JP2005021223A - 遊技機の灰皿装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】人が遊技機枠1の前側において灰皿本体8を前部構成体2より前側に引き出して左方向または右方向に半回転すると、灰皿本体8が吸殻受部11の上側に向けられた使用可能な姿勢と吸殻受部11の下側に向けられた使用不能な姿勢とに切り替えられる。そして、上記灰皿本体8から前側への引き出し力を解除すると、灰皿本体8がばね力で引き出し量と同量だけ後側に引き込まれて前部構成体2に固定される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機に用いられる灰皿装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のパチンコ機の灰皿装置は、灰皿本体が遊技機枠の前面より前側に突出して前面と交差する方向の回転中心を中心とし前面に沿う方向に回転可能にかつ前後方向に移動可能に設けられていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−43400号公報(第3頁、段落番号0014、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例は、灰皿本体に設けられた吸殻受部が上側に向けられた使用可能位置と当該吸殻受部が下側に向けられた使用不能位置となるように、灰皿本体の姿勢を変更する場合、遊技者または作業者が、灰皿本体を遊技機枠の前面より後方に押し込み、灰皿本体と遊技機枠との係合を解除した後に、灰皿本体を遊技機枠の前面と沿う方向に回転する構造になっている。このため、遊技機枠の内部には、灰皿本体が後側に押し込まれた場合に、当該灰皿本体の後部と干渉しないで灰皿本体の後部を逃げるための空間を遊技機枠の内部に設定しておく必要がある。けれども、パチンコ機の場合、遊技機枠の灰皿本体と対応する内部には、球を遊技領域に向けて発射する発射機構や発射機構から打ち出された球を遊技領域に誘導する発射レールが設置される。このようなことから、発射機構や発射レールの設置に悪影響を与えることなく、上記空間を設定しなければならないので、にわかに採用しがたいという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、灰皿本体の姿勢変更に際し、灰皿本体が遊技機枠の前面より前側に引き出されることによって、遊技機枠の内部に灰皿本体の後部を逃げるための余分な空間を設置する必要の無い遊技機の灰皿装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にあっては、遊技機枠の前部構成体と、前部構成体の前面より前側に突出して前面と交差する方向の回転中心を中心とし前面に沿う方向に回転可能にかつ前後方向に移動可能に設けられた外側面に吸殻受部を有する灰皿本体と、灰皿本体の後部に設けられた回転位置決め部と、灰皿本体を回転中心に沿って前部構成体に対し後側に引き込む方向のばね力を灰皿本体に与えるばねと、前部構成体に設けられた回転位置規制部とを備え、人為操作により灰皿本体がばねのばね力に抗して前部構成体に対し前側に引き出されたまま回転されることによって、灰皿本体が吸殻受部の上側に向けられた使用可能な姿勢と当該吸殻受部の下側に向けられた使用不能な姿勢とに姿勢変更可能となり、これらの使用可能な姿勢と使用不能な姿勢とにおいて上記人為操作による灰皿本体に対する前側への引き出しが解除されることによって、灰皿本体がばねのばね力で前部構成体に対し後側に引き込まれて、回転位置決め部と回転位置規制部とが互いに嵌め合わされると、灰皿本体が前部構成体に回転不能に支持されることによって、遊技者または作業者が前部構成体より前側に存在する灰皿本体を前側に引き出して左方向または右方向に回転すれば、灰皿本体の使用可能な姿勢と使用不能な姿勢とに姿勢を切り替えることができるので、灰皿本体の姿勢変更に対し、遊技機枠の内部に灰皿本体の後部を逃げるための余分な空間を設ける必要が無い。また、本発明にあっては、灰皿本体が吸殻受部を構成する耐熱性合成樹脂により形成され、この灰皿本体の後部には回転中心を構成する潤滑性合成樹脂からなる灰皿軸体が結合されれば、灰皿本体の吸殻に対する耐熱性と回転操作性との両立を適切に達成することができる。また、本発明にあっては、灰皿本体の後部に回転中心を構成する灰皿軸体をねじで結合すれば、灰皿本体または灰皿軸体の少なくとも一方が損傷した場合に、それを容易に交換することができる。また、本発明にあっては、ばねがコイルスプリングであって、このばねが前部構成体の後側に回転中心を構成する軸受体を取り囲む格好に配置され、灰皿本体の回転中心を構成する灰皿軸体が前部構成体の回転中心を構成する軸受体に前側から挿入され、軸受孔より径方向に大形なばね受体が軸受体から前部構成体の後側に突出した灰皿軸体に前部構成体の後側で固定されることで、ばねが前部構成体の後面とばね受体の前面とに接触すれば、灰皿本体の前部構成体からの抜け止め構造を容易に形成することができる。また、本発明にあっては、灰皿本体が前部構成体に対し前側に引き出された場合、灰皿本体の後端部が前部構成体の前面より前側に突出しなければ、灰皿本体が前側に引き出されても、前部構成体の内部に灰皿本体の後端部が存在するので、灰皿装置の品質信頼性が向上する。また、本発明にあっては、灰皿本体の前部構成体より後側に突出した部分に灰皿側姿勢切替規制部を設け、前部構成体の後面に躯体側姿勢切替規制部を設け、灰皿側姿勢切替規制部と躯体側姿勢切替規制部とが互いに係合することで前部構成体に対する灰皿本体の前側への引き出しを規制し、灰皿側姿勢切替規制部と躯体側姿勢切替規制部とが互いに解除することで前部構成体に対する灰皿本体の前側への引き出しを可能とすれば、灰皿本体の使用可能と使用不能とを徹底することができる。また、本発明にあっては、灰皿側姿勢切替規制部が灰皿本体の回転中心を中心とする環状溝であって、躯体側姿勢切替規制部が前部構成体に回転可能に取り付けられたストッパーであれば、灰皿本体の使用可能な姿勢と使用不能な姿勢との双方において、当該姿勢の切り替えを規制する構造を簡素にすることができる。また、本発明にあっては、灰皿側姿勢切替規制部に対するストッパーの係合位置と解除位置とを定める位置決め部が前部構成体の後面に設けられ、ストッパーの係合位置と解除位置とでストッパーの弾性で位置決め部に嵌め込まれる位置規制部がストッパーに設けられれば、躯体側姿勢切替規制部と灰皿側姿勢切替規制部との係合および解除を適切に保持することができる。また、本発明にあっては、躯体側姿勢切替規制部と灰皿側姿勢切替規制部との係合および解除を、前部構成体の後側で人為操作可能にすれば、係合および解除に対する電力の必要としない簡素な構造とすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1−図7は一実施形態である。図1のa図は、吸殻受部11が上側に向けられた使用可能な灰皿装置を備えた遊技機としてのパチンコ機を示す。図1のb図は、吸殻受部11が下側に向けられた使用不能な灰皿装置を備えた遊技機としてのパチンコ機を示す。図2は、灰皿装置の構成部品を分解して示す。図3は、灰皿装置の灰皿本体8の前側への引き出し可能な形態を水平方向に切断した断面を示す。図4は、灰皿装置の灰皿本体8の前側への引き出した形態を水平方向に切断した断面を示す。図5は、灰皿本体8の前側への引き出しを不能にする姿勢切替の規制を示す。図6は、躯体側姿勢切替規制部22と灰皿側姿勢切替規制部27との解除形態を示す。図7は、躯体側姿勢切替規制部22と灰皿側姿勢切替規制部27との係合形態を示す。
【0008】
図1を参照し、遊技機の灰皿装置について説明する。図1のa図に示すようにパチンコ機の遊技機枠1は、パチンコ店の島と呼ばれる遊技機設置設備に取り付けられる。遊技機枠1の遊技者と向き合う前側を構成する前部構成体2は、前面化粧体3と皿装置4とを備える。前面化粧体3および皿装置4は、左側のヒンジ5で、遊技機枠1に取り付けられる。前面化粧体3がヒンジ5を回転中心として前側に片開きされた状態において、図外の遊技盤が遊技機枠1の内部に形成された収納部に格納される。遊技盤が遊技機枠1の内部に格納された後、前面化粧体3が閉じられると、遊技盤の前面である意匠盤面が前面化粧体3の窓12を閉鎖するガラスまたは合成樹脂からなる光透過性の有るパネル6で覆われる。パネル6と遊技盤の意匠盤面との間の空間は、図外のガイドレールで囲まれた内側の球の飛び交う遊技領域となる。
【0009】
皿装置4は、ヒンジ5を回転中心として前面化粧体3と同方向に片開き可能になっている。皿装置4は、中央部より前側に突出する上方に開放された球受部7と、左部より前側に突出する灰皿本体8と、右部より前側に突出するハンドルグリップと呼ばれる発射操作機構9と、を備える。前面化粧体3や皿装置4が閉じられた場合、前面化粧体3および皿装置4は、遊技機枠1に設けられた図外のロック機構と個別に結合して開放不能となる。このように開放不能に閉じられた前面化粧体3や皿装置4を開く場合、店員のような作業者が、遊技機枠1の前側から遊技機枠1のキー挿入孔10からキープレートを挿入し、前面化粧体3に対するロック機構を開放操作して前面化粧体3を開く。次に、前面化粧体3が開かれたことで、遊技機枠1の前側から操作可能となった皿装置4に対するロック機構を作業者が開放操作して皿装置4を開く。また、皿装置4および前面化粧体3が開放不能に閉じられ、球受部7に球が入れられ、遊技者が発射操作機構9を操作すると、皿装置4の裏側で遊技機枠1の内部に設置された図外の発射機構が、球受部7から供給された球を遊技領域に向けて発射する。この発射された球が、遊技領域に設けられた図外の入賞部品に入賞すると、遊技機枠1の裏側から球受部7に賞球としての球が、払い出される。
【0010】
皿装置4および前面化粧体3が開放不能に閉じられた場合であっても、灰皿本体8は、人の手で前方に引き出されると、前部構成体2の前面と交差する前後方向の回転中心を中心とし前部構成体2の前面に沿う方向に回転可能となる。具体的には、図1のa図に示すように、吸殻受部11が上側に向けられた灰皿本体8の使用可能な姿勢において、遊技者または作業者が灰皿本体8を前側に引き出したまま右方向または左方向に半回転させる。このように灰皿本体8が半回転された場合、図1のb図に示すように、吸殻受部11が下側に向けられた灰皿本体8の使用不能な姿勢となる。この使用不能な姿勢となったところで、遊技者または作業者が上記灰皿本体8に対する前側への引き出しを解除すると、灰皿本体8が図2に示すばねのばね力で後側に引き込まれて前部構成体2に接触して固定される。つまり、灰皿本体8が吸殻受部11の上側に向けられた使用可能な姿勢から吸殻受部11の下側に向けられた使用不能な姿勢に切り替えられる。
【0011】
図1のb図に示すように、吸殻受部11が下側に向けられた灰皿本体8の使用不能な姿勢において、遊技者または作業者が灰皿本体8を前側に引き出したまま右方向または左方向に半回転させる。このように灰皿本体8が半回転された場合、図1のa図に示すように、吸殻受部11が上側に向けられた灰皿本体8の使用可能な姿勢となる。この使用可能な姿勢となったところで、遊技者または作業者が上記灰皿本体8に対する前側への引き出しを解除すると、灰皿本体8が図2に示すばねのばね力で後側に引き込まれて前部構成体2に接触して固定される。つまり、灰皿本体8が吸殻受部11の下側に向けられた使用不能な姿勢から吸殻受部11の上側に向けられた使用可能な姿勢に切り替えられる。
【0012】
図2を参照し、灰皿装置の構成部品について説明する。前部構成体2は、遊技機枠1に片開き可能に取り付けられる皿躯体15と、皿躯体15に取り付けられて前面の意匠を構成する皿前面体16と、を備える。皿前面体16には、球受部7と開口部17とを備える。開口部17は灰皿本体8の後端部を皿前面体16の前側から挿入する孔である。皿躯体15には、軸受体18が開口部17と同軸に設けられる。軸受体18は、皿躯体15に前後方向に貫通する軸受孔19を形成するものであって、皿躯体15の前面より前方および後面より後方に突出する筒形状になっている。皿躯体15には、軸受体18の周囲に少なくとも前方に開放された孔として形成された複数の回転位置規制部21が設けられる。回転位置規制部21は、軸受体18の中心と直交する1つの直線と軸受体18の中心を中心とする1つの円周との2つの交点に配置される。つまり、回転位置規制部21は軸受体18の中心を中心とする1つの円周を周方向に二等分する位置にそれぞれ設けられる。皿躯体15の回転位置規制部21の設けられる1つの円周上の前面は回転中心と直交する径方向に平坦面になっている。
【0013】
軸受体18の周囲において、皿躯体15の裏面には躯体側姿勢切替規制部22が回転可能に設けられる。躯体側姿勢切替規制部22は、皿躯体15の裏面より裏側に突出した支柱23に、止ねじ24で回転可能に取り付けられた、合成樹脂からなる弾性を有する帯板状のストッパーになっている。躯体側姿勢切替規制部22の先端部には位置規制部25が前側に突出する。支柱23の周りにおいて、皿躯体15の裏面には位置決め部26が設けられる。位置決め部26は、灰皿側姿勢切替規制部27に対する躯体側姿勢切替規制部22の係合位置と解除位置とを定める部分であって、躯体側姿勢切替規制部22の係合位置において位置規制部25が嵌め込まれる第1受入部28と、躯体側姿勢切替規制部22の解除位置において位置規制部25が嵌め込まれる第2受入部29と、を備える。
【0014】
灰皿本体8は、メラミン樹脂のような耐熱性合成樹脂材で砲弾形の中心よりも上方の上部を除去した外側面に、吸殻受部11を備える。吸殻受部11は、灰皿本体8の外側面より内部に窪む上方に開放された形状である。吸殻受部11の周りを囲む灰皿本体8の外側面には、灰皿本体8の前部位置に煙草受部31を備える。煙草受部31は、灰皿本体8の外側面より内部に窪む上方に開放された形状である。煙草受部31の深さは、吸殻受部11の深さよりも浅い。これによって、煙草受部31に1つの煙草が嵌め込まれていない場合でも、吸殻受部11に捨てられた吸殻が煙草受部31から灰皿本体8の外側に落下することはない。
【0015】
吸殻受部11の反対側に位置する灰皿本体8の下半部には、灰皿本体8と異なる合成樹脂材からなるカバー32が固定される。カバー32が耐熱性を特に要求されないことから、灰皿本体8と異なる色艶のよい合成樹脂材からカバー32が形成されることで、カバー32の設けられた灰皿本体8の意匠的な効果を高めることができる。灰皿本体8の後端に位置する後面には、後面中心の強度を高めるためのリブ33と、後面周囲に配置された複数の軸体取付部34とが、設けられる。複数の軸体取付部34は、灰皿本体8の中心と直交する1つの直線と灰皿本体8の中心を中心とする1つの円周との2つの交点に個別に配置される。つまり、軸体取付部34は、灰皿本体8の中心を中心とする1つの円周を周方向に二等分する位置にそれぞれ設けられる。軸体取付部34は、軸体取付部34の後面より内部に窪む内部孔35を備える。内部孔35は、吸殻受部11に貫通していない。
【0016】
灰皿本体8の裏側に取り付けられる灰皿軸体36は、潤滑性合成樹脂材で形成され、支持軸37を灰皿軸体36の後面中央に備える。支持軸37は、灰皿軸体36より裏側に突出し、前方に開放されかつ後方で閉鎖された筒形状である。支持軸37の後壁の中央には、ばね受体取付孔38が形成される。灰皿軸体36の後面には、突起として形成された複数の回転位置決め部39と、前後方向に貫通する複数のねじ挿入孔41とが、設けられる。回転位置決め部39は、支持軸37の中心と直交する1つの直線と支持軸37を中心とする1つの円周との2つの交点に個別に配置される。つまり、回転位置決め部39は、支持軸37の中心を中心とする1つの円周を周方向に二等分する位置にそれぞれ設けられる。
【0017】
灰皿軸体36の回転位置決め部39に対する円周は、前部構成体2の回転位置規制部21に対する円周と同一の直径である。複数のねじ挿入孔41は、支持軸37の中心と直交する1つの直線と支持軸37を中心とする1つの円周との2つの交点に個別に配置される。つまり、ねじ挿入孔41は、支持軸37の中心を中心とする1つの円周を周方向に二等分する位置にそれぞれ設けられる。回転位置決め部39に対する1つの直線とねじ挿入孔41に対する1つの直線とは、支持軸37を中心として互いに直交する。つまり、複数の回転位置決め部39と複数のねじ挿入孔41とは円周を周方向に四等分する位置に配置される。
【0018】
灰皿本体8と灰皿軸体36とが互いに前後方向で同軸に重ね合わされ、止ねじ42がねじ挿入孔41から軸体取付部34の内部孔35に締結されることで、灰皿本体8と灰皿軸体36とが互いに結合される。支持軸37の後部に設けられるばね受体45は、軸受孔19よりも径方向に大形な前面と、中心部に設けられた軸挿入孔46と、周面に環状溝として形成された灰皿側姿勢切替規制部27と、を備える。軸挿入孔46は、少なくとも前面である前方に開放された形態である。灰皿側姿勢切替規制部27は、軸挿入孔46を取り囲むばね受体45の外周面に、ばね受体45の中心を中心とする真円形になっている。ばね受体45の軸挿入孔46周りの前面が軸受孔19よりも径方向に大形であることは、軸受孔19と支持軸37との嵌め合いで形成される回転中心と直交する径方向に大形である。
【0019】
灰皿装置の組立て方について説明する。灰皿本体8とカバー32と灰皿軸体36とが互いに結合された状態において、支持軸37が前部構成体2の前方より開口部17を経由して軸受孔19に挿入され、回転位置決め部39と回転位置規制部21とが互いに嵌め合わされる。上記支持軸37と軸受孔19とが、互いに嵌め合わされることで、前部構成体2に対する灰皿本体8の前部構成体2の前面より前側に突出して前面と交差する方向の回転中心を形成する。これと並行し、前部構成体2の裏側における軸受体18には、コイルスプリングのようなばね47が、軸受体18を非接触に取り囲むように装着される。その後、軸受孔19より後方に突出した支持軸37の後端部には、ばね受体45の軸挿入孔46が嵌め込まれる。そして、止ねじ48が、ばね受体45の後部より、ばね受体45に形成された図3に示す貫通孔Aを経由して、軸受体18のばね受体取付孔38に締結される。これによって、灰皿軸体36とばね受体45とが互いに結合される。
【0020】
このようにばね受体45が止ねじ48で取り付けられた場合、図3に示すように、ばね47の後端がばね受体45の前面に接触し、ばね47の先端が皿躯体15の後面に接触し、ばね47がばね力でばね受体45を後方に付勢し、ばね47が灰皿本体8を前部構成体2に対し裏側に引き込む方向のばね力を灰皿本体8に与える。これによって、ばね受体45の回転中心と直交する径方向に平坦な前面と前部構成体2における軸受体18の回転中心と直交する径方向に平坦な後面との間には、前部構成体2に対する灰皿本体8の前後方向への移動を可能にする隙間が形成される。この隙間の寸法L1は、回転位置決め部39と回転位置規制部21との嵌り合いの寸法L2より大きい(L1>L2)。また、灰皿本体8の後端部が前部構成体2の皿前面体16の前面より後側に挿入された寸法L3は、上記寸法L1より大きい(L3>L1)。
【0021】
図3では、灰皿本体8がばね47のばね力で前部構成体2に対し後側に引き込まれ、灰皿本体8の回転位置決め部39と前部構成体2の回転位置規制部21とが互いに結合し、灰皿本体8が回転不能に前部構成体2に支持されている。この状態において、図4に示すように、作業者が前部構成体2の前面より前側に突出した灰皿本体8を前側に引き出すと、ばね受体45が灰皿本体8と一緒に前側に移動してばね47を圧縮しつつ前部構成体2の軸受体18に突き当たる。これに伴い、上記寸法L1>L2の関係から、回転位置決め部39が回転位置規制部21より前側に抜け出る。これによって、灰皿本体8は、軸受孔19と支持軸37との嵌め合いによる回転中心を中心として、前部構成体2の前面を形成する前面化粧体3の前面に沿う方向に回転可能となる。
【0022】
このようなことから、作業者が、灰皿本体8を前側に引き出したまま左方向または右方向の何れか一方に回転操作すると、図1のa図に示す吸殻受部11が上側に向けられた灰皿本体8の使用可能な姿勢と、図1のb図に示す吸殻受部11が下側に向けられた灰皿本体8の使用不能な姿勢とに切り替えることができる。また、上記寸法L3>L1の関係から、灰皿本体8が前部構成体2に対し前側に引き出された場合、図4に示すように灰皿本体8の後端部が、前部構成体2の前面より前側に突出しない。よって、姿勢切り替えのために、灰皿本体8が前側に引き出されても、前部構成体2の開口部17に灰皿本体8の後端部が存在するので、灰皿装置の品質信頼性が向上する。
【0023】
この実施形態によれば、2つの回転位置規制部21と2つの回転位置決め部39とが、軸受孔19と支持軸37との嵌め合いによる回転中心を中心とした1つの円周の二等分位置に設けられたので、灰皿本体8が使用可能な姿勢と使用不能な姿勢とに切り替えられる場合、作業者が灰皿本体8を前側に引き出し、左方向または右方向の何れか一方に回転操作し、回転位置決め部39が回転位置規制部21と嵌まり合うことのできない位置になったならば、作業者が灰皿本体8から前側への引き出し力を解除しても、回転位置決め部39が回転位置規制部21周りの皿躯体15の前面に突き当たる。このように回転位置決め部39が皿躯体15の前面に突き当てられたまま、作業者が灰皿本体8を上記何れか一方の方向に半回転すれば、回転位置決め部39が回転位置規制部21と出会うのに伴い、ばね47のばね力により、回転位置決め部39が回転位置規制部21に引き込まれるように嵌まり込む。この嵌まり込みによって、灰皿本体8は、吸殻受部11が上側に向いた使用可能な姿勢から吸殻受部11が下側に向いた使用不能な姿勢に切り替えられるか、または、吸殻受部11が下側に向いた使用不能な姿勢から吸殻受部11が上側に向いた使用可能な姿勢に切り替えられる。
【0024】
この実施形態によれば、耐熱性合成樹脂で形成された灰皿本体8と潤滑性合成樹脂で形成された灰皿軸体36とが結合されたので、吸殻受部11の耐熱性と支持軸37の回転操作性との両立を適切に発揮することができる。灰皿本体8の後部に灰皿軸体36を止ねじ42で結合したので、灰皿本体8または灰皿軸体36の少なくとも一方が損傷した場合に、それを容易に交換することができる。灰皿本体8と組み合わされた灰皿軸体36が前部構成体2の前側から開口部17を経由して軸受孔19に挿入され、この軸受孔19より後側(裏側)に突出した灰皿軸体36に、前部構成体2の裏側から軸受孔19よりも径方向に大形なばね受体45を止ねじ48で結合したので、灰皿本体8の前部構成体2からの抜け止め構造が容易に形成できる。コイルスプリングにより形成されたばね47が、軸受体18を非接触に取り囲む格好で、前部構成体2の裏面と軸受孔19よりも径方向に大形なばね受体45の前面とに接触したので、灰皿本体8を前部構成体2に対し後側に引き込むばね力を与えるばね47がコンパクトに装着される。灰皿本体8と灰皿軸体36とを止ねじ42で結合したので、灰皿本体8を前側に引き出しても、灰皿軸体36が灰皿本体8から脱落するような不都合は解消できる。
【0025】
図5−図7を参照し、灰皿本体8の使用可能な姿勢と使用不能な姿勢との姿勢切り替えを規制することについて説明する。前記のように灰皿本体8が前側に引き出されて使用可能な姿勢と使用不能な姿勢とに切り替えられる場合、図6に示すように前部構成体2の後側に設けられた躯体側姿勢切替規制部22が灰皿本体8に結合された灰皿側姿勢切替規制部27から解除されている。このように灰皿側姿勢切替規制部27から解除されている躯体側姿勢切替規制部22を作業者が操作する。
【0026】
これによって、図7に示すように、躯体側姿勢切替規制部22が止ねじ24により形成された回転中心を中心としてばね受体45の方向に移動するのに伴い、躯体側姿勢切替規制部22の弾性変形で位置規制部25が第2受入部29から抜け出て第1受入部28に嵌め込まれ、これと並行し、躯体側姿勢切替規制部22が環状溝として形成された灰皿側姿勢切替規制部27に係合する。この躯体側姿勢切替規制部22と灰皿側姿勢切替規制部27とが互いに係合した場合、図5に示す形態となる。
【0027】
つまり、図5において、例えば、灰皿本体8が吸殻受部11を下側に向けた使用不能な姿勢になっている場合において、遊技者が灰皿本体8を使用しようとして、灰皿本体8を前側に引き出すように操作したとしても、躯体側姿勢切替規制部22が灰皿側姿勢切替規制部27に係合しているので、灰皿本体8は前側に引き出されない。よって、店営業の観点から、パチンコ店が灰皿本体8を使用不能な姿勢に設定した場合、灰皿本体8の不使用を徹底することができる。逆に、パチンコ店が灰皿本体8を使用可能な姿勢に設定した場合、灰皿本体8の使用を徹底することができる。
【0028】
しかも、躯体側姿勢切替規制部22と灰皿側姿勢切替規制部27との係合および解除は、前部構成体2の後側で人為操作可能になっているので、係合および解除に対する電力の必要としない簡素な構造となる。この係合および解除の操作が前部構成体2の裏側で行われる構造であるので、図1に示す遊技機枠1に対し前部構成体2が開放されない限り、当該係合および解除の操作は実行することができない。よって、灰皿本体8の姿勢切り替えは、遊技者が行うことはできず、パチンコ店側での専用行為となる。
【0029】
灰皿側姿勢切替規制部27が環状溝により形成され、躯体側姿勢切替規制部22が前部構成体2に回転可能に取り付けられたストッパーにより形成されたので、灰皿本体8の使用可能な姿勢と使用不能な姿勢との双方において、当該姿勢の切り替えを規制する構造が簡素となる。灰皿側姿勢切替規制部27に対するストッパーにより形成された躯体側姿勢切替規制部22の係合位置と解除位置とを定める位置決め部26が、ストッパーの係合位置と解除位置とでストッパーの位置規制部25を嵌め込む第1受入部28と第2受入部29とを備えているので、躯体側姿勢切替規制部22と灰皿側姿勢切替規制部27との係合および解除を適切に保持することができる。止ねじ48を除去し、軸挿入孔46に形成した雌ねじと支持軸37に形成した雄ねじとのねじ嵌合で、ばね受体45と灰皿軸体36とを結合してもよい。止ねじ24に替えて躯体側姿勢切替規制部22を支柱23の後端に突出した軸に回転可能に装着し、躯体側姿勢切替規制部22より後側に突出した軸に止輪を装着してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のパチンコ機の外観を示し、a図は灰皿本体の使用可能な姿勢を示す斜視図、b図は灰皿本体の使用不能な姿勢を示す斜視図。
【図2】同実施形態の灰皿装置を示す分解斜視図。
【図3】同実施形態の灰皿装置の引き出し可能な形態を示す断面図。
【図4】同実施形態の灰皿装置の引き出した形態を示す断面図。
【図5】同実施形態の灰皿装置の引き出し不能な形態を示す断面図。
【図6】同実施形態の躯体側姿勢切替規制部と灰皿側姿勢切替規制部との解除形態を示す背面図。
【図7】同実施形態の躯体側姿勢切替規制部と灰皿側姿勢切替規制部との係合形態を示す背面図。
【符号の説明】
1 遊技機枠
2 前部構成体
8 灰皿本体
11 吸殻受部
18 軸受体
19 軸受孔
21 回転位置規制部
22 躯体側姿勢切替規制部(ストッパー)
25 位置規制部
26 位置決め部
27 灰皿側姿勢切替規制部(環状溝)
36 灰皿軸体
39 回転位置決め部
45 ばね受体
47 ばね(コイルスプリング)
48 止ねじ(ねじ)
Claims (8)
- 遊技機枠の前部構成体と、前部構成体の前面より前側に突出して前面と交差する方向の回転中心を中心とし前面に沿う方向に回転可能にかつ前後方向に移動可能に設けられた外側面に吸殻受部を有する灰皿本体と、灰皿本体の後部に設けられた回転位置決め部と、灰皿本体を回転中心に沿って前部構成体に対し後側に引き込む方向のばね力を灰皿本体に与えるばねと、前部構成体に設けられた回転位置規制部とを備え、人為操作により灰皿本体がばねのばね力に抗して前部構成体に対し前側に引き出されたまま回転されることによって、灰皿本体が吸殻受部の上側に向けられた使用可能な姿勢と当該吸殻受部の下側に向けられた使用不能な姿勢とに姿勢変更可能となり、これらの使用可能な姿勢と使用不能な姿勢とにおいて上記人為操作による灰皿本体に対する前側への引き出しが解除されることによって、灰皿本体がばねのばね力で前部構成体に対し後側に引き込まれて、回転位置決め部と回転位置規制部とが互いに嵌め合わされると、灰皿本体が前部構成体に回転不能に支持されることを特徴とする遊技機の灰皿装置。
- 灰皿本体が吸殻受部を構成する耐熱性合成樹脂により形成され、この灰皿本体の後部には回転中心を構成する潤滑性合成樹脂からなる灰皿軸体が結合されたことを特徴とする請求項1記載の遊技機の灰皿装置。
- 灰皿本体の後部に回転中心を構成する灰皿軸体をねじで結合したことを特徴とする請求項1記載の遊技機の灰皿装置。
- ばねがコイルスプリングであって、このばねが前部構成体の後側に回転中心を構成する軸受体を取り囲む格好に配置され、灰皿本体の回転中心を構成する灰皿軸体が前部構成体の回転中心を構成する軸受体に前側から挿入され、軸受孔より径方向に大形なばね受体が軸受体から前部構成体の後側に突出した灰皿軸体に前部構成体の後側で固定されることで、ばねが前部構成体の後面とばね受体の前面とに接触したことを特徴とする請求項1記載の遊技機の灰皿装置。
- 灰皿本体が前部構成体に対し前側に引き出された場合、灰皿本体の後端部が前部構成体の前面より前側に突出しないことを特徴とする請求項1記載の遊技機の灰皿装置。
- 灰皿本体の前部構成体より後側に突出した部分に灰皿側姿勢切替規制部を設け、前部構成体の後面に躯体側姿勢切替規制部を設け、灰皿側姿勢切替規制部と躯体側姿勢切替規制部とが互いに係合することで前部構成体に対する灰皿本体の前側への引き出しを規制し、灰皿側姿勢切替規制部と躯体側姿勢切替規制部とが互いに解除することで前部構成体に対する灰皿本体の前側への引き出しを可能とすることを特徴とする請求項1記載の遊技機の灰皿装置。
- 灰皿側姿勢切替規制部が灰皿本体の回転中心を中心とする環状溝であって、躯体側姿勢切替規制部が前部構成体に回転可能に取り付けられたストッパーであることを特徴とする請求項1記載の遊技機の灰皿装置。
- 灰皿側姿勢切替規制部に対するストッパーの係合位置と解除位置とを定める位置決め部が前部構成体の後面に設けられ、ストッパーの係合位置と解除位置とでストッパーの弾性で位置決め部に嵌め込まれる位置規制部がストッパーに設けられたことを特徴とする請求項7記載の遊技機の灰皿装置。
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