JP2005029488A - 血圧降下剤およびGly−Pro - Google Patents

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Susumu Maruyama
進 丸山
Toshiaki Ichimura
年昭 市村
Tatsuro Otsuka
龍郎 大塚
Eiichi Yamashita
栄一 山下
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Abstract

【課題】長時間にわたり優れた血圧降下作用を発揮することができる血圧降下剤と、該血圧降下剤の原料として有用なGly−Proとを提供する。
【解決手段】血圧降下剤は、Gly−Proもしくはその塩を有効成分とする。Gly−Proは、コラーゲンおよび/またはゼラチンを黄色コウジカビ由来プロテアーゼおよび/またはブロメラインによって酵素加水分解して得られるものである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血圧降下剤および該血圧降下剤の原料として有用なGly−Proに関する。
【0002】
【従来の技術】
血圧降下剤としては、1)血管収縮作用を起こすカルシウムが血管細胞へ取り込まれるのを阻害することにより血管を拡張させて血圧の上昇を防ぐもの(いわゆるカルシウム拮抗剤)、2)内因性昇圧物質であり血管収縮作用を招くアンジオテンシンIIの生成を、アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの変換過程で必要なアンジオテンシンI変換酵素の作用を抑制することにより阻害し、血圧上昇を抑制するもの(いわゆるアンジオテンシンI変換酵素阻害剤)、3)アンジオテンシンIIと受容体レベルで拮抗することにより降圧作用を示すもの(いわゆるアンジオテンシンII受容体拮抗剤)、4)交感神経を抑えて血管を拡げるもの(いわゆるα受容体遮断剤)、5)心臓の働きを抑えて血圧を下げるもの(いわゆるβ受容体遮断剤)、6)腎臓の機能単位であるネフロンの尿細管や集合管に作用し、体内のナトリウムと水分の排泄(利尿)を促し体液量(血液量)を減らすことによって血圧を下げるもの(いわゆる利尿剤)、などが古くから知られている。
【0003】
このように、血圧降下剤としては種々の作用機構によるものがあるが、近年、種々のタンパク質の分解物に含まれるペプチドにアンジオテンシンI変換酵素阻害活性があることが見出され、多数報告されており(例えば、非特許文献1、特許文献1、特許文献2、特許文献3、非特許文献2、非特許文献3等参照)、それ以来、前記2)のアンジオテンシンI変換酵素阻害剤として、ペプチドもしくはその塩を有効成分とする血圧降下剤が注目されている。これは、食品を原料として得ることができるペプチドもしくはその塩を有効成分とすることで、安全性が確保できる等の利点が期待されるからであり、例えば、牛乳カゼイン、発酵乳、鰹節、イワシなどを由来としたアンジオテンシンI変換酵素阻害活性を有するペプチドが、血圧が高めの人向けの特定保健用食品としてこれまでに実用化されている。
【0004】
しかし、一般に、ペプチドは生体内の酵素による加水分解を受けやすいため、これまでのアンジオテンシンI変換酵素阻害活性を有するペプチドでは、体内に取り込まれてからの血圧降下作用の持続時間が短く、例えば、単回経口投与による血圧降下作用の持続時間は通常8時間程度であり、充分な効果を期待するには1日に3回程度の服用もしくは摂取が必要であった。
ところで、従来、アンジオテンシンI変換酵素阻害剤として効果があるかどうかは、アンジオテンシンI変換酵素阻害活性を調べることにより判断されるのが一般的であり、各種ペプチドのアンジオテンシンI変換酵素阻害活性が報告されていた(例えば、非特許文献4参照)。このなかで、Gly−Proは、アンジオテンシンI変換酵素阻害活性が50%阻害活性値で450μMと極めて微弱であり、アンジオテンシンI変換酵素阻害剤としては適さないことが報告されていたことから、これまでGly−Proには血圧降下作用は期待できないと考えられていた。また、Gly−Proは、ジペプチドであるので、ポリペプチドを加水分解して製造するよりも、アミノ酸を結合させて製造する方が合理的と考えられていたため、化学的合成手法によって得るのが一般的であった。
【0005】
【特許文献1】
特公昭60−23085号公報
【0006】
【特許文献2】
特公昭61−51562号公報
【0007】
【特許文献3】
特公昭61−51564号公報
【0008】
【非特許文献1】
Biochimica et Biophysica Acta,Vol.566,128−137(1979)
【0009】
【非特許文献2】
Biopolymers,Vol.43,119−128(1997)
【0010】
【非特許文献3】
Biopolymers,Vol.43,129−134(1997)
【0011】
【非特許文献4】
The Journal of Biological Chemistry,Vol.255,401−407(1980)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ペプチドもしくはその塩を有効成分とする血圧降下剤であって、長時間にわたり優れた血圧降下作用を発揮することができる血圧降下剤と、該血圧降下剤の原料として有用なGly−Proとを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、Gly−Proが、鏡像異性体のないアミノ酸であるグリシンと環状のアミノ酸であるプロリンとから構成される特異なペプチドであることに着目し、上記課題を解決するべく、鋭意検討を行った。その結果、アンジオテンシンI変換酵素阻害活性が極めて微弱であり、これまで血圧降下作用は期待できないと考えられていたGly−Proが、その作用機構が不明であるものの、予想に反し、高血圧自然発症ラットへの経口投与試験において優れた血圧降下作用を示すこと、しかもその血圧降下作用は24時間以上の長時間持続することを見出した。また、コラーゲンおよび/またはゼラチンを特定の酵素で酵素加水分解することによって、化学合成によらずともGly−Proを安価に得ることができることを見出し、このようにコラーゲンおよび/またはゼラチンに由来して得られたGly−Proが、体内での安全性などの点から、血圧降下剤の有効成分として有用であることをも見出した。そして、これらの知見により本発明を完成した。
【0014】
本発明にかかる血圧降下剤は、Gly−Proもしくはその塩を有効成分とする。
本発明にかかるGly−Proは、コラーゲンおよび/またはゼラチンを黄色コウジカビ由来プロテアーゼおよび/またはブロメラインによって酵素加水分解して得られるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の血圧降下剤および本発明のGly−Proについて詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜実施し得る。
本発明の血圧降下剤は、Gly−Proもしくはその塩を有効成分とするものである。これにより、優れた血圧降下作用を長時間持続させることができる。
本発明の血圧降下剤の有効成分であるGly−Proの塩としては、製剤学上許容されうる酸付加塩や塩基付加塩等が挙げられる。具体的には、酸付加塩としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸の塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸の塩;等が挙げられ、塩基付加塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム、エタノールアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のアミン類の塩;等が挙げられる。
【0016】
本発明の血圧降下剤の有効成分であるGly−Proもしくはその塩は、化学的合成手法によって得られたものであってもよいし、例えば、コラーゲンやゼラチンをプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)により酵素加水分解するなどの生化学的な手法によって得られたものであってもよいが、生体内での安全性等を考慮すると、生化学的な手法によって得られたものであることが好ましい。以下、コラーゲンやゼラチンをプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)により酵素加水分解する生化学的な手法でGly−Proもしくはその塩を得る方法について、詳しく説明する。
【0017】
前記コラーゲンとしては、特に限定されるものではなく、例えば、魚類、ほ乳類、家禽類などの鱗、皮膚、骨、健腱などの生体組織に由来するあらゆるコラーゲン等を挙げることができる。また、前記ゼラチンとしては、前記コラーゲンの熱変性物等が挙げられる。
コラーゲンおよび/またはゼラチンの酵素加水分解において用いることのできるプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)としては、Gly−Proのペプチド結合を分解しないものであれば、特に限定はされないが、得られた血圧降下剤を特定保健用食品として用いる場合などを考慮すると、病原性微生物由来の酵素以外のものを用いることが好ましい。具体的には、例えば、パパイン、フィシン、ブロメライン等の植物由来プロテアーゼ;パンクレアチン、レンネット、ペプシン、トリプシン等の動物・魚類・甲殻類等の臓器由来プロテアーゼ;黄色コウジカビ由来プロテアーゼ;糸状菌由来プロテアーゼ;酵母由来プロテアーゼ;放線菌由来プロテアーゼ;担子菌由来プロテアーゼ;細菌由来プロテアーゼ;等が挙げられる。これらプロテアーゼは、通常の精製方法等により精製された純度の高いものであることが好ましいが、例えば、生のパイナップル、生のパパイヤ、生のイチジク等の果汁や果肉のような前記プロテアーゼを含有する植物組織をそのまま利用することもできる。
【0018】
前記プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)としては、特に、黄色コウジカビ由来プロテアーゼおよび/またはブロメラインを用いることが、食品として利用する場合に風味の点で好ましく、本発明のGly−Pro、ずなわち、コラーゲンおよび/またはゼラチンを黄色コウジカビ由来プロテアーゼおよび/またはブロメラインによって酵素加水分解して得られるGly−Proは、本発明の血圧降下剤における有効成分として特に好適である。
前記酵素加水分解における加水分解処理の反応条件(具体的には、例えば、酵素添加量、反応温度、反応pHおよび反応時間など)は、特に限定されるわけではなく、原料とするコラーゲンおよび/またはゼラチンの種類や状態、あるいは使用する酵素の種類等に応じて、適宜設定すればよい。例えば、豚皮由来コラーゲンの熱変性物であるゼラチンを、黄色コウジカビ由来プロテアーゼもしくはブロメラインで加水分解する場合には、乾燥ゼラチン重量に対して10〜10000ppmの量で黄色コウジカビ由来プロテアーゼもしくはブロメラインを添加し、pH3.0〜8.0、温度40〜60℃で30〜180分間反応させることにより、酵素加水分解処理を施すことができる。
【0019】
前記酵素加水分解によってGly−Proもしくはその塩を得る場合、前記酵素加水分解反応を行った後、用いた酵素を失活させておくことが好ましい。酵素を失活させる方法としては、特に限定はされないが、例えば、70〜100℃で5〜60分間程度加熱する方法等を挙げることができる。
前記酵素加水分解によってGly−Proもしくはその塩を得る場合、前記酵素加水分解の後、得られた加水分解物をさらに発酵させるようにしてもよい。発酵方法としては、従来公知の各種発酵方法を用いればよく、特に限定されるわけではない。具体的には、例えば、酵素失活後、糖分とともに食用の酵母や乳酸菌などの発酵微生物等を添加し、25〜35℃で4〜48時間発酵させるようにすればよい。前記食用の酵母や乳酸菌としては、特に限定はされないが、例えば、アルコール飲料、発酵乳食品、パン等の生産において用いられる各種酵母および乳酸菌等が挙げられる。
【0020】
前記酵素加水分解により得られた加水分解物、もしくは前記酵素加水分解および発酵により得られた発酵生産物から、Gly−Proもしくはその塩を得る場合には、必要に応じて、分画・精製を行うようにしてもよい。分画・精製の方法としては、特に制限はなく、例えば、限外濾過や、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等の各種液体クロマトグラフィーや、これらを組み合わせた方法等のような従来公知の方法によればよい。具体的には、例えば、以下のようにして分画・精製することができる。すなわち、まず、前記加水分解物あるいは発酵生産物の約2g/10mLをイオン交換カラム(例えば、DEAEトヨパール650Mカラム(東ソー社製)やSPトヨパール650Mカラム(東ソー社製)等)に2回に分けて負荷して、蒸留水で溶出されるボイドボリューム画分を回収する。次いで、回収した画分を前記イオン交換カラムとは逆のイオン交換基を有するカラム(例えば、SPトヨパール650Mカラム(東ソー社製)やDEAEトヨパール650Mカラム(東ソー社製)等)に負荷して、蒸留水で溶出されるボイドボリューム画分を回収する。次に、この画分をゲル濾過カラム(例えば、セファデックスLH−20カラム(ファルマシア社製)等)に負荷し、30%メタノール水溶液で溶出して化学合成品であるGly−Proが溶出する位置に相当する画分を回収する。本画分については、逆相カラム(例えば、μBondasphere 5μC18 300Åカラム(ウォーターズ社製)等)を装填した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供し、0.1%トリフルオロ酢酸を含む32%以下のアセトニトリル水溶液の直線濃度勾配により分画する。そして、回収したGly−Pro画分を減圧乾固することにより、高純度のGly−Proを得ることができる。
【0021】
本発明の血圧降下剤中に占める有効成分(Gly−Proもしくはその塩)の含有量としては、特に制限はなく、血圧降下作用が現れるよう適宜設定すればよいが、5〜90重量%の範囲とするのが好ましい。
本発明の血圧降下剤は、有効成分となるGly−Proもしくはその塩以外にも、薬剤学的に許容される他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、特に限定はされないが、例えば、水、ゼラチン、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース、植物油等の担体;生理食塩水やリンゲル液などの水溶性溶剤、植物油や脂肪酸エステルなどの非水溶性溶剤等の希釈剤;ブドウ糖や塩化ナトリウム等の等張化剤;溶解補助剤;安定化剤;防腐剤;懸濁化剤;乳化分散剤;等が挙げられる。これら他の成分の含有量は、有効成分となるGly−Proもしくはその塩により発揮される血圧降下作用を大きく損なわない範囲で適宜設定すればよい。
【0022】
本発明の血圧降下剤は、そのまま治療薬として使用してもよいし、例えば、他の成分として前述した坦体や乳化分散剤等によって、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、粉剤等の経口剤や注射剤等の形態に製剤化し、治療薬として用いるようにしてもよい。また、本発明の血圧降下剤は、例えば、清涼飲料、乳酸飲料、調味料、スープ、チーズ、ハム、菓子類などの様々な食品中に添加して、機能性食品や特定保健用食品等として用いてもよい。
本発明の血圧降下剤の投与方法は、特に制限されず、経口投与でもよいし、注射(皮下、静脈内等)や直腸投与等の非経口投与でもよいが、中でも、注射による投与が好適である。
【0023】
本発明の血圧降下剤を用いる場合の投与量は、例えば、高血圧症状の程度、患者の年齢、体重、または投与方法などに応じて適宜決定すればよく、特に制限されない。具体的には、例えば、境界領域の高血圧症患者に対する経口投与の場合には、有効成分(Gly−Proもしくはその塩)が患者の体重1kgに対して1日当たり10〜500mg、好ましくは10〜50mgとなるように投与することが望ましい。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
(実施例1)
化学合成品である市販のGly−Pro(シグマ社製)を、本発明の血圧降下剤とした。そして、該血圧降下剤の血圧降下作用を以下の方法により測定した。実験動物として雄性自然発症高血圧ラット(SHR、チャールス・リバー社より購入)を1群6匹として3群分用意し、これらを通常飼育し、14週齢以上で収縮期血圧が200mmHg程度に達した時点で実験に供した。前記血圧降下剤を蒸留水に溶解し、1群には投与量が500mg/kg体重、他の1群には投与量が50mg/kg体重となるよう胃ゾンデを用いて前記SHR6匹にそれぞれ単回経口投与した。投与直前(投与後経過時間=0時間)および投与から一定時間経過後(投与後経過時間=1時間、2時間、4時間、6時間、24時間、48時間)の収縮期血圧について、非観血式血圧計(「MK−2000」室町機械(株)製)を用いて尾動脈圧の変化を尾カフ(Tail−Cuff)法により測定した。対照として、さらに他の1群のSHR6匹には蒸留水のみを投与し、同様に収縮期血圧を測定した。なお、収縮期血圧は、各群とも6匹それぞれに測定し、その平均値を各群の代表値とした。
【0025】
測定された収縮期血圧の経時変化を図1に示す。図1から明らかなように、Gly−ProのアンジオテンシンI変換酵素阻害活性は極めて低いにもかかわらず、Gly−Proからなる本発明の血圧降下剤は、投与2時間後には速やかに顕著な血圧降下作用を示し、その効果は24時間後もなお持続することがものであった。
(実施例2)
豚皮由来コラーゲンの熱変性物であるゼラチン(I型コラーゲン)1kgを75℃の温水4kgに溶解させ、60℃に温度調整したのち、黄色コウジカビ由来プロテアーゼ10gを添加し、pH5.0〜6.0、温度45〜55℃で120分間保持することにより酵素加水分解処理を行なった。次いで、酵素加水分解処理で得られた溶液を85℃で10分間加熱して酵素を失活させ、その後、60℃に冷却し、活性炭とろ過助剤(珪藻土)とを用いてろ過し、得られた母液に120℃で3秒間高温殺菌処理した。そして、殺菌後の母液を噴霧乾燥することにより、粉末化したコラーゲン加水分解物700g(水分量5重量%)を得た。
【0026】
次に、前記コラーゲン加水分解物の溶液10mL(乾燥重量2gのコラーゲン加水分解物を10mLの水に溶解させたもの)を、カラム(「DEAEトヨパール650M」東ソー社製;16×650mm)に2回に分けて負荷して、蒸留水で溶出されるボイドボリューム画分を回収した。次いで、回収した画分をカラム(「SPトヨパール650M」東ソー社製;16×650mm)に負荷し、蒸留水で溶出されるボイドボリューム画分を回収した。次に、この画分をカラム(「セファデックスLH−20」ファルマシア社製;26×900mm)に負荷し、30%メタノール水溶液で溶出した。9mL/フラクションで分画し、化学合成品であるGly−Proが溶出する位置に相当する画分(フラクションNo.24)を回収した。得られた画分をカラム(「μBondasphere 5μC18 300Å」ウォーターズ社製;3.9×150mm)を用いたHPLCで、0.1%トリフルオロ酢酸を含む0〜32%のアセトニトリル水溶液の直線濃度勾配溶出(流速1mL/min、0〜32%の勾配を18分間で行う)により分画し、化学合成品であるGly−Proが溶出する位置に相当する2.7分の保持時間に溶出されるピーク部分を分取した。そして、分取した液を減圧乾固することにより、白色粉末を得た。得られた白色粉末の構造を、エドマン法によるタンパク質構造解析装置(「プロテインシークエンサー491型」アプライドバイオシステムズ社製)により解析したところ、前記白色粉末はGly−Proであることが確認でき、前記コラーゲン加水分解物はGly−Proを含有するものであることが判った。
【0027】
次に、アミノ酸配列が既知のI型コラーゲン(重量(X)g)に含まれる「Gly−Pro」配列の数(Y)をカウントし、下記式より該I型コラーゲン全体中のGly−Proの理論含有量を求めたところ、19.8重量%であった。[(Gly−Proの数(Y))×(Gly−Proの重量(分子量))]/(全配列の重量(X))
以上のことから、前記コラーゲン加水分解物は、理論的に、Gly−Proを最大19.8重量%含むものであり、前記コラーゲン加水分解物および前記白色粉末はいずれも本発明の血圧降下剤であると言える。
【0028】
以下、実施例2で得られた粉末のコラーゲン加水分解物を本発明の血圧降下剤として各種用途に用いた場合の参考例を記載するが、これらに限定されるものではない。
(参考例1)
下記配合成分を混合し、打錠成型器を用いて、チュアブルタイプのタブレット(1粒0.8g中、有効成分として約80mgのGly−Pro含有)を調製した。
コラーゲン加水分解物 50.0kg
アスコルビン酸 10.0kg
三共フーズ(株)製「ミクロカルマグ」4.6kg
(株)林原商事製「マビット」 19.0kg
結晶セルロース 10.0kg
乳化剤 3.2kg
アスパルテーム 0.5kg
発酵乳パウダー 1.4kg
粉末香料 1.0kg
クエン酸 0.3kg
合計100.0kg
(参考例2)
下記配合成分を混合して、100〜140mLのお湯に溶解させて飲用する粉末コンソメスープ(1袋6.0g中、有効成分として約396mgのGly−Pro含有)を調製した。
コラーゲン加水分解物 35.0kg
チキンエキスパウダー 25.0kg
食塩 18.0kg
ブドウ糖 7.7kg
乳酸カルシウム 7.0kg
グルタミン酸ナトリウム 4.0kg
オニオンエキスパウダー 1.0kg
HVP 1.0kg
ビーフフレーバー 0.5kg
5’−リボヌクレオチド2ナトリウム 0.5kg
ホワイトペッパー 0.2kg
ターメリック 0.1kg
合計100.0kg
(参考例3)
下記配合成分を混合して、100〜150mLの水に溶解させて飲用する粉末ジュース(1袋13.0g中、有効成分として約990mgのGly−Pro含有)を調製した。
コラーゲン加水分解物 40.4kg
アスコルビン酸ナトリウム 1.2kg
エリスリトール 52.0kg
アセスルファムK 0.1kg
アスパルテーム 0.1kg
クエン酸ナトリウム 0.8kg
クエン酸(結晶) 4.6kg
マスカットフレーバー 0.8kg
合計100.0kg
(参考例4)
下記配合成分のうちの精製水に他の配合成分を溶解させ、pH3.5、B’×9%に調製したのち、110℃で30秒加熱殺菌処理を施し、10℃に冷却してから紙パックに無菌充填して、清涼飲料水(1パック125mL中、有効成分として約594mgのGly−Pro含有)を調製した。
コラーゲン加水分解物 2.5kg
ビタミンミックスD 0.1kg
エリスリトール 5.5kg
アセスルファムK 0.015kg
アスパルテーム 0.005kg
クエン酸(結晶) 0.6kg
フルーツミックスフレーバー 0.16L
ライチフレーバー 0.04L
精製水 残量(合計が100.0Lになるように設定)
合計100.0L
(参考例5)
まず、下記配合成分のうちの精製水(B)にコラーゲン加水分解物および酸処理豚皮ゼラチンを浸漬して30分間膨潤させたのち、80℃の湯煎で加熱し、80℃に到達してから30分間保持することにより完全に溶解させ、ゼラチン溶液とした。次に、下記配合成分のうちの精製水(A)にミルクオリゴ糖、粉末麦芽還元糖、エリスリトール、および難消化性デキストリンを溶解させ、煮詰めた後、アスパルテーム、前記ゼラチン溶液、予め精製水(A)の一部に溶解させて溶液としたクエン酸(結晶)、ペパーミントフレーバー、ミントフレーバー、レモンフレーバー、およびベニバナ黄色素を添加し、B’×79〜81%に調製したのち、80℃で30分間保持することにより脱泡し、スターチモールドに充填して室温で24時間乾燥させ、グミゼリー(1粒4g中、有効成分として約40mgのGly−Pro含有)を調製した。
コラーゲン加水分解物 5.0kg
ミルクオリゴ糖 41.0kg
粉末麦芽還元糖 31.0kg
エリスリトール 5.0kg
難消化性デキストリン 5.0kg
アスパルテーム 0.05kg
酸処理豚皮ゼラチン(250ブルーム)7.0kg
クエン酸(結晶) 1.2kg
ペパーミントフレーバー 0.6L
ミントフレーバー 0.2L
レモンフレーバー 0.7L
ベニバナ黄色素 適量
精製水(A) 20.0kg
精製水(B) 18.0kg
合計100.0L
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、長時間にわたり優れた血圧降下作用を発揮することができる血圧降下剤と、該血圧降下剤の原料として有用なGly−Proとを提供することができる。本発明の血圧降下剤は、高血圧治療や予防のための医薬品、あるいは、特定保健用食品の原料として有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の血圧降下剤の血圧降下作用の測定結果を示すグラフである。

Claims (2)

  1. Gly−Proもしくはその塩を有効成分とする、血圧降下剤。
  2. コラーゲンおよび/またはゼラチンを黄色コウジカビ由来プロテアーゼおよび/またはブロメラインによって酵素加水分解して得られる、Gly−Pro。
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