JP2002052643A - 薄膜、その製造方法及びその製造装置と、薄膜を用いた液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents

薄膜、その製造方法及びその製造装置と、薄膜を用いた液晶表示装置及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】光反応効率の向上により光照射量を低減させコ
ストの低減が可能な有機薄膜の製造方法と、これにより
得られた薄膜を提供する。 【解決手段】本発明に係る有機薄膜1は、基材2表面
に、薄膜構成分子3…の集合群が前記基材に対して−O
−A結合(但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チ
タン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種の原
子を示す。)を介して、結合固定されてなり、薄膜構成
分子3…の集合群は、配向秩序が準安定状態となる様に
配向している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜、その製造方
法及びその製造装置に関するものである。また本発明
は、薄膜を用いた液晶表示装置及びその製造方法に関
し、より詳細には、テレビジョン(TV)画像やコンピ
ュータ画像等が表示可能な、平面表示パネルに使用でき
る液晶表示装置とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】(1)従来の有機薄膜の製造方法として
は、例えば特開平3−7913号公報、特開平3−23
0156号公報、特開平4−330925号公報、日本
国特許第2028662号、第2598867号及び第
2638446号等に開示されている方法がある。これ
ら各公報に記載されている製造方法は何れも、クロロシ
ラン系界面活性剤を用いて、基材表面に化学吸着膜を製
膜する手法を採用している。基材表面に製膜する有機薄
膜は一般に、基材に対する耐剥離性に優れたものが好ま
しいが、前記したクロロシラン系界面活性剤の様に、基
材表面に存在する活性水素を有する官能基と化学吸着反
応をするものは、当該基材に対する固定力が強いので好
ましい。
【0003】また、光感応性官能基(以下、光感応性基
と言う)を備えた化合物を用いて、基材上に有機薄膜を
形成する方法も知られている。具体的には、前記化合物
を基材上に塗布した後、必要に応じて当該基材を洗浄し
余剰の前記化合物を除去する。更に、化合物が塗布され
た基材を露光して有機薄膜を形成するというものであ
る。
【0004】ところで、近年、液晶表示装置の製造プロ
セスに於いて、配向膜に液晶配向性を付与する工程とし
て必須であったラビング処理をなくす検討が行われてい
る。ラビング処理とは、液晶の配向手法の一種であり、
配向膜の形成された基板表面を、ナイロン等の布を張り
付けたローラーで擦ることにより、配向膜表面に異方性
を発現させ、これにより液晶を所望の方向に初期配向さ
せるというものである。しかしラビング処理は、従来よ
り幾つかの欠点が指摘されてきており、例えばその代表
的なものとしては、以下のものが挙げられる。
【0005】配向膜表面に凹凸があると凹部が擦れ
ず、特に大面積のパネルであると均一に擦れない為、配
向欠陥、表示ムラ及び表示焼き付き等が発生する。
【0006】ラビング処理の際に配向膜上に静電気が
発生し、この静電気がTFT等の回路を破壊する等して
その機能を低下させる。
【0007】ラビング処理の際にラビング材(綿布
等)からゴミが発生し、このゴミが表示ムラやセルギャ
ップの不均一化を招来する。
【0008】前記問題点を解消すべく、ラビング処理に
代わる他の配向手法も種々提案されてはいるが、未だ実
用化には至っていない。この様な状況下、最近「光配
向」という配向手法が注目を浴びている。この光配向処
理法は、配向膜材料として光感応性基を有するポリマー
を用い、そのポリマーに偏光UV光を照射することによ
り、所望の異方性を配向膜表面に発現させ、その異方性
を用いて液晶を配向させるという手法である。即ち、光
配向処理法の最大の特徴は、ラビング処理と異なり、
「非接触」という点にある。これにより、従来ラビング
処理で発生していた大半の問題を解消可能となった。
【0009】ここで一般に、光感応性基が起こす光反応
には、異性化、分解、架橋(二量化)、重合等がある。
このうち、異性化及び分解は、前記分子の個々が独立し
て反応を起こす為に、分子間の位置関係及び相互作用が
光反応自体に大きな影響を与えることはない。
【0010】しかし、架橋(二量化)及び重合反応に於
いては、分子間の位置関係及び相互作用等が光反応に大
きな影響を与える。これは、適当な位置関係にあり、か
つ相互作用が適度に影響し合う分子同士のみで架橋また
は重合できるからである。例を挙げると、例えばWoodwa
rd-Hoffmann則によれば、光反応型の付加環化反応にお
いて、反応する2つの分子中の2つのsp2炭素が、ち
ょうど両者のπ軌道の近い側のローブの(極性)符号が
一致し、かつ両分子のお互いに向かい合うsp 2炭素間
距離が炭素−炭素単結合分の距離にある場合のみ、環化
反応が起こることでも知られている。
【0011】以上の点を鑑みると、前記した従来の光配
向処理法に於いては、分子間の適当な位置関係等を考慮
して光配向処理を行うということがなされていなかっ
た。つまり、上述の様に、架橋または重合は分子相互の
位置関係及び相互作用等に影響されるにも関わらず、光
反応を起こすのに最適な膜状態で処理するということが
何ら施されていなかった。よって、前記従来の光配向処
理法に於いては、光反応率を向上させることにより光照
射量を抑制し、製造コストの低減を図る余地があった。
更に、分子相互の位置関係及び相互作用等の影響を考慮
せずに製膜していたことから、この様な要因を制御でき
れば有機薄膜の機能を更に向上させる余地があった。
【0012】(2)一方、二つの物体が接触した状態で
相対運動をし、或いは相対運動を起こそうとしている場
合、具体的にはある物体を他の物体で擦る場合、ある物
体上で他の物体を滑らせる場合、ある物体の中に他の物
体を流す場合、または密着している2つの物体を引き離
す場合等では、接触面で電子の移動が起こり相互の物体
が帯電して静電気が発生することが知られている。
【0013】ところで、各種の表示デバイスや通信デバ
イス等に於いては、その製造プロセスに於いて様々な静
電気対策が行われてきた。具体的には、雰囲気の湿度を
高く保つ方法、対象物をアースに接続する方法、イオン
発生器により発生させたイオン化エアーを吹きかける方
法等である。そして、この様な対策が行われてきたの
は、これらのデバイスが本来的に静電気に対して極めて
弱い構造であり、また製造プロセス中での静電気の発生
が不可避的なものだからである。
【0014】ここで、前記した各種のデバイス等では薄
膜の形成が重要なプロセスとなっている。また、形成し
た薄膜に微細な加工を施すプロセスが無ければデバイス
の作製が不可能となっている。
【0015】薄膜形成プロセスに於いては、溶剤等の流
体が前記した各種のデバイスで使用される基板と接触す
ることは避けられない。一方、流体がある物体と接触
し、かつ物体表面を流動すれば流体と物体の界面で摩擦
電気が発生することは周知である。加えて、流体の流動
速度が大きい場合や誘電率の大きい場合には、静電気が
極めて顕著に発生する。従って、薄膜形成プロセスに於
いても当然に静電気が発生するが、その対策はこれまで
行われてこなかった。この結果、例えば、液晶表示装置
用のTFTアレイ基板等では、静電気が発生するとTF
T回路が即座に静電破壊されてしまうという問題があっ
た。また、静電気に起因して空気中の浮遊物が基板に付
着し、薄膜の清浄性が劣化する等の問題もあった。よっ
て、前記従来の薄膜形成プロセスに於いては、十分な静
電気対策を行えば歩留まりの向上が図れ、製造コストの
低減を図る余地があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】一群の本発明は、前記
従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、その
第一の目的は、光反応率の向上により光照射量を抑制
し、コストの低減が可能な薄膜の製造方法と、これによ
り得られる薄膜、及び液晶表示装置の製造方法とこれに
より得られる液晶表示装置を提供することにある。
【0017】また、第2の目的は、効率的、かつ簡便な
方法により静電気を除去しつつ薄膜を製造する方法と、
その製造装置、及び液晶表示装置を製造する方法とその
製造装置を提供することにある。
【0018】尚、一群の本発明は、同一ないし類似した
着想に基づくものである。しかし、それぞれの発明は異
なる実施例により具現化されるものであるので、本明細
書では、これらの一群の本発明を密接に関連した発明ご
とに第1の発明群、及び第2の発明群として区分する。
そして、以下では、それぞれの区分(発明群)ごとにそ
の内容を順次説明する。
【0019】
【課題を解決するための手段】一群の本発明は、前記従
来技術の課題を解決すべくなされたものであり、その第
一の目的は、光反応率の向上により光照射量を抑制し、
コストの低減が可能な薄膜の製造方法と、これにより得
られる薄膜、及び液晶表示装置の製造方法とこれにより
得られる液晶表示装置を提供することにある。
【0020】また、第2の目的は、効率的、かつ簡便な
方法により静電気を除去しつつ薄膜を製造する方法と、
その製造装置、及び液晶表示装置を製造する方法とその
製造装置を提供することにある。
【0021】尚、一群の本発明は、同一ないし類似した
着想に基づくものである。しかし、それぞれの発明は異
なる実施例により具現化されるものであるので、本明細
書では、これらの一群の本発明を密接に関連した発明ご
とに第1の発明群、及び第2の発明群として区分する。
そして、以下では、それぞれの区分(発明群)ごとにそ
の内容を順次説明する。
【0022】[第1発明群] (1)薄膜 前記第1の目的を達成する為に、第1発明群に係る薄膜
は、基材表面に、薄膜構成分子の集合群が結合固定され
てなる薄膜であって、前記薄膜構成分子の集合群は、分
子相互の関係が安定状態または準安定状態で配向してい
ることを特徴とする。
【0023】前記の構成に於いて、前記薄膜構成分子の
集合群が、前記基材に対して−O−A結合(但し、Aは
ケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及びジルコニウム
からなる群より選ばれる1種の原子を示す。)を介して
結合された構成とすることができる。
【0024】また、前記構成に於いて、前記薄膜構成分
子の一部が光感応性基を有する分子であり、当該光感応
性基部の少なくとも一部が所定方向に結合固定されてい
る構成とすることができる。
【0025】更に、前記光感応性基を有する分子のう
ち、50%以上の分子の光感応性基部が結合固定されて
いる構成とすることができる。
【0026】また、前記薄膜構成分子の集合群が、複数
種類の分子からなる構成とすることができる。
【0027】また、前記第1の目的を達成する為に、第
1発明群に係る薄膜は、基材表面に設けられ、かつ機能
性官能基を側鎖として備えたポリマーからなる薄膜であ
って、前記機能性官能基は、官能基相互の関係が安定状
態または準安定状態で配向していることを特徴とする。
【0028】前記の構成に於いて、前記ポリマーは少な
くとも一部に光感応性基を有しており、当該光感応性基
部の少なくとも一部が所定方向に結合固定されている構
成とすることができる。
【0029】更に、前記光感応性基がカルコン骨格基ま
たはシンナメート骨格基である構成とすることができ
る。
【0030】更に、前記ポリマーが、その主鎖にポリビ
ニル、ポリシロキサンまたはポリイミドの何れか1つを
有する構成とすることができる。
【0031】ここで、前記構成を有した第1発明群に係
る薄膜の作用について述べる。
【0032】第1発明群に係る薄膜は、薄膜構成分子の
集合群が基材面に結合固定されてなり、かつこれを構成
する薄膜構成分子の集合群が配向秩序を安定状態または
準安定状態となる様に配向した膜構造を有しているの
で、同一の薄膜構成分子からなる従来の単分子膜よりも
膜機能に優れたものとできる。安定状態とは、薄膜構成
分子がランダムに配向の乱れた、ポテンシャルエネルギ
ー(またはエネルギー準位)の最も高い非安定状態に対
立する概念として用いている。換言すれば、分子相互の
立体的な位置関係、即ち配向秩序が均一な、ポテンシャ
ルエネルギーの最も低く安定した状態を言う。また、準
安定状態とは、非安定状態から安定状態までの過程に於
いて、ポテンシャルエネルギーを小さくしていく上で現
れる、安定に準ずる状態を言い、具体的には一定程度配
向秩序が均一となった状態を表す。
【0033】ここで、薄膜構成分子が、撥水性や親水性
等の機能を発揮する機能性官能基を有する場合には、そ
れらの機能が膜の物性として発揮されるが、従来の有機
薄膜の様に非安定状態であると、その機能が十分に発現
されない場合がある。これに対して、本発明であると、
前記構成のように薄膜構成分子の集合群が配向秩序を安
定化させているので、同一材料からなる場合であって
も、その膜機能を向上させることができると共に、新規
な機能を発現させることも可能となる。
【0034】更に、薄膜が機能性官能基を側鎖として備
えたポリマーからなる場合にも、かかる機能性官能基を
安定状態または準安定状態となる様に配向させる結果、
機能性官能基を揃って膜表面側または膜の内部側に配向
させることができる。この結果、前記と同様に、機能性
官能基を有することにより発現する膜機能を向上させる
ことが可能となる。
【0035】(2)薄膜の製造方法 前記第1の目的を達成する為に、第1発明群に係る薄膜
の製造方法は、基材表面に結合し、光感応性基を備えた
分子を含む薄膜構成分子の集合群からなる薄膜の製造方
法であって、前記基材を薄膜形成用溶液に接触させるこ
とにより、基材表面に結合した薄膜構成分子の集合群か
らなる被膜を形成する被膜形成工程と、前記基材上に存
在する未結合の分子を除去する除去工程と、前記基材を
熱処理することにより、前記被膜を構成する薄膜構成分
子の集合群を再配向させて分子相互の関係を安定状態ま
たは準安定状態にする熱処理工程と、前記基材に光を照
射して前記光感応性基同士を反応させ、少なくとも一部
の分子相互を結合固定させる露光工程とを備えることを
特徴とする。
【0036】また、前記第1の目的を達成する為に、第
1発明群に係る他の薄膜の製造方法は、基材表面に結合
し、光感応性基を備えた分子を含む薄膜構成分子の集合
群からなる薄膜の製造方法であって、前記基材を薄膜形
成用溶液に接触させることにより、基材表面に結合した
薄膜構成分子の集合群からなる被膜を形成する被膜形成
工程と、前記基材上に存在する未結合の分子を除去する
除去工程と、前記基材を熱処理しながら、前記基材に光
を照射して前記光感応性基同士を反応させ、少なくとも
一部の分子相互を結合固定させる露光工程とを備えるこ
とを特徴とする。
【0037】前記各構成に於いて、前記熱処理工程は、
処理温度として薄膜構成分子が化学反応しない温度未満
で行うことができる。
【0038】更に、前記熱処理工程は、処理温度として
薄膜構成分子の融点以上、化学反応しない温度未満の範
囲内で行うことができる。
【0039】また、前記薄膜形成用溶液として、下記化
学式(1)で表される官能基群から選ばれる少なくとも
1種の官能基を備えた分子からなる化学吸着物質を含む
溶液を使用することができる。
【0040】
【化9】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
基を表している。) 更に、前記構成に於いて、前記光感応性基がカルコン骨
格基またはシンナメート骨格基である構成とすることが
できる。
【0041】また、前記構成に於いて、前記露光工程
が、所定の方向に偏光方向を有する偏光を照射する工程
である更に、前記構成に於いて、前記被膜形成工程に於
いて使用する前記薄膜形成用溶液は、複数種の薄膜形成
材料を含む構成とすることができる。
【0042】更に、前記露光工程により、光感応性基を
備えた分子のうち50%以上の分子が光感応性基部で結
合固定している構成とすることができる。
【0043】また、前記第1の目的を達成する為に、第
1発明群に係る更に他の薄膜の製造方法は、基材表面
に、光感応性基を側鎖として備えたポリマーからなる薄
膜を形成する薄膜の製造方法であって、前記基材を薄膜
形成用溶液に接触させてポリマー膜を形成する被膜形成
工程と、前記基材を熱処理することにより、前記光感応
性基を再配向させて、官能基相互の関係を安定状態また
は準安定状態にする熱処理工程と、前記基材に光を照射
して前記光感応性基同士を反応させ、少なくとも一部の
光感応性基相互を結合固定させる露光工程とを備えるこ
とを特徴とする。
【0044】また、前記第1の目的を達成する為に、第
1発明群に係る更に他の薄膜の製造方法は、基材表面
に、光感応性基を側鎖として備えたポリマーからなる薄
膜を形成する薄膜の製造方法であって、前記基材に薄膜
形成用溶液を接触させてポリマー膜を形成する被膜形成
工程と、前記基材を熱処理しながら、前記基材に光を照
射して前記光感応性基同士を反応させ、少なくとも一部
の光感応性基相互を結合固定させる露光工程とを備える
ことを特徴とする。
【0045】前記各構成に於いて、前記熱処理工程は、
処理温度として前記ポリマーが化学反応しない温度未満
で行うことができる。
【0046】更に、前記熱処理工程は、処理温度として
前記ポリマーの融点以上、化学反応しない温度未満の範
囲内で行うことができる。
【0047】更に、前記各構成に於いて、前記光感応性
基を備えたポリマーの主鎖にポリビニル、ポリシロキサ
ン及びポリイミドからなる群より選ばれる何れか1つを
有する構成とすることができる。
【0048】また、前記各構成に於いて、前記露光工程
が、所定の方向に偏光方向を有する偏光を照射する工程
である構成とすることができる。
【0049】また、前記各構成に於いて、前記被膜形成
工程に於いて使用する前記薄膜形成用溶液は、複数種の
薄膜形成材料を含む構成とすることができる。
【0050】ここで、前記構成を有した第1発明群に係
る薄膜の製造方法の作用について述べる。
【0051】第1発明群に係る薄膜の製造方法に於いて
は、膜形成直後に熱処理を行うことにより、薄膜構成分
子の集合群を再配向させて、分子相互の関係を安定状態
または準安定状態にするものである。被膜形成工程直後
の被膜は、薄膜構成分子が規則的に整然と配列・配向し
た膜構造とはなっていない。この様な膜構造の被膜に対
して、例えば薄膜構成分子が光感応性基を有しており露
光の必要がある場合には、十分な光反応を起こすのは困
難となる。光反応は、光感応性基同士が邂逅する場合に
起こるからである。しかし本発明に於いては、熱処理工
程を行うことにより、薄膜構成分子の配向秩序を安定化
させるので、光反応を十分に生じさせることができる。
更にこのことは、従来の有機薄膜と比較して反応速度に
著しい差を生むこととなり、光反応効率を向上させるこ
とができる。この結果、光照射量を低減させコストの抑
制を図ることができる。
【0052】その一方、熱処理をしながら露光工程を行
う場合には、その熱処理により薄膜構成分子の分子振動
を励起状態とし、分子相互の邂逅する確率を増大させた
状態で露光を行うので、光反応を十分に起こさせること
ができる。この結果、光反応率を向上できると共に、光
照射量も低減できコストの抑制が図れる。
【0053】更に、光感応性基を側鎖として備えたポリ
マーからなる薄膜の製造方法の場合に於いては、膜形成
直後に熱処理を行うことにより、当該光感応性基を安定
状態または準安定状態となる様に配向させるものであ
る。これにより、機能性官能基を有することにより発現
する機能を最大限に発揮させることが可能な薄膜を製造
することができる。また、熱処理をしながら露光工程を
行う場合にも、やはり分子振動が励起状態となる結果、
側鎖である光感応性基同士の邂逅する確率を増大させる
ことができる。これにより、光反応を十分に起こさせる
ことができ、光反応率を向上できると共に、光照射量も
低減できコストの抑制が図れる。
【0054】(3)液晶表示装置 前記第1の目的を達成する為に、第1発明群に係る液晶
表示装置は、少なくとも何れか一方の内側に液晶配向膜
が設けられた一対の基板と、前記一対の基板間に設けら
れた液晶層とからなる液晶表示装置であって、前記液晶
配向膜は、基板表面に薄膜構成分子の集合群が結合固定
されてなり、かつ、前記薄膜構成分子の集合群は、分子
相互の関係が安定状態または準安定状態で配向している
ことを特徴とする。
【0055】前記の構成に於いて、前記薄膜構成分子の
集合群が、前記基板に対して−O−A結合(但し、Aは
ケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及びジルコニウム
からなる群より選ばれる1種の原子を示す。)を介して
結合されている構成とすることができる。
【0056】また、前記構成に於いて、前記薄膜構成分
子の一部が光感応性基を有する分子であり、当該光感応
性基部の少なくとも一部が所定方向に結合固定されてい
る構成とすることができる。
【0057】更に、前記構成に於いて、前記光感応性基
を有する分子のうち、50%以上の分子の光感応性基部
が結合固定されている構成とすることができる。
【0058】また、前記構成に於いて、前記薄膜構成分
子の集合群が、複数種類の分子からなる構成とすること
ができる。
【0059】また、前記液晶層に於ける前記液晶配向膜
近傍の液晶がプレチルト角5°〜88°の範囲内で配向
している構成とすることができる。
【0060】前記第1の目的を達成する為に、第1発明
群に係る液晶表示装置は、少なくとも何れか一方の内側
に液晶配向膜が設けられた一対の基板と、前記一対の基
板間に設けられた液晶層とからなる液晶表示装置であっ
て、前記液晶配向膜は、機能性官能基を側鎖として備え
たポリマーからなり、かつ、前記機能性官能基は、官能
基相互の関係が安定状態または準安定状態で配向してい
ることを特徴とする。
【0061】前記構成に於いて、前記ポリマーは少なく
とも一部に光感応性基を有しており、当該光感応性基部
の少なくとも一部が所定方向に結合固定されている構成
とすることができる。
【0062】更に、前記光感応性基がカルコン骨格基ま
たはシンナメート骨格基である構成とすることができ
る。
【0063】また、前記構成に於いて、前記ポリマー
が、その主鎖にポリビニル、ポリシロキサンまたはポリ
イミドの何れか1つを有する構成とすることができる。
【0064】ここで、前記構成を有した第1発明群に係
る液晶表示装置の作用について述べる。
【0065】第1発明群に係る液晶表示装置は、基板面
に結合固定された薄膜構成分子の集合群からなる液晶配
向膜を備えている。そして、この液晶配向膜は分子相互
の関係が安定状態または準安定状態で配向してなるの
で、同一材料からなる従来の配向膜と比較して非常に良
好な液晶配向能を有している。この結果、ディスクリネ
ーションや流動配向等の配向欠陥を低減させることがで
き、コントラスト等の表示品位を向上させることができ
る。
【0066】更に、第1発明群に係る液晶表示装置が、
液晶配向膜が機能性官能基を側鎖として備えたポリマー
からなる液晶配向膜を備えている場合にも、機能性官能
基が安定状態または準安定状態となる様に膜表面側また
は膜の内部側に配向しており、同一材料からなる従来の
配向膜と比較して非常に良好な液晶配向能を有している
ので、ディスクリネーションや流動配向等の配向欠陥を
低減させることができ、コントラスト等の表示品位を向
上させることができる。
【0067】(4)液晶表示装置の製造方法 前記第1の目的を達成する為に、第1発明群に係る液晶
表示装置の製造方法は、一対の基板間に液晶層を有し、
両基板のうち少なくとも一方の基板の内側には、基板表
面に結合し、光感応性基を備えた分子を含む薄膜構成分
子の集合群からなる液晶配向膜を有する液晶表示装置の
製造方法であって、前記基板に配向膜形成用溶液を接触
させることにより、基板表面に結合した薄膜構成分子の
集合群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、前記基
板上に存在する未結合の分子を除去する除去工程と、前
記基板を熱処理することにより、前記薄膜構成分子の集
合群を再配向させて分子相互の関係を安定状態または準
安定状態にする熱処理工程と、前記基板に光を照射して
前記光感応性基同士を反応させ、少なくとも一部の分子
相互を結合固定させる光配向処理工程とを備えることを
特徴とする。
【0068】また、前記第1の目的を達成する為に、第
1発明群に係る他の液晶表示装置の製造方法は、一対の
基板間に液晶層を有し、両基板のうち少なくとも一方の
基板の内側には、基板表面に結合し、光感応性基を備え
た分子を含む薄膜構成分子の集合群からなる液晶配向膜
を有する液晶表示装置の製造方法であって、前記基板に
配向膜形成用溶液を接触させることにより、基板表面に
結合した前記薄膜構成分子の集合群からなる被膜を形成
する被膜形成工程と、前記基板上に存在する未結合の分
子を除去する除去工程と、前記基板を熱処理しながら、
前記基板に光を照射して前記光感応性基同士を反応さ
せ、少なくとも一部の分子相互を結合固定させる光配向
処理工程とを備えることを特徴とする。
【0069】前記各構成に於いて、前記熱処理工程は、
処理温度として薄膜構成分子が化学反応しない温度未満
で行うことができる。
【0070】また、前記各構成に於いて、前記熱処理工
程は、処理温度として薄膜構成分子の融点以上、化学反
応しない温度未満の範囲内で行うことができる。
【0071】また、前記各構成に於いて、前記配向膜形
成用溶液として、下記化学式(1)で表される官能基群
から選ばれる少なくとも1種の官能基を備えた分子から
なる化学吸着物質を含む溶液を使用することができる。
【0072】
【化10】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
基を表している。) 更に、前記光感応性基がカルコン骨格基またはシンナメ
ート骨格基である構成とすることができる。
【0073】また、前記各構成に於いて、前記光配向処
理工程が、所定の方向に偏光方向を有する偏光を照射す
る工程である構成とすることができる。
【0074】また、前記各構成に於いて、前記被膜形成
工程に於いて使用する前記薄膜形成用溶液は、複数種の
薄膜形成材料を含む構成とすることができる。
【0075】また、前記光配向処理工程により、光感応
性基を備えた分子のうち50%以上の分子が光感応性基
部で結合固定している構成とすることができる。
【0076】また、前記第1の目的を達成する為に、第
1発明群に係る更に他の液晶表示装置の製造方法は、一
対の基板間に液晶層を有し、両基板のうち少なくとも一
方の基板の内側には、光感応性基を側鎖として備えたポ
リマーからなる液晶配向膜を有する液晶表示装置の製造
方法であって、前記基板に配向膜形成用溶液を接触させ
てポリマー膜を形成する被膜形成工程と、前記基板を熱
処理することにより、前記光感応性基を再配向させて、
官能基相互の関係を安定状態または準安定状態にする熱
処理工程と、前記基板に光を照射して前記光感応性基同
士を反応させ、少なくとも一部の光感応性基相互を結合
固定させる光配向処理工程とを備えることを特徴とす
る。
【0077】また、前記第1の目的を達成する為に、第
1発明群に係る更に他の液晶表示装置の製造方法は、一
対の基板間に液晶層を有し、両基板のうち少なくとも一
方の基板の内側には、光感応性基を側鎖として備えたポ
リマーからなる液晶配向膜を有する液晶表示装置の製造
方法であって、前記基板に配向膜形成用溶液を接触させ
てポリマー膜を形成する被膜形成工程と、前記基板を熱
処理しながら、前記基板に光を照射して前記光感応性基
同士を反応させ、少なくとも一部の光感応性基相互を結
合固定させる光配向処理工程とを備えることを特徴とす
る。
【0078】前記各構成に於いて、前記熱処理工程は、
処理温度として薄膜構成分子が化学反応しない温度未満
で行うことができる。
【0079】また、前記各構成に於いて、前記熱処理工
程は、処理温度として薄膜構成分子の融点以上、化学反
応しない温度未満の範囲内で行うことができる。
【0080】更に、前記各構成に於いて、前記光感応性
基を備えたポリマーの主鎖にポリビニル、ポリシロキサ
ン及びポリイミドからなる群より選ばれる何れか1つを
有する構成とすることができる。
【0081】また、前記各構成に於いて、前記光配向処
理工程が、所定の方向に偏光方向を有する偏光を照射す
る工程である構成とすることができる。
【0082】また、前記各構成に於いて、前記被膜形成
工程に於いて使用する前記配向膜形成用溶液は、複数種
の配向膜形成材料を含む構成とすることができる。
【0083】ここで、前記構成を有した第1発明群に係
る液晶表示装置の製造方法の作用について述べる。
【0084】第1発明群に係る液晶表示装置の製造方法
によれば、薄膜構成分子の集合群からなる液晶配向膜を
有する場合、熱処理により薄膜構成分子を安定状態また
は準安定状態で配列させるので、光配向処理工程に於い
ては光反応率を向上させることができる。この結果、光
照射量を低減することができコストの抑制が図れると共
に、液晶配向能に優れた液晶配向膜を液晶表示装置を製
造することができる。即ち、ディスクリネーションや流
動配向等の配向欠陥を低減し、コントラスト等の表示品
位に優れた液晶表示装置の製造が可能となる。
【0085】また、熱処理をしながら露光工程を行う場
合にも、その熱処理により薄膜構成分子の分子振動を励
起状態とし、分子相互の邂逅する確率を増大させた状態
で露光を行うので、光反応を十分に起こさせることがで
きる。この結果、光反応率を向上できると共に、光照射
量も低減できコストを抑制して液晶表示装置を製造する
ことができる。
【0086】第1発明群に係る更に他の液晶表示装置の
製造方法によれば、光感応性基を側鎖として備えたポリ
マーからなる液晶配向膜を有する場合、熱処理により光
感応性基を安定状態または準安定状態で配列させるの
で、光配向処理工程に於いては光反応率を向上させるこ
とができる。この結果、光照射量を低減することができ
コストの抑制が図れると共に、液晶配向能に優れた液晶
配向膜を液晶表示装置を製造することができる。即ち、
ディスクリネーションや流動配向等の配向欠陥を低減
し、コントラスト等の表示品位に優れた液晶表示装置の
製造が可能となる。
【0087】また、熱処理をしながら露光工程を行う場
合にも、その熱処理によりポリマーの分子振動を励起状
態とし、光感応性基相互の邂逅する確率を増大させた状
態で露光を行うので、光反応を十分に起こさせることが
できる。この結果、光反応率を向上できると共に、光照
射量も低減できコストを抑制して液晶表示装置を製造す
ることができる。
【0088】[第2発明群]本願発明者等は、各種デバイ
スの製造プロセス中に発生する静電気の発生を抑制すべ
く鋭意検討した。その結果、各種のデバイスの製造に於
いて重要なプロセスでありながら、従来静電気対策が全
く成されていなかった薄膜形成に於いて、静電気が発生
しており、この静電気発生に起因して歩留まりの低下等
を招来していることを見出した。即ち、薄膜形成に於い
て、流体としての薄膜形成材料を基材上に塗布等する際
に、基材が帯電して静電気を発生する結果、静電破壊を
引き起こすことを見出した。第2の発明群は、かかる点
に着想を得て完成されたものである。
【0089】(1)薄膜 前記第2の目的を達成する為に、第2発明群に係る薄膜
は、基材上に結合された薄膜構成分子の集合群からなる
薄膜であって、前記薄膜は、下記化学式(1)で表され
る官能基群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有す
る分子群を、静電気除去をしながら該基材面に接触させ
ることにより、−O−A結合を介して結合させた後、前
記基材に結合されない前記分子を、静電気除去しながら
洗浄して得られたものであることを特徴とする。
【0090】
【化11】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
基を表している。) 前記の構成に於いて、前記薄膜は単分子膜である構成と
することができる。
【0091】(2)薄膜の製造方法 前記第2の目的を達成する為に、第2発明群に係る薄膜
の製造方法は、基材上に薄膜を形成する薄膜の製造方法
であって、前記基材上に薄膜形成材料を含む薄膜形成用
溶液を接触させる接触工程と、前記基材を洗浄する洗浄
工程とを有し、前記接触工程及び洗浄工程は、静電気を
除去しながら行うことを特徴とする。
【0092】また、前記第2の目的を達成する為に、第
2発明群に係る薄膜の製造方法は、基材上に薄膜を形成
する薄膜の製造方法であって、下記化学式(1)で表さ
れる官能基群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有
する化合物と有機溶媒とを含む薄膜形成用溶液を基材に
接触させる接触工程と、前記基材を洗浄する洗浄工程と
を有し、前記接触工程及び洗浄工程は、静電気を除去し
ながら行うことを特徴とする。
【0093】
【化12】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
基を表している。) 前記構成に於いて、電気放電によりイオン化気体を生成
するイオン化気体生成工程を有し、前記接触工程及び/
または洗浄工程は、前記イオン化気体生成工程にて生成
したイオン化気体を導入した環境下で行うことにより静
電気を除去することができる。
【0094】また、前記構成に於いて、前記接触工程及
び/または洗浄工程に於ける静電気の除去は、軟X線を
前記基材に照射して、基材近傍にイオンを発生させるこ
とにより行うことができる。
【0095】また、前記の構成に於いて、前記接触工程
は前記化合物を前記基材表面に結合固定させる工程であ
り、前記洗浄工程は前記基材上に存在する未結合の化合
物を除去して単分子膜状の薄膜を形成する工程である構
成とすることができる。
【0096】ここで、前記構成を有した第2発明群に係
る薄膜の製造方法の作用について述べる。
【0097】第2発明群に係る薄膜の製造方法に於いて
は、薄膜形成用溶液を基材表面に接触する際、及び基材
を洗浄する際に、基材等に蓄積した電荷(静電気)を除
去しながら行うので、例えば接触工程の場合に於いては
基材に対する薄膜形成用溶液の濡れ性が本来のものと異
なるのを防止できる。この結果、所望の膜厚の薄膜を形
成することができ、歩留まりの低下を抑制できる。更
に、空気中を浮遊する異物が静電気に起因して基材に吸
い寄せられ、清浄度が低下することも抑制できる。ま
た、洗浄工程の場合に於いても、洗浄剤の基材に対する
濡れ性が変化しないことから、洗浄能力を最大限に発揮
することができる。
【0098】また、薄膜形成用溶液が上記化学式(1)
で表される官能基群から選ばれる少なくとも1種の官能
基を有する化合物と有機溶媒とを含む場合には、静電気
の除電により薄膜形成用溶液の基材に対する濡れ性の変
化を抑制できることから、前記化合物が基材に化学吸着
する際の吸着速度が変化するのを抑制できる。この結
果、基材に対する吸着量を一定にすることができ、所望
の膜質の薄膜形成が可能となる。
【0099】(3)薄膜の製造装置 前記第2の目的を達成する為に、第2発明群に係る薄膜
の製造装置は、基材上に薄膜を形成する薄膜の製造装置
であって、前記基材上に薄膜形成材料を含む薄膜形成用
溶液を接触させる接触手段と、前記基材を洗浄する洗浄
手段とを備え、前記接触手段及び洗浄手段は、静電気を
除去する静電気除去手段を有していることを特徴とす
る。
【0100】また、前記第2の目的を達成する為に、第
2発明群に係る薄膜の製造方法は、基材上に薄膜を形成
する薄膜の製造装置であって、下記化学式(1)で表さ
れる官能基群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有
する化合物と有機溶媒とを含む薄膜形成用溶液を基材に
接触させる接触手段と、前記基材に未結合の化学吸着物
質を洗浄して除去する洗浄手段とを備え、前記接触手段
及び洗浄手段は、静電気を除去する静電気除去手段を有
していることを特徴とする。
【0101】
【化13】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
基を表している。) 前記構成に於いて、前記接触手段及び/または洗浄手段
を内部に設置可能な外気遮蔽手段を有し、前記静電気除
去手段は、前記外気遮蔽手段の外部に設置された、イオ
ン化気体を生成する生成部と、前記イオン化気体を前記
外気遮蔽手段内部に供給する供給部とを有する構成とす
ることができる。
【0102】また、前記構成に於いて、前記接触手段及
び/または洗浄手段を内部に設置可能な外気遮蔽手段を
有し、前記静電気除去手段は、前記外気遮蔽手段の内部
に所定の気体を供給する供給部と、前記基材に軟X線を
照射することにより、前記所定の気体をイオン化する軟
X線照射部とを有する構成とすることができる。
【0103】また、前記の構成に於いて、前記接触手段
は前記化合物を前記基材表面に結合固定させる手段であ
り、前記洗浄手段は前記基材上に存在する未結合の化合
物を除去して単分子膜状の薄膜を形成する手段である構
成とすることができる。
【0104】ここで、前記構成を有した第2発明群に係
る薄膜の製造装置の作用について述べる。
【0105】第2発明群に係る薄膜の製造装置によれ
ば、接触手段及び洗浄手段とが、基材等に蓄積した電荷
を除去する静電気除去手段を備えているので、薄膜形成
用溶液を基材に接触させる際、及び基材を洗浄する際に
静電気の除去を同時に行うことができる。これにより、
基材に対する薄膜形成用溶液の濡れ性が本来のものと異
なるのを防止でき、所望の膜厚の薄膜を形成できる等、
歩留まりの低下を抑制して薄膜の製造が可能となる。更
に、静電気に起因して異物が基材に吸い寄せられること
も抑制できるので、清浄度の高い薄膜の形成を製造でき
る。また、洗浄手段は静電気除去手段を備えていること
から、洗浄剤の基材に対する濡れ性の変化を抑制して極
めて効率よく基材の洗浄を行うことができる。
【0106】また、薄膜形成用溶液が上記化学式(1)
で表される官能基群から選ばれる少なくとも1種の官能
基を有する化合物と有機溶媒とを含む場合にも、静電気
の除電により薄膜形成用溶液の基材に対する濡れ性の変
化を抑制できることから、前記化合物が基材に化学吸着
する際の吸着速度が変化するのを抑制できる。この結
果、基材に対する吸着量を一定にすることができ、所望
の膜質の薄膜形成が可能となる。
【0107】(4)液晶表示装置 前記第2の目的を達成する為に、第2発明群に係る液晶
表示装置は、少なくとも何れか一方の内側に液晶配向膜
が設けられた一対の基板と、前記一対の基板間に設けら
れた液晶層とからなる液晶表示装置であって、前記液晶
配向膜は、下記化学式(1)で表される官能基群から選
ばれる少なくとも1種の官能基を有する分子群を、静電
気除去しながら該基板面に接触させることにより、−O
−A結合を介して結合させた後、前記基板に結合されな
い前記分子を、静電気除去しながら洗浄して得られたも
のであることを特徴とする。
【0108】
【化14】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
基を表している。) 前記の構成に於いて、前記液晶配向膜は単分子膜である
構成とすることができる。
【0109】(5)液晶表示装置の製造方法 前記第2の目的を達成する為に、第2発明群に係る液晶
表示装置の製造方法は、少なくとも何れか一方の内側に
液晶配向膜が設けられた一対の基板と、前記一対の基板
間に設けられた液晶層とからなる液晶表示装置の製造方
法であって、前記基板上に配向膜形成材料を含む配向膜
形成用溶液を接触させる接触工程と、前記基板を洗浄す
る洗浄工程とを有し、前記接触工程及び洗浄工程は、静
電気を除去しながら行うことを特徴とする。
【0110】また、前記第2の目的を達成する為に、第
2発明群に係る液晶表示装置の製造方法は、少なくとも
何れか一方の内側に液晶配向膜が設けられた一対の基板
と、前記一対の基板間に設けられた液晶層とからなる液
晶表示装置の製造方法であって、下記化学式(1)で表
される官能基群から選ばれる少なくとも1種の官能基を
有する化合物と有機溶媒とを含む配向膜形成用溶液を基
板に接触させる接触工程と、前記基板を洗浄する洗浄工
程とを有し、前記接触工程及び洗浄工程は、静電気を除
去しながら行うことを特徴とする。
【0111】
【化15】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
基を表している。) 前記構成に於いて、電気放電によりイオン化気体を生成
するイオン化気体生成工程を有し、前記接触工程及び/
または洗浄工程は、前記イオン化気体生成工程にて生成
したイオン化気体を導入した環境下で行うことにより静
電気を除去することができる。
【0112】また、前記構成に於いて、前記接触工程及
び/または洗浄工程に於ける静電気の除去は、軟X線を
前記基板に照射して、基板近傍にイオンを発生させるこ
とにより行うことができる。
【0113】また、前記の構成に於いて、前記接触工程
は前記化合物を前記基板表面に結合固定させる工程であ
り、前記洗浄工程は前記基板上に存在する未結合の化合
物を除去して単分子膜状の液晶配向膜を形成する工程で
ある構成とすることができる。
【0114】ここで、前記構成を有した第2発明群に係
る液晶表示装置の製造方法の作用について述べる。
【0115】第2発明群に係る液晶表示装置の製造方法
に於いては、配向膜形成用溶液を基板表面に接触する
際、及び基板を洗浄する際に、基板等に蓄積した電荷
(静電気)を除去しながら行うので、例えば基板上にT
FT等の回路が形成されている場合であっても、基板等
に蓄積した静電気が放電することにより、該TFT等の
静電破壊の発生を防止できる。この結果、歩留まりを低
減して液晶表示装置の製造が可能となる。更に、接触工
程の場合に於いては静電気を除去しながら行うので、基
板に対する配向膜形成用溶液の濡れ性が変化するのも防
止できる。この結果、所望の膜厚の配向膜を形成するこ
とができ、歩留まりの低下を抑制できる。また、濡れ性
の変化の防止は、基板上に化学吸着物質を化学吸着させ
る場合には、吸着速度が変化するのを防止するので、所
望の膜厚を有する液晶配向膜を形成することができる。
更に、空気中を浮遊する異物が静電気に起因して基板に
吸い寄せられ、清浄度が低下することも抑制できる。ま
た、洗浄工程の場合に於いても、洗浄剤の基板に対する
濡れ性が変化しないことから、洗浄能力を最大限に発揮
することができる。これにより、線欠陥等が視認されず
良好な画像表示の可能な液晶表示装置を歩留まりよく製
造することができる。
【0116】また、配向膜形成用溶液が上記化学式
(1)で表される官能基群から選ばれる少なくとも1種
の官能基を有する化合物と有機溶媒とを含む場合には、
静電気の除電により配向膜形成用溶液の基板に対する濡
れ性の変化を抑制できることから、前記化合物が基板に
化学吸着する際の吸着速度が変化するのを抑制できる。
この結果、基板に対する吸着量を一定にすることがで
き、所望の膜質の配向膜形成が可能となる。
【0117】(6)液晶表示装置の製造装置 前記第2の目的を達成する為に、第2発明群に係る液晶
表示装置の製造装置は、少なくとも何れか一方の内側に
液晶配向膜が設けられた一対の基板と、前記一対の基板
間に設けられた液晶層とからなる液晶表示装置の製造装
置であって、前記基板上に配向膜形成材料を含む配向膜
形成用溶液を接触させる接触手段と、前記基板を洗浄す
る洗浄手段とを備え、前記接触手段及び洗浄手段は、静
電気を除去する静電気除去手段を有していることを特徴
とする。
【0118】前記第2の目的を達成する為に、第2発明
群に係る液晶表示装置の製造装置は、少なくとも何れか
一方の内側に液晶配向膜が設けられた一対の基板と、前
記一対の基板間に設けられた液晶層とからなる液晶表示
装置の製造装置であって、下記化学式(1)で表される
官能基群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する
化合物と有機溶媒とを含む配向膜形成用溶液を前記基板
に接触させる接触手段と、前記基板に未結合の化学吸着
物質を洗浄して除去する洗浄手段とを備え、前記接触手
段及び洗浄手段は、静電気を除去する静電気除去手段を
有していることを特徴とする。
【0119】
【化16】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
基を表している。) 前記の構成に於いて、前記接触手段及び/または洗浄手
段を内部に設置可能な外気遮蔽手段を備え、前記静電気
除去手段は、前記外気遮蔽手段の外部に設置された、イ
オン化気体を生成する生成部と、前記イオン化気体を前
記外気遮蔽手段内部に供給する供給部とを備える構成と
することができる。
【0120】また、前記の構成に於いて、前記接触手段
及び/または洗浄手段を内部に設置可能な外気遮蔽手段
を備え、前記静電気除去手段は、前記外気遮蔽手段の内
部に所定の気体を供給する供給部と、前記基板に軟X線
を照射することにより、前記所定の気体をイオン化する
軟X線照射部とを備える構成とすることができる。
【0121】また、前記の構成に於いて、前記接触手段
は前記化合物を前記基板表面に結合固定させる手段であ
り、前記洗浄手段は前記基板上に存在する未結合の化合
物を除去して単分子膜状の液晶配向膜を形成する手段で
ある構成とすることができる。
【0122】ここで、前記構成を有した第2発明群に係
る液晶表示装置の製造装置の作用について述べる。
【0123】第2発明群に係る液晶表示装置の製造装置
によれば、接触手段及び洗浄手段とが、基板等に蓄積し
た電荷を除去する静電気除去手段を備えているので、配
向膜形成用溶液を基板に接触させる際、及び基板を洗浄
する際に静電気の除去を同時に行うことができる。これ
により、基板に対する配向膜形成用溶液の濡れ性が本来
のものと異なるのを防止でき、所望の膜厚の液晶配向膜
を形成できる等、歩留まりの低下を抑制して液晶表示装
置の製造が可能な製造装置を提供できる。更に、静電気
に起因して異物が基板に吸い寄せられることも抑制でき
るので、清浄度の高い配向膜の形成を製造できる。ま
た、洗浄手段は静電気除去手段を備えていることから、
洗浄剤の基板に対する濡れ性の変化を抑制して極めて効
率よく基板の洗浄を行うことができる。
【0124】また、配向膜形成用溶液が上記化学式
(1)で表される官能基群から選ばれる少なくとも1種
の官能基を有する化合物と有機溶媒とを含む場合にも、
静電気の除電により配向膜形成用溶液の基板に対する濡
れ性の変化を抑制できることから、前記化合物が基板に
化学吸着する際の吸着速度が変化するのを抑制できる。
この結果、基板に対する吸着量を一定にすることがで
き、所望の膜質の配向膜を備えた液晶表示装置の製造が
可能な製造装置を提供することができる。
【0125】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)本実施の形態1
は、第1発明群に対応する。
【0126】本実施の形態1に於いては、光感応性官能
基(以下、光感応性基と言う)を備えた吸着分子(薄膜
構成分子)が基材表面に化学吸着すると共に、吸着分子
同志が光感応性基部で架橋結合されてなる単分子膜状の
有機薄膜を例にして詳述する。
【0127】図1は、単分子膜状の有機薄膜に於ける薄
膜構成分子の分子配向状態を模式的に示した説明図であ
る。同図(c)に示すように、有機薄膜としての単分子
膜101は、長軸方向の一端(吸着部位)を基材102
上に結合させ、他端を基材102と離れる方向に突出さ
せた薄膜構成分子103…が2次元的に配列した単分子
膜状の化学吸着膜である。各薄膜構成分子103…は、
相互に立体的位置関係が準安定状態となる様に配向して
おり、分子配向秩序が安定している。更に、個々の薄膜
構成分子103…同士は光感応性基部で架橋結合されて
いる。
【0128】ここで、単分子膜は分子の集合状態を2次
元的にしたものであり、薄膜構成分子の集合状態が整然
と配向しているか否かによって膜構造が異なってくる。
更に、膜構造が異なると膜の物性も変化する。本実施の
形態の様に、薄膜構成分子を準安定状態となる様にして
配向させることにより、同一の薄膜構成分子からなる単
分子膜と比較して、膜の欠陥密度を低減できる。更に、
膜固有の物性に起因する膜機能を向上させ、また新たな
機能を発現させることも可能である。その上、単分子膜
を複数層に累積させた累積膜を形成したい場合にも、一
層規則正しい配列を可能とする。
【0129】特に、本実施の形態に係る単分子膜101
を液晶配向膜に適用した場合、単分子膜101は極めて
良好な液晶配向性を示す。即ち、通常の単分子膜状の液
晶配向膜であると、膜を構成する分子はランダムに乱れ
た状態で配向している為(非安定状態)、液晶分子も配
向が乱れる。これは、液晶分子が薄膜構成分子103…
の基材102に対する傾きや方位等に合致したプレチル
ト角及び配向方位となる様に配向規制される為である。
これに対して、本実施の形態に係る単分子膜101であ
ると、薄膜構成分子103は整然と所定の方向に準安定
状態で配向しているので、液晶も配列が乱れることなく
安定的にかつ均一に配向規制できる。
【0130】また、本実施の形態に係る単分子膜101
は、単分子膜状の薄膜からなるものであるので極めて薄
い(例えば、50nm以下程度)。よって、液晶セルを
形成した際にもセルギャップが増大せず、また配向膜が
光透過や液晶駆動電界を殆ど阻害しない。
【0131】前記薄膜構成分子103は、下記化学式
(1)で表される官能基群から選ばれる何れか少なくと
も1種の官能基を備えた吸着分子が基材102表面に化
学吸着したものである。
【0132】
【化17】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
ジルコニウムからなる群より選ばれる1種の原子を表
し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシアネート基
からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を表し
ている。) 前記した官能基を吸着分子が有していると、この吸着分
子と基材102表面に存在する活性水素を備えた表面官
能基とを反応させることができ、これにより化学吸着が
可能となる。この結果、各々の薄膜構成分子103…が
該基材102表面に強固に結合固定できるので、密着性
及び耐剥離性等に優れた薄膜とすることができる。例え
ば、吸着分子が−AX3基を備え、基板表面にヒドロキ
シル基(OH基)が存在する場合、−AX基とOH基と
の間でHXが脱離して−A−O−結合することにより化
学吸着する。
【0133】前記薄膜構成分子103としては、以下に
列挙する官能基が前記化学式(1)で示される官能基群
から選ばれる何れか1種の官能基と連結して構成され
る。
【0134】1.メチル基、エチル基、n−プロピル
基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、
n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−
デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−ト
リデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル
基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オ
クタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、
フェニル基等の炭化水素基。
【0135】2.前記1の炭化水素基の一部に炭素・炭
素二重結合若しくは炭素・炭素三重結合を含む炭化水素
基。
【0136】3.前記1及び2の炭化水素基における水
素が他の官能基(例えば、メチル基、エチル基、ハロゲ
ン化メチル基、水酸基、シアノ基、アミノ基、イミノ
基、カルボキシル基、エステル基、チオール基、アルデ
ヒド基等)及び/または原子(例えば、F、Cl、B
r、I等)に置換された官能基。
【0137】4.前記1及び2の炭化水素基におけるC
−C(カルボニール)結合の一部がC−O−C(エーテ
ル)結合、C−CO−C(カルボニル)結合、またはC
=N結合に置換された官能基。
【0138】また、前記光感応性基としては、カルコン
骨格基、シンナメート骨格基等が例示できる。更に、こ
れらの官能基に他の官能基を付加することにより、所望
の波長に吸収性を示す薄膜材料物質の設計が可能とな
る。
【0139】前記基材102としては、その表面に活性
水素を有する表面官能基が露出しているものが使用でき
る。具体的には、例えばガラス基板、樹脂基板等が挙げ
られる。また、活性水素を有する表面官能基としては、
前記した水酸基の他に、カルボキシル基、スルフィン酸
基、スルフォン酸基、リン酸基、亜リン酸基、チオール
基、アミノ基等が挙げられる。更に、前記官能基の活性
な水素が、それぞれアルカリ金属、アルカリ土類金属で
置換された官能基であってもよい。また、前記基材表面
に活性な水素を有する官能基が存在しないか、若しくは
それが少ない場合には、UV/オゾン処理、酸素プラズ
マ処理、エキシマUV処理、過マンガン酸カリウム処理
等の化合物酸化剤処理を施すことにより、基材表面を改
質して前記官能基を導入し、或いはその数を増やすこと
が適当である。
【0140】次に、有機薄膜が単分子膜である場合の製
造方法について説明する。
【0141】先ず、化学吸着物質(膜材料物質)を含む
化学吸着溶液を調製した後、基材102表面に化学吸着
溶液を接触させる(被膜形成工程)。この被膜形成工程
は、相対湿度35%以下の乾燥雰囲気中、例えば乾燥空
気、乾燥窒素または乾燥ヘリウム中で行うのが好まし
い。また接触させる方法としては、化学吸着溶液を基材
に塗布する方法、当該溶液中に基材を浸漬する方法、化
学吸着溶液を揮発させることにより、化学吸着物質を基
材表面に接触させ気相反応により薄膜を形成する方法等
が挙げられる。
【0142】続いて、洗浄剤を用いて基材102上に残
存している未反応の化学吸着物質を除去する(洗浄工
程)。但し本工程は、前記した被膜形成工程と同様、相
対湿度35%以下の乾燥雰囲気中で行う必要がある。な
ぜならば、未吸着分子が空気中の水分と反応する等して
白濁するからである。前記洗浄剤としては、特に限定さ
れるものではないが、化学吸着物質が可溶性を示す非水
系の溶媒を使用するのが好ましい。具体的には、例えば
トルエン、キシレン、クロロホルム、MEK(メチルエ
チルケトン)、エタノール、アセトン、NMP(N−メ
チル−2−ピロリジノン)等が挙げられる。また、前記
洗浄工程の後、必要に応じて前記洗浄剤を除去する為に
リンス工程を行ってもよい。更に、リンス工程に於いて
使用したリンス剤を除去する為、乾燥工程を行ってもよ
い。これにより、単分子膜101’が基材102上に形
成される。尚、単分子膜101’の膜構造は、図1
(a)に示す様に、薄膜構成分子103…がそれぞれラ
ンダムに、種々の方向に配向した状態になっている。
【0143】更に、前記単分子膜101’の膜構造を変
化させる為、基材102を所定の処理温度にて熱処理す
る(熱処理工程)。この熱処理により、基材102上の
薄膜構成分子103…の膜分子運動は活発化し、製膜直
後のランダムな状態から、近接する分子間の立体的位置
関係が適度な間隔となる様に分子配向した、安定状態ま
たは準安定状態に変化させる。
【0144】ここで、前記処理温度は特に限定されるも
のではなく、有機薄膜の膜材料物質に応じて適宜設定す
ればよいが、化学反応をしない温度以下で熱処理するの
が好ましい。更に前記処理温度としては、膜材料物質の
融点以上、化学反応をしない温度以下の範囲内であるこ
とがより好ましい。化学反応をしない温度とは、薄膜構
成分子103が分解しない温度、または薄膜構成分子1
03…同士が結合(例えば、脱水等)しない温度を言
う。前記範囲内であると、薄膜構成分子103…の相互
の関係が安定状態または準安定状態にできる。
【0145】続いて、熱処理された前記基材102を徐
冷する(徐冷工程)。これにより、活発な膜分子運動を
行っていた薄膜構成分子103は基底状態に回帰し、図
1(a)に示す様に、分子配向秩序が安定状態または準
安定状態の単分子膜101’を製膜することができる。
【0146】次に、薄膜構成分子103の光感応性基を
選択的に光反応させる為に露光工程を行う。これによ
り、基板表面の薄膜構成分子103…同志を特定方向に
架橋結合させることができ、薄膜構成分子103の配向
を固定させることができる。この結果、熱的安定性や化
学的安定性等の向上が図れる。
【0147】また、本工程は、所定の時間間隔をおい
て、単分子膜101’の同一領域に偏光を複数回照射し
てもよい。これにより、照射に伴う光エネルギーの付与
によって基材温度が上昇するのを防止できる。更に、本
工程は、基材に対する入射角や照射量を変えて複数回の
偏光照射を行うことも可能である。これにより、例えば
有機薄膜を液晶配向膜として使用した場合には、配向規
制する液晶分子のプレチルト角を所望の角度に制御でき
る。この場合、本工程は、液晶分子を所望の方向に配向
させる為に液晶配向膜に対して行う光配向処理工程とな
る。
【0148】尚、参考までに述べると、液晶分子のプレ
チルト角は表示モードにより種々異なり、例えばTN
(Twisted Nematic)用であればプレチルト角が3°〜
5°程度であり、STN(Super Twisted Nematic)用
であれば7°〜10°程度であり、IPS(In-Plane S
witching)用であれば0°〜1°程度である。一方、液
晶分子をホメオトロピック配向させたい場合には、液晶
分子のプレチルト角は88°〜90°程度である。プレ
チルト角の実用的な値としては5°〜88°程度である
が、本発明に於いては、露光条件を種々変更して前記露
光工程を行うことにより、プレチルト角を容易に制御で
きる。更に、ラビング処理において問題となっていた有
機薄膜表面の劣化やダストの発生も防止できる。
【0149】また、本工程で使用する光は、直線偏光で
あってもよい。更に、本工程で使用する光の波長域は、
200〜450nmの範囲内であればよく、より好まし
くは250nm以上、更に好ましくは300nm以上で
ある。これは、光照射による主反応が架橋反応や重合反
応である場合、照射光の波長が短過ぎると、反対に副反
応として分解反応が起き易くなるからである。よって、
膜材料物質としては、前記波長域で光吸収性を示し、光
反応を容易に起こす物質を選択するのが適当である。
【0150】以上の様に、本実施の形態に係る有機薄膜
の製造方法は、製膜直後の有機薄膜に熱処理を施すこと
により、同一の薄膜材料物質からなる単分子膜と比較し
て耐剥離性等の耐久性に優れ、膜機能を最大限に発揮で
きる有機薄膜を形成することができる。
【0151】(実施の形態2)本実施の形態2は、第1
発明群に対応する。
【0152】本実施の形態2に係る有機薄膜は、前記実
施の形態1の有機薄膜と基本的には同様の膜構造を有す
る。しかし、その製造方法に於いては、熱処理をしなが
ら露光工程を行う点で、熱処理工程の後、露光工程を行
う前記実施の形態1ー1とは相違する。
【0153】図2(a)は熱処理前の薄膜構成分子の分
子配向状態を示し、同図(b)は熱処理をしながら露光
しているときの分子配向状態を示し、同図(c)は露光
後の分子配向状態を示す。
【0154】先ず、前記実施の形態1と同様にして、化
学吸着物質を含む化学吸着溶液を基材102表面に接触
させて接触工程を行った後、洗浄剤を用いて基材102
上に残存している未反応の化学吸着物質を除去する(洗
浄工程)。このとき、図2(a)に示すように、単分子
膜111’は、薄膜構成分子113…がそれぞれランダ
ムに、種々の方向に配向した状態になっている。
【0155】更に、前記単分子膜111’の膜構造を変
化させる為、基材102を所定の処理温度にて熱処理す
ると共に、露光工程を行う。この熱処理により、薄膜構
成分子113…の分子振動は活発化し、分子相互が邂逅
する確率を増大させることができる。この様な分子のエ
ネルギーの高い振動状態で露光すると、各薄膜構成分子
113…に於ける光感応性基の邂逅する確率も高まるの
で、わずかな光照射で光反応を十分に起こさせることが
できる。この結果、光反応率を向上できると共に、光照
射量も低減できコストの低減が図れる。
【0156】(実施の形態3)本実施の形態1は、第1
発明群に対応する。
【0157】本実施の形態3に於いては、有機薄膜がポ
リマー膜である場合について述べる。
【0158】図3は、ポリマーからなる有機薄膜の膜構
造を模式的に示した説明図である。同図(c)に示すよ
うに、本実施の形態3に係るポリマー膜104は、鎖状
高分子105間で架橋し、及び/または物理的に絡み合
い、それらが2次元的にまたは3次元的に広がった構造
のポリマー膜である。更に、鎖状高分子105には、同
図(d)に示す様に、主鎖から枝分かれした側鎖として
の光感応性基(機能性官能基)106…が結合してい
る。この光感応性基106…は、相互に立体的位置関係
が安定状態または準安定状態となる様に、膜表面側また
は膜の内部側に揃って配向している。この結果、膜固有
の物理的性質を最大限に発揮可能な有機薄膜とすること
ができる。
【0159】前記鎖状高分子105は、その主鎖にポリ
ビニル、ポリシロキサンまたはポリイミドの何れか1つ
を有している。また、光感応性基106としては、前記
単分子膜の説明の際に列挙したのと同様の官能基が例示
できる。例えば、撥水性基を有するポリマー膜104と
しては、ポリフルオロメチルシロキサン等が挙げられ
る。また、親水性基を有するものとしては、ポリビニル
アルコール等が挙げられる。更に、ポリマー膜104と
してアルキルポリイミド等を使用すれば、良好な液晶配
向性を有する液晶配向膜として使用することができる。
【0160】次に、ポリマー膜104の製造方法につい
て説明する。
【0161】先ず、膜材料物質を含む塗布液を基材10
7上に塗布する等してポリマー膜104’を形成する
(被膜形成工程)。ポリマー膜104’の膜構造は、図
3(a)及び(b)に示す様に、鎖状高分子105に結
合している光感応性基106…がランダムに、種々の方
向に配向した状態になっている。
【0162】次に、前記ポリマー膜104’の膜構造を
変化させる為、基材107を所定の処理温度にて熱処理
する(熱処理工程)。この熱処理により、ポリマー膜1
04’に於ける鎖状高分子105の膜分子運動(分子振
動)は活発化し、光感応性基106…は製膜直後のラン
ダムな配向状態から、近接する分子間の立体的位置関係
が等間隔に、かつ膜表面側または膜の内側に揃って配向
した安定状態または準安定状態に変化させる。処理温度
は、前記実施の形態1と同様に、有機薄膜の膜材料物質
に応じて適宜設定すればよいが、膜材料物質の融点以
上、かつ膜構造中で脱水等の化学反応をしない温度以下
の範囲内で熱処理するのが好ましい。
【0163】続いて、熱処理された前記基材107を徐
冷する(徐冷工程)。これにより、活発な膜分子運動を
行っていた鎖状高分子105は基底状態に回帰し、図3
(b)に示す様に、配向秩序が安定状態または準安定状
態のポリマー膜104を製膜することができる。
【0164】次に、光感応性基106を選択的に光反応
させる為に露光工程を行う。これにより、光感応性基1
06…同志を特定方向に架橋結合させることができる。
ここで、ポリマー膜104に於ける光感応性基106
は、上記した熱処理工程を行うことにより、安定状態ま
たは準安定状態となっているので、光反応を起こしやす
く、この結果光反応率を大幅に向上できると共に、光照
射量も低減できコストの抑制を図ることができる。
【0165】(実施の形態4)本実施の形態1は、第1
発明群に対応する。
【0166】本実施の形態4に係る有機薄膜は、前記実
施の形態3の有機薄膜と基本的には同様の膜構造を有す
る。しかし、その製造方法に於いては、熱処理をしなが
ら露光工程を行う点で、熱処理工程の後、露光工程を行
う前記実施の形態1ー3とは異なっている。
【0167】図4(a)は熱処理前の薄膜構成分子の分
子配向状態を示し、同図(b)は熱処理をしながら露光
しているときの分子配向状態を示し、同図(c)は露光
後の分子配向状態を示す。
【0168】先ず、前記実施の形態3と同様にして、膜
材料物質を含む塗布液を基材107上に塗布する等して
ポリマー膜104’を形成する(被膜形成工程)。ポリ
マー膜104’の膜構造は、図4(a)及び(b)に示
す様に、鎖状高分子105に結合している光感応性基
(機能性官能基)106…がランダムに、種々の方向に
配向した状態になっている。
【0169】更に、基材107を所定の処理温度にて熱
処理すると共に、露光工程を行う。この熱処理により、
鎖状高分子105の膜分子運動(分子振動)は活発化
し、光感応性基106相互が邂逅する確率を増大させる
ことができる。この様な分子のエネルギーの高い振動状
態で露光すると、鎖状高分子105に於ける光感応性基
106の邂逅する確率が高いので、光反応を十分に起こ
させることができる。この結果、光反応率を大幅に向上
できると共に、光照射量も低減できコストの抑制が図れ
る。
【0170】(その他の事項)尚、前記実施の形態1及
び実施の形態2に於いては、光感応性基を備えた薄膜構
成分子の集合群からなる単分子膜状の有機薄膜について
述べた。また、前記実施の形態3及び実施の形態4に於
いては、光感応性基を備えた鎖状高分子からなるポリマ
ー状の有機薄膜について述べた。しかし、本発明はこれ
に何ら限定されるものではない。即ち、前記薄膜構成分
子103または鎖状高分子105は、光感応性基以外に
も各種の機能性官能基を備えた機能性分子であってもよ
い。例えば、従来公知の官能基を導入することにより、
例えば導電性、磁性、誘電性、焦電性、光導波性、イオ
ン伝導性、撥水性、親水性等の膜機能を持たせることが
できる。この様な膜機能を付与する機能性官能基として
は、撥水性基、親水性基、導電性基等が例示できる。例
えば、薄膜構成分子103が膜表面側の一端に撥水性基
を備えている場合、同様の薄膜材料を用いて製膜した場
合であっても、従来の薄膜と比較して極めて撥水性の高
い有機薄膜とすることができる。これは、各薄膜構成分
子103…が準安定状態で整然と配向している結果、殆
どの撥水性基が膜表面側に露出させることができたから
であり、従来の有機薄膜の様に膜を構成する分子が配向
の乱れた状態で吸着している場合と比較して、撥水性基
の露出の割合が非常に高いことに起因する。
【0171】また、前記実施の形態1及び実施の形態3
に於いては、熱処理工程の後徐冷工程を行う態様につい
て説明したが本発明は、これに限定されるものではな
く、徐冷を行わずに露光工程を行ってもよい。この場
合、薄膜構成分子またはポリマーの分子振動は励起状態
を維持し、或いは基底状態への回帰の途中にある為、光
感応性基同士が邂逅する確率が高くなっている。この様
な状態で露光工程を行うと、光反応率を大幅に向上でき
ると共に、光照射量を低減でき製造コストの低減が図れ
る。
【0172】更に、本発明に係る薄膜の製造方法である
と、光感応性基を備えた薄膜構成分子の集合群からなる
薄膜や、光感応性基を側鎖として備えるポリマーからな
る薄膜の場合、露光工程に於ける光反応率を大幅に向上
できることは、前記各実施の形態に於いて既に述べた
が、その具体的数値は概ね50%以上である。
【0173】(実施の形態5)本実施の形態5は、第2
発明群に対応する。
【0174】本発明に係る薄膜の製造方法は、基材上に
薄膜を形成するプロセスに於いて、該基材等に発生する
静電気の除電を同時に行う点に特徴がある。本発明に於
いて基材上に薄膜を形成するプロセスとは、薄膜形成用
溶液を基材表面に接触させる接触工程と、基材を洗浄す
る洗浄工程とを含む一連の工程を意味する。
【0175】前記接触工程としては、基材を薄膜形成用
溶液中に浸漬する浸漬法、基材に対して薄膜形成用溶液
を霧状に噴霧するスプレー法、水平にした基材上に薄膜
形成用溶液を滴下し基材を回転させることにより、基材
上に均一に塗布するスピンコート法、ロール表面に薄膜
形成用溶液を塗布し、水平にした基材上でロールを移動
させることにより基材上に転写するロールコート法、薄
膜形成用溶液を基材上に転写する印刷法、ディスペンサ
を用いて基材上に塗布する描画法等を採用することがで
きる。
【0176】前記薄膜形成用溶液は、薄膜形成材料が溶
媒に溶解したものを意味する。薄膜形成材料としては特
に限定されるものではなく、従来公知の材料物質を採用
することができる。例えば、化学吸着物質を用いてもよ
い。この場合、化学吸着物質を溶解させる溶媒としては
有機溶媒が好ましい。また、化学吸着物質としては、活
性水素を有する官能基に対して反応性を有する官能基を
備えている化合物を採用することができる。活性水素を
有する官能基に対して反応性を有する官能基とは、具体
的には下記一般式(1)で表される官能基である。
【0177】
【化18】 (式中、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
原子を表しており、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイ
ソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種
の官能基を表している。) ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIを意味する。ま
た、前記活性水素を有する官能基とは、例えばヒドロキ
シル基、カルボキシル基、スルフィン酸基、スルフォン
酸基、リン酸基、亜リン酸基、チオール基、アミノ基等
を意味する。
【0178】前記基材としては、ガラス、金属、セラミ
ックス、プラスチック、木材、石材、繊維、紙、及び高
分子樹脂等からなる何れか1種の材料に適用できる。
【0179】また、前記基材表面に存在する活性水素を
有する官能基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル
基、スルフィン酸基、スルフォン酸基、リン酸基、亜リ
ン酸基、チオール基、アミノ基等が例示できる。
【0180】ここで、薄膜形成材料として前記の化学吸
着物質を使用する場合、本工程は乾燥雰囲気下で行うの
が好ましい。前記一般式(1)で表される官能基は大気
中に存在する水分に対しても極めて高い反応性を示すの
で、通常雰囲気下で行えば基材上に存在するOH基と反
応する前に大気中の水と反応するからである。またこの
場合、基材としては、その表面に活性水素を有する官能
基が存在するものを使用するのが好ましい。但し、その
様な官能基が存在しない基材であっても、従来公知の親
水化処理等を行えば使用可能である。
【0181】接触工程に於ける静電気の発生は、浸漬法
の場合、薄膜形成用溶液中に基材を浸漬させた後、該薄
膜形成用溶液から基材を引き上げる際等に起こる。これ
は、基材表面と、その表面を流動する薄膜形成用溶液と
の間で摩擦電気が発生する為である。またロールコート
法の場合には、基材上をロールが移動する際に、基材と
ロールとの間で摩擦電気が発生して帯電する。更にスピ
ンコート法の場合には、薄膜形成用溶液を滴下した基材
を回転させる際に、基材の回転に伴う遠心力の発生によ
り薄膜形成用溶液が基材上を流動することにより、薄膜
形成用溶液と基材との間で摩擦電気が発生し、これによ
り基材や薄膜形成用溶液、接触工程を行っている雰囲気
中等に電荷が蓄積されることとなる。基材及び薄膜形成
用溶液等に蓄積される電荷の量は、薄膜形成用溶液の粘
度や基材上を流動する際の流動速度(浸漬法の場合に於
いては基材の引き上げ速度)等に左右され、粘度や流動
速度が大きい程基材に蓄積される電荷量も大きくなる。
特に、液晶表示ディスプレイ用のガラス基板や樹脂基板
の様に、誘電率の高い基材の場合には、静電気の発生は
顕著である。
【0182】前記した接触工程に於いて発生する静電気
の除電としては、基材等の電荷を中和させる方法、基材
等の電荷を分散または漏洩させる方法を採用することが
できる。
【0183】前者の電荷を中和させる方法とは、荷電粒
子を、除電対象物としての帯電した基材等に接触させる
ことにより中和し、静電気の除去を行う方法である。こ
の方法は、例えばスピンコータの様に、除電対象物とし
ての基材が回転する等アースに接続するのが困難な場合
に特に有用である。前記荷電粒子としては、例えば空
気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンまたはそれらの
混合気体を、電離状態にした原子または分子が例示でき
る。但し、通常の湿度を有する空気をイオン化したイオ
ン化空気は、本発明の荷電粒子に含まない。イオン化空
気にはOH-が豊富に含まれており、化学吸着物質はこ
のOH-と反応して、基材に化学吸着させることが困難
となるからである。
【0184】荷電粒子の発生方法としては、コロナ放電
式、軟X線照射式等が例示できる。例えばコロナ放電に
よる場合、放電用電極に電圧を印加することによって該
放電用電極に正及び負のイオンを発生させ、窒素やヘリ
ウム等の所定の気体と同伴させることによりイオン化気
体を生成する(イオン化気体生成工程)。更に、このイ
オン化気体を基材に吹き付ける。これにより、帯電した
基材の除電を行う。また、軟X線照射による場合、除電
対象物としての基材等近傍を少なくとも所定の気体雰囲
気下としておき、この基材に軟X線を照射する。このと
き基材近傍の安定状態にある気体から、軟X線の有する
電離作用により照射範囲内でイオンが生成する。そし
て、この生成イオンが帯電した基材を中和し除電を行
う。
【0185】後者の電荷を分散または漏洩させる方法と
しては、接地(アース)させる方法が例示できる。例え
ば浸漬法に於いて、薄膜形成用溶液を満たす容器をアー
スに接続することにより静電気除去が可能となる。
【0186】前記洗浄工程は、例えば単分子膜状の化学
吸着膜を形成する場合に、基材に未吸着の化学吸着物質
を除去する為に行う。具体的には、洗浄剤を満たした洗
浄槽に基材を浸漬して洗浄する方法や、基材表面を洗浄
剤で洗い流す方法等が例示できる。また、本工程に於い
て行う静電気の除電方法としては、前述と同様の方法を
採用することができる。
【0187】以上の様に、本実施の形態に係る有機薄膜
の製造方法によれば、基材の薄膜形成用溶液に対する濡
れ性が本来のものと違ってくるのを防止できる。この結
果、基材表面に化学吸着物質を吸着させる際の吸着速度
が変化するのを抑制し、所望の膜質を有する有機薄膜の
形成が可能となる。また、基材の洗浄剤に対する濡れ性
の変化も抑制できるので、洗浄剤の洗浄力が変化するの
を防止できる。この結果、基材表面を所望の清浄度にで
きる等、清浄性の制御が可能となり、機能性に優れた有
機薄膜の形成が可能となる。更に、除電をすることによ
り、空気中の浮遊物その他の異物が付着するのも防止で
きる。
【0188】また、例えば基材がTFT(Thin Film Tr
ansistor)等の素子が設けられた液晶表示装置用のガラ
ス基板等である場合、前記製造方法は特に有用である。
即ち、絶縁体であるガラス基板は帯電し易いので、その
放電によりTFT等の素子が破壊される。しかしなが
ら、接触工程に於いて除電を同時行うことにより、前記
した静電破壊を防止することができる。この結果、液晶
表示装置の製造の歩留まりを向上させることができる。
【0189】また本発明は、薄膜の製造方法に用いる薄
膜の製造装置にも関する。該薄膜の製造装置は、その主
要構成要素として、基材上に薄膜形成用溶液を接触させ
る接触手段と、不要な薄膜形成用溶液を洗浄する洗浄手
段とを有している。更に、接触手段及び洗浄手段は、帯
電した基材の除電を行う静電気除去手段を備えている。
【0190】更に、本発明に係る製造装置は、接触手段
及び洗浄手段を内部に設置可能な外気遮蔽手段を備えて
いてもよい。この外気遮蔽手段は、外気を遮断し、かつ
内部の相対湿度を所定の値に維持可能なものであれば特
に限定されるものではない。具体的には、チャンバー等
が例示できる。更に、外気遮蔽手段には、内部の相対湿
度を所定の値に制御する湿度制御装置を設けてもよい。
これにより、単分子膜状の化学吸着膜を形成する等、乾
燥雰囲気下での製膜を要する場合にも適用できる。
【0191】前記接触手段としては、例えばディップコ
ータ、スピンコータ、ロールコータ、印刷装置、ディス
ペンサ方式による描画装置、薄膜形成用溶液を霧状に噴
霧可能な噴霧装置等が例示できる。
【0192】更に、接触手段が備えている前記静電気除
去手段としては、基材等に蓄積した電荷を中和する手
段、または基材等に蓄積した電荷を分散若しくは漏洩さ
せる手段が例示できる。
【0193】電荷を中和する手段としては、例えば外気
遮蔽手段の外部に設置され、正及び負のイオン化気体を
発生させる生成部と、このイオン化気体を基材を外気遮
蔽手段内部に供給する供給部とを有するイオン化気体供
給型イオナイザが例示できる。更に、イオン化気体を発
生させる生成部としては、例えばコロナ放電式のイオン
発生器等が例示できる。また、供給部としては、ファン
等で所定の気体を送風することによりイオンを伴った気
体、即ちイオン化気体を外気遮蔽手段内部に供給するも
のが例示できる。
【0194】イオン化気体の生成部を外気遮蔽手段の外
部に設置したのは、爆発の危険を回避し安全性を確保す
る為である。即ち、外気遮蔽手段内部は通常、接触工程
で使用する薄膜形成用溶液に於ける有機溶媒や、洗浄工
程で使用する洗浄剤としての有機溶媒が揮発し、有機溶
媒の雰囲気下となっている。そして、有機溶媒が可燃性
物質である場合には、上記したコロナ放電式イオン発生
装置等を系内で使用すると、スパークにより爆発する危
険がある。この為、放電電気を利用してイオン化気体を
生成させる場合には、イオン化気体の生成部を外気遮蔽
手段の外部に設置している。よって、前記したイオン化
気体供給型イオナイザを静電気除去手段として用いれ
ば、静電気対策のみならず爆発も回避することができ複
合的な対策が可能となる。
【0195】また、他の電荷を中和する手段としては、
前記外気遮蔽手段の内部に所定の気体を供給する供給部
と、前記基材に軟X線を照射することにより、前記所定
の気体をイオン化する軟X線照射部とを有する軟X線照
射イオナイザが例示できる。ここで、所定の気体とはイ
オンを発生させる為の原料ガスであって、例えば、空
気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンまたはそれらの
混合気体等が例示できる。但し、空気は乾燥空気に限ら
れる。また、軟X線照射部はイオンを発生させる為に放
電電気を利用するものではないので、外気遮蔽手段の内
部に設置可能である。
【0196】その一方、基材の電荷を分散または漏洩さ
せる手段としては、接地による除電装置等が例示でき
る。例えば、接触手段としてのディップコータに於い
て、ステンレス製または金属製等のものを使用すれば電
荷を漏洩させることができる。
【0197】前記洗浄手段としては特に限定されるもの
ではなく、従来公知の種々の装置が採用できる。具体的
には、基材を浸漬して洗浄する為の洗浄槽やシャワー式
洗浄機等が例示できる。また、洗浄液としては、有機溶
媒や純水を用いることができる。更に、有機溶媒として
はキシレン、クロロホルム等が例示できる。また、洗浄
手段が備えている静電気除去手段としては、前述のもの
を採用することができる。更に、前記洗浄槽は、前記に
於いてディップコータについて述べたのと同様の理由か
ら、ステンレス製や、金属製等であることが好ましい。
【0198】
【実施例】以下、本発明について実施例を用いて詳細に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。尚、実施例1〜実施
例9、及び比較例1〜比較例2は第1発明群に対応し、
実施例10及び比較例3は第2発明群に対応する。
【0199】(実施例1)先ず、吸着溶液(化学吸着溶
液)の調製を行った。即ち、膜材料物質としての下記化
学式(2)で示される化合物(融点:75℃)を、キシ
レン/KF96L(商品名、信越化学工業(株)製)
(1/9の混合溶媒)に1重量%溶解させ、これを吸着
溶液Aとした。
【0200】
【化19】 次に、ITOを予め蒸着により片面全面に形成したガラ
ス基板(基材)を2枚用意し、乾燥雰囲気中で、これら
の基板を前記吸着溶液A中に浸漬した(被膜形成工
程)。浸漬時間は2時間とした。更に、洗浄剤としてn
−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を用いて未吸着
の前記化学式(2)で表される化合物を除去した後(洗
浄工程)、アセトンリンスを行いガラス基板を乾燥雰囲
気から取り出し、液晶配向膜を製膜した。
【0201】続いて、液晶配向膜が形成されたガラス基
板を50℃のオーブン中に15分間入れた(熱処理工
程)。
【0202】更に、主波長が365nmの紫外線を照射
するUVランプ(照射強度:2.1mW/cm2)を用
いて、前記ガラス基板に偏光板を介して5分間照射した
(露光工程)。
【0203】次に、基板上にスペーサを散布しておき、
かつ該基板の縁部に、液晶注入口を欠いた塗布形状が枠
状のシール材を塗布した。続いて、2枚のガラス基板に
於ける液晶配向膜同士が相対する様に、その2枚のガラ
ス基板を貼り合わせ空セルを作製した。このとき、セル
ギャップは約12μmとなる様に設定した。更に、この
空セルに液晶としてZLI−4792(商品名、メルク
社製)を真空注入して、本発明の液晶セルAを作製し
た。
【0204】以上の様にして得られた液晶セルAについ
て、以下の様にして配向評価を行った。先ず、配向性に
ついて観察すると、ディスクリネーションが一部視認さ
れた。更に、液晶注入口付近で流動配向が一部認めら
れ、黒表示をさせてもやや色が薄かった。即ち、液晶セ
ルAは、その表示画面の一部に配向不良箇所が若干確認
されたものの、全体としてはきれいなホモジニアス配向
を示した。更に、本発明の液晶セルAのプレチルト角に
ついてクリスタルローテーション法を用いて測定したと
ころ、0.7゜であった。
【0205】また、コントラストの評価は以下の様にし
て行った。即ち、空セルに液晶を注入する際に、液晶
(ZLI−4792)に黒色色素を0.1%混入した液
晶材料を用いて液晶セルを作製し、偏光板1枚を介して
明状態及び暗状態のときの輝度をそれぞれ測定し、二色
比を求めた。その結果、二色比は290であった。
【0206】(実施例2)本実施例2に於いては、熱処
理工程に於ける処理温度を100℃にした以外は、前記
実施例1と同様にして、本発明の液晶セルBを作製し
た。
【0207】この様にして得られた液晶セルBについ
て、前記実施例1と同様に配向評価を行ったところ、デ
ィスクリネーションは極めて少なく、液晶注入口付近の
流動配向もほとんど見られなかった。また、濃い黒表示
がされ、非常にきれいなホモジニアス配向を示すことが
確認された。更に、本実施例に係る液晶セルBのプレチ
ルト角を測定したところ、3.5度であった。
【0208】また、前記実施例1と同様に、液晶(ZL
I−4792)に黒色色素を0.1%混入した液晶材料
を用いて液晶セルを作製したところ、その二色比は34
5であった。
【0209】(実施例3)本実施例3に於いては、熱処
理工程に於ける処理温度を150℃にした以外は、前記
実施例1と同様にして、本発明の液晶セルCを作製し
た。
【0210】この様にして得られた液晶セルCについ
て、前記実施例1と同様に配向評価を行ったところ、デ
ィスクリネーションが若干視認された。更に、液晶注入
口付近で流動配向が若干残り、黒表示も液晶セルAと比
較してやや色が薄かったものの、流動配向の発生は低減
され、黒表示も良好であった。更に、液晶セルCのプレ
チルト角を測定したところ、1.3度であった。
【0211】また、前記実施例1と同様に、液晶(ZL
I−4792)に黒色色素を0.1%混入した液晶材料
を用いて液晶セルを作製したところ、その二色比は29
3であった。
【0212】(実施例4)本実施例4に於いては、熱処
理工程に於ける処理温度を170℃にした以外は、前記
実施例1と同様にして、本発明の液晶セルDを作製し
た。
【0213】この様にして得られた液晶セルDについ
て、前記実施例1と同様に配向評価を行ったところ、デ
ィスクリネーションが一部視認された。更に、液晶注入
口付近で流動配向が一部確認され、黒表示もやや薄かっ
たものの、全体としては良好なホモジニアス配向を示し
た。更に、液晶セルDのプレチルト角を測定したとこ
ろ、0.8゜であった。
【0214】また、前記実施例1と同様に、液晶(ZL
I−4792)に黒色色素を0.1%混入した液晶材料
を用いて液晶セルを作製したところ、その二色比は28
5であった。
【0215】(比較例1)本比較例1に於いては、熱処
理工程を行わなかった以外は、前記実施例1と同様にし
て、比較用液晶セルEを作製した。
【0216】この様にして得られた比較用液晶セルEに
ついて、前記実施例1と同様に配向評価を行ったとこ
ろ、表示画面の全面にわたって配向不良が確認され、良
好なホモジニアス配向を示さなかった。即ち、ディスク
リネーションが多数視認され、黒表示も薄く、更に液晶
注入口付近には流動配向もはっきりと確認された。更
に、本比較用液晶セルEのプレチルト角を測定したとこ
ろ、0.6゜であった。
【0217】また、前記実施例1と同様に、液晶(ZL
I−4792)に黒色色素を0.1%混入した液晶材料
を用いて液晶セルを作製したところ、その二色比は28
7であった。
【0218】(実施例5)本実施例5に於いては、前記
化学式(2)で表される化合物をキシレン/KF96L
に0.01重量%溶解させた吸着溶液Bを用い、かつ被
膜形成工程後の洗浄工程及びアセトンリンスを行わなか
った以外は、前記実施例1と同様にして、本発明の液晶
セルFを作製した。
【0219】この様にして得られた本実施例に係る液晶
セルFについて、前記実施例1と同様に配向評価を行っ
たところ、ディスクリネーションは極めて少なく、黒さ
も濃く、液晶注入口付近の流動配向もほとんど無い、非
常に良好なホモジニアス配向を示した。更に、本発明の
液晶セルFのプレチルト角を測定したところ、2.7度
であった。
【0220】また、前記実施例1と同様に、液晶(ZL
I−4792)に黒色色素を0.1%混入した液晶材料
を用いて液晶セルを作製したところ、その二色比は28
5であった。
【0221】(実施例6)本実施例6に於いては、熱処
理工程に於ける処理温度を150℃にした以外は、前記
実施例4と同様にして、本発明の液晶セルGを作製し
た。
【0222】この様にして得られた液晶セルGについ
て、前記実施例1と同様に配向評価を行ったところ、デ
ィスクリネーションが若干視認された。更に、液晶注入
口付近で流動配向が若干残り、黒表示も液晶セルGと比
較してやや色が薄かったものの、流動配向の発生は低減
され、黒表示も良好であった。更に、液晶セルFのプレ
チルト角を測定したところ、1.5゜であった。
【0223】また、前記実施例1と同様に、液晶(ZL
I−4792)に黒色色素を0.1%混入した液晶材料
を用いて液晶セルを作製したところ、その二色比は22
5であった。
【0224】(比較例2)本比較例2に於いては、熱処
理工程を行わなかった以外は、前記実施例4と同様にし
て、比較用液晶セルHを作製した。
【0225】この様にして得られた比較用液晶セルHに
ついて、前記実施例1と同様に配向評価を行ったとこ
ろ、ディスクリネーションが若干視認された。更に、液
晶注入口付近で流動配向がはっきりと残っており、黒表
示をさせてもやや色が薄かった。この様に、比較用液晶
セルHはホモジニアス配向を示したが、表示画面の一部
に配向不良箇所が確認された。更に、本比較用液晶セル
Hのプレチルト角を測定したところ、0.5゜であっ
た。
【0226】また、前記実施例1と同様に、液晶(ZL
I−4792)に黒色色素を0.1%混入した液晶材料
を用いて液晶セルを作製したところ、その二色比は21
0であった。
【0227】(結果)以上の各実施例及び比較例に於い
て述べた熱処理工程での条件及び各種の測定値につい
て、下記表1にまとめる。
【0228】
【表1】 尚、ディスクリネーションの評価基準は、ディスクリネ
ーションの発生が極めて少ない場合を◎、若干視認され
た場合を○、多数確認された場合を×としている。ま
た、流動配向の評価基準は、液晶注入口付近で流動配向
がほとんど見られなかった場合を◎、若干残存していた
場合を○、一部認められた場合を△、明らかに確認され
た場合を×としている。
【0229】前記表1から明らかな様に、熱処理工程を
行った本実施例に係る液晶セルA〜D、F及びGは、比
較用液晶セルE、Hと比べてプレチルト角が大きかっ
た。また、液晶セルA〜Dは比較用液晶セルEよりも二
色比が大きく、更に液晶セルF、Gは比較用液晶セルH
よりも二色比が大きかった。また、本実施例に係る液晶
セルA〜D、F及びGは、比較用液晶セルE、Hよりも
ディスクリネーション及び流動配向の発生を抑制するこ
とができ、良好なホモジニアス配向を示した。
【0230】以上の結果から、本発明に係る製造方法に
よると、液晶配向性に優れた液晶配向膜を形成できるこ
とが確認された。
【0231】前記結果は以下の様に考察できる。即ち、
熱処理を行うことにより、薄膜構成分子の配向が製膜直
後のランダムな状態から、整然と配向した準安定状態に
変化したものと考えられる。そして、準安定状態の膜構
造にできた結果、露光する際にも十分に光反応を起こさ
せることができ、配向規制力に優れた液晶配向膜の製膜
が可能になったものと考えられる。また、比較用液晶セ
ルD、Hに於ける液晶配向膜の膜中には化学吸着溶液A
またはBに於ける溶媒分子が残存しているのに対し、液
晶セルA〜D、F及びGに於ける液晶配向膜中には、熱
処理により溶媒分子が完全に除去された為、光反応性の
向上、ひいては液晶配向性の向上に寄与したとも考えら
れる。
【0232】尚、前記表1の結果から、各実施例に於い
て製膜された液晶配向膜の配向性は、熱処理工程を行う
際の処理温度に対して依存性を示すことが分かった。即
ち、処理温度が膜材料物質の融点よりも低い場合の液晶
セルA(実施例1)、及び処理温度が化学反応をしない
温度よりも高い場合の液晶セルD(実施例4)について
は、比較用液晶セルEと比べて良好な液晶配向性を示し
たものの、液晶セルB、Cと比べてやや劣っていた。以
上のことから、最適な液晶配向性を示す液晶配向膜を製
膜する為には、熱処理工程に於ける処理温度の好ましい
範囲は、膜材料物質の融点以上、かつ化学反応をしない
温度未満の範囲内で行えばよいことが分かった。
【0233】(実施例7)本実施例に於いては、ガラス
基板上に撥水性の有機薄膜を形成した場合を示す。
【0234】先ず、吸着溶液(化学吸着溶液)の調製を
行った。即ち、オクタデシルトリクロロシラン(C18
37SiCl3、融点:75℃)をキシレン/KF96L
(商品名、信越化学工業(株)製)(1/9の混合溶
媒)に0.001重量%溶解させ、これを吸着溶液Cと
した。
【0235】次に、予め用意しておいたガラス基板を乾
燥雰囲気中で前記吸着溶液C中に浸漬した(被膜形成工
程)。浸漬時間は1分間とした。
【0236】続いて、浸漬直後のガラス基板を80℃の
オーブン中に10分間入れた(熱処理工程)。この様に
して撥水性の有機薄膜を有するガラス基板aを作製し
た。
【0237】前記ガラス基板aについて、水に対する接
触角を測定すると115℃であり、高い撥水性を示し
た。尚、有機薄膜を製膜する直前のガラス基板の、水に
対する接触角は15度であった。
【0238】(実施例8)本実施例8に於いては、熱処
理工程に於ける処理温度を40℃にした以外は、前記実
施例7と同様にして、本発明のガラス基板bを作製し
た。
【0239】更に、ガラス基板bに関して水に対する接
触角を測定すると105度であった。よって、ガラス基
板の初期接触角よりも大きくすることができ、撥水性を
向上させることができた。
【0240】(実施例9)本実施例9に於いては、熱処
理工程に於ける処理温度を120℃にした以外は、前記
実施例7と同様にして、本発明のガラス基板cを作製し
た。
【0241】更に、ガラス基板cに関して、水に対する
接触角を測定すると102度であった。よって、ガラス
基板の初期接触角よりも大きくすることができ、撥水性
を向上させることができた。
【0242】(結果)以上の結果から、本発明に係る製
造方法によると、撥水性に優れた有機薄膜が形成できる
ことが確認された。
【0243】これは、乱れた状態で配向していた薄膜構
成分子を、熱処理によって均一に整然と再配向させた為
と考えられる。即ち、薄膜構成分子が準安定状態となる
様に再配向したことにより、撥水性の付与に寄与する撥
水性基が膜表面に多数露出することとなり、この結果撥
水性が向上したものと考えられる。
【0244】(実施例10)本実施例は第2発明群に対
応する。
【0245】本実施例は、有機薄膜として液晶表示ディ
スプレイ用の配向膜を形成した場合についてのものであ
る。
【0246】本実施例に於いては、配向膜材料として下
記化学式(2)で示される化学吸着物質を用いた。
【0247】
【化20】 次に、前記化学式(2)で表される化学吸着物質を有機
溶媒(信越化学工業(株)製、商品名:KF96L、誘
電率、2.42)に0.1重量%溶解させた配向膜形成
用溶液(薄膜形成用溶液)を調製した。
【0248】次に、図5に示すように、反応室(外気遮
蔽手段)201の内部に反応容器(接触手段)202を
設置し、この反応容器202にはアース(静電気除去手
段)を接続させておいた。この反応室201には、イオ
ン化エアーを照射するコロナ放電式の除電装置(静電気
除去手段)203を設けておいた。この除電装置203
は、イオン発生器(生成部)203aと、ファン(供給
部)203bとを備えたイオン化気体供給型の除電装置
である。即ち、水分を含まないアルゴン203cをファ
ン203bで送風し、これによりイオン化気体206を
反応室201内に供給するものである。尚、反応室20
1には内部の圧力を一定にすべく排気手段209が設け
られている。
【0249】続いて、前記反応容器202に配向膜形成
用溶液204を満たし、予めTFTや電極、配線等を設
けたTN(Twisted Nematic)用のTFTアレイ基板2
05を1時間浸漬させた。このとき、反応室201内に
は、イオン化気体206を吹きつけておいた。本実施例
の様に、イオン化気体206を照射することにより、反
応室201中のイオンの空間的均一性を保持しつつ除電
を行うことができた。尚、反応室201内は、湿度制御
手段(図示しない)により相対湿度35%以下となる様
に制御しておいた。
【0250】次に、反応容器202からTFTアレイ基
板205を取り出し、洗浄剤(クロロホルム)208が
入った洗浄槽(洗浄手段)207に浸漬させた。洗浄槽
207内では、洗浄剤208を3回交換して、TFTア
レイ基板205を洗浄した。尚、洗浄槽207はアース
に接続しておいた。
【0251】この様にして形成した配向膜に対して、光
配向処理を施すべく配向処理工程を行った。即ち、TF
Tアレイ基板205に対し、偏光UV光を500mJ/
cm 2照射することにより、配向処理を施した。
【0252】続いて、予めカラーフィルター等を設けた
カラーフィルター基板にも、前記した一連の工程を繰り
返すことにより、配向膜を形成し、配向処理を行った。
【0253】更に、前記TFTアレイ基板205とカラ
ーフィルター基板を、従来公知の方法により貼り合わ
せ、液晶を注入することにより本発明の液晶表示ディス
プレイを作製した。
【0254】(比較例3)本比較例3に於いては、除電
を行わなかった以外は、前記実施例10と同様にして、
比較用液晶表示ディスプレイを作製した。
【0255】前記実施例10に係る本発明の液晶表示デ
ィスプレイ、及び前記比較例2−1に係る比較用液晶表
示ディスプレイをそれぞれ20組作製し、映像を表示さ
せて表示品位の比較を行い、製造歩留まりの検討を行っ
た。その結果、本発明の液晶表示ディスプレイは20組
全て良好な表示を示した。その一方、比較用液晶表示デ
ィスプレイは20組中5組で線欠陥が視認された。線欠
陥が発生していたのは、TFTアレイ基板上の回路の一
部が静電破壊されていた為であった。
【0256】これらの結果から明らかな様に、除電をし
ながら配向膜材料の塗布及び塗布後の洗浄を行うことに
より、静電気の発生に起因する回路破壊を防止でき、歩
留まりを向上させることが可能となった。
【0257】発明の詳細な説明の項においてなされた具
体的な実施態様は、あくまでも、本発明の技術内容を明
確にするものであって、そのような具体例にのみ限定し
て狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と
次に記載する特許請求事項との範囲内で、種々に変更し
て実施することができるものである。
【0258】
【発明の効果】本発明は、以上のように説明した形態で
実施され、以下に述べるような効果を奏する。
【0259】即ち、第1発明群に係る薄膜は、これを構
成する薄膜構成分子の集合群が配向秩序を安定状態また
は準安定状態となる様に配向した膜構造を有しているの
で、同一の薄膜構成分子からなる従来の単分子膜よりも
膜機能に優れたものとできる。
【0260】更に、第1発明群に係る他の薄膜は、機能
性官能基を側鎖として有するポリマーからなり、かつこ
の機能性官能基が安定状態または準安定状態となる様に
膜表面側または膜の内部側に揃って配向しているので、
同一のポリマーからなる薄膜と比較して、膜機能を十分
に発揮可能なものとできる。
【0261】また、第1発明群に係る薄膜の製造方法で
は、膜形成直後に熱処理を行うので、ランダムな状態で
配向していた薄膜構成分子を再配向させて、分子相互の
関係を安定状態または準安定状態にできる。この結果、
各種の機能を極めて良好に発揮することが可能な薄膜を
製造することができる。また、例えば薄膜構成分子が光
感応性基を有しており、露光の必要がある場合にも薄膜
構成分子の配向秩序が安定状態または準安定状態にある
ので、光反応効率を向上させコストの低減を図ることが
できる。
【0262】更に、第1発明群に係る他の薄膜の製造方
法では、光感応性基を側鎖として備えたポリマーからな
る薄膜の場合にも、官能基相互の関係を安定状態または
準安定状態で配向させることができる。この結果、上記
と同様に、各種の機能を極めて良好に発揮することが可
能な薄膜を製造することができる。
【0263】また、第1発明群に係る液晶表示装置は、
薄膜構成分子の集合群が配向秩序を安定状態または準安
定状態となる様に配向した膜構造の液晶配向膜を有して
いるので、同一の薄膜構成分子からなる従来の単分子膜
状の配向膜を備えた液晶表示装置と比較して、配向欠陥
の発生を抑制し、コントラスト等の表示品位が良好なも
のにできる。
【0264】更に、第1発明群に係る他の液晶表示装置
は、機能性官能基を側鎖として有するポリマーからな
り、かつこの機能性官能基が安定状態または準安定状態
となる様に膜表面側または膜の内部側に揃って配向した
液晶配向膜を有しているので、同一のポリマーからなる
配向膜を備えた液晶表示装置と比較して、配向欠陥の発
生を抑制し、コントラスト等の表示品位が良好なものに
できる。
【0265】また、第1発明群に係る液晶表示装置の製
造方法によれば、膜形成直後に熱処理を行うので、ラン
ダムな状態で配向していた薄膜構成分子を再配向させ
て、分子相互の関係を安定状態または準安定状態で配向
させた液晶配向膜を備えるので、配向欠陥がなくコント
ラスト等の表示品位に優れた液晶表示装置を製造するこ
とができる。
【0266】更に、第1発明群に係る他の液晶表示装置
の製造方法によれば、光感応性基を側鎖として備えたポ
リマーからなる薄膜の場合にも、官能基相互の関係を安
定状態または準安定状態で配向させた液晶配向膜を備え
るので、配向欠陥がなくコントラスト等の表示品位に優
れた液晶表示装置を製造することができる。
【0267】また、第2発明群に係る薄膜の製造方法に
よれば、接触工程の場合に於いては基材に対する薄膜形
成用溶液の濡れ性が本来のものと異なるのを防止でき、
歩留まりの低下を抑制できる。更に、空気中を浮遊する
異物が静電気に起因して基材に吸い寄せられ、清浄度が
低下することも抑制できる。また、洗浄工程の場合に於
いても、洗浄能力を最大限に発揮させて清浄性に優れた
薄膜を製造することができる。
【0268】また、第2発明群に係る薄膜の製造装置に
よれば、静電気を除去しながら薄膜を形成できるので、
基材に対する薄膜形成用溶液の濡れ性が本来のものと異
なるのを防止でき、所望の膜厚の薄膜を形成できる等、
歩留まりの低下を抑制して薄膜の製造が可能な薄膜の製
造装置を提供できる。
【0269】また、第2発明群に係る液晶表示装置の製
造方法によれば、静電気を除去しながら液晶配向膜を形
成するので、静電破壊に起因するTFT等の回路の破損
を防止して液晶表示装置を製造できる。この結果、線欠
陥等が視認されず良好な画像表示の可能な液晶表示装置
を歩留まりよく製造することができる。
【0270】また、第2発明群に係る液晶表示装置の製
造装置によれば、静電気を除去しながら液晶配向膜を形
成するので、静電破壊に起因するTFT等の回路の破損
を防止して液晶表示装置を製造することが可能な製造装
置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明群の実施の形態1に係る有機薄膜であ
って、その薄膜構成分子の分子配向状態を模式的に示し
た説明図であり、同図(a)は熱処理前の分子配向状態
を表し、同図(b)は熱処理後の分子配向状態を表し、
同図(c)は露光後の分子配向状態を表す。
【図2】第1発明群の実施の形態2に係る有機薄膜であ
って、その薄膜構成分子の分子配向状態を模式的に示し
た説明図であり、同図(a)は熱処理前の分子配向状態
を表し、同図(b)は熱処理をしながら露光していると
きの分子配向状態を表し、同図(c)は露光後の分子配
向状態を表す。
【図3】第1発明群の実施の形態3に係る有機薄膜の膜
構造を模式的に示した説明図であって、同図(a)は熱
処理前の膜構造を表し、同図(b)は熱処理後の膜構造
を表し、同図(c)は露光後の膜構造を表し、同図
(d)は図3(a)に於ける機能性官能基の配向状態を
表し、同図(e)は図3(b)に於ける機能性官能基の
配向状態を表し、同図(f)は図3(c)に於ける機能
性官能基の配向状態を表す。
【図4】第1発明群の実施の形態4に係る有機薄膜の膜
構造を模式的に示した説明図であって、同図(a)は熱
処理前の膜構造を表し、同図(b)は熱処理をしながら
露光しているときの膜構造を表し、同図(c)は露光後
の膜構造を表し、同図(d)は図4(a)に於ける機能
性官能基の配向状態を表し、同図(e)は図4(b)に
於ける機能性官能基の配向状態を表し、同図(f)は図
4(c)に於ける機能性官能基の配向状態を表す。。
【図5】第2発明群の実施例10に係る薄膜の製造装置
を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
101 単分子膜 102 基材 103 薄膜構成分子 104 ポリマー膜 105 鎖状高分子 106 光感応性基 107 基材 111 単分子膜 113 薄膜構成分子 201 反応室(外気遮蔽手段) 202 反応容器(接触手段) 203 除電装置(静電気除去手段) 203a イオン発生器(生成部) 203b ファン(供給部) 204 配向膜形成用溶液 205 TFTアレイ基板 206 イオン化気体 207 洗浄槽(洗浄手段) 208 洗浄剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 幸生 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 上村 強 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2H090 HB12Y HB14Y HC05 HC13 HC15 HC16 HC17 HC18 HC19 HD14 JB02 LA04 MA17 MB12 4F100 AK01B AK02B AK49B AK52B AL06B AS00A AS00B AT00A EA042 EH462 EJ012 EJ052 EJ12B EJ422 EJ522 EJ542 EJ612 EJ852 EK00 EK172 GB41 JA11B JM03B YY00B 4J031 AA15 AA57 AA59 AB01 AC01 AD01 AD03 AD05 AE03 AE07

Claims (76)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に、薄膜構成分子の集合群が結
    合固定されてなる薄膜であって、 前記薄膜構成分子の集合群は、分子相互の関係が安定状
    態または準安定状態で配向していることを特徴とする薄
    膜。
  2. 【請求項2】 前記薄膜構成分子の集合群が、前記基材
    に対して−O−A結合(但し、Aはケイ素、ゲルマニウ
    ム、スズ、チタン及びジルコニウムからなる群より選ば
    れる1種の原子を示す。)を介して結合されていること
    を特徴とする請求項1に記載の薄膜。
  3. 【請求項3】 前記薄膜構成分子の一部が光感応性基を
    有する分子であり、当該光感応性基部の少なくとも一部
    が所定方向に結合固定されていることを特徴とする請求
    項1または請求項2に記載の薄膜。
  4. 【請求項4】 前記光感応性基を有する分子のうち、5
    0%以上の分子の光感応性基部が結合固定されているこ
    とを特徴とする請求項3に記載の薄膜。
  5. 【請求項5】 前記光感応性基がカルコン骨格基または
    シンナメート骨格基であることを特徴とする請求項4に
    記載の薄膜。
  6. 【請求項6】 前記薄膜構成分子の集合群が、複数種類
    の分子からなることを特徴とする請求項1〜請求項5の
    何れか1項に記載の薄膜。
  7. 【請求項7】 基材表面に設けられ、かつ機能性官能基
    を側鎖として備えたポリマーからなる薄膜であって、 前記機能性官能基は、官能基相互の関係が安定状態また
    は準安定状態で配向していることを特徴とする薄膜。
  8. 【請求項8】 前記ポリマーは少なくとも一部に光感応
    性基を有しており、当該光感応性基部の少なくとも一部
    が所定方向に結合固定されていることを特徴とする請求
    項7に記載の薄膜。
  9. 【請求項9】 前記光感応性基がカルコン骨格基または
    シンナメート骨格基であることを特徴とする請求項8に
    記載の薄膜。
  10. 【請求項10】 前記ポリマーが、その主鎖にポリビニ
    ル、ポリシロキサンまたはポリイミドの何れか1つを有
    することを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載
    の薄膜。
  11. 【請求項11】 基材表面に結合し、光感応性基を備え
    た分子を含む薄膜構成分子の集合群からなる薄膜の製造
    方法であって、 前記基材を薄膜形成用溶液に接触させることにより、基
    材表面に結合した薄膜構成分子の集合群からなる被膜を
    形成する被膜形成工程と、 前記基材上に存在する未結合の分子を除去する除去工程
    と、 前記基材を熱処理することにより、前記被膜を構成する
    薄膜構成分子の集合群を再配向させて分子相互の関係を
    安定状態または準安定状態にする熱処理工程と、 前記基材に光を照射して前記光感応性基同士を反応さ
    せ、少なくとも一部の分子相互を結合固定させる露光工
    程とを備えることを特徴とする薄膜の製造方法。
  12. 【請求項12】 基材表面に結合し、光感応性基を備え
    た分子を含む薄膜構成分子の集合群からなる薄膜の製造
    方法であって、 前記基材を薄膜形成用溶液に接触させることにより、基
    材表面に結合した薄膜構成分子の集合群からなる被膜を
    形成する被膜形成工程と、 前記基材上に存在する未結合の分子を除去する除去工程
    と、 前記基材を熱処理しながら、前記基材に光を照射して前
    記光感応性基同士を反応させ、少なくとも一部の分子相
    互を結合固定させる露光工程とを備えることを特徴とす
    る薄膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記露光工程は、処理温度として薄膜
    構成分子が化学反応しない温度未満で行うことを特徴と
    する請求項11または請求項12に記載の薄膜の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 前記露光工程は、処理温度として薄膜
    構成分子の融点以上、化学反応しない温度未満の範囲内
    で行うことを特徴とする請求項11または請求項12に
    記載の薄膜の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記薄膜形成用溶液として、下記化学
    式(1)で表される官能基群から選ばれる少なくとも1
    種の官能基を備えた分子からなる化学吸着物質を含む溶
    液を使用することを特徴とする請求項11〜請求項14
    の何れか1項に記載の薄膜の製造方法。 【化1】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
    ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
    原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
    ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
    基を表している。)
  16. 【請求項16】 前記光感応性基がカルコン骨格基また
    はシンナメート骨格基であることを特徴とする請求項1
    1〜請求項15の何れか1項に記載の薄膜の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記露光工程が、所定の方向に偏光方
    向を有する偏光を照射する工程であることを特徴とする
    請求項11〜請求項16の何れか1項に記載の薄膜の製
    造方法。
  18. 【請求項18】 前記被膜形成工程に於いて使用する前
    記薄膜形成用溶液は、複数種の薄膜形成材料を含むこと
    を特徴とする請求項11〜請求項17の何れか1項に記
    載の薄膜の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記露光工程により、光感応性基を備
    えた分子のうち50%以上の分子が光感応性基部で結合
    固定していることを特徴とする請求項11〜請求項18
    の何れか1項に記載の薄膜の製造方法。
  20. 【請求項20】 基材表面に、光感応性基を側鎖として
    備えたポリマーからなる薄膜を形成する薄膜の製造方法
    であって、 前記基材を薄膜形成用溶液に接触させてポリマー膜を形
    成する被膜形成工程と、 前記基材を熱処理することにより、前記光感応性基を再
    配向させて、官能基相互の関係を安定状態または準安定
    状態にする熱処理工程と、 前記基材に光を照射して前記光感応性基同士を反応さ
    せ、少なくとも一部の光感応性基相互を結合固定させる
    露光工程とを備えることを特徴とする薄膜の製造方法。
  21. 【請求項21】 基材表面に、光感応性基を側鎖として
    備えたポリマーからなる薄膜を形成する薄膜の製造方法
    であって、 前記基材に薄膜形成用溶液を接触させてポリマー膜を形
    成する被膜形成工程と、 前記基材を熱処理しながら、前記基材に光を照射して前
    記光感応性基同士を反応させ、少なくとも一部の光感応
    性基相互を結合固定させる露光工程とを備えることを特
    徴とする薄膜の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記露光工程は、処理温度として前記
    ポリマーが化学反応しない温度未満で行うことを特徴と
    する請求項20または請求項21に記載の薄膜の製造方
    法。
  23. 【請求項23】 前記露光工程は、処理温度として前記
    ポリマーの融点以上、化学反応しない温度未満の範囲内
    で行うことを特徴とする請求項20または請求項21に
    記載の薄膜の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記光感応性基を備えたポリマーの主
    鎖にポリビニル、ポリシロキサン及びポリイミドからな
    る群より選ばれる何れか1つを有することを特徴とする
    請求項20〜請求項23の何れか1項に記載の薄膜の製
    造方法。
  25. 【請求項25】 前記露光工程が、所定の方向に偏光方
    向を有する偏光を照射する工程であることを特徴とする
    請求項20〜請求項24の何れか1項に記載の薄膜の製
    造方法。
  26. 【請求項26】 前記被膜形成工程に於いて使用する前
    記薄膜形成用溶液は、複数種の薄膜形成材料を含むこと
    を特徴とする請求項20〜請求項25の何れか1項に記
    載の薄膜の製造方法。
  27. 【請求項27】 少なくとも何れか一方の内側に液晶配
    向膜が設けられた一対の基板と、 前記一対の基板間に設けられた液晶層とからなる液晶表
    示装置であって、 前記液晶配向膜は、基板表面に薄膜構成分子の集合群が
    結合固定されてなり、かつ、前記薄膜構成分子の集合群
    は、分子相互の関係が安定状態または準安定状態で配向
    していることを特徴とする液晶表示装置。
  28. 【請求項28】 前記薄膜構成分子の集合群が、前記基
    板に対して−O−A結合(但し、Aはケイ素、ゲルマニ
    ウム、スズ、チタン及びジルコニウムからなる群より選
    ばれる1種の原子を示す。)を介して結合されているこ
    とを特徴とする請求項27に記載の液晶表示装置。
  29. 【請求項29】 前記薄膜構成分子の一部が光感応性基
    を有する分子であり、当該光感応性基部の少なくとも一
    部が所定方向に結合固定されていることを特徴とする請
    求項27または請求項28に記載の液晶表示装置。
  30. 【請求項30】 前記光感応性基を有する分子のうち、
    50%以上の分子の光感応性基部が結合固定されている
    ことを特徴とする請求項29に記載の液晶表示装置。
  31. 【請求項31】 前記薄膜構成分子の集合群が、複数種
    類の分子からなることを特徴とする請求項27〜請求項
    30の何れか1項に記載の液晶表示装置。
  32. 【請求項32】 前記液晶層に於ける前記液晶配向膜近
    傍の液晶がプレチルト角5°〜88°の範囲内で配向し
    ていることを特徴とする請求項27〜請求項31の何れ
    か1項に記載の液晶表示装置。
  33. 【請求項33】 少なくとも何れか一方の内側に液晶配
    向膜が設けられた一対の基板と、 前記一対の基板間に設けられた液晶層とからなる液晶表
    示装置であって、 前記液晶配向膜は、機能性官能基を側鎖として備えたポ
    リマーからなり、 かつ、前記機能性官能基は、官能基相互の関係が安定状
    態または準安定状態で配向していることを特徴とする液
    晶表示装置。
  34. 【請求項34】 前記ポリマーは少なくとも一部に光感
    応性基を有しており、当該光感応性基部の少なくとも一
    部が所定方向に結合固定されていることを特徴とする請
    求項33に記載の液晶表示装置。
  35. 【請求項35】 前記光感応性基がカルコン骨格基また
    はシンナメート骨格基であることを特徴とする請求項3
    4に記載の液晶表示装置。
  36. 【請求項36】 前記ポリマーが、その主鎖にポリビニ
    ル、ポリシロキサンまたはポリイミドの何れか1つを有
    することを特徴とする請求項33〜請求項35の何れか
    1項に記載の液晶表示装置。
  37. 【請求項37】 一対の基板間に液晶層を有し、両基板
    のうち少なくとも一方の基板の内側には、基板表面に結
    合し、光感応性基を備えた分子を含む薄膜構成分子の集
    合群からなる液晶配向膜を有する液晶表示装置の製造方
    法であって、 前記基板に配向膜形成用溶液を接触させることにより、
    基板表面に結合した薄膜構成分子の集合群からなる被膜
    を形成する被膜形成工程と、 前記基板上に存在する未結合の分子を除去する除去工程
    と、 前記基板を熱処理することにより、前記薄膜構成分子の
    集合群を再配向させて分子相互の関係を安定状態または
    準安定状態にする熱処理工程と、 前記基板に光を照射して前記光感応性基同士を反応さ
    せ、少なくとも一部の分子相互を結合固定させる光配向
    処理工程とを備えることを特徴とする液晶表示装置の製
    造方法。
  38. 【請求項38】 一対の基板間に液晶層を有し、両基板
    のうち少なくとも一方の基板の内側には、基板表面に結
    合し、光感応性基を備えた分子を含む薄膜構成分子の集
    合群からなる液晶配向膜を有する液晶表示装置の製造方
    法であって、 前記基板に配向膜形成用溶液を接触させることにより、
    基板表面に結合した前記薄膜構成分子の集合群からなる
    被膜を形成する被膜形成工程と、 前記基板上に存在する未結合の分子を除去する除去工程
    と、 前記基板を熱処理しながら、前記基板に光を照射して前
    記光感応性基同士を反応させ、少なくとも一部の分子相
    互を結合固定させる光配向処理工程とを備えることを特
    徴とする液晶表示装置の製造方法。
  39. 【請求項39】 前記光配向処理工程は、処理温度とし
    て薄膜構成分子が化学反応しない温度未満で行うことを
    特徴とする請求項37または請求項38に記載の液晶表
    示装置の製造方法。
  40. 【請求項40】 前記光配向処理工程は、処理温度とし
    て薄膜構成分子の融点以上、化学反応しない温度未満の
    範囲内で行うことを特徴とする請求項37または請求項
    38に記載の液晶表示装置の製造方法。
  41. 【請求項41】 前記配向膜形成用溶液として、下記化
    学式(1)で表される官能基群から選ばれる少なくとも
    1種の官能基を備えた分子からなる化学吸着物質を含む
    溶液を使用することを特徴とする請求項37〜請求項4
    0の何れか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。 【化2】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
    ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
    原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
    ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
    基を表している。)
  42. 【請求項42】 前記光感応性基がカルコン骨格基また
    はシンナメート骨格基であることを特徴とする請求項3
    7〜請求項41の何れか1項に記載の液晶表示装置の製
    造方法。
  43. 【請求項43】 前記光配向処理工程が、所定の方向に
    偏光方向を有する偏光を照射する工程であることを特徴
    とする請求項37〜請求項42の何れか1項に記載の液
    晶表示装置の製造方法。
  44. 【請求項44】 前記被膜形成工程に於いて使用する前
    記配向膜形成用溶液は、複数種の配向膜形成材料を含む
    ことを特徴とする請求項37〜請求項43の何れか1項
    に記載の液晶表示装置の製造方法。
  45. 【請求項45】 前記光配向処理工程により、光感応性
    基を備えた分子のうち50%以上の分子が光感応性基部
    で結合固定していることを特徴とする請求項37〜請求
    項44の何れか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
  46. 【請求項46】 一対の基板間に液晶層を有し、両基板
    のうち少なくとも一方の基板の内側には、光感応性基を
    側鎖として備えたポリマーからなる液晶配向膜を有する
    液晶表示装置の製造方法であって、 前記基板に配向膜形成用溶液を接触させてポリマー膜を
    形成する被膜形成工程と、 前記基板を熱処理することにより、前記光感応性基を再
    配向させて、官能基相互の関係を安定状態または準安定
    状態にする熱処理工程と、前記基板に光を照射して前記
    光感応性基同士を反応させ、少なくとも一部の光 感応性基相互を結合固定させる光配向処理工程とを備え
    ることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  47. 【請求項47】 一対の基板間に液晶層を有し、両基板
    のうち少なくとも一方の基板の内側には、光感応性基を
    側鎖として備えたポリマーからなる液晶配向膜を有する
    液晶表示装置の製造方法であって、 前記基板に配向膜形成用溶液を接触させてポリマー膜を
    形成する被膜形成工程と、 前記基板を熱処理しながら、前記基板に光を照射して前
    記光感応性基同士を反応させ、少なくとも一部の光感応
    性基相互を結合固定させる光配向処理工程とを備えるこ
    とを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  48. 【請求項48】 前記光配向処理工程は、処理温度とし
    て薄膜構成分子が化学反応しない温度未満で行うことを
    特徴とする請求項46または請求項47に記載の液晶表
    示装置の製造方法。
  49. 【請求項49】 前記光配向処理工程は、処理温度とし
    て薄膜構成分子の融点以上、化学反応しない温度未満の
    範囲内で行うことを特徴とする請求項46または請求項
    47に記載の液晶表示装置の製造方法。
  50. 【請求項50】 前記光感応性基を備えたポリマーの主
    鎖にポリビニル、ポリシロキサン及びポリイミドからな
    る群より選ばれる何れか1つを有することを特徴とする
    請求項46〜請求項49の何れか1項に記載の液晶表示
    装置の製造方法。
  51. 【請求項51】 前記光配向処理工程が、所定の方向に
    偏光方向を有する偏光を照射する工程であることを特徴
    とする請求項46〜請求項50の何れか1項に記載の液
    晶表示装置の製造方法。
  52. 【請求項52】 前記被膜形成工程に於いて使用する前
    記配向膜形成用溶液は、複数種の配向膜形成材料を含む
    ことを特徴とする請求項46〜請求項51の何れか1項
    に記載の液晶表示装置の製造方法。
  53. 【請求項53】 基材上に薄膜を形成する薄膜の製造方
    法であって、 前記基材上に薄膜形成材料を含む薄膜形成用溶液を接触
    させる接触工程と、 前記基材を洗浄する洗浄工程とを有し、 前記接触工程及び洗浄工程は、静電気を除去しながら行
    うことを特徴とする薄膜の製造方法。
  54. 【請求項54】 基材上に薄膜を形成する薄膜の製造方
    法であって、 下記化学式(1)で表される官能基群から選ばれる少な
    くとも1種の官能基を有する化合物と有機溶媒とを含む
    薄膜形成用溶液を基材に接触させる接触工程と、 前記基材を洗浄する洗浄工程とを有し、 前記接触工程及び洗浄工程は、静電気除去をしながら行
    うことを特徴とする薄膜の製造方法。 【化3】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
    ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
    原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
    ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
    基を表している。)
  55. 【請求項55】 電気放電によりイオン化気体を生成す
    るイオン化気体生成工程を有し、 前記接触工程及び/または洗浄工程は、前記イオン化気
    体生成工程にて生成したイオン化気体を導入した環境下
    で行うことにより静電気を除去することを特徴とする請
    求項54に記載の薄膜の製造方法。
  56. 【請求項56】 前記接触工程及び/または洗浄工程に
    於ける静電気の除去は、軟X線を前記基材に照射して、
    基材近傍にイオンを発生させることにより行うことを特
    徴とする請求項54に記載の薄膜の製造方法。
  57. 【請求項57】 前記接触工程は前記化合物を前記基材
    表面に結合固定させる工程であり、 前記洗浄工程は前記基材上に存在する未結合の化合物を
    除去して単分子膜状の薄膜を形成する工程であることを
    特徴とする請求項54〜請求項56の何れか1項に記載
    の薄膜の製造方法。
  58. 【請求項58】 基材上に薄膜を形成する薄膜の製造装
    置であって、 前記基材上に薄膜形成材料を含む薄膜形成用溶液を接触
    させる接触手段と、 前記基材を洗浄する洗浄手段とを備え、 前記接触手段及び洗浄手段は、静電気を除去する静電気
    除去手段を有していることを特徴とする薄膜の製造装
    置。
  59. 【請求項59】 基材上に薄膜を形成する薄膜の製造装
    置であって、 下記化学式(1)で表される官能基群から選ばれる少な
    くとも1種の官能基を有する化合物と有機溶媒とを含む
    薄膜形成用溶液を基材に接触させる接触手段と、 前記基材に未結合の化学吸着物質を洗浄して除去する洗
    浄手段とを備え、 前記接触手段及び洗浄手段は、静電気を除去する静電気
    除去手段を有していることを特徴とする薄膜の製造装
    置。 【化4】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
    ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
    原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
    ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
    基を表している。)
  60. 【請求項60】 前記接触手段及び/または洗浄手段を
    内部に設置可能な外気遮蔽手段を有し、 前記静電気除去手段は、前記外気遮蔽手段の外部に設置
    された、イオン化気体を生成する生成部と、前記イオン
    化気体を前記外気遮蔽手段内部に供給する供給部とを有
    することを特徴とする請求項59に記載の薄膜の製造装
    置。
  61. 【請求項61】 前記接触手段及び/または洗浄手段を
    内部に設置可能な外気遮蔽手段を有し、 前記静電気除去手段は、前記外気遮蔽手段の内部に所定
    の気体を供給する供給部と、前記基材に軟X線を照射す
    ることにより、前記所定の気体をイオン化する軟X線照
    射部とを有することを特徴とする請求項59に記載の薄
    膜の製造装置。
  62. 【請求項62】 前記接触手段は前記化合物を前記基材
    表面に結合固定させる手段であり、 前記洗浄手段は前記基材上に存在する未結合の化合物を
    除去して単分子膜状の薄膜を形成する手段であることを
    特徴とする請求項59〜請求項61の何れか1項に記載
    の薄膜の製造装置。
  63. 【請求項63】 少なくとも何れか一方の内側に液晶配
    向膜が設けられた一対の基板と、 前記一対の基板間に設けられた液晶層とからなる液晶表
    示装置の製造方法であって、 前記基板上に配向膜形成材料を含む配向膜形成用溶液を
    接触させる接触工程と、 前記基板を洗浄する洗浄工程とを有し、 前記接触工程及び洗浄工程は、静電気を除去しながら行
    うことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  64. 【請求項64】 少なくとも何れか一方の内側に液晶配
    向膜が設けられた一対の基板と、 前記一対の基板間に設けられた液晶層とからなる液晶表
    示装置の製造方法であって、 下記化学式(1)で表される官能基群から選ばれる少な
    くとも1種の官能基を有する化合物と有機溶媒とを含む
    配向膜形成用溶液を基板に接触させる接触工程と、 前記基板を洗浄する洗浄工程とを有し、 前記接触工程及び洗浄工程は、静電気除去をしながら行
    うことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 【化5】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
    ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
    原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
    ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
    基を表している。)
  65. 【請求項65】 電気放電によりイオン化気体を生成す
    るイオン化気体生成工程を有し、 前記接触工程及び/または洗浄工程は、前記イオン化気
    体生成工程にて生成したイオン化気体を導入した環境下
    で行うことにより静電気を除去することを特徴とする請
    求項64に記載の液晶表示装置の製造方法。
  66. 【請求項66】 前記接触工程及び/または洗浄工程に
    於ける静電気の除去は、軟X線を前記基板に照射して、
    基板近傍にイオンを発生させることにより行うことを特
    徴とする請求項64に記載の液晶表示装置の製造方法。
  67. 【請求項67】 前記接触工程は前記化合物を前記基板
    表面に結合固定させる工程であり、 前記洗浄工程は前記基板上に存在する未結合の化合物を
    除去して単分子膜状の液晶配向膜を形成する工程である
    ことを特徴とする請求項64〜請求項66の何れか1項
    に記載の液晶表示装置の製造方法。
  68. 【請求項68】 少なくとも何れか一方の内側に液晶配
    向膜が設けられた一対の基板と、 前記一対の基板間に設けられた液晶層とからなる液晶表
    示装置の製造装置であって、 前記基板上に配向膜形成材料を含む配向膜形成用溶液を
    接触させる接触手段と、 前記基板を洗浄する洗浄手段とを備え、 前記接触手段及び洗浄手段は、静電気を除去する静電気
    除去手段を有していることを特徴とする液晶表示装置の
    製造装置。
  69. 【請求項69】 少なくとも何れか一方の内側に液晶配
    向膜が設けられた一対の基板と、 前記一対の基板間に設けられた液晶層とからなる液晶表
    示装置の製造装置であって、 下記化学式(1)で表される官能基群から選ばれる少な
    くとも1種の官能基を有する化合物と有機溶媒とを含む
    配向膜形成用溶液を前記基板に接触させる接触手段と、 前記基板に未結合の化学吸着物質を洗浄して除去する洗
    浄手段とを備え、 前記接触手段及び洗浄手段は、静電気を除去する静電気
    除去手段を有していることを特徴とする液晶表示装置の
    製造装置。 【化6】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
    ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
    原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
    ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
    基を表している。)
  70. 【請求項70】 前記接触手段及び/または洗浄手段を
    内部に設置可能な外気遮蔽手段を備え、 前記静電気除去手段は、前記外気遮蔽手段の外部に設置
    された、イオン化気体を生成する生成部と、前記イオン
    化気体を前記外気遮蔽手段内部に供給する供給部とを備
    えることを特徴とする請求項69に記載の液晶表示装置
    の製造装置。
  71. 【請求項71】 前記接触手段及び/または洗浄手段を
    内部に設置可能な外気遮蔽手段を備え、 前記静電気除去手段は、前記外気遮蔽手段の内部に所定
    の気体を供給する供給部と、前記基板に軟X線を照射す
    ることにより、前記所定の気体をイオン化する軟X線照
    射部とを備えることを特徴とする請求項69に記載の液
    晶表示装置の製造装置。
  72. 【請求項72】 前記接触手段は前記化合物を前記基板
    表面に結合固定させる手段であり、 前記洗浄手段は前記基板上に存在する未結合の化合物を
    除去して単分子膜状の液晶配向膜を形成する手段である
    ことを特徴とする請求項69〜請求項71の何れか1項
    に記載の液晶表示装置の製造装置。
  73. 【請求項73】 基材上に結合された薄膜構成分子の集
    合群からなる薄膜であって、 前記薄膜は、下記化学式(1)で表される官能基群から
    選ばれる少なくとも1種の官能基を有する分子群を、静
    電気除去をしながら該基材面に接触させることにより、
    −O−A結合を介して結合させた後、前記基材に結合さ
    れない前記分子を、静電気除去しながら洗浄して得られ
    たものであることを特徴とする薄膜。 【化7】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
    ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
    原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
    ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
    基を表している。)
  74. 【請求項74】 前記薄膜は単分子膜であることを特徴
    とする請求項73に記載の薄膜。
  75. 【請求項75】 少なくとも何れか一方の内側に液晶配
    向膜が設けられた一対の基板と、 前記一対の基板間に設けられた液晶層とからなる液晶表
    示装置であって、 前記液晶配向膜は、下記化学式(1)で表される官能基
    群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する分子群
    を、静電気除去しながら該基板面に接触させることによ
    り、−O−A結合を介して結合させた後、前記基板に結
    合されない前記分子を、静電気除去しながら洗浄して得
    られたものであることを特徴とする液晶表示装置。 【化8】 (但し、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及び
    ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の
    原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシア
    ネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能
    基を表している。)
  76. 【請求項76】 前記液晶配向膜は単分子膜であること
    を特徴とする請求項75に記載の液晶表示装置。
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CN111540729A (zh) * 2020-04-27 2020-08-14 普森美微电子技术(苏州)有限公司 一种多接触式静电抑制管

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