JP2005024255A - 車両用周辺監視装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両用周辺監視装置は、車両周辺に超音波を送信するとともに、この送信される超音波の反射超音波を受信するマイクロフォン20dと、この受信される反射超音波に応じて車両周辺の障害物までの距離を演算するLAN制御回路20bとをそれぞれ有する演算機能付超音波センサ20〜23を備え、演算機能付超音波センサ20〜23にはディジーチェーン方式で電源電圧がそれぞれ入力され、演算機能付超音波センサ20〜23は、入力される電源電圧を一定電圧に変換してマイクロフォン20dに出力するレギュレータ20kをそれぞれ有している。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両周辺の物体を監視するための車両用周辺監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
一般に、超音波を用いる車両用周辺監視装置では、マイクロフォンから超音波を送信し、車両周辺の物体によって反射してくる超音波(以下、反射超音波という)をマイクロフォンで受信する超音波センサを用いているものがある。そして、超音波を送信してから反射超音波を受信するまでの時間を測定するとともに、この測定される時間に基づき、物体までの距離を演算している。
【0003】
ここで、時間の測定にあたり、超音波の送信を開始してから、マイクロフォンから出力される反射信号のレベルが任意の閾値を越えるまでの時間をカウンタ等で計測している。
【0004】
ここで、本発明者等は、上述のマイクロフォンを用いて物体までの距離をそれぞれ検出する各超音波センサと、各超音波センサをそれぞれ制御する電子制御装置とを備え、電子制御装置と各超音波センサのそれぞれとを車内LANで通信する車両用周辺監視装置について検討した。
【0005】
このように車内LANで通信する場合、各超音波センサに対して個々にIDコードを付与する必要がある。そこで、この検討された車両用周辺監視装置では、次のようにして、電子制御装置が、各超音波センサに対して個々にIDコードを付与する。
【0006】
以下、その説明を簡素化するために、図7に示すように、電子制御装置から近い順で、第1の超音波センサ、第2の超音波センサ、第3の超音波センサを通信線に接続する例について説明する。
【0007】
このものにおいては、各超音波センサに対して電源電圧をディジーチェーン方式で供給するように電源線を配線している。さらに、図示しない第1のスイッチ部を第1、第2の超音波センサ間の電源線に直列的に接続して、第1のスイッチ部によって、第1、第2の超音波センサ間を接続、或いは開放する。
【0008】
また、図示しない第2のスイッチ部を第2、第3の超音波センサの間の電源線に直列的に接続して、第2のスイッチ部によって、第2、第3の超音波センサ間を接続、或いは開放する。
【0009】
例えば、車両用周辺監視装置を製造する工程で、電子制御装置と第1〜第3の超音波センサのそれぞれとを、通信線、グランド線(GND線)、電源線にて接続したときに、最初に、第1のスイッチ部によって、第1、第2の超音波センサ間を開放させる。
【0010】
この場合、第1の超音波センサだけが電力供給されて、第2、第3の超音波センサには電力供給されなくなる。このとき、電子制御装置が第1の超音波センサと通信してIDコードを付与する。
【0011】
次に、第1のスイッチ部によって、第1、第2の超音波センサ間を接続し、第2のスイッチ部によって、第2、第3の超音波センサ間を開放する。この場合、第1、第2の超音波センサだけが電力供給されて、第3の超音波センサには電力供給されなくなる。このとき、電子制御装置が第2の超音波センサと通信してIDコードを付与する。
【0012】
次に、第1のスイッチ部によって第1、第2の超音波センサ間を接続するだけでなく、第2のスイッチ部によって第2、第3の超音波センサ間を接続する。この場合、第1、第2、第3の超音波センサの全てに電力供給される。このとき、電子制御装置が第3の超音波センサと通信してIDコードを付与する。
【0013】
以上のように、二つの超音波センサ間を接続、或いは開放を行うためのスイッチ部を設けることにより、製造工程で電子制御装置と第1〜第3の超音波センサを接続した後にIDコードを付与することができる。
【0014】
これに伴い、第1〜第3の超音波センサとして、予め個々にIDコードが記憶されたものを採用するのではなく、個々にIDコードが記憶されていない全く同一構成のものを採用することが可能になり、コスト低減を図ることができるようになる。
【0015】
しかし、第1、第2のスイッチ部として、例えば、電界効果型トランジスタ等の半導体スイッチ素子を採用したときには、第1、第2のスイッチ部が第1、第2の超音波センサ間、および第2、第3の超音波センサ間を接続している状態でも、第1、第2のスイッチ部は、抵抗成分(例えば、電界効果型トランジスタの場合にはON抵抗)をそれぞれ有するので、第1、第2のスイッチ部によって個々に電源電圧に電圧降下が生じる。
【0016】
このため、第1〜第3の超音波センサには、それぞれ、ディジーチェーン方式でそれぞれ異なる電源電圧が入力されることになる。これに伴い、電子制御装置からから1番近い超音波センサ(第1の超音波センサ)と、1番遠い超音波センサ(第3の超音波センサ)では、供給される電源電圧が大幅に異なってしまい、それぞれから送信される超音波の音圧も、大幅に異なってきてしまう。
【0017】
ここで、両方の超音波センサから送信される超音波の音圧がそれぞれ異なるということは、送信される超音波の到達距離が超音波センサの位置毎に異なることになる。このため、超音波センサの位置によって、物体を検出可能な物体検出範囲が異なってしまうという問題があった。
【0018】
本発明は、物体までの距離をそれぞれ演算できる各センサを備える車両用周辺監視装置において、センサ毎の物体検出可能範囲がばらつくことを抑えるようにすることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、車両周辺に送信波を送信するとともに、この送信される送信波の反射波を受信する送受信部(20d)と、前記受信される反射波に応じて前記車両周辺の物体までの距離を演算する演算部(20b)とをそれぞれ有する各センサ(20〜23)を備え、前記各センサにはディジーチェーン方式でそれぞれ異なる電源電圧が入力される車両用周辺監視装置であって、前記各センサは、前記入力される電源電圧を予め決められた一定電圧に変換して前記送受信部に出力する定電圧回路(20k)をそれぞれ有していることを特徴としている。
【0020】
これにより、各センサは、定電圧回路から一定電圧に基づいて、送受信部から超音波を送信するので、超音波の音圧、ひいては、物体検出可能範囲が、センサ毎にばらつくことを抑えることができる。
【0021】
請求項2に記載の発明では、車両周辺に送信波を送信するとともに、この送信される送信波の反射波を受信する送受信部(20d)と、前記受信される反射波に応じて前記車両周辺の物体までの距離を演算する演算部(20b)とをそれぞれ有する各センサ(20〜23)を備え、前記各センサにはディジーチェーン方式でそれぞれ異なる電源電圧が入力される車両用周辺監視装置であって、前記各センサには、前記入力される電源電圧を予め決められた一定電圧に変換して後段に接続されるセンサに出力するための電源回路(28n)が、それぞれ設けられていることを特徴としている。
【0022】
これにより、各センサは、前段のセンサの電源回路からの一定電圧に基づいて、送受信部から超音波を送信するので、超音波の音圧、ひいては、物体検出可能範囲が、センサ毎にばらつくことを抑えることができる。
具体的には、電源回路としては、請求項3に記載の発明のように、入力される電源電圧を予め決められた一定電圧に昇圧して後段に接続されるセンサに出力する昇圧回路を用いるようにしてもよい。
【0023】
請求項4に記載の発明では、車両周辺に送信波を送信するとともに、この送信される送信波の反射波を受信して反射信号を出力する送受信部(20d)と、この送受信部から出力される反射信号をゲインにて増幅してその増幅信号を出力する増幅部(26g)と、前記増幅部からの増幅信号に基づいて前記車両周辺の物体までの距離を演算する演算部(20b、)とをそれぞれ有する各センサ(20〜23)を備え、前記各センサにはディジーチェーン方式でそれぞれ異なる電源電圧が入力される車両用周辺監視装置であって、前記それぞれのゲインは、前記電源電圧の違いを前記センサ毎に補うように調整されていることを特徴としている。
【0024】
これにより、各センサは、このように調整されるゲインを用いて車両周辺の物体までの距離を演算するので、物体検出可能範囲が、センサ毎にばらつくことを抑えることができる。
【0025】
請求項5に記載の発明では、車両周辺に送信波を送信するとともに、この送信される送信波の反射波を受信して反射信号を出力する送受信部(20d)と、この送受信部から出力される反射信号の信号レベルと閾値との比較に基づいて前記反射波の受信タイミングを測定するとともに、この測定される受信タイミングと前記送信波の送信タイミングとに基づき前記車両周辺の物体までの距離を演算する演算部(20b、20e)とをそれぞれ有する各センサ(20〜23)を備え、前記各センサにはディジーチェーン方式でそれぞれ異なる電源電圧が入力される車両用周辺監視装置であって、前記それぞれの閾値は、前記電源電圧の違いを前記センサ毎に補うように調整されていることを特徴としている。
【0026】
これにより、各センサは、このように調整される閾値を用いて車両周辺の物体までの距離を演算するので、物体検出可能範囲が、センサ毎にばらつくことを抑えることができる。
【0027】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に本発明に係る車両用周辺監視装置の第1実施形態を示す。図1は、車両用周辺監視装置の概略電気回路構成を示すブロック図である。
【0029】
車両用周辺監視装置は、図1に示すように、電子制御装置10、およびこの電子制御装置10と車内LANで接続される演算機能付超音波センサ20〜23から構成されており、電子制御装置10は、マイクロコンピュータ10aおよびLAN通信回路10b(ドライバ/リーダー)から構成されている。
【0030】
マイクロコンピュータ10aは、CPU(中央演算装置)、ROMおよびRAMなどから構成されており、マイクロコンピュータ10aは、LAN通信回路10b及び通信線11を介する通信により、障害物(車両周囲の物体)までの距離の演算を演算機能付超音波センサ20〜23に対して指令したり、この演算される距離を演算機能付超音波センサ20〜23から集計するための処理を実行する。LAN通信回路10bは、演算機能付超音波センサ20〜23のLAN通信回路20aと通信線11を介して通信する。
【0031】
ここで、電子制御装置10および演算機能付超音波センサ20〜23に対して電源線12を用いて車載バッテリから電源電圧が入力される。特に、演算機能付超音波センサ20〜23に対してはディジーチェーン方式でそれぞれ電源電圧が入力される。図1中の符号13は、グランド線(GND線)である。
【0032】
また、演算機能付超音波センサ20〜23は、それぞれ、当該自動車の後側バンパーにて、左後側、真後側、右後側など個々に異なる向きに向けて配置されており、演算機能付超音波センサ20〜23は、超音波の送受信により障害物までの距離をそれぞれ演算する。
【0033】
ここで、演算機能付超音波センサ20〜23はそれぞれ実質的に同様に構成されているため、以下、演算機能付超音波センサ20についてだけ説明する。
【0034】
演算機能付超音波センサ20は、LAN通信回路20aに加えて、LAN制御回路20b、送信回路20c、マイクロフォン20d、距離演算回路20e、閾値調整回路20f、ゲイン調整回路20g、比較器20h、不揮発性メモリ20m、レギュレータ20k、およびスイッチ20jから構成されている。
【0035】
LAN制御回路20bは、マイクロコンピュータ、RAMなどから構成されたもので、LAN制御回路20bは、電子制御装置10からの指令に基づいて、送信回路20cを制御したり、後述するように、距離演算回路20eによって測定される時間に基づいて車両周囲の障害物までの距離を演算する演算処理を実行する。
【0036】
不揮発性メモリ20mは、コンピュータプログラム以外に、各種のデータを記憶する。また、送信回路20cは、送信信号を発生するものであり、マイクロフォン20dは、送信回路20cからの送信信号に基づいて超音波を発生する超音波送信部と、車両周囲の障害物による超音波の反射超音波を受信して反射信号を出力する超音波受信部とから構成されている。
【0037】
閾値調整回路20fは、車両周囲から反射される反射超音波を受信する受信タイミングを測定するのに用いる閾値を調整して比較器20hに出力する。ゲイン調整回路20gは、ゲインを調整するとともに、この調整されるゲインを用いてマイクロフォン20dから出力される反射信号を電圧増幅して増幅信号を出力する。
【0038】
比較器20hは、閾値調整回路20fから出力される閾値と、ゲイン調整回路20gから出力される増幅信号を比較する。距離演算回路20eは、マイクロフォン20dから超音波を送信してから反射超音波を受信する迄に要する時間を測定するタイマー回路である。
【0039】
レギュレータ20kは、車載バッテリから電源電圧をこの電圧よりも低い一定電圧に変換する定電圧回路であり、定電圧回路から出力される一定電圧は、電源電圧として、LAN通信回路20a、LAN制御回路20b、送信回路20c、マイクロフォン20d、距離演算回路20e、閾値調整回路20f、ゲイン調整回路20g、比較器20h、および不揮発性メモリ20mに供給される。
【0040】
スイッチ20jは、電源線12に対し直列的に接続されており、スイッチ20jは、演算機能付超音波センサ20からこの超音波センサ20の後段に接続される超音波センサ21までの間で、電源線12の接続、或いは開放を行う。また、スイッチ20jとしては、例えば、機械式リレースイッチ、もしくは電界効果型トランジスタなどの半導体スイッチが用いられている。
【0041】
ここで、スイッチ20jとしては、上述の第1、第2のスイッチ部と同様に、電子制御装置10が演算機能付超音波センサ20〜23に対してIDコードを付与する際に、電源電圧を供給する演算機能付超音波センサを、演算機能付超音波センサ20→演算機能付超音波センサ20、21→演算機能付超音波センサ20〜22→演算機能付超音波センサ20〜23といった順に切替えるのに用いられる。
【0042】
なお、演算機能付超音波センサ20〜23が上述の第1〜第3の超音波センサに相当し、スイッチ20jは、上述の第1、第2のスイッチ部に相当するものである。
【0043】
次に、本実施形態の作動について説明する。先ず、電子制御装置10が通信線11を介して演算機能付超音波センサ20〜23に対して障害物までの距離を演算させるように指令する。
【0044】
この演算機能付超音波センサ20では、レギュレータ20kが、車載バッテリから電源電圧を一定電圧に変換してこの変換された一定電圧をLAN通信回路、マイクロフォン等の電子部品20a〜20h、20mに供給する。
【0045】
ここで、LAN制御回路20bが、LAN通信回路20aを通して電子制御装置10からの指令を受けると、スイッチ20jをオンさせるとともに、送信回路20cにより送信信号を発生させるための指令信号を距離演算回路20eおよび送信回路20c出力する。
【0046】
すると、送信回路20cが指令信号に基づき送信信号を発生させるので、マイクロフォン20dが、送信回路20cからの送信信号に基づいて、超音波を送信する。
【0047】
その後、マイクロフォン20dが障害物からの反射超音波を受信すると反射信号を発生する。そして、ゲイン調整回路20gが、マイクロフォン20dから出力される反射信号をゲインにて電圧増幅して増幅信号を出力する。
【0048】
次に、比較器20hは、閾値調整回路20fから出力される閾値と、閾値調整回路20fからの増幅信号の電圧レベルとを比較して反射超音波の受信タイミングを測定する。
【0049】
ここで、比較器20hは、閾値よりも増幅信号の電圧レベルが越えたときを反射超音波の受信タイミングとして、その受信タイミングにおいて出力信号のレベルをローレベルからハイレベルに変える。
【0050】
次に、距離演算回路20eは、LAN制御回路20bから出力される指令信号に基づいて、超音波の送信タイミングを検出し、比較器20hからの出力信号に基づいて、反射超音波の受信タイミングを検出し、かつ、超音波の送信タイミングから反射超音波の受信タイミング迄の時間を測定する。
【0051】
なお、本実施形態では、超音波の送信タイミングの検出にあたっては、例えば、LAN制御回路20bから指令信号が入力されるタイミングを、超音波の送信タイミングとする。また、以下、距離演算回路20eによって測定される時間を測定時間ΔTという。
【0052】
次に、LAN制御回路20bは、距離演算回路20eにより測定される測定時間ΔTに基づいて、車両周辺の障害物までの距離(以下、距離Lという)を演算する。
【0053】
すなわち、LAN制御回路20bは、測定時間ΔTに音速Sを乗じて2で割ることにより距離Lを求めることになる(L=ΔT×S÷2)。このように障害物までの距離Lが求められると、この距離LがLAN制御回路20bから通信線11を介して電子制御装置10に出力されることになる。
【0054】
その後、演算機能付超音波センサ21も、演算機能付超音波センサ20と同様、スイッチ20jをオンさせるとともに、車両周辺の障害物までの距離Lを演算して、この演算される距離Lを電子制御装置10に出力する。その後、演算機能付超音波センサ22、23も、演算機能付超音波センサ20と同様、順次、スイッチ20jをオンさせるとともに、車両周辺の障害物までの距離Lを演算して、この演算される距離Lを電子制御装置10に出力することになる。
【0055】
以上説明した本実施形態によれば、車両用周辺監視装置は、車両周辺に超音波を送信するとともに、この送信される超音波の反射超音波を受信するマイクロフォン20dと、この受信される反射超音波に応じて車両周辺の障害物(物体)までの距離を演算するLAN制御回路20bとをそれぞれ有する演算機能付超音波センサ20〜23を備え、演算機能付超音波センサ20〜23にはディジーチェーン方式で電源電圧がそれぞれ入力され、演算機能付超音波センサ20〜23は、入力される電源電圧を一定電圧に変換してマイクロフォン20dに出力するレギュレータ20kをそれぞれ有している。
【0056】
ここで、演算機能付超音波センサ20〜23には、上述の如く電子制御装置10からIDコードの付与を受けるために、スイッチ20jがそれぞれ設けられている。そして、演算機能付超音波センサ20〜23のスイッチ20jがON状態で、後段に接続される演算機能付超音波センサとの間がそれぞれ接続されていても、各スイッチ20jは、抵抗成分をそれぞれ有しているので、演算機能付超音波センサ20〜23の個々のスイッチ20jによって、電源電圧の電圧降下が生じることになる。
【0057】
これに伴い、演算機能付超音波センサ20〜23には、異なる電源電圧が供給されることになる。これに対して、本実施形態では、演算機能付超音波センサ20〜23は、その内蔵するレギュレータ20kからの一定電圧に基づいて、マイクロフォン20dから超音波を送信するので、超音波の音圧、ひいては、物体検出可能範囲が、演算機能付超音波センサ毎にばらつくことを抑えることができるようになる。
【0058】
(第2実施形態)
上述の実施形態では、マイクロフォン20dに一定電圧にて電源供給するためのレギュレータ20kを演算機能付超音波センサ毎に採用して、物体検出可能範囲が演算機能付超音波センサ毎に同一になるようにする例について説明したが、これに代えて、比較器20hで用いられる閾値を調整して、物体検出可能範囲が演算機能付超音波センサ毎に同一になるようにしてもよい。この場合の構成を図2に示す。
【0059】
本実施形態では、図1のレギュレータ20kが削除されており、閾値調整回路24fが、図1の閾値調整回路20fに代えて用いられている。閾値調整回路24fから出力される閾値は、演算機能付超音波センサ毎の電源電圧の違いをキャンセルする役割を果たす。なお、図2においては、図1と同一符号は、同一にものを示している。
【0060】
次に、本実施形態の作動について図3を用いて説明する。図3は、電子制御装置10および演算機能付超音波センサ20〜23の作動を示すフローチャートである。
【0061】
先ず、電子制御装置10のマイクロコンピュータ10aは、例えば、イグニッションスイッチのオンにて、予めROMに記憶される演算機能付超音波センサ毎の閾値をエンコード処理して個々に対応する演算機能付超音波センサ20〜23に出力する(S100、S110)。
【0062】
この演算機能付超音波センサ20では、LAN制御回路20bが、LAN通信回路20aを通して電子制御装置10から、このエンコード処理された閾値を受けると、このエンコード処理された閾値をデコード処理して閾値を求め、この求められる閾値を閾値調整回路24fに設定する(S120〜S140)。
【0063】
その後、演算機能付超音波センサ20が、上述の第1実施形態と同様、電子制御装置10からの指令を受けると、閾値調整回路24fに設定される閾値を用いて車両周辺の障害物までの距離Lを演算してこの距離Lを電子制御装置10に出力する。
【0064】
また、演算機能付超音波センサ21〜23も、演算機能付超音波センサ20と同様、順次、電子制御装置10から個々に対応する閾値を受けると、この閾値を用いて車両周辺の障害物までの距離Lを演算して、この演算される距離Lを電子制御装置10に出力することになる。
【0065】
以上説明したように本実施形態では、演算機能付超音波センサ20〜23において、図1のレギュレータ20kが削除され、演算機能付超音波センサ20〜23のスイッチ20jの抵抗成分によって、演算機能付超音波センサ20〜23に供給される電源電圧が異なることになる。これに伴い、マイクロフォン20dに供給される電源電圧が、演算機能付超音波センサ毎に異なり、マイクロフォン20dから送信される超音波の音圧も、演算機能付超音波センサ毎に異なることになる。
【0066】
しかし、比較器20hで用いられる閾値は、演算機能付超音波センサ毎に電源電圧の違いをキャンセルするように調整されているため、物体検出可能範囲が、演算機能付超音波センサ毎にばらつくことを抑えることができる。
【0067】
なお、本発明の実施にあたり、イグニッションスイッチがオンされるタイミングで、演算機能付超音波センサ毎の閾値を電子制御装置10が演算機能付超音波センサ20〜23に付与して、この閾値を演算機能付超音波センサ20〜23の不揮発性メモリ20mに記憶させるようにしてもよい。
【0068】
ここで、電子制御装置10が一定期間毎に演算機能付超音波センサ20〜23にそれぞれの閾値を付与して、演算機能付超音波センサ20〜23がそれぞれの閾値を不揮発性メモリ20mに記憶させるようにしてもよい。
【0069】
以下、上述の如く電源電圧の違いをキャンセルするように演算機能付超音波センサ毎の閾値について図4を用いて説明する。図4では、演算機能付超音波センサ20〜23をセンサ20〜23と省略し、電子制御装置10をECU10と省略する。
【0070】
先ず、実験、或いは、シミュレーションにより、演算機能付超音波センサ20〜24に入力される電源電圧V1〜V4を確認しておき、また、電子制御装置10から接続される演算機能付超音波センサ20〜23の順番を確認する。
【0071】
なお、図4では、演算機能付超音波センサ20→演算機能付超音波センサ21→演算機能付超音波センサ22→演算機能付超音波センサ23の順番に接続される例が示されている。
【0072】
例えば、演算機能付超音波センサ20、21の電源電圧の比は、V1とV2となり、演算機能付超音波センサ20から送信される超音波の音圧を0[dB]とすると、演算機能付超音波センサ21から送信される超音波の音圧は、(20×Log(V2/V1)+a)[dB]となる。なお、aは補正値である。
【0073】
このため、演算機能付超音波センサ21に用いられる閾値としては、演算機能付超音波センサ20に用いられる閾値に対して、(20×Log(V2/V1)+a)分低く設定しておく。
【0074】
例えば、(20×Log(V2/V1)+a)=Eaとして、演算機能付超音波センサ20で用いられる閾値E1、演算機能付超音波センサ21で用いられる閾値E2とすると、E1=E2(10Ea/20)の関係を有することになる。
【0075】
また、演算機能付超音波センサ20から送信される超音波の音圧を0[dB]とすると、演算機能付超音波センサ22から送信される超音波の音圧は、(20×Log(V3/V1)+a)[dB]となる。
【0076】
このため、演算機能付超音波センサ22に用いられる閾値としては、演算機能付超音波センサ20に用いられる閾値に対して、(20×Log(V3/V1)+a)分低く設定しておく。
【0077】
例えば、(20×Log(V3/V1)+a)=Ebとして、演算機能付超音波センサ20で用いられる閾値E1、演算機能付超音波センサ22で用いられる閾値E3とすると、E1=E3(10Eb/20)の関係を有することになる。
【0078】
また、演算機能付超音波センサ20から送信される超音波の音圧を0[dB]とすると、演算機能付超音波センサ23から送信される超音波の音圧は、(20×Log(V4/V1)+a)[dB]となる。
【0079】
このため、演算機能付超音波センサ23に用いられる閾値としては、演算機能付超音波センサ20に用いられる閾値に対して、(20×Log(V4/V1)+a)分低く設定しておく。
【0080】
例えば、(20×Log(V4/V1)+a)=Ecとして、演算機能付超音波センサ20で用いられる閾値E1、演算機能付超音波センサ23で用いられる閾値E4とすると、E1=E4(10Ec/20)の関係を有することになる。
【0081】
(第3実施形態)
上述の第1実施形態では、物体検出可能範囲を演算機能付超音波センサ毎に同一にするために、比較器20hで用いられる閾値を演算機能付超音波センサ毎に調整する例について説明したが、これに代えて、ゲイン調整回路20gで用いられるゲインを演算機能付超音波センサ毎に調整する。この場合における構成を図5に示す。
【0082】
本実施形態では、ゲイン調整回路26gが、図1のゲイン調整回路20gに代えて用いられている。ゲイン調整回路26gで用いられる閾値は、演算機能付超音波センサ毎の電源電圧の違いをキャンセルする役割を果たす。なお、図5においては、図1と同一符号は、同一にものを示している。
【0083】
次に、本実施形態の作動について説明すると、電子制御装置10のマイクロコンピュータ10aは、例えば、イグニッションスイッチのオンにて、予めROMに記憶される演算機能付超音波センサ毎のゲインを対応する演算機能付超音波センサ20〜23に出力する。
【0084】
この演算機能付超音波センサ20では、LAN制御回路20bが、LAN通信回路20aを通して電子制御装置10からの対応するゲインを受けると、この閾値をゲイン調整回路26gに設定する。
【0085】
その後、演算機能付超音波センサ20が、上述の第1実施形態と同様、電子制御装置10からの指令を受けると、ゲイン調整回路26gに設定されるゲインを用いて、車両周辺の障害物までの距離Lを演算してこの距離Lを電子制御装置10に出力する。
【0086】
また、演算機能付超音波センサ21〜23も、演算機能付超音波センサ20と同様、順次、電子制御装置10から個々に対応するゲインを受けると、このゲインを用いて車両周辺の障害物までの距離Lを演算して、この演算される距離Lを電子制御装置10に出力することになる。
【0087】
以上説明したように本実施形態では、演算機能付超音波センサ20〜23において、図1のレギュレータ20kが削除され、演算機能付超音波センサ20〜23のスイッチ20jの抵抗成分によって、演算機能付超音波センサ20〜23に供給される電源電圧が異なることになる。これに伴い、マイクロフォン20dから送信される超音波の音圧も、演算機能付超音波センサ毎に異なることになる。
【0088】
しかし、本実施形態において、ゲイン調整回路26gに設定されるゲインとしては、演算機能付超音波センサ毎の電源電圧の違いをキャンセルするように(補うように)調整されているものを用いているため、物体検出可能範囲が、演算機能付超音波センサ毎にばらつくことを抑えることができる。
【0089】
なお、本発明の実施にあたり、イグニッションスイッチがオンされるタイミングで、演算機能付超音波センサ毎のゲインを電子制御装置10が演算機能付超音波センサ20〜23に付与して、このゲインを演算機能付超音波センサ20〜23の不揮発性メモリ20mに記憶させるようにしてもよい。
【0090】
また、電子制御装置10が一定期間毎に演算機能付超音波センサ20〜23にそれぞれのゲインを付与して、演算機能付超音波センサ20〜23がそれぞれのゲインを不揮発性メモリ20mに記憶させるようにしてもよい。
【0091】
以下、本実施形態で用いられるゲインについて説明する。すなわち、演算機能付超音波センサ21で用いられるゲインとしては、演算機能付超音波センサ20に用いられるゲインに対して、(20×Log(V2/V1)+a)分低く設定しておく。
【0092】
この場合、演算機能付超音波センサ21で用いられるゲインをg1として、演算機能付超音波センサ20に用いられるゲインをg0とすると、g1=g0(10Ea/20)の関係を有することになる(Ea=20×Log(V2/V1)+a)。
【0093】
また、演算機能付超音波センサ22で用いられるゲインとしては、演算機能付超音波センサ20に用いられるゲインに対して、(20×Log(V3/V1)+a)分低く設定しておく。
【0094】
この場合、演算機能付超音波センサ22で用いられるゲインをg2とすると、g2=g0(10Eb/20)の関係を有することになる(Eb=20×Log(V3/V1)+a)。
【0095】
さらに、演算機能付超音波センサ23で用いられるゲインとしては、演算機能付超音波センサ20に用いられるゲインに対して、(20×Log(V4/V1)+a)分低く設定しておく。
【0096】
この場合、演算機能付超音波センサ23で用いられるゲインをg3とすると、g3=g0(10Ec/20)の関係を有することになる(Ec=20×Log(V4/V1)+a)。
【0097】
(第4実施形態)
上述の第1実施形態では、マイクロフォン20dに一定電圧にて電源供給するためのレギュレータ20kを演算機能付超音波センサ毎に採用して、物体検出可能範囲が演算機能付超音波センサ毎に同一になるようにする例について説明したが、これに代えて、昇圧回路28nを演算機能付超音波センサ毎に採用して、マイクロフォン20dから送信される超音波の音圧を演算機能付超音波センサ毎に同一にする。
【0098】
この場合の構成を図6に示す。本実施形態では、昇圧回路28nがスイッチ回路20jの後段に接続されて、昇圧回路28nは、予め決められる一定電圧に昇圧してその昇圧電圧を電源電圧として演算機能付超音波センサ21に出力する。また、演算機能付超音波センサ21でも、その昇圧回路28nが、演算機能付超音波センサ20からの電源電圧を昇圧して、その昇圧電圧を電源電圧として演算機能付超音波センサ22に出力する。
【0099】
さらに、演算機能付超音波センサ23でも、その昇圧回路28nが、演算機能付超音波センサ22からの電源電圧を昇圧して、その昇圧電圧を電源電圧として演算機能付超音波センサ24に出力する。
【0100】
以上のように、演算機能付超音波センサ20〜23では、個々の昇圧回路28nが、入力される電源電圧を一定電圧に昇圧してその昇圧電圧を後段に接続される演算機能付超音波センサに出力する。
【0101】
すなわち、演算機能付超音波センサ20〜23のそれぞれのマイクロフォン20dには、同一電源電圧が供給されるので、演算機能付超音波センサ20〜23から送信される超音波の音圧を演算機能付超音波センサ毎に同一になる。これに伴い、演算機能付超音波センサ毎の物体検出可能範囲がばらつくことを抑えることができる。
【0102】
また、本実施形態では、演算機能付超音波センサ20〜23に対して昇圧回路28nを採用して、入力される電源電圧を一定電圧に昇圧してその昇圧電圧を後段に接続される演算機能付超音波センサに出力しているので、入力される電源電圧に比べて低い一定電圧に変換するレギュレータ(定電圧回路)を用いる場合に比べて、S/N比を向上させることが可能になる。
【0103】
(その他の実施形態)
上述の第4実施形態では、後段に接続される演算機能付超音波センサに一定電圧を供給するための電源回路として、入力される電源電圧を昇圧する昇圧回路を演算機能付超音波センサ毎に採用する例について説明したが、これに限らず、電源回路として、入力される電源電圧をこの電源電圧よりも低い一定電圧を出力する定電圧回路(レギュレータ)を演算機能付超音波センサ毎に採用するようにしてもよい。
【0104】
上記各実施形態では、送信波として超音波を用いる例を示したが、これに限らず、送信波として電波を用いるようにしてもよい。
【0105】
上記各実施形態では、送信波として超音波を用いる例を示したが、これに限らず、送信波として光を用いるようにしてもよい。
【0106】
上記各実施形態では、演算機能付超音波センサ20〜23を左後方側、真後側、右後側などに配置する例を示したが、これに限らず、車両の前方に向けて配置したり、車両測方に向けて配置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の車両用周辺監視装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態の車両用周辺監視装置の構成を示す図である。
【図3】上述した第2実施形態の車両用周辺監視装置の作動を示すフローチャートである。
【図4】上述した第2実施形態の車両用周辺監視装置の作動を説明するための説明図である。
【図5】本発明の第3実施形態の車両用周辺監視装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態の車両用周辺監視装置の構成を示す図である。
【図7】従来の車両用周辺監視装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
10…電子制御装置、11…通信線、
10a…マイクロコンピュータ、10b…LAN通信回路
20〜23…演算機能付超音波センサ、20a…LAN通信回路、
20b…LAN制御回路、20c…送信回路、20d…マイクロフォン、
20e…距離演算回路、20f…閾値調整回路、20g…ゲイン調整回路、
20h…比較器、20m…不揮発性メモリ、20k…レギュレータ、
20j…スイッチ。
Claims (5)
- 車両周辺に送信波を送信するとともに、この送信される送信波の反射波を受信する送受信部(20d)と、前記受信される反射波に応じて前記車両周辺の物体までの距離を演算する演算部(20b、20e)とをそれぞれ有する各センサ(20〜23)を備え、前記各センサにはディジーチェーン方式でそれぞれ異なる電源電圧が入力される車両用周辺監視装置であって、
前記各センサは、前記入力される電源電圧を予め決められた一定電圧に変換して前記送受信部に出力する定電圧回路(20k)をそれぞれ有していることを特徴とする車両用周辺監視装置。 - 車両周辺に送信波を送信するとともに、この送信される送信波の反射波を受信する送受信部(20d)と、前記受信される反射波に応じて前記車両周辺の物体までの距離を演算する演算部(20b、20e)とをそれぞれ有する各センサ(20〜23)を備え、前記各センサにはディジーチェーン方式でそれぞれ異なる電源電圧が入力される車両用周辺監視装置であって、
前記各センサには、前記入力される電源電圧を予め決められた一定電圧に変換して後段に接続されるセンサに出力するための電源回路(28n)が、それぞれ設けられていることを特徴とする車両用周辺監視装置。 - 前記電源回路は、前記入力される電源電圧を予め決められた一定電圧に昇圧して後段に接続されるセンサに出力する昇圧回路であることを特徴とする請求項2に記載の車両用周辺監視装置。
- 車両周辺に送信波を送信するとともに、この送信される送信波の反射波を受信して反射信号を出力する送受信部(20d)と、この送受信部から出力される反射信号をゲインにて増幅してその増幅信号を出力する増幅部(26g)と、前記増幅部からの増幅信号に基づいて前記車両周辺の物体までの距離を演算する演算部(20b、20e)とをそれぞれ有する各センサ(20〜23)を備え、前記各センサにはディジーチェーン方式でそれぞれ異なる電源電圧が入力される車両用周辺監視装置であって、
前記それぞれのゲインは、前記電源電圧の違いを前記センサ毎に補うように調整されていることを特徴とする車両用周辺監視装置。 - 車両周辺に送信波を送信するとともに、この送信される送信波の反射波を受信して反射信号を出力する送受信部(20d)と、この送受信部から出力される反射信号の信号レベルと閾値との比較に基づいて前記反射波の受信タイミングを測定するとともに、この測定される受信タイミングと前記送信波の送信タイミングとに基づき前記車両周辺の物体までの距離を演算する演算部(20b、20e)とをそれぞれ有する各センサ(20〜23)を備え、前記各センサにはディジーチェーン方式でそれぞれ異なる電源電圧が入力される車両用周辺監視装置であって、
前記それぞれの閾値は、前記電源電圧の違いを前記センサ毎に補うように調整されていることを特徴とする車両用周辺監視装置。
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