JP2005030444A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】組み立て作業性を向上したトロイダル型無段変速機を提供する。
【解決手段】パワーローラ20が、内輪93と、外輪94と、前記内輪と外輪との間に介装された玉軸受92とから構成され、前記外輪と前記パワーローラ収納部との間で、入出力ディスクの回転軸方向に沿ってパワーローラを摺動可能に支持するベアリング96とを備えたトロイダル型無段変速機において、トラニオン4には、外輪側に突出する係止部材100が固定され、前記外輪には、前記突出した係止部材が前記入出力ディスクの回転軸方向に摺動可能に係合する溝94dが形成され、前記係止部材と前記溝の形状は、パワーローラをトラニオン側に押し付ける力が作用しない場合にパワーローラがトラニオンに係止するように形成されることを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】パワーローラ20が、内輪93と、外輪94と、前記内輪と外輪との間に介装された玉軸受92とから構成され、前記外輪と前記パワーローラ収納部との間で、入出力ディスクの回転軸方向に沿ってパワーローラを摺動可能に支持するベアリング96とを備えたトロイダル型無段変速機において、トラニオン4には、外輪側に突出する係止部材100が固定され、前記外輪には、前記突出した係止部材が前記入出力ディスクの回転軸方向に摺動可能に係合する溝94dが形成され、前記係止部材と前記溝の形状は、パワーローラをトラニオン側に押し付ける力が作用しない場合にパワーローラがトラニオンに係止するように形成されることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両などに採用されるトロイダル型無段変速機の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トロイダル型無段変速機において、トラニオンとパワーローラ外輪との間でパワーローラ回転軸線方向に作用する押付力と首振り軸線方向に作用する動力伝達力を支える一対のコロ軸受をパワーローラの左右方向に沿って配置することにより、軽量、コンパクトなピボットシャフトのないパワーローラ支持構造としながら、パワーローラに上下方向の動力伝達力が作用しても円滑なパワーローラの平行移動運動を確保することで、入出力ディスクとパワーローラとの接触部で滑り等が発生することを抑制できると共に、偏荷重による面圧増大や変形に伴う変速比の変化を減少させることができるトロイダル型無段変速機がある(特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−012574号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の構造を有するトロイダル型無段変速機では、図4に示すように、トラニオンのパワーローラ収納部91に配置されたコロ軸受96cにパワーローラ外輪94がパワーローラ回転軸線方向の押付力によって当接しスライド可能になっているが、回転軸線方向のトラニオン側への押付力がない場合、組み付け作業中のトラニオンに対してパワーローラを保持させる機能はなく、組み付け中にパワーローラを落下させる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、トラニオンに対するパワーローラの拘束を実現できる簡便な構成を備えたトロイダル型無段変速機を提案するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トロイダル型無段変速機において、トラニオンには外輪側へ突出する係止部材を設け、一方外輪には、前記係止部材が前記入出力ディスクの回転軸方向に摺動可能に係合する溝を形成し、パワーローラをトラニオン側に押し付ける力が作用しない場合にパワーローラがトラニオンに係止するように係止部材と溝の形状を形成する。
【0007】
【発明の効果】
したがって、本発明は、パワーローラのトラニオンへの組み付け時等パワーローラがトラニオンへ押し付けられていない場合に係止部材によりパワーローラが落下することを防止し、作業性を向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は、本発明を適用するダブルキャビティ式のトロイダル型無段変速機を示す。本発明の無段変速機は、CVTシャフト1(入力軸)上で同軸的に配置した2組の入力ディスク21と2組の出力ディスク22とで、対向配置されたパワーローラ20、20をそれぞれ挟持、押圧するハーフトロイダル型で構成される。一対の出力ディスク22の間には出力ギア2が介装され、この出力ギア2よりもエンジン側(図中左側)には、第1トロイダル変速部10Aが、この反対側に第2トロイダル変速部10Bが配置される。
【0010】
そして、エンジンからの入力トルクは、図示しないローディングカム装置(押圧力発生手段)を介して第1及び第2トロイダル変速部10A、10Bに入力され、それぞれ入力ディスク21からパワーローラ20、出力ディスク22を経た出力が、出力ギア2からカウンタシャフト5を介して駆動軸6に伝達される。
【0011】
トラニオン4は、図2に示すように、ほぼコの字の断面を備えてパワーローラ20に加わるスラスト力(図中左側へ向かう力)を支持するとともに、パワーローラ20を回転自在に支持するオフセット部40が、トラニオン4の回転軸線(首振り軸線)4Cから所定量だけ離れて形成されており、オフセット部40の上下両端部には回転軸線4Cを軸心とする軸部41、42がそれぞれ形成される。
【0012】
なお、これら軸部41、42には図示しないリンクが係合し、対向するトラニオンと連結される。
【0013】
トラニオン4のオフセット部40の内周(入出力ディスクの軸線1C側)には、パワーローラ20を収納する凹状のパワーローラ収納部4Aが形成され、このパワーローラ収納部4Aには、パワーローラ収納部4Aに対して入出力ディスク21、22の軸方向(図1のCVTシャフトの軸方向で、図2の1Cが入出力ディスクの軸線を示す)に沿って平行移動可能にパワーローラ20を支持する。なお、定常状態(変速比が1のとき)では、入出力ディスクの軸線1Cとパワーローラの回転軸線20aは交差する。
【0014】
また、トラニオン4は、パワーローラ回転軸線20aと直交する軸線4Cの周りに傾転可能に支持されている。
【0015】
パワーローラ20は、入出力ディスク21、22に接触する内輪93と、この内輪93のパワーローラ回転軸線20a側の内周を、ニードルベアリング(ころ軸受)95により回転可能に支持する外輪94と、パワーローラ回転軸線20a方向の内輪93と外輪94の間に介装されたボールベアリング92から構成されており、入出力ディスク21、22による挟持、押圧によって内輪93に入力されるスラスト力と、伝達トルクに応じて加わる図中上下方向の力を、ボールベアリング92を介して外輪94で支持する。
【0016】
このため、パワーローラ収納部4Aの内周面の上下には、トラニオン回転軸線4Cに対して所定の角度で傾斜したニードル(転動体)96aで構成される背面ベアリング96が、外輪94とパワーローラ収納部4Aの内周(オフセット部40の内周)に形成したテーパ面44との間にそれぞれ介装されており、内輪93に加わるスラスト力(パワーローラ回転軸線20a方向の力)と伝達トルクに応じた上下方向(トラニオン4の回転軸線4C方向)の力(ラジアル力)を支持する。
【0017】
この背面ベアリング96には、保持器196が設けられており、この保持器196が入出力ディスクの軸線1Cに沿ったパワーローラ20の平行移動の範囲を規制するとともに、背面ベアリング96がパワーローラ収納部4Aの内周に形成したテーパ面(転動面)44から逸脱しないように案内する。
【0018】
ここで、外輪94の背面と対向するパワーローラ収納部4Aの内周面のほぼ中央には、トラニオン回転軸線4Cと平行し、かつ、パワーローラ回転軸線20aと直交する平面のストレート面43が形成されるとともに、このストレート面43の上下の端部から背面ベアリング96の転動面を構成するテーパ面44が、外輪94側へ向けて所定の角度で傾斜した平面としてそれぞれ形成される。
【0019】
また、背面ベアリング96を介してパワーローラ収納部4Aと対向する外輪94の背面には、テーパ面44、44と対向する外輪94の背面にもテーパ面94a、94bがテーパ面44、44と平行に形成されて背面ベアリング96と当接する。なお、テーパ面94aはトラニオン4の上部側に位置し、テーパ面94bはトラニオン4の下部側に配設される。
【0020】
そして、パワーローラ収納部4Aのストレート面43と対向する外輪94の背面には平面94cが形成される。
【0021】
この外輪94の平面94cの中央には、後述するパイプ状の係止部材100が摺動する溝94dが1C方向に沿って形成される。この溝94dは、外輪94の内部でパワーローラの回転軸線20aに沿って形成された外輪側油路98と連通する。
【0022】
この溝94dと対向するストレート面43には、トラニオン4の内部に形成されたトラニオン側油路97の開口部97aが開口し、この開口部97aに係止部材100が固定される。図示しない油圧源から圧送された圧油は、油路97から係止部材100を介して外輪94の外輪側油路98へ導かれ、ボールベアリング92等の潤滑を行う。
【0023】
なお、背面ベアリング96の潤滑はトラニオン側油路97から分岐した油路97aにより圧油が供給されて行われる。
【0024】
次に、背面ベアリング96を案内する保持器196は、パワーローラ収納部4Aの内周の上下に設けたテーパ面44の位置で、図中左右方向(入出力ディスクの軸線1C方向)に沿って所定の間隔で多数のころ穴(貫通孔)が形成され、これら多数のころ穴にはニードル96aが転動可能に収装されて背面ベアリング96を構成している。これにより、背面ベアリング96は、多数のニードル96aにより、テーパ面44の水平方向へ直線的に変位可能なリニアベアリングを構成し、外輪94のテーパ面94a、94bに当接して、トラニオン4に対して外輪94を図中左右方向へ変位可能にする。
【0025】
ここで、保持器196は板状部材で形成され、ころ穴を設けて背面ベアリング96を保持する上部及び下部は、図2で示したトラニオン4のテーパ面44及び外輪94のテーパ面94a、94bと平行となるように屈曲形成されて傾斜部196b、196cをそれぞれ構成し、トラニオン4のストレート面43と、外輪94の平面94cとの間に位置する保持器196は平板状の平板部196aで形成される。なお、傾斜部196bはパワーローラ収納部4Aの上方に位置し、傾斜部196cはパワーローラ収納部4Aの下方に位置する。
【0026】
保持器196の平板部196aには、パワーローラの回転軸線20a(図2参照)が通過可能な位置に貫通孔198が形成され、この貫通孔198の形状は、係止部材100の最大外径よりも大きく形成され、かつパワーローラ20が軸線方向に移動した時に背面ベアリング96の軸線1C方向の移動を規制するように形成される。
【0027】
なお、保持器196はトラニオン4に対して軸線1C方向に沿って変位するので、保持器196が中央にあるときは、貫通孔198とパワーローラ20の回転軸線20aは同軸的となる。
【0028】
次に本発明の特徴的な構成であるトラニオン4の開口部97aに固定された係止部材100と、この係止部材100が軸線1C方向に摺動可能に係止される溝94dについて説明する。
【0029】
係止部材100は、トラニオン4のオフセット部40から外輪94側に向けて拡径するラッパ状のパイプ部材であり、外輪94の形成された溝94dは、係止部材100の形状に略相似して、溝底側の溝幅が広く形成され、軸線1C方向に摺動可能な形状を有する。溝94dは、図3に示すように外輪94を軸線1C方向に貫通して形成される。
【0030】
次にパワーローラ20のトラニオン4への組み付け方法について説明する。まず係止部材100を予め組み立てられたトラニオン4の開口部97aに固定する。固定方法は圧入等、手段は問わない。一方で、背面ベアリング96およびパワーローラ20を組み立てておく。
【0031】
この係止部材100に背面ベアリング96に形成した貫通孔198を貫通させて背面ベアリング96を引っ掛け、係止部材100を背面ベアリング96から外輪94側に突出させた状態で、貫通孔198から突出した係止部材100に軸線1C方向から外輪94の溝94dを嵌合させ、係止部材100に沿ってパワーローラ20を摺動させて所定位置まで移動させる。係止部材100の中心と外輪94の中心を略一致させ、トラニオン側油路97と外輪側油路98とを係止部材100を介して連通させ、パワーローラ20とトラニオン4との組み付けを終了する。
【0032】
したがって、係止部材100に溝94dを介してパワーローラ20がその自重により係止されることになり、外輪94に外輪をトラニオン4に押し付けるスラスト力が作用していない場合、例えばトラニオン4にパワーローラ20を組み付ける場合であっても、外輪94がトラニオン4から落下することがなく、組み付け時の作業性を向上することができる。
【0033】
また、係止部材100はトラニオン4に形成した油路97とパワーローラ20に形成した油路98とを連通する油路としての機能を有するため、部品点数を増加することなく、上記作業性を向上することができる。
【0034】
さらに係止部材100は中空形状を有し、この形状はパワーローラ20が軸線1C方向に最大量移動した場合にでも潤滑油をトラニオン4からパワーローラ20に流通するように形状設定されるため、確実に潤滑油をパワーローラ20に供給することができる。
【0035】
なお、係止部材100および溝94dの形状は、ここではラッパ状としたが、任意の形状としてもよく、係止部材100が貫通孔198を通過した後、パワーローラ20の自重によって外輪94に設けた溝94dに係止部材100が係止されればよいものであり、これら係止部材100と溝94dの形状は制限されない。
【0036】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内でさまざまな変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するトロイダル型無段変速機の構成図である。
【図2】パワーローラ部の拡大図である。
【図3】パワーローラ外輪部の拡大図である。
【図4】従来技術のパワーローラ部の構成図である。
【符号の説明】
4 トラニオン
20 パワーローラ
21 入力ディスク
22 出力ディスク
44 テーパ面
92 ボールベアリング
93 内輪
94 外輪
94d 溝
96 背面ベアリング
100 係止部材
196 保持器
198 貫通孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両などに採用されるトロイダル型無段変速機の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トロイダル型無段変速機において、トラニオンとパワーローラ外輪との間でパワーローラ回転軸線方向に作用する押付力と首振り軸線方向に作用する動力伝達力を支える一対のコロ軸受をパワーローラの左右方向に沿って配置することにより、軽量、コンパクトなピボットシャフトのないパワーローラ支持構造としながら、パワーローラに上下方向の動力伝達力が作用しても円滑なパワーローラの平行移動運動を確保することで、入出力ディスクとパワーローラとの接触部で滑り等が発生することを抑制できると共に、偏荷重による面圧増大や変形に伴う変速比の変化を減少させることができるトロイダル型無段変速機がある(特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−012574号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の構造を有するトロイダル型無段変速機では、図4に示すように、トラニオンのパワーローラ収納部91に配置されたコロ軸受96cにパワーローラ外輪94がパワーローラ回転軸線方向の押付力によって当接しスライド可能になっているが、回転軸線方向のトラニオン側への押付力がない場合、組み付け作業中のトラニオンに対してパワーローラを保持させる機能はなく、組み付け中にパワーローラを落下させる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、トラニオンに対するパワーローラの拘束を実現できる簡便な構成を備えたトロイダル型無段変速機を提案するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トロイダル型無段変速機において、トラニオンには外輪側へ突出する係止部材を設け、一方外輪には、前記係止部材が前記入出力ディスクの回転軸方向に摺動可能に係合する溝を形成し、パワーローラをトラニオン側に押し付ける力が作用しない場合にパワーローラがトラニオンに係止するように係止部材と溝の形状を形成する。
【0007】
【発明の効果】
したがって、本発明は、パワーローラのトラニオンへの組み付け時等パワーローラがトラニオンへ押し付けられていない場合に係止部材によりパワーローラが落下することを防止し、作業性を向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は、本発明を適用するダブルキャビティ式のトロイダル型無段変速機を示す。本発明の無段変速機は、CVTシャフト1(入力軸)上で同軸的に配置した2組の入力ディスク21と2組の出力ディスク22とで、対向配置されたパワーローラ20、20をそれぞれ挟持、押圧するハーフトロイダル型で構成される。一対の出力ディスク22の間には出力ギア2が介装され、この出力ギア2よりもエンジン側(図中左側)には、第1トロイダル変速部10Aが、この反対側に第2トロイダル変速部10Bが配置される。
【0010】
そして、エンジンからの入力トルクは、図示しないローディングカム装置(押圧力発生手段)を介して第1及び第2トロイダル変速部10A、10Bに入力され、それぞれ入力ディスク21からパワーローラ20、出力ディスク22を経た出力が、出力ギア2からカウンタシャフト5を介して駆動軸6に伝達される。
【0011】
トラニオン4は、図2に示すように、ほぼコの字の断面を備えてパワーローラ20に加わるスラスト力(図中左側へ向かう力)を支持するとともに、パワーローラ20を回転自在に支持するオフセット部40が、トラニオン4の回転軸線(首振り軸線)4Cから所定量だけ離れて形成されており、オフセット部40の上下両端部には回転軸線4Cを軸心とする軸部41、42がそれぞれ形成される。
【0012】
なお、これら軸部41、42には図示しないリンクが係合し、対向するトラニオンと連結される。
【0013】
トラニオン4のオフセット部40の内周(入出力ディスクの軸線1C側)には、パワーローラ20を収納する凹状のパワーローラ収納部4Aが形成され、このパワーローラ収納部4Aには、パワーローラ収納部4Aに対して入出力ディスク21、22の軸方向(図1のCVTシャフトの軸方向で、図2の1Cが入出力ディスクの軸線を示す)に沿って平行移動可能にパワーローラ20を支持する。なお、定常状態(変速比が1のとき)では、入出力ディスクの軸線1Cとパワーローラの回転軸線20aは交差する。
【0014】
また、トラニオン4は、パワーローラ回転軸線20aと直交する軸線4Cの周りに傾転可能に支持されている。
【0015】
パワーローラ20は、入出力ディスク21、22に接触する内輪93と、この内輪93のパワーローラ回転軸線20a側の内周を、ニードルベアリング(ころ軸受)95により回転可能に支持する外輪94と、パワーローラ回転軸線20a方向の内輪93と外輪94の間に介装されたボールベアリング92から構成されており、入出力ディスク21、22による挟持、押圧によって内輪93に入力されるスラスト力と、伝達トルクに応じて加わる図中上下方向の力を、ボールベアリング92を介して外輪94で支持する。
【0016】
このため、パワーローラ収納部4Aの内周面の上下には、トラニオン回転軸線4Cに対して所定の角度で傾斜したニードル(転動体)96aで構成される背面ベアリング96が、外輪94とパワーローラ収納部4Aの内周(オフセット部40の内周)に形成したテーパ面44との間にそれぞれ介装されており、内輪93に加わるスラスト力(パワーローラ回転軸線20a方向の力)と伝達トルクに応じた上下方向(トラニオン4の回転軸線4C方向)の力(ラジアル力)を支持する。
【0017】
この背面ベアリング96には、保持器196が設けられており、この保持器196が入出力ディスクの軸線1Cに沿ったパワーローラ20の平行移動の範囲を規制するとともに、背面ベアリング96がパワーローラ収納部4Aの内周に形成したテーパ面(転動面)44から逸脱しないように案内する。
【0018】
ここで、外輪94の背面と対向するパワーローラ収納部4Aの内周面のほぼ中央には、トラニオン回転軸線4Cと平行し、かつ、パワーローラ回転軸線20aと直交する平面のストレート面43が形成されるとともに、このストレート面43の上下の端部から背面ベアリング96の転動面を構成するテーパ面44が、外輪94側へ向けて所定の角度で傾斜した平面としてそれぞれ形成される。
【0019】
また、背面ベアリング96を介してパワーローラ収納部4Aと対向する外輪94の背面には、テーパ面44、44と対向する外輪94の背面にもテーパ面94a、94bがテーパ面44、44と平行に形成されて背面ベアリング96と当接する。なお、テーパ面94aはトラニオン4の上部側に位置し、テーパ面94bはトラニオン4の下部側に配設される。
【0020】
そして、パワーローラ収納部4Aのストレート面43と対向する外輪94の背面には平面94cが形成される。
【0021】
この外輪94の平面94cの中央には、後述するパイプ状の係止部材100が摺動する溝94dが1C方向に沿って形成される。この溝94dは、外輪94の内部でパワーローラの回転軸線20aに沿って形成された外輪側油路98と連通する。
【0022】
この溝94dと対向するストレート面43には、トラニオン4の内部に形成されたトラニオン側油路97の開口部97aが開口し、この開口部97aに係止部材100が固定される。図示しない油圧源から圧送された圧油は、油路97から係止部材100を介して外輪94の外輪側油路98へ導かれ、ボールベアリング92等の潤滑を行う。
【0023】
なお、背面ベアリング96の潤滑はトラニオン側油路97から分岐した油路97aにより圧油が供給されて行われる。
【0024】
次に、背面ベアリング96を案内する保持器196は、パワーローラ収納部4Aの内周の上下に設けたテーパ面44の位置で、図中左右方向(入出力ディスクの軸線1C方向)に沿って所定の間隔で多数のころ穴(貫通孔)が形成され、これら多数のころ穴にはニードル96aが転動可能に収装されて背面ベアリング96を構成している。これにより、背面ベアリング96は、多数のニードル96aにより、テーパ面44の水平方向へ直線的に変位可能なリニアベアリングを構成し、外輪94のテーパ面94a、94bに当接して、トラニオン4に対して外輪94を図中左右方向へ変位可能にする。
【0025】
ここで、保持器196は板状部材で形成され、ころ穴を設けて背面ベアリング96を保持する上部及び下部は、図2で示したトラニオン4のテーパ面44及び外輪94のテーパ面94a、94bと平行となるように屈曲形成されて傾斜部196b、196cをそれぞれ構成し、トラニオン4のストレート面43と、外輪94の平面94cとの間に位置する保持器196は平板状の平板部196aで形成される。なお、傾斜部196bはパワーローラ収納部4Aの上方に位置し、傾斜部196cはパワーローラ収納部4Aの下方に位置する。
【0026】
保持器196の平板部196aには、パワーローラの回転軸線20a(図2参照)が通過可能な位置に貫通孔198が形成され、この貫通孔198の形状は、係止部材100の最大外径よりも大きく形成され、かつパワーローラ20が軸線方向に移動した時に背面ベアリング96の軸線1C方向の移動を規制するように形成される。
【0027】
なお、保持器196はトラニオン4に対して軸線1C方向に沿って変位するので、保持器196が中央にあるときは、貫通孔198とパワーローラ20の回転軸線20aは同軸的となる。
【0028】
次に本発明の特徴的な構成であるトラニオン4の開口部97aに固定された係止部材100と、この係止部材100が軸線1C方向に摺動可能に係止される溝94dについて説明する。
【0029】
係止部材100は、トラニオン4のオフセット部40から外輪94側に向けて拡径するラッパ状のパイプ部材であり、外輪94の形成された溝94dは、係止部材100の形状に略相似して、溝底側の溝幅が広く形成され、軸線1C方向に摺動可能な形状を有する。溝94dは、図3に示すように外輪94を軸線1C方向に貫通して形成される。
【0030】
次にパワーローラ20のトラニオン4への組み付け方法について説明する。まず係止部材100を予め組み立てられたトラニオン4の開口部97aに固定する。固定方法は圧入等、手段は問わない。一方で、背面ベアリング96およびパワーローラ20を組み立てておく。
【0031】
この係止部材100に背面ベアリング96に形成した貫通孔198を貫通させて背面ベアリング96を引っ掛け、係止部材100を背面ベアリング96から外輪94側に突出させた状態で、貫通孔198から突出した係止部材100に軸線1C方向から外輪94の溝94dを嵌合させ、係止部材100に沿ってパワーローラ20を摺動させて所定位置まで移動させる。係止部材100の中心と外輪94の中心を略一致させ、トラニオン側油路97と外輪側油路98とを係止部材100を介して連通させ、パワーローラ20とトラニオン4との組み付けを終了する。
【0032】
したがって、係止部材100に溝94dを介してパワーローラ20がその自重により係止されることになり、外輪94に外輪をトラニオン4に押し付けるスラスト力が作用していない場合、例えばトラニオン4にパワーローラ20を組み付ける場合であっても、外輪94がトラニオン4から落下することがなく、組み付け時の作業性を向上することができる。
【0033】
また、係止部材100はトラニオン4に形成した油路97とパワーローラ20に形成した油路98とを連通する油路としての機能を有するため、部品点数を増加することなく、上記作業性を向上することができる。
【0034】
さらに係止部材100は中空形状を有し、この形状はパワーローラ20が軸線1C方向に最大量移動した場合にでも潤滑油をトラニオン4からパワーローラ20に流通するように形状設定されるため、確実に潤滑油をパワーローラ20に供給することができる。
【0035】
なお、係止部材100および溝94dの形状は、ここではラッパ状としたが、任意の形状としてもよく、係止部材100が貫通孔198を通過した後、パワーローラ20の自重によって外輪94に設けた溝94dに係止部材100が係止されればよいものであり、これら係止部材100と溝94dの形状は制限されない。
【0036】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内でさまざまな変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するトロイダル型無段変速機の構成図である。
【図2】パワーローラ部の拡大図である。
【図3】パワーローラ外輪部の拡大図である。
【図4】従来技術のパワーローラ部の構成図である。
【符号の説明】
4 トラニオン
20 パワーローラ
21 入力ディスク
22 出力ディスク
44 テーパ面
92 ボールベアリング
93 内輪
94 外輪
94d 溝
96 背面ベアリング
100 係止部材
196 保持器
198 貫通孔
Claims (5)
- 入力ディスク及び出力ディスクに挟持押圧されて動力伝達が可能なパワーローラと、
このパワーローラを、パワーローラ収納部に支持しつつ、パワーローラ回転軸線と直交する首振り軸線の周りに傾転可能なトラニオンとを備え、
前記パワーローラが、入出力ディスクに摩擦接触する内輪と、
前記内輪に入力される荷重を受ける外輪と、
前記内輪と外輪との間に介装された玉軸受と、から構成され、
前記外輪と前記パワーローラ収納部との間で、入出力ディスクの回転軸方向に沿ってパワーローラを摺動可能に支持するベアリングとを備えたトロイダル型無段変速機において、
前記トラニオンには、外輪側に突出する係止部材が固定され、
前記外輪には、前記突出した係止部材が前記入出力ディスクの回転軸方向に摺動可能に係合する溝が形成され、
前記係止部材と前記溝の形状は、パワーローラをトラニオン側に押し付ける力が作用しない場合にパワーローラがトラニオンに係止するように形成されることを特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 前記係止部材は、中空形状を有し、潤滑油を前記トラニオンから前記外輪へ流通させる流路を有することを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
- 前記係止部材の中空部の径は、前記パワーローラの移動時においても潤滑油が流通するように設定されることを特徴とする請求項2に記載のトロイダル型無段変速機。
- 前記係止部材は、前記外輪側に向けて拡径し、前記溝は溝底に向けて溝幅が拡大する断面形状を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のトロイダル型無段変速機。
- 入力ディスク及び出力ディスクに挟持押圧されて動力伝達が可能なパワーローラと、
このパワーローラを、パワーローラ収納部に支持しつつ、パワーローラ回転軸線と直交する首振り軸線の周りに傾転可能なトラニオンとを備え、
前記パワーローラが、入出力ディスクに摩擦接触する内輪と、
前記内輪に入力される荷重を受ける外輪と、
前記内輪と外輪との間に介装された玉軸受と、から構成され、
前記外輪と前記パワーローラ収納部との間で、入出力ディスクの回転軸方向に沿ってパワーローラを摺動可能に支持するベアリングとを備えたトロイダル型無段変速機において、
前記トラニオンには、外輪側に突出する係止部材が固定され、
前記外輪には、前記突出した係止部材が前記入出力ディスクの回転方向に摺動可能に係合する溝が形成され、
前記係止部材と前記溝の形状は、パワーローラをトラニオン側に押し付ける力が作用しない場合にパワーローラがトラニオンに係止されるように設定され、
前記トラニオンの係止部材を、前記リニアベアリングに形成した貫通孔を貫通させた後、前記パワーローラの前記溝に摺動させて所定位置まで移動させることを特徴とするトロイダル型無段変速機の組み立て方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003193459A JP2005030444A (ja) | 2003-07-08 | 2003-07-08 | トロイダル型無段変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003193459A JP2005030444A (ja) | 2003-07-08 | 2003-07-08 | トロイダル型無段変速機 |
Publications (1)
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JP2005030444A true JP2005030444A (ja) | 2005-02-03 |
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ID=34204916
Family Applications (1)
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JP2003193459A Pending JP2005030444A (ja) | 2003-07-08 | 2003-07-08 | トロイダル型無段変速機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005030444A (ja) |
-
2003
- 2003-07-08 JP JP2003193459A patent/JP2005030444A/ja active Pending
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