以下、本発明の実施例に係るノズル装置およびそれを備える衛生浄装置について図1〜図25に基づき説明する。
(実施例1)
図1は本発明の第1の実施例に係る衛生洗浄装置を便器に装着した状態を示す斜視図である。図1に示すように、便器600上に衛生洗浄装置100が装着される。タンク700は、水道配管に接続されており、便器600内に洗浄水を供給する。
衛生洗浄装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400および蓋部500により構成される。
本体部200には、便座部400および蓋部500が開閉自在に取り付けられる。さらに、本体部200には、ノズル部30を含む洗浄水供給機構と着座センサ51とが設けられるとともに、制御部が内蔵されている。着座センサ51は、赤外線を用いて便座部400上の使用者の有無を検知する。
本体部200の制御部は、着座センサ51からの信号および後述する遠隔操作装置300により送信される信号に基づいて、洗浄水供給機構を制御する。さらに、本体部200の制御部は、便座部400に内蔵されたヒータ(図示せず)、本体部200に設けられた脱臭装置(図示せず)および温風供給装置(図示せず)等の制御も行う。
図2は、図1の遠隔操作装置300の一例を示す模式図である。
図2に示すように、遠隔操作装置300は、複数のLED(発光ダイオード)301、複数の調整スイッチ302、おしりスイッチ303、刺激スイッチ304、停止スイッチ305、ビデスイッチ306、乾燥スイッチ307、脱臭スイッチ308、ノズル洗浄スイッチ309およびノズル高温洗浄スイッチ310を備える。
使用者により調整スイッチ302、おしりスイッチ303、刺激スイッチ304、停止スイッチ305、ビデスイッチ306、乾燥スイッチ307、脱臭スイッチ308、ノズル洗浄スイッチ309およびノズル高温洗浄スイッチ310が押下操作される。それにより、遠隔操作装置300は、後述する衛生洗浄装置100の本体部200に設けられた制御部に所定の信号を無線送信する。本体部200の制御部は、遠隔操作装置300より無線送信される所定の信号を受信し、洗浄水供給機構等を制御する。
例えば、使用者が、おしりスイッチ303またはビデスイッチ306を押下操作することにより図1の本体部200のノズル部30が移動して洗浄水が噴出する。刺激スイッチ304を押下操作することにより図1の本体部200のノズル部30から人体の局部に刺激を与える洗浄水が噴出される。停止スイッチ305を押下操作することによりノズル部30からの洗浄水の噴出が停止する。
また、乾燥スイッチ307を押下操作することにより人体の局部に対して衛生洗浄装置100の温風供給装置(図示せず)より温風が噴出される。脱臭スイッチ308を押下操作することにより衛生洗浄装置100の脱臭装置(図示せず)により周辺の脱臭が行われる。
さらに、ノズル洗浄スイッチ309を押下操作することによりノズル部30の洗浄水による洗浄が行われ、ノズル高温洗浄スイッチ310を押下操作することによりノズル部30の高温に加熱された洗浄水による洗浄が行われる。ノズル洗浄スイッチ309およびノズル高温洗浄スイッチ310の押下操作によるノズル部30の洗浄動作の詳細については後述する。以下、ノズル部30の洗浄をノズル洗浄と呼ぶ。
調整スイッチ302は、水勢調整スイッチ302a,302b、温度調整スイッチ302c,302dおよびノズル位置調整スイッチ302e,302fを含む。
使用者がノズル位置調整スイッチ302e,302fを押下操作することにより図1の本体部200のノズル部30の位置が変化し、温度調整スイッチ302c,302dを押下操作することによりノズル部30より噴出される洗浄水の温度が変化する。また、水勢調整スイッチ302a,302bを押下操作することにより、ノズル部30より噴出される洗浄水の水勢(圧力)および噴出形態が変化する。調整スイッチ302の押下に伴って複数のLED(発光ダイオード)301が点灯する。
以下、本発明の第1の実施例に係る衛生洗浄装置100の本体部200について説明を行う。図3は本発明の第1の実施例に係る衛生洗浄装置100の本体部200の構成を示す模式図である。
図3に示す本体部200は、制御部4、分岐水栓5、ストレーナ6、逆止弁7、定流量弁8、止水電磁弁9、流量センサ10、熱交換器11、温度センサ12a,12b、着座センサ51、ポンプ13、洗浄用切替弁14A、逃がし水切替弁14Bおよびノズル部30を含む。また、ノズル部30は、おしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄ノズル3を含み、洗浄用切替弁14AはモータM1を備え、逃がし水切替弁14BはモータM2を備える。
図3に示すように、水道配管201に分岐水栓5が介挿される。また、分岐水栓5と熱交換器11との間に接続される配管202に、ストレーナ6、逆止弁7、定流量弁8、止水電磁弁9、流量センサ10および温度センサ12aが順に介挿されている。さらに、熱交換器11と洗浄用切替弁14Aとの間に接続される配管203に、温度センサ12bおよびポンプ13が介挿されている。
まず、水道配管201を流れる浄水が、洗浄水として分岐水栓5によりストレーナ6に供給される。ストレーナ6により洗浄水に含まれるごみや不純物等が除去される。次に、逆止弁7により配管202内における洗浄水の逆流が防止される。そして、定流量弁8により配管202内を流れる洗浄水の流量が一定に維持される。
また、ポンプ13と洗浄用切替弁14Aとの間にはリリーフ管204が接続され、止水電磁弁9と流量センサ10との間には、分岐配管205が接続されている。リリーフ配管204には、リリーフ弁206が介挿されている。リリーフ弁206は、配管203の特にポンプ13の下流側の圧力が所定値を超えると開成し、異常時の機器の破損、ホースの外れ等の不具合を防止する。
一方、定流量弁8によって流量が調節され供給される洗浄水のうちポンプ13で吸引されない洗浄水が分岐配管205に導入される。分岐配管205の下流には逃がし水切替弁14Bが取り付けられている。逃がし水切替弁14Bは、制御部4により与えられる制御信号に基づいて、ノズル部30のノズル洗浄ノズル3に接続する供給水路266および逃がし水路207に供給する洗浄水の流量を調整する。これにより、水道供給圧に左右されることなくポンプ13には所定の背圧が作用することになる。
次いで、流量センサ10は、配管202内を流れる洗浄水の流量を測定し、制御部4に測定流量値を与える。また、温度センサ12aは、配管202内を流れる洗浄水の温度を測定し、制御部4に温度測定値を与える。
続いて、熱交換器11は、制御部4により与えられる制御信号に基づいて、配管202を通して供給された洗浄水を所定の温度に加熱する。温度センサ12bは、熱交換器11により所定の温度に加熱された洗浄水の温度を測定し、制御部4に温度測定値を与える。
ポンプ13は、熱交換器11により加熱された洗浄水を制御部4により与えられる制御信号に基づいて、洗浄用切替弁14Aに圧送する。洗浄用切替弁14Aは、制御部4により与えられる制御信号に基づいて、ノズル部30のおしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄ノズル3のいずれか1つに洗浄水を供給する。
ノズル部30のおしりノズル1またはビデノズル2に洗浄水が供給された場合、おしりノズル1またはビデノズル2より洗浄水が噴出される。一方、洗浄用切替弁14Aを介してノズル洗浄ノズル3に洗浄水が供給された場合および上述の逃がし水切替弁14Bを介してノズル洗浄ノズル3に洗浄水が供給された場合、ノズル洗浄ノズル3に設けられたノズル洗浄孔から洗浄水が噴出する。洗浄水がノズル洗浄ノズル3からおしりノズル1およびビデノズル2に噴出されることにより、おしりノズル1およびビデノズル2のノズル洗浄が行われる。ノズル洗浄ノズル3のノズル洗浄孔については後述する。
ノズル洗浄ノズル3のノズル洗浄孔から噴出される洗浄水の温度は、使用者による遠隔操作装置300のノズル洗浄スイッチ309またはノズル高温洗浄スイッチ310の押下操作により異なる。洗浄水の温度については後述する。
おしりノズル1およびビデノズル2より噴出される洗浄水の流量は、洗浄用切替弁14Aにより調整される。また、ノズル洗浄ノズル3より噴出される洗浄水の流量は、洗浄用切替弁14Aおよび逃がし水切替弁14Bにより調整される。なお、おしりノズル1、ビデノズル2およびノズル洗浄ノズル3より噴出される洗浄水の流量の調整は、ポンプ13の駆動能力を変化させることにより行われてもよい。
制御部4は、図1の遠隔操作装置300から無線送信される信号、着座センサ51からの便座部400上の使用者の有無の信号、流量センサ10から与えられる測定流量値および温度センサ12a,12bから与えられる温度測定値に基づき止水電磁弁9、熱交換器11、ポンプ13、洗浄用切替弁14Aおよび逃がし水切替弁14Bに対して制御信号を与える。
図4は、熱交換器11の構造の一例を示す一部切り欠き断面図である。
図4に示すように、樹脂ケース504内に曲折された蛇行配管510が埋設されている。蛇行配管510に接触するように平板状のセラミックヒータ505が設けられている。矢印Yで示すように、洗浄水が、給水口511から蛇行配管510内に供給され、蛇行配管510中を流れる間に、セラミックヒータ505により効率よく加熱され、排出口512から排出される。
図3の制御部4は、温度センサ12bより与えられる温度測定値に基いて、熱交換器11のセラミックヒータ505の温度をフィードバック制御する。
本実施例においては、制御部4がフィードバック制御により熱交換器11のセラミックヒータ505の温度を制御することとしたが、これに限定されず、フィードフォワード制御によりセラミックヒータ505の温度を制御してもよく、あるいは、温度上昇時には、フィードフォワード制御によりセラミックヒータ505を制御し、定常時には、フィードバック制御によりセラミックヒータ505を制御する複合的な制御を行ってもよい。
図5(a)は洗浄用切替弁14Aの縦断面図であり、図5(b)は図5(a)の洗浄用切替弁14AのA−A線断面図であり、図5(c)は図5(a)の洗浄用切替弁14AのB−B線断面図であり、図5(d)は図5(a)の洗浄用切替弁14AのC−C線断面図である。
図5に示す洗浄用切替弁14Aは、モータM1、内筒142および外筒143により構成される。
外筒143内に内筒142が挿入され、モータM1の回転軸が内筒142に取り付けられている。モータM1は、制御部4により与えられる制御信号に基づいて回転動作を行う。モータM1が回転することにより内筒142が回転する。
図5(a),(b),(c),(d)に示すように、外筒143の一端には、洗浄水入口143aが設けられ、側部の対向する位置に洗浄水出口143b,143cが設けられ、側部の洗浄水出口143b,143cと異なる位置に洗浄水出口143dが設けられ、側部の洗浄水出口143b,143c,143dと異なる位置に洗浄水出口143eが設けられている。内筒142の互いに異なる位置に孔142e,142f,142gが設けられている。孔142e,142fの周辺には、図5(b),(c)に示すように、曲線および直線で構成される面取り部が形成され、孔142gの周辺には、図5(d)に示すように、直線で構成される面取り部が形成されている。
内筒142の回転により、孔142eが外筒143の洗浄水出口143bまたは143cと対向可能になっており、孔142fが外筒143の洗浄水出口143dと対向可能になっており、孔142gが外筒143の洗浄水出口143eと対向可能になっている。
洗浄水入口143aには、図3の配管203が接続され、洗浄水出口143bには、ビデノズル2が接続され、洗浄水出口143cには、おしりノズル1の第1の流路が接続され、洗浄水出口143dには、おしりノズル1の第2の流路が接続され、洗浄水出口143eには、ノズル洗浄ノズル3が接続されている。おしりノズル1の第1の流路および第2の流路については後述する。
図6は図5の洗浄用切替弁14Aの動作を示す断面図である。
図6(a)〜(f)は洗浄用切替弁14AのモータM1がそれぞれ0度、90度、135度、180度、225度および270度回転した状態を示す。
まず、図6(a)に示すように、モータM1を回転させない(0度)場合には、内筒142の孔142eの周囲の面取り部が外筒143の洗浄水出口143bに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W1で示すように洗浄水出口143bから流出する。
次に、図6(b)に示すように、モータM1が内筒142を90度回転させた場合には、内筒142の孔142gの周囲の面取り部が外筒143の洗浄水出口143eに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W2で示すように洗浄水出口143eから流出する。
次いで、図6(c)に示すように、モータM1が内筒142を135度回転させた場合には、内筒142の孔142gの周囲の面取り部の一部が外筒143の洗浄水出口143eに対向するとともに、内筒142の孔142eの周囲の面取り部の一部が外筒143の洗浄水出口143cに対向する。したがって、少量の洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W2および矢印W3で示すように洗浄水出口143c,143eから流出する。
次に、図6(d)に示すように、モータM1が内筒142を180度回転させた場合には、内筒142の孔142eの周囲の面取り部が外筒143の洗浄水出口143cに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W3で示すように洗浄水出口143cから流出する。
次に、図6(e)に示すように、モータM1が内筒142を225度回転させた場合には、内筒142の孔142eの周囲の面取り部の一部が外筒143の洗浄水出口143cに対向するとともに、内筒142の孔142fの周囲の面取り部の一部が外筒143の洗浄水出口143dに対向する。したがって、少量の洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W3および矢印W4で示すように洗浄水出口143c,143dから流出する。
また、図6(f)に示すように、モータM1が内筒142を270度回転させた場合には、内筒142の孔142fの周囲の面取り部が外筒143の洗浄水出口143dに対向する。したがって、洗浄水が洗浄水入口143aより内筒142の内部を通過して、矢印W4で示すように洗浄水出口143dから流出する。
以上のように、制御部4からの制御信号に基づいてモータM1が回転することにより内筒142の孔142e,142f,142gのいずれかが外筒143の洗浄水出口143b〜143eに対向し、洗浄水入口143aから流入した洗浄水が洗浄水出口143b〜143eのいずれかから流出する。
図7は図6の洗浄用切替弁14Aの洗浄水出口143c,143dからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量、洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量および洗浄水出口143eからノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量を示す図である。
図7の横軸はモータM1の回転角度を示し、縦軸は洗浄水出口143b〜143eから流出する洗浄水の流量の一例を示す。また、実線Q1が洗浄水出口143cからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量の変化を示し、一点鎖線Q2が洗浄水出口143dからおしりノズル1に流出する洗浄水の流量の変化を示し、二点鎖線Q3が洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量の変化を示し、破線Q4が洗浄水出口143eから熱交換器11を介して、ノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量の変化を示す。
例えば、図7に示すように、モータM1が回転しない場合(0度)、洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量Q3は最大値を示す。そして、モータM1の回転角度が大きくなるとともに洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量Q3が減少し、洗浄水出口143eからノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量Q4が増加する。
次いで、モータM1が90度回転した場合、洗浄水出口143eからノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量Q4は最大値を示す。そして、モータM1の回転角度がさらに大きくなるとともに洗浄水出口143eからノズル洗浄ノズル3に流出する洗浄水の流量Q4が減少し、洗浄水出口143cからおしりノズル1の第1の流路に流出する洗浄水の流量Q1が増加する。
続いて、モータM1が180度回転した場合、洗浄水出口143cからおしりノズル1の第1の流路に流出する洗浄水の流量Q1は最大値を示す。そして、モータM1の回転角度がさらに大きくなるとともに洗浄水出口143cからおしりノズル1の第1の流路に流出する洗浄水の流量Q1が減少し、洗浄水出口143dからおしりノズル1の第2の流路に流出する洗浄水の流量Q2が増加する。
さらに、モータM1が270度回転した場合、洗浄水出口143dからおしりノズル1の第2の流路に流出する洗浄水の流量Q2は最大値を示す。そして、モータM1の回転角度がさらに大きくなるとともに洗浄水出口143dからおしりノズル1の第2の流路に流出する洗浄水の流量Q2が減少し、洗浄水出口143bからビデノズル2に流出する洗浄水の流量Q3が増加する。
以上のように、制御部4が洗浄用切替弁14AのモータM1の回転角度を制御することにより洗浄水出口143b〜143eから流出する洗浄水の流量を制御することができる。さらに、洗浄用切替弁14AのモータM1の回転角度がいかなる場合でも、洗浄水出口142e,142f,142gのいずれかまたはそれらの周囲の面取り部(凹部)が洗浄水出口143b〜143eのいずれかに対向するので、洗浄水の流路が閉塞されず、洗浄水入口143aから供給された洗浄水は、洗浄水出口143b〜143eのいずれかから流出される。
逃がし水切替弁14Bは、洗浄用切替弁14Aの構成と同様に、モータM2、内筒および外筒により構成される。ただし、逃がし水切替弁14Bの外筒には、1つの洗浄水入口および2つの洗浄水出口が設けられている。逃がし水切替弁14Bの1つの洗浄水入口には、分岐配管205から洗浄水が供給される。
逃がし水切替弁14Bの2つの洗浄水出口のうち、一方には逃がし水路207が接続され、他方には供給水路266を介してノズル部30のノズル洗浄ノズル3が接続されている。
洗浄用切替弁14Aと同様に、逃がし水切替弁14BのモータM2は制御部4より与えられる制御信号に基づいて回転動作を行う。モータM2が回転することにより逃がし水切替弁14Bの内筒が回転し、分岐配管205に導入される洗浄水が、逃がし水路207または供給水路266のいずれかに供給され、または任意の割合で分流される。
図8は、図1のノズル部30の外観斜視図である。図8においては、円筒形状を有するおしりノズル1とビデノズル2とが隣接するように平行に設けられている。また、おしりノズル1およびビデノズル2の上面側には、おしりノズル1およびビデノズル2の境界部を跨ぐように、ノズル洗浄ノズル3が付設されている。ノズル洗浄ノズル3はおしりノズル1およびビデノズル2の先端側に位置する。
ここで、ノズル洗浄ノズル3は、おしりノズル1およびビデノズル2に一体成形された側壁70Wおよび密閉部材3Kからなる。密閉部材3Kが側壁70Wの上面に取り付けられることにより(図8の矢印E)、洗浄水導入空間70、第1のノズル洗浄流路71および第2のノズル洗浄流路72が形成される。
洗浄水導入空間70は、密閉部材3Kの後端に位置する洗浄水導入片3Ka,3Kbに設けられた貫通孔を介して外部と連通している。洗浄水導入空間70から分岐して形成される第1のノズル洗浄流路71および第2のノズル洗浄流路72は、それぞれおしりノズル1側上面およびビデノズル2側上面に位置する。
密閉部材3Kの洗浄水導入片3Ka,3Kbには、図示しないチューブ等が取り付けられる。洗浄水導入片3Ka,3Kbはチューブを介して図3の逃がし水切替弁14Bの洗浄水出口および図5の洗浄用切替弁14Aの洗浄水出口143eとそれぞれ接続される。これにより、洗浄水がチューブを通じてノズル洗浄ノズル3に供給される。
次に、図3のノズル部30のおしりノズル1について説明する。図9はノズル部30のおしりノズル1のピストン20の斜視図であり、図10はピストン20の分解斜視図である。
図9に示すように、おしりノズル1のピストン20は、ノズルカバー401、二流路管402、一流路管403および流路合流部404を含む。図9では、ノズルカバー401が破線で示されている。図10に示すように、ノズルカバー401の先端部の上面には噴出孔401aが設けられている。
二流路管402は、洗浄水が流れる流路を2つ有する。一方の流路には一流路管403の後端が接続されており、一流路管403の先端には流路合流部404が接続されている。また、図9に示すように、ノズルカバー401は、二流路管402、一流路管403および流路合流部404を覆っている。
二流路管402の一方の流路に供給された洗浄水は、一流路管403を通って流路合流部404に供給される。二流路管402の他方の流路に供給された洗浄水は、一流路管403とノズルカバー401との間の空間を通り、流路合流部404に供給される。流路合流部404に供給された洗浄水は、噴出孔401aから人体に向けて噴出される。このときに噴出される洗浄水は分散旋回流となる。
図11(a)はピストン20の側面図であり、図11(b)はピストン20の平面図である。
図11(a)および(b)に示すように、ノズルカバー401は、先端が半球状に閉じられた円筒構造を有し、継ぎ目のない一体構造を有する。ノズルカバー401の先端部の上部には部分的に平面が形成されており、その平面の中央部に噴出孔401aが形成されている。ノズルカバー401は、ステンレスを絞り加工することにより形成される。
ノズルカバー401に継ぎ目がないことから、ノズルカバー401に汚れが付着しても洗い流しやすく衛生的である。また、ステンレスは抗菌作用を有するため、ノズルカバー401の表面において菌が繁殖することもない。
また、ノズルカバー401がステンレスで構成されていることから、ノズルカバー401の強度を確保しつつ薄肉化することができ、おしりノズル1の小型化が図れる。この場合、ノズルカバー401内に加圧された洗浄水が供給されても変形することはない。なお、ノズルカバー401の管径は例えば10mmであり、肉厚は例えば0.2mm程度である。
さらに、ノズルカバー401が絞り加工により形成されることから、表面に粗さがなく、汚れが付着しにくい。また、ノズルカバー401の表面が光沢を有するようになり、使用者は清潔感を覚える。
図12は、図8のおしりノズル1の軸方向の横断面図である。図8において、おしりノズル1は突出していないが、ここでは、おしりノズル1が突出した場合の横断面図が示されている。
図12に示すように、おしりノズル1は、ピストン20、円筒状のシリンダ21、シールパッキン22a,22bおよびスプリング23により構成される。
流路合流部404の上面には、洗浄水を噴出するための孔部25が形成されている。ピストン20の後端には、フランジ形状のストッパ部126a,126bが設けられている。また、ストッパ部126a,126bには、それぞれシールパッキン22a,22bが装着されている。
二流路管402の内部には、後端面から一流路管403に連通する流路27aが形成され、ストッパ部126aとストッパ部126bとの間におけるピストン20の周面から二流路管402の先端面に連通する流路27cが形成されている。
一流路管403の内部には、二流路管402の流路27aから流路合流部404に連通する流路27bが形成されている。ノズルカバー401と一流路管403との間の空間は、流路27dとなる。流路合流部404の詳細については後述する。
一方、シリンダ21は、先端側の径小部分と中間の径を有する中間部分と後端側の径大部分とからなる。それにより、径小部分と中間部分との間に、ピストン20のストッパ部126aがシールパッキン22aを介して当接可能なストッパ面21cが形成され、中間部分と径大部分との間に、ピストン20のストッパ部126bがシールパッキン22bを介して当接可能なストッパ面121bが形成されている。
シリンダ21の後端面には、洗浄水入口24aが設けられ、シリンダ21の中間部分の周面には、洗浄水入口24bが設けられている。なお、洗浄水入口24bは図8の横断面には現われないが、説明を容易にするため図12に図示している。シリンダ21の先端側には、開口部20Xが設けられるとともに、略円筒形状に形成されたノズル洗浄筒26が一体形成されている。シリンダ21の内部空間が温度変動緩衝部28となる。洗浄水入口24aは、シリンダ21の中心軸とは異なる位置に偏心して設けられている。
洗浄水入口24aは、図5の切替弁14の洗浄水出口143cに接続され、洗浄水入口24bは、図5の切替弁14の洗浄水出口143dに接続されている。ピストン20がシリンダ21より最も突出した場合に、洗浄水入口24bは、二流路管403の流路27cと連通する。この洗浄水入口24bが流路27cと接続される際の動作の詳細については後述する。
ピストン20は、ストッパ部126bが温度変動緩衝部28内に位置し、先端部が開口部20Xから突出するように、シリンダ21内に移動可能に挿入されている。
さらに、スプリング23は、ピストン20のストッパ部126aとシリンダ21の開口部20Xの周縁との間に配設されており、ピストン20をシリンダ21の後端側に付勢する。
ピストン20のストッパ部126a,126bの外周面とシリンダ21の内周面との間に微小隙間が形成され、ピストン20の外周面とシリンダ21の開口部20Xの内周面との間に微小隙間が形成されている。
次いで、図12のおしりノズル1の動作について説明する。図13は、図12のおしりノズル1の動作を説明するための横断面図である。ここでも、図12と同様に、説明を容易にするため、横断面に現われない洗浄水入口24bの断面形状が示されている。
まず、図13(a)に示すように、シリンダ21の洗浄水入口24a,24bより洗浄水が供給されない場合、ピストン20が、スプリング23の弾性力により矢印Sの方向と逆方向に後退し、シリンダ21内に収容されている。その結果、ピストン20は、シリンダ21の開口部20Xより最も突出していない状態となる。このとき、シリンダ21内には、温度変動緩衝部28が形成されない。
次いで、図13(b)に示すように、シリンダ21の洗浄水入口24aより洗浄水の供給が開始された場合、洗浄水の圧力によりピストン20がスプリング23の弾性力に抗して矢印Sの方向に徐々に前進する。それにより、シリンダ21内に温度変動緩衝部28が形成されるとともに温度変動緩衝部28に洗浄水が流入する。
洗浄水入口24aがシリンダ21の中心軸に対して偏心した位置に設けられているので、温度変動緩衝部28に流入した洗浄水は、矢印Vで示すように渦巻状に還流する。温度変動緩衝部28の洗浄水の一部は、ピストン20のストッパ部126a,126bの外周面とシリンダ21の内周面との間の微小隙間を通して、ピストン20の外周面とシリンダ21の開口部20Xの内周面との間の微小隙間から流れ出るとともに、ピストン20の流路27a,27b,27c,27dを通して流路合流部404に供給され、孔部25からわずかに噴出される。
ピストン20がさらに前進すると、図13(c)に示すように、ストッパ部126a,126bがシールパッキン22a,22bを介してシリンダ21のストッパ面21c,121bに水密に接触する。それにより、ピストン20のストッパ部126a,126bの外周面とシリンダ21の内周面との間の微小隙間からピストン20の外周面とシリンダ21の開口部20Xの内周面との間の微小隙間に至る流路が遮断される。
さらに、洗浄水入口24bより供給された洗浄水が、ピストン20の流路27c,27dを通して流路合流部404に供給される。それにより、流路27a,bを通して流路合流部404に供給された洗浄水は、流路27c,27dを通して供給された洗浄水と混合され、孔部25から噴出される。ここで、ノズルカバー401の先端部の噴出孔401aは孔部25よりも大きい内径を有する。それにより、孔部25から噴出される洗浄水は噴出孔401aに当たることがなく洗浄水の噴出が妨げられない。
おしりノズル1のノズルカバー401と同様にビデノズル2のノズルカバーもステンレスで構成されている。なお、ビデノズル2の詳細な構成および動作については省略する。
おしりノズル1の洗浄は、ピストン20がシリンダ21内に収納された状態でノズル洗浄ノズル3から洗浄水が噴出されることにより行われる。また、ビデノズル2の洗浄もおしりノズル1の洗浄と同様に行われる。
図14は、図8のノズル部30のY−Y線断面図である。図14においては、おしりノズル1のノズル洗浄筒26、ビデノズル2のノズル洗浄筒26bおよびノズル洗浄ノズル3の断面形状をより明確にするため、おしりノズル1のピストン20およびビデノズル2のピストン20bの断面形状ならびにおしりノズル1のシリンダ21およびビデノズル2のシリンダ21bの外観の詳細は省略している。
図14に示すように、ノズル洗浄筒26,26bの各々の内部にはピストン20,20bが収納されている。ノズル洗浄筒26,26bの断面は略円形に形成されており、ノズル洗浄筒26,26bの内径は、略円形に形成されたピストン20,20bの外径よりも大きい。ノズル洗浄筒26,26bが楕円形の場合には、ノズル洗浄筒26,26bの最小内径がピストン20,20bの最大外形よりも大きくなるように設定する。
ノズル洗浄筒26のビデノズル2側の上面にはノズル洗浄孔26hが設けられている。また、ノズル洗浄筒26bのおしりノズル1側の上面にはノズル洗浄孔26hbが設けられている。このように、ノズル洗浄孔26h,26hbの各々は、ノズル洗浄筒26,26bに1つずつ設けられている。
ここで、ノズル洗浄筒26の内径とピストン20の外径との差をL2とし、ノズル洗浄孔26hの孔径をL1とすると、L1とL2との間には、L1<L2の関係が成り立つ。
ただし、ノズル洗浄筒26,26bが楕円形状の場合には、ノズル洗浄孔26hの孔径L1はノズル洗浄筒26の最小内径とピストン20の外径との差L2よりも小さく設定される。
ノズル洗浄筒26bの内径とピストン20bの外径との差とノズル洗浄孔26hbとの間にも同様の関係が成り立つ。
第1のノズル洗浄流路71および第2のノズル洗浄流路72の各々はノズル洗浄孔26h,26hbによりノズル洗浄筒26,26bの内部と連通している。第1のノズル洗浄流路71および第2のノズル洗浄流路72の各々は上述のように図8の洗浄水導入空間70から分岐しており、洗浄水導入空間70から供給される洗浄水をノズル洗浄孔26h,26hbからノズル洗浄筒26,26bの内部へ噴出させる。
ノズル洗浄孔26h,26hbから噴出される洗浄水により、ノズル洗浄筒26,26bの内部では、ピストン20,20bが次のように動作する。
なお、第1のノズル洗浄流路71および第2のノズル洗浄流路72からノズル洗浄筒26,26bの内部に洗浄水が噴出される前において、ピストン20,20bは図14に示すようにノズル洗浄筒26,26bの軸心からずれた場所に位置している。ピストン20,20bは、図12の開口部20Xにより揺動性を有した状態でシリンダ21,21bの内部に収納されている。
図15は、図8の第1のノズル洗浄流路71からノズル洗浄筒26の内部に洗浄水が噴出される場合のピストン20の動作を説明するための説明図である。ここでは、おしりノズル1の垂直断面方向における洗浄水の流れおよびピストン20の移動について説明する。ここで、ピストン20の軸心をCnとする。
図15(a)に示すように、第1のノズル洗浄流路71からノズル洗浄孔26hを介してノズル洗浄筒26の内部に洗浄水が噴出される。この場合、洗浄水は、ノズル洗浄筒26の内部を矢印R1,R2に示すように流れてゆく。
ノズル洗浄孔26hからの洗浄水の噴出時において、ピストン20はノズル洗浄筒26の下部に位置している。ピストン20は、ピストン20とノズル洗浄筒26の下部側内壁との間に流れ込む(矢印R2)洗浄水により圧力を受け、軸心Cnが移動する。
図15(b)に示すように、図15(a)の状態から継続してノズル洗浄筒26の内部に洗浄水が噴出されると、洗浄水はノズル洗浄筒26の内部を矢印R1,R2,R3に示すように流れてゆく。
この場合、図15(a)に示す移動によりノズル洗浄筒26の上部に移動したピストン20は、ピストン20とノズル洗浄筒26の側部側内壁との間に流れ込む(矢印R3)洗浄水により圧力を受け、軸心Cnが移動する。
図15(c)に示すように、図15(b)の状態からさらに継続してノズル洗浄筒26の内部に洗浄水が噴出されると、洗浄水はノズル洗浄筒26の内部を矢印R1,R2,R3,R4に示すように流れてゆく。
ピストン20の軸心Cnは、ピストン20の外周面とノズル洗浄筒26の内壁との間を流れる洗浄水が発生する圧力により、ノズル洗浄筒26の軸心を中心としてランダムな方向に微小な移動(振動)を繰り返す。このようなノズル洗浄筒26内部での流体圧力によるピストン20の振動は、一般に自励振動と呼ばれる振動となる。
このような自励振動を発生させるため、ノズル洗浄孔26hは、図14の1点鎖線で示すように、ノズル洗浄筒26の軸心とピストン20の軸心とが一致した場合のピストン20の外周面接線方向(図14の点Fにおける接線方向)に洗浄水を噴出できるように設けられることが望ましい。また、ピストン20は、軽量に構成されていることが望ましい。
このように、洗浄水がノズル洗浄孔26hを通してピストン20の外周面接線方向に噴出されると、洗浄水は噴出時の流速を損なうことなく、おしりノズル1の外周面の周囲を効率的に旋回する。
また、自励振動を発生させるために、ノズル洗浄孔26hの孔径は約0.7mm以上、約1.0mm以下とすることが望ましい。
図16は、ノズル洗浄筒26の内部に噴出される洗浄水の流れを示す斜視図である。図16に示すように、ノズル洗浄孔26hから噴出された洗浄水は、ピストン20の外周面に沿ってスパイラル状に旋回しつつ、ノズル洗浄筒26の先端開口部から流出する。
この流れは、ノズル部30本体が傾斜しているため、ノズル洗浄孔26hから噴出された洗浄水が、ピストン20の外周面を旋回しつつ、下方へ流動することにより生じる。
ここで、ノズル洗浄孔26hはノズル洗浄筒26の長手方向に対して垂直となるように設けられる。これにより、ノズル洗浄孔26hから非常に速い流速で洗浄水が噴出された場合であっても、洗浄水はノズル洗浄筒26の先端開口部から直接流出することはない。
ノズル洗浄孔26hから噴出された洗浄水がピストン20の外周面に沿ってスパイラル状に流れることにより、洗浄水がピストン20の先端部近傍の全面を洗浄する。そして、洗浄水の噴出時におけるピストン20の自励振動により、ピストン20の先端近傍に付着する汚れがより効果的に洗浄される。
ノズル洗浄筒26内部に噴出される洗浄水をピストン20の外周面に沿って旋回させるためには、ノズル洗浄孔26hから噴出される洗浄水の流速を所定の値以上となるように調整する必要がある。洗浄水の流速が増すことにより洗浄水の旋回力が増し、旋回流のピッチが短くなるためである。これにより、ピストン20の洗浄面積が広がる。その結果、おしりノズル1およびビデノズル2の衛生状態を十分に確保することができる。
本実施例においては、ノズル洗浄孔26hから噴出される洗浄水の流速が約5〜15m/sとなるように調整することが望ましい。この場合、洗浄水はピストン20の外周面を好適に旋回する。これにより、ピストン20の自励振動が生じる。
以上のように、ノズル洗浄ノズル30はノズル洗浄筒26,26bとピストン20との間の環状空間に洗浄水が導入されることにより、おしりノズル1およびビデノズル2の洗浄が行われるので構成が簡単になっており、省スペース化が実現されている。
また、上述のように、ノズル洗浄筒26,26bの内径が、略円形に形成されたピストン20,20bの外径よりも大きいので、ノズル洗浄孔26h,26hbに導入される洗浄水がノズル洗浄筒26,26bとピストン20,20bとの間の空間を効率よく旋回する。その結果、おしりノズル1およびビデノズル2の外周面が満遍なく洗浄される。
上記では、自励振動を発生させるために、ノズル洗浄孔26hの孔径は約0.7mm以上、約1.0mm以下とすることが望ましいとしているが、ノズル洗浄孔26hの孔径は約0.7mm以上、約1.0mm以下とすることにより、洗浄流量が0.5L/min程度と低い場合でも、高い流速で十分な洗浄効果を得ることができる。
図17は、ノズル洗浄筒26およびピストン20の先端部の構造を説明するための模式図である。
図17(a)に示すように、ピストン20の先端は、シリンダ21への収納時にノズル洗浄筒26の先端からわずかに突出している(矢印H1の範囲)。
このように、ピストン20の先端がノズル洗浄筒26の先端から突出することにより、ノズル洗浄筒26の内部に噴出される洗浄水の先端からの流出時にノズル洗浄筒26の上面側に飛散することが防止される。この現象はコアンダ効果によるものである。
コアンダ効果とは、流れの中に物体を置いた場合に、流体がその物体に沿って流れようとする性質をいう。すなわち、ピストン20の外周面をスパイラル状に旋回しつつ、ノズル洗浄筒26の先端より流出される洗浄水は、ピストン20の略半球状の先端がノズル洗浄筒26の先端から突出しているため、ノズル洗浄筒26の上面側に飛散することなく、ピストン20の先端に沿って流出する。
ノズル洗浄筒26およびピストン20の先端部は図17(b)に示す構造を有してもよい。図17(b)において、ノズル洗浄筒26の先端部上面側には所定の長さ(矢印H2)の切り欠きNVが設けられている。また、ピストン20の先端は、切り欠きNVの無いノズル洗浄筒26の先端からわずかに突出している(矢印H1の範囲)。
この場合、ピストン20の先端部に沿って流れようとする洗浄水の流れと、ノズル洗浄筒26の内壁に沿って流れようとする洗浄水の流れにより、ノズル洗浄孔26hから噴出される洗浄水がより効果的にノズル洗浄筒26の先端部下方から流出する。したがって、ノズル洗浄筒26の先端からの洗浄水の流出時に洗浄水がノズル洗浄筒26の上面側に飛散することが確実に防止される。なお、ノズル洗浄筒26の先端部上面側に設けられる切り欠きNVの円周方向の長さはノズル洗浄筒26の約半周程度であることが望ましい。
さらに、ノズル洗浄筒26およびピストン20の先端部は図17(c)に示す構造を有してもよい。
図17(c)において、ノズル洗浄筒26の先端部上面側にはシャッタSHがピンPiを介して上下に回動可能に取り付けられている。シャッタSHは、ピストン20が矢印G1の方向に突出する際に、矢印G2の方向に回動する。
シャッタSHによれば、ノズル洗浄筒26の先端から流出する洗浄水がノズル洗浄筒26の先端部上面側に飛散した場合でも、飛散した洗浄水がシャッタSHに付着して落下する。これにより、ノズル洗浄筒26の先端から流出する洗浄水がノズル洗浄筒26の先端部上面側に飛散することが確実に防止される。
なお、ここでは、シャッタSHについて説明したが、これに限らずノズル洗浄筒26の先端から流出する洗浄水の飛散を防止するものであれば、シャッタSHに代えてノズル洗浄筒26の上面または上方に板などの飛散防止壁を設けてもよい。
以上、図15〜図17に基づいておしりノズル1のノズル洗浄筒26およびノズル洗浄孔26hの形状ならびにピストン20の自励振動について説明したが、ビデノズル2においてもノズル洗浄筒26bおよびノズル洗浄孔26hbは同様の形状を有し、ピストン20bは同様の自励振動を生じる。
図18は、使用者が図2のおしりスイッチ303および停止スイッチ305を押下操作した場合の図3のポンプ13、洗浄用切替弁14Aおよび逃がし水切替弁14Bの動作状態ならびに図3のノズル洗浄ノズル3からおしりノズル1およびビデノズル2に噴出される洗浄水の流量の変化を示す図である。
図18において、ノズル洗浄流量のグラフの縦軸は図3の止水電磁弁9を通過する洗浄水の流量に対するおしりノズル1およびビデノズル2に噴出される洗浄水の流量の割合を示し、横軸は時間を示す。また、グラフ中の実線L70は、図8の洗浄水導入空間70に導入される洗浄水の流量を表し、破線L71は図8の第1のノズル洗浄流路71からおしりノズル1に噴出される洗浄水の流量を示す。
以下の説明において、ポンプ13、洗浄用切替弁14Aおよび逃がし水切替弁14Bの動作は図3の制御部4により制御されている。
時点ta1において、使用者がおしりスイッチ303を押下操作することによりポンプ13がオンする。一方、洗浄用切替弁14Aがポンプ13より圧送される洗浄水をノズル洗浄ノズル3へ供給するように図5のモータM1が回転される。他方、逃がし水切替弁14Bが図3の分岐配管205より流れる洗浄水をノズル洗浄ノズル3へ供給するように図3のモータM2が回転される。
これにより、図8の洗浄水導入空間70には、ポンプ13からの洗浄水と分岐配管205からの洗浄水とが供給される。この場合、グラフ中の実線L70に示すように、洗浄水導入空間70には100%の流量で洗浄水が供給されている。
洗浄水導入空間70に供給された洗浄水は図14の第1のノズル洗浄流路71およびノズル洗浄孔26hを介しておしりノズル1のピストン20を洗浄し、第2のノズル洗浄流路72およびノズル洗浄孔26hbを介して図14のビデノズル2のピストン20bを洗浄する。
この場合、グラフ中の破線L71に示すように、おしりノズル1およびビデノズル2の各々に噴出される洗浄水の流量は洗浄水導入空間70に供給される洗浄水の流量の1/2となる。
時点ta2において、ポンプ13はオンしたままである。一方、洗浄用切替弁14Aがポンプ13より圧送される洗浄水をおしりノズル1へ供給するように図5のモータM1が回転される。他方、逃がし水切替弁14Bが図3の分岐配管205より流れる洗浄水を逃がし水路207へ供給するように図3のモータM2が回転される。
これにより、図8の洗浄水導入空間70への洗浄水の供給が停止されるとともに、おしりノズル1に洗浄水が供給され、人体の局部の洗浄が行われる。使用者は、おしりノズル1による洗浄を終了したい場合、図2の停止スイッチ305を押下操作する。
時点ta3において、使用者が停止スイッチ305を押下操作することによりポンプ13、洗浄用切替弁14Aおよび逃がし水切替弁14Bは、上述の時点ta1の場合と同様の動作を行う。これにより、図8の洗浄水導入空間70にはポンプ13からの洗浄水と分岐配管205からの洗浄水とが供給される。この場合、グラフ中の実線L70に示すように、洗浄水導入空間70には100%の流量で洗浄水が供給されている。
洗浄水導入空間70に供給された洗浄水は、図14の第1のノズル洗浄流路71およびノズル洗浄孔26hを介しておしりノズル1のピストン20を洗浄し、第2のノズル洗浄流路72およびノズル洗浄孔26hbを介してビデノズル2のピストン20を洗浄する。
この場合も上記と同様に、おしりノズル1およびビデノズル2の各々に噴出される洗浄水の流量は洗浄水導入空間70に供給される洗浄水の流量の1/2となる。
時点ta4において、ポンプ13がオフする他は、洗浄用切替弁14Aおよび逃がし水切替弁14Bの動作は時点ta2の場合と同様である。これにより、人体の局部の洗浄を行った後のおしりノズル1の洗浄が終了する。
時点ta1から時点ta2までの時間および時点ta3から時点ta4までの時間は自由に設定できるが、1秒〜10秒程度の範囲にすることが好ましい。
上記のポンプ13、洗浄用切替弁14Aおよび逃がし水切替弁14Bは、使用者が図2のビデスイッチ306を押下操作した場合にも同様の動作を行う。
このように、本実施例に係る衛生洗浄装置100においては、使用者がおしりスイッチ303またはビデスイッチ306を押下操作した場合、おしりノズル1またはビデノズル2のピストン20,20bの突出前にノズル洗浄が行われ、おしり洗浄またはビデ洗浄の終了後、おしりノズル1またはビデノズル2のピストン20,20bの収納後にノズル洗浄が行われる。
これにより、おしりノズル1およびビデノズル2は常に清潔に保たれる。また、使用者はノズル洗浄の状態を洗浄音等により知ることができ、おしりノズル1およびビデノズル2が常に清潔であるという安心感を得ることができる。
時点ta1,ta3において、逃がし水切替弁14BのモータM2が回転され、分岐配管205からの洗浄水がノズル洗浄ノズル3に供給される。これにより、ノズル洗浄に用いられる洗浄水の流量が十分に確保されるので、おしりノズル1およびビデノズル2がより効率的に洗浄される。
ノズル洗浄時に分岐配管205からの洗浄水をノズル洗浄ノズル3に供給する代わりに、ポンプ13の駆動能力を高めることにより、洗浄用切替弁14Aを介して供給される洗浄水の流量を増加させてもよい。
使用者は、おしりノズル1およびビデノズル2の洗浄のみを行いたい場合、ノズル洗浄スイッチ309を押下操作する。
図19は、使用者が図2のノズル洗浄スイッチ309を押下操作した場合の図3のポンプ13、洗浄用切替弁14Aおよび逃がし水切替弁14Bの動作状態ならびに図3のノズル洗浄ノズル3からおしりノズル1およびビデノズル2に噴出される洗浄水の流量の変化を示す図である。
図19のノズル洗浄流量のグラフにおいて、縦軸および横軸は図18のノズル洗浄流量のグラフと同一の内容を示し、実線L70および破線L71についても図18のグラフと同一の内容を示す。
以下の説明において、ポンプ13、洗浄用切替弁14Aおよび逃がし水切替弁14Bの動作は図3の制御部4により制御されている。
時点tb1において、使用者がノズル洗浄スイッチ309を押下操作することによりポンプ13がオンする。一方、洗浄用切替弁14Aがポンプ13より圧送される洗浄水をノズル洗浄ノズル3へ供給するように図5のモータM1が回転される。他方、逃がし水切替弁14Bが図3の分岐配管205より流れる洗浄水をノズル洗浄ノズル3へ供給するように図3のモータM2が回転される。
これにより、図8の洗浄水導入空間70には、ポンプ13からの洗浄水と分岐配管205からの洗浄水とが供給される。この場合、グラフ中の実線L70に示すように、洗浄水導入空間70には100%の流量で洗浄水が供給されている。
洗浄水導入空間70に供給された洗浄水は図14の第1のノズル洗浄流路71およびノズル洗浄孔26hを介しておしりノズル1のピストン20を洗浄し、第2のノズル洗浄流路72およびノズル洗浄孔26hbを介して図14のビデノズル2のピストン20bを洗浄する。
この場合、グラフ中の破線L71に示すように、おしりノズル1およびビデノズル2の各々に噴出される洗浄水の流量は洗浄水導入空間70に供給される洗浄水の流量の1/2となる。
時点tb2において、ポンプ13はオフする。一方、洗浄用切替弁14Aの図5のモータM1が各種洗浄動作が行われない場合の所定位置まで回転される。他方、逃がし水切替弁14Bが図3の分岐配管205より流れる洗浄水を逃がし水路207へ供給するように図3のモータM2が回転される。これにより、図8の洗浄水導入空間70への洗浄水の供給が停止される。
このように、使用者はノズル洗浄スイッチ309を押下操作することによりノズル洗浄のみを行うことができる。これにより、おしりノズル1およびビデノズル2は、使用者の意図に応じてより頻度の高い洗浄が行われる。したがって、使用者はノズル洗浄スイッチ309を押下操作することにより、おしりノズル1およびビデノズル2が清潔であるという安心感を得ることができる。
時点tb1において、逃がし水切替弁14BのモータM2の回転により分岐配管205からの洗浄水がノズル洗浄ノズル3に供給される。これにより、ノズル洗浄に用いられる洗浄水の流量が十分に確保されるので、おしりノズル1およびビデノズル2がより効率的に洗浄される。
ノズル洗浄時に分岐配管205からの洗浄水をノズル洗浄ノズル3に供給する代わりに、ポンプ13の駆動能力を高めることにより、洗浄用切替弁14Aを介して供給される洗浄水の流量を増加させてもよい。
上記において、時点tb1から時点tb2までの時間は自由に設定できるが、使用者によるノズル洗浄の洗浄状態に対する安心感を考慮した場合、少なくとも1分以上にすることが好ましい。また、時点tb2のタイミングは、使用者による停止スイッチ305の押下操作により決定してもよい。
使用者は、おしりノズル1およびビデノズル2に対して、除菌等のより洗浄効果の高い洗浄を行いたい場合、高温ノズル洗浄スイッチ310を押下操作する。
図20は、使用者が図2の高温ノズル洗浄スイッチ310を押下操作した場合の図3のポンプ13、洗浄用切替弁14A、逃がし水切替弁14Bおよび熱交換器11の動作状態ならびに図3のノズル洗浄ノズル3からおしりノズル1およびビデノズル2に噴出される洗浄水の流量の変化を示す図である。
図20のノズル洗浄流量のグラフにおいて、縦軸および横軸は図18のノズル洗浄流量のグラフと同一の内容を示し、実線L70および破線L71についても図18のグラフと同一の内容を示す。
以下の説明において、ポンプ13、洗浄用切替弁14A、逃がし水切替弁14Bおよび熱交換器11の動作は図3の制御部4により制御されている。
時点tc1において、使用者が高温ノズル洗浄スイッチ310を押下操作することによりポンプ13および熱交換器11がオンする。一方、洗浄用切替弁14Aがポンプ13より圧送される洗浄水をノズル洗浄ノズル3へ供給するように図5のモータM1が回転される。他方、逃がし水切替弁14Bが図3の分岐配管205より流れる洗浄水をノズル洗浄ノズル3へ供給するように図3のモータM2が回転される。
これにより、図8の洗浄水導入空間70には、ポンプ13からの洗浄水と分岐配管205からの洗浄水とが供給される。この場合、グラフ中の実線L70に示すように、洗浄水導入空間70には100%の流量で洗浄水が供給されている。
洗浄水導入空間70に供給された洗浄水は図14の第1のノズル洗浄流路71およびノズル洗浄孔26hを介しておしりノズル1のピストン20を洗浄し、第2のノズル洗浄流路72およびノズル洗浄孔26hbを介して図14のビデノズル2のピストン20bを洗浄する。
この場合、グラフ中の破線L71に示すように、おしりノズル1およびビデノズル2の各々に噴出される洗浄水の流量は洗浄水導入空間70に供給される洗浄水の流量の1/2となる。
時点tc2において、ポンプ13および熱交換器11はオンしたままである。また、洗浄用切替弁14Aがポンプ13より圧送される洗浄水をノズル洗浄ノズル3へ供給するように図5のモータM1が回転された状態で保持される。他方、逃がし水切替弁14Bが図3の分岐配管205より流れる洗浄水を逃がし水路207へ供給するように図3のモータM2が回転される。
ここで、ポンプ13は駆動能力が低下される。これにより、熱交換器11により加熱される洗浄水の温度が上昇する。例えば、約1kWの熱交換器11を想定する。この熱交換器11に約20℃の洗浄水を0.3L/minの流量で通過させた場合、洗浄水の温度は約40℃上昇する。その結果、約60℃の洗浄水が得られる。
これら、ポンプ13、洗浄用切替弁14A、逃がし水切替弁14Bおよび熱交換器11の動作により、図8の洗浄水導入空間70には、熱交換器11、ポンプ13および洗浄用切替弁14Aを介して高温の洗浄水のみが供給される。
この場合、図20のグラフでは、実線L70に示すように洗浄水導入空間70には30%の流量で高温の洗浄水が供給されている。
洗浄水導入空間70に供給された洗浄水は、図14の第1のノズル洗浄流路71およびノズル洗浄孔26hを介しておしりノズル1のピストン20を洗浄し、第2のノズル洗浄流路72およびノズル洗浄孔26hbを介してビデノズル2のピストン20を洗浄する。
グラフ中の破線L71に示すように、おしりノズル1およびビデノズル2の各々に噴出される洗浄水の流量は洗浄水導入空間70に供給される洗浄水の流量の1/2となる。
時点tc3において、ポンプ13、洗浄用切替弁14A、逃がし水切替弁14Bおよび熱交換器11は、上述の時点tc1の場合と同様の動作を行う。これにより、図8の洗浄水導入空間70にはポンプ13からの洗浄水と分岐配管205からの洗浄水とが供給される。この場合、グラフ中の実線L70に示すように、洗浄水導入空間70には100%の流量で洗浄水が供給されている。
洗浄水導入空間70に供給された洗浄水は、図14の第1のノズル洗浄流路71およびノズル洗浄孔26hを介しておしりノズル1のピストン20を洗浄し、第2のノズル洗浄流路72およびノズル洗浄孔26hbを介してビデノズル2のピストン20を洗浄する。
この場合も上記と同様に、おしりノズル1およびビデノズル2の各々に噴出される洗浄水の流量は洗浄水導入空間70に供給される洗浄水の流量の1/2となる。
時点tc4において、ポンプ13および熱交換器11はオフする。一方、洗浄用切替弁14Aの図5のモータM1が各種洗浄動作が行われない場合の所定位置まで回転される。他方、逃がし水切替弁14Bが、図3の分岐配管205より流れる洗浄水を逃がし水路207へ供給するように図3のモータM2が回転される。これにより、図8の洗浄水導入空間70への洗浄水の供給が停止される。
時点tc1から時点tc2までの時間および時点tc3から時点tc4までの時間は自由に設定できるが、1秒〜10秒程度の範囲にすることが好ましい。また、時点tc2から時点tc3の間隔は自由に設定できるが、おしりノズル1およびビデノズル2のより効果的な洗浄を得るために1分〜3分程度の範囲にすることが好ましい。
このように、本実施例に係る衛生洗浄装置100においては、使用者が高温ノズル洗浄スイッチ310を押下操作した場合、初めに多量の洗浄水によるノズル洗浄が行われ、次に高温の洗浄水によるノズル洗浄が行われ、最後に再び多量の洗浄水によるノズル洗浄が行われる。これにより、おしりノズル1およびビデノズル2に付着する汚れが確実に除去される。
また、高温の洗浄水がステンレスで構成されたおしりノズル1およびビデノズル2に噴出されることにより減菌、除菌または殺菌効果が得られる。
薄肉化されたステンレスにより構成されるおしりノズル1およびビデノズル2によれば、樹脂などに比べて高い熱伝導率を有するので、洗浄水の温度が約60℃以上の範囲で十分な除菌効果が得られる。したがって、70〜100℃まで洗浄水を加熱しなくても十分な除菌効果が得られる。その結果、省エネルギー化が実現する。
使用者は、高温の洗浄水によりおしりノズル1およびビデノズル2が減菌、除菌または殺菌されるので清潔であるという安心感を得ることができる。
時点tc1から時点tc2までの時間および時点tc3から時点tc4までの時間に分岐配管205からの洗浄水をノズル洗浄ノズル3に供給する代わりに、ポンプ13の駆動能力を高めることにより、洗浄用切替弁14Aを介して供給される洗浄水の流量を増加させてもよい。
上記の高温の洗浄水によるノズル洗浄は、着座センサ51が便座部400上に人体を検出した場合に動作しない。例えば、使用者が便座部400上に着座している際に誤って高温ノズル洗浄スイッチ310を押下操作した場合、図3の制御部4は着座センサ51から入力される便座部400上の使用者の有無の信号に基づいて、高温の洗浄水によるノズル洗浄動作を無効にする。
これにより、使用者は、自己が便座部400に着座した状態で誤って高温ノズル洗浄スイッチ310を押下操作した場合でも、高温の洗浄水が飛散することが防止される。
以上のように、本実施例に係る衛生洗浄装置100においては、おしりノズル1およびビデノズル2のピストン20,20bおよびシリンダ21,21bの形状および構成、ノズル洗浄時の洗浄水の流量ならびにノズル洗浄時の高温の洗浄水の適用により、簡単な構成で人体洗浄ノズルの衛生状態を十分に確保することができる。
(他の加熱装置を使用する例)
第1の実施例に係る衛生洗浄装置100は、高温の洗浄水を得るために他の瞬間式加熱装置を用いてもよい。
図21は、他の瞬間式加熱装置を用いた場合の本発明の第1の実施例に係る衛生洗浄装置100の本体部200の構成を示す模式図である。図21の衛生洗浄装置100は以下の点を除き図3の衛生洗浄装置100と同様の構成および動作を有する。
本例では、逃がし水切替弁14Bとノズル洗浄ノズル3とを接続する供給配管266に瞬間加熱装置11Xが取り付けられている。制御部4は、サーミスタ11Xaおよびサーモスタット11Xbより入力される信号に基づいて瞬間加熱装置11Xの動作を制御する。
図21の制御部4は、上記構成において、例えば次のような動作を行う。
制御部4は、使用者による図2の遠隔操作装置300の高温ノズル洗浄スイッチ310の押下操作に伴い止水電磁弁9、逃がし水切替弁14Bおよび瞬間加熱装置11Xの動作を制御する。
初めに、制御部4は止水電磁弁9を開く。この場合、止水電磁弁9が開くことにより分岐配管205に洗浄水が供給される。同時に制御部4は、分岐配管205の洗浄水を供給水路266へ供給できるように逃がし水切替弁14BのモータM2を回転させる。これにより、供給水路266に洗浄水が供給される。
ここで、逃がし水切替弁14Bにおいては、分岐配管205からの洗浄水の供給先が逃がし水路207または供給水路266に切り換えられるとともに、各配管に供給する洗浄水の割合が調整される。それにより、供給水路266には所定量の洗浄水が供給される。
制御部4は瞬間加熱装置11Xをオンする。これにより、供給水路266に供給される洗浄水は、後述する瞬間加熱装置11Xの動作により加熱され、高温水(約80〜100℃:以下、超高温水と称す。)または蒸気となる。
瞬間加熱装置11Xにより加熱された洗浄水が、ノズル洗浄ノズル3に供給されることによりノズル洗浄が行われる。それにより、おしりノズル1およびビデノズル2に付着した汚れが超高温水または蒸気により剥離され、図1の便器600内に流される。その結果、おしりノズル1およびビデノズル2の噴出孔の周辺の除菌、殺菌および洗浄等が行われる。
ここで、瞬間加熱装置11Xの詳細について説明する。図22は、瞬間加熱装置11Xの構造を示す一部切り欠き断面図である。図22において、瞬間加熱装置11Xは、ケーシング504、シーズヒータ505、熱伝導体506、配管510、サーミスタ11Xa、サーモスタット11Xbおよび温度ヒューズ11Xcを含む。ここで、配管510は給水口511および排出口512を介して図21の供給水路266に取り付けられる。
ケーシング504は略直方体形状を有する。ケーシング504内には配管510とシーズヒータ505とが長手方向に延びるように所定の間隔をおいて併設されており、各々の両端部はケーシング504の両端面から外部へ突出している。
ケーシング504内において、配管510およびシーズヒータ505は熱伝導体506に覆われている。シーズヒータ505は電熱線を内蔵し、電力が供給されることにより発熱する。
上述のノズル洗浄時においては、図4の洗浄用切替弁14Aの洗浄水出口143eから供給される洗浄水が給水口511から配管510内へ導入される。
シーズヒータ505に電力が供給されると、シーズヒータ505により発生する熱が熱伝導体506を通じて配管510に伝達される。これにより、配管510内に導入された洗浄水が加熱され、超高温水または蒸気が排出口512から排出される。
ここで、図22において配管510の給水口511側を瞬間加熱装置11Xの上流側とし、排出口512側を瞬間加熱装置11Xの下流側とすると、サーミスタ11Xaおよびサーモスタット11Xbは瞬間加熱装置11Xの下流側に設けられている。また、温度ヒューズ11Xcはケーシング504の側面に設けられている。
なお、本実施例において、サーミスタ11Xa、サーモスタット11Xbおよび温度ヒューズ11Xcは、各々動作基準温度が異なる。それにより、3段階の過熱防止の調整を行うことができる。さらに、サーミスタ11Xa、サーモスタット11Xbおよび温度ヒューズ11Xcの、いずれか1つが故障しても、残りの2つにより過熱が防止される。
サーミスタ11Xaは、シーズヒータ505に取り付けられ、シーズヒータ505の温度を検知する。制御部4は、サーミスタ11Xaから与えられるシーズヒータ505の温度を判定し、過熱状態にある場合、シーズヒータ505の温度を低下させるように制御を行う。
サーモスタット11Xbは、配管510内を流通する洗浄水の温度を検知可能に取り付けられる。配管510内を流通する洗浄水の温度がサーモスタット11Xbの動作基準温度を超過した場合、サーモスタット11Xbは、シーズヒータ505の電力供給を遮断するように動作する。
最後に、温度ヒューズ11Xcは、ケーシング504に密着固定されている。ケーシング504の温度が温度ヒューズ11Xcの動作基準温度を超過した場合、温度ヒューズ11Xcが溶断することによりシーズヒータ505への電力供給が遮断される。
以上のサーミスタ11Xa、サーモスタット11Xbおよび温度ヒューズ11Xcの働きにより、シーズヒータ505による洗浄水の過熱およびシーズヒータ505自体の過熱が防止される。
本例の瞬間加熱装置11Xには、洗浄水の加熱手段としてシーズヒータ505を用いるが、これに限らず、マイカヒータ、セラミックヒータ、またはプリントヒータ等を用いてもよい。
さらに、サーミスタ11Xa、サーモスタット11Xbおよび温度ヒューズ11Xcの各々が瞬間加熱装置11Xの過熱を防止しているが、サーミスタ11Xaまたはサーモスタット11Xbを制御部4と接続することにより、制御部4がサーミスタ11Xaまたはサーモスタット11Xbの温度測定値に基づいてシーズヒータ505の温度をフィードバック制御またはフィードフォワード制御してもよい。
なお、本例では、図3の衛生洗浄装置100と同様に、超高温水または蒸気によるノズル洗浄は、着座センサ51が便座部400上に人体を検出した場合に動作しないように設定されることが望ましい。このような設定がなされることにより、使用者は、自己が便座部400に着座した状態で誤って高温ノズル洗浄スイッチ310を押下操作した場合でも、超高温水の飛散および蒸気の漏れが防止される。
また、本例では瞬間加熱装置11Xのオン/オフを切り換えることにより、図3の衛生洗浄装置100と同様に、ノズル洗浄ノズル3へ供給する洗浄水の流量を増加させもよい。この場合、必要に応じてノズル洗浄ノズル3へ供給する洗浄水の流量を増加させることができるので、ノズル洗浄時に多量の洗浄水で汚れを流すことができる。
(実施例2)
第2の実施例に係る衛生洗浄装置100は以下の点を除き第1の実施例に係る衛生洗浄装置100と同様の構成および動作を有する。
図23は、第2の実施例に係る遠隔操作装置300の一例を示す模式図である。
図23に示すように、第2の実施例に係る遠隔操作装置300は、第1の実施例に係る図2のノズル洗浄スイッチ309および高温ノズル洗浄スイッチ310に代えておしりノズル洗浄スイッチ311およびビデノズル洗浄スイッチ312を備える。
使用者によりおしりノズル洗浄スイッチ311およびビデノズル洗浄スイッチ312が押下操作される。それにより、遠隔操作装置300は、後述する衛生洗浄装置100の本体部200に設けられた制御部に所定の信号を無線送信する。本体部200の制御部は、遠隔操作装置300より無線送信される所定の信号を受信し、洗浄水供給機構等を制御する。
例えば、使用者が、おしりノズル洗浄スイッチ311を押下操作することにより図1のノズル部30に設けられるおしりノズルの洗浄水による洗浄が行われ、ビデノズル洗浄スイッチ312を押下操作することにより図1のノズル部30に設けられるビデノズルの洗浄水による洗浄が行われる。おしりノズル洗浄スイッチ311およびビデノズル洗浄スイッチ312の押下操作によるノズル部30の洗浄動作の詳細については後述する。
以下、本発明の第2の実施例に係る衛生洗浄装置100の本体部200について説明を行う。図24は本発明の第2の実施例に係る衛生洗浄装置100の本体部200の構成を示す模式図である。
図24に示す本体部200は、配管202の止水電磁弁9の下流側に逃がし水路207が直接設けられている。また、ノズル洗浄ノズル3が第1の洗浄ノズル3aおよび第2の洗浄ノズル3bから構成されており、洗浄用切替弁14Aが、ポンプ13から供給される洗浄水を、おしりノズル1、ビデノズル2、第1の洗浄ノズル3aおよび第2の洗浄ノズル3bのいずれかに供給できる構成となっている。洗浄用切替弁14AはモータM3を備える。
ここで、図24の第1の洗浄ノズル3aおよび第2の洗浄ノズル3bの詳細を図25に基づき説明する。図25は、第2の実施例に係るノズル部30の外観斜視図である。
図25において、第2の実施例に係るノズル部30は第1の実施例に係る図8のノズル部30とほぼ同様の構成を有するが、ノズル洗浄ノズル3が第1の洗浄ノズル3aおよび第2の洗浄ノズル3bから構成されている。
第1の洗浄ノズル3aは、おしりノズル1に一体成形された側壁70Wと境界片73と密閉部材3Kとからなる。第2の洗浄ノズル3bは、ビデノズル2に一体成形された側壁70Wと境界片73と密閉部材3Kとからなる。第1の洗浄ノズル3aおよび第2の洗浄ノズル3bの各々は境界片73を介して一体成形されている。
密閉部材3Kが側壁70Wおよび境界片73の上面に取り付けられることにより(図8の矢印E)、第1の洗浄水導入空間70a、第2の洗浄水導入空間70b、第1のノズル洗浄流路71および第2のノズル洗浄流路72が形成される。
第1の洗浄水導入空間70aは、密閉部材3Kの後端に位置する洗浄水導入片3Kaに設けられた貫通孔を介して外部と連通している。第2の洗浄水導入空間70bは、密閉部材3Kの後端に位置する洗浄水導入片3Kbに設けられた貫通孔を介して外部と連通している。
第1の洗浄水導入空間70aから延長して形成された第1のノズル洗浄流路71は、おしりノズル1側上面に位置する。第2の洗浄水導入空間70bから延長して形成された第2のノズル洗浄流路72は、ビデノズル2側上面に位置する。
密閉部材3Kの洗浄水導入片3Ka,3Kbには、図示しないチューブ等が取り付けられる。洗浄水導入片3Ka,3Kbはチューブを介して洗浄用切替弁14Aの任意の洗浄水出口とそれぞれ接続される。これにより、洗浄水がチューブを通じて第1の洗浄ノズル3aおよび第2の洗浄ノズル3bに供給される。
次に、使用者が、おしりノズル洗浄スイッチ311またはビデノズル洗浄スイッチ312を押下操作した場合の本体部200の動作を図24に基づき説明する。
使用者がおしりノズル洗浄スイッチ311を押下操作した場合、図24の制御部4は、例えば、次のような動作を行う。
制御部4は、図2の遠隔操作装置300から送られるノズル洗浄スイッチ311の信号を受信することにより、ポンプ13を駆動し、図4の熱交換器11のセラミックヒータ505の温度を制御する。そして、洗浄用切替弁14AのモータM3を回転させることにより、ポンプ13から第1の洗浄ノズル3aへ洗浄水を供給する。これにより、第1の洗浄ノズル3aからおしりノズル1へ洗浄水が噴出され、おしりノズル1のノズル洗浄が行われる。
上記の一連の動作は、使用者がビデノズル洗浄スイッチ312を押下操作した場合にも同様に行われる。この場合、ポンプ13から第2の洗浄ノズル3bに供給された洗浄水がビデノズル2に噴出され、ビデノズル2のノズル洗浄が行われる。
このように、本実施例に係る衛生洗浄装置100によれば、おしりノズル1およびビデノズル2に対して、個別にノズル洗浄を行うことができる。したがって、ポンプ13が駆動することにより得られる洗浄水の流量が少ない場合であっても、ポンプ13から供給される洗浄水の全てが個々のノズル洗浄に用いられるので、十分な流量でノズル洗浄を行うことができる。その結果、ノズル洗浄を行うことにより、おしりノズル1およびビデノズル2の各々がより清潔に保たれる。
上記の制御部4の動作において、制御部4はポンプ13の駆動時にポンプ13の駆動能力を低くしてもよい。この場合、ポンプ13の駆動能力が低くされることにより、熱交換器11により加熱される洗浄水の温度が上昇する。それにより、第1の洗浄ノズル3aには高温の洗浄水が供給され、おしりノズル1が高温の洗浄水により洗浄される。その結果、洗浄水の温度を約60℃程度に設定することにより、ノズル洗浄時に優れた洗浄効果および除菌効果を得ることができる。
なお、この場合、ポンプ13から第1の洗浄ノズル3aに供給される洗浄水の流量は減少するが、ポンプ13が吐出する洗浄水の全てが分流されることなく第1の洗浄ノズル3aにのみ供給されるので、第1の実施例のようにポンプ13が吐出する洗浄水を分流し、おしりノズル1およびビデノズル2を一度に洗浄する構成に比べて、ノズル洗浄時の洗浄水の流量を多くすることができる。
上記の洗浄水の温度調整は熱交換器11への電力を調整することにより行ってもよい。
高温の洗浄水によるノズル洗浄が行われる場合、制御部4は第1の実施例と同様に着座センサ51が便座部400上に人体を検出したときにノズル洗浄の動作をしない。
以上、第1および第2の実施例に係る衛生洗浄装置においては、おしりノズル1およびビデノズル2が人体洗浄ノズル装置に相当し、噴出孔401aが噴出孔に相当し、ノズル洗浄筒26,26bがノズル洗浄部材に相当し、ノズル洗浄孔26h,26hbが洗浄水導入孔に相当する。
また、シリンダ21,21bがシリンダ部に相当し、ピストン20,20bがピストン部に相当し、一流路管403が管路に相当し、ノズルカバー401がカバー部材に相当し、孔部25が孔部に相当し、流路合流部404が噴出部材に相当する。
さらに、切り欠きNVが切り欠きに相当し、シャッタSHが洗浄水飛散防止片に相当し、洗浄用切替弁14Aおよびポンプ13が第1の洗浄水供給手段に相当し、洗浄用切替弁14A、逃がし水切替弁14B、供給水路266およびポンプ13が第2の洗浄水供給手段に相当する。
また、熱交換器11および瞬間加熱装置11Xが加熱装置に相当し、着座センサ51が人体検出センサに相当し、分岐配管205が分岐配管に相当し、制御部4が制御部に相当する。