JP2005022727A - プラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置および内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管と、前記外部電極内の前記プラスチック容器内に前記排気管側から挿入され、接地側に接続される内部電極と、前記排気管に取り付けられた排気手段と、前記内部電極に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、前記外部電極に接続された高周波電源と、具備し、前記内部電極は、前記外部電極に挿入されるプラスチック容器の底部側に位置する側壁部分に前記媒質ガスをその内部電極の中心軸に対して略接線方向もしくは接線方向に吹き出すための複数のガス吹き出し孔が開口されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置および内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法に関する。特に、プラスチック容器のガスバリヤ性を向上させるためのバリヤ膜を、プラスチック容器の内面へ形成する装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
容器の内面或いは外面に薄膜をコーティングし、該容器の付加価値を高める試みがなされている。例えば、容器の耐薬品性を向上させたり、酸素や二酸化炭素のガスが容器壁を透過する速度を低減させている。
【0003】
耐薬品性を向上させることで、樹脂製よりも耐熱性を有するガラス製の容器に強酸やアルカリを適用できるようになる。また、酸素や二酸化炭素の透過速度を低減させることでガスバリヤ性を向上させて、これまでガラス製容器に充填せざるを得なかった酸化されやすい飲料を樹脂製の容器にも充填できるようになる。
【0004】
特許文献1には、次に説明するダイヤモンド状炭素又はダイヤモンドをコーティングすることによって耐薬品性を向上させた容器とその製造装置が開示されている。すなわち、原料ガスの導入孔と排気孔とを備えた反応室の内部に、高周波電源又は直流電源が接続された円筒状陰極と接地された陽極とが設置されている。陽極には、図示しないヒーターが埋め込まれている。円筒状陰極の軸方向の一端部に開口部が設けられ、該陰極の内部空間に器具を設置する。
【0005】
このような製造装置において、前記反応室内部の大気を排気後、ヒーターに通電し、器具を加熱する。つづいて、原料ガスを流しながら、高周波電力又は直流電力を円筒状陰極に印加すると、該陰極と陽極との間の空間で放電が発生し、該空間にプラズマが生成する。原料ガスは該プラズマによって分解され、分解された成膜種が拡散していき、器具の内面に到達するとそこで堆積し、薄膜がコーティングされる。
【0006】
特許文献2には、次に説明するガスバリヤ性を向上させた容器の製造装置が開示されている。すなわち、マッチングボックスを介して高周波電源が接続された外部電極と、外部電極天蓋部と、絶縁板とで真空境界が形成されている。外部電極の内面には冷却水が流れる流路があり、該流路の更に内面側には、プラスチック製外筒が設置されている。該外筒の内部にプラスチック容器は、更に該容器の内部に挿入された形態で原料ガス供給管に接続された内部電極が設置されている。該供給管と該内部電極とは内部で連通しており、連通した先はガス供給口に通じている。プラスチック製外筒の内面形状は、プラスチック容器の外形状に相似させており、該外筒内面と該容器外面との間には、ほぼ均等な隙間がある。
【0007】
このような製造装置において、プラスチック内部空間の大気を排気した後、原料ガスを原料ガス供給管から導入すると、該ガスはガス供給口からプラスチック容器の内部に流入し、排気口から排気される。冷却水を流すと共に、高周波電源から高周波電力を印加すると、プラスチック内部空間で放電が発生し、プラズマが生成する。冷却水は、プラズマ生成時の熱によってプラスチック容器が損傷を受けないように流す。原料ガスは前記プラズマによって分解され、分解された成膜種が拡散していき、プラスチック容器の内面に到達するとそこで堆積し、薄膜がコーティングされる。
【0008】
【特許文献1】
特開平2−70059号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2000−230064号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した特許文献1の発明は以下のような問題点がある。
【0011】
ダイヤモンド状炭素又はダイヤモンドの膜をコーティングするために、コーティング対象である器具を加熱する必要がある。課題解決手段においては、室温から900℃が好適であると、また、実施例、比較例においては50〜100℃の例が記載されている。器具がプラスチック容器である場合、数十度にて容器変形等の損傷が予想されるので、コーティング対象とする器具の種類が限定されるという問題点がある。
【0012】
また、前述した特許文献2の発明は以下のような問題点がある。
【0013】
冷却水を流す流路とプラスチック製外筒とを備えねばならず、成膜装置の構造が複雑、且つ大きくなり、コストアップに繋がる。
【0014】
また、原料ガスは、内部電極の軸方向に沿って開口されている複数のガス供給口からプラスチック容器内に供給され、プラスチック容器の口部から排気される。このため、プラスチック容器内のガス流路は内部電極と外部電極に挟まれた空間であり、プラスチック容器の口部に近い空間はコンダクタンスが大きくなりガス吹出し孔からのガス流れは促進されるが、口部から遠い容器底部付近のガス吹出し孔からのガスの流れが遅くなって滞留し易くなる。その結果、容器底部付近の媒質ガスはその容器の口部付近のガスに比べてより長い時間プラズマに曝されるため、気相反応によって結合する分子が大きくなり過ぎて粉状になる可能性がある。粉状物質は、容器表面へ薄膜としてコーティングされずに、その上に堆積する異物となる。このような異物の発生は、次の点で不都合である。
【0015】
a).粉状物質が多数堆積してもそれらの間には隙間があるため、炭素膜を用いたときのようなガスバリアの効果は生じない。
【0016】
b).飲料に混入する可能性のある物質が容器内に残留する。
【0017】
本発明は、プラスチック容器内面に膜質が良好で、さらに均一厚さの炭素膜をコーティングすることが可能なプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を提供することを目的とする。
【0018】
本発明は、膜質が良好で、均一な膜厚を有する炭素膜が内面にコーティングされたプラスチック容器の製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
本発明は、プラスチック容器内面に膜質が良好で、さらに均一厚さの炭素膜を高速度でコーティングすることが可能なプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を提供することを目的とする。
【0020】
本発明は、膜質が良好で、均一な膜厚を有する炭素膜が内面に高速度でコーティングされたプラスチック容器の製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置および内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法は、次のような構成を有することを特徴とするものである。
【0022】
1)被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、
前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管と、
前記外部電極内の前記プラスチック容器内に前記排気管側から挿入され、接地側に接続される内部電極と、
前記排気管に取り付けられた排気手段と、
前記内部電極に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
前記外部電極に接続された高周波電源と、を具備し、
前記内部電極は、前記外部電極に挿入されるプラスチック容器の底部側に位置する側壁部分に前記媒質ガスをその内部電極の中心軸に対して略接線方向もしくは接線方向に吹き出すための複数のガス吹き出し孔が開口されていることを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置。
【0023】
2)前記1)のバリヤ膜形成装置を用いて内面バリヤ膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
(a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内に挿入する工程と、
(b)複数のガス吹き出し孔が開口された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管から前記プラスチック容器の内部に前記各ガス吹き出し孔が前記容器の底部側に位置するように挿入する工程と、
(c)前記容器内外のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気した後、前記内部電極に媒質ガスをガス供給手段により供給し、この内部電極の各ガス吹き出し孔から前記プラスチック容器内に媒質ガスを旋回流として吹き出して前記プラスチック容器内を上昇させるとともに、前記プラスチック容器を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
(d)高周波電源から高周波電力を前記外部電極に供給し、前記プラスチック容器内に位置する内部電極の周囲にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面にバリヤ膜をコーティングする工程とを含むことを特徴とする内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法。
【0024】
3)被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、
前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管と、
前記外部電極内の前記プラスチック容器内に前記排気管側から挿入された内部電極と、
一端が前記内部電極に連結され、他端が前記排気管側に延出された給電端子を兼ねるガス供給管と、
前記排気管に取り付けられた排気手段と、
前記ガス供給管に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
前記ガス供給管に接続された高高周波電源と、
前記外部電極に接続されたバイアス用電源と、を具備し、
前記内部電極は、前記外部電極に挿入されるプラスチック容器の底部側に位置する側壁部分に前記媒質ガスをその内部電極の中心軸に対して略接線方向もしくは接線方向に吹き出すための複数のガス吹き出し孔が開口されていることを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置。
【0025】
4)前記3)のバリヤ膜形成装置を用いて内面バリヤ膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
(a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内に挿入する工程と、
(b)複数のガス吹き出し孔が開口された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管から前記プラスチック容器の内部に前記各ガス吹き出し孔が前記容器の底部側に位置するように挿入する工程と、
(c)前記容器内外のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気した後、前記内部電極に媒質ガスをガス供給手段により供給し、この内部電極の各ガス吹き出し孔から前記プラスチック容器内に媒質ガスを旋回流として吹き出して前記プラスチック容器内を上昇させるとともに、前記プラスチック容器を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
(d)バイアス用電源から高周波電力を前記外部電極に印加すると共に、高高周波電源から高高周波電力を前記ガス供給管を通して前記内部電極に供給し、前記プラスチック容器内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面にバリヤ膜をコーティングする工程とを含むことを特徴とする内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法。
【0026】
5)被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、
被処理物であるプラスチック容器が挿入された時に少なくともその容器の口部および肩部と前記外部電極の間に介在された誘電体材料からなるスペーサと、
前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管と、
前記外部電極内の前記プラスチック容器内に前記排気管側から挿入され、接地側に接続される内部電極と、
前記排気管に取り付けられた排気手段と、
前記内部電極に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
前記外部電極に接続された高周波電源と、を具備し、
前記内部電極は、前記外部電極に挿入されるプラスチック容器の底部側に位置する側壁部分に前記媒質ガスをその内部電極の中心軸に対して略接線方向もしくは接線方向に吹き出すための複数のガス吹き出し孔が開口されていることを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置。
【0027】
6)前記5)のバリヤ膜形成装置を用いて内面バリヤ膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
(a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内および誘電体材料からなるスペーサ内に少なくともその容器の口部および肩部の外周が前記スペーサ内に囲まれ、これ以外の前記容器部分の外周が前記外部電極内に囲まれるように挿入する工程と、
(b)複数のガス吹き出し孔が開口された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管から前記プラスチック容器の内部に前記各ガス吹き出し孔が前記容器の底部側に位置するように挿入する工程と、
(c)前記容器内外のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気した後、前記内部電極に媒質ガスをガス供給手段により供給し、この内部電極の各ガス吹き出し孔から前記プラスチック容器内に媒質ガスを旋回流として吹き出して前記プラスチック容器内を上昇させるとともに、前記プラスチック容器を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
(d)高周波電源から高周波電力を前記外部電極に供給し、前記プラスチック容器内に位置する内部電極の周囲にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面にバリヤ膜をコーティングする工程とを含むことを特徴とする内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法。
【0028】
7)被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、
被処理物であるプラスチック容器が挿入された時に少なくともその容器の口部および肩部と前記外部電極の間に介在される誘電体材料からなるスペーサと、
前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管と、
前記外部電極内の前記プラスチック容器内に挿入された内部電極と、
一端が前記内部電極に連結され、他端が前記排気管側に延出された給電端子を兼ねるガス供給管と、
少なくとも前記外部電極内および前記容器の口部近傍の前記排気管内に位置する前記ガス供給管部分の外周に配置され、接地されたアースシールド管と、
前記排気管に取り付けられた排気手段と、
前記ガス供給管に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
前記ガス供給管に接続された高高周波電源と、
前記外部電極に接続されたバイアス用電源と、を具備し
前記内部電極は、前記外部電極に挿入されるプラスチック容器の底部側に位置する側壁部分に前記媒質ガスをその内部電極の中心軸に対して略接線方向もしくは接線方向に吹き出すための複数のガス吹き出し孔が開口されていることを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置。
【0029】
8)前記7)のバリヤ膜形成装置を用いて内面バリヤ膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
(a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内および誘電体材料からなるスペーサ内に少なくともその容器の口部および肩部の外周が前記スペーサ内に囲まれ、これ以外の前記容器部分の外周が前記外部電極内に囲まれるように挿入する工程と、
(b)接地されたアースシールド管を外周に配置したガス供給管が連結され、複数のガス吹き出し孔が開口された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管から前記プラスチック容器の内部に前記各ガス吹き出し孔が前記容器の底部側に位置するように挿入する工程と、
(c)前記容器内外のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気した後、前記ガス供給管手段から媒質ガスを前記内部電極に前記ガス供給管を通して供給し、この内部電極のガス吹き出し部から前記プラスチック容器内に媒質ガスを旋回流として吹き出して前記プラスチック容器内を上昇させるとともに、前記プラスチック容器内を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
(d)バイアス用電源から高周波電力を前記外部電極に印加すると共に、高高周波電源から高高周波電力を前記ガス供給管を通して前記内部電極に供給し、前記プラスチック容器内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面にバリヤ膜をコーティングする工程とを含むことを特徴とする内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法。
【0030】
9)前記ガス供給手段は、内管と外管とからなる二重管構造を有し、該内管はガス排気に用いられ、前記内管と前記外管との間に前記媒質ガスが供給されるとともに、前記外管に螺旋状のスリットが形成されていることが好ましい。
【0031】
10)前記ガス供給手段は、内管と外管とからなる二重管構造を有し、該内管はガス排気に用いられ、前記内管と前記外管との間に前記媒質ガスが供給されるとともに、前記外管に螺旋状のスリットが形成されていることが好ましい。
【0032】
11)本発明に係るプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置および内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法において、前記バリヤ膜は炭素膜、酸化ケイ素膜、金属膜、又は有機系膜であることを許容する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図、図2は図1の内部電極底部(キャップ)の横断面図である。
【0035】
上下端にフランジ1a,1bを有する円筒状支持部材2は、円環状基台3上に載置されている。筒状の金属製の外部電極本体4は、前記支持部材2内に配置されている。円板状をなす金属製の外部電極底部材5は、前記外部電極4の底部に着脱可能に取り付けられている。前記外部電極本体4および前記外部電極底部材5により炭素被膜を形成するプラスチック容器(例えばペットボトル)Bを設置可能な大きさの空間をもつ有底円筒状の外部電極6が構成されている。円板状絶縁体7は、前記基台3と前記外部電極底部材5の間に配置されている。
【0036】
なお、前記外部電極底部材5、前記円板状絶縁体7および前記基台3は図示しないプッシャーにより前記外部電極本体4に対して一体的に上下動し、前記外部電極本体4の底部を開閉する。
【0037】
環状絶縁部材8は、前記外部電極6上面にその環状絶縁部材8上面が前記筒状支持部材2の上部フランジ1aと面一になるように載置されている。上下にフランジ9a,9bを有するガス排気管10は、前記支持部材2の上部フランジ1aおよび前記環状絶縁部材8の上面に載置されている。この排気管10は、接地されている。図示しないねじを前記排気管10の下部フランジ9bから前記支持部材2の上部フランジ1aに螺着することにより前記ガス排気管10が前記支持部材2に固定されている。また、図示しないねじを前記排気管10の下部フランジ9bから前記環状絶縁部8を貫通して外部電極6の本体4に螺着することにより前記排気管10が前記環状絶縁部材8および前記外部電極6に固定されると共に、前記環状絶縁部材8が前記外部電極6に対しても固定される。なお、前記排気管10と前記環状絶縁部材8および前記外部電極6との固定は、前記排気管10と前記外部電極6とがねじにより電気的に導通しない取り付け構造になっている。分岐ガス排気管11は、前記ガス排気管10の側壁に連結され、その他端に図示しない真空ポンプのような排気設備が取り付けられている。蓋体12は、前記排気管10の上部フランジ9aに取り付けられている。
【0038】
例えば周波数13.56MHzの高周波電力を出力する高周波電源13は、ケーブル14および給電端子15を通して前記外部電極6の本体4に接続されている。整合器16は、前記高周波電源13と前記給電端子15の間の前記ケーブル15に介装されている。
【0039】
ガス供給管17は、前記蓋体12を貫通し、ガス排気管10を通して前記外部電極6の本体4内におけるペットボトルBの口部に対応する個所に挿入されている。略円柱状をなす内部電極18は、前記外部電極6に挿入されたペットボトルB内にこのペットボトルBの長手方向のほぼ全長に渡って配置され、その上端が前記ガス供給管17の下端に着脱自在に取り付けられている。
【0040】
前記内部電極18は、中心軸に媒質ガスが流通するガス流路19がくり抜かれている。金属から作られた円柱状のキャップ20は、前記内部電極18の底部に着脱自在に取り付けられている。このキャップ20は、前記ガス流路19と連通するガス滞留室21がくり抜かれ、かつ側壁に複数、例えば4つのガス吹き出し孔22が90°の角度をあけて開口されている。前記4つのガス吹き出し孔22は、図1および図2に示すようにキャップ20の側壁に前記内部電極18の中心軸に対して略接線方向に開口されている。
【0041】
前記内部電極18の径は、ペットボトルBの口金径以下とし、長さはペットボトルBの長手方向のほぼ全長にわたって挿入可能な長さとする。長さの目安としては、ペットボトルBの全長に対する割合が{1−D/(2L)}程度となるようにする。ここでDはペットボトルの内径、Lはペットボトルの全長を表し、L>(D/2)である。
【0042】
前記内部電極18は、例えばタングステンやステンレス鋼のような耐熱性を有する金属材料により作られるが、アルミニウムで作ってもよい。また、内部電極18表面が平滑であると、その内部電極18の表面に堆積する炭素膜を剥離し易くなる虞がある。このため、内部電極18の表面を予めサンドブラスト処理し、表面粗さを大きくして表面に堆積する炭素膜を剥離し難くすることが好ましい。
【0043】
次に、図1に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0044】
図示しないプッシャーにより外部電極底部材5、円板状絶縁体7および基台3を取り外して外部電極本体4の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体4の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体4の底部側に外部電極底部材5、円板状絶縁体7および基台3をこの順序で取り付けることによって、図1に示すようにペットボトルBを前記外部電極本体4および前記外部電極底部材5からなる外部電極6の内部空間に収納する。このとき、前記ペットボトルBは排気管10にその口部を通して連通される。
【0045】
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管10および排気管11を通して前記排気管19および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。つづいて、媒質ガスをガス供給管17を通して内部電極18に供給する。内部電極18に供給された媒質ガスはそのガス流路19を流通し、その内部電極18底部のキャップ20のガス滞留室21に達し、複数、例えば4つのガス吹き出し孔22からペットボトルB内に吹き出される。このとき、前記4つのガス吹き出し孔22は図1および図2に示すようにキャップ20の側壁に前記内部電極18の中心軸に対して略接線方向に開口されているため、これらガス吹き出し孔22から吹き出された媒質ガスは図3に示すように旋回流23となってペットボトルBの口部に向かって上昇する。この後、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0046】
次いで、高周波電源13から例えば周波数13.56MHzの高周波電力をケーブル14、整合器16および給電端子15を通して前記外部電極6の本体4に供給する。このとき、前記内部電極18の周囲にプラズマが生成される。このようなプラズマの生成によって、媒質ガスが前記プラズマで解離されて前記外部電極6内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜がコーティングされる。
【0047】
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記高周波電源13からの高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス供給管17を通して内部電極18のガス流路19およびガス吹き出し孔22を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0048】
前記媒質ガスとしては、炭化水素を基本とし、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ブタジエン等のアルケン類;アセチレン等のアルキン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタリン、フェナントレン等の芳香族炭化水素類;シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロパラフィン類;シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン類;メチルアルコール、エチルアルコール等の含酸素炭化水素類;メチルアミン、エチルアミン、アニリン等の含窒素炭化水素類などが使用でき、その他一酸化炭素、二酸化炭素なども使用できる。
【0049】
前記高周波電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、これらの電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0050】
以上、第1実施形態によれば媒質ガスを内部電極18底部のキャップ20の側壁に前記内部電極18の中心軸に対して略接線方向に開口され複数のガス吹き出し孔22からペットボトルB内に吹き出すことによって、図3に示すようにペットボトルB内に媒質ガスの旋回流23を形成することができる。このため、前記ペットボトルBの底部から口部に向かうガスの流れを強制的に作ることができ、ペットボトルB内にガスの滞留部が生じるのを防止できる。その結果、前記内部電極18の周囲にプラズマを生成したときに、前記ペットボトルB底部付近から口部に亘る媒質ガスにプラズマを均等な時間曝すことができ、粉状物質の発生を防止できるため、ペットボトルB内面にこの粉状物質の混入がなく膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0051】
したがって、前記第1実施形態によれば外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルを製造することができる。
【0052】
(第2実施形態)
図4は、この第2実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図である。なお、図4において前述した第1実施形態で参照した図1と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0053】
この炭素膜形成装置は、バイアス用電源24がケーブル25および給電端子26を通して外部電極6の外部電極本体4に接続されている。整合器27は、前記バイアス用電源24と前記給電端子26の間の前記ケーブル25に介装されている。
【0054】
中心部に絶縁リング28を有し、接地された蓋体12は、ガス排気管10の上部フランジ9aに気密固定されている。筐体29は、前記蓋体12上に取り付けられている。
【0055】
下端に内部電極18を着脱自在に取り付けたガス供給管17は、高高周波電力の端子を兼ね、前記筐体29内から前記蓋体12の絶縁リング28を貫通し、前記ガス排気管10を通して前記外部電極6の本体4内(挿入されるべきペットボトルBの中央部に対応する個所内)に挿入されている。このガス供給管17の上端は、外部から前記筐体29を貫通して挿入されたガス導入管30の下端に絶縁継手31を介して連結されている。なお、内部電極18は前記第1実施形態で説明したように中心軸に媒質ガスが流通するガス流路19がくり抜かれ、底部に金属から作られた円柱状のキャップ20が着脱自在に取り付けられている。このキャップ20は、前記ガス流路19と連通するガス滞留室21がくり抜かれ、かつ側壁に複数、例えば4つのガス吹き出し孔22が90°の角度をあけて開口されている。前記4つのガス吹き出し孔22は、図1および図2に示すように前記キャップ20の側壁に前記内部電極18の中心軸に対して略接線方向に開口されている。
【0056】
フランジ管32およびこのフランジ管32下端に連結されたアースシールド管33は、前記ガス排気管10および前記外部電極6の本体4内におけるペットボトルBの中央部に対応する個所内に位置する前記ガス供給管17部分を覆うように配置されている。なお、前記アースシールド管33は前記ペットボトルBの口部近傍の前記ガス排気管10からペットボトルBの中央部に対応する個所に亘って位置されている。前記フランジ管32の上端は、前記蓋体12の裏面に連結されている。つまり、前記アースシールド管33は前記フランジ管32を通して接地された前記蓋体12に接続されている。
【0057】
高高周波電源34は、ケーブル35および給電端子36を通して高高周波電力の端子を兼ねる前記ガス供給管17の側面に接続されている。整合器37は、前記高高周波電源34と前記給電端子36の間の前記ケーブル35に介装されている。
【0058】
次に、図4に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0059】
図示しないプッシャーにより外部電極底部材5、円板状絶縁体7および基台3を取り外して外部電極本体4の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体4の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体4の底部側に外部電極底部材5、円板状絶縁体7および基台3をこの順序で取り付けることによって、図4に示すようにペットボトルBを前記外部電極本体4および前記外部電極底部材5からなる外部電極6の内部空間に収納する。このとき、前記ペットボトルBは排気管10にその口部を通して連通される。
【0060】
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管11および排気管10を通して前記排気管10および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。つづいて、媒質ガスをガス導入管30およびガス供給管17を通して内部電極18に供給する。内部電極18に供給された媒質ガスはそのガス流路19を流通し、その内部電極18底部のキャップ20のガス滞留室21に達し、複数、例えば4つのガス吹き出し孔22からペットボトルB内に吹き出される。このとき、前記4つのガス吹き出し孔22は図1および図2に示すようにキャップ20の側壁に前記内部電極18の中心軸に対して略接線方向に開口されているため、これらガス吹き出し孔22から吹き出された媒質ガスは前述した図3に示すように旋回流23となってペットボトルBの口部に向かって上昇する。この後、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0061】
次いで、バイアス用電源24からバイアス電力をケーブル25、整合器27および給電端子26を通して前記外部電極6に供給する。その後、またはそれと同時に、高高周波電源34から高高周波電力をケーブル35、整合器37および給電端子36を通してガス供給管17に供給し、このガス供給管17を通して内部電極18に高高周波電力を供給する。このとき、前記内部電極18の周囲にプラズマが生成される。また、前記外部電極6の上方に位置する排気管10は接地されているため、この排気管10を基準電位として前記外部電極6からバイアス電圧を内部電極18に向けて、つまり生成されたプラズマに向けて印加することができる。
【0062】
その結果、a)高高周波電力を用いると、特に低ガス圧力条件にて高周波電力に比べて高い電子密度が得られるため、媒質ガスとの衝突頻度が上がり製膜種密度を高くできる、b)バイアス電力を調整するとプラズマ電位との電位差を可変にできるので、ペットボトルB内面へ入射するイオンエネルギーを調整できる、c)イオン密度は電子密度に比例するので、前記の電位差の調整と併用することでペットボトルB内面に入射するイオンフラックスを制御できる。このようなプラズマの生成およびバイアス電圧の外部電極6への印加による前記外部電極6へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極6内のペットボトルB内面に引き込むことができ、均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0063】
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記バイアス用電源24および高高周波電源34からのバイアス電力、高高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス導入管30からガス供給管17を通して内部電極18のガス流路19およびキャップ20のガス吹き出し孔22を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0064】
前記媒質ガスとしては、第1実施形態で述べたのと同様なものを用いることができる。
【0065】
前記高高周波電力は、一般的に30〜300MHzと定義されているが、これに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0066】
前記バイアス電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、このバイアス電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0067】
以上、第2実施形態によれば媒質ガスを内部電極18底部のキャップ20の側壁に前記内部電極18の中心軸に対して略接線方向に開口され複数のガス吹き出し孔22からペットボトルB内に吹き出すことによって、図3に示すようにペットボトルB内に媒質ガスの旋回流23を形成することができる。このため、前記ペットボトルBの底部から口部に向かうガスの流れを強制的に作ることができ、ペットボトルB内にガスの滞留部が生じるのを防止できる。その結果、前記内部電極18の周囲にプラズマを生成したときに、前記ペットボトルB底部付近から口部に亘る媒質ガスにプラズマを均等な時間曝すことができ、粉状物質の発生を防止できるため、ペットボトルB内面にこの粉状物質の混入がなく膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0068】
また、プラズマの生成およびバイアス電圧の外部電極6への印加による前記外部電極6へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極6内のペットボトルB内面に引き込むことができ、均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0069】
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルをより量産的に製造することができる。
【0070】
また、前記高高周波電源34から高高周波電力をガス供給管17に供給すると、接地された排気管10との間で放電がなされ、排気管10内にも同様に不要なプラズマを生成し、炭素膜のコーティング効率が低下する。このようなことから、アースシールド管33を前記ガス供給管17外周にペットボトルBの口部近傍のガス排気管10内に位置するように配置し、このアースシールド管33をこれを支持するフランジ管32を通して接地することによって、前記アースシールド管33内を貫通するガス供給管17に高高周波電力が供給されても、媒質ガスの排気経路である前記排気管10内で不要なプラズマが生成されるのを防止できる。その結果、不要なプラズマ生成に伴う高高周波電力の消費を防ぐことができるため、前記ペットボトルB内での正規のプラズマ生成効率を高め、炭素膜のコーティング速度を向上できる。
【0071】
なお、前記第1、第2の実施形態ではガス吹き出し孔の数を4つとしたが、2つ、3つまたは5つ以上にしてもよい。また、複数のガス吹き出し孔をキャップ側壁にその中心軸に対して略接線方向に開口したが、複数のガス吹き出し孔をキャップ側壁にその中心軸に対して接線方向に開口してもよい。
【0072】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図である。
【0073】
上下端にフランジ41a,41bを有する円筒状支持部材42は、円環状基台43上に載置されている。筒状の金属製の外部電極本体44は、前記支持部材42内に配置されている。円板状をなす金属製の外部電極底部材45は、前記外部電極44の底部に着脱可能に取り付けられている。前記外部電極本体44および前記外部電極底部材45により炭素被膜を形成するプラスチック容器(例えばペットボトル)Bを設置可能な大きさの空間をもつ有底円筒状の外部電極46が構成されている。なお、前記基台43と前記外部電極底部材45の間には円板状絶縁体47が配置されている。
【0074】
なお、前記外部電極底部材45、前記円板状絶縁体47および前記基台43は図示しないプッシャーにより前記外部電極本体4に対して一体的に上下動し、前記外部電極本体4の底部を開閉する。
【0075】
内部に挿入されるペットボトルBの口部および肩部に対応する円柱および円錐台を組み合わせた形状をなす空洞部48を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ49は、前記外部電極46における前記本体44の上部に挿入されている。このスペーサ49は、この上に載置される後述する環状絶縁部材から螺着されたねじ(図示せず)により固定されている。このように円柱状スペーサ49を前記外部電極46における前記本体44の上部に挿入固定することにより、前記外部電極本体44の底部側からペットボトルBを挿入すると、そのペットボトルBの口部および肩部が前記スペーサ49の空洞部48内に、これ以外のペットボトルB部分が前記外部電極46内に収納される。
【0076】
前記スペーサ49を構成する誘電体材料としては、例えばプラスチックまたはセラミックを挙げることができる。プラスチックとしては、種々のものを用いることができるが、特に高周波損失が低く、耐熱性の優れたポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂が好ましい。セラミックとしては、高周波損失が低いアルミナ、ステアタイトまたは機械加工性が高いマコールが好ましい。
【0077】
環状絶縁部材50は、前記外部電極46上面にその環状絶縁部材50上面が前記筒状支持部材42の上部フランジ41aと面一になるように載置されている。上下にフランジ51a,51bを有するガス排気管52は、前記支持部材42の上部フランジ41aおよび前記環状絶縁部材50の上面に載置されている。この排気管52は、接地されている。図示しないねじを前記排気管52の下部フランジ51bから前記支持部材42の上部フランジ41aに螺着することにより前記ガス排気管52が前記支持部材42に固定されている。また、図示しないねじを前記排気管52の下部フランジ51bから前記環状絶縁部50を貫通して外部電極46の本体44に螺着することにより前記排気管52が前記環状絶縁部材50および前記外部電極46に固定されると共に、前記環状絶縁部材50が前記外部電極46に対しても固定される。なお、前記排気管52と前記環状絶縁部材50および前記外部電極46との固定は、前記排気管52と前記外部電極46とがねじにより電気的に導通しない取り付け構造になっている。分岐ガス排気管53は、前記ガス排気管52の側壁に連結され、その他端に図示しない真空ポンプのような排気設備が取り付けられている。蓋体54は、前記排気管52の上部フランジ51aに取り付けられている。
【0078】
例えば周波数13.56MHzの高周波電力を出力する高周波電源55は、ケーブル56および給電端子57を通して前記外部電極46の本体44に接続されている。整合器58は、前記高周波電源55と前記給電端子57の間の前記ケーブル56に介装されている。
【0079】
ガス供給管59は、前記蓋体54を貫通し、ガス排気管52を通して前記外部電極46の本体44内におけるペットボトルBの口部に対応する個所に挿入されている。略円柱状をなす内部電極60は、前記外部電極46に挿入されたペットボトルB内にこのペットボトルBの長手方向のほぼ全長に渡って配置され、その上端が前記ガス供給管59の下端に着脱自在に取り付けられている。
【0080】
前記内部電極60は、中心軸に媒質ガスが流通するガス流路61がくり抜かれている。金属から作られた円柱状のキャップ62は、前記内部電極60の底部に着脱自在に取り付けられている。このキャップ62は、前記ガス流路61と連通するガス滞留室63がくり抜かれ、かつ側壁に複数、例えば4つのガス吹き出し孔64が90°の角度をあけて開口されている。前記4つのガス吹き出し孔64は、図5に示すように前記キャップ62の側壁に前記内部電極60の中心軸に対して略接線方向に開口されている。
【0081】
前記内部電極60の径は、ペットボトルBの口金径以下とし、長さはペットボトルBの長手方向のほぼ全長にわたって挿入可能な長さとする。長さの目安としては、ペットボトルBの全長に対する割合が{1−D/(2L)}程度となるようにする。ここでDはペットボトルの内径、Lはペットボトルの全長を表し、L>(D/2)である。
【0082】
前記内部電極60は、例えばタングステンやステンレス鋼のような耐熱性を有する金属材料により作られるが、アルミニウムで作ってもよい。また、内部電極60表面が平滑であると、その内部電極60の表面に堆積する炭素膜を剥離し易くなる虞がある。このため、内部電極60の表面を予めサンドブラスト処理し、表面粗さを大きくして表面に堆積する炭素膜を剥離し難くすることが好ましい。
【0083】
次に、図5に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0084】
図示しないプッシャーにより外部電極底部材45、円板状絶縁体47および基台43を取り外して外部電極本体44の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体44の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体44の底部側に外部電極底部材45、円板状絶縁体47および基台43をこの順序で取り付けることによって、図5に示すようにペットボトルBの口部から肩部が誘電体材料からなる円柱状スペーサ49の空洞部48内に、前記ボトルBの肩部から底部側が前記外部電極46内に収納される。このとき、前記ペットボトルBは排気管52にその口部を通して連通される。
【0085】
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管53および排気管52を通して前記排気管52内および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。つづいて、媒質ガスをガス供給管59を通して内部電極60に供給する。内部電極60に供給された媒質ガスはそのガス流路61を流通し、その内部電極60底部のキャップ62のガス滞留室63に達し、複数、例えば4つのガス吹き出し孔64からペットボトルB内に吹き出される。このとき、前記4つのガス吹き出し孔64は図5および前述した図2に示すようにキャップ62の側壁に前記内部電極60の中心軸に対して略接線方向に開口されているため、これらガス吹き出し孔64から吹き出された媒質ガスは前述した図3に示すように旋回流となってペットボトルBの口部に向かって上昇する。この後、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0086】
次いで、高周波電源55から例えば周波数13.56MHzの高周波電力をケーブル56、整合器58および給電端子57を通して前記外部電極46の本体44に供給する。このとき、前記内部電極60の周囲にプラズマが生成される。このようなプラズマの生成によって、媒質ガスが前記プラズマで解離されて前記外部電極46およびスペーサ49内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜がコーティングされる。
【0087】
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記高周波電源55からの高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス供給管59を通して内部電極60のガス流路61およびキャップ62のガス吹き出し孔64を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0088】
前記媒質ガスとしては、第1実施形態と同様なものを用いることができる。
【0089】
前記高周波電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0090】
以上、第3実施形態によれば媒質ガスを内部電極60底部のキャップ62の側壁に前記内部電極60の中心軸に対して略接線方向に開口され複数のガス吹き出し孔64からペットボトルB内に吹き出すことによって、前述した図3に示すようにペットボトルB内に媒質ガスの旋回流を形成することができる。このため、前記ペットボトルBの底部から口部に向かうガスの流れを強制的に作ることができ、ペットボトルB内にガスの滞留部が生じるのを防止できる。その結果、前記内部電極60の周囲にプラズマを生成したときに、前記ペットボトルB底部付近から口部に亘る媒質ガスに前記プラズマを均等な時間曝すことができ、粉状物質の発生を防止できるため、ペットボトルB内面にこの粉状物質の混入がなく膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0091】
また、空洞部48を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ49を外部電極46の上部に挿入、固定することによって、前記プラズマの生成において前記ペットボトルBの肩部から底部側の内面のみならず、前記誘電体材料からなるスペーサ49と対向するペットボトルBの口部から肩部の内面に均一な厚さの炭素膜をコーティングすることができる。
【0092】
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルを量産的に製造することができる。
【0093】
また、ペットボトルBの口部および肩部周囲を覆う部材の形状は複雑であるが、これら部材に対応するスペーサ49を例えば射出成形が可能なプラスチックのような誘電体材料により形成することによって、従来のようにこれら部材を含む全てを外部電極で構成する場合に比べて簡単に製造することができる。さらに、従来のようにこれら部材を含む全てを金属のような導電材料により外部電極で構成する場合に比べて装置全体を軽量化することができる。
【0094】
さらに、スペーサ49をプラスチックまたは軟質のセラミックのような誘電体材料により形成することによって、ペットボトルBの複雑な口部および肩部が接触した時にその箇所に傷が発生するのを防止することができる。
【0095】
(実施例1)
内部電極18として、図1および図2に示す外径φ16mm、長さ163mmのステンレス片封じチューブの底部に内径1mmの4つのガス吹き出し孔22が90°の角度をあけて略接線方向に開口されたステンレス製キャップ20を取り付けた構造のものを用いた。
【0096】
この内部電極18を図1に示す外部電極6内に収納されたペットボトルBに挿入し、媒質としてC2H2ガス、ガス流量を100sccm、200sccm、および300sccm、ペットボトルBと排気管10のガス圧力を100mTorr、高周波電源から供給する高周波を13.56MHzの条件の下で前記ペットボトルB内面に炭素膜をコーティングした。
【0097】
このように炭素膜をコーティングした各ペットボトルBを軸方向に切断し、それら内面の炭素膜をSEMで観察した。その結果、いずれのペットボトルBも炭素膜に粉状物質の混入が認められなかった。
【0098】
(第4実施形態)
図6は、この第4実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図である。なお、図6において前述した第3実施形態で参照した図5と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0099】
この炭素膜形成装置は、バイアス用電源65がケーブル66および給電端子67を通して外部電極46の外部電極本体44に接続されている。整合器68は、前記バイアス用電源65と前記給電端子67の間の前記ケーブル66に介装されている。
【0100】
中心部に絶縁リング69を有し、接地された蓋体54は、ガス排気管52の上部フランジ51aに気密固定されている。筐体70は、前記蓋体54上に取り付けられている。
【0101】
下端に内部電極60を着脱自在に取り付けたガス供給管59は、高高周波電力の端子を兼ね、前記筐体70内から前記蓋体54の絶縁リング69を貫通し、前記ガス排気管52を通して前記外部電極46内のスペーサ49内に挿入されている。このガス供給管59の上端は、外部から前記筐体70を貫通して挿入されたガス導入管71の下端に絶縁継手72を介して連結されている。なお、内部電極60は前記第3実施形態で説明したように中心軸に媒質ガスが流通するガス流路61がくり抜かれ、底部に金属から作られた円柱状のキャップ63が着脱自在に取り付けられている。このキャップ62は、前記ガス流路61と連通するガス滞留室63がくり抜かれ、かつ側壁に複数、例えば4つのガス吹き出し孔64が90°の角度をあけて開口されている。前記4つのガス吹き出し孔64は、図6に示すように前記キャップ62の側壁に前記内部電極60の中心軸に対して略接線方向に開口されている。
【0102】
フランジ管73およびこのフランジ管73下端に連結されたアースシールド管74は、前記ガス排気管52および前記スペーサ49内に位置する前記ガス供給管59部分を覆うように配置されている。なお、前記アースシールド管74は前記スペーサ49内およびこのスペーサ49近傍の前記ガス排気管52内に位置されている。前記フランジ管73の上端は、前記蓋体54の裏面に連結されている。つまり、前記アースシールド管74は前記フランジ管73を通して接地された前記蓋体54に接続されている。
【0103】
高高周波電源75は、ケーブル76および給電端子77を通して高高周波電力の端子を兼ねる前記ガス供給管59の側面に接続されている。整合器78は、前記高高周波電源75と前記給電端子77の間の前記ケーブル76に介装されている。
【0104】
次に、図6に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0105】
図示しないプッシャーにより外部電極底部材45、円板状絶縁体47および基台43を取り外して外部電極本体44の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体44の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体44の底部側に外部電極底部材45、円板状絶縁体47および基台43をこの順序で取り付けることによって、図6に示すようにペットボトルBの口部から肩部が誘電体材料からなる円柱状スペーサ49の空洞部48内に、前記ボトルBの肩部から底部側が前記外部電極46内に収納される。このとき、前記ペットボトルBは排気管52にその口部を通して連通される。
【0106】
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管53および排気管52を通して前記排気管52内および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。つづいて、媒質ガスをガス導入管71およびガス供給管59を通して内部電極に供給する。内部電極60に供給された媒質ガスはそのガス流路61を流通し、その内部電極60底部のキャップ62のガス滞留室63に達し、複数、例えば4つのガス吹き出し孔64からペットボトルB内に吹き出される。このとき、前記4つのガス吹き出し孔64は図6および前述した図2に示すようにキャップ62の側壁に前記内部電極60の中心軸に対して略接線方向に開口されているため、これらガス吹き出し孔64から吹き出された媒質ガスは前述した図3に示すように旋回流となってペットボトルBの口部に向かって上昇する。この後、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0107】
次いで、バイアス用電源65からバイアス電力をケーブル66、整合器68および給電端子67を通して前記外部電極46に供給する。その後、またはそれと同時に、高高周波電源75から高高周波電力をケーブル76、整合器78および給電端子77を通してガス供給管59に供給し、このガス供給管59を通して内部電極60に高高周波電力を供給する。このとき、前記内部電極60の周囲にプラズマが生成される。また、アースシールド管74は前記スペーサ49内およびこのスペーサ49近傍の前記ガス排気管52内に位置するように前記ガス供給管59外周に配置されていると共にフランジ管73を通して接地されているため、このアースシールド管74を基準電位として前記外部電極46からバイアス電圧を内部電極60に向けて、つまり生成されたプラズマに向けて印加することができる。
【0108】
その結果、a)高高周波電力を用いると、特に低ガス圧力条件にて高周波電力に比べて高い電子密度が得られるため、媒質ガスとの衝突頻度が上がり製膜種密度を高くできる、b)バイアス電力を調整するとプラズマ電位との電位差を可変にできるので、ペットボトルB内面へ入射するイオンエネルギーを調整できる、c)イオン密度は電子密度に比例するので、前記の電位差の調整と併用することでペットボトルB内面に入射するイオンフラックスを制御できる。このようなプラズマの生成およびバイアス電圧の外部電極46への印加による前記外部電極46へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極46内のペットボトルB内面に引き込むことができ、均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0109】
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記バイアス用電源65および高高周波電源75からのバイアス電力、高高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス導入管71からガス供給管59を通して内部電極60のガス流路61およびキャップ62のガス吹き出し孔64を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0110】
前記媒質ガスとしては第1実施形態で述べたのと同様なものを用いることができる。
【0111】
前記高高周波電力は、一般的に30〜300MHzと定義されているが、これに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0112】
前記バイアス電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、このバイアス電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0113】
以上、第4実施形態によれば媒質ガスを内部電極60底部のキャップ62の側壁に前記内部電極60の中心軸に対して略接線方向に開口され複数のガス吹き出し孔64からペットボトルB内に吹き出すことによって、前述した図3に示すようにペットボトルB内に媒質ガスの旋回流を形成することができる。このため、前記ペットボトルBの底部から口部に向かうガスの流れを強制的に作ることができ、ペットボトルB内にガスの滞留部が生じるのを防止できる。その結果、前記内部電極60の周囲にプラズマを生成したときに、前記ペットボトルB底部付近から口部に亘る媒質ガスにプラズマを均等な時間曝すことができ、粉状物質の発生を防止できるため、ペットボトルB内面にこの粉状物質の混入がなく膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0114】
また、空洞部48を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ49を外部電極46の上部に挿入、固定することによって、前記プラズマの生成において前記ペットボトルBの肩部から底部側の内面のみならず、前記誘電体材料からなるスペーサ49と対向するペットボトルBの口部から肩部の内面に均一な厚さの炭素膜をコーティングすることができる。
【0115】
さらに、プラズマの生成およびバイアス電圧の外部電極46への印加による前記外部電極46へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極46内のペットボトルB内面に引き込むことができ、均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0116】
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルをより量産的に製造することができる。
【0117】
また、前記高高周波電源75から高高周波電力をガス供給管59に供給すると、接地された排気管52との間で放電がなされ、排気管52内にも同様に不要なプラズマを生成し、炭素膜のコーティング効率が低下する。このようなことから、アースシールド管74を前記ガス供給管59外周にペットボトルBの口部近傍のガス排気管52内に位置するように配置し、このアースシールド管74をこれを支持するフランジ管73を通して接地することによって、前記アースシールド管74内を貫通するガス供給管59に高高周波電力が供給されても、媒質ガスの排気経路である前記排気管52内で不要なプラズマが生成されるのを防止できる。その結果、不要なプラズマ生成に伴う高高周波電力の消費を防ぐことができるため、前記ペットボトルB内での正規のプラズマ生成効率を高め、炭素膜のコーティング速度を向上できる。
【0118】
さらに、ペットボトルBの口部および肩部周囲を覆う部材の形状は複雑であるが、これら部材に対応するスペーサ49を例えば射出成形が可能なプラスチックのような誘電体材料により形成することによって、従来のようにこれら部材を含む全てを外部電極で構成する場合に比べて簡単に製造することができる。しかも、従来のようにこれら部材を含む全てを金属のような導電材料により外部電極で構成する場合に比べて装置全体を軽量化することができる。その上、スペーサ49をプラスチックまたは軟質のセラミックのような誘電体材料により形成することによって、ペットボトルBの複雑な口部および肩部が接触した時にその箇所に傷が発生するのを防止することができる。
【0119】
なお、前記第3、第4の実施形態ではガス吹き出し孔の数を4つとしたが、2つ、3つまたは5つ以上にしてもよい。また、複数のガス吹き出し孔をキャップ側壁にその中心軸に対して略接線方向に開口したが、複数のガス吹き出し孔をキャップ側壁にその中心軸に対して接線方向に開口してもよい。
【0120】
前記第3、第4の実施形態では、空洞部48を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ49を外部電極46の上部にペットボトルBの口部から肩部に対応するように挿入、固定したが、ペットボトルBの肩部からさらに底部に亘って誘電体材料からなる薄膜を延出するようにしてもよい。
【0121】
(実施例2)
内部電極18として、図4に示す外径φ16mm、長さ163mmのステンレス片封じチューブの底部に内径1mmの4つのガス吹き出し孔22が90°の角度をあけて略接線方向に開口されたステンレス製キャップ20を取り付けた構造のものを用いた。
【0122】
この内部電極18を図4に示す外部電極6内に収納されたペットボトルBに挿入し、媒質としてC2H2ガス、ガス流量を100sccm、200sccm、および300sccm、ペットボトルBと排気管10内でのガス圧力を100mTorr、高高周波電源34から供給する高高周波を100MHz、バイアス用電源24からのバイアス高周波を13MHzの条件の下で前記ペットボトルB内面に炭素膜をコーティングした。
【0123】
このように炭素膜をコーティングした各ペットボトルBを軸方向に切断し、それら内面の炭素膜をSEMで観察した。その結果、いずれのペットボトルBも炭素膜に粉状物質の混入が認められなかった。
【0124】
(第5実施形態)
図7は、第5実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図、図8は図7のガス供給機構を示す斜視図である。
【0125】
上下端にフランジ81a,81bを有する円筒状支持部材82は、円環状基台83上に載置されている。炭素膜を形成するプラスチック容器(例えばペットボトル)Bが収納される収納部材84は、前記円筒状支持部材82および前記円環状基台83内に配置されている。
【0126】
前記収納部材84は、前記ペットボトルBが挿入された時にその外周を取り囲む筒状体85と、この筒状体85内に前記ペットボトルBが挿入された時にその口部および肩部に対応する個所位置されように配置され、円柱および円錐台を組み合わせた形状をなす空洞部86を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ87と、前記筒状体85の底部に配置される絶縁材料からなる円板状底板88とから構成されている。円板状絶縁体91は、前記基台83と前記円板状底板88の間に配置されている。
【0127】
前記筒状体85および前記円板状底板88は、例えばタングステンやステンレス鋼のような耐熱性を有する金属材料により作られるが、アルミニウムで作ってもよい。
【0128】
なお、前記基台83、円板状絶縁体91および前記円板状底板88は図示しないプッシャーにより前記筒状体85に対して一体的に上下動し、前記筒状体85の底部を開閉する。
【0129】
環状絶縁部材92は、前記筒状体85および前記スペーサ87上面にその環状絶縁部材92上面が前記筒状支持部材82の上部フランジ81aと面一になるように載置されている。
【0130】
上下にフランジ93a,93bを有する補助ガス排気管94は、前記支持部材82の上部フランジ81aおよび前記環状絶縁部材92の上面に載置されている。この排気管92は、接地されている。図示しないねじを前記排気管94の下部フランジ93bから前記支持部材82の上部フランジ81aに螺着することにより前記補助ガス排気管94が前記支持部材82に固定されている。また、図示しないねじを前記補助ガス排気管94の下部フランジ93bから前記環状絶縁部92を貫通して前記筒状体85に螺着することにより前記筒状体85および外装筒体が前記環状絶縁部材92および前記補助ガス排気管94に吊下される。分岐ガス排気管95は、前記補助ガス排気管94の側壁に連結され、その他端に図示しない真空ポンプのような排気設備が取り付けられている。
【0131】
高周波電源96は、図7に示すようにケーブル97および給電端子98を通して前記筒状体85に接続されている。整合器99は、前記高周波電源96と前記給電端子98の間の前記ケーブル97に介装されている。
【0132】
なお、前記筒状体85、ケーブル97、給電端子98および整合器99が接続される高周波電源96とによりプラズマ生成機構を構成している。
【0133】
接地された蓋体100は、前記ガス排気管94の上部フランジ93aに気密固定されている。
【0134】
ガス供給機構101は、前記蓋体100を貫通し、前記ガス排気管94および前記環状絶縁部材92を通して前記筒状体85内の上部付近に位置する前記スペーサ87内(挿入されるべきペットボトルBの口部付近内)に挿入されている。このガス供給機構101は、図7および図8に示すように内管102と外管103とからなる二重管構造を有し、その下端において前記内管102が下方に突出している。前記内管102は主ガス排気管として用いられ、その他端に図示しない真空ポンプのような排気設備が取り付けられている。前記内管102と外管103の間には、媒質ガスが供給される。前記外管103は、前記スペーサ87内に位置する部分に螺旋状のスリット104が形成されている。
【0135】
次に、図7に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0136】
図示しないプッシャーにより前記基台83、円板状絶縁体91および前記円板状底板88を取り外して筒状体85の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBをその口部側から開放した筒状体85の底部に挿入した後、図示しないプッシャーにより筒状体85の底部側に前記円板状底板88、円板状絶縁体91および基台83をこの順序で取り付けることによって、図7に示すようにペットボトルBの口部から肩部が誘電体材料からなる円柱状スペーサ87の空洞部86内に、前記ボトルBの肩部から底部側が前記筒状体85および前記円板状底板88内に収納される。このとき、前記ガス供給機構101の二重管構造の下部付近が前記ペットボトルBの口部に挿入される。
【0137】
次いで、図示しない排気設備により分岐排気管95を通して前記補助ガス排気管94内を排気する。同時に、図示しない排気設備により前記主ガス排気管として機能する前記ガス供給機構101の内管102を通して前記ペットボトルB内のガスを排気する。つづいて、媒質ガスを前記ガス供給機構101の前記内管102と外管103の間の管状空間を通してペットボトルB内に吹き出す。このとき、ペットボトルBの口部に位置する前記外管103部分には螺旋状のスリット104が形成され、かつ下端においてガスを排気する前記内管102が下端において下方に突出しているため、吹き出された媒質ガスは図7に示すように旋回流105となってペットボトルBの口部から内部に向かって下降し、その後前記内管102による排気作用により上昇する。この後、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0138】
次いで、高周波電源96から例えば周波数13.56MHzの高周波電力をケーブル97、整合器99および給電端子98を通して前記筒状体85に供給する。このとき、ペットボトルB内の空間にプラズマが生成される。このようなプラズマの生成によって、前記媒質ガスが前記プラズマで解離されて前記収納部材84に収納されたペットボトルB内面に炭素膜がコーティングされる。
【0139】
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記高周波電源96からの高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス供給機構101の前記内管102と外管103の間の管状空間を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0140】
前記媒質ガスとしては、炭化水素を基本とし、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ブタジエン等のアルケン類;アセチレン等のアルキン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタリン、フェナントレン等の芳香族炭化水素類;シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロパラフィン類;シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン類;メチルアルコール、エチルアルコール等の含酸素炭化水素類;メチルアミン、エチルアミン、アニリン等の含窒素炭化水素類などが使用でき、その他一酸化炭素、二酸化炭素なども使用できる。
【0141】
前記高周波電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、このバイアス電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0142】
以上、第5実施形態によれば媒質ガスをガス供給機構101の内管102と外管103の間の管状空間を通して供給し、ペットボトルBの口部に位置する前記外管103部分に形成した螺旋状のスリット104からペットボトルB内に吹き出すとともに、前記内管102の下端を外管103の下端より下方に突出しこの内管102を通してペットボトルB内のガスを排気することによって、前述した図7に示すように媒質ガスの旋回流105をペットボトルBの口部から内部に向かって下降でき、その後前記内管102による排気作用により上昇させる媒質ガス流を発生できる。このため、前記ペットボトルBの底部から口部に向かうガスの流れを強制的に作ることができ、ペットボトルB内に媒質ガスの滞留部が生じるのを防止できる。その結果、プラズマを生成したときに、前記ペットボトルB底部付近から口部に亘る媒質ガスに前記プラズマを均等な時間曝すことができ、粉状物質の発生を防止できるため、ペットボトルB内面にこの粉状物質の混入がなく膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0143】
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルを量産的に製造することができる。
【0144】
さらに、空洞部86を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ87を前記筒状体85の上部に挿入、固定することによって、前記プラズマの生成において前記ペットボトルBの肩部から底部側の内面のみならず、前記誘電体材料からなるスペーサ49と対向するペットボトルBの口部から肩部の内面に均一な厚さの炭素膜をコーティングすることができる。
【0145】
なお、第5実施形態において、次のような別の形態を採用することができる。
【0146】
(1)収納部材として筒状体85と、この筒状体85内の上部に挿入、固定された円柱状スペーサ87と、前記筒状体85の底部に配置される円板状底板88とにより構成したが、前記円柱状スペーサ部分が一体化された筒状体と、この筒状体の底部に配置される円板状底板とにより構成してもよい。
【0147】
(2)プラズマ生成機構は、前述した第5実施形態で説明した構成に限らず、例えばマイクロ波を利用した空洞共振器や誘導結合プラズマ装置を用いてもよい。
【0148】
(3)プラズマ生成機構は、前述した第5実施形態で説明した構成に限らず、第1から第4実施形態のプラズマ装置を用いてもよい。
【0149】
前記第1実施形態から第5実施形態では、炭素膜の実施例を示したが、他のバリヤ膜、例えばTEOS(テトラエトキシシラン)などの有機系シリコン化合物と酸素ガスとの混合ガスを原料としたSiOx膜、Al等の金属薄膜、有機系の薄膜にも本手法は利用できる。
【0150】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、プラスチック容器内面に粉状物質の混入のない膜質が良好で、さらに均一厚さの膜をコーティングすることが可能なプラスチック容器の内面への膜形成装置を提供することができる。
【0151】
また、本発明によれば粉状物質の混入のない膜質が良好で、均一な膜厚を有する膜が内面にコーティングされ、酸素および二酸化炭素に対するバリア性が優れたプラスチック容器を製造し得る方法を提供することができる。
【0152】
さらに、本発明によればプラスチック容器内面に粉状物質の混入のない膜質が良好で、さらに均一厚さの膜を高速度でコーティングすることが可能なプラスチック容器の内面への膜形成装置を提供することができる。
【0153】
さらに、本発明によれば粉状物質の混入のない膜質が良好で、均一な膜厚を有する膜が内面に高速度でコーティングされ、酸素および二酸化炭素に対するバリア性が優れたプラスチック容器を量産的に製造し得る方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【図2】図1の内部電極底部(キャップ)の横断面図。
【図3】本発明の第1実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置の作用を説明するための断面図。
【図4】本発明の第2実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置に組込まれる内部電極の変形例を示す断面図。
【図5】本発明の第3実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【図6】本発明の第4実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【図7】本発明の第5実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【図8】図7のガス供給機構を示す斜視図。
【符号の説明】
2、42、82…支持部材、4、44…外部電極本体、5、45…外部電極底部材、6、46…外部電極、10、52、94…排気管、13、55…高周波電源、17、59、107…ガス供給管、18、60,102…内部電極、22,112…ガス吹き出し孔、23、105,113…旋回流24,65…バイアス用電源、33,74…アースシールド管、34、75…高高周波電源、49、87…円柱状スペーサ、84…収納部材、85…筒状体、101,106…ガス供給機構、102…内管、103…外管、104…螺旋状のスリット、109…ガス吹き出し部材、B…ペットボトル、
Claims (12)
- 被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、
前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管と、
前記外部電極内の前記プラスチック容器内に前記排気管側から挿入され、接地側に接続される内部電極と、
前記排気管に取り付けられた排気手段と、
前記内部電極に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
前記外部電極に接続された高周波電源と、を具備し、
前記内部電極は、前記外部電極に挿入されるプラスチック容器の底部側に位置する側壁部分に前記媒質ガスをその内部電極の中心軸に対して略接線方向もしくは接線方向に吹き出すための複数のガス吹き出し孔が開口されていることを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置。 - 請求項1記載のバリヤ膜形成装置を用いて内面バリヤ膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
(a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内に挿入する工程と、
(b)複数のガス吹き出し孔が開口された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管から前記プラスチック容器の内部に前記各ガス吹き出し孔が前記容器の底部側に位置するように挿入する工程と、
(c)前記容器内外のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気した後、前記内部電極に媒質ガスをガス供給手段により供給し、この内部電極の各ガス吹き出し孔から前記プラスチック容器内に媒質ガスを旋回流として吹き出して前記プラスチック容器内を上昇させるとともに、前記プラスチック容器を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
(d)高周波電源から高周波電力を前記外部電極に供給し、前記プラスチック容器内に位置する内部電極の周囲にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面にバリヤ膜をコーティングする工程とを含むことを特徴とする内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法。 - 被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、
前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管と、
前記外部電極内の前記プラスチック容器内に前記排気管側から挿入された内部電極と、
一端が前記内部電極に連結され、他端が前記排気管側に延出された給電端子を兼ねるガス供給管と、
前記排気管に取り付けられた排気手段と、
前記ガス供給管に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
前記ガス供給管に接続された高高周波電源と、
前記外部電極に接続されたバイアス用電源と、を具備し、
前記内部電極は、前記外部電極に挿入されるプラスチック容器の底部側に位置する側壁部分に前記媒質ガスをその内部電極の中心軸に対して略接線方向もしくは接線方向に吹き出すための複数のガス吹き出し孔が開口されていることを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置。 - 請求項3記載のバリヤ膜形成装置を用いて内面バリヤ膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
(a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内に挿入する工程と、
(b)複数のガス吹き出し孔が開口された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管から前記プラスチック容器の内部に前記各ガス吹き出し孔が前記容器の底部側に位置するように挿入する工程と、
(c)前記容器内外のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気した後、前記内部電極に媒質ガスをガス供給手段により供給し、この内部電極の各ガス吹き出し孔から前記プラスチック容器内に媒質ガスを旋回流として吹き出して前記プラスチック容器内を上昇させるとともに、前記プラスチック容器を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
(d)バイアス用電源から高周波電力を前記外部電極に印加すると共に、高高周波電源から高高周波電力を前記ガス供給管を通して前記内部電極に供給し、前記プラスチック容器内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面にバリヤ膜をコーティングする工程とを含むことを特徴とする内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法。 - 被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、
被処理物であるプラスチック容器が挿入された時に少なくともその容器の口部および肩部と前記外部電極の間に介在された誘電体材料からなるスペーサと、
前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管と、
前記外部電極内の前記プラスチック容器内に前記排気管側から挿入され、接地側に接続される内部電極と、
前記排気管に取り付けられた排気手段と、
前記内部電極に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
前記外部電極に接続された高周波電源と、を具備し、
前記内部電極は、前記外部電極に挿入されるプラスチック容器の底部側に位置する側壁部分に前記媒質ガスをその内部電極の中心軸に対して略接線方向もしくは接線方向に吹き出すための複数のガス吹き出し孔が開口されていることを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置。 - 請求項5記載のバリヤ膜形成装置を用いて内面バリヤ膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
(a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内および誘電体材料からなるスペーサ内に少なくともその容器の口部および肩部の外周が前記スペーサ内に囲まれ、これ以外の前記容器部分の外周が前記外部電極内に囲まれるように挿入する工程と、
(b)複数のガス吹き出し孔が開口された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管から前記プラスチック容器の内部に前記各ガス吹き出し孔が前記容器の底部側に位置するように挿入する工程と、
(c)前記容器内外のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気した後、前記内部電極に媒質ガスをガス供給手段により供給し、この内部電極の各ガス吹き出し孔から前記プラスチック容器内に媒質ガスを旋回流として吹き出して前記プラスチック容器内を上昇させるとともに、前記プラスチック容器を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
(d)高周波電源から高周波電力を前記外部電極に供給し、前記プラスチック容器内に位置する内部電極の周囲にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面にバリヤ膜をコーティングする工程とを含むことを特徴とする内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法。 - 被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、
被処理物であるプラスチック容器が挿入された時に少なくともその容器の口部および肩部と前記外部電極の間に介在される誘電体材料からなるスペーサと、
前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管と、
前記外部電極内の前記プラスチック容器内に挿入された内部電極と、
一端が前記内部電極に連結され、他端が前記排気管側に延出された給電端子を兼ねるガス供給管と、
少なくとも前記外部電極内および前記容器の口部近傍の前記排気管内に位置する前記ガス供給管部分の外周に配置され、接地されたアースシールド管と、
前記排気管に取り付けられた排気手段と、
前記ガス供給管に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
前記ガス供給管に接続された高高周波電源と、
前記外部電極に接続されたバイアス用電源と、を具備し
前記内部電極は、前記外部電極に挿入されるプラスチック容器の底部側に位置する側壁部分に前記媒質ガスをその内部電極の中心軸に対して略接線方向もしくは接線方向に吹き出すための複数のガス吹き出し孔が開口されていることを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置。 - 請求項7記載のバリヤ膜形成装置を用いて内面バリヤ膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
(a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内および誘電体材料からなるスペーサ内に少なくともその容器の口部および肩部の外周が前記スペーサ内に囲まれ、これ以外の前記容器部分の外周が前記外部電極内に囲まれるように挿入する工程と、
(b)接地されたアースシールド管を外周に配置したガス供給管が連結され、複数のガス吹き出し孔が開口された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管から前記プラスチック容器の内部に前記各ガス吹き出し孔が前記容器の底部側に位置するように挿入する工程と、
(c)前記容器内外のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気した後、前記ガス供給管手段から媒質ガスを前記内部電極に前記ガス供給管を通して供給し、この内部電極のガス吹き出し部から前記プラスチック容器内に媒質ガスを旋回流として吹き出して前記プラスチック容器内を上昇させるとともに、前記プラスチック容器内を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
(d)バイアス用電源から高周波電力を前記外部電極に印加すると共に、高高周波電源から高高周波電力を前記ガス供給管を通して前記内部電極に供給し、前記プラスチック容器内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面にバリヤ膜をコーティングする工程とを含むことを特徴とする内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法。 - 前記ガス供給手段は、内管と外管とからなる二重管構造を有し、該内管はガス排気に用いられ、前記内管と前記外管との間に前記媒質ガスが供給されるとともに、前記外管に螺旋状のスリットが形成されていることを特徴とする請求項1、3、5、7いずれか記載のバリヤ膜形成装置。
- 前記ガス供給手段は、内管と外管とからなる二重管構造を有し、該内管はガス排気に用いられ、前記内管と前記外管との間に前記媒質ガスが供給されるとともに、前記外管に螺旋状のスリットが形成されていることを特徴とする請求項2、4、6、8いずれか記載の内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法。
- 前記バリヤ膜は、炭素膜であることを特徴とする請求項1、3、5、7いずれか記載のバリヤ膜形成装置。
- 前記バリヤ膜は、炭素膜であることを特徴とする請求項2、4、6、8いずれか記載の内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法。
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