JP2005028828A - 樹脂成形品のインサート成形方法および成形型 - Google Patents

樹脂成形品のインサート成形方法および成形型 Download PDF

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Abstract

【課題】インサート部材と成形品本体との接合部分が良好なシール性を発揮するとともに、ウェルドの発生を抑制する樹脂成形品を製造する。また、成形品本体を薄肉に形成する場合にも接合部分のシール性が良好のものとなる樹脂成形品を製造する。
【解決手段】インサート成形を射出プレス成形法でおこなうとともに、インサート部材の周縁部に溶融リブを設けて射出工程において溶融リブが樹脂の流動方向と平行になるようにする。また、インサート部材をスライドコアと他の成形型とで挟持しキャビティ内に保持する。
【選択図】図9

Description

本発明は、樹脂成形品のインサート成形方法および成形型に関し、詳しくは射出プレス成形を用いて樹脂成形品のインサート成形をおこなう成形方法および成形型に関する。
樹脂製の成形品本体に別部材が一体化された樹脂成形品を成形する方法として、インサート成形方法が知られている。インサート成形方法としては、一般的には、予め別体で形成されたインサート部材をキャビティ内に配置し、このキャビティ内に樹脂材料を充填し冷却・固化することでインサート部材と一体に成形品本体を形成する方法が知られている。
例えば、樹脂成形品の一部を複雑形状に成形する場合には複雑形状の部分を成形品本体と一体に成形することは困難であり、複雑形状の部分のみを別体で成形してインサート部材とし、インサート成形をおこなうことによって容易に樹脂成形品を成形することが可能となる。
また、インサート成形方法で得られた樹脂成形品は、例えば成形品本体とインサート部材とを異材料で形成する場合には、1つの樹脂成形品に材料の違いによる異なる2以上の機能を付与することができることから、樹脂成形品の利用分野を広げるものとして従来より広く用いられている。
車両等に搭載される燃料タンクを例に挙げると、複雑形状を持つ燃料蒸気呼吸用のブリーザ等のインサート部材が、成形品本体である容器本体にインサート成形によって一体化される。
ここで、燃料タンク内部には燃料が充填されるため、燃料タンク外部への燃料や燃料蒸気の流出を防止するためには、インサート部材と容器本体とは強固に接合され液体や気体の漏れがないように充分にシールされている必要がある。
上述したようなインサート成形方法によると、インサート部材はキャビティ内で樹脂材料に曝されてこの溶融樹脂が冷却・固化する際に成形品本体に固定されるか、あるいは樹脂材料が高温の溶融樹脂である場合には、溶融樹脂の熱量によって自身もその一部が加熱・溶融されて樹脂材料と混ざり合った状態で冷却・固化されて成形品本体と一体化される。
従って、インサート部材と成形品本体との接合をより強固なものとするためにはインサート部材と溶融樹脂とが接する部分を大きく設けることが有効であり、インサート部材のうち溶融樹脂と接する部分に突出するリブを設けてインサート部材のうち溶融樹脂と接合する部分の表面積を大きく設けることがなされている(例えば、特許文献1,特許文献2)。
特許文献1には、略放射状に突出するように形成されたリブをインサート部材に設け、このリブに成形品本体を形成するためのパリソンを押し付けてブロー成形をおこなうことで、インサート部材と成形品本体との一体化をおこなうインサート成形方法が記載されている。
また、特許文献2には、肉厚方向に突出するリブをインサート部材の周縁部に設け、ブロー成形で成形品本体とインサート部材とを一体化するインサート成形方法が記載されている。
しかし、特許文献1および特許文献2に記載されるようなブロー成形を用いたインサート成形方法によると、インサート部材と一体化されるパリソンの熱量が小さいためにリブの溶融は少なく、リブが溶融しインサート部材と融合する場合に比べて接合の強度が低いものにとどまる問題がある。したがって、インサート部材と成形品本体との接合をさらに強固なものとしシール性をより向上させるためには、リブを溶融させて成形品本体に融合させることを可能とする成形方法が求められている。
一方、既知の射出成形法を用いると、熱量の大きい溶融樹脂をリブに当接させることができ、リブの溶融をより好適におこなうことができると考えられる。
ここで、リブと成形品本体とが融合している部分である融合部の肉厚を薄肉に形成する場合には、厚肉に形成する場合と比較して成形品本体とインサート部材との接合の強度が小さくなる。従って、例えば成形品本体を薄肉に成形する場合には、融合部の肉厚は成形品本体の肉厚よりも厚肉に形成する必要がある。しかし、上述した既知の射出成形方法を用いてインサート成形をおこなう場合には、この厚肉となるリブの周囲に溶融樹脂を充分にまわり込ませることが困難であり、融合部に成形不良が生じる場合がある。さらに射出成形方法によると、溶融樹脂の流動はインサート部材の樹脂流れ上流側で一旦分岐しつつ部分的に降温され、樹脂流れ下流側で再度合流する。このため、この合流する部分では一部降温・固化された溶融樹脂同士が当接しウェルドが生じる場合があった。
特開2001−293772号公報 国際公開第01/32458号パンフレット
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、インサート部材と成形品本体との接合部分が互いに融合し良好なシール性を発揮するとともに、ウェルドの発生を抑制する樹脂成形品を製造するための樹脂成形品のインサート成形方法および成形型を提供することを目的とする。さらに、成形品本体を薄肉に形成する場合にも接合部分のシール性が良好のものとなる樹脂成形品のインサート成形方法および成形型を提供することを目的とする。
前記課題を解決する本発明の樹脂成形品のインサート成形方法は、少なくとも一方がスライドコアを有する第1の成形型と第2の成形型との間隙にキャビティを形成し、周方向に突出するリング状の溶融リブを外縁部にもつインサート部材を該スライドコアと他方の成形型とで挟持して該溶融リブの少なくとも一部が溶融樹脂の流動方向と平行となるように該キャビティ内に保持するとともに該キャビティ内に該溶融樹脂を射出する射出工程と、該第1の成形型と該第2の成形型とのうち少なくとも一方を他方の成形型の型面方向に進行させるプレス工程と、を有することを特徴とする。
この構成によると、インサート部材が配置されたキャビティ内に溶融樹脂を射出してインサート部材の溶融リブに溶融樹脂を当接させることでインサート部材のうち成形品本体と接合する溶融リブを溶融樹脂の熱で加熱・溶融させることができ、インサート部材と成形品本体とを融合させることができる。さらに、溶融リブの少なくとも一部が溶融樹脂の流動方向と平行に設けられていることから、溶融樹脂は溶融リブの表面により確実に当接することとなり、溶融リブの加熱・溶融はより良好におこなわれることとなる。また、キャビティ内を流動する溶融樹脂の表面部は流動とともに熱量が失われ、一部固化した状態となる場合があるが、射出工程の後にさらにプレス工程をおこなうことによってこの固化した部分が攪拌されるため、溶融樹脂の温度を略均一なものとすることができ、溶融リブの加熱・溶融をより確実におこなうことが可能となる。
また本発明の樹脂成形品のインサート成形方法は、上記溶融リブと上記溶融樹脂とが融合している融合部の肉厚を一般部の肉厚よりも厚肉に形成する方法とすることができる。
本発明の樹脂成形品のインサート成形に用いられる成形型は、第1の成形型と第2の成形型との間隙に形成されるキャビティ内にインサート部材を配置するとともに溶融樹脂を射出する射出工程と、該第1の成形型と該第2の成形型とのうち少なくとも一方を他方の成形型の型面方向に進行させるプレス工程とによって樹脂成形品を成形するための成形型であって、対向して配置される上記第1の成形型および上記第2の成形型と、上記第1の成形型と上記第2の成形型とのうち少なくとも一方に設けられ上記第1の成形型および上記第2の成形型に対して進退自在となっているスライドコアと、を有し、該スライドコアは、周方向に突出するリング状の溶融リブを外縁部にもつインサート部材を他方の成形型とともに挟持して、上記射出工程において該溶融リブの少なくとも一部が溶融樹脂の流動方向と平行となるように該キャビティ内に保持することを特徴とする。
この構成によると、スライドコアを設けることによって、溶融リブの少なくとも一部を溶融樹脂の流動方向と平行となるように保持することができ、上述した溶融リブの加熱・溶融を良好におこなうことが可能となる。
また本発明の樹脂成形品のインサート成形に用いられる成形型は、上記溶融リブと上記溶融樹脂とが融合している融合部の肉厚を一般部の肉厚よりも厚肉に形成し、上記スライドコアは上記融合部の突出側となる成形型に設けられるものとすることもできる。
本発明の樹脂成形品のインサート成形方法および成形型によると、インサート成形を射出プレス成形によっておこなうことで、インサート部材の溶融リブの加熱・溶融を良好におこなうことが可能となり、インサート部材と成形品本体との融合をより確実かつ強固なものとすることが可能となる。
また、射出工程において溶融リブが溶融樹脂の流動方向と略平行となるように配置されていることから、溶融リブによる溶融樹脂の流動の阻害が生じることはなく、溶融樹脂の良好な流動が得られるとともに、より確実かつ熱量の損失が少ない状態で溶融樹脂が溶融リブに当接することなるため、溶融リブの加熱・溶融はより確実かつ良好におこなわれることとなる。
そして、プレス工程において溶融樹脂は一旦攪拌されるためにウェルドの発生が抑制される。
さらに、インサート部材はスライドコアと他の成形型とによってキャビティ内で保持されていることから、射出工程において溶融リブを溶融樹脂の流動方向と略平行な位置に配置するとともにプレス工程における移動型の進行を良好におこなうことができる。そしてこのとき、成形品本体の肉厚を薄肉のものとする場合にも厚肉の融合部が良好に形成された樹脂成形品を得ることが可能となる。
本発明にかかる樹脂成形品のインサート成形方法は、射出工程とプレス工程とを有する所謂射出プレス成形法を用いて樹脂成形品のインサート成形をおこなう方法である。
射出工程は、少なくとも一方がスライドコアを有する第1の成形型と第2の成形型との間隙にキャビティを形成し、周方向に突出するリング状の溶融リブを外縁部にもつインサート部材を該スライドコアと他方の成形型とで挟持して溶融リブの一部が溶融樹脂の流動方向と平行となるように該キャビティ内に保持するとともに該キャビティ内に該溶融樹脂を射出する工程である。
本発明においてインサート部材は、周方向に突出するリング状の溶融リブをもつ形状に予め形成されたものを用いることができる。インサート部材は溶融樹脂と融合するような樹脂材料で形成されるものであれば良く、溶融樹脂と同一材料で形成することもできるし、あるいは異材料で形成することもできる。また、溶融リブはインサート部材と一体に形成されるものであれば良く、インサート部材の本体と同一材料で形成することもできるし、あるいは異材料で形成することもできる。さらに、溶融リブはインサート部材の周縁部で1箇所のみに設けることもできるし、あるいは肉厚方向に並列して数箇所に設けることもできる。数箇所に設ける場合には、溶融リブと成形品本体との接合部の表面積がより大きく確保できるため、インサート部材と成形品本体との融合をより確実におこなうことが可能となる。
また、溶融リブは肉厚一定に形成することもできるし、あるいは肉厚に変化を持たせて形成することもできる。肉厚に変化を持たせて形成する場合には、肉厚の薄い部分がより加熱・溶融されやすい易溶部となり、溶融樹脂とより良好に融合することとなる。但し、溶融リブの形状によっては後述する溶融樹脂の流動を阻害する可能性があるため、肉厚に変化を持たせて形成する場合には溶融樹脂の流動を阻害しない形状、例えば溶融リブの外周方向に肉厚が薄くなるような形状に形成することが望ましい。
本発明の成形方法では、第1の成形型と第2の成形型との少なくとも一方にはスライドコアを設ける。スライドコアは、少なくとも一部がキャビティ内に表出し、第1の成形型および第2の成形型とともにキャビティの一部を構成する。従ってスライドコアは、後述するインサート部材の保持機能を有するとともに、樹脂成形品を成形するための成形型としての機能を有する。
本発明において、第1の成形型と第2の成形型とのうち少なくとも一方は他の成形型の型面方向に進行する可動型となるが、スライドコアはこの可動型に設けることもできるし、あるいは、他の成形型の型面方向に進行しない固定型に設けることもできる。
また、スライドコアは第1の成形型および第2の成形型に対して進退自在に配置されるものである。したがって、例えば、スライドコアが設けられる側の成形型(以下、スライドコア側成形型とする)に対して進退するための進退手段を介してスライドコア側成形型に固定配置し、スライドコア側成形型の移動に伴って他の成形型の型面方向に進行するとともに、進退手段によってスライドコア側成形型に対して進退するものとすることもできる。また、例えば、スライドコアをスライドコア側成形型と分離したものとして、別に設けた進退手段によってスライドコア側成形型の進行と独立して第1の成形型および第2の成形型に対して進退自在となるように配置することもできる。
何れの場合も、スライドコアは他方の成形型とともにインサート部材を挟持し、キャビティ内で保持するために、射出工程および後述するプレス工程においては他方の成形型方向に押圧された状態か、あるいは他方の成形型に対してインサート部材分の間隙を保ちつつ配置された状態となる。なお、本発明において、スライドコアは第1の成形型と第2の成型型との両方に設けることもできるが、この場合、第1の成形型に設けられたスライドコアと第2の成形型に設けられたスライドコアとの両方でインサート部材を保持することとなる。
射出工程において、インサート部材が配置されたキャビティ内に溶融樹脂を射出してインサート部材の溶融リブに溶融樹脂を当接させることで、インサート部材のうち成形品本体と接合する溶融リブを溶融樹脂の熱で加熱・溶融させることができ、インサート部材と成形品本体とを融合させることができる。
また、本発明の射出工程において、溶融リブの少なくとも一部は溶融樹脂の流動方向と平行に配置される。ここで、本発明において溶融樹脂の流動方向とは以下のように定義する。
図1にインサート部材周辺の溶融樹脂の流動を表す模式図を示し、図2〜図4に種々の形状の溶融リブをもつインサート部材を配置した場合の図1中A−A’における模式断面図を示す。
ゲート100より射出された溶融樹脂101は、図1中矢印方向に示すようにゲート100を中心として放射状に流動し、インサート部材102の周囲ではこの流動の方向はインサート部材102の外形状に沿った方向となる。図2〜図4に示すように、キャビティ103の厚さ方向においては、溶融樹脂101は流動方向aに沿って流動する。本発明においては、この溶融樹脂101のキャビティ103の厚さ方向における溶融リブ105周辺の流動方向aを溶融樹脂101の流動方向という。
図2および図3に示すように、溶融リブ105が溶融樹脂101の流動方向aと平行に配置されていない場合、溶融樹脂101が溶融リブ105に当接する際に、溶融樹脂101の流動は溶融リブ105によって阻害される。したがって、溶融リブ105には溶融樹脂101に曝されない部分が発生したり、あるいは流動が阻害されることによって溶融樹脂101の表面部106の熱量が低下する部分が発生する場合がある。この場合、溶融樹脂101による溶融リブ105の加熱は充分におこなわれず、溶融リブ105の溶融は充分におこなわれなくなるため、インサート部材102と成形品本体107との融合は良好におこなわれない場合がある。
一方、図4に示すように、溶融リブ105が溶融樹脂101の流動方向aと平行に設けられている場合には、溶融リブ105が溶融樹脂101の流動を阻害することはなく、溶融リブ105は溶融樹脂101に確実に曝されることとなるため、溶融リブ105の加熱・溶融はより良好におこなわれることとなる。
なお、本発明においては、射出工程において溶融樹脂の流動方向と平行になるように配置されるのは溶融リブの一部でも溶融リブの全体でも良く、樹脂材料の種類等によって適宜設定することが可能であるが、溶融リブの加熱・溶融をより確実におこなうためには溶融リブの全体が溶融樹脂の流動に平行に配置されることが好ましい。さらに、溶融リブの溶融樹脂の流動方向と平行に配置される部分の大きさは、射出工程における第1の成形型の型面と第2の成形型の型面との距離によって設定することができ、この型面間の距離をインサート部材のうち溶融リブの設けられている部分の肉厚以上に設けることで溶融リブの全体を溶融樹脂の流動方向と平行に配置することができる。ここで、例えば湾曲形状の樹脂成形品を成形し湾曲面にインサート部材を配置する場合には、溶融樹脂の流動方向もこの湾曲形状に沿って湾曲した方向となるため、溶融リブの配置方向もこの湾曲方向と平行にする。湾曲形状の樹脂成形品を本発明の成形方法によって成形する場合の射出工程を表す図を図5に示す。図5に示すような場合、溶融樹脂110の流動方向aは湾曲した方向となるため、溶融リブ111はこの湾曲した流動方向aと平行な方向となるように配置する。
プレス工程は、第1の成形型と第2の成形型とのうち少なくとも一方を他方の成形型の型面方向に進行させる工程である。この進行によってキャビティ内の溶融樹脂がキャビティのうちゲートから離れて位置するキャビティ端部にまで充填される。
プレス工程において、少なくとも一方の成形型を他方の成形型の型面方向に進行させるため、少なくとも移動型に対するインサート部材の配置位置は射出工程時とプレス工程時とで変位することとなる。しかしこのとき、キャビティ内ではスライドコアと他方の成形型とによってインサート部材が保持されていることから、成形型の進行時にはスライドコアは他の成形型に押付されて、スライドコア側成形型方向に相対的に退行する。したがって、スライドコアの退行によってプレス工程における成形型の進行時にもインサート部材はキャビティ内で継続して保持されることとなる。
またこのとき、溶融リブのうち上述した射出工程によって溶融樹脂に曝されて一部溶融している部分と溶融樹脂とがさらに攪拌されて混合される。そして、プレス圧力によって溶融リブと溶融樹脂とが強固に融合される。さらに、このプレス圧力によって、キャビティ内に射出された溶融樹脂の表面に発生したウェルドが攪拌され消失することから、樹脂成形品表面の形状が良好なものとなり、かつ、樹脂成形品の強度が保たれることとなる。
本発明において、溶融リブと溶融樹脂とが融合している融合部の肉厚を一般部の肉厚よりも厚肉に形成することができる。
本発明において、一般部とは樹脂成形品の成形品本体のうち溶融リブと融合する部分以外の部分を指し、特に厚肉や薄肉に形成されていない部分を指す。融合部の肉厚を一般部の肉厚よりも厚肉に形成することで、成形品本体の肉厚を薄肉に形成するような場合においても、溶融リブの表面積を大きく設けることができ、溶融リブの溶融樹脂による加熱・溶融をより好適におこなうことができるとともに、溶融リブと成形品本体との接合部を大きく設けることができるため、インサート部材と成形品本体との接合をより強固なものとすることができる。なお、本発明においては上述したように溶融リブは肉厚方向に複数箇所で設けることができ、この場合、融合部の肉厚はインサート部材の外縁で周方向に突出する複数の溶融リブ,溶融リブの周囲に当接している溶融樹脂および溶融リブ同士の間隙に充填された溶融樹脂を含む部分の肉厚を指す。
本発明の樹脂成形品のインサート成形に用いられる成形型は、第1の成形型と第2の成形型との間隙に形成されるキャビティ内にインサート部材を配置するとともに溶融樹脂を射出する射出工程と、該第1の成形型と該第2の成形型とのうち少なくとも一方を他方の成形型の型面方向に進行させるプレス工程とによって樹脂成形品を成形するための成形型である。すなわち、本発明の成形型は、上述したような本発明の成形方法に用いられる成形型である。
本発明の成形型は、対向して配置される第1の成形型および第2の成形型と、第1の成形型と第2の成形型とのうち少なくとも一方に設けられ第1の成形型および第2の成形型に対して進退自在となっているスライドコアと、を有する。スライドコアは、上述したようにどちらか一方の成形型に進退手段を介して固定配置することもできるし、あるいは、成形型と分離したものとして、別に設けた進退手段によって成形型に対して進退自在となるように配置することもできる。また、スライドコアは配置されている側の成形型と連動して進退するものであっても良いし、あるいは配置されている側の成形型と独立して進退するものであっても良い。また、スライドコアのうちインサート部材を挟持する部分には、インサート部材と係合して保持する係合部を設けることもできる。
何れの場合も、スライドコアは他方の成形型とともにインサート部材を挟持しキャビティ内で保持するために、射出工程およびプレス工程においては他方の成形型方向に押圧された状態か、あるいは他方の成形型に対してインサート部材分の間隙を保ちつつ配置された状態となる。
また、本発明において、スライドコアは、溶融リブをもつインサート部材を他方の成形型とともに挟持して、射出工程においてこの溶融リブの少なくとも一部が溶融樹脂の流動方向と平行となるようにキャビティ内に保持する。したがって射出工程におけるスライドコアの配置位置は、溶融リブの少なくとも一部を溶融樹脂の流動方向と平行な位置に保持可能な位置となる。また、プレス工程においてスライドコアは、スライドコア側成形型の進行と連動し、あるいは独立に進退する。ここで、インサート部材はスライドコアとともに他の成形型によっても保持される。従って、プレス工程において少なくとも一方の成形型が進行するとき同時に、他の成形型と一定距離を保つようにスライドコアはスライドコア側成形型方向に退行する必要がある。本発明において、スライドコアがスライドコア側成形型に対して進退自在に設けられていることで、少なくとも一方の成形型の進行に合わせてスライドコアを退行させることが可能となり、インサート部材の保持を継続しておこなうことが可能となる。
また、本発明の成形型において、溶融リブと溶融樹脂とが融合している融合部の肉厚は一般部の肉厚よりも厚肉に形成し、スライドコアは融合部の突出側となる成形型に設けられるものとすることができる。
融合部の肉厚を一般部の肉厚よりも厚肉に形成する場合には、上述したように、インサート部材と成形品本体との接合をより強固なものとすることができるが、融合部が一般部よりも厚肉に形成される場合、一般部の少なくとも一方の面より融合部が突出することとなる。このとき、スライドコアを融合部の突出側となる成形型に設けることで、移動型を一般部の肉厚が融合部の肉厚よりも薄肉となる位置にまで進行させる時にもインサート部材の保持を継続しておこなうことが可能となる。
以下、本発明の実施例を添付図面を基にして説明する。
(実施例1)
本発明の実施例1は樹脂成形品を燃料タンクとする場合のインサート成形方法および成形型の例であり、一般部が薄肉の樹脂成形品に厚肉の融合部を設ける例である。本実施例1において、第1の成形型と第2の成形型とのうち一方にのみスライドコアが設けられ、融合部の突出する部分は第2の成形型で形成される。本実施例1の成形方法および成形型で成形される燃料タンクの模式断面図を図6に示し、本実施例1において用いるインサート部材の斜視図を図7に示し、その断面図を図8に示す。また、本実施例1の成形方法および成形型を表す模式図を図9〜図11に示す。
本実施例1の樹脂成形品のインサート成形方法は、別体で形成されたアッパシェル1とロアシェル2とを有する燃料タンク3を成形する方法である。このうちアッパシェル1の上壁部5にはインサート部材6である燃料蒸気用のブリーザがインサート成形により一体化され、アッパシェル1とロアシェル2とは既知の熱板溶着によって溶着されて一体化されている。ロアシェル2はインサート部材6が一体化されていないことから、通常の射出プレス成形によって形成することができ、アッパシェル1のみが本発明の樹脂成形品のインサート成形方法および成形型で成形される。
インサート部材6は、アッパシェル1と一体化されるベース部7と、このベース部7よりアッパシェル1の外方に延びるポート8とに分けられ、ベース部7の外縁部10には周方向に突出するリング状の溶融リブ11がベース部7の肉厚方向に3箇所で並列配置されている。
3箇所に配置されている溶融リブ11のうち中央に位置する中間リブ12は、その外周部13が内周部15に比べて薄肉となるように形成されている。この薄肉の部分が、後述する溶融樹脂による溶融が大きい易溶部16を形成している。
本実施例1の成形方法において第1の成形型17および第2の成形型18は以下に説明される形状を有する。
第1の成形型17はアッパシェル1の表面を成形するための固定型であり、アッパシェル1の一般部20を成形するための一般型面21と、インサート部材6と成形品本体22とが融合した融合部23を形成するための融合型面25とをもつ。融合型面25のうちインサート部材6が配置される部分は突出しており、この突出した部分にはインサート部材6のベース部7の表面である表側係合面26と係合する第1の係合部27が設けられている。さらに、第1の成形型17のうち融合型面25の内周側にはインサート部材6を保持する際にポート8を収納するポート凹部28が設けられている。また、第1の成形型17のうち融合型面25に近接した位置にはゲート30が設けられ、このゲート30は図示しない射出装置のノズルに連結され、後述する射出工程における溶融樹脂のキャビティ内への通路となっている。
第2の成形型18は、アッパシェル1の裏面を成形するための成形型であり、アッパシェル1の一般部20を成形するための一般型面31と融合部23を形成するための融合型面32とを持つ。また、第2の成形型18は可動型となっており、図示しない第2の成形型の進退手段によって第1の成形型17の型面方向に進退するようになっている。
この第2の成形型18はインサート部材6が配置される位置が凹形状に形成されている。この凹形状は、中央部がスライドコア35を配置するスライド凹部36となり、スライド凹部36の外周部でありインサート部材6のうち溶融リブ11が配置される位置と対応する部分がスライド凹部36よりも一段高いリング状の融合溝37となっている。また、このリング状の融合溝37の内周面はスライドコア35の外周面の一部で構成されていることから、融合溝37の肉厚は後述するスライド進退手段によるスライドコア35の進退に伴って可変するものとなっている。本実施例1においては、この融合溝37の表面が第2の成形型18の融合型面32となる。
スライドコア35は、コイルバネよりなるスライド進退手段38を介してスライド凹部36に固定配置され、このスライド進退手段38の弾性によって第2の成形型18に対して進退自在となっている。また、スライドコア35には、第1の成形型17と同様にインサート部材6のベース部7の裏面に設けられた裏側係合面40と係合する第2の係合部41が設けられている。
第1の係合部27はベース部7の表面形状に対応した形状に形成され、第2の係合部41はベース部7の裏面形状と対応した形状に形成されていることから、表側係合面26と第1の係合部27との係合および裏側係合面40と第2の係合部41との係合によって、後述する射出工程およびプレス工程の際に溶融樹脂が融合型面25および32の内周側に侵入することが防止されている。なお、スライドコア35は上述したように外周面の一部が融合溝37の内周面となっていることから、インサート部材6を保持する保持部材としての機能とともに、キャビティの一部を構成し溶融樹脂の成形をおこなう成形型としての機能をも有する。
本実施例1において、樹脂成形品のインサート成形は上述した成形型を用いて以下のようにおこなわれる。
(I)射出工程:射出工程を表す図を図9〜10に示す。先ず、第1の成形型17と第2の成形型18とを離間しつつ対向するように配置させ(以下、開型状態とする)、第1の成形型17の第1の係合部27にインサート部材6の表側係合面26を係合させる。このとき、インサート部材6は第1の成形型17側にポート8が配置されるようにし、ポート8はポート凹部28に収納する。さらにこのとき、インサート部材6の溶融リブ11が第1の成形型17の一般型面21と平行になるようにする。これによって溶融リブ11は後述する溶融樹脂の流動方向aと平行に配置された。
次に、第2の成形型18のうちスライドコア35をスライド進退手段38によって第1の成形型17方向に進行させ、スライドコア35の第2の係合部41をインサート部材6の裏側係合面40に係合させる。これにより、インサート部材6は第1の成形型17およびスライドコア35によって挟持される。さらに、図示しない第2の成形型の進退手段によって第2の成形型18を第1の成形型17方向に進行させて第1の成形型17の型面と第2の成形型18の型面とからキャビティ42を形成する。このとき、第1の成形型17および第2の成形型18は互いに僅かに離間するように配置される。さらにこのとき、上述したようにインサート部材6は第1の成形型17およびスライドコア35によって挟持されていることから、インサート部材6はキャビティ42内に保持されることとなる。
インサート部材6が保持されたキャビティ42内に、図示しない射出装置より射出された溶融樹脂43をゲート30をとおして射出する。溶融樹脂43は、ゲート30を中心とした略円状にキャビティ42内の一部に射出される。射出された溶融樹脂43は、図10中矢印a方向にキャビティ42内を流動する。本実施例1において、インサート部材6のうち溶融リブ11は、溶融樹脂43の流動方向aと平行な方向bに配置されていることから、キャビティ42内を流動する溶融樹脂43は溶融リブ11によって流動を阻害されることがなく、かつ溶融リブ11の全体に当接し溶融リブ11を加熱・溶融する。さらにこのとき溶融樹脂43は融合溝37内部にも進入する。
(II)プレス工程;プレス工程を表す図を図11に示す。本実施例1のプレス工程は、射出工程の終了後に図示しない射出装置を保圧状態としておこなう。また、プレス工程は、図示しない第2の成形型の進退手段によって第2の成形型18を型締して第1の成形型17の型面方向に、一般部20の肉厚が融合部23の肉厚よりも薄肉となる位置にまで進行させた。
このとき、この進行によってスライドコア35にも型面方向の押圧力が作用するが、スライドコア35はインサート部材6を介して第1の成形型17に当接しているため、さらに第1の成形型17方向に進行することはできない。このため、この押圧力によって、コイルバネであるスライド進退手段38が圧縮され、スライドコア35はスライド凹部36内に収納されることとなる。
したがって、このプレス工程によって、キャビティ42は第2の成形型18方向から第1の成形型17方向に向けて縮小され、キャビティ42内部に射出されている溶融樹脂43はゲート30側からキャビティ42の端側方向に向けて流動し充填される。なお、本実施例1においては第2の成形型18のうち溶融リブ11の配置位置と対応する部分に融合溝37が設けられていることから、第2の成形型18が第1の成形型17方向に進行すると、溶融リブ11および溶融樹脂43の一部は融合溝37内部に相対的に進行することとなり、融合部23の肉厚方向の下端部はこの融合溝37が設けられている第2の成形型18方向に突出した位置に配置されることとなる。さらに、溶融リブ11のうち加熱・溶融された部分と溶融樹脂43とは、このプレス工程によって攪拌され混合された状態となる。
(III)固化・カット工程;プレス工程後、第1の成形型17および第2の成形型18を冷却することで溶融樹脂43の固化を行い、第1の成形型17を開型した後に固化形成された樹脂成形品を取出した。その後にゲートカットをおこなうことでアッパシェル1を形成した。
本実施例1の樹脂成形品のインサート成形方法および成形型によると、射出工程において溶融樹脂43の流動方向と略平行に溶融リブ11が配置されている。このため、溶融リブ11によって溶融樹脂43の流動が阻害されることはなく、溶融リブ11は溶融樹脂43の熱量が高い状態で溶融樹脂43の流動に曝されることとなり、溶融リブ11の加熱・溶融は良好におこなわれる。従って、溶融樹脂43と溶融リブ11との融合は良好なものとなり、溶融樹脂43から形成される成形品本体22と溶融リブ11との接合は、良好なシール性が発揮される程度に強固なものとなる。
さらに、リブ12の先端部はその体積が小さいため、射出された樹脂材料の熱で優先的に溶融して易溶部16となり、成形品本体22と確実に溶融接合されることとなる。従って、この易容部16におけるシール性がより一層確実なものとなる。
また、プレス工程において溶融リブ11の加熱・溶融された部分と溶融樹脂43とは攪拌されることから、溶融リブ11と溶融樹脂43とは混合された状態で固化されることとなり、溶融リブ11と溶融樹脂43との融合はさらに良好なものとなる。そして、例えば溶融樹脂43が一部冷却され固化が開始した部分が生じた場合にも、この攪拌によってウェルド等の発生が抑制される。
さらに、第2の成形型18にスライドコア35が設けられるとともに融合溝37が設けられていることから、プレス工程において溶融リブ11と溶融樹脂43とからなる融合部23の一部を融合溝37内に相対的に進行させることができる。したがって、一般部20の肉厚を薄肉に形成する場合にも溶融リブ11の表面積を充分な融合が得られる程度に大きく設けることができ、溶融リブ11と溶融樹脂43との融合を良好なものとすることができる。
(実施例2)
本発明の実施例2は、実施例1と同様に、燃料タンクを成形するインサート成形方法および成形型の例である。本実施例2においては、一般部が厚肉に成形され、溶融部の肉厚は一般部の肉厚と同程度に形成される。本実施例2のインサート成形方法および成形型を示す模式図を図12〜13に示す。
本実施例2において、インサート部材45は実施例1と同じものを用い、第1の成形型46もまた、実施例1と同じものである。
第2の成形型47は、実施例1と同じスライドコア48,スライド凹部50および一般型面51をもち、実施例1の成形型との相違点は融合溝が設けられていない点のみである。すなわち、本実施例2においては、融合型面52は一般型面51と連続した略同一平面の型面となっている。
従って、射出工程においては、実施例1と同様に、インサート部材45は第1の成形型46およびスライドコア48で挟持されて溶融リブ53が溶融樹脂55の流動方向aと平行となるようにキャビティ56内に配置されるとともに、このキャビティ56内に溶融樹脂55が射出される。
そして第2の成形型47に融合溝が形成されていないことから、プレス工程において第2の成形型47は、一般部57の肉厚と融合部58の肉厚とが同程度の肉厚となる位置にまで進行する。
本実施例2においては、実施例1と同様に、射出工程において溶融リブ53が溶融樹脂55の流動方向と略平行に配置されることで溶融リブ53の加熱・溶融が良好におこなわれ、溶融樹脂55と溶融リブ53との融合が良好なものとなる。また、一般部57の肉厚が厚肉であることから、融合部58の肉厚が一般部57の肉厚と同程度であっても溶融リブ53の表面積は良好な融合が得られる程度に大きなものとなり、充分なシール性が得られる。
(実施例3)
本発明の実施例3は、実施例1〜2と同様に、燃料タンクを成形するインサート成形方法および成形型の例である。本実施例3においては、実施例1と同様に一般部が薄肉に成形され、溶融部の肉厚は一般部の肉厚より厚肉に形成される。本実施例3の成形型は、第1の成形型と第2の成形型との両方にスライドコアを設けた以外は実施例1と同様の成形型である。本実施例3のインサート成形方法および成形型を示す模式図を図14〜17に示す。
本実施例3において、インサート部材60は実施例1と同じものを用いた。
第1の成形型61は、図示しない第1の成形型の進退手段によって第2の成形型62方向に進退する可動型となっており、アッパシェルの一般部63を成形するための一般型面65と、インサート部材60と成形品本体66とが融合した融合部67を成形するための融合型面68とをもつ。
本実施例3において、第1の成形型61のうちインサート部材60が配置される位置は凹形状に形成され、中央部が第1のスライドコア70を配置する第1のスライド凹部71となり、第1のスライド凹部71の外周部でありインサート部材60の溶融リブ72の配置位置に対応する部分が第1のスライド凹部71よりも一段高いリング状の第1の融合溝73となっている。また、このリング状の第1の融合溝73の内周面は第1のスライドコア70の外周面の一部で構成されている。本実施例3においては、この第1の融合溝73の表面が第1の成形型61の融合型面68となる。
第1のスライドコア70は、コイルバネよりなる第1のスライド進退手段75を介して第1のスライド凹部71に固定配置されている。この第1のスライド進退手段75は後述する第2のスライド進退手段よりもバネ定数の小さいコイルバネによって構成されている。また、第1のスライドコア70には、インサート部材60のベース部76の表面の一部である表側係合面77と係合する第1の係合部78が設けられている。また第1のスライドコア70のうち、インサート部材60のポート80と対向する位置にはインサート部材60を保持する際にポート80を収納するポート凹部81が設けられている。
第2の成形型62はアッパシェルの裏面を成形するための成形型であり、実施例1と同様に、アッパシェルの一般部63を成形するための一般型面84と融合部67を形成するための融合型面83とを持つ。また、第2の成形型62は図示しない第2の成形型の進退手段によって第1の成形型61方向に進退する可動型となっている。
第2の成形型62には、実施例1と同様に、第2のスライドコア85を配置する第2のスライド凹部86と、第2の融合溝87とが形成されている。本実施例3においては、この第2の融合溝87の表面が第2の成形型62の融合型面83となる。
第2のスライドコア85は、コイルバネよりなる第2のスライド進退手段88を介して第2のスライド凹部86に固定配置されている。この第2のスライド進退手段88は、第1のスライド進退手段75よりもバネ定数の大きいものとなっている。また、第2のスライドコア85のうち、インサート部材60のベース部76の裏面に設けられた裏側係合面90と対応する部分には、裏側係合面90と係合する第2の係合部91が設けられている。
第1の係合部78はベース部76の表面形状に対応した形状に形成され、第2の係合部91はベース部76の裏面形状と対応した形状に形成されていることから、表側係合面77と第1の係合部78との係合および裏側係合面90と第2の係合部91との係合によって、後述する射出工程およびプレス工程の際に溶融樹脂が融合型面68および83の内周側に侵入することが防止されている。なお、本実施例3においては、インサート部材60は第1の成形型61の第1のスライドコア70と、第2の成形型62の第2のスライドコア85とによって挟持されることとなる。
本実施例3において、樹脂成形品のインサート成形は上述した成形型を用いて以下のようにおこなわれる。
(I)射出工程:射出工程を表す図を図図14〜15に示す。先ず、第1の成形型61と第2の成形型62とを開型状態とし、第1の成形型61の第1のスライドコア70と第2の成形型62の第2のスライドコア85とによってインサート部材60を挟持する。このとき、インサート部材60の表側係合面77は第1のスライドコア70の第1の係合部78と係合し、裏側係合面90は第2のスライドコア85の第2の係合部91と係合する。さらにこのとき、インサート部材60の溶融リブ72が第1の成形型61の一般型面82および第2の成形型62の一般型面84と平行な方向bになるようにする。これによって溶融リブ72は後述する溶融樹脂の流動方向aと平行に配置された。
次に、図示しない第2の成形型の進退手段によって、第2の成形型62を第1の成形型61方向に閉型し、第1の成形型61の型面と第2の成形型62の型面とからキャビティ92を形成する。このとき、実施例1と同様に、第1の成形型61および第2の成形型62は互いに僅かに離間するように配置される。
インサート部材60が保持されたキャビティ92内に、図示しない射出装置より射出された溶融樹脂93をゲート95をとおして射出する。射出された溶融樹脂93は、図15中矢印a方向にキャビティ92内を流動する。本実施例3において、実施例1および実施例2と同様に、インサート部材60のうち溶融リブ72は、溶融樹脂93の流動方向aと平行に配置されていることから、キャビティ92内を流動する溶融樹脂93は溶融リブ72によって流動を阻害されることがなく、かつ溶融リブ72の全体に当接し溶融リブ72を加熱・溶融する。さらにこのとき溶融樹脂93は第1の融合溝73および第2の融合溝87内部にも進入する。
(II)プレス工程;プレス工程を表す図を図16〜17に示す。本実施例1のプレス工程は、射出工程の終了後に図示しない射出装置を保圧状態としておこなう。また、プレス工程は、第2の成形型62を第1の成形型61方向にさらに進行させて型締することによって、第2の成形型62を一般部63の肉厚が融合部67の肉厚よりも薄肉となる位置にまで進行させた。
このとき、先ずバネ定数の小さい第1のスライド進退手段75が圧縮されて、第1のスライドコア70が第1の成形型61方向に退行し、第1のスライド凹部71内に収納される。そして、溶融リブ72および溶融樹脂93の一部は第1の融合溝73内部に相対的に進行することとなり、融合部67の肉厚方向の上端部はこの第1の融合溝73が設けられている第1の成形型61方向に突出した位置に配置される。
次いで比較的バネ定数の大きい第2のスライド進退手段88が圧縮されて、第2のスライドコア85が第2の成形型62方向に退行し、第2のスライド凹部86に収納される。そして、溶融リブ72および溶融樹脂93の一部は第2の融合溝87内部に相対的に進行することとなり、融合部67の肉厚方向の下端部は第2の成形型62方向に突出した位置に配置される。
そしてこのとき、溶融リブ72のうち加熱・溶融された部分と溶融樹脂93とは、このプレス工程によって攪拌され混合された状態となる。
(III)固化・カット工程;プレス工程後、実施例1と同様に溶融樹脂93の固化を行い固化形成された樹脂成形品を取出した。その後にゲートカットをおこなうことでアッパシェルを形成した。
本実施例3の樹脂成形品のインサート成形方法および成形型によると、実施例1および実施例2と同様に、射出工程において溶融樹脂93の流動方向と略平行に溶融リブ72が配置されていることから、溶融リブ72の加熱・溶融は良好におこなわれる。従って、溶融樹脂93と溶融リブ72との融合は良好なものとなり、溶融樹脂93から形成される成形品本体66と溶融リブ72との接合は、良好なシール性が発揮される程度に強固なものとなる。
また、プレス工程において溶融リブ72の加熱・溶融された部分と溶融樹脂93とは攪拌されることから、ウェルドの発生が抑制されるとともに溶融リブ72と溶融樹脂93との融合はさらに良好なものとなる。
さらに、第1の成形型61および第2の成形型62の両方にスライドコアが設けられていることから、一般部63の肉厚を薄肉に形成する場合にも溶融リブ72の表面積を充分な融合が得られる程度に大きく設けることができ溶融リブ72と溶融樹脂93との融合を良好なものとすることができるとともに、一般部63に対する融合部67の位置を所望の位置に設定することが可能となる。
インサート部材周辺の溶融樹脂の流動を表す模式図である。 溶融リブが溶融樹脂の流動方向と平行に配置されていない場合の図1中A−A’における模式断面図である。 溶融リブが溶融樹脂の流動方向と平行に配置されていない場合の図1中A−A’における模式断面図である。 溶融リブが溶融樹脂の流動方向と平行に配置されている本発明の場合の図1中A−A’における模式断面図である。 湾曲形状の樹脂成形品を本発明の成形方法によって成形する場合の射出工程を表す模式図である。 本発明の実施例1の成形方法および成形型で成形される燃料タンクの模式断面図である。 本発明の実施例1において用いるインサート部材の斜視図である。 図7に示すインサート部材の断面図である。 射出工程における本発明の実施例1の成形方法および成形型を表す模式図である。 射出工程における本発明の実施例1の成形方法および成形型を表す模式図である プレス工程における本発明の実施例1の成形方法および成形型を表す模式図である。 射出工程における本発明の実施例2の成形方法および成形型を表す模式図である。 プレス工程における本発明の実施例2の成形方法および成形型を表す模式図である。 射出工程における本発明の実施例3の成形方法および成形型を表す模式図である。 射出工程における本発明の実施例3の成形方法および成形型を表す模式図である。 プレス工程における本発明の実施例3の成形方法および成形型を表す模式図である。 プレス工程における本発明の実施例3の成形方法および成形型を表す模式図である。
符号の説明
100:ゲート 101:溶融樹脂 102:インサート部材 103:キャビティ 105:溶融リブ a:溶融樹脂の流動方向 106:表面部 107:成形品本体
110:溶融樹脂 111:溶融リブ
1:アッパシェル 2:ロアシェル 3:燃料タンク 6:インサート部材 11:溶融リブ 17:第1の成形型 18:第2の成形型 20:一般部 21:一般型面 22:成形品本体 23:融合部 25:融合型面 31:一般型面 32:融合型面 35:スライドコア 37:融合溝 38:スライド進退手段 42:キャビティ 43:溶融樹脂
45:インサート部材 46:第1の成形型 47:第2の成形型 48:スライドコア51:一般型面 52:融合型面 53:溶融リブ 55:溶融樹脂56:キャビティ
60:インサート部材 61:第1の成形型 62:第2の成形型 63:一般部 65:一般型面 66:成形品本体 67:融合部 68:融合型面 70:第1のスライドコア 72:溶融リブ 73:第1の融合溝 75:第1のスライド進退手段 84:一般型面 67:融合部 83:融合型面 85:第2のスライドコア 87:第2の融合溝 88:第2のスライド進退手段 92:キャビティ 93:溶融樹脂

Claims (4)

  1. 少なくとも一方がスライドコアを有する第1の成形型と第2の成形型との間隙にキャビティを形成し、周方向に突出するリング状の溶融リブを外縁部にもつインサート部材を該スライドコアと他方の成形型とで挟持して該溶融リブの少なくとも一部が溶融樹脂の流動方向と平行となるように該キャビティ内に保持するとともに該キャビティ内に該溶融樹脂を射出する射出工程と、
    該第1の成形型と該第2の成形型とのうち少なくとも一方を他方の成形型の型面方向に進行させるプレス工程と、を有することを特徴とする樹脂成形品のインサート成形方法。
  2. 前記溶融リブと前記溶融樹脂とが融合している融合部の肉厚を一般部の肉厚よりも厚肉に形成する請求項1に記載の樹脂成形品のインサート成形方法。
  3. 第1の成形型と第2の成形型との間隙に形成されるキャビティ内にインサート部材を配置するとともに溶融樹脂を射出する射出工程と、該第1の成形型と該第2の成形型とのうち少なくとも一方を他方の成形型の型面方向に進行させるプレス工程とによって樹脂成形品を成形するための成形型であって、
    対向して配置される前記第1の成形型および前記第2の成形型と、前記第1の成形型と前記第2の成形型とのうち少なくとも一方に設けられ前記第1の成形型および前記第2の成形型に対して進退自在となっているスライドコアと、を有し、
    該スライドコアは、周方向に突出するリング状の溶融リブを外縁部にもつインサート部材を他方の成形型とともに挟持して、前記射出工程において該溶融リブの少なくとも一部が溶融樹脂の流動方向と平行となるように該キャビティ内に保持することを特徴とする樹脂成形品のインサート成形に用いられる成形型。
  4. 前記溶融リブと前記溶融樹脂とが融合している融合部の肉厚を一般部の肉厚よりも厚肉に形成し、前記スライドコアは前記融合部の突出側となる成形型に設けられる請求項3に記載の樹脂成形品のインサート成形に用いる成形型。
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