JP2005028225A - 光触媒材料 - Google Patents

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JP2005028225A
JP2005028225A JP2003193564A JP2003193564A JP2005028225A JP 2005028225 A JP2005028225 A JP 2005028225A JP 2003193564 A JP2003193564 A JP 2003193564A JP 2003193564 A JP2003193564 A JP 2003193564A JP 2005028225 A JP2005028225 A JP 2005028225A
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Akira Shimai
曜 島井
Masahiro Miyauchi
雅浩 宮内
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Abstract

【課題】製造工程が簡単であり、水の酸化・還元電位に対して十分に広いバンドギャップをもつp型半導体を含む高活性なpn接合光触媒材料を提供する。また、ガラスなど比較的耐熱性の低い基材上にも形成可能な、薄膜としてのpn接合光触媒材料を提供する。
【解決手段】下記(a)と(b)が接合していることを特徴とする光触媒材料。
(a)バンドギャップが2.8eV以上、キャリア密度が1013(cm−3)以下、ドーパントが窒素であるp型光半導体
(b)n型光半導体
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高活性な光触媒活性を有する光触媒材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
光触媒材料にバンドギャップ以上のエネルギーの光を照射すると電子、正孔が励起し、それらが表面に拡散することで酸化還元反応や親水化反応が発現する。その機能を生かして、光触媒材料は、環境浄化や防汚、セルフクリーニング、防曇などの様々な分野に使用されている。光触媒材料の作製方法として、粉末の作製では共沈法、金属アルコキシド法、ゾルゲル法、水熱法が検討されている。薄膜の作製では光触媒粉末とバインダーを含む塗料組成物の塗布などのウェットプロセス、およびスパッタ法、蒸着法、CVD法などのドライプロセスが検討されている。ドライプロセスには、バインダーが不要であること、緻密な膜が作製可能であること、結晶性の制御が容易であるというメリットがある。ウェットプロセスでは、ドライプロセスを適用するのが困難な基材や、樹脂など特に耐熱性の低い基材への適用が可能になるとともに、屋外建造物の外壁などへの現場施工が可能になる。
【0003】
光触媒反応として、表面に付着した有機物を分解する酸化分解反応と、表面の水との濡れ性が高くなる光誘起親水化反応が知られている。いずれの反応においても、光励起した電子正孔対が反応に関与している。すなわち、光触媒反応を効率的に進行させるためには、電子と正孔を分離するための駆動力が必要となる。結晶中の電位勾配(バンドベンディング)がこの駆動力となる。結晶中で電位勾配が生じている部分は空間電荷層と呼ばれているが、この空間電荷層の厚みはキャリア密度に依存している。通常、不純物をドープしていない多結晶酸化物においては酸素欠陥が多数キャリアになり、これらの酸化物の空間電荷層の厚みは200nm程度と考えられている。
【0004】
光触媒薄膜の光触媒活性と膜厚の関係は、前記空間電荷層の厚みに大きく依存する。膜厚が空間電荷層の厚みよりも薄い範囲では、その光触媒活性は膜厚に対して線形に増加するが、膜厚が空間電荷層の厚みよりも厚くなると活性は飽和してしまう。空間電荷層の厚みを拡大させる手段があれば、膜厚を厚くすることで光触媒反応の高活性化が原理的に可能である。
【0005】
キャリアの拡散距離を広げる方法として、異種の半導体の接合が挙げられる。接合は、キャリアの属性が同じである接合(nn接合、pp接合)と異なる接合(pn接合)に分類される。nn接合、pp接合では、接合面でショットキー障壁が生じるためにキャリアがスムーズに移動せず、光触媒の高活性化には不適である。一方、pn接合では、バンドギャップが同程度あり、p型半導体のフラットバンド電位がn型半導体のものよりマイナス側にあればショットキー障壁がなく、接合面で電子、正孔ともにスムーズに移動することから、光触媒の高活性化には好ましい形態である。
【0006】
なお、p型半導体とは、光励起をしない状態での多数キャリアが正孔である半導体を意味する。すなわち、半導体に不純物をドープし、価電子帯よりも卑なポテンシャル位置にアクセプタレベルが形成されたものがp型半導体である。それに対して、n型半導体とは、光励起をしない状態での多数キャリアが電子である半導体を意味する。すなわち、半導体に不純物をドープ、あるいは半導体が酸化物の場合には酸素欠陥によって、伝導帯よりも貴なポテンシャル位置にドナーレベルが形成されたものがn型半導体である。
【0007】
pn接合による光触媒材料の研究例として、p、n型半導体の界面に高ドープ層を挿入し、トンネル接合させたことを特徴とする光触媒材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、光触媒材料の構成が、RuO+p−Si+n−Si+(高ドープn−Si)+(高ドープp−aSi)+p−aSi+i−aSi+n−aSi+n−TiO+Pt、あるいはRuO+p−GaP+n−GaP+(高ドープn−GaP)+(高ドープp−aSi)+p−aSi+i−aSi+n−aSi+n−TiO+Ptと多層構造であるために製造工程が複雑であるという課題があった。また、一般に、光触媒反応を起こすためには、伝導帯の下端が水の水素発生電位よりマイナス側にあり、価電子帯の上端が水の酸素発生電位よりプラス側にあるような半導体が必要であるが、上記光触媒材料に使用しているSi、GaPでは価電子帯の上端が水の酸素発生電位よりマイナス側にあるため、酸化力が不十分であるという課題があった。
【0008】
一方、pn接合による光触媒材料の他の研究例として、p型光半導体としてCa(Zr0.950.05)O3− δ ペロブスカイト型酸化物、n型光半導体としてアナターゼ型酸化チタンを使用したpn接合光触媒材料が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この材料は可視光を吸収するために透明性に乏しく、また、材料のp型光半導体、n型光半導体、pn接合半導体の製造工程でそれぞれ1500〜1650℃、650℃、700℃の高温の熱処理が必要であり、製造コストが高いという課題があった。また、開示されているのは粉末の作製法だけで、基材に直接成膜する方法は記載が無い。
【0009】
【特許文献1】
特公平6−28737号
【特許文献2】
特開2003−47859号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
製造工程が簡単であり、水の酸化・還元電位に対して十分に広いバンドギャップをもつp型半導体を含む高活性なpn接合光触媒材料を提供する。また、ガラスなど比較的耐熱性の低い基材上にも形成可能な、薄膜としてのpn接合光触媒材料を提供する。さらに、広いバンドギャップを持つp型半導体を使用することで透明なpn接合光触媒材料を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
下記(a)と(b)が接合していることを特徴とする光触媒材料を提供する。
(a)バンドギャップが2.8eV以上、キャリア密度が1013 (cm−3)以下、かつドーパントが窒素であるp型光半導体、(b)n型光半導体。
【0012】
本発明の好ましい態様においては、前記p型光半導体は窒素をドープした酸化亜鉛である。
【0013】
本発明の好ましい態様においては、前記n型光半導体は酸化亜鉛、酸化インジウム(III)、酸化ジルコニウム、酸化スズ(IV)、酸化セリウム(IV)、酸化タングステン(VI)、酸化タンタル(V)、酸化チタン(IV)、酸化ニオブ(IV)、酸化ニオブ(V)、酸化バナジウム(V)、酸化ビスマス(III)、インジウム酸カドニウム、スズ酸バリウム、タンタル酸カリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、二チタン酸マグネシウム、ニオブ酸亜鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ストロンチウム、ニオブ酸タングステン、ニオブ酸チタン、ニオブ酸ニッケル、ニオブ酸バリウム、ニオブ酸ランタンから選ばれる少なくとも一種である。
【0014】
本発明の一態様においては、前記光触媒材料を含む薄膜が固定化されていることを特徴とする光触媒複合体を提供する。
【0015】
本発明の光触媒複合体の好ましい態様においては、前記p型光半導体である酸化亜鉛は、ターゲットをZnとし、O/N雰囲気下でのスパッタリングによって得られることを特徴とする。
【0016】
本発明の光触媒複合体の好ましい態様においては、前記薄膜の膜厚が130nm以上である。
【0017】
本発明ではまた、粉末状であることを特徴とする光触媒材料を提供する。
【0018】
本発明ではさらに、前記粉末状である光触媒材料および溶媒を含むことを特徴とする塗料組成物を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明において、光触媒材料に使用するp型半導体、n型半導体のバンドギャップは半導体内部における伝導帯の下端と価電子帯の上端間のエネルギーギャップと定義される。材料の表面近傍では前述したようにバンドベンディングが生じることが知られているが、本発明においては材料内部の値をいう。膜厚、粒径が小さい場合は同じ組成の材料のバルクの値を採用する。
【0020】
本発明において、p型半導体とn型半導体との間でキャリアが移動可能な接触状態を接合しているとみなす。例えば、(1)基材/p型半導体/n型半導体で構成される光触媒複合体において、p型半導体の上にスパッタ法、蒸着法、MBE法、レーザーアブレーション法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法、MOCVD法、放電重合法、液相エピタキシー法、AD(エアロゾルデポジション)法、LB(ラングミュアーブロジェット)法、ゾルゲル法、めっき法からなる群より選択される少なくとも一つの製造方法でn型半導体を積層したときのp、n半導体間の接触状態、(2)基材/n型半導体/p型半導体で構成される光触媒複合体において、n型半導体の上にスパッタ法、蒸着法、MBE法、レーザーアブレーション法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法、MOCVD法からなる群より選択される少なくとも一つの製造方法でp型半導体を積層したときのp、n半導体間の接触状態、(3)粉末状のp型半導体とn型半導体を混合、焼成、粉砕によって作製した光触媒材料のp、n半導体間の接触状態、(4)粉末状のp型半導体とn型半導体が直接接触したときの接触状態、(5)粉末状のp型半導体とn型半導体が吸着酸素、吸着水、水酸基からなる群より選択される少なくとも一つを介して接触したときの接触状態が挙げらられる。なお、(1)〜(3)の形態が(4)、(5)の形態に比べてキャリアが移動しやすく、より好ましい。
【0021】
本発明において、酸素欠陥を生成させずに、アクセプタレベルを形成する不純物をドーピングしたp型光半導体が必要である。光触媒として強力な電子の還元力、正孔の酸化力を発揮させるためには、p型半導体はバンドギャップが2.8eV以上であることが望ましい。例えば、酸化亜鉛、酸化インジウム(III)、酸化ジルコニウム、酸化スズ(IV)、酸化セリウム(IV)、酸化タングステン(VI)、酸化タンタル(V)、酸化チタン(IV)、酸化ニオブ(IV)、酸化ニオブ(V)、酸化バナジウム(V)、酸化ビスマス(III)、インジウム酸カドニウム、スズ酸バリウム、タンタル酸カリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、二チタン酸マグネシウム、ニオブ酸亜鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ストロンチウム、ニオブ酸タングステン、ニオブ酸チタン、ニオブ酸ニッケル、ニオブ酸バリウム、ニオブ酸ランタンからなる群より選択される少なくとも一つが好適に使用できる。
【0022】
また、本発明において、p型半導体のキャリア密度は1013 (cm−3 )以下である。キャリア密度を低くすることで、光励起した場合のキャリア同士の散乱を防ぐことができ、光触媒反応の起源である電子、正孔の移動度が向上し、結果として高い光触媒活性を発現することができる。
【0023】
p型特性を発現させるためのドーパントとして、窒素の他に硫黄、リン、炭素からなる群より選択される少なくとも一つを使用できることが知られているが、ドーピングが容易であることから窒素が好ましい。窒素をドープする位置は、格子酸素の一部を置換、光触媒材料の格子間、結晶粒界のいずれか、ないし、これらの組み合わせが可能である。また、材料の表面だけドープしてもよい。このように窒素をドープすることによって、窒素の2p軌道が酸素の2p軌道で形成される価電子帯よりも負の位置にアクセプタレベルを形成しp型特性を呈する。
【0024】
p型半導体の中でも窒素をドープした酸化亜鉛が特に好ましく用いられる。酸化亜鉛は他の半導体に比べてドーピングによるp型化が実現しやすいためである。
【0025】
光触媒として強力な電子の還元力、正孔の酸化力を発揮し、pn接合面でスムーズなキャリアの移動を実現するためには、前記n型半導体のフラットバンド電位が酸化亜鉛と同等もしくはプラス側にあり、バンドギャップが2.8eV以上の半導体であることが望ましい。本発明に使用するn型半導体は、バンドギャップ2.8eV以上であるものが好ましく用いられ、例えば酸化亜鉛、酸化インジウム(III)、酸化ジルコニウム、酸化スズ(IV)、酸化セリウム(IV)、酸化タングステン(VI)、酸化タンタル(V)、酸化チタン(IV)、酸化ニオブ(IV)、酸化ニオブ(V)、酸化バナジウム(V)、酸化ビスマス(III)、インジウム酸カドニウム、スズ酸バリウム、タンタル酸カリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、二チタン酸マグネシウム、ニオブ酸亜鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ストロンチウム、ニオブ酸タングステン、ニオブ酸チタン、ニオブ酸ニッケル、ニオブ酸バリウム、ニオブ酸ランタンが挙げられる。さらにフラットバンド電位が酸化亜鉛と同等もしくはプラス側にあることが好ましく、両条件を満たすものとして酸化亜鉛、酸化インジウム(III)、酸化スズ(IV)、酸化タングステン(VI)、酸化チタン(IV)、酸化ニオブ(V)、酸化バナジウム(V)、インジウム酸カドニウム、スズ酸バリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸タングステン、ニオブ酸チタン、ニオブ酸ランタンが挙げられる。
【0026】
本発明で提供する基材の上に薄膜として固定化されている光触媒材料において、基材の材質には特に制限はないが、金属材料又は無機材料の使用が好ましい。また、基材と光触媒材料との組合せ方にも制限はなく、基材/p型半導体/n型半導体、基材/n型半導体/p型半導体のいずれの形態も可能である。
【0027】
本発明の好ましい態様においては、p型半導体の成膜装置としてスパッタ装置を使用する。スパッタ装置のチャンバー内部では、導入した窒素ガスが解離し、高エネルギーの窒素プラズマが生成するため、光触媒材料への窒素ドープを容易に行うことができる。スパッタ装置には、直流スパッタ、高周波スパッタ、マグネトロンスパッタ、イオンビームスパッタ、ECRスパッタなどの形式があるが、そのいずれの形式でも成膜可能である。
【0028】
前記スパッタ法による製造方法において、ターゲット材料は金属ターゲットの使用が好ましい。酸化亜鉛薄膜を製造する場合、Znターゲットが好ましい。酸化物ターゲットを使用した場合、スパッタリング現象によってはじき出された粒子は酸化物分子の集団(クラスター)で形成されているため、結晶中への均一な窒素ドープが困難になる。
【0029】
また、前記スパッタ法による製造方法において、ガスとして酸素・窒素の混合ガスを使用する。酸素を使用することで酸素欠陥の生成を抑制することができる。ガス混合比O/Nは10/90から30/70が好ましい。窒素量が70未満では窒素量が足りないためにドーピングが不十分となり、窒素量が90を超えると非晶質、もしくは窒化物を形成する可能性がある。
【0030】
前記スパッタ法による製造方法において、プラズマ出力は600W以下が好ましい。600Wをこえると、プラズマの平均自由行程が増大し、成膜時にダメージが増加する可能性がある。
【0031】
前記スパッタ法による製造方法において、反応ガスの全圧は6.0×10−3 torr以上が好ましい。6.0×10−3 torr未満では、プラズマの平均自由行程が増大し、成膜時にダメージが増加する可能性がある。
【0032】
本発明の光触媒材料はスパッタで製膜した場合、基材に対して垂直方向に成長した柱状構造を有する。柱状構造においては表面積が増大するため、光触媒活性の向上が期待できる。また、柱状構造を有することによって、表面粗さが増大するため、表面の水との接触角が低くなり、親水化現象を利用した防曇やセルフクリーニング等の用途に対して有利に働くことが期待できる。
【0033】
スパッタ法とは異なる製造方法として、CVD法、蒸着法、MBE法、レーザーアブレーション法、イオンプレーティング法も使用可能であるが、その場合は窒素分子をプラズマ状に解離させるため、ラジカルソースが必要である。
【0034】
本発明のp型半導体を製造する更に異なる方法として、半導体の薄膜をアンモニア、炭化水素、りん酸、硫化水素からなる群より選択される各種反応性ガスのうち少なくとも一つを含む気流中で熱処理する方法がある。また、半導体の前駆体の薄膜をアンモニアを含む気流中で熱処理することで作製しても良い。
【0035】
本発明のn型半導体の製造方法として、スパッタ法、蒸着法、MBE法、レーザーアブレーション法、イオンプレーティング法などの物理堆積法(PVD法)、熱CVD法、プラズマCVD法、MOCVD法などの化学堆積法(CVD法)、放電重合法、液相エピタキシー法、AD法、LB法、ゾルゲル法、めっき法、塗布法などの一般的な薄膜作製技術が使用可能である。
【0036】
本発明の好ましい態様においては、前記基材上に固定化した光触媒材料の膜厚である。膜厚が130nm未満では、光触媒材料の表面効果(結晶の不連続性や吸着酸素、水蒸気を介した電子、正孔の移動)が起因のバンドベンディングが膜全体にわたって存在し、pn接合によるバンドベンディングの効果が現れにくい。より好ましい膜厚は180nm以上である。また、2μmを超えると膜の透明性を失うので2μm以下が好ましい。
【0037】
本発明の光触媒材料の形態として粉末も可能である。空気処理用のフィルター、水処理用のフィルターのような繊維、ハニカムへの担持や塗料などへの用途などにおいては粉末状であることが好ましい。なお、粉末のサイズ、形状は特に制限されないが、本発明の効果を充分に得るためには粒径260nm以上が好ましい。260nm未満では光触媒材料の表面効果が起因のバンドベンディングが粉末全体にわたって存在するためにpn接合によるバンドベンディングの効果が現れにくい。粒径の上限については、塗料中に分散させる時は100μmを超えると塗料化した時に粉末が沈殿する可能性があるので100μm以下が好ましい。
【0038】
p型半導体の粉末の製造装置として、スパッタ装置やラジカルソースのついたガス中蒸発装置、CVD装置、噴霧熱分解装置を使用できる。
【0039】
また、本発明のp型半導体の粉末を製造する更に異なる方法として、半導体粉末、あるいは半導体の前駆体の粉末をアンモニアを含む気流中で熱処理することで作製することができる。
【0040】
本発明のn型半導体の粉末の製造方法として、スパッタ法、ガス中蒸発法、熱CVD法、プラズマCVD法、MOCVD法、共沈法、均一沈殿法、化合物沈殿法、金属アルコキシド法、水熱合成法、ゾルゲル法、噴霧法、凍結乾燥法、エマルション法、硝酸塩分解法、溶液燃焼法などの一般的な微粒子作製技術が使用可能である。
【0041】
上記p型半導体とn型半導体の粉末を混合、焼成、粉砕することで、pn接合光触媒材料の粉末を製造できる。この時、焼成の過程において、焼成雰囲気によるp型半導体とn型半導体の変質を防ぐため、真空雰囲気や不活性ガス雰囲気で焼成することが好ましい。
【0042】
本発明ではまた光触媒材料を塗料として使用することができる。この場合、本発明の光触媒材料と溶媒、さらに必要に応じて、バインダー、着色剤、フィラー、界面活性剤、造膜助剤、増粘剤等と混合して使用する。
【0043】
塗料にすることにより、ドライプロセスを適用するのが困難な基材や、樹脂など特に耐熱性の低い基材への適用が可能になるとともに、屋外建造物の外壁などへの現場施工が可能になる。
【0044】
前記塗料として使用する場合のバインダーとして、例えば、シロキサン結合を有する物質を好適に使用することができる。シロキサン結合を有する化合物の表面には水との親和性の高いシラノール基が存在しており、暗所における親水性の維持性の機能を持たせたり、強めたりする効果があり、降雨によるセルフクリーン効果が発現する。前記シロキサン結合を有する物質としては水ガラス等のアルカリシリケート、コロイダルシリカ、アルミノシリケート化合物を使用することもできる。アルミノシリケート化合物はシリケート化合物のSiの一部をAlで置換した化合物であって、更に電荷を補償するためにHやLi、Na、K、Rb、Cs、Frなどのアルカリ金属イオンやBe2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+などのアルカリ土類金属イオンが含有されていてもよい。前記シリケート結合を有する化合物のSiの一部をAlで置換した物や、ゼオライトなどを使用することができる。
【0045】
前記シロキサン結合を有する物質として、更に好ましい態様において、シリコーンエマルジョンを用いることができる。シリコーンエマルジョンとしては、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン;n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン;テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン;β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランの部分加水分解物、脱水縮重合物を好適に使用することができる。
【0046】
更に、前記塗料として使用する場合のバインダーとして、フッ素樹脂エマルジョンを使用することができる。フッ素樹脂エマルジョンを含む塗膜は化学的安定性が高く、また、耐候性も高い。
【0047】
前記フッ素樹脂エマルジョンとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、パーフルオロシクロポリマー、ビニルエーテル−フルオロオレフィンコポリマー、ビニルエステル−フルオロオレフィンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、クロロトリフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレンウレタン架橋体、テトラフルオロエチレンエポキシ架橋体、テトラフルオロエチレンアクリル架橋体、テトラフルオロエチレンメラミン架橋体等フルオロ基を含有するポリマーのエマルジョン等から選択される少なくとも一つが好適に利用できる。
【0048】
更に、前記塗料として使用する場合のバインダーとして、シリコーン、フッ素以外の樹脂エマルジョンを用いても良い。例えば、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、塩化ビニル樹脂系、ゴム樹脂系エマルジョンが挙げられる。アクリルエマルジョンなどはシリコーン、フッ素エマルジョンに比べて安価であり、コストを低下させることが出来る。ただし、耐候性はやや劣るのでシリコーン、フッ素と組み合わせて用いることが好ましい。
【0049】
前記塗料として使用する場合、溶媒は、光触媒材料とバインダーが分散するものであれば特に制限されない。例えば、水、アルコール類、エーテル類;アセトン、2−ブタノン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族、芳香族、脂環式の炭化水素、石油類等の一般的な溶媒が挙げられ、これらを単独、もしくは混合して用いることができる。
【0050】
着色剤を含まない塗料(クリア塗料)の固形成分濃度としては、0.1%以上でかつ30%以下が好ましい。0.1%未満では固形成分が少なすぎて膜の形成が困難であり、30%をこえると塗料の安定性をもたせるのが難しい。また、着色剤を含む塗料(着色塗料)の固形成分濃度としては、30%以上でかつ80%以下が好ましい。30%未満では乾燥時に硬化収縮によってクラックが発生し、80%をこえると塗料の安定性をもたせるのが難しい。
【0051】
本発明において、光触媒材料を適用しうる基材として、自己洗浄が期待できる用途用途としては、例えば、外壁や屋根のような建物外装、窓枠、自動車、鉄道車両、航空機、船舶、自転車、オートバイのような乗物の外装及び塗装、窓ガラス、看板、交通標識、防音壁、ビニールハウス、碍子、乗物用カバー、テント材、反射板、雨戸、網戸、太陽電池用カバー、太陽熱温水器等の集熱器用カバー、街灯、舗道、屋外照明、人工滝、人工噴水用石材、タイル、橋、温室、外壁材、壁間や碍子間のシーラー、ガードレール、ベランダ、自動販売機、エアコン室外機、野外ベンチ、各種表示装置、シャッター、料金所、料金ボックス、屋根樋、車両用ランプ保護カバー、防塵カバー及び塗装、機械装置や物品の塗装、広告塔の外装及び塗装、構造部材、及びそれら物品に貼着可能なフィルム、ワッペンなどである。
【0052】
本発明において、光触媒材料を適用しうる基材として、防曇用途においては、例えば、浴室用又は洗面所用鏡、車両用バックミラ−、歯科用歯鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レンズ、光学レンズ、写真機レンズ、内視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体製造用レンズのようなレンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロ−プウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗り物の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノ−モ−ビル、オ−トバイ、ロ−プウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラのような乗り物の風防ガラス;防護用又はスポ−ツ用ゴ−グル又はマスク(潜水用マスクを含む)のシ−ルド、ヘルメットのシ−ルド;冷凍食品陳列ケ−スのガラス、計測機器のカバ−ガラス、及びそれら物品に貼着可能なフィルム、ワッペンなどである
【0053】
本発明の光触媒材料の電気抵抗率、ホール起電力、キャリア密度、移動度、キャリアの属性は、ホール効果測定装置、ゼーベック係数測定装置によって測定可能である。また、粒子径は、光子相関分光法(PCS)により測定した体積平均粒子径の最頻値である。
【0054】
【実施例】
<単体試料の作製>
基材として低アルカリガラス(コーニング製7059)を用意し、それを高周波マグネトロンスパッタ装置のチャンバー内部に設置し、表1に記載した条件(#21〜#23)で試料(#21〜#23)を作製した。高周波マグネトロンスパッタ装置として島津製作所製HSM−752、Znターゲットとして高純度化学研究所(株)製Zn(純度:99.999%)、Tiターゲットとして高純度化学研究所(株)製Ti(純度:99.98%)を使用した。
【0055】
【表1】
Figure 2005028225
【0056】
<単体試料の評価>
次に、試料#21〜#23の結晶構造、膜厚、電気抵抗率、ホール起電力、キャリア密度、移動度、キャリアの属性を測定した。結晶構造の測定にはXRD(マック・サイエンス製MXP−18)、膜厚の測定にはSEM(日立製作所製S−4100)を用いた。また、ホール効果測定装置(東陽テクニカ製RESITEST8200)によって、電気抵抗率、ホール起電力、キャリア密度、移動度、キャリアの属性を測定した。測定結果として得られた、試料#21〜#23の結晶構造、膜厚、電気抵抗率、ホール起電力、キャリア密度、移動度、キャリアの属性を表2に示し、試料#21のホール起電力の磁場依存性を図3に示す。
【0057】
【表2】
Figure 2005028225
【0058】
図3では直線の傾きが正の場合にp型、負の場合にn型となる。なお、表2において、試料#23については試料の電気抵抗率が測定限界を超えたため、電気抵抗率、ホール起電力、キャリア密度、移動度、キャリアの属性を求めることができず「−」と記載した。上記試料(#21(p−ZnO)、#22(n−ZnO)、#23(TiO))の作製条件を接合試料の作製に適用した。
【0059】
<接合試料の評価>
基材として低アルカリガラス(コーニング製7059)を用意し、それを高周波マグネトロンスパッタ装置のチャンバー内部に設置し、表3に記載した条件(#1〜11)で試料(#1〜11)を作製した。成膜時間は、#21〜23の成膜速度から、所定の膜厚が得られる時間を求めた。高周波マグネトロンスパッタ装置として島津製作所製HSM−752、Znターゲットとして高純度化学研究所製Zn(純度:99.999%)、Tiターゲットとして高純度化学研究所製Ti(純度:99.98%)を使用した。
【0060】
【表3】
Figure 2005028225
【0061】
次に、試料#1〜#11の結晶構造、膜厚を測定した。ここでの膜厚は、上層と下層の膜厚の合計である。結晶構造の測定にはXRD(マック・サイエンス製MXP−18)、膜厚の測定は試料の断面をSEM(日立製作所製S−4100)で観察して測定した。測定結果として得られた、#1〜#11の結晶構造、膜厚を表4に示す。
【0062】
【表4】
Figure 2005028225
【0063】
続いて、試料#1〜11の光触媒活性を乾式メチレンブルー分解試験で評価した。測定方法は下記のとおりである。
1.試料を10mm×15mmに切断する。
2.試料の吸光度スペクトルを分光光度計で測定する。波長範囲は500〜700nm、波長間隔は1nm、測定速度は400nm・min−1である。この時、波長λ(500≦λ≦700)の吸光度をAλ とする。
3.図4で示される構成のブースを用意し、試料表面で紫外線強度(λ=360nm)が3mW・cm−2となるように、ブラックライト蛍光ランプの高さを調整する。ここで、紫外線強度の調整には、携帯型の紫外線強度計が使用できる。
4.試料を上記ブースに設置し、紫外線を24時間照射する。
5.濃度1.0×10−3 Mのメチレンブルー水溶液を用意し、その溶液に試料を5分間浸漬させる。
6.試料を取り出し、室温大気中で乾燥させる。
7.基板表面についた余分なメチレンブルーを拭き取り、メチレンブルーが光触媒表面だけに残るようにする。
8.試料の吸光度スペクトルを分光光度計で測定する。この時、波長λの吸光度をAλ とする。
9.図4のブースについて、試料表面で紫外線強度(λ=360nm)が1mW・cm−2となるように、ブラックライト蛍光ランプの高さを調整する。
10.試料を上記ブースに設置し、紫外線を15分間照射する。
11.続いて、試料を暗所に90分間に静置する。
12.試料の吸光度スペクトルを分光光度計で測定する。この時、波長λの吸光度をAλ2とする。
13.式1より、光触媒活性(Δabs.)を算出する。
【0064】
【数1】
Figure 2005028225
【0065】
なお、本測定では、メチレンブルー試薬として和光純薬工業(株)製メチレンブルー4水和物(137−06982)、分光光度計として日本分光(株)製Ubest−55、紫外線強度計としてトプコン製UD−36、ブラックライト蛍光ランプとして東芝ライテック(株)製FL20S BLBを使用した。ヘテロ接合試料(#1〜7)の光触媒活性を図1、ホモ接合試料(#8〜#11)の光触媒活性を図2に示す。ここで図1、2ともに接合試料、単体試料のプロットをそれぞれ■、◇で表示する。接合試料である#1、#2、#3、#8、#9が実施例、その他の#4〜#7、#10、#11が比較例である。膜厚180nm未満では、接合試料と単体試料で光触媒活性は同等であるが、膜厚が180nm以上になると、単体試料(#7、#11)では光触媒活性が飽和状態になるのに対し、接合試料(#1、#2、#8)では高度な光触媒活性を発現した。
【0066】
【発明の効果】
本発明では、pn接合によって生じたバンドベンディングがキャリアの拡散距離の増加とキャリアの再結合抑制効果に寄与し、特に膜厚が大きい領域で、高い光触媒活性(酸化分解力)を示すことが明らかになった。また、本発明ではガラスなど比較的耐熱性の低い基材上にも形成可能な、薄膜としてのpn接合光触媒材料を提供できることが明らかになった。さらに、広いバンドギャップを持つp型半導体を使用し、膜厚を2μm以下にすることで透明なpn接合光触媒材料を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘテロ接合試料の光触媒活性と膜厚の関係を示すグラフである。
【図2】ホモ接合試料の光触媒活性と膜厚の関係を示すグラフである。
【図3】試料#21のホール起電力の磁場依存性を示すグラフである。
【図4】メチレンブルー試験用ブースの概観図である。

Claims (8)

  1. 下記(a)と(b)が接合していることを特徴とする光触媒材料。
    (a)バンドギャップが2.8eV以上、キャリア密度が1013(cm−3)以下、かつドーパントが窒素であるp型光半導体
    (b)n型光半導体
  2. 前記p型光半導体は酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒材料。
  3. 前記n型光半導体は酸化亜鉛、酸化インジウム(III)、酸化ジルコニウム、酸化スズ(IV)、酸化セリウム(IV)、酸化タングステン(VI)、酸化タンタル(V)、酸化チタン(IV)、酸化ニオブ(IV)、酸化ニオブ(V)、酸化バナジウム(V)、酸化ビスマス(III)、インジウム酸カドニウム、スズ酸バリウム、タンタル酸カリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、二チタン酸マグネシウム、ニオブ酸亜鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ストロンチウム、ニオブ酸タングステン、ニオブ酸チタン、ニオブ酸ニッケル、ニオブ酸バリウム、ニオブ酸ランタンから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載の光触媒材料。
  4. 基材の上に請求項1〜3いずれかに記載の光触媒材料を含む薄膜が固定化されていることを特徴とする光触媒複合体。
  5. 前記p型光半導体である酸化亜鉛が、O/N雰囲気下でZnターゲットを用いてのスパッタリングによって得られることを特徴とする請求項2〜4いずれか一項に記載の光触媒複合体。
  6. 前記薄膜の膜厚が130nm以上であることを特徴とする請求項4または5に記載の光触媒性複合体。
  7. 粉末状であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の光触媒材料。
  8. 請求項7に記載の光触媒材料および溶媒を含むことを特徴とする塗料組成物。
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