JP2005023330A - 液晶配向膜及び液晶表示装置、それらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 一定の膜厚を有し、光の透過性に優れ、色度に相違を生じず、しかも配向規制力に優れた高品質な有機薄膜とその製造方法、液晶配向膜とそれを用いた液晶表示装置、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 有機薄膜であって、基板の表面に形成された薄膜であって、薄膜を構成する分子の一部が、基板表面に化学吸着し、前記基板表面に化学吸着している分子に、基板表面に吸着していない分子が結合してなるものである。
【選択図】 図3
【解決手段】 有機薄膜であって、基板の表面に形成された薄膜であって、薄膜を構成する分子の一部が、基板表面に化学吸着し、前記基板表面に化学吸着している分子に、基板表面に吸着していない分子が結合してなるものである。
【選択図】 図3
Description
本発明は、有機薄膜とその製造方法、ならびに液晶配向膜及びそれを用いた液晶表示装置とその製造方法に関する。
材料表面に目的とする機能性分子を薄膜として分子の構造や配向を整えて修飾し、機能性材料としての活用が試みられている。とくに、有機薄膜は、有機分子の光反応性を利用して、液晶配向膜として使用されている。液晶分子の配向性は、有機薄膜の表面状態の影響を受ける。このため、均一な表面状態を得るため、単分子膜あるいは単分子累積膜が使用されている。
基板表面に化学吸着物質を化学吸着させた均一な単分子膜を作るためには、基板表面に存在する反応基と化学吸着物質分子との反応が十分に行われることが必要である。このため、接触させる化学吸着物質を溶解した吸着溶液の濃度を大きくして、基板表面に存在する反応基に対して化学吸着物質分子の数が大過剰となるようにして、基板表面に接触させている。光官能基を有する化合物を用いて作られる有機薄膜および液晶配向膜は、このように被膜を形成した後、基板表面に存在し、基板表面に吸着していない化学吸着物質を洗浄剤で洗浄・除去した後に、基板表面に紫外光を照射して得られる。
しかし、このように露光前に洗浄する方法では、露光後に膜に付着した無機物や有機物が除去されない。また、露光により重合しなかった基板に未吸着で配向に寄与しない化学吸着物質を取り除くことができず、配向に悪影響を与える。
一方、基板表面に存在する反応基に対して化学吸着物質分子の数が大過剰となるようにして薄膜を形成した後、露光して洗浄を行うと、基板表面に吸着していない分子間でも架橋結合するため、均一な表面状態を有する膜ができず、光の透過性や色度に相違を生ずる恐れがある。
また、基板表面に吸着していない分子が基板表面近傍に多く存在するため、基板表面に化学吸着している分子間では露光量が不足するため、十分に架橋結合できず、薄膜の配向規制力が低下する恐れがある。
また、基板表面に吸着していない分子が基板表面近傍に多く存在するため、基板表面に化学吸着している分子間では露光量が不足するため、十分に架橋結合できず、薄膜の配向規制力が低下する恐れがある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、一定の膜厚を有し、光の透過性に優れ、色度に相違を生じず、しかも配向規制力に優れた高品質な有機薄膜とその製造方法、液晶配向膜とそれを用いた液晶表示装置、およびその製造方法を提供することにある。
本願発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、以下の発明を見出し、本発明を完成した。
請求項1に記載の発明は、有機薄膜であって、基板の表面に形成された薄膜であって、
薄膜を構成する分子の一部が、基板表面に化学吸着し、
前記基板表面に化学吸着している分子に、基板表面に直接吸着していない分子が結合してなるものである。
薄膜を構成する分子の一部が、基板表面に化学吸着し、
前記基板表面に化学吸着している分子に、基板表面に直接吸着していない分子が結合してなるものである。
この有機薄膜は、基板表面に化学吸着している分子がさらに他の分子との結合基を有しており、この結合基を介して基板表面に未吸着の他の分子と結合しているものである。すなわち、本発明の有機薄膜は、単分子膜ではない。しかし、本発明の有機薄膜は、膜を構成する分子の数が単位体積あたりで多いので、膜密度が大きくなり、均一な表面状態を有する有機薄膜を得ることができる。また、すべての分子が化学結合しているので、機械的強度や耐久性に優れる有機薄膜を得ることができる。
なお、化学吸着物質分子における未吸着分子との結合基の位置は、特に制限されない。具体的には、基板との結合基と同一の部位にあっても、その他の部位にあってもよい。上記結合基が、基板表面に化学吸着している分子の最表面にある場合を除けば、基板表面に化学吸着している分子同士は、他の分子が入り込めるだけの隙間をもって化学吸着している必要がある。他の分子が、基板表面に化学吸着している分子と結合できないからである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の有機薄膜であって、前記薄膜が、前記未吸着の分子に、さらに複数の未吸着分子が結合して構成されるものである。
本発明の有機薄膜は前記未吸着の分子にさらに複数の未吸着分子が結合しているので、結合している未吸着分子の数を制御することにより、膜厚の制御を容易にすることができる。また、これらの未吸着分子は、化学結合しているので、機械的強度や耐久性に優れる有機薄膜を得ることができる。
請求項3に記載の有機薄膜は、請求項1または2に記載の有機薄膜であって、前記基板表面に化学吸着している分子が、基板表面に存在する反応基の最大数よりも少ない数で、化学吸着しているものである。
上記のように、基板表面に化学吸着している分子間に、他の分子が入り込めるだけの隙間があれば、化学吸着している分子に他の分子が結合できる。しかし、基板表面上に存在する反応基の数が多い場合、化学吸着物質分子がすべての反応基と吸着すると、基板表面に化学吸着している分子間に他の分子が入り込めるだけの隙間がない場合を生じ、他の分子と結合できない。この場合に、前記基板表面に化学吸着している分子が、基板表面に存在する反応基の最大数よりも少ない数で、化学吸着していれば、他の分子が入り込めるだけの隙間を生ずるので、他の分子と結合でき、本発明の有機薄膜が得られる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の有機薄膜であって、前記薄膜を構成する各分子が感光性基を有しており、隣接する感光性基間で、前記感光性基同士が相互に架橋結合することにより、前記有機薄膜は架橋構造をなしているものである。
この構成によると、前記薄膜を構成する各分子が感光性基を有しているので、光照射することによりこの感光性基同士が相互に架橋結合する。すなわち、得られる有機薄膜は、基板表面に化学吸着している分子同士だけでなく、基板表面に化学吸着している分子と基板表面に吸着していない分子間、および基板表面に吸着していない分子同士で架橋結合しているものである。この結果、安定した架橋構造が得られ、配向規制力に優れた有機薄膜を得ることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の発明であって、前記薄膜は、複数分子が結合して単層を形成する非単分子膜であり、その膜厚が、0.5nm以上、25nm未満であるものである。
本発明の有機薄膜は、複数分子が結合して単層を形成する非単分子膜である。単分子膜ではないが、単層中に複数分子が含まれているので、単位体積あたりに存在する分子数が多くなるため、配向規制力に優れた有機薄膜が得られる。また、その膜厚が、0.5nm以上、25nm未満であるので、透明性に優れた有機薄膜が得られる。
請求項6に記載の発明は、有機薄膜の製造方法であって、感光性基を有する化学吸着物質を溶解した吸着溶液であって、吸着溶液を基板に接触させる操作により化学吸着物質を基板表面に化学吸着させることのできる最大分子数の2倍以上の分子数を有するものを、乾燥雰囲気下で、基板表面に接触させ、吸着溶液中の化学吸着物質分子を基板面に化学吸着させた後に、前記基板を湿潤雰囲気下に置くことで、吸着した前記化学吸着物質分子に基板表面に吸着していない未吸着分子を結合させ、該未吸着分子に更に他の未吸着分子を順次結合させて薄膜を形成する薄膜形成工程と、
前記薄膜に光を照射し、吸着分子に異方性を付与するとともに、前記感光性基が光反応して薄膜構成分子同士を特定方向に架橋結合させる架橋結合工程とを、
備えることを特徴とする。
前記薄膜に光を照射し、吸着分子に異方性を付与するとともに、前記感光性基が光反応して薄膜構成分子同士を特定方向に架橋結合させる架橋結合工程とを、
備えることを特徴とする。
従来、化学吸着法により、単分子膜を作る場合には、基板表面に存在する反応基と化学吸着物質分子との接触回数を増加させるため、反応基に対する化学吸着物質分子が大過剰(例えば、化学吸着物質を基板表面に化学吸着させることのできる最大分子数の20倍以上の分子数)となるように、高濃度の吸着溶液を使用してきた。このため、基板上に付着した吸着溶液中に未吸着分子の数が多く、この状態で、湿潤雰囲気下におくと、吸着分子と未吸着分子との反応が急激に進み、膜厚が厚く、所によっては凹凸の大きな膜が形成されるため、透明で均一な表面状態の単分子膜が得られない。
一方、本発明の方法によれば、感光性基を有する化学吸着物質を溶解した吸着溶液の濃度は、通常単分子膜を作る場合に比べて低濃度(例えば、化学吸着物質を基板表面に化学吸着させることのできる最大分子数の2倍以上の分子数)で接触させる。基板上に付着した吸着溶液中に存在する未吸着分子の数は少ない。この状態で、前記基板を湿潤雰囲気下に置くと、もともと吸着溶液の濃度が薄いために分子間の反応が急激に進んだとしても、膜厚が薄く、膜の凹凸も小さくなり、複数分子が結合して単層を形成する透明で均一な表面状態の非単分子膜を製造できる。
一方、本発明の方法によれば、感光性基を有する化学吸着物質を溶解した吸着溶液の濃度は、通常単分子膜を作る場合に比べて低濃度(例えば、化学吸着物質を基板表面に化学吸着させることのできる最大分子数の2倍以上の分子数)で接触させる。基板上に付着した吸着溶液中に存在する未吸着分子の数は少ない。この状態で、前記基板を湿潤雰囲気下に置くと、もともと吸着溶液の濃度が薄いために分子間の反応が急激に進んだとしても、膜厚が薄く、膜の凹凸も小さくなり、複数分子が結合して単層を形成する透明で均一な表面状態の非単分子膜を製造できる。
ここで、化学吸着物質を基板表面に化学吸着させることのできる最大分子数の2倍以上の分子数からなる化学吸着物質を基板表面に付与することのできるものとしたのは、以下の理由による。
すなわち、化学吸着物質を基板表面に化学吸着させることのできる最大分子数の2倍以上の分子数になるように基板表面に付与できれば、基板表面に単分子膜ではないがある程度の密度で分子が化学吸着することができる。また、基板表面に存在する未吸着分子は、前記化学吸着分子と結合できる程度存在する。この結果、化学吸着した化学吸着物質分子と未吸着の分子とが結合して均一な表面形状の薄膜を形成できる。一方、これより化学吸着物質の分子数が少ないと、基板表面に存在する反応基と化学吸着物質分子との接触回数が不十分となり、低密度の化学吸着物質分子しか基板に吸着されない。また、基板表面に存在する未吸着分子も、十分に存在していない。この結果、化学吸着した化学吸着物質分子と未吸着の分子とが結合して均一な表面形状の薄膜を形成できない。
すなわち、化学吸着物質を基板表面に化学吸着させることのできる最大分子数の2倍以上の分子数になるように基板表面に付与できれば、基板表面に単分子膜ではないがある程度の密度で分子が化学吸着することができる。また、基板表面に存在する未吸着分子は、前記化学吸着分子と結合できる程度存在する。この結果、化学吸着した化学吸着物質分子と未吸着の分子とが結合して均一な表面形状の薄膜を形成できる。一方、これより化学吸着物質の分子数が少ないと、基板表面に存在する反応基と化学吸着物質分子との接触回数が不十分となり、低密度の化学吸着物質分子しか基板に吸着されない。また、基板表面に存在する未吸着分子も、十分に存在していない。この結果、化学吸着した化学吸着物質分子と未吸着の分子とが結合して均一な表面形状の薄膜を形成できない。
化学吸着物質を基板表面に化学吸着させることのできる最大分子数の上限としては、該最大分子数の10倍程度であればよい。分子数がこの程度までの化学吸着物質を基板表面に化学吸着させると、透明で均一な表面状態の非単分子膜が得られる。
なお、前記化学吸着物質を基板表面に化学吸着させることのできる最大分子数は、個別具体的に、使用する基板に使用する化学吸着物質を実際に吸着させて、最大吸着分子数を求めればよい。例えば、基板表面上に単分子膜を作り、その赤外吸収スペクトルを解析するなどの公知の方法により、基板表面に化学吸着させることのできる最大分子数が決定できる。
前記薄膜形成工程で形成された薄膜に光を照射することにより、吸着分子に異方性を付与されるとともに、前記感光性基が光反応して薄膜構成分子同士が特定方向に架橋結合され、立体的に安定した有機薄膜が得られる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の有機薄膜の製造方法であって、前記感光性基を有する化学吸着物質を溶解した吸着溶液の濃度が、0.5重量%以下であるものである。
上記のように、本発明の方法によれば、感光性基を有する化学吸着物質を溶解した吸着溶液の濃度は、通常単分子膜を作る場合に比べて低濃度で接触させる。具体的には、使用する化学吸着物質の分子量により異なるが、従来の吸着溶液の濃度(約1重量%〜約2重量%程度)より薄くする必要がある。
0.5重量%以下の濃度で、吸着溶液を基板表面に接触させることで、複数分子が結合して単層を形成する非単分子膜を製造できる。
0.5重量%以下の濃度で、吸着溶液を基板表面に接触させることで、複数分子が結合して単層を形成する非単分子膜を製造できる。
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の有機薄膜の製造方法であって、前記化学吸着物質として、下記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有する分子を含むものを使用するものである。
(式中、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及びジルコニウムから選ばれる1種の原子を表しており、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシアネート基から選ばれる1種の官能基を表している。)
この方法によれば、上記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基と、基板上に存在する活性水素を有する官能基との間で共有結合させることにより、分子を基板上に化学吸着させることができる。具体的には、基板上にヒドロキシル基(OH基)が存在する場合、このOH基と−AX基との間でHXの脱離反応が生じる。これにより、吸着分子は、−A−O−結合を介して基板上に化学吸着する。この結果、吸着分子を基板上に強固に結合固定させることができ、密着性及び耐剥離性などに優れた有機薄膜を製造できる。
請求項9に記載の発明は、請求項6から8のいずれかに記載の有機薄膜の製造方法であって、前記照射する光が、紫外線偏光光である、ものである。
この方法によれば、偏光光を照射することで、偏光方向と平行な薄膜を構成する分子(吸着分子)の光官能性の原子−原子結合部分に光エネルギーを作用させて、該部分の化学反応を励起させることにより、薄膜構成分子を相互に架橋反応させ、一方向の規制力を付与する。この結果、薄膜に熱安定性を付与できる。
請求項10に記載の発明は、請求項6から9のいずれかに記載の有機薄膜の製造方法であって、前記架橋結合工程後に、前記基板表面に付着した遊離の未吸着分子を、洗浄剤を用いて洗浄して除去する洗浄工程を付加したことを特徴とする。
本発明の有機薄膜は薄膜を形成した後にさらに架橋結合しているので、構造的に安定した薄膜が得られている。したがって、前記基板表面に付着した遊離の未吸着分子を洗浄剤を用いて洗浄しても、形成された薄膜が剥がれ落ちることはなく、効果的に洗浄できる。また、遊離の未吸着分子を除去できるので、均一な表面状態の薄膜が得られる。
請求項11に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の有機薄膜を用いた液晶配向膜である。
上記のように請求項1から5のいずれかに記載の有機薄膜を用いると、機械的強度、耐久性、配向規制力、透明性に優れた液晶配向膜を提供できる。
請求項12に記載の発明は、少なくとも、対向する一対の基板と、前記一対の基板のうち少なくとも表示電極を有する基板の表面に形成された請求項11に記載の液晶配向膜と、前記対向する一対の基板間に封入された液晶とを備える液晶表示装置である。
本発明に係る液晶配向膜を液晶表示装置に用いると、配向規制力、コントラストに優れた液晶表示装置を提供できる。
請求項13に記載の発明は、液晶表示装置の製造方法であって、感光性基を有する化学吸着物質を溶解した吸着溶液であって、吸着溶液を基板に接触させる操作により化学吸着物質分子を基板表面に化学吸着させることのできる最大分子数の2倍以上の分子数を有するものを、乾燥雰囲気下で、基板表面に接触させ、吸着溶液中の化学吸着物質分子を基板面に化学吸着させた後に、前記基板を湿潤雰囲気下に置くことで、吸着した前記化学吸着物質分子に基板表面に吸着していない未吸着分子を結合させ、該未吸着分子に更に他の未吸着分子を順次結合させて薄膜を形成する薄膜形成工程と、
前記薄膜に光を照射し、吸着分子に異方性を付与するとともに、前記感光性基が光反応して薄膜構成分子同士を特定方向に架橋結合させる架橋結合工程と、
前記液晶配向膜付き基板と、少なくとも対向電極を有する対向基板とを、表示電極の形成された面を内側にして所定のセルギャップを設けて重ね合わせた後、両基板の間に液晶を配置する液晶セル形成工程と、
を少なくとも備えるものである。
前記薄膜に光を照射し、吸着分子に異方性を付与するとともに、前記感光性基が光反応して薄膜構成分子同士を特定方向に架橋結合させる架橋結合工程と、
前記液晶配向膜付き基板と、少なくとも対向電極を有する対向基板とを、表示電極の形成された面を内側にして所定のセルギャップを設けて重ね合わせた後、両基板の間に液晶を配置する液晶セル形成工程と、
を少なくとも備えるものである。
上記の方法によると、表示性能に優れた信頼性の高い液晶表示装置を、容易に製造できる。
以上で説明したように、本発明によると、非単分子膜であっても、均一な表面状態を有する有機薄膜を提供できる。また、本発明によると、基板表面に化学吸着している分子に基板表面に直接吸着していない分子が結合し、さらに複数の未吸着分子が結合しているので、この結合している複数の未吸着分子の数を制御することにより、膜厚の制御が容易である。さらに、本発明によると、安定した架橋構造が得られるので、配向規制力に優れる。
また、本発明の製造方法によると、均一な表面状態を有する、膜厚が制御され、安定した架橋構造の有機薄膜を効率良く製造できる。
さらに、本発明の有機薄膜を液晶配向膜に用いると、視野角特性に優れる液晶表示装置が提供できる。
本発明に係る有機薄膜は、薄膜を構成する分子の一部が、基板表面に化学吸着し、前記基板表面に化学吸着している分子に、基板表面に吸着していない分子が結合してなる。
薄膜を構成する分子は、分子中に基板と化学結合する官能基を有する分子である。このような分子を用いると、化学結合により強固に結合できるので、密着性、耐剥離性に優れた有機薄膜を提供できる。さらに、この薄膜を構成する分子は、他の分子と化学結合する官能基を有している必要がある。前記基板表面に化学吸着している分子に、基板表面に直接吸着していない分子が結合する必要があるからである。
好ましい薄膜を構成する分子としては、例えば、下記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有する分子が挙げられる。
なお、ハロゲンとしては、フッ素F、塩素Cl、臭素Br、ヨウ素Iなどが挙げられるが、基材との反応性の点では、Clが好ましい。
このXが、基材表面の例えばヒドロキシル基(OH基)などの活性水素を有する基と反応して、HXの脱離反応を生じ、分子が基材表面に化学吸着する。
また、上記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有する分子は、X基を少なくとも2つ有していることが好ましい。基板表面への化学吸着に関与していないX基を他の分子との結合に用いることができるからである。なお、Aに結合しているX以外の結合基が他の分子との反応基を有していてもよい。
また、上記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有する分子は、X基を少なくとも2つ有していることが好ましい。基板表面への化学吸着に関与していないX基を他の分子との結合に用いることができるからである。なお、Aに結合しているX以外の結合基が他の分子との反応基を有していてもよい。
また、上記基材表面に存在する活性水素を有する官能基としては、水素を供与できる官能基であれば、特に制限されず、上記水酸基の他に、カルボキシル基、アミノ基、チオール基、スルフィン酸基、スルホン酸基などが挙げられる。さらに、上記官能基の活性水素が、それぞれアルカリ金属又はアルカリ土類金属で置換された官能基であってもよい。
基材表面に活性水素を有する官能基が存在しないか、存在していても少ない場合は、基材表面に活性水素を有する官能基を付与する処理をすればよい。この処理は、例えばコロナ放電処理、UV/オゾン処理、酸素プラズマ処理、過マンガン酸カリウム溶液等の化合物酸化剤処理などの公知の方法で行う。
基材表面に活性水素を有する官能基が存在しないか、存在していても少ない場合は、基材表面に活性水素を有する官能基を付与する処理をすればよい。この処理は、例えばコロナ放電処理、UV/オゾン処理、酸素プラズマ処理、過マンガン酸カリウム溶液等の化合物酸化剤処理などの公知の方法で行う。
本発明の有機薄膜は、前記活性水素を有する基板上に直接吸着させるだけでなく、他の物質層を介して間接的に吸着させることもできる。このような他の物質層としては、特に限定されるものではないが、好ましくは表面にOH基、COOH基、NH基、NH2基、SH基等の親水性基を有する層である。他の物質層としては、具体的には、SiO2層、TiO2層などが挙げられる。
上記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有する分子において、Aに結合しているX以外の官能基は、特に制限されず、有機薄膜の使用目的に応じて適宜選択できる。
例えば、炭素数1〜30の直鎖状炭化水素基、芳香族炭化水素基、直鎖状シロキサン結合基などが挙げられる。
例えば、炭素数1〜30の直鎖状炭化水素基、芳香族炭化水素基、直鎖状シロキサン結合基などが挙げられる。
ただし、本発明に用いる化学吸着物質は、感光性基を有している必要がある。
上記Aに結合しているX以外の官能基がさらに感光性基としての機能を有するためには、例えば上記直鎖状炭化水素基または直鎖状シロキサン結合基の末端又は一部に、あるいは芳香族炭化水素基の置換基に、炭素−炭素二重結合基、炭素−炭素三重結合基、3フッ化炭素基(−CF3)、フェニル基(−C6H5)、アリール基(−C6H4−)、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、アルコキシ基(−OR、但しRは、アルキル基を表す)、シアノ基(−CN)、アミノ基(−NH2)、イミノ基(=NH)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボニル基(=CO)、エステル基(−COO−)、カルボキシル基(−COOH)、アルデヒド基(−CHO)およびチオール基(−SH)からなる群より選ばれる少なくとも一つの有機基を有していればよい。
これらの有機基は、単独でもよいが、複数の有機基が結合した形態で、上記直鎖状炭化水素基または直鎖状シロキサン結合基の末端又は一部を構成していても、あるいは芳香族炭化水素基の置換基を構成していてもよい。具体的には、カルコン基、シンナモイル基、メタクリル基などが挙げられる。
以下に、本発明に係る有機薄膜の製造方法について、図1を参照しながら、詳述する。まず、非水系溶媒に、感光性基を有する化学吸着物質、例えば、下記一般式(1)で表される官能基を有する化学吸着物質を溶解した吸着溶液を調整する(吸着溶液調整工程、S1)。
なお、この吸着溶液の調整は、相対湿度35%以下の乾燥雰囲気下で行うことが好ましい。
吸着溶液の濃度は、基板表面に存在する反応基の最大数より2倍以上多い化学吸着物質分子数を有するものを用いる。具体的には、使用する化学吸着物質により異なり、その濃度は、適宜選択できるが、通常0.5重量%以下、例えば0.1重量%程度である。
使用する非水性有機溶媒としては、具体的にはヘキサデカン、オクタンなどの鎖状脂肪族炭化水素、ビシクロヘキシルなどの環状炭化水素、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、クロロホルム、トリクレンなどの有機ハロゲン化物、ジメチルシリコーン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサンなどが挙げられる。
これらの非水性有機溶媒は、単独でも、二種以上混合して使用してもよい。
これらの非水性有機溶媒は、単独でも、二種以上混合して使用してもよい。
次に、上記吸着溶液作製工程にて作製した吸着溶液を、有機溶剤等で予めよく洗浄した基材に接触させた後、溶媒を除去すると、上記一般式(1)で表される化学吸着物質が基材表面に化学吸着して固定される。より詳しくは、上記一般式(1)で表される官能基を有する化学吸着物質分子と上記基材表面に多数存在する活性水素を有する官能基(例えば、水酸基)との間で縮合反応が起こり、HXが脱離する(下記化学反応式(2))。
上記工程は、乾燥雰囲気中(例えば、相対湿度35%以下)で行われ、図2に示すような薄膜が基板表面に形成される。より詳細には、吸着溶液中の化学吸着物質分子の一部が基板1表面の反応基と結合し、さらにこの基板に吸着した吸着分子2の上に未吸着分子3が付着した、あるいは基板1に吸着した吸着分子2間に未吸着分子3が入り込んだ形で薄膜が形成されている。
次に、前記基板を湿潤雰囲気下(例えば大気中)に置くと、上記一般式(1)で表される官能基を有する化学吸着物質分子と水分子との間で反応が起こり、上記一般式(1)で表される官能基を有する化学吸着物質分子にOH基が導入される。このOH基が導入された分子と上記一般式(1)で表される官能基を有する化学吸着物質分子との間で、HXが脱離して、両者は結合する(下記化学反応式(3))。
すなわち、前記基板を湿潤雰囲気下に置くことで、上記薄膜は、図3に示すような薄膜4となる。この状態では、基板1表面に形成された薄膜4に未吸着分子3が付着している。上記薄膜4の膜厚は特に制限されず、薄膜を使用する目的に応じて、膜厚を決定すればよい。例えばこの有機薄膜を液晶配向膜に用いる場合には、吸着分子からなる単分子膜が2層から25層に積層した程度の厚みであればよい。
基板表面に化学吸着物質を接触させる方法としては、特に制限はなく、公知の方法が適用される。具体的には、吸着溶液を基材表面にスプレーする方法、乾燥雰囲気下に吸着溶液と基板とを置き、気化した化学吸着物質を基板表面に付着させる気相吸着法、吸着溶液中に基板を一定時間浸漬し、その後乾燥雰囲気で乾燥させるディップ法、吸着溶液をスピナーによって基板表面に塗布するスピナー法、吸着溶液を印刷機によって基板表面に塗布する印刷法、吸着溶液をスリットコーターを用いて基板表面に塗布するスリットコーター法などが挙げられる。
続いて、上記基板上に形成された有機薄膜に光を照射することにより、吸着分子に異方性を付与するとともに、上記感光性基が光反応して吸着分子相互を架橋させる架橋処理工程を行う(架橋処理工程、S3)。
照射する光としては、紫外線直線偏光光を用いることが好ましい。直線偏光光を得る方法としては、吸収型の偏光板を介して得る方法、偏向ビームスプリッターなどの非吸収型の偏向分離素子を介して得る方法など、公知の方法が用いられる。
露光時の温度としては、特に制限はないが、通常、室温付近から100℃前後の温度である。
照射する偏光紫外線は、300〜400nm付近に波長分布を有するものであればよい。照射量は、例えば365nmで概ね50〜3000mJ/cm2であればよい。また、照射する偏光光と基板とのなす角は、0〜90°、好ましくは、45〜90°である。
以上、光を用いた配向について説明したが、本発明は、これに限定されるものでなく、ラビング法を用いて、配向してもよい。
さらに、この有機薄膜表面に付着した未吸着の分子を洗浄して除去する洗浄工程を行ってもよい(洗浄工程、S4)。図3の有機薄膜4表面に付着した未吸着分子3が除去できるので、膜厚の制御された有機薄膜を得ることができる。
上記洗浄工程で、使用できる洗浄剤としては、特に制限はなく、従来公知の洗浄剤が使用できる。好ましい洗浄剤としては、洗浄工程終了後、洗浄剤の除去が容易な点で、クロロホルム、アルキレングリコール類(例えば、ポリエチレングリコールを含むエチレングリコール類、プロピレングリコール類、ブチレングリコール類)、アルコキシアルコール類(例えば、エトキシエタノールなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンなど)、複素環式化合物(例えば、N−メチル−2−ピロリドンなど)などが挙げられる。
これらの洗浄剤は、単独でも、2種以上組み合わせても使用できる。
これらの洗浄剤は、単独でも、2種以上組み合わせても使用できる。
上記洗浄剤として、含水率が1%未満のものを用いることが好ましい。含水率が上記数値範囲を超えると、未吸着分子のAX基が洗浄剤に含まれる水と反応して架橋構造を形成するからである。
この、洗浄工程は、乾燥雰囲気中で行う必要がある。単分子膜上に累積膜が形成された被膜を洗浄する場合、未吸着分子や吸着分子のAX基が水と反応して架橋構造を形成することを防ぐためである。
この、洗浄工程は、乾燥雰囲気中で行う必要がある。単分子膜上に累積膜が形成された被膜を洗浄する場合、未吸着分子や吸着分子のAX基が水と反応して架橋構造を形成することを防ぐためである。
上記基板としては、ガラス、金属、金属酸化物、セラミックス、プラスチック、木材、石材、紙および布等からなるいずれか1種の材料に適用できる。また、液晶配向膜の基板としては、電極は基板の片面に形成されていても良いし、両面に形成されていてもよい。電極の材質としては、アルミニウムやITOなどの公知の材質のものが使用できる。電極形状は、ストレート線状のものやくの字に屈曲したもの、TFTの配線形状など、どのような形状であってもよい。
上記のようにして有機薄膜が形成された基板を液晶表示装置に用いる場合は、例えば、以下のようにする。
電極を有する基板に、上記のようにして有機薄膜(配向膜)を設ける(第1の基板)。別途電極を有する基板(配向膜を有していても有していなくてもよい)を用意する(第2の基板)。この2つの基板を、電極面を内側にして所定の間隙を保ちつつ位置合わせし、基板の周縁を接着固定した後、第1の基板と第2の基板の間に、例えばネマチック液晶を注入し、液晶セルとする。この液晶セルに定法に従って偏光板およびバックライトを配置して、本発明の液晶表示装置を作成する。
電極を有する基板に、上記のようにして有機薄膜(配向膜)を設ける(第1の基板)。別途電極を有する基板(配向膜を有していても有していなくてもよい)を用意する(第2の基板)。この2つの基板を、電極面を内側にして所定の間隙を保ちつつ位置合わせし、基板の周縁を接着固定した後、第1の基板と第2の基板の間に、例えばネマチック液晶を注入し、液晶セルとする。この液晶セルに定法に従って偏光板およびバックライトを配置して、本発明の液晶表示装置を作成する。
以下に、本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている構成要素の材質や製造条件等は、特に限定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる例示に過ぎない。
(実施例1)
キシレンとシリコーンオイル96L(信越化学(株)製、沸点約100℃)を1:100で混合した液に、一般式(1)で表される官能群から選ばれる1種の官能基を有する分子としてC6H5−CH=CH−CO−C6H4−O−(CH2)2−Si−O−Si(CH3)3を約0.1重量%となるように溶解させた(吸着溶液A)。
キシレンとシリコーンオイル96L(信越化学(株)製、沸点約100℃)を1:100で混合した液に、一般式(1)で表される官能群から選ばれる1種の官能基を有する分子としてC6H5−CH=CH−CO−C6H4−O−(CH2)2−Si−O−Si(CH3)3を約0.1重量%となるように溶解させた(吸着溶液A)。
次に、基板として、ガラスにITO電極が付いた液晶セル用基板を準備した。次に、キセノンのエキシマランプを用いて、相対湿度65%の空気中で、基板とランプ間の距離を2mm離して、約50秒間照射し、クリーニングを行った。ランプ直下の波長172nmの照度は、32mW/cm2であり、本実施例のように2mm離すと、照度は20mW/cm2であった。
この基板を純水流水下に約1分間放置した後、引き上げ、エアガンで水滴を完全に除去し、乾燥させて、基板を清浄処理した。
次に、相対湿度30%の乾燥雰囲気で、上記吸着溶液Aに、上記ガラス基板を約1分間浸漬させ、その後基板を引き上げて乾燥させた。
上記ガラス基板を、洗浄を行わずに、相対湿度65%の空気中に、約5分置くことで、ガラス基板上に薄膜を形成した。
次に、上記ガラス基板に、偏光板(ポラロイド社HNP'B)を重ね、500Wの高圧水銀灯を用い、波長365nmの紫外光を1200mJ/cm2照射した。
次に、N−メチル−2−ピロリドン(関東化学社製、蛍光分析用、含水率0.03%)中で、浸漬攪拌による洗浄で、10分間洗浄を行い、基板を引き上げて空気中で乾燥し、単層の非単分子膜を作った。なお、このとき、液切り方向は、露光方向と平行にした。エリプソメトリー法を用いて、配向膜の膜厚を測定したところ、6.5nmであり、この膜厚は明らかに非単分子膜、すなわち累積状膜の膜厚であった(偏光膜の屈折率を1.45と仮定)。
次に上記で作成した有機薄膜(液晶配向膜)付き基板と対向基板とを配向膜面を対向させ、かつそれぞれの液切り方向がアンチパラレル配向するようにして、スペーサーを介在させて、セルギャップが20μmの間隔で重ね合わせ、ネマチック液晶(メルク社製、ZLI4792)を注入してして、液晶セルを作成した。
この液晶セルにおける液晶分子の配向方向を2枚の偏光板を用いて調べたところ、液晶分子が液切り方向に沿って配向していることが確認された。配向状態を目視観察したところ、配向の均一性に優れていた。偏光顕微鏡を用いて観察したところ、ディスクリネーションは、観察されなかった。また、配向の白時と黒時の吸光度の比(コントラスト)を測定したところ360となった。
(実施例2)
キシレンとシリコーンオイル96L(信越化学(株)製、沸点約100℃)を1:100で混合した液に、一般式(1)で表される官能群から選ばれる1種の官能基を有する分子としてC6H5−CH=CH−CO−C6H4−O−(CH2)2−Si−O−Si(CH3)3を約0.3重量%となるように溶解させた(吸着溶液B)。
キシレンとシリコーンオイル96L(信越化学(株)製、沸点約100℃)を1:100で混合した液に、一般式(1)で表される官能群から選ばれる1種の官能基を有する分子としてC6H5−CH=CH−CO−C6H4−O−(CH2)2−Si−O−Si(CH3)3を約0.3重量%となるように溶解させた(吸着溶液B)。
この吸着溶液Bを用いた以外は、実施例1と同様にして単層の非単分子膜を作成した。なお、エリプソメトリー法を用いて、配向膜の膜厚を測定したところ、17.4nmであり、この膜厚は明らかに非単分子膜の膜厚であった(配向膜の屈折率を1.45と仮定)。この有機薄膜を用いて、実施例1と同様にして、液晶セルを作成した。
この液晶セルにおける液晶分子の配向方向を2枚の偏光板を用いて調べたところ、液晶分子が液切り方向に沿って配向していることが確認された。配向状態を目視観察したところ、配向の均一性に優れていた。偏光顕微鏡を用いて観察したところ、ディスクリネーションは、観察されなかった。また、配向の白時と黒時の吸光度の比(コントラスト)を測定したところ355となった。
本実施例の有機薄膜は、実施例1の有機薄膜より膜厚は約3倍厚くなっているが、実施例1の有機薄膜とほぼ同じコントラストであった。
本実施例の有機薄膜は、実施例1の有機薄膜より膜厚は約3倍厚くなっているが、実施例1の有機薄膜とほぼ同じコントラストであった。
(比較例1)
キシレンとシリコーンオイル96L(信越化学(株)製、沸点約100℃)を1:100で混合した液に、一般式(1)で表される官能群から選ばれる1種の官能基を有する分子としてC6H5−CH=CH−CO−C6H4−O−(CH2)2−Si−O−Si(CH3)3を約1重量%となるように溶解した(吸着溶液C)。
キシレンとシリコーンオイル96L(信越化学(株)製、沸点約100℃)を1:100で混合した液に、一般式(1)で表される官能群から選ばれる1種の官能基を有する分子としてC6H5−CH=CH−CO−C6H4−O−(CH2)2−Si−O−Si(CH3)3を約1重量%となるように溶解した(吸着溶液C)。
この吸着溶液Cを用いて、実施例1と同様にガラス基板上に薄膜を形成した後、まず実施例1の条件で洗浄を行い、その後に実施例1の条件で露光して比較例1の単分子膜の有機薄膜を作成した。なお、エリプソメトリー法を用いて、配向膜の膜厚を測定したところ、1.2nmであり、この膜厚は明らかに単分子膜の膜厚であった(配向膜の屈折率を1.45と仮定)。この有機薄膜を用いて、実施例1と同様にして、液晶セルを作成した。
この液晶セルにおける液晶分子の配向方向を2枚の偏光板を用いて調べたところ、液晶分子が液切り方向に沿って配向していることが確認された。配向状態を目視観察したところ、配向の均一性に優れていた。偏光顕微鏡を用いて観察したところ、ディスクリネーションは、観察されなかった。また、配向の白時と黒時の吸光度の比(コントラスト)を測定したところ320となった。
以上の結果から、本発明の実施例で得られた有機薄膜のほうが、コントラストが高く、配向性に優れていた。これは、本発明の実施例の有機薄膜のほうが、明らかに膜厚が厚く、膜構成分子数が多いため、すなわち膜の単位体積当たりに感光性基が多く存在するためであると考えられた。
1 基板
2 吸着分子
3 未吸着分子
4 薄膜
2 吸着分子
3 未吸着分子
4 薄膜
Claims (13)
- 基板の表面に形成された薄膜であって、
薄膜を構成する分子の一部が、基板表面に化学吸着し、
前記基板表面に化学吸着している分子に、基板表面に直接吸着していない分子が結合してなる有機薄膜。 - 前記薄膜が、前記未吸着の分子に、さらに複数の未吸着分子が結合して構成されるものである請求項1に記載の有機薄膜。
- 前記基板表面に化学吸着している分子が、基板表面に存在する反応基の最大数よりも少ない数で、化学吸着している請求項1または2に記載の有機薄膜。
- 前記薄膜を構成する各分子が感光性基を有しており、隣接する感光性基間で、前記感光性基同士が相互に架橋結合することにより、前記有機薄膜は架橋構造をなしている請求項1から3のいずれかに記載の有機薄膜。
- 前記薄膜は、複数分子が結合して単層を形成する非単分子膜であり、その膜厚が、0.5nm以上、25nm未満である請求項1から4のいずれかに記載の発明。
- 感光性基を有する化学吸着物質を溶解した吸着溶液であって、吸着溶液を基板に接触させる操作により化学吸着物質を基板表面に化学吸着させることのできる最大分子数の2倍以上の分子数を有するものを、乾燥雰囲気下で、基板表面に接触させ、吸着溶液中の化学吸着物質分子を基板面に化学吸着させた後に、前記基板を湿潤雰囲気下に置くことで、吸着した前記化学吸着物質分子に基板表面に吸着していない未吸着分子を結合させ、該未吸着分子に更に他の未吸着分子を順次結合させて薄膜を形成する薄膜形成工程と、
前記薄膜に光を照射し、吸着分子に異方性を付与するとともに、前記感光性基が光反応して薄膜構成分子同士を特定方向に架橋結合させる架橋結合工程とを、
備えることを特徴とする有機薄膜の製造方法。 - 前記感光性基を有する化学吸着物質を溶解した吸着溶液の濃度が、0.5重量%以下である、請求項6に記載の有機薄膜の製造方法。
- 前記照射する光が、紫外線偏光光である、請求項6から8のいずれかに記載の有機薄膜の製造方法。
- 前記架橋結合工程後に、前記基板表面に付着した遊離の未吸着分子を、洗浄剤を用いて洗浄して除去する洗浄工程を付加したことを特徴とする、請求項6から9のいずれかに記載の有機薄膜の製造方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の有機薄膜を用いた液晶配向膜。
- 少なくとも、対向する一対の基板と、前記一対の基板のうち少なくとも表示電極を有する基板の表面に形成された液晶配向膜と、前記対向する一対の基板間に封入された液晶とを備える液晶表示装置であって、
前記液晶配向膜が、請求項11に記載の液晶配向膜であることを特徴とする液晶表示装置。 - 感光性基を有する化学吸着物質を溶解した吸着溶液であって、吸着溶液を基板に接触させる操作により化学吸着物質分子を基板表面に化学吸着させることのできる最大分子数の2倍以上の分子数を有するものを、乾燥雰囲気下で、基板表面に接触させ、吸着溶液中の化学吸着物質分子を基板面に化学吸着させた後に、前記基板を湿潤雰囲気下に置くことで、吸着した前記化学吸着物質分子に基板表面に吸着していない未吸着分子を結合させ、該未吸着分子に更に他の未吸着分子を順次結合させて薄膜を形成する薄膜形成工程と、
前記薄膜に光を照射し、吸着分子に異方性を付与するとともに、前記感光性基が光反応して薄膜構成分子同士を特定方向に架橋結合させる架橋結合工程と、
前記液晶配向膜付き基板と、少なくとも対向電極を有する対向基板とを、表示電極の形成された面を内側にして所定のセルギャップを設けて重ね合わせた後、両基板の間に液晶を配置する液晶セル形成工程と、
を少なくとも備える液晶表示装置の製造方法。
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