JP2005023257A - ポリオルガノシロキサン及びそれを含む硬化性組成物並びに反射防止膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の硬化性組成物は、所定構造を有する2種の有機ケイ素化合物と、所定構造を有する有機ケイ素化合物を反応系中に発生させることができる化合物と、を加水分解して共縮合物として得られる、(メタ)アクリル基を有するポリオルガノシロキサンと、含フッ素(メタ)アクリレートと、ラジカル重合開始剤とを含有する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラジカル重合性官能基を有するポリオルガノシロキサン及びそれを含む硬化性組成物並びに反射防止膜に関し、更に詳しくは、保存性に優れるポリオルガノシロキサン、及び、硬化性に優れ、耐熱性及び耐擦傷性に優れ、所望の屈折率に容易に制御された皮膜等の硬化物を形成する硬化性組成物、並びに低反射率を有する反射防止膜に関する。本発明の硬化性組成物は、反射防止膜、光導波路等に用いる材料等として有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年、レンズ、ディスプレイ等用の反射防止膜の分野や光ファイバー等用の光導波路の分野では、1.45以下、更に限定するならば1.40以下の低い領域での屈折率制御が容易にでき、耐熱性が高く、しかも低コストで造膜可能な材料が求められている。
【0003】
液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)等のような様々な画像表示装置に用いられる反射防止膜は、照明等の映り込み(グレア)を少なくすることによって表示を見やすくし、目の疲れを軽減するという機能を持つ。一方、眼鏡、光学レンズ等に用いられる反射防止膜は、レンズ表面での反射を防ぎ、より多くの光を取り込むことにより画質を向上させるという機能を持つ。
反射防止膜としては、MgF2、SiO2等の無機材料からなる透明薄膜を積層した多層膜が従来から広く用いられている。このような無機材料からなる透明薄膜は、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の1種である真空蒸着法により形成されている。無機材料からなる透明薄膜は、反射防止膜として優れた光学的性質を有しているが、蒸着による形成において、基材の大きさ、形状等に制約がある、装置コストが高価で成膜コストの上昇を余儀なくされる等という問題があった。
【0004】
上記真空蒸着法の代替技術として、無機微粒子の塗布により反射防止膜を形成する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、微細空孔と微粒子状無機物とを有する反射防止透明層が開示されている。この文献によれば、反射防止層は塗布により形成され、加熱硬化後、活性化ガス処理と呼ばれる工程を経る。この工程の際に、ガスが層から離脱することによって微細空孔が形成される。空孔は実質的に1.00に近い屈折率を有しているため、この空孔の量を制御することで反射防止層の屈折率を制御しうるという技術である。
【0005】
また、特許文献2には、2種以上の材料(例えば、MgF2及びSiO2)からなる超微粒子を混在させて、膜厚方向にその混合比を変化させた反射防止膜が開示されている。この技術は高価な装置を必要としない点で優れている。
【0006】
特許文献3には、多孔質シリカよりなる無機微粉末とバインダーとを含有する反射防止膜が開示されている。この技術は高価な装置を必要とせず、プラスチック基材との密着性が高いという点で優れている。
【0007】
特許文献4には、溶媒可溶性の非晶質フッ素樹脂が開示されている。この技術は、装置コストを安くでき、基材の形状や大きさへの対応が真空成膜法に比べて容易であるという利点がある。
【0008】
更に、特許文献5には、透明基材上に、基材側から空気に向かって少なくとも屈折率が1.40以下の低屈折率膜が積層されてなる反射防止光学物品において、前記低屈折率層をパーフルオロアルキルアクリレート又はパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートとパーフルオロポリエーテルの混合物で構成する技術を開示されている。この技術は、溶剤塗布法を用いるため成膜コストが低く、しかも揮発性の極めて低いパーフルオロポリエーテルを使用するため、地球環境の観点からも好ましい技術である。
【0009】
ところで、上記特許文献1における活性化ガスとは、低温プラズマを意味しており、低温プラズマ発生装置は真空蒸着法に比較すれば安価であるが、決して安価な装置ではなく、更にその操作は煩雑であって基材の大きさや形状に制約があるという問題は依然として残っていた。
また、特許文献2に開示される技術は、超微粒子のバインダーとしてエチルシリケートの加水分解物を使用しているため、ガラス以外の、例えば、プラスチックからなる基材とは密着性が悪く、製品を落下させる等衝撃がかかる場合においては、反射防止層の脱落が起こるという問題があった。
また、特許文献3に開示される技術は、反射防止層の屈折率の範囲が1.46以上であって、1.45以下の領域での屈折率制御はできない。
【0010】
特許文献4に開示される、非晶質フッ素樹脂を溶解するPFC(パーフルオロカーボン)は、地球温暖化の要因となり得る物質であることが近年明らかになっており、PFCを厳密に回収するために別途装置が必要であり、この回収装置のコストがかかるという問題があった。
また、特許文献5は、反応点のないパーフルオロポリエーテルを屈折率制御成分として含有するため、この成分のブリードアウトによって反射防止層の屈折率が経時的に変化してしまうという問題があった。
【0011】
一方で、特許文献6には、フッ素を有するアクリルモノマーや、フッ素を有するアクリルオリゴマーとの相溶性が良好であり、これらのものと混合して共重合させ、それらの特性の改質を行うことができる新規なアクリル官能性メチルフルオロアルキルシルセスキオキサン化合物が開示されている。しかしながら、この文献には屈折率制御技術について全く開示も示唆も無い。
また、特許文献7には、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する有機官能基を有する有機含ケイ素化合物と、フルオルアルキル基を有する有機含ケイ素化合物との加水分解物の縮合体からなる硬化性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、この文献にも屈折率制御技術について全く開示も示唆も無く、しかも保管中に増粘するという問題があった。
【0012】
以上より、1.45以下の領域において、屈折率を容易に制御でき、保管中の増粘や屈折率の経時変化が無く、耐熱性、耐擦傷性に優れた皮膜等の硬化物を形成するコーティング材料やコーティング組成物というものは見出されていないのが現状である。
【0013】
【特許文献1】
特公昭60−59250号公報
【特許文献2】
特開平2−245702号公報
【特許文献3】
特開平7−48527号公報
【特許文献4】
特開平2−19801号公報
【特許文献5】
特開2002−341105号公報
【特許文献6】
特開平5−86193号公報
【特許文献7】
特開2000−234024号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するものであり、特定構造を有し、保存性に優れるポリオルガノシロキサン、及び、硬化性に優れ、耐熱性及び耐擦傷性に優れ、所望の屈折率に容易に制御された皮膜等の硬化物を形成する硬化性組成物、並びに低反射率を有する反射防止膜を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題を解決すべく、塗工性が容易であり、且つ、成膜性に優れるラジカル重合性材料を鋭意検討したところ、(メタ)アクリル基及びシロキサン結合生成基を有する有機含ケイ素化合物と、フルオロアルキル基及びシロキサン結合生成基を有する有機含ケイ素化合物と、特定の構造を有するシラノール基エンドキャップ剤と、を加水分解共縮合することによって得られるポリオルガノシロキサンが、粘度の経時変化の少ない低屈折率コーティング材料として有用であることを見出した。また、このポリオルガノシロキサンと、含フッ素(メタ)アクリレートと、光重合開始剤と、を含有するラジカル硬化性組成物は、硬化性に優れ、得られる皮膜等の硬化物が耐熱性、耐擦傷性に優れ、上記各成分の含有割合を変化させることによって、1.35〜1.45という低い屈折率領域において容易に制御できることを見出して本発明を完成したのである。
【0016】
本発明は以下の通りである
1.下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物(I)、下記一般式(2)で表される有機ケイ素化合物(II)、及び下記一般式(3)で表される有機ケイ素化合物を反応系中に発生させることができる化合物(III)の加水分解共縮合物であることを特徴とする、(メタ)アクリル基を有するポリオルガノシロキサン。
【化4】
(上式において、R0はアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する有機官能基であり、Xは加水分解性基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【化5】
(上式において、R1はフルオロアルキル基を有する有機官能基であり、Xは加水分解性基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【化6】
(但し、R2はアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である。)
2.上記1に記載のポリオルガノシロキサン(A)と、含フッ素(メタ)アクリレート(B)と、ラジカル重合開始剤(C)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
3. 本硬化性組成物を用いて得られる硬化物の屈折率が1.35〜1.45である上記2に記載の硬化性組成物。
4. 上記2又は3に記載の硬化性組成物を硬化してなることを特徴とする反射防止膜。
【0017】
【発明の効果】
本発明のポリオルガノシキロキサンは、保存性に優れ、粘度の経時変化がないため、冷蔵庫保管をする必要がなく取扱いが容易である。
本発明の硬化性組成物は、その硬化方法が熱硬化であっても、光硬化であっても、硬化性に優れ、これを用いて、低反射率であり、耐熱性及び表面硬度に優れる硬化物を得ることができる。また、従来の硬化性組成物と比較して、1.35〜1.45という低い屈折率の硬化物を容易に且つ精度良く得ることができる。
硬化物の屈折率が1.35〜1.45である場合には、通常、硬化物の光沢度が低く、優れた反射防止膜とすることができる。
また、本発明の硬化性組成物は、光沢度が低く、屈折率も低いため、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)等の画像表示装置の反射防止膜として特に有用であり、また、種々の光導波路材料等にも有用であり、工業的な意義は極めて大である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
[1](メタ)アクリル基を有するポリオルガノシロキサン
本発明のポリオルガノシロキサンは、下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物(I)、下記一般式(2)で表される有機ケイ素化合物(II)、及び下記一般式(3)で表される有機ケイ素化合物を反応系中に発生させることができる化合物(III)の加水分解共縮合物である。
【化7】
(上式において、R0はアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する有機官能基であり、Xは加水分解性基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【化8】
(上式において、R1はフルオロアルキル基を有する有機官能基であり、Xは加水分解性基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【化9】
(但し、R2はアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である。)
【0019】
[1−1]有機含ケイ素化合物(I)
上記一般式(1)で表される有機含ケイ素化合物(I)は、アクリル基又はメタクリル基と、シロキサン結合生成基と、を有する有機含ケイ素化合物である。上記一般式(1)における有機官能基R0は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する有機官能基であり、炭素数の合計が好ましくは20以下、好ましくは15以下、より好ましくは12以下のものである。この有機官能基R0としては、下記一般式(4)で表されるものが特に好ましい。
【0020】
【化10】
(上式において、R3は水素原子又はメチル基であり、R4は炭素数2〜6のアルキレン基である。)
【0021】
上記一般式(4)において、R4は炭素数2〜6、好ましくは3〜4のアルキレン基であり、これらのうち、プロピレン基が好ましい。これは、このような有機官能基を形成する(メタ)アクリル基を有する化合物の入手あるいは合成が容易なためである。尚、上記一般式(4)におけるR4の炭素数が7以上であると、本ポリオルガノシロキサンを含有する硬化性組成物を用いて得られる硬化物の表面硬度が低下することがある。
【0022】
また、上記一般式(1)における加水分解性基Xは、加水分解性を有する基であれば特に限定されず、例えば、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらのうち、好ましいものは、メトキシ基、エトキシ基、n−及びi−プロポキシ基、n−、i−及びt−ブトキシ基等のアルコキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のシクロアルコキシ基、フェニルオキシ基等のアリールオキシ基である。
また、加水分解性が高いことから、アルコキシ基がより好ましく、更には炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、特にエトキシ基は、加水分解反応を制御しやすいため、好ましい。
尚、上記一般式(1)で表される化合物中の上記加水分解性基Xは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0023】
上記一般式(1)で表される好ましい化合物としては、例えば、3−(アクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(アクリロキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロキシ)プロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
[1−2]有機含ケイ素化合物(II)
上記一般式(2)で表される有機含ケイ素化合物(II)は、フルオロアルキル基と、シロキサン結合生成基と、を有する有機含ケイ素化合物である。
上記一般式(2)におけるフルオロアルキル基R1は、特に限定されず、炭化水素基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されたものであってもよいし、水素原子の全てがフッ素原子で置換されたものであってもよい。また、このフルオロアルキル基の炭素数等も特に限定されない。このフルオロアルキル基R1としては、下記一般式(5)で表されるものが特に好ましい。
【0025】
【化11】
(上式において、nは0〜10の整数であり、R5は炭素数1〜4のアルキレン基である。)
【0026】
上記一般式(5)において、R5は、炭素数1〜4、好ましくは2〜3のアルキレン基である。
また、上記一般式(2)における加水分解性基Xは、上記一般式(1)において説明した加水分解性基Xと同様であり、この加水分解性基Xは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0027】
上記一般式(2)で表される好ましい化合物としては、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
[1−3]化合物(III)
この化合物(III)は、上記一般式(3)で表される化合物を反応系中に発生させる化合物であれば特に限定されない。上記一般式(3)で表される化合物は、例えば、シラノール基を1つ有し、且つ、(メタ)アクリル基を有しない有機ケイ素化合物である。
【0029】
上記一般式(3)におけるR2は、好ましくは炭素数1〜6(より好ましくは1〜4)のアルキル基、好ましくは炭素数5〜8(より好ましくは5〜6)のシクロアルキル基及び好ましくは炭素数6〜8(より好ましくは6〜7)のアリール基から選択される。上記アルキル基として好ましいものは、メチル基、エチル基、n−及びi−プロピル基、n−、i−及びt−ブチル基等である。また、上記シクロアルキル基として好ましいものは、シクロヘキシル基等であり、上記アリール基として好ましいものは、フェニル基等である。
【0030】
上記一般式(3)で表される化合物としては、例えば、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、トリプロピルシラノール、トリブチルシラノール、トリフェニルシラノール、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリメチルシリルアセテート、トリメチルシリルベンゾエート、トリエチルシリルアセテート、トリエチルシリルベンゾエート、ベンジルジメチルメトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ジフェニルメトキシメチルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、アセチルトリフェニルシラン、エトキシトリフェニルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサプロピルジシロキサン、1,3−ジブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン等が挙げられる。
従って、これらの化合物を反応系中に発生させる化合物を上記化合物(III)として用いることができ、この化合物(III)は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
上記化合物(III)を水と接触させると、加水分解反応が起こり、上記一般式(3)で表される化合物が反応系中に発生する。後述の加水分解触媒が共存している場合、この加水分解反応が加速されるので好ましい。
【0032】
[1−4]ポリオルガノシロキサンの製造
上記において説明した、有機含ケイ素化合物(I)、有機含ケイ素化合物(II)、及び化合物(III)を加水分解することによって、本発明のポリオルガノシロキサンを得ることができる。
その製造方法としては、例えば、▲1▼上記化合物(I)、(II)及び(III)を一括して加水分解共縮合して本発明のポリオルガノシロキサンを生成させ、その後、反応溶媒(有機溶媒)を除去する方法(以下、「一括仕込み法」ともいう。)、▲2▼まず、上記化合物(I)及び(II)を加水分解共縮合し、その後、反応系へ上記化合物(III)を添加し更に加水分解共縮合して本発明のポリオルガノシロキサンを生成させ、その後、反応溶媒(有機溶媒)を除去する方法(以下「分割仕込み法」ともいう。)等が挙げられる。
【0033】
上記化合物(I)、(II)及び(III)の加水分解について説明する。この加水分解における水の使用量は、上記化合物(I)、(II)及び(III)を構成するシロキサン結合生成基を完全に加水分解するのに必要な水の量を1当量とすると、好ましくは0.5〜10当量、より好ましくは1.5〜5当量である。
また、加水分解の際の反応液のpHは、好ましくは0.5〜4.5の酸性雰囲気であり、より好ましくは1〜2である。pHが0.5未満であると(メタ)アクリル酸エステルの加水分解が併発してしまい、得られるポリオルガノシロキサンの硬化性が低下する傾向にある。一方、pHが4.5を超えると、例えば、弱酸性下では加水分解及び縮合反応の速度が低下し、製造に長時間を要する場合がある。
【0034】
加水分解の際には、触媒を用いることができ、例えば、塩酸、硫酸、燐酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、酢酸、乳酸、炭酸等の酸性触媒を用いることができる。これらのうち、塩酸が好ましい。また、これらの酸性触媒は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
加水分解時に用いる有機溶媒は特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、トルエン、1,4−ジオキサン、ヘキサン、リグロイン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができるが、反応系を均一な溶液にすることが好ましい。
【0036】
加水分解の反応温度は、好ましくは10〜120℃、より好ましくは20〜80℃である。この加水分解共縮合は、種々の分子量を有する化合物の平衡反応であるため、反応温度が高すぎると、平衡が著しく高分子量側に傾く結果、反応中にゲル化が起こる傾向にある。また、反応時間は、好ましくは2〜30時間であり、より好ましくは4〜24時間である。
【0037】
加水分解の後、加水分解で消費されなかった水が残存する場合には、その水と、使用した残存有機溶媒の除去を行うが、この工程は常圧ないし減圧下で通常の蒸留操作によればよい。
【0038】
上記製造方法によって得られるポリオルガノシロキサンは、上記有機含ケイ素化合物が有する加水分解性基のうち90%以上が縮合されていることが好ましく、加水分解性基の実質的に全てが縮合されていることが更に好ましい。残存する加水分解性基の割合が10%を超えると、シルセスキオキサン構造が十分に形成されないため硬化物の硬度が低下したり、組成物の貯蔵安定性が低下したりすることがある。ここで「加水分解性基の全てが実質的に縮合されている」とは、例えば、NMRチャートにおいて、得られたポリオルガノシロキサンに、加水分解性基に基づくピークが観察されないことにより確認することができる。
【0039】
本発明の(メタ)アクリル基を有するポリオルガノシロキサンは、上記一括仕込み法によっても、あるいは上記分割仕込み法によっても、更には、他の製造方法によっても、上記化合物(I)、(II)及び(III)を加水分解することによって、上記一般式(1)及び(2)に結合した加水分解性基Xが加水分解することによって3次元の(Si−O−Si)結合を骨格に含む。
【0040】
また、上記化合物(I)、(II)及び(III)を加水分解することによって得られたポリオルガノシロキサンは、ハシゴ状、カゴ状又はランダム状の構造を有するシルセスキオキサン化合物を含む。このシルセスキオキサン化合物は、1種単独でもよいし、構造又は分子量の異なる2種以上を含んでもよい。
【0041】
本発明の(メタ)アクリル基を有するポリオルガノシロキサンは、その数平均分子量が好ましくは600〜5,000、より好ましくは1,000〜3,000である。数平均分子量が600未満であると、このポリオルガノシロキサンを含む組成物から形成される皮膜等の硬化物に十分な硬度が得られない場合がある。一方、数平均分子量が5,000を超えるとその組成物の粘度が高くなり過ぎて、取り扱い性が困難な場合があるとともに、その組成物をコーティング材料として用いる場合において塗工性が低下する傾向にある。
【0042】
上記一括仕込み法により得られるポリオルガノシロキサンは、それ自体の分子量を低くすることができるため、粘度が低く取り扱いやすい。また、上記分割仕込み法により得られるポリオルガノシロキサンは、高分子量となる傾向にあるが、それにも関わらず、生成物中のシラノール基が有機含ケイ素化合物(III)によってエンドキャッピングされているために、シラノールどうしの水素結合が無く、粘度を低くすることができ、取り扱いやすい。更に、生成物中のシラノール基がエンドキャッピングされているため、経時変化が著しく少ない、保存安定性の高い生成物を得ることができる。
【0043】
[2]硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、上記のポリオルガノシロキサン(A)と、含フッ素(メタ)アクリレート(B)と、ラジカル重合開始剤(C)を含有する。
本組成物中の上記ポリオルガノシロキサン(A)の含有量は、組成物全体に対し、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは25〜75質量%である。10質量%未満では、本組成物を用いて得られる硬化物は非常に柔らかく、皮膜とした場合、基材から剥がれやすくなる場合がある。一方、このポリオルガノシロキサンの含有量が95質量%を超えると、硬化物が非常に硬くなり脆くなってしまう場合がある。尚、以下の説明においても、本明細書における上記「組成物全体」とは、有機溶剤等を含まない不揮発分の全量を意味する。
【0044】
[2−1]含フッ素(メタ)アクリレート(B)
本発明に係わる含フッ素(メタ)アクリレートとしては、後述のラジカル重合開始剤(C)によって硬化可能であれば、その分子構造、分子量等に特に制限はなく、従来公知のものを使用することができる。その例としては、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロ−1,10−デカンジオール−ジエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
本組成物中の上記含フッ素(メタ)アクリレート(B)の含有量は、組成物全体に対し、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜50質量%である。この含フッ素(メタ)アクリレートの含有量が5質量%未満では、本組成物の硬化性が低くなる傾向にあり、一方、90質量%を超えると、得られる皮膜等の硬化物の表面硬度が低くなる傾向にある。
【0046】
[2−2]ラジカル重合開始剤(C)
本発明に係わるラジカル重合開始剤としては、本組成物を熱あるいは光によって硬化させることができるものであれば、従来公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。
熱によって硬化させる(熱)ラジカル重合開始剤の例としては、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、パラメンタンハイドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスイソカプロニトリル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の無機過酸化物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
また、本組成物は、有機過酸化物又は無機過酸化物と、還元剤とからなるレドックス系重合開始剤によっても硬化させることができる。この有機過酸化物及び無機過酸化物としては上記例示したものを用いることができ、還元剤としては有機アミン、硫酸第一鉄、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、L−アスコルビン酸、スルフィン酸等を用いることができる。
【0048】
また、可視光、紫外線等の光によって硬化させる(光)ラジカル重合開始剤の例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
このような光ラジカル重合開始剤を使用する場合、光増感剤を併用することができ、従来公知のものを使用することができる。その例としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
上記ラジカル重合開始剤(C)の含有量は、組成物全体に対し、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。このラジカル重合開始剤の含有量が0.01質量%未満では、熱や光の作用により活性化しても、重合を十分に進行させることができないことがあり、本組成物を用いて得られる硬化物の耐熱性及び強度が不十分となる場合がある。一方、5質量%を超えて含有させても、重合を進行する作用はそれ以上高まらず、逆に、硬化物の耐熱性及び強度が低下することがある。
【0051】
[2−3]添加剤
本発明の硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記含フッ素(メタ)アクリレート(B)以外の(メタ)アクリレート、有機溶剤、無機充填材、レベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤等を含有させることができる。
特に有機溶剤は、本組成物の粘度をコントロールしてコーティングを容易にするために有用であり、例えば、エタノール、メタノール、イソブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、無機充填材は、組成物へのチクソトロピー性の付与、あるいは得られる皮膜の屈折率の調整のために有用であり、例えば、フッ化マグネシウム粉、シリカ粉が好ましく用いられる。
【0052】
[2−4]硬化性組成物の調製方法
本発明の硬化性組成物は、上記の成分を従来公知の混合機で攪拌し、上記添加剤等を均一に分散させることにより得ることができる。具体的な装置としては、チェンジ缶式ミキサー、プラネタリーミキサー、ディスパー、ヘンシェルミキサー、ニーダー、インクロール、押出機、3本ロールミル、サンドミル等が挙げられる。
【0053】
[2−5]組成物の硬化方法
本発明の硬化性組成物は、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、インクジェット法等従来公知の方法により各種基材にコーティングし、以下の方法で硬化することができる。硬化の際には、酸素を含まない雰囲気下、例えば、窒素雰囲気下で行うことが特に好ましい。
【0054】
本発明の硬化性組成物を熱硬化させる場合の硬化方法としては、含有される熱ラジカル重合開始剤が分解を開始する温度以上で加熱を行い、その好ましい温度は50〜150℃であり、更に好ましくは75〜105℃である。
【0055】
また、本発明の硬化性組成物を光硬化させる場合の硬化方法としては、従来公知の光照射装置等によって光照射を行えばよい。この光照射装置としては、例えば、波長400nm以下に発光分布を有する、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯及びメタルハライドランプ等が挙げられる。本組成物からなる塗膜への光照射強度は、目的、用途によって選択されるために特に限定されないが、光ラジカル重合開始剤の活性化に有効な光波長領域(光ラジカル重合開始剤によって異なるが、通常、300〜420nmの光が用いられる。)の光照射強度が0.1〜100mW/cm2であることが好ましい。本組成物からなる塗膜への光照射強度が0.1mW/cm2未満であると、反応時間が長くなる傾向にあり、一方、100mW/cm2を超えると、光照射装置から輻射される熱により、硬化物及び基材の黄変あるいは強度の低下が生じるおそれがある。
【0056】
また、組成物への光照射時間は、目的、用途によって選択されるため特に限定されないが、上記光波長領域における光照射強度及び光照射時間の積として表される積算光量が10〜5,000mj/cm2となるように考慮し、選択することが好ましい。本組成物からなる塗膜への積算光量が10mj/cm2未満では、光ラジカル重合開始剤の活性化が十分でなく、硬化物の強度が低下する傾向があり、一方、5,000mj/cm2を超えると、照射時間が非常に長時間となり、生産性に劣る傾向にある。また、活性エネルギー線照射後の0.1〜数分後には、ほとんどの塗膜はラジカル重合反応が進行して指触乾燥する。
【0057】
本発明の硬化性組成物からなる硬化物は、表面硬度が好ましくはH以上、より好ましくは2H以上とすることができる。また、本組成物は、ポリオルガノシロキサン(A)、含フッ素(メタ)アクリレート(B)の含有割合を広い範囲で選択することができ、皮膜とした場合に所望の屈折率を好ましくは1.35〜1.45の範囲で得ることができる。更に、耐熱性の指標である5%重量減少温度は、好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上、更に好ましくは250℃以上とすることができる。
【0058】
[3]反射防止膜
本発明の反射防止膜は、上記硬化性組成物を硬化してなるものである。硬化方法は、上記[2]硬化性組成物における[2−5]項の説明と同様とすることができる。
本反射防止膜の厚さは特に限定されないが、通常、1〜1,000μm、好ましくは10〜100μmである。厚さが薄すぎると、反射防止能が不十分となる場合がある。また、大きさは、目的、用途により任意に選択すればよい。
本反射防止膜はそれ自身独立した膜であってもよいし、レンズ、フィルター、ディスプレイ等を基材とするその表面に接合された膜であってもよい。
【0059】
【実施例】
以下に、例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0060】
1.ポリオルガノシロキサン(A)の合成
実施例1(メタクリル基及びフルオロアルキル基を有するポリオルガノシロキサンの合成)
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、イソプロピルアルコール100ml、下記式(6)で表される3−(メタクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン12.42g(50mmol)及び下記式(7)で表される1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン30.52g(50mmol)を仕込んだ後、1%塩酸5.5g(H2O;0.3mol、HCl;1.5mmol)を徐々に加えて、40℃で攪拌した。反応の進行をGPCにより追跡し、原料のアルコキシシランがほぼ消失した時点(混合物の添加開始から8時間後)で、下記式(8)で表されるヘキサメチルジシロキサン0.32g(2mmol)を加え、50℃に昇温し、1時間加熱した。引き続き、減圧下で溶媒を留去し、数平均分子量が1,700、粘度が3,700mPa・s、屈折率が1.409の無色透明なポリオルガノシロキサン(以下、「樹脂A1」という。)を得た。
上記樹脂A1を25℃の暗所に3ヶ月保管し、THFへの溶解性と粘度測定を行ったところ、THFへの溶解性は良好であり、粘度は3,800mPa・s(粘度上昇率103%)であった。
【0061】
【化12】
【0062】
【化13】
【0063】
【化14】
【0064】
実施例2(アクリル基及びフルオロアルキル基を有するポリオルガノシロキサンの合成)
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、イソプロピルアルコール100ml、下記式(9)で表される3−(アクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン11.72g(50mmol)及び下記式(10)で表される(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン10.91g(50mmol)を仕込んだ後、1%塩酸5.5g(H2O;0.3mol、HCl;1.5mmol)を徐々に加えて、30℃で攪拌した。反応の進行をGPCにより追跡し、原料のアルコキシシランがほぼ消失した時点(混合物の添加開始から20時間後)で、上記式(8)で表されるヘキサメチルジシロキサン0.32g(2mmol)を加え、50℃に昇温し、1時間加熱した。引き続き、減圧下で溶媒を留去し、数平均分子量が2,300、粘度が4,300mPa・s、屈折率が1.425の無色透明なポリオルガノシロキサン(以下、「樹脂A2」という。)を得た。
上記樹脂A2を25℃の暗所に3ヶ月保管し、THFへの溶解性と粘度測定を行ったところ、THFへの溶解性は良好であり、粘度は4,500mPa・s(粘度上昇率105%)であった。
【0065】
【化15】
【0066】
【化16】
【0067】
比較例1(メタクリル基とフルオロアルキル基を有し、シラノール基のエンドキャップを行わないポリオルガノシロキサンの合成)
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、イソプロピルアルコール100ml、3−(メタクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン12.42g(50mmol)及び1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン30.52g(50mmol)を仕込んだ後、1%塩酸5.5g(H2O;0.3mol、HCl;1.5mmol)を徐々に加えて、40℃で攪拌した。反応の進行をGPCにより追跡し、原料のアルコキシシランがほぼ消失した時点(混合物の添加開始から8時間後)で反応完結とした。引き続き、減圧下で溶媒を留去し、数平均分子量が2,500、粘度が11,000mPa・s、屈折率が1.385の無色透明なポリオルガノシロキサンを得た。
上記ポリオルガノシロキサンを、25℃の暗所に3ヶ月保管し、THFへの溶解性と粘度測定を行ったところ、THFへの溶解性は良好であったが、粘度は21,000mPa・s(粘度上昇率191%)と高くなっていた。
【0068】
比較例2(アクリル基とフルオロアルキル基を有し、シラノール基のエンドキャップを行なわないポリオルガノシロキサンの合成)
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、イソプロピルアルコール100ml、上記式(9)で表される3−(アクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン11.72g(50mmol)及び上記式(10)で表される(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン10.91g(50mmol)を仕込んだ後、1%塩酸5.5g(H2O;0.3mol、HCl;1.5mmol)を徐々に加えて、30℃で攪拌した。反応の進行をGPCにより追跡し、原料のアルコキシシランがほぼ消失した時点(混合物の添加開始から20時間後)で反応完結とした。引き続き、減圧下で溶媒を留去し、数平均分子量が3,200、粘度が13,000mPa・s、屈折率が1.398の無色透明なポリオルガノシロキサンを得た。
上記ポリオルガノシロキサンを25℃の暗所に3ヶ月保管し、THFへの溶解性と粘度測定を行ったところ、THFへの溶解性は良好であったが、粘度は23,000mPa・s(粘度上昇率177%)と高くなっていた。
【0069】
比較例3(アクリル基を有しフルオロアルキル基を有さないポリオルガノシロキサンの合成)
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、イソプロピルアルコール100ml、上記式(9)で表される3−(アクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン11.72g(50mmol)、メチルトリエトキシシラン8.92g(50mmol)及びヘキサメチルジシロキサン1.62g(10mmol)を仕込んだ後、1%塩酸10gを徐々に加えて、25℃で攪拌した。反応の進行をGPCにより追跡し、原料のアルコキシシランがほぼ消失した時点(混合物の添加開始から20時間後)で反応完結とした。引き続き、減圧下で溶媒を留去し、数平均分子量が900、粘度が4,500mPa・s、屈折率が1.453の無色透明なポリオルガノシロキサン(以下、「樹脂A3」という。)を得た。
上記樹脂A3を25℃の暗所に3ヶ月保管し、THFへの溶解性と粘度測定を行ったところ、THFへの溶解性は良好であり、粘度は4,700mPa・s(粘度上昇率104%)であった。
【0070】
2.硬化性組成物の調製及び硬化物の評価
2−1.光硬化性組成物の調製及び評価
実施例3
上記実施例1で得られた「樹脂A1」90質量部と、3−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート7質量部と、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(以下、「光重合開始剤」という。)3質量部と、をディスパーにより、15分間攪拌した。その後、脱泡を行い、光硬化性組成物を調製した。
【0071】
上記光硬化性組成物を用いて硬化物を得て、以下の方法により各種評価を行った。その結果を表1に示す。尚、表1において、「モノマーB1」は、3−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレートを示す。
光硬化性組成物を、バーコーターを用いてガラス基板上に約20μmの厚さに塗布した。その塗膜に、表面のタックがなくなるまで下記条件による紫外線照射を行った。
[UV照射条件]
ランプ;80W/cm高圧水銀ランプ
ランプ高さ;10cm
コンベアスピード;10m/min
照射パス回数;3回
雰囲気;窒素雰囲気。
【0072】
(1)光沢度
上記により得られた硬化膜を、温度25℃、湿度60%の恒温恒湿室内に24時間放置した後、JIS K5600−4−7に準じ、日本電色工業社製光沢計「VG2000」を用いて、20°の入射角で測定した。
(2)表面硬度
上記により得られた硬化膜を、温度25℃、湿度60%の恒温恒湿室内に24時間放置した後、JIS K5400に準じて表面の鉛筆硬度を測定した。
(3)屈折率の評価
上記により得られた硬化膜の20℃における屈折率を、アッベ式屈折率計を用いて波長589nmの光源で測定した。また、その硬化物を、温度60℃、湿度40%の恒温恒湿室内に1ヶ月放置するエージング試験を行い、同条件で屈折率を測定した。
(4)耐熱性
光硬化性組成物を、縦5mm×横5mm×深さ1mmのフッ素樹脂製鋳型に流し込み、上記条件で紫外線照射を行い、硬化物を得た。この硬化物を、温度25℃、湿度60%の恒温恒湿室内に24時間放置した後、セイコーインスツルメント社製熱重量分析装置「TG/DTA220」を用い、下記条件で5%重量減少温度を測定した。
[測定条件]
測定温度範囲;25〜500℃
昇温速度;20℃/分
雰囲気;空気中。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例4〜6及び比較例4
表1に記載の成分を所定量使用したこと以外は、実施例3と同様にして光硬化性組成物を調製し、上記各種評価を行った。その結果を表1に併記した。
【0075】
2−2.熱硬化性組成物の調製及び評価
実施例7
上記実施例1で得られた「樹脂A1」90質量部と、3−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート7質量部と、ベンゾイルパーオキサイド3質量部(以下、熱重合開始剤と称す)と、をディスパーにより、15分間攪拌した。その後、脱泡を行い、熱硬化性組成物を調製した。
【0076】
上記熱硬化性組成物を用いて硬化物を得て、以下の方法により上記評価を行った。その結果を表1に併記した。尚、表1において、「モノマーB2」は、3−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレートを示す。
表面硬度を測定するために、熱硬化性組成物を、バーコーターを用いてガラス基板上に約20μmの厚さに塗布し、窒素雰囲気下150℃で1時間加熱し硬化膜を得た。この硬化膜を、温度25℃、湿度60%の恒温恒湿室内に24時間放置した後、上記と同様にして表面の鉛筆硬度を測定した。
【0077】
屈折率を測定するために、熱硬化性組成物を、フッ素樹脂板上に20μmの厚さに塗布し、上記条件で加熱硬化し硬化膜を得た。この硬化膜の屈折率は、上記と同様にして測定した。
また、耐熱性を評価するために、熱硬化性組成物を、縦5mm×横5mm×深さ1mmのフッ素樹脂製鋳型に流し込み、150℃で1時間加熱し硬化物を得た。この硬化膜の耐熱性は、上記と同様にして測定した。
【0078】
比較例5
表1に記載の成分を所定量使用したこと以外は、実施例7と同様にして熱硬化性組成物を調製し、上記各種評価を行った。その結果を表1に併記した。
【0079】
3.実施例の効果
表1より、比較例3及び4の硬化性組成物は、その硬化物の光沢度が157と非常に高い。一方、実施例3〜7の硬化性組成物は、硬化物とした場合に光沢度が120以下と低く、即ち反射率が低く、更に1.35〜1.45という範囲の低い屈折率が得られた。また、屈折率の経時変化が全く無く、表面硬度、耐熱性に優れている。更に、実施例3〜5においては、各含有成分の含有量を変化させることにより光沢度、屈折率等の制御が容易であることが分かる。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物(I)、下記一般式(2)で表される有機ケイ素化合物(II)、及び下記一般式(3)で表される有機ケイ素化合物を反応系中に発生させることができる化合物(III)の加水分解共縮合物であることを特徴とする、(メタ)アクリル基を有するポリオルガノシロキサン。
- 請求項1に記載のポリオルガノシロキサン(A)と、含フッ素(メタ)アクリレート(B)と、ラジカル重合開始剤(C)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
- 本硬化性組成物を用いて得られる硬化物の屈折率が1.35〜1.45である請求項2に記載の硬化性組成物。
- 請求項2又は3に記載の硬化性組成物を硬化してなることを特徴とする反射防止膜。
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