JP2005021151A - スクリーニング方法 - Google Patents

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州司 日沼
Akira Fujii
亮 藤井
Yuji Kawamata
裕二 川俣
Hidetoshi Komatsu
秀俊 小松
Muneyuki Uejima
宗之 上島
Fumio Ito
文雄 伊藤
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Abstract

【課題】TGR5に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法及びその用途の提供。
【解決手段】特定配列で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するTGR5またはその塩および合成リガンドを用いることを特徴とするTGR5に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法及びスクリーニングされた物質を含有するGlucagon−like ペプチド分泌促進剤等を開発した。
【選択図】なし

Description

本発明は、TGR5アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法およびモルモット由来の新規なTGR5に関する。
G蛋白質共役型レセプター蛋白質であるヒト由来TGR5が報告されている(特許文献1)。
また、TGR5のリガンドがコレステロール代謝関連物質であり、TGR5とコレステロール代謝関連物質を用いるTGR5アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法が報告されている(特許文献2)。胆汁酸がTGR5(BG37)に結合することが報告されている(特許文献3)。
さらに、TGR5(BG37)がGlucagon−like peptide−1(GLP−1)の分泌に関与していることが示唆されている(非特許文献1)。
WO01/77325号 WO02/84286号 WO02/40669号 Biochemical and Biophysical Research Communications 298 (2002) 714-719
さらに効率の良いTGR5アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法の開発が望まれていた。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、TGR5の天然リガンドではなく、TGR5に結合する低分子合成化合物をサロゲート(surrogate)リガンドとして用いることにより、簡便に、かつ効率良くTGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストをスクリーニングできることを見出した。さらに、本発明者らは、モルモット由来の新規TGR5cDNAをクローニングすることに成功した。さらに、本発明者らは、胆汁酸がTGR5を介してGlucagon−like peptide−1(GLP−1)の分泌を促進することを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕(1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩と該レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる低分子合成化合物またはその塩とを用いることを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法、
〔2〕(1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩と該レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる低分子合成化合物またはその塩とを用いることを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬またはGLP−1分泌抑制薬のスクリーニング方法、
〔3〕該レセプター蛋白質が配列番号:1、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:14、配列番号:16または配列番号:36で表されるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質である上記〔1または2〕記載のスクリーニング方法、
〔4〕(1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩と該レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる低分子合成化合物またはその塩とを含有することを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング用キット、
〔5〕(1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩と該レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる低分子合成化合物またはその塩とを含有することを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬またはGLP−1分泌抑制薬のスクリーニング用キット、
〔6〕配列番号:36で表されるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
〔7〕上記〔6〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
〔8〕配列番号:37で表される塩基配列からなるDNA、
〔9〕上記〔7〕記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、
〔10〕上記〔9〕記載の組換えベクターで形質転換させた形質転換体、
〔11〕上記〔10〕記載の形質転換体を培養し、上記〔6〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を生成せしめることを特徴とする上記〔6〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の製造法、
〔12〕(1)配列番号:36で表わされるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩を用いることを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩とコレステロール代謝関連物質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
〔13〕(1)配列番号:36で表わされるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩を含有することを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩とコレステロール代謝関連物質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
〔14〕(1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩とを用いることを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬またはGLP−1分泌抑制薬のスクリーニング方法、
〔15〕該レセプター蛋白質が配列番号:1、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:14、配列番号:16または配列番号:36で表されるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質である上記〔14〕記載のスクリーニング方法、
〔16〕(1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩とを含有することを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬またはGLP−1分泌抑制薬のスクリーニング用キット、
〔17〕試験化合物を配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩を含有する細胞または組織(例、CHO細胞、NCI−H716、マクロファージ、単球、腸管)に接触させた場合におけるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進活性を測定することを特徴とする該G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの決定方法、
〔18〕配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストを含有してなるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤、
〔19〕配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストを含有してなる糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊または肥満の予防・治療剤、食欲抑制剤、または膵臓の再生剤、
〔20〕配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストを含有してなるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制剤、
〔21〕配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストを含有してなる低血糖の予防・治療剤、
〔22〕哺乳動物に対して、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの有効量を投与することを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進方法、
〔23〕哺乳動物に対して、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの有効量を投与することを特徴とする糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊または肥満の予防・治療方法、食欲抑制方法、または膵臓の再生方法、
〔24〕哺乳動物に対して、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストの有効量を投与することを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制方法、
〔25〕哺乳動物に対して、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストの有効量を投与することを特徴とする低血糖の予防・治療方法、
〔26〕Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤を製造するための、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの使用、
〔27〕糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊または肥満の予防・治療剤、食欲抑制剤、または膵臓の再生剤を製造するための、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの使用、
〔28〕Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制剤を製造するための、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストの使用、
〔29〕低血糖の予防・治療剤を製造するための、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストの使用、
〔30〕式
〔式中、R、RおよびRはそれぞれ水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基を、Xは結合手、−O−、−NR−(Rは水素原子または低級アルキル基を示す)または−S−を、Yは置換されていてもよいC1−5アルキレン基を、ArおよびArはそれぞれ置換されていてもよい単環性芳香族基を示す。〕で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグを含有してなるTGR5受容体作動剤、
〔31〕Arが置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいチエニル基である上記〔30〕記載の剤、
〔32〕Arが置換されていてもよいフェニル基である上記〔30〕記載の剤、
〔33〕RおよびRはハロゲン化されていてもよいC1−3アルキル基である上記〔30〕記載の剤、
〔34〕Xが−O−である上記〔30〕記載の剤、
〔35〕YがC1−3アルキレン基である上記〔30〕記載の剤、
〔36〕Xが−O−であり、Yがメチレン基である上記〔30〕記載の剤、
〔37〕化合物が1,3,6-トリメチル-2-オキソ-4-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸ベンジルエステル、4-(5-ブロモチオフェン-2-イル)-1,6-ジメチル-2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸ベンジルエステル、1,6-ジメチル-2-オキソ-4-(チオフェン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸ベンジルエステルまたはその塩である上記〔30〕記載の剤、
〔38〕TGR5が関与する生理機能の調節剤またはTGR5が関与する病態または疾患の予防・治療剤である上記〔30〕記載の剤、
〔39〕サイトカイン産生抑制剤である上記〔30〕記載の剤、
〔40〕心不全、心筋梗塞、急性腎不全、狭心症、不整脈、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、動脈硬化症、慢性関節リウマチ、糖尿病、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、アレルギー、変形性関節症、エリテマトーデス、移植医療後の過剰免疫反応または感染症の予防・治療剤または免疫抑制剤である上記〔30〕記載の剤、
〔41〕Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤、食欲抑制剤、膵臓の再生剤、膵β細胞分化促進剤または膵β細胞増殖促進剤である上記〔30〕記載の剤、
〔42〕糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊または肥満の予防・治療剤である上記〔30〕記載の剤、
〔43〕哺乳動物に対して、式
〔式中、R、RおよびRはそれぞれ水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基を、Xは結合手、−O−、−NR−(Rは水素原子または低級アルキル基を示す)または−S−を、Yは置換されていてもよいC1−5アルキレン基を、ArおよびArはそれぞれ置換されていてもよい単環性芳香族基を示す。〕で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする、TGR5受容体の作動方法、および
〔44〕TGR5受容体作動剤の製造のための式
〔式中、R、RおよびRはそれぞれ水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基を、Xは結合手、−O−、−NR−(Rは水素原子または低級アルキル基を示す)または−S−を、Yは置換されていてもよいC1−5アルキレン基を、ArおよびArはそれぞれ置換されていてもよい単環性芳香族基を示す。〕で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグの使用を提供する。
さらに、本発明は、
〔45〕上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストまたはアンタゴニスト、
〔46〕上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストまたはアンタゴニストを含有してなる医薬、
〔47〕上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストを含有してなる炎症性疾患または移植医療後の過剰免疫反応の予防・治療剤、
〔48〕上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストを含有してなるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤、
〔49〕上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストを含有してなる糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊または肥満の予防・治療剤、食欲抑制剤、または膵臓の再生剤、
〔50〕上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストを含有してなる免疫不全または感染症の予防・治療剤、
〔51〕上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストを含有してなるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制剤、
〔52〕上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストを含有してなる低血糖の予防・治療剤、
〔53〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの有効量を投与することを特徴とする炎症性疾患または移植医療後の過剰免疫反応の予防・治療方法、
〔54〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの有効量を投与することを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進方法、
〔55〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの有効量を投与することを特徴とする糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊または肥満の予防・治療方法、食欲抑制方法、または膵臓の再生方法、
〔56〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストの有効量を投与することを特徴とする免疫不全または感染症の予防・治療方法、
〔57〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストの有効量を投与することを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制方法、
〔58〕哺乳動物に対して、上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストの有効量を投与することを特徴とする低血糖の予防・治療方法、
〔59〕炎症性疾患または移植医療後の過剰免疫反応の予防および/または治療剤を製造するための、上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの使用、
〔60〕Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤を製造するための、上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの使用、
〔61〕糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊または肥満の予防・治療剤、食欲抑制剤、または膵臓の再生剤を製造するための、上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの使用、
〔62〕免疫不全または感染症の予防および/または治療剤を製造するための、上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストの使用、
〔63〕Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制剤を製造するための、上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストの使用、
〔64〕低血糖の予防・治療剤を製造するための、上記〔1〕記載のスクリーニング方法または上記〔4〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られる配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストの使用、
〔65〕(1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質(TGR5)、その部分ペプチドまたはその塩および(2)1)コレステロール代謝関連物質もしくはその塩または2)コレステロール代謝関連物質またはその塩と該レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる低分子合成化合物またはその塩とを用いることを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬(TGR5アゴニスト)またはGLP−1分泌抑制薬(TGR5アンタゴニスト)のスクリーニング方法、
〔66〕該レセプター蛋白質が配列番号:1、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:14、配列番号:16または配列番号:36で表されるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質である上記〔65〕記載のスクリーニング方法、
〔67〕(1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)1)コレステロール代謝関連物質もしくはその塩または2)コレステロール代謝関連物質またはその塩と該レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる低分子合成化合物またはその塩とを含有することを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬またはGLP−1分泌抑制薬のスクリーニング用キット、
〔68〕上記〔65〕記載のスクリーニング方法または上記〔67〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬またはGLP−1分泌抑制薬、
〔69〕上記〔65〕記載のスクリーニング方法または上記〔67〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬(TGR5アゴニスト)を含有してなるGLP−1分泌促進剤、
〔70〕上記〔65〕記載のスクリーニング方法または上記〔67〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬(TGR5アゴニスト)を含有してなる糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊または肥満の予防・治療剤、食欲抑制剤、または膵臓の再生剤、
〔71〕上記〔65〕記載のスクリーニング方法または上記〔67〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制薬(TGR5アンタゴニスト)を含有してなるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制剤、
〔72〕上記〔65〕記載のスクリーニング方法または上記〔67〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制薬(TGR5アンタゴニスト)を含有してなる低血糖の予防・治療剤、
〔73〕哺乳動物に対して、上記〔65〕記載のスクリーニング方法または上記〔67〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬(TGR5アゴニスト)の有効量を投与することを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進方法、
〔74〕哺乳動物に対して、上記〔65〕記載のスクリーニング方法または上記〔67〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬(TGR5アゴニスト)の有効量を投与することを特徴とする糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊または肥満の予防・治療方法、食欲抑制方法、または膵臓の再生方法、
〔75〕哺乳動物に対して、上記〔65〕記載のスクリーニング方法または上記〔67〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られうるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制薬(TGR5アンタゴニスト)の有効量を投与することを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制方法、
〔76〕哺乳動物に対して、上記〔65〕記載のスクリーニング方法または上記〔67〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制薬(TGR5アンタゴニスト)の有効量を投与することを特徴とする低血糖の予防・治療方法、
〔77〕Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤を製造するための、上記〔65〕記載のスクリーニング方法または上記〔67〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬(TGR5アゴニスト)の使用、
〔78〕糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊または肥満の予防・治療剤、食欲抑制剤、または膵臓の再生剤を製造するための、上記〔65〕記載のスクリーニング方法または上記〔67〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬(TGR5アゴニスト)の使用、
〔79〕Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制剤を製造するための、上記〔65〕記載のスクリーニング方法または上記〔67〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制薬(TGR5アンタゴニスト)の使用、
〔80〕低血糖の予防・治療剤を製造するための、上記〔65〕記載のスクリーニング方法または上記〔67〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制薬(TGR5アンタゴニスト)の使用、
〔81〕Yが置換基A群から選ばれる置換基で置換されていてもよいC1−5アルキレン基で、
ArおよびArがそれぞれ置換基B群(ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、置換されていてもよいアミノ基、アシル基、置換されていてもよいカルバモイル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基およびC1−3アルキレンジオキシ基)から選ばれる置換基で置換されていてもよい(i)単環性C6−8アリール基または(ii)環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子1ないし3種を少なくとも1個含む5ないし8員の単環性芳香族複素環基である単環性芳香族基で、
置換基A群が(i)ニトロ基、(ii)ヒドロキシ基もしくはオキソ基、(iii)シアノ基、(iv)カルバモイル基、(v)モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基(該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよい)、モノ−またはジ−C2−4アルケニル−カルバモイル基(該アルケニル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよい)、モノ−またはジ−フェニル−カルバモイル基(該フェニル基はハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよい)、モノ−またはジ−ベンジル−カルバモイル基(該ベンジル基はハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよい)、C1−6アルコキシ−カルボニル−カルバモイル基、C1−6アルキルスルホニル−カルバモイル基、C1−6アルコキシ−カルバモイル基、アミノ−カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ−カルバモイル基、モノ−またはジ−フェニルアミノ−カルバモイル基、(vi)カルボキシル基、(vii)C1−6アルコキシ−カルボニル基、(viii)ハロゲン原子、(ix)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、カルボキシル基で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基、(x)フェノキシ−C1−6アルキル基、フェノキシ−C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルカルボニル−オキシ基、カルバモイルオキシ基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイルオキシ基、(xi)ハロゲン化されていてもよいフェニル基、ハロゲン化されていてもよいフェニル−C1−6アルキル基、ハロゲン化されていてもよいフェニル−C2−4アルケニル基、ハロゲン化されていてもよいフェノキシ基、ピリジルオキシ基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル−C1−6アルコキシ基、C3−10シクロアルキル−C1−6アルキル基、(xii)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC2−6アルケニル基、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルチオ基、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−6アルキル基、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−6アルキルチオ基、(xiii)メルカプト基、チオキソ基、(xiv)ハロゲン原子、カルボキシル基およびC1−6アルコキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいベンジルオキシ基またはベンジルチオ基、(xv)ハロゲン化されていてもよいフェニルチオ基、ピリジルチオ基、フェニルチオ−C1−6アルキル基、ピリジルチオ−C1−6アルキル基、(xvi)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、フェニルスルフィニル−C1−6アルキル基、(xvii)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、フェニルスルホニル−C1−6アルキル基、(xviii)アミノ基、アミノスルホニル基、モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノスルホニル基(該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよい)、(xix)C1−6アルカノイルアミノ、ベンゾイルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノおよびC6−10アリールスルホニルアミノから選ばれるC1−10アシル−アミノ(該C1−10アシルはハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基またはカルボキシル基で置換されていてもよい)、ベンジルオキシカルボニルアミノ、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニルアミノ、カルバモイルアミノ基、モノ−またはジ−C1−6アルキルカルバモイルアミノ基、(xx)モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ基(該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよい)、モノ−またはジ−C1−6アルカノイルアミノ基(該アルカノイル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよい)、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、C1−6アルキル(ベンジル)アミノ、C1−6アルカノイル(ベンジル)アミノ、(xxi)4ないし8員環状アミノ基、4ないし8員環状アミノ−カルボニル基、4ないし8員環状アミノ−カルボニル−オキシ基、4ないし8員環状アミノ−カルボニル−アミノ基、4ないし8員環状アミノ−スルホニル基、4ないし8員環状アミノ−C1−6アルキル基、(xxii)ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、カルボキシル基およびC1−6アルコキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいC1−6アシル基(例、C2−6アルカノイル)またはベンゾイル基、 (xxiii)酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種を少なくとも1個含む4ないし10員複素環基(該複素環基はC1−6アルキル基で置換されていてもよい)、(xxiv)酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種を少なくとも1個含む4ないし10員複素環−カルボニル基(該複素環基はC1−6アルキル基で置換されていてもよい)、(xxv)ヒドロキシイミノ基、C1−6アルコキシイミノ基、C6−14アリール基および(xxvi)ハロゲン化されていてもよい直鎖状または分枝状のC1−6アルキレンジオキシ基からなり、
置換基B群の「置換されていてもよい炭化水素基」が、置換基C群から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい(i)直鎖状または分枝状のC1−15アルキル基、(ii)C3−8シクロアルキル基、(iii)C2−18アルケニル基、(iv)C3−10シクロアルケニル基、(v)C2−8アルキニル基、(vi)フェニル−C1−6アルキル基、(vii)ナフチル−C1−6アルキル基、(viii)C6−14アリール基または(ix)ビフェニル基で、
置換基B群の「置換されていてもよい複素環基」が、置換基C群から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよい環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子1ないし3種を少なくとも1個含む4〜16員の1ないし3環性の芳香族複素環基または飽和もしくは不飽和の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)で、
置換基B群の置換されていてもよいヒドロキシ基が、前記「置換されていてもよい炭化水素基」、後記「アシル基」、後記「エステル化されていてもよいカルボキシル基」、後記「置換されていてもよいカルバモイル基」または前記「置換されていてもよい複素環基」で置換されていてもよいヒドロキシ基で、
置換基B群の置換されていてもよいチオール基が、前記「置換されていてもよい炭化水素基」、後記「アシル基」、後記「エステル化されていてもよいカルボキシル基」、後記「置換されていてもよいカルバモイル基」または前記「置換されていてもよい複素環基」で置換されていてもよいチオール基で、
置換基B群の置換スルフィニル基が、前記「置換されていてもよいヒドロキシ基」、後記「置換されていてもよいアミノ基」、前記「置換されていてもよい炭化水素基」または前記「置換されていてもよい複素環基」で置換されたスルフィニル基で、
置換基B群の置換スルホニル基が、前記「置換されていてもよいヒドロキシ基」、後記「置換されていてもよいアミノ基」、前記「置換されていてもよい炭化水素基」または前記「置換されていてもよい複素環基」で置換されたスルホニル基で、
置換基B群の置換されていてもよいアミノ基が、前記「置換されていてもよい炭化水素基」、後記「アシル基」、後記「エステル化されていてもよいカルボキシル基」、後記「置換されていてもよいカルバモイル基」または前記「置換されていてもよい複素環基」で置換されていてもよいアミノ基で、
置換基B群のアシル基が、式 RCO−、RSO−、RSO−またはROPO(OR)−(Rは水素原子、前記「置換されていてもよい炭化水素基」または前記「置換されていてもよい複素環基」を示し、Rは水素原子または前記「置換されていてもよい炭化水素基」を示す)で表される基で、
置換基B群の置換されていてもよいカルバモイル基が、前記「置換されていてもよい炭化水素基」、前記「アシル基」、後記「エステル化されていてもよいカルボキシル基」、前記「置換されていてもよい複素環基」、「低級(C1−6)アルキル基およびフェニル基から選ばれる置換基1〜2個で置換されていてもよいカルバモイル基」、「前記置換されていてもよい炭化水素基、前記アシル基、後記エステル化されていてもよいカルボキシル基または前記置換されていてもよい複素環基で置換されていてもよいアミノ基」、「前記置換されていてもよい炭化水素基、前記アシル基、後記エステル化されていてもよいカルボキシル基または前記置換されていてもよい複素環基で置換されていてもよいヒドロキシ基」で置換されていてもよいカルバモイル基で、N,N−ジ置換カルバモイルにおける2個の置換基が窒素原子と一緒になって3〜8員環状アミノを形成してもよく、この様な場合の3〜8員環状アミノカルボニルが1−アゼチジニルカルボニル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル(硫黄原子は酸化されていてもよい)、1−ピペラジニルカルボニル、1−ホモピペラジニルカルボニル、または4位にC1−6アルキル、C7−10アラルキル、C6−10アリール、C1−10アシル基を有していてもよい1−ピペラジニルカルボニルであり、
置換基B群のエステル化されていてもよいカルボキシル基が、式 −COOR(Rは水素原子、前記「置換されていてもよい炭化水素基」または前記「置換されていてもよい複素環基」を示す)で表される基で、
置換基C群が(i)ヒドロキシ基、(ii)オキソ基、(iii)シアノ基、(iv)カルバモイル基、(v)モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基(該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよい)、モノ−またはジ−C2−4アルケニル−カルバモイル基(該アルケニル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよい)、モノ−またはジ−フェニル−カルバモイル基(該フェニル基はハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよい)、モノ−またはジ−ベンジル−カルバモイル基(該ベンジル基はハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよい)、C1−6アルコキシ−カルボニル−カルバモイル基、C1−6アルキルスルホニル−カルバモイル基、C1−6アルコキシ−カルバモイル基、アミノ−カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ−カルバモイル基、モノ−またはジ−フェニルアミノ−カルバモイル基、(vi)カルボキシル基、(vii)C1−6アルコキシ−カルボニル基、(viii)ハロゲン原子、(ix)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、カルボキシル基で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基、(x)フェノキシ−C1−6アルキル基、フェノキシ−C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルカルボニル−オキシ基、カルバモイルオキシ基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイルオキシ基、(xi)ハロゲン化されていてもよいフェニル基、ハロゲン化されていてもよいフェニル−C1−6アルキル基、ハロゲン化されていてもよいフェニル−C2−4アルケニル基、ハロゲン化されていてもよいフェノキシ基、ピリジルオキシ基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル−C1−6アルコキシ基、C3−10シクロアルキル−C1−6アルキル基、(xii)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC2−6アルケニル基、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルチオ基、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−6アルキル基、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−6アルキルチオ基、(xiii)メルカプト基、(xiv)チオキソ基、(xv)ハロゲン原子、カルボキシル基およびC1−6アルコキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいベンジルオキシ基またはベンジルチオ基、(xvi)ハロゲン化されていてもよいフェニルチオ基、ピリジルチオ基、フェニルチオ−C1−6アルキル基、ピリジルチオ−C1−6アルキル基、(xvii)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、フェニルスルフィニル−C1−6アルキル基、(xviii)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、フェニルスルホニル−C1−6アルキル基、(xix)アミノ基、アミノスルホニル基、モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノスルホニル基(該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよい)、(xx)C1−10アシル−アミノ基(例、C1−6アルカノイルアミノ、ベンゾイルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノまたはC6−10アリールスルホニルアミノ;C1−10アシルはハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基またはカルボキシル基で置換されていてもよい)、ベンジルオキシカルボニルアミノ、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニルアミノ、カルバモイルアミノ基、モノ−またはジ−C1−6アルキルカルバモイルアミノ基、(xxi)モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ基(該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよい)、モノ−またはジ−C1−6アルカノイルアミノ基(該アルカノイル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基またはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよい)、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、C1−6アルキル(ベンジル)アミノ、C1−6アルカノイル(ベンジル)アミノ、(xxii)4ないし8員環状アミノ基、4ないし8員環状アミノ−カルボニル基、4ないし8員環状アミノ−カルボニル−オキシ基、4ないし8員環状アミノ−カルボニル−アミノ基、4ないし8員環状アミノ−スルホニル基、4ないし8員環状アミノ−C1−6アルキル基、(xxiii)ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、カルボキシル基およびC1−6アルコキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいC1−6アシル基(例、C2−6アルカノイルなど)またはベンゾイル基、 (xxiv)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子1ないし3種を少なくとも1個含む4ないし10員複素環基(該複素環基はC1−6アルキル基などで置換されていてもよい)、(xxv)酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子1ないし3種を少なくとも1個含む4ないし10員複素環−カルボニル基(該複素環基はC1−6アルキル基で置換されていてもよい)、(xxvi)ヒドロキシイミノ基、C1−6アルコキシイミノ基、C6−14アリール基および(xxvii)ハロゲン化されていてもよい直鎖状または分枝状のC1−6アルキレンジオキシ基からなる上記〔30〕記載の剤などを提供する。
TGR5に対する合成リガンドとTGR5を用いることにより、TGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストを効率良くスクリーニングすることができる。
また、本発明のTGR5受容体作動剤は、優れたTGR5受容体作動作用を有するため、各種疾患の治療に有用である。
本発明で用いられるG蛋白質共役型レセプター蛋白質(以下、TGR5と略記する場合がある)は、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質である。
TGR5は、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サル、イヌなど)のあらゆる細胞(例えば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など)や血球系の細胞、またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁頭核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、視床下核、大脳皮質、延髄、小脳、後頭葉、前頭葉、側頭葉、被殻、尾状核、脳染、黒質)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、末梢血球、前立腺、睾丸、精巣、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋などに由来する蛋白質であってもよく、また合成蛋白質であってもよい。
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、なかでも好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
本発明の配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、例えば、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるレセプター蛋白質と実質的に同質の活性を有する蛋白質などが好ましい。
アミノ酸配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;マトリクス=BLOSUM62;フィルタリング=OFF)にて計算することができる。
実質的に同質の活性としては、例えば、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などが挙げられる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的に同質であることを示す。したがって、リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性が同等(例、約0.01〜100倍、好ましくは約0.5〜20倍、より好ましくは約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度や蛋白質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性の測定は、公知の方法に準じて行なうことができるが、例えば、後に記載するリガンドの決定方法やスクリーニング方法に従って測定することができる。
また、TGR5としては、1)配列番号:1、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:14、配列番号:16または配列番号:36で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、2)配列番号:1、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:14、配列番号:16または配列番号:36で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、3)配列番号:1、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:14、配列番号:16または配列番号:36で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または4)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質なども用いられる。
本明細書におけるレセプター蛋白質は、ペプチド表記の慣例に従って、左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質をはじめとする、TGR5は、C末端がカルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO-)、アミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)の何れであってもよい。
ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6−12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1−2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1−2アルキル基などのC7−14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などが用いられる。
TGR5がC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものもTGR5に含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、TGR5には、上記した蛋白質において、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖蛋白質などの複合蛋白質なども含まれる。
TGR5の具体例としては、例えば、配列番号:1(ヒト型)、配列番号:5(マウス型)、配列番号:7(ラット型)、配列番号:14(ウシ型)、配列番号:16(ウサギ型)または配列番号:36(モルモット型)で表わされるアミノ酸配列からなるレセプター蛋白質などが用いられる。配列番号:36(モルモット型)で表わされるアミノ酸配列からなるレセプター蛋白質は新規な蛋白質である。
TGR5の部分ペプチド(以下、部分ペプチドと略記する場合がある)としては、上記したTGR5の部分ペプチドであれば何れのものであってもよいが、例えば、TGR5分子のうち、細胞膜の外に露出している部位であって、実質的に同質のレセプター結合活性を有するものなどが用いられる。
具体的には、配列番号:1、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:14、配列番号:16または配列番号:36で表わされるアミノ酸配列からなるレセプター蛋白質の部分ペプチドとしては、疎水性プロット解析において細胞外領域(親水性(Hydrophilic)部位)であると分析された部分を含むペプチドである。また、疎水性(Hydrophobic)部位を一部に含むペプチドも同様に用いることができる。個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得るが、複数のドメインを同時に含む部分のペプチドでも良い。
本発明の部分ペプチドのアミノ酸の数は、上記したTGR5の構成アミノ酸配列のうち少なくとも20個以上、好ましくは50個以上、より好ましくは100個以上のアミノ酸配列を有するペプチドなどが好ましい。
実質的に同一のアミノ酸配列とは、これらアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、なかでも好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を示す。
ここで、「実質的に同質のレセプター活性」とは、上記と同意義を示す。「実質的に同質のレセプター活性」の測定は上記と同様に行なうことができる。
また、本発明の部分ペプチドは、上記アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失し、または、そのアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加し、または、そのアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、より好ましくは数個、さらに好ましくは1〜5個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されていてもよい。
また、本発明の部分ペプチドはC末端が通常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート(−COO-)であるが、上記した本発明の蛋白質のごとく、C末端がアミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)であってもよい。本発明の部分ペプチドがC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明の部分ペプチドに含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、本発明の部分ペプチドには、上記したTGR5と同様に、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
TGR5またはその部分ペプチドの塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
TGR5、その部分ペプチドまたはその塩は、WO01/77325号、WO02/84286号に記載の方法に準じて製造し、精製単離することもできる。
TGR5をコードするポリヌクレオチドとしては、上記したTGR5をコードする塩基配列(DNAまたはRNA、好ましくはDNA)を含有するものであればいかなるものであってもよい。該ポリヌクレオチドとしては、TGR5をコードするDNA、mRNA等のRNAであり、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでもよい。一本鎖の場合は、センス鎖(すなわち、コード鎖)であっても、アンチセンス鎖(すなわち、非コード鎖)であってもよい。
TGR5をコードするポリヌクレオチドを用いて、例えば、公知の実験医学増刊「新PCRとその応用」15(7)、1997記載の方法またはそれに準じた方法により、TGR5のmRNAを定量することができる。
TGR5をコードするDNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、上記した細胞または組織由来のcDNA、上記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、上記した細胞または組織より全RNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT−PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
具体的には、TGR5をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:2、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:13、配列番号:15または配列番号:37で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:2、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:13、配列番号:15または配列番号:36で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、配列番号:1、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:14、配列番号:16または配列番号:36で表わされるアミノ酸配列からなるTGR5と実質的に同質の活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有するレセプター蛋白質をコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:2、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:13、配列番号:15または配列番号:36で表わされる塩基配列とハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:2、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:13、配列番号:15または配列番号:36で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
塩基配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;フィルタリング=ON;マッチスコア=1;ミスマッチスコア=−3)にて計算することができる。
ハイブリダイゼーションは、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al.,Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができる。
該ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。
より具体的には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるヒトTGR5をコードするDNAとしては、配列番号:2で表わされる塩基配列からなるDNAなどが用いられる。
また配列番号:5で表わされるアミノ酸配列からなるマウスTGR5をコードするDNAとしては、配列番号:6で表わされる塩基配列からなるDNAなどが用いられる。
配列番号:7で表わされるアミノ酸配列からなるラットTGR5をコードするDNAとしては、配列番号:8で表わされる塩基配列からなるDNAなどが用いられる。
配列番号:14で表わされるアミノ酸配列からなるウシTGR5をコードするDNAとしては、配列番号:13で表わされる塩基配列からなるDNAなどが用いられる。
配列番号:16で表わされるアミノ酸配列からなるウサギTGR5をコードするDNAとしては、配列番号:15で表わされる塩基配列からなるDNAなどが用いられる。
配列番号:36で表わされるアミノ酸配列からなるモルモットTGR5をコードするDNAとしては、配列番号:37で表わされる塩基配列からなるDNAなどが用いられる。
本発明の部分ペプチドをコードするDNAとしては、上記した本発明の部分ペプチドをコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、上記した細胞・組織由来のcDNA、上記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、上記した細胞・組織よりmRNA画分を調製したものを用いて直接RT−PCR法によって増幅することもできる。
具体的には、本発明の部分ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、(1)配列番号:2、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:13、配列番号:15または配列番号:37で表わされる塩基配列を有するDNAの部分塩基配列を有するDNA、または(2)配列番号:2、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:13、配列番号:15または配列番号:37で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、配列番号:1、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:14、配列番号:16または配列番号:36で表されるアミノ酸配列からなるTGR5ペプチドと実質的に同質の活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有するレセプター蛋白質をコードするDNAの部分塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
配列番号:2、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:13、配列番号:15または配列番号:37で表わされる塩基配列ハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:2、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:13、配列番号:15または配列番号:37で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
塩基配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;フィルタリング=ON;マッチスコア=1;ミスマッチスコア=−3)にて計算することができる。
ハイブリダイゼーションは、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al.,Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができる。
該ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。
上記したTGR5またはその部分ペプチドをコードするDNAは、、WO01/77325号、WO02/84286号に記載の方法を用いてクローニングすることができる。
DNAの塩基配列の置換は、PCRや公知のキット、例えば、MutanTM−super Express Km(宝酒造)、MutanTM−K(宝酒造)などを用いて、ODA−LA PCR法、Gapped duplex法、Kunkel法などの公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って行なうことができる。
クローン化されたレセプター蛋白質をコードするDNAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
TGR5の発現ベクターは、例えば、(イ)TGR5をコードするDNAを含有するDNA(例えば、cDNA)から目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322、pBR325、pUC12、pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110、pTP5、pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19、pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neoなどが用いられる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV-TKプロモーターなどが挙げられる。
これらのうち、CMVプロモーター、SRαプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
発現ベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(MTX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amprと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、Neorと略称する場合がある、G418耐性)等が挙げられる。特に、CHO(dhfr-)細胞を用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、目的遺伝子をチミジンを含まない培地によっても選択できる。
また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、TGR5のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場合には、インシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築されたTGR5をコードするDNAを含有するベクターを用いて、形質転換体を製造することができる。
宿主としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌の具体例としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160(1968)〕、JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309(1981)〕、JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology),120巻,517(1978)〕、HB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41巻,459(1969)〕、C600〔ジェネティックス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用いられる。
バチルス属菌としては、例えば、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22、AH22R-、NA87−11A、DKD−5D、20B−12、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)NCYC1913、NCYC2036、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などが用いられる。
昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、ヨトウガの幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞またはEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合は、カイコ由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In Vivo),13, 213-217,(1977))などが用いられる。
昆虫としては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(1985)〕。
動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−7、Vero、チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記)、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhfr-)細胞と略記)、マウスL細胞,マウスAtT−20、マウスミエローマ細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞、ヒトHEK293細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,107(1982)などに記載の方法に従って行なうことができる。
バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & General Genetics),168巻,111(1979)などに記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、メッソズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology),194巻,182−187(1991)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978)などに記載の方法に従って行なうことができる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988))などに記載の方法に従って行なうことができる。
動物細胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8新細胞工学実験プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,456(1973)に記載の方法に従って行なうことができる。
このようにして、G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体が得られる。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Experiments in Molecular Genetics),431−433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505(1980)」や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A. ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,5330(1984)」が挙げられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する際、培地としては、Grace's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイエンス(Science),122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Journal of the American Medical Association)199巻,519(1967)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of the Society for the Biological Medicine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
以上のようにして、形質転換体の細胞内、細胞膜または細胞外に本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を生成せしめることができる。
上記培養物からTGR5を分離精製するには、例えば、下記の方法により行なうことができる。
TGR5を培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過によりレセプター蛋白質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にレセプター蛋白質が分泌される場合には、培養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。
このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれるレセプター蛋白質の精製は、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
このようにして得られるレセプター蛋白質が遊離体で得られた場合には、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、組換え体が産生するレセプター蛋白質を、精製前または精製後に適当な蛋白質修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。蛋白質修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。
このようにして生成するTGR5またはその塩の活性は、標識したリガンドとの結合実験および特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
以下に、本発明のTGR5とコレステロール代謝関連物質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩(TGR5に対するアゴニストまたはTGR5に対するアンタゴニストなど)のスクリーニング方法について詳述する。
TGR5、その部分ペプチドまたはその塩(以下、TGR5と略記する場合がある)、特に組換え型TGR5を発現した細胞と、該TGR5とリガンドであるコレステロール代謝関連物質またはその塩との結合性を変化させる低分子合成化合物(以下、合成リガンドと略記する)をサロゲート(surrogate)リガンドとして用いた結合アッセイ系を用いることによって、試験化合物の中からTGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストを効率よくスクリーニングすることができる。
TGR5アゴニストは、TGR5に結合して細胞刺激活性を有する化合物である。細胞刺激活性としては、例えば、(1)細胞内cAMP産生、(2)細胞内蛋白質(例、MAPキナーゼなど)のリン酸化または活性化、(3)細胞外pHの低下、(4)Rho、Rac、Rasなどの低分子量G蛋白質の活性化、(5)転写因子CRE(cAMP responsive element)、AP1、NFAT、SRE(serum responsive element)などの下流につないだレポーター遺伝子(例、ルシフェラーゼなど)の活性化、(6)細胞内カルシウムイオン変動、(7)細胞内cGMP生成、(8)イノシトールリン酸産生、(9)Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌などを上昇する活性、または(10)サイトカイン産生抑制活性などが挙げられ、特に細胞内cAMP産生上昇活性、MAPキナーゼのリン酸化または活性化、GLP−1分泌促進活性、サイトカイン産生抑制活性が好ましく用いられる。
TGR5アンタゴニストは、TGR5に結合するが、該細胞刺激活性を有しない化合物である。
また、本発明のスクリーニング方法を用いることにより、コレステロール代謝関連物質またはその塩とTGR5との結合力を増強する化合物、またはコレステロール代謝関連物質またはその塩とTGR5との結合力を減少させる化合物などもスクリーニングすることができる。
すなわち、本発明は、(i)TGR5と合成リガンドとを接触させた場合と(ii)TGR5と合成リガンドおよび試験化合物とを接触させた場合との比較を行なうことを特徴とするTGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストのスクリーニング方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法においては、(i)と(ii)の場合における、例えば、TGR5に対する合成リガンドの結合量、細胞刺激活性などを測定して、比較することを特徴とする。
より具体的には、本発明は、
(1)標識した合成リガンドをTGR5に接触させた場合と、標識した合成リガンドおよび試験化合物をTGR5に接触させた場合における、標識した合成リガンドのTGR5に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするTGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストのスクリーニング方法、
(2)標識した合成リガンドをTGR5を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、標識した合成リガンドおよび試験化合物をTGR5を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、標識した合成リガンドの該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするTGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストのスクリーニング方法、
(3)標識した合成リガンドをTGR5DNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したTGR5に接触させた場合と、標識した合成リガンドおよび試験化合物をTGR5DNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したTGR5に接触させた場合における、標識した合成リガンドの該TGR5に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするTGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストのスクリーニング方法、
(4)試験化合物をTGR5を含有する細胞または組織(例、CHO細胞、NCI−H716、マクロファージ、単球、腸管)に接触させた場合における、TGR5を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするTGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストのスクリーニング方法、および
(5)試験化合物をTGR5DNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したTGR5に接触させた場合における、TGR5を介する細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするTGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストのスクリーニング方法、
(6)合成アゴニストをTGR5を含有する細胞または組織(例、CHO細胞、NCI−H716、マクロファージ、単球、腸管)に接触させた場合と、合成アゴニストおよび試験化合物をTGR5を含有する細胞に接触させた場合における、TGR5を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするTGR5アンタゴニストのスクリーニング方法、および
(7)合成アゴニストをTGR5DNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したTGR5に接触させた場合と、合成アゴニストおよび試験化合物をTGR5DNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したTGR5に接触させた場合における、TGR5を介する細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするTGR5アンタゴニストのスクリーニング方法を提供する。
TGR5またはTGR5を発現する細胞は上記の方法を用いて製造することができる。
細胞刺激活性としては、例えば、(1)細胞内cAMP産生、(2)細胞内蛋白質(例、MAPキナーゼなど)のリン酸化または活性化、(3)細胞外pHの低下、(4)Rho、Rac、Rasなどの低分子量G蛋白質の活性化、(5)転写因子CRE(cAMP responsive element)、AP1、NFAT、SRE(serum responsive element)などの下流につないだレポーター遺伝子(例、ルシフェラーゼなど)の活性化、(6)細胞内カルシウムイオン変動、(7)細胞内cGMP生成、(8)イノシトールリン酸産生、(9)Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌などを上昇する活性、または(10)サイトカイン産生抑制活性などが挙げられ、なかでも細胞内cAMP産生上昇活性、MAPキナーゼのリン酸化または活性化、GLP−1分泌促進活性、サイトカイン産生抑制活性が好ましい。
該TGR5とリガンドであるコレステロール代謝関連物質またはその塩との結合性を変化させる低分子合成化合物またはその塩(合成リガンド)としては、低分子合成アゴニスト(以下、合成アゴニストと略記する)が好ましく用いられる。
合成リガンドは、上記したスクリーニング方法において、合成リガンド(合成アゴニスト)に代えて、後述する天然リガンドであるコレステロール代謝関連物質またはその塩などを用いることによって、入手することができる。具体的には、後述する本発明化合物などが用いられる。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などが用いられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
試験化合物は塩を形成していてもよく、試験化合物の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
また、試験化合物としては、TGR5の活性部位の原子座標およびリガンド結合ポケットの位置に基づいて、リガンド結合ポケットに結合するように設計された化合物が好ましく用いられる。TGR5の活性部位の原子座標およびリガンド結合ポケットの位置の測定は、公知の方法あるいはそれに準じる方法を用いて行うことができる。
本発明のスクリーニング方法において、TGR5を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法は公知の方法に従って行なうことができる。
TGR5を含有する細胞としては、TGR5を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが好ましい。
細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)のよる破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500〜3000rpm)で短時間(通常、約1〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したTGR5と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
TGR5を含有する細胞や膜画分中のレセプター蛋白質の量は、1細胞当たり103〜108分子であるのが好ましく、105〜107分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
上記のスクリーニング方法(1)〜(3)を実施するためには、例えば、適当なTGR5画分と標識した合成リガンドが必要である。
TGR5画分としては、天然型のTGR5画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型TGR5画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などを示す。
標識した合成リガンドとしては、例えば、〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識された合成リガンドなどが用いられる。
具体的には、TGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストのスクリーニングを行なうには、まずTGR5を含有する細胞または細胞の膜画分を、スクリーニングに適したバッファーに懸濁することによりTGR5標品を調製する。バッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガンドとレセプター蛋白質との結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるレセプター蛋白質やリガンドの分解を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。0.01〜10mlの該レセプター蛋白質溶液に、一定量(5000〜500000cpm)の標識した合成リガンドを添加し、同時に10-4M〜10-10Mの試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識の合成リガンドを加えた反応チューブも用意する。反応は約0〜50℃、望ましくは約4〜37℃で、約20分〜24時間、望ましくは約30分〜3時間行う。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで計測する。拮抗する物質がない場合のカウント(B0)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B0−NSB)を100%とした時、特異的結合量(B−NSB)が、例えば、50%以下になる試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質(アゴニストまたはアンタゴニスト)として選択することができる。
TGR5アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法(4)〜(7)を実施するためには、例えば、TGR5を介する細胞刺激活性を公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。
具体的には、まず、TGR5を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。スクリーニングを行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、cAMPなど)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
例えば、上記のスクリーニング方法(1)〜(3)で選択された試験化合物の中で、上記スクリーニング方法(4)〜(5)において、上記した細胞刺激活性(特に細胞内cAMP産生活性、MAPキナーゼのリン酸化または活性化、GLP−1分泌活性)を約10%、好ましくは約20%以上、より好ましくは約50%以上上昇させる試験化合物をTGR5アゴニストとして選択することができる。
一方、上記のスクリーニング方法(1)〜(3)で選択された試験化合物の中で、上記スクリーニング方法(4)〜(5)において上記した細胞刺激活性(特に細胞内cAMP産生活性、MAPキナーゼのリン酸化または活性化、GLP−1分泌活性)を上昇させない試験化合物をTGR5アンタゴニストとして選択することができる。
また、上記のスクリーニング方法(1)〜(3)で選択された試験化合物の中で、上記スクリーニング方法(4)〜(5)において上記した細胞刺激活性(特に細胞内cAMP産生活性、MAPキナーゼのリン酸化または活性化、GLP−1分泌活性)を示さない試験化合物または上記スクリーニング方法(6)〜(7)において、上記した細胞刺激活性(特に細胞内cAMP産生活性、MAPキナーゼのリン酸化または活性化、GLP−1分泌活性)を約10%、好ましくは約20%以上、より好ましくは約50%以上減少させる試験化合物をTGR5アンタゴニストとして選択することができる。
本発明のTGR5アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング用キットは、TGR5、TGR5を含有する細胞またはTGR5を含有する細胞膜画分を含有するものなどである。
本発明のスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
1.スクリーニング用試薬
(1)測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
(2)TGR5標品
TGR5を発現させたCHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養したもの。
(3)標識合成リガンド
市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識した合成リガンド
水溶液の状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。
(4)合成リガンド標準液
合成リガンドを0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20℃で保存する。
2.測定法
(1)12穴組織培養用プレートにて培養したTGR5発現CHO細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
(2)10-3〜10-10Mの試験化合物溶液を5μl加えた後、標識合成リガンドを5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知るためには試験化合物の代わりに10-3Mの合成リガンドを5μl加えておく。
(3)反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄する。細胞に結合した標識リガンドを0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
(4)液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding(PMB)を次の式で求める。
PMB=[(B−NSB)/(B0−NSB)]×100
PMB:Percent Maximum Binding
B :検体を加えた時の値
NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量)
0 :最大結合量
本発明のスクリーニング方法の特徴は、天然リガンドとTGR5を用いてスクリーニングされた合成リガンドを用いて、TGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストをスクリーニングすることにある。合成リガンドを用いることによって、リガンドへの標識が容易であり、効率良くスクリーニングを行うことができるという点で、天然物である内因性リガンドを用いたスクリーニングと比較して有利である。
なお、TGR5として、配列番号:36で表わされるアミノ酸配列からなるTGR5(モルモットTGR5)を使用する場合は、合成リガンドに代えて、天然リガンドであるコレステロール代謝関連物質またはその塩を用いて、TGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストをスクリーニングしてもよい。
また、GLP−1分泌促進薬(TGR5アゴニスト)またはGLP−1分泌抑制薬(TGR5アンタゴニスト)をスクリーニングする場合も、合成リガンドに代えて、天然リガンドであるコレステロール代謝関連物質またはその塩を用いてもよい。
コレステロール代謝関連物質としては、例えば、胆汁酸(例、タウロリトコール酸、グリコリトコール酸、タウロデオキシコール酸、グリコデオキシコール酸、ノルデオキシコール酸、7−ケトリトコール酸、5β−プレグナン−3,20−オン、コール酸、リトコール酸、デオキシコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、タウロケノデキシコール酸、グリコケノデオキシコール酸)、エピアンドロステロン、(+)−4−アンドロステン−3,17−ジオン、シス−アンドロステロン、11β−ヒドロキシプロゲステロン、17α−ヒドロキシプロゲステロン、11−デオキシコルチコステロン、11−デオキシコルチゾール、デヒドロイソアンドロステロン、3α−ヒドロキシ−5α−プレグナン−20−オン、4−プレグネン−20α−オール−3−オン、5α−デヒドロテストステロン、テストステロン、プロゲステロンなどが用いられる。胆汁酸はグリシン包合体やタウリン包合体などの包合体の形態であってもよく、また胆汁酸はエステル(−COOR)またはアミド誘導体(−CONR(R))であってもよい。
コレステロール代謝関連物質の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。とりわけ、無機塩基との塩、有機塩基との塩、塩基性アミノ酸との塩が用いられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、TGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストである。
TGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストは塩を形成していてもよく、そのような塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
TGR5アゴニストは、TGR5に対するコレステロール代謝関連物質またはその塩が有する生理活性と同様の作用を有しているので、該コレステロール代謝関連物質活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用である。
TGR5アンタゴニストは、TGR5に対するコレステロール代謝関連物質またはその塩が有する生理活性を抑制することができるので、該コレステロール代謝関連物質活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用である。
コレステロール代謝関連物質またはその塩とTGR5との結合力を増強する化合物またはその塩は、TGR5に対するコレステロール代謝関連物質またはその塩が有する生理活性を増強するための安全で低毒性な医薬として有用である。
コレステロール代謝関連物質またはその塩とTGR5との結合力を減少させる化合物またはその塩は、TGR5に対するコレステロール代謝関連物質またはその塩が有する生理活性を減少させるための安全で低毒性な医薬として有用である。
TGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストは、例えば、中枢疾患(例えば、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、炎症性疾患(例えば、アレルギー、リュウマチ、変形性関節症、エリテマトーデスなど)、循環器疾患(例えば、高血圧症、心肥大、狭心症、動脈硬化症等)、癌(例えば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌等)、呼吸器疾患(例えば、肺炎、気管支炎、喘息、肺繊維症など)、糖尿病、免疫系疾患(例えば、クローン病、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患、免疫不全、白血病等)、肝臓・胆のう疾患(例えば、肝硬変、肝炎、肝不全、胆汁うっ滞症、結石等)、消化管疾患(例えば、潰瘍、腸炎、吸収不良、炎症性腸疾患等)、感染症、肥満、移植医療後の過剰免疫反応、インスリン分泌不全、膵疲弊、低血糖などの疾患の予防・治療剤として有用である。
これらの疾患のうち、免疫機能、マクロファージ機能などが亢進することに起因する疾患(例えば、炎症性疾患、移植医療後の過剰免疫反応など)の予防・治療には、特にTGR5アゴニストが有効である。さらに、TGR5アゴニストは、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤、食欲抑制剤、膵臓の再生剤、膵β細胞分化促進剤、膵β細胞増殖促進剤などとしても有効であり、例えば、糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊、肥満の予防・治療剤として使用することができる。
一方、免疫機能、マクロファージ機能などが抑制されることに起因する疾患(例えば、免疫不全、感染症など)の予防・治療には、特にTGR5アンタゴニストが有効である。さらに、TGR5アンタゴニストは、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制剤、膵β細胞分化抑制剤、膵β細胞増殖抑制剤として有効であり、例えば、低血糖の予防・治療剤として使用することができる。
また、TGR5アゴニスト、TGR5アンタゴニスト、コレステロール代謝関連物質またはその塩とTGR5との結合力を増強する化合物またはその塩、またはコレステロール代謝関連物質またはその塩とTGR5との結合力を減少させる化合物またはその塩は、例えば、ソマトスタチン、コレシストキニン、Glucagon−like peptide−2(GLP−2)、Gastoric inhibitory polypeptide(=Glucose dependent insulinotropic peptide)、Gastrin、Gastrin releasing peptide、グレリン、グリセンチンなどの分泌調節剤として使用することができる。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られるTGR5アゴニストまたはTGR5アンタゴニストを上記の医薬(組成物)として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。
例えば、該化合物またはその塩を、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物またはその塩を、生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、該化合物またはその塩は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
TGR5アゴニストの投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、炎症性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、炎症性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
一方、TGR5アンタゴニストの投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、免疫不全患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、免疫不全患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
モルモットTGR5もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体は、モルモットTGR5もしくはその部分ペプチドまたはその塩を認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。
モルモットTGR5もしくはその部分ペプチドまたはその塩(以下、モルモットTGR5と略記する場合がある)に対する抗体は、モルモットTGR5を抗原として用い、公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
(a)モノクローナル抗体産生細胞の作製
モルモットTGR5は、哺乳動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用いられる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギが挙げられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化レセプター蛋白質等と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256巻、495頁(1975年)〕に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウイルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0などが挙げられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくは、PEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、約20〜40℃、好ましくは約30〜37℃で約1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、レセプター蛋白質等の抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したレセプター蛋白質等を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノクローナル抗体の選別は、公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができるが、通常はHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地などで行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))またはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
(b)モノクローナル抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、公知あるいはそれに準じる方法にしたがって製造することができる。例えば、免疫抗原(レセプター蛋白質等の抗原)とキャリアー蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に哺乳動物に免疫を行ない、該免疫動物からモルモットTGR5に対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造できる。
哺乳動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミン、ウシサイログロブリン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことができる。
ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された哺乳動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
本発明に従えば、モルモットTGR5遺伝子の複製または発現を阻害することのできるアンチセンス・ポリヌクレオチド(核酸)を、クローン化した、あるいは決定されたモルモットTGR5をコードするDNAの塩基配列情報に基づき設計し、合成しうる。そうしたポリヌクレオチド(核酸)は、モルモットTGR5遺伝子のRNAとハイブリダイズすることができ、該RNAの合成または機能を阻害することができるか、あるいはモルモットTGR5関連RNAとの相互作用を介してモルモットTGR5遺伝子の発現を調節・制御することができる。モルモットTGR5関連RNAの選択された配列に相補的なポリヌクレオチド、およびモルモットTGR5関連RNAと特異的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドは、生体内および生体外でモルモットTGR5遺伝子の発現を調節・制御するのに有用であり、また病気などの治療または診断に有用である。用語「対応する」とは、遺伝子を含めたヌクレオチド、塩基配列または核酸の特定の配列に相同性を有するあるいは相補的であることを意味する。ヌクレオチド、塩基配列または核酸とペプチド(蛋白質)との間で「対応する」とは、ヌクレオチド(核酸)の配列またはその相補体から誘導される指令にあるペプチド(蛋白質)のアミノ酸を通常指している。モルモットTGR5遺伝子の5’端ヘアピンループ、5’端6−ベースペア・リピート、5’端非翻訳領域、ポリペプチド翻訳開始コドン、蛋白質コード領域、ORF翻訳開始コドン、3’端非翻訳領域、3’端パリンドローム領域、および3’端ヘアピンループは好ましい対象領域として選択しうるが、モルモットTGR5遺伝子内の如何なる領域も対象として選択しうる。
目的核酸と、対象領域の少なくとも一部に相補的でハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドとの関係は、対象物と「アンチセンス」であるということができる。アンチセンス・ポリヌクレオチドは、2−デオキシ−D−リボースを含有しているポリデオキシリボヌクレオチド、D−リボースを含有しているポリリボヌクレオチド、プリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドであるその他のタイプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド骨格を有するその他のポリマー(例えば、市販の蛋白質核酸および合成配列特異的な核酸ポリマー)または特殊な結合を含有するその他のポリマー(但し、該ポリマーはDNAやRNA中に見出されるような塩基のペアリングや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有する)などが挙げられる。それらは、2本鎖DNA、1本鎖DNA、2本鎖RNA、1本鎖RNA、さらにDNA:RNAハイブリッドであることができ、さらに非修飾ポリヌクレオチド(または非修飾オリゴヌクレオチド)、さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば当該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたもの、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合または硫黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を持つもの、例えば蛋白質(ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)や糖(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有しているもの、インターカレント化合物(例えば、アクリジン、プソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型の核酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオシド」、「ヌクレオチド」および「核酸」とは、プリンおよびピリミジン塩基を含有するのみでなく、修飾されたその他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。こうした修飾物は、メチル化されたプリンおよびピリミジン、アシル化されたプリンおよびピリミジン、あるいはその他の複素環を含むものであってよい。修飾されたヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾されていてよく、例えば、1個以上の水酸基がハロゲンとか、脂肪族基などで置換されていたり、あるいはエーテル、アミンなどの官能基に変換されていてよい。
本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチド(核酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例としては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そしてポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定されるものではない。本発明のアンチセンス核酸は次のような方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内でのアンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチセンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしてもし毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなものにする。
こうした修飾は当該分野で数多く知られており、例えばJ. Kawakami et al., Pharm Tech Japan, Vol. 8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T. Crooke et al. ed., Antisense Research and Applications, CRC Press, 1993 などに開示がある。
本発明のアンチセンス核酸は、変化せしめられたり、修飾された糖、塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロスフェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療により適用されたり、付加された形態で与えられることができうる。こうして付加形態で用いられるものとしては、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高めたり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例えば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった疎水性のものが挙げられる。付加するに好ましい脂質としては、コレステロールやその誘導体(例えば、コレステリルクロロホルメート、コール酸など)が挙げられる。こうしたものは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介して付着させることができうる。その他の基としては、核酸の3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャップ用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどのヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコールをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられるが、それに限定されるものではない。
アンチセンス核酸の阻害活性は、本発明の形質転換体、本発明の生体内や生体外の遺伝子発現系、あるいはG蛋白質共役型レセプター蛋白質の生体内や生体外の翻訳系を用いて調べることができる。該核酸それ自体公知の各種の方法で細胞に適用できる。
本発明のポリヌクレオチドに対するsiRNAは、モルモットTGR5をコードするRNAの一部とそれに相補的なRNAを含有する二重鎖RNAである。
siRNAは、公知の方法(例、Nature, 411巻, 494頁, 2001年)に準じて、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。
モルモットTGR5をコードするRNAの一部を含有するリボザイムは、公知の方法(例、TRENDS in Molecular Medicine, 7巻, 221頁, 2001年)に準じて、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。例えば、公知のリボザイムの配列の一部をモルモットTGR5をコードするRNAの一部に置換することによって製造することができる。モルモットTGR5をコードするRNAの一部としては、公知のリボザイムによって切断され得るコンセンサス配列NUX(式中、Nはすべての塩基を、XはG以外の塩基を示す)の近傍の配列などが挙げられる。
モルモットTGR5、その部分ペプチドまたはその塩、およびモルモットTGR5またはその部分ペプチドをコードするDNAは新規物質である。モルモットTGR5もしくは部分ペプチドまたはその塩(以下、モルモットTGR5と略記する場合がある)、モルモットTGR5をコードするDNA(以下、本発明のDNAと略記する場合がある)、モルモットTGR5に対する抗体(以下、本発明の抗体と略記する場合がある)、モルモットTGR5をコードするDNAに対するアンチセンスDNAの用途について、以下に具体的に説明する。
(1)モルモットTGR5の機能不全に関連する疾患の予防・治療剤
モルモットTGR5に対するリガンドが有する作用に応じて、1)モルモットTGR5または2)モルモットTGR5をコードするDNAを、モルモットTGR5の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤などの医薬として使用することができる。
例えば、生体内においてモルモットTGR5が減少しているためにリガンドの生理作用が期待できない(モルモットTGR5の欠乏症)患者がいる場合に、1)モルモットTGR5を該患者に投与しモルモットTGR5の量を補充したり、2)(イ)モルモットTGR5をコードするDNAを該患者に投与し発現させることによって、あるいは(ロ)対象となる細胞にモルモットTGR5をコードするDNAを挿入し発現させた後に、該細胞を該患者に移植することなどによって、患者の体内におけるレセプター蛋白質の量を増加させ、リガンドの作用を充分に発揮させることができる。すなわち、モルモットTGR5をコードするDNAは、安全で低毒性なモルモットTGR5の機能不全に関連する疾患の予防・治療剤として有用である。
モルモットTGR5は、例えば、中枢疾患(例えば、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、炎症性疾患(例えば、アレルギー、リュウマチ、変形性関節症、エリテマトーデスなど)、循環器疾患(例えば、高血圧症、心肥大、狭心症、動脈硬化症等)、癌(例えば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌等)、呼吸器疾患(例えば、肺炎、気管支炎、喘息、肺繊維症など)、糖尿病、免疫系疾患(例えば、クローン病、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患、免疫不全、白血病等)、肝臓・胆のう疾患(例えば、肝硬変、肝炎、肝不全、胆汁うっ滞症、結石等)、消化管疾患(例えば、潰瘍、腸炎、吸収不良、炎症性腸疾患等)、感染症、肥満、移植医療後の過剰免疫反応、インスリン分泌不全、膵疲弊、低血糖などの疾患、特に免疫機能、マクロファージ機能などが亢進することに起因する疾患(例えば、炎症性疾患、移植医療後の過剰免疫反応など)の予防・治療剤として有用である。
さらに、モルモットTGR5は、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤、食欲抑制剤、膵臓の再生剤、膵β細胞分化促進剤、膵β細胞増殖促進剤などとしても有効であり、例えば、糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊、肥満の予防・治療剤として使用することができる。
また、モルモットTGR5は、例えば、ソマトスタチン、コレシストキニン、Glucagon−like peptide−2(GLP−2)、Gastoric inhibitory polypeptide(=Glucose dependent insulinotropic peptide)、Gastrin、Gastrin releasing peptide、グレリン、グリセンチンなどの分泌調節剤として使用することができる。
モルモットTGR5を上記予防および/または治療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤化することができる。
一方、モルモットTGR5をコードするDNA(以下、本発明のDNAと略記する場合がある)を上記予防および/または治療剤として使用する場合は、本発明のDNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施することができる。本発明のDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のための補助剤とともに、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
例えば、1)モルモットTGR5または2)モルモットTGR5をコードするDNAは、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、1)モルモットTGR5または2)モルモットTGR5をコードするDNAを生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、上記予防および/または治療剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
モルモットTGR5の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、炎症性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、炎症性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
本発明のDNAの投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、炎症性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、炎症性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(2)遺伝子診断剤
本発明のDNAは、プローブとして使用することにより、ヒトまたはその他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)におけるモルモットTGR5またはその部分ペプチドをコードするDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出することができるので、例えば、該DNAまたはmRNAの損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAまたはmRNAの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤として有用である。より具体的には、中枢疾患(例えば、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、炎症性疾患(例えば、アレルギー、喘息、リュウマチなど)、循環器疾患(例えば、高血圧症、心肥大、狭心症、動脈硬化症等)、癌(例えば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌等)、糖尿病、免疫系疾患(例えば、自己免疫疾患、免疫不全、白血病等)、肝臓・胆のう疾患(例えば、肝硬変、肝炎、肝不全、胆汁うっ滞症、結石等)、消化管疾患(例えば、潰瘍、腸炎、吸収不良、炎症性腸疾患等)、肥満、移植医療後の過剰免疫反応、インスリン分泌不全、膵疲弊、低血糖などの疾患の遺伝子診断診断剤として有用である。
さらに具体的には、本発明のDNAをプローブとして用いて、該DNAまたはmRNAの損傷、突然変異あるいは発現低下が検出された場合、例えば、免疫不全、感染症、糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊、肥満などに罹患している可能性が高い、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
一方、本発明のDNAをプローブとして用いて、該DNAまたはmRNAの増加あるいは発現過多が検出された場合、例えば、モルモットTGR5の機能不全に関連する疾患、例えば、炎症性疾患、移植医療後の過剰免疫反応、低血糖などに罹患している可能性が高い、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
本発明のDNAを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、公知のノーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法(ゲノミックス(Genomics),第5巻,874〜879頁(1989年)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceedings of theNational Academy of Sciences of the United States of America),第86巻,2766〜2770頁(1989年))などにより実施することができる。
(3)モルモットTGR5またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物またはその塩を含有する医薬
本発明のDNAは、プローブとして用いることにより、モルモットTGR5の発現量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニングに用いることができる。
すなわち、本発明は、例えば、(i)非ヒト哺乳動物のa)血液、b)特定の臓器、c)臓器から単離した組織もしくは細胞、または(ii)形質転換体等に含まれるモルモットTGR5のmRNA量を測定することによる、モルモットTGR5の発現量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
モルモットTGR5のmRNA量の測定は具体的には以下のようにして行なう。
(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例えば、脳、肝臓、腎臓など)、または臓器から単離した組織、あるいは細胞を得る。
得られた細胞に含まれるモルモットTGR5のmRNAは、例えば、通常の方法により細胞等からmRNAを抽出し、例えば、TaqMan PCRなどの手法を用いることにより定量することができ、自体公知の手段によりノーザンブロットを行うことにより解析することもできる。
(ii)モルモットTGR5を発現する形質転換体を上記の方法に従い作製し、該形質転換体に含まれるモルモットTGR5のmRNAを同様にして定量、解析することができる。
モルモットTGR5の発現量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニングは、
(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に対して、薬剤あるいは物理的ストレスなどを与える一定時間前(30分前〜24時間前、好ましくは30分前〜12時間前、より好ましくは1時間前〜6時間前)もしくは一定時間後(30分後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜24時間後)、または薬剤あるいは物理的ストレスと同時に試験化合物を投与し、投与後一定時間経過後(30分後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜24時間後)、細胞に含まれるモルモットTGR5のmRNA量を定量、解析することにより行なうことができ、
(ii)形質転換体を常法に従い培養する際に試験化合物を培地中に混合させ、一定時間培養後(1日後〜7日後、好ましくは1日後〜3日後、より好ましくは2日後〜3日後)、該形質転換体に含まれるモルモットTGR5のmRNA量を定量、解析することにより行なうことができる。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが用いられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
試験化合物は塩を形成していてもよく、試験化合物の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、モルモットTGR5の発現量を変化させる作用を有する化合物またはその塩であり、具体的には、(イ)モルモットTGR5の発現量を増加させることにより、モルモットTGR5を介する細胞刺激活性を増強させる化合物またはその塩、(ロ)モルモットTGR5の発現量を減少させることにより、該細胞刺激活性を減弱させる化合物またはその塩である。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物としては、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
モルモットTGR5は上記のとおり、例えば、中枢機能など生体内で何らかの重要な役割を果たしていると考えられる。したがって、モルモットTGR5またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物またはその塩は、モルモットTGR5の機能不全などに関連する疾患、例えば、中枢疾患(例えば、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、炎症性疾患(例えば、アレルギー、リュウマチ、変形性関節症、エリテマトーデスなど)、循環器疾患(例えば、高血圧症、心肥大、狭心症、動脈硬化症等)、癌(例えば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌等)、呼吸器疾患(例えば、肺炎、気管支炎、喘息、肺繊維症など)、糖尿病、免疫系疾患(例えば、クローン病、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患、免疫不全、白血病等)、肝臓・胆のう疾患(例えば、肝硬変、肝炎、肝不全、胆汁うっ滞症、結石等)、消化管疾患(例えば、潰瘍、腸炎、吸収不良、炎症性腸疾患等)、感染症、肥満、移植医療後の過剰免疫反応、インスリン分泌不全、膵疲弊、低血糖などの疾患の予防・治療剤として有用である。
これらの疾患のうち、免疫機能、マクロファージ機能などが亢進することに起因する疾患(例えば、炎症性疾患、移植医療後の過剰免疫反応など)には、特にモルモットTGR5の発現を促進する化合物またはその塩が有効である。さらに、モルモットTGR5の発現を促進する化合物またはその塩は、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤、食欲抑制剤、膵臓の再生剤、膵β細胞分化促進剤、膵β細胞増殖促進剤などとしても有効であり、例えば、糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊、肥満の予防・治療剤として使用することができる。
一方、免疫機能、マクロファージ機能などが抑制されることに起因する疾患(例えば、免疫不全、感染症など)には、特にモルモットTGR5の発現を阻害する化合物またはその塩が有効である。さらに、モルモットTGR5の発現を阻害する化合物またはその塩は、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制剤、膵β細胞分化抑制剤、膵β細胞増殖抑制剤として有効であり、例えば、低血糖の予防・治療剤として使用することができる。
また、モルモットTGR5の発現を促進または阻害する化合物またはその塩は、例えば、ソマトスタチン、コレシストキニン、Glucagon−like peptide−2(GLP−2)、Gastoric inhibitory polypeptide(=Glucose dependent insulinotropic peptide)、Gastrin、Gastrin releasing peptide、グレリン、グリセンチンなどの分泌調節剤として使用することができる。
該化合物またはその塩をモルモットTGR5の機能不全などに関連する疾患の予防・治療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤化することができる。
例えば、該化合物またはその塩は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物またはその塩を生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、炎症性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につきモルモットTGR5の発現を促進する化合物またはその塩を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、炎症性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につきモルモットTGR5の発現を促進する化合物またはその塩を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(4)モルモットTGR5もしくはその部分ペプチドまたはその塩の定量法および診断方法
本発明の抗体は、モルモットTGR5を特異的に認識することができるので、被検液中のモルモットTGR5の定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用することができる。
すなわち、本発明は、
(i)本発明の抗体と、被検液および標識化されたモルモットTGR5とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化されたモルモットTGR5の割合を測定することを特徴とする被検液中のモルモットTGR5の定量法、および
(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中のモルモットTGR5の定量法を提供する。
上記(ii)の定量法においては、一方の抗体がモルモットTGR5のN端部を認識する抗体で、他方の抗体がモルモットTGR5のC端部に反応する抗体であることが望ましい。
また、モルモットTGR5に対するモノクローナル抗体を用いてモルモットTGR5の定量を行うことができるほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab')、Fab'、あるいはFab画分を用いてもよい。
本発明の抗体を用いるモルモットTGR5の定量法は、 特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、モルモットTGR5量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常モルモットTGR5あるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラス等があげられる。
サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノクローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中のモルモットTGR5量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドイッチ法によるモルモットTGR5の測定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗体は、モルモットTGR5の結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、モルモットTGR5のC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が用いられる。
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることができる。
競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えてモルモットTGR5の測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。
例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D : Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E : Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I : Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
以上のようにして、本発明の抗体を用いることによって、モルモットTGR5を感度良く定量することができる。
さらには、本発明の抗体を用いてモルモットTGR5の濃度を定量することによって、モルモットTGR5の濃度の増加または減少が検出された場合、例えば、中枢疾患(例えば、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、炎症性疾患(例えば、アレルギー、リュウマチ、変形性関節症、エリテマトーデスなど)、循環器疾患(例えば、高血圧症、心肥大、狭心症、動脈硬化症等)、癌(例えば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌等)、呼吸器疾患(例えば、肺炎、気管支炎、喘息、肺繊維症など)、糖尿病、免疫系疾患(例えば、クローン病、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患、免疫不全、白血病等)、肝臓・胆のう疾患(例えば、肝硬変、肝炎、肝不全、胆汁うっ滞症、結石等)、消化管疾患(例えば、潰瘍、腸炎、吸収不良、炎症性腸疾患等)、感染症、肥満、移植医療後の過剰免疫反応、インスリン分泌不全、膵疲弊、低血糖などに罹患している可能性が高い、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
特に、モルモットTGR5の濃度の増加が検出された場合には、例えば、モルモットTGR5の過剰発現に起因する疾患、例えば、例えば、免疫不全、感染症、インスリン分泌不全、膵疲弊などに罹患している可能性が高い、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、本発明の抗体を用いてモルモットTGR5の濃度を定量することによって、モルモットTGR5の濃度の減少が検出された場合、例えば、モルモットTGR5の機能不全に関連する疾患、例えば、炎症性疾患、移植医療後の過剰免疫反応、低血糖などに罹患している可能性が高い、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
(5)細胞膜におけるモルモットTGR5またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物またはその塩を含有する医薬
本発明の抗体は、モルモットTGR5を特異的に認識することができるので、細胞膜におけるモルモットTGR5の量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニングに用いることができる。
すなわち本発明は、例えば、
(i)非ヒト哺乳動物のa)血液、b)特定の臓器、c)臓器から単離した組織もしくは細胞等を破壊した後、細胞膜画分を単離し、細胞膜画分に含まれるモルモットTGR5を定量することによる、細胞膜におけるモルモットTGR5の量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(ii)モルモットTGR5を発現する形質転換体等を破壊した後、細胞膜画分を単離し、細胞膜画分に含まれるモルモットTGR5を定量することによる、細胞膜におけるモルモットTGR5の量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(iii)非ヒト哺乳動物のa)血液、b)特定の臓器、c)臓器から単離した組織もしくは細胞等を切片とした後、免疫染色法を用いることにより、細胞表層での該受容体蛋白質の染色度合いを定量化することにより、細胞膜上の該蛋白質を確認することによる、細胞膜におけるモルモットTGR5の量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
(iv)モルモットTGR5を発現する形質転換体等を切片とした後、免疫染色法を用いることにより、細胞表層での該受容体蛋白質の染色度合いを定量化することにより、細胞膜上の該蛋白質を確認することによる、細胞膜におけるモルモットTGR5の量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
細胞膜画分に含まれるモルモットTGR5の定量は具体的には以下のようにして行なう。
(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例えば、脳、肝臓、腎臓など)、または臓器から単離した組織、あるいは細胞を得る。得られた臓器、組織または細胞等を、例えば、適当な緩衝液(例えば、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、ヘペス緩衝液など)等に懸濁し、臓器、組織あるいは細胞を破壊し、界面活性剤(例えば、トリトンX100TM、ツイーン20TMなど)などを用い、さらに遠心分離や濾過、カラム分画などの手法を用いて細胞膜画分を得る。
細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500〜3000rpm)で短時間(通常、約1〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したモルモットTGR5と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
細胞膜画分に含まれるモルモットTGR5は、例えば、本発明の抗体を用いたサンドイッチ免疫測定法、ウエスタンブロット解析などにより定量することができる。
かかるサンドイッチ免疫測定法は上記の方法と同様にして行なうことができ、ウエスタンブロットは自体公知の手段により行なうことができる。
(ii)モルモットTGR5を発現する形質転換体を上記の方法に従い作製し、細胞膜画分に含まれるモルモットTGR5を定量することができる。
細胞膜におけるモルモットTGR5の量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニングは、
(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に対して、薬剤あるいは物理的ストレスなどを与える一定時間前(30分前〜24時間前、好ましくは30分前〜12時間前、より好ましくは1時間前〜6時間前)もしくは一定時間後(30分後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜24時間後)、または薬剤あるいは物理的ストレスと同時に試験化合物を投与し、投与後一定時間経過後(30分後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜24時間後)、細胞膜におけるモルモットTGR5の量を定量することにより行なうことができ、
(ii)形質転換体を常法に従い培養する際に試験化合物を培地中に混合させ、一定時間培養後(1日後〜7日後、好ましくは1日後〜3日後、より好ましくは2日後〜3日後)、細胞膜におけるモルモットTGR5の量を定量することにより行なうことができる。
細胞膜画分に含まれるモルモットTGR5の確認は具体的には以下のようにして行なう。
(iii)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例えば、脳、肝臓、腎臓など)、または臓器から単離した組織、あるいは細胞を得る。得られた臓器、組織または細胞等を、常法に従い組織切片とし、本発明の抗体を用いて免疫染色を行う。細胞表層での該受容体蛋白質の染色度合いを定量化することにより、細胞膜上の該蛋白質を確認することにより、定量的または定性的に、細胞膜におけるモルモットTGR5の量を確認することができる。
(iv)モルモットTGR5を発現する形質転換体等を用いて同様の手段をとることにより確認することもできる。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが用いられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
試験化合物は塩を形成していてもよく、試験化合物の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、細胞膜におけるモルモットTGR5の量を変化させる作用を有する化合物またはその塩であり、具体的には、(イ)細胞膜におけるモルモットTGR5の量を増加させることにより、モルモットTGR5を介する細胞刺激活性を増強させる化合物またはその塩、(ロ)細胞膜におけるモルモットTGR5の量を減少させることにより、該細胞刺激活性を減弱させる化合物またはその塩である。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物としては、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
モルモットTGR5は上記のとおり、例えば、中枢機能など生体内で何らかの重要な役割を果たしていると考えられる。したがって、細胞膜におけるモルモットTGR5またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物またはその塩は、モルモットTGR5の機能不全などに関連する疾患、例えば、中枢疾患(例えば、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、炎症性疾患(例えば、アレルギー、リュウマチ、変形性関節症、エリテマトーデスなど)、循環器疾患(例えば、高血圧症、心肥大、狭心症、動脈硬化症等)、癌(例えば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌等)、呼吸器疾患(例えば、肺炎、気管支炎、喘息、肺繊維症など)、糖尿病、免疫系疾患(例えば、クローン病、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患、免疫不全、白血病等)、肝臓・胆のう疾患(例えば、肝硬変、肝炎、肝不全、胆汁うっ滞症、結石等)、消化管疾患(例えば、潰瘍、腸炎、吸収不良、炎症性腸疾患等)、感染症、肥満、移植医療後の過剰免疫反応、インスリン分泌不全、膵疲弊、低血糖などの疾患の予防・治療剤として有用である。
これらの疾患のうち、免疫機能、マクロファージ機能などが亢進することに起因する疾患(例えば、炎症性疾患、移植医療後の過剰免疫反応など)には、特に細胞膜におけるモルモットTGR5の量を増加させる化合物またはその塩が有効である。さらに、細胞膜におけるモルモットTGR5の量を増加させる化合物またはその塩は、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤、食欲抑制剤、膵臓の再生剤、膵β細胞分化促進剤、膵β細胞増殖促進剤などとしても有効であり、例えば、糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊、肥満の予防・治療剤として使用することができる。
一方、免疫機能、マクロファージ機能などが抑制されることに起因する疾患(例えば、免疫不全、感染症など)には、特に細胞膜におけるモルモットTGR5の量を減少させる化合物またはその塩が有効である。さらに、細胞膜におけるモルモットTGR5の量を減少させる化合物またはその塩は、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制剤、膵β細胞分化抑制剤、膵β細胞増殖抑制剤として有効であり、例えば、低血糖の予防・治療剤として使用することができる。
また、細胞膜におけるモルモットTGR5またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物またはその塩は、例えば、ソマトスタチン、コレシストキニン、Glucagon−like peptide−2(GLP−2)、Gastoric inhibitory polypeptide(=Glucose dependent insulinotropic peptide)、Gastrin、Gastrin releasing peptide、グレリン、グリセンチンなどの分泌調節剤として使用することができる。
細胞膜におけるモルモットTGR5またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物またはその塩をモルモットTGR5の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤化することができる。
例えば、該化合物は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物を生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、炎症性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につき細胞膜におけるモルモットTGR5またはその部分ペプチドの量を増加させる化合物またはその塩を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、炎症性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につき細胞膜におけるモルモットTGR5またはその部分ペプチドの量を増加させる化合物またはその塩を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(6)本発明の抗体を含有してなる医薬
モルモットTGR5もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体の、それらレセプター蛋白質などに対する中和活性とは、すなわち、モルモットTGR5の関与するシグナル伝達機能を不活性化する活性を意味する。従って、該抗体が中和活性を有する場合は、モルモットTGR5の関与するシグナル伝達、例えば、モルモットTGR5を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP産生、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質(例、MAPキナーゼ)のリン酸化または活性化、c−fosの活性化、pHの低下、GLP−1分泌活性などを促進する活性または抑制する活性など、特に細胞内cAMP産生上昇活性、MAPキナーゼのリン酸化または活性化、GLP−1分泌促進活性)を不活性化することができる。
したがって、モルモットTGR5もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体(例、中和抗体)は、モルモットTGR5の過剰発現などに起因する疾患(例えば、免疫不全、感染症、低血糖など)の予防・治療剤、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制剤、膵β細胞分化抑制剤、膵β細胞増殖抑制剤として用いることができる。
また、モルモットTGR5もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体(例、中和抗体)は、例えば、ソマトスタチン、コレシストキニン、Glucagon−like peptide−2(GLP−2)、Gastoric inhibitory polypeptide(=Glucose dependent insulinotropic peptide)、Gastrin、Gastrin releasing peptide、グレリン、グリセンチンなどの分泌調節剤として使用することができる。
(7)本発明のアンチセンスDNAまたはsiRNAを含有してなる医薬
本発明のアンチセンスDNAまたはsiRNAは、モルモットTGR5の過剰発現などに起因する疾患(例えば、免疫不全、感染症、低血糖など)の疾患の予防・治療剤、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制剤、膵β細胞分化抑制剤、膵β細胞増殖抑制剤として用いることができる。
また、本発明のアンチセンスDNAまたはsiRNAは、例えば、ソマトスタチン、コレシストキニン、Glucagon−like peptide−2(GLP−2)、Gastoric inhibitory polypeptide(=Glucose dependent insulinotropic peptide)、Gastrin、Gastrin releasing peptide、グレリン、グリセンチンなどの分泌調節剤として使用することができる。
例えば、該アンチセンスDNAまたはsiRNAを用いる場合、該アンチセンスDNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施することができる。該アンチセンスDNAまたはsiRNAは、そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
さらに、該アンチセンスDNAまたはsiRNAは、組織や細胞における本発明のDNAの存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプローブとして使用することもできる。
(8)TGR5に対するアゴニストのスクリーニング方法
コレステロール代謝関連物質またはその塩がTGR5に結合することによって、細胞内cAMP産生の上昇が見られることから、TGR5はこの細胞内シグナルを指標としてTGR5に対するコレステロール代謝関連物質またはその塩以外のアゴニスト(天然リガンドを含む)を探索し、または決定するための試薬として有用である。
すなわち、本発明は、試験化合物をTGR5を含有する細胞に接触させた場合における、TGR5を介した細胞内cAMP産生上昇活性、MAPキナーゼのリン酸化または活性化、GLP−1分泌促進活性などの活性を測定することを特徴とするTGR5に対するアゴニストの決定方法を提供する。
試験化合物としては、公知のリガンド(例えば、アンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コレシストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプレッシン、オキシトシン、PACAP(例、PACAP27,PACAP38)、セクレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレノメジュリン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、ACTH、GRP、PTH、VIP(バソアクティブ インテスティナル アンド リレイテッド ポリペプチド)、ソマトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、ケモカインスーパーファミリー(例、IL−8,GROα,GROβ,GROγ,NAP−2,ENA−78,GCP−2,PF4,IP−10,Mig,PBSF/SDF−1などのCXCケモカインサブファミリー;MCAF/MCP−1,MCP−2,MCP−3,MCP−4,eotaxin,RANTES,MIP−1α、MIP−1β,HCC−1,MIP−3α/LARC、MIP−3β/ELC,I−309,TARC,MIPF−1,MIPF−2/eotaxin−2,MDC,DC−CK1/PARC,SLCなどのCCケモカインサブファミリー;lymphotactinなどのCケモカインサブファミリー;fractalkineなどのCX3Cケモカインサブファミリー等)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティックポリペプタイド、ガラニン、リゾホスファチジン酸(LPA)、スフィンゴシン1−リン酸など)の他に、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サルなど)の組織抽出物、細胞培養上清、低分子合成化合物などが用いられる。例えば、該組織抽出物、細胞培養上清などをTGR5に添加し、細胞刺激活性などを測定しながら分画し、最終的に単一のリガンドを得ることができる。
具体的には、本発明のアゴニスト決定方法は、本発明の組換え型TGR5の発現系を構築し、該発現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いることによって、TGR5を介する細胞内cAMP産生上昇活性、MAPキナーゼのリン酸化または活性化、GLP−1分泌促進活性、サイトカイン産生抑制活性などの活性を有する化合物またはその塩を決定する方法である。
より具体的には、本発明は、次のような決定方法を提供する。
(1)試験化合物をTGR5を含有する細胞(例、CHO細胞、NCI−H716)に接触させた場合における細胞内cAMP産生上昇活性、MAPキナーゼのリン酸化もしくは活性化、GLP−1分泌促進活性またはサイトカイン産生抑制活性を測定することを特徴とするTGR5に対するアゴニストの決定方法、および
(2)試験化合物をTGR5DNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したTGR5に接触させた場合におけるTGR5を介する細胞内cAMP産生上昇活性、MAPキナーゼのリン酸化もしくは活性化、GLP−1分泌促進活性またはサイトカイン産生抑制活性を測定することを特徴とするTGR5に対するアゴニストの決定方法を提供する。
特に、試験化合物がTGR5に結合することを確認した後に、上記の試験を行なうことが好ましい。
本発明のアゴニスト決定方法において、TGR5を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法は公知の方法に従って行なうことができる。
TGR5を含有する細胞の膜画分としては、細胞を破砕した後、公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500〜3000rpm)で短時間(通常、約1〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したTGR5と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
TGR5を含有する細胞やその細胞膜画分中のTGR5の量は、1細胞当たり10〜10分子であるのが好ましく、10〜10分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
本発明のアゴニスト決定方法を実施するためには、TGR5を介する細胞内cAMP産生上昇活性を公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。具体的には、まず、TGR5を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。アゴニスト決定を行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、cAMPなど)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。
本発明のアゴニスト決定用キットは、TGR5を含有する細胞またはその細胞膜画分を含有するものである。
このようにして決定されるTGR5に対するアゴニストは、例えば、中枢疾患(例えば、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、炎症性疾患(例えば、アレルギー、リュウマチ、変形性関節症、エリテマトーデスなど)、循環器疾患(例えば、高血圧症、心肥大、狭心症、動脈硬化症等)、癌(例えば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌等)、呼吸器疾患(例えば、肺炎、気管支炎、喘息、肺繊維症など)、糖尿病、免疫系疾患(例えば、クローン病、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患、免疫不全、白血病等)、肝臓・胆のう疾患(例えば、肝硬変、肝炎、肝不全、胆汁うっ滞症、結石等)、消化管疾患(例えば、潰瘍、腸炎、吸収不良、炎症性腸疾患等)、感染症、肥満、移植医療後の過剰免疫反応などの疾患、特に免疫機能、マクロファージ機能などが亢進することに起因する疾患(例えば、炎症性疾患、移植医療後の過剰免疫反応など)の予防および/または治療剤として有用である。さらに、TGR5に対するアゴニストは、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤、食欲抑制剤、膵臓の再生剤、膵β細胞分化促進剤、膵β細胞増殖促進剤などとしても有効であり、例えば、糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊、肥満の予防・治療剤として使用することができる。
また、TGR5に対するアゴニストは、例えば、ソマトスタチン、コレシストキニン、Glucagon−like peptide−2(GLP−2)、Gastoric inhibitory polypeptide(=Glucose dependent insulinotropic peptide)、Gastrin、Gastrin releasing peptide、グレリン、グリセンチンなどの分泌調節剤として使用することができる。
(9)各種薬物の作用メカニズムの解明方法
TGR5を用いることによって、各種薬物がTGR5を介して薬理効果を発揮しているか否かを確認することができる。
すなわち、本発明は、
(1)TGR5を用いることを特徴とする、中枢疾患(例えば、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、炎症性疾患(例えば、アレルギー、リュウマチ、変形性関節症、エリテマトーデスなど)、循環器疾患(例えば、高血圧症、心肥大、狭心症、動脈硬化症等)、癌(例えば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌等)、呼吸器疾患(例えば、肺炎、気管支炎、喘息、肺繊維症など)、糖尿病、免疫系疾患(例えば、クローン病、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患、免疫不全、白血病等)、肝臓・胆のう疾患(例えば、肝硬変、肝炎、肝不全、胆汁うっ滞症、結石等)、消化管疾患(例えば、潰瘍、腸炎、吸収不良、炎症性腸疾患等)、感染症、肥満、移植医療後の過剰免疫反応、インスリン分泌不全、膵疲弊、低血糖などの疾患の予防・治療薬、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌調節薬(促進薬、抑制薬)、食欲抑制薬、膵臓の再生薬、膵β細胞分化促進薬、膵β細胞増殖促進薬、またはソマトスタチン、コレシストキニン、Glucagon−like peptide−2(GLP−2)、Gastoric inhibitory polypeptide(=Glucose dependent insulinotropic peptide)、Gastrin、Gastrin releasing peptide、グレリン、グリセンチンなどの分泌調節薬が該レセプター蛋白質またはその塩に結合することを確認する方法、
(2)TGR5を用いることを特徴とする、免疫機能、マクロファージ機能などが亢進することに起因する疾患(例えば、炎症性疾患、移植医療後の過剰免疫反応など)、インスリン分泌不全、膵疲弊の予防・治療薬、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬、食欲抑制薬、膵臓の再生薬、膵β細胞分化促進薬、膵β細胞増殖促進薬、またはソマトスタチン、コレシストキニン、Glucagon−like peptide−2(GLP−2)、Gastoric inhibitory polypeptide(=Glucose dependent insulinotropic peptide)、Gastrin、Gastrin releasing peptide、グレリン、グリセンチンなどの分泌調節薬が該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストであることを確認する方法、
(3)TGR5を用いることを特徴とする、免疫機能、マクロファージ機能などが抑制されることに起因する疾患(例えば、免疫不全、感染症など)、低血糖の予防・治療薬、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制薬、膵β細胞分化抑制薬、膵β細胞増殖抑制薬、またはソマトスタチン、コレシストキニン、Glucagon−like peptide−2(GLP−2)、Gastoric inhibitory polypeptide(=Glucose dependent insulinotropic peptide)、Gastrin、Gastrin releasing peptide、グレリン、グリセンチンなどの分泌調節薬が該レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストであることを確認する方法、
(4)各薬をTGR5に接触させた場合における、各薬とTGR5との結合量を測定することを特徴とする上記(1)〜(3)記載のスクリーニング方法を提供する。
この確認方法は、前記した合成リガンドとTGR5との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法において、試験化合物に代えて、上記の薬物を使用することによって実施することができる。
また、本発明の確認方法用キットは、前記したリガンドとTGR5との結合性を変化させる化合物のスクリーニング用キットにおいて、試験化合物に代えて、上記の薬物を含有するものである。
このように、本発明の確認方法を用いることによって、市販または開発途中の各種薬物がTGR5を介して薬理効果を発揮していることを確認することができる。
(10)本発明のDNA導入動物の作製
本発明は、外来性の本発明のDNA(以下、本発明の外来性DNAと略記する)またはその変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記する場合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、本発明は、
〔1〕本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、
〔2〕非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第〔1〕記載の動物、
〔3〕ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第〔2〕記載の動物、および
〔4〕本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる組換えベクターを提供するものである。
本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物(以下、本発明のDNA転移動物と略記する)は、未受精卵、受精卵、精子およびその始原細胞を含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、非ヒト哺乳動物の発生における胚発生の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に8細胞期以前)に、リン酸カルシウム法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法、DEAE−デキストラン法などにより目的とするDNAを転移することによって作出することができる。また、該DNA転移方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞などに目的とする本発明の外来性DNAを転移し、細胞培養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これら細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞融合法により融合させることにより本発明のDNA転移動物を作出することもできる。
非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。なかでも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生および生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6C3F系統,BDF系統,B6D2F系統,BALB/c系統,ICR系統など)またはラット(例えば、Wistar,SDなど)などが好ましい。
哺乳動物において発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどがあげられる。
本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が本来有している本発明のDNAではなく、いったん哺乳動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。
本発明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩基配列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、具体的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含まれる。
該異常DNAとしては、異常なモルモットTGR5を発現させるDNAを意味し、例えば、正常なモルモットTGR5の機能を抑制するモルモットTGR5を発現させるDNAなどが用いられる。
本発明の外来性DNAは、対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物に転移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合したDNAコンストラクトとして用いるのが一般に有利である。例えば、本発明のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高い本発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来のDNAを発現させうる各種プロモーターの下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコンストラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精卵、例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションすることによって本発明のDNAを高発現するDNA転移哺乳動物を作出することができる。
モルモットTGR5の発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリオファージ、モロニー白血病ウイルスなどのレトロウイルス、ワクシニアウイルスまたはバキュロウイルスなどの動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミドなどが好ましく用いられる。
上記のDNA発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、1)ウイルス(例、シミアンウイルス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイルス、ポリオウイルスなど)に由来するDNAのプロモーター、2)各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来のプロモーター、例えば、アルブミン、インスリンII、ウロプラキンII、エラスターゼ、エリスロポエチン、エンドセリン、筋クレアチンキナーゼ、グリア線維性酸性蛋白質、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK1,K10およびK14、コラーゲンI型およびII型、サイクリックAMP依存蛋白質キナーゼβIサブユニット、ジストロフィン、酒石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ、心房ナトリウム利尿性因子、内皮レセプターチロシンキナーゼ(一般にTie2と略される)、ナトリウムカリウムアデノシン3リン酸化酵素(Na,K−ATPase)、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタロプロティナーゼ1組織インヒビター、MHCクラスI抗原(H−2L)、H−ras、レニン、ドーパミンβ−水酸化酵素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2、ミエリン基礎蛋白質、チログロブリン、Thy−1、免疫グロブリン、H鎖可変部(VNP)、血清アミロイドPコンポーネント、ミオグロビン、トロポニンC、平滑筋αアクチン、プレプロエンケファリンA、バソプレシンなどのプロモーターなどが用いられる。なかでも、全身で高発現することが可能なサイトメガロウイルスプロモーター、ヒトペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)のプロモーター、ヒトおよびニワトリβアクチンプロモーターなどが好適である。
上記ベクターは、DNA転移哺乳動物において目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結する配列(一般にターミネーターと呼ばれる)を有していることが好ましく、例えば、ウイルス由来および各種哺乳動物由来の各DNAの配列を用いることができ、好ましくは、シミアンウイルスのSV40ターミネーターなどが用いられる。
その他、目的とする外来性DNAをさらに高発現させる目的で各DNAのスプライシングシグナル、エンハンサー領域、真核DNAのイントロンの一部などをプロモーター領域の5’上流、プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の3’下流 に連結することも目的により可能である。
正常なモルモットTGR5の翻訳領域は、ヒトまたは各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウス、サルなど)由来の肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来DNAおよび市販の各種ゲノムDNAライブラリーよりゲノムDNAの全てあるいは一部として、または肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来RNAより公知の方法により調製された相補DNAを原料として取得することが出来る。また、外来性の異常DNAは、上記の細胞または組織より得られた正常なモルモットTGR5の翻訳領域を点突然変異誘発法により変異した翻訳領域を作製することができる。
該翻訳領域は転移動物において発現しうるDNAコンストラクトとして、前記のプロモーターの下流および所望により転写終結部位の上流に連結させる通常のDNA工学的手法により作製することができる。
受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のすべてに存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において、本発明の外来性DNAが存在することは、作出動物の後代がすべて、その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを保持することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを有する。
本発明の外来性正常DNAを転移させた非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼育環境で継代飼育することが出来る。
受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明の外来性DNAが過剰に存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNAを過剰に有することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNAを過剰に有する。
導入DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを過剰に有するように繁殖継代することができる。
本発明の正常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を促進することにより最終的にモルモットTGR5の機能亢進症を発症することがあり、その病態モデル動物として利用することができる。例えば、本発明の正常DNA転移動物を用いて、モルモットTGR5の機能亢進症や、モルモットTGR5が関連する疾患の病態機序の解明およびこれらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、本発明の外来性正常DNAを転移させた哺乳動物は、遊離したモルモットTGR5の増加症状を有することから、モルモットTGR5に関連する疾患に対する治療薬のスクリーニング試験にも利用可能である。
一方、本発明の外来性異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とする外来DNAを前述のプラスミドに組み込んで原料として用いることができる。プロモーターとのDNAコンストラク卜は、通常のDNA工学的手法によって作製することができる。受精卵細胞段階における本発明の異常DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明の異常DNAが存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常DNAを有することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫は、その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常DNAを有する。導入DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを有するように繁殖継代することができる。
本発明の異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の異常DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を阻害することにより最終的にモルモットTGR5の機能不活性型不応症となることがあり、その病態モデル動物として利用することができる。例えば、本発明の異常DNA転移動物を用いて、モルモットTGR5の機能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの疾患を治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、具体的な利用可能性としては、本発明の異常DNA高発現動物は、モルモットTGR5の機能不活性型不応症における本発明の異常モルモットTGR5による正常モルモットTGR5の機能阻害(dominant negative作用)を解明するモデルとなる。
また、本発明の外来異常DNAを転移させた哺乳動物は、遊離したモルモットTGR5の増加症状を有することから、モルモットTGR5の機能不活性型不応症に対する治療薬スクリーニング試験にも利用可能である。
また、上記2種類の本発明のDNA転移動物のその他の利用可能性として、例えば、
1)組織培養のための細胞源としての使用、
2)本発明のDNA転移動物の組織中のDNAもしくはRNAを直接分析するか、またはDNAにより発現されたモルモットTGR5を分析することによる、モルモットTGR5により特異的に発現あるいは活性化するモルモットTGR5との関連性についての解析、
3)DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織からの細胞の機能の研究、
4)上記3)記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高めるような薬剤のスクリーニング、および
5)本発明の変異モルモットTGR5を単離精製およびその抗体作製などが考えられる。
さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、モルモットTGR5の機能不活性型不応症などを含む、モルモットTGR5に関連する疾患の臨床症状を調べることができ、また、モルモットTGR5に関連する疾患モデルの各臓器におけるより詳細な病理学的所見が得られ、新しい治療方法の開発、さらには、該疾患による二次的疾患の研究および治療に貢献することができる。
また、本発明のDNA転移動物から各臓器を取り出し、細切後、トリプシンなどの蛋白質分解酵素により、遊離したDNA転移細胞の取得、その培養またはその培養細胞の系統化を行なうことが可能である。さらに、モルモットTGR5産生細胞の特定化、アポトーシス、分化あるいは増殖との関連性、またはそれらにおけるシグナル伝達機構を調べ、それらの異常を調べることなどができ、モルモットTGR5およびその作用解明のための有効な研究材料となる。
さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、モルモットTGR5の機能不活性型不応症を含む、モルモットTGR5に関連する疾患の治療薬の開発を行なうために、上述の検査法および定量法などを用いて、有効で迅速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供することが可能となる。また、本発明のDNA転移動物または本発明の外来性DNA発現ベクターを用いて、モルモットTGR5が関連する疾患のDNA治療法を検討、開発することが可能である。
(11)ノックアウト動物
本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、本発明は、
〔1〕本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
〔2〕該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化された第〔1〕項記載の胚幹細胞、
〔3〕ネオマイシン耐性である第〔1〕項記載の胚幹細胞、
〔4〕非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第〔1〕項記載の胚幹細胞、
〔5〕ゲッ歯動物がマウスである第〔4〕項記載の胚幹細胞、
〔6〕本発明のDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
〔7〕該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる第〔6〕項記載の非ヒト哺乳動物、
〔8〕非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第〔6〕項記載の非ヒト哺乳動物、
〔9〕ゲッ歯動物がマウスである第〔8〕項記載の非ヒト哺乳動物、および
〔10〕第〔7〕項記載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしているモルモットTGR5の活性を実質的に喪失させることにより、DNAが実質的にモルモットTGR5の発現能を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称することがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES細胞と略記する)をいう。
非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
本発明のDNAに人為的に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNAを挿入または置換させることによって行なうことができる。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製すればよい。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分に遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA付加シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャーRNAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得られたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析あるいはターゲッティングベクター上のDNA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマーとしたPCR法により解析し、本発明のノックアウトES細胞を選別することにより得ることができる。
また、相同組換え法等により本発明のDNAを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知 EvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立したものでもよい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般的には129系のES細胞が使用されているが、免疫学的背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するなどの目的で、例えば、C57BL/6マウスやC57BL/6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善したBDFマウス(C57BL/6とDBA/2とのF)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。BDFマウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫であるという利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマウスを作出したとき、C57BL/6マウスとバッククロスすることでその遺伝的背景をC57BL/6マウスに代えることが可能である点で有利に用い得る。
また、ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の初期胚を取得することができる。
また、雌雄いずれのES細胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
ES細胞の雌雄の判定方法としては、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例としてあげることができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析をするのに約10個の細胞数を要していたのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削減できる。
また、第二次セレクションとしては、例えば、G−バンディング法による染色体数の確認等により行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウトした後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n=40である細胞)に再びクローニングすることが望ましい。
このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすいので、注意深く継代培養することが必要である。例えば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上でLIF(1〜10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプシン/EDTA溶液(通常0.001〜0.5%トリプシン/0.1〜5mM EDTA、好ましくは約0.1%トリプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などがとられる。このような継代は、通常1〜3日毎に行なうが、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望まれる。
ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るまで単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J. Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第78巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschman ら、ジャーナル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメンタル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現不全細胞は、インビトロにおけるモルモットTGR5またはモルモットTGR5の細胞生物学的検討において有用である。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較することにより、正常動物と区別することが可能である。
該非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のDNAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えにより、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることにより、本発明のDNAをノックアウトさせることができる。
本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティングベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法による解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、その細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物である。
該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のDNA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コートカラーの判定等により選別することにより得られる。このようにして得られた個体は、通常、モルモットTGR5のヘテロ発現不全個体であり、モルモットTGR5のヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔からモルモットTGR5のホモ発現不全個体を得ることができる。
卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマイクロインジェクション法でDNA溶液を注入することによりターゲッティングベクターを染色体内に導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のあるものを選択することにより得られる。
このようにして本発明のDNAがノックアウトされている個体は、交配により得られた動物個体も該DNAがノックアウトされていることを確認して通常の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。
さらに、生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホモザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することにより効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有するホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を作出する上で、非常に有用である。
また、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、モルモットTGR5により誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、モルモットTGR5の生物活性の不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治療法の検討に有用である。
(11a)本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物のスクリーニング方法
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物のスクリーニングに用いることができる。
すなわち、本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、該動物の変化を観察・測定することを特徴とする、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
該スクリーニング方法において用いられる本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものがあげられる。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などがあげられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
試験化合物は塩を形成していてもよく、試験化合物の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
具体的には、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を、試験化合物で処理し、無処理の対照動物と比較し、該動物の各器官、組織、疾病の症状などの変化を指標として試験化合物の治療・予防効果を試験することができる。
試験動物を試験化合物で処理する方法としては、例えば、経口投与、静脈注射などが用いられ、試験動物の症状、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。また、試験化合物の投与量は、投与方法、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。
該スクリーニング方法において、試験動物に試験化合物を投与した場合、該試験動物の血糖値や上記疾患症状が約10%以上、好ましくは約30%以上、より好ましくは約50%以上低下した場合、該試験化合物を上記の疾患に対して治療・予防効果を有する化合物として選択することができる。
該スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、モルモットTGR5の欠損や損傷などによって引き起こされる疾患、例えば、免疫機能、マクロファージ機能などが亢進することに起因する疾患(例えば、炎症性疾患、移植医療後の過剰免疫反応など)に対する安全で低毒性な治療・予防剤などの医薬として使用することができる。
さらに、該スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤、食欲抑制剤、膵臓の再生剤、膵β細胞分化剤、膵β細胞増殖促進剤などとしても有効であり、例えば、糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊、肥満の予防・治療剤として使用することができる。
また、該スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、例えば、ソマトスタチン、コレシストキニン、Glucagon−like peptide−2(GLP−2)、Gastoric inhibitory polypeptide(=Glucose dependent insulinotropic peptide)、Gastrin、Gastrin releasing peptide、グレリン、グリセンチンなどの分泌調節剤として使用することができる。
また、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、前記したモルモットTGR5とリガンドとの結合性を変化させる化合物を含有する医薬と同様にして製造することができる。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、該化合物またはその塩を経口投与する場合、一般的に例えば、炎症性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、炎症性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(11b)本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリーニング方法
本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
上記スクリーニング方法において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうるものが用いられる。
試験化合物としては、前記と同様のものがあげられる。
レポーター遺伝子としては、前記と同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。
本発明のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在するので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレースすることにより、プロモーターの活性を検出することができる。
例えば、モルモットTGR5をコードするDNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、モルモットTGR5の発現する組織で、モルモットTGR5の代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラクトシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することにより、簡便にモルモットTGR5の動物生体内における発現状態を観察することができる。具体的には、モルモットTGR5欠損マウスまたはその組織切片をグルタルアルデヒドなどで固定し、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室温または37℃付近で、約30分ないし1時間反応させた後、組織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄することによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色を観察すればよい。また、常法に従い、lacZをコードするmRNAを検出してもよい。
上記スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれた化合物またはその塩であり、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩である。
該スクリーニング方法で得られた化合物の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物またはその塩は、中枢または末梢神経機能調節薬として有用である。
本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物またはその塩は、モルモットTGR5の発現を促進し、モルモットTGR5の機能を促進することができるので、例えば、モルモットTGR5の機能不全に関連する疾患などの予防・治療薬などの医薬として有用である。
本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物またはその塩は、モルモットTGR5の発現を阻害し、モルモットTGR5の機能を阻害することができるので、例えば、モルモットTGR5の発現過多に関連する疾患などの予防・治療薬などの医薬として有用である。
モルモットTGR5の機能不全に関連する疾患としては、例えば、免疫機能、マクロファージ機能などが亢進することに起因する疾患(例えば、炎症性疾患、移植医療後の過剰免疫反応など)などが挙げられる。
モルモットTGR5の過剰発現に起因する疾患としては、例えば、免疫機能、マクロファージ機能などが抑制されることに起因する疾患(例えば、免疫不全、感染症など)などが挙げられる。
また、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物またはその塩は、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤、食欲抑制剤、膵臓の再生剤、膵β細胞分化剤、膵β細胞増殖促進剤などとしても有効であり、例えば、糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊、肥満の予防・治療剤として使用することができる。
本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物またはその塩は、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制剤、膵β細胞分化抑制剤、膵β細胞増殖抑制剤として有効であり、例えば、低血糖の予防・治療剤として使用することができる。
また、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩は、例えば、ソマトスタチン、コレシストキニン、Glucagon−like peptide−2(GLP−2)、Gastoric inhibitory polypeptide(=Glucose dependent insulinotropic peptide)、Gastrin、Gastrin releasing peptide、グレリン、グリセンチンなどの分泌調節剤として使用することができる。
さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、前記したモルモットTGR5またはその塩とリガンドとの結合性を変化させる化合物またはその塩を含有する医薬と同様にして製造することができる。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物またはその塩を経口投与する場合、一般的に例えば、炎症性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、炎症性疾患患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
このように、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリーニングする上で極めて有用であり、本発明のDNA発現不全に起因する各種疾患の原因究明または予防・治療薬の開発に大きく貢献することができる。
また、モルモットTGR5のプロモーター領域を含有するDNAを使って、その下流に種々の蛋白質をコードする遺伝子を連結し、これを動物の卵細胞に注入していわゆるトランスジェニック動物(遺伝子移入動物)を作成すれば、特異的にそのモルモットTGR5を合成させ、その生体での作用を検討することも可能となる。さらに上記プロモーター部分に適当なレポーター遺伝子を結合させ、これが発現するような細胞株を樹立すれば、モルモットTGR5そのものの体内での産生能力を特異的に促進もしくは抑制する作用を持つ低分子化合物の探索系として使用できる。
本発明化合物は、式
〔式中、R、RおよびRはそれぞれ水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基を、Xは結合手、−O−、−NR−(Rは水素原子または低級アルキル基を示す)または−S−を、Yは置換されていてもよいC1−5アルキレン基を、ArおよびArはそれぞれ置換されていてもよい単環性芳香族基を示す。〕で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグ(以下、本発明化合物と略称する)である。
、RおよびRで示される「ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基」の「C1−6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの直鎖状または分枝状のC1−6アルキル基などが用いられ、なかでもメチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどのC1−3アルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
該C1−6アルキル基に置換していてもよいハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが用いられ、特にフッ素原子が好ましい。
、RおよびRとしては、水素原子またはC1−6アルキル基が好ましく、特に、水素原子またはメチル基が好ましい。
Rで示される低級アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの直鎖状または分枝状のC1−6アルキル基などが用いられ、なかでもメチル、エチル、プロピルなどC1−3アルキル基が好ましい。
Yで示される「置換されていてもよいC1−5アルキレン基」の「C1−5アルキレン基」としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンが用いられ、なかでもメチレン、エチレン、プロピレンなどのC1−3アルキレン基が好ましい。
該「C1−5アルキレン基」が有していてもよい置換基としては、例えば、(i)ニトロ基、(ii)ヒドロキシ基、オキソ基、(iii)シアノ基、(iv)カルバモイル基、(v)モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイルなど;該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基などで置換されていてもよい)、モノ−またはジ−C2−4アルケニル−カルバモイル基(例えば、N−アリルカルバモイルなど;該アルケニル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基などで置換されていてもよい)、モノ−またはジ−フェニル−カルバモイル基(該フェニル基はハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル、C1−6アルコキシ基などで置換されていてもよい)、モノ−またはジ−ベンジル−カルバモイル基(該ベンジル基はハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル、C1−6アルコキシ基などで置換されていてもよい)、C1−6アルコキシ−カルボニル−カルバモイル基、C1−6アルキルスルホニル−カルバモイル基、C1−6アルコキシ−カルバモイル基、アミノ−カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ−カルバモイル基、モノ−またはジ−フェニルアミノ−カルバモイル基、(vi)カルボキシル基、(vii)C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルなど)、(viii)ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、(ix)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなど)、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、カルボキシル基で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基、(x)フェノキシ−C1−6アルキル基、フェノキシ−C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルカルボニル−オキシ基、カルバモイルオキシ基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイルオキシ基、(xi)ハロゲン化されていてもよいフェニル基、ハロゲン化されていてもよいフェニル−C1−6アルキル基、ハロゲン化されていてもよいフェニル−C2−4アルケニル基、ハロゲン化されていてもよいフェノキシ基(例えば、o−,m−またはp−クロロフェノキシ、o−,m−またはp−ブロモフェノキシなど)、ピリジルオキシ基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル−C1−6アルコキシ基、C3−10シクロアルキル−C1−6アルキル基、(xii)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなど)、ハロゲン化されていてもよいC2−6アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ブテニルなど)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオなど)、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−6アルキル基、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−6アルキルチオ基、(xiii)メルカプト基、チオキソ基、(xiv)ハロゲン原子、カルボキシル基およびC1−6アルコキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいベンジルオキシ基またはベンジルチオ基、(xv)ハロゲン化されていてもよいフェニルチオ基、ピリジルチオ基、フェニルチオ−C1−6アルキル基、ピリジルチオ−C1−6アルキル基、(xvi)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニルなど)、フェニルスルフィニル基、フェニルスルフィニル−C1−6アルキル基、(xvii)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニルなど)、フェニルスルホニル基、フェニルスルホニル−C1−6アルキル基、(xviii)アミノ基、アミノスルホニル基、モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノスルホニル基(例えば、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、N,N−ジメチルアミノスルホニル、N,N−ジエチルアミノスルホニルなど;該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基などで置換されていてもよい)、(xix)C1−10アシル−アミノ基(例えば、C1−6アルカノイルアミノ(例、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、トリフルオロアセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ピバロイルアミノ等)、ベンゾイルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ(例、メタンスルホニルアミノ、トリフルオロメタンスルホニルアミノ等)、C6−10アリールスルホニルアミノ(例、ベンゼンスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ等);C1−10アシルはハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基などで置換されていてもよい)、ベンジルオキシカルボニルアミノ、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニルアミノ、カルバモイルアミノ基、モノ−またはジ−C1−6アルキルカルバモイルアミノ基、(xx)モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなど;該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基などで置換されていてもよい)、モノ−またはジ−C1−6アルカノイルアミノ基(例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノなど;該アルカノイル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基などで置換されていてもよい)、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、C1−6アルキル(ベンジル)アミノ、C1−6アルカノイル(ベンジル)アミノ、(xxi)4ないし8員環状アミノ基(例えば、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、1−ピペラジニルなど)、4ないし8員環状アミノ−カルボニル基(例えば、1−アゼチジニルカルボニル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、1−ピペラジニルカルボニルなど)、4ないし8員環状アミノ−カルボニル−オキシ基(例えば、1−ピロリジニルカルボニルオキシ、ピペリジノカルボニルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、チオモルホリノカルボニルオキシ、1−ピペラジニルカルボニルオキシなど)、4ないし8員環状アミノ−カルボニル−アミノ基(例えば、1−ピロリジニルカルボニルアミノ、ピペリジノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、チオモルホリノカルボニルアミノ、1−ピペラジニルカルボニルアミノなど)、4ないし8員環状アミノ−スルホニル基(例えば、1−ピロリジニルスルホニル、ピペリジノスルホニル、モルホリノスルホニル、チオモルホリノスルホニル、1−ピペラジニルスルホニルなど)、4ないし6員環状アミノ−C1−6アルキル基、(xxii)ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、カルボキシル基およびC1−6アルコキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいC1−6アシル基(例えば、ホルミル、アセチルなどのハロゲン化されていてもよいC2−6アルカノイルなど)またはベンゾイル基、(xxiii)酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む4ないし10員複素環基(例えば、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、3−,4−または5−ピラゾリル、2−,4−または5−チアゾリル、3−,4−または5−イソチアゾリル、2−,4−または5−オキサゾリル、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリル、1H−または2H−テトラゾリル、2−,3−または4−ピリジル、2−,4−または5−ピリミジル、3−または4−ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、インドリルなど;該複素環基はC1−6アルキル基などで置換されていてもよい)、(xxiv)酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む5ないし10員複素環−カルボニル基(例えば、2−または3−チエニルカルボニル、2−または3−フリルカルボニル、3−,4−または5−ピラゾリルカルボニル、2−,4−または5−チアゾリルカルボニル、3−,4−または5−イソチアゾリルカルボニル、2−,4−または5−オキサゾリルカルボニル、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリルカルボニル、1H−または2H−テトラゾリルカルボニル、2−,3−または4−ピリジルカルボニル、2−,4−または5−ピリミジルカルボニル、3−または4−ピリダジニルカルボニル、キノリルカルボニル、イソキノリルカルボニル、インドリルカルボニルなど;該複素環基はC1−6アルキル基などで置換されていてもよい)、(xxv)ヒドロキシイミノ基、C1−6アルコキシイミノ基、C6−14アリール基(例えば、1−または2−ナフチルなど)および(xxvi)ハロゲン化されていてもよい直鎖状または分枝状のC1−6アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、プロピレンジオキシ、テトラフルオロエチレンジオキシなど)(以上、置換基A群)などが用いられる。
ArまたはArで示される「置換されていてもよい単環性芳香族基」の「単環性芳香族基」としては、例えば、単環性芳香族炭化水素基または単環性芳香族複素環基が用いられる。
単環性芳香族炭化水素基としては、フェニル基などの単環性C6−8アリール基などが用いられ、特にフェニル基が好ましい。
単環性芳香族複素環基としては、例えば、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む5ないし8員の単環性芳香族複素環基などが用いられ、具体的には、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニルなどの5または6員の単環性芳香族複素環基が好ましく用いられる。特に、チエニル基が好ましい。
ArまたはArで示される「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、ニトロ基、シアノ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、置換されていてもよいアミノ基、アシル基、置換されていてもよいカルバモイル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基またはC1−3アルキレンジオキシ基(以上、置換基B群)などが挙げられる。
「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。
該「アルキル基」としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシルなどの「直鎖状または分枝状のC1−15アルキル基」など、好ましくはC1−8アルキル基が用いられ、より好ましくはC1−6アルキル基が用いられ、さらに好ましくはC1−4アルキル基が用いられる。
該「シクロアルキル基」としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチルなどの「C3−10シクロアルキル基」などが用いられ、より好ましくはC3−8シクロアルキル基が用いられ、さらに好ましくはC5−7シクロアルキル基が用いられる。
該「アルケニル基」としては、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、3−ブテニル、3−オクテニル、9−オクタデセニルなどの「C2−18アルケニル基」などが用いられ、より好ましくはC2−6アルケニル基が用いられ、さらに好ましくはC2−4アルケニル基が用いられる。
該「シクロアルケニル基」としては、例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルなどの「C3−10シクロアルケニル基」などが用いられ、より好ましくはC3−8シクロアルケニル基が用いられ、さらに好ましくはC5−7シクロアルケニル基が用いられる。
該「アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、プロパルギル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニルなどの「C2−8アルキニル基」などが用いられ、より好ましくはC2−6アルキニル基が用いられ、さらに好ましくはC2−4アルキニル基が用いられる。
該「アラルキル基」としては、C7−16アラルキル基などが用いられ、具体的には、例えばベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチルなどのフェニル−C1−6アルキル基および、例えば(1−ナフチル)メチル、2−(1−ナフチル)エチル、2−(2−ナフチル)エチルなどのナフチル−C1−6アルキル基などが用いられる。
該「アリール基」としては、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、フェナントリル、アントリル(anthryl)などの芳香族単環式、2環式または3環式のC6−14アリール基、ビフェニル基、トリル基などが用いられ、好ましくは、フェニル、ナフチルなどのC6−10アリール基、より好ましくはフェニルが用いられる。
「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」が有していてもよい置換基としては、例えば、(i)ヒドロキシ基、(ii)オキソ基、(iii)シアノ基、(iv)カルバモイル基、(v)モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイルなど;該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基などで置換されていてもよい)、モノ−またはジ−C2−4アルケニル−カルバモイル基(例えば、N−アリルカルバモイルなど;該アルケニル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基などで置換されていてもよい)、モノ−またはジ−フェニル−カルバモイル基(該フェニル基はハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル、C1−6アルコキシ基などで置換されていてもよい)、モノ−またはジ−ベンジル−カルバモイル基(該ベンジル基はハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル、C1−6アルコキシ基などで置換されていてもよい)、C1−6アルコキシ−カルボニル−カルバモイル基、C1−6アルキルスルホニル−カルバモイル基、C1−6アルコキシ−カルバモイル基、アミノ−カルバモイル基、モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ−カルバモイル基、モノ−またはジ−フェニルアミノ−カルバモイル基、(vi)カルボキシル基、(vii)C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルなど)、(viii)ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、(ix)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなど)、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、カルボキシル基で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基、(x)フェノキシ−C1−6アルキル基、フェノキシ−C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルカルボニル−オキシ基、カルバモイルオキシ基、モノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイルオキシ基、(xi)ハロゲン化されていてもよいフェニル基、ハロゲン化されていてもよいフェニル−C1−6アルキル基、ハロゲン化されていてもよいフェニル−C2−4アルケニル基、ハロゲン化されていてもよいフェノキシ基(例えば、o−,m−またはp−クロロフェノキシ、o−,m−またはp−ブロモフェノキシなど)、ピリジルオキシ基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル−C1−6アルコキシ基、C3−10シクロアルキル−C1−6アルキル基、(xii)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなど)、ハロゲン化されていてもよいC2−6アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ブテニルなど)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオなど)、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−6アルキル基、ヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−6アルキルチオ基、(xiii)メルカプト基、(xiv)チオキソ基、(xv)ハロゲン原子、カルボキシル基およびC1−6アルコキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいベンジルオキシ基またはベンジルチオ基、(xvi)ハロゲン化されていてもよいフェニルチオ基、ピリジルチオ基、フェニルチオ−C1−6アルキル基、ピリジルチオ−C1−6アルキル基、(xvii)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニルなど)、フェニルスルフィニル基、フェニルスルフィニル−C1−6アルキル基、(xviii)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニルなど)、フェニルスルホニル基、フェニルスルホニル−C1−6アルキル基、(xix)アミノ基、アミノスルホニル基、モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノスルホニル基(例えば、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、N,N−ジメチルアミノスルホニル、N,N−ジエチルアミノスルホニルなど;該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基などで置換されていてもよい)、(xx)C1−10アシル−アミノ基(例えば、C1−6アルカノイルアミノ(例、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、トリフルオロアセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ピバロイルアミノ等)、ベンゾイルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ(例、メタンスルホニルアミノ、トリフルオロメタンスルホニルアミノ等)、C6−10アリールスルホニルアミノ(例、ベンゼンスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ等);C1−10アシルはハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基などで置換されていてもよい)、ベンジルオキシカルボニルアミノ、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニルアミノ、カルバモイルアミノ基、モノ−またはジ−C1−6アルキルカルバモイルアミノ基、(xxi)モノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなど;該アルキル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基などで置換されていてもよい)、モノ−またはジ−C1−6アルカノイルアミノ基(例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノなど;該アルカノイル基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基などで置換されていてもよい)、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、C1−6アルキル(ベンジル)アミノ、C1−6アルカノイル(ベンジル)アミノ、(xxii)4ないし8員環状アミノ基(例えば、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、1−ピペラジニルなど)、4ないし8員環状アミノ−カルボニル基(例えば、1−アゼチジニルカルボニル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、1−ピペラジニルカルボニルなど)、4ないし8員環状アミノ−カルボニル−オキシ基(例えば、1−ピロリジニルカルボニルオキシ、ピペリジノカルボニルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、チオモルホリノカルボニルオキシ、1−ピペラジニルカルボニルオキシなど)、4ないし8員環状アミノ−カルボニル−アミノ基(例えば、1−ピロリジニルカルボニルアミノ、ピペリジノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、チオモルホリノカルボニルアミノ、1−ピペラジニルカルボニルアミノなど)、4ないし8員環状アミノ−スルホニル基(例えば、1−ピロリジニルスルホニル、ピペリジノスルホニル、モルホリノスルホニル、チオモルホリノスルホニル、1−ピペラジニルスルホニルなど)、4ないし8員環状アミノ−C1−6アルキル基、(xxiii)ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、カルボキシル基およびC1−6アルコキシ−カルボニル基から選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいC1−6アシル基(例えば、ホルミル、アセチルなどのハロゲン化されていてもよいC2−6アルカノイルなど)またはベンゾイル基、(xxiv)酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む4ないし10員複素環基(例えば、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、3−,4−または5−ピラゾリル、2−,4−または5−チアゾリル、3−,4−または5−イソチアゾリル、2−,4−または5−オキサゾリル、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリル、1H−または2H−テトラゾリル、2−,3−または4−ピリジル、2−,4−または5−ピリミジル、3−または4−ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、インドリルなど;該複素環基はC1−6アルキル基などで置換されていてもよい)、(xxv)酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む4ないし10員複素環−カルボニル基(例えば、2−または3−チエニルカルボニル、2−または3−フリルカルボニル、3−,4−または5−ピラゾリルカルボニル、2−,4−または5−チアゾリルカルボニル、3−,4−または5−イソチアゾリルカルボニル、2−,4−または5−オキサゾリルカルボニル、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリルカルボニル、1H−または2H−テトラゾリルカルボニル、2−,3−または4−ピリジルカルボニル、2−,4−または5−ピリミジルカルボニル、3−または4−ピリダジニルカルボニル、キノリルカルボニル、イソキノリルカルボニル、インドリルカルボニルなど;該複素環基はC1−6アルキル基などで置換されていてもよい)、(xxvi)ヒドロキシイミノ基、C1−6アルコキシイミノ基、C6−14アリール基(例えば、1−または2−ナフチルなど)および(xxvii)ハロゲン化されていてもよい直鎖状または分枝状のC1−6アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、プロピレンジオキシ、テトラフルオロエチレンジオキシなど)(以上、置換基C群)などが用いられる。該「炭化水素基」は、置換可能な位置に、これらの置換基を1ないし5個有していてもよく、2以上を有する場合、置換基は同一でも異なっていてもよい。
「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい複素環基」の「複素環基」としては、例えば、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む4〜16員の1ないし3環性の芳香族複素環基、飽和あるいは不飽和の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)等が挙げられる。
該「芳香族複素環基」としては、例えばフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等の5または6員の芳香族単環式複素環基、および例えばベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔b〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、ブテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニル、ベンゾ〔1,2,5〕チアジアゾリル、ベンゾ〔1,2,5〕オキサジアゾリル等の8〜16員(好ましくは、8〜12員)の芳香族縮合複素環基(好ましくは、前記した5または6員の芳香族単環式複素環基1〜2個(好ましくは、1個)がベンゼン環1〜2個(好ましくは、1個)と縮合した複素環または前記した5または6員の芳香族単環式複素環基の同一または異なった複素環2〜3個(好ましくは、2個)が縮合した複素環、より好ましくは前記した5または6員の芳香族単環式複素環基がベンゼン環と縮合した複素環)等が挙げられる。
該「非芳香族複素環基」としては、例えばオキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル(好ましくは、1−ピロリジニル)、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジニル(好ましくは、1−ピペリジニルまたは4−ピペリジニル)、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の飽和あるいは不飽和(好ましくは飽和)の非芳香族単環式複素環基(脂肪族単環式複素環基)、2,3−ジヒドロインドリル、1,3−ジヒドロイソインドリル等のように前記した非芳香族単環式複素環基1〜2個(好ましくは1個)がベンゼン環1〜2個(好ましくは1個)と縮合した複素環基、前記した非芳香族単環式複素環基1〜2個(好ましくは1個)が前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基の複素環1〜2個(好ましくは1個)と縮合した複素環基、あるいは1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリルなどのように前記した芳香族単環式複素環基または芳香族縮合複素環基の一部または全部の二重結合が飽和した非芳香族複素環基等が挙げられる。
該「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としては、5または6員の芳香族単環式複素環基などが好ましい。
該「複素環基」が有していてもよい置換基としては、「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」が有していてもよい置換基と同様の数の同様の基などが用いられる。
「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよいアミノ基」、「置換されていてもよいヒドロキシ基」および「置換されていてもよいチオール基」としては、それぞれ、置換されていてもよい炭化水素基、アシル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいカルバモイル基または置換されていてもよい複素環基などの置換基を有していてもよいアミノ基、ヒドロキシ基およびチオール基などが挙げられる。該「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としては、それぞれ、「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様の基などが用いられる。
また、置換基としての「アシル基」および「エステル化されていてもよいカルボキシル基」としては、それぞれ、後述の「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「エステル化されていてもよいカルボキシル基」および「アシル基」と同様の基などが用いられる。
該「置換されていてもよいカルバモイル基」としては、後述の「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよいカルバモイル基」と同様の基などが用いられる。
また、該「置換されていてもよい炭化水素基」および該「置換されていてもよい複素環基」における置換基としては、それぞれ、「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」における置換基と同様の数の同様な基などが用いられる。なかでも、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、トリクロロメトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ等)、置換されていてもよいフェニル(好ましくは、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基、カルボキシル基およびハロゲン原子から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニルなど)および酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む5ないし10員複素環基(例、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、3−,4−または5−ピラゾリル、2−,4−または5−チアゾリル、3−,4−または5−イソチアゾリル、2−,4−または5−オキサゾリル、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリル、1H−または2H−テトラゾリル、2−,3−または4−ピリジル、2−,4−または5−ピリミジル、3−または4−ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、インドリルなど;該複素環基はC1−4アルキル基などで置換されていてもよい)から選ばれた置換基で置換されていてもよい低級アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、アシル(C1−6アルカノイル(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル等)、ベンゾイル、C1−6アルキルスルホニル(例、メタンスルホニル等)、ベンゼンスルホニル等)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、トリフルオロメトキシカルボニル、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル、トリクロロメトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル等)、フェニルで置換されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル(例、ベンジルオキシカルボニル等)、置換されていてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等の低級(C1−6)アルキル基、フェニル基などの置換基1〜2個で置換されていてもよいカルバモイル基など)、複素環基(「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様の基など)等の置換基を有していてもよい「アミノ基」、「ヒドロキシ基」および「チオール基」などが好ましい例として挙げられる。また、N,N−ジ置換アミノにおける2個の置換基が窒素原子と一緒になって「環状アミノ基」を形成してもよく、該「環状アミノ基」としては、例えば1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ(硫黄原子は酸化されていてもよい)、1−ピペラジニルおよび4位に低級アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、アラルキル(例、ベンジル、フェネチル等のC7−10アラルキル等)、アリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10アリール等)等を有していてもよい1−ピペラジニル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の環状アミノ基などが用いられる。
「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換スルフィニル基」および「置換スルホニル基」は、それぞれ「置換されていてもよいヒドロキシ基」、「置換されていてもよいアミノ基」、「置換されていてもよい炭化水素基」または「置換されていてもよい複素環基」などの置換基で置換されたスルフィニル基またはスルホニル基を表す。
該「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としては、「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」と同様な基などが用いられる。該「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としては、「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様な基などが用いられる。また「置換スルフィニル基」および「置換スルホニル基」の置換基であるヒドロキシ基およびアミノ基に置換していてもよい置換基としては、それぞれ、「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよいヒドロキシ基」における「ヒドロキシ基」および「置換されていてもよいアミノ基」における「アミノ基」が有していてもよい置換基と同様の基などが用いられ、好ましくは、例えば、C1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、C2−4アルケニル基、C6−10アリール基、アシル基、アミノ基、複素環基(「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様の基など)などが挙げられる。
また、「置換スルフィニル基」および「置換スルホニル基」の置換基である「置換されていてもよい炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」における置換基としては、「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」における置換基と同様の基などが同様の数用いられる。
「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「アシル基」としては、例えばRCOOHなどのカルボン酸、例えばRSOHなどのスルホン酸、例えばRSOHなどのスルフィン酸、または、例えばROPO(OR)OHなどのリン酸(Rは水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示し、Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す)などからOH基を除いて得られるアシル基が用いられ、具体的にはRCO、RSO、RSO、ROPO(OR)(式中の記号は前記と同意義を示す)などが用いられる。
(およびR)で示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」ならびに「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としては、それぞれ、環Aが有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様の基などが用いられる。また、該「置換されていてもよい炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」における置換基としては、それぞれ、ArまたはArが有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」における置換基と同様の基などが同様の数用いられる。
COとしては、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、クロトニル、ベンゾイル、ニコチノイル、イソニコチノイル、トリフルオロアセチルなどが挙げられ、なかでも、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリルなどのRが低級(C1−6)アルキル基であるRCOなどがより好ましい。
「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよいカルバモイル基」としては、無置換のカルバモイルのほか、N−モノ置換カルバモイルおよびN,N−ジ置換カルバモイルが挙げられる。
該「置換されていてもよいカルバモイル基」における「カルバモイル基」が有していてもよい置換基としては、「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよいアミノ基」の「アミノ基」の置換基として例示した「置換されていてもよい炭化水素基」、「アシル基」、「エステル化されていてもよいカルボキシル基」、「置換されていてもよい複素環基」の他、「低級(C1−6)アルキル基、フェニル基などの置換基1〜2個で置換されていてもよいカルバモイル基(例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなど)」などが挙げられるが、前記「(置換されていてもよい炭化水素基、アシル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基または置換されていてもよい複素環基で)置換されていてもよいアミノ基」を有する「カルバモイル基」(すなわち、「置換されていてもよいカルバゾイル基」)、前記「(置換されていてもよい炭化水素基、アシル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基または置換されていてもよい複素環基で)置換されていてもよいヒドロキシ基」を有する「カルバモイル基」(すなわち、「置換されていてもよいN−ヒドロキシカルバモイル基」)などであってもよい。また、N,N−ジ置換カルバモイルにおける2個の置換基が窒素原子と一緒になって環状アミノを形成してもよく、この様な場合の環状アミノカルボニルとしては、例えば1−アゼチジニルカルボニル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル(硫黄原子は酸化されていてもよい)、1−ピペラジニルカルボニル、1−ホモピペラジニルカルボニル、および4位に低級アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、アラルキル(例、ベンジル、フェネチル等のC7−10アラルキル等)、アリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10アリール等)、C1−10アシル基(例、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、メトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、メチルスルホニル等)等を有していてもよい1−ピペラジニルカルボニル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の環状アミノカルボニルなどが用いられる。
具体的には、置換されていてもよいカルバモイル基としては、例えば、低級(C1−6)アルキル基、フェニル基などの置換基1〜2個で置換されていてもよいカルバモイル基などが用いられ、具体的にはカルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが好ましく用いられる。
「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「エステル化されていてもよいカルボキシル基」としては、式−COOR(Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示す)で表される基などが挙げられるが、なかでも、遊離のカルボキシル、低級アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニル、複素環オキシカルボニル、複素環メチルオキシカルボニル等が好ましく用いられる。
で示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」ならびに「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としては、それぞれ、「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様の基などが用いられる。また、該「炭化水素基」、「複素環基」が置換していてもよい置換基としては、それぞれ、「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」が有していてもよい置換基と同様の基などが同様の数用いられる。
「低級アルコキシカルボニル」としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル等のC1−6アルコキシカルボニル等が挙げられ、中でもメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル等のC1−3アルコキシカルボニル等が好ましい。
該「低級アルコキシカルボニル」は「低級アルコキシ」の「低級アルキル」部分に置換基を有していてもよく、その置換基としては、「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」が有していてもよい置換基として挙げた基と同様の基などが同様な数用いられる。
「アリールオキシカルボニル」としては、例えばフェノキシカルボニル、1−ナフトキシカルボニル、2−ナフトキシカルボニル等のC7−12アリールオキシカルボニル等が好ましい。
「アラルキルオキシカルボニル」としては、例えばベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル等のC7−15アラルキルオキシカルボニル等(好ましくは、C6−10アリール−C1−6アルコキシ−カルボニルなど)が好ましい。
「複素環オキシカルボニル」および「複素環メチルオキシカルボニル」における複素環としては、「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい複素環基」における「複素環」と同様のものなどが用いられ、例えば、ピリジル、キノリル、インドリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル等が好ましく用いられる。
該「アリールオキシカルボニル」、「アラルキルオキシカルボニル」および「複素環オキシカルボニル」はそれぞれ置換基を有していてもよく、それらの置換基としては、「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基としての「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」が有していてもよい置換基として挙げた基と同様の基などが同様な数用いられる。
「単環性芳香族基」が有していてもよい置換基として「C1−3アルキレンジオキシ基」としては、メチレンジオキシ、エチレンジオキシなどが用いられる。
上記した中でも、Arとしては、置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいチエニル基が好ましく、特に(1)無置換のフェニル基または(2)C1−6アルキル(例、メチル、エチル、プロピルなど、特にメチルなどのC1−3アルキル)あるいはハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)で置換されていてもよいチエニル基(例、2−チエニル基、3−チエニル基)が好ましい。
Arとしては、置換されていてもよいフェニル基が好ましく、特に無置換のフェニル基が好ましい。
としては、水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−3アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル)が好ましく、なかでも水素原子またはC1−3アルキル基が好ましい。具体的には、Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
としては、水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−3アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル)が好ましく、なかでもハロゲン化されていてもよいC1−3アルキル基が好ましい。具体的には、Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
としては、水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−3アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル)が好ましく、なかでもハロゲン化されていてもよいC1−3アルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
Xとしては、−O−が好ましい。
Yとしては、C1−3アルキレン基(例、メチレン、エチレン、プロピレン)が好ましく、メチレン基が好ましい。
XとYの組み合わせとしては、Xが−O−であり、Yがメチレン基の場合が好ましい。
本発明化合物としては、例えば、
(i)1,3,6-トリメチル-2-オキソ-4-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸ベンジルエステル(化合物1)、
(ii)4-(5-ブロモチオフェン-2-イル)-1,6-ジメチル-2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸ベンジルエステル(化合物2)、
(iii)6-メチル-2-オキソ-4-(チオフェン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸ベンジルエステル(化合物3)、
(iv)1,6-ジメチル-2-オキソ-4-(チオフェン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸ベンジルエステル(化合物4)、
(v)1,6-ジメチル-2-オキソ-4-(チオフェン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸 2-フェネチルエステル(化合物5)、
(vi)1,6-ジメチル-2-オキソ-4-(チオフェン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸 3-フェニルプロピルエステル(化合物6)、
(vii)1,6-ジメチル-4-(5-メチルチオフェン-2-イル)-2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸 2-フェネチルエステル(化合物7)またはその塩などが好ましく、特に、
(i)1,3,6-トリメチル-2-オキソ-4-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸ベンジルエステル(化合物1)、
(ii)4-(5-ブロモチオフェン-2-イル)-1,6-ジメチル-2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸ベンジルエステル(化合物2)、
(iii)1,6-ジメチル-2-オキソ-4-(チオフェン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸ベンジルエステル(化合物4)またはその塩などが好ましい。
本発明化合物(I)はジヒドロピリミジノン誘導体であり、例えばBiginelli反応として知られている古典的な縮合反応を用いることにより製造することができる。すなわち、芳香族アルデヒド(II)、ウレア誘導体(III)およびβ-ジカルボニル化合物(IV)の3成分を酸触媒存在下に縮合させることで容易にRが水素原子であるジヒドロピリミジノン誘導体(Ia)を製造することができる(1893年発行Gazz.Chim.Ital.23巻6937頁、1992年発行Tetrahedron26巻5473頁、2000年発行J.Org.Chem.65巻3864頁、2000年発行J.Org.Chem.65巻6270頁など)。本縮合反応は、通常無溶媒または溶媒中で行う。溶媒としては例えば、エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ハロゲン系溶媒(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等)、炭化水素系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール等)、エステル系溶媒(酢酸メチル、酢酸エチル等)、水等の単一または混合溶媒が用いられる。酸触媒としては例えば、有機カルボン酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸等)、有機スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等)、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸等)、ルイス酸(例えば、ボロントリフルオリド、イッテルビウムトリフラート、スカンジウムトリフラート、塩化イッテルビウム(III)、塩化インジウム(III)等)を用いることができる。このとき、芳香族アルデヒド(II)およびβ-ジカルボニル化合物(IV)1モルに対して、ウレア誘導体(III)は1〜2モル当量、好ましくは1.5モル当量程度、酸触媒は0.01〜1.5当量程度用いられる。このときの反応温度は、室温〜150℃、好ましくは50〜100℃であり、反応時間は0.1〜48時間、好ましくは2〜20時間程度である。
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕
がハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基で置換されたジヒドロピリミジノン誘導体(Ib)である場合、アルキル化反応により化合物(Ic)を製造することができる。本アルキル化反応は、通常溶媒中塩基存在下アルキル化剤を用いて行う。溶媒としては例えば、エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、炭化水素系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、tert−ブタノール等)、エステル系溶媒(酢酸メチル、酢酸エチル等)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、ジメチルスルホキシド、水等の単一または混合溶媒が用いられる。塩基としては例えば、水素化アルカリ金属類(例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム等)、無機塩基類(例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等)、水酸化アルカリ金属類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等)、アルカリ金属アルコキシド類(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウム等)を用いることができる。アルキル化剤としては、例えば、アルキルハライド類(例えば、ヨウ化メチル、臭化メチル、よう化エチル、臭化エチル、ヨウ化トリフルオロエチル、臭化トリフルオロエチル等)、スルホン酸エステル類(例えば、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸エチル、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等)が用いられる。このとき、化合物(Ib)およびその塩1モルに対して、アルキル化剤は1〜2モル当量、好ましくは1.5モル当量程度、塩基は1〜1.5当量程度用いられる。このときの反応温度は、−78〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間は0.1〜48時間、好ましくは1〜20時間程度である。
〔式中、R1aおよびR2aはハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基、その他の記号は前記と同意義を示す。〕
本発明化合物が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体を含有する場合には、これらも本発明化合物として含有されるとともに、自体公知の合成手法、分離手法によりそれぞれを単品として得ることができる。例えば、本発明化合物に光学異性体が存在する場合には、該化合物から分割された光学異性体も本発明化合物に包含される。
光学異性体は自体公知の方法により製造することができる。具体的には、光学活性な合成中間体を用いる、または、最終物のラセミ体を常法に従って光学分割することにより光学異性体を得る。
光学分割法としては、自体公知の方法、例えば、分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー法等が用いられる。
1)分別再結晶法
ラセミ体と光学活性な化合物(例えば、(+)−マンデル酸、(−)−マンデル酸、(+)−酒石酸、(−)−酒石酸、(+)−1−フェネチルアミン、(−)−1−フェネチルアミン、シンコニン、(−)−シンコニジン、ブルシンなど)と塩を形成させ、これを分別再結晶法によって分離し、所望により、中和工程を経てフリーの光学異性体を得る方法。
2)キラルカラム法
ラセミ体またはその塩を光学異性体分離用カラム(キラルカラム)にかけて分離する方法。例えば液体クロマトグラフィーの場合、ENANTIO−OVM(トーソー社製)あるいは、ダイセル社製 CHIRALシリーズなどのキラルカラムに光学異性体の混合物を添加し、水、種々の緩衝液(例、リン酸緩衝液)、有機溶媒(例、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、トリフルオロ酢酸、ジエチルアミンなど)を単独あるいは混合した溶液として展開させることにより、光学異性体を分離する。また、例えばガスクロマトグラフィーの場合、CP−Chirasil−DeX CB(ジーエルサイエンス社製)などのキラルカラムを使用して分離する。
3)ジアステレオマー法
ラセミ体の混合物を光学活性な試薬と化学反応によってジアステレオマーの混合物とし、これを通常の分離手段(例えば、分別再結晶、クロマトグラフィー法等)などを経て単一物質とした後、加水分解反応などの化学的な処理により光学活性な試薬部位を切り離すことにより光学異性体を得る方法。例えば、本発明化合物が分子内にヒドロキシまたは1,2級アミノを有する場合、該化合物と光学活性な有機酸(例えば、MTPA〔α−メトキシ−α−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸〕、(−)−メントキシ酢酸等)などとを縮合反応に付すことにより、それぞれエステル体またはアミド体のジアステレオマーが得られる。一方、本発明化合物がカルボン酸基を有する場合、該化合物と光学活性アミンまたはアルコール試薬とを縮合反応に付すことにより、それぞれアミド体またはエステル体のジアステレオマーが得られる。分離されたジアステレオマーは、酸加水分解あるいは塩基性加水分解反応に付すことにより、元の化合物の光学異性体に変換される。
化合物(I)の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
化合物(I)のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解などを起こして化合物(I)に変化する化合物をいう。化合物(I)のプロドラッグとしては、化合物(I)のアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例、化合物(I)のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、テトラヒドロピラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物など);化合物(I)の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例、化合物(I)の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化、テトラヒドロピラニル化された化合物など);化合物(I)のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例、化合物(I)のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など);等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。
また、化合物(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
また、化合物(I)は、同位元素(例、3H, 14C, 35S,125Iなど)などで標識されていてもよい。
さらに、化合物(I)は、無水物であっても、水和物であってもよい。
本発明化合物は、毒性が低く、そのまま、または薬理学的に許容し得る担体などと混合して医薬組成物とした後に、TGR5受容体作動剤として安全に用いることができる。
ここにおいて、薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、例えばα化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、生理的食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、ブドウ糖などが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。 防腐剤の好適な例としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられる。
着色剤の好適な例としては、例えば水溶性食用タール色素(例、食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号などの食用色素、水不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩など)、天然色素(例、β−カロチン、クロロフィル、ベンガラなど)などが挙げられる。
甘味剤の好適な例としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどが挙げられる。
上記医薬組成物は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば日本薬局方(例えば第13改正)に記載の方法にしたがって製造することができる。該医薬組成物中の本発明化合物の含量は、例えば組成物全体の0.1〜100重量%である。
医薬組成物の剤型としては、例えば錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤、トローチ剤、シロップ剤等の経口剤;および注射剤(例、皮下注射剤,静脈内注射剤,筋肉内注射剤,腹腔内注射剤、点滴剤等)、外用剤(例、経皮製剤,軟膏剤等)、坐剤(例、直腸坐剤,膣坐剤等)、ペレット、経鼻剤、経肺剤(吸入剤)、点眼剤等の非経口剤が挙げられる。これらの製剤は、速放性製剤または徐放性製剤などの放出制御製剤(例、徐放性マイクロカプセルなど)であってもよい。
本発明のTGR5受容体作動剤は、TGR5が関与する生理機能の調節剤、TGR5が関与する病態または疾患の予防・治療剤などとして有用である。
ここで、「TGR5が関与する生理機能の調節剤」における生理機能としては、サイトカイン産生、免疫反応などが挙げられ、該生理機能の調節剤(亢進または抑制剤)としては、例えばサイトカイン産生抑制剤、免疫抑制剤などが挙げられる。
また、「TGR5が関与する病態または疾患」としては、例えば心不全、心筋梗塞、急性腎不全、狭心症、不整脈、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、動脈硬化症、慢性関節リウマチ、糖尿病、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、アレルギー、変形性関節症、エリテマトーデス、移植医療後の過剰免疫反応、感染症などが挙げられる。
さらに、「TGR5が関与する病態または疾患」としては、例えばアルツハイマー病、痴呆、摂食障害、高血圧症、心肥大、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌、肺炎、気管支炎、肺線維症、クローン病、アトピー性皮膚炎、免疫不全、白血病、肝硬変、肝炎、肝不全、胆汁うっ滞症、結石、消化管潰瘍、腸炎、肥満なども挙げられる。
さらに、本発明のTGR5受容体作動剤は、例えば、Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤、食欲抑制剤、膵臓の再生剤、膵β細胞分化剤、膵β細胞増殖促進剤などとしても有効であり、例えば、糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊、肥満などの予防・治療剤として使用することができる。
糖尿病の判定基準については、1999年に日本糖尿病学会から新たな判定基準が報告されている。
この報告によれば、糖尿病とは、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が126mg/dl以上、75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dl以上、随時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dl以上のいずれかを示す状態である。また、上記糖尿病に該当せず、かつ、「空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が110mg/dl未満または75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が140mg/dl未満を示す状態」(正常型)でない状態を、「境界型」と呼ぶ。
また、糖尿病の判定基準については、1997年にADA(米国糖尿病学会)から、1998年にWHOから、新たな判定基準が報告されている。
これらの報告によれば、糖尿病とは、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が126mg/dl以上であり、かつ、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dl以上を示す状態である。
また、上記報告によれば、耐糖能不全とは、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が126mg/dl未満であり、かつ、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が140mg/dl以上200mg/dl未満を示す状態である。さらに、ADAの報告によれば、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が110mg/dl以上126mg/dl未満の状態をIFG(Impaired Fasting Glucose)と呼ぶ。一方、WHOの報告によれば、該IFG(Impaired Fasting Glucose)のうち、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が140mg/dl未満である状態をIFG(Impaired Fasting Glycemia)と呼ぶ。
本発明化合物は、上記した新たな判定基準により決定される糖尿病、境界型、耐糖能異常、IFG(Impaired Fasting Glucose)およびIFG(Impaired Fasting Glycemia)の予防・治療剤としても用いられる。さらに、本発明化合物は、境界型、耐糖能異常、IFG(Impaired Fasting Glucose)またはIFG(Impaired Fasting Glycemia)から糖尿病への進展を防止することもできる。
本発明のTGR5受容体作動剤は、哺乳動物(例、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対し、安全に投与することができる。
本発明のTGR5受容体作動剤の投与量は、投与対象、投与ルート、対象疾患などにより異なるが、例えば、該作動剤を糖尿病治療剤として成人(約60kg)に経口投与する場合の投与量は、有効成分である本発明化合物として、一日あたり、約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。これらの量は1〜数回に分けて投与することができる。また、本発明のTGR5受容体作動剤を糖尿病治療剤として成人(約60kg)に非経口投与(例えば静脈注射)する場合の投与量は、有効成分である本発明化合物として、一日あたり、約0.01〜30mg、好ましくは約0.1〜20mg、より好ましくは約0.1〜10mgである。これらの量は1〜数回に分けて投与することができる。
さらに、本発明化合物は、本発明化合物以外の薬物と併用して使用することができる。
本発明化合物と併用し得る薬物(以下、併用薬物と略記する場合がある)としては、例えば、上記疾患に対する他の薬剤(他の糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、高脂血症治療剤、抗肥満剤)、化学療法剤、免疫療法剤、免疫調節薬、抗炎症薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗原虫薬、抗生物質、鎮咳・去たん薬、鎮静薬、麻酔薬、抗潰瘍薬、不整脈治療薬、降圧利尿薬、抗凝血薬、精神安定薬、抗精神病薬、抗腫瘍薬、筋弛緩薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗アレルギー薬、強心薬、不整脈治療薬、血管拡張薬、血管収縮薬、降圧剤、利尿薬、麻薬拮抗薬、ビタミン薬、ビタミン誘導体、抗喘息薬、頻尿・尿失禁治療薬、アトピー性皮膚炎治療薬、アレルギー性鼻炎治療薬、昇圧薬、エンドトキシン拮抗薬あるいは抗体、シグナル伝達阻害薬、炎症性メディエーター作用抑制薬、炎症性メディエーター作用抑制抗体、抗炎症性メディエーター作用抑制薬、抗炎症性メディエーター作用抑制抗体などが挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。
具体的には、他の糖尿病治療剤としては、インスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌、イーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS−1等)など)、インスリン感受性増強剤(例、塩酸ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロジグリタゾンまたはそのマレイン酸塩、JTT−501、MCC−555、YM−440、GI−262570、KRP−297、FK−614、CS−011、(γE)-γ-[[[4-[(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)メトキシ]フェニル]メトキシ]イミノ]ベンゼンブタン酸等)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート等)、ビグアナイド剤(例、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン等)、スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド等)やその他のインスリン分泌促進剤(例、レパグリニド、セナグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物、GLP−1、ナテグリニド等)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、NVP−DPP−278、PT−100、P32/98等)、β3アゴニスト(例、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、AJ−9677、AZ40140等)、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド等)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸等)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤等)、SGLT(sodium-glucose cotransporter)阻害剤(例、T−1095等)等が挙げられる。
糖尿病性合併症治療剤としては、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、フィダレスタット(SNK−860)、ミナルレスタット(ARI−509)、CT−112等)、神経栄養因子(例、NGF、NT−3等)、プロテインキナーゼC(PKC)阻害薬(例、LY−333531等)、AGE阻害剤(例、ALT−945、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウムブロミド(ALT−766)、EXO−226等)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸等)、脳血管拡張剤(例、チオプリド等)等が挙げられる。
抗高脂血剤としては、コレステロール合成阻害剤であるスタチン系化合物(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩等)等)、スクアレン合成酵素阻害剤あるいはトリグリセリド低下作用を有するフィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート等)等が挙げられる。
降圧剤としては、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル等)、アンジオテンシンII拮抗剤(例、ロサルタン、カンデサルタン、シレキセチル等)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン等)、クロニジン等が挙げられる。
抗肥満剤としては、例えば中枢性抗肥満薬(例、デキスフェンフルアミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス等)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット、ATL−962等)、β3アゴニスト(例、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、AJ−9677、AZ40140等)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子)等)、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL−15849等)等が挙げられる。
利尿剤としては、例えばキサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン等)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド等)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン等)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド等)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド等)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。
化学療法剤としては、例えばアルキル化剤(例、サイクロフォスファミド、イフォスファミド等)、代謝拮抗剤(例、メソトレキセート、5−フルオロウラシル等)、抗癌性抗生物質(例、マイトマイシン、アドリアマイシン等)、植物由来抗癌剤(例、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール等)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポキシドなどが挙げられる。なかでも5−フルオロウラシル誘導体であるフルツロンあるいはネオフルツロンなどが好ましい。
免疫療法剤としては、例えば微生物または細菌成分(例、ムラミルジペプチド誘導体、ピシバニール等)、免疫増強活性のある多糖類(例、レンチナン、シゾフィラン、クレスチン等)、遺伝子工学的手法で得られるサイトカイン(例、インターフェロン、インターロイキン(IL)等)、コロニー刺激因子(例、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン等)などが挙げられ、なかでもIL−1、IL−2、IL−12などが好ましい。
さらに、動物モデルや臨床で悪液質改善作用が認められている薬剤、すなわち、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例、インドメタシン等)〔キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、第49巻、5935〜5939頁、1989年〕、プロゲステロン誘導体(例、メゲステロールアセテート)〔ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(Journal of Clinical Oncology)、第12巻、213〜225頁、1994年〕、糖質ステロイド(例、デキサメサゾン等)、メトクロプラミド系薬剤、テトラヒドロカンナビノール系薬剤(文献はいずれも上記と同様)、脂肪代謝改善剤(例、エイコサペンタエン酸等)〔ブリティシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(British Journal of Cancer)、第68巻、314〜318頁、1993年〕、成長ホルモン、IGF−1、あるいは悪液質を誘導する因子であるTNF−α、LIF、IL−6、オンコスタチンMに対する抗体なども本発明製剤と併用することができる。
さらに、糖化阻害剤(例、ALT-711等)、神経再生促進薬(例、Y-128、VX853、prosaptide等)、抗うつ薬(例、デシプラミン、アミトリプチリン、イミプラミン)、抗てんかん薬(例、ラモトリジン)、抗不整脈薬(例、メキシレチン)、アセチルコリン受容体リガンド(例、ABT-594)、エンドセリン受容体拮抗薬(例、ABT-627)、モノアミン取り込み阻害薬(例、トラマドル)、麻薬性鎮痛薬(例、モルヒネ)、GABA受容体作動薬(例、ギャバペンチン)、α2受容体作動薬(例、クロニジン)、局所鎮痛薬(例、カプサイシン)、抗不安薬(例、ベンゾチアゼピン)、ホスホジエステラーゼ阻害薬(例、シルデナフィル)、ドーパミン受容体作動薬(例、アポモルフィン)なども本発明製剤と併用することができる。
本発明化合物と併用薬物とを組み合わせることにより、
(1)本発明化合物または併用薬物を単独で投与する場合に比べて、その投与量を軽減することができる、
(2)患者の症状(軽症、重症など)に応じて、本発明化合物と併用する薬物を選択することができる、
(3)本発明化合物と作用機序が異なる併用薬物を選択することにより、治療期間を長く設定することができる、
(4)本発明化合物と作用機序が異なる併用薬物を選択することにより、治療効果の持続を図ることができる、
(5)本発明化合物と併用薬物とを併用することにより、相乗効果が得られる、などの優れた効果を得ることができる。
以下、本発明化合物(I)と併用薬物を併用して使用することを「本発明の併用剤」と称する。
本発明の併用剤の使用に際しては、本発明化合物と併用薬物の投与時期は限定されず、本発明化合物またはその医薬組成物と併用薬物またはその医薬組成物とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
本発明の併用剤の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明化合物と併用薬物とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明化合物と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明化合物;併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。
本発明の併用剤は、毒性が低く、例えば、本発明化合物または(および)上記併用薬物を自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等として、経口的又は非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。注射剤は、静脈内、筋肉内、皮下または臓器内投与あるいは直接病巣に投与することができる。
本発明の併用剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質があげられ、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤、あるいは液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等があげられる。更に必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いることもできる。
賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
結合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
溶剤としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
懸濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
等張化剤としては、例えばブドウ糖、 D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
無痛化剤としては、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。
防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。
本発明の併用剤における本発明化合物と併用薬物との配合比は、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜選択することができる。
例えば、本発明の併用剤における本発明化合物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01ないし100重量%、好ましくは約0.1ないし50重量%、さらに好ましくは約0.5ないし20重量%程度である。
本発明の併用剤における併用薬物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01ないし100重量%、好ましくは約0.1ないし50重量%、さらに好ましくは約0.5ないし20重量%程度である。
本発明の併用剤における担体等の添加剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1ないし99.99重量%、好ましくは約10ないし90重量%程度である。
また、本発明化合物および併用薬物をそれぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量でよい。
これらの製剤は、製剤工程において通常一般に用いられる自体公知の方法により製造することができる。
例えば、本発明化合物または併用薬物は、分散剤(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、米国)、HCO 60(日光ケミカルズ製)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリンなど)、安定化剤(例、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(例、ポリソルベート80、マクロゴール等)、可溶剤(例、グリセリン、エタノール等)、緩衝剤(例、リン酸及びそのアルカリ金属塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩等)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖等)、pH調節剤(例、塩酸、水酸化ナトリウム等)、保存剤(例、パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール等)、溶解剤(例、濃グリセリン、メグルミン等)、溶解補助剤(例、プロピレングリコール、白糖等)、無痛化剤(例、ブドウ糖、ベンジルアルコール等)などと共に水性注射剤に、あるいはオリーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油などの植物油、プロピレングリコールなどの溶解補助剤に溶解、懸濁あるいは乳化して油性注射剤に成形し、注射剤とすることができる。
経口投与用製剤とするには、自体公知の方法に従い、本発明化合物または併用薬物を例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)又は滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール 6000など)などを添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とすることができる。そのコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン 80、プルロニック F68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、ドイツ,メタアクリル酸・アクリル酸共重合)および色素(例、ベンガラ,二酸化チタン等)などが用いられる。経口投与用製剤は速放性製剤、徐放性製剤のいずれであってもよい。
例えば、坐剤とするには、自体公知の方法に従い、本発明化合物または併用薬物を油性又は水性の固状、半固状あるいは液状の坐剤とすることができる。上記組成物に用いる油性基剤としては、例えば、高級脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベル社製,ドイツ)など〕、中級脂肪酸〔例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社製,ドイツ)など〕、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが挙げられる。また、水性基剤としては、例えばポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、水性ゲル基剤としては、例えば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体などが挙げられる。
上記徐放性製剤としては、徐放性マイクロカプセル剤などが挙げられる。
徐放型マイクロカプセルとするには、自体公知の方法を採用できるが、例えば、下記〔2〕に示す徐放性製剤に成型して投与するのが好ましい。
本発明化合物は、固形製剤(例、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤)などの経口投与用製剤に成型するか、坐剤などの直腸投与用製剤に成型するのが好ましい。特に経口投与用製剤が好ましい。
併用薬物は、薬物の種類に応じて上記した剤形とすることができる。
以下に、〔1〕本発明化合物または併用薬物の注射剤およびその調製、〔2〕本発明化合物または併用薬物の徐放性製剤又は速放性製剤およびその調製、〔3〕本発明化合物または併用薬物の舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤およびその調製について具体的に示す。
〔1〕注射剤およびその調製
本発明化合物または併用薬物を水に溶解してなる注射剤が好ましい。該注射剤には安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩を含有させてもよい。
該注射剤は、本発明化合物または併用薬物と所望により安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の双方を水に溶解することにより得られる。
上記安息香酸、サリチル酸の塩としては、例えばナトリウム,カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム,マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、メグルミン塩、その他トロメタモールなどの有機酸塩などが挙げられる。
注射剤中の本発明化合物または併用薬物の濃度は0.5〜50w/v%、好ましくは3〜20w/v%程度である。また安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の濃度は0.5〜50w/v%、好ましくは3〜20w/v%が好ましい。
また、本剤には一般に注射剤に使用される添加剤、例えば安定化剤(アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(ポリソルベート80、マクロゴール等)、可溶剤(グリセリン、エタノール等)、緩衝剤(リン酸及びそのアルカリ金属塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩等)、等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、分散剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン)、pH調節剤(塩酸、水酸化ナトリウム等)、保存剤(パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸等)、溶解剤(濃グリセリン、メグルミン等)、溶解補助剤(プロピレングリコール、白糖等)、無痛化剤(ブドウ糖、ベンジルアルコール等)などを適宜配合することができる。これらの添加剤は一般に注射剤に通常用いられる割合で配合される。
注射剤はpH調節剤の添加により2〜12好ましくは2.5〜8.0に調整するのがよい。
注射剤は本発明化合物または併用薬物と所望により安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の双方を、また必要により上記添加剤を水に溶解することにより得られる。これらの溶解はどのような順序で行ってもよく、従来の注射剤の製法と同様に適宜行うことができる。
注射用水溶液は加温するのがよく、また通常の注射剤と同様にたとえば濾過滅菌,高圧加熱滅菌などを行うことにより注射剤として供することができる。
注射用水溶液は、例えば100〜121℃の条件で5〜30分高圧加熱滅菌するのがよい。
さらに多回分割投与製剤として使用できるように、溶液の抗菌性を付与した製剤としてもよい。
〔2〕徐放性製剤又は速放性製剤およびその調製
本発明化合物または併用薬物を含んでなる核を所望により水不溶性物質や膨潤性ポリマーなどの被膜剤で被覆してなる徐放性製剤が好ましい。例えば、1日1回投与型の経口投与用徐放性製剤が好ましい。
被膜剤に用いられる水不溶性物質としては、例えばエチルセルロース、ブチルセルロースなどのセルロースエーテル類、セルロースアセテート、セルロースプロピオネートなどのセルロースエステル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレートなどのポリビニルエステル類、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリレート/シンナモエチルメタクリレート/アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリメタクリレート、ポリメタクリルアミド、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(メタクリル酸アンヒドリド)、グリシジルメタクリレート共重合体、とりわけオイドラギットRS−100,RL−100,RS−30D,RL−30D,RL−PO,RS−PO(アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチル・アンモニウムエチル共重合体)、オイドラギットNE−30D(メタアクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体)などのオイドラギット類(ローム・ファーマ社)などのアクリル酸系ポリマー、硬化ヒマシ油(例、ラブリーワックス(フロイント産業)など)などの硬化油、カルナバワックス、脂肪酸グリセリンエステル、パラフィンなどのワックス類、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
膨潤性ポリマーとしては、酸性の解離基を有し、pH依存性の膨潤を示すポリマーが好ましく、胃内のような酸性領域では膨潤が少なく、小腸や大腸などの中性領域で膨潤が大きくなる酸性の解離基を有するポリマーが好ましい。
このような酸性の解離基を有し,pH依存性の膨潤を示すポリマーとしては、例えばカーボマー(Carbomer)934P、940、941、974P、980、1342等、ポリカーボフィル(polycarbophil)、カルシウムポリカボーフィル(carcium polycarbophil)(前記はいずれもBFグツドリッチ社製)、ハイビスワコー103、104、105、304(いずれも和光純薬(株)製)などの架橋型ポリアクリル酸重合体が挙げられる。
徐放性製剤に用いられる被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよい。
該親水性物質としては、例えばプルラン、デキストリン、アルギン酸アルカリ金属塩などの硫酸基を有していてもよい多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基を有する多糖類、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
徐放性製剤の被膜剤における水不溶性物質の含有率は約30ないし約90%(w/w)、好ましくは約35ないし約80%(w/w)、さらに好ましくは約40ないし75%(w/w)、膨潤性ポリマーの含有率は約3ないし約30%(w/w)、好ましくは約3ないし約15%(w/w)である。被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよく、その場合被膜剤における親水性物質の含有率は約50%(w/w)以下、好ましくは約5〜約40%(w/w)、さらに好ましくは約5〜約35%(w/w)である。ここで上記%(w/w)は被膜剤液から溶媒(例、水、メタノール、エタノール等の低級アルコール等)を除いた被膜剤組成物に対する重量%を示す。
徐放性製剤は、以下に例示するように薬物を含む核を調製し、次いで得られた核を、水不溶性物質や膨潤性ポリマーなどを加熱溶解あるいは溶媒に溶解又は分散させた被膜剤液で被覆することにより製造される。
I.薬剤を含む核の調製。
被膜剤で被覆される薬物を含む核(以下、単に核と称することがある)の形態は特に制限されないが、好ましくは顆粒あるいは細粒などの粒子状に形成される。
核が顆粒又は細粒の場合、その平均粒子径は、好ましくは約150ないし2,000μm、さらに好ましくは約500ないし約1,400μmである。
核の調製は通常の製造方法で実施することができる。例えば、薬物に適当な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定化剤等を混合し、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法などにより調製する。
核の薬物含量は、約0.5ないし約95%(w/w)、好ましくは約5.0ないし約80%(w/w)、さらに好ましくは約30ないし約70%(w/w)である。
核に含まれる賦形剤としては、例えば白糖、乳糖、マンニトール、グルコースなどの糖類、澱粉、結晶セルロース、リン酸カルシウム、コーンスターチなどが用いられる。中でも、結晶セルロース、コーンスターチが好ましい。
結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プルロニックF68、アラビアゴム、ゼラチン、澱粉などが用いられる。崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(ECG505)、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)、架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)などが用いられる。中でも、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。滑沢剤、凝集防止剤としては例えばタルク、ステアリン酸マグネシウムおよびその無機塩、また潤滑剤としてポリエチレングリコールなどが用いられる。安定化剤としては酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの酸が用いられる。
核は上記製造法以外にも、例えば核の中心となる不活性担体粒子上に水、低級アルコール(例、メタノール、エタノールなど)等の適当な溶媒に溶解した結合剤をスプレーしながら、薬物あるいはこれと賦形剤、滑沢剤などとの混合物を少量づつ添加して行なう転動造粒法、パンコーティング法、流動層コーティング法や溶融造粒法によっても調製することができる。不活性担体粒子としては、例えば白糖、乳糖、澱粉、結晶セルロース、ワックス類で製造されたものが使用でき、その平均粒子径は約100μmないし約1,500μmであるものが好ましい。
核に含まれる薬物と被膜剤とを分離するために、防護剤で核の表面を被覆してもよい。防護剤としては、例えば前記親水性物質や、水不溶性物質等が用いられる。防護剤は、好ましくはポリエチレングリコールやヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基を有する多糖類、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが用いられる。該防護剤には安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の酸や、タルクなどの滑沢剤を含んでいてもよい。防護剤を用いる場合、その被覆量は核に対して約1ないし約15%(w/w)、好ましくは約1ないし約10%(w/w)、さらに好ましくは約2ないし約8%(w/w)である。
防護剤は通常のコーティング法により被覆することができ、具体的には、防護剤を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで被覆することができる。
II.核の被膜剤による被覆
前記Iで得られた核を、前記水不溶性物質及び pH依存性の膨潤性ポリマー、および親水性物質を加熱溶解あるいは溶媒に溶解又は分散させた被膜剤液により被覆することにより徐放性製剤が製造される。
核の被膜剤液による被覆方法として、例えば噴霧コーティングする方法などが挙げられる。
被膜剤液中の水不溶性物質、膨潤性ポリマー又は親水性物質の組成比は、被膜中の各成分の含有率がそれぞれ前記含有率となるように適宜選ばれる。
被膜剤の被覆量は、核(防護剤の被覆量を含まない)に対して約1ないし約90%(w/w)、好ましくは約5ないし約50%(w/w)、さらに好ましくは約5ないし35%(w/w)である。
被膜剤液の溶媒としては水又は有機溶媒を単独であるいは両者の混液を用いることができる。混液を用いる際の水と有機溶媒との混合比(水/有機溶媒:重量比)は、1ないし100%の範囲で変化させることができ、好ましくは1ないし約30%である。該有機溶媒としては、水不溶性物質を溶解するものであれば特に限定されないが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール等の低級アルコール、アセトンなどの低級アルカノン、アセトニトリル、クロロホルム、メチレンクロライドなどが用いられる。このうち低級アルコールが好ましく、エチルアルコール、イソプロピルアルコールが特に好ましい。水及び水と有機溶媒との混液が被膜剤の溶媒として好ましく用いられる。この時、必要であれば被膜剤液中に被膜剤液安定化のために酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの酸を加えてもよい。
噴霧コーティングにより被覆する場合の操作は通常のコーティング法により実施することができ、具体的には、被膜剤液を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで実施することができる。この時必要であれば、タルク、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸などを滑沢剤として、グリセリン脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油、クエン酸トリエチル、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどを可塑剤として添加してもよい。
被膜剤による被膜後、必要に応じてタルクなどの帯電防止剤を混合してもよい。
速放性製剤は、液状(溶液、懸濁液、乳化物など)であっても固形状(粒子状、丸剤、錠剤など)であってもよい。経口投与剤、注射剤など非経口投与剤が用いられるが、経口投与剤が好ましい。
速放性製剤は、通常、活性成分である薬物に加えて、製剤分野で慣用される担体、添加剤や賦形剤(以下、賦形剤と略称することがある)を含んでいてもよい。用いられる製剤賦形剤は、製剤賦形剤として常用される賦形剤であれば特に限定されない。例えば経口固形製剤用の賦形剤としては、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース(旭化成(株)製、アビセルPH101など)、粉糖、グラニュウ糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、L−システインなどが挙げられ、好ましくはコーンスターチおよびマンニトールなどが挙げられる。これらの賦形剤は一種又は二種以上を組み合わせて使用できる。賦形剤の含有量は速放性製剤全量に対して、例えば約4.5〜約99.4w/w%、好ましくは約20〜約98.5w/w%、さらに好ましくは約30〜約97w/w%である。
速放性製剤における薬物の含量は、速放性製剤全量に対して、約0.5〜約95%、好ましくは約1〜約60%の範囲から適宜選択することができる。
速放性製剤が経口固型製剤の場合、通常上記成分に加えて、崩壊剤を含有する。このような崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(五徳薬品製、ECG−505)、クロスカルメロースナトリウム(例えば、旭化成(株)製、アクジゾル)、クロスポビドン(例えば、BASF社製、コリドンCL)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学(株))、カルボキシメチルスターチ(松谷化学(株)、カルボキシメチルスターチナトリウム(木村産業製、エキスプロタブ)、部分α化デンプン(旭化成(株)製、PCS)などが用いられ、例えば水と接触して吸水、膨潤、あるいは核を構成している有効成分と賦形剤との間にチャネルを作るなどにより顆粒を崩壊させるものを用いることができる。これらの崩壊剤は、一種又は二種以上を組み合わせて使用できる。崩壊剤の配合量は、用いる薬物の種類や配合量、放出性の製剤設計などにより適宜選択されるが、速放性製剤全量に対して、例えば約0.05〜約30w/w%、好ましくは約0.5〜約15w/w%である。
速放性製剤が経口固型製剤である場合、経口固型製剤の場合には上記の組成に加えて、所望により固型製剤において慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば結合剤(例えば、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリンなど)、滑沢剤(例えば、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸(例えば、アエロジル(日本アエロジル))、界面活性剤(例えば、アルキル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体等の非イオン系界面活性剤など)、着色剤(例えば、タール系色素、カラメル、ベンガラ、酸化チタン、リボフラビン類)、必要ならば、橋味剤(例えば、甘味剤、香料など)、吸着剤、防腐剤、湿潤剤、帯電防止剤などが用いられる。また、安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸などの有機酸を加えてもよい。
上記結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンなどが好ましく用いられる。
速放性製剤は、通常の製剤の製造技術に基づき、前記各成分を混合し、必要により、さらに練合し、成型することにより調製することができる。上記混合は、一般に用いられる方法、例えば、混合、練合などにより行われる。具体的には、例えば速放性製剤を粒子状に形成する場合、前記徐放性製剤の核の調製法と同様の手法により、バーチカルグラニュレーター、万能練合機(畑鉄工所製)、流動層造粒機FD−5S(パウレック社製)等を用いて混合しその後、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法などにより造粒することにより調製することができる。
このようにして得られた速放性製剤と徐放性製剤とは、そのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に常法により別々に製剤化後、同時あるいは任意の投与間隔を挟んで組み合わせて投与する製剤としてもよく、また両者をそのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に一つの経口投与製剤(例、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル等)に製剤化してもよい。両製剤を顆粒あるいは細粒に製して、同一のカプセル等に充填して経口投与用製剤としてもよい。
〔3〕舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤およびその調製
舌下錠、バッカル製剤、口腔内速崩壊剤は錠剤などの固形製剤であってもよいし、口腔粘膜貼付錠(フィルム)であってもよい。
舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤としては、本発明化合物または併用薬物と賦形剤とを含有する製剤が好ましい。また、滑沢剤、等張化剤、親水性担体、水分散性ポリマー、安定化剤などの補助剤を含有していてもよい。また、吸収を容易にし、生体内利用率を高めるためにβ−シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体(例、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなど)などを含有していてもよい。
上記賦形剤としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられ、特に、ステアリン酸マグネシウムやコロイドシリカが好ましい。等張化剤としては塩化ナトリウム、グルコース、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、サッカロース、グリセリン、尿素などが挙げられ、特にマンニトールが好ましい。親水性担体としては結晶セルロース、エチルセルロース、架橋性ポリビニルピロリドン、軽質無水珪酸、珪酸、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウムなどの膨潤性親水性担体が挙げられ、特に結晶セルロース(例、微結晶セルロースなど)が好ましい。水分散性ポリマーとしてはガム(例、トラガカントガム、アカシアガム、グアーガム)、アルギン酸塩(例、アルギン酸ナトリウム)、セルロース誘導体(例、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ゼラチン、水溶性デンプン、ポリアクリル酸(例、カーボマー)、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリカーボフィル、アスコルビン酸パルミチン酸塩などが挙げられ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどが好ましい。特にヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。安定化剤としては、システイン、チオソルビトール、酒石酸、クエン酸、炭酸ナトリウム、アスコルビン酸、グリシン、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられ、特に、クエン酸やアスコルビン酸が好ましい。
舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤は、本発明化合物または併用薬物と賦形剤とを自体公知の方法により混合することにより製造することができる。さらに、所望により上記した滑沢剤、等張化剤、親水性担体、水分散性ポリマー、安定化剤、着色剤、甘味剤、防腐剤などの補助剤を混合してもよい。上記成分を同時に若しくは時間差をおいて混合した後、加圧打錠成形することにより舌下錠、バッカル錠又は口腔内速崩壊錠が得られる。適度な硬度を得るため、打錠成形の過程の前後において必要に応じ水やアルコールなどの溶媒を用いて加湿・湿潤させ、成形後、乾燥させて製造してもよい。
粘膜貼付錠(フィルム)に成型する場合は、本発明化合物または併用薬物および上記した水分散性ポリマー(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、賦形剤などを水などの溶媒に溶解させ、得られる溶液を流延させて(cast)フィルムとする。さらに、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、保存剤、着色剤、緩衝剤、甘味剤などの添加物を加えてもよい。フィルムに適度の弾性を与えるためポリエチレングリコールやプロピレングリコールなどのグリコール類を含有させたり、口腔の粘膜ライニングへのフィルムの接着を高めるため生物接着性ポリマー(例、ポリカルボフィル、カルボポール)を含有させてもよい。流延は、非接着性表面に溶液を注ぎ、ドクターブレードなどの塗布用具で均一な厚さ(好ましくは10〜1000ミクロン程度)にそれを広げ、次いで溶液を乾燥してフィルムを形成することにより達成される。このように形成されたフィルムは室温若しくは加温下乾燥させ、所望の表面積に切断すればよい。
好ましい口腔内速崩壊剤としては、本発明化合物または併用薬物と、本発明化合物または併用薬物とは不活性である水溶性若しくは水拡散性キャリヤーとの網状体からなる固体状の急速拡散投与剤が挙げられる。該網状体は、本発明化合物または併用薬物を適当な溶媒に溶解した溶液とから構成されている固体状の該組成物から溶媒を昇華することによって得られる。
該口腔内速崩壊剤の組成物中には、本発明化合物または併用薬物に加えて、マトリックス形成剤と二次成分とを含んでいるのが好ましい。
該マトリックス形成剤としてはゼラチン類、デキストリン類ならびに大豆、小麦ならびにオオバコ(psyllium)種子蛋白などの動物性蛋白類若しくは植物性タンパク類;アラビアゴム、ガーガム、寒天ならびにキサンタンなどのゴム質物質;多糖類;アルギン酸類;カルボキシメチルセルロース類;カラゲナン類;デキストラン類;ペクチン類;ポリビニルピロリドンなどの合成ポリマー類;ゼラチン−アラビアゴムコンプレックスなどから誘導される物質が含まれる。さらに、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトースならびにトレハロースなどの糖類;シクロデキストリンなどの環状糖類;リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムならびにケイ酸アルミニウムなどの無機塩類;グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−ヒドロシキプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシンならびにL−フェニルアラニンなどの炭素原子数が2から12までのアミノ酸などが含まれる。
マトリックス形成剤は、その1種若しくはそれ以上を、固形化の前に、溶液又は懸濁液中に導入することができる。かかるマトリックス形成剤は、界面活性剤に加えて存在していてもよく、また界面活性剤が排除されて存在していてもよい。マトリックス形成剤はそのマトリックスを形成することに加えて、本発明化合物または併用薬物の拡散状態をその溶液又は懸濁液中に維持する助けをすることができる。
保存剤、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、着色剤、pH調整剤、香味料、甘味料若しくは食味マスキング剤などの二次成分を組成物中に含有していてよい。適当な着色剤としては、赤色、黒色ならびに黄色酸化鉄類およびエリス・アンド・エベラールド社のFD&Cブルー2号ならびにFD&Cレッド40号などのFD&C染料が挙げられる。適当な香味料には、ミント、ラスベリー、甘草、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、カラメル、バニラ、テェリーならびにグレープフレーバーおよびその組合せたものが含まれる。適当なpH調整剤は、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸およびマレイン酸が含まれる。適当な甘味料としてはアスパルテーム、アセスルフェームKならびにタウマチンなどが含まれる。適当な食味マスキング剤としては、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン包接化合物、吸着質物質ならびにマイクロカプセル化アポモルフィンが含まれる。
製剤には通常約0.1〜約50重量%、好ましくは約0.1〜約30重量%の本発明化合物または併用薬物を含み、約1分〜約60分の間、好ましくは約1分〜約15分の間、より好ましくは約2分〜約5分の間に(水に)本発明化合物または併用薬物の90%以上を溶解させることが可能な製剤(上記、舌下錠、バッカルなど)や、口腔内に入れられて1ないし60秒以内に、好ましくは1ないし30秒以内に、さらに好ましくは1ないし10秒以内に崩壊する口腔内速崩壊剤が好ましい。
上記賦形剤の製剤全体に対する含有量は、約10〜約99重量%、好ましくは約30〜約90重量%である。β−シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体の製剤全体に対する含有量は0〜約30重量%である。滑沢剤の製剤全体に対する含有量は、約0.01〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%である。等張化剤の製剤全体に対する含有量は、約0.1〜約90重量%、好ましくは、約10〜約70重量%である。親水性担体の製剤全体に対する含有量は約0.1〜約50重量%、好ましくは約10〜約30重量%である。水分散性ポリマーの製剤全体に対する含有量は、約0.1〜約30重量%、好ましくは約10〜約25重量%である。安定化剤の製剤全体に対する含有量は約0.1〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%である。上記製剤はさらに、着色剤、甘味剤、防腐剤などの添加剤を必要に応じ含有していてもよい。
本発明の併用剤の投与量は、本発明化合物の種類、年齢、体重、症状、剤形、投与方法、投与期間などにより異なるが、例えば、糖尿病患者(成人、体重約60kg)一人あたり、通常、本発明化合物および併用薬物として、それぞれ1日約0.01〜約1000mg/kg、好ましくは約0.01〜約100mg/kg、より好ましくは約0.1〜約100mg/kg、とりわけ約0.1〜約50mg/kgを、なかでも約1.5〜約30mg/kgを1日1回から数回に分けて静脈投与される。もちろん、前記したように投与量は種々の条件で変動するので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
併用薬物は、副作用が問題とならない範囲でどのような量を設定することも可能である。併用薬物としての一日投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、感受性差、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、薬物の量として通常、たとえば経口投与で哺乳動物1kg体重あたり約0.001〜2000mg、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは、約0.1〜100mg程度であり、これを通常1日1〜4回に分けて投与する。
本発明の医薬を投与するに際しては、同時期に投与してもよいが、併用薬物を先に投与した後、本発明化合物を投与してもよいし、本発明化合物を先に投与し、その後で併用薬物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬物を先に投与する場合、併用薬物を投与した後1分〜3日以内、好ましくは10分〜1日以内、より好ましくは15分〜1時間以内に本発明化合物を投与する方法が挙げられる。本発明化合物を先に投与する場合、本発明化合物を投与した後、1分〜1日以内、好ましくは10分〜6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬物を投与する方法が挙げられる。
好ましい投与方法としては、例えば、経口投与製剤に製形された併用薬物約0.001〜200mg/kgを経口投与し、約15分後に経口投与製剤に製形された本発明化合物 約0.005〜100mg/kgを1日量として経口投与する。
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA :相補的デオキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グアニン
C :シトシン
RNA :リボ核酸
mRNA :メッセンジャーリボ核酸
dATP :デオキシアデノシン三リン酸
dTTP :デオキシチミジン三リン酸
dGTP :デオキシグアノシン三リン酸
dCTP :デオキシシチジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA :エチレンジアミン四酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
Gly :グリシン
Ala :アラニン
Val :バリン
Leu :ロイシン
Ile :イソロイシン
Ser :セリン
Thr :スレオニン
Cys :システイン
Met :メチオニン
Glu :グルタミン酸
Asp :アスパラギン酸
Lys :リジン
Arg :アルギニン
His :ヒスチジン
Phe :フェニルアラニン
Tyr :チロシン
Trp :トリプトファン
Pro :プロリン
Asn :アスパラギン
Gln :グルタミン
pGlu :ピログルタミン酸
また、本明細書中で繁用される置換基、保護基および試薬を下記の記号で表記する。
Me :メチル基
Et :エチル基
Bu :ブチル基
Ph :フェニル基
TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
Tos :p−トルエンスルフォニル
CHO :ホルミル
Bzl :ベンジル
Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル
Bom :ベンジルオキシメチル
Z :ベンジルオキシカルボニル
Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル
Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル
Boc :t−ブトキシカルボニル
DNP :ジニトロフェノール
Trt :トリチル
Bum :t−ブトキシメチル
Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル
HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール
HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−
1,2,3−ベンゾトリアジン
HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド
DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
本明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
配列番号:1
本発明で用いられるヒト由来の新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質TGR5のアミノ酸配列を示す。
配列番号:2
本発明で用いられるヒト由来の新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質TGR5をコードするcDNAの塩基配列を示す。
配列番号:3
以下の参考例1におけるPCR反応で使用したプライマー1の塩基配列を示す。
配列番号:4
以下の参考例1におけるPCR反応で使用したプライマー2の塩基配列を示す。
配列番号:5
本発明のマウス心臓由来の新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質mTGR5のアミノ酸配列を示す。
配列番号:6
本発明のマウス心臓由来の新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質mTGR5をコードするcDNAの塩基配列を示す。
配列番号:7
本発明のラット心臓由来の新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質rTGR5アミノ酸配列を示す。
配列番号:8
本発明のラット心臓由来の新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質rTGR5をコードするcDNAの塩基配列を示す。
配列番号:9
以下の実施例5におけるPCR反応で使用したプライマー1の塩基配列を示す。
配列番号:10
以下の実施例5におけるPCR反応で使用したプライマー2の塩基配列を示す。
配列番号:11
以下の実施例5におけるPCR反応で使用したプライマー3の塩基配列を示す。
配列番号:12
以下の実施例5におけるPCR反応で使用したプライマー4の塩基配列を示す。
配列番号:13
ウシ型TGR5のDNA配列を示す。
配列番号:14
ウシ型TGR5のアミノ酸配列を示す。
配列番号:15
ウサギ型TGR5のDNA配列を示す。
配列番号:16
ウサギ型TGR5のアミノ酸配列を示す。
配列番号:17
以下の実施例6におけるPCR反応で使用したbFプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:18
以下の実施例6におけるPCR反応で使用したbRプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:19
以下の実施例7におけるPCR反応で使用したrabbitFプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:20
以下の実施例7におけるPCR反応で使用したrabbitRプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:21
以下の実施例11におけるIL−1α mRNA発現量の定量に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:22
以下の実施例11におけるIL−1α mRNA発現量の定量に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:23
以下の実施例11におけるIL−1α mRNA発現量の定量に使用したプローブの塩基配列を示す。
配列番号:24
以下の実施例11におけるIL−1β mRNA発現量の定量に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:25
以下の実施例11におけるIL−1β mRNA発現量の定量に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:26
以下の実施例11におけるIL−1β mRNA発現量の定量に使用したプローブの塩基配列を示す。
配列番号:27
以下の実施例11におけるIL−6 mRNA発現量の定量に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:28
以下の実施例11におけるIL−6 mRNA発現量の定量に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:29
以下の実施例11におけるIL−6 mRNA発現量の定量に使用したプローブの塩基配列を示す。
配列番号:30
以下の実施例11におけるIL−8 mRNA発現量の定量に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:31
以下の実施例11におけるIL−8 mRNA発現量の定量に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:32
以下の実施例11におけるIL−8 mRNA発現量の定量に使用したプローブの塩基配列を示す。
配列番号:33
以下の実施例11におけるTNFα mRNA発現量の定量に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:34
以下の実施例11におけるTNFα mRNA発現量の定量に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:35
以下の実施例11におけるTNFα mRNA発現量の定量に使用したプローブの塩基配列を示す。
配列番号:36
モルモット型TGR5のアミノ酸配列を示す。
配列番号:37
モルモット型TGR5のDNA配列を示す。
配列番号:38
以下の実施例25におけるPCR反応で使用したプライマー1の塩基配列を示す。
配列番号:39
以下の実施例25におけるPCR反応で使用したプライマー2の塩基配列を示す。
以下の参考例1で得られた形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)JM109/pCR4−hTGR5は、平成12(2000)年4月3日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(旧 通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH))に寄託番号FERM BP−7114として、平成12(2000)年3月23日から大阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17番85号(郵便番号532−8686)の財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 16410として寄託されている。
以下の実施例5で得られた形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)DH5α/pAKKO1.11H−rTGR5は、平成14(2002)年2月7日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−7877として、平成14(2002)年1月10日から大阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17番85号(郵便番号532−8686)の財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 16745として寄託されている。
以下の実施例5で得られた形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)DH5α/pCR2.1−mTGR5は、平成14(2002)年2月7日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−7878として、平成14(2002)年1月10日から大阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17番85号(郵便番号532−8686)の財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 16746として寄託されている。
以下の実施例6で得られた形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)JM109/pTAbTGR5−1は、平成14(2002)年2月7日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−7879として、平成14(2002)年1月17日から大阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17番85号(郵便番号532−8686)の財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 16747として寄託されている。
以下の実施例7で得られた形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)JM109/pTArabbitTGR5−1は、平成14(2002)年2月7日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−7880として、平成14(2002)年1月17日から大阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17番85号(郵便番号532−8686)の財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 16748として寄託されている。
以下の実施例25で得られた形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)DH5alpha/pAKKOguinea pigTGR5は、平成15(2003)年3月28日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−8348として寄託されている。
以下に参考例、実施例、製剤例および試験例を示して、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作は、モレキュラー・クローニング(Molecular cloning)に記載されている方法に従った。
以下において、収率はmol/mol%を示し、その他の%は特記しない限り重量パーセントを示す。また、室温とは、1〜30℃の温度を示す。
参考例1 ヒト脾臓のG蛋白質共役型レセプター蛋白質(TGR5)をコードするcDNAのクローニングと塩基配列の決定
ヒト脾臓cDNA(Clontech)を鋳型とし、2個のプライマー、プライマー1(配列番号:3)およびプライマー2(配列番号:4)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記cDNAを1/10量鋳型として使用し、Advantage−GC2 Polymerase Mix(Clontech)1/50量、プライマー1(配列番号:3)およびプライマー2(配列番号:4)を各0.5μM、dNTPs200μM、および酵素に添付のバッファーを1/5量、GC Meltを1/5量加え、20μlの液量とした。PCR反応は、94℃・5分の後、94℃・30秒、60℃・30秒、68℃・2分のサイクルを30回繰り返し、最後に68℃・5分の伸長反応を行った。該PCR反応産物をTAクローニングキット(Invitrogen)の処方に従いプラスミドベクターpCR4(Invitrogen)へサブクローニングした。これを大腸菌JM109に導入し、cDNAを持つクローンをアンピシリンを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの配列を解析した結果、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNA配列(配列番号:2)を得た。このcDNAにより導き出されるアミノ酸配列(配列番号:1)を有する新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をTGR5と命名した。また配列番号:2で表わされるDNAを含有する形質転換体を大腸菌(Escherichia coli)JM109/pCR4−hTGR5と命名した。
実施例1 TGR5を一過性に発現させたHEK293細胞における、コレステロール代謝関連物質による活性の検出
コレステロール代謝関連物質によるTGR5特異的な刺激活性の検出は、CREプロモーターの発現誘導によって産生されるレポーター遺伝子産物(ルシフェラーゼ)の発現量を指標に行った。
HEK293細胞を増殖培地(DMEM(Dulbecco's Modified Eagle Medium)(GibcoBRL)に10%ウシ胎児血清(GibcoBRL)を添加したもの)に懸濁し、1×105cells/wellの濃度にてコラーゲンでコートされたBlack well 96ウェルプレート(ベクトンディッキンソン社)にまいた。37℃、5%CO2条件下で一晩培養した後、レポーター遺伝子を含むプラスミドであるpCRE−Luc(Clontech)と同時に、公知の方法により動物細胞での発現用ベクターpAKKO−111H(Biochem. Biophys. Acta, Hinuma, S. et al., 1219, 251-259, 1994記載のpAKKO−1.111Hと同一のプラスミドベクター)にTGR5遺伝子を挿入して作製した発現ベクタープラスミド、または、TGR5遺伝子を含まないもとのpAKKO−111Hを用いて細胞のトランスフェクションを以下のとおりに行った。
OPTI−MEM−I(GibcoBRL)とLipofectamineTM2000 Reagent(GibcoBRL)を24:1にて混合することにより、リポフェクトアミン希釈液を調製した。また、OPTI−MEM−I、TGR5発現ベクタープラスミドまたはもとのベクタープラスミド(240ng/μl)およびpCRE−Luc(240ng/μl)を24:0.9:0.1にて混合することによりDNA希釈液を調製した。リポフェクトアミン希釈液とDNA希釈液を等量混合し、20分間室温で静置することによりDNAとリポフェクトアミンの複合体を形成させた後、上記のHEK293細胞を培養したプレートに25μl添加し、さらに37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。
トランスフェクトしたHEK293細胞をアッセイ用培地(DMEMに0.1%ウシ血清アルブミンを添加したもの)にて洗浄した後、アッセイ用培地にて希釈したリトコール酸(和光純薬)およびプロゲステロン(和光純薬)を2×10-5Mとなるよう添加し、37℃、5%CO2条件下で4時間培養した。培養上清を捨てて、ルシフェラーゼ活性測定用の基質であるピッカジーンLT2.0(東洋インキ製造株式会社)を50μl添加し、プレートリーダー(ARVO sxマルチラベルカウンター、Wallac社)を用いてルシフェラーゼの発光量を測定した。
その結果、配列番号:2で表される塩基配列を有するTGR5遺伝子を導入したHEK293細胞特異的に、リトコール酸、プロゲステロンによるルシフェラーゼ活性の上昇が認められた(図6)。
実施例2 G蛋白質共役型レセプター蛋白質発現プラスミドおよびレポータープラスミドの宿主細胞への導入
公知の方法によって作製した各種G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA、すなわち甲状腺ホルモン刺激因子レセプター(TRHR)、ニューロメジンUレセプター(FM−3およびTGR−1)、プロラクチン放出因子レセプター(hGR3)、アペリンレセプター(APJ)などを挿入した動物細胞用発現プラスミドを用いて、大腸菌JM109を形質転換し、得られたコロニーを単離・培養後、QIAGEN Plasmid Maxi Kit(キアゲン)を用いてプラスミドの調製を行なった。また、cAMPレスポンスエレメント(CRE)の下流にレポーターとしてルシフェラーゼ遺伝子が連結されたpCRE−Luc(Clontech)のレポータープラスミドを同様にして調製した。
G蛋白質共役型レセプター蛋白質発現プラスミドおよびレポータープラスミドを導入する宿主細胞としては、HEK293細胞をコラーゲンタイプIでコートした96−well黒色プレート(ベクトンディッキンソン社)に100,000cells/well、培養液量100μlで播種し、一晩培養した。同じくCHO(dhfr)細胞をpAKKO−111Hで形質転換したCHO−mock細胞をコスター社の96−well黒色プレートに40,000 cells/well、培養液量100μlで播種し、一晩培養した。いずれの細胞についても、プレートで培養するための培地はDMEM(GibcoBRL社)に10%のウシ胎児血清のみを添加したものを用いた。
各プラスミドを240ng/μlの濃度に希釈し、G蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現プラスミド9μlとレポータープラスミド1μlの割合で240μlのOpti-MEM-I(GibcoBRL社)に添加した。これを、同じく240μlのOpti-MEM-Iに10μlのリポフェクトアミン2000(GibcoBRL社)を添加したものと等量混合して、リポフェクトアミン2000に添付のマニュアル記載の方法に従ってリポソームとプラスミドの複合体を形成させた。また、効率的なスクリーニングの実施のためには、240ng/μlの濃度で3種類のレセプター発現プラスミドを5μlずつ添加し、他の試薬の比率は前出と同じものを調製した。これらを25μl/wellずつHEK293あるいはCHO−mock細胞の培養液に添加し、37℃で一晩培養してプラスミドの導入を行った。CHO−mock細胞については、プラスミド添加後4時間以降に培養液をアッセイバッファー(0.1%のウシ血清アルブミンを添加したDMEM)に交換し、無血清化をおこなった。
実施例3 レポーターアッセイによるリガンド活性の検出
HEK293細胞についてはアッセイの1時間前に培養液を実施例2に記載のアッセイバッファーに交換し、プレインキュベーションを行なった。アッセイバッファーにリガンドあるいはリガンド候補化合物を溶解したものを用意し、実施例2で準備したHEK293細胞またはCHO−mock細胞に添加した。また、アッセイバッファーに終濃度2μMのフォルスコリンを添加した条件でのアッセイも同様にして実施した。サンプルを添加後に4時間のインキュベーションを行ない、レセプターを介したリガンドのアゴニスト活性によって惹起される細胞内シグナル伝達に由来するレポーター遺伝子の転写・翻訳の促進あるいは抑制を誘導した。インキュベーション終了後に各ウェルのアッセイバッファーを除去し、ピッカジーンLT2.0(東洋インキ社)発光基質を50μlずつ加えた。細胞が溶解し、基質と充分に混合した後、各ウェルのレポーター遺伝子の発現誘導量に由来する発光量を実施例1記載のプレートリーダーにて測定した。
実施例2および3に記載の方法に従って各種のG蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNAを挿入した発現プラスミドを用い、HEK293細胞においてリガンド刺激によるレポーター遺伝子の発現誘導を測定した。レセプターを介して細胞内へシグナルを伝達するG蛋白質αサブユニットの種類としてGsに共役するCRFRについては、フォルスコリン非添加、添加のいずれの条件においてもリガンド添加によるレポーター遺伝子の活性化が検出された。また、抑制性であるGαiに共役するAPJについては、フォルスコリン添加条件において、リガンド添加によるレポーター遺伝子発現の抑制が検出された。また、Gqに共役するレセプターTRHR、FM−3、TGR−1については、フォルスコリン添加条件においてレポーター遺伝子の発現の促進が検出された。GqおよびGiの両方に共役するレセプターhGR3についても、同様にフォルスコリン添加条件においてレポーター遺伝子の発現の促進が検出された(図7)。
実施例4 抑制性G蛋白質αサブユニットGi発現プラスミドを用いたレポーターアッセイ
実施例2に示したG蛋白質レセプター発現プラスミドと同様の方法によって抑制性G蛋白質αサブユニット(Gi)プラスミドを作製、調製した(ここで、Giついては、動物種を問わない)。これを3μl、レセプター発現プラスミドを7μl、レポータープラスミドを1μlの割合で240μlのOpti-MEM-Iに添加し、その他の条件は実施例2と同様の方法でHEK293あるいはCHO−mock細胞にDNAを導入した。これら3種のプラスミドの混合比は全体の量を11μlとした場合、Giが1から6、好ましくは1から3が適当である。これらを実施例3の方法に従ってアッセイを行いリガンド活性を検出した。
すなわち、Giを用いたTGR5のリトコール酸に対する反応を検出した結果、CHO−mock細胞を用いたTGR5のアッセイにおいて、GiをTGR5と同時に発現させることにより、リガンド非添加時(リガンド(−))のルシフェラーゼ活性を大幅に低下させることができ、その結果リガンド(リトコール酸、2×10-5M、リガンド(+))による活性の上昇を検出することが可能となった(図8)。
実施例5 マウスおよびラット型TGR5をコードするcDNAのクローニングと塩基配列の決定
配列番号:9で表されるオリゴDNAをセンス鎖プライマー1として、配列番号:10で表されるオリゴDNAをアンチセンス鎖プライマー2として、各々0.4μM、GC2 DNA Polymerase(CLONTECH社製)0.3μl、5x Buffer 6μl、GC-Melt 6μl、dNTP (TaKaRa社製)0.2mM、鋳型DNAとしてMarathon-Ready Mouse cDNA library (CLONTECH社製)の心臓cDNA溶液3μl、滅菌水9.9μlからなる混合液30μlを調製し、サーマルサイクラー(GeneAmp PCR system model 9700 (Applied Biosystems社製))を用いて、最初に94℃で20秒間置いた後、94℃で30秒、64℃で30秒、68℃で2分を1サイクルとして5サイクル、続いて94℃で30秒、62℃で30秒、68℃で2分を1サイクルとして5サイクル、続いて94℃で30秒、60℃で30秒、68℃で2分を1サイクルとして35サイクル、最後に68℃で7分伸長反応させるタッチダウンPCRのプログラムでPCR反応を行った。次に、反応終了液の一部をエチジウムブロマイドを含む1.5%アガロースゲルを用いて電気泳動後、UV照射のもと分子量マーカー換算で1kb付近の位置にPCR反応で増幅されたDNAに対応するバンドを確認した。次に塩基配列を決定する為にpCR2.1−TOPO(Invitrogen社製)を用いてTAクローニングし、該プラスミドを大腸菌DH5α株のコンピテントセルに導入した。アンピシリン含有LB寒天培地上で出現するアンピシリン耐性形質転換株のコロニーの中から外来DNA断片が挿入されていたプラスミドを保持していたクローンをコロニーPCRにより選択し、挿入DNAの塩基配列を決定するためにABI PRISM BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(Applied Biosystems社製)を用いたシーケンス反応を製品添付資料の条件にしたがって、サーマルサイクラー(GeneAmp PCR system model 9700 (Applied Biosystems社製))で行った後、該反応試料をDNAシーケンサーABI PRISM 3100 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社製)で分析した。
その結果、PCR産物から配列番号:6で表される990塩基の塩基配列からなり、配列番号:5で表される新規の329個のアミノ酸、すなわちTGR5に相同性のある構造遺伝子配列を決定できた。配列番号:5を含有する新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をmTGR5と命名した。さらに、この形質転換体をエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)DH5α/pCR2.1−mTGR5と命名した。
配列番号:11で表されるオリゴDNAをセンス鎖プライマー3として、配列番号:12で表されるオリゴDNAをアンチセンス鎖プライマー4として、各々0.4 μM、Advantage2 DNA Polymerase (CLONTECH社製)0.3μl、10x Buffer 3μl、dNTP (TaKaRa社製)0.2 mM、鋳型DNAとしてMarathon-Ready Rat cDNA library (CLONTECH社製)の心臓cDNA溶液3μl、滅菌水18.9μlからなる混合液30μlを調製し、サーマルサイクラー(GeneAmp PCR system model 9700 (Applied Biosystems社製))を用いて、最初に94℃で20秒間置いた後、94℃で30秒、64℃で30秒、68℃で2分を1サイクルとして5サイクル、続いて94℃で30秒、62℃で30秒、68℃で2分を1サイクルとして5サイクル、続いて94℃で30秒、60℃で30秒、68℃で2分を1サイクルとして35サイクル、最後に68℃で7分伸長反応させるタッチダウンPCRのプログラムでPCR反応を行った。次に、反応終了液の一部をエチジウムブロマイドを含む1.5%アガロースゲルを用いて電気泳動後、UV照射のもと分子量マーカー換算で1kb付近の位置にPCR反応で増幅されたDNAに対応するバンドを確認した。次に塩基配列を決定する為にpCR2.1−TOPO(Invitrogen社製)を用いてTAクローニングし、該プラスミドを大腸菌DH5α株のコンピテントセルに導入した。アンピシリン含有LB寒天培地上で出現するアンピシリン耐性形質転換株のコロニーの中から外来DNA断片が挿入されていたプラスミドを保持していたクローンをコロニーPCRにより選択し、挿入DNAの塩基配列を決定するためにABI PRISM BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(Applied Biosystems社製)を用いたシーケンス反応を製品添付資料の条件にしたがって、サーマルサイクラー(GeneAmp PCR system model 9700 (Applied Biosystems社製))で行った後、該反応試料をDNAシーケンサーABI PRISM 3100 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社製)で分析した。
その結果、PCR産物から配列番号:8で表される990塩基の塩基配列からなり、配列番号:7で表される新規の329個のアミノ酸、すなわちTGR5に相同性のある構造遺伝子配列を決定できた。配列番号:7を含有する新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をrTGR5と命名した。
次に、pCR2.1−TOPOに挿入したDNA断片を、プライマー3、プライマー4に付加された制限酵素SalI、SpeIサイトで酵素消化し、切り出されたrTGR5の配列を持つDNA断片を、発現プラスミドpAKKO1.11H(Hinuma, S., Hosoya, M., Ogi., Tanaka, H., Nagai, Y., and Onda, H.(1994)Biochim. Biophys. Acta 1129, 251-259)のSalI、SpeIサイトに挿入し、該プラスミドを大腸菌DH5α株のコンピテントセルに導入した。アンピシリン含有LB寒天培地上で出現するアンピシリン耐性形質転換株のコロニーの中からrTGR5断片が挿入されていたプラスミドを保持していたクローンをコロニーPCRにより選択した。さらに、この形質転換体をエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)DH5α/pAKKO1.11H−rTGR5と命名した。
実施例6 ウシ脾臓cDNAからのPCR法によるTGR5をコードするcDNAのクローニングと塩基配列の決定の取得
ウシ脾臓cDNAを鋳型として、配列番号:17で表されるプライマーbFおよび配列番号:18で表されるプライマーbRを用いて、PCRによる増幅を行った。
PCRの反応液はcDNA溶液1μl、0.5μl bF(10μM)、0.5μl bR(10μM)、2.5μl添付の10×反応液、2.5μl dNTP(10mM)、0.5μl Advantage2 DNA polymerase(クローンテック社)、17.5μl蒸留水を加えて合計25μlにした。反応液を、Thermal Cycler 9600(ABI社)を用いてPCR反応にかけた。PCRの条件は95℃2分の変性の後、98℃・10秒、63℃・20秒、72℃・60秒のサイクルを30回繰り返した。PCR産物の一部を用いて電気泳動で約1000bpのPCR産物の増幅を確認した後、PCR産物をQiagen PCR purification Kit(キアゲン社)を用いて精製し、直接配列決定を行ったところ配列番号:13の配列が得られた。配列番号:13のDNA配列から予測されるアミノ酸配列を配列番号:14に示す。次に、ゲルから回収したPCR産物をTAクローニングキット(Invitrogen社)を用いて大腸菌JM109にサブクローニングし、大腸菌JM109/pTAbTGR5-1を取得した。サブクローニングで得られた大腸菌からプラスミドpTAbTGR5-1をプラスミド抽出機(クラボウ社)を用いて抽出し、挿入断片の塩基配列を決定し、その配列がウシ型TGR5遺伝子であることを確認した。
実施例7 ウサギ脾臓cDNAからのPCR法によるTGR5をコードするcDNAのクローニングと塩基配列の決定の取得
ウサギ脾臓cDNAを鋳型として、配列番号:19で表されるプライマーrabbitFおよび配列番号:20で表されるプライマーrabbitRを用いて、PCRによる増幅を行った。
PCRの反応液はcDNA溶液1μl、0.5μl rabbitF(10μM)、0.5μl rabbitR(10μM)、2.5μl添付の10×反応液、2.5μl dNTP(10mM)、0.5μl Advantage2 DNA polymerase(クローンテック社)、17.5μl蒸留水を加えて合計25μlにした。反応液を、ThermalCycler9600(ABI社)を用いてPCR反応にかけた。PCRの条件は95℃・2分の変性の後、98℃・10秒、63℃・20秒、72℃・60秒のサイクルを30回繰り返した。PCR産物の一部を用いて電気泳動で約1000bpのPCR産物の増幅を確認した後、PCR産物をQiagen PCR purification Kit(キアゲン社)を用いて精製し、直接配列決定を行ったところ配列番号:15で表される塩基配列がえられた。配列番号:15で表されるDNA配列から予測されるアミノ酸配列を配列番号:16で示す。次に、ゲルから回収したPCR産物をTAクローニングキット(Invitrogen社)を用いて大腸菌JM109にサブクローニングし、大腸菌JM109/pTArabbitTGR5-1を取得した。サブクローニングで得られた大腸菌からプラスミドpTArabbitTGR5-1をプラスミド抽出機(クラボウ社)を用いて抽出し、挿入断片の塩基配列を決定し、その配列がウサギ型TGR5遺伝子であることを確認した。
実施例8 ヒト、ウサギ、ウシ、マウスおよびラット型TGR5の胆汁酸刺激によるレポーター遺伝子の発現量上昇の検出
実施例1に示したのと同様の方法により、動物細胞での発現用ベクターpAKKO-111Hに、実施例5に示したマウスおよびラット型TGR5遺伝子、実施例6に示したウシ型TGR5遺伝子、および実施例7に示したウサギ型TGR5遺伝子を挿入してそれぞれの遺伝子の発現ベクターを作製した。これらとインサートが挿入されていない元の発現ベクターおよび実施例1に示したヒト型TGR5発現ベクターを実施例4に示した方法に従い、抑制性G蛋白質αサブユニット(Gi)、レポータープラスミドとともにCHO−Mock細胞に一過性に発現させた。これを実施例3の方法に従い胆汁酸の刺激によるレポーター遺伝子の発現量を検出した。胆汁酸としてはタウロリトコール酸(TCLA)、リトコール酸(LCA)、デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)をそれぞれ10μMで使用した。またレポーター遺伝子発現のポジティブコントロールとしてはフォルスコリン(FSK、2μM)を用いた。その結果いずれの動物種由来のTGR5を発現させても、胆汁酸添加区で胆汁酸を添加しない区(Base)より高いルシフェラーゼ活性が検出された(図9)。このことからヒト型TGR5と同様にウサギ、ウシ、マウスおよびラット型TGR5も胆汁酸のレセプターとして作用することが示された。
実施例9 ウサギ肺胞マクロファージの貪食活性に対するタウロリトコール酸(TLCA)の抑制作用
ウサギ(NZW、メス、体重2.5−3.0kg前後)から麻酔下にて血清および肺を採取した。PBS(phosphate-buffered saline)を気管より注入して洗浄することにより、肺内の肺胞マクロファージ細胞を含む懸濁液を回収した。得られた細胞をさらにPBSで洗浄後、培地(DMEMに2%FBS、0.1mM非必須アミノ酸、50μg/mlストレプトマイシン、50U/mlペニシリン、50μg/mlゲンタマイシンを添加したもの。いずれもGibcoBRL社)に懸濁し、単核細胞分離液であるFicoll−Paque Plus(アマシャムファルマシア社)上に重層・遠心処理し、赤血球を除いた。単核細胞を培地にて洗浄後、0.25×106/wellの濃度で24ウェルプレートに播種し37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。培地を除き、TLCA100μMを加えた培地、あるいはコントロールの培地を0.5ml添加して、さらに16時間培養した。同じウサギより採取した血清50μl、加熱により殺菌処理した酵母懸濁液0.8×108/mlを30μl添加し37℃、5%CO2条件下で40分間培養した。0.1%フクシン液(和光純薬社)を60μl添加した後、細胞をはがして遠心し、懸濁液を顕微鏡にて観察した。フクシンにより酵母は染色されるが肺胞マクロファージにより貪食された酵母は染色されないことを利用して、貪食活性を示したマクロファージの算定を行った。その結果、図10に示すとおり、TLCAを添加した場合において、マクロファージの免疫機能のひとつである貪食活性の著明な低下が認められた。
実施例10 ウサギ肺胞マクロファージにおける、リポ多糖(LPS)で誘導された腫瘍壊死因子(TNF)αの分泌に対するTLCAの抑制効果
実施例9の方法で採取したウサギ肺胞マクロファージを0.25×106/wellの濃度に希釈し24ウェルプレートで一晩培養後、LPS刺激で誘導されるTNFα分泌に対する影響を検討した。TLCA50μMを含む培地あるいはコントロール培地0.5mlに交換して1時間培養後、同濃度のTLCA含有培地あるいはコントロール培地にLPS(E.coli O111:B4 和光純薬)を加えたもの(添加時の濃度1ng/ml)0.5mlを添加し、37℃、5%CO2条件下でさらに12時間培養した。培養後、上清を回収し、TNF感受性細胞株L929(理化学研究所)に対する増殖抑制作用を指標にTNFα量を測定した。L929細胞を1.2×104/wellにて96ウェルプレートに播種し37℃、5%CO2条件下で一晩培養後、肺胞マクロファージ培養上清を適当に希釈し、2μg/mlアクチノマイシンD(和光純薬社)存在下で一晩培養した。標準サンプルとしてはヒト組み換え型TNFα(Genzyme社)を使用した。L929細胞の増殖はCell Counting Kit−8(和光純薬社)によって測定した。その結果、図11に示すように、TLCAを添加することにより、顕著なTNFα分泌量の低下が認められた。
実施例11 ウサギ肺胞マクロファージの各種サイトカインmRNA発現量に対するタウロリトコール酸(TLCA)の抑制作用
実施例9の方法で採取したウサギ肺胞マクロファージを0.25×106/wellの濃度に希釈し6ウェルプレートで一晩培養後、TLCA100μMを含む培地あるいはコントロール培地1.5mlに交換して1時間培養後、同濃度のTLCA含有培地あるいはコントロール培地にLPS(E.coli O111:B4、和光純薬社)を加えたもの(添加時の濃度1ng/ml)1.5mlを添加し、37℃、5%CO2条件下でさらに2時間培養した。培地を除去後、Isogen(ニッポンジーン社)3mlを加え、マニュアルにしたがい全RNAを調製した。1μgの全RNAを、SuperScriptII逆転写酵素(Gibco BRL社)を用いてマニュアルに従いcDNAを合成し、25ng 全RNA/μlに相当するcDNA溶液を調製した。各種サイトカインのmRNA発現量定量はABI prism 7700 Sequence Detector(ABI社)を用いて行った。各反応には配列番号:21から35で表されるそれぞれのサイトカインに特異的なプライマー、プローブを設計し使用した。PCR反応液はUniversal PCR master mix(ABI社)12.5μl、それぞれのプライマーを各々100μMのものを0.225μlずつ、5μMのプローブを1.25μl、上記で調製したcDNA溶液1μlを加え、全量を蒸留水で25μlとした。それぞれのサンプルは50℃で2分間、95℃で10分間置いた後、95℃で15秒、60℃で1分のサイクルを40回繰り返し定量のための反応を行った。その結果、TNFα、IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8のいずれのサイトカインにおいてもTLCAの添加により明らかに発現量が低下し、ウサギ肺胞マクロファージに対するTLCAによる各種のサイトカインのmRNA発現抑制作用が見出された(図12)。
実施例12 TGR5遺伝子導入THP−1細胞の作製
ヒトマクロファージ細胞株THP−1にTGR5遺伝子を導入することによりTGR5高発現細胞を樹立した。まず、定法に従いヒトTGR5のcDNAをpcDNA3.1(Invitrogen社)に組み込んだpcDNA−TGR5を作製した。THP−1を培地(RPMI1640 10%FBS)にて培養し、定法に従い、リポフェクトアミン(GibcoBRL社)を用いてpcDNA−TGR5を導入した。その後、G418(GibcoBRL社)を培地に添加して耐性株を選択し、安定的にTGR5を高発現する細胞株、THP−TGR5を樹立した。
実施例13 THP−TGR5における、リポ多糖(LPS)で誘導された腫瘍壊死因子(TNF)αの分泌およびmRNA発現量に対するTLCAの抑制効果
実施例12で得たTHP−TGR5あるいはもとのTHP−1細胞を0.5×106/wellの濃度に希釈して10-8Mのホルボールエステル(和光純薬)存在下で24ウェルプレートで一晩培養後、LPS刺激で誘導されるTNFα分泌に対する影響を検討した。TLCA100μMを加えた培地あるいはコントロール培地0.5mlにて1時間培養後、同濃度のTLCA含有培地あるいはコントロール培地にLPSを加えたもの(添加時の濃度50ng/ml)0.5mlを添加し、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した。培養後、上清を回収し、実施例10と同じようにTNFα含量をL929の増殖抑制活性により定量した。またTHP−1とTHP−TGR5の全RNAはLPS添加の2時間後に細胞から実施例11と同様の方法で調製した。ヒト型TNFα mRNAの発現量はTaqMan Cytokine Gene Expression plate I(ABI社)を使用して求めた。定量値はTHP−1細胞のLPS、TLCAをともに添加しなかった区値を1とした時の相対値で示した。その結果、図13に示すように、THP−TGR5ではTLCA添加により顕著なTNFα分泌量の低下が認められた、一方、もとのTHP−1では顕著なTNFα分泌抑制作用は見られなかった。またmRNAも同様にTLCA添加による顕著な発現量の低下が認められた。これらのことから、ウサギ肺胞マクロファージで認められたTNFα分泌抑制効果は明らかにTGR5を介したものであることが確認され、生体内においてTGR5がこうした免疫機能の制御に関わることが示された。
実施例14 CHO細胞に発現させたTGR5−GFP融合蛋白質のタウロリトコール酸添加による細胞内移行
TGR5のC末端に翻訳のフレーム合わせてオワンクラゲより単離されたGreen Fluorescent Protein(GFP)cDNAをつないだ融合蛋白質を発現させるための発現プラスミドを構築した。その際GFP cDNAにはGFPの発現ベクターpQBI25(宝酒造)から切り出した断片を用いた。TGR5はPCR法によりその終止コドンを制限酵素NheIの認識配列に修正し、ここにGFP断片を連結して、実施例1に記載の発現ベクターpAKKO−111Hに挿入した。このようにして得たTGR5とGFPの融合蛋白質(以下、TGR5-GFP融合蛋白質)発現ベクターのプラスミドを以下の方法でCHO-mock細胞にトランスフェクションした。CHO-mock細胞は増殖培地[DMEM(Dulbecco's Modified Eagle Medium)(GIBCO BRL社)に10%ウシ胎児血清(GIBCO BRL社)を添加したもの]に懸濁し、0.6×105cells/チャンバーの濃度にてチェンバー数4つのLab−TekIIカバーグラスチェンバー(Nalgen Nunc社)にまき、37℃、5%CO2条件下で一晩培養した後にトランスフェクションした。トランスフェクションにはLipofectamineTM2000 Reagent(GIBCO BRL社)を用いた。まずLipofectamineTM 2000 Reagent 2μlとOPTI−MEM−I(GIBCO BRL社)50μlを混合し、20分間室温で静置することによりDNAとリポフェクトアミンの複合体を形成させた後、上記のCHO細胞を培養したチェンバーに100μl添加し、さらに37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。培地を共焦点顕微鏡観察用培地[Hanks' Balanced Salt Solution(GIBCO BRL社)に0.1%ウシ アルブミン(Essentially Fatty Acid Free、GIBCO BRL社)を懸濁したもの]に置き換え、共焦点顕微鏡(ライカ社)でGFPの蛍光像を観察した。その際、GFPの励起は488nmで行った。
その結果、TGR5−GFP融合蛋白質は細胞膜に観察された。この細胞にタウロリトコール酸を10-5Mとなるように培地に添加30分後には、GFPの蛍光が細胞膜ではなく、細胞質に移動していることが見出された。このことはTGR5が細胞膜に発現するG蛋白質共役型のレセプターであるとともに、TGR5がタウロリトコール酸に反応して細胞質へ移行、すなわちインタナリゼーションしたことを示していた。
実施例15 タウロリトコール酸添加によるTGR5発現CHO細胞でのMAPキナーゼ活性化
実施例1で作製したTGR5発現ベクターを用いて公知の方法で作製した安定的なTGR5発現CHO(CHO−TGR5)またはCHO−mock細胞を3×105/wellの濃度で6ウェルプレートに撒いて、血清低濃度培地(核酸不含MEMα培地に0.5%の透析ウシ胎児血清を添加したもの)にて一晩培養し、さらに無血清培地(核酸不含MEMα培地に0.1%ウシ血清アルブミンを添加したもの)に交換して一晩培養した。新しい無血清培地に交換して3時間培養後、2μMのタウロリトコール酸(TLCA)を添加した。0〜20分インキュベーションしたのち、サンプルバッファー(TEFCO社)で細胞を溶解・抽出しSDS−PAGEによって分離を行った。その後PhosphoPlus p44/42 MAP kinase(Thr202/Tyr204)Antibody Kit(Cell Signaling Technology, Inc)を用いたウエスタンブロッテイングを行った。その結果、図14に示す通り、TGR5発現CHO細胞でのみ、TLCA添加後5分をピークにMAPキナーゼのリン酸化によって示される当該蛋白質の活性化が起こることが分かった。
実施例16 TGR5発現CHO細胞における各種胆汁酸のcAMP産生上昇活性
CHO−TGR5を2×104/wellの濃度で96ウェルプレートに撒いて一晩培養後、cAMP産生量の測定に用いた。アッセイ用バッファー(DMEMに0.1%ウシ血清アルブミン、0.2mM 3-Isobutyl-1-methylxanthine, IBMXを添加したもの)で細胞を2回洗浄し、30分プレインキュベーションした。細胞を2回洗浄した後、アッセイ用バッファーに希釈したサンプルを細胞に添加して20分間インキュベーションした。培養上清を捨てて、cAMP Screen System(ABI)によってcAMP産生量を測定した。ポジティブコントロールとして、リトコール酸(LCA)10μMを用いた。cAMP産生量はポジティブコントロールを100%とした場合の%値で表した。その結果、図15に示す通りタウロリトコール酸(TLCA)、リトコール酸(LCA)、デオキシコール酸(DCA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)、コール酸(CA)の順で濃度依存的なcAMP産生の上昇が観察された。また、2μMの濃度でその他の胆汁酸やコレステロール代謝化合物などによるCHO−TGR5におけるcAMP産生上昇活性を比較し、その結果を図16に示した。LCA、DCA、CDCA、CAのそれぞれにおいて、タウリン抱合体(T)、グリシン抱合体(G)、非抱合体(F)のいずれもcAMP産生上昇活性を有することが分かった。
実施例17 ヒトTGR5 mRNA発現分布解析
mRNAの発現量の定量にはABI PRISM 7700 SequenceDetector(アプライドバイオシステムズ社)を用いた。発現量の定量に用いるプライマーとプローブは、ヒト型TGR5の塩基配列(配列番号:2)をもとにABI PRISM 7700 SequenceDetector専用のソフトウエアPrimerExpress(アプライドバイオシステムズ社)を利用してデザインした。鋳型となるcDNAは、ヒト各種組織由来のpolyA+RNA(クロンテック社)1μgからランダムプライマーを用いて42℃で合成した。逆転写反応にはSuperScriptII逆転写酵素(GIBCO BRL社)を用い、添付のマニュアルに従って反応を行い、反応終了後エタノール沈殿して100μlに溶解した。また分画したヒト血球由来のcDNAとしてはMultiple Tissue cDNA(MYTCTM)panels Human Blood Fractions (クロンテック社)を使用した。ABI PRISM 7700 Sequence Detectorの反応液はTaqMan Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステムズ社)のマニュアルにしたがい、マスターミックスを12.5μl、プライマーを0.9μM、プローブを0.25μM、各サンプルのcDNA溶液を1μlで混ぜ合わせ、蒸留水で25μlとして調製した。ABI PRISM 7700 SequenceDetectorでの反応は、50℃で2分、95℃で10分の後、95℃ 15秒、60℃ 1分のサイクルを40回繰り返して行った。
ヒト各種組織でのTGR5 mRNAの発現分布を図17に示す。胎盤、脾臓、肺など免疫に関与する組織や腸管での高発現が見出された。またヒト血球でのTGR5 mRNAの発現量を図18に示す。CD14を発現している血球、すなわち単球・マクロファージでの高発現が見出された。
実施例18 ウサギTGR5 mRNA発現分布解析
実施例17と同様の方法でウサギ型TGR5 mRNAの発現量を求めた。用いたプライマーとプローブはウサギTGR5(配列番号:15)をもとにデザインした。ウサギの各種組織由来の全RNAは、北山ラベス社より購入したNZW 雌性 体重2.5〜3.0kg前後の個体より各組織を取得し、Isogen(ニッポンジーン社)を用い、付属のマニュアルにしたがって調製した。cDNAは調製した全RNA 1μgから実施例17と同様の方法で合成した。ただし逆転写反応後は40μlに溶解した。
ウサギ型TGR5 mRNAの発現は図19に示したように、免疫に関与する脾臓、肺胞マクロファージや胸腺、腸管で高発現していた。
実施例19 TLCAによるウサギ肺胞マクロファージのcAMP産生上昇
実施例9の方法で調製したウサギ肺胞マクロファージを培地(DMEMに2%FBS、0.1mM非必須アミノ酸、50μg/mlストレプトマイシン、50U/mlペニシリン、50μg/mlゲンタマイシンを添加したもの)に懸濁し2×105/wellの濃度で96ウェルプレートに撒き一晩培養した。細胞をDMEMに0.1% BSA、1mM IBMXを加えた培地で2回洗浄した後、同じ培地に希釈したTLCA 200μMあるいは培地を添加して4分間インキュベーションした。cAMP Screen System(ABI)によってcAMP産生量を測定した結果、図20に示す通りTLCA添加によりcAMP産生量の上昇が認められた。
実施例20 ウサギ肺胞マクロファージの貪食活性におよぼす各種胆汁酸の抑制効果
実施例9の方法に従い、ウサギ肺胞マクロファージを調製し、各種胆汁酸による貪食能抑制効果を検討した。その結果、図21に示すとおり、TLCAの他、GLCA、LCAを100μMにて添加した場合において、マクロファージの免疫機能のひとつである貪食活性の著明な低下が認められた。
実施例21 ウサギ肺胞マクロファージからのTNFα分泌に対する胆汁酸の抑制効果
実施例9の方法で調製したウサギ肺胞マクロファージを培地(DMEMに2%FBS、0.1mM非必須アミノ酸、50μg/mlストレプトマイシン、50U/mlペニシリン、50μg/mlゲンタマイシンを添加したもの)に懸濁し0.25×106/wellの濃度で24ウェルプレートに撒き一晩培養した。同じ培地を用いて胆汁酸を希釈してグラフに表示した濃度にて肺胞マクロファージに添加して1時間培養した。さらに、同じ濃度の胆汁酸サンプルにリポ多糖(LPS、E.coli O111:B4 和光純薬)を添加したものを追加して加え、12時間培養した。LPSの濃度は1ng/mlにて加えた。培養後、培養上清を回収し、実施例10と同様に上清中のTNFαを定量した。その結果、図22に示す通り、TGR5にアゴニスト活性を示す胆汁酸の添加により濃度依存的にTNFα分泌量の抑制活性が認められた。
実施例22 TGR5遺伝子を導入したTHP−1細胞におけるcAMP産生上昇
THP−1あるいは実施例12で得たTGR5高発現細胞株THP−TGR5をアッセイ用培地(DMEMに0.1% BSAと1mM IBMXを添加したもの)で洗浄後、1×105/wellにて96ウェルプレートに撒いた。上記アッセイ用培地にて希釈した胆汁酸を添加して20分間インキュベーションした。その後cAMP Screen System(ABI)によってcAMP産生量を測定した結果、図23に示す通りTHP−TGR5においてTLCA、LCA、DCA添加によるcAMP産生量の上昇が認められた。一方THP−1ではTLCAによるcAMP産生上昇は認められないことから、これらの胆汁酸によるcAMP上昇はTGR5を介した反応であることが確かめられた。
実施例23 LPSで刺激されたTHP−TGR5からの腫瘍壊死因子(TNF)α分泌に対する各種胆汁酸の抑制効果
実施例13と同様にTHP−TGR5あるいはTHP−1細胞を処理し、LPSで刺激されたTNFα分泌に対する各種胆汁酸の抑制効果を検討した。LPS刺激は12時間とし、培養上清を回収後、実施例13と同じく、バイオアッセイによるTNFα含有量の測定を行った。その結果、図24に示す通り、THP−TGR5では胆汁酸の濃度依存性にTNFα分泌量の低下が認められた。一方、THP−1では顕著なTNFα分泌抑制作用は見られなかった(図25)。これらのことから、ウサギ肺胞マクロファージで認められたTNFα分泌抑制効果は明らかにTGR5を介したものであることが確認され、生体内においてTGR5がこうした免疫機能の制御に関わることが示された。
実施例24 TGR5発現CHO細胞を用いたアゴニストスクリーニング方法
ヒトTGR5発現CHO細胞(ウサギ、ウシ、ラット、マウスTGR5発現CHO細胞も使用可能)を1〜2x10/wellの濃度で96〜384ウェルプレートにまいて培養後にcAMP産生アッセイに用いる。アッセイバッファーにはHank’s balanced salt solution(HBSS)またはDMEMに0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)および 0.2〜0.5mM 3−Isobutyl−1−methylxanthine(IBMX)を添加したものを用いる。培地をアッセイバッファーに置換し、37℃で10〜30分間プレインキュベーションを行う。アッセイバッファーで細胞を1回洗浄した後アッセイバッファーで調製した胆汁酸(ポジティブコントロール)または低分子合成化合物サンプルを添加し、37℃で20〜30分間インキュベーションする。アンタゴニストのスクリーニングにおいては胆汁酸(ポジティブコントロール)または低分子合成アゴニスト化合物を同時に添加することによりアッセイする。その後、市販のcAMP定量キット(cAMP Screen System(ABI社)またはHit Hunter(ABI社))を用いて細胞のcAMP産生量を測定する。
実施例25 モルモット由来のTGR5をコードするcDNAのクローニングとその塩基配列の決定
モルモット脾臓cDNAを鋳型として、プライマー(配列番号:38)およびプライマー2(配列番号:39)を用いてPCRを行なった。PCRにはGC melt DNA Polymerase(クローンテック)を用い、1)95℃・2分、2)98℃・10秒、63℃・20秒、72℃・1分を35回の後、72℃・7分の伸長反応を行なった。反応後、増幅産物を制限酵素SalI、SpeIで切断しpAKKO111Hにクローニングした。これを大腸菌DH5alpha(東洋紡)に導入して、プラスミドを持つクローンをアンピシリンを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの塩基配列を解析した結果、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNA配列(配列番号:37)を得た。このcDNAより導き出されるアミノ酸配列(配列番号:36)を含有する新規蛋白質をモルモットTGR5と命名した。また形質転換体を大腸菌(Escherichia coli)DH5alpha/pAKKOguinea pigTGR5と命名した。
実施例26 NCI−H716におけるTGR5の発現
TGR5の発現解析は、WO 02/084286号の実施例17の方法に準じて行った。
ヒト大腸がん由来細胞株NCI−H716(ATCC)を培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium (DMEM、インビトロゲン社)に10%ウシ胎児血清(Invitrogen社)、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンを添加したもの)にて培養後、細胞を回収し、Isogen(ニッポンジーン)にてtotal RNAを抽出した。mRNAの発現量の定量にはABI PRISM 7700 SequenceDetector(アプライドバイオシステムズ社)を用いた。発現量の定量に用いるプライマーとプローブは、ヒト型TGR5(配列番号:1)の塩基配列をもとにABI PRISM 7700 SequenceDetector専用のソフトウエアPrimerExpress(アプライドバイオシステムズ社)を利用してデザインした。鋳型となるcDNAは、ヒト各種組織由来のpolyA+RNA(クロンテック社)1μgからランダムプライマーを用いて42℃で合成した。逆転写反応にはSuperScriptII逆転写酵素(GIBCO BRL社)を用い、添付のマニュアルに従って反応をった。ABI PRISM 7700 SequenceDetectorの反応液はTaqMan Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステムズ社)のマニュアルにしたがい、マスターミックスを12.5μl、プライマーを0.9μM、プローブを0.25μM、各サンプルのcDNA溶液を1μlで混ぜ合わせ、蒸留水で25μlとして調製した。ABI PRISM 7700 SequenceDetectorでの反応は、50℃で2分、95℃で10分の後、95℃・15秒、60℃・1分のサイクルを40回繰り返して行った。その結果、NCI−H716細胞のtotal RNA25ngあたり6508コピーの発現が認められた。
実施例27 NCI−H716における胆汁酸による細胞内cAMP産生上昇
NCI−H716を培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium (DMEM、インビトロゲン社)に10%ウシ胎児血清(Invitrogen社)、100U/mlぺニシリン、100μg/mlストレプトマイシンを添加したもの)に懸濁して96ウェルプレートに撒いて2日培養した後、cAMP産生アッセイに用いた。cAMPアッセイ用バッファーには、改変したKrebs−Ringer bicarbonate buffer (KRBH、116mM NaCl、4.7mM KCl、1.2mM KHPO、1.2mM MgSO4、2.5mM CaCl、25mM NaHCO3、24mM HEPES pH7.3)にグルコースを5.5mM、ウシ血清アルブミン(BSA)を0.1%、および3−Isobutyl−1−methylxanthine(IBMX, Sigma社)を1mMになるよう添加したものを用いた。cAMPアッセイ用バッファーで1回細胞を洗浄した後、cAMPアッセイバッファーにて希釈したサンプル50μMを細胞に添加して2時間インキュベーションした。培養上清を捨てて、cAMP Screen System(ABI)によってcAMP産生量を測定した。その結果、図26に示す通り、TGR5に強いアゴニスト活性を示す胆汁酸であるTLCA(タウロリトコール酸)、LCA(リトコール酸)でcAMP産生上昇が見られた。このことから、NCI−H716細胞においてTGR5を介してTGR5アゴニスト、胆汁酸がcAMP産生を上昇させることが示された。
実施例28 胆汁酸によるNCI−H716からのGLP−1分泌上昇作用
NCI−H716細胞はGlucagon−like peptide−1(GLP−1)を分泌する細胞である。GLP−1は膵臓に作用してインスリンを分泌させるなど血糖値コントロールに有用なペプチドである。実施例27と同様にNCI−H716を96ウェルプレートに撒いて2日培養後以下の分泌実験に使用した。分泌実験バッファーには改変したKrebs−Ringer bicarbonate buffer(KRBH、116mM NaCl、4.7mM KCl、1.2mM KHPO、1.2mM MgSO4、2.5mM CaCl、25mM NaHCO3、24mM HEPES pH7.3)にグルコースを5.5mM、BSAを0.1%になるよう添加したものを用いた。分泌実験バッファーにて細胞を1回洗浄した後、37℃5%CO条件下でプレインキュベーションしたのち分泌実験バッファーにて希釈した胆汁酸を添加し、37℃5%CO条件下で2時間培養した。細胞の培養上清を回収し、凍結保存したのち、GLP−1測定用EIAキット(Linco社)にて上清中のGLP−1含量を測定した。その結果、図27に示す通り、TGR5に強いアゴニスト活性を示す胆汁酸であるTLCA(タウロリトコール酸)、LCA(リトコール酸)でGLP−1分泌上昇が見られた。このことから、NCI−H716細胞においてTGR5を介してTGR5アゴニスト、胆汁酸がGLP−1を上昇させることが示された。
実施例29 ラットTGR5mRNA発現分布解析
mRNAの発現量の定量にはABI PRISM 7700 SequenceDetector(アプライドバイオシステムズ社)を用いた。発現量の定量に用いるプライマーとプローブは、ラット型TGR5の塩基配列(配列番号:8)をもとにABI PRISM 7700 SequenceDetector専用のソフトウエアPrimerExpress(アプライドバイオシステムズ社)を利用してデザインした。ラットの各種組織由来の全RNAは、チャールズリバー社より購入したWistar雄性8週齢の個体より各組織を取得し、Isogen(ニッポンジーン社)を用い、付属のマニュアルにしたがって調製した。鋳型となるcDNAは、ラット各種組織由来の全RNA1μgからランダムプライマーを用いて42℃で合成した。逆転写反応にはSuperScriptII逆転写酵素(GIBCO BRL社)を用い、添付のマニュアルに従って反応を行い、反応終了後エタノール沈殿して40μlに溶解した。ABI PRISM 7700 SequenceDetectorの反応液はTaqMan Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステムズ社)のマニュアルにしたがい、マスターミックスを12.5μl、各プライマーを0.9μM、プローブを0.25μM、各サンプルのcDNA溶液を1μlで混ぜ合わせ、蒸留水で25μlとして調製した。ABI PRISM 7700 SequenceDetectorでの反応は、50℃で2分、95℃で10分の後、95℃・15秒、60℃・1分のサイクルを40回繰り返して行った。
ラット各種組織でのTGR5 mRNAの発現分布を図28に示す。中枢神経系、脾臓、肺、腸などの組織で高発現が見出された。
実施例30 ラット腸管初代培養細胞におけるTGR5mRNA発現
腸管より初代培養細胞を調製し、Isogen(ニッポンジーン社)を用い、付属のマニュアルにしたがって全RNAを取得した。実施例29と同一の方法によりmRNAの発現量の定量を行ったところ、ラット腸管より調製した初代培養細胞においても約4400コピー/25ng全RNAのTGR5mRNA発現が確認された。
実施例31 ラット型TGR5の胆汁酸刺激によるcAMP産生活性
150cmフラスコ一本にラット型TGR5発現CHO細胞を1x10cells撒いて、一晩37℃、5%COで培養した。培養後、0.5mM EDTA/PBSにて細胞をはがし、PBSで細胞を洗浄後、1x10cells/mlの密度でBuffer1(HBSS + 0.1%BSA、25mM HEPES pH7.3、0.5mM IBMX)に懸濁した。この細胞懸濁液460μlとアルファスクリーンcAMP assay kit(Parkin Elmer)のanti−cAMP acceptor beads 23μl、Buffer1 667μlを混合し、白色96wellプレート(Costar)に10μlずつ分注した。次に、各ウエルに各種胆汁酸をBuffer1で希釈したものを10μlずつ加えた。この時、プレートの一列は細胞懸濁液を入れずanti−cAMP acceptor beads 9μl、Buffer1 441μlのみを混ぜた液とし、胆汁酸の代わりにcAMPの希釈系列を加え、スタンダードとした。細胞懸濁液と胆汁酸を混ぜたプレートは室温で30分間反応させた。30分後、Buffer2(HBSS + 0.1%BSA、25mM HEPES pH7.3、1.5% Tween20) 13.2mlに、アルファスクリーンcAMP assay kitのBiotinyl cAMP 22μl、Streptavin donor beads 90.2μlを加えた液をプレートの全ウエルに30μlずつ加えた。室温でプレートを2.5時間振とうし、Fusionα(Parkin Elmer)にて蛍光強度を測定し、各プレート上のcAMPスタンダードを用いて各ウエル内のcAMP濃度を算出した。それぞれの胆汁酸によるcAMPの産生量は、リトコール酸(LCA)10μMとなるように添加した場合のcAMP産生量を100%とした相対値(コントロール%)で示した。結果を表1に示す。表中のTLCAはタウロリトコール酸を、GLCAはグリコリトコール酸を、DCAはデオキシコール酸を、TDCAはタウロデオキシコール酸を、GDCAはグリコデオキシコール酸を、UDCAはウルソデオキシコール酸を、CDCAはケノデオキシコール酸を、HDCAはヒオデオキシコール酸を、CAはコール酸を、GCAはグルココール酸をそれぞれ示す。
[表1]

胆汁酸 cAMP産生活性
(コントロール%)
LCA 100.0
TLCA 137.5
GLCA 122.6
DCA 83.1
TDCA 139.6
GDCA 131.3
UDCA 9.8
CDCA 45.5
HDCA 5.6
CA 80.9
GCA 112.6
実施例32 胆汁酸によるモルモット腸管初代培養細胞からのGLP−1分泌
モルモット(Hartley、オス、日本チャールズリバー)の結腸粘膜を採取し以下の方法で酵素処理により細胞に分散した。酵素液は5mg/ml Collagenase(Sigma)、5mg/ml Hyaluronidase(Sigma)、0.5mg/ml DNaseI(Sigma)を培地に溶かしたものを用いた。培地はDulbecco’s Modified Eagle Medium(DMEM、Invitrogen)に4.5g/l Glucose、5%FBS(Invitrogen)、100units/mlPenicillin(Invitrogen)、50μg/ml Streptomycin(Invitrogen)、50μg/ml Gentamicin(Invitrogen)、20mM Hepes(pH7.3)を添加したものを用いた。37℃で酵素液による消化反応を行った後にピペットに通過させて組織片を細胞に分散する操作を4回行って細胞を集めた。集めた細胞を、改変したKrebs−Ringer bicarbonate buffer (KRBH、116mM NaCl、4.7mM KCl、1.2mM KHPO、1.2mM MgSO4、2.5mM CaCl、25mM NaHCO3、24mM HEPES pH7.3)に5.5mM Glucose、0.1%BSAを添加した緩衝液(インキュベーションバッファー)で洗浄した後、37℃5%CO条件下で30分間プレインキュベーションした。上記インキュベーションバッファーに、0.1μM ホルボールエステル(Wako)および1%DPPIV阻害剤(Linco)を添加した緩衝液に胆汁酸を希釈して細胞に添加し、90分間インキュベートした後培養上清を回収し、凍結保存した。培養上清中に放出されたGLP−1濃度はELISAキット(Linco)にて測定した。その結果、図29に示す通り、胆汁酸で刺激することによりモルモット腸管初代培養細胞からのGLP−1分泌上昇が観察された。
実施例33 胆汁酸によるラット腸管初代培養細胞からのGLP−1分泌
ラット(Wistar、オス、日本チャールズリバー)の回腸末端部と結腸の粘膜を採取し以下の方法で酵素処理により細胞に分散した。酵素液は5mg/ml Collagenase(Sigma)、5mg/ml Hyaluronidase(Sigma)、0.5mg/ml DNaseI(Sigma)を培地に溶かしたものを用いた。培地はDulbecco’s Modified Eagle Medium(DMEM、Invitrogen)に4.5g/l Glucose、5%FBS(Invitrogen)、100units/mlPenicillin(Invitrogen)、50μg/ml Streptomycin(Invitrogen)、50μg/ml Gentamicin(Invitrogen)、20mM Hepes(pH7.3)を添加したものを用いた。37℃で酵素液による消化反応を行った後にピペットに通過させて組織片を細胞に分散する操作を7回行って細胞を集めた。集めた細胞を、改変したKrebs−Ringer bicarbonate buffer (KRBH、116mM NaCl、4.7mM KCl、1.2mM KHPO、1.2mM MgSO4、2.5mM CaCl、25mM NaHCO3、24mM HEPES pH7.3)に5.5mM Glucose、0.1%BSAを添加した緩衝液(インキュベーションバッファー)で洗浄した後、37℃5%CO条件下で30分間プレインキュベーションした。上記のインキュベーションバッファーに、0.1μM ホルボールエステル(Wako)および1%DPPIV阻害剤(Linco)を添加した緩衝液に胆汁酸を希釈して細胞に添加し、150分間インキュベートした後培養上清を回収し、凍結保存した。培養上清中に放出されたGLP−1濃度はELISAキット(Linco)にて測定した。その結果、図30に示す通り、胆汁酸で刺激することによりラット腸管初代培養細胞からのGLP−1分泌上昇が観察された。
実験例34 胆汁酸によるラット血中GLP−1濃度の上昇作用
胆汁酸経口投与による血中GLP−1濃度に及ぼす影響を検討するため、自由行動下採血用の手術を行った。成熟雄性F344/DuCrjラット(日本チャールズリバー社、手術時体重230〜250g)をペントバルビタール50mg/kgの腹腔内投与にて麻酔した。解剖用パッドの上に背位に固定し、左側の頚静脈を露出させた。ポリエチレンチューブSP35(内径0.5mm、外径0.9mm、夏目製作所)を約30cmの長さに切り、200単位/mlのヘパリン含有生理食塩水で満たした後、頚静脈に約3.2cm挿入し固定した。チューブのもう一端は背側の皮下を通して頚部(背側)より露出させた。
術後18−24時間絶食、胆汁酸投与前に用量1mlのツベルクリン用注射筒と25ゲージ注射針(いずれもテルモ社)を用いて300μlの血液を採取した。血液凝固を防止するため、回収用チューブに予め3mg/ml EDTAを含む300KIU/ml aprotinin溶液を3μl入れておいた。実験に使用した胆汁酸は、タウロデオキシコール酸(シグマ社)、コール酸(和光純薬(株))、ウルソデオキシコール酸(和光純薬(株))を60mg/mLの濃度で0.5%メトローズ(信越化学工業)水溶液に溶解し、5mL/kg(300mg/kg)で経口投与を行った。コントロールとしての対象群は、0.5%メトローズ水溶液を胆汁酸と同用量経口投与した。経口投与の開始時点から0、10、30、60、180、300分後に頚静脈より300μlずつ採血した。採血した血液は微量高速冷却遠心機(MR‐150、トミー精工)を用いて遠心(13,000rpm、5分間)し、上清(血漿)を回収した。血中GLP−1濃度は、アクティブGLP−1測定EIAキット(LINCO社)を用いて測定した。図31に示すごとくタウロデオキシコール酸投与群は対象群に比し、静脈投与10分後から300分後まで有意(p<0.01,n=6)な血中GLP−1濃度の上昇を示した。
実施例35 胆汁酸によるラット腸管初代培養細胞からのコレシストキニン(CCK)およびガストリック インヒビトリー ペプチド(GIP)の分泌
実施例33と同様の方法によりラット腸管初代培養細胞を調製し、胆汁酸による胆汁酸によるコレシストキニン(CCK)およびガストリック インヒビトリー ペプチド(GIP、Glucose dependent insulinotropic peptide)の分泌に対する影響を検討した。CCKの検出にはCCK Octapeptide Enzyme Immunoassay(Peninsula Laboratories,INC.)を、GIPの検出にはGIP EIA Kit(Phoenix Pharmaceuticals,INC.)を用いた。その結果、胆汁酸TDCA(タウロデオキシコール酸)50μMで150分刺激することにより、胆汁酸無添加に比較してCCK分泌量が2.27倍、GIP分泌量が1.2倍上昇することが判明した。
参考例2
化合物1〜7を以下に記載の試薬会社より購入した。
化合物1:Maybridge plc (UK)
化合物2:Specs (the Netherlands)
化合物3:ChemBridge Corporation (USA)
化合物4:Intelbioscan, Ltd. (Russia)
化合物5:Olivia Scientifics (USA)
化合物6:Vitas-M Laboratory, Ltd. (Russia)
化合物7:Intelbioscan, Ltd. (Russia)
製剤例1
1)化合物1 30 mg
2)微粉末セルロース 10 mg
3)乳糖 19mg
4)ステアリン酸マグネシウム 1 mg
計 60 mg
上記1)、2)、3)および4)を混合して、ゼラチンカプセルに充填する。製剤例2
1)化合物1 30 g
2)乳糖 50 g
3)トウモロコシデンプン 15 g
4)カルボキシメチルセルロースカルシウム 44 g
5)ステアリン酸マグネシウム 1g
1000錠 計 140 g
上記1)、2)、3)の全量および30gの4)を水で練合し、真空乾燥後、整粒を行う。この整粒末に14gの4)および1gの5)を混合し、打錠機により打錠する。このようにして、1錠あたり化合物1 30mgを含有する錠剤1000錠を得る。
試験例1 ヒトTGR5発現CHO細胞における本発明化合物のcAMP産生上昇活性
WO 02/84286に記載の方法にて作製したヒトTGR5発現CHO細胞を4×104細胞/wellの濃度で96ウェルプレートに撒いて37℃で一晩培養後、cAMP産生量の測定に用いた。アッセイバッファーにはHank's balanced salt solution(HBSS, Invitrogen社)に0.1%ウシ血清アルブミン(BSA, Sigma社)および 0.5mM 3-Isobutyl-1-methylxanthine (IBMX, Sigma社)を添加したものを用いた。アッセイバッファーで希釈した試験化合物サンプル(1μM)を細胞に添加した。37℃で30分間インキュベーションした後、上清を吸引した。試験化合物の刺激により上昇した細胞内cAMP量をHitHunterTM EFC Cyclic AMP Chemiluminescence Assay Kit (ABI社)キットを用いて定量した。
TGR5アゴニストであるリトコール酸(LCA)を1μMとなるように添加したウェルのcAMP量を100%とし、無添加のウェルのcAMP量を0%とした場合の、試験化合物添加ウェルのcAMP量を相対値(コントロール%)として求めた。結果を表2に示す。表中のデータは3群の平均値を示す。
[表2]ヒトTGR5発現CHO細胞における試験化合物のcAMP産生上昇活性

試験化合物 cAMP産生上昇活性
(コントロール%)
化合物1 121
化合物2 128
化合物3 47
化合物4 123
化合物5 57
化合物6 45
化合物7 42
リトコール酸 100
これより、本発明化合物がcAMP産生上昇活性を有し、ヒトTGR5に対する優れたアゴニストであることが分かる。
試験例2 NCI−H716における本発明化合物のGLP−1分泌上昇作用
実施例28と同様の条件でNCI−H716を培養し、分泌実験バッファーにて希釈した試験化合物(化合物1)を添加、37℃5%CO条件下で2時間培養し、細胞の培養上清をGLP−1測定用EIAキット(Linco)にて測定した。試験化合物を培地に添加しなかったときの培養上清中のGLP−1濃度を100%とした場合、試験化合物100μMを添加すると191%(p<0.01:スチューデントtテスト)のGLP−1濃度を示し、本発明化合物によるGLP−1の分泌上昇が認められた。
参考例1で得られたTGR5をコードするcDNAの塩基配列およびそれから推定されるアミノ酸配列(一文字表記)を示す。 参考例1で得られたTGR5をコードするcDNAの塩基配列およびそれから推定されるアミノ酸配列(一文字表記)を示す(図1に続く)。 参考例1で得られたTGR5をコードするcDNAの塩基配列およびそれから推定されるアミノ酸配列(一文字表記)を示す(図2に続く)。 参考例1で得られたTGR5をコードするcDNAの塩基配列およびそれから推定されるアミノ酸配列(一文字表記)を示す(図3に続く)。 TGR5の疎水性プロット図である。 TGR5発現ベクターを導入したHEK293細胞(A)およびもとのベクターのみを導入したHEK293細胞(B)における、コレステロール代謝関連物質による活性の検出(n=2)の結果を示す。 HEK293細胞におけるリガンド刺激に対するレポーター遺伝子の発現誘導の結果を示す。 Giを用いたTGR5のリトコール酸に対する反応の結果を示す。 ヒト(B)、ウサギ(C)、ウシ(D)、マウス(E)およびラット(F)型TGR5の胆汁酸刺激によるレポーター遺伝子の発現量上昇。胆汁酸はすべて10μMとなるように培地に添加した。Aはコントロール(プラスミドのみ)を示す。 ウサギ肺胞マクロファージの貪食活性に対するTLCA(100μM)の抑制効果。n=3の平均値。**,p<0.01で有意。 ウサギ肺胞マクロファージにおける、リポ多糖(LPS)で誘導された腫瘍壊死因子(TNF)αの分泌に対するTLCA(50μM)の抑制効果。n=3の平均値。**,p<0.01で有意。 ウサギ肺胞マクロファージに対するTLCAによる各種のサイトカインのmRNA発現抑制作用を示す。A:TNFα;B:IL−1α;C:IL−1β;D:IL−6;E:IL−8のサイトカインの場合を表す。 THP−TGR5における、リポ多糖(LPS)で誘導された腫瘍壊死因子(TNF)αの分泌およびmRNA発現量に対するTLCA(100μM)の抑制効果。分泌量:n=3の平均値。**,p<0.01で有意。mRNA発現量:n=2の平均値。 TLCAによるCHO−TGR5でのMAPキナーゼ活性化の検出を表す。 CHO−TGR5におけるTLCA、LCA、DCA、CDCA、CAのcAMP産生上昇活性を表す。n=3の平均値。グラフ中の構造式は胆汁酸を示す。 各種胆汁酸関連化合物(2μM)によるCHO−TGR5におけるcAMP産生上昇活性の比較を示す。n=3の平均値。TTNPBは(E)−[(テトラヒドロテトラメチルナフタレニル)プロピル]ベンゾイックアシッドの略称を表す。 ヒト各組織でのTGR5 mRNA発現分布を示す。 ヒト血球でのTGR5 mRNA発現分布を示す。 ウサギTGR5 mRNAの発現分布を示す。 TLCAによるウサギ肺胞マクロファージのcAMP産生上昇を示す。n=3の平均値。**,p<0.01で有意。 ウサギ肺胞マクロファージの貪食活性におよぼす各種胆汁酸の抑制効果を表す。n=3の平均値。**,p<0.01で有意。 ウサギ肺胞マクロファージからのTNFα分泌に対する胆汁酸の抑制効果を表す。n=3の平均値。**,p<0.01で有意。 胆汁酸添加によるTHP−TGR5細胞でのcAMP産生上昇を示す。n=3の平均値。**,p<0.01で有意。 LPSで刺激されたTHP−TGR5からの腫瘍壊死因子(TNF)α分泌に対する各種胆汁酸の抑制効果を表す。n=3の平均値。**,p<0.01で有意。 LPSで刺激されたTHP−1からの腫瘍壊死因子(TNF)α分泌に対する各種胆汁酸の影響を表す。n=3の平均値。 胆汁酸によるNCI−H716におけるcAMP産生上昇活性を示す。平均+標準誤差(n=4)。 胆汁酸によるNCI−H716におけるGLP−1分泌上昇活性を示す。平均+標準誤差(n=4)。 ラット各組織でのTGR5mRNA発現分布を示す。 胆汁酸によるモルモット腸管初代培養細胞からのGLP−1分泌作用を調べた結果を示す。Basalは胆汁酸無添加を、TLCAはタウロリトコール酸を、LCAはリトコール酸を、DCAはデオキシコール酸を、CAはコール酸を示す。**、p<0.01で有意。Concentration(μM)は胆汁酸の濃度(μM)を示す。GLP−1(pM)は分泌したGLP−1濃度(pM)を示す。 胆汁酸によるラット腸管初代培養細胞からのGLP−1分泌作用を調べた結果を示す。Baseは胆汁酸無添加を、TLCAはタウロリトコール酸を、GLCAはグリコリトコール酸を、LCAはリトコール酸を、TDCAはタウロデオキシコール酸を、GDCAはグリコデオキシコール酸を、DCAはデオキシコール酸を、UDCAはウルソデオキシコール酸を、CAはコール酸を、TCDCAはタウロケノデオキシコール酸を、CDCAはケノデオキシコール酸を示す。横軸の数字は胆汁酸の濃度(μM)を示す。**,p<0.01で有意。*,p<0.05で有意。GLP−1(pM)は分泌したGLP−1濃度(pM)を示す。 胆汁酸を無麻酔下のラットに経口投与した際の血中GLP−1濃度の変動を調べた結果を示す。−○−は対象群、−●−はタウロデオキシコール酸投与群、−▲−はコール酸投与群および−■−はウルソデオキシコール酸投与群を示す。縦軸は血中GLP−1濃度(pM)を表す。値は平均値±標準偏差(mean±SE)(n=6)を示す。*は対象群に比べてP値が0.05以下、**は対象群に比べて、P値が0.01以下であることを示す。

Claims (44)

  1. (1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩と該レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる低分子合成化合物またはその塩とを用いることを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法。
  2. (1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩と該レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる低分子合成化合物またはその塩とを用いることを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬またはGLP−1分泌抑制薬のスクリーニング方法。
  3. 該レセプター蛋白質が配列番号:1、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:14、配列番号:16または配列番号:36で表されるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質である請求項1または2記載のスクリーニング方法。
  4. (1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩と該レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる低分子合成化合物またはその塩とを含有することを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング用キット。
  5. (1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩と該レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる低分子合成化合物またはその塩とを含有することを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬またはGLP−1分泌抑制薬のスクリーニング用キット。
  6. 配列番号:36で表されるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩。
  7. 請求項6記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  8. 配列番号:37で表される塩基配列からなるDNA。
  9. 請求項7記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
  10. 請求項9記載の組換えベクターで形質転換させた形質転換体。
  11. 請求項10記載の形質転換体を培養し、請求項6記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を生成せしめることを特徴とする請求項6記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の製造法。
  12. (1)配列番号:36で表わされるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩を用いることを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩とコレステロール代謝関連物質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  13. (1)配列番号:36で表わされるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩を含有することを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩とコレステロール代謝関連物質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  14. (1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩とを用いることを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬またはGLP−1分泌抑制薬のスクリーニング方法。
  15. 該レセプター蛋白質が配列番号:1、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:14、配列番号:16または配列番号:36で表されるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質である請求項14記載のスクリーニング方法。
  16. (1)配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)コレステロール代謝関連物質またはその塩とを含有することを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進薬またはGLP−1分泌抑制薬のスクリーニング用キット。
  17. 試験化合物を配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩を含有する細胞に接触させた場合におけるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進活性を測定することを特徴とする該G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの決定方法。
  18. 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストを含有してなるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤。
  19. 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストを含有してなる糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊または肥満の予防・治療剤、食欲抑制剤、または膵臓の再生剤。
  20. 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストを含有してなるGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制剤。
  21. 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストを含有してなる低血糖の予防・治療剤。
  22. 哺乳動物に対して、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの有効量を投与することを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進方法。
  23. 哺乳動物に対して、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの有効量を投与することを特徴とする糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊または肥満の予防・治療方法、食欲抑制方法、または膵臓の再生方法。
  24. 哺乳動物に対して、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストの有効量を投与することを特徴とするGlucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制方法。
  25. 哺乳動物に対して、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストの有効量を投与することを特徴とする低血糖の予防・治療方法。
  26. Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤を製造するための、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの使用。
  27. 糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊または肥満の予防・治療剤、食欲抑制剤、または膵臓の再生剤を製造するための、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストの使用。
  28. Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌抑制剤を製造するための、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストの使用。
  29. 低血糖の予防・治療剤を製造するための、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストの使用。


  30. 〔式中、R、RおよびRはそれぞれ水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基を、Xは結合手、−O−、−NR−(Rは水素原子または低級アルキル基を示す)または−S−を、Yは置換されていてもよいC1−5アルキレン基を、ArおよびArはそれぞれ置換されていてもよい単環性芳香族基を示す。〕で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグを含有してなるTGR5受容体作動剤。
  31. Arが置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいチエニル基である請求項30記載の剤。
  32. Arが置換されていてもよいフェニル基である請求項30記載の剤。
  33. およびRはハロゲン化されていてもよいC1−3アルキル基である請求項30記載の剤。
  34. Xが−O−である請求項30記載の剤。
  35. YがC1−3アルキレン基である請求項30記載の剤。
  36. Xが−O−であり、Yがメチレン基である請求項30記載の剤。
  37. 化合物が1,3,6-トリメチル-2-オキソ-4-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸ベンジルエステル、4-(5-ブロモチオフェン-2-イル)-1,6-ジメチル-2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸ベンジルエステル、1,6-ジメチル-2-オキソ-4-(チオフェン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸ベンジルエステルまたはその塩である請求項30記載の剤。
  38. TGR5が関与する生理機能の調節剤またはTGR5が関与する病態または疾患の予防・治療剤である請求項30記載の剤。
  39. サイトカイン産生抑制剤である請求項30記載の剤。
  40. 心不全、心筋梗塞、急性腎不全、狭心症、不整脈、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、動脈硬化症、慢性関節リウマチ、糖尿病、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、アレルギー、変形性関節症、エリテマトーデス、移植医療後の過剰免疫反応または感染症の予防・治療剤または免疫抑制剤である請求項30記載の剤。
  41. Glucagon−like peptide−1(GLP−1)分泌促進剤、食欲抑制剤、膵臓の再生剤、膵β細胞分化促進剤または膵β細胞増殖促進剤である請求項30記載の剤。
  42. 糖尿病、インスリン分泌不全、膵疲弊または肥満の予防・治療剤である請求項30記載の剤。
  43. 哺乳動物に対して、式

    〔式中、R、RおよびRはそれぞれ水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基を、Xは結合手、−O−、−NR−(Rは水素原子または低級アルキル基を示す)または−S−を、Yは置換されていてもよいC1−5アルキレン基を、ArおよびArはそれぞれ置換されていてもよい単環性芳香族基を示す。〕で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする、TGR5受容体の作動方法。
  44. TGR5受容体作動剤の製造のための式

    〔式中、R、RおよびRはそれぞれ水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基を、Xは結合手、−O−、−NR−(Rは水素原子または低級アルキル基を示す)または−S−を、Yは置換されていてもよいC1−5アルキレン基を、ArおよびArはそれぞれ置換されていてもよい単環性芳香族基を示す。〕で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグの使用。
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