JP2005023647A - サッシ下枠の排水構造、およびこれを備えたサッシ - Google Patents

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良平 須藤
Yoshitsugu Oda
芳嗣 小田
Masaru Himeno
賢 姫野
Masaya Nakano
正也 中野
Yukihiro Yashiro
幸広 矢代
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【課題】十分な排水勾配が設けられていなくても、下枠に滞留しようとする水を確実に排水することができるサッシ下枠の排水構造、およびこれを備えたサッシを提供すること。
【解決手段】下枠12と縦枠13との間に介挿されるシール材20に導水孔201を形成し、下枠12の水平面部12Aに滞留しようとする水の仮想滞留表面と導水孔201の上端縁とが接しているので、水平面部12A上の水の表面張力が導水孔201の上端縁で壊され、導水孔201を介して排水部12Dに流れ落ちて排水される。従って、バリアフリータイプの下枠12において、水平面部12Aに十分な排水勾配を設けることが困難な場合であっても、水が水平面部12Aに滞留することなく、この水を確実に排水することができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サッシ下枠の排水構造、およびこれを備えたサッシに関する。詳しくは、建物の外壁に設けられる窓や、浴室の出入口等を構成するサッシにおいて、サッシの下枠に滞留しようとする水を排水するサッシ下枠の排水構造、およびこれを備えたサッシに関する。
【0002】
【背景技術】
外壁の窓や浴室出入口等の開口部に設けられる建具(サッシ)において、居室や浴室の床面とほぼフラットに上面が形成されたバリアフリータイプの下枠の排水構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の排水構造は、バリアフリータイプの浴室出入口の下枠における排水構造であって、下枠に流れ込んだ水を下枠下部の排水樋に導いて、下枠の長手方向両端部に設けた小口キャップの排水管から排水する排水構造である。この排水構造では、排水樋を下枠に対して浴室側にオフセットさせた、浴室床下位置に設けることで、下枠上面から排水樋までの高さ寸法が十分に確保されるため、大量の水が下枠に流れ込んでも、この水を排水樋でいったん貯留して、排水管から排水できるようになっている。すなわち、バリアフリータイプの下枠においては、下枠の高さ寸法を十分に確保することが難しく、大量の水を貯留するだけの貯留空間を設けられないという問題があったが、特許文献1に記載の排水構造により、この問題の解決が図られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−166322号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の排水構造では、下枠本体の上面や排水樋の内部底面、レール支持面(下枠アタッチメントのベースプレート)等には、十分な排水勾配が設けられておらず、これらの各面が略水平に形成されているため、各面の上に流入した水の一部が表面張力によって滞留し、排水樋または排水管まで流れず、排水されない(残水する)という不都合が生じる。このため、十分な排水勾配が設けられていなくても、確実に排水することができる排水構造が望まれている。
このような不都合は、浴室に限らず、バリアフリータイプのサッシ窓においても生じるもので、サッシ窓の下枠における確実に排水することができる排水構造が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、十分な排水勾配が設けられていなくても、下枠に滞留しようとする水を確実に排水することができるサッシ下枠の排水構造、およびこれを備えたサッシを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のサッシ下枠の排水構造は、少なくとも下枠および縦枠を備えたサッシにおける下枠に滞留しようとする水を排水するサッシ下枠の排水構造であって、前記下枠は、少なくとも水平面部と、この水平面部よりも下方に設けられた排水部とを有し、前記下枠の長手方向側端面と縦枠の下部内側面との間には、当該下枠および縦枠の接合部分からの漏水を防止するシール材が介挿され、前記シール材の一部は、前記下枠の水平面部よりも上方に延長されており、このシール材の延長された部分には、前記水平面部に隣接し、かつ当該水平面部の上下に跨る導水孔が形成され、この導水孔の上端縁は、前記水平面部の上面に表面張力により滞留しようとする水の仮想滞留表面の一部に接する位置に設けられていることを特徴とする。
【0007】
ここで、下枠の水平面部としては、水平面でもよく、緩い傾斜が設けられた勾配面であってもよい。すなわち、水平面部とは、傾斜に沿って自然に水が流れる程度の水勾配が形成されておらず、表面張力の作用により水が流れずに滞留してしまう傾斜角度(例えば、1〜2度)以下の緩い傾斜を有したものを含んだ概念である。
また、「表面張力により滞留しようとする水の仮想滞留表面」とは、本発明のシール材の導水孔が設けられていない状態を仮定した場合に、下枠の水平面部上に滞留する水の表面張力によって形成される表面であって、導水孔を設けた場合には、この導水孔の作用で表面張力が壊されて水が排水されるために形成されない仮想的な表面を意味する。この仮想滞留表面の高さは、例えば、下枠が通常の表面処理を施されたアルミ形材製であれば、下枠の水平面部上面から約3mmとなることが確認されている。
【0008】
このような本発明によれば、シール材に形成した導水孔の上端縁と、下枠の水平面部に滞留しようとする水の仮想滞留表面とが接しているので、水平面部上の水の表面張力が導水孔の上端縁で壊され、導水孔を介して下枠の排水部に流れ落ちて排水される。この際、下枠と縦枠とがシール材を介して固定されているので、導水孔部分における下枠の長手方向側端面と縦枠の下部内側面との間には、シール材の厚さ寸法に応じた隙間が形成されており、この隙間を通って水が流れ落ちるようになっている。従って、バリアフリータイプの下枠において、下枠の水平面部に十分な排水勾配を設けることが困難な場合であっても、水が水平面部に滞留することなく、この水を確実に排水することができる。
【0009】
この際、本発明のサッシ下枠の排水構造では、前記下枠の水平面部には、当該下枠の長手方向略全長に渡って延びる溝が形成されていることが望ましい。
ここで、溝は1本でも複数本でもよく、また、溝の寸法としては、溝の幅、深さ、および複数本の場合における溝同士のピッチが、滞留しようとする水の表面張力を壊して溝の延出方向に水を案内することができるように構成されたものが採用できる。
このような構成によれば、下枠の水平面部に溝を形成することで、表面張力により滞留しようとする水の表面張力が溝で壊され、水が溝に沿って案内されるようになる。そして、溝が下枠の長手方向略全長に渡って設けられているので、下枠と縦枠との間のシール材位置である下枠の長手方向端部位置まで、水平面部上の水が案内されて、シール材の導水孔から流れ落ちて排水される。従って、下枠の全長に渡って水平面部上の水を効果的に排水することができる。
【0010】
さらに、本発明のサッシ下枠の排水構造では、前記下枠の水平面部には、前記下枠に支持された可動障子の戸車を案内するレール部が立設され、前記レール部は、前記下枠の長手方向略全長に渡って設けられ、かつ前記シール材の導水孔に隣接する部分が切り欠かれていることが望ましい。
このような構成によれば、可動障子を案内するレール部が水平面部に立設され、水平面部上の水がレール部に邪魔されて排水されにくくなり、滞留しやすくなった場合であっても、シール材の導水孔を介して排水することができる。また、水平面部上の大量の水は、レール部の切り欠き部分を通して、重力により自然に排水される。そして、この自然排水により水平面部上の水が少なくなった際に、表面張力により滞留しようとするのであるが、レール部の切り欠きがシール材の導水孔に隣接して設けられているので、自然排水時の水の流れと連続して、シール材の導水孔から排水されるため、排水の流れが途切れず、より効果的に水平面部上の水を排水することができる。
【0011】
また、本発明のサッシ下枠の排水構造は、少なくとも下枠を備えたサッシにおける下枠内部に滞留しようとする水を排水するサッシ下枠の排水構造であって、前記下枠は、当該下枠の上側から下枠内部に浸入した水を受け止める排水部と、この排水部に隣接して設けられ、かつ当該排水部で受け止めた水を下枠外部に排水する排水口とを有し、前記排水口の上方または内側には、前記排水部の上面に略平行に、かつ隙間を有して延出する導水部材が設けられ、この導水部材は、前記排水部の上面に表面張力により滞留しようとする水の仮想滞留表面の一部に接して設けられていることを特徴とする構成が採用できる。
【0012】
ここで、排水部としては、下枠の長手方向に沿って形成された排水樋であってもよく、また、ピット状に形成された排水穴であってもよい。すなわち、下枠内部に浸入した大量の水が下枠の上方に溢れないようにいったん貯留して、排水口に向かって流すことができるように構成されていればよい。そして、バリアフリータイプの下枠において、排水部の内部底面(上面)には、重力によって自然に水が流れる程度の水勾配が形成されておらず、表面張力の作用により水が流れずに滞留しやすくなっている。
また、「表面張力により滞留しようとする水の仮想滞留表面」とは、本発明の導水部材が設けられていない状態を仮定した場合に、下枠の排水部上面に滞留する水の表面張力によって形成される表面であって、導水部材を設けた場合には、この導水部材の作用で表面張力が壊されて水が排水口に導かれて、排水されるために形成されない仮想的な表面を意味する。
【0013】
このような本発明によれば、下枠の排水部の上面に沿って設けた導水部材と、排水部の上面に滞留しようとする水の仮想滞留表面とが接しているので、排水部の水の表面張力が導水部材で壊され、導水部材に沿って水が排水口に導かれて排水される。従って、バリアフリータイプの下枠において、下枠の排水部に十分な排水勾配を設けることが困難な場合であっても、水が排水部上面に滞留することなく、確実に排水することができる。
【0014】
この際、本発明のサッシ下枠の排水構造では、前記排水部は、前記下枠の長手方向略全長に渡って延びる排水樋から構成され、この排水樋の内部底面には、当該排水樋の延出方向に沿った溝が形成され、前記排水口は、前記下枠の長手方向端部に取り付けられた排水キャップに設けられており、前記導水部材は、基端部が前記排水キャップに固定され、かつ先端部が前記排水樋の溝の上方に沿って設けられた突起から構成されていることが望ましい。
このような構成によれば、下枠の排水部を排水樋から構成し、この排水樋の内部底面に溝を形成することで、表面張力により滞留しようとする水の表面張力が溝で壊され、水が溝に沿って案内されるようになる。そして、溝が下枠の長手方向略全長に渡って設けられ、下枠の端部には排水口を有する排水キャップ、および排水キャップに固定された導水部材が設けられているので、溝に案内された水が導水部材に導かれて排水口がら排水される。従って、下枠の全長に渡って排水樋の内部底面の水を効果的に排水することができる。
また、導水部材を突起から構成し、基端部を排水キャップに固定することで、下枠の端部に排水キャップを取り付けるだけで、排水樋の内部底面に沿って導水部材を配置することができ、下枠に複雑な加工を施す必要がなく、導水部材を容易に設けることができる。
【0015】
また、本発明のサッシ下枠の排水構造は、少なくとも下枠を備えたサッシにおける下枠内部に滞留しようとする水を排水するサッシ下枠の排水構造であって、前記下枠は、上方に向かって開口した断面略コ字形の溝状部と、この溝状部の上方を覆って当該下枠上面を略フラットに形成するカバー部とを有し、前記カバー部の下面には、前記溝状部の内部底面に隙間を介して対向する導水面部が設けられ、この導水面部は、前記溝状部の内部底面に表面張力により滞留しようとする水の仮想滞留表面の一部に接して設けられていることを特徴とする構成が採用できる。
【0016】
ここで、カバー部は、踏み込み部用に上面がフラットに形成されたものでもよく、また、上面に障子の戸車案内用のレールが形成されたレール一体型のものでもよい。そして、バリアフリータイプの下枠において、溝状部の内部底面には、重力によって自然に水が流れる程度の水勾配が形成しづらく、表面張力の作用により水が滞留しやすくなっている。
また、「表面張力により滞留しようとする水の仮想滞留表面」とは、本発明の導水面部が設けられていない状態を仮定した場合に、下枠の溝状部の内部底面上に滞留する水の表面張力によって形成される表面であって、導水面部を設けた場合には、この導水面部の作用で表面張力が壊されて水が排水されるために形成されない仮想的な表面を意味する。
【0017】
このような本発明によれば、カバー部に設けた導水面部と、溝状部の内部底面に滞留しようとする水の仮想滞留表面とが接しているので、溝状部の内部底面の水の表面張力が導水面部で壊されて、水が滞留しにくくなり排水される。この際、溝状部の内部から下枠外部に排水する排水口は、溝状部の内部底面に開口して形成されていてもよく、また、溝状部の側面部分や、下枠の長手方向端部に設けられていてもよい。従って、バリアフリータイプの下枠において、下枠の溝状部の内部底面に十分な排水勾配を設けることが困難な場合であっても、水が溝状部の内部底面に滞留することなく、確実に排水することができる。
【0018】
この際、本発明のサッシ下枠の排水構造では、前記導水面部は、表面に凹凸形状を有した導水部材を前記カバー部の下面に取り付けて構成されていることが望ましい。
このような構成によれば、導水面部が表面に凹凸形状を有した導水部材から構成されることで、導水部材の表面の凹凸により水の表面張力をより壊しやすくすることができる。この際、導水部材としては、スポンジ等の海綿状の材料や多孔質材料等が採用できる。そして、これらの材料から形成された導水部材と、踏み込み部用やレール一体型のカバーとして強度が必要とされるカバー部とを別体にしたことで、カバー部および導水部材の材料選定の幅を拡げることができるとともに、各々の製造に掛かる加工手間を軽減することができる。
【0019】
一方、本発明のサッシは、前記したいずれかの排水構造を備えたことを特徴とする。
ここで、サッシとしては、外壁に設けられるサッシ窓や、浴室出入口の建具等を意味する。
このような本発明によれば、前記したいずれかの排水構造が有する作用効果と略同様の作用効果を奏するサッシを提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。また、各図においては、建具枠等、主要構成部品の断面を示すハッチングが省略されている。
【0021】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る排水構造が設けられた建具(サッシ)について、図1ないし図5に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の排水構造が設けられた浴室出入口1を示す縦断面図である。図2は、浴室出入口1の要部を拡大して示す脱衣室側から見た斜視図である。図3は、浴室出入口1の建具を構成する下枠の断面図であり、図4は、下枠および縦枠の接合部分を拡大して示す断面図である。図5(A),(B)は、下枠の一部を拡大して示す断面図である。
【0022】
本実施形態の浴室出入口1は、浴室床2の床面2Aおよび脱衣室床3の床面3Aと、建具枠10の敷居(下枠12)の上面とが、ほぼフラット(例えば、3mm以下の段差)に形成された、いわゆるバリアフリータイプの浴室に設置されている。この浴室は、浴槽(不図示)や浴室床(防水パン)2等がFRP(Fiber−Reinforced Plastics :繊維強化プラスチック)等から一体に形成され、あるいは別体で製造した部材を組み合わせてユニット化されたもので、図示しない躯体上に載置されている。
【0023】
浴室出入口1は、折れ戸形式の出入口であって、それぞれアルミ押出形材製の上枠11、下枠12、および左右の縦枠13を四周枠組みして形成された建具枠10と、この建具枠10内に開閉自在に設けられた折れ戸形式の障子(可動障子)15とを備えて構成されている。建具枠10は、脱衣室側において、脱衣室床3に下枠12が、天井4に上枠11が、それぞれビス止め固定され、浴室側において、浴室床2の端部に形成された支持部2Bに下枠12が載置されて、支持されている。
【0024】
建具枠10の上枠11は、断面略L字形に形成されており、上枠11の下面には、上レール11Aが形成されている。この上レール11Aによって、障子15の上框16に設けられた戸車16Aが上枠11の長手方向に沿って案内されるようになっている。また、上枠11には、止水用のスペーサ5Aを介して浴室の天井5が取り付けられている。そして、上枠11の下面および縦枠13の内側面には、障子15の脱衣室側側面に当接する止水材としてのウォーターバリアを保持する突片11B,13Aが形成されている。
【0025】
下枠12は、図2、3に示すように、略水平な底面部121と、底面部121の浴室側端縁から略垂直に立ち上がる浴室側側面部122と、底面部121の脱衣室側端縁から略垂直に立ち上がる脱衣室側側面部123と、これら浴室側および脱衣室側の側面部122,123間の底面部121に下枠12の長手方向略全長に渡って立設された第1および第2の立上部124,125を備えている。そして、下枠12には、浴室側側面部122および第1立上部124の上端間に渡って、上面部126が設けられ、第2立上部125の略中間位置および脱衣室側側面部123の上端間に渡って、脱衣室側から浴室側に下がる傾斜を有した傾斜面部127が設けられている。この傾斜面部127は、脱衣室側側面部123を超えて脱衣室側に延びて形成されており、この延長された傾斜面部127の脱衣室側端縁には、アタッチメントを介して下枠12を脱衣室床3に固定するための固定部127Aが形成されている。
【0026】
下枠12の上面部126は、浴室側側面部122側から第1立上部124側(浴室側から脱衣室側)に向かって下がる傾斜面と、第1立上部124上端位置から脱衣室側に向かって略水平に延出する水平面とを有して形成されている。この上面部126の水平面により、本発明の請求項1〜3に記載した水平面部12Aが構成されている。また、水平面部12Aの脱衣室側端縁には、下枠12の長手方向略全長に渡って、レール部としての下レール12Bが形成されている。この下レール12Bによって、障子15の下框17に設けられた戸車17Aが下枠12の長手方向に沿って案内されるようになっている。下レール12Bの長手方向端部、すなわち縦枠13に隣接する位置には、下レール12Bが切り欠かれた切欠部12Cが形成されている。すなわち、浴室から上面部126に流れ込んだ水は、下レール12Bで堰き止められることとなるが、左右の端部に形成された切欠部12Cから下方に流れ落ちるようになっている。
【0027】
また、浴室側側面部122の浴室側上部には、上方に向かって略L字形に折れ曲がった係合部122Aが形成されており、この係合部122Aには、図1に示すように、下枠12と浴室床2との隙間を塞ぐアタッチメント18が係合されている。
また、下枠12の上面には、図1に示すように、第1および第2のカバー材19A,19Bが配置されている。第1カバー材19Aは、断面略L字形に形成され、下枠12の第1立上部124の脱衣室側側面途中位置に突出して形成された受け部124Bと、第2立上部125の上端位置に形成された受け部125Bとの間に架設され、後述する排水樋12Dの上方を覆って配置されている。また、第2カバー材19Bは、第2立上部125上端の受け部125Bと、脱衣室側に延長された固定部127Aとの間に架設され、傾斜面部127の上方を覆って配置されている。これら第1および第2のカバー材19A,19Bは、それぞれ上面が下レール12Bや上面部126と略同一高さ位置に略水平に設けられている。これにより、上面が略フラットに形成されたバリアフリータイプの下枠12が構成されるようになっている。
【0028】
そして、下枠12には、底面部121と、第1および第2の立上部124,125とで三方を囲まれ、上方に開口した断面略コ字形溝状の排水部としての排水樋12Dが形成されている。この排水樋12Dは、下枠12の略全長に渡って形成されるとともに、図1に二点鎖線で示す排水管6に連通されており、下枠12に浸入した水は、排水樋12Dを介して排水管6から下枠12の外に排出されるようになっている。そして、排水樋12Dは、大量の水が流れ込んでも、この水をいったん貯留し、下枠12の上側に溢れ出して、脱衣室側に漏れないように、深さ寸法および見込み寸法(容積)が設定されている。
【0029】
また、図5に示すように、下枠12の水平面部12Aには、下枠12の長手方向略全長に渡って溝12Fが形成されている。この溝12Fは、所定の深さ寸法(例えば、0.3〜0.6mm)を有し、断面略半円形状(図5(A))、または断面略三角形状(図5(B))に形成され、水平面部12A上の水をこの溝12Fに沿って案内できるようになっている。すなわち、水平面部12A上に滞留しようとする水の表面張力が溝12Fにより壊されて、水平面部12A上に水が滞留しにくくなっている。
【0030】
以上のような下枠12と縦枠13とは、外側から縦枠13を貫通したビスを、下枠12のビスホール124A,125Aに螺合することで、互いに固定されている。そして、下枠12の長手方向側端面と、縦枠13の下部内側面との間、すなわち下枠12および縦枠13の接合面間には、接合部分からの漏水を防止するシール材20が介挿されている。このシール材20は、本実施形態においては、厚さ寸法が2mmのゴム製シート状部材であって、下枠12および縦枠13を固定するビスを締め付けることで、押圧されて、接合面間における厚さ寸法が1mm程度につぶされた状態になっている。すなわち、図4に示すように、下枠12の長手方向側端面12Eと、縦枠13の内側面13Bとは、約1mmの間隔を介して固定されていることになる。
【0031】
シール材20は、図3に示すように、下枠12の浴室側側面部122から脱衣室側側面部123までの全体見込み寸法を有し、この見込み範囲で下枠12の側端面12E全体に当接するだけの大きさ、形状を有している。そして、シール材20は、下枠12の底面部121、浴室側側面部122、第1立上部124、および上面部126に当接する浴室側シール部20Aと、下枠12の底面部121に沿った底面シール部20Bと、底面部121、脱衣室側側面部123、第2立上部125、および傾斜面部127に当接し、縦枠13の内側面13Bに沿って上方に延びた脱衣室側シール部20Cとから、一体に形成されている。下枠12の水平面部12Aに隣接位置において、シール材20の浴室側シール部20Aには、導水孔201が穿設されている。
【0032】
導水孔201は、シール材20を厚さ方向に貫通して形成されており、下枠12の水平面部12Aの上下に跨って設けられている。すなわち、導水孔201の上端縁201Aは、水平面部12Aの上面よりも所定距離(例えば、2〜3mm)だけ上方で、水平面部12Aに滞留しようとする水の仮想滞留表面S(図4)に接する位置に設けられている。また、導水孔201の下端縁は、水平面部12Aの下面よりも下がった位置に設けられ、導水孔201の側端縁は、水平面部12Aの脱衣室側端縁に見込み方向に跨って設けられている。
【0033】
次に、浴室出入口1の下枠12における排水構造について説明する。
浴室側から下枠12の上面部126に流れ込んだ水の多くは、下レール12Bで堰き止められるとともに、下レール12Bに沿って端部側(縦枠13側)に流れて、切欠部12Cから排水樋12Dに流れ落ちる。上面部126に流れ込む水が多い場合、あるいは勢いよく流れ込んだ場合には、流れ込んだ水の一部が下レール12Bを乗り越え、カバー材19Aまで達することがあるが、この場合には、カバー材19Aに適宜設けた排水孔(不図示)から排水樋12Dに水が流れ落ちる。さらに、カバー材19Aを乗り越え、カバー材19Bまで達した場合には、カバー材19Bに適宜設けた排水孔(不図示)から、傾斜面部127に水が流れ落ちる。そして、傾斜面部127の勾配に沿って流れた水は、第2立上部125に設けた排水孔125Cを通って、排水樋12Dに流れ落ちる。以上のようにして、排水樋12Dに流れ落ちた水は、排水樋12Dに沿って流れ排水管6から下枠12外部に排出される。
【0034】
また、下枠12の上面部126に流れ込んだ水の大半が排水され、水自体の水圧(重力)では排水できない程度まで水の量が少なくなった状態において、表面張力により水平面部12Aに滞留しようとする水は、その仮想滞留表面S(図4)がシール材20の導水孔201の上端縁201Aに接するようになっている。これにより、滞留しようとする水は、導水孔201内(下枠12の長手方向側端面12Eと縦枠13の内側面13Bとの隙間)を通って、下方の排水樋12Dに流れ落ちる。この際、導水孔201から流れ落ちる水に引っ張られるとともに、溝12Fに案内されて、水平面部12A上の水が順次下枠12の端部位置まで流れ、導水孔201から排水樋12Dに流れ落ちて、排水管6から排水される。
【0035】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1) シール材20の導水孔201の上端縁201Aと、下枠12の水平面部12Aに滞留しようとする水の仮想滞留表面Sとが接しているので、水平面部12A上の水の表面張力が壊され、導水孔201を介して排水樋12Dに流れ落ちて排水される。従って、バリアフリータイプの下枠12において、水平面部12Aに水が滞留しやすい場合であっても、この水を確実に排水することができ、下枠12上面を即座に乾燥させて、清潔性を維持させることができる。
【0036】
(2) この際、水平面部12Aに立設した下レール12Bに堰き止められて、より水が滞留しやすくなっていても、水平面部12Aに溝12Fを形成したことで、水の表面張力を壊し、溝12Fに沿って下枠12の端部位置まで水を案内して、導水孔201から排水することができるので、下枠12の全長に渡って水平面部12A上の水を効果的に排水することができる。
【0037】
(3) また、水平面部12A上の大量の水は、下レール12Bの切欠部12Cを通して、重力により自然に排水され、この自然排水により水平面部12A上の水が少なくなった際に、表面張力により滞留しようとする水が、シール材20の導水孔201を介して排水される。そして、下レール12Bの切欠部12Cが導水孔201に隣接して設けられているので、自然排水時の水の流れと連続して、導水孔201から排水されるため、排水の流れが途切れず、より効果的に水平面部上の水を排水することができる。
【0038】
(4) この際、下レール12Bの切欠部12Cがプレス加工等で形成された場合などに、加工時のカエリ(切り残し代)によって排水が邪魔されて、残水しやすくなっていても、シール材20の導水孔201を介して排水できる。
【0039】
(5) また、下枠12と縦枠13とがシール材20を介して固定され、導水孔201部分における下枠12の長手方向側端面12Eと、縦枠13の内側面13Bとの間に、シール材20を押圧した隙間が形成されるので、水が流れ落ちる隙間を別途加工により形成する必要がないため、排水経路を容易に形成することができる。
【0040】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る排水構造が設けられたサッシについて、図6ないし図9に基づいて説明する。
図6は、本実施形態の排水構造が設けられた浴室出入口1の下枠32部分を拡大して示す縦断面図である。図7は、下枠32の端部を拡大して示す斜視図である。図8(A),(B)は、下枠32の端部および排水キャップを示す平面図および断面図である。図9は、下枠32の一部を拡大して示す断面図である。
【0041】
本実施形態の浴室出入口1は、前述の第1実施形態と同様に、それぞれアルミ押出形材製の上枠(不図示)、下枠32、および左右の縦枠(不図示)を四周枠組みして形成された建具枠と、この建具枠内に開閉自在に設けられた可動障子35とを備えて構成されている。
【0042】
下枠32は、上方に向かって開口した断面略コ字形に形成されており、下枠32の上方には、脱衣室側から浴室側に第1および第2のカバー材39A,39Bと、アタッチメント38が配置されている。これら第1および第2のカバー材39A,39B、およびアタッチメント38の上面は、それぞれ浴室床面2Aおよび脱衣室床面3Aと略同一高さ位置に設けられている。これにより、上面が略フラットに形成されたバリアフリータイプの下枠32が構成されるようになっている。
【0043】
下枠32は、底面部321と、底面部321の浴室側端縁から略垂直に立ち上がる浴室側側面部322と、底面部321の脱衣室側端縁から略垂直に立ち上がる脱衣室側側面部323とを備えている。そして、下枠32は、浴室側側面部322の上端から脱衣室側に延びる第1支持面部324、および第1支持面部324の脱衣室側端縁から略垂直に立ち上がる第1立上片325と、浴室側側面部322から浴室側に延出する第2支持面部326と、第2支持面部326に立設された第2立上片326Aとを備えて構成されている。これら第1および第2の支持面部324,326、第1および第2の立上片325,326Aに浴室床2が載置されている。また、脱衣室側側面部323の浴室側側面には、第3立上片323Aが設けられており、この第3立上片323Aの上端と脱衣室床3との間に第1カバー材39Aが支持されている。
【0044】
下枠32には、底面部321、浴室側側面部322、脱衣室側側面部323で三方を囲まれた排水部としての排水樋32Aが形成されている。この排水樋32Aは、下枠32の略全長に渡って形成されるとともに、後述する排水口41に連通されており、下枠32に浸入した水は、排水樋32Aを介して排水口41から下枠32の外に排出されるようになっている。そして、排水樋32Aは、大量の水が流れ込んでも、この水をいったん貯留し、下枠32の上側に溢れ出して、脱衣室側に漏れないように、深さ寸法および見込み寸法(容積)が設定されている。
【0045】
また、下枠32の底面部321の見込み方向略中央には、下枠12の長手方向略全長に渡って溝32Bが形成されている。この溝32Bは、所定の深さ寸法(例えば、0.3〜0.6mm)を有し、断面略半円形状、または断面略三角形状に形成され、排水樋32A中の水をこの溝32Bに沿って案内できるようになっている。すなわち、下枠32の底面部321上に滞留しようとする水の表面張力が溝32Bにより壊されて、底面部321上に水が滞留しにくくなっている。
【0046】
以上のような下枠32の端部には、合成樹脂製の排水キャップ40が取り付けられている。この排水キャップ40は、下枠32の断面形状に応じた形状を有しており、下枠32の端面に密接した状態で、下枠32に設けられた3箇所のビスホール32Cにビス止め固定されている。そして、排水キャップ40には、下枠32の長手方向に沿って、下枠32の反対方向に向かって開口した円筒形の排水口41が設けられている。この排水口41の内周下端縁は、下枠32の底面部321上面よりも下がった位置に設けられており、排水樋32Aからの水が流れ落ちるようになっている。そして、排水口41には、図示しない排水管が接続されており、排水樋32Aから流れ込んだ水が下枠32の外部に排出される。
【0047】
排水キャップ40には、排水樋32Aに向かって略水平に延出する突起42が固定されている。突起42は、棒状の部材からなり、基端部が排水キャップ40に固定され、先端部が下枠32の底面部321に略平行に、かつ底面部321に形成された溝32B上方に沿って配置されている。突起42の基端部は、図8(B)に示すように、排水口41の排水樋32A側の開口41Aの内側に配置されている。また、突起42の先端部は、図9に示すように、下枠32の底面部321上面よりも所定距離(例えば、2〜3mm)だけ上方で、底面部321の溝32Bに滞留しようとする水の仮想滞留表面Sに接する位置に設けられている。以上のような突起42により、本発明の請求項4、5に記載した導水部材が構成されている。
なお、導水部材は、棒状の部材から形成された突起42に限らず、板材から形成してもよく、また、1本に限らず、複数本配置してもよい。
【0048】
次に、浴室出入口1の下枠32における排水構造について説明する。
浴室側からアタッチメント38を越えて、第1および第2のカバー材39A,39Bの間から下枠32に流れ込んだ水は、第1カバー材39Aを伝って排水樋32Aに流れ落ちる。排水樋32Aに流れ落ちた水は、排水樋12Dに沿って流れ排水口41を介してから下枠12外部に排出される。
【0049】
また、排水樋32A内の大半の水が排水され、水自体の水圧(重力)では排水できない程度まで水の量が少なくなった状態において、表面張力により底面部321の溝32Bに滞留しようとする水は、その仮想滞留表面Sが突起42に接するようになっている。これにより、滞留しようとする水は、その表面張力が壊され、突起42を伝って排水口41に流れ落ちる。この際、排水口41に流れ落ちる水に引っ張られるとともに、溝32Bに案内されて、底面部321上の水が順次突起42まで引き寄せられて、排水口41に流れ落ち排水管から排水される。
【0050】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(6) 排水キャップ40に固定された突起42と、下枠32の底面部321の溝32Bに滞留しようとする水の仮想滞留表面Sとが接しているので、底面部321上の水の表面張力が壊され、突起42を伝って排水口41に流れ落ちて排水される。従って、バリアフリータイプの下枠32において、底面部321に水が滞留しやすい場合であっても、この水を確実に排水することができ、下枠32内部を即座に乾燥させて、清潔性を維持させることができる。
【0051】
(7) この際、下枠32の底面部321に溝32Bを形成したことで、水の表面張力を壊し、溝32Bに沿って突起42の位置まで水を案内して、排水口41から排水することができるので、下枠32の全長に渡って底面部321上の水を効果的に排水することができる。
【0052】
(8) また、突起42の基端部を排水キャップ40に固定することで、下枠32の端部に排水キャップ40を取り付けるだけで、排水樋32Aの内部底面に沿って導水部材を配置することができ、下枠32に複雑な加工を施す必要がなく、導水部材を容易に設けることができる。
【0053】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る排水構造が設けられたサッシについて、図10ないし図12に基づいて説明する。
図10は、本実施形態の排水構造が設けられた浴室出入口1の下枠52部分を拡大して示す縦断面図である。図11は、下枠52に設けられるカバー部材58を下方から見た底面図である。図12は、下枠52の一部を拡大して示す断面図である。
【0054】
本実施形態の浴室出入口1は、前述の第1実施形態と同様に、それぞれアルミ押出形材製の上枠(不図示)、下枠52、および左右の縦枠53を四周枠組みして形成された建具枠と、この建具枠内に開閉自在に設けられた片引き形式、あるいは折れ戸形式の障子(可動障子)55とを備えて構成されている。
【0055】
下枠52は、上方に向かって開口した浅溝状に形成されており、下枠52の上側には、上面がフラットに形成されたカバー部としてのカバー部材58が配置されている。このカバー部材58の上面は、それぞれ浴室床面2Aおよび脱衣室床面3Aと略同一高さ位置に設けられている。これにより、上面が略フラットに形成されたバリアフリータイプの下枠52が構成されるようになっている。また、浴室床2には、浴室出入口1から図示しない排水口(ドレン)に向かって延びる溝部2Cが形成されている。
【0056】
下枠52は、底面部521と、底面部521の浴室側端縁から略垂直に立ち上がる浴室側側面部522と、底面部521の脱衣室側端縁から略垂直に立ち上がる脱衣室側側面部523と、底面部521の脱衣室に偏った位置に脱衣室側側面部523に平行に立設され、障子55の戸車57Aを案内する下レール524とを備えている。そして、下枠52には、底面部521の浴室側端縁から下方に延びて、脱衣室側に折り曲げられた第1支持部525と、脱衣室側側面部523の上端から脱衣室側に延出する第2支持部526とが形成されている。そして、第1支持部525が浴室床2の支持部2Bに取り付けられた支持部材7に載置され、第2支持部526が脱衣室床3にビス止め固定されることで、下枠52が固定されている。また、脱衣室側側面部523の浴室側側面には、止水材としてのウォーターガード523Aが取り付けられており、このウォーターガード523Aが障子55の下框57の脱衣室側側面に当接して、脱衣室側への漏水が防止されている。
【0057】
下枠52の底面部521には、脱衣室側から浴室側に向かって緩やかに下がる傾斜が設けられている。この底面部521の傾斜角度は、例えば、1〜2度の範囲に設定されており、大量の水であれば傾斜に沿って自然に流れ落ちるものの、少量の水の場合には表面張力の作用により流れずに滞留してしまう程度の傾斜角度となっている。
また、浴室側側面部522には、浴室床2の溝部2Cに対応した位置に複数の排水口522Aが穿設されている。この排水口522Aは、下枠52の底面部521に浸入した水を浴室床2側に排水するためのもので、溝部2Cの幅寸法と略同一の見つけ寸法に形成されている。また、図示を省略するが、下レール524の立ち上がり部分についても、適宜な間隔で排水口が設けられており、下レール524と脱衣室側側面部523との間に浸入した水を浴室側に向かって排水できるようになっている。
そして、下枠52の底面部521、浴室側側面部522、および下レール524で形成され、上方に向かって開口した断面略コ字形の溝状部の上方を覆って、カバー部材58が下枠52に取り付けられている。
【0058】
カバー部材58は、踏み込み部用に上面が略フラットに形成されたアルミ形材製で、上面部581と、上面部581の下面に垂下された第1〜第3の垂下片582,583,584とを有している。これら第1〜第3の垂下片582,583,584には、図11に示すように、適宜な間隔で切り欠き(開口)が設けられている。そして、カバー部材58は、その浴室側端縁が下枠52の浴室側側面部522上部に支持され、第3垂下片584が下枠52の下レール524近傍の底面部521に載置されて、下枠52上に配置されている。また、浴室側側面部522および下レール524には、カバー部材58のずれ止め用の突片等が設けられている。
【0059】
カバー部材58の下面には、第1および第2の垂下片582,583に挟まれて、導水部材としてのスポンジ60が取り付けられている。スポンジ60は、図11に示すように、カバー部材58の長手方向略全長に渡って、第1および第2の垂下片582,583間に圧入して挿入されている。また、スポンジ60は、ウレタン等の合成樹脂製の海綿状部材であって、その表面には、凹凸が形成されている。そして、スポンジ60の導水面部としての下面60Aは、図12に示すように、下枠52の底面部521に隙間を介して対向し、底面部521滞留しようとする水の仮想滞留表面Sに接する位置に設けられている。以上のようなスポンジ60により、本発明の請求項6、7に記載した導水部材が構成されている。なお、導水部材(スポンジ60)の材料は、特に限定されず、表面(導水面部)に凹凸形状を有し、水の表面張力を壊すことができるものであればよく、例えば、ゴム製や硬質な合成樹脂製、アルミ等の金属製でもよい。
【0060】
次に、浴室出入口1の下枠52における排水構造について説明する。
浴室側からカバー部材58や下レール524を越えて、下枠52の底面部521上に流れ込んだ水は、底面部521の傾斜に沿って浴室側に流れて、浴室側側面部522の排水口522Aから浴室床2の溝部2Cに排出される。
そして、底面部521上の大半の水が排水され、水自体の水圧(重力)では排水できない程度まで水の量が少なくなった状態において、表面張力により底面部521上に滞留しようとする水は、その仮想滞留表面Sがスポンジ60の下面60Aに接するようになっている。これにより、滞留しようとする水は、その表面張力が壊されることで滞留することができず、底面部521の傾斜に沿って浴室側に流れることになる。これにより、底面部521上の水は、浴室側側面部522の排水口522Aから浴室床2の溝部2Cに排水される。
【0061】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(9) カバー部材58の下面に取り付けられたスポンジ60の下面60Aと、下枠52の底面部521上に滞留しようとする水の仮想滞留表面Sとが接しているので、底面部521上の水の表面張力が壊され、底面部521の傾斜に沿って排水口522Aから排水される。従って、バリアフリータイプの下枠52において、底面部521に水が滞留しやすい場合であっても、この水を確実に排水することができ、下枠52内部を即座に乾燥させて、清潔性を維持させることができる。
【0062】
(10) この際、スポンジ60をカバー部材58の略全長に渡って設け、スポンジ60の下面60Aを底面部521に対向して配置したことで、下枠52の全長に渡って、かつ見込み方向にも広い範囲について、底面部521上の水を効果的に排水することができる。
【0063】
(11) また、スポンジ60をカバー部材58に取り付けるだけで、下枠52の底面部521に対向する導水部材を配置することができ、下枠52に複雑な加工を施す必要がなく、導水部材を容易に設けることができる。さらに、スポンジ60がカバー部材58に圧入により取り付けられているので、容易に取り外すことができ、清掃や交換等のメンテナンスを簡単に実施することができる。
【0064】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、浴室出入口の建具について説明したが、これに限らず、建物の外壁に設けられたサッシ窓に本発明の排水構造を適用してもよい。また、浴室は、ユニット化されたものに限らず、在来工法で形成された浴室であってもよい。さらに、浴室には脱衣室が隣接し、この脱衣室から浴室に出入りするものに限らず、浴室出入口が居室や廊下に向かって開口するものでもよい。
また、浴室出入口の形式について、前記実施形態では折れ戸形式または片引戸形式とたが、二枚引戸形式や三連引戸形式、開き戸形式の出入口でもよい。
【0065】
また、前記第1実施形態では、水平面部が下枠12の上面部126に設けられていたが、水平面部の位置は特に限定されるものではなく、排水樋等の排水部の上方に配置されていればよい。すなわち、水平面部が脱衣室側に形成されていてもよく、また、下枠の上面よりも下方に下がった位置に設けられていてもよい。さらに、レール部は、水平面部に立設するものに限らず、他の位置にレール部を設けてもよく、また、レール付きのカバー部材等を下枠の上部に配置してもよい。このようなレール付きのカバー部材を配置する場合には、このカバー部材の端面と縦枠との間に、前記したシール材20を介挿して、シール材の導水孔を介してカバー部材のレール間に滞留しようとする水を排水するように構成してもよい。
【0066】
また、前記第2実施形態では、排水樋32Aにより排水部が構成されるものとしたが、これに限らず、ピット状の排水穴から排水部を構成してもよい。また、排水口41を排水キャップ40に設けたが、これに限らず、下枠の底面部を上下に貫通して排水口を設けてもよく、また、下枠と縦枠とが直接接合される建具の場合には、排水キャップを省略し、縦枠を見付け方向に貫通する排水口を設けてもよい。
また、導水部材としての突起42は、排水キャップに固定したものに限らず、下枠に固定されていてもよく、また、カバー材等に設けられていてもよい。すなわち、導水部材は、排水口の上方または内側位置から、排水部の上面に沿った位置まで連続して設けられていればよい。
【0067】
また、前記第3実施形態では、カバー部としてのカバー部材58を下枠52と別体に構成したが、これに限らず、下枠と一体にカバー部を構成してもよい。また、導水部材としてのスポンジ60をカバー部と一体に形成してもよい。また、導水部材をカバー部材の略全長に渡って設けたが、適宜な間隔を介して分割してもよい。さらに、下枠52の排水口522Aを浴室側側面部522に設けたが、これに限らず、排水口を下枠の底面部に設け、この排水口に接続された配水管等を介して排水するように構成してもよい。
【0068】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明のサッシ下枠の排水構造、およびこれを備えたサッシによれば、十分な排水勾配が設けられていなくても、下枠に滞留しようとする水を確実に排水することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る排水構造が設けられた浴室出入口を示す縦断面図である。
【図2】前記浴室出入口の要部を拡大して示す脱衣室側から見た斜視図である。
【図3】前記浴室出入口の建具を構成する下枠の断面図である。
【図4】前記下枠および縦枠の接合部分を拡大して示す断面図である。
【図5】(A),(B)は、前記下枠の一部を拡大して示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る排水構造が設けられた浴室出入口の下枠部分を拡大して示す縦断面図である。
【図7】前記下枠の端部を拡大して示す斜視図である。
【図8】(A),(B)は、前記下枠の端部および排水キャップを示す平面図および断面図である。
【図9】前記下枠の一部を拡大して示す断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る排水構造が設けられた浴室出入口の下枠部分を拡大して示す縦断面図である。
【図11】前記下枠に設けられるカバー部材を下方から見た底面図である。
【図12】前記下枠の一部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
12,32,52…下枠、12A…水平面部、12B…下レール、12C…切欠部、12D,32A…排水部である排水樋、12E…下枠の側端面、12F,32B…溝、13,53…縦枠、13B…縦枠の内側面、15,35,55…障子、17A,57A…戸車、20…シール材、40…排水キャップ、41…排水口、42…導水部材である突起、58…カバー部であるカバー部材、60…導水部材であるスポンジ、60A…導水面部であるスポンジの下面、121,321,521…底面部、201…導水孔、201A…導水孔の上端縁、S…仮想滞留表面。

Claims (8)

  1. 少なくとも下枠および縦枠を備えたサッシにおける下枠に滞留しようとする水を排水するサッシ下枠の排水構造であって、
    前記下枠は、少なくとも水平面部と、この水平面部よりも下方に設けられた排水部とを有し、
    前記下枠の長手方向側端面と縦枠の下部内側面との間には、当該下枠および縦枠の接合部分からの漏水を防止するシール材が介挿され、
    前記シール材の一部は、前記下枠の水平面部よりも上方に延長されており、このシール材の延長された部分には、前記水平面部に隣接し、かつ当該水平面部の上下に跨る導水孔が形成され、この導水孔の上端縁は、前記水平面部の上面に表面張力により滞留しようとする水の仮想滞留表面の一部に接する位置に設けられているサッシ下枠の排水構造。
  2. 前記下枠の水平面部には、当該下枠の長手方向略全長に渡って延びる溝が形成されている請求項1に記載のサッシ下枠の排水構造。
  3. 前記下枠の水平面部には、前記下枠に支持された可動障子の戸車を案内するレール部が立設され、
    前記レール部は、前記下枠の長手方向略全長に渡って設けられ、かつ前記シール材の導水孔に隣接する部分が切り欠かれている請求項1または請求項2に記載のサッシ下枠の排水構造。
  4. 少なくとも下枠を備えたサッシにおける下枠内部に滞留しようとする水を排水するサッシ下枠の排水構造であって、
    前記下枠は、当該下枠の上側から下枠内部に浸入した水を受け止める排水部と、この排水部に隣接して設けられ、かつ当該排水部で受け止めた水を下枠外部に排水する排水口とを有し、
    前記排水口の上方または内側には、前記排水部の上面に略平行に、かつ隙間を有して延出する導水部材が設けられ、この導水部材は、前記排水部の上面に表面張力により滞留しようとする水の仮想滞留表面の一部に接して設けられているサッシ下枠の排水構造。
  5. 前記排水部は、前記下枠の長手方向略全長に渡って延びる排水樋から構成され、この排水樋の内部底面には、当該排水樋の延出方向に沿った溝が形成され、前記排水口は、前記下枠の長手方向端部に取り付けられた排水キャップに設けられており、
    前記導水部材は、基端部が前記排水キャップに固定され、かつ先端部が前記排水樋の溝の上方に沿って設けられた突起から構成されている請求項4に記載のサッシ下枠の排水構造。
  6. 少なくとも下枠を備えたサッシにおける下枠内部に滞留しようとする水を排水するサッシ下枠の排水構造であって、
    前記下枠は、上方に向かって開口した断面略コ字形の溝状部と、この溝状部の上方を覆って当該下枠上面を略フラットに形成するカバー部とを有し、
    前記カバー部の下面には、前記溝状部の内部底面に隙間を介して対向する導水面部が設けられ、この導水面部は、前記溝状部の内部底面に表面張力により滞留しようとする水の仮想滞留表面の一部に接して設けられているサッシ下枠の排水構造。
  7. 前記導水面部は、表面に凹凸形状を有した導水部材を前記カバー部の下面に取り付けて構成されている請求項6に記載のサッシ下枠の排水構造。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の排水構造を備えたサッシ。
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