JP2005030784A - 生化学反応用基板、生化学反応装置及びハイブリダイゼーション方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バイオアッセイ用基板1は、CD等の光ディスクと同様の主面が円形の平板状の形状を呈している。基板1は、中心孔2を中心に回転駆動される。基板1は、プローブDNAとサンプルDNAとのハイブリダイゼーション反応の場となるウェル8が表面1aに複数個形成されている。基板1には、ウェル8の下層に透明電極膜4が形成されている。ハイブリダイゼーション時には、基板1の上面1a側から外部電極18を近接し、透明電極膜4と外部電極18との間に交流電力を印加して、基板1に対して垂直方向の交流電界を与える。透明電極膜4への電界の印加方法は、チャッキング機構から中央孔を介して行う。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばDNAチップ等の生化学反応用基板、生化学反応装置及びヌクレオチド鎖をハイブリダイゼーションするハイブリダイゼーション方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、マイクロアレイ技術によって所定のDNA(全長又は一部)が微細配列されたいわゆるDNAチップ又はDNAマイクロアレイ(以下、DNAチップと総称する。)と呼ばれる基板が、遺伝子の突然変異、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用されており、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範に活用され始めている。
【0003】
DNAチップを用いたDNA解析手法は、細胞、組織等から抽出したmRNA(messenger RNA)を逆転写PCR(Polymerase Chain Reaction)反応等によって蛍光プローブdNTPを組み込みながらPCR増幅してサンプルDNAを生成し、そのサンプルDNAをDNAチップ上に固相化(固定化)されたプローブDNAに対して滴下して、プローブDNAとサンプルDNAとをハイブリダイゼーションさせる。そして、DNAの2重らせん内に蛍光標識剤を挿入し、所定の検出器でその蛍光測定を行う。このことにより、サンプルDNAとプローブDNAとの塩基配列が同一であるか否かを判別する。
【0004】
ここで、DNAが負に帯電していることを利用して、プローブDNAに向かう方向の直流電界を用いて、浮遊させたサンプルDNAをプローブDNAの方向に移動させ、ハイブリダイゼーションを高速化させる技術が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−238674号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一本鎖DNAは、溶液中で直鎖状とはならずにランダムコイル状となるので、プローブDNAとサンプルDNAとを結合するには立体障害が大きく、ハイブリダイゼーションを高速に行うことが困難である。浮遊しているサンプルDNAを電界によってプローブDNAの方向に移動させたとしても、その立体障害の度合いは変わらない。
【0007】
そこで、本発明では、このような従来の課題を解決するため、ハイブリダイゼーション等を簡易な構成で高速に行うことができる生化学反応用基板及び生化学反応装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明では、簡易な構成で高速にハイブリダイゼーションを行うことができるハイブリダイゼーション方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る生化学反応用基板は、生化学反応に用いられる基板である生化学反応用基板であって、上記生化学反応を行う反応領域と、上記反応領域内に電界を印加するための電極部と、当該基板を保持及び回転させるための回転軸が挿入される孔部と、上記回転軸に形成された第1のコンタクト部と接触する第2のコンタクト部とを備え、上記第2のコンタクト部は、上記電極部と電気的に接続されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る生化学反応装置は、孔部を有する基板を用いて生化学反応を行う生化学反応装置であって、上記基板の上記孔部に挿入して当該基板を保持及び回転する回転軸と、上記回転軸に形成され、上記基板の反応領域に形成された電極に、電気的に接続された第2のコンタクト部に接触する第1のコンタクト部と、上記第1のコンタクト部に電力を供給する電力供給手段とを備える。
【0011】
本発明に係るハイブリダイゼーション方法は、プローブ物質とサンプル物質との相互反応の場となり、上記プローブ物質の一端を固定可能に当該ウェルの内部が処理された複数のウェルと、上記ウェルの内部に電界を印加するための電極部と、当該基板を保持及び回転させるためのチャッキング機構が挿入される中心孔と、チャッキング機構が挿入されたときに当該チャッキング機構に形成された第2のコンタクト部と接触する第1のコンタクト部とを備え、上記第1のコンタクト部と上記電極部とが電気的に接続されたハイブリダイゼーション用基板に対して、プローブ用のヌクレオチド鎖の一端をウェルの底面に結合し、プローブ用のヌクレオチド鎖の一端が底面に結合されたウェルの内部に対して、サンプル用のヌクレオチド鎖を含む溶液を滴下し、上記チャッキング機構を上記中心孔に挿入することにより上記ハイブリダイゼーション用基板を保持して上記ウェル上に外部電極を載置し、当該外部電極と上記チャッキング機構との間に交流電力を印加し、上記プローブ用のヌクレオチド鎖と上記サンプル用のヌクレオチド鎖とをハイブリダイゼーションすることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態として、本発明を適用したDNA解析用のバイオアッセイ用基板及びこのバイオアッセイ用基板を用いたDNA方法について説明をする。
【0013】
(バイオアッセイ用基板)
図1に本発明の実施の形態のバイオアッセイ用基板1の上面を模式的に表した図を示し、図2に本発明の実施の形態のバイオアッセイ用基板1の断面を模式的に表した図を示す。
【0014】
バイオアッセイ用基板1の全体形状は、例えばCD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)等の光ディスクと同様に、主面が円形とされた平板状となっている。バイオアッセイ用基板1の主面の中心には、中心孔2が形成されている。中心孔2には、当該バイオアッセイ用基板1がDNA解析装置に装着されたときに、当該バイオアッセイ用基板1を保持及び回転させるためのチャッキング機構が挿入される。
【0015】
バイオアッセイ用基板1は、図2に示すように、下層側から、基板層3と、透明電極層4と、固相化層5と、ウェル形成層6とから形成されている。なお、バイオアッセイ用基板1のウェル形成層6側の表面を上面1a、基板層3側の表面を下面1bというものとする。
【0016】
基板層3は、詳細を後述する蛍光標識剤を励起する励起光及び蛍光標識剤の蛍光を透過する材料である。例えば、基板層3は、石英ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリスチレン等の材料で形成されている。
【0017】
透明電極層4は、基板層3上に形成された層である。透明電極層4は、例えばITO(インジウム−スズ−オキサイド)やアルミニウム等の光透過性があり且つ導電性を有する材料から形成されている。透明電極層4は、基板層3上に例えばスパッタリングや電子ビーム蒸着等により250nm程度の厚さに成膜される。
【0018】
固相化層5は、透明電極層4上に形成された層である。固相化層5は、プローブDNAの一端を固相化させるための材料から形成されている。本例では、固相化層5は、シランにより表面修飾可能なSiO2が例えばスパッタリングや電子ビーム蒸着により50nm程度の厚さに成膜された層となっている。
【0019】
ウェル形成層6は、固相化層5上に形成された層である。ウェル形成層6は、バイオアッセイ用基板1の上面1a側に開口したくぼみ状の複数のウェル8が形成された層である。
【0020】
ウェル8は、その内部空間が、プローブDNA(検出用ヌクレオチド鎖)とサンプルDNA(標的ヌクレオチド鎖)との相互反応の場、具体的には、ハイブリダイゼーション反応の場となる。ウェル8は、サンプルDNAが含まれた溶液等の液体が滴下されたときにその液体を保留することができる程度の深さ及び大きさとなっている。例えば、ウェル8は、開口部が100μm四方の大きさに形成され、深さが5μm程度とされて、底面11に固相化層5が露出している。
【0021】
このようなウェル形成層6は、図3に示すように、固相化層5の上に感光性ポリミイド13をスピンコート等で5μm程度の厚さに塗布する(ステップS1)。続いて、塗布した感光性ポリミイド13上に所定のパターンのフォトマスク14を形成し、このフォトマスク14用いて感光性ポリミイド13露光及び現像する(ステップS2)。このことにより、ウェル形成層6に複数のウェル8が形成される(ステップS3)。
【0022】
さらに、ウェル8の底面11(固相化層5が露出した部分)は、一端が官能基により修飾されたプローブDNAが結合するように、対応する官能基により表面修飾されている。例えば、ウェル8は、図4に示すように、SH基15を有するシラン分子16により、底面11(SiO2から形成されている固相化層5)が表面修飾されている。このため、ウェル8の底面11には、例えばSH基で一端が修飾されたプローブDNAを結合させることができる。このようにバイオアッセイ用基板1では、ウェル8の底面11に、プローブDNAの一端を結合させることができるので、図5に示すように、底面11から垂直方向に鎖が伸びるように、プローブDNA(P)を結合させることができる。
【0023】
また、バイオアッセイ用基板1では、図1に示すように、複数のウェル8が、主面の中心から外周方向に放射状に向かう複数の列上に、例えば400μm程度の間隔で等間隔に並んで配置されている。
【0024】
また、バイオアッセイ用基板1では、中心孔2の周囲部分で、透明電極層4が上面1a側に露出している。すなわち、バイオアッセイ用基板1の中心孔2の周囲部分は、固相化層5及びウェル形成層6が成膜されていない。そのため、バイオアッセイ用基板1では、中間層となっている透明電極層4に対して、上面1a側から接触可能となっている。透明電極層4の上面1a側に露出した部分を以下コンタクト部9と呼ぶ。
【0025】
また、バイオアッセイ用基板1には、バイオアッセイ用基板1の下面1b側からレーザ光を照射することにより読み取り可能なアドレスピットが形成されている。アドレスピットは、バイオアッセイ用基板1の平面上における各ウェル8の位置を特定するための情報である。アドレスピットから情報を光学的に読み取ることによって、複数存在するウェル8のうち、現在レーザ光を照射している位置の1つのウェル8がどれであるかを特定することが可能となる。このようなアドレスピットが設けてあることによって、後述する滴下装置による溶液の滴下位置の制御や、対物レンズによる蛍光検出位置の特定を行うことができる。
【0026】
以上のようなバイオアッセイ用基板1では、円板状に形成されているため、光ディスクシステムと同様の再生システムを利用することにより、レーザ光のフォーカシング位置を制御するためのフォーカシングサーボ制御、半径方向に対するレーザ光の照射位置や滴下装置による滴下位置の制御のための位置決めサーボ制御、並びに、アドレスピットの情報検出処理をすることができる。つまり、アドレスピットに記録してある情報内容と、そのアドレスピットの近傍にあるウェル8とを対応させておくことにより、アドレスピットの情報を読み出すことで、特定の1つのウェル8に対してのみレーザ光を照射して蛍光が発光しているウェル8の位置を特定したり、特定の1つのウェル8の位置と滴下装置との相対位置を制御して、その特定の1つのウェル8に対して溶液を滴下したりすることができる。
【0027】
さらに、以上のようなバイオアッセイ用基板1では、ウェル8の上部側から電極を近接させれば当該電極と透明導電層4との間に平行電界を形成させることができる。そのため、例えば、DNAのハイブリダイゼーションを行う場合には、ウェル8に対して交流電界を与えることによって、ウェル内に浮遊するDNAを伸張させてハイブリダイゼーションの進行を促進させることができる。
【0028】
(DNA解析方法)
つぎに、以上のようなバイオアッセイ用基板1を用いたDNA解析方法について説明をする。
【0029】
まず、バイオアッセイ用基板1をDNA解析装置に装填し、バイオアッセイ用基板1を上面1a側が上方向となるように水平に保持するとともに、バイオアッセイ用基板1を回転可能な状態にする。
【0030】
バイオアッセイ用基板1の保持及び回転は、DNA解析装置に備えられている光ディスクドライブと同様のチャッキング機構20を用いて行う。
【0031】
チャッキング機構20は、図6に示すように、回転駆動軸に接続されバイオアッセイ用基板1を回転させる中心軸21と、中心軸21に対して垂直な板状に形成されバイオアッセイ用基板1を下面1b側から支持するターンプレート22と、下面1b側から中心孔2に挿入してバイオアッセイ用基板1を上面1a側から支持するチャッキング爪23とを有している。ターンプレート22及びチャッキング爪23は、それぞれ中心軸21に取り付けられており、中心軸21とともに回転をする。
【0032】
このようなチャッキング機構20では、バイオアッセイ用基板1の中心孔2に対して下面1b側からチャッキング爪23が挿入し、チャッキング爪23の一部が上面1a側に出てバネ等でバイオアッセイ用基板1を上面1a側から下側に付勢している。このことにより、チャッキング機構20では、ターンプレート22とチャッキング爪23との間でバイオアッセイ用基板1を挟みこんで保持することができ、バイオアッセイ用基板1を上面1aを上にして水平に保持するとともにバイオアッセイ用基板1を回転させることができる。なお、チャッキング機構20には、コンタクト部9(透明電極層4が露出している部分)と接触する部分に電極24が形成されている。電極24は、チャッキング機構20の中心軸21を介して、DNA解析装置の内部の交流電力発生部まで電気的に接続されている。
【0033】
続いて、以上のようにバイオアッセイ用基板1をチャッキング機構20で保持した状態で、一端がSH基で修飾されたプローブDNA(P)が含有した溶液Sを、図7に示すように、例えば滴下用ノズル25を用いて所定のウェル8に対して滴下する。このとき、1つのバイオアッセイ用基板1を回転駆動して、特定のウェル8と滴下ノズル25との相対位置を制御しながらプローブDNAを滴下する。さらに、複数種類のプローブDNAをバイオアッセイ用基板1のそれぞれのウェル8に滴下する。だたし、1つのウェル8内には1種類のプローブDNAが入るようにする。なお、各ウェル8にいずれの種類のプローブDNAを滴下するかは、予めウェルとプローブDNAとの対応関係を示す配置マップ等を生成しておき、その配置マップに基づき滴下制御する。
【0034】
また、溶液Sの滴下制御は、光ディスクの駆動システムと同様にバイオアッセイ用基板1を駆動制御することにより行う。すなわち、図6に示すように、バイオアッセイ用基板1を上面1aを上にして平行に保持しながら回転駆動するとともに、レーザ光Vをバイオアッセイ用基板1の下側(下面1b側)から照射してアドレスピットを検出することによりウェル8の位置を特定しながら、滴下位置の制御を行えばよい。
【0035】
続いて、図8に示すように、バイオアッセイ用基板1とほぼ同一形状の円板状の平板電極板30を、バイオアッセイ用基板1の上面1a側の外部からウェル形成層6上に覆いかぶせるように載置する。続いて、この平板電極板30と電極24との間に、交流電力発生部31により交流電圧を印加する。このとき、電極24とコンタクト部9とは接触しているため透明電極層4に電力が印加される。従って、バイオアッセイ用基板1には、平板電極板30と透明電極層4との間に交流電界が印加される。そのため、各ウェル8には、バイオアッセイ用基板1の主面に対して垂直方向の交流電界が印加される。例えば、ウェル8内に、1MV/m、1MHz程度の交流電界を印加する。
【0036】
このように交流電界を所定のウェル8に印加すると、図9に示すように、ウェル8内の溶液中に浮遊しているプローブDNA(P)がバイオアッセイ用基板1の主面に対して垂直方向に伸張するとともに、そのプローブDNAがバイオアッセイ用基板1に垂直方向に移動する。このため、予め表面修飾処理がされた底面11に、そのプローブDNAの修飾端が結合し、ウェル8の底面11にプローブDNAを固相化(固定化)することができる。
【0037】
交流電界を印加すると一本鎖DNA(ヌクレオチド鎖)が伸張及び移動する理由は、次のとおりである。すなわち、ヌクレオチド鎖内では、ヌクレオチド鎖の骨格をなすリン酸イオン(陰電荷)とその周辺にある水がイオン化した水素イオン(陽電荷)とによってイオン雲が形成されていると考えられ、これらの陰電荷及び陽電荷により生じる分極ベクトルが、高周波高電圧の印加により全体として一方向を向き、その結果としてヌクレオチド鎖が伸長するためである。さらに、電気力線が一部に集中する不均一電界が印加された場合、ヌクレオチド鎖は、電気力線が集中する部位に向かって移動もする(Seiichi Suzuki, Takeshi Yamanashi, Shin−ichi Tazawa, Osamu Kurosawa and Masao Washizu: ”Quantitative analysis on electrostatic orientation of DNA in stationary AC electric field using fluorescence anisotropy”, IEEE Transaction on Industrial Application, Vol.34,No.1, p.75−83 (1998)参照)。
【0038】
このように、交流電界を印加すると、プローブDNAがその電界に平行な方向に伸張して立体障害の少ない状態となり、プローブDNAと底面11とが結合しやすい状態となる。そして、プローブDNAと底面11とが結合することにより、ウェル8の底面11にプローブDNAを固相化(固定化)することができる。
【0039】
続いて、平面電極板30を取り外し、生体から抽出したサンプルDNAが含有した溶液を滴下ノズル25を用いてバイオアッセイ用基板1上の各ウェル8に滴下する。
【0040】
続いて、サンプルDNAの滴下後、再度、平板電極板30をバイオアッセイ用基板1の上面1a側の外部からウェル形成層6上に覆いかぶせるように載置し、平板電極板30と電極24との間に、交流電力発生部31により交流電圧を印加する。交流電圧の印加とともに、周囲の温度を60度C程度に維持する。すなわち、加熱しながらバイオアッセイ用基板1の主面に対して垂直方向の交流電界を印加する。例えば、ウェル8内に1MV/m、1MHz程度の交流電界を印加する。
【0041】
このような処理をすると、サンプルDNAとプローブDNAとが垂直方向に伸張して立体障害の少ない状態となるとともに、サンプルDNAがバイオアッセイ用基板1に対して垂直方向に移動する。この結果、互いの塩基配列が相補的な関係にあるサンプルDNAとプローブDNAとが同一のウェル8内にある場合には、それらがハイブリダイゼーションを起こす。
【0042】
続いて、ハイブリダイゼーションを起こさせた後に、平面電極板30を取り外し、蛍光標識インターカレータ等(例えば、POPO−1,TOTO−1)をバイオアッセイ用基板1のウェル8内に滴下する。このような蛍光標識剤は、ハイブリダイゼーションを起こしたプローブDNAとサンプルDNAとの二重らせん間に挿入して結合する。
【0043】
続いて、バイオアッセイ用基板1の表面1aを純水等で洗浄し、ハイブリダイゼーションを起こしていないウェル8内のサンプルDNA及び蛍光標識剤を除去する。この結果、ハイブリダイゼーションを起こしたウェル8内にのみ、蛍光標識剤が残存することとなる。
【0044】
続いて、光ディスクの駆動システムと同様にバイオアッセイ用基板1を駆動制御することにより、ウェル8からの蛍光の検出を行う。すなわち、バイオアッセイ用基板1を保持しながら回転駆動するとともに、レーザ光Vをバイオアッセイ用基板1の下側(下面1b側)から照射してアドレスピットを検出することによりウェル8の位置を特定する。それと同時に、励起光をバイオアッセイ用基板1の下側(下面1b側)から照射して、その励起光に応じて生じる蛍光をやはり下面1b側から検出する。そして、どのウェル8から蛍光が発生されているか否かを検出する。
【0045】
続いて、バイオアッセイ用基板1上の蛍光が発生していたウェル8の位置を示すマップ作成する。そして、その作成したマップ、並びに、各ウェル8にどのような塩基配列のプローブDNAが滴下されていたかを示す配置マップに基づき、サンプルDNAの塩基配列の解析を行う。
【0046】
(DNA解析装置)
つぎに、本発明の実施の形態のバイオアッセイ基板1を用いてDNA解析を行うDNA解析装置51について、図10を参照して説明をする。
【0047】
DNA解析装置51は、図10に示すように、バイオアッセイ用基板1を保持して回転をさせるディスク装填部52と、ハイブリダイゼーションのための各種溶液を貯留するとともにバイオアッセイ用基板1のウェル8にその溶液を滴下する滴下部53と、バイオアッセイ用基板1から励起光を検出するための励起光検出部54と、上記の各部の管理及び制御を行う制御/サーボ部55とを備えている。
【0048】
ディスク装填部52は、バイオアッセイ用基板1の中心孔2内に挿入して当該バイオアッセイ用基板1を保持するチャッキング機構20と、チャッキング機構20を駆動することによりバイオアッセイ用基板1を回転させるスピンドルモータ62と有している。チャッキング機構20は、図6に示した機構と同一のものである。ディスク装填部52は、上面1a側が上方向となるようにバイオアッセイ用基板1を水平に保持した状態で、当該バイオアッセイ用基板1を回転駆動する。ディスク装填部52では、バイオアッセイ用基板1を水平に保持することによって、ウェル8に滴下された溶液が垂れてしまうといった問題を回避することができる。
【0049】
滴下部53は、試料溶液Sや蛍光標識剤S´を貯留する貯留部63と、貯留部63内の試料溶液Sや蛍光標識剤S´をバイオアッセイ用基板1に滴下する滴下ヘッド64とを有している。滴下ヘッド64は、水平に装填されたバイオアッセイ用基板1の上面1aの上方に配置されている。さらに、滴下ヘッド64は、バイオアッセイ用基板1のアドレスピットから読み出される位置情報及び回転同期情報に基づいてバイオアッセイ用基板1との相対位置を半径方向に制御し、サンプルDNA(標的ヌクレオチド鎖T)を含有する試料溶液Sを所定のウェル8に正確に追従して滴下する構成とされている。また、貯留部63は、貯留部63と滴下ヘッド64との組み合わせは、ハイブリダイゼーションのために使用する試料溶液の数だけある。
【0050】
また、滴下部53では、バイオアッセイ用基板1上の所定の位置に正確に試料溶液Sを滴下するために、例えば、いわゆる「インクジェットプリンティング法」に基づく滴下方法が採用されている。「インクジェットプリンティング法」は、滴下ヘッド64にいわゆるインクジェットプリンタで用いられるインク噴出機構を適用する方法であり、インクジェットプリンタのようなノズルヘッドからバイオアッセイ用基板1に試料溶液Sを噴射するものである。
【0051】
励起光検出部54は、光学ヘッド70を有している。光学ヘッド70は、水平に装填されたバイオアッセイ用基板1の下方側、すなわち、下面1b側に配置されている。光学ヘッド70は、例えば、図示していないスレッド機構等により、バイオアッセイ用基板1の半径方向に移動自在とされている。
【0052】
光学ヘッド70は、対物レンズ71と、対物レンズ71を移動可能に支持する2軸アクチュエータ72と、導光ミラー73とを有している。対物レンズ71は、その中心軸がバイオアッセイ用基板1の表面に対して略垂直となるように2軸アクチュエータ72に支持されている。従って、対物レンズ71は、バイオアッセイ用基板1の下方側から入射された光束を当該バイオアッセイ用基板1に対して集光することができる。2軸アクチュエータ72は、バイオアッセイ用基板1の表面に対して垂直な方向、及び、バイオアッセイ用基板1の半径方向の2方向に対物レンズ71を移動可能に支持している。2軸アクチュエータ72を駆動することにより、対物レンズ71により集光された光の焦点を、バイオアッセイ用基板1の表面に対して垂直な方向及び半径方向に移動させることができる。従って、この光学ヘッド70では、光ディスクシステムにおけるジャストフォーカス制御並びに位置決め制御と同様の制御を行うことができる。
【0053】
導光ミラー73は、光路X上に対して45°の角度で配置されている。光路Xは、励起光P、蛍光F、サーボ光V及び反射光Rが、光学ヘッド70に対して入射及び出射する光路である。導光ミラー73には、励起光P及びサーボ光Vが光路X上から入射される。導光ミラー73は、励起光P及びサーボ光Vを反射して90°屈折させて、対物レンズ71に入射する。対物レンズ71に入射された励起光P及びサーボ光Vは、当該対物レンズ71により集光されてバイオアッセイ用基板1に照射される。また、導光ミラー73には、蛍光F及びサーボ光Vの反射光Rが、バイオアッセイ用基板1から対物レンズ71を介して入射される。導光ミラー73は、蛍光F及び反射光Rを反射して90°屈折させて、光路X上に出射する。
【0054】
なお、光学ヘッド70をスレッド移動させる駆動信号及び2軸アクチュエータ72を駆動する駆動信号は、制御/サーボ部55から与えられる。
【0055】
また、励起光検出部54は、励起光Pを出射する励起光源74と、励起光源74から出射された励起光Pを平行光束とするコリメータレンズ75と、コリメータレンズ75により平行光束とされた励起光Pを光路X上で屈折させて導光ミラー73に照射する第1のダイクロックミラー76とを有している。
【0056】
励起光源74は、蛍光標識剤を励起可能な波長のレーザ光源を有する発光手段である。励起光源74から出射される励起光Pは、ここでは波長が405nmのレーザ光である。なお、励起光Pの波長は、蛍光標識剤を励起できる波長であればどのような波長であってもよい。コリメータレンズ75は、励起光源74から出射された励起光Pを平行光束にする。第1のダイクロックミラー76は、波長選択性を有する反射鏡であり、励起光Pの波長の光のみを反射して、蛍光F及びサーボ光V(その反射光R)の波長の光を透過する。第1のダイクロックミラー76は、光路X上に45°の角度を持って挿入されており、コリメータレンズ75から出射された励起光Pを反射して90°屈折させ、導光ミラー73に励起光Pを照射している。
【0057】
また、励起光検出部54は、蛍光Fを検出するアバランジェフォトダイオード77と、蛍光Fを集光する集光レンズ78と、光学ヘッド70から光路X上に出射された蛍光Fを屈折させてアバランジェフォトダイオード77に照射する第2のダイクロックミラー79とを有している。
【0058】
アバランジェフォトダイオード77は、非常に感度の高い光検出器であり、微弱な光量の蛍光Fを検出することが可能である。なお、アバランジェフォトダイオード77により検出する蛍光Fの波長は、ここでは470nm程度である。また、この蛍光Fの波長は、蛍光標識剤の種類により異なるものである。集光レンズ78は、アバランジェフォトダイオード77上に蛍光Fを集光するためのレンズである。第2のダイクロックミラー79は、光路X上に45°の角度を挿入されているとともに、導光ミラー73側から見て第1のダイクロックミラー76の後段に配置されている。従って、第2のダイクロックミラー79には、蛍光F、サーボ光V及び反射光Rが入射し、励起光Pは入射しない。第2のダイクロックミラー79は、波長選択性を有する反射鏡であり、蛍光Fの波長の光のみを反射して、サーボ光(反射光R)の波長の光を透過する。第2のダイクロックミラー79は、光学ヘッド70の導光ミラー73から出射された蛍光Fを反射して90°屈折させ、集光レンズ78を介してアバランジェフォトダイオード77に蛍光Fを照射する。
【0059】
アバランジェフォトダイオード77では、このように検出した蛍光Fの光量に応じた電気信号を発生し、その電気信号を制御/サーボ部55に供給する。
【0060】
また、励起光検出部54は、サーボ光Vを出射するサーボ光源80と、サーボ光源80から出射されたサーボ光Vを平行光束とするコリメータレンズ81と、サーボ光Vの反射光Rを検出するフォトディテクト回路82と、非点収差を生じさせてフォトディテクト回路82に対して反射光Rを集光するシリンドリカルレンズ83と、サーボ光Vと反射光Rとを分離する光セパレータ84とを有している。
【0061】
サーボ光源80は、例えば780nmの波長のレーザ光を出射するレーザ光源を有する発光手段である。なお、サーボ光Vの波長は、アドレスピットが検出できる程度の波長であり、励起光P及び蛍光Fの波長と異なっていれば780nmに限らずどのような波長であってもよい。コリメータレンズ81は、サーボ光源80から出射されたサーボ光Vを平行光束にする。平行光束とされたサーボ光Vは光セパレータ84に入射される。
【0062】
フォトディテクト回路82は、反射光Rを検出するディテクタと、検出した反射光Rからフォーカスエラー信号、位置決めエラー信号、及びアドレスピットの再生信号を生成する信号生成回路とを有している。反射光Rは、サーボ光Vがバイオアッセイ用基板1で反射して生成された光であるので、その波長は、サーボ光と同一の780nmである。
【0063】
なお、フォーカスエラー信号は、対物レンズ71により集光された光の合焦位置と、バイオアッセイ用基板1の基板層3との位置ずれ量を示すエラー信号である。フォーカスエラー信号が0となったときに、対物レンズ71とバイオアッセイ用基板1との間の距離が最適になる。位置決めエラー信号は、所定のウェル8の位置と、焦点位置とのディスク半径方向に対する位置ずれ量を示す信号である。位置決めエラー信号が0となったときに、サーボ光Vのディスク半径方向に対する照射位置が任意のウェル8に一致したこととなる。アドレスピットの再生信号は、バイオアッセイ用基板1に記録されているアドレスピットに記述されている情報内容を示す信号である。この情報内容を読み出すことにより、現在サーボ光Vを照射しているウェル8を特定することができる。
【0064】
フォトディテクト回路82は、反射光Rに基づき生成されたフォーカスエラー信号、位置決めエラー信号及びアドレスピットの再生信号を制御/サーボ部55に供給する。
【0065】
シリンドリカルレンズ83は、フォトディテクト回路82上に反射光Rを集光するとともに非点収差を生じさせるためのレンズである。このように非点収差を生じさせることによりフォトディテクト回路82によりフォーカスエラー信号を生成させることができる。
【0066】
光セパレータ84は、偏向ビームスプリッタからなる光分離面84aと1/4波長板84bにより構成されている。光セパレータ84では、1/4波長板84bの逆側から入射された光を光分離面84aが透過し、その透過光の反射光が1/4波長板84側から入射された場合には光分離面84aが反射する機能を有している。光セパレータ84は、光分離面84aが光路X上に45°の角度を挿入されているとともに、導光ミラー73側から見て第2のダイクロックミラー79の後段に配置されている。従って、光セパレータ84では、コリメータレンズ81から出射されたサーボ光Vを透過して光学ヘッド70内の導光ミラー73に対してそのサーボ光Vを入射させているとともに、光学ヘッド70の導光ミラー73から出射された反射光Rを反射することにより90°屈折され、シリンドリカルレンズ83介してフォトディテクト回路82に反射光Rを照射する。
【0067】
制御/サーボ部55は、励起光検出部54により検出されたフォーカスエラー信号、位置決めエラー信号及びアドレスピットの再生信号に基づき、各種のサーボ制御を行う。
【0068】
すなわち、制御/サーボ部55は、フォーカスエラー信号に基づき光学ヘッド70内の2軸アクチュエータ72を駆動して対物レンズ71とバイオアッセイ用基板1との間の間隔を制御し、フォーカスエラー信号が0となるようにサーボ制御を行う。また、制御/サーボ部55は、位置決めエラー信号に基づき光学ヘッド70内の2軸アクチュエータ72を駆動して対物レンズ71をバイオアッセイ用基板1の半径方向に移動制御し、フォーカスエラー信号が0となるようにサーボ制御を行う。また、制御/サーボ部55は、アドレスピットの再生信号に基づき光学ヘッド70のスレッド移動制御を行って光学ヘッド70を所定の半径位置に移動し、目的のウェル位置に対物レンズ71を移動させる。
【0069】
また、制御/サーボ部55は、ハイブリダイゼーション時に、交流電力発生部31を制御し、チャッキング機構20を介して電力の供給の制御も行う。
【0070】
以上のような構成のDNA解析装置51では、次のような動作を行う。
【0071】
DNA解析装置51は、バイオアッセイ用基板1を回転させながら、ウェル8上にサンプルDNAが含有した溶液を滴下し、プローブDNAとサンプルDNAとを相互反応(ハイブリダイゼーション)させる。ハイブリダイゼーション時には上述した電界の制御も行う。また、ハイブリダイゼーション処理の済んだバイオアッセイ用基板1上に、蛍光標識剤を含んだバッファ溶液を滴下する。
【0072】
また、DNA解析装置51は、蛍光標識剤が滴下された後のバイオアッセイ用基板1を回転させ、励起光Pを当該バイオアッセイ用基板1の下面1b側から入射させてウェル8内の蛍光標識剤に照射し、その励起光Pに応じてその蛍光標識剤から発生した蛍光Fをバイオアッセイ用基板1の下方から検出する。
【0073】
ここで、DNA解析装置51では、励起光Pとサーボ光Vとを同一の対物レンズ71を介してバイオアッセイ用基板1に照射している。そのため、DNA解析装置51では、サーボ光Vを用いたフォーカス制御、位置決め制御並びにアドレス制御を行うことによって、励起光Pの照射位置、すなわち、蛍光Fの発光位置を特定することが可能となり、その蛍光の発光位置からサンプルDNAと結合したプローブDNAを特定することができる。
【0074】
以上のようなバイオアッセイ用基板1では、溶液中に浮遊したプローブDNAを基板1の表面に対して垂直方向の交流電界を与えて垂直方向に伸張及び移動させながら、一端をウェル8の底面11に接続する。従って、バイオアッセイ用基板1に対して垂直に電界を与えるので、例えば、基板上に電極をパターニングして生成しなくてもよいため、非常に簡易的な層構造の電極を用いて、プローブDNAを固定することができる。
【0075】
また、以上のようなバイオアッセイ用基板1では、溶液中に浮遊したサンプルDNA及び一端がウェル8の底面に固定されたプローブDNAに対して、垂直方向の交流電界を与えて垂直方向に伸張及び移動させる。従って、サンプルDNA及びプローブDNAがともに同方向に伸張及び移動するので、ハイブリダイゼーションが促進する。さらに、このような電界を与えるための電極を基板上に電極をパターニングして生成しなくてもよいため、非常に簡易的な層構造の電極を用いて、プローブDNAを固定することができる。
【0076】
また、以上のようなバイオアッセイ用基板1では、当該バイオアッセイ用基板1を保持するチャッキング機構20を介して電力が供給されるので、バイオアッセイ用基板1とDNA解析装置(又はハイブリダイゼーション装置)との電気的な接続を非常に容易に行うことが可能となる。
【0077】
なお、本発明の実施の形態では、平板電極板30をバイオアッセイ用基板1の上面1a側の外部から覆いかぶせるように載置して交流電圧の通電をしてハイブリダイゼーションを行い、ハイブリダイゼーションを終了すると平板電極板30を取り外したが、バイオアッセイ用基板1に対して平板電極30を一体的に形成してもよい。
【0078】
ただし、この場合、そのままではプローブDNA及びサンプルDNAを各ウェルに滴下することができないので、図11に示すように、ウェル形成層6には、放射状に配置された複数のウェル8とともに、内周から外周に向かう一列のウェル8を連通する複数の溝41を形成しておく。さらに、図12に示すように、溝41の一端に対応した部分に開口部42が形成された平板電極30を、ウェル形成層6上に張り合わせる。このようにバイオアッセイ用基板1を形成することにより、開口部42からプローブDNA及びサンプルDNAをウェル8内に注入することが可能となる。
【0079】
また、このように平板電極30をバイオアッセイ用基板1に一体的に形成した場合には、この平板電極30にもチャッキング機構20を介して通電することが可能となる。
【0080】
この場合のチャッキング機構20には、図13に示すように、中心軸21、ターンプレート22、チャッキング爪23及び電極24とともに、コンタクト部43を設ければよい。コンタクト部43は、チャッキング機構20が中心孔2に挿入したときに平板電極30に形成されたコンタクト部44と接触する
【0081】
【発明の効果】
本発明に係る生化学反応用基板は、生化学反応に用いられる基板である生化学反応用基板であって、上記生化学反応を行う反応領域と、上記反応領域内に電界を印加するための電極部と、当該基板を保持及び回転させるための回転軸が挿入される孔部と、上記回転軸に形成された第1のコンタクト部と接触する第2のコンタクト部とを備え、上記第2のコンタクト部は、上記電極部と電気的に接続されていることを特徴とする。
【0082】
このことにより、本発明に係る生化学反応用基板では、ハイブリダイゼーション等を簡易な構成で高速に行うことができる。
【0083】
本発明に係る生化学反応装置は、孔部を有する基板を用いて生化学反応を行う生化学反応装置であって、上記基板の上記孔部に挿入して当該基板を保持及び回転する回転軸と、上記回転軸に形成され、上記基板の反応領域に形成された電極に、電気的に接続された第2のコンタクト部に接触する第1のコンタクト部と、上記第1のコンタクト部に電力を供給する電力供給手段とを備える。
【0084】
このことにより、本発明に係る生化学反応装置では、ハイブリダイゼーション等を簡易な構成で高速に行うことができる。
【0085】
本発明に係るハイブリダイゼーション方法は、次のような基板を用いる。
【0086】
上記基板は、基板表面に物質間の相互反応の場となるウェルが形成され、さらにそのウェルの上側及び下側に導電層を備えている。従って、この基板では、2つの導電層間に電界を印加することによりウェルに対して平行電界を与えることができる。また、この基板は、チャッキング機構が中心孔に挿入されたときに当該チャッキング機構に形成された第1及び第2の電極部と接触するコンタクト部が形成されている。
【0087】
本発明に係るハイブリダイゼーション方法は、以上のような基板を用いて、ウェルに対してチャッキング機構を介して電界を印加する。
【0088】
このことにより、本発明に係るハイブリダイゼーション方法では、ハイブリダイゼーションを簡易な構成で高速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のバイオアッセイ用基板の平面図である。
【図2】本発明の実施の形態のバイオアッセイ用基板の断面図である。
【図3】バイオアッセイ用基板のウェルを形成する工程を示した図である。
【図4】ウェルの底面に修飾されるOH基を有するシラン分子を示す図である。
【図5】ウェルの底面に結合したプローブDNAを示す図である。
【図6】バイオアッセイ用基板に対して溶液の滴下制御を説明するための図である。
【図7】滴下用ノズルを用いて所定のウェルに対して溶液を滴下している状態を説明するための図である。
【図8】バイオアッセイ用基板に対して交流電界の印加の方法を説明するための図である。
【図9】ウェルに印加されている交流電界及びこのときのDNAの状態を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態のバイオアッセイ用基板を用いてDNA解析を行うDNA解析装置の構成図である。
【図11】平板電極が一体形成されたバイオアッセイ基板を示す図である。
【図12】放射状に配置された複数のウェルとともに内周から外周に向かう一列のウェルを連通する複数の溝、及び、平板電極に形成された開口部を説明するための図である。
【図13】平板電極が形成されたバイオアッセイ基板に対して交流電界の印加の方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 バイオアッセイ用基板、2 中心孔、3 基板層、4 透明電極層、5 固相化層、6 ウェル形成層、8 ウェル
Claims (15)
- 生化学反応に用いられる基板である生化学反応用基板において、
上記生化学反応を行う反応領域と、
上記反応領域内に電界を印加するための電極部と、
当該基板を保持及び回転させるための回転軸が挿入される孔部と、
上記回転軸に形成された第1のコンタクト部と接触する第2のコンタクト部とを備え、
上記第2のコンタクト部は、上記電極部と電気的に接続されていること
を特徴とする生化学反応用基板。 - 上記回転軸電極部は、上記回転軸に配設されたチャッキング機構に形成され、
上記コンタクト部は、上記チャッキング機構が上記孔部に挿入されたとき、上記回転軸電極部と接触するように配設されていること
を特徴とする請求項1に記載の生化学反応用基板。 - 上記化学反応は、ヌクレオチド鎖のハイブリダイゼーション反応であり、
上記反応領域は、上記ヌクレオチド鎖を固定可能な内部処理がされていること
を特徴とする請求項1に記載の生化学反応用基板。 - 上記電極部は、上記反応領域の下層に形成された平板電極層であること
を特徴とする請求項1に記載の生化学反応用基板。 - 上記第1の平板電極層は、透明電極膜であること
を特徴とする請求項4に記載の生化学反応用基板。 - 上記反応領域の上層に形成された第2の平板電極層を備え、
上記チャッキング機構が上記孔部に挿入されたときに当該チャッキング機構に形成された第2の平板電極層と接触する第2のコンタクト部とが形成され、
上記反応領域の下層に形成された第1の平板導電層は上記第1のコンタクト部と電気的に接続され、上記反応領域の上層に形成された第2の平板電極層は上記第2のコンタクト部と電気的に接続されること
を特徴とする請求項4に記載の生化学反応用基板。 - 孔部を有する基板を用いて生化学反応を行う生化学反応装置であって、
上記基板の上記孔部に挿入して当該基板を保持及び回転する回転軸と、
上記回転軸に形成され、上記基板の反応領域に形成された電極に、電気的に接続された第2のコンタクト部に接触する第1のコンタクト部と、
上記第1のコンタクト部に電力を供給する電力供給手段とを備えること
を特徴とする生化学反応装置。 - 上記電力供給手段は、交流電力を供給すること
を特徴とする請求項7に記載の生化学反応装置。 - 上記回転軸に配設されたチャッキング手段を更に備え、
上記第1のコンタクトは、上記基板の上記第2のコンタクトと接触するように、上記チャッキング手段に形成されること
を特徴とする請求項7に記載の生化学反応装置。 - 上記基板の上記電極に対向するように配設された外部電極をさらに備え、
上記電力供給手段は、上記第1のコンタクト部に電気的に接続された上記反応領域の上記電極と上記外部電極との間に電力を供給すること
を特徴とする請求項7に記載の生化学反応装置。 - 上記基板の上記電極は、上記基板の上記反応領域の下層に形成された第1の平板電極であり、
上記基板の上記反応領域の上層に第2の平板電極層が形成され、上記第2の平板電極層に接続された第3のコンタクト部に接触する第4のコンタクト部を更に備え、
上記電力供給手段は、上記第1のコンタクト部と上記第4のコンタクト部に電力を供給すること
を特徴とする請求項7に記載の生化学反応装置。 - プローブ物質とサンプル物質との相互反応の場となり、上記プローブ物質の一端を固定可能に当該ウェルの内部が処理された複数のウェルと、上記ウェルの内部に電界を印加するための電極部と、当該基板を保持及び回転させるためのチャッキング機構が挿入される中心孔と、チャッキング機構が挿入されたときに当該チャッキング機構に形成された第2のコンタクト部と接触する第1のコンタクト部とを備え、上記第1のコンタクト部と上記電極部とが電気的に接続されたハイブリダイゼーション用基板に対して、プローブ用のヌクレオチド鎖の一端をウェルの底面に結合し、
プローブ用のヌクレオチド鎖の一端が底面に結合されたウェルの内部に対して、サンプル用のヌクレオチド鎖を含む溶液を滴下し、
上記チャッキング機構を上記中心孔に挿入することにより上記ハイブリダイゼーション用基板を保持して上記ウェル上に外部電極を載置し、当該外部電極と上記チャッキング機構との間に交流電力を印加し、上記プローブ用のヌクレオチド鎖と上記サンプル用のヌクレオチド鎖とをハイブリダイゼーションすること
を特徴とするハイブリダイゼーション方法。 - 上記電極部は、上記複数のウェルが形成された部分の下層に形成された平板電極層であること
を特徴とする請求項12記載のハイブリダイゼーション方法。 - 上記第1の平板電極層は、透明電極膜であること
を特徴とする請求項13記載のハイブリダイゼーション方法。 - 上記ハイブリダイゼーション用基板は、複数のウェルが形成された部分の上層に形成された第2の平板電極層と、当該第2の平板電極層と接続された第3のコンタクト部とを備え、
上記複数のウェルの下層に形成された第1の平板導電層は上記第1のコンタクト部と電気的に接続され、上記複数のウェルの上層に形成された第2の平板電極層は上記第2のコンタクト部と電気的に接続され、
上記第2のコンタクト部と第4のコンタクト部との間に交流電力を印加すること
を特徴とする請求項12記載のハイブリダイゼーション方法。
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