JP2004063764A - 光結合半導体装置、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、信頼性に優れ、装置を小型化することができ、さらに簡易なプロセスで製造可能な光結合半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】開口部2aを有する第1の配線基板2およびこの第1の配線基板に積層された第2の配線基板3からなる積層配線基板1と、上記第2の配線基板の表面に上記開口部と対応位置して搭載される発光素子5と、上記積層配線基板に搭載されたスイッチング素子14と、上記第1の配線基板の開口部に受光部8aを対向させるとともに、開口部を覆うように配置された受光素子8と、この受光素子に受光部を覆うように設けられた固形状の第1の透光性樹脂10と、第1の配線基板の開口部内に表面が上記第1の透光性樹脂に接触するように充填された第2の透光性樹脂7と、上記第1の配線基板の表面に上記第1の透光性樹脂および第2の透光性樹脂を覆うように設けられた封止用樹脂とを備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】開口部2aを有する第1の配線基板2およびこの第1の配線基板に積層された第2の配線基板3からなる積層配線基板1と、上記第2の配線基板の表面に上記開口部と対応位置して搭載される発光素子5と、上記積層配線基板に搭載されたスイッチング素子14と、上記第1の配線基板の開口部に受光部8aを対向させるとともに、開口部を覆うように配置された受光素子8と、この受光素子に受光部を覆うように設けられた固形状の第1の透光性樹脂10と、第1の配線基板の開口部内に表面が上記第1の透光性樹脂に接触するように充填された第2の透光性樹脂7と、上記第1の配線基板の表面に上記第1の透光性樹脂および第2の透光性樹脂を覆うように設けられた封止用樹脂とを備えた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光結合半導体装置およびその製造方法に係り、特に光結合半導体装置のパッケージ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、テスターなどの計測器やモデムなどに用いられていた機械式リレーの高信頼性化を目的として、光結合素子を用いた無接点リレーが急速に進展しつつある。無接点リレーの代表的なものとしてはフォトリレーがあるが、これを計測器などに用いる場合には、1台の計測器に対して数千個のフォトリレーが必要となることがある。そのため、装置の小型化を図る上で、フォトリレーのパッケージサイズの小型化が強く望まれていた。
【0003】
一般的に、フォトリレーは、LEDなどの発光素子と、PV−IC(Photo Voltaic IC、光起電力素子)などの受光素子と、MOS−FETなどの2つのスイッチング素子とで構成され、発光素子のアノード端子とカソード端子、および各スイッチング素子のドレイン端子がそれぞれ外部端子としてパッケージから引き出され、SOP(Small Outline Package)などのパッケージ構造がとられている。
【0004】
また、SOPではリードフレームを用いてパッケージ化を行っていたが、更なる小型化の要求に応じるために、近年では配線基板を用いたSONパッケージ(Small Outline nonleaded Package)の開発が進められてきた。
【0005】
図6と図7は、SON構造のフォトリレー装置を示している。同図中に示すフォトリレー装置は表面に凹部aを備えた矩形状の配線基板bを有している。この配線基板bはセラミックやガラスエポキシなどの絶縁材からなり、凹部aの底面には、配線電極c、dを備えた銅材からなる配線パターンeが形成されている。一方の配線電極cには、はんだや銀ペーストなどによってLEDなどの発光素子fがダイマウントされ、この発光素子fの表面に形成された電極パッドgと配線電極dとは、金材からなるワイヤhによってワイヤボンディングされている。
【0006】
図6に示すように、配線基板bの表面には、凹部aの周辺部に2つの配線パターンiが形成されている。各配線パターンiにはそれぞれ配線電極jおよび配線電極kが形成され、配線電極jには配線基板bの表面側に凹部aの一部を覆うよう配置されたPV−ICなどの受光素子lが、受光面mを発光素子fに対向させた状態で、金材からなるボールバンプnを介して接続されている。
【0007】
また、配線基板bの表面には長手方向両端部にそれぞれ配線電極oを備えた配線パターンpが形成されている。これら配線パターンpは中途部でほぼ直角に折曲し、その先端はそれぞれ配線基板bの裏面に露出している。配線基板bの裏面にはそれぞれパッケージ電極qが突設されており、これらパッケージ電極qは配線基板b裏面に露出した上記各配線パターンpにそれぞれ接続されている。
【0008】
隣接する一対の配線電極jと配線電極kとには、それぞれ配線基板bの表面側に配置されたMOS−FETなどのスイッチング素子rが、金材からなるボールバンプnを介してフリップチップ接続されている。
【0009】
配線基板bの表面に形成された凹部a内にはシリコ−ンなどの透光性樹脂sが充填されている。この透光性樹脂sの表面は、配線基板bの上面側に配置された受光素子lの受光面mに密着しており、発光素子fと受光素子lとの間には透光性が確保されている。配線基板bの表面側には、エポキシなどの封止用樹脂tが、透光性樹脂sの露出部分、受光素子l、およびスイッチング素子rを覆うように設けられている。
【0010】
次に、上記構成のフォトリレーパッケージの製造工程について説明する。
【0011】
上記フォトリレー装置を製造する場合、まず、凹部aを備えた配線基板bの表面および凹部aの底面にそれぞれ配線電極c、d、j、k、oを形成する。
【0012】
次いで、凹部aに形成された配線電極cに発光素子fをはんだや銀ペーストなどによってダイマウントし、この発光素子fに形成された電極パッドuと配線電極dとをワイヤボンディングによって電気的接続を行う。
【0013】
次いで、配線基板bの表面側に受光素子lを凹部aが覆われるよう配置し、この受光素子lをボールバンプnを介して配線電極jに接続する。さらに、配線基板bの表面側に一対のスイッチング素子rを配置し、スイッチング素子rをボールバンプnを介して隣接する配線電極k、oに接続する。
【0014】
次いで、配線基板bの凹部aにゲル状の透光性樹脂sをポッティング法などによって注入する。そして、透光性樹脂sが凹部aから充溢し、その表面が受光素子lの受光面mに密着したら、透光性樹脂sの注入を停止する。
【0015】
次いで、凹部aに注入されたゲル状の透光性樹脂sが凝固したら、配線基板bの表面に、例えばポッティング法や印刷法によって、封止用樹脂tを受光素子lおよびスイッチング素子rを覆うように塗布し、透光性樹脂sの露出部分を封止する。
【0016】
このように、受光素子lおよびスイッチング素子rをフリップチップ実装することで、これまでのようにリードフレームを用いて実装した場合に比べて、フォトリレーのパッケージサイズを小型化することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、配線基板1の凹部aに注入する透光性樹脂sを受光素子lの受光面mに密着させるためには、この受光性樹脂sを凹部aの開口面よりも上方まで隆起させなければならない。しかしながら、この透光性樹脂sはゲル状であるため、凹部aから充溢した透光性樹脂sは配線基板b上を受光素子lやスイッチング素子rの接続部分まで流れ込んでしまう。
【0018】
また、シリコーンなどの透光性樹脂sは、配線基板bの上面を封止するエポキシなどの封止用樹脂tに比べて強度が低い。そのため、受光素子lやスイッチング素子rの接続部分が透光性樹脂sによって覆われてしまうと、封止用樹脂tによって封止する場合に比べて、接続部分の機械的強度が低下することがある。
【0019】
そこで、凹部aに透光性樹脂sを充填する前に、予め、受光素子lおよびスイッチング素子rの接続部分のみを別の封止用樹脂によって封止する方法が考えられる。しかしながら、外部からの光が凹部a内に入射するのを防止するために、少なくとも透光性樹脂sの表面部分は非透光性樹脂で封止する必要があり、製造工程が複雑化するという問題がある。
【0020】
また、受光素子lは配線基板bの表面側に凹部aを覆うように設けられるため、凹部aの開口部外形を受光素子よりも大きくすることで、透光性樹脂を注入するための注入エリアvを確保していた。そのため、装置が大型化していた。
【0021】
この発明は、信頼性に優れ、装置を小型化することができ、さらに簡易なプロセスで製造可能な光結合半導体装置、およびその製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、開口部を有する第1の配線基板およびこの第1の配線基板に積層された第2の配線基板からなる積層配線基板と、上記第2の配線基板の表面に上記開口部と対応位置して搭載される発光素子と、上記積層配線基板に搭載されたスイッチング素子と、上記第1の配線基板の開口部に受光部を対向させるとともに、開口部を覆うように配置された受光素子と、この受光素子に受光部を覆うように設けられた固形状の第1の透光性樹脂と、上記第1の配線基板の開口部内に表面が上記第1の透光性樹脂に接触するように充填された第2の透光性樹脂と、上記第1の配線基板の表面に上記第1の透光性樹脂および第2の透光性樹脂を覆うように設けられた封止用樹脂とを有することを特徴とする光結合半導体装置にある。
【0023】
この発明によれば、装置の製造プロセスを簡単化できるから、生産性を向上させることができる。
【0024】
また、第2の透光性樹脂が、受光素子やスイッチング素子と積層配線基板との接続部分に流出することがないから、接続部分における機械的強度の低下や熱応力による接続部分の劣化を抑えることができる。
【0025】
さらに、第2の透光性樹脂を凹部に注入した後に受光素子を搭載するから、透光性樹脂の注入エリアを設ける必要がなく、装置を小型化することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1〜図4はこの発明の第1の実施形態を示し、図1はフォトリレー装置の断面図、図2はフォトリレー装置の平面図、図3は受光素子の平面図、図4は受光素子の断面図である。
【0028】
図1に示す光結合半導体装置としてのフォトリレー装置は平面ほぼ矩形状の積層配線基板1を有する。この積層配線基板1は、表裏に連通する矩形状の開口部2aを備えるとともに、所定の厚さ寸法、この実施の形態では0.6[mm]の厚さを有する第1の配線基板2の裏面2Rに、ほぼ同じ外形を有する第2の配線基板3をその表面3Sを対向させるように接合してなる。これら第1の配線基板2および第2の配線基板3の素材としては、例えばセラミックやガラスエポキシなどの絶縁材が用いられる。
【0029】
積層配線基板1の表面1Sには、第1の配線基板2の開口部2aによって矩形状の凹部1aが形成されている。第2の配線基板3の表面3Sには第1の配線パターン4が形成され、この第1の配線パターン4には、上記開口部2aと対応位置して、発光素子搭載用電極4aとワイヤボンディング用電極4bとがそれぞれ形成されている。
【0030】
発光素子搭載用電極4aにははんだや銀ペーストなどによって、たとえば0.2[mm]〜0.3[mm]の厚さ寸法を備えたLEDなどの発光素子5が電気的に接合されている。この発光素子5の表面には電極パッド5aが形成されおり、この電極パッド5aとワイヤボンディング用電極4bとは、所定の外径寸法、この実施の形態では約φ25×10−6[m]の金材製のワイヤ6によってワイヤボンディングされている。
【0031】
発光素子搭載用電極4a及びワイヤボンディング用電極4bは、第1の配線パターン4を介して積層配線基板1の裏面1Rに設けられた図示しない一対の入力側端子にそれぞれ接続されている。すなわち、第1の配線パターン4上に形成された各電極4a、4b間は発光素子5を介して電気的に接続されている。したがって、入力側の回路により各電極4a、4b間に所定の電位差を与えると、発光素子5は発光するようになっている。
【0032】
なお、この実施の形態では、LEDとして素子表面にアノード端子およびカソード端子が形成されたものを用いているが、これに限定されるものではなく、例えば素子の表面と裏面とにアノード端子とカソード端子とがそれぞれ形成されたものを用いてもよい。このようなタイプのLEDを用いると、LEDを配線基板にフリップチップ接合することができる。
【0033】
積層配線基板1に形成された凹部1aには、シリコーンなどの第2の透光性樹脂7が、少なくとも発光素子5およびこの発光素子5に接続されたワイヤ6が覆われるように、また、多くとも凹部1aが完全に満たされないように、この実施の形態では0.5[mm]〜0.55[mm]まで充填されている。すなわち、第2の透光性樹脂7の表面のレベルは、積層配線基板1の表面1Sよりもやや下方に位置している。
【0034】
積層配線基板1の表面1S側には、凹部1aと対応位置してPV−IC(Photo Voltaic IC、光起電力素子)などの受光素子8が、受光部8aを凹部1aに対向させて配置されている。図3と図4に示すように、この受光素子8は裏面に上記受光部8aを備えた矩形状の素子本体9を有している。この素子本体9の裏面には、シリコーンなどからなる矩形状の第1の透光性樹脂10が受光部8aを覆うように、かつ密着して設けられている。図1に示すように、この第1の透光性樹脂10の一部は凹部1aの内部に収容され、凹部1a内に充填された第2の透光性樹脂7の表面と密着している。
【0035】
また、図4に示すように、受光素子8の裏面四隅部にはそれぞれ電極パッド11a、11bが交互に形成されており、受光部8aが所定の強さの光を感知すると、電極パッド11a、11b間に、所定の電位差を発生させるようになっている。
【0036】
なお、発光素子5と受光素子8の受光部8aとの間隔は、良好な光結合がなされる、0.3[mm]〜0.5[mm]程度に設定されている。例えば、凹部1aの深さ寸法を0.6[mm]、第2の透光性樹脂7の充填厚さを0.5[mm]、受光素子8に形成されたボールバンプ13aの高さ寸法を0.03[mm]、受光素子搭載用電極13aの厚さ寸法を0.01[mm]とした場合、受光素子8の裏面に形成する第1の透光性樹脂10の厚さ寸法を少なくとも0.14[mm]以上とすることで、発光素子5と受光素子8との間で、上述したような良好な光結合がなされる。
【0037】
図1と図2に示すように、積層配線基板1の表面1Sには、4つの受光素子搭載用電極13aを備えた一対の第2の配線パターン13が形成されている。これら受光素子搭載用電極13aには、受光素子8の各電極パッド11a、11b(図3と図4にのみ図示)がそれぞれボールバンプ12を介して接続されている。
【0038】
積層配線基板1の表面1Sには、長手方向両端部にMOS−FETなどのスイッチング素子14がそれぞれ配置されている。各スイッチング素子14は、それぞれソース端子14a、ドレイン端子14b、およびゲート端子14c(図2にのみ図示)を備えている。ソース端子14aとドレイン端子14bは、ボールバンプ15を介して積層配線基板1の表面1Sの長手方向両端部に形成された第3の配線パターン16上のスイッチング素子搭載用電極16a(4つの内の2つのみ図示)にそれぞれ接続されている。また、ゲート端子14cは上記第2の配線パターン13に形成されたスイッチング素子搭載用電極16bに接続されている。なお、この実施の形態では、スイッチング素子14として、ソース端子14a、ドレイン端子14b、ゲート端子14cが素子の裏面に形成されたラテラル型MOS−FETが用いられている。
【0039】
各第3の配線パターン16は中途部でほぼ直角に折曲し、積層配線基板1内を板厚方向に延びてその先端は積層配線基板1の裏面に露出している。積層配線基板1の裏面四隅部にはそれぞれ電極パッド17が突設され、これら電極パッド17と積層配線基板1の裏面1Rに露出した第3の配線パターン16の先端とは電気的に接続されている。
【0040】
すなわち、入力側である発光素子搭載用電極4aとワイヤボンディング用電極4bとの間に所定の電位差が発生すると、これらの間に介装された発光素子5は発光する。そして、発光素子5からの光が、第1の透光性樹脂10と第2の透光性樹脂7とで構成される透光路を通り、受光素子8の受光部8aによって感知されると、受光素子8の電極パッド11a、11b間には所定の電位差が発生する。そして、電極パッド11a、11b間に発生した電位差は、スイッチング素子14のゲート端子14cに入力され、スイッチング素子14のスイッチング動作によって、ドレイン端子14bを介して出力側の回路に所定の電流を流すようになっている。
【0041】
積層配線基板1の表面1Sには、非透光性を有する例えばエポキシなどの封止用樹脂18が発光素子5、受光素子8、スイッチング素子14を封止するように設けられている。
【0042】
次いで、上記構成のフォトリレー装置を製造する方法について説明する。
【0043】
上記フォトリレー装置を製造する場合、まず、構成部品である受光素子8および積層配線基板1を準備する。受光素子8は、ウエハ段階においてウエハ表面に第1の透光性樹脂10を印刷法やポッティング法などによって形成することで容易に得られる。しかしながら、この方法に限定されるのもではなく、ウエハのダイシング後にポッティング法などによって形成してもよい。一方、積層配線基板1は、開口部2aを備えた第1の配線基板2の裏面2Rに、ほぼ同じ外形を有する第2の配線基板3の表面3Sを対向させた状態で接合することで容易に得られる。しかしながら、積層配線基板1の製作方法としては、これに限定されるものではない。
【0044】
受光素子8および積層配線基板1を準備したならば、ディスペンサなどによってたとえば銀ペーストを積層配線基板1の表面1Sに塗布し、その上から発光素子5をマウントする。このとき、発光素子5がマウントされる位置は、凹部1aの底面の中心に対してワイヤボンディング用電極4bから遠ざかる方向によせておく。
【0045】
次いで、塗布された銀ペーストを、例えば150[℃]で1時間程度かけて硬化させ、発光素子5を積層配線基板1の凹部1a底面に形成された発光素子搭載用電極4aに電気的に接続する。そして、発光素子5の表面に形成された電極パッド5aと、凹部1a底面に形成されたワイヤボンディング用電極4bとをワイヤ6によってワイヤボンディングし、これら電極4a、4b間を発光素子5を介して電気的に接続する。
【0046】
次いで、積層配線基板1の凹部1a内に、例えばポッティング法によってゲル状の第2の透光性樹脂7を所定のレベル、この実施の形態では約0.5[mm]〜0.55[mm]まで注入する。このとき、凹部1a底面に搭載された発光素子5およびこの発光素子5に接続されたワイヤ6は完全に封止される。そして、第2の透光性樹脂7を、例えば150[℃]で5時間程度かけて硬化させる。
【0047】
次いで、積層配線基板1の表面1S側に受光素子8を第1の透光性樹脂10を凹部1aと対向させるよう配置し、ボールバンプ12を介して積層配線基板1の表面1Sに形成された受光素子搭載用電極13aと受光素子8の電極パッド11a、11bとをフリップチップによって接続する。それによって、第1の透光性樹脂10の一部は凹部1aに収容され、未凝固の第2の透光性樹脂7の表面に密着する。栂
なお、この実施の形態ではボンディング条件として、超音波出力を1[W]〜2[W]、ステージ温度を150[℃]〜250[℃]、ボンディング荷重を3[N]〜6[N]、ボンディング時間を0.5[S]〜1.0[S]等としたが、この条件に限定されるものではない。
【0048】
また、第2の透光性樹脂7は、完全にゲル状を保っている必要はなく、押圧によって変形可能な状態であれば、受光素子8を積層配線基板1に搭載する際に、第1の透光性樹脂10を押し当てることで、第2の透光性樹脂7を変形させて互いに密着させるようにしてもよい。さらに、第2の透光性樹脂7の素材として、凝固時においても変形可能な樹脂を用い、第1の透光性樹脂10を第2の透光性樹脂7の表面に押し当てるようにしてもよい。
【0049】
積層配線基板1の表面1Sに受光素子8を搭載したならば、積層配線基板1の表面1S側の長手方向両端部にそれぞれスイッチング素子14を配置し、積層配線基板1の表面1S上のスイッチング素子搭載用電極16a、16bにボールバンプ15を介してフリップチップ接続する。なお、このスイッチング素子14とスイッチング素子搭載用電極16a、16bとのボンディングについても、この実施の形態では上記ボンディング条件を採用している。
【0050】
次いで、積層配線基板1の表面1S側にエポキシなどの封止用樹脂18をポッティング法や印刷法などによって塗布して、発光素子5、受光素子8、スイッチング素子14、第1の透光性樹脂10および第2の透光性樹脂7の表面部分を封止する。
【0051】
上記構成のフォトリレー装置によれば、積層配線基板1の凹部1a内にゲル状の第2の透光性樹脂7を注入するとともに、この第2の透光性樹脂7に表面側から受光素子8に設けられた第1の透光性樹脂10を密着させることで、発光素子5と受光素子8との間に透光路を確保した。
【0052】
そのため、積層配線基板1の表面1Sにフリップチップによって発光素子5を接続すると、それと同時に凹部1a内の第2の透光性樹脂7と第1の透光性樹脂10とが一体化するので、製造プロセスを簡単化することができる。
【0053】
また、第2の透光性樹脂7を積層配線基板1の表面1Sよりも高いレベルまで注入する必要がないため、第2の透光性樹脂7が積層配線基板1の表面1Sに流出するのを防ぐことができる。したがって、受光素子8或いはスイッチング素子14と積層配線基板1との接合部分が第2の透光性樹脂7によって覆われること無い。
【0054】
そのため、各接合部分をその後に塗布されるエポキシなどの封止用樹脂18によって封止することができるので、接合部分における機械的強度の低下および熱応力による劣化を抑制することができる。
【0055】
さらに、凹部1aに第2の透光性樹脂7を注入した後に、この凹部1aを覆うよう積層配線基板1の表面1S側に受光素子8を搭載するため、積層配線基板1に第2の透光性樹脂の注入用のエリアを設ける必要がないから、装置を小型化することができる。
【0056】
図5はこの発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態は、上記第1の実施の形態に係る積層配線基板1の変形例である。すなわち、この実施の形態に係る積層配線基板31は、平面ほぼ矩形枠状の第3の配線基板32を有している。この第3の配線基板32は、セラミックやガラスエポキシなどの絶縁材からなり、内側面の所定位置にはそれぞれ径方向内方に突出した掛止部32a、32bがそれぞれ形成されている。
【0057】
この第3の配線基板32の裏面開口32cには、この第3の配線基板32の内形とほぼ同じ外形を有する第4の配線基板33が一体的に嵌め込まれている。この第4の配線基板33は掛止部32aと対応する位置に段部33aを有しており、これら積層配線基板31には段部33aと掛止部32aとによって凹部31aが形成されている。また、積層配線基板31の表面31Sには、その周縁部に全周にわたって額縁状の壁部34が形成されている。
【0058】
この構成のフォトリレー装置によれば、積層配線基板31の表面31Sに周縁部の全周にわたって額縁状の壁部34を形成した。そのため、積層配線基板31の表面31Sに封止用樹脂18を塗布するだけで、この封止用樹脂31が壁部34の内部に収容され、受光素子8、スイッチング素子14(1つのみ図示)、第1の透光性樹脂10、および第2の透光性樹脂7の表面を封止することができ、さらに、外観品質を安定させることができる。
【0059】
また、積層配線基板31の表面31Sに塗布された封止用樹脂18は、壁部34によってせき止められるため、封止用樹脂18として粘度が低い素材を用いることができる。
【0060】
【発明の効果】
この発明によれば、装置の製造プロセスを簡単化にできるから、生産性を向上させることができる。
【0061】
また、第2の透光性樹脂が受光素子やスイッチング素子と積層配線基板との接続部分に流出することがないから、接続部分における機械的強度の低下や熱応力による接続部分の劣化を抑えることができる。
【0062】
さらに、受光素子を搭載する前に積層配線基板の凹部に第2の透光性樹脂を注入するから、透光性樹脂の注入エリアを設ける必要がなく、装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係るフォトリレー装置の断面図。
【図2】第1の実施の形態に係るフォトリレー装置の平面図。
【図3】第1の実施の形態に係る受光素子の平面図。
【図4】第1の実施の形態に係る受光素子の側面図。
【図5】この発明の第2の実施の形態に係るフォトリレー装置の断面図。
【図6】従来のフォトリレーパッケージの断面図。
【図7】従来のフォトリレーパッケージの平面図。
【符号の説明】
2a…開口部
16a、16b…スイッチング素子搭載用電極
13a…受光素子搭載用電極
2、32…第1の配線基板
4a…発光素子搭載用電極
4b…ワイヤボンディング用電極
3、33…第2の配線基板
1、31…積層配線基板
5…発光素子
14…スイッチング素子
8a…受光部
8…受光素子
10…第1の透光性樹脂
7…第2の透光性樹脂
18…封止用樹脂
34…壁部
【発明の属する技術分野】
この発明は、光結合半導体装置およびその製造方法に係り、特に光結合半導体装置のパッケージ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、テスターなどの計測器やモデムなどに用いられていた機械式リレーの高信頼性化を目的として、光結合素子を用いた無接点リレーが急速に進展しつつある。無接点リレーの代表的なものとしてはフォトリレーがあるが、これを計測器などに用いる場合には、1台の計測器に対して数千個のフォトリレーが必要となることがある。そのため、装置の小型化を図る上で、フォトリレーのパッケージサイズの小型化が強く望まれていた。
【0003】
一般的に、フォトリレーは、LEDなどの発光素子と、PV−IC(Photo Voltaic IC、光起電力素子)などの受光素子と、MOS−FETなどの2つのスイッチング素子とで構成され、発光素子のアノード端子とカソード端子、および各スイッチング素子のドレイン端子がそれぞれ外部端子としてパッケージから引き出され、SOP(Small Outline Package)などのパッケージ構造がとられている。
【0004】
また、SOPではリードフレームを用いてパッケージ化を行っていたが、更なる小型化の要求に応じるために、近年では配線基板を用いたSONパッケージ(Small Outline nonleaded Package)の開発が進められてきた。
【0005】
図6と図7は、SON構造のフォトリレー装置を示している。同図中に示すフォトリレー装置は表面に凹部aを備えた矩形状の配線基板bを有している。この配線基板bはセラミックやガラスエポキシなどの絶縁材からなり、凹部aの底面には、配線電極c、dを備えた銅材からなる配線パターンeが形成されている。一方の配線電極cには、はんだや銀ペーストなどによってLEDなどの発光素子fがダイマウントされ、この発光素子fの表面に形成された電極パッドgと配線電極dとは、金材からなるワイヤhによってワイヤボンディングされている。
【0006】
図6に示すように、配線基板bの表面には、凹部aの周辺部に2つの配線パターンiが形成されている。各配線パターンiにはそれぞれ配線電極jおよび配線電極kが形成され、配線電極jには配線基板bの表面側に凹部aの一部を覆うよう配置されたPV−ICなどの受光素子lが、受光面mを発光素子fに対向させた状態で、金材からなるボールバンプnを介して接続されている。
【0007】
また、配線基板bの表面には長手方向両端部にそれぞれ配線電極oを備えた配線パターンpが形成されている。これら配線パターンpは中途部でほぼ直角に折曲し、その先端はそれぞれ配線基板bの裏面に露出している。配線基板bの裏面にはそれぞれパッケージ電極qが突設されており、これらパッケージ電極qは配線基板b裏面に露出した上記各配線パターンpにそれぞれ接続されている。
【0008】
隣接する一対の配線電極jと配線電極kとには、それぞれ配線基板bの表面側に配置されたMOS−FETなどのスイッチング素子rが、金材からなるボールバンプnを介してフリップチップ接続されている。
【0009】
配線基板bの表面に形成された凹部a内にはシリコ−ンなどの透光性樹脂sが充填されている。この透光性樹脂sの表面は、配線基板bの上面側に配置された受光素子lの受光面mに密着しており、発光素子fと受光素子lとの間には透光性が確保されている。配線基板bの表面側には、エポキシなどの封止用樹脂tが、透光性樹脂sの露出部分、受光素子l、およびスイッチング素子rを覆うように設けられている。
【0010】
次に、上記構成のフォトリレーパッケージの製造工程について説明する。
【0011】
上記フォトリレー装置を製造する場合、まず、凹部aを備えた配線基板bの表面および凹部aの底面にそれぞれ配線電極c、d、j、k、oを形成する。
【0012】
次いで、凹部aに形成された配線電極cに発光素子fをはんだや銀ペーストなどによってダイマウントし、この発光素子fに形成された電極パッドuと配線電極dとをワイヤボンディングによって電気的接続を行う。
【0013】
次いで、配線基板bの表面側に受光素子lを凹部aが覆われるよう配置し、この受光素子lをボールバンプnを介して配線電極jに接続する。さらに、配線基板bの表面側に一対のスイッチング素子rを配置し、スイッチング素子rをボールバンプnを介して隣接する配線電極k、oに接続する。
【0014】
次いで、配線基板bの凹部aにゲル状の透光性樹脂sをポッティング法などによって注入する。そして、透光性樹脂sが凹部aから充溢し、その表面が受光素子lの受光面mに密着したら、透光性樹脂sの注入を停止する。
【0015】
次いで、凹部aに注入されたゲル状の透光性樹脂sが凝固したら、配線基板bの表面に、例えばポッティング法や印刷法によって、封止用樹脂tを受光素子lおよびスイッチング素子rを覆うように塗布し、透光性樹脂sの露出部分を封止する。
【0016】
このように、受光素子lおよびスイッチング素子rをフリップチップ実装することで、これまでのようにリードフレームを用いて実装した場合に比べて、フォトリレーのパッケージサイズを小型化することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、配線基板1の凹部aに注入する透光性樹脂sを受光素子lの受光面mに密着させるためには、この受光性樹脂sを凹部aの開口面よりも上方まで隆起させなければならない。しかしながら、この透光性樹脂sはゲル状であるため、凹部aから充溢した透光性樹脂sは配線基板b上を受光素子lやスイッチング素子rの接続部分まで流れ込んでしまう。
【0018】
また、シリコーンなどの透光性樹脂sは、配線基板bの上面を封止するエポキシなどの封止用樹脂tに比べて強度が低い。そのため、受光素子lやスイッチング素子rの接続部分が透光性樹脂sによって覆われてしまうと、封止用樹脂tによって封止する場合に比べて、接続部分の機械的強度が低下することがある。
【0019】
そこで、凹部aに透光性樹脂sを充填する前に、予め、受光素子lおよびスイッチング素子rの接続部分のみを別の封止用樹脂によって封止する方法が考えられる。しかしながら、外部からの光が凹部a内に入射するのを防止するために、少なくとも透光性樹脂sの表面部分は非透光性樹脂で封止する必要があり、製造工程が複雑化するという問題がある。
【0020】
また、受光素子lは配線基板bの表面側に凹部aを覆うように設けられるため、凹部aの開口部外形を受光素子よりも大きくすることで、透光性樹脂を注入するための注入エリアvを確保していた。そのため、装置が大型化していた。
【0021】
この発明は、信頼性に優れ、装置を小型化することができ、さらに簡易なプロセスで製造可能な光結合半導体装置、およびその製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、開口部を有する第1の配線基板およびこの第1の配線基板に積層された第2の配線基板からなる積層配線基板と、上記第2の配線基板の表面に上記開口部と対応位置して搭載される発光素子と、上記積層配線基板に搭載されたスイッチング素子と、上記第1の配線基板の開口部に受光部を対向させるとともに、開口部を覆うように配置された受光素子と、この受光素子に受光部を覆うように設けられた固形状の第1の透光性樹脂と、上記第1の配線基板の開口部内に表面が上記第1の透光性樹脂に接触するように充填された第2の透光性樹脂と、上記第1の配線基板の表面に上記第1の透光性樹脂および第2の透光性樹脂を覆うように設けられた封止用樹脂とを有することを特徴とする光結合半導体装置にある。
【0023】
この発明によれば、装置の製造プロセスを簡単化できるから、生産性を向上させることができる。
【0024】
また、第2の透光性樹脂が、受光素子やスイッチング素子と積層配線基板との接続部分に流出することがないから、接続部分における機械的強度の低下や熱応力による接続部分の劣化を抑えることができる。
【0025】
さらに、第2の透光性樹脂を凹部に注入した後に受光素子を搭載するから、透光性樹脂の注入エリアを設ける必要がなく、装置を小型化することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1〜図4はこの発明の第1の実施形態を示し、図1はフォトリレー装置の断面図、図2はフォトリレー装置の平面図、図3は受光素子の平面図、図4は受光素子の断面図である。
【0028】
図1に示す光結合半導体装置としてのフォトリレー装置は平面ほぼ矩形状の積層配線基板1を有する。この積層配線基板1は、表裏に連通する矩形状の開口部2aを備えるとともに、所定の厚さ寸法、この実施の形態では0.6[mm]の厚さを有する第1の配線基板2の裏面2Rに、ほぼ同じ外形を有する第2の配線基板3をその表面3Sを対向させるように接合してなる。これら第1の配線基板2および第2の配線基板3の素材としては、例えばセラミックやガラスエポキシなどの絶縁材が用いられる。
【0029】
積層配線基板1の表面1Sには、第1の配線基板2の開口部2aによって矩形状の凹部1aが形成されている。第2の配線基板3の表面3Sには第1の配線パターン4が形成され、この第1の配線パターン4には、上記開口部2aと対応位置して、発光素子搭載用電極4aとワイヤボンディング用電極4bとがそれぞれ形成されている。
【0030】
発光素子搭載用電極4aにははんだや銀ペーストなどによって、たとえば0.2[mm]〜0.3[mm]の厚さ寸法を備えたLEDなどの発光素子5が電気的に接合されている。この発光素子5の表面には電極パッド5aが形成されおり、この電極パッド5aとワイヤボンディング用電極4bとは、所定の外径寸法、この実施の形態では約φ25×10−6[m]の金材製のワイヤ6によってワイヤボンディングされている。
【0031】
発光素子搭載用電極4a及びワイヤボンディング用電極4bは、第1の配線パターン4を介して積層配線基板1の裏面1Rに設けられた図示しない一対の入力側端子にそれぞれ接続されている。すなわち、第1の配線パターン4上に形成された各電極4a、4b間は発光素子5を介して電気的に接続されている。したがって、入力側の回路により各電極4a、4b間に所定の電位差を与えると、発光素子5は発光するようになっている。
【0032】
なお、この実施の形態では、LEDとして素子表面にアノード端子およびカソード端子が形成されたものを用いているが、これに限定されるものではなく、例えば素子の表面と裏面とにアノード端子とカソード端子とがそれぞれ形成されたものを用いてもよい。このようなタイプのLEDを用いると、LEDを配線基板にフリップチップ接合することができる。
【0033】
積層配線基板1に形成された凹部1aには、シリコーンなどの第2の透光性樹脂7が、少なくとも発光素子5およびこの発光素子5に接続されたワイヤ6が覆われるように、また、多くとも凹部1aが完全に満たされないように、この実施の形態では0.5[mm]〜0.55[mm]まで充填されている。すなわち、第2の透光性樹脂7の表面のレベルは、積層配線基板1の表面1Sよりもやや下方に位置している。
【0034】
積層配線基板1の表面1S側には、凹部1aと対応位置してPV−IC(Photo Voltaic IC、光起電力素子)などの受光素子8が、受光部8aを凹部1aに対向させて配置されている。図3と図4に示すように、この受光素子8は裏面に上記受光部8aを備えた矩形状の素子本体9を有している。この素子本体9の裏面には、シリコーンなどからなる矩形状の第1の透光性樹脂10が受光部8aを覆うように、かつ密着して設けられている。図1に示すように、この第1の透光性樹脂10の一部は凹部1aの内部に収容され、凹部1a内に充填された第2の透光性樹脂7の表面と密着している。
【0035】
また、図4に示すように、受光素子8の裏面四隅部にはそれぞれ電極パッド11a、11bが交互に形成されており、受光部8aが所定の強さの光を感知すると、電極パッド11a、11b間に、所定の電位差を発生させるようになっている。
【0036】
なお、発光素子5と受光素子8の受光部8aとの間隔は、良好な光結合がなされる、0.3[mm]〜0.5[mm]程度に設定されている。例えば、凹部1aの深さ寸法を0.6[mm]、第2の透光性樹脂7の充填厚さを0.5[mm]、受光素子8に形成されたボールバンプ13aの高さ寸法を0.03[mm]、受光素子搭載用電極13aの厚さ寸法を0.01[mm]とした場合、受光素子8の裏面に形成する第1の透光性樹脂10の厚さ寸法を少なくとも0.14[mm]以上とすることで、発光素子5と受光素子8との間で、上述したような良好な光結合がなされる。
【0037】
図1と図2に示すように、積層配線基板1の表面1Sには、4つの受光素子搭載用電極13aを備えた一対の第2の配線パターン13が形成されている。これら受光素子搭載用電極13aには、受光素子8の各電極パッド11a、11b(図3と図4にのみ図示)がそれぞれボールバンプ12を介して接続されている。
【0038】
積層配線基板1の表面1Sには、長手方向両端部にMOS−FETなどのスイッチング素子14がそれぞれ配置されている。各スイッチング素子14は、それぞれソース端子14a、ドレイン端子14b、およびゲート端子14c(図2にのみ図示)を備えている。ソース端子14aとドレイン端子14bは、ボールバンプ15を介して積層配線基板1の表面1Sの長手方向両端部に形成された第3の配線パターン16上のスイッチング素子搭載用電極16a(4つの内の2つのみ図示)にそれぞれ接続されている。また、ゲート端子14cは上記第2の配線パターン13に形成されたスイッチング素子搭載用電極16bに接続されている。なお、この実施の形態では、スイッチング素子14として、ソース端子14a、ドレイン端子14b、ゲート端子14cが素子の裏面に形成されたラテラル型MOS−FETが用いられている。
【0039】
各第3の配線パターン16は中途部でほぼ直角に折曲し、積層配線基板1内を板厚方向に延びてその先端は積層配線基板1の裏面に露出している。積層配線基板1の裏面四隅部にはそれぞれ電極パッド17が突設され、これら電極パッド17と積層配線基板1の裏面1Rに露出した第3の配線パターン16の先端とは電気的に接続されている。
【0040】
すなわち、入力側である発光素子搭載用電極4aとワイヤボンディング用電極4bとの間に所定の電位差が発生すると、これらの間に介装された発光素子5は発光する。そして、発光素子5からの光が、第1の透光性樹脂10と第2の透光性樹脂7とで構成される透光路を通り、受光素子8の受光部8aによって感知されると、受光素子8の電極パッド11a、11b間には所定の電位差が発生する。そして、電極パッド11a、11b間に発生した電位差は、スイッチング素子14のゲート端子14cに入力され、スイッチング素子14のスイッチング動作によって、ドレイン端子14bを介して出力側の回路に所定の電流を流すようになっている。
【0041】
積層配線基板1の表面1Sには、非透光性を有する例えばエポキシなどの封止用樹脂18が発光素子5、受光素子8、スイッチング素子14を封止するように設けられている。
【0042】
次いで、上記構成のフォトリレー装置を製造する方法について説明する。
【0043】
上記フォトリレー装置を製造する場合、まず、構成部品である受光素子8および積層配線基板1を準備する。受光素子8は、ウエハ段階においてウエハ表面に第1の透光性樹脂10を印刷法やポッティング法などによって形成することで容易に得られる。しかしながら、この方法に限定されるのもではなく、ウエハのダイシング後にポッティング法などによって形成してもよい。一方、積層配線基板1は、開口部2aを備えた第1の配線基板2の裏面2Rに、ほぼ同じ外形を有する第2の配線基板3の表面3Sを対向させた状態で接合することで容易に得られる。しかしながら、積層配線基板1の製作方法としては、これに限定されるものではない。
【0044】
受光素子8および積層配線基板1を準備したならば、ディスペンサなどによってたとえば銀ペーストを積層配線基板1の表面1Sに塗布し、その上から発光素子5をマウントする。このとき、発光素子5がマウントされる位置は、凹部1aの底面の中心に対してワイヤボンディング用電極4bから遠ざかる方向によせておく。
【0045】
次いで、塗布された銀ペーストを、例えば150[℃]で1時間程度かけて硬化させ、発光素子5を積層配線基板1の凹部1a底面に形成された発光素子搭載用電極4aに電気的に接続する。そして、発光素子5の表面に形成された電極パッド5aと、凹部1a底面に形成されたワイヤボンディング用電極4bとをワイヤ6によってワイヤボンディングし、これら電極4a、4b間を発光素子5を介して電気的に接続する。
【0046】
次いで、積層配線基板1の凹部1a内に、例えばポッティング法によってゲル状の第2の透光性樹脂7を所定のレベル、この実施の形態では約0.5[mm]〜0.55[mm]まで注入する。このとき、凹部1a底面に搭載された発光素子5およびこの発光素子5に接続されたワイヤ6は完全に封止される。そして、第2の透光性樹脂7を、例えば150[℃]で5時間程度かけて硬化させる。
【0047】
次いで、積層配線基板1の表面1S側に受光素子8を第1の透光性樹脂10を凹部1aと対向させるよう配置し、ボールバンプ12を介して積層配線基板1の表面1Sに形成された受光素子搭載用電極13aと受光素子8の電極パッド11a、11bとをフリップチップによって接続する。それによって、第1の透光性樹脂10の一部は凹部1aに収容され、未凝固の第2の透光性樹脂7の表面に密着する。栂
なお、この実施の形態ではボンディング条件として、超音波出力を1[W]〜2[W]、ステージ温度を150[℃]〜250[℃]、ボンディング荷重を3[N]〜6[N]、ボンディング時間を0.5[S]〜1.0[S]等としたが、この条件に限定されるものではない。
【0048】
また、第2の透光性樹脂7は、完全にゲル状を保っている必要はなく、押圧によって変形可能な状態であれば、受光素子8を積層配線基板1に搭載する際に、第1の透光性樹脂10を押し当てることで、第2の透光性樹脂7を変形させて互いに密着させるようにしてもよい。さらに、第2の透光性樹脂7の素材として、凝固時においても変形可能な樹脂を用い、第1の透光性樹脂10を第2の透光性樹脂7の表面に押し当てるようにしてもよい。
【0049】
積層配線基板1の表面1Sに受光素子8を搭載したならば、積層配線基板1の表面1S側の長手方向両端部にそれぞれスイッチング素子14を配置し、積層配線基板1の表面1S上のスイッチング素子搭載用電極16a、16bにボールバンプ15を介してフリップチップ接続する。なお、このスイッチング素子14とスイッチング素子搭載用電極16a、16bとのボンディングについても、この実施の形態では上記ボンディング条件を採用している。
【0050】
次いで、積層配線基板1の表面1S側にエポキシなどの封止用樹脂18をポッティング法や印刷法などによって塗布して、発光素子5、受光素子8、スイッチング素子14、第1の透光性樹脂10および第2の透光性樹脂7の表面部分を封止する。
【0051】
上記構成のフォトリレー装置によれば、積層配線基板1の凹部1a内にゲル状の第2の透光性樹脂7を注入するとともに、この第2の透光性樹脂7に表面側から受光素子8に設けられた第1の透光性樹脂10を密着させることで、発光素子5と受光素子8との間に透光路を確保した。
【0052】
そのため、積層配線基板1の表面1Sにフリップチップによって発光素子5を接続すると、それと同時に凹部1a内の第2の透光性樹脂7と第1の透光性樹脂10とが一体化するので、製造プロセスを簡単化することができる。
【0053】
また、第2の透光性樹脂7を積層配線基板1の表面1Sよりも高いレベルまで注入する必要がないため、第2の透光性樹脂7が積層配線基板1の表面1Sに流出するのを防ぐことができる。したがって、受光素子8或いはスイッチング素子14と積層配線基板1との接合部分が第2の透光性樹脂7によって覆われること無い。
【0054】
そのため、各接合部分をその後に塗布されるエポキシなどの封止用樹脂18によって封止することができるので、接合部分における機械的強度の低下および熱応力による劣化を抑制することができる。
【0055】
さらに、凹部1aに第2の透光性樹脂7を注入した後に、この凹部1aを覆うよう積層配線基板1の表面1S側に受光素子8を搭載するため、積層配線基板1に第2の透光性樹脂の注入用のエリアを設ける必要がないから、装置を小型化することができる。
【0056】
図5はこの発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態は、上記第1の実施の形態に係る積層配線基板1の変形例である。すなわち、この実施の形態に係る積層配線基板31は、平面ほぼ矩形枠状の第3の配線基板32を有している。この第3の配線基板32は、セラミックやガラスエポキシなどの絶縁材からなり、内側面の所定位置にはそれぞれ径方向内方に突出した掛止部32a、32bがそれぞれ形成されている。
【0057】
この第3の配線基板32の裏面開口32cには、この第3の配線基板32の内形とほぼ同じ外形を有する第4の配線基板33が一体的に嵌め込まれている。この第4の配線基板33は掛止部32aと対応する位置に段部33aを有しており、これら積層配線基板31には段部33aと掛止部32aとによって凹部31aが形成されている。また、積層配線基板31の表面31Sには、その周縁部に全周にわたって額縁状の壁部34が形成されている。
【0058】
この構成のフォトリレー装置によれば、積層配線基板31の表面31Sに周縁部の全周にわたって額縁状の壁部34を形成した。そのため、積層配線基板31の表面31Sに封止用樹脂18を塗布するだけで、この封止用樹脂31が壁部34の内部に収容され、受光素子8、スイッチング素子14(1つのみ図示)、第1の透光性樹脂10、および第2の透光性樹脂7の表面を封止することができ、さらに、外観品質を安定させることができる。
【0059】
また、積層配線基板31の表面31Sに塗布された封止用樹脂18は、壁部34によってせき止められるため、封止用樹脂18として粘度が低い素材を用いることができる。
【0060】
【発明の効果】
この発明によれば、装置の製造プロセスを簡単化にできるから、生産性を向上させることができる。
【0061】
また、第2の透光性樹脂が受光素子やスイッチング素子と積層配線基板との接続部分に流出することがないから、接続部分における機械的強度の低下や熱応力による接続部分の劣化を抑えることができる。
【0062】
さらに、受光素子を搭載する前に積層配線基板の凹部に第2の透光性樹脂を注入するから、透光性樹脂の注入エリアを設ける必要がなく、装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係るフォトリレー装置の断面図。
【図2】第1の実施の形態に係るフォトリレー装置の平面図。
【図3】第1の実施の形態に係る受光素子の平面図。
【図4】第1の実施の形態に係る受光素子の側面図。
【図5】この発明の第2の実施の形態に係るフォトリレー装置の断面図。
【図6】従来のフォトリレーパッケージの断面図。
【図7】従来のフォトリレーパッケージの平面図。
【符号の説明】
2a…開口部
16a、16b…スイッチング素子搭載用電極
13a…受光素子搭載用電極
2、32…第1の配線基板
4a…発光素子搭載用電極
4b…ワイヤボンディング用電極
3、33…第2の配線基板
1、31…積層配線基板
5…発光素子
14…スイッチング素子
8a…受光部
8…受光素子
10…第1の透光性樹脂
7…第2の透光性樹脂
18…封止用樹脂
34…壁部
Claims (3)
- 開口部を有する第1の配線基板およびこの第1の配線基板に積層された第2の配線基板からなる積層配線基板と、
上記第2の配線基板の表面に上記開口部と対応位置して搭載される発光素子と、
上記積層配線基板に搭載されたスイッチング素子と、
上記第1の配線基板の開口部に受光部を対向させるとともに、開口部を覆うように配置された受光素子と、
この受光素子に受光部を覆うように設けられた固形状の第1の透光性樹脂と、
上記第1の配線基板の開口部内に表面が上記第1の透光性樹脂に接触するように充填された第2の透光性樹脂と、
上記第1の配線基板の表面に上記第1の透光性樹脂および第2の透光性樹脂を覆うように設けられた封止用樹脂と
を有することを特徴とする光結合半導体装置。 - 上記第1の配線基板表面の周縁部には全周にわたって上記封止用樹脂を収容する壁部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光結合半導体装置。
- 開口部を有する第1の配線基板に第2の配線基板を接合してなる積層配線基板の上記第2の配線基板に、発光素子を上記開口部内に収容されるよう搭載する第1の工程と、
上記第1の配線基板の開口部内に第2の透光性樹脂を注入する第2の工程と、
上記第1の配線基板の表面側に、受光素子をその受光部に設けられた固形状の第1の透光性樹脂が上記開口部に注入された第2の透光性樹脂に密着するよう配置する第3の工程と、
上記積層配線基板にスイッチング素子を搭載する第4の工程と、
上記第1の透光性樹脂および第2の透光性樹脂を遮光性樹脂によって封止する第5の工程と
を具備することを特徴とする光結合半導体装置の製造方法。
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JP2002219880A JP2004063764A (ja) | 2002-07-29 | 2002-07-29 | 光結合半導体装置、およびその製造方法 |
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