JP2005023598A - 表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法 - Google Patents

表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】膜構造建築物の施工作業を容易に行うことができる、表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法を提供する。
【解決手段】樹脂16と光触媒17,18と発色剤19とを含み、発色した色が紫外線照射により退色しほぼ透明または無色透明に変化する表面処理剤15を織物13に被覆した樹脂14で成る膜表面に塗布し、表面処理剤で被覆した膜が発色している所定時間中に、膜構造建築物の膜施工を行い、発色した色が施工完了後に透明又は半透明に退色するようにする。膜構造建築物の施工作業を安全に行うことができると共に、膜の表面処理剤中に含まれる光触媒のセルフクリーニング効果作用により汚れにくいので、膜の美観や見栄えを損なうことがない。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ドームなどの膜構造物に使用される、表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の表面処理剤で被覆した膜を使用した膜構造建築物としては、ドームやスタジアムなどの屋根部やカーテンなどがある(特許文献1参照)。これらの従来の表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の膜は、防汚や耐久性向上や接合など目的に応じた表面処理剤が製造工程において塗布されていた。
そして、この表面処理剤は、膜材料の彩色や見栄えなどを損なわないように、ほぼ透明または無色透明な表面処理剤を使用し、乾燥や焼結した後においても、ほぼ透明または無色透明としていた(特許文献2参照)。なお本明細書で膜とは、上記各種の膜構造物に用いられる材料を含む概念であり、材料(素材)の表面に表面処理剤で被覆した状態又は被覆する前の状態のものを含む概念として用いている。
このように表面処理剤としてほぼ透明または無色透明な材料を使用しているため、従来の表面処理剤で被覆した膜の表面は、膜構造建築物を施工する屋外において、太陽光に対して高い反射率をもつことから、膜の伸長及び取り付け作業を行う施工作業者は、雪原や夏の山や海岸と同様に、紫外線から身体を守ために肌を露出しないように厚着をしたり、太陽光の反射による眩しさを防ぐためにサングラスを掛けたりしながら膜構造建築物の施工作業を行わなければならない。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−179074公報(第2頁及び図1)
【特許文献2】
特開平09−226064公報(第2頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の膜構造建築物の施工作業を太陽光の照射される日中に行う場合には、膜の太陽による反射光により目が眩しくなるために視認性に欠け、作業員の安全性を損なうため、施工を行う作業員の身体防護のために万全の準備をしなければならず、作業性や施工作業に劣るという課題がある。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、膜構造建築物の施工作業を容易に行うことができる、表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法は、樹脂と光触媒と発色剤とを含み、発色した色が紫外線照射により退色し、ほぼ透明または無色透明に変化する表面処理剤と、表面処理剤を表面に塗布した膜とで成り、紫外線照射により発色した色を退色させる膜を用いた膜構造建築物の施工方法であって、表面処理剤で被覆した膜が発色している所定時間中に、膜構造建築物の膜施工を順次行うことを特徴とする。
上記構成において、好ましくは、膜構造建築物は、膜展張工程と、膜仮止め工程と、膜定着工程と、膜止水仕上げ工程と、を含む工程により施工される。上記膜止水仕上げ工程において、好ましくは、膜同士がフラップ膜を用いた溶着により接合される。好ましくは、樹脂はフッ素樹脂であり、光触媒は酸化チタン(TiO、TiO)からなる。また、膜の表面は平面、または、凹凸面のいずれでもよい。表面処理剤で被覆した基材の表面は、好ましくは、疎水性または親水性となる。
【0007】
上記構成によれば、膜表面に被覆した表面処理剤が、被覆後には膜と異なる色に発色しているので、この発色を太陽光の反射率の低い色に選定しておくことができる。また、膜は太陽光などの紫外線を照射することにより、所定時間経過後に退色させることができるので、退色後は膜の地色又は膜材を装飾している色彩など、基材の表面色を表すことができる。
したがって、膜本来の色になるまでの所定時間の間に、膜構造建築物の施工作業を行えば、膜表面の太陽光への反射率が低いので、作業性よく、かつ、安全に膜構造建築物の施工作業を行うことができる。また同時に、表面処理剤が膜の色と異なる色を呈するので、塗りムラや塗り残しなどが容易に視認できる。
また、施工後の膜に被覆された表面処理剤は、退色してほぼ透明または無色透明になるので、基材の彩色の美観を損なうことなく使用することができる。
さらに、膜構造建築物の膜の表面処理剤に光触媒が含まれている場合には、光触媒光触媒による防汚性に優れ、疎水性または親水性の表面を有する膜を有する膜構造建築部が容易に実現でき、膜構造建築物の美観や見栄えを長期間に亘り継続させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物概略斜視図を示す図である。図において、膜構造建築物1は、鉄骨などによる骨組み2の屋根部3に、表面処理剤で被覆した膜膜4を張って構成される。膜4は、例えば膜4a〜4dの4枚からなっている。そして、膜構造建築物1の側壁となる部分が、膜5,6である。
膜4aと膜4bなどの膜同士の接続部分は、漏水防止のために、膜止水仕上げ工程により互いに接続される。膜止水仕上げ工程は、この接続部分よりも幅の広い帯状のフラップ膜7の溶着方法や、板金やゴム等を用いた方法で施工される。
ここで、膜構造建築物1は、飛行場などの輸送用公共施設、ショッピングセンターや博覧会会場などの商業施設、倉庫や工場、ドームやサッカースタジアムなどのスポーツ用施設、日除け、休憩、通路などの公園施設、道路施設などの膜構造物を含む。
【0009】
次に、膜構造建築物の施工方法に使用する表面処理剤で被覆した膜について、図2〜図4により説明する。図2は、本発明に用いる表面処理剤で被覆した膜を巻回した膜部材の施工前の状態を示す斜視図である。
図示するように膜部材20においては、表面処理剤で表面を被覆した膜10が紙管や鋼管などの芯材21に円柱形状、即ちロール状に巻回されている。この膜部材20は、後述するが、膜10の表面に被覆した表面処理剤が、被覆後には膜の表面色と異なる色に発色しており、太陽光などの紫外線を照射することにより所定時間経過後に退色するので、製造後に直ちに巻回されて好ましくは暗所で保管されている。膜部材20は、膜施工までの所定の期間中保管する必要がある場合には、表面の発色が退色が進まないないように、巻回後に遮光用の樹脂膜などにより包装してもよい。
【0010】
図3は、本発明に用いる表面処理剤で被覆した膜の構造を示す断面図である。図3に示すように、膜10は、この布や繊維補強樹脂などからなる膜材料12の所定個所が、フッ素樹脂などの樹脂を用いた表面処理剤15で被覆されている。図3の場合には、一例として、膜材料12の両面に表面処理剤15を被覆した構造を示しているが、使用目的などに応じて、膜材料12の片面又は表面の所定の領域だけに表面処理剤15を被覆するようにしても勿論構わない。
膜材料12は、プラスティックなどの樹脂、各種材料からなる織物など種々の材料が適用され、その形状も任意でよい。膜材料12としては、ガラス繊維,ポリエステル繊維,ナイロン繊維,綿,麻,などの繊維からなる織物13に、フッ素樹脂やPVC(ポリ塩化ビニル),PU(ポリウレタン),クロロスルフォン化ポリエチレンゴム,クロロプレンゴムなどのゴムなどから選択された樹脂14を被覆した布状,ベルト状などの材料を使用できる。
樹脂14において、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリビニリデンフルオライド(PVDF),テトラフルオロエチレン−へキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂モノマーの重合体を用いることができる。
ここで、膜構造物に用いるシートの場合にも、膜材料2の表面形状は、平坦、平坦でない凹凸面、メッシュ状のいずれでも適用できる。
【0011】
図4は、本発明に用いる表面処理剤15で被覆した膜の製造した後の表面側の構造を示す拡大断面図である。
光触媒17,18は、直径が、例えば1nm〜100nmのアナターゼ型TiO(二酸化チタン)などの光触媒微粒子であり、それぞれ、フッ素樹脂16内にある光触媒微粒子と、フッ素樹脂の表面16aに露出した光触媒微粒子を示している。光触媒効果を高めるためには、表面処理剤15の表面16aに露出した光触媒18の面積を大きくするために、光触媒17,18の粒子径は、適度に小さいことが望ましい。
表面処理剤15は、一例として、PTFE,PVDFなどのフッ素樹脂16を主体として、光触媒17,18と発色剤19とを含む分散剤からなる溶液で構成されている。
表面処理剤15は膜材料12を構成する織物13に塗布された樹脂14の表面に塗布され、乾燥または焼結工程により被覆されたとき、樹脂14の地色とは異なる色に発色するように、発色剤19が選定されている。
【0012】
ここで、光触媒17,18は光半導体とも呼ばれる材料である。光触媒17,18は、アナターゼ型TiO(禁制帯幅3.2eV、波長388nm)のほかには、ルチル型TiO(禁制帯幅3.0eV、波長414nm)、三酸化チタン(TiO)などが使用できる。これらのチタン酸化物を総称して、酸化チタンと呼ぶ。
【0013】
また、表面処理剤を発色させる発色剤19は、塗布しようとする色に応じて決めることができ、アゾ色素、キノン−イミン色素、キサンテン色素、フェニルメタン色素、キサンテン色素、チアゾール色素、シアニン系色素、オキソノール系色素、メロシアニン系色素、スチリル系色素、中性色素、クロロフィルやベータカロチンなどの天然色素などの色素を用いることができる。
これとは別に、発色剤19として、表面処理剤15の主成分となる分散剤に含まれる有機系分散剤や界面活性剤などが、乾燥や焼結により発色することを利用してもよい。この場合には、表面処理剤15の樹脂と光触媒以外の分散剤成分が発色剤19を兼ねることになる。このように、本明細書で発色剤とは、色素と、表面処理剤に含まれる樹脂及び光触媒以外の分散剤などに使用される材料を含む概念として用いている。また、発色による色又は色彩とは、有彩色に限らず白又は黒の無彩色を含む。
【0014】
上記表面処理剤15中に含ませる光触媒の配合量は任意であるが、用途、性能、塗布方法により溶液の粘度を適宜調製すればよい。膜材料12への熱接合性能が要求される場合の光触媒17,18の配合量は、表面処理剤15中の固形濃度成分量として、30〜50重量%とすればよい。
上記表面処理剤15中に含まれる光触媒の配合量により、表面処理剤を被覆した膜材の表面を疎水性または親水性とすることができる。
また、上記フッ素樹脂を含む表面処理剤15に、導電性や光触媒効果の増強効果をさらに付与するためには、金属材料や光触媒機能補助物質を添加すればよい。金属材料としては、Ag,Al,Au,Cu,Fe,In,Ir,Ni,Os,Pd,Pt,Rh,Ru,Zu,Sb,Sn,Zu等が使用できる。
【0015】
次に、本発明の表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法について説明をする。図5は、本発明の表面処理剤で被覆した膜を用いて膜構造建築物を施工する方法を説明するフロー図である。
図1に示す膜構造建築物を例にすると、屋根部3の周囲に設けた足場において、施工作業者は、膜部材20の膜を広げ、所定の場所に展開する、即ち膜展張工程を行う(図5(A)参照)。
【0016】
次に、図5(B)に示すように、図1の屋根部4の骨組み2の所定の個所において、膜部材20の端部を所定の間隔で仮止めする。この膜仮止め工程は、次のように行われる。膜部材20の端部を所定の間隔で治具により挟持し、施工作業者がこの治具を張線器により引っ張ることにより、屋根部4の形状に沿うように膜部材20の端部が延伸される。
膜仮止め工程の別の方法としては、膜部材20の端部にロープによる仮かがりを施して、施工作業者がこのロープを引っ張る方法が適用できる。
【0017】
次に、図5(C)に示すように、膜部材20の膜定着工程を行う。これは、膜部材20の端部を屋根部4の骨組みの所定個所へボルトとナットで所定のトルクとなるようにトルクレンチで締め付け、本締めする施工工程である。この膜定着工程は、ロープを使用する場合には、ロープ端部を屋根部4の骨組みの所定個所に結び付けることで行われる。膜定着工程の終了後に、膜仮止めの治工具を撤去すると、膜構造建築物の屋根部4に膜4a〜4dが張りつけられ固定された状態に施工される。
【0018】
次に、図5(D)に示すように、各膜同士の接続部分において止水仕上げを行う膜止水仕上げ工程を施す(図1の7参照)。この膜止水仕上げ工程において、フラップ膜7を使用する場合には、最初に、屋根部4の骨組みの膜の上に足場を設ける。次に、接着テープにより膜部材20の隣合う端部同士を重ね合わせてその接続部分同士を仮止めしてから、膜3a〜3dの所要個所にフラップ膜を溶着する。ここで、フラップ膜7の溶着は、溶着機を使用して行う。この膜止水仕上げ工程の作業は、屋根部4の上方から下方に向かって行う。
この膜止水仕上げ工程の別の方法は、各膜同士の接続部分を板金を使用して行う方法である。この場合には、フラップ膜の工程と同様に屋根部4の骨組みの膜の上に設けた足場において、下地となる膜と仮合わせの後に電動ドリルを用いてビスを下地の膜に打つことで、膜が板金により固定される。
【0019】
本発明の特徴は、表面処理剤で被覆した膜の表面が所定の色に発色している時間又は期間内に、図5に示した膜構造建築物の膜施工工程を行うことにある。
表面に表面処理剤を塗布しこれを乾燥又は焼結して製造した膜4の表面は、太陽光に晒すこと無く或いは紫外線灯や蛍光灯などの光に長時間あてるようにしなければ、即ち、紫外線を照射しない状態では、発色剤19を添加した表面処理剤15は当該発色剤の色に発色した状態が保たれている。従って、膜を被覆した表面処理剤15の呈する色を、太陽光の反射率が低下する褐色などにしておけば、屋外の施工作業に好適である。
ここで、表面処理剤で被覆した膜4を、日光などの紫外線を含む光に晒すなどにより紫外線を照射すると、紫外線が直接、発色剤19を分解し発色している色彩を徐々に退色させる。さらに、紫外線が表面処理剤に含まれている光触媒17,18に照射されることにより、光触媒の有する酸化及び還元反応により発色剤19を分解し退色させる。この際、光触媒が酸化チタンの場合には、紫外線の波長は、おおよそ、400nm以下であればよい。
これにより、所定の時間の光照射の後には、表面処理剤の色を、透明またはほぼ透明とすることができる。紫外線は、太陽光のほか、蛍光灯から発せられる紫外線などでも有効である。
【0020】
これにより、膜構造建築物の膜施工をする作業者は、退色するまでの所定時間の間に膜施工作業を行えば、膜表面の太陽光からの反射率が低いので、安全に膜構造建築物への施工作業を行うことができる。
また、膜構造建築物の膜の表面は、施工作業の終了後に退色し、膜構造物に使用する膜の色は、膜本来の彩色に戻るので、美観や見栄えを損なうことがない。
さらに、膜構造物の膜の表面は、膜に被覆されている表面処理剤15中に含まれる光触媒のセルフクリーニング効果作用により汚れにくいので、膜構造建築物の美観や見栄えを長期間に亘り継続させることができる。
【0021】
次に、本発明の表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法の実施例について説明する。
最初に、膜構造建築物に使用する膜部材について説明する。
膜4は、ガラス繊維の両面がフッ素樹脂(PTFE)で被膜された膜材料(FGT600:中興化成工業製)を使用した。表面処理剤15は、主成分がフッ素樹脂(FEP)で、光触媒を含む組成の、以下に示す分散剤を使用した。
粒径が1nm〜100nmのアナターゼ型TiO粉末(石原産業製ST01)の水系分散剤(固形分28重量%)を50g、精製水100g、FEPからなる水系分散剤(固形分58重量%)を36.2g、シリコン系界面活性剤を1.7g(全体の1重量%)などからなる材料を用意して、これらの材料を混合、攪拌し、表面処理剤15となる分散剤(FEPと酸化チタン粉末の重量比率は60:40である。)を調製した。この分散剤は、白濁溶液であった。
【0022】
上記膜材料(FGT600:中興化成工業製)の表面にあるフッ素樹脂膜をエチレンアルコールを適量染み込ませたキムタオル(クレシア社製)で拭き、常温で、自然乾燥させた後に、溶液Aをバーコート法により片面全面に塗布した。この塗布膜は、常温で自然乾燥させた後に、60℃で5分間乾燥し、自然冷却させた後で、さらに380℃で10分間加熱焼成してから自然冷却した。
溶液中のFEPの分散媒体を構成する材料の中に含まれている光触媒材料と、表面処理剤15の分散性を保ちつつ、塗工後の乾燥工程または焼結工程の熱により表面処理剤15を発色させた。この発色は褐色であり、膜材料(FGT600:中興化成工業製)の表面のフッ素樹脂の乳白色と容易に目視にて区別できた。
なお、表面処理剤15は、塗布前においては白濁溶液である。したがって、この褐色の発色は、表面処理剤の乾燥工程または焼結工程中に、表面処理剤である分散剤中に含まれている光触媒の水系分散剤やFEP水系分散剤に含まれている有機物などの発色剤により発色しているものと推測される。
【0023】
次に、上記膜部材を用いた膜構造建築物の施工の実施例を説明する。
(実施例1)
巻幅7mで長さ40mの膜部材を用いて、約250mの面積の屋根部を有する膜構造建築物の図5に示した膜施工工程は1日で終了した。この作業期間中において、膜部材の表面は茶色の状態であった。膜表面の発色は、おおよそ一月後に退色した。
【0024】
(実施例2)
膜構造建築物の屋根部の面積が、約2500mの膜施工を行った。鋼管に巻いた膜部材は、1本当たり巻幅22mで長さ40mである。この膜部材3本をクレーンにより吊り上げて膜展張工程を行い、膜仮止め工程と膜定着工程に二日を要した。
次に、3日目から6日目(4日間)にフラップ膜溶着工程を施工し、全工程を六日で施工した。
膜の表面および下地の樹脂は、それぞれ、表面処理剤により形成されるFEPとガラス繊維上に被覆されたPTFEであるので、フラップ膜の溶着工程において、膜同士の熱接合を良好に行うことができた。この施工作業期間中において、膜部材の表面は、茶色から薄茶色に変化したが、膜構造建築物の施工を安全に行うことができた。
【0025】
図6は、実施例1と実施例2における施工開始からの膜部材表面の屋外における色変化を示す表面写真である。図6(A)は製造直後、(B)は2日後、(C)は6日後、(D)は2週間後の表面写真である。
膜部材の製造直後と屋外露出後2週間の発色は、それぞれ、茶色とクリーム色である。膜部材表面の色変化は、7週間後においてほぼ退色し(図示せず)、膜構造物に使用する膜の色は、膜本来の彩色に戻り、美観や見栄えを損なうことがなかった。
実施例2の膜構造建築物においては、施工完了後、6か月経過した状態で目視よる外観検査において汚れは見出されなかった。
このように、膜構造物の膜の表面は、膜の膜に被覆されている表面処理剤15中に含まれる光触媒セルフクリーニング効果作用により、膜構造建築物の美観や見栄えを長期間に亘り継続することができる。
【0026】
図7は実施例2における施工開始からの膜部材表面の反射率と色差(ΔE)の測定結果を示す図である。ここでは、実施例2の膜部材の一部を試料として切り出し、施工開始後から、施工場所において屋外露出させた試料について測定したものである。図の横軸は屋外露出時間であり、左縦軸が反射率(%)であり、右縦軸が色差(ΔE)である。上記の測定は、JIS規格のZ8701とZ8730に基づく方法により行い、自記分光光度計(日立U−3410型)を用いて可視光領域(380nm〜780nm)で測定した。
【0027】
図示するように、反射率は施工開始直後において約26%であり、2週間でほぼ70%となりその後は飽和することが分かる。色差(ΔE)も、反射率と同様に変化していることが分かる。これから、実施例で使用した膜部材においては、1週間程度は発色して反射率が低下していることが分かる。
【0028】
本発明による表面処理剤で被覆した膜を用いて膜構造建築物を施工する方法は以上のように構成されており、表面処理剤で被覆した膜の表面が、施工期間中は膜本来の色とは異なる色、例えば、太陽光に対して反射率の低い褐色とすることができる。
したがって、施工作業を安全に行うことができると共に、施工後に膜表面の発色が退色することにより膜本来の彩色に戻り美観や見栄えを損なうことがない。
さらに、膜の表面処理剤中に含まれる光触媒のセルフクリーニング効果作用により汚れにくいので、完成した膜構造建築物の美観や見栄えを長期間に亘り継続させることができる。
【0029】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。例えば、上記実施の形態で説明した膜の表面処理剤は膜構造建築物の目的に応じてその発色の色と、膜構造建築物の膜面積とその施工期間に応じて発色から退色までの期間の設定などは適宜に調整できることは勿論である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、表面処理剤で被覆した膜の表面が施工期間中は所定の色に発色しているので、膜構造建築物の膜構造の施工作業を安全に行うことができると共に、施工後に膜表面が退色することにより膜本来の彩色に戻り美観や見栄えを損なうことがない。
さらに、膜の表面処理剤中に含まれる光触媒のセルフクリーニング効果作用により汚れにくいので、膜構造建築物の美観や見栄えを長期間に亘り継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の概略斜視図を示す図である。
【図2】本発明に用いる表面処理剤で被覆した膜を巻回した膜部材の施工前の状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に用いる表面処理剤で被覆した膜の構造を示す断面図である。
【図4】本発明に用いる表面処理剤で被覆した膜の表面側の構造を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法を説明するフロー図である。
【図6】実施例1と実施例2における施工開始からの膜部材表面の屋外における色変化を示す表面写真である。
【図7】実施例2における施工開始からの膜部材表面の反射率と色差(ΔE)の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 膜構造建築物
2 骨組み
3 屋根部
4 表面処理剤で被覆した膜
5,6 側壁
7 フラップ膜
10 フッ素樹脂を含む表面処理剤で被覆した膜
12 膜
13 織物
14 樹脂
15 表面処理剤
15A 製造した直後の表面処理剤
16 フッ素樹脂
17 フッ素樹脂内の光触媒
18 フッ素樹脂の表面に露出した光触媒
19 色素
20 膜部材
21 芯材

Claims (8)

  1. 樹脂と光触媒と発色剤とを含み、発色した色が紫外線照射により退色し、ほぼ透明または無色透明に変化する表面処理剤と、
    上記表面処理剤を表面に塗布した膜とで成り、
    紫外線照射により上記膜表面に塗布した上記表面処理剤の発色による色を退色させることで膜構造建築物を施工するに際し、
    上記表面処理剤で被覆した膜が発色している所定時間中に、上記膜構造建築物の膜施工を行うことを特徴とする、表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法。
  2. 前記膜構造建築物は、膜展張工程と、膜仮止め工程と、膜定着工程と、膜止水仕上げ工程と、を含む工程により施工されることを特徴とする、請求項1に記載の表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法。
  3. 前記膜止水仕上げ工程において、前記膜同士をフラップ膜を用いた溶着により接合することを特徴とする、請求項2に記載の表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法。
  4. 前記樹脂はフッ素樹脂であり、前記光触媒は酸化チタン(TiO、TiO)からなることを特徴とする、請求項1に記載の表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法。
  5. 前記膜の表面は平面であることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法。
  6. 前記膜の表面は凹凸面であることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法。
  7. 前記膜の表面は、表面処理剤の被覆後に疎水性となることを特徴とする、請求項1〜6の何れかに記載の表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法。
  8. 前記膜の表面は、表面処理剤の被覆後に親水性となることを特徴とする、請求項1〜6の何れかに記載の表面処理剤で被覆した膜を用いた膜構造建築物の施工方法。
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