干渉縞λ2の次数を含まない位相(−π〜π)
δλ1 フーリエ解析処理によってθλ1を求めたときに加わる誤差
δλ2 フーリエ解析処理によってθλ2を求めたときに加わる誤差
m 干渉縞λ1の移動した縞の本数(次数)
Θλ1 干渉縞λ1の総変移量。次数を含む位相であり、Θλ1=θλ+2mπの関係が成り立つ。
Θλ2 干渉縞λ2の総変移量。次数を含む位相。
をそれぞれ表す。
【0016】
測定セル1と標準セル2,3とに収容されている流体の屈折率の差分がゼロの状態であるから、測定セル1内の流体の特性が変化し、屈折率に差が生じて、干渉縞λ1がΘλ1分移動したとする。
このとき、干渉縞λ2はΘλ1とは若干異なるが、Θλ1とΘλ2との間には、次式の関係が成り立つ。
【数1】
【0017】
したがって、総変移量Θλ2と総変移量Θλ1との差は
【数2】
(なお、kは、光源波長λ1とλ2で決まる定数であり、実験によって求めることができる値である。)
となる。
【0018】
このことは、総変移量Θλ1と総変移量Θλ2をそれぞれを直接測定することができなくても、差分(Θλ2−Θλ1)を求めることができれば、総変移量Θλ1、総変移量Θλ2が得られることを意味する。
【0019】
そして、この( Θλ2−Θλ1)の変化幅を−π〜π、0〜2πのように全体で2πになる範囲に限定すれば、干渉縞λ1,干渉縞λ2のフーリエ解析による位相解θλ1、θλ2の差に置き換えることができ、式3から総変移量Θλ1を得ることができる。
【数3】
ただし、左辺の分子の部分が、限定した変化幅にから外れた場合は、限定した幅に収まるよう、左辺の分子部に2πを加算又は減算するものとする。
【0020】
しかし実際のフーリエ解析による位相解には、誤差が含まれているため、式3をそのまま使うことは適当ではない。
この誤差の主な要因は、
▲1▼干渉縞のコントラスト低下、
▲2▼イメージセンサを構成する受光素子の受光感度のバラツキ、
▲3▼イメージセンサで取り込まれる干渉縞の両端での不連続性
などに起因する。
▲3▼のイメージセンサで取り込まれる干渉縞の両端での不連続性の影響は、干渉縞の画像データに窓関数を乗じることで効果的に抑えることができる。
【0021】
これに対して▲1▼及び▲2▼の影響は無視することができない。もし誤差h1、h2の含まれた位相解の差をkで乗じると、これらの誤差の影響を大きくしてしまうことになる。
【0022】
【数4】
そこで本実施例では、式4は干渉縞λ1の次数mを求める手段としてのみ用いている。
すなわち、m、Θλ1、θλ1の間には、
【数5】
が成り立つから、式5の関係を式4の関係を代入すると、
【数6】
の関係が成り立つから、その両辺から、干渉縞λ1の位相をフーリエ解析で求めた値(Θλ1+Θλ2)を引いて、さらに両辺を2πで割ると、次式が得られる。
【数7】
ここで、
【数8】
が成り立つので、式7を整数化すれば、目的とする次数mを得ることができる。
【数9】
【0023】
最終的には式9で求めた次数mと、干渉縞λ1のフーリエ解析で求められる位相解(Θλ1+δλ1)を使って、
【数10】
なる関係を得る。
【0024】
式10の総変移量にもδλ1が誤差として含まれるものの、式4で求めた解の誤差分(δλ1ーδλ2)/kよりも大幅、例えばλ1=660nm、λ2=612nmの場合、k≒0.078となるので、略1/10程度に小さくなる。
【0025】
このように、位相差を検出するだけで次数を検出できるため、干渉縞の次数を順次カウントする必要が無く、流体特性が急激に変動しても確実に検出することができる。
【0026】
ところで、上述の実施例では、次数mが特定できる範囲は、位相差または(Θλ2− Θλ1)の変化幅が0〜2πのように全体で2πになる範囲であるため、高速応答が可能であるとしても、測定レンジが大きく変動した場合には、つまり(Θλ2− Θλ1)=Xの時と、(Θλ2− Θλ1)=X+2πの時との区別をすることはできない。
【0027】
このため、光源10,11として発光ダイオードのような比較的波長が短く、かつ波長領域がブロードな光源を用いると、干渉縞が移動した時に干渉縞のコントラストCが変化するから、このコントラストの変化を検出すれば、(Θλ2− Θλ1)=Xの時と、(Θλ2− Θλ1)=X+2πの区別をすることが可能になる。
【0028】
すなわち、図4における(a)は、干渉縞の総変位量(Θλ1)を正規化して示すもので、位相差が2π変化するごとに0乃至1の範囲で変化する。これに対してコントラストC、正確には正規化したコントラストC/C0(C0は、測定セルと標準セルとに同一の流体を収容した場合のコントラストを表す)は、(b)に示したように干渉縞の変位量と相関関係を有していて、変位量が大きくなる程、低下する。
【0029】
したがって、一方の干渉縞λ1のコントラストCと、式9から求めた総変位量Θλ1を用いて、次式の計算を行い、
【数11】
Xが同値以上であれば、(Θλ2− Θλ1)は0〜2πの範囲であると判断し、闇値以下であれば、(Θλ2− Θλ1)は2π〜4πの範囲であると判断することができる。
【0030】
ところで、上述のそれぞれの演算は、マイクロコンピュータにより図5に示した工程で実行することも可能である。
すなわち、演算開始当初に光源10、11の一方を点灯して波長λ1(660nm)の光を照射し(ステップ イ)、干渉縞の情報を取得する(ステップ ロ)。この情報に基づいてフーリエ解析により位相を計算し(ステップ ハ)、波長λ1の位相を決定する(ステップ ニ)。
【0031】
次いで他方の光源11を点灯して波長λ2(612nm)の光を照射し(ステップ ホ)、干渉縞の情報を取得する(ステップ へ)。この情報に基づいてフーリエ解析により位相を計算し(ステップ ト)、波長λ1の位相を決定する(ステップ チ)。
このようにして異なる波長の光の干渉縞の位相が判明した時点で、位相差を計算し(ステップ リ)、また次数を計算し、位相差から総変位量を算出したり、また前述したように次数を考慮して総変位量を算出する(ステップ ル)。このように次数をも考慮して総変位量を算出することにより、式10により示したように誤差を大幅に減少させることができる。
なお、演算が開始された以後は、非点灯の光源の波長の干渉縞のデータは、記憶手段に格納しておくことにより、交互の照射で演算が可能となる。
【0032】
【発明の効果】
以上、説明したように発明においては、急激な濃度変化や圧力変化が発生しても、次数を読み誤ることなく、干渉縞の総変移量を求めることができ、また干渉縞のコントラストの変化を検出することにより、測定可能な総変移量の範囲を広げことができ、大きなダイナミックレンジを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】図(イ)、(ロ)は、それぞれ波長λ1とλ2の光による干渉縞をラインイメージセンサで受けた時の状態を模式的に示す図である。
【図3】同上測定回路の一実施例を示すブロック図である。
【図4】図(a)乃至(c)は、それぞれ干渉縞の移動量とコントラストとの関係を正規化した状態で示す線図、及び次数を次数を検出する原理を示す線図である。
【図5】本発明の動作をマイクロコンピュータで実現する場合の一実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 測定セル
2、3 標準セル
7 平行平面鏡
8 プリズム
8 メインプリズム
10、11 光源
11 光源
12 ハーフミラー
13 平面反射鏡
14 凸レンズ
15 凹レンズ
16 ラインイメージセンサ
20 測定回路
Claims (2)
- 被検ガスが流入する測定セルと、標準ガスが封入された標準セルとを併設し、前記測定セルと標準セルとに異なる波長の光を照射する光源と、前記測定セルと標準セルとを通過した光を検出するラインイメージセンサと、
前記ラインイメージセンサの信号に基づいてフーリエ解析により前記各波長の干渉縞の位相差から次数を検出し、少なくとも一方の波長による干渉縞の次数を特定した総変移量を検出する手段とを備えた光干渉式流体特性測定装置。 - 前記一方の波長の干渉縞のコントラストを検出する手段を備え、前記コントラストに基づいて特定できる次数の範囲を拡大する請求項1に記載の光干渉式流体特性測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003195121A JP2005030859A (ja) | 2003-07-10 | 2003-07-10 | 光干渉式流体特性測定装置 |
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JP2010197191A (ja) * | 2009-02-25 | 2010-09-09 | Riken Keiki Co Ltd | 光干渉式ガス濃度測定装置 |
CN102507498A (zh) * | 2011-10-24 | 2012-06-20 | 兖矿集团有限公司 | 瓦斯测定器的扩大量程使用方法及相应的新式瓦斯测定器 |
CN102998286A (zh) * | 2012-12-20 | 2013-03-27 | 重庆一心仪器仪表有限公司 | 一种光干涉甲烷浓度检测方法 |
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2003
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CN102507498B (zh) * | 2011-10-24 | 2013-08-07 | 兖矿集团有限公司 | 瓦斯测定器的扩大量程使用方法及相应的新式瓦斯测定器 |
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