JP2005029819A - 金属蒸着フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁が不十分となることや、誘電損失が不十分となることを解消させるとともに、高速蒸着における蒸着金属膜に十分な絶縁性を付与したマージンを形成する蒸着フイルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】所定の濡れ張力を有するフィルム基材に導電性金属を連続蒸着する際に、金属蒸着フィルムに形成されたマージンのうち少なくとも一部をマージンパターンが彫刻された印刷ロールによって形成し、かつ、所定の蒸着速度により導電性金属が蒸着されることを特徴とする金属蒸着フィルムの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】所定の濡れ張力を有するフィルム基材に導電性金属を連続蒸着する際に、金属蒸着フィルムに形成されたマージンのうち少なくとも一部をマージンパターンが彫刻された印刷ロールによって形成し、かつ、所定の蒸着速度により導電性金属が蒸着されることを特徴とする金属蒸着フィルムの製造方法。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコンデンサーなどの工業用フイルム加工品およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、所定の濡れ張力を有するフィルム基材に、導電性金属を連続蒸着する金属蒸着フィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、フィルムやガラスシート状の基材の上に導電性金属、すなわちアルミニウム、金、チタン、鉄、銀、銅、スズ、インジウム、亜鉛等の金属を蒸着により金属膜を非蒸着部を残してパターン状に蒸着し、導電性の金属膜を形成する真空蒸着方法が広く行われている。このようなパターン蒸着膜を蒸着製品の例としては、例えばコンデンサー用フィルムが上げられる。
【0003】
上記パターン状の蒸着膜を蒸着基材上に形成するには、テープ或いはオイル塗布膜をマスキング材として蒸着と同時に非蒸着部となるマージンを形成する方法、或いは基材上に一様な導体膜を形成した後、レーザー光線の照射、或いはエッチング方により選択的に導電膜を除去してマージン部を形成する方法が知られている。
【0004】
しかしながら、テープをマスキング材として使用する場合、長手方向へのパターンは形成出来るものの、幅方向に伸びるパターンでは特にヒューズ部のあるパターンを形成できないという欠点がある。
【0005】
次に、レーザーでは除去された導電膜端面が、略波状になり、やはり幅に変動が生じるという欠点がある。また、エッチングを行うとその煩雑な工程から、コスト上昇につながるという弊害があった。これに対しオイルマージン方式は、上記弊害が無く、加えて、蒸気噴出または、ロールからの転写により形成されるため、コストを上昇させずかつ、安定したマージンを形成できるという利点をもつ。マスキングオイルとしてはシリコーンオイル(例えば、非特許文献1参照)、パーフルオロアルキルポリエーテル(例えば、特許文献1参照)、また古くから流動パラフィンなどが提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特公平8−26449号公報(請求項1)
【0007】
【非特許文献1】
増田次朗、「真空」、真空協会、昭和39年12月20日、第7巻、第12号、第392頁
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、流動パラフィンやシリコーンオイルではマージン部が不完全に形成され、金属部分が残ることにより絶縁が不十分となり、その為、容量減少が起こりやすく、全体の耐電圧が低下することや、マージン部と蒸着金属の境界にいわゆるボケが生じてシャープなマージンが形成されないことにより、誘電損失が不十分となることなどがあった。これらの解決策として、平均分子量を規定したパーフルオロアルキルポリエーテルを用いる方法が提案されているが、高速蒸着においては、金属部分が残ることにより絶縁が不十分となる為、コンデンサー用蒸着フィルムに求められる適切な特性が得られなかった。
【0009】
そこで本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、高速蒸着における蒸着金属膜に十分な絶縁性を付与したマージンを形成する蒸着フイルムの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の蒸着フイルムは、上記問題を解決するために、以下の構成を有する。すなわち、
(1)濡れ張力が30〜48mN/mであるフィルム基材に導電性金属を連続蒸着する金属蒸着フィルムの製造方法であって、前記基材フィルムにオイルとしてパーフルオロアルキルポリエーテルのホモポリマーを用いてマージンを形成するに際し、マージンのうち少なくとも一部がマージンパターンが彫刻された印刷ロールによって形成され、かつ、(A)、(B)から選ばれた一の条件により導電性金属が蒸着されることを特徴とする金属蒸着フィルムの製造方法。
【0011】
(A)前記導電性金属の亜鉛含有率が80重量%以上の場合、蒸着速度が600〜1000m/分
(B)前記導電性金属のアルミニウム含有率が80重量%以上の場合、蒸着速度が350〜800m/分
(2)前記オイルの分子量が1400〜10000であることを特徴とする(1)記載の金属蒸着フィルムの製造方法。
【0012】
(3)前記フィルム基材がポリプロピレン系フィルムであることを特徴とする(1)または(2)記載の金属蒸着フィルムの製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0014】
本発明のフィルム基材は、導電性金属が蒸着できるものでかつ、蒸着面の濡れ張力が30〜48mN/mであれば特に限定されないが、ポリエチレン、無延伸あるいは延伸ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィン系ポリマー、ノルボルネン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、液晶ポリマーなどの単体、またはこれら2種以上の混合物並びにポリマーアロイからなる有機高分子フイルムが好ましく、コンデンサーを形成した場合の耐電圧特性、誘電正接特性、絶縁抵抗特性に優れる点から、無延伸あるい延伸のポリプロピレン系フィルムが特に好ましく用いられる。
また、これらフィルム基材の蒸着面側に各種コーティング、スパッタ、CVD、蒸着膜が誘電率を上げるなどの諸特性を向上させるために設けられ、その結果、濡れ張力が30〜48mN/mとなった場合でも、本発明の目的を達成させる限りにおいてフィルム基材の種類は特に限定されない。
【0015】
本発明のフィルム基材として好ましく用いられるポリプロピレン系フィルムは、ポリプロピレンのホモポリマーからなるフィルム以外に、プロピレンと他のαーオレフィン(例えばエチレン、ブテンなど)の共重合体からなるフィルムであっても、またポリプロピレンと他のα−オレフイン重合体(例えばポリエチレン、ポリブテンなど)とのブレンド品からなるフィルムであってもかまわない。
【0016】
また本発明のフイルムに含有される添加剤は特に限定されるものではなく、本発明の目的とする特性に支障を及ぼさない範囲で、適宜選択添加してもよい。
【0017】
なお、基材表面はコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理などの表面処理、或いは、接着剤のコーティング層、樹脂コーティング層、溶融押し出しによる樹脂層などの積層が行われていても良いが、蒸着面の濡れ張力の均一化が容易である点からコロナ放電処理を行うことが好ましい。
【0018】
本発明の導電性金属の蒸着膜は、アルミニウムの含有率が80重量%以上、もしくは亜鉛の含有率が80重量%以上であれば特に限定されず、アルミニウム、金、チタン、鉄、銀、銅、スズ、インジウム、亜鉛などの導電性金属、或いはこれらを組み合わせたもの、またはその他の導電性金属との合金を蒸着することにより得られるが、均一で安定した導電性金属の蒸着膜を得る観点から、亜鉛単体、または亜鉛とアルミニウムの積層品、アロイ、または亜鉛とアルミニウムの合金、アルミニウム単体を用いることが好ましい。
【0019】
マージンを形成するために用いられるオイルとしては、一般にシリコーン系オイル、フッ素系オイル、流動パラフィンなどが挙げられるが、本発明に用いられるオイルには、金属蒸着フィルムの蒸着面を形成するポリプロピレンフィルム表面の濡れ張力が30〜48mN/mで、亜鉛含有率80重量%以上の場合、蒸着速度600〜1000m/分、またはアルミニウム含有率80重量以上の場合、350〜800m/分での蒸着速度において良好なマージンを得る観点から、パーフルオロアルキルポリエーテルのホモポリマーであることが必要となる。
【0020】
さらに、本発明においてマージンを形成するために用いられるオイルは分子量が平均分子量で2000以上のであることが好ましく、1400未満の低分子量のオイルが含まれないことが特に好ましい。低分子量のオイルが多く含まれるとその蒸気圧に幅が生じ、低分子量分が多く蒸発して、付着量が多くなり、適切なマージン形成が困難になるからである。さらに好ましくは、1700未満の低分子量のオイルが含まれないことが望ましい。
【0021】
本発明の金属蒸着フイルムの構成は、基材/印刷によるマージン形成/蒸着によるマージン形成/金属蒸着膜/または金属蒸着膜の積層、及びまたは金属膜の混合(アロイ)を取るが、更に金属膜保護のためのオイル膜、高分子膜、酸化膜の形成、並びにフィルム基材と金属蒸着膜との間に高分子間膜、酸化膜が形成されても良く、これら金属蒸着膜前後の膜の働きを強めるために放射線処理を行っても構わない。
【0022】
ここでいう放射線とは紫外線、赤外線、電子線、イオン粒子、α線、β線、γ線、励起原子、励起分子、グロー放電、プラズマなどを指す。特に放射線が、電子線、不活性原子イオン、酸素イオンまたは励起酸素(分子または原子)からなる群から選ばれた少なくとも1種以上であることが好ましい。不活性原子イオン、酸素イオン、励起酸素(分子または原子)は不活性ガス、または/及び酸素原子を含む分子からなるガス、或いは他のガスとの混合ガスを用いたプラズマ中に存在し、よって有機物層をプラズマにさらすことによっても有機物を重合及び/または架橋させることができる。通常、プラズマ中のイオン、励起ガス粒子は有機化合物層深くには進入できないが、本発明では有機物層の厚みが薄いので重合及び/または架橋可能である。またプラズマの際に酸素ガス、アルゴンガスなどのガスを用いても良い。
【0023】
次に図1に基づいて、導電性金属のフィルム基材への連続蒸着方法の概要を説明する。
【0024】
本発明で用いられる蒸着機は、図1に示すような構造となっている。
未蒸着の巻き出しフィルム2から巻き出されたフイルム基材は、数本のロール間を通過した後に、転写ロール7を介して印刷ロール6表面に形成したマージンオイル8が転写される。
【0025】
ここでの転写ロール7の表面はエッチング、ブラストなどの表面処理が行われたものや、多孔質のもの、また、金属繊維、合成繊維、天然繊維やそれらの織物を巻いたもの、及びそれらの複合体であっても良く、それ以外に所定量のオイルを保持し、転写ロールに転写できるものであれば特に材質、形状に制限されるものではない。
【0026】
また、転写ロール7へのオイル塗布方法も蒸発によるもの、オイル液面に接触する方法にいずれでも構わなく、更に塗布の後にドクタープレートなどによりオイルの塗布量を制御することが行われても良く、所定の量が塗布されれば方法に制限されない。
【0027】
印刷ロール6の材質は、金属、樹脂、ゴム(エラストマーを含む)その他の単体、多孔質体、並びそれらの複合体であって良く、彫刻機による所定形状・精度を形成できる材質であれば特に制限を受けない。ここでいう彫刻とは、印刷ロール6の半径方向にオイルを転写する部分が凸部として残るように刻み掘ることを意味する。凸部となった転写部の表面には転写量を制御するためのエッジングまたは鏡面化などの表面処理などが彫刻前後に施されていても特に構わない。
【0028】
更に、フィルム基材は、ノズル9上面から蒸発したオイルがフィルムに蒸着され、長手方向のマージンを形成される。その後クーリングドラムに接触しながら所定の導電性金属が蒸着され、その後、数本のロール間を通って巻き取られ、巻き取りフィルム3となる。長手方向のマージンを形成する方法として、オイルを用いているが、テープなど他の方法を用いて形成しても、特に構わない。
【0029】
なお、本発明の製造方法において導電性金属の蒸着速度は、高速蒸着において金属部分がほとんど残らず十分な絶縁性を有し、コンデンサー用蒸着フィルムに求められる適切な特性を付与するため、導電性金属中に含まれる金属種の配合割合によって適切に設定する必要があり、かかる観点から導電性金属の亜鉛含有率が80重量%以上の場合は蒸着速度が600〜1000m/分、導電性金属のアルミニウム含有率が80重量%以上の場合は蒸着速度が350〜800m/分であることが必要となり、導電性金属の亜鉛含有率が80重量%以上の場合は蒸着速度が600〜800m/分、導電性金属のアルミニウム含有率が80重量%以上の場合は蒸着速度が350〜600m/分とするとより安定した絶縁性を得ることが出来る。すなわち、蒸着する導電性金属の配合割合に応じて蒸着速度を制御する必要があるのは、蒸着金属膜抵抗値が蒸着金属膜厚さのみならず、蒸着する導電性金属によっても変わるからであり、本発明により得られた金属蒸着フィルムがコンデンサ用途に好適に用いられるためには、膜抵抗値が1.5〜20Ω/□であることが好ましく、このような金属蒸着フィルムを製造するためには、前記蒸着速度に制御する必要があるということを意味している。
【0030】
このようにして得られた巻き取りフィルム3は、例えば図2に示すヘビーエッジタイプのTマージン金属蒸着フィルムの場合、蒸着金属層11の中にTマージン10や長手方向のマージン12を精度良く形成されており、蒸着金属膜に十分な絶縁性を付与したマージンを形成することが可能となる。
【0031】
へビーエッジとは、導電性金属膜が、他に比べて厚い部分を示す。ヘビーエッジ形成方法としては蒸着源情報にスリット板を設け、ヘビーエッジを形成する箇所のスリットを長手方向に長くする方法や、蒸着ステージを多数設け、所定の箇所を厚くする方法があるが、いずれの方法を用いても良い。ここでは、前者の方法を用いてヘビーエッジを形成している。
【0032】
長手方向マージン12,並びにTマージン10は絶縁性が得られれば特にその寸法に制限はないが形成されるマージンの精度から、0.1mm以上が好ましい。
【0033】
【実施例】
次に、本発明に用いる測定法及び評価法について説明する。
【0034】
(1)フィルム基材濡れ張力
JIS K6768(1990)「プラスチック−フィルム及びシート−濡れ張力試験方法」に準拠。
【0035】
(2)マージン導通
マージンを挟んで、両側に金属膜が存在するようにサンプルを切り取り、市販のテスター(三和電気計器(株)製 GP−5)で導通試験を行い、導通がないことを確認する。
【0036】
以下、本発明の詳細につき実施例を用いてさらに説明する。
【0037】
(実施例1)
幅630mm、厚み3.8μmの表面処理を行い蒸着面の濡れ張力を43mN/mとした2軸延伸ポリプロピレンフィルムロール〔東レ(株)製:製品名「トレファン2172」〕に5×10−3torrに排気した真空蒸着機内で、まず、予めオイル蒸発器の中に供給しておいたフッ素系オイル〔デュポン製「クライトックス CBF103B」〕を100℃以上に加熱し、オイル蒸発器上部に設けられたスリットを通して転写ロールに蒸気状のオイルを供給、付着させ、次いで転写ロールの表面に形成されたオイルを、図2に示すヘビーエッジタイプTマージンといわれるパターン彫刻が施された印刷ロールに転写させ、更に印刷ロールの彫刻パターン表面に形成されたオイル層を連続的に巻き出し側から巻き取り側に移動するフィルムに転写をさせた。次いで、長手方向マージンを形成後、冷却ロール下部で95重量%の亜鉛、5重量%のアルミニウムの順で膜抵抗がヘビー部で3〜4Ω/□、アクティブ部で7〜8Ω/□となるように蒸着した。本操作は長さ20000mのフイルムを用い蒸着速度720m/minで連続的に行われた。
【0038】
実施例1ではほぼフィルム全長に渡って安定したマージンが形成された金属蒸着フィルムが得られた。マージンを挟んで両側に金属膜が形成されるようにサンプルを切り取って導通チェックを行ったところ、導通はないことが確認された。
【0039】
(比較例1)
比較例1では使用したオイルをコポリマーのパーフルオロアルキルエーテル〔アウジモント製「フォンブリン Y−04」〕とした以外の条件は実施例1と同一とした。蒸着後、実施例1と同様にマージン部の目視並びに導通チェックを行ったが、マージン形成部に金属付着と思われるものが見られ、かつ、導通が認められた。
【0040】
(実施例2)
幅630mm、厚み3.8μmの表面処理を行い蒸着面の濡れ張力を38mN/mとした2軸延伸ポリプロピレンフィルムロール〔東レ(株)製:製品名「トレファン2172」〕に5×10−3torrに排気した真空蒸着機内で、まず、予めオイル蒸発器の中に供給しておいたフッ素系オイル〔デュポン製「クライトックス CBF103B」〕を100℃以上に加熱し、オイル蒸発器上部に設けられたスリットを通して転写ロールに蒸気状のオイルを供給、付着させ、次いで転写ロールの表面に形成されたオイルを、図2に示すヘビーエッジタイプTマージンと言われるパターン彫刻が施された印刷ロールに転写させ、更に印刷ロールの彫刻パターン表面に形成されたオイル層を連続的に巻き出し側から巻き取り側に移動するフィルムに転写をさせた。次いで、長手方向マージンを形成後、冷却ロール下部で亜鉛を膜抵抗がヘビー部で3〜4Ω/□、アクティブ部で7〜8Ω/□となるように蒸着した。本操作は長さ20000mのフイルムを用い蒸着速度720m/minで連続的に行われた。
【0041】
実施例2でもほぼフィルム全長に渡って安定したマージンが形成された金属蒸着フィルムが得られた。マージンを挟んで両側に金属膜が形成されるようにサンプルを切り取って導通チェックを行ったところ、導通はないことが確認された。
【0042】
(実施例3)
幅630mm、厚み3.8μmの表面処理を行い蒸着面の濡れ張力を43mN/mとした2軸延伸ポリプロピレンフィルムロール〔東レ(株)製:製品名「トレファン2172」〕に5×10−3torrに排気した真空蒸着機内で、まず、予めオイル蒸発器の中に供給しておいたフッ素系オイル〔デュポン製「クライトックス CBF103B」〕を100℃以上に加熱し、オイル蒸発器上部に設けられたスリットを通して転写ロールに蒸気状のオイルを供給、付着させ、次いで転写ロールの表面に形成されたオイルを、図2に示すヘビーエッジタイプTマージンといわれるパターン彫刻が施された印刷ロールに転写させ、更に印刷ロールの彫刻パターン表面に形成されたオイル層を連続的に巻き出し側から巻き取り側に移動するフィルムに転写をさせた。次いで、長手方向マージンを形成後、冷却ロール下部でアルミニウムを膜抵抗がヘビー部で3〜4Ω/□、アクティブ部で7〜8Ω/□となるように蒸着した。本操作は長さ20000mのフイルムを用い蒸着速度410m/minで連続的に行われた。
【0043】
実施例3ではほぼフィルム全長に渡って安定したマージンが形成された金属蒸着フィルムが得られた。マージンを挟んで両側に金属膜が形成されるようにサンプルを切り取って導通チェックを行ったところ、導通はないことが確認された。
【0044】
(比較例2)
比較例2では使用したオイルをコポリマーのパーフルオロアルキルエーテル〔アウジモント製「フォンブリン Y−04」〕とした以外の条件は実施例3と同一とした。蒸着後、実施例3と同様にマージン部の目視並びに導通チェックを行ったが、マージン形成部に金属付着と思われるものが見られ、かつ、導通が認められた。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】
不完全なマージン形成、金属部分の残存により絶縁が不十分なため、容量減少、耐電圧低下を招いたり、マージン部と蒸着金属の境界にシャープなマージンが形成されないことにより誘電損失が不十分であった従来の問題点を解決し、高速蒸着における蒸着金属膜に十分な絶縁性を付与したマージンを形成する蒸着フイルムを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属蒸着フィルムを得るための蒸着方法の一例である。
【図2】本発明のTマージン金属蒸着フィルムの一例である。
【符号の説明】
1 :蒸着機本体
2 :巻き出しフィルム
3 :巻き取りフィルム
4 :クーリングドラム
5 :金属蒸着源
6 :印刷ロール
7 :転写ロール
8 :マージンオイル
9 :ノズル
10 :Tマージン
11 :蒸着金属層
12 :長手方向のマージン
13 :フィルム基材
14 :ヘビー部
15 :アクティブ部
【発明の属する技術分野】
本発明はコンデンサーなどの工業用フイルム加工品およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、所定の濡れ張力を有するフィルム基材に、導電性金属を連続蒸着する金属蒸着フィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、フィルムやガラスシート状の基材の上に導電性金属、すなわちアルミニウム、金、チタン、鉄、銀、銅、スズ、インジウム、亜鉛等の金属を蒸着により金属膜を非蒸着部を残してパターン状に蒸着し、導電性の金属膜を形成する真空蒸着方法が広く行われている。このようなパターン蒸着膜を蒸着製品の例としては、例えばコンデンサー用フィルムが上げられる。
【0003】
上記パターン状の蒸着膜を蒸着基材上に形成するには、テープ或いはオイル塗布膜をマスキング材として蒸着と同時に非蒸着部となるマージンを形成する方法、或いは基材上に一様な導体膜を形成した後、レーザー光線の照射、或いはエッチング方により選択的に導電膜を除去してマージン部を形成する方法が知られている。
【0004】
しかしながら、テープをマスキング材として使用する場合、長手方向へのパターンは形成出来るものの、幅方向に伸びるパターンでは特にヒューズ部のあるパターンを形成できないという欠点がある。
【0005】
次に、レーザーでは除去された導電膜端面が、略波状になり、やはり幅に変動が生じるという欠点がある。また、エッチングを行うとその煩雑な工程から、コスト上昇につながるという弊害があった。これに対しオイルマージン方式は、上記弊害が無く、加えて、蒸気噴出または、ロールからの転写により形成されるため、コストを上昇させずかつ、安定したマージンを形成できるという利点をもつ。マスキングオイルとしてはシリコーンオイル(例えば、非特許文献1参照)、パーフルオロアルキルポリエーテル(例えば、特許文献1参照)、また古くから流動パラフィンなどが提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特公平8−26449号公報(請求項1)
【0007】
【非特許文献1】
増田次朗、「真空」、真空協会、昭和39年12月20日、第7巻、第12号、第392頁
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、流動パラフィンやシリコーンオイルではマージン部が不完全に形成され、金属部分が残ることにより絶縁が不十分となり、その為、容量減少が起こりやすく、全体の耐電圧が低下することや、マージン部と蒸着金属の境界にいわゆるボケが生じてシャープなマージンが形成されないことにより、誘電損失が不十分となることなどがあった。これらの解決策として、平均分子量を規定したパーフルオロアルキルポリエーテルを用いる方法が提案されているが、高速蒸着においては、金属部分が残ることにより絶縁が不十分となる為、コンデンサー用蒸着フィルムに求められる適切な特性が得られなかった。
【0009】
そこで本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、高速蒸着における蒸着金属膜に十分な絶縁性を付与したマージンを形成する蒸着フイルムの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の蒸着フイルムは、上記問題を解決するために、以下の構成を有する。すなわち、
(1)濡れ張力が30〜48mN/mであるフィルム基材に導電性金属を連続蒸着する金属蒸着フィルムの製造方法であって、前記基材フィルムにオイルとしてパーフルオロアルキルポリエーテルのホモポリマーを用いてマージンを形成するに際し、マージンのうち少なくとも一部がマージンパターンが彫刻された印刷ロールによって形成され、かつ、(A)、(B)から選ばれた一の条件により導電性金属が蒸着されることを特徴とする金属蒸着フィルムの製造方法。
【0011】
(A)前記導電性金属の亜鉛含有率が80重量%以上の場合、蒸着速度が600〜1000m/分
(B)前記導電性金属のアルミニウム含有率が80重量%以上の場合、蒸着速度が350〜800m/分
(2)前記オイルの分子量が1400〜10000であることを特徴とする(1)記載の金属蒸着フィルムの製造方法。
【0012】
(3)前記フィルム基材がポリプロピレン系フィルムであることを特徴とする(1)または(2)記載の金属蒸着フィルムの製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0014】
本発明のフィルム基材は、導電性金属が蒸着できるものでかつ、蒸着面の濡れ張力が30〜48mN/mであれば特に限定されないが、ポリエチレン、無延伸あるいは延伸ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィン系ポリマー、ノルボルネン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、液晶ポリマーなどの単体、またはこれら2種以上の混合物並びにポリマーアロイからなる有機高分子フイルムが好ましく、コンデンサーを形成した場合の耐電圧特性、誘電正接特性、絶縁抵抗特性に優れる点から、無延伸あるい延伸のポリプロピレン系フィルムが特に好ましく用いられる。
また、これらフィルム基材の蒸着面側に各種コーティング、スパッタ、CVD、蒸着膜が誘電率を上げるなどの諸特性を向上させるために設けられ、その結果、濡れ張力が30〜48mN/mとなった場合でも、本発明の目的を達成させる限りにおいてフィルム基材の種類は特に限定されない。
【0015】
本発明のフィルム基材として好ましく用いられるポリプロピレン系フィルムは、ポリプロピレンのホモポリマーからなるフィルム以外に、プロピレンと他のαーオレフィン(例えばエチレン、ブテンなど)の共重合体からなるフィルムであっても、またポリプロピレンと他のα−オレフイン重合体(例えばポリエチレン、ポリブテンなど)とのブレンド品からなるフィルムであってもかまわない。
【0016】
また本発明のフイルムに含有される添加剤は特に限定されるものではなく、本発明の目的とする特性に支障を及ぼさない範囲で、適宜選択添加してもよい。
【0017】
なお、基材表面はコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理などの表面処理、或いは、接着剤のコーティング層、樹脂コーティング層、溶融押し出しによる樹脂層などの積層が行われていても良いが、蒸着面の濡れ張力の均一化が容易である点からコロナ放電処理を行うことが好ましい。
【0018】
本発明の導電性金属の蒸着膜は、アルミニウムの含有率が80重量%以上、もしくは亜鉛の含有率が80重量%以上であれば特に限定されず、アルミニウム、金、チタン、鉄、銀、銅、スズ、インジウム、亜鉛などの導電性金属、或いはこれらを組み合わせたもの、またはその他の導電性金属との合金を蒸着することにより得られるが、均一で安定した導電性金属の蒸着膜を得る観点から、亜鉛単体、または亜鉛とアルミニウムの積層品、アロイ、または亜鉛とアルミニウムの合金、アルミニウム単体を用いることが好ましい。
【0019】
マージンを形成するために用いられるオイルとしては、一般にシリコーン系オイル、フッ素系オイル、流動パラフィンなどが挙げられるが、本発明に用いられるオイルには、金属蒸着フィルムの蒸着面を形成するポリプロピレンフィルム表面の濡れ張力が30〜48mN/mで、亜鉛含有率80重量%以上の場合、蒸着速度600〜1000m/分、またはアルミニウム含有率80重量以上の場合、350〜800m/分での蒸着速度において良好なマージンを得る観点から、パーフルオロアルキルポリエーテルのホモポリマーであることが必要となる。
【0020】
さらに、本発明においてマージンを形成するために用いられるオイルは分子量が平均分子量で2000以上のであることが好ましく、1400未満の低分子量のオイルが含まれないことが特に好ましい。低分子量のオイルが多く含まれるとその蒸気圧に幅が生じ、低分子量分が多く蒸発して、付着量が多くなり、適切なマージン形成が困難になるからである。さらに好ましくは、1700未満の低分子量のオイルが含まれないことが望ましい。
【0021】
本発明の金属蒸着フイルムの構成は、基材/印刷によるマージン形成/蒸着によるマージン形成/金属蒸着膜/または金属蒸着膜の積層、及びまたは金属膜の混合(アロイ)を取るが、更に金属膜保護のためのオイル膜、高分子膜、酸化膜の形成、並びにフィルム基材と金属蒸着膜との間に高分子間膜、酸化膜が形成されても良く、これら金属蒸着膜前後の膜の働きを強めるために放射線処理を行っても構わない。
【0022】
ここでいう放射線とは紫外線、赤外線、電子線、イオン粒子、α線、β線、γ線、励起原子、励起分子、グロー放電、プラズマなどを指す。特に放射線が、電子線、不活性原子イオン、酸素イオンまたは励起酸素(分子または原子)からなる群から選ばれた少なくとも1種以上であることが好ましい。不活性原子イオン、酸素イオン、励起酸素(分子または原子)は不活性ガス、または/及び酸素原子を含む分子からなるガス、或いは他のガスとの混合ガスを用いたプラズマ中に存在し、よって有機物層をプラズマにさらすことによっても有機物を重合及び/または架橋させることができる。通常、プラズマ中のイオン、励起ガス粒子は有機化合物層深くには進入できないが、本発明では有機物層の厚みが薄いので重合及び/または架橋可能である。またプラズマの際に酸素ガス、アルゴンガスなどのガスを用いても良い。
【0023】
次に図1に基づいて、導電性金属のフィルム基材への連続蒸着方法の概要を説明する。
【0024】
本発明で用いられる蒸着機は、図1に示すような構造となっている。
未蒸着の巻き出しフィルム2から巻き出されたフイルム基材は、数本のロール間を通過した後に、転写ロール7を介して印刷ロール6表面に形成したマージンオイル8が転写される。
【0025】
ここでの転写ロール7の表面はエッチング、ブラストなどの表面処理が行われたものや、多孔質のもの、また、金属繊維、合成繊維、天然繊維やそれらの織物を巻いたもの、及びそれらの複合体であっても良く、それ以外に所定量のオイルを保持し、転写ロールに転写できるものであれば特に材質、形状に制限されるものではない。
【0026】
また、転写ロール7へのオイル塗布方法も蒸発によるもの、オイル液面に接触する方法にいずれでも構わなく、更に塗布の後にドクタープレートなどによりオイルの塗布量を制御することが行われても良く、所定の量が塗布されれば方法に制限されない。
【0027】
印刷ロール6の材質は、金属、樹脂、ゴム(エラストマーを含む)その他の単体、多孔質体、並びそれらの複合体であって良く、彫刻機による所定形状・精度を形成できる材質であれば特に制限を受けない。ここでいう彫刻とは、印刷ロール6の半径方向にオイルを転写する部分が凸部として残るように刻み掘ることを意味する。凸部となった転写部の表面には転写量を制御するためのエッジングまたは鏡面化などの表面処理などが彫刻前後に施されていても特に構わない。
【0028】
更に、フィルム基材は、ノズル9上面から蒸発したオイルがフィルムに蒸着され、長手方向のマージンを形成される。その後クーリングドラムに接触しながら所定の導電性金属が蒸着され、その後、数本のロール間を通って巻き取られ、巻き取りフィルム3となる。長手方向のマージンを形成する方法として、オイルを用いているが、テープなど他の方法を用いて形成しても、特に構わない。
【0029】
なお、本発明の製造方法において導電性金属の蒸着速度は、高速蒸着において金属部分がほとんど残らず十分な絶縁性を有し、コンデンサー用蒸着フィルムに求められる適切な特性を付与するため、導電性金属中に含まれる金属種の配合割合によって適切に設定する必要があり、かかる観点から導電性金属の亜鉛含有率が80重量%以上の場合は蒸着速度が600〜1000m/分、導電性金属のアルミニウム含有率が80重量%以上の場合は蒸着速度が350〜800m/分であることが必要となり、導電性金属の亜鉛含有率が80重量%以上の場合は蒸着速度が600〜800m/分、導電性金属のアルミニウム含有率が80重量%以上の場合は蒸着速度が350〜600m/分とするとより安定した絶縁性を得ることが出来る。すなわち、蒸着する導電性金属の配合割合に応じて蒸着速度を制御する必要があるのは、蒸着金属膜抵抗値が蒸着金属膜厚さのみならず、蒸着する導電性金属によっても変わるからであり、本発明により得られた金属蒸着フィルムがコンデンサ用途に好適に用いられるためには、膜抵抗値が1.5〜20Ω/□であることが好ましく、このような金属蒸着フィルムを製造するためには、前記蒸着速度に制御する必要があるということを意味している。
【0030】
このようにして得られた巻き取りフィルム3は、例えば図2に示すヘビーエッジタイプのTマージン金属蒸着フィルムの場合、蒸着金属層11の中にTマージン10や長手方向のマージン12を精度良く形成されており、蒸着金属膜に十分な絶縁性を付与したマージンを形成することが可能となる。
【0031】
へビーエッジとは、導電性金属膜が、他に比べて厚い部分を示す。ヘビーエッジ形成方法としては蒸着源情報にスリット板を設け、ヘビーエッジを形成する箇所のスリットを長手方向に長くする方法や、蒸着ステージを多数設け、所定の箇所を厚くする方法があるが、いずれの方法を用いても良い。ここでは、前者の方法を用いてヘビーエッジを形成している。
【0032】
長手方向マージン12,並びにTマージン10は絶縁性が得られれば特にその寸法に制限はないが形成されるマージンの精度から、0.1mm以上が好ましい。
【0033】
【実施例】
次に、本発明に用いる測定法及び評価法について説明する。
【0034】
(1)フィルム基材濡れ張力
JIS K6768(1990)「プラスチック−フィルム及びシート−濡れ張力試験方法」に準拠。
【0035】
(2)マージン導通
マージンを挟んで、両側に金属膜が存在するようにサンプルを切り取り、市販のテスター(三和電気計器(株)製 GP−5)で導通試験を行い、導通がないことを確認する。
【0036】
以下、本発明の詳細につき実施例を用いてさらに説明する。
【0037】
(実施例1)
幅630mm、厚み3.8μmの表面処理を行い蒸着面の濡れ張力を43mN/mとした2軸延伸ポリプロピレンフィルムロール〔東レ(株)製:製品名「トレファン2172」〕に5×10−3torrに排気した真空蒸着機内で、まず、予めオイル蒸発器の中に供給しておいたフッ素系オイル〔デュポン製「クライトックス CBF103B」〕を100℃以上に加熱し、オイル蒸発器上部に設けられたスリットを通して転写ロールに蒸気状のオイルを供給、付着させ、次いで転写ロールの表面に形成されたオイルを、図2に示すヘビーエッジタイプTマージンといわれるパターン彫刻が施された印刷ロールに転写させ、更に印刷ロールの彫刻パターン表面に形成されたオイル層を連続的に巻き出し側から巻き取り側に移動するフィルムに転写をさせた。次いで、長手方向マージンを形成後、冷却ロール下部で95重量%の亜鉛、5重量%のアルミニウムの順で膜抵抗がヘビー部で3〜4Ω/□、アクティブ部で7〜8Ω/□となるように蒸着した。本操作は長さ20000mのフイルムを用い蒸着速度720m/minで連続的に行われた。
【0038】
実施例1ではほぼフィルム全長に渡って安定したマージンが形成された金属蒸着フィルムが得られた。マージンを挟んで両側に金属膜が形成されるようにサンプルを切り取って導通チェックを行ったところ、導通はないことが確認された。
【0039】
(比較例1)
比較例1では使用したオイルをコポリマーのパーフルオロアルキルエーテル〔アウジモント製「フォンブリン Y−04」〕とした以外の条件は実施例1と同一とした。蒸着後、実施例1と同様にマージン部の目視並びに導通チェックを行ったが、マージン形成部に金属付着と思われるものが見られ、かつ、導通が認められた。
【0040】
(実施例2)
幅630mm、厚み3.8μmの表面処理を行い蒸着面の濡れ張力を38mN/mとした2軸延伸ポリプロピレンフィルムロール〔東レ(株)製:製品名「トレファン2172」〕に5×10−3torrに排気した真空蒸着機内で、まず、予めオイル蒸発器の中に供給しておいたフッ素系オイル〔デュポン製「クライトックス CBF103B」〕を100℃以上に加熱し、オイル蒸発器上部に設けられたスリットを通して転写ロールに蒸気状のオイルを供給、付着させ、次いで転写ロールの表面に形成されたオイルを、図2に示すヘビーエッジタイプTマージンと言われるパターン彫刻が施された印刷ロールに転写させ、更に印刷ロールの彫刻パターン表面に形成されたオイル層を連続的に巻き出し側から巻き取り側に移動するフィルムに転写をさせた。次いで、長手方向マージンを形成後、冷却ロール下部で亜鉛を膜抵抗がヘビー部で3〜4Ω/□、アクティブ部で7〜8Ω/□となるように蒸着した。本操作は長さ20000mのフイルムを用い蒸着速度720m/minで連続的に行われた。
【0041】
実施例2でもほぼフィルム全長に渡って安定したマージンが形成された金属蒸着フィルムが得られた。マージンを挟んで両側に金属膜が形成されるようにサンプルを切り取って導通チェックを行ったところ、導通はないことが確認された。
【0042】
(実施例3)
幅630mm、厚み3.8μmの表面処理を行い蒸着面の濡れ張力を43mN/mとした2軸延伸ポリプロピレンフィルムロール〔東レ(株)製:製品名「トレファン2172」〕に5×10−3torrに排気した真空蒸着機内で、まず、予めオイル蒸発器の中に供給しておいたフッ素系オイル〔デュポン製「クライトックス CBF103B」〕を100℃以上に加熱し、オイル蒸発器上部に設けられたスリットを通して転写ロールに蒸気状のオイルを供給、付着させ、次いで転写ロールの表面に形成されたオイルを、図2に示すヘビーエッジタイプTマージンといわれるパターン彫刻が施された印刷ロールに転写させ、更に印刷ロールの彫刻パターン表面に形成されたオイル層を連続的に巻き出し側から巻き取り側に移動するフィルムに転写をさせた。次いで、長手方向マージンを形成後、冷却ロール下部でアルミニウムを膜抵抗がヘビー部で3〜4Ω/□、アクティブ部で7〜8Ω/□となるように蒸着した。本操作は長さ20000mのフイルムを用い蒸着速度410m/minで連続的に行われた。
【0043】
実施例3ではほぼフィルム全長に渡って安定したマージンが形成された金属蒸着フィルムが得られた。マージンを挟んで両側に金属膜が形成されるようにサンプルを切り取って導通チェックを行ったところ、導通はないことが確認された。
【0044】
(比較例2)
比較例2では使用したオイルをコポリマーのパーフルオロアルキルエーテル〔アウジモント製「フォンブリン Y−04」〕とした以外の条件は実施例3と同一とした。蒸着後、実施例3と同様にマージン部の目視並びに導通チェックを行ったが、マージン形成部に金属付着と思われるものが見られ、かつ、導通が認められた。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】
不完全なマージン形成、金属部分の残存により絶縁が不十分なため、容量減少、耐電圧低下を招いたり、マージン部と蒸着金属の境界にシャープなマージンが形成されないことにより誘電損失が不十分であった従来の問題点を解決し、高速蒸着における蒸着金属膜に十分な絶縁性を付与したマージンを形成する蒸着フイルムを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属蒸着フィルムを得るための蒸着方法の一例である。
【図2】本発明のTマージン金属蒸着フィルムの一例である。
【符号の説明】
1 :蒸着機本体
2 :巻き出しフィルム
3 :巻き取りフィルム
4 :クーリングドラム
5 :金属蒸着源
6 :印刷ロール
7 :転写ロール
8 :マージンオイル
9 :ノズル
10 :Tマージン
11 :蒸着金属層
12 :長手方向のマージン
13 :フィルム基材
14 :ヘビー部
15 :アクティブ部
Claims (3)
- 濡れ張力が30〜48mN/mであるフィルム基材に導電性金属を連続蒸着する金属蒸着フィルムの製造方法であって、前記基材フィルムにオイルとしてパーフルオロアルキルポリエーテルのホモポリマーを用いてマージンを形成するに際し、マージンのうち少なくとも一部がマージンパターンが彫刻された印刷ロールによって形成され、かつ、(A)、(B)から選ばれた一の条件により導電性金属が蒸着されることを特徴とする金属蒸着フィルムの製造方法。
(A)前記導電性金属の亜鉛含有率が80重量%以上の場合、蒸着速度が600〜1000m/分
(B)前記導電性金属のアルミニウム含有率が80重量%以上の場合、蒸着速度が350〜800m/分 - 前記オイルの分子量が1400〜10000であることを特徴とする請求項1記載の金属蒸着フィルムの製造方法。
- 前記フィルム基材がポリプロピレン系フィルムであることを特徴とする請求項1または2記載の金属蒸着フィルムの製造方法。
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JP2007103927A (ja) * | 2005-09-12 | 2007-04-19 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 金属化フィルムコンデンサ |
JP2012033753A (ja) * | 2010-07-30 | 2012-02-16 | Nichicon Corp | 金属化フィルムコンデンサ |
CN111206218A (zh) * | 2020-01-10 | 2020-05-29 | 安徽赛福电子有限公司 | 一种电容器用金属化膜的制作方法 |
-
2003
- 2003-07-09 JP JP2003194158A patent/JP2005029819A/ja active Pending
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