JP2005026575A - 半導体レーザ光による投影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】投影装置において、その光源部を構成する複数の各半導体レーザに対し、それぞれ確実に所定の冷却を行うようにする。
【解決手段】本発明による投影装置は、投影機構部2に光源部7と冷却装置8とを有し、冷却装置8からの冷却媒体流路を、光源部7を構成する複数の各半導体レーザに対して並列的に配置することによって、各半導体レーザがそれぞれ所定の温度に冷却される冷却機構を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明による投影装置は、投影機構部2に光源部7と冷却装置8とを有し、冷却装置8からの冷却媒体流路を、光源部7を構成する複数の各半導体レーザに対して並列的に配置することによって、各半導体レーザがそれぞれ所定の温度に冷却される冷却機構を有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定した動作を行うことができるようにした半導体レーザ光による投影装置に関わる。
【0002】
【従来の技術】
大画面の投影を行う投影装置では、特に半導体レーザを光源として用いる投影装置において、半導体レーザの温度依存性が大きいことから、半導体レーザを安定に動作させるための安定した冷却を必要とする。
従来は、半導体レーザの発熱ならびに温度上昇に対してファンによる空冷式冷却を行っていた。しかし、空冷式冷却では、光源の発熱量が増大するにつれて、放熱に要するヒートシンクも格段に大きなものが必要となるため、最終的には投影装置全体が大型にならざるを得ない。
更に、空冷式冷却では、ファンの回転により生じる振動や騒音が、投影される映像や周囲の環境に悪影響を及ぼすことも問題とされていた。
【0003】
半導体レーザを熱電素子で冷却する冷却手段も知られているが、その素子から吸収した熱を空冷式冷却によって冷却するためには、更に大きなヒートシンクを要する。すなわち、装置全体の構成を大きくする必要性が生じる。
【0004】
これに対して、各光源に連結された冷却部すなわちヒートシンク内に、冷却媒体の流路を穿設し、冷却媒体によって冷却を行うという方法の提案がなされた(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ところで、光源が半導体レーザである場合には、熱による装置温度の上昇に関する問題は特に深刻なものとなる。
通常、半導体の発光素子の温度が上昇すると、発光効率の低下および結晶欠陥の増加が進行する。すると、それに伴って非発光遷移、すなわち発熱型の遷移の割合が増加し、本来発光原理として動作する遷移機構においても発熱がなされ、発光素子の温度が上昇し、発光能力が加速度的に低下するという悪循環が進行する。
したがって、最終的には発光素子の寿命の短期化につながり、コストの増大にもつながる。
すなわち、半導体レーザにおける冷却は、投影装置が安定的かつ長期的に高い能力を発揮するため、そして実用面でのコストを上昇させないためには不可欠と言える。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−294513(Fig.1,段落番号〔0028〕)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、半導体レーザ周辺技術の著しい発展により、MEMS(MicroElectro−Mechanical System)デバイスと呼称される、機械的な動作機構と電気回路を融合した微細デバイスが注目されている。
【0008】
近年、このMEMSデバイスの一種である、光回折素子を構成するマイクロリボンの配列を有するGLV(Grating Light Valve)による光変調素子が実現された。
このGLVは、例えば赤、緑、青(RGB)のレーザ光に対してそれぞれ別に設けられ、そのレーザ光を照射された時のマイクロリボンの位置関係にもとづいて光の変調を行うことにより、色および映像の投影がなされる。
大画面の投影装置は、プロフェッショナル市場や高画質ホームシアタ等の用途において、従来以上に高画質、高階調表現のものが望まれる傾向が強まっているが、このGLVは、従来のブラウン管方式に比べると、例えば国際照明委員会(CIE)の1931色度図の面積比で2倍以上という広い範囲の色表現が可能であるため、このGLVを用いた投影装置に対する要求が高まっている。
【0009】
上述した投影装置に用いられる半導体レーザは、そのデバイスの特性上、温度が上昇すると寿命の短期化が急激に進むことに加え、温度が上昇した時点で出力光の波長が変化し、本来の色や映像を投影できなくなる。すなわち、投影そのものに多大な影響が及ぼされる。
更に、RGB三色のレーザのみを用いて全ての色を表現している場合、これら三色のレーザの色表現には、通常よりもはるかに厳密な色再現性が要求される。すなわち、一部の半導体レーザにおいて、温度上昇に伴って僅かでも色調の変化がきたされると、GLVを用いた投影装置においては全ての色に影響し、滑らかな色階調表現やコントラスト、映像の立体感や質感等、細部にまで影響が及ぼされる。
このため、投影装置に用いられる半導体レーザに関しては、より厳密な温度管理が必要となる。
【0010】
一方、半導体レーザは、温度が必要以上に下がっても出力光の波長に変化をきたすため、冷却における温度制御、すなわち冷却媒体の温度および流量の調整を厳密に行う必要がある。
また、複数の半導体レーザを光源とする場合においては、出力される光の波長によって、各半導体レーザが最適な温度になるよう、実際の発熱量の相違を考慮して流量調整手段を選定しなければならない。
更に、この種の投影装置では、通常、光源部において複数の半導体レーザが同時に光出力を行う必要があるため、効率的に冷却を行わない限り、短時間のうちに装置全体の温度が上昇し、多数の半導体レーザの急速な消耗を引き起こす。
したがって、多数の半導体レーザの冷却を異なる条件で行うと同時に、出力光の波長が同一である半導体レーザに関しては冷却温度を揃えなければならないという両立困難性がある。
【0011】
本発明は、上述した半導体レーザ光による投影装置における諸問題の解決を図るものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明による投影装置は、複数の半導体レーザを有する光源部に、この光源部の各半導体レーザを冷却する冷却媒体を供給し、この冷却媒体の温度調整がなされる冷却装置が連結された構造を有する。
各半導体レーザは、それぞれ冷却部に熱的に結合されて成り、冷却装置の冷却媒体循環始点口と循環終点口との間に、各半導体レーザの冷却部に冷却媒体を循環させる流路が設けられ、その流路は、上述の各半導体レーザもしくは複数個を組とする半導体レーザの冷却部に対して、並列的に配置されて成る。
そして、これら各並列流路にそれぞれ冷却媒体の流量調整手段が配置され、この流量調整手段による流量調整によって、各半導体レーザが、それぞれに適した目的とする冷却温度に調整される構成とするものである。
【0013】
また、本発明による投影装置は、上述した半導体レーザからのレーザ光を変調して光学投影像を出力する投影光学系よりなる投影機構部と、投影レンズと、スクリーンとを有する構成とし得るものである。
【0014】
また、本発明による投影装置は、上述の各半導体レーザもしくは複数個を組とする半導体レーザの冷却部に対して並列的に配置された冷却媒体流路の分枝部に、複数の半導体レーザの冷却部が連結され、該複数の半導体レーザは、目的とする調整温度の高低順に直列的に配置された構成とし得る。
【0015】
また、本発明による投影装置においては、流量調整手段は、上述の各流路に設けられ、管径が選定された調整手段による構成とし得る。
また、本発明による投影装置においては、上述の各流路に冷却媒体の漏出検知手段が設けられた構成とし得る。
漏出検知手段は、冷却装置の冷却媒体の循環始点口と循環終点口とに、それぞれ設けられた第1および第2の圧力計より成り、冷却媒体の漏出検知は、これらの圧力計における検出圧力値およびその差に基づいてなされ得る。
また、漏出検知手段は、上述の流路における継ぎ手部の外周を巡らせて、かつ一部を欠如させた電気配線ループを設け、この欠如部における冷却媒体の漏出による短絡の発生により漏出検知を行う構成とし得る。
【0016】
また、本発明による投影装置としては、冷却装置が連結された半導体レーザよりなる光源部と、光回折素子が配列され、これら光回折素子の変位によって回折光量を変化させる光変調素子とを有する構成を有し、光源部から出力された光が、光変調素子によって光回折量の制御を受け、投影光学像が出力される構成とすることができるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による半導体レーザ光による投影装置の実施の形態例を説明するが、本発明は、これら実施の形態例に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0018】
図1は、本発明による投影装置1の一実施形態例の模式的構成図である。
投影装置1は、投影機構部2と、投射レンズ3と、スクリーン4とから成る。
この投影機構部2は、光源冷却系5と、投影光学系6とから成る。
光源冷却系5は、複数の半導体レーザを有する光源部7と、冷却装置8とを有する。
光源冷却系5内で、光源部7の半導体レーザが冷却装置8により、目的とする調整温度に冷却された状態で、光源部7の複数の半導体レーザによるレーザ光出射がなされる。この出射されたレーザ光が投影光学系6に導入されて、目的とする投影情報に応じて光量変調を受け、投射レンズ3を通してスクリーン4に投影像が映出される。
【0019】
図2は、光源部7と冷却装置8とから構成される光源冷却系5の概略構成図である。
光源部7は、少なくとも半導体レーザ9と、これに熱的に密に結合される冷却部10例えばヒートシンクとを有する。
冷却装置8は、冷却媒体供給器11の冷却媒体循環始点口11aと循環終点口11bとに、各半導体レーザの冷却部10の例えばヒートシンクに冷却媒体を循環させる往路となる往流路12と、同じく復路となる復流路13とがそれぞれ連結されて成る。これらの流路に、継手14および15によって往流路分枝部12aおよび復流路分枝部13aがそれぞれ連結されることにより、各半導体レーザに対して、互いに並列の流路が形成される。
また、圧力計16および17が、例えば往流路12と復流路13とにそれぞれ設置される。
【0020】
この構成において、冷却装置8内の冷却媒体供給器11から、往流路12を通って光源部7に向けて、例えば冷却水、冷却不凍液等の冷却媒体が送り出される。往流路12には、それぞれ継手14によって、複数の各冷却部10に例えば等流量流入する分枝流路が連結される。このようにして、往流路分枝部12aを経由して各冷却部10に流入した冷却媒体に、半導体レーザ9に滞留していた熱が吸収されることによって半導体レーザ9の冷却がなされる。その後、冷却媒体は復流路分枝部13aを経由してそれぞれ継手15によって連結された復流路13に向かって流れ、合流し、冷却媒体供給器11に戻る。
分枝された各流路12aまたは13aには、例えばバルブによって構成される流量調整手段18が配置されて、冷却媒体が各冷却部に等流量流入するように調整できるようになされる。すなわち、冷却能力の偏りが、補正される。
【0021】
冷却媒体の流量調整手段18としては、例えば図3にその概略図を示すように、図2において示したような、例えばバルブによって流路における冷却媒体の流量を調整する手段のほか、管径の選定による流量調整機構19によって、流路における冷却媒体の流量を調整する手段によることもできる。
【0022】
図4は、光源部7と冷却装置8との間を循環する冷却媒体の、圧力計測に基づいた漏出検知機構20より成る冷却媒体の循環流路の概略構成図を示す。
冷却媒体漏出検知機構20は、光源部7と、冷却媒体供給器11と、往流路12に設置された圧力計16と、復流路13に設置された圧力計17とを有する。ここで、往流路分枝部12aおよび復流路分枝部13aについては、図4の概略構成図上での記載は省略する。
冷却媒体供給器11より送り出された冷却媒体は、往流路12を通って、光源部7に至る。冷却媒体は、光源部7に対して所定の冷却効果を及ぼした後、復流路13を通って、冷却装置に戻される。
この例で、冷却媒体の漏出が起きていない状況では、往流路12に設置された圧力計16で計測される圧力P1と、復流路13に設置された圧力計17で計測される圧力P2と、P1とP2の間の圧力差とは、それぞれ、理論上一定の値が維持される。
【0023】
次に、本発明による投影装置における、冷却媒体の漏出検知機構のアルゴリズムの一例を、図5のフロー図を参照して説明する。
この場合、まず、復流路13に設置された圧力計17で計測される圧力P2が、設定値の範囲内にあるかを判定する。P2が設定値の範囲内にあると判定された場合(Y)は、冷却媒体漏出検知機構20の全体において、冷却媒体流路の異常は生じていないものとみなす(END)。
P2の値が、設定値の範囲内にないと判定された場合(N)には、次に、往流路12に設置された圧力計16で計測される圧力P1が、設定値の範囲内にあるかを判定する。ここで、P1が設定値の範囲内にあると判定された場合(Y)は、冷却媒体流路における漏出が復流路13におけるものとみなされ、復流路13における異常を伝える警報が発せられる(END)。
P1の値が、設定値の範囲内にないと判定された場合(N)には、更に、P1とP2の圧力差が設定値の範囲内にあるかを判定する。ここでP1とP2の圧力差が設定値の範囲内にあると判定された場合(Y)は、P1とP2の両圧力の低下が冷却媒体冷却器11の冷却媒体供給能力の低下によるものとみなされ、冷却媒体冷却器11の異常を伝える警報が発せられる(END)。
一方、P1とP2の圧力差が、設定値の範囲内にないと判断された場合(N)は、往流路12において冷却媒体の漏出が発生しているものとみなされ、往流路12における異常を伝える警報が発せられる(END)。
この例では、往流路12と復流路13とにおける計測および異常検知について記述したが、往流路分枝部12aまたは復流路13aにおいても、同様の構成をとり得る。
【0024】
図6は、上述の冷却媒体の、電流計測に基づいた漏出検知機構22の概略構成図を示す。
因みに、漏出は一般に継手部分で発生するので、冷却媒体漏出検知機構22は、例えば冷却媒体流路における継手14または15を含む継手部分23において設けられ、電流計24と、電源25と、配線欠如部26を含む電気配線27より成る。
まず、電気配線27に予め電源25を接続しておく。継手部分23において漏出が発生すると、漏出した水によって配線欠如部26が短絡を起こし、この通電に伴って発生した電流が電流計24によって計測され、漏出警報が発せられる。
このような電気配線27を各継手部分23に配置し、漏出箇所の特定を行う。
なお、この例では電流計24を用いて通電を確認したが、他の手段として、例えば抵抗と電圧計の併用等によっても、通電を確認し得る。
【0025】
一方、冷却媒体供給器11は、図7に概略構成図を示すように、防振機構28を介して設置されることが望ましい。
この防振機構28は、例えば冷却媒体供給器11が、例えば弾性体よりなる防振材29によって支持された防振台30上に設置された構成を有し、冷却媒体供給器11の振動が、他の装置に伝播されることが防止される。
【0026】
ところで、本発明による投影装置として、図2に示した例においては、各半導体レーザ9に関して、それぞれ往流路と復流路が設けられた並列流路を構成した場合を示した。しかし、本発明による投影装置は、この例に限られるものではなく、例えば、図8に示すように、各並列流路内に複数の半導体レーザを直列的に配置した構成とすることができる。
この構成においては、直列流路の上流側が最も冷却されることから、上流側に、より冷却を必要とする半導体レーザを配置する。
例えば図8に示す例は、各並列流路中に第1〜第3の3個の半導体レーザ9a、9b、9cを配置した場合であって、右側すなわち上流側に最も低温維持を必要とする例えば赤色の光を出力する第1の半導体レーザ9aを配置し、順次下流側に例えば青色の光を出力する第2の半導体レーザ9b、例えば緑色の光を出力する第3の半導体レーザ9cを配置した例である。
【0027】
すなわち、この本発明による装置においては、往流路12から復流路13に至るまでの各並列流路内において、各半導体レーザを、発熱の度合いが強い順あるいは冷却の必要性が高い順に直列的に配置する。そして、冷却媒体供給器11から送出された冷却媒体によって、各半導体レーザが、それぞれ適切に冷却されるようにすることもできる。
【0028】
次に、投影光学系6について説明する。投影光学系6内の光変調素子31は、いわゆるブレーズ型の光回折素子によるGLV(Grating Light Valve)とするとか、例えば図9にその概略構成図を示すように、例えばマイクロリボンによる光回折素子が配列されたGLVとすることができる。この場合、マイクロリボンによる回折格子が配列されたピクセル32が、一次元的に多数個配列されて成る。
このピクセル32は、図10にその概略斜視図を示すように、基板33の上に、例えば両端が支持されたレーザ光反射マイクロリボン34が6本、平行配列されて回折格子を構成している。
一方、マイクロリボン34配列部下に差し渡って、基板33上に、全マイクロリボン34に対向して、共通の対向電極35が、マイクロリボン34との間に、所要の間隙を保持するように形成されて成る。
これらのマイクロリボン34は、例えばその一つおきのリボン34と対向電極35との間に所要の電圧を印加することによって、これらリボン34の中央部が基板33から所定の距離に移行保持され、図11に概略断面図を示すように、各ピクセルのマイクロリボン34への入射光Li、すなわち図2における光源部7から入射される光により、1次回折光Lr(−1)およびLr(+1)が発生するようになされ得る。
このようにして、光源部7からの光を、光変調素子31によって±1次回折光の有無、あるいは強度(階調)に変調する。
【0029】
次に、本発明による半導体レーザによる投影装置の実施の形態例を、図12の概略構成図を参照して説明する。
この実施の形態例においては、投影装置は、例えば、赤、緑、青の光を得る光源部7R、7G、7Bと、これらに対応して設けられたそれぞれ赤、緑、青の一次元投影光学像を得る例えばGLVより成る光変調素子31R、31G、31Bとを有する。ここで、各光源部には、本発明による上述の冷却装置8が連結される。
また、本発明による投影装置は、ミラー36と、集光レンズ37と、ダイクロイックミラー38および39と、投影レンズ40と、スキャナ41と、スクリーン42とを有する。
各光源部7R、7G、7Bから出力された光は、光変調素子31R、31G、31Bにおいてそれぞれ光量変調され、これによって形成された一次元光学像がダイクロイックミラー38および39によって合成され、投影レンズ40を経て、スキャナ41によってスクリーン42上に2次元光学像として投影される。
【0030】
なお、本発明による投影装置は、上述した各実施形態例に限定されることなく、種々の変形、変更を行い得ることは言うまでもない。
【0031】
【発明の効果】
上述したように、本発明による投影装置においては、光源部を構成する複数の各半導体レーザに対して所定の冷却がなされることにより、半導体の温度上昇に伴う能力すなわち発光効率の低下、および発光素子の寿命の短期化が回避される。
また、本発明による投影装置においては、複数の各半導体レーザに対する冷却における、出力光の波長が異なるそれぞれのレーザに関しての目的とする調整温度への冷却、および出力光の波長が同一であるレーザに関しての冷却温度の統一という両課題が、共に解決される。
すなわち、冷却の必要性が高い順に半導体レーザの冷却を行い、その配列が多数存在する場合には並列的に冷却媒体を流すことにより、冷却の必要性が高い半導体レーザを優先的に冷却し、かつ同じ波長の光を出力する半導体レーザに関しては同じ温度に冷却することができるものである。
【0032】
そして、本発明による投影装置においては、光源部に連結される冷却装置によって、光源部全体が、目的とする調整温度への冷却をなされる。したがって、例えばカラー投影における三原色およびその光変調により生成される全ての色の忠実な再現が図られる。すなわち、所定の色表現および光調整、滑らかな色階調表現やコントラスト表現、映像の立体感や質感等の画質の劣化を低減することができるものである。
【0033】
また、本発明による投影装置においては、流量調整手段および漏出検知機構が設けられることにより、冷却媒体の流量が厳密に調整されることから、複数の各半導体レーザの温度維持ならびに温度上昇回避が、それぞれ安定的に図られる。
更に、冷却器における、冷却媒体の流動に起因して生じる振動ならびに騒音が周囲に及ぼす影響の低減が図られる等、本発明構成によれば、多くのかつ重要な効果をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による投影装置の模式的構成図である。
【図2】本発明による投影装置における、光源冷却系の一例の概略構成図である。
【図3】本発明による投影装置における、流量調整機構の一例の概略縦断面図である。
【図4】本発明による投影装置における、冷却媒体漏出検知機構の一例の概略模式図である。
【図5】本発明による投影装置における、漏出検知機構を制御するアルゴリズムの一例を示す図である。
【図6】本発明による投影装置における、冷却媒体漏出検知機構の他の例の概略模式図である。
【図7】本発明による投影装置における、冷却媒体供給器の防振機構の一例の概略構成図である。
【図8】本発明による投影装置における、光源冷却系の要部の一例の概略構成図である。
【図9】本発明による投影装置における、光変調素子の一例の概略構成図である。
【図10】本発明による投影装置における、光変調素子を構成するピクセルの概略斜視図である。
【図11】本発明による投影装置における、光変調素子による1次回折光の発生原理模式図である。
【図12】本発明による投影装置における、投影実施の一形態の概略構成図である。
【符号の説明】
1・・・投影装置、2・・・投影機構部、3・・・投射レンズ、4・・・スクリーン、5・・・光源冷却系、6・・・投影光学系、7・・・光源部、8・・・冷却装置、9・・・半導体レーザ、9a・・・第1の半導体レーザ、9b・・・第2の半導体レーザ、9c・・・第3の半導体レーザ、10・・・冷却部、11・・・冷却媒体供給器、11a・・・冷却媒体循環始点口、11b・・・冷却媒体循環終点口、12・・・往流路、12a・・・往流路分枝部、13・・・復流路、13a・・・復流路分枝部、14・・・継手、15・・・継手、16・・・圧力計、17・・・圧力計、18・・・流量調整手段、19・・・流量調整機構、20・・・冷却媒体漏出検知機構、22・・・冷却媒体漏出検知機構、23・・・継手部分、24・・・電流計、25・・・電源、26・・・電気配線欠如部、27・・・電気配線、28・・・冷却媒体供給器防振機構、29・・・防振材、30・・・防振台、31・・・光変調素子、32・・・ピクセル、33・・・基板、34・・・・マイクロリボン、35・・・対向電極、36・・・ミラー、37・・・集光レンズ、38・・・ダイクロイックミラー、39・・・ダイクロイックミラー、40・・・投影レンズ、41・・・スキャナ、42・・・スクリーン
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定した動作を行うことができるようにした半導体レーザ光による投影装置に関わる。
【0002】
【従来の技術】
大画面の投影を行う投影装置では、特に半導体レーザを光源として用いる投影装置において、半導体レーザの温度依存性が大きいことから、半導体レーザを安定に動作させるための安定した冷却を必要とする。
従来は、半導体レーザの発熱ならびに温度上昇に対してファンによる空冷式冷却を行っていた。しかし、空冷式冷却では、光源の発熱量が増大するにつれて、放熱に要するヒートシンクも格段に大きなものが必要となるため、最終的には投影装置全体が大型にならざるを得ない。
更に、空冷式冷却では、ファンの回転により生じる振動や騒音が、投影される映像や周囲の環境に悪影響を及ぼすことも問題とされていた。
【0003】
半導体レーザを熱電素子で冷却する冷却手段も知られているが、その素子から吸収した熱を空冷式冷却によって冷却するためには、更に大きなヒートシンクを要する。すなわち、装置全体の構成を大きくする必要性が生じる。
【0004】
これに対して、各光源に連結された冷却部すなわちヒートシンク内に、冷却媒体の流路を穿設し、冷却媒体によって冷却を行うという方法の提案がなされた(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ところで、光源が半導体レーザである場合には、熱による装置温度の上昇に関する問題は特に深刻なものとなる。
通常、半導体の発光素子の温度が上昇すると、発光効率の低下および結晶欠陥の増加が進行する。すると、それに伴って非発光遷移、すなわち発熱型の遷移の割合が増加し、本来発光原理として動作する遷移機構においても発熱がなされ、発光素子の温度が上昇し、発光能力が加速度的に低下するという悪循環が進行する。
したがって、最終的には発光素子の寿命の短期化につながり、コストの増大にもつながる。
すなわち、半導体レーザにおける冷却は、投影装置が安定的かつ長期的に高い能力を発揮するため、そして実用面でのコストを上昇させないためには不可欠と言える。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−294513(Fig.1,段落番号〔0028〕)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、半導体レーザ周辺技術の著しい発展により、MEMS(MicroElectro−Mechanical System)デバイスと呼称される、機械的な動作機構と電気回路を融合した微細デバイスが注目されている。
【0008】
近年、このMEMSデバイスの一種である、光回折素子を構成するマイクロリボンの配列を有するGLV(Grating Light Valve)による光変調素子が実現された。
このGLVは、例えば赤、緑、青(RGB)のレーザ光に対してそれぞれ別に設けられ、そのレーザ光を照射された時のマイクロリボンの位置関係にもとづいて光の変調を行うことにより、色および映像の投影がなされる。
大画面の投影装置は、プロフェッショナル市場や高画質ホームシアタ等の用途において、従来以上に高画質、高階調表現のものが望まれる傾向が強まっているが、このGLVは、従来のブラウン管方式に比べると、例えば国際照明委員会(CIE)の1931色度図の面積比で2倍以上という広い範囲の色表現が可能であるため、このGLVを用いた投影装置に対する要求が高まっている。
【0009】
上述した投影装置に用いられる半導体レーザは、そのデバイスの特性上、温度が上昇すると寿命の短期化が急激に進むことに加え、温度が上昇した時点で出力光の波長が変化し、本来の色や映像を投影できなくなる。すなわち、投影そのものに多大な影響が及ぼされる。
更に、RGB三色のレーザのみを用いて全ての色を表現している場合、これら三色のレーザの色表現には、通常よりもはるかに厳密な色再現性が要求される。すなわち、一部の半導体レーザにおいて、温度上昇に伴って僅かでも色調の変化がきたされると、GLVを用いた投影装置においては全ての色に影響し、滑らかな色階調表現やコントラスト、映像の立体感や質感等、細部にまで影響が及ぼされる。
このため、投影装置に用いられる半導体レーザに関しては、より厳密な温度管理が必要となる。
【0010】
一方、半導体レーザは、温度が必要以上に下がっても出力光の波長に変化をきたすため、冷却における温度制御、すなわち冷却媒体の温度および流量の調整を厳密に行う必要がある。
また、複数の半導体レーザを光源とする場合においては、出力される光の波長によって、各半導体レーザが最適な温度になるよう、実際の発熱量の相違を考慮して流量調整手段を選定しなければならない。
更に、この種の投影装置では、通常、光源部において複数の半導体レーザが同時に光出力を行う必要があるため、効率的に冷却を行わない限り、短時間のうちに装置全体の温度が上昇し、多数の半導体レーザの急速な消耗を引き起こす。
したがって、多数の半導体レーザの冷却を異なる条件で行うと同時に、出力光の波長が同一である半導体レーザに関しては冷却温度を揃えなければならないという両立困難性がある。
【0011】
本発明は、上述した半導体レーザ光による投影装置における諸問題の解決を図るものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明による投影装置は、複数の半導体レーザを有する光源部に、この光源部の各半導体レーザを冷却する冷却媒体を供給し、この冷却媒体の温度調整がなされる冷却装置が連結された構造を有する。
各半導体レーザは、それぞれ冷却部に熱的に結合されて成り、冷却装置の冷却媒体循環始点口と循環終点口との間に、各半導体レーザの冷却部に冷却媒体を循環させる流路が設けられ、その流路は、上述の各半導体レーザもしくは複数個を組とする半導体レーザの冷却部に対して、並列的に配置されて成る。
そして、これら各並列流路にそれぞれ冷却媒体の流量調整手段が配置され、この流量調整手段による流量調整によって、各半導体レーザが、それぞれに適した目的とする冷却温度に調整される構成とするものである。
【0013】
また、本発明による投影装置は、上述した半導体レーザからのレーザ光を変調して光学投影像を出力する投影光学系よりなる投影機構部と、投影レンズと、スクリーンとを有する構成とし得るものである。
【0014】
また、本発明による投影装置は、上述の各半導体レーザもしくは複数個を組とする半導体レーザの冷却部に対して並列的に配置された冷却媒体流路の分枝部に、複数の半導体レーザの冷却部が連結され、該複数の半導体レーザは、目的とする調整温度の高低順に直列的に配置された構成とし得る。
【0015】
また、本発明による投影装置においては、流量調整手段は、上述の各流路に設けられ、管径が選定された調整手段による構成とし得る。
また、本発明による投影装置においては、上述の各流路に冷却媒体の漏出検知手段が設けられた構成とし得る。
漏出検知手段は、冷却装置の冷却媒体の循環始点口と循環終点口とに、それぞれ設けられた第1および第2の圧力計より成り、冷却媒体の漏出検知は、これらの圧力計における検出圧力値およびその差に基づいてなされ得る。
また、漏出検知手段は、上述の流路における継ぎ手部の外周を巡らせて、かつ一部を欠如させた電気配線ループを設け、この欠如部における冷却媒体の漏出による短絡の発生により漏出検知を行う構成とし得る。
【0016】
また、本発明による投影装置としては、冷却装置が連結された半導体レーザよりなる光源部と、光回折素子が配列され、これら光回折素子の変位によって回折光量を変化させる光変調素子とを有する構成を有し、光源部から出力された光が、光変調素子によって光回折量の制御を受け、投影光学像が出力される構成とすることができるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による半導体レーザ光による投影装置の実施の形態例を説明するが、本発明は、これら実施の形態例に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0018】
図1は、本発明による投影装置1の一実施形態例の模式的構成図である。
投影装置1は、投影機構部2と、投射レンズ3と、スクリーン4とから成る。
この投影機構部2は、光源冷却系5と、投影光学系6とから成る。
光源冷却系5は、複数の半導体レーザを有する光源部7と、冷却装置8とを有する。
光源冷却系5内で、光源部7の半導体レーザが冷却装置8により、目的とする調整温度に冷却された状態で、光源部7の複数の半導体レーザによるレーザ光出射がなされる。この出射されたレーザ光が投影光学系6に導入されて、目的とする投影情報に応じて光量変調を受け、投射レンズ3を通してスクリーン4に投影像が映出される。
【0019】
図2は、光源部7と冷却装置8とから構成される光源冷却系5の概略構成図である。
光源部7は、少なくとも半導体レーザ9と、これに熱的に密に結合される冷却部10例えばヒートシンクとを有する。
冷却装置8は、冷却媒体供給器11の冷却媒体循環始点口11aと循環終点口11bとに、各半導体レーザの冷却部10の例えばヒートシンクに冷却媒体を循環させる往路となる往流路12と、同じく復路となる復流路13とがそれぞれ連結されて成る。これらの流路に、継手14および15によって往流路分枝部12aおよび復流路分枝部13aがそれぞれ連結されることにより、各半導体レーザに対して、互いに並列の流路が形成される。
また、圧力計16および17が、例えば往流路12と復流路13とにそれぞれ設置される。
【0020】
この構成において、冷却装置8内の冷却媒体供給器11から、往流路12を通って光源部7に向けて、例えば冷却水、冷却不凍液等の冷却媒体が送り出される。往流路12には、それぞれ継手14によって、複数の各冷却部10に例えば等流量流入する分枝流路が連結される。このようにして、往流路分枝部12aを経由して各冷却部10に流入した冷却媒体に、半導体レーザ9に滞留していた熱が吸収されることによって半導体レーザ9の冷却がなされる。その後、冷却媒体は復流路分枝部13aを経由してそれぞれ継手15によって連結された復流路13に向かって流れ、合流し、冷却媒体供給器11に戻る。
分枝された各流路12aまたは13aには、例えばバルブによって構成される流量調整手段18が配置されて、冷却媒体が各冷却部に等流量流入するように調整できるようになされる。すなわち、冷却能力の偏りが、補正される。
【0021】
冷却媒体の流量調整手段18としては、例えば図3にその概略図を示すように、図2において示したような、例えばバルブによって流路における冷却媒体の流量を調整する手段のほか、管径の選定による流量調整機構19によって、流路における冷却媒体の流量を調整する手段によることもできる。
【0022】
図4は、光源部7と冷却装置8との間を循環する冷却媒体の、圧力計測に基づいた漏出検知機構20より成る冷却媒体の循環流路の概略構成図を示す。
冷却媒体漏出検知機構20は、光源部7と、冷却媒体供給器11と、往流路12に設置された圧力計16と、復流路13に設置された圧力計17とを有する。ここで、往流路分枝部12aおよび復流路分枝部13aについては、図4の概略構成図上での記載は省略する。
冷却媒体供給器11より送り出された冷却媒体は、往流路12を通って、光源部7に至る。冷却媒体は、光源部7に対して所定の冷却効果を及ぼした後、復流路13を通って、冷却装置に戻される。
この例で、冷却媒体の漏出が起きていない状況では、往流路12に設置された圧力計16で計測される圧力P1と、復流路13に設置された圧力計17で計測される圧力P2と、P1とP2の間の圧力差とは、それぞれ、理論上一定の値が維持される。
【0023】
次に、本発明による投影装置における、冷却媒体の漏出検知機構のアルゴリズムの一例を、図5のフロー図を参照して説明する。
この場合、まず、復流路13に設置された圧力計17で計測される圧力P2が、設定値の範囲内にあるかを判定する。P2が設定値の範囲内にあると判定された場合(Y)は、冷却媒体漏出検知機構20の全体において、冷却媒体流路の異常は生じていないものとみなす(END)。
P2の値が、設定値の範囲内にないと判定された場合(N)には、次に、往流路12に設置された圧力計16で計測される圧力P1が、設定値の範囲内にあるかを判定する。ここで、P1が設定値の範囲内にあると判定された場合(Y)は、冷却媒体流路における漏出が復流路13におけるものとみなされ、復流路13における異常を伝える警報が発せられる(END)。
P1の値が、設定値の範囲内にないと判定された場合(N)には、更に、P1とP2の圧力差が設定値の範囲内にあるかを判定する。ここでP1とP2の圧力差が設定値の範囲内にあると判定された場合(Y)は、P1とP2の両圧力の低下が冷却媒体冷却器11の冷却媒体供給能力の低下によるものとみなされ、冷却媒体冷却器11の異常を伝える警報が発せられる(END)。
一方、P1とP2の圧力差が、設定値の範囲内にないと判断された場合(N)は、往流路12において冷却媒体の漏出が発生しているものとみなされ、往流路12における異常を伝える警報が発せられる(END)。
この例では、往流路12と復流路13とにおける計測および異常検知について記述したが、往流路分枝部12aまたは復流路13aにおいても、同様の構成をとり得る。
【0024】
図6は、上述の冷却媒体の、電流計測に基づいた漏出検知機構22の概略構成図を示す。
因みに、漏出は一般に継手部分で発生するので、冷却媒体漏出検知機構22は、例えば冷却媒体流路における継手14または15を含む継手部分23において設けられ、電流計24と、電源25と、配線欠如部26を含む電気配線27より成る。
まず、電気配線27に予め電源25を接続しておく。継手部分23において漏出が発生すると、漏出した水によって配線欠如部26が短絡を起こし、この通電に伴って発生した電流が電流計24によって計測され、漏出警報が発せられる。
このような電気配線27を各継手部分23に配置し、漏出箇所の特定を行う。
なお、この例では電流計24を用いて通電を確認したが、他の手段として、例えば抵抗と電圧計の併用等によっても、通電を確認し得る。
【0025】
一方、冷却媒体供給器11は、図7に概略構成図を示すように、防振機構28を介して設置されることが望ましい。
この防振機構28は、例えば冷却媒体供給器11が、例えば弾性体よりなる防振材29によって支持された防振台30上に設置された構成を有し、冷却媒体供給器11の振動が、他の装置に伝播されることが防止される。
【0026】
ところで、本発明による投影装置として、図2に示した例においては、各半導体レーザ9に関して、それぞれ往流路と復流路が設けられた並列流路を構成した場合を示した。しかし、本発明による投影装置は、この例に限られるものではなく、例えば、図8に示すように、各並列流路内に複数の半導体レーザを直列的に配置した構成とすることができる。
この構成においては、直列流路の上流側が最も冷却されることから、上流側に、より冷却を必要とする半導体レーザを配置する。
例えば図8に示す例は、各並列流路中に第1〜第3の3個の半導体レーザ9a、9b、9cを配置した場合であって、右側すなわち上流側に最も低温維持を必要とする例えば赤色の光を出力する第1の半導体レーザ9aを配置し、順次下流側に例えば青色の光を出力する第2の半導体レーザ9b、例えば緑色の光を出力する第3の半導体レーザ9cを配置した例である。
【0027】
すなわち、この本発明による装置においては、往流路12から復流路13に至るまでの各並列流路内において、各半導体レーザを、発熱の度合いが強い順あるいは冷却の必要性が高い順に直列的に配置する。そして、冷却媒体供給器11から送出された冷却媒体によって、各半導体レーザが、それぞれ適切に冷却されるようにすることもできる。
【0028】
次に、投影光学系6について説明する。投影光学系6内の光変調素子31は、いわゆるブレーズ型の光回折素子によるGLV(Grating Light Valve)とするとか、例えば図9にその概略構成図を示すように、例えばマイクロリボンによる光回折素子が配列されたGLVとすることができる。この場合、マイクロリボンによる回折格子が配列されたピクセル32が、一次元的に多数個配列されて成る。
このピクセル32は、図10にその概略斜視図を示すように、基板33の上に、例えば両端が支持されたレーザ光反射マイクロリボン34が6本、平行配列されて回折格子を構成している。
一方、マイクロリボン34配列部下に差し渡って、基板33上に、全マイクロリボン34に対向して、共通の対向電極35が、マイクロリボン34との間に、所要の間隙を保持するように形成されて成る。
これらのマイクロリボン34は、例えばその一つおきのリボン34と対向電極35との間に所要の電圧を印加することによって、これらリボン34の中央部が基板33から所定の距離に移行保持され、図11に概略断面図を示すように、各ピクセルのマイクロリボン34への入射光Li、すなわち図2における光源部7から入射される光により、1次回折光Lr(−1)およびLr(+1)が発生するようになされ得る。
このようにして、光源部7からの光を、光変調素子31によって±1次回折光の有無、あるいは強度(階調)に変調する。
【0029】
次に、本発明による半導体レーザによる投影装置の実施の形態例を、図12の概略構成図を参照して説明する。
この実施の形態例においては、投影装置は、例えば、赤、緑、青の光を得る光源部7R、7G、7Bと、これらに対応して設けられたそれぞれ赤、緑、青の一次元投影光学像を得る例えばGLVより成る光変調素子31R、31G、31Bとを有する。ここで、各光源部には、本発明による上述の冷却装置8が連結される。
また、本発明による投影装置は、ミラー36と、集光レンズ37と、ダイクロイックミラー38および39と、投影レンズ40と、スキャナ41と、スクリーン42とを有する。
各光源部7R、7G、7Bから出力された光は、光変調素子31R、31G、31Bにおいてそれぞれ光量変調され、これによって形成された一次元光学像がダイクロイックミラー38および39によって合成され、投影レンズ40を経て、スキャナ41によってスクリーン42上に2次元光学像として投影される。
【0030】
なお、本発明による投影装置は、上述した各実施形態例に限定されることなく、種々の変形、変更を行い得ることは言うまでもない。
【0031】
【発明の効果】
上述したように、本発明による投影装置においては、光源部を構成する複数の各半導体レーザに対して所定の冷却がなされることにより、半導体の温度上昇に伴う能力すなわち発光効率の低下、および発光素子の寿命の短期化が回避される。
また、本発明による投影装置においては、複数の各半導体レーザに対する冷却における、出力光の波長が異なるそれぞれのレーザに関しての目的とする調整温度への冷却、および出力光の波長が同一であるレーザに関しての冷却温度の統一という両課題が、共に解決される。
すなわち、冷却の必要性が高い順に半導体レーザの冷却を行い、その配列が多数存在する場合には並列的に冷却媒体を流すことにより、冷却の必要性が高い半導体レーザを優先的に冷却し、かつ同じ波長の光を出力する半導体レーザに関しては同じ温度に冷却することができるものである。
【0032】
そして、本発明による投影装置においては、光源部に連結される冷却装置によって、光源部全体が、目的とする調整温度への冷却をなされる。したがって、例えばカラー投影における三原色およびその光変調により生成される全ての色の忠実な再現が図られる。すなわち、所定の色表現および光調整、滑らかな色階調表現やコントラスト表現、映像の立体感や質感等の画質の劣化を低減することができるものである。
【0033】
また、本発明による投影装置においては、流量調整手段および漏出検知機構が設けられることにより、冷却媒体の流量が厳密に調整されることから、複数の各半導体レーザの温度維持ならびに温度上昇回避が、それぞれ安定的に図られる。
更に、冷却器における、冷却媒体の流動に起因して生じる振動ならびに騒音が周囲に及ぼす影響の低減が図られる等、本発明構成によれば、多くのかつ重要な効果をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による投影装置の模式的構成図である。
【図2】本発明による投影装置における、光源冷却系の一例の概略構成図である。
【図3】本発明による投影装置における、流量調整機構の一例の概略縦断面図である。
【図4】本発明による投影装置における、冷却媒体漏出検知機構の一例の概略模式図である。
【図5】本発明による投影装置における、漏出検知機構を制御するアルゴリズムの一例を示す図である。
【図6】本発明による投影装置における、冷却媒体漏出検知機構の他の例の概略模式図である。
【図7】本発明による投影装置における、冷却媒体供給器の防振機構の一例の概略構成図である。
【図8】本発明による投影装置における、光源冷却系の要部の一例の概略構成図である。
【図9】本発明による投影装置における、光変調素子の一例の概略構成図である。
【図10】本発明による投影装置における、光変調素子を構成するピクセルの概略斜視図である。
【図11】本発明による投影装置における、光変調素子による1次回折光の発生原理模式図である。
【図12】本発明による投影装置における、投影実施の一形態の概略構成図である。
【符号の説明】
1・・・投影装置、2・・・投影機構部、3・・・投射レンズ、4・・・スクリーン、5・・・光源冷却系、6・・・投影光学系、7・・・光源部、8・・・冷却装置、9・・・半導体レーザ、9a・・・第1の半導体レーザ、9b・・・第2の半導体レーザ、9c・・・第3の半導体レーザ、10・・・冷却部、11・・・冷却媒体供給器、11a・・・冷却媒体循環始点口、11b・・・冷却媒体循環終点口、12・・・往流路、12a・・・往流路分枝部、13・・・復流路、13a・・・復流路分枝部、14・・・継手、15・・・継手、16・・・圧力計、17・・・圧力計、18・・・流量調整手段、19・・・流量調整機構、20・・・冷却媒体漏出検知機構、22・・・冷却媒体漏出検知機構、23・・・継手部分、24・・・電流計、25・・・電源、26・・・電気配線欠如部、27・・・電気配線、28・・・冷却媒体供給器防振機構、29・・・防振材、30・・・防振台、31・・・光変調素子、32・・・ピクセル、33・・・基板、34・・・・マイクロリボン、35・・・対向電極、36・・・ミラー、37・・・集光レンズ、38・・・ダイクロイックミラー、39・・・ダイクロイックミラー、40・・・投影レンズ、41・・・スキャナ、42・・・スクリーン
Claims (9)
- 複数の半導体レーザによる光源部を具備する半導体レーザ光による投影装置であって、
冷却媒体を冷却循環する冷却装置を有し、
上記各半導体レーザは、それぞれ冷却部に熱的に結合されて成り、
上記冷却装置の冷却媒体の循環始点口と循環終点口との間に、上記各半導体レーザもしくは複数個を組とする上記半導体レーザの各冷却部に冷却媒体を循環させる流路が設けられ、
該流路は、複数の上記半導体レーザに対して、並列的に配置されて成り、
上記各並列流路にそれぞれ冷却媒体の流量調整手段が配置されて成り、
該流量調整手段による流量調整によって、複数の各上記半導体レーザがそれぞれ目的とする調整温度に調整されるようになされたことを特徴とする半導体レーザ光による投影装置。 - 上記複数の半導体レーザによる光源部を具備する半導体レーザ光による投影装置が、
上記冷却装置と、上記半導体レーザからのレーザ光を変調して光学投影像を出力する投影光学系よりなる投影機構部と、投影レンズと、スクリーンとを有して成ることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ光による投影装置。 - 上記並列流路の分枝部に、複数の半導体レーザの冷却部が連結され、該複数の半導体レーザは、目的とする調整温度の高低順に直列的に配置されて成ることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ光による投影装置。
- 上記流量調整手段は、上記流路に設けられ、管径が選定された調整手段によることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ光による投影装置。
- 上記流路に冷却媒体の漏出検知手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ光による投影装置。
- 上記漏出検知手段は、冷却装置の冷却媒体の循環始点口と循環終点口とに、それぞれ設けられた第1および第2の圧力計より成り、これらの圧力計における検出圧力値およびその差に基づいて漏出検知がなされることを特徴とする請求項5に記載の半導体レーザ光による投影装置。
- 上記漏出検知手段は、上記流路における継ぎ手部の外周を巡らせて、かつ一部を欠如させた電気配線ループを設け、上記欠如部における漏出媒体による短絡の発生にもとづいて、漏出検出を行うことを特徴とする請求項5に記載の半導体レーザ光による投影装置。
- 上記冷却媒体が、冷却水であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ光による投影装置。
- 上記冷却装置が連結された上記半導体レーザより成る上記光源部と、
光回折素子が配列され、該光回折素子の変位によって、回折光量を変化させる光変調素子よりなる投影光学系とを有し、
上記投影光学系が、上記変位による光回折量の制御によって投影光学像を形成することを特徴とする、請求項2に記載の半導体レーザ光による投影装置。
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