JP2005020464A - 光半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光半導体素子とレンズとが高精度で位置合わせされた光半導体装置およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】上面に光半導体素子を収容するための凹部を有する絶縁基体1と、絶縁基体1の凹部の内側から外側にかけて導出された配線導体2と、凹部の底面に接合されるとともに電極4が配線導体2に電気的に接続された光半導体素子3と、絶縁基体1の上面に凹部を塞ぐようにして取着された透光性蓋体8と、透光性蓋体8の上面を覆って絶縁基体1の上面の外周部に下端の鍔状部11が樹脂接着剤7を介して取着されるとともに内側にレンズ10が設けられた筒体9とを具備し、筒体9は、鍔状部11に貫通孔13が形成されており、樹脂接着剤7は、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものであるとともに貫通孔13内に充填されている。
【選択図】 図1
【解決手段】上面に光半導体素子を収容するための凹部を有する絶縁基体1と、絶縁基体1の凹部の内側から外側にかけて導出された配線導体2と、凹部の底面に接合されるとともに電極4が配線導体2に電気的に接続された光半導体素子3と、絶縁基体1の上面に凹部を塞ぐようにして取着された透光性蓋体8と、透光性蓋体8の上面を覆って絶縁基体1の上面の外周部に下端の鍔状部11が樹脂接着剤7を介して取着されるとともに内側にレンズ10が設けられた筒体9とを具備し、筒体9は、鍔状部11に貫通孔13が形成されており、樹脂接着剤7は、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものであるとともに貫通孔13内に充填されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトダイオード、ラインセンサ、イメージセンサ等の受光素子である光半導体素子またはこれらの受光部を有する光半導体素子を具備した光半導体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のフォトダイオード(PD)、ラインセンサ、イメージセンサ等の受光素子である光半導体素子またはこれらの受光部を有する光半導体素子を具備した光半導体装置は、光半導体収納用パッケージ(以下、光半導体パッケージともいう)を有するとともにセラミックス等からなる絶縁基体を具備している。
【0003】
この絶縁基体は、その上面に光半導体素子を収容するための凹部が設けられており、凹部の底面に光半導体素子が載置される。また、絶縁基体の凹部の内側から外側にかけて配線導体が導出されており、光半導体素子の電極が凹部の内側に露出した配線導体にボンディングワイヤを介して電気的に接続される。そして、絶縁基体の上面の凹部の周囲に透光性蓋体を取着して凹部を塞ぐとともに、透光性蓋体の上面を覆って、内側にレンズが設けられた筒体を取着することにより、光半導体装置が作製される。
【0004】
光半導体素子は絶縁基体の凹部の底面上に、ろう材や樹脂接着剤等を介して接合固定され、光半導体素子の上面には中央部に受光部が設けられている。また光半導体素子の上面の外周部には電極が設けられている。絶縁基体の凹部の内周面には、例えば段差部が形成され、この段差部の上面から絶縁基体の外面にかけて配線導体が導出されている。
【0005】
この絶縁基体はセラミックス等からなり、平板状の底板部の上面の外周部に、別体の枠状の側壁部を接合することにより凹部が設けられている。また、底板部と側壁部とは一体的に形成されていてもよい。
【0006】
絶縁基体の凹部に接合された光半導体素子の電極は、凹部内に露出している配線導体に、Au,Al等からなるボンディングワイヤにより電気的に接続される。
【0007】
また、透光性蓋体が樹脂接着剤を介して絶縁基体の側壁部の上面に接着固定され、透光性蓋体により凹部が塞がれて、凹部内に光半導体素子が気密に封止される。
【0008】
内側にレンズが設けられるとともに下端に鍔状部が設けられた筒体を絶縁基体の上面に、筒体の鍔状部と絶縁基体の上面の外周部とが樹脂接着剤を介して接着されるようにして取着し、透光性蓋体の上面を筒体で覆うことにより光半導体装置となる。
【0009】
このような光半導体装置は、筒体の外側から入射してくる光を、筒体の内側に設けたレンズで調節して光半導体素子の受光部に焦点を合わせるようにして光半導体素子に受光させ、この光を光半導体素子内部で電気信号に変換して、電極を介して外部の電気回路にその電気信号を供給する。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−356254号公報
【0011】
【特許文献2】
特開2002−318336号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、光半導体装置に対してより精密なレンズの実装が益々要求されてきているが、上記従来の光半導体装置では、以下に述べるような問題点があった。
【0013】
絶縁基体の上面に樹脂層を介して透光性蓋体が接着されて光半導体素子が封止された後、筒体の鍔状部を絶縁基体の上面の外周部に樹脂接着剤を介して取着する作業は、例えば、熱硬化性の未硬化の樹脂接着剤を鍔状部と絶縁基体の上面の外周部との間に挟んで筒体を移動させ、光半導体素子と筒体の内側のレンズとの位置合わせを行い、その後、これらの位置合わせしたものをオーブン中等で加熱し、未硬化の樹脂接着剤を熱硬化させることにより行われる。そして、このように一旦位置合わせしたものをオーブンに入れるときに位置合わせがくるったり、オーブン内で樹脂接着剤が硬化中に筒体が横方向等に動いたりし、その結果、筒体の内側のレンズと光半導体素子の受光部との間に位置ずれが生じるという問題点があった。このような位置ずれは、例えば所望の設定値に対して、±100μm(−100μm〜+100μm)〜±200μm(−200μm〜+200μm)にまで達していた。
【0014】
従って、本発明は上記問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、光半導体素子とレンズとが高精度で位置合わせされた光半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置は、上面に光半導体素子を収容するための凹部を有する絶縁基体と、該絶縁基体の前記凹部の内側から外側にかけて導出された配線導体と、前記凹部の底面に接合されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された光半導体素子と、前記絶縁基体の上面に前記凹部を塞ぐようにして取着された透光性蓋体と、前記透光性蓋体の上面を覆って前記絶縁基体の上面の外周部に下端の鍔状部が樹脂接着剤を介して取着されるとともに、内側にレンズが設けられた筒体とを具備しており、前記筒体は、前記鍔状部に貫通孔が形成されており、前記樹脂接着剤は、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものであるとともに前記貫通孔内に充填されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の光半導体装置は、筒体の鍔状部と絶縁基体の上面の外周部とを接着している樹脂接着剤が、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものであり、かつ、鍔状部に貫通孔が形成されており、この鍔状部と絶縁基体の上面の外周部とを接着する樹脂接着剤が鍔状部の貫通孔内に充填されていることから、筒体と絶縁基体との接着の際に、鍔状部の貫通孔を通って紫外線を照射することにより樹脂接着剤を部分的に硬化させて半硬化状態とすることができる。そして、この半硬化状態となった樹脂接着剤を介して、筒体の内側のレンズと、絶縁基体に搭載された光半導体素子の受光部とを高精度に位置合わせするとともに、筒体を絶縁基体に対して仮固定しておくことができ、その後半硬化状態の樹脂接着剤を熱硬化させることにより、光半導体素子とレンズとが高精度で位置合わせされた光半導体装置を得ることができる。
【0017】
また本発明の光半導体装置は、樹脂接着剤が鍔状部の貫通孔内に充填されていることから、樹脂接着剤と鍔状部との接着面積を大きくとることができるとともに、筒体と絶縁基体との相対的な位置ずれ方向である横方向に対して直交する方向等の一定の角度をもった接着面でも接着することができ、その結果、筒体と絶縁基体との位置ずれをより効果的に抑えることができるとともに、筒体と絶縁基体との接着をより強固なものとすることができる。
【0018】
また本発明の光半導体装置は、好ましくは、前記貫通孔はスリット状のものが複数等間隔で形成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の光半導体装置は、好ましくは貫通孔をスリット状のものとすることにより、樹脂接着剤を貫通孔内に充填させることがより一層容易なものとなる。また、スリット状のものを複数等間隔で例えば周方向に並ぶように形成することから、筒体の鍔状部と絶縁基体の上面の外周部との接着面の全周にわたって均一に樹脂接着剤を貫通孔内に充填させることができるとともに、鍔状部と絶縁基体との接着強度をより確実に均一なものとすることができ、筒体と絶縁基体とがより一層強固にかつ高精度に接着された光半導体装置とすることができる。
【0020】
また、貫通孔をスリット状のものとすることにより、筒体と絶縁基体とを接着する樹脂接着剤をより効果的に貫通孔に充填させて吸収することができるので、余分な樹脂接着剤が透光性蓋体の上面に流れ出し、透光性蓋体を通って光が入射することを妨げるというような不具合も効果的に防止することができ、より信頼性,生産性に優れた光半導体装置とすることができる。
【0021】
本発明の光半導体装置の製造方法は、上面に光半導体素子を収容するための凹部を有し該凹部の内側から外側にかけて配線導体が導出された絶縁基体の前記凹部の底面に光半導体素子を接合する工程と、前記光半導体素子の電極を前記配線導体に電気的に接続するとともに前記絶縁基体の上面に前記凹部を塞ぐようにして透光性蓋体を取着して前記光半導体素子を気密封止する工程と、貫通孔が形成された鍔状部が下端に設けられた筒体の前記鍔状部を前記絶縁基体の上面の外周部に紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する未硬化の樹脂接着剤を間に挟んで載置する工程と、未硬化の前記樹脂接着剤に紫外線を照射して半硬化状態とするとともに前記筒体の内側に設けられたレンズと前記絶縁基体とを位置合わせする工程と、半硬化状態の前記樹脂接着剤を加熱して硬化させることにより、前記筒体を前記絶縁基体に接着する工程とを具備するものである。
【0022】
本発明の光半導体装置の製造方法は、貫通孔が形成された鍔状部が下端に設けられた筒体の鍔状部を絶縁基体の上面の外周部に紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する未硬化の樹脂接着剤を間に挟んで載置する工程と、未硬化の樹脂接着剤に紫外線を照射して半硬化状態とするとともに筒体の内側に設けられたレンズと絶縁基体とを位置合わせする工程とを具備することから、半硬化状態となった樹脂接着剤を介して筒体の内側のレンズと絶縁基体に搭載された光半導体素子の受光部とを高精度に位置合わせすることができ、その結果、次の熱硬化工程で筒体と絶縁基体とが相対的に動いて位置ずれを生じることがないような強度で筒体を絶縁基体に対して仮固定しておくことができる。
【0023】
そして、半硬化状態の樹脂接着剤を加熱して硬化させることにより、筒体を絶縁基体に接着する工程を具備することから、樹脂接着剤を加熱して十分に硬化させて、光半導体素子とレンズとが高精度で位置合わせされた状態で筒体と絶縁基体とが強固に接着されてなる光半導体装置を作製することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の光半導体装置について以下に詳細に説明する。図1は本発明の光半導体装置について実施の形態の一例を示す断面図である。図1において、1は絶縁基体、2は配線導体、3は光半導体素子、8は透光性蓋体、9は筒体である。主に、これらの絶縁基体1、配線導体2、光半導体素子3、透光性蓋体8および筒体9により光半導体装置が構成されている。なお、図1で20は筒体9を除いたものである光半導体素子収納用パッケージを示す。
【0025】
本発明の半導体装置は、上面に光半導体素子3を収容するための凹部を有する絶縁基体1と、絶縁基体1の凹部の内側から外側にかけて導出された配線導体2と、凹部の底面に接合されるとともに電極が配線導体2に電気的に接続された光半導体素子3と、絶縁基体1の上面に凹部を塞ぐようにして取着された透光性蓋体8と、透光性蓋体8の上面を覆って絶縁基体1の上面の外周部に下端の鍔状部が樹脂接着剤を介して取着されるとともに、内側にレンズが設けられた筒体9とを具備し、筒体9は、鍔状部に貫通孔が形成されており、樹脂接着剤は、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものであるとともに貫通孔内に充填されていることを特徴とするものである。
【0026】
本発明における絶縁基体1は、上面に光半導体素子3を収容するための凹部を有しており、この凹部内に光半導体素子3が収容されている。なお、光半導体素子3は、ろう材や樹脂接着剤等を介して凹部の底面に接合されている。この絶縁基体1は、光半導体装置が外部電気回路基板等に実装される際の熱で膨張し、光半導体素子3にストレスを与える場合があることから、熱膨張係数が5×10−6/℃程度と小さいアルミナを主成分としたセラミックスから成ることが好ましい。
【0027】
光半導体素子3は、PD,ラインセンサ,イメージセンサ,CCD(Charge Coupled Device)、EPROM(Erasable and Programmable ROM)等の受光素子、またはこれらの受光部を有するものである。
【0028】
このような光半導体素子3は、上面の中央部に受光部3aが設けられているとともに、上面の外周部等に電気信号の入出力用の電極4が設けられている。
【0029】
また、絶縁基体1の凹部の内側から外側にかけて配線導体2が導出されている。この配線導体2のうち、凹部の内側に露出した部位に電極パッド5が形成されており、この電極パッド5に光半導体素子3の電極4がAu,Al等からなるボンディングワイヤ6等の導電性接続材を介して接続される。そして、配線導体2のうち凹部の外側に導出した部分を外部の電気回路に半田等を介して接続することにより、光半導体素子3の電極4が配線導体2を介して外部の電気回路と電気的に接続される。
【0030】
なお、導電性接続材としてボンディングワイヤを用いる場合、ボンディングワイヤ6の長さは0.3〜0.8mmが好ましい。0.3mm未満では、ボンディングワイヤ6が短すぎて十分なループを形成することができずに、光半導体素子3の電極4と電極パッド5を確実に接続できず、接続不良が生じやすくなる。0.8mmを超えると、ループを形成するボンディングワイヤ6が長くなるため、ボンディングワイヤ6に余分なインダクタンスが発生して高周波信号の伝送性が劣化し易くなるとともにコスト高となる。また、ボンディングワイヤ6はループの最高部が透光性蓋体8の下面に接していてもよい。また導電性接続線としては、ボンディングワイヤ6以外にリボン状(帯状)のものやリード端子等の棒状のものを用いてもよい。
【0031】
絶縁基体1の上面には、例えば樹脂層を介して透光性蓋体8が取着されており、この透光性蓋体8により凹部が塞がれ、凹部内に収容された光半導体素子3が気密封止されている。樹脂層は、アクリル系樹脂,エポキシ系樹脂等から成る。また、樹脂層は、余計な外光の入射を遮断するために、黒色,茶褐色,暗緑色,濃青色等の暗色系の顔料や染料を混入させてもよい。
【0032】
透光性蓋体8は、光半導体素子3がCCD等の外光を受光する光半導体素子である場合、ガラス,石英,サファイヤ(単結晶アルミナ),透明樹脂等からなる透光性のものである。また、透光性蓋体8の上下面の少なくとも一方には紫外線を遮断するための光学膜が形成されていてもよい。
【0033】
この透光性蓋体8の上面を覆うようにして、内側にレンズ10が設けられた筒体9が絶縁基体1の上面の外周部に取着されている。筒体9は、内部にレンズ10が設けられており、筒体9の上側から入射した外部の光は、レンズ10で集光されて光半導体素子3の受光部3aで焦点を結び、受光部3aにより受光される。このため、レンズ10と半導体素子3の受光部3aとは、±100μm未満の位置ずれでもって高精度に位置合わせされたものとする必要がある。
【0034】
また、筒体9は下端に鍔状部11が設けられており、鍔状部11が絶縁基体1の上面の外周部に樹脂接着剤7を介して接着されている。そして、筒体9の鍔状部11には貫通孔13が形成されている。また、鍔状部11と絶縁基体1とを接着している樹脂接着剤7は、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものである。そして、樹脂接着剤7は鍔状部11の貫通孔13内に充填されている。
【0035】
本発明においては、筒体9の鍔状部11と絶縁基体1の上面の外周部とを接着している樹脂接着剤7が、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものであり、鍔状部11に貫通孔13が形成されており、この鍔状部11と絶縁基体1の上面の外周部とを接着する樹脂接着剤7が鍔状部9の貫通孔13内に充填されていることから、筒体9と絶縁基体1との接着の際に、鍔状部11の貫通孔13を通して紫外線を照射することにより未硬化の樹脂接着剤7を部分的に硬化させて半硬化状態とすることができる。そして、この半硬化状態となった樹脂接着剤7を介して、筒体9の内側のレンズ10と絶縁基体1に搭載された光半導体素子3の受光部3aとを高精度に位置合わせするとともに、筒体9を絶縁基体1に仮固定しておくことができ、その後半硬化状態の樹脂接着剤7を熱硬化させることにより、光半導体素子3とレンズ10とが高精度で位置合わせされた光半導体装置を得ることができる。
【0036】
このような紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する樹脂接着剤7としては、アクリル系樹脂,エポキシ系樹脂等の樹脂を用いることができる。
【0037】
また本発明の光半導体装置は、樹脂接着剤7が鍔状部11の貫通孔13内を充填していることから、樹脂接着剤7と鍔状部11との接着面積を大きくとることができるとともに、筒体9と絶縁基体1との相対的な位置ずれ方向である横方向に対して直交する方向等の一定の角度をもった接着面でも接着することができ、その結果、筒体9と絶縁基体1との位置ずれをより効果的に抑えることができるとともに、筒体9と絶縁基体1との接着をより強固なものとすることができる。
【0038】
また、貫通孔13は、複数個が鍔状部11に筒体9を挟んで対向するような位置、すなわち筒体9の中心軸に関して対称な位置に形成することが好ましい。
【0039】
このように筒体9を挟んで貫通孔13を形成しておくと、筒体9を絶縁基体1に接着する際に筒体9を両側から挟むようにして確実に位置決めして仮固定することができるので、位置決めの精度をより高くすることができる。なお、筒体9を挟んで貫通孔13を形成する場合、一対に限らず複数対形成してもよい。
【0040】
また本発明の光半導体装置において、貫通孔13はスリット状のものが複数等間隔で形成されていることが好ましい。すなわち、スリット状のものが複数等間隔で全周にわたって形成されていることがよい。
【0041】
貫通孔13をスリット状のものとすることにより、樹脂接着剤7を貫通孔13内に充填させることがより一層容易なものとなる。また、このようなスリット状の貫通孔13を複数等間隔で形成しておくと、筒体9の鍔状部11と絶縁基体1の上面の外周部との接着面の全周にわたって均一に樹脂接着剤7を貫通孔13内に充填させることができるとともに、鍔状部11と絶縁基体1との接着強度をより確実に均一なものとすることができ、筒体9と絶縁基体1とがより一層強固にかつ高精度に接着された光半導体装置とすることができる。
【0042】
また、貫通孔13をスリット状のものとすることにより、筒体9と絶縁基体1とを接着する樹脂接着剤7をより効果的に充填させて吸収することができるので、余分な樹脂接着剤7が透光性蓋体8の上面に流れ出し、透光性蓋体8を通って光が入射することを妨げるというような不具合も効果的に防止することができ、より信頼性,生産性に優れた光半導体装置とすることができる。
【0043】
なお、絶縁基体1が一般に四角形状であるため、その上面の外周部に接着される筒体9の鍔状部11も、極力接着面積を大きく確保するため、外形が四角形状のものとしておくことが好ましい。そして、スリット状の貫通孔13は、この外形が四角形状の鍔状部11の各辺の同じ位置に同じような形状で配置されるようにして形成することが好ましい。
【0044】
また、筒体9は、内部に設けるレンズ(通常、いわゆる凸レンズ)に応じた円筒形のものが一般的であるため、鍔状部11は外周形状が四角形状で内周形状が円形状となる。この場合、スリット状の貫通孔13は、鍔状部11の各辺の中央部に配置しておくと、鍔状部11と絶縁基体1との接着幅が狭くなる各辺の中央部で接着力を効果的に補強することができる。
【0045】
また、貫通孔13の開口の面積(貫通孔13が複数の場合は合計の面積)は、紫外線によって樹脂接着剤7を半硬化させる点で、接着される鍔状部11の下面の面積の10〜70%程度であることがよい。10%未満では、絶縁基体1に対して筒体9を仮止めさせるのに強度的に不十分となる。70%を超えると、絶縁基体1に接着される鍔状部11の下面の面積が小さくなって接合力が低下しやすくなる。
【0046】
次に、本発明の光半導体装置の製造方法について、図2(a)〜(c)を用いて詳しく説明する。
【0047】
まず、図2(a)に示すように、上面に光半導体素子3を収容するための凹部を有し、凹部の内側から外側にかけて配線導体2が導出された絶縁基体1の凹部の底面に半導体素子3を接合する。光半導体素子3は、例えば上面の中央部に受光部3aを有し、上面の外周部に電極4を有したものである。この光半導体素子3を凹部の底面に、間にろう材や樹脂接着剤等の接合材を介して位置決め載置し、その後ろう材を加熱溶融させたり樹脂接着剤を硬化させたりすることにより、光半導体素子3が凹部の底面に接合される。
【0048】
次に、図2(b)に示すように、光半導体素子3の電極4を配線導体2に電気的に接続するとともに絶縁基体1の上面に凹部を塞ぐようにして透光性蓋体8を取着して半導体素子3を気密封止する。絶縁基体1は、凹部の内側から外側にかけて配線導体2が導出されており、この配線導体2のうち凹部の内側に露出した部分が電極パッド5となる。電極パッド5に半導体素子3の電極をAu,Al等からなるボンディングワイヤ6等の導電性接続材を介して接続することにより、光半導体素子3の電極が配線導体2と電気的に接続される。また、絶縁基体1の上面の凹部の周囲に未硬化のアクリル系樹脂,エポキシ系樹脂等からなる未硬化の樹脂層を塗布しておき、この上に透光性蓋体8を載せて樹脂層を硬化させることにより、透光性蓋体8が絶縁基体1の上面に取着され透光性蓋体8により半導体素子3が気密封止される。
【0049】
次に、図2(c)に示すように、貫通孔13が形成された鍔状部11が下端に設けられた筒体9の鍔状部11を、絶縁基体1の上面の外周部に紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する未硬化の樹脂接着剤7を間に挟んで載置する。このような紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する未硬化の樹脂接着剤7としては、アクリル系樹脂,エポキシ系樹脂等の樹脂の未硬化のものを用いることができる。鍔状部11と絶縁基体1の上面との間に未硬化の樹脂接着剤7を挟むには、例えば、未硬化の樹脂接着剤7を絶縁基体1の上面にスクリーン印刷法等の手段で塗布する等の手段を用いることができる。
【0050】
次に、未硬化の樹脂接着剤7に紫外線を照射して半硬化状態とするとともに筒体9と絶縁基体1とを位置合わせする。未硬化の樹脂接着剤7は、主に貫通孔13に充填された部分のみに紫外線が照射されるため、全体に十分な紫外線が照射されることはなく、部分的に硬化されるのみであり半硬化状態となる。そして、樹脂接着剤7の半硬化状態で、筒体9と絶縁基体1、すなわち筒体9の内部のレンズ10と絶縁基体1に収容されている光半導体素子3の受光部3aとを位置合わせする。位置合わせは画像認識装置等を用いて行うことができる。また、このときの位置合わせは、所望の設定値に対するずれが±100μm未満となるような高精度なものとする必要がある。
【0051】
次に、半硬化状態の樹脂接着剤7を加熱して硬化させることにより、筒体9を絶縁基体1に接着する。半硬化状態の樹脂接着剤7の加熱硬化は、例えば、未硬化の樹脂接着剤7がアクリル系樹脂からなる場合であれば50〜150℃で行うことができる。熱硬化のために加えられる熱は、半硬化状態の樹脂接着剤7の全域に伝導されるため、樹脂接着剤7を十分に硬化させることができ、筒体9を絶縁基体1に強固に接着させることができる。
【0052】
【実施例】
本発明の光半導体装置の実施例を以下に説明する。
【0053】
(実施例)
まず、イメージセンサ素子から成る光半導体素子3、アルミナセラミックスから成る絶縁基体1、ガラスから成る透光性蓋体8、Auから成るボンディングワイヤ6を用い、絶縁基体1と光半導体素子3とをエポキシ樹脂から成る樹脂接着剤(図示せず)で接着固定した。また、光半導体素子3の電極4と絶縁基体1の電極パッド5とをボンディングワイヤ6によって電気的に接続した。その後、絶縁基体1と透光性蓋体8とをエポキシ樹脂からなる樹脂層で接着封止し、内側にレンズ10が設けられ貫通孔13が形成された鍔状部11が下端に設けられた筒体9の鍔状部11を絶縁基体1の上面の外周部に紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する未硬化の樹脂接着剤(エポキシ樹脂)7を間に挟んで載置する工程と、未硬化の樹脂接着剤7に紫外線を照射して半硬化状態とするとともに筒体9と絶縁基体1とを位置合わせする工程と、半硬化状態の樹脂接着剤7を加熱して硬化させることにより筒体9を絶縁基体1に接着して、本発明の光半導体装置のサンプルAを作製した。
【0054】
また、比較例として、上記実施例と同じ光半導体素子3、透光性蓋体8、ボンディングワイヤ6および筒体9を用い、鍔状部11に貫通孔13が形成されておらず樹脂接着剤7が熱硬化性のものであること以外は上記実施例と同様の光半導体装置のサンプルBを作製した。
【0055】
そして、これらのサンプルA,Bの各10個について、レンズと光半導体素子3との位置ずれを確認したところ、サンプルAの位置ずれは±30μm〜±100μmであり、サンプルBの位置ずれは±100μm〜±200μmであった。
【0056】
従って、サンプルAはサンプルBに対して位置合わせ精度が約50%改善された。
【0057】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0058】
【発明の効果】
本発明の光半導体装置は、筒体の鍔状部と絶縁基体の上面の外周部とを接着している樹脂接着剤が、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものであり、かつ、鍔状部に貫通孔が形成されており、この鍔状部と絶縁基体の上面の外周部とを接着する樹脂接着剤が鍔状部の貫通孔内に充填されていることから、筒体と絶縁基体との接着の際に、鍔状部の貫通孔を通って紫外線を照射することにより樹脂接着剤を部分的に硬化させて半硬化状態とすることができる。そして、この半硬化状態となった樹脂接着剤を介して、筒体の内側のレンズと、絶縁基体に搭載された光半導体素子の受光部とを高精度に位置合わせするとともに、筒体を絶縁基体に対して仮固定しておくことができ、その後半硬化状態の樹脂接着剤を熱硬化させることにより、光半導体素子とレンズとが高精度で位置合わせされた光半導体装置を得ることができる。
【0059】
また本発明の光半導体装置は、樹脂接着剤が鍔状部の貫通孔内に充填されていることから、樹脂接着剤と鍔状部との接着面積を大きくとることができるとともに、筒体と絶縁基体との相対的な位置ずれ方向である横方向に対して直交する方向等の一定の角度をもった接着面でも接着することができ、その結果、筒体と絶縁基体との位置ずれをより効果的に抑えることができるとともに、筒体と絶縁基体との接着をより強固なものとすることができる。
【0060】
本発明の光半導体装置は、好ましくは貫通孔をスリット状のものとすることにより、樹脂接着剤を貫通孔内に充填させることがより一層容易なものとなる。また、スリット状のものを複数等間隔で例えば周方向に並ぶように形成することから、筒体の鍔状部と絶縁基体の上面の外周部との接着面の全周にわたって均一に樹脂接着剤を貫通孔内に充填させることができるとともに、鍔状部と絶縁基体との接着強度をより確実に均一なものとすることができ、筒体と絶縁基体とがより一層強固にかつ高精度に接着された光半導体装置とすることができる。
【0061】
また、貫通孔をスリット状のものとすることにより、筒体と絶縁基体とを接着する樹脂接着剤をより効果的に貫通孔に充填させて吸収することができるので、余分な樹脂接着剤が透光性蓋体の上面に流れ出し、透光性蓋体を通って光が入射することを妨げるというような不具合も効果的に防止することができ、より信頼性,生産性に優れた光半導体装置とすることができる。
【0062】
本発明の光半導体装置の製造方法は、貫通孔が形成された鍔状部が下端に設けられた筒体の鍔状部を絶縁基体の上面の外周部に紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する未硬化の樹脂接着剤を間に挟んで載置する工程と、未硬化の樹脂接着剤に紫外線を照射して半硬化状態とするとともに筒体の内側に設けられたレンズと絶縁基体とを位置合わせする工程とを具備することから、半硬化状態となった樹脂接着剤を介して筒体の内側のレンズと絶縁基体に搭載された光半導体素子の受光部とを高精度に位置合わせすることができ、その結果、次の熱硬化工程で筒体と絶縁基体とが相対的に動いて位置ずれを生じることがないような強度で筒体を絶縁基体に対して仮固定しておくことができる。
【0063】
そして、半硬化状態の樹脂接着剤を加熱して硬化させることにより、筒体を絶縁基体に接着する工程を具備することから、樹脂接着剤を加熱して十分に硬化させて、光半導体素子とレンズとが高精度で位置合わせされた状態で筒体と絶縁基体とが強固に接着されてなる光半導体装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体装置について実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明の光半導体装置の製造方法を工程順に説明した光半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
1:絶縁基体
2:配線導体
3:光半導体素子
3a:受光部
4:電極
5:電極パッド
7:樹脂接着剤
8:透光性蓋体
9:筒体
10:レンズ
11:鍔状部
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトダイオード、ラインセンサ、イメージセンサ等の受光素子である光半導体素子またはこれらの受光部を有する光半導体素子を具備した光半導体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のフォトダイオード(PD)、ラインセンサ、イメージセンサ等の受光素子である光半導体素子またはこれらの受光部を有する光半導体素子を具備した光半導体装置は、光半導体収納用パッケージ(以下、光半導体パッケージともいう)を有するとともにセラミックス等からなる絶縁基体を具備している。
【0003】
この絶縁基体は、その上面に光半導体素子を収容するための凹部が設けられており、凹部の底面に光半導体素子が載置される。また、絶縁基体の凹部の内側から外側にかけて配線導体が導出されており、光半導体素子の電極が凹部の内側に露出した配線導体にボンディングワイヤを介して電気的に接続される。そして、絶縁基体の上面の凹部の周囲に透光性蓋体を取着して凹部を塞ぐとともに、透光性蓋体の上面を覆って、内側にレンズが設けられた筒体を取着することにより、光半導体装置が作製される。
【0004】
光半導体素子は絶縁基体の凹部の底面上に、ろう材や樹脂接着剤等を介して接合固定され、光半導体素子の上面には中央部に受光部が設けられている。また光半導体素子の上面の外周部には電極が設けられている。絶縁基体の凹部の内周面には、例えば段差部が形成され、この段差部の上面から絶縁基体の外面にかけて配線導体が導出されている。
【0005】
この絶縁基体はセラミックス等からなり、平板状の底板部の上面の外周部に、別体の枠状の側壁部を接合することにより凹部が設けられている。また、底板部と側壁部とは一体的に形成されていてもよい。
【0006】
絶縁基体の凹部に接合された光半導体素子の電極は、凹部内に露出している配線導体に、Au,Al等からなるボンディングワイヤにより電気的に接続される。
【0007】
また、透光性蓋体が樹脂接着剤を介して絶縁基体の側壁部の上面に接着固定され、透光性蓋体により凹部が塞がれて、凹部内に光半導体素子が気密に封止される。
【0008】
内側にレンズが設けられるとともに下端に鍔状部が設けられた筒体を絶縁基体の上面に、筒体の鍔状部と絶縁基体の上面の外周部とが樹脂接着剤を介して接着されるようにして取着し、透光性蓋体の上面を筒体で覆うことにより光半導体装置となる。
【0009】
このような光半導体装置は、筒体の外側から入射してくる光を、筒体の内側に設けたレンズで調節して光半導体素子の受光部に焦点を合わせるようにして光半導体素子に受光させ、この光を光半導体素子内部で電気信号に変換して、電極を介して外部の電気回路にその電気信号を供給する。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−356254号公報
【0011】
【特許文献2】
特開2002−318336号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、光半導体装置に対してより精密なレンズの実装が益々要求されてきているが、上記従来の光半導体装置では、以下に述べるような問題点があった。
【0013】
絶縁基体の上面に樹脂層を介して透光性蓋体が接着されて光半導体素子が封止された後、筒体の鍔状部を絶縁基体の上面の外周部に樹脂接着剤を介して取着する作業は、例えば、熱硬化性の未硬化の樹脂接着剤を鍔状部と絶縁基体の上面の外周部との間に挟んで筒体を移動させ、光半導体素子と筒体の内側のレンズとの位置合わせを行い、その後、これらの位置合わせしたものをオーブン中等で加熱し、未硬化の樹脂接着剤を熱硬化させることにより行われる。そして、このように一旦位置合わせしたものをオーブンに入れるときに位置合わせがくるったり、オーブン内で樹脂接着剤が硬化中に筒体が横方向等に動いたりし、その結果、筒体の内側のレンズと光半導体素子の受光部との間に位置ずれが生じるという問題点があった。このような位置ずれは、例えば所望の設定値に対して、±100μm(−100μm〜+100μm)〜±200μm(−200μm〜+200μm)にまで達していた。
【0014】
従って、本発明は上記問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、光半導体素子とレンズとが高精度で位置合わせされた光半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置は、上面に光半導体素子を収容するための凹部を有する絶縁基体と、該絶縁基体の前記凹部の内側から外側にかけて導出された配線導体と、前記凹部の底面に接合されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された光半導体素子と、前記絶縁基体の上面に前記凹部を塞ぐようにして取着された透光性蓋体と、前記透光性蓋体の上面を覆って前記絶縁基体の上面の外周部に下端の鍔状部が樹脂接着剤を介して取着されるとともに、内側にレンズが設けられた筒体とを具備しており、前記筒体は、前記鍔状部に貫通孔が形成されており、前記樹脂接着剤は、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものであるとともに前記貫通孔内に充填されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の光半導体装置は、筒体の鍔状部と絶縁基体の上面の外周部とを接着している樹脂接着剤が、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものであり、かつ、鍔状部に貫通孔が形成されており、この鍔状部と絶縁基体の上面の外周部とを接着する樹脂接着剤が鍔状部の貫通孔内に充填されていることから、筒体と絶縁基体との接着の際に、鍔状部の貫通孔を通って紫外線を照射することにより樹脂接着剤を部分的に硬化させて半硬化状態とすることができる。そして、この半硬化状態となった樹脂接着剤を介して、筒体の内側のレンズと、絶縁基体に搭載された光半導体素子の受光部とを高精度に位置合わせするとともに、筒体を絶縁基体に対して仮固定しておくことができ、その後半硬化状態の樹脂接着剤を熱硬化させることにより、光半導体素子とレンズとが高精度で位置合わせされた光半導体装置を得ることができる。
【0017】
また本発明の光半導体装置は、樹脂接着剤が鍔状部の貫通孔内に充填されていることから、樹脂接着剤と鍔状部との接着面積を大きくとることができるとともに、筒体と絶縁基体との相対的な位置ずれ方向である横方向に対して直交する方向等の一定の角度をもった接着面でも接着することができ、その結果、筒体と絶縁基体との位置ずれをより効果的に抑えることができるとともに、筒体と絶縁基体との接着をより強固なものとすることができる。
【0018】
また本発明の光半導体装置は、好ましくは、前記貫通孔はスリット状のものが複数等間隔で形成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の光半導体装置は、好ましくは貫通孔をスリット状のものとすることにより、樹脂接着剤を貫通孔内に充填させることがより一層容易なものとなる。また、スリット状のものを複数等間隔で例えば周方向に並ぶように形成することから、筒体の鍔状部と絶縁基体の上面の外周部との接着面の全周にわたって均一に樹脂接着剤を貫通孔内に充填させることができるとともに、鍔状部と絶縁基体との接着強度をより確実に均一なものとすることができ、筒体と絶縁基体とがより一層強固にかつ高精度に接着された光半導体装置とすることができる。
【0020】
また、貫通孔をスリット状のものとすることにより、筒体と絶縁基体とを接着する樹脂接着剤をより効果的に貫通孔に充填させて吸収することができるので、余分な樹脂接着剤が透光性蓋体の上面に流れ出し、透光性蓋体を通って光が入射することを妨げるというような不具合も効果的に防止することができ、より信頼性,生産性に優れた光半導体装置とすることができる。
【0021】
本発明の光半導体装置の製造方法は、上面に光半導体素子を収容するための凹部を有し該凹部の内側から外側にかけて配線導体が導出された絶縁基体の前記凹部の底面に光半導体素子を接合する工程と、前記光半導体素子の電極を前記配線導体に電気的に接続するとともに前記絶縁基体の上面に前記凹部を塞ぐようにして透光性蓋体を取着して前記光半導体素子を気密封止する工程と、貫通孔が形成された鍔状部が下端に設けられた筒体の前記鍔状部を前記絶縁基体の上面の外周部に紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する未硬化の樹脂接着剤を間に挟んで載置する工程と、未硬化の前記樹脂接着剤に紫外線を照射して半硬化状態とするとともに前記筒体の内側に設けられたレンズと前記絶縁基体とを位置合わせする工程と、半硬化状態の前記樹脂接着剤を加熱して硬化させることにより、前記筒体を前記絶縁基体に接着する工程とを具備するものである。
【0022】
本発明の光半導体装置の製造方法は、貫通孔が形成された鍔状部が下端に設けられた筒体の鍔状部を絶縁基体の上面の外周部に紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する未硬化の樹脂接着剤を間に挟んで載置する工程と、未硬化の樹脂接着剤に紫外線を照射して半硬化状態とするとともに筒体の内側に設けられたレンズと絶縁基体とを位置合わせする工程とを具備することから、半硬化状態となった樹脂接着剤を介して筒体の内側のレンズと絶縁基体に搭載された光半導体素子の受光部とを高精度に位置合わせすることができ、その結果、次の熱硬化工程で筒体と絶縁基体とが相対的に動いて位置ずれを生じることがないような強度で筒体を絶縁基体に対して仮固定しておくことができる。
【0023】
そして、半硬化状態の樹脂接着剤を加熱して硬化させることにより、筒体を絶縁基体に接着する工程を具備することから、樹脂接着剤を加熱して十分に硬化させて、光半導体素子とレンズとが高精度で位置合わせされた状態で筒体と絶縁基体とが強固に接着されてなる光半導体装置を作製することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の光半導体装置について以下に詳細に説明する。図1は本発明の光半導体装置について実施の形態の一例を示す断面図である。図1において、1は絶縁基体、2は配線導体、3は光半導体素子、8は透光性蓋体、9は筒体である。主に、これらの絶縁基体1、配線導体2、光半導体素子3、透光性蓋体8および筒体9により光半導体装置が構成されている。なお、図1で20は筒体9を除いたものである光半導体素子収納用パッケージを示す。
【0025】
本発明の半導体装置は、上面に光半導体素子3を収容するための凹部を有する絶縁基体1と、絶縁基体1の凹部の内側から外側にかけて導出された配線導体2と、凹部の底面に接合されるとともに電極が配線導体2に電気的に接続された光半導体素子3と、絶縁基体1の上面に凹部を塞ぐようにして取着された透光性蓋体8と、透光性蓋体8の上面を覆って絶縁基体1の上面の外周部に下端の鍔状部が樹脂接着剤を介して取着されるとともに、内側にレンズが設けられた筒体9とを具備し、筒体9は、鍔状部に貫通孔が形成されており、樹脂接着剤は、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものであるとともに貫通孔内に充填されていることを特徴とするものである。
【0026】
本発明における絶縁基体1は、上面に光半導体素子3を収容するための凹部を有しており、この凹部内に光半導体素子3が収容されている。なお、光半導体素子3は、ろう材や樹脂接着剤等を介して凹部の底面に接合されている。この絶縁基体1は、光半導体装置が外部電気回路基板等に実装される際の熱で膨張し、光半導体素子3にストレスを与える場合があることから、熱膨張係数が5×10−6/℃程度と小さいアルミナを主成分としたセラミックスから成ることが好ましい。
【0027】
光半導体素子3は、PD,ラインセンサ,イメージセンサ,CCD(Charge Coupled Device)、EPROM(Erasable and Programmable ROM)等の受光素子、またはこれらの受光部を有するものである。
【0028】
このような光半導体素子3は、上面の中央部に受光部3aが設けられているとともに、上面の外周部等に電気信号の入出力用の電極4が設けられている。
【0029】
また、絶縁基体1の凹部の内側から外側にかけて配線導体2が導出されている。この配線導体2のうち、凹部の内側に露出した部位に電極パッド5が形成されており、この電極パッド5に光半導体素子3の電極4がAu,Al等からなるボンディングワイヤ6等の導電性接続材を介して接続される。そして、配線導体2のうち凹部の外側に導出した部分を外部の電気回路に半田等を介して接続することにより、光半導体素子3の電極4が配線導体2を介して外部の電気回路と電気的に接続される。
【0030】
なお、導電性接続材としてボンディングワイヤを用いる場合、ボンディングワイヤ6の長さは0.3〜0.8mmが好ましい。0.3mm未満では、ボンディングワイヤ6が短すぎて十分なループを形成することができずに、光半導体素子3の電極4と電極パッド5を確実に接続できず、接続不良が生じやすくなる。0.8mmを超えると、ループを形成するボンディングワイヤ6が長くなるため、ボンディングワイヤ6に余分なインダクタンスが発生して高周波信号の伝送性が劣化し易くなるとともにコスト高となる。また、ボンディングワイヤ6はループの最高部が透光性蓋体8の下面に接していてもよい。また導電性接続線としては、ボンディングワイヤ6以外にリボン状(帯状)のものやリード端子等の棒状のものを用いてもよい。
【0031】
絶縁基体1の上面には、例えば樹脂層を介して透光性蓋体8が取着されており、この透光性蓋体8により凹部が塞がれ、凹部内に収容された光半導体素子3が気密封止されている。樹脂層は、アクリル系樹脂,エポキシ系樹脂等から成る。また、樹脂層は、余計な外光の入射を遮断するために、黒色,茶褐色,暗緑色,濃青色等の暗色系の顔料や染料を混入させてもよい。
【0032】
透光性蓋体8は、光半導体素子3がCCD等の外光を受光する光半導体素子である場合、ガラス,石英,サファイヤ(単結晶アルミナ),透明樹脂等からなる透光性のものである。また、透光性蓋体8の上下面の少なくとも一方には紫外線を遮断するための光学膜が形成されていてもよい。
【0033】
この透光性蓋体8の上面を覆うようにして、内側にレンズ10が設けられた筒体9が絶縁基体1の上面の外周部に取着されている。筒体9は、内部にレンズ10が設けられており、筒体9の上側から入射した外部の光は、レンズ10で集光されて光半導体素子3の受光部3aで焦点を結び、受光部3aにより受光される。このため、レンズ10と半導体素子3の受光部3aとは、±100μm未満の位置ずれでもって高精度に位置合わせされたものとする必要がある。
【0034】
また、筒体9は下端に鍔状部11が設けられており、鍔状部11が絶縁基体1の上面の外周部に樹脂接着剤7を介して接着されている。そして、筒体9の鍔状部11には貫通孔13が形成されている。また、鍔状部11と絶縁基体1とを接着している樹脂接着剤7は、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものである。そして、樹脂接着剤7は鍔状部11の貫通孔13内に充填されている。
【0035】
本発明においては、筒体9の鍔状部11と絶縁基体1の上面の外周部とを接着している樹脂接着剤7が、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものであり、鍔状部11に貫通孔13が形成されており、この鍔状部11と絶縁基体1の上面の外周部とを接着する樹脂接着剤7が鍔状部9の貫通孔13内に充填されていることから、筒体9と絶縁基体1との接着の際に、鍔状部11の貫通孔13を通して紫外線を照射することにより未硬化の樹脂接着剤7を部分的に硬化させて半硬化状態とすることができる。そして、この半硬化状態となった樹脂接着剤7を介して、筒体9の内側のレンズ10と絶縁基体1に搭載された光半導体素子3の受光部3aとを高精度に位置合わせするとともに、筒体9を絶縁基体1に仮固定しておくことができ、その後半硬化状態の樹脂接着剤7を熱硬化させることにより、光半導体素子3とレンズ10とが高精度で位置合わせされた光半導体装置を得ることができる。
【0036】
このような紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する樹脂接着剤7としては、アクリル系樹脂,エポキシ系樹脂等の樹脂を用いることができる。
【0037】
また本発明の光半導体装置は、樹脂接着剤7が鍔状部11の貫通孔13内を充填していることから、樹脂接着剤7と鍔状部11との接着面積を大きくとることができるとともに、筒体9と絶縁基体1との相対的な位置ずれ方向である横方向に対して直交する方向等の一定の角度をもった接着面でも接着することができ、その結果、筒体9と絶縁基体1との位置ずれをより効果的に抑えることができるとともに、筒体9と絶縁基体1との接着をより強固なものとすることができる。
【0038】
また、貫通孔13は、複数個が鍔状部11に筒体9を挟んで対向するような位置、すなわち筒体9の中心軸に関して対称な位置に形成することが好ましい。
【0039】
このように筒体9を挟んで貫通孔13を形成しておくと、筒体9を絶縁基体1に接着する際に筒体9を両側から挟むようにして確実に位置決めして仮固定することができるので、位置決めの精度をより高くすることができる。なお、筒体9を挟んで貫通孔13を形成する場合、一対に限らず複数対形成してもよい。
【0040】
また本発明の光半導体装置において、貫通孔13はスリット状のものが複数等間隔で形成されていることが好ましい。すなわち、スリット状のものが複数等間隔で全周にわたって形成されていることがよい。
【0041】
貫通孔13をスリット状のものとすることにより、樹脂接着剤7を貫通孔13内に充填させることがより一層容易なものとなる。また、このようなスリット状の貫通孔13を複数等間隔で形成しておくと、筒体9の鍔状部11と絶縁基体1の上面の外周部との接着面の全周にわたって均一に樹脂接着剤7を貫通孔13内に充填させることができるとともに、鍔状部11と絶縁基体1との接着強度をより確実に均一なものとすることができ、筒体9と絶縁基体1とがより一層強固にかつ高精度に接着された光半導体装置とすることができる。
【0042】
また、貫通孔13をスリット状のものとすることにより、筒体9と絶縁基体1とを接着する樹脂接着剤7をより効果的に充填させて吸収することができるので、余分な樹脂接着剤7が透光性蓋体8の上面に流れ出し、透光性蓋体8を通って光が入射することを妨げるというような不具合も効果的に防止することができ、より信頼性,生産性に優れた光半導体装置とすることができる。
【0043】
なお、絶縁基体1が一般に四角形状であるため、その上面の外周部に接着される筒体9の鍔状部11も、極力接着面積を大きく確保するため、外形が四角形状のものとしておくことが好ましい。そして、スリット状の貫通孔13は、この外形が四角形状の鍔状部11の各辺の同じ位置に同じような形状で配置されるようにして形成することが好ましい。
【0044】
また、筒体9は、内部に設けるレンズ(通常、いわゆる凸レンズ)に応じた円筒形のものが一般的であるため、鍔状部11は外周形状が四角形状で内周形状が円形状となる。この場合、スリット状の貫通孔13は、鍔状部11の各辺の中央部に配置しておくと、鍔状部11と絶縁基体1との接着幅が狭くなる各辺の中央部で接着力を効果的に補強することができる。
【0045】
また、貫通孔13の開口の面積(貫通孔13が複数の場合は合計の面積)は、紫外線によって樹脂接着剤7を半硬化させる点で、接着される鍔状部11の下面の面積の10〜70%程度であることがよい。10%未満では、絶縁基体1に対して筒体9を仮止めさせるのに強度的に不十分となる。70%を超えると、絶縁基体1に接着される鍔状部11の下面の面積が小さくなって接合力が低下しやすくなる。
【0046】
次に、本発明の光半導体装置の製造方法について、図2(a)〜(c)を用いて詳しく説明する。
【0047】
まず、図2(a)に示すように、上面に光半導体素子3を収容するための凹部を有し、凹部の内側から外側にかけて配線導体2が導出された絶縁基体1の凹部の底面に半導体素子3を接合する。光半導体素子3は、例えば上面の中央部に受光部3aを有し、上面の外周部に電極4を有したものである。この光半導体素子3を凹部の底面に、間にろう材や樹脂接着剤等の接合材を介して位置決め載置し、その後ろう材を加熱溶融させたり樹脂接着剤を硬化させたりすることにより、光半導体素子3が凹部の底面に接合される。
【0048】
次に、図2(b)に示すように、光半導体素子3の電極4を配線導体2に電気的に接続するとともに絶縁基体1の上面に凹部を塞ぐようにして透光性蓋体8を取着して半導体素子3を気密封止する。絶縁基体1は、凹部の内側から外側にかけて配線導体2が導出されており、この配線導体2のうち凹部の内側に露出した部分が電極パッド5となる。電極パッド5に半導体素子3の電極をAu,Al等からなるボンディングワイヤ6等の導電性接続材を介して接続することにより、光半導体素子3の電極が配線導体2と電気的に接続される。また、絶縁基体1の上面の凹部の周囲に未硬化のアクリル系樹脂,エポキシ系樹脂等からなる未硬化の樹脂層を塗布しておき、この上に透光性蓋体8を載せて樹脂層を硬化させることにより、透光性蓋体8が絶縁基体1の上面に取着され透光性蓋体8により半導体素子3が気密封止される。
【0049】
次に、図2(c)に示すように、貫通孔13が形成された鍔状部11が下端に設けられた筒体9の鍔状部11を、絶縁基体1の上面の外周部に紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する未硬化の樹脂接着剤7を間に挟んで載置する。このような紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する未硬化の樹脂接着剤7としては、アクリル系樹脂,エポキシ系樹脂等の樹脂の未硬化のものを用いることができる。鍔状部11と絶縁基体1の上面との間に未硬化の樹脂接着剤7を挟むには、例えば、未硬化の樹脂接着剤7を絶縁基体1の上面にスクリーン印刷法等の手段で塗布する等の手段を用いることができる。
【0050】
次に、未硬化の樹脂接着剤7に紫外線を照射して半硬化状態とするとともに筒体9と絶縁基体1とを位置合わせする。未硬化の樹脂接着剤7は、主に貫通孔13に充填された部分のみに紫外線が照射されるため、全体に十分な紫外線が照射されることはなく、部分的に硬化されるのみであり半硬化状態となる。そして、樹脂接着剤7の半硬化状態で、筒体9と絶縁基体1、すなわち筒体9の内部のレンズ10と絶縁基体1に収容されている光半導体素子3の受光部3aとを位置合わせする。位置合わせは画像認識装置等を用いて行うことができる。また、このときの位置合わせは、所望の設定値に対するずれが±100μm未満となるような高精度なものとする必要がある。
【0051】
次に、半硬化状態の樹脂接着剤7を加熱して硬化させることにより、筒体9を絶縁基体1に接着する。半硬化状態の樹脂接着剤7の加熱硬化は、例えば、未硬化の樹脂接着剤7がアクリル系樹脂からなる場合であれば50〜150℃で行うことができる。熱硬化のために加えられる熱は、半硬化状態の樹脂接着剤7の全域に伝導されるため、樹脂接着剤7を十分に硬化させることができ、筒体9を絶縁基体1に強固に接着させることができる。
【0052】
【実施例】
本発明の光半導体装置の実施例を以下に説明する。
【0053】
(実施例)
まず、イメージセンサ素子から成る光半導体素子3、アルミナセラミックスから成る絶縁基体1、ガラスから成る透光性蓋体8、Auから成るボンディングワイヤ6を用い、絶縁基体1と光半導体素子3とをエポキシ樹脂から成る樹脂接着剤(図示せず)で接着固定した。また、光半導体素子3の電極4と絶縁基体1の電極パッド5とをボンディングワイヤ6によって電気的に接続した。その後、絶縁基体1と透光性蓋体8とをエポキシ樹脂からなる樹脂層で接着封止し、内側にレンズ10が設けられ貫通孔13が形成された鍔状部11が下端に設けられた筒体9の鍔状部11を絶縁基体1の上面の外周部に紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する未硬化の樹脂接着剤(エポキシ樹脂)7を間に挟んで載置する工程と、未硬化の樹脂接着剤7に紫外線を照射して半硬化状態とするとともに筒体9と絶縁基体1とを位置合わせする工程と、半硬化状態の樹脂接着剤7を加熱して硬化させることにより筒体9を絶縁基体1に接着して、本発明の光半導体装置のサンプルAを作製した。
【0054】
また、比較例として、上記実施例と同じ光半導体素子3、透光性蓋体8、ボンディングワイヤ6および筒体9を用い、鍔状部11に貫通孔13が形成されておらず樹脂接着剤7が熱硬化性のものであること以外は上記実施例と同様の光半導体装置のサンプルBを作製した。
【0055】
そして、これらのサンプルA,Bの各10個について、レンズと光半導体素子3との位置ずれを確認したところ、サンプルAの位置ずれは±30μm〜±100μmであり、サンプルBの位置ずれは±100μm〜±200μmであった。
【0056】
従って、サンプルAはサンプルBに対して位置合わせ精度が約50%改善された。
【0057】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0058】
【発明の効果】
本発明の光半導体装置は、筒体の鍔状部と絶縁基体の上面の外周部とを接着している樹脂接着剤が、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものであり、かつ、鍔状部に貫通孔が形成されており、この鍔状部と絶縁基体の上面の外周部とを接着する樹脂接着剤が鍔状部の貫通孔内に充填されていることから、筒体と絶縁基体との接着の際に、鍔状部の貫通孔を通って紫外線を照射することにより樹脂接着剤を部分的に硬化させて半硬化状態とすることができる。そして、この半硬化状態となった樹脂接着剤を介して、筒体の内側のレンズと、絶縁基体に搭載された光半導体素子の受光部とを高精度に位置合わせするとともに、筒体を絶縁基体に対して仮固定しておくことができ、その後半硬化状態の樹脂接着剤を熱硬化させることにより、光半導体素子とレンズとが高精度で位置合わせされた光半導体装置を得ることができる。
【0059】
また本発明の光半導体装置は、樹脂接着剤が鍔状部の貫通孔内に充填されていることから、樹脂接着剤と鍔状部との接着面積を大きくとることができるとともに、筒体と絶縁基体との相対的な位置ずれ方向である横方向に対して直交する方向等の一定の角度をもった接着面でも接着することができ、その結果、筒体と絶縁基体との位置ずれをより効果的に抑えることができるとともに、筒体と絶縁基体との接着をより強固なものとすることができる。
【0060】
本発明の光半導体装置は、好ましくは貫通孔をスリット状のものとすることにより、樹脂接着剤を貫通孔内に充填させることがより一層容易なものとなる。また、スリット状のものを複数等間隔で例えば周方向に並ぶように形成することから、筒体の鍔状部と絶縁基体の上面の外周部との接着面の全周にわたって均一に樹脂接着剤を貫通孔内に充填させることができるとともに、鍔状部と絶縁基体との接着強度をより確実に均一なものとすることができ、筒体と絶縁基体とがより一層強固にかつ高精度に接着された光半導体装置とすることができる。
【0061】
また、貫通孔をスリット状のものとすることにより、筒体と絶縁基体とを接着する樹脂接着剤をより効果的に貫通孔に充填させて吸収することができるので、余分な樹脂接着剤が透光性蓋体の上面に流れ出し、透光性蓋体を通って光が入射することを妨げるというような不具合も効果的に防止することができ、より信頼性,生産性に優れた光半導体装置とすることができる。
【0062】
本発明の光半導体装置の製造方法は、貫通孔が形成された鍔状部が下端に設けられた筒体の鍔状部を絶縁基体の上面の外周部に紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する未硬化の樹脂接着剤を間に挟んで載置する工程と、未硬化の樹脂接着剤に紫外線を照射して半硬化状態とするとともに筒体の内側に設けられたレンズと絶縁基体とを位置合わせする工程とを具備することから、半硬化状態となった樹脂接着剤を介して筒体の内側のレンズと絶縁基体に搭載された光半導体素子の受光部とを高精度に位置合わせすることができ、その結果、次の熱硬化工程で筒体と絶縁基体とが相対的に動いて位置ずれを生じることがないような強度で筒体を絶縁基体に対して仮固定しておくことができる。
【0063】
そして、半硬化状態の樹脂接着剤を加熱して硬化させることにより、筒体を絶縁基体に接着する工程を具備することから、樹脂接着剤を加熱して十分に硬化させて、光半導体素子とレンズとが高精度で位置合わせされた状態で筒体と絶縁基体とが強固に接着されてなる光半導体装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体装置について実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明の光半導体装置の製造方法を工程順に説明した光半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
1:絶縁基体
2:配線導体
3:光半導体素子
3a:受光部
4:電極
5:電極パッド
7:樹脂接着剤
8:透光性蓋体
9:筒体
10:レンズ
11:鍔状部
Claims (3)
- 上面に光半導体素子を収容するための凹部を有する絶縁基体と、該絶縁基体の前記凹部の内側から外側にかけて導出された配線導体と、前記凹部の底面に接合されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された光半導体素子と、前記絶縁基体の上面に前記凹部を塞ぐようにして取着された透光性蓋体と、前記透光性蓋体の上面を覆って前記絶縁基体の上面の外周部に下端の鍔状部が樹脂接着剤を介して取着されるとともに、内側にレンズが設けられた筒体とを具備しており、前記筒体は、前記鍔状部に貫通孔が形成されており、前記樹脂接着剤は、紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有するものであるとともに前記貫通孔内に充填されていることを特徴とする光半導体装置。
- 前記貫通孔は、スリット状のものが複数等間隔で形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
- 上面に光半導体素子を収容するための凹部を有し該凹部の内側から外側にかけて配線導体が導出された絶縁基体の前記凹部の底面に光半導体素子を接合する工程と、前記光半導体素子の電極を前記配線導体に電気的に接続するとともに前記絶縁基体の上面に前記凹部を塞ぐようにして透光性蓋体を取着して前記光半導体素子を気密封止する工程と、貫通孔が形成された鍔状部が下端に設けられた筒体の前記鍔状部を前記絶縁基体の上面の外周部に紫外線硬化性および熱硬化性の両特性を具有する未硬化の樹脂接着剤を間に挟んで載置する工程と、未硬化の前記樹脂接着剤に紫外線を照射して半硬化状態とするとともに前記筒体と前記絶縁基体とを位置合わせする工程と、半硬化状態の前記樹脂接着剤を加熱して硬化させることにより前記筒体を前記絶縁基体に接着する工程とを具備していることを特徴とする光半導体装置の製造方法。
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