JP2003284551A - アンジオテンシンi変換酵素阻害剤 - Google Patents

アンジオテンシンi変換酵素阻害剤

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JP2003284551A
JP2003284551A JP2002096902A JP2002096902A JP2003284551A JP 2003284551 A JP2003284551 A JP 2003284551A JP 2002096902 A JP2002096902 A JP 2002096902A JP 2002096902 A JP2002096902 A JP 2002096902A JP 2003284551 A JP2003284551 A JP 2003284551A
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arg
angiotensin
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gly
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Susumu Maruyama
進 丸山
Tatsuro Otsuka
龍郎 大塚
Eiichi Yamashita
栄一 山下
Yoko Kajiwara
葉子 梶原
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Nitta Gelatin Inc
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Nitta Gelatin Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 血管内への吸収性および吸収後の安定性がよ
り高く、しかも、食品由来であることにより安全かつ安
価に生産可能な、新規なアンジオテンシンI変換酵素阻
害剤を提供する。 【解決手段】 本発明にかかるアンジオテンシンI変換
酵素阻害剤は、特定のアミノ酸配列、Ile−Ala、
Gly−Pro−Arg、Ala−Arg、Val−A
rgおよびVal−Arg−Glyで表されるアミノ酸
配列からなるペプチドおよびその塩からなる群より選ば
れる少なくとも1つを有効成分として含むことを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアンジオテンシンI
変換酵素阻害剤に関する。また、本発明は新規ペプチド
またはその塩に関する。
【0002】
【従来の技術】高血圧症の発症には、レニン−アンジオ
テンシン系が深いかかわりを有していることがよく知ら
れている。このレニン−アンジオテンシン系では、血管
内皮細胞膜などに存在するアンジオテンシンI変換酵素
(EC3.4.15.1;以下ACEと称することがあ
る)が重要な役割を果たしている。すなわち、肝臓から
分泌されるアンジオテンシノーゲンが、腎臓で産生され
る酵素レニンで切断されることにより、配列番号2のア
ミノ酸配列からなるアンジオテンシンIが生成し、さら
に、このアンジオテンシンIがACEで切断されると、
配列番号3のアミノ酸配列からなるアンジオテンシンI
Iが生成する。このアンジオテンシンIIは、血管を収
縮させて血圧を高め、さらに副腎皮質に作用してアルド
ステロンの分泌を促進させるなどの作用を有する。
【0003】一方、血漿中に存在する酵素カリクレイン
は、タンパク質キニノーゲンを切断することにより、ブ
ラジキニンを産生する。ブラジキニンは血管を拡張させ
て血圧を下げる働きを有する。このブラジキニンは、A
CEの作用により分解され、不活性化され得る。このよ
うに、ACEは、一方では昇圧性ペプチドであるアンジ
オテンシンIIを生成させるものであり、他方では降圧
性ペプチドであるブラジキニンを分解するものでもある
ため、いずれにしろ血圧を上昇の方向に進める作用を有
する。従って、ACEの活性を抑制すれば、血圧上昇を
抑制すること、あるいは、血圧を下げることが可能であ
ると考えられる。
【0004】ここで、ACE阻害物質としては、例え
ば、蛇毒より得られた数種のペプチドを初めとして、カ
プトプリル(D−3−メルカプト−2−メチルプロパノ
イル−L−プロリン)などの合成化合物が多数知られて
おり、カプトプリルは、高血圧治療薬として使われてい
る。また、近年、種々の食品中から多数のACE阻害活
性を有するペプチドが同定されており、そのうち、牛乳
カゼイン、発酵乳および鰹節などを由来とする各種ペプ
チドを添加した食品等が、特定保健用食品として実用化
されている(例えば、特公昭60−23085号公報;
特公昭61−51562号公報;特公昭61−5156
4号公報;Biopolymers,43,119,1
997;Biopolymers,43,129,19
97)。
【0005】さらに、ゼラチンの微生物コラゲナーゼに
よる加水分解物からもACE阻害活性を有するペプチド
(配列番号4、5、6、7、8、9および10のアミノ
酸配列で表されるペプチド等)が報告されているが、上
記コラゲナーゼは病原性の微生物(Clostridi
um histolyticum)が生産する酵素であ
り、そこから得られたペプチドもClostridiu
mなどの感染によるショック症状との関連でも論じられ
ている(Biochimica et Biophys
ica Acta,Vol.566,128−137,
1979)。このように、アンジオテンシンI変換酵素
阻害剤については、既に多数の報告があるが、食品由来
であり且つより安価に生産可能なアンジオテンシンI変
換酵素阻害剤が、医薬品としてのみならず、特定保健用
食品の素材としても強く要望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の解決
しようとする課題は、血管内への吸収性および吸収後の
安定性がより高く、しかも、食品由来であることにより
安全かつ安価に生産可能な、新規なアンジオテンシンI
変換酵素阻害剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討を行った。その結果、食品由来と
いうこと、および、安全且つ安価に生産可能であること
に着目して、実験および検討を繰り返したところ、コラ
ーゲンおよび/またはゼラチンをプロテアーゼ処理ある
いはさらに醗酵処理して得られた加水分解物により得ら
れるペプチドが、有効なアンジオテンシンI変換酵素阻
害剤となり得ることを見出した。また、このようにして
得られたペプチド中の特定のペプチドが、アンジオテン
シンI変換酵素阻害剤の有効成分となっていることも見
出した。この特定のペプチドは、従来報告されているゼ
ラチン由来のACE阻害ペプチドよりも分子量の小さい
ACE阻害ペプチドであった。一般に、2アミノ酸また
は3アミノ酸からなるペプチドは、消化管からの吸収に
非常に優れていると考えられている。また、コラーゲン
および/またはゼラチン由来のペプチドはプロリンを多
く含んでおり、消化管内のプロテアーゼによる加水分解
を受けにくく安定に存在することができるものである。
【0008】よって、このような知見に基づく上記アン
ジオテンシンI変換酵素阻害剤であれば、前述した課題
を一挙に解決できることを確認し、本発明を完成した。
また、本発明者は、上記特定のペプチドにおいて、これ
までに無かった新規なペプチドまたはその塩を同定し
た。すなわち、本発明にかかるアンジオテンシンI変換
酵素阻害剤は、配列番号1、Ile−Ala、Gly−
Pro−Arg、Ala−Arg、Val−Argおよ
びVal−Arg−Glyで表されるアミノ酸配列から
なるペプチドおよびその塩からなる群より選ばれる少な
くとも1つを有効成分として含むことを特徴とする。
【0009】また、本発明にかかるアンジオテンシンI
変換酵素阻害剤は、コラーゲンおよび/またはゼラチン
を黄色コウジカビ由来プロテアーゼにより加水分解して
得られるペプチドを含んでなることを特徴とする。ま
た、本発明にかかるアンジオテンシンI変換酵素阻害剤
は、コラーゲンおよび/またはゼラチンのブロメライン
加水分解物を発酵させて得られるペプチドを含んでなる
ことを特徴とする。また、本発明にかかる新規なペプチ
ドまたはその塩は、配列番号1、Ala−Argおよび
Val−Arg−Glyのいずれかで表されるアミノ酸
配列からなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、上記本発明にかかるアンジ
オテンシンI変換酵素阻害剤、および、上記本発明にか
かるペプチドまたはその塩について詳しく説明するが、
本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、
以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない
範囲で適宜実施し得る。本発明にかかるアンジオテンシ
ンI変換酵素(ACE)阻害剤(以下、本発明のアンジ
オテンシンI変換酵素阻害剤(本発明のACE阻害剤)
と称することがある。)は、配列番号1、Ile−Al
a、Gly−Pro−Arg、Ala−Arg、Val
−ArgおよびVal−Arg−Glyで表されるアミ
ノ酸配列からなる6種類のペプチドおよびそれらの塩の
中の少なくとも1つを、有効成分として含むことを特徴
とする。
【0011】上記各種ペプチドおよびその塩は、特に限
定はされないが、コラーゲンおよび/またはゼラチンを
プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)により加水分解す
る、あるいは、該加水分解物をさらに発酵させることに
より得られる生産物から得ることができ、詳しくは、こ
れら加水分解物や発酵生産物から精製等をすることによ
り得ることが好ましい。また、工業的には化学合成によ
り得ることもできる。本発明のアンジオテンシンI変換
酵素阻害剤は、コラーゲンおよび/またはゼラチンの黄
色コウジカビ由来プロテアーゼ加水分解により生成する
ペプチドを含んでなるものであってもよい。該ペプチド
には各種アミノ酸配列からなるペプチドが含まれ得る
が、通常、アンジオテンシンI変換酵素阻害作用を有す
る配列番号1、Ile−Ala、Gly−Pro−Ar
g、Ala−ArgおよびVal−Argで表されるア
ミノ酸配列からなるペプチドの少なくとも1種が含まれ
る。従って、この場合、コラーゲンおよび/またはゼラ
チンの黄色コウジカビ由来プロテアーゼ加水分解液自体
がアンジオテンシンI変換酵素阻害剤として作用し得る
ものであってもよいし、該加水分解液を有効成分とする
アンジオテンシンI変換酵素阻害剤であってもよい。
【0012】本発明にかかるアンジオテンシンI変換酵
素阻害剤は、ブロメライン加水分解物を醗酵させて得ら
れるペプチドを含んでなるものであってもよい。該ペプ
チドには各種アミノ酸配列からなるペプチドが含まれ得
るが、通常、アンジオテンシンI変換酵素阻害作用を有
する配列番号1、Gly−Pro−Arg、Ala−A
rgおよびVal−Arg−Glyで表されるアミノ酸
配列からなるペプチドの少なくとも1種が含まれる。従
って、コラーゲンおよび/またはゼラチンのブロメライ
ン加水分解物を醗酵させることにより得られたペプチド
混合物自体がアンジオテンシンI変換酵素阻害剤として
作用し得るものであってもよいし、該ペプチド混合物を
有効成分とするアンジオテンシンI変換酵素阻害剤であ
ってもよい。
【0013】上記コラーゲンとしては、特に限定はされ
ず、例えば、魚類、ほ乳類、家禽類などの様々な脊椎動
物を起源としてその鱗、皮膚、骨および腱などの各種生
体組織から通常公知の方法(抽出方法等)により得られ
るコラーゲンを用いることができ、また、上記ゼラチン
としては、これらコラーゲンの熱変性物であるゼラチン
を用いることができる。なお、配列番号1のアミノ酸配
列については、下記配列表の記載において、該配列番号
1のアミノ酸配列の起源について記載しているが、単に
例示しているだけであって、特に限定はされない。よっ
て、上記したように様々な起源から得られるコラーゲン
および/またはゼラチンあるいはその他のタンパク質を
由来とするものであってもよいし、全く化学合成により
得られたものであってもよい。
【0014】コラーゲンおよび/またはゼラチンの酵素
加水分解において用いるプロテアーゼ(タンパク質分解
酵素)としては、特に限定はされるわけではなく、上記
6種類のアミノ酸配列からなるペプチドの少なくとも1
種が生成可能なプロテアーゼであればどのようなもので
もよいが、生産物を特定保健用食品に含むようにする場
合があることも考慮すると、病原性微生物由来の酵素以
外のものを用いることが好ましい。具体的には、例え
ば、パパイン、フィシンおよびブロメライン等の植物由
来プロテアーゼ、パンクレアチン、レンネット、ペプシ
ンおよびトリプシン等の動物、魚類および甲殻類等の臓
器由来プロテアーゼ、糸状菌、酵母、放線菌、担子菌お
よび細菌由来プロテアーゼが好適であり、なかでも、黄
色コウジカビ由来プロテアーゼやブロメラインが、得ら
れたペプチド混合物を食品として利用する場合に風味の
点でより好適である。
【0015】これらプロテアーゼは、通常の精製方法等
により精製された純度の高いものが好ましいが、特に限
定はされるわけではなく、上記プロテアーゼを含有する
ものであれば、パイナップル、パパイヤおよびイチジク
等の果汁や果肉といった植物組織由来のものをそのまま
利用することもできる。上記酵素加水分解においては、
加水分解処理の反応条件、具体的には、例えば、酵素添
加量、反応温度、反応pHおよび反応時間などは、特に
限定されるわけではなく、原料コラーゲンおよび/また
はゼラチンの種類、状態あるいは使用する酵素の種類等
に応じて、適宜設定することができる。例えば、豚皮由
来コラーゲンの熱変性物であるゼラチンを、黄色コウジ
カビ由来プロテアーゼもしくはブロメラインで加水分解
する場合には、特に限定はされないが、乾燥ゼラチン重
量に対して10〜10,000ppmの量で黄色コウジ
カビ由来プロテアーゼもしくはブロメラインを添加し、
pH3.0〜8.0、温度40〜60℃で30〜180
分反応させることにより、酵素加水分解処理を実施する
ことができる。
【0016】上記酵素加水分解においては、所望の条件
にて酵素加水分解反応を行った後、用いた酵素を失活さ
せる。該失活処理としては、特に限定はされないが、例
えば、加熱処理等を挙げることができる。加熱処理とし
ては、例えば、70〜100℃で5〜60分間の熱処理
を施すことで、酵素を失活させることができる。上記酵
素加水分解により得られた加水分解物を醗酵させる場
合、発酵方法としては、通常公知の各種発酵方法を用い
ればよいが、特に限定されるわけではなく、具体的に
は、例えば、酵素失活後、糖分と共に食用の酵母や乳酸
菌などの発酵微生物等を添加し、25〜35℃で4〜4
8時間発酵させることで実施することができる。上記食
用の酵母や乳酸菌としては、特に限定はされないが、例
えば、アルコール飲料、発酵乳食品、パン等の生産にお
いて用いられる各種酵母および乳酸菌が挙げられる。
【0017】上述した加水分解、または、加水分解およ
び発酵により得られた、コラーゲンおよび/またはゼラ
チンのプロテアーゼ加水分解物(加水分解液)、また
は、それを醗酵させた発酵生産物(発酵後の液)から、
配列番号1、Ile−Ala、Gly−Pro−Ar
g、Ala−Arg、Val−ArgおよびVal−A
rg−Glyで表されるアミノ酸配列からなる上記6種
のペプチドの少なくとも1種を得る場合には、ACE阻
害活性(測定方法は後述する)の測定値を指標として、
ペプチドの分画または精製に一般的に用いられる方法、
例えば、限外濾過あるいは各種液体クロマトグラフィー
またはこれらを組み合わせた方法等をもちいればよく、
該方法等により分画または精製すればよい。上記各種液
体クロマトグラフィーとしては、例えば、ゲル濾過クロ
マトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相
クロマトグラフィーおよびアフィニティクロマトグラフ
ィー等が挙げられる。
【0018】より具体的には、例えば、以下の手順によ
り、分画および精製することができる。すなわち、コラ
ーゲンおよび/またはゼラチンのプロテアーゼ加水分解
物あるいはそれを醗酵させてなる発酵生産物の約6g/
30mlを、ゲル濾過カラム(例えば、セファデックス
LH−20カラム(ファルマシア社製))に3回に分け
て負荷し、30%メタノール水溶液で溶出してACE阻
害活性を有する画分を回収する。顕著なACE阻害活性
が認められる画分をイオン交換カラム(例えば、DEA
Eトヨパール650Mカラム(東ソー社製)、または、
SPトヨパール650Mカラム(東ソー社製))に負荷
して、蒸留水で溶出される活性画分を回収する。さらに
1mol/L(リットル)以下の塩化ナトリウム水溶液
の直線濃度勾配により溶出される活性画分を回収する。
顕著なACE阻害活性が認められる各画分については、
逆相カラム(例えば、μBondasphere 5μ
18 300Åカラム(ウォーターズ社製))を装填し
た高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供し、
0.1%トリフルオロ酢酸を含む32%以下のアセトニ
トリル水溶液の直線濃度勾配により分画する。回収した
活性画分を減圧乾固することにより、配列番号1、Il
e−Ala、Gly−Pro−Arg、Ala−Ar
g、Val−ArgおよびVal−Arg−Glyで表
されるアミノ酸配列からなるペプチドの少なくとも1種
を得ることができる。
【0019】なお、配列番号1、Ile−Ala、Gl
y−Pro−Arg、Ala−Arg、Val−Arg
およびVal−Arg−Glyで表されるアミノ酸配列
からなるペプチドは、コラーゲン以外のタンパク質であ
り且つ配列番号1、Ile−Ala、Gly−Pro−
Arg、Ala−Arg、Val−ArgおよびVal
−Arg−Glyで表されるアミノ酸配列からなるペプ
チドと同一のアミノ酸配列を構造単位として含むタンパ
ク質を、上記プロテアーゼで加水分解することにより、
製造することもできる。各ペプチドのACE阻害活性
は、例えば、川岸舜朗編,「食品中の生体機能調節物質
研究法(生物化学実験法38)」(学会出版センター、
1996年、第116頁)に記載されている方法で測定
することができる。すなわち、ACEを緩衝液に溶解し
て酵素溶液とし、Hip−His−Leu(Hippu
ryl−L−histidyl−L−leucine)
を緩衝液に溶解して基質溶液とする。試料溶液と前記酵
素溶液とを混合し、さらに、前記基質溶液を加えて酵素
反応させ、反応停止後に遊離してくる馬尿酸(Hipp
uric acid)を高速液体クロマトグラフィーに
より定量することにより、阻害率を算出することができ
る。
【0020】上記配列番号1、Ile−Ala、Gly
−Pro−Arg、Ala−Arg、Val−Argお
よびVal−Arg−Glyで表されるアミノ酸配列か
らなるペプチドの塩としては、製剤学上許容されうる酸
付加塩および塩基付加塩等が挙げられ、該ペプチドの塩
は通常用いられる方法により生成し得る。製剤学上許容
されうる酸付加塩としては、特に限定はされないが、具
体的には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機
酸との塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、
コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸との
塩等が挙げられ、また製剤学上許容されうる塩基付加塩
としては、特に限定はされないが、具体的には、例え
ば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カ
ルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム、エ
タノールアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシル
アミン等のアミン類との塩等が挙げられる。
【0021】本発明にかかる上記6種のペプチドおよび
その塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含
むアンジオテンシンI変換酵素阻害剤においては、上記
ペプチドおよびその塩の含有量は、特に限定されるわけ
ではなく、その投与経路や剤形によって適宜設定すれば
よい。また、上記本発明のアンジオテンシンI変換酵素
阻害剤においては、上記有効成分となるペプチドやその
塩、または、上記加水分解あるいは上記加水分解および
発酵により得られるペプチド以外に、他の成分を含んで
いてもよい。すなわち、本発明のアンジオテンシンI変
換酵素阻害剤は、これらペプチドまたはその塩のみであ
ってもよいし、他の何らかの成分を含んでなるもの、ま
たは、加えてなるものであってもよい。他の成分として
は、担体や賦形剤や希釈剤や乳化分散剤などや、コラー
ゲン、ゼラチン、酵素、その他のペプチドなどを挙げる
ことができる。担体としては、例えば、水、ゼラチン、
澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ラクトースおよび植
物油等の各種個体担体や液体担体が挙げられる。これら
他の成分は、特に限定はされないが、薬剤学的に許容さ
れることのできるものが好ましい。これら他の成分は、
上記有効成分となるペプチドまたはその塩により発揮さ
れるアンジオテンシンI変換酵素阻害効果を大きく損な
わない範囲で適宜用いることができる。
【0022】本発明のアンジオテンシンI変換酵素阻害
剤は、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁
液、エマルジョン剤、シロップ剤、粉剤等の経口剤、ま
たは注射剤などの形態とすることができる。本発明のア
ンジオテンシンI変換酵素阻害剤を薬剤などとして用い
る場合は上記のように製剤化したものが好ましい。また
本発明のアンジオテンシンI変換酵素阻害剤は、各種加
工食品における蛋白強化剤等としても用いることができ
る。本発明にかかるアンジオテンシンI変換酵素阻害剤
は、例えば、経口投与、非経口投与で用いることがで
き、非経口投与方法としては、注射(皮下、静脈内等)
または直腸投与等が例示される。これらのなかで、注射
剤として用いられることが最も好適である。注射剤とし
て調製する場合には、前述した他の成分として、例え
ば、生理食塩水およびリンゲル液等の水溶性溶剤、植物
油および脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖お
よび塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化
剤、防腐剤、懸濁化剤、または乳化剤などを任意に用い
ることができるが、注射剤以外として調製する場合にも
用いることができる。
【0023】また、本発明にかかるアンジオテンシンI
変換酵素阻害剤は、さまざまな食品や飲料中に添加して
もよく、該食品・飲料を、機能性食品・飲料、特定保健
用食品・飲料、美容健康食品・飲料、栄養補助食品・飲
料などとすることができる。該食品・飲料としては、例
えば、清涼飲料、乳酸飲料、調味料、スープ、チーズ、
ハム、菓子類などが挙げられる。添加量は所望の効果が
現れるように適宜設定することができる。上記本発明に
かかるアンジオテンシンI変換酵素阻害剤を、薬剤等と
して投与する場合の投与量は、特に限定はされないが、
具体的には、高血圧症状の程度、患者の年齢、体重、ま
たは投与方法などに応じて適宜決定することができる。
例えば、境界領域の高血圧症患者への経口投与の場合に
は、配列番号1、Ile−Ala、Gly−Pro−A
rg、Ala−Arg、Val−ArgおよびVal−
Arg−Glyで表されるアミノ酸配列からなるペプチ
ドおよびこれらの塩の少なくとも1種が、患者の体重に
対して1日当たり0.1〜40mg/kgとなるように
投与することが好ましく、より好ましくは0.5〜10
mg/kgである。なお、2種以上を投与する場合には
その合計量で考慮する。また、ヒト以外の各種動物等に
投与することもでき、投与量は適宜設定すればよい。
【0024】本発明にかかるペプチドまたはその塩(以
下、本発明のペプチドまたはその塩と称することがあ
る。)は、配列番号1、Ala−ArgおよびVal−
Arg−Glyのいずれかで表されるアミノ酸配列から
なるペプチドまたはその塩である。上記本発明のペプチ
ドの塩としては、製剤学上許容されうる酸付加塩および
塩基付加塩等が挙げられ、該ペプチドの塩は通常用いら
れる方法により生成し得る。製剤学上許容されうる酸付
加塩としては、特に限定はされないが、具体的には、例
えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸との塩;ギ
酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、リ
ンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸との塩等が挙げら
れ、また製剤学上許容されうる塩基付加塩としては、特
に限定はされないが、具体的には、例えば、ナトリウム
塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等の
アルカリ土類金属塩;アンモニウム、エタノールアミ
ン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のア
ミン類との塩等が挙げられる。
【0025】本発明のペプチドまたはその塩は、特に限
定はされないが、上記本発明のアンジオテンシンI変換
酵素阻害剤の有効成分となるペプチドまたはその塩を得
る場合と同様の方法により得ることができる。具体的に
は、加水分解あるいは加水分解および発酵により得られ
た、コラーゲンおよび/またはゼラチンのプロテアーゼ
加水分解物(加水分解液)もしくは該加水分解物を醗酵
させた発酵生産物(発酵後の液)から、分画または精製
して得ることができる。また、コラーゲンおよび/また
はゼラチン以外のタンパク質であり且つ配列番号1、A
la−ArgおよびVal−Arg−Glyで表される
アミノ酸配列からなるペプチドと同一のアミノ酸配列を
含むタンパク質のプロテアーゼ加水分解物等から、分画
または精製することにより得ることもできる。また、工
業的には化学合成により得ることもできる。なお、本発
明のペプチドの塩については、該ペプチドを得た後、通
常一般な方法により所望の塩とすることができる。
【0026】本発明のペプチドまたはその塩は、それ自
体従来にない新規な物質であり、種々の作用効果を有す
るものである。具体的には、例えば、アンジオテンシン
I変換酵素阻害作用、プロスタグランジンE2合成促進
作用、プロスタサイクリン合成促進作用および血圧降下
作用などを挙げることができる。また、これら作用効果
を利用した用途としては、特に限定はされないが、具体
的には、例えば、アンジオテンシンI変換酵素阻害剤の
有効成分、血圧降下剤の有効成分および動脈硬化防止剤
の有効成分などを挙げることができる。本発明のペプチ
ドまたはその塩を、アンジオテンシンI変換酵素阻害剤
として用いる場合は、該ペプチドまたはその塩のみでも
よいし、他の何らかの成分を含んでなるもの、または、
加えてなるものであってもよい。他の成分としては、担
体や賦形剤や希釈剤や乳化分散剤などや、コラーゲン、
ゼラチン、酵素、その他のペプチドなどを挙げることが
できる。担体としては、例えば、水、ゼラチン、澱粉、
ステアリン酸マグネシウム、ラクトースおよび植物油等
の各種個体担体や液体担体が挙げられる。これら他の成
分は、特に限定はされないが、薬剤学的に許容されるこ
とのできるものが好ましい。これら他の成分は、上記ペ
プチドまたはその塩により発揮されるアンジオテンシン
I変換酵素阻害効果を大きく損なわない範囲で適宜用い
ることができる。アンジオテンシンI変換酵素阻害剤と
して用いる場合は、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプ
セル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、粉剤等
の経口剤、または注射剤などの形態とすることができ
る。本発明のアンジオテンシンI変換酵素阻害剤を薬剤
として用いる場合は上記のように製剤化したものが好ま
しい。
【0027】また本発明のペプチドまたはその塩は、必
要に応じて上記他の成分を含めてまたはそのままで各種
加工食品における蛋白強化剤等として用いることもでき
る。本発明のペプチドまたはその塩を、アンジオテンシ
ンI変換酵素阻害剤等の薬剤等として使用する場合は、
経口投与、非経口投与で用いることができ、非経口投与
方法としては、注射(皮下、静脈内等)、または直腸投
与等が例示される。これらのなかで、注射剤が最も好適
に用いられる。注射剤の調製においては、有効成分の他
に、例えば、生理食塩水もしくはリンゲル液等の水溶性
溶剤、植物油もしくは脂肪酸エステル等の非水溶性溶
剤、ブドウ糖もしくは塩化ナトリウム等の等張化剤、溶
解補助剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、または乳化剤
などを任意に用いることができる。
【0028】また、本発明のペプチドまたはその塩は、
特に限定はされないが、例えば、さまざまな食品・飲料
中に添加してもよく、該食品・飲料を、機能性食品・飲
料、特定保健用食品・飲料、美容健康食品・飲料、栄養
補助食品・飲料などとすることができる。該食品・飲料
としては、例えば、清涼飲料、乳酸飲料、調味料、スー
プ、チーズ、ハム、菓子類などが挙げられる。添加量は
所望の効果が現れるように適宜設定することができる。
上記本発明のペプチドまたはその塩を、アンジオテンシ
ンI変換酵素阻害剤を、薬剤等として投与する場合の投
与量は、特に限定はされないが、具体的には、高血圧症
状の程度、患者の年齢、体重、または投与方法などに応
じて適宜決定することができる。例えば、境界領域の高
血圧症患者への経口投与の場合には、配列番号1、Al
a−Arg、およびVal−Arg−Glyで表される
アミノ酸配列からなるペプチドおよびこれらの塩の少な
くとも1種が、患者の体重に対して1日当たり0.1〜
40mg/kgとなるように投与することが好ましく、
より好ましくは0.5〜10mg/kgである。なお、
2種以上を投与する場合にはその合計量で考慮する。ま
た、ヒト以外の各種動物等に投与することもでき、投与
量は適宜設定すればよい。
【0029】
【実施例】以下に、実施例により、本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定される
ものではない。なお、以下では、便宜上、「リットル」
を単に「L」と記すことがある。−実施例1−「コラー
ゲンおよび/またはゼラチンの黄色コウジカビ由来プロ
テアーゼ加水分解物から得られるペプチドからのアンジ
オテンシンI変換酵素阻害作用を有するペプチドの精
製」豚皮由来コラーゲンの熱変性物であるゼラチンの黄
色コウジカビ由来プロテアーゼ加水分解物の溶液10m
L(乾燥重量2gを10mLの水に溶解させたもの)
を、セファデックスLH−20カラム(26×900m
m;ファルマシア社製)に負荷し、30%メタノール水
溶液で溶出した。9mL/フラクションで分画し、AC
E阻害活性を有する画分「A」(フラクションNo.2
7、および28)を回収した。なお、本実施例では、A
CE阻害活性の測定を、後述の試験例1に記載の測定法
により実施した。この操作をさらに2回繰り返し計30
mLの試料を分画した。このACE阻害活性画分「A」
をまとめて減圧濃縮したのち、DEAEトヨパール65
0Mカラム(16×650mm;東ソー社製)に負荷
し、蒸留水で溶出される活性画分「A−1」を回収し
た。活性画分「A−1」は濃縮後、SPトヨパール65
0Mカラム(16×650mm;東ソー社製)に負荷
し、蒸留水で溶出される活性画分「A−1−1」を回収
した。さらに、0〜1mol/Lの塩化ナトリウム水溶
液の直線濃度勾配により溶出を行ない、それぞれ0.
3、0.4mol/Lの塩化ナトリウム水溶液で溶出さ
れる活性画分「A−1−2およびA−1−3」を回収し
た。
【0030】前記各活性画分「A−1−1、A−1−2
およびA−1−3」を、それぞれ、μBondasph
ere 5μC18 300Åカラム(3.9×150m
m;ウォーターズ社製)を用いたHPLCで、0.1%
トリフルオロ酢酸を含む0〜32%のアセトニトリル水
溶液の直線濃度勾配溶出(流速1mL/min,0〜3
2%の勾配を18分間で行なう)により分画した。活性
画分「A−1−1」を分画することにより、13.7分
の保持時間に溶出される活性画分「A−1−1−1」を
得、6.5分の保持時間に溶出される活性画分「A−1
−1−2」を得た。活性画分「A−1−2」を分画する
ことにより、4.2分の保持時間に溶出される活性画分
「A−1−2−1」を得た。活性画分「A−1−3」を
分画することにより、2.2分の保持時間に溶出される
活性画分「A−1−3−1」を得、4.7分の保持時間
に溶出される活性画分「A−1−3−2」を得た。
【0031】このようにして精製した5種の各ペプチド
の構造は、プロテインシークエンサー491型(アプラ
イドバイオシステムズ社製)により解析したところ、活
性画分「A−1−1−1」のペプチドは配列番号1で表
されるアミノ酸配列からなるペプチドであり、活性画分
「A−1−1−2」のペプチドはIle−Alaで表さ
れるアミノ酸配列からなるペプチドであり、活性画分
「A−1−2−1」のペプチドはGly−Pro−Ar
gで表されるアミノ酸配列からなるペプチドであり、活
性画分「A−1−3−1」のペプチドはAla−Arg
で表されるアミノ酸配列からなるペプチドであり、活性
画分「A−1−3−2」のペプチドはVal−Argで
表されるアミノ酸配列からなるペプチドであることが判
明した。
【0032】次に、これら5種のペプチドと同一の配列
を有するペプチドを化学合成し、これらの化学合成ペプ
チドのHPLCピークの保持時間を、コラーゲンの黄色
コウジカビ由来プロテアーゼ加水分解液から得られたペ
プチドの保持時間と比較した。なお、HPLCは、カラ
ムとして、μBondasphere 5μC18 30
0Åカラム(3.9×150mm;ウォーターズ社製)
を使用し、溶出液として、0.1%トリフルオロ酢酸を
含む0〜32%のアセトニトリル水溶液の直線濃度勾配
(18分間)を使用し、流速1mL/minの条件で、
210nmの紫外部吸収を検出することにより、実施し
た。その結果、化学合成したそれぞれのペプチドの保持
時間は、精製したそれぞれのペプチドの保持時間と一致
した。
【0033】−実施例2−「コラーゲンおよび/または
ゼラチンのブロメライン加水分解物を醗酵させることに
より得られるペプチドからのアンジオテンシンI変換酵
素阻害作用を有するペプチドの精製」豚皮由来のコラー
ゲンの熱変性物であるゼラチンのブロメライン加水分解
物を醗酵させることにより得たペプチド混合物の溶液1
0mL(乾燥重量2gを10mLの水に溶解させたも
の)を、実施例1と同様にセファデックスLH−20カ
ラム(26×900mm;ファルマシア社製)に負荷
し、30%メタノール水溶液で溶出した。9mL/フラ
クションで分画し、ACE阻害活性を有する画分「B」
(フラクションNo.26、および27)を回収した。
この操作をさらに2回繰り返し計30mLの試料を分画
し、この活性画分をまとめて減圧濃縮した。次にSPト
ヨパール650Mカラム(16×650mm;東ソー社
製)に負荷し、蒸留水で溶出される活性画分「B−1」
を回収した。さらに、0〜1mol/Lの塩化ナトリウ
ム水溶液の直線濃度勾配により溶出を行ない、0.55
mol/Lの塩化ナトリウム水溶液で溶出される活性画
分「B−2」そして0.6mol/Lの塩化ナトリウム
水溶液で溶出される活性画分「B−3」を回収した。活
性画分「B−1」については濃縮後、DEAEトヨパー
ル650Mカラム(16×650mm;東ソー社製)に
負荷し、蒸留水で溶出される活性画分「B−1−1」を
回収した。
【0034】前記各活性画分「B−1−1、B−2およ
びB−3」を、それぞれ、μBondasphere
5μC18 300Åカラム(3.9×150mm;ウォ
ーターズ社製)を用いたHPLCで、0.1%トリフル
オロ酢酸を含む0〜32%のアセトニトリル水溶液の直
線濃度勾配溶出(流速1mL/min,0〜32%の勾
配を18分間で行なう)により分画した。活性画分「B
−1−1」を分画することにより、12.5分の保持時
間に溶出される活性画分「B−1−1−1」を得た。活
性画分「B−2」を分画することにより、6.1分の保
持時間に溶出される活性画分「B−2−1」を得、5.
2分の保持時間に溶出される活性画分「B−2−2」を
得た。また、活性画分「B−3」を分画することによ
り、2.4分間の保持時間に溶出される活性画分「B−
3−1」を得た。
【0035】このようにして精製した4種の各ペプチド
の構造は、プロテインシークエンサー491型(アプラ
イドバイオシステムズ社製)により解析したところ、活
性画分「B−1−1−1」のペプチドは配列番号1で表
されるアミノ酸配列からなるペプチドであり、(実施例
1における活性画分「A−1−1−1」と同一である
が、使用したC18カラムのロットが異なるため、保持時
間は実施例1とは異なる)活性画分「B−2−1」のペ
プチドはVal−Arg−Glyで表されるアミノ酸配
列からなるペプチドであることが判明した。また、活性
画分「B−2−2」のペプチドはGly−Pro−Ar
gで表されるアミノ酸配列からなるペプチドと同一であ
り(実施例1における活性画分「A−1−2−1」と同
一であるが、使用したC18カラムのロットが異なるた
め、保持時間は実施例1とは異なる)、活性画分「B−
3−1」のペプチドはAla−Argで表されるアミノ
酸配列からなるペプチドと同一であることが判明した
(実施例1における活性画分「A−1−3−1」と同一
であるが、使用したC18カラムのロットが異なるため、
保持時間は実施例1とは異なる)。
【0036】このようにして得られた上記4種のペプチ
ドと同一のアミノ酸配列を有するペプチドを化学合成
し、これら化学合成ペプチドのHPLCピークの保持時
間と、コラーゲンおよび/またはゼラチンのブロメライ
ン加水分解物を醗酵させることにより得たペプチドから
精製された上記ペプチドの保持時間とを、実施例1と同
じ方法で比較した。その結果、化学合成したそれぞれの
ペプチドの保持時間は、精製したそれぞれのペプチドの
保持時間と一致した。−試験例1−ACE阻害活性の測
定は、下記の方法により行なった。
【0037】すなわち、ウサギ肺由来ACE(シグマ社
製)を、22mmol/Lホウ酸緩衝液(pH8.3)
に溶解し、60mU/mLの酵素溶液とした。また、H
ip−His−Leu(Hippuryl−L−his
tidyl−L−leucine;株式会社ペプチド研
究所製)および塩化ナトリウムを、前記ホウ酸緩衝液に
溶解し、それぞれの濃度が7.6mmol/Lおよび6
08mmol/L(反応液中での終濃度は、それぞれ、
5mmol/Lおよび400mmol/Lになる)であ
る基質溶液を調製した。0.5mL容量のプラスチック
チューブに、試料溶液15μLと前記酵素溶液50μL
とを入れ、37℃で5分間保温した後、前記基質溶液1
25μLを加えてよく混合し、37℃で30分間の反応
を行なった。その後、10%トリフルオロ酢酸20μL
を添加することにより、反応を停止させた。反応停止
後、酵素反応により遊離した馬尿酸をHPLCにより定
量した。なお、HPLCは、カラムとして、μBond
asphere 5μC18300Åカラム(3.9×1
50mm;ウォーターズ社製)を使用し、溶出液とし
て、0.1%トリフルオロ酢酸を含む0〜63%のアセ
トニトリル水溶液の直線濃度勾配(20分間)を使用
し、流速1mL/minの条件で、228nmの紫外部
吸収を検出することにより、実施した。
【0038】なお、コントロールとして、試料溶液15
μL、酵素溶液50μL、および基質溶液125μLを
混合する代わりに、水15μL、酵素溶液50μL、お
よび基質溶液125μLを混合したこと以外は、前記操
作を繰り返した。ACEの阻害率は、下記式:阻害率
(%)=[(A−B)/A]×100(上記式中、A
は、コントロールにおける馬尿酸のピーク面積であり、
Bは、試料溶液添加の場合の馬尿酸のピーク面積であ
る。)により算出した。また、前記阻害率が50%にな
るペプチド濃度をIC50値で表した。その結果、各ペプ
チドについて得られたIC50値を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、血管内への吸収性およ
び吸収後の安定性がより高く、しかも、食品由来である
ことにより安全かつ安価に生産可能な、新規なアンジオ
テンシンI変換酵素阻害剤を提供することができ、高血
圧治療や予防のための医薬品、あるいは、特定保健用食
品の素材として有効に利用することができる。また、本
発明によれば、今までにない新規なペプチドまたはその
塩を提供することができ、前述したような作用効果によ
り種々の用途に用いることができる。なかでも特に、ア
ンジオテンシンI変換酵素阻害剤として、もしくはその
有効成分として有効に用いることができる。
【0041】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> 新田ゼラチン株式会社(Nitta Gelatin Inc.) <110> 独立行政法人産業技術総合研究所(National Insti tute of Advanced Industrial Science and Technology) <120> アンジオテンシンI変換酵素阻害剤(Angiotensin I −Converting Enzyme Inhibitor) <130> 02056JP <160> 10 <210> 1 <211> 5 <212> PRT <213> Sus <220> <221> HYDROXYLATION <222> (3) <223> 4Hyp <400> 1 Gly Phe Pro Gly Pro 1 5 <210> 2 <211> 10 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 2 Asp Arg Val Tyr Ile His Pro Phe His Leu 1 5 10 <210> 3 <211> 8 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 3 Asp Arg Val Tyr Ile His Pro Phe 1 5 <210> 4 <211> 9 <212> PRT <213> Sus <200> <221> HYDROXYLATION <222> (3) <223> 4Hyp <221> HYDROXYLATION <222> (9) <223> 4Hyp <400> 4 Gly Pro Pro Gly Thr Asp Gly Ala Pro 1 5 <210> 5 <211> 6 <212> PRT <213> Sus <200> <221> HYDROXYLATION <222> (3) <223> 4Hyp <221> HYDROXYLATION <222> (6) <223> 4Hyp <400> 5 Gly Pro Pro Gly Ala Pro 1 5 <210> 6 <211> 6 <212> PRT <213> Sus <200> <221> HYDROXYLATION <222> (3) <223> 4Hyp <221> HYDROXYLATION <222> (6) <223> 4Hyp <400> 6 Gly Pro Pro Gly Pro Pro 1 5 <210> 7 <211> 6 <212> PRT <213> Sus <200> <221> HYDROXYLATION <222> (6) <223> 4Hyp <400> 7 Gly Pro Ala Gly Ala Pro 1 5 <210> 8 <211> 6 <212> PRT <213> Sus <200> <221> HYDROXYLATION <222> (6) <223> 4Hyp <400> 8 Gly Pro Pro Gly Ala Pro 1 5 <210> 9 <211> 9 <212> PRT <213> Sus <200> <221> HYDROXYLATION <222> (9) <223> 4Hyp <400> 9 Gly Pro Ile Gly Ser Val Gly Ala Pro 1 5 <210> 10 <211> 9 <212> PRT <213> Sus <400> 10 Gly Pro Ala Gly Ala Pro Gly Ala Ala 1 5
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12P 21/06 A61K 37/02 (72)発明者 大塚 龍郎 大阪府八尾市二俣2丁目22番地 新田ゼラ チン株式会社大阪工場内 (72)発明者 山下 栄一 大阪府八尾市二俣2丁目22番地 新田ゼラ チン株式会社大阪工場内 (72)発明者 梶原 葉子 大阪府八尾市二俣2丁目22番地 新田ゼラ チン株式会社大阪工場内 Fターム(参考) 4B064 AG21 CA01 CA21 CB02 CC01 CD20 DA01 DA10 4C084 AA02 AA06 BA01 BA14 BA15 BA23 BA44 CA59 DA40 NA14 ZA422 ZC202 4H045 AA10 AA20 AA30 BA13 BA14 BA15 CA40 DA57 EA23 FA70 FA73

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号1、Ile−Ala、Gly−P
    ro−Arg、Ala−Arg、Val−Argおよび
    Val−Arg−Glyで表されるアミノ酸配列からな
    るペプチドおよびその塩からなる群より選ばれる少なく
    とも1つを有効成分として含む、アンジオテンシンI変
    換酵素阻害剤。
  2. 【請求項2】コラーゲンおよび/またはゼラチンを黄色
    コウジカビ由来プロテアーゼにより加水分解して得られ
    るペプチドを含んでなる、アンジオテンシンI変換酵素
    阻害剤。
  3. 【請求項3】コラーゲンおよび/またはゼラチンのブロ
    メライン加水分解物を発酵させて得られるペプチドを含
    んでなる、アンジオテンシンI変換酵素阻害剤。
  4. 【請求項4】配列番号1、Ala−ArgおよびVal
    −Arg−Glyのいずれかで表されるアミノ酸配列か
    らなるペプチドまたはその塩。
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