JP2005021488A - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ナビゲーターエコーによるダークバンドアーチファクトを低減することのできる磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【解決手段】予め定めた第1のスライスに含まれる磁化を励起角度αで励起し(パルス101,102)、第1のスライスと交差する第2のスライスに含まれる磁化を励起角度βで励起し(パルス104,105,106)、第1のスライスと第2のスライスとが交差する領域から発生する磁気共鳴信号を検出し(パルス108,109)、その後、第1および第2のスライスの磁化の励起をそれぞれキャンセルする(パルス111,112,113,114,115)。
【選択図】図3
【解決手段】予め定めた第1のスライスに含まれる磁化を励起角度αで励起し(パルス101,102)、第1のスライスと交差する第2のスライスに含まれる磁化を励起角度βで励起し(パルス104,105,106)、第1のスライスと第2のスライスとが交差する領域から発生する磁気共鳴信号を検出し(パルス108,109)、その後、第1および第2のスライスの磁化の励起をそれぞれキャンセルする(パルス111,112,113,114,115)。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体中の水素や燐等からの核磁気共鳴信号を測定し、核の密度分布や緩和時間分布等を画像化する磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のMRI装置は、静磁場中に配置された被検体に高周波磁場を与え、被検体が発生する磁気共鳴信号(MR信号)を検出する構成である。現在臨床で普及しているMRI装置の撮影対象は、被検体の主たる構成物質、プロトンである。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和現象の空間分布を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または機能が2次元もしくは3次元的に撮影される。この2次元もしくは3次元的な撮影のために、撮影時には、被検体の体軸方向およびそれと直交する2方向に傾斜磁場を印加することにより、スライス面が決定され、位相エンコードおよび周波数エンコードが与えられたMR信号が検出される。検出された信号を2次元フーリエ変換して、所定のスライス面についてのMR画像を再構成する。被検体に対する傾斜磁場および高周波磁場の印加タイミング、ならびに、被検体からのMR信号の検出タイミングは、一般にパルスシーケンスと呼ばれるタイムチャートに従って制御される。実行するパルスシーケンスの内容ならびに得られた信号の処理方法に応じて、被検体を構成する原子の核の密度分布や緩和時間分布等の画像を得ることができる。
【0003】
このようなMRI装置による撮影の最中に被検体が動くと、画像に大きなアーチファクトが生じることが知られている。これは体動アーチファクトと呼ばれている。体動アーチファクトは、所定の計測点に所定の位相エンコード量が与えられるべきところが、動きによって他の計測点に位相エンコード量が印加され、そのままエコー信号が収集され、画像を合成したために生じる。体動アーチファクトの例として、被検体の呼吸による体動アーチファクトがある。
【0004】
呼吸動による体動アーチファクトを除去する方法として、呼吸の時相に合わせた同期撮像法がある。この方法では、被検体の腹壁や胸壁に取り付けた呼吸センサーによって呼吸動をモニターし、特定の呼吸時相に撮像のトリガーをセットしデータの収集を行う。これにより、呼吸動における特定の変位のデータのみが収集され、体動アーチファクトが低減された画像が取得される。
【0005】
また、体動アーチファクトを除去する別の汎用的な方法として、付加的なエコーであるナビゲーターエコーを用いて呼吸動をモニターする方法がある(例えば非特許文献1参照)。心臓撮影時に、ナビゲーターエコーを用いることにより呼吸動アーチファクトを低減する技術も開示されている(例えば非特許文献2参照)。
【0006】
ナビゲーターエコーを用いて呼吸動をモニターする場合、モニターしたい着目部位(例えば横隔膜など)を局所的に励起し、同局所励起領域から位相エンコード傾斜磁場を付加しないナビゲーターエコーを取得するシーケンスを実行する。これにより着目部位の呼吸による変位をリアルタイムで計測する。ナビゲーターシーケンスに続いて画像用の本計測シーケンスを実行する。このとき、ナビゲーターシーケンスによって得られた変位が予め設定した範囲(例えば5mm以内)の中に入っていれば本計測シーケンスによって得たデータを画像再構成用に用いる。以下同様に本計測データ取得制御を心周期(1心拍)毎に実行し、画像再構成に必要なデータ取得が完了したら終了する。この手法により、被検体がほぼ同じ変位にある状態でデータを取得することができるため、呼吸動による体動の影響が大きく低減された画像が得られる。
【0007】
従来のナビゲーターシーケンスの典型的な例を図8に示す。これを図9の被検体の横断面を参照しながら説明する。まず、90度パルス601および第1のスライス面決定のための傾斜磁場602を印加し、被検体の第1のスライス901の磁化を90度励起する。傾斜磁場603によって位相戻しをした後、第1のスライス901と所定の角度で交差する第2のスライス902について磁化を180度励起するため、180度パルス604および第2のスライス面決定のための傾斜磁場605、606を印加する。エコー時間(TE)経過後、第1と第2のスライス面の交差する柱状の領域505からエコー信号609を取得する。なお、図8の傾斜磁場607,608は、周波数エンコード用の磁場である。
【0008】
このナビゲーターシーケンスは、心臓の非息止め撮影に広く使われているが、90度パルスと180度パルスを被検体に照射して磁化を励起するため、直後の本計測シーケンスを行う時点で、磁化がまだ励起状態にあり、スライス901,902の信号強度が低下する(ダークバンドアーチファクト)という問題が生じる。この問題を回避するため、従来は心臓が左胸に偏在することを利用し、図9のように右横隔膜をナビゲーターエコーの取得位置にセットすることにより、ダークバンドアーチファクトが心臓に生じないようにしている。
【非特許文献1】Adaptive Technique for High−Definition MR Imaging of Moving Structures, Radiology 1989;173:255−263, Richard L. Ehman & Joel P. Felmlee
【非特許文献2】Navigator Echoes in Cardiac Magnetic Resonance, Journal of Cardiovascular Magnetic Resonance, 3(3), 183−193(2001)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように診断部位が心臓の場合には、右横隔膜を使ってナビゲーターエコーを取得することができるが、肝臓や腎臓の場合には、心臓のように偏在していないため、診断部位を避けてナビゲーターエコーの第1および第2のスライスを選択するのが困難である。このため、ダークバンドアーチファクトが診断の支障になる。
【0010】
本発明の目的は、ナビゲーターエコーによるダークバンドアーチファクトを低減することのできる磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、予め定めた第1のスライスに含まれる磁化を励起角度αで励起し、第1のスライスと交差する第2のスライスに含まれる磁化を励起角度βで励起し、第1のスライスと第2のスライスとが交差する領域から発生する磁気共鳴信号を検出した後、第1および第2のスライスの磁化の励起をそれぞれキャンセルするステップを行う。
【0012】
このキャンセル用ステップは、第1のスライスの磁化の励起をキャンセルするために、第1のスライスの磁化を励起角度γで励起するステップと、第2のスライスの磁化の励起をキャンセルするために、第2のスライスの磁化を励起角度θで励起するステップとを含む構成とすることができる。このとき、励起角度γは、励起角度αに対して、励起の方向が逆向きであって励起角度の大きさが等しいかそれより小さく、励起角度θは、励起角度βに対して、励起の方向が逆向きであって励起角度の大きさが等しいかそれよりも小さくする。
【0013】
また、励起角度γは、励起角度αで励起された磁化が励起角度γの高周波磁場パルスの印加を受けるまでに縦緩和する角度α’を差し引いた大きさに設定し、励起角度θは、励起角度βで励起された磁化が励起角度θの高周波磁場パルスの印加を受けるまでに縦緩和する角度β’を差し引いた大きさに設定することができる。
【0014】
また、第1のスライスの磁化を励起角度γで励起するステップは、磁化のラーモアの歳差運動の位相が、第1のスライスに含まれる磁化を励起角度αで励起した時点と同位相になるタイミングで行い、第2のスライスの磁化を励起角度θで励起するステップは、磁化のラーモアの歳差運動の位相が、第2のスライスに含まれる磁化を励起角度βで励起した時点と同位相になるタイミングで行う構成にすることができる。
【0015】
また、励起のステップにおいて第1および第2のスライスを決定するために印加するスライス決定用傾斜磁場と、キャンセル用のステップにおいて第1および第2のスライスを決定するために印加するスライス決定用傾斜磁場は、総和が0となるように極性を定めることが可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態の磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)について説明する。
【0017】
本実施の形態のMRI装置の構成を図1を用いて説明する。MRI装置は、被検体401を搭載するためのベッド412と、ベッド412に横たわった被検体401の位置する空間に静磁場を発生する磁石等の静磁場発生部402と、この空間に傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル403と、被検体401に高周波パルス磁場(RFパルス)を与えるRFコイル404と、被検体401が発生する磁気共鳴信号(MR信号)を収集するRFプローブ405とを含んでいる。この他、RF送信部410、信号検出部406、傾斜磁場電源409、信号処理部407、制御部411、表示部408を備えている。
【0018】
傾斜磁場コイル403は、被検体401の体軸方向(y方向)およびそれに直交する2方向(x、z方向)についてそれぞれ傾斜磁場を発生する3つのコイルを含んでいる。傾斜磁場コイル403の3つのコイルはそれぞれ、傾斜磁場電源409から傾斜磁場を発生させるための信号を受け取って傾斜磁場を発生する。RFコイル404は、RF送信部410から高周波磁場を発生させるための信号を受け取ってRFパルスを発生する。RFプローブ405が収集したMR信号は、信号検出部406に受け渡され、必要な信号が検出される。信号検出部406が検出した信号は、信号処理部407によって演算処理が施され、画像信号が再構成される。再構成された画像信号は、表示部408に出力され表示される。
【0019】
制御部411は、予め所定のプログラムが格納された記憶部411aと、CPU411bとを含み、CPU411bがプログラムを読み込んで実行することにより、RF送信部410、信号検出部406,傾斜磁場電源409に対して所定のタイミングで制御信号を出力し、所定のパルスシーケンスを実行させる制御を行う。また、制御部411は、信号処理部407の画像再構成処理および表示部408の表示の制御も行う。なお、制御部411が実行させる所定のパルスシーケンスが心電計の出力信号に同期して実行するパルスシーケンスである場合には、被検体401に取り付けられた心電計と制御部411とを接続し、制御部411が心電計の出力信号を受け渡すようにする。
【0020】
本実施の形態の磁気共鳴イメージング装置で行うナビゲーターエコーを用いた撮像シーケンスの一例について図2を用いて説明する。図2に示した撮像シーケンスは、心電同期併用でナビゲーターエコーを用いた呼吸ゲート撮影のシーケンスである。この撮像シーケンスでは、制御部411は被検体401に取り付けられた心電計の出力する心電波のうちR波300を検出し、設定したディレイタイム301が経過した時点でナビゲーターシーケンス302を実行する。ナビゲーターシーケンスの詳しい内容については後で説明する。ナビゲーターシーケンス302に続いて画像用の本計測シーケンス303を実行する。このとき、ナビゲーターシーケンス302によって得られた変位が予め設定した範囲(例えば5mm以内)の中に入っていれば本計測シーケンス303によって得たデータを画像再構成用に用いる。ナビゲーターシーケンス302によって得られた変位が所定の範囲からはずれている場合には、ナビゲーターシーケンス302の直後の本計測シーケンス303で得られるデータは取得せず、画像再構成に用いない。以下同様に本計測データ取得制御を心周期(1心拍)304毎に実行し、画像再構成に必要なデータ取得が完了したら終了する。この手法により、被検体401がほぼ同じ変位にある状態でデータを取得することができるため、呼吸動による体動の影響が大きく低減された画像が得られる。
【0021】
ここで本実施の形態のナビゲーターシーケンス302の内容について図3を用いて詳しく説明する。ナビゲーターシーケンス302では、呼吸動による変位をモニターしたい着目部位を局所的に励起し、同局所励起領域から位相エンコード傾斜磁場を付加しないナビゲーターエコーを取得するシーケンスである。ここでは、図4(a)、(b)に示したように肝臓204と肺203との境界にある横隔膜210を横切るように柱状の着目部位205を設定する。そして、体軸(y軸)方向に平行でx軸に直交する第1のスライス901と、体軸(y軸)方向に平行でx軸z軸に所定の角度で交差する第2のスライス902とを定め、第1のスライス901と第2のスライス902とが交差する柱状の領域が着目部位205を含むようにする。この交差する領域からエコー信号を得る。第1および第2のスライス901,902のスライス厚さは、所定の厚さ、例えば20mm厚とすることができる。
【0022】
まず第1のスライス901を励起角度α度(=90度)で励起するため、RFコイル404から第1の高周波磁場パルス(RFパルス)101を印加し、これと同時に、傾斜磁場コイル403から第1のスライス901の選択のための傾斜磁場パルス102を印加する。傾斜磁場パルス102の直後に、リフェイズ用の極性を反転させた傾斜磁場パルス103を印加する。第1のスライス選択傾斜磁場パルス102は、第1のスライス901を決定するための傾斜磁場であり、x方向の傾斜磁場(Gx)である。第1のスライス901の被検体401のプロトンをα度(=90度)励起する。なお、RFパルスは、例えば5山のSINC波からなるRFパルスを用いることができ、静磁場発生部402の発生する静磁場の強度が0.3TのMRI装置では、照射周波数は約12MHzである。
【0023】
つぎに、第2のスライス902を励起角度β度(=180度)で励起するため、第2のRFパルス104を印加し、それと同時に第2のスライス902の選択のための傾斜磁場パルス105,106を印加する。傾斜磁場パルス105は、x軸方向の傾斜磁場(Gx)であり、傾斜磁場パルス106は、z軸方向の傾斜磁場(Gz)である。これにより、y軸に平行で、x軸z軸と所定の角度で交差する第2のスライス902のプロトンをβ度(=180度)励起する。
【0024】
つぎに、第1および第2のスライス901,902の交差する領域205からエコー信号109をエコー時間(TE)116において検出するために、予めy軸方向に傾斜磁場パルス107を印加し、直ちに極性を変えた傾斜磁場パルス108をエコー時間(TE)116を中心に印加し、引き続き極性を変えた傾斜磁場パルス110を印加する。傾斜磁場パルス108は、y軸方向に周波数エンコードを与えるための傾斜磁場であり、これを印加している間にRFプローブ405でエコー信号を検出する。このエコー信号のうち所定の信号を信号検出部406で検出し、信号処理部407でフーリエ変換処理することにより、第1および第2のスライス901,902の交差する領域の周波数エンコード方向(y軸方向)についてのプロファイルを取得する。このプロファイルから、着目部位205(横隔膜210近傍部位)のy軸方向についての変位を求める。なお、傾斜磁場パルス107は、傾斜磁場パルス108が印加されることによって生じる磁化の位相分散を低減するために予め逆向きの位相分散を生じさせるための磁場である。また、傾斜磁場パルス110は、傾斜磁場パルス108によって生じた磁化の位相分散を再収束させるリフェイズ用の磁場である。傾斜磁場パルス107、110はそれぞれ、時間積分値が、傾斜磁場パルス108の時間積分値の半分になるように波形が定められている。
【0025】
以上のステップにより呼吸動による変位を求めるというナビゲーターシーケンスの目的は達成することができるが、本実施の形態のMRI装置では、RFパルス101,104によって第1および第2のスライス901,902に生じている巨視的磁化をキャンセルするために、以下のステップを制御部411をさらに実行させる。
【0026】
まず、第2のスライス902に対して先のRFパルス104で与えられた磁化の励起をキャンセルするために、先のRFパルス104と同じ大きさで極性が反転したRFパルス114を与える。ここでは先のRFパルス104が磁化をβ度(=180度)励起するものであったので、RFパルス114の励起角度は、−β度(=−180度)とする。RFパルス104の励起角度βが180度ではない場合、例えばβ<180度である場合には、その角度に合わせてRFパルス114の励起角度を−β度とする。また、RFパルス114を印加すると同時にx軸方向の傾斜磁場パルス112とz軸方向の傾斜磁場パルス113を印加する。傾斜磁場パルス112、113のパルス形状は、先の180度のRFパルス104を印加したときの傾斜磁場パルス105,106とそれぞれ極性が逆で同じ面積にする。これにより、励起されるスライス面を第2のスライス902に正確に一致させることができる。これにより、第2のスライス902についてRFパルス104で励起された磁化を元に戻すことができる。
【0027】
つぎに、第1のスライス901に対して先のRFパルス101で与えられた磁化の励起をキャンセルするために、先のRFパルス101と同じ大きさで極性が反転したRFパルス111を与える。ここでは先のRFパルス101が磁化をα度(=90度)励起するものであったので、RFパルス111の励起角度は、−α度(=−90度)とする。RFパルス101の励起角度が90度ではない場合は、例えばα<90度である場合には、その角度に合わせてRFパルス111の励起角度を−α度とする。また、RFパルス111を印加する直前にx軸方向の傾斜磁場パルス115を、RFパルス111と同時に傾斜磁場パルス116を印加する。傾斜磁場パルス115、116のパルス形状は、先の90度のRFパルス101を印加したときの傾斜磁場パルス103,102と同じ形状にする。これにより、励起されるスライス面を第1のスライス901に正確に一致させることができる。これにより、第1のスライス901についてRFパルス104で励起された磁化を元に戻すことができる。なお、傾斜磁場パルス112と傾斜磁場パルス115とを連続させ、一体化した一つのパルスとすることもできる。
【0028】
本実施の形態では、第1のスライス901と第2のスライス902とが交差する領域205では、90°→180°→(−180°)→(−90°)パルス系列が与えられ、−90°パルス印加時にすべてのスピンは全軸リフェイズしている。第1のスライス901の非交差領域は、90°→(−90°)パルス系列が与えられ、−90°パルス印加時にすべてのスピンは全軸リフェイズしている。第2のスライス902の非交差領域は、180°→(−180°)パルス系列が与えられ、−180°パルス印加時にすべてのスピンは全軸リフェイズしている。従って、第1のスライス901と第2のスライス902について、交差領域および非交差領域のすべての領域でフリップバックが行われ、ダークバンドアーチファクトが消える。
【0029】
以上の説明では、磁化の励起のキャンセルのためのRFパルス114,111の励起角度γ、θを、RFパルス104,101の励起角度β、αに対して、同じ大きさで極性を逆向きにしたが、磁化の歳差運動の位相や磁化の縦緩和を考慮して以下のようにすることもできる。
【0030】
例えば、−β度のRFパルス114によってβ度のRFパルス104で励起された磁化を正確に元に戻すために、磁化のラーモア歳差運動の位相を考慮し、RFパルス104を印加した時点の位相と同位相となるタイミングでRFパルス114を印加する構成にすることができる。これは、RFパルス104を印加してからRFパルス114を印加するまでの時間間隔118をプロトンの共鳴周波数f0の周期T(=1/f0)の整数倍に設定することにより実現することができる。同様に、−α度のRFパルス111を印加するタイミングも、α度のRFパルス101を印加した時点の位相と同位相となるようにする。これは、α度のRFパルス101を印加してから−α度のRFパルス111を印加するまでの時間間隔117をプロトンの共鳴周波数f0の周期T(=1/f0)の整数倍に設定することにより実現することができる。また、このように時間間隔118,117を設定する代わりに、RFパルス111、114の励起エネルギーを調節し、RFパルス111,114で励起される磁化の位相を実質的に2つのRFパルス101,104の印加時点の位相と一致させることも可能である。
【0031】
また、撮像対象のT1値が比較的短い場合には、磁化の縦緩和を考慮したシーケンスにすることもできる。例えば、被検体401のT1値が100ms〜200msである場合には、β度のRFパルス104を印加してから時間118(典型例としては7ms〜17ms程度)が経過しているので、RFパルス114を印加する時点においては、数%程度磁化が緩和している。よって、時間118の間に生じた縦緩和角度β’分を差し引き、RFパルス114の励起角度を−(β−β’)度にする。同様に、−α度のRFパルス111の場合、α度のRFパルス101を印加してから時間117(典型例としては10ms〜20ms程度)が経過しているので、時間117の間に生じた縦緩和角度α’分を差し引き、RFパルス111の励起角度を−(α−α’)度にする。これにより、より厳密に磁化を元に戻すことができる。よって、再構成した画像のアーチファクトをより厳密に低減することができる。ただし、T1値が経過時間118、117に対して十分に長い場合、例えば経過時間118,117がそれぞれ7ms〜17ms、10ms〜20ms程度である場合に、T1=1000ms程度である場合には、生じる縦緩和角度β’,α’も小さいため、この縦緩和の効果を無視することができる。
【0032】
ナビゲーターシーケンス302の後に行う本計測シーケンス303(図2)は、所望の種類のシーケンスを行うことができる。一例としては、図5に示したグラディエントエコー法による計測シーケンスを行うことができる。図5のグラディエントエコーシーケンスは、所望のスライス決定のためのx軸方向の傾斜磁場パルス502を印加しながらRFパルス501を印加した後、z軸方向の傾斜磁場パルス503によって位相エンコードを付与する。所定のエコー時間(TE)506の時点で、周波数エンコードのためのy軸方向の傾斜磁場パルス504を与えながら、エコー信号505を収集する。このエコー信号を用いて、被検体401の所定のスライス面の画像を図6のように再構成することができる。
【0033】
本実施の形態によれば、ナビゲーターエコーで励起される第1、第2のスライス901、902の磁化をそれぞれRFパルス111,114でキャンセルするので、本計測シーケンスで得た画像(図6)にダークバンドアーチファクトが発生しない。また、第1,第2のスライス901,902の交差する領域(着目部位205)についても本計測で画像に欠落等が生じない。よって、例えば図6に示したように、ナビゲーターシーケンス302の着目部位205と本計測シーケンス303のスライス面とが重なり合う位置にあっても、ダークバンドアーチファクトを受けない画像を得ることができる。これにより、心臓502のように偏って位置する臓器のみならず、肝臓204や腎臓209等のように体軸に対して左右対称に存在する臓器であっても、ナビゲーターエコーを用いて撮影を行うことができる。
【0034】
つぎに、第2の実施の形態として、ナビゲーターシーケンスの別の例を図7を用いて説明する。図7に示したナビゲーターシーケンスは、磁化の励起をキャンセルするためのRFパルス111とRFパルス114を印加する順番が、上述の図3のナビゲーターシーケンスとは異なっている。図7のナビゲーターシーケンスでは、励起角度−α度(−90度)のRFパルス111を印加した後で、励起角度−β度(−180度)のRFパルス114を印加する。他の手順は、図3に示したナビゲーターシーケンスと同じである。この手順の場合も、ほぼすべてのダークバンドアーチファクトを除去することができる。なお、図7のナビゲーターシーケンスの場合も、β度のRFパルス104と−β度のRFパルス114との時間間隔118、および、α度のRFパルス101と−α度のRFパルス111との時間間隔117については、各RFパルスの印加時点のラーモア歳差運動が同位相となるように定めることが望ましい。また、図7に示したように、傾斜磁場パルス105、106の前にディフェイズ用傾斜磁場パルス706、707を加える。傾斜磁場パルス706、707は、傾斜磁場パルス105、106の前半分の面積に等しく極性が逆である。傾斜磁場パルス103と傾斜磁場パルス706は、一体化しても良い。また、傾斜磁場パルス108と傾斜磁場パルス116との間に、傾斜磁場パルス701、702を加える。傾斜磁場パルス701、702は、傾斜磁場パルス105、106の後ろ半分の面積に等しく、極性が逆のリフェイズパルスである。また、RFパルス111を印加する際の第1のスライス901を決定する傾斜磁場パルス116の後にリフェイズのための傾斜磁場パルス703を印加する。傾斜磁場パルス116と傾斜磁場パルス112,113との間に、傾斜磁場パルス704、705のディフェイズパルスを加える。傾斜磁場パルス704、705は、傾斜磁場パルス112、113の前半と面積が等しく極性が逆である。傾斜磁場パルス703と傾斜磁場パルス704は、連続させて、一体化したパルスとすることも可能である。
【0035】
第2の実施の形態では、第1のスライス901と第2のスライス902とが交差する領域205では、90°→180°→(−90°)→(−180°)パルス系列が与えられ、−180°パルス印加時にすべてのスピンは全軸リフェイズしている。第1のスライス901の非交差領域は、90°→(−90°)パルス系列が与えられ、−90°パルス印加時にすべてのスピンは全軸リフェイズしている。第2のスライス902の非交差領域は、180°→(−180°)パルス系列が与えられ、−180°パルス印加時にすべてのスピンは全軸リフェイズしている。従って、第1のスライス901と第2のスライス902について、交差領域および非交差領域のすべての領域でフリップバックが行われ、ダークバンドアーチファクトが消える。
【0036】
なお、図2に示した撮影方法は、心周期内のある時相の撮影を行う例であるが、心臓撮影を行う場合のように多数の時相の画像を取得することが必要な場合がある。そのような場合には、R波300を検出後、ディレイタイム301が経過したならば、ナビゲーターシーケンス302と複数の本計測シーケンス303を連続して複数回実行する。これにより1心拍304の間に複数の心時相のデータを取得する。そして、ナビゲーターシーケンス302により検出した呼吸動変位をみて本計測データを取得するか棄却するか決定する。全心時相の全画像データを取得したら終了する。この撮影方法により、呼吸動によるアーチファクトの抑制された複数心時相の画像を短時間に取得可能である。
【0037】
なお、上述の各実施の形態では、磁化の励起をキャンセルするために、RFパルス111,114の励起角度をRFパルス101,104の励起角度と同じ大きさで逆方向の−α度、−β度とするかもしくは、それに縦緩和を考慮した角度としているが、完全に磁化が元に戻らなくてもダークバンドアーチファクトを低減する効果は得られるので、RFパルス111,114の励起角度をRFパルス101、104の励起角度よりも浅めの励起角度で逆方向にすることもできる。
【0038】
【発明の効果】
上述してきたように、本発明によれば、ナビゲーターエコーによるダークバンドアーチファクトを低減することのできる磁気共鳴イメージング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のMRI装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態のMRI装置で行う撮影方法の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態のMRI装置で行うナビゲーターシーケンスを示す説明図である。
【図4】(a)および(b)本実施の形態のナビゲーターシーケンスで励起する第1および第2のスライス901,902を示す説明図である。
【図5】本実施の形態のMRI装置で行うことのできる本計測シーケンスの一例を示す説明図である。
【図6】本実施の形態のMRI装置でナビゲーターシーケンス後に行われた本計測シーケンスで得られる被検体の断面画像を示す説明図である。
【図7】本実施の形態のMRI装置で行うナビゲーターシーケンスの別の例を示す説明図である。
【図8】従来のナビゲーターシーケンスの一例を示す説明図である。
【図9】従来のナビゲーターシーケンスの第1および第2のスライス901,902の位置を被検体の横断面上で示す説明図である。
【符号の説明】
203…肺、204…肝臓、205…着目部位、209…腎臓、401…被検体、402…静磁場発生部、403…傾斜磁場コイル、404…RFコイル、405…RFプローブ、406…信号検出部、407…信号処理部、408…表示部、409…傾斜磁場電源、410…RF送信部、411…制御部、412…ベッド、502…心臓、901…第1のスライス、902…第2のスライス。
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体中の水素や燐等からの核磁気共鳴信号を測定し、核の密度分布や緩和時間分布等を画像化する磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のMRI装置は、静磁場中に配置された被検体に高周波磁場を与え、被検体が発生する磁気共鳴信号(MR信号)を検出する構成である。現在臨床で普及しているMRI装置の撮影対象は、被検体の主たる構成物質、プロトンである。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和現象の空間分布を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または機能が2次元もしくは3次元的に撮影される。この2次元もしくは3次元的な撮影のために、撮影時には、被検体の体軸方向およびそれと直交する2方向に傾斜磁場を印加することにより、スライス面が決定され、位相エンコードおよび周波数エンコードが与えられたMR信号が検出される。検出された信号を2次元フーリエ変換して、所定のスライス面についてのMR画像を再構成する。被検体に対する傾斜磁場および高周波磁場の印加タイミング、ならびに、被検体からのMR信号の検出タイミングは、一般にパルスシーケンスと呼ばれるタイムチャートに従って制御される。実行するパルスシーケンスの内容ならびに得られた信号の処理方法に応じて、被検体を構成する原子の核の密度分布や緩和時間分布等の画像を得ることができる。
【0003】
このようなMRI装置による撮影の最中に被検体が動くと、画像に大きなアーチファクトが生じることが知られている。これは体動アーチファクトと呼ばれている。体動アーチファクトは、所定の計測点に所定の位相エンコード量が与えられるべきところが、動きによって他の計測点に位相エンコード量が印加され、そのままエコー信号が収集され、画像を合成したために生じる。体動アーチファクトの例として、被検体の呼吸による体動アーチファクトがある。
【0004】
呼吸動による体動アーチファクトを除去する方法として、呼吸の時相に合わせた同期撮像法がある。この方法では、被検体の腹壁や胸壁に取り付けた呼吸センサーによって呼吸動をモニターし、特定の呼吸時相に撮像のトリガーをセットしデータの収集を行う。これにより、呼吸動における特定の変位のデータのみが収集され、体動アーチファクトが低減された画像が取得される。
【0005】
また、体動アーチファクトを除去する別の汎用的な方法として、付加的なエコーであるナビゲーターエコーを用いて呼吸動をモニターする方法がある(例えば非特許文献1参照)。心臓撮影時に、ナビゲーターエコーを用いることにより呼吸動アーチファクトを低減する技術も開示されている(例えば非特許文献2参照)。
【0006】
ナビゲーターエコーを用いて呼吸動をモニターする場合、モニターしたい着目部位(例えば横隔膜など)を局所的に励起し、同局所励起領域から位相エンコード傾斜磁場を付加しないナビゲーターエコーを取得するシーケンスを実行する。これにより着目部位の呼吸による変位をリアルタイムで計測する。ナビゲーターシーケンスに続いて画像用の本計測シーケンスを実行する。このとき、ナビゲーターシーケンスによって得られた変位が予め設定した範囲(例えば5mm以内)の中に入っていれば本計測シーケンスによって得たデータを画像再構成用に用いる。以下同様に本計測データ取得制御を心周期(1心拍)毎に実行し、画像再構成に必要なデータ取得が完了したら終了する。この手法により、被検体がほぼ同じ変位にある状態でデータを取得することができるため、呼吸動による体動の影響が大きく低減された画像が得られる。
【0007】
従来のナビゲーターシーケンスの典型的な例を図8に示す。これを図9の被検体の横断面を参照しながら説明する。まず、90度パルス601および第1のスライス面決定のための傾斜磁場602を印加し、被検体の第1のスライス901の磁化を90度励起する。傾斜磁場603によって位相戻しをした後、第1のスライス901と所定の角度で交差する第2のスライス902について磁化を180度励起するため、180度パルス604および第2のスライス面決定のための傾斜磁場605、606を印加する。エコー時間(TE)経過後、第1と第2のスライス面の交差する柱状の領域505からエコー信号609を取得する。なお、図8の傾斜磁場607,608は、周波数エンコード用の磁場である。
【0008】
このナビゲーターシーケンスは、心臓の非息止め撮影に広く使われているが、90度パルスと180度パルスを被検体に照射して磁化を励起するため、直後の本計測シーケンスを行う時点で、磁化がまだ励起状態にあり、スライス901,902の信号強度が低下する(ダークバンドアーチファクト)という問題が生じる。この問題を回避するため、従来は心臓が左胸に偏在することを利用し、図9のように右横隔膜をナビゲーターエコーの取得位置にセットすることにより、ダークバンドアーチファクトが心臓に生じないようにしている。
【非特許文献1】Adaptive Technique for High−Definition MR Imaging of Moving Structures, Radiology 1989;173:255−263, Richard L. Ehman & Joel P. Felmlee
【非特許文献2】Navigator Echoes in Cardiac Magnetic Resonance, Journal of Cardiovascular Magnetic Resonance, 3(3), 183−193(2001)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように診断部位が心臓の場合には、右横隔膜を使ってナビゲーターエコーを取得することができるが、肝臓や腎臓の場合には、心臓のように偏在していないため、診断部位を避けてナビゲーターエコーの第1および第2のスライスを選択するのが困難である。このため、ダークバンドアーチファクトが診断の支障になる。
【0010】
本発明の目的は、ナビゲーターエコーによるダークバンドアーチファクトを低減することのできる磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、予め定めた第1のスライスに含まれる磁化を励起角度αで励起し、第1のスライスと交差する第2のスライスに含まれる磁化を励起角度βで励起し、第1のスライスと第2のスライスとが交差する領域から発生する磁気共鳴信号を検出した後、第1および第2のスライスの磁化の励起をそれぞれキャンセルするステップを行う。
【0012】
このキャンセル用ステップは、第1のスライスの磁化の励起をキャンセルするために、第1のスライスの磁化を励起角度γで励起するステップと、第2のスライスの磁化の励起をキャンセルするために、第2のスライスの磁化を励起角度θで励起するステップとを含む構成とすることができる。このとき、励起角度γは、励起角度αに対して、励起の方向が逆向きであって励起角度の大きさが等しいかそれより小さく、励起角度θは、励起角度βに対して、励起の方向が逆向きであって励起角度の大きさが等しいかそれよりも小さくする。
【0013】
また、励起角度γは、励起角度αで励起された磁化が励起角度γの高周波磁場パルスの印加を受けるまでに縦緩和する角度α’を差し引いた大きさに設定し、励起角度θは、励起角度βで励起された磁化が励起角度θの高周波磁場パルスの印加を受けるまでに縦緩和する角度β’を差し引いた大きさに設定することができる。
【0014】
また、第1のスライスの磁化を励起角度γで励起するステップは、磁化のラーモアの歳差運動の位相が、第1のスライスに含まれる磁化を励起角度αで励起した時点と同位相になるタイミングで行い、第2のスライスの磁化を励起角度θで励起するステップは、磁化のラーモアの歳差運動の位相が、第2のスライスに含まれる磁化を励起角度βで励起した時点と同位相になるタイミングで行う構成にすることができる。
【0015】
また、励起のステップにおいて第1および第2のスライスを決定するために印加するスライス決定用傾斜磁場と、キャンセル用のステップにおいて第1および第2のスライスを決定するために印加するスライス決定用傾斜磁場は、総和が0となるように極性を定めることが可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態の磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)について説明する。
【0017】
本実施の形態のMRI装置の構成を図1を用いて説明する。MRI装置は、被検体401を搭載するためのベッド412と、ベッド412に横たわった被検体401の位置する空間に静磁場を発生する磁石等の静磁場発生部402と、この空間に傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル403と、被検体401に高周波パルス磁場(RFパルス)を与えるRFコイル404と、被検体401が発生する磁気共鳴信号(MR信号)を収集するRFプローブ405とを含んでいる。この他、RF送信部410、信号検出部406、傾斜磁場電源409、信号処理部407、制御部411、表示部408を備えている。
【0018】
傾斜磁場コイル403は、被検体401の体軸方向(y方向)およびそれに直交する2方向(x、z方向)についてそれぞれ傾斜磁場を発生する3つのコイルを含んでいる。傾斜磁場コイル403の3つのコイルはそれぞれ、傾斜磁場電源409から傾斜磁場を発生させるための信号を受け取って傾斜磁場を発生する。RFコイル404は、RF送信部410から高周波磁場を発生させるための信号を受け取ってRFパルスを発生する。RFプローブ405が収集したMR信号は、信号検出部406に受け渡され、必要な信号が検出される。信号検出部406が検出した信号は、信号処理部407によって演算処理が施され、画像信号が再構成される。再構成された画像信号は、表示部408に出力され表示される。
【0019】
制御部411は、予め所定のプログラムが格納された記憶部411aと、CPU411bとを含み、CPU411bがプログラムを読み込んで実行することにより、RF送信部410、信号検出部406,傾斜磁場電源409に対して所定のタイミングで制御信号を出力し、所定のパルスシーケンスを実行させる制御を行う。また、制御部411は、信号処理部407の画像再構成処理および表示部408の表示の制御も行う。なお、制御部411が実行させる所定のパルスシーケンスが心電計の出力信号に同期して実行するパルスシーケンスである場合には、被検体401に取り付けられた心電計と制御部411とを接続し、制御部411が心電計の出力信号を受け渡すようにする。
【0020】
本実施の形態の磁気共鳴イメージング装置で行うナビゲーターエコーを用いた撮像シーケンスの一例について図2を用いて説明する。図2に示した撮像シーケンスは、心電同期併用でナビゲーターエコーを用いた呼吸ゲート撮影のシーケンスである。この撮像シーケンスでは、制御部411は被検体401に取り付けられた心電計の出力する心電波のうちR波300を検出し、設定したディレイタイム301が経過した時点でナビゲーターシーケンス302を実行する。ナビゲーターシーケンスの詳しい内容については後で説明する。ナビゲーターシーケンス302に続いて画像用の本計測シーケンス303を実行する。このとき、ナビゲーターシーケンス302によって得られた変位が予め設定した範囲(例えば5mm以内)の中に入っていれば本計測シーケンス303によって得たデータを画像再構成用に用いる。ナビゲーターシーケンス302によって得られた変位が所定の範囲からはずれている場合には、ナビゲーターシーケンス302の直後の本計測シーケンス303で得られるデータは取得せず、画像再構成に用いない。以下同様に本計測データ取得制御を心周期(1心拍)304毎に実行し、画像再構成に必要なデータ取得が完了したら終了する。この手法により、被検体401がほぼ同じ変位にある状態でデータを取得することができるため、呼吸動による体動の影響が大きく低減された画像が得られる。
【0021】
ここで本実施の形態のナビゲーターシーケンス302の内容について図3を用いて詳しく説明する。ナビゲーターシーケンス302では、呼吸動による変位をモニターしたい着目部位を局所的に励起し、同局所励起領域から位相エンコード傾斜磁場を付加しないナビゲーターエコーを取得するシーケンスである。ここでは、図4(a)、(b)に示したように肝臓204と肺203との境界にある横隔膜210を横切るように柱状の着目部位205を設定する。そして、体軸(y軸)方向に平行でx軸に直交する第1のスライス901と、体軸(y軸)方向に平行でx軸z軸に所定の角度で交差する第2のスライス902とを定め、第1のスライス901と第2のスライス902とが交差する柱状の領域が着目部位205を含むようにする。この交差する領域からエコー信号を得る。第1および第2のスライス901,902のスライス厚さは、所定の厚さ、例えば20mm厚とすることができる。
【0022】
まず第1のスライス901を励起角度α度(=90度)で励起するため、RFコイル404から第1の高周波磁場パルス(RFパルス)101を印加し、これと同時に、傾斜磁場コイル403から第1のスライス901の選択のための傾斜磁場パルス102を印加する。傾斜磁場パルス102の直後に、リフェイズ用の極性を反転させた傾斜磁場パルス103を印加する。第1のスライス選択傾斜磁場パルス102は、第1のスライス901を決定するための傾斜磁場であり、x方向の傾斜磁場(Gx)である。第1のスライス901の被検体401のプロトンをα度(=90度)励起する。なお、RFパルスは、例えば5山のSINC波からなるRFパルスを用いることができ、静磁場発生部402の発生する静磁場の強度が0.3TのMRI装置では、照射周波数は約12MHzである。
【0023】
つぎに、第2のスライス902を励起角度β度(=180度)で励起するため、第2のRFパルス104を印加し、それと同時に第2のスライス902の選択のための傾斜磁場パルス105,106を印加する。傾斜磁場パルス105は、x軸方向の傾斜磁場(Gx)であり、傾斜磁場パルス106は、z軸方向の傾斜磁場(Gz)である。これにより、y軸に平行で、x軸z軸と所定の角度で交差する第2のスライス902のプロトンをβ度(=180度)励起する。
【0024】
つぎに、第1および第2のスライス901,902の交差する領域205からエコー信号109をエコー時間(TE)116において検出するために、予めy軸方向に傾斜磁場パルス107を印加し、直ちに極性を変えた傾斜磁場パルス108をエコー時間(TE)116を中心に印加し、引き続き極性を変えた傾斜磁場パルス110を印加する。傾斜磁場パルス108は、y軸方向に周波数エンコードを与えるための傾斜磁場であり、これを印加している間にRFプローブ405でエコー信号を検出する。このエコー信号のうち所定の信号を信号検出部406で検出し、信号処理部407でフーリエ変換処理することにより、第1および第2のスライス901,902の交差する領域の周波数エンコード方向(y軸方向)についてのプロファイルを取得する。このプロファイルから、着目部位205(横隔膜210近傍部位)のy軸方向についての変位を求める。なお、傾斜磁場パルス107は、傾斜磁場パルス108が印加されることによって生じる磁化の位相分散を低減するために予め逆向きの位相分散を生じさせるための磁場である。また、傾斜磁場パルス110は、傾斜磁場パルス108によって生じた磁化の位相分散を再収束させるリフェイズ用の磁場である。傾斜磁場パルス107、110はそれぞれ、時間積分値が、傾斜磁場パルス108の時間積分値の半分になるように波形が定められている。
【0025】
以上のステップにより呼吸動による変位を求めるというナビゲーターシーケンスの目的は達成することができるが、本実施の形態のMRI装置では、RFパルス101,104によって第1および第2のスライス901,902に生じている巨視的磁化をキャンセルするために、以下のステップを制御部411をさらに実行させる。
【0026】
まず、第2のスライス902に対して先のRFパルス104で与えられた磁化の励起をキャンセルするために、先のRFパルス104と同じ大きさで極性が反転したRFパルス114を与える。ここでは先のRFパルス104が磁化をβ度(=180度)励起するものであったので、RFパルス114の励起角度は、−β度(=−180度)とする。RFパルス104の励起角度βが180度ではない場合、例えばβ<180度である場合には、その角度に合わせてRFパルス114の励起角度を−β度とする。また、RFパルス114を印加すると同時にx軸方向の傾斜磁場パルス112とz軸方向の傾斜磁場パルス113を印加する。傾斜磁場パルス112、113のパルス形状は、先の180度のRFパルス104を印加したときの傾斜磁場パルス105,106とそれぞれ極性が逆で同じ面積にする。これにより、励起されるスライス面を第2のスライス902に正確に一致させることができる。これにより、第2のスライス902についてRFパルス104で励起された磁化を元に戻すことができる。
【0027】
つぎに、第1のスライス901に対して先のRFパルス101で与えられた磁化の励起をキャンセルするために、先のRFパルス101と同じ大きさで極性が反転したRFパルス111を与える。ここでは先のRFパルス101が磁化をα度(=90度)励起するものであったので、RFパルス111の励起角度は、−α度(=−90度)とする。RFパルス101の励起角度が90度ではない場合は、例えばα<90度である場合には、その角度に合わせてRFパルス111の励起角度を−α度とする。また、RFパルス111を印加する直前にx軸方向の傾斜磁場パルス115を、RFパルス111と同時に傾斜磁場パルス116を印加する。傾斜磁場パルス115、116のパルス形状は、先の90度のRFパルス101を印加したときの傾斜磁場パルス103,102と同じ形状にする。これにより、励起されるスライス面を第1のスライス901に正確に一致させることができる。これにより、第1のスライス901についてRFパルス104で励起された磁化を元に戻すことができる。なお、傾斜磁場パルス112と傾斜磁場パルス115とを連続させ、一体化した一つのパルスとすることもできる。
【0028】
本実施の形態では、第1のスライス901と第2のスライス902とが交差する領域205では、90°→180°→(−180°)→(−90°)パルス系列が与えられ、−90°パルス印加時にすべてのスピンは全軸リフェイズしている。第1のスライス901の非交差領域は、90°→(−90°)パルス系列が与えられ、−90°パルス印加時にすべてのスピンは全軸リフェイズしている。第2のスライス902の非交差領域は、180°→(−180°)パルス系列が与えられ、−180°パルス印加時にすべてのスピンは全軸リフェイズしている。従って、第1のスライス901と第2のスライス902について、交差領域および非交差領域のすべての領域でフリップバックが行われ、ダークバンドアーチファクトが消える。
【0029】
以上の説明では、磁化の励起のキャンセルのためのRFパルス114,111の励起角度γ、θを、RFパルス104,101の励起角度β、αに対して、同じ大きさで極性を逆向きにしたが、磁化の歳差運動の位相や磁化の縦緩和を考慮して以下のようにすることもできる。
【0030】
例えば、−β度のRFパルス114によってβ度のRFパルス104で励起された磁化を正確に元に戻すために、磁化のラーモア歳差運動の位相を考慮し、RFパルス104を印加した時点の位相と同位相となるタイミングでRFパルス114を印加する構成にすることができる。これは、RFパルス104を印加してからRFパルス114を印加するまでの時間間隔118をプロトンの共鳴周波数f0の周期T(=1/f0)の整数倍に設定することにより実現することができる。同様に、−α度のRFパルス111を印加するタイミングも、α度のRFパルス101を印加した時点の位相と同位相となるようにする。これは、α度のRFパルス101を印加してから−α度のRFパルス111を印加するまでの時間間隔117をプロトンの共鳴周波数f0の周期T(=1/f0)の整数倍に設定することにより実現することができる。また、このように時間間隔118,117を設定する代わりに、RFパルス111、114の励起エネルギーを調節し、RFパルス111,114で励起される磁化の位相を実質的に2つのRFパルス101,104の印加時点の位相と一致させることも可能である。
【0031】
また、撮像対象のT1値が比較的短い場合には、磁化の縦緩和を考慮したシーケンスにすることもできる。例えば、被検体401のT1値が100ms〜200msである場合には、β度のRFパルス104を印加してから時間118(典型例としては7ms〜17ms程度)が経過しているので、RFパルス114を印加する時点においては、数%程度磁化が緩和している。よって、時間118の間に生じた縦緩和角度β’分を差し引き、RFパルス114の励起角度を−(β−β’)度にする。同様に、−α度のRFパルス111の場合、α度のRFパルス101を印加してから時間117(典型例としては10ms〜20ms程度)が経過しているので、時間117の間に生じた縦緩和角度α’分を差し引き、RFパルス111の励起角度を−(α−α’)度にする。これにより、より厳密に磁化を元に戻すことができる。よって、再構成した画像のアーチファクトをより厳密に低減することができる。ただし、T1値が経過時間118、117に対して十分に長い場合、例えば経過時間118,117がそれぞれ7ms〜17ms、10ms〜20ms程度である場合に、T1=1000ms程度である場合には、生じる縦緩和角度β’,α’も小さいため、この縦緩和の効果を無視することができる。
【0032】
ナビゲーターシーケンス302の後に行う本計測シーケンス303(図2)は、所望の種類のシーケンスを行うことができる。一例としては、図5に示したグラディエントエコー法による計測シーケンスを行うことができる。図5のグラディエントエコーシーケンスは、所望のスライス決定のためのx軸方向の傾斜磁場パルス502を印加しながらRFパルス501を印加した後、z軸方向の傾斜磁場パルス503によって位相エンコードを付与する。所定のエコー時間(TE)506の時点で、周波数エンコードのためのy軸方向の傾斜磁場パルス504を与えながら、エコー信号505を収集する。このエコー信号を用いて、被検体401の所定のスライス面の画像を図6のように再構成することができる。
【0033】
本実施の形態によれば、ナビゲーターエコーで励起される第1、第2のスライス901、902の磁化をそれぞれRFパルス111,114でキャンセルするので、本計測シーケンスで得た画像(図6)にダークバンドアーチファクトが発生しない。また、第1,第2のスライス901,902の交差する領域(着目部位205)についても本計測で画像に欠落等が生じない。よって、例えば図6に示したように、ナビゲーターシーケンス302の着目部位205と本計測シーケンス303のスライス面とが重なり合う位置にあっても、ダークバンドアーチファクトを受けない画像を得ることができる。これにより、心臓502のように偏って位置する臓器のみならず、肝臓204や腎臓209等のように体軸に対して左右対称に存在する臓器であっても、ナビゲーターエコーを用いて撮影を行うことができる。
【0034】
つぎに、第2の実施の形態として、ナビゲーターシーケンスの別の例を図7を用いて説明する。図7に示したナビゲーターシーケンスは、磁化の励起をキャンセルするためのRFパルス111とRFパルス114を印加する順番が、上述の図3のナビゲーターシーケンスとは異なっている。図7のナビゲーターシーケンスでは、励起角度−α度(−90度)のRFパルス111を印加した後で、励起角度−β度(−180度)のRFパルス114を印加する。他の手順は、図3に示したナビゲーターシーケンスと同じである。この手順の場合も、ほぼすべてのダークバンドアーチファクトを除去することができる。なお、図7のナビゲーターシーケンスの場合も、β度のRFパルス104と−β度のRFパルス114との時間間隔118、および、α度のRFパルス101と−α度のRFパルス111との時間間隔117については、各RFパルスの印加時点のラーモア歳差運動が同位相となるように定めることが望ましい。また、図7に示したように、傾斜磁場パルス105、106の前にディフェイズ用傾斜磁場パルス706、707を加える。傾斜磁場パルス706、707は、傾斜磁場パルス105、106の前半分の面積に等しく極性が逆である。傾斜磁場パルス103と傾斜磁場パルス706は、一体化しても良い。また、傾斜磁場パルス108と傾斜磁場パルス116との間に、傾斜磁場パルス701、702を加える。傾斜磁場パルス701、702は、傾斜磁場パルス105、106の後ろ半分の面積に等しく、極性が逆のリフェイズパルスである。また、RFパルス111を印加する際の第1のスライス901を決定する傾斜磁場パルス116の後にリフェイズのための傾斜磁場パルス703を印加する。傾斜磁場パルス116と傾斜磁場パルス112,113との間に、傾斜磁場パルス704、705のディフェイズパルスを加える。傾斜磁場パルス704、705は、傾斜磁場パルス112、113の前半と面積が等しく極性が逆である。傾斜磁場パルス703と傾斜磁場パルス704は、連続させて、一体化したパルスとすることも可能である。
【0035】
第2の実施の形態では、第1のスライス901と第2のスライス902とが交差する領域205では、90°→180°→(−90°)→(−180°)パルス系列が与えられ、−180°パルス印加時にすべてのスピンは全軸リフェイズしている。第1のスライス901の非交差領域は、90°→(−90°)パルス系列が与えられ、−90°パルス印加時にすべてのスピンは全軸リフェイズしている。第2のスライス902の非交差領域は、180°→(−180°)パルス系列が与えられ、−180°パルス印加時にすべてのスピンは全軸リフェイズしている。従って、第1のスライス901と第2のスライス902について、交差領域および非交差領域のすべての領域でフリップバックが行われ、ダークバンドアーチファクトが消える。
【0036】
なお、図2に示した撮影方法は、心周期内のある時相の撮影を行う例であるが、心臓撮影を行う場合のように多数の時相の画像を取得することが必要な場合がある。そのような場合には、R波300を検出後、ディレイタイム301が経過したならば、ナビゲーターシーケンス302と複数の本計測シーケンス303を連続して複数回実行する。これにより1心拍304の間に複数の心時相のデータを取得する。そして、ナビゲーターシーケンス302により検出した呼吸動変位をみて本計測データを取得するか棄却するか決定する。全心時相の全画像データを取得したら終了する。この撮影方法により、呼吸動によるアーチファクトの抑制された複数心時相の画像を短時間に取得可能である。
【0037】
なお、上述の各実施の形態では、磁化の励起をキャンセルするために、RFパルス111,114の励起角度をRFパルス101,104の励起角度と同じ大きさで逆方向の−α度、−β度とするかもしくは、それに縦緩和を考慮した角度としているが、完全に磁化が元に戻らなくてもダークバンドアーチファクトを低減する効果は得られるので、RFパルス111,114の励起角度をRFパルス101、104の励起角度よりも浅めの励起角度で逆方向にすることもできる。
【0038】
【発明の効果】
上述してきたように、本発明によれば、ナビゲーターエコーによるダークバンドアーチファクトを低減することのできる磁気共鳴イメージング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のMRI装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態のMRI装置で行う撮影方法の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態のMRI装置で行うナビゲーターシーケンスを示す説明図である。
【図4】(a)および(b)本実施の形態のナビゲーターシーケンスで励起する第1および第2のスライス901,902を示す説明図である。
【図5】本実施の形態のMRI装置で行うことのできる本計測シーケンスの一例を示す説明図である。
【図6】本実施の形態のMRI装置でナビゲーターシーケンス後に行われた本計測シーケンスで得られる被検体の断面画像を示す説明図である。
【図7】本実施の形態のMRI装置で行うナビゲーターシーケンスの別の例を示す説明図である。
【図8】従来のナビゲーターシーケンスの一例を示す説明図である。
【図9】従来のナビゲーターシーケンスの第1および第2のスライス901,902の位置を被検体の横断面上で示す説明図である。
【符号の説明】
203…肺、204…肝臓、205…着目部位、209…腎臓、401…被検体、402…静磁場発生部、403…傾斜磁場コイル、404…RFコイル、405…RFプローブ、406…信号検出部、407…信号処理部、408…表示部、409…傾斜磁場電源、410…RF送信部、411…制御部、412…ベッド、502…心臓、901…第1のスライス、902…第2のスライス。
Claims (5)
- 静磁場を発生する静磁場発生部と、前記静磁場中に配置された被検体に対して傾斜磁場を印加する傾斜磁場印加部と、前記被検体の磁化を所定の励起角度まで励起させる高周波磁場パルスを印加する高周波磁場印加部と、前記被検体が発生する磁気共鳴信号を検出する検出部と、前記傾斜磁場印加部と前記高周波磁場印加部と前記検出部の動作を制御することにより所定の撮影シーケンスを実行させる制御部とを有する磁気共鳴イメージング装置であって、
前記制御部は、前記被検体の体動による変位を検出するためのナビゲーターシーケンスを実行させるナビゲーターシーケンス実行部を含み、
該ナビゲーターシーケンス実行部は、
予め定めた第1のスライスに含まれる磁化を励起角度αで励起し、前記第1のスライスと交差する第2のスライスに含まれる磁化を励起角度βで励起する第1ステップと、
前記第1のスライスと第2のスライスとが交差する領域から発生する磁気共鳴信号を前記検出部に検出させる第2ステップと、
前記第1および第2のスライスの磁化の励起をそれぞれキャンセルする第3ステップとを行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記第3ステップは、
前記第1のスライスの磁化の励起をキャンセルするために、前記第1のスライスの磁化を励起角度γで励起するステップと、前記第2のスライスの磁化の励起をキャンセルするために、前記第2のスライスの磁化を励起角度θで励起するステップとを含み、
前記励起角度γは、前記励起角度αに対して、励起の方向が逆向きであって励起角度の大きさが等しいかそれよりも小さく、前記励起角度θは、前記励起角度βに対して、励起の方向が逆向きであって励起角度の大きさが等しいかそれよりも小さいことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記第3ステップの前記励起角度γは、前記第1ステップにおいて前記励起角度αで励起された磁化が前記励起角度γの高周波磁場パルスの印加を受けるまでに縦緩和する角度を差し引いた大きさに設定され、前記励起角度θは、前記第1ステップにおいて前記励起角度βで励起された磁化が前記励起角度θの高周波磁場パルスの印加を受けるまでに縦緩和する角度を差し引いた大きさに設定されていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項2または3に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記第3ステップの前記第1のスライスの磁化を励起角度γで励起するステップは、前記磁化のラーモアの歳差運動の位相が、前記第1ステップの第1のスライスに含まれる磁化を励起角度αで励起した時点と同位相になるタイミングで行い、前記第3ステップの前記第2のスライスの磁化を励起角度θで励起するステップは、前記磁化のラーモアの歳差運動の位相が、前記第1ステップの第2のスライスに含まれる磁化を励起角度βで励起した時点と同位相になるタイミングで行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記第1ステップにおいて前記第1および第2のスライスを決定するために印加するスライス決定用傾斜磁場と、第3ステップにおいて前記第1および第2のスライスを決定するために印加するスライス決定用傾斜磁場は、総和が0となるように極性が定められていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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