JP2005023398A5 - - Google Patents

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Description

【書類名】 明細書
【発明の名称】 メッキ方法およびメッキ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を置いて多数の収納凹部が形成された樹脂からなるキャリアテープの前記収納凹部内に被メッキ物を入れ、かつ、前記被メッキ物が前記収納凹部内から脱落しないようにして前記キャリアテープをメッキ液内を通過させ、前記被メッキ物の表面に金属メッキ層を形成することを特徴とするメッキ方法。
【請求項2】
更に、前記メッキ液内を通過させる上流側および下流側に洗浄装置を配置し、各洗浄装置を通過させることによって、前記被メッキ物を洗浄することを特徴とする請求項1に記載のメッキ方法。
【請求項3】
樹脂からなるキャリアテープに形成された収納凹部内に被メッキ物を入れ、前記被メッキ物が前記収納凹部内から脱落しないようにして前記キャリアテープをメッキ液内を通過させることによって、前記被メッキ物の表面に金属メッキ層を形成させるメッキ装置において、
被メッキ物を入れることのできる多数の収納凹部が形成された樹脂からなるキャリアテープと、
前記キャリアテープがメッキ液内を通過するとき、前記収容凹部にメッキ液が出入りできる前記キャリアテープの前記収容凹部に設けられた開口と、
前記収納凹部内に被メッキ物を入れたとき、前記被メッキ物が脱落しないように前記キャリアテープの前記収納凹部に設けた脱落防止片と
を具備することを特徴とするメッキ装置。
【請求項4】
更に、前記キャリアテープの各収納凹部には、メッキ液が出入りでき、かつ、前記陰極部材が侵入できる開口が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のメッキ装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、メッキ方法およびメッキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばコネクタ端子等の電気部品や、自動車用の小物部品をメッキする場合の汎用技術としては、一般に、これらの部品を篭に入れ、メッキ液中に浸けてメッキするとか、フック等に吊るしてメッキを行っていた。
【0003】
また、特許文献1のように、被メッキ材を陰極として陽極に対向させて配置したセル内にメッキ液を通液し、直流電流を通電して該被メッキ材の表面に所定の膜厚分布を有する金属メッキ層を形成する電気メッキを行う場合に、前記被メッキ材の表面近傍の前記メッキ液に流速分布を設定し、被メッキ材の表面に所望の膜厚分布を有する金属メッキ層を形成するメッキ方法およびメッキ装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−220690号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の汎用されているメッキ方法およびメッキ装置においては、小物部品をメッキする場合、メッキ処理中にこれらの部品が互いに当接し、メッキ処理中の部品が変形するという問題点があった。
また、特に小さい部品においては、板材等を先にメッキしてから、プレスで所定形状に打ち抜いており、このようなメッキ処理後にプレスで打ち抜く成型では、大部分を廃棄してしまうこととなり、無駄が多く、また、剪断面はメッキ処理されていないこととなり、メッキが不十分であるという問題点があった。
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、電気部品や自動車部品等の小物部品を、変形させることなく、効率的にメッキすることのできるメッキ方法およびメッキ装置の提供を課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のメッキ方法は、間隔を置いて多数の収納凹部が形成された樹脂からなるキャリアテープの前記収納凹部内の各々に被メッキ物を入れ、かつ、前記被メッキ物が脱落しないようにして前記キャリアテープをメッキ液内を通過させ、前記被メッキ物の表面に金属メッキ層を形成するものである。
【0006】
請求項2の発明のメッキ方法は、更に、前記メッキ液内を通過させる上流側および下流側に洗浄装置を配置し、各洗浄装置を通過させることによって、前記被メッキ物を洗浄するものである。
【0007】
請求項3の発明のメッキ装置は、樹脂からなるキャリアテープに形成された収納凹部内の各々に被メッキ物を入れ、かつ、前記被メッキ物が脱落しないようにして前記キャリアテープをメッキ液内を通過させることによって、前記被メッキ物の表面に金属メッキ層を形成させるメッキ装置において、被メッキ物を入れることのできる多数の収納凹部が形成された耐薬品性の樹脂からなるキャリアテープと、前記キャリアテープがメッキ液内を通過するとき、前記収容凹部にメッキ液が出入りできる前記キャリアテープの前記収容凹部に設けられた開口と、前記収納凹部内に被メッキ物を入れたとき、前記被メッキ物が脱落しないように前記キャリアテープの前記収納凹部に設けた脱落防止片とを具備するものである。
【0008】
請求項4の発明のメッキ装置は、更に、前記キャリアテープの各収納凹部には、メッキ液が出入りでき、かつ、前記陰極部材が侵入できる開口が形成されているものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施例のキャリアテープを送りながら連続的にメッキ処理するメッキ方法の概略配置構成図である。また、図2は本発明の実施例のメツキ装置のキャリアテープを表側から見た要部斜視構成図、図3は同じくキャリアテープを裏返して見た要部斜視構成図である。そして、図4は本発明の実施例のメツキ装置のキャリアテープをセル内に設けた陰極部材上に載せて送る状態を示す斜視構成図であり、図5は図4の状態の概略拡大構成図、図6は本発明の実施例のメツキ装置のセルの上方に陰極部材を設けてキャリアテープを裏表逆転させて送る構成のセル内部の一部破断斜視構成図である。図7は同じく図6の要部を拡大して示す概略説明図である。
図1のメッキ方法の概略配置構成図において、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ液を入れた洗浄装置1と、メッキ液を入れたメッキ槽2と、水等を入れた洗浄装置3と、乾燥装置4が、上流側から下流側に向かってそれぞれ配設されており、それぞれの洗浄装置1、メッキ槽2、洗浄装置3、乾燥装置4内には、キャリアテープ5を通過させることができるように、キャリアテープ5の送り機構を構成する送りスプロケット6が配置されており、この各送りスプロケット6が回転することにより、キャリアテープ5が上流側から下流側に向かって順次送り出され、キャリアテープ5は、メッキ,乾燥処理された後に、巻き取りリール7に巻き取られるように全体が構成されている。
【0010】
まず、上記キャリアテープ5について詳述する。
このキャリアテープ5には、所定間隔で多数の収納凹部51が形成されており、各収納凹部51内には、小物の電気部品や自動車部品等の被メッキ物Wが、それぞれ洗浄装置1の上流側で入れ込まれるものである。
このように、各収納凹部51内にそれぞれ被メッキ物を入れて、キャリアテープ5を送りスプロケット6の回転により送り出し、その過程で、洗浄装置1内を通過させることにより、収納凹部51内に収納されている被メッキ物Wを、水酸化ナトリウム水溶液等により脱脂洗浄することができる。次いでメッキ槽2内に送り込んで、メッキ槽2内で被メッキ物Wの表面に金属メッキ層を形成させることができる。
その後に、洗浄装置3内を通過させてメッキ液を洗浄し、その後に、乾燥装置4内を通過させて、被メッキ物Wを良好に乾燥させ、連続的に被メッキ物Wをメッキ処理してゆくことができる。最終的には、メッキ処理した被メッキ物Wをそれぞれ収納凹部51内に収納したまま、巻き取りリール7にキャリアテープ5を巻き取ることができる。
この巻き取りリール7に巻き取られたキャリアテープ5は、そのまま工場に運ばれて、電気製品、または自動車製品を製造するラインに配置された充填装置に装着されて、巻き取りリール7から順次キャリアテープ5を送り出して、メッキ処理されている被メッキ物Wを、次々と取り出して、電気製品等に組み付けてゆくことができるものである。
【0011】
従って、キャリアテープ5に入れたまま被メッキ物Wをメッキ処理することができ、メッキ処理中に被メッキ物Wに変形や傷が生ずることがなく、極めて効率良く小物部品をメッキすることができる。
しかも、その後には、メッキ処理した被メッキ物Wをキャリアテープ5内に入れたまま、連続して充填装置へ移動させ、そこで取り出すことができる。
【0012】
キャリアテープ5の一例を示す図2の表側の要部斜視図において、キャリアテープ5は、共押し出し成型による2層または多層構造を成す耐熱性耐薬品性に優れた樹脂で構成されており、各収納凹部51は、被メッキ物Wの形状に対応した凹み状に形成され、収納凹部51内に被メッキ物Wを入れた時に、この被メッキ物Wが脱落しないように、収納凹部51の上面に、脱落防止片52が中央部を下傾させて、対向状に一対設けられている。
この脱落防止片52の位置では、収納凹部51の底面および側面は切り欠かれて、貫通した切欠開口53が形成されており、各収納凹部51の切欠開口53は、キャリアテープ5の長手方向に連続している。
【0013】
また、各収納凹部51の少なくとも底面および側面には、スリット状のスリット孔54が貫通形成されており、洗浄液やメッキ液の液切れが良くなるように形成されている。
また、洗浄液メッキ液は、切欠開口53およびスリット孔54を通って、良好に収納凹部51内に流れ込むことができ、洗浄液メッキ液等の収納凹部51内への出入りが容易となるように形成されている。
【0014】
各収納凹部51内に被メッキ物Wを収容するには、上方より被メッキ物Wを収納凹部51内に押し込むと、脱落防止片52は弾性により一旦下側へ押圧されて、再び被メッキ物Wの上面側に復帰し、良好に被メッキ物Wの上面を押さえ付けて、被メッキ物Wの収納凹部51からの脱落を防ぐことができる。
なお、キャリアテープ5の幅方向の両端側には、長手方向に間隔をおいて、送り孔55が貫通形成されており、この送り孔55内に前記送りスプロケット6が噛合されて、送りスプロケット6の回転により、順次キャリアテープ5が上流側から下流側へ向かって送り出される。
【0015】
次に、上記メッキ槽2について説明する。
図4は、メッキ槽2の概略構成図を示しており、メッキ槽2は、メッキ液を入れたセル8を備え、このセル8内には、陰極部材9が設けられている。
この陰極部材9は、キャリアテープ5の流れ方向に沿って、セル8内に上流側から下流側に向かって設けられており、外部の電源装置の陰極に接続されている。
また、セル8内の側方には、電源装置の陽極に接続された、例えば銅板10が配置されている。
【0016】
即ち、銅板10が配置されている場合は、被メッキ物Wを銅メッキするためのものであり、セル8内には、硫酸銅水溶液からなるメッキ液11が入れられている。
このメッキ液11内を前記キャリアテープ5が順次送られる際に、キャリアテープ5の切欠開口53内に、陰極部材9が嵌まり込んで、陰極部材9上にキャリアテープ5が載った状態で、陰極部材9に沿ってキャリアテープ5が上流側から下流側へ向かって送り出されるものである。
【0017】
なお、図5は、メッキ液内での状態を拡大して示す概略構成図であり、キャリアテープ5の各収納凹部51内に収納されている被メッキ物Wは、その上面が脱落防止片52に押し付けられており、陰極部材9が切欠開口53内に入り込んで、この陰極部材9が各収納凹部51内に収納されている被メッキ物Wの底面に当接した状態となり、この時に、陰極部材9を通り被メッキ物Wに電子が供給されて、被メッキ物Wは陰極として作用するこのように、キャリアテープ5の各収納凹部51には、メッキ液11が出入りでき、しかも陰極部材9が侵入できる開口が形成されているものである。
本実施例のメツキ方法およびメッキ装置は、間隔を置いて多数の収納凹部51が形成されて成るキャリアテープ5の各収納凹部51内に被メッキ物Wを入れ、キャリアテープ5を送りながらメッキ液11内を通過させて、被メッキ物Wの表面に金属メッキ層を形成させるものである。
【0018】
本実施例のメッキ装置は、被メッキ物Wを入れることのできる多数の収納凹部51が形成されて成るキャリアテープ5を送る送りスプロケット6からなる送り機構と、キャリアテープ5が内部のメッキ液11内を通過できるように構成したセル8を備え、セル8には、被メッキ物Wに通電するための陰極部材9が設けられているものである。
従って、陽極側の銅板10が溶け出して、順次各被メッキ物Wの表面に銅メッキ層が形成されてゆくのである。
例えば、セル8内でキャリアテープ5をゆっくりと送り、例えばメッキ液11内に10分程度浸けておけば、良好にセル8内で各被メッキ物Wに銅メッキを施すことができるものとなる。
なお、メッキ槽2内でニッケルメッキを行う際には、メッキ液11は硫酸ニッケル水溶液であり、銅板の代わりにニッケル板が用いられるものである。その他、銀メッキ金メッキ亜鉛メッキクロムメッキ等も同様な方法で行うことができるものである。
【0019】
なお、図6は変更例を示すものであり、セル8内のメッキ液11中に、キャリアテープ5を裏返した状態(図3の状態)で送る構成のものであり、図7は、要部を拡大した概略図を示している。
この場合は、各被メッキ物Wの下面は、それぞれ一対の脱落防止片52に支持され、被メッキ物Wの脱落が防がれた状態となり、被メッキ物Wの上面側に切欠開口53が配置されるため、この切欠開口53内に入り込むことのできる多数のブラシ9aを垂設させた陰極部材9を、セル8の上部に設けておけば、この陰極部材9から各ブラシ9aを通し、マイナス電流が各被メッキ物Wに伝えられることとなり、各被メッキ物Wは陰極となり、良好に表面にメッキが成されるものである。
【0020】
このような構成では、陰極部材9はメッキ液11の外側に配設することができるものである。
本例においても、セル8内のメッキ液11中を順次上流側から下流側へキャリアテープ5が送られる過程において、各収納凹部51内に収納されている各被メッキ物Wの表面に良好にメッキ層を形成させて、メッキ処理することができるものである。
【0021】
【発明の効果】
本発明のメッキ方法は、間隔を置いて多数の収納凹部が形成されて成るキャリアテープの各収納凹部内に被メッキ物を入れ、キャリアテープを送りながらメッキ液内を通過させて、被メッキ物の表面に金属メッキ層を形成させることとしたため、小物の電気部品や自動車部品等を傷付けたり変形させたりすることなく、効率良くキャリアテープに入れたままメッキ処理することができ、メッキ処理をキャリアテープを送りながら連続的に効率良く行うことができ、しかも、その後にキャリアテープをそのまま工場内等の充填装置で使用でき、効率良くメッキ処理した被メッキ物を取り出して作業を連続で行えるものとなる。
【0022】
請求項2の発明のメッキ方法は、上流側および下流側に洗浄装置をそれぞれ配設し、各洗浄装置内を通過させて、被メッキ物を洗浄することとしたため、請求項1の効果に加えて、メッキ処理の前工程の洗浄および後工程の洗浄も、キャリアテープに被メッキ物を入れたまま連続して行えるものとなる。
【0023】
請求項3の発明のメッキ装置は、樹脂からなるキャリアテープに形成された収納凹部内の各々に被メッキ物を入れ、かつ、前記被メッキ物が脱落しないようにして前記キャリアテープをメッキ液内を通過させることによって、前記被メッキ物の表面に金属メッキ層を形成させるメッキ装置において、被メッキ物を入れることのできる多数の収納凹部が形成された耐薬品性の樹脂からなるキャリアテープと、前記キャリアテープがメッキ液内を通過するとき、前記収容凹部にメッキ液が出入りできる前記キャリアテープの前記収容凹部に設けられた開口と、前記収納凹部内に被メッキ物を入れたとき、前記被メッキ物が脱落しないように前記キャリアテープの前記収納凹部に設けた脱落防止片とを具備し、収納凹部内に被メッキ物を入れて、キャリアテープをメッキ液中を通過させて、被メッキ物の表面に金属メッキ層を形成させることができる。
【0024】
請求項4の発明のメッキ装置は、キャリアテープの各収納凹部にメッキ液が出入りでき、しかも陰極部材が侵入できる開口が形成されていることにより、請求項3の効果に加えて、収納凹部内に収納されている被メッキ物に陰極部材が接触して、良好に被メッキ物が陰極に帯電され、しかも、開口を通しメッキ液が良好に出入りできるため、収納凹部内の被メッキ物を良好にメッキ処理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施例のキャリアテープを送りながら連続的にメッキ処理するメッキ方法の概略配置構成図である。
【図2】 図2は本発明の実施例のメツキ装置のキャリアテープを表側から見た要部斜視構成図である。
【図3】 図3は本発明の実施例のメツキ装置のキャリアテープを裏返して見た要部斜視構成図である。
【図4】 図4は本発明の実施例のメツキ装置のキャリアテープをセル内に設けた陰極部材上に載せて送る状態を示す斜視構成図である。
【図5】 図5は本発明の実施例の図4の状態の概略拡大構成図である。
【図6】 図6は本発明の実施例のメツキ装置のセルの上方に陰極部材を設けてキャリアテープを裏表逆転させて送る構成のセル内部の一部破断斜視構成図である。
【図7】 図7は本発明の実施例の図6の要部を拡大して示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 洗浄装置
メッキ槽
3 洗浄装置
4 乾燥装置
5 キャリアテープ
6 送りスプロケット(送り機構)
7 巻き取りリール
8 セル
9 陰極部材
9a ブラシ
10 銅板
11 メッキ液
51 収納凹部
52 脱落防止片
53 切欠開口(開口)
54 スリット孔(開口)
55 送り孔
W 被メッキ物
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