JP2005020016A - 有機電子デバイスの製造方法およびそれを用いた表示装置の製造方法 - Google Patents

有機電子デバイスの製造方法およびそれを用いた表示装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微小面積であっても、精度の高い機能性有機薄膜を製造する方法を提供する。
【解決手段】基材表面の所定部分に共有結合で固定されてなる機能性有機薄膜の製造方法であって、前記基材表面の所定部分(または所定部分を除く部分)に、活性水素露出化処理(または活性水素除去処理)を施して、所定部分を、その所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と機能性官能基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、上記基材表面の所定部分に機能性有機薄膜を形成する膜形成工程とを備えるようにした。
【選択図】なし

Description

本発明は、基材に共有結合で固定されてなる機能性有機薄膜の製造方法に関するものである。また、チャネル部に有機材料を用いた2端子および3端子の電子デバイス(有機電子デバイス)の製造方法に関するものである。さらに、その有機電子デバイスを用いた液晶表示装置およびエレクトロルミネッセンス型表示装置(以下「EL型表示装置」という)の製造方法に関するものである。
従来、電子デバイスには、シリコン結晶に代表されるように、無機系の半導体材料が用いられてきた。しかし、シリコン結晶では、微細化が進展するに伴い、結晶欠陥が問題となり、デバイス性能が結晶に左右されるという欠点があった。また、フレキシビリティーに劣るという欠点もあった。
そこで、本発明者は、上記欠点を解消でき、しかも高速応答が可能な有機電子デバイスを発明し、既に出願している(特願2000−243056号)。この発明は、光応答性の官能基または有極性の官能基を有する有機分子が相互に共役結合した導電ネットワークを有する有機薄膜を電極間に設けたことを特徴とする。
ところで、基板表面の所望の位置に共有結合で固定された、単分子膜あるいは単分子累積膜状の有機薄膜を形成するには、一般に、つぎのような方法が採用されている。すなわち、まず、活性水素が露出した基板を準備し、この基板表面にレジストパターンを形成した後、活性水素に反応しうる官能基を有する化合物が溶解した化学吸着液中に浸漬して、基板表面に露出した活性水素と上記化合物とを反応させ、その後、レジストを除去する方法が採用されている。
しかしながら、上記した方法では、特に微小面積の有機薄膜を形成する場合、レジスト開口縁部の僅かな溶解、膨張、収縮等(マスク欠陥)がそのまま有機薄膜の精度に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、高精度な有機薄膜を形成できる新たな手法の開発が嘱望されている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、微小面積であっても、精度の高い機能性有機薄膜を製造できる方法の提供をその目的とする。
また、最近の高集積化に対応できる有機電子デバイスの製造方法の提供をその目的とする。さらに、その有機電子デバイスを用いた表示装置の製造方法の提供をその目的とする。
本発明者は、機能性有機薄膜を高精度に形成する新たな手法を開発すべく、鋭意研究を重ねていた。その過程で、機能性有機薄膜は共有結合で固定された膜であることに着目し、膜の形成に先立って、基材表面の膜形成予定領域を露出活性水素密度が高い領域とし、膜を形成しない領域をそれよりも露出活性水素密度が低い領域とする区画化を行えばよいと想起した。すなわち、基材に共有結合で固定された膜を形成するにあたって、基材自体に明確な境界を設ければ、単にレジスト等のマスクを施すよりも精度良く機能性有機薄膜を形成できると想起した。そこで、本発明者は、膜形成工程の前に、基材表面の所定部分に活性水素露出化処理を施すか、あるいは基材表面の所定部分を除く部分に活性水素除去処理を施すかして、所定部分(膜形成予定領域)を露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程を行えば、微小面積であっても、高精度な機能性有機薄膜を形成できることを見出し、本発明に到達した。そして、この成膜手法を、有機電子デバイスの製造に適用すれば、最近の高集積化に対応できる有機電子デバイスを提供できることを突き止め、さらに高性能な表示装置の提供も可能になることを突き止めた。
本発明は、以下のような特徴を有する。
(機能性有機薄膜の製造方法)
本発明の第1の機能性有機薄膜の製造方法は、基材表面の所定部分に共有結合で固定されてなる機能性有機薄膜を製造する方法であって、前記基材表面の所定部分に活性水素露出化処理を施して、その所定部分を、所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と機能性官能基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、上記基材表面の所定部分に共有結合で固定されてなる機能性有機薄膜を形成する膜形成工程とを備えたことを特徴とする。
上記構成のように、膜の形成に先立って、基材表面を露出活性水素密度を指標として2種の領域に区画するようにすれば、活性水素と活性水素に反応しうる官能基との反応によって共有結合で固定されてなる機能性有機薄膜が、区画された状態と一致して形成されることになる。よって、微小面積であっても、寸法精度の高い機能性有機薄膜を形成できる。また、このようにして形成された機能性有機薄膜は、耐剥離性等に優れているので、所定の機能を長期間にわたり発揮できる膜となる。
ここで、本発明において、「基材表面の所定部分」とは、基材表面から任意に選択した部分であって、機能性有機薄膜が形成される基材表面の部分をいう。また、「露出活性水素密度」とは、基材表面から露出した活性水素の単位面積あたりの数をいう。さらに、「機能性有機薄膜」とは、特定の機能をもった有機分子により構成される膜をいう。特定の機能としては、導電性、磁性、誘電性、導電率が変化する機能、液晶分子を配向規制する機能、撥水性や撥油性等の防汚性等があげられる。そして、「機能性官能基」とは、膜の機能に関与する官能基をいい、例えば、光異性化する官能基等の光応答性の官能基、有極性の官能基等の電界応答性の官能基、共役結合で結合しうる重合性基等があげられる。
上記の製造方法においては、前記基材として、活性水素が露出していない基材を用いることが好ましい。このような基材を用いれば、所定部分を除く部分が活性水素が露出していない領域となるので、高精度な機能性有機薄膜を確実に形成することができる。なお、「活性水素が露出していない基材」とは、活性水素が全く露出していない基材の他、膜が充分に結合固定できるだけの露出活性水素を有していないような、活性水素が実質的に露出していない基材をも含む。
また、前記基材表面の所定部分は、その一の面積が1000μm2 以下であることが好ましい。このような微小面積の膜を形成する場合、従前のようにマスクのみで成膜を行うと、マスク欠陥が膜の精度に悪影響を及ぼすおそれがあるが、本発明のように前処理を行えばマスク欠陥に影響されないので、本発明による改善効果が高い。
また、前記機能性官能基は、光応答性の官能基、電界応答性の官能基および共役結合で結合しうる重合性基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基であることが好ましい。さらに、前記機能性有機薄膜は、前記化合物の分子が単分子層状に配列した単分子膜または単分子膜が複数積層した単分子累積膜であることが好ましい。このような膜であれば、上記分子はある程度配向した状態になるので、均質な機能を発揮する機能性有機薄膜になる。
また、前記表面に活性水素が露出していない基材として、撥水性の単層基材、または表面に撥水性の被膜が形成されてなる積層基材を用いることが好ましい。さらに、前記撥水性の単層基材として、撥水性の合成樹脂基材を用いることが好ましい。また、前記合成樹脂基材として、アクリル樹脂基材、ポリカーボネート樹脂基材、またはポリエーテルサルホン樹脂基材を用いることが好ましい。さらに、前記積層基材を構成する撥水性の被膜として、アクリル樹脂膜、ポリカーボネート膜、またはポリエーテルサルホン樹脂膜を用いることが好ましい。
また、前記前処理工程において、前記活性水素露出化処理として、基材表面の所定部分を酸化して活性水素を付与する方法を用いることが好ましい。さらに、前記酸化の方法として、酸素および水素原子供給物質の存在下で、基材表面の所定部分に対し、エキシマUV光照射法、紫外線照射法、プラズマ処理法およびコロナ処理法からなる群から選択される少なくとも1種の方法を適用することが生産性等の観点から好ましい。また、前記前処理工程において、前記活性水素露出化処理として、活性水素が露出した基材の表面に撥水性の有機物膜が形成されてなる積層基材を準備し、この積層基材表面の所定部分を酸化して、上記有機物膜を除去し活性水素を露出させる方法を用いることが好ましい。さらに、前記酸化の方法として、酸素を含む雰囲気下で、積層基材表面の所定部分に対し、エキシマUV光照射法、紫外線照射法、プラズマ処理法、コロナ処理法のうちの少なくとも1種の方法を用いることが生産性等の観点から好ましい。
また、前記前処理工程において、活性水素露出化処理に先立って、基材表面の所定部分を除く部分にマスクを施したものを準備し、このマスク済み基材に対して活性水素露出化処理を行うことが簡便なため好ましい。そして、前記膜形成工程は、マスクを除去した後に行ってもよいし、マスクを除去する前に行ってもよい。
また、前記膜形成工程において、前記活性水素に反応しうる官能基と機能性官能基とを有する化合物として、ハロシリル基、イソシアネート基およびアルコキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基と機能性官能基とを有する化合物を用い、上記化合物を前記露出活性水素密度が高い領域に接触させるに際し、上記化合物と非水系の有機溶媒とを混合してなる化学吸着液を用いることが、製造効率等の観点から好ましい。また、前記前処理工程および膜形成工程を経由した後に、非水系有機溶媒を用いて基材表面を洗浄する洗浄工程を行うことが、清浄な膜が得られる点で好適である。
本発明の第2の機能性有機薄膜の製造方法は、基材表面の所定部分に共有結合で固定されてなる機能性有機薄膜を製造する方法であって、前記基材表面の所定部分を除く部分に活性水素除去処理を施して、所定部分を、その所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と機能性官能基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、上記基材表面の所定部分に共有結合で固定されてなる機能性有機薄膜を形成する膜形成工程とを備えたことを特徴とする。
上記構成のように、所定部分を除く部分に活性水素除去処理を施すようにしても、所定部分を露出活性水素密度が高い領域にすることができ、その結果として寸法精度の高い機能性有機薄膜を形成できる。
上記の製造方法においては、前記基材として、活性水素が露出した基材を用いることが好ましい。このような基材であっても、上記の製造方法によれば、元々存在していた露出活性水素を利用して、高精度な機能性有機薄膜を形成することができる。なお、「活性水素が露出した基材」とは、膜が充分に結合固定できるだけの活性水素が露出している基材をいう。
また、前記基材表面の所定部分は、その一の面積が1000μm2 以下であることが好ましい。また、前記機能性官能基は、光応答性の官能基、電界応答性の官能基および共役結合で結合しうる重合性基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基であることが好ましい。さらに、前記機能性有機薄膜は、前記化合物の分子が単分子層状に配列した単分子膜または単分子膜が複数積層した単分子累積膜であることが好ましい。
また、前記表面に活性水素が露出した基材として、親水性の単層基材、または表面に親水性の被膜が形成されてなる積層基材を用いることが好ましい。さらに、前記単層基板として、表面が酸化された金属基材、シリコン基材、窒化シリコン基材、シリカ基材、またはガラス基材を用いることが好ましい。また、前記積層基材を構成する親水性の被膜として、表面が酸化された金属膜、シリコン膜、窒化シリコン膜、シリカ膜、またはガラス膜を用いることが好ましい。
また、前記前処理工程において、前記活性水素除去処理として、基材表面の所定部分を除く部分に化学的処理を施して活性水素をなくす方法を用いることが好ましい。さらに、前記化学的処理として、基材表面の所定部分を除く部分に、活性水素に反応しうる官能基を有する化合物を接触させ、この化合物と前記基材表面の所定部分を除く部分の活性水素とを反応させる方法を用いることが、処理部分が剥離しにくくその後の処理を行いやすい等の点から好ましい。また、前記前処理工程において、前記活性水素除去処理として、基材表面の所定部分を除く部分に物理的処理を施して活性水素を取り除く方法を用いることが好ましい。さらに、前記物理的処理として、基材表面の所定部分を除く部分に、真空中で光照射して、活性水素を基材に結合させていた共有結合を切断する方法を用いることが好ましい。
また、前記活性水素除去処理に先立って、基材表面の所定部分にマスクを施したものを準備し、このマスク済み基材に対して活性水素除去処理を行い、かつ、前記膜形成工程に先立って、マスクを除去することが好ましい。さらに、前記膜形成工程において、前記活性水素に反応しうる官能基と機能性官能基を有する化合物として、ハロシリル基、イソシアネート基およびアルコキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基と機能性官能基とを有する化合物を用い、前記化合物を前記露出活性水素密度が高い領域に接触させるに際し、前記化合物と非水系の有機溶媒とを混合してなる化学吸着液を用いることが好ましい。そして、前記前処理工程および膜形成工程の後に、非水系有機溶媒を用いて基材表面を洗浄する洗浄工程を行うことが好ましい。
(有機電子デバイスの製造方法)
本発明の第1の2端子有機電子デバイスの製造方法は、基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜とを備え、前記導電率変化膜は、光異性化する官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に照射される光に応じて変化する2端子有機電子デバイスを製造する方法であって、前記基板表面の所定部分に活性水素露出化処理を施して、その所定部分を、所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と光異性化する官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、前記基板上に第1電極と第2電極を形成する対電極形成工程とを備えたことを特徴とする。
上記の製造方法は、前記第1の機能性有機薄膜の製造方法に対応したものであり、膜の形成に先立って、基板表面を露出活性水素密度を指標として2種の領域に区画しているので、活性水素との反応によって結合固定された導電率変化膜を精度良く形成できる。そして、このようにして得られた2端子有機電子デバイスは、導電率変化膜中に光異性化する官能基を含むことにより光に対する感度が上がり応答速度が高速になるので、導電ネットワークの導電率の変化が高速になる。よって、高速応答が可能な2端子有機電子デバイスを高集積で形成する技術を提供できる。
なお、光が照射された際の導電率の変化は、光異性化する官能基の応答による影響が前記導電ネットワークの構造に波及するために生じると考えられる。
上記のようにして得られた2端子有機電子デバイスは、主としてスイッチ素子としての用途を想定しているが、これに限定するものではない。上記デバイスは、導電ネットワークの導電率が波長の異なる光により変化するものであって、遮光後はその導電率が変化することなく維持されるので、メモリ機能を有する。よって、メモリ素子、可変抵抗、光センサー等としても利用可能である。
本発明の第1の3端子有機電子デバイスの製造方法は、基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜と、前記基板と前記導電率変化膜との間に挟まれ、それぞれと絶縁された第3の電極とを備え、前記第3電極は、第1電極または第2電極との間に電圧を印加することにより前記導電率変化膜に作用させる電界を制御する電極であり、かつ、前記導電率変化膜は、有極性の官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に印加される電界に応じて変化する3端子有機電子デバイスを製造する方法であって、前記基板の表面に第3電極を形成する電極形成工程と、前記第3電極が形成された基板表面の所定部分に活性水素露出化処理を施して、その所定部分を、所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と有極性の官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、前記基板上に第1電極と第2電極とを形成する対電極形成工程とを備えたことを特徴とする。
上記構成の製造方法は、前記第1の機能性有機薄膜の製造方法に対応したものであり、基板表面に電極が形成されていても、高精度な導電率変化膜を形成できる。そして、このようにして得られた3端子有機電子デバイスは、導電率変化膜中に有極性の官能基を含むことにより電界に対する感度が上がり応答速度が高速になるので、導電ネットワークの導電率の変化が高速になる。よって、高速応答が可能な3端子有機電子デバイスを高集積で形成する技術を提供できる。
なお、電界が印加された際の導電率の変化は、有極性の官能基の応答による影響が前記導電ネットワークの構造に波及するために生じると考えられる。そして、上記のようにして得られた3端子有機電子デバイスは、主としてスイッチ素子としての用途を想定しているが、この用途に限定するものではない。
本発明の第2の2端子有機電子デバイスの製造方法は、基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜とを備え、前記導電率変化膜は、光異性化する官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に照射される光に応じて変化する2端子有機電子デバイスを製造する方法であって、前記基板表面の所定部分を除く部分に活性水素除去処理を施して、所定部分を、その所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と光異性化する官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、前記基板上に第1電極と第2電極を形成する対電極形成工程とを備えたことを特徴とする。
上記構成の製造方法は、前記第2の機能性有機薄膜の製造方法に対応したものであり、膜の形成に先立って、基板表面を露出活性水素密度を指標として2種の領域に区画しているので、活性水素との反応によって結合固定された導電率変化膜を精度良く形成できる。よって、高速応答が可能な2端子有機電子デバイスを高集積で形成する技術を提供できる。
なお、上記のようにして得られた2端子有機電子デバイスも、主としてスイッチ素子としての用途を想定しているが、メモリ素子、可変抵抗、光センサー等の用途に利用可能である。
本発明の第2の3端子有機電子デバイスの製造方法は、基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜と、前記基板と前記導電率変化膜との間に挟まれ、それぞれと絶縁された第3の電極とを備え、前記第3電極は、第1電極または第2電極との間に電圧を印加することにより前記導電率変化膜に作用させる電界を制御する電極であり、かつ、前記導電率変化膜は、有極性の官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に印加される電界に応じて変化する3端子有機電子デバイスを製造する方法であって、前記基板の表面に第3電極を形成する電極形成工程と、前記第3電極が形成された基板表面の所定部分を除く部分に活性水素除去処理を施して、所定部分を、その所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と有極性の官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、前記基板上に第1電極と第2電極とを形成する対電極形成工程とを備えたことを特徴とする。
上記構成の製造方法は、前記第2の機能性有機薄膜の製造方法に対応したものであり、基板表面に電極が形成されていても、高精度な導電率変化膜を形成できる。よって、高速応答が可能な3端子有機電子デバイスを高集積で形成する技術を提供できる。
なお、上記のようにして得られた3端子有機電子デバイスも、主としてスイッチ素子としての用途を想定しているが、この用途に限定するものではない。
前記第1の機能性有機薄膜の製造方法に対応した有機電子デバイスの製造方法においては、前記基板として、活性水素が露出していない表面絶縁性基板を用いることが好ましい。また、前記第2の機能性有機薄膜の製造方法に対応した有機電子デバイスの製造方法においては、前記基板として、活性水素が露出した表面絶縁性基板を用いることが好ましい。
また、前記有機電子デバイスの製造方法においては、前記導電率変化膜は、単分子層状に配列した単分子膜または単分子膜が複数積層した単分子累積膜であることが好ましい。このような膜であれば、分子がある程度配向した状態となり、分子中の重合性基は基板表面から略一定の位置に整然と並ぶので、隣接する重合性基の重合反応によって、基板表面に対して略平行に共役結合が形成され、その結果として、高い導電性を示す導電ネットワークが形成できる。
また、前記膜形成工程で化学吸着法またはラングミュアーブロジェット法を適用することが好ましい。これらの方法であれば、単分子膜、あるいは任意の膜厚の単分子累積膜を簡便に製造することができる。
また、前記化学吸着法を適用した膜形成工程で、シラン系の化学吸着物質を用いることが、効率よく短時間でデバイスを製造できるとの理由から、好適である。
前記2端子有機電子デバイスの製造方法において、前記光異性化する官能基としてアゾ基を用いることが好適である。アゾ基であれば、可視光の照射でトランス型の第1の異性体に、また紫外線の照射でシス型の第2の異性体に異性化されるので、導電率を変化させやすい膜が形成できる。
前記3端子有機電子デバイスの製造方法において、前記有極性の官能基としてカルボニル基または/およびオキシカルボニル基を用いることが好適である。これらの基であれば、電界印加により分極が大きくなり、印加電界に対する感度が極めて高いので、応答速度が極めて高速なスイッチ素子が得られる。
また、前記共役結合で結合しうる重合性基として、触媒重合性の官能基、電解重合性の官能基およびエネルギービーム照射により重合する官能基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を用いることが好ましい。これらの官能基であれば、重合に際し、触媒重合法、電解重合法、エネルギービーム照射による重合法が適用でき、簡便に導電率変化膜が形成できるからである。前記触媒重合性の官能基としては、ピロール基、チェニレン基、アセチレン基およびジアセチレン基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を用いることが好適である。前記電解重合性の官能基としては、ピロール基または/およびチェニレン基を用いることが好適である。前記エネルギービーム照射により重合する官能基としては、アセチレン基または/およびジアセチレン基を用いることが好適である。
また、前記共役結合で結合しうる重合性基が電解重合性の官能基である場合に、前記重合工程に先立って、前記対電極形成工程を行い、かつ、前記重合工程において、前記第1電極と第2電極との間に電圧を印加することにより、電解重合性の官能基同士を電解重合反応させて、導電ネットワークを形成することが好ましい。このような構成であれば、第1電極と第2電極を導電ネットワークの形成に利用でき、かつ、両電極間に電圧を印加して重合を行うことで、導電ネットワークを自己成長的に形成できる。
前記2端子有機電子デバイスの製造方法においては、前記共役結合で結合しうる重合性基が電解重合性の官能基であるピロール基または/およびチェニレン基である場合に、前記前処理工程、膜形成工程、重合工程および対電極形成工程を経由して、単分子層状の導電率変化膜を形成した後、この導電率変化膜が形成されてなる基板を、ピロール基または/およびチェニレン基と光異性化する官能基とを有する化合物を溶かした有機溶媒中に浸漬し、かつ、前記第1電極と第2電極との間、および前記第1電極または第2電極と前記有機溶媒に接触し前記導電率変化膜の上方に配置された外部電極との間に、それぞれ電圧を印加して、前記単分子状の導電率変化膜の表面に、前記化合物の分子群の一部または全部が共役結合されて導電ネットワークが形成されてなる被膜を形成する工程を行うことができる。このようにすれば、導電ネットワークが多段的に形成されるので、より大きな電流を流すことが可能な2端子有機電子デバイスが提供できる。
また、前記2端子有機電子デバイスの製造方法においては、前記共役結合で結合しうる重合性基が電解重合性の官能基であるピロール基または/およびチェニレン基である場合に、前記前処理工程、膜形成工程および対電極形成工程を経由して、重合させる前の単分子膜を形成した後、この単分子膜が形成されてなる基板を、ピロール基または/およびチェニレン基と光異性化する官能基とを有する化合物を溶かした有機溶媒中に浸漬し、かつ、前記第1電極と第2電極との間、および前記第1電極または第2電極と前記有機溶媒に接触し前記単分子膜の上方に配置された外部電極との間に、それぞれ電圧を印加して、前記単分子膜中の電解重合性の官能基同士を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成するとともに、前記単分子膜の表面に、前記化合物の分子群の一部または全部が共役結合されて導電ネットワークが形成されてなる被膜を形成する工程を行うこともできる。この方法であれば、導電率変化膜を単分子累積膜にする場合に、導電ネットワークの形成にあたって、1回の重合反応で済むので、より大きな電流を流すことが可能な2端子有機電子デバイスをより短時間に製造できる。
上記と同様に、前記3端子有機電子デバイスの製造方法においては、前記共役結合で結合しうる重合性基が電解重合性の官能基であるピロール基または/およびチェニレン基である場合に、前記電極形成工程、前処理工程、膜形成工程、重合工程および対電極形成工程を経由して、単分子状の導電率変化膜を形成した後、この導電率変化膜が形成されてなる基板を、ピロール基または/およびチェニレン基と有極性の官能基とを有する化合物を溶かした有機溶媒中に浸漬し、かつ、前記第1電極と第2電極との間、および前記第1電極または第2電極と前記有機溶媒に接触し前記導電率変化膜の上方に配置された外部電極との間に、それぞれ電圧を印加して、前記単分子状の導電率変化膜の表面に、前記化合物の分子群の一部または全部が共役結合されて導電ネットワークが形成されてなる被膜を形成する工程を行うこともできる。また、前記3端子有機電子デバイスを製造する方法においては、前記共役結合で結合しうる重合性基が電解重合性の官能基であるピロール基または/およびチェニレン基である場合に、前記電極形成工程、前処理工程、膜形成工程および対電極形成工程を経由して、重合させる前の単分子膜を形成した後、この単分子膜が形成されてなる基板を、ピロール基または/およびチェニレン基と有極性の官能基とを有する化合物を溶かした有機溶媒中に浸漬し、かつ、前記第1電極と第2電極との間、および前記第1電極または第2電極と前記有機溶媒に接触し前記導電率変化膜の上方に配置された外部電極との間に、それぞれ電圧を印加して、前記単分子膜中の電解重合性の官能基同士を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成するとともに、前記単分子膜の表面に、前記化合物の分子群の一部または全部が共役結合されて導電ネットワークが形成されてなる被膜を形成する工程を行うこともできる。
(表示装置の製造方法)
本発明の第1の液晶表示装置の製造方法は、基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜と、前記基板と前記導電率変化膜との間に挟まれ、かつ、それぞれと絶縁された第3の電極とを備え、前記第3電極は、第1電極または第2電極との間に電圧を印加することにより前記導電率変化膜に作用させる電界を制御する電極であり、かつ、前記導電率変化膜は、有極性の官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に印加される電界に応じて変化する3端子有機電子デバイスをスイッチ素子として用いた液晶表示装置を製造する方法であって、第1の基板上に複数の前記スイッチ素子がマトリックス状に配列配置され、かつ、その表面に第1の配向膜が形成されたアレイ基板を作製する工程と、第2の基板上に複数の色要素がマトリックス状に配列配置され、かつ、その表面に第2の配向膜が形成されたカラーフィルター基板を作製する工程と、前記第1の配向膜と第2の配向膜とを内側にして前記アレイ基板と前記カラーフィルター基板とを所定の間隔で向かい合わせ、両基板の間に液晶を充填し封止する工程とを備え、前記アレイ基板を作製する工程は、前記第1の基板の表面に第3電極をマトリックス状に形成する電極形成工程と、前記第3電極が形成された基板表面の所定部分に活性水素露出化処理を施して、その所定部分を、所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と有極性の官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、前記第1の基板上に第1電極と第2電極とを形成する対電極形成工程と、前記第1電極と第2電極と第3電極と導電率変化膜とが形成された基板上に第1の配向膜を形成する配向膜形成工程とを含んだ工程であることを特徴とする。
上記の構成によれば、無機系の薄膜トランジスタ(TFT)に代わる、有機系のTFTを用いた液晶表示装置を製造することができる。有機系のTFTであると高温で処理する工程が存在しなくなるので、ガラス基板に比べ耐熱性に劣るプラスチック基板が使用可能となる。これにより、基板選択の幅が広がるので、フレキシビリティーに優れたもの等、より多用な液晶表示装置の提供が可能となる。さらに、微小なTFTの製造が可能なため、高性能な液晶表示装置が提供できる。
上記の製造方法において、前記第1の基板として、表面に活性水素が露出していない表面絶縁性基板を用いることが好ましい。
本発明の第2の液晶表示装置の製造方法は、基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜と、前記基板と前記導電率変化膜との間に挟まれ、かつ、それぞれと絶縁された第3の電極とを備え、前記第3電極は、第1電極または第2電極との間に電圧を印加することにより前記導電率変化膜に作用させる電界を制御する電極であり、かつ、前記導電率変化膜は、有極性の官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に印加される電界に応じて変化する3端子有機電子デバイスをスイッチ素子として用いた液晶表示装置の製造方法であって、第1の基板上に複数の前記スイッチ素子がマトリックス状に配列配置され、かつ、その表面に第1の配向膜が形成されたアレイ基板を作製する工程と、第2の基板上に複数の色要素がマトリックス状に配列配置され、かつ、その表面に第2の配向膜が形成されたカラーフィルター基板を作製する工程と、前記第1の配向膜と第2の配向膜とを内側にして前記アレイ基板と前記カラーフィルター基板とを所定の間隔で向かい合わせ、両基板の間に液晶を充填し封止する工程とを備え、前記アレイ基板を製造する工程は、前記第1の基板の表面に第3電極をマトリックス状に形成する電極形成工程と、前記第3電極が形成された基板表面の所定部分を除く部分に活性水素除去処理を施して、所定部分を、その所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と有極性の官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、前記第1の基板上に第1電極と第2電極とを形成する対電極形成工程と、前記第1電極と第2電極と第3の電極と導電率変化膜とが形成された基板上に第1の配向膜を形成する配向膜形成工程とを含んだ工程であることを特徴とする。
上記の構成によれば、無機系のTFTに代えて、有機系のTFTを用いた液晶表示装置を製造することができる。
上記の製造方法においては、前記第1の基板として、表面に活性水素が露出した表面絶縁性基板を用いることが好ましい。
本発明の第1のEL型表示装置の製造方法は、基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜と、前記基板と前記導電率変化膜との間に挟まれ、かつ、それぞれと絶縁された第3の電極とを備え、前記第3電極は、第1電極または第2電極との間に電圧を印加することにより前記導電率変化膜に作用させる電界を制御する電極であり、かつ、前記導電率変化膜は、有極性の官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に印加される電界に応じて変化する3端子有機電子デバイスをスイッチ素子として用いたEL型表示装置の製造方法であって、基板上に複数の前記スイッチ素子がマトリックス状に配列配置するアレイ基板を作製する工程と、前記アレイ基板上に、電圧の印加により発光する蛍光物質からなる発光層を形成する工程と、前記発光層上に共通電極膜を形成する工程とを備え、前記アレイ基板を作製する工程は、前記基板表面に第3電極をマトリックス状に形成する電極形成工程と、前記第3電極が形成された基板表面の所定部分に活性水素露出化処理を施して、その所定部分を、所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と有極性の官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、前記基板上に第1電極と第2電極とを形成する対電極形成工程とを含んだ工程であることを特徴とする。
上記の構成によれば、無機系のTFTに代えて、有機系のTFTを用いたEL型表示装置を製造することができる。
上記の製造方法においては、前記基板として、表面に活性水素が露出していない表面絶縁性基板を用いることが好ましい。
本発明の第2のEL型表示装置の製造方法は、基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜と、前記基板と前記導電率変化膜との間に挟まれ、かつ、それぞれと絶縁された第3の電極とを備え、前記第3電極は、第1電極または第2電極との間に電圧を印加することにより前記導電率変化膜に作用させる電界を制御する電極であり、かつ、前記導電率変化膜は、有極性の官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に印加される電界に応じて変化する3端子有機電子デバイスをスイッチ素子として用いたEL型表示装置の製造方法であって、基板上に複数の前記スイッチ素子がマトリックス状に配列配置するアレイ基板を製造する工程と、前記アレイ基板上に、電圧の印加により発光する蛍光物質からなる発光層を形成する工程と、前記発光層上に共通電極膜を形成する工程とを備え、前記アレイ基板を製造する工程は、前記基板表面に第3電極をマトリックス状に形成する電極形成工程と、前記第3電極が形成された基板表面の所定部分を除く部分に活性水素除去処理を施して、所定部分を、その所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と有極性の官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、前記基板上に第1電極と第2電極とを形成する対電極形成工程とを含んだ工程であることを特徴とする。
上記の構成によれば、無機系のTFTに代えて、有機系のTFTを用いたEL型表示装置を製造することができる。
上記の製造方法においては、前記基板として、表面に活性水素が露出した表面絶縁性基板を用いることが好ましい。
上記のEL型表示装置の製造方法においては、前記発光層を形成する工程で、赤、青、または緑色の光を発光する3種類の発光物質を所定の位置に形成し、カラー表示させれば、EL型カラー表示装置が製造できる。
以上に説明したように、本発明の構成によれば、本発明の課題を充分に達成することができる。すなわち、本発明の機能性有機薄膜の製造方法によれば、基材表面の所定部分を露出活性水素密度が高い領域にしてから膜を形成するので、精度良く機能性有機薄膜を形成することができる。また、この製造方法を応用すれば、最近の高集積化に対応可能な有機電子デバイスを提供でき、さらにこの有機電子デバイスを用いた表示装置を提供できる。そして、上記有機電子デバイスであれば、無機電子デバイスのような高温で処理する工程が不要になるため、フレキシビリティーに優れた樹脂基板等を用いた表示装置の提供が可能となる。
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
本発明の第1の機能性有機薄膜の製造方法は、基材表面の所定部分に活性水素露出化処理を施して、露出活性水素密度が高い領域を形成した後(前処理工程)、その領域に、活性水素に反応しうる官能基と機能性官能基とを有する化合物を接触させ、その化合物が基材表面の所定部分に共有結合で固定された機能性有機薄膜を形成する(膜形成工程)方法である。
上記基材としては、活性水素が露出していない基材が用いられ、例えば、撥水性の単層基材や、この単層基材あるいは後述の活性水素が露出した基材の表面に、撥水性の被膜が形成されてなる積層基材等があげられる。上記撥水性の単層基材としては、アクリル樹脂基材、ポリカーボネート樹脂基材、ポリエーテルサルホン樹脂基材等の撥水性の合成樹脂基材等が例示できる。また、上記撥水性の被膜としては、アルミニウム等の金属膜、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等の合成樹脂膜、撥水性の有機物膜等が例示できる。これら合成樹脂基材や合成樹脂膜の露出活性水素密度は略0である。なお、基材の形状については、特に制限はないが、通常、板状のもの(単層基板、積層基板)が使用される。
前記前処理工程は、基材表面の所定部分(膜形成予定領域)に活性水素露出化処理を行う工程である。活性水素露出化処理は、活性水素が基材表面から露出した状態にするための処理をいい、具体的には、(1)基材表面の所定部分を酸化して活性水素を付与する方法や、(2)活性水素が露出した基材の表面に撥水性の有機物膜が形成されてなる積層基材を準備し、この基材表面の所定部分の有機物膜を除去して活性水素を露出させる方法があげられる。
(1)基材表面の所定部分を酸化して活性水素を付与する方法。
この方法は、酸素および水素原子供給物質の存在下で、基材表面の所定部分に対し、エキシマUV光照射法、紫外線照射法、プラズマ処理法、コロナ処理法等の酸化方法を適用して行うことができる。エキシマUV光照射法を例として具体的に説明する。この方法では、まず、エキシマUV光の照射により酸素が分解され、オゾンが生成する。そして、このオゾンは水素原子供給物質と反応して、活性水素を有する活性種が生成する。一方、基材表面の所定部分では、エキシマUV光の照射により原子間の共有結合が切断されて開裂し、この開裂部分に上記活性種が作用する。このようにして、基材表面の所定部分に活性水素が付与され、露出活性水素密度が高い領域が形成される。
上記所定部分は、上述したように、基材表面から任意に選択した部分であるが、この部分は単数であっても複数あってもよい。所定部分が複数ある場合、それらの部分は同一形状であっても、異なる形状であってもよい。なお、所定部分(複数ある場合はそのうちの1つ)が微小面積(具体的には1000μm2 以下)であると、前記前処理工程を行わない場合に比べ、より高精度な機能性有機薄膜が形成される傾向が高い。なお、下限は、処理限界等を考慮して、0.01μm2 である。
上記基材表面の所定部分のみにエキシマUV光を照射する方法としては、所定部分を除く部分をレジスト等のマスク材で覆い、所定部分のみを露出させてからエキシマUV光を照射する方法、エキシマUV光を所定部分にのみスポット照射する方法等があげられる。なお、上記マスク材を使用する方法において、マスク材は、露出活性水素密度が高い領域を形成した後、成膜を行う前に除去してもよいし、あるいはマスク材付き基材を膜形成工程に供し、成膜後に除去するようにしてもよい。マスク材を成膜前に除去すれば、機能性有機薄膜にマスク材由来の汚れが付着しないので、より清浄な膜が得られ、成膜後にマスク材を除去すれば、膜が形成されていない部分の基材面が清浄になる。よって、成膜後基材のその後の用途等に応じて、マスク材の除去の時期を任意に選択することができる。
前記水素原子供給物質としては、水、アンモニア等が例示できる。上記物質として水を用いた場合は、活性水素は−OHとして存在する。一方、アンモニアを用いた場合は、活性水素は−NHとして存在する。
(2)積層基材表面の所定部分の有機物膜を除去して活性水素を露出させる方法。
この方法は、酸素を含む雰囲気下で、活性水素が露出した基材の表面に撥水性の有機物膜が形成されてなる積層基材表面の所定部分に対し、エキシマUV光照射法、紫外線照射法、プラズマ処理法、コロナ処理法等を適用して行うことができる。紫外線照射法を例として具体的に説明する。この方法では、まず、紫外線の照射により、酸素は分解されオゾンが生成する。そして、このオゾンに対しさらに紫外線を照射すると、分解されて活性酸素が生成する。活性酸素は、酸化性の強い酸素原子であるため、上記有機物膜はその活性酸素と反応して、有機酸化物、一酸化炭素、水等となって揮発し除去される。その結果、積層基材表面の所定部分にのみ活性水素が露出した領域となる。ここで、有機物膜とは、基材表面に付着した油や、人の皮脂等の有機化合物を含む。
上記所定部分のみに紫外線を照射する方法としては、所定部分を除く部分をレジスト等のマスク材で覆い、所定部分のみを露出させてから紫外線を照射する方法、紫外線を所定部分にのみスポット照射する方法等があげられる。なお、上記マスク材を使用する方法において、マスク材は、露出活性水素密度が高い領域を形成した後、成膜を行う前に除去してもよいし、あるいはマスク材付き基材を膜形成工程に供し、成膜後に除去するようにしてもよい。
前記膜形成工程は、上記のようにして形成された露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と機能性官能基とを有する化合物を接触させ、この化合物を基材表面の所定部分に共有結合で固定する工程である。例えば、上記化合物と上記基材を損なわない非水系有機溶媒とからなる化学吸着液を調製した後、化学吸着液を接触させることにより行うことができる。上記化学吸着液を接触させる方法としては、前記基材あるいはマスク材付き基材を化学吸着液中に浸漬する方法、基材あるいはマスク材付き基材の表面に化学吸着液を塗布する方法等があげられる。
上記化合物中の活性水素に反応しうる官能基としては、例えば、ハロゲン、アルコキシル基、イソシアネート基等があげられる。また、上記化合物中の機能性官能基としては、例えば、アゾ基等の光異性化する官能基、カルボニル基、オキシカルボニル基等の有極性の官能基、アセチレン基、ジアセチレン基、チェニレン基、ピロール基等の共役結合で結合しうる重合性基等が例示できる。
本工程は、上述したように、例えば前記化合物を含む化学吸着液を調製した後、この吸着液に前記基材を浸漬したり、この吸着液を基材上に塗布する等して上記化合物を基材表面に接触させる。この接触により、前記化合物中の活性水素に反応しうる官能基と、基材表面に露出した活性水素との間で脱離反応が生じ、上記化合物の分子群が基材表面に共有結合で固定される。
本発明においては、基材と結合していない物質を除去するための洗浄工程を行うことができる。具体的には、洗浄用の非水系溶媒で、未結合の物質を洗い流す方法等を行えばよい。この場合、洗浄工程に引き続いて、上記非水系溶媒を除去するための乾燥工程を行う。
このようにして形成された機能性有機薄膜は、前処理工程によって所定の部分を露出活性水素密度が高い領域にしてから形成されたものであるので、寸法精度が高い膜になっている。また、機能性有機薄膜を構成する有機分子が、基材表面の所定部分に共有結合で固定されているので、耐剥離性や密着性に優れた膜となる。
(実施の形態2)
本発明の第2の機能性有機薄膜の製造方法は、前記実施の形態1と比較して、前処理工程において、基材表面の所定部分を除く部分に活性水素除去処理を施す点が異なる。
上記基材としては、活性水素が露出した基材が用いられ、例えば、親水性の単層基材や、この単層基材あるいは前述した活性水素が露出していない基材の表面に親水性の被膜が形成されてなる積層基材等があげられる。上記親水性の単層基材としては、表面が酸化された金属基材、シリコン基材、窒化シリコン基材、シリカ基材、ガラス基材等が例示できる。また、上記親水性の被膜としては、表面が酸化された金属膜、シリコン膜、窒化シリコン膜、シリカ膜、ガラス膜等が例示できる。これらは、露出活性水素密度が5個/nm2 以上であり、露出活性水素密度が高いといえる。なお、基材の形状については、特に制限はないが、通常、板状のもの(単層基板、積層基板)が用いられる。
前記前処理工程は、基材表面の所定部分を除く部分(膜形成予定領域でない領域)に活性水素除去処理を行う工程である。活性水素除去処理は、活性水素が露出した状態を活性水素が露出していない状態にするための処理をいい、具体的には、(1)基材表面の所定部分を除く部分に化学的処理を施して活性水素を除去する方法や、(2)基材表面の所定部分を除く部分に物理的処理を施して活性水素を取り除く方法があげられる。
(1)基材表面の所定部分を除く部分に化学的処理を施す方法。
この方法は、基材表面の所定部分を除く部分に対し、活性水素に反応しうる官能基を有する化合物を接触させ、上記官能基と上記所定部分を除く部分の活性水素とを反応させて、活性水素を除去する方法である。この方法によれば、上記活性水素に反応しうる官能基と上記部分の活性水素との脱離反応によって活性水素が除去されるので、基材表面の所定部分を除く部分の活性水素を除去することができる。よって、基材表面の所定部分は、露出活性水素密度が高い領域となる。
上記所定部分を除く部分に前記化合物を接触させる方法としては、例えば、所定部分をレジスト等のマスク材で覆い、所定部分を除く部分のみを露出させてから前記化合物を接触させる方法があげられる。
上記活性水素に反応しうる官能基を有する化合物としては、例えば、下記の化学式(1)で表される化合物が例示できる。
Figure 2005020016
上記式(1)中のXとしては、ハロゲン、アルコキシル基、イソシアネート基等があげられる。また、上記式(1)中のYとしては、メチル基、エチル基等のアルキル基等があげられる。また、上記式(1)中のZとしては、メチル基、エチル基等のアルキル基や、アルキル基を構成する水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されたフッ化アルキル基等があげられる。なお、Zは、基材から離れる方向に立って並ぶ官能基である。
前記化合物のなかでも、機能性有機薄膜の機能性を阻害せず、耐剥離性が良好である等の理由から、下記の化学式(2)〜(7)で表される化合物が好適である。
Figure 2005020016
(2)基材表面の所定部分を除く部分に物理的処理を施す方法。
この方法は、基材表面に露出した活性水素を共有結合の切断により取り除く方法である。具体的に説明すると、まず基材表面の所定部分をレジスト等のマスク材で覆い、露出した基材表面に対し、真空中で紫外光等を照射する。これにより、活性水素を基材に結合させていた共有結合が切断され、活性水素が除去される。その後、マスク材を取り除くことにより、基材表面の所定部分が露出活性水素密度が高い領域となる。
なお、上記実施の形態1および形態2で説明した機能性有機薄膜の製造方法は、基材に共有結合で固定された膜であれば、汚染防止膜、液晶配向膜、導電性膜、絶縁性膜、導電率変化膜等の各種の用途に適用可能である。
以下に、導電率変化膜を備えた有機電子デバイスを例として、図面を参照しつつ、具体的に説明する。
(実施例1)
図1〜図7に基づいて説明する。図1〜図6は、表面に活性水素が露出していない基板を用いての2端子有機電子デバイスの製造方法の各工程を説明するための模式的な説明図である。また、図7は、このデバイスを光でスイッチングしている状況を説明するための模式的な断面図である。
まず、図1(a)、(b)に示すように、表面に活性水素が露出していない表面絶縁性基板であるアクリル樹脂透明基板(露出活性水素密度は略0)1を準備し、この基板1表面にフォトレジストを塗布し露光現像して、開口部2(開口面積:1個あたり600μm2 )が縦方向および横方向に離隔して配列した状態になったレジストパターン3を形成した。
ついで、図2に示すように、前記パターン3形成済み基板1に対して、湿度50%の条件下で、エキシマUV光照射(KrFエキシマレーザ)4を行うことにより、空気中の酸素をオゾン化し上記開口部2から露出していた基板表面を極薄く酸化した。この際、空気中の水分とも反応して、表面に多数の水酸基(−OH)が露出した領域5を形成した。その後、レジストパターン3を除去した。
一方、重合により共役結合して導電ネットワークを形成するアセチレン基(−C≡C−)と、光異性化する官能基であるアゾ基(−N=N−)と、基板表面の活性水素に反応しうる官能基であるクロロシリル基(−SiCl)とを有する、下記の化学式(8)で表される化合物を、脱水したジメチルシリコーン系の有機溶媒で1質量%に薄めて化学吸着液を調製した。
Figure 2005020016
つぎに、前記領域5形成済み基板1を上記のように調製した化学吸着液に浸漬し、その領域5内の水酸基(活性水素)と脱塩酸反応させ、その後エタノールで洗浄することにより、基板1表面に共有結合で固定された単分子膜6を形成した(図3参照)。なお、この単分子膜6は、図4に示すように、基板1表面に共有結合で固定されていた。
つづいて、フレオン溶媒中でチーグラーナッタ触媒を用いて前記単分子膜6内のアセチレン基を重合して、図5に示すような、ポリアセチレン型の導電ネットワーク7を形成した。
その後、図6に示すように、基板1全面にニッケル薄膜を蒸着形成し、フォトリソグラフィ法を用いてギャップ間距離が10μmで長さが30μmで厚みt1 が0.1μmの第1電極8および第2電極9をエッチングして形成した。このようにして、第1電極8と第2電極9と、両電極を電気的に接続する微小面積の導電率変化膜10とを備えた2端子有機電子デバイスを製造した。
このようにして得られたデバイスを、図7に示すように、第1電極8と第2電極9との間に数Vの電圧を印加して実際に評価すると、両電極間はポリアセチレン型の導電ネットワーク7で接続されているので、数ナノアンペアーの電流(1Vで2nA程度)が流れた。ただし、評価前に導電率変化膜10には可視光線を照射していたので、アゾ基はトランス型であった。つぎに、引き続き導電率変化膜10に紫外線11を照射すると、膜10中のアゾ基がトランス型からシス型に転移して、電流値が略0アンペアとなった。また、その後、可視光線12を照射すると、アゾ基がシス型からトランス型に転移して元の導電性が再現された。
上記のような挙動を採るのは、つぎのような理由と考えられる。すなわち、導電性が低下したのは、アゾ基の光異性化(トランス型からシス型への転移)により、導電率変化膜内の分子配向が歪み、ポリアセチレン型の共役結合の共役度が低下したためと考えられる。また、導電性が回復したのは、アゾ基がトランス型に戻り、導電率変化膜内の分子配向のひずみが回復し、共役度が元に戻ったためと考えられる。
以上より、実施例1の2端子有機電子デバイスは、波長の異なる2種の光を照射することにより、膜内の共役結合の共役度を制御して、電極間の電流をスイッチングできた。
〔実施例1に関連したその他の事項〕
なお、実施例1では、前記化学式(8)で表される化合物を用いたが、実施例1のデバイスは、これに限定するものではない。本デバイスの構成であると、導電ネットワークの導電性等の観点から、下記の一般式(9)で表される化合物が好適に用いられる。
Figure 2005020016
上記式(9)中のAとしては、アセチレン基、ジアセチレン基、チェニレン基、ピロール基等が導電ネットワークの導電性の観点から好適である。
上記式(9)中のBとしては、アゾ基等のシス−トランス型で光異性化する官能基が好適である。
また、上記式(9)中のDとしては、ハロシリル基、イソシアネート基、アルコキシシリル基等が反応性の観点から好適である。さらに、上記式(9)中のEとしては、メチル基、エチル基等のアルキル基、水素原子、メトキシ基、エトキシ基等が用いられる。そして、上記式(9)中のm、nは、m+nが10以上20以下の範囲内であれば特に好適である。
上記式(9)で表される化合物のなかでも、下記の一般式(10)〜(13)で表される化合物が好適である。
Figure 2005020016
また、実施例1では、導電ネットワークの形成に触媒重合法を採用したが、本デバイスは、この方法に限定するものではなく、電解重合法や、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等のエネルギービームを照射する重合法を採用しても導電ネットワークを形成できることを確認している。
さらに、上記導電ネットワークとしてポリアセチレン型の共役系以外に、ポリジアセチレン型、ポリアセン型、ポリピロール型、ポリチェニレン型といった共役系が利用できることを確認している。なお、触媒重合法の場合は、重合性基として前記アセチレン基以外に、ピロール基、チェニレン基、ジアセチレン基が好適であったことを確認している。また、電解重合法の場合は、ピロール基、チェニレン基が好適であったことを確認している。また、エネルギービーム照射による重合法の場合は、アセチレン基、ジアセチレン基が好適であったことを確認している。
なお、実施例1では、ポリアセチレン型の共役系を導電ネットワークに利用しているが、アセチレン基は重合度が低いと電気抵抗が高くなりやすいので、オン電流を大きくするため、電荷移動性の官能基を有するドーパント物質(例えば、アクセプタ分子としてハロゲンガスやルイス酸、ドナー分子としてアルカリ金属やアンモニウム塩)をドーピングするようにしてもよい。ちなみに、上記導電率変化膜にヨウ素をドープした場合、1Vの電圧印加で0.2mAの電流が流れたことを確認している。
また、実施例1のデバイス構成において、より大きいオン電流を必要とする場合には、電極間距離を小さくするか、電極幅を広げることが好ましい。さらに大きなオン電流を必要とする場合には、単分子膜を累積して、単分子累積膜状の導電率変化膜にすることが好ましい。
そして、単分子膜または単分子累積膜の作製には、化学吸着法以外に、ラングミュアーブロジェット法が採用できたことを確認している。
また、導電ネットワークの形成に先立って、第1電極と第2電極とを形成した場合、導電ネットワークの形成に際し、両電極を電解重合法に利用してもよい。ちなみに、導電率変化膜の形成に用いる化合物として、ピロール基、チェニレン基といった電解重合性の官能基を有する化合物を用いた場合、この化合物からなる単分子膜または単分子累積膜を形成し、さらに第1電極と第2電極とを形成した後、両電極間に電圧を印加すると、前記電解重合性の官能基が重合して導電ネットワークが形成できたことを確認している。
さらに、第1電極と、第2電極と、外部電極とを利用して、単分子累積膜状の導電率変化膜を形成してもよい。ちなみに、基板上に、ピロール基またはチェニレン基を有する単分子膜と、第1電極と、第2電極とを形成した後に、ピロール基またはチェニレン基と光異性化する官能基とを有する化合物を溶かした有機溶媒中に浸漬し、かつ、前記第1電極と第2電極との間に第1の電圧を印加し、さらに前記第1電極または第2電極と前記有機溶媒に接触し前記単分子膜の上方に配置された外部電極との間に第2の電圧を印加することにより、前記単分子膜の上に被膜を形成するとともに、単分子膜と被膜にそれぞれ導電ネットワークを形成できたことを確認している。この場合、このデバイスは、多段構成の導電ネットワークを有している。
また、基板上に、ピロール基またはチェニレン基を有する有機分子群からなる単分子膜と第1電極と第2電極とを形成し、さらに単分子膜中のピロール基またはチェニレン基を重合反応させてなる導電ネットワークを有する単分子層状の導電率変化膜を形成した後に、ピロール基またはチェニレン基と光異性化する官能基とを有する化合物を溶かした有機溶媒中に浸漬し、かつ、前記第1電極と第2電極との間に第1の電圧を印加し、さらに前記第1電極または第2電極と前記有機溶媒に接触し前記単分子層状の導電率変化膜の上方に配置された外部電極との間に第2の電圧を印加することにより、上記単分子層状の導電率変化膜の上に被膜を形成するとともに、その被膜に導電ネットワークを形成できたことを確認している。この場合、このデバイスは、多段構成の導電ネットワークを有している。
(実施例2)
図8〜図12に基づいて説明する。図8〜図11は、表面に活性水素が露出していない基板を用いての3端子有機電子デバイスの製造方法の各工程を説明するための模式的な説明図である。また、図12は、このデバイスを電界でスイッチングしている状況を説明するための模式的な説明図である。
まず、図8に示すように、表面に活性水素が露出していない表面絶縁性基板であるアクリル樹脂透明基板(露出活性水素密度は略0)15を準備し、この基板表面にアルミニウム(Al)を蒸着し、フォトリソグラフィ法を用いて長さが15μmで幅が40μmで厚みが0.05μmのAl製第3電極16をエッチング形成した。
ついで、図9に示すように、実施例1と同様にして、レジストパターン17を形成した後、このパターン17形成済み基板15に対して、エキシマUV光照射(KrFエキシマレーザ)18を行うことにより、空気中の酸素をオゾン化し上記パターン17の開口部から露出していた基板表面に酸化被膜19を、第3電極表面にアルミナ膜20を形成した。この際、空気中の水分とも反応して、酸化被膜19およびアルミナ膜20は表面に多数の水酸基が露出した領域となっていた。その後、レジストパターン17を除去した。
一方、重合により共役結合して導電ネットワークを形成するピロール基(C4 4 N−)と、有極性の官能基であるオキシカルボニル基(−OCO−)と、基板表面の活性水素に反応しうる官能基であるクロロシリル基(−SiCl)とを有する、下記の化学式(14)で表される化合物を、脱水したジメチルシリコーン系の有機溶媒で1質量%に薄めて化学吸着液を調製した。
Figure 2005020016
つぎに、前記酸化被膜19およびアルミナ膜20形成済み基板15を上記のように調製した吸着液に浸漬し、膜19、20内の水酸基(活性水素)と脱塩酸反応させ、その後エタノールで洗浄することにより、基板表面に共有結合で固定された単分子膜21を形成した(図10参照)。
つづいて、図11に示すように、基板15全面にニッケル薄膜を蒸着形成し、フォトリソグラフィ法を用いてギャップ間距離が10μmで長さが30μmで厚みt2 が0.1μmの第1電極22および第2電極23をエッチングして形成した。その後、アセトニトリル中で第1電極と第2電極との間に5V/cm程度の電界を印加し、電解重合により導電ネットワークを第1電極と第2電極との間を電気的に接続するように形成した。このとき、電界の方向に沿って共役結合が自己組織的に形成されていくので、完全に重合が終われば、第1電極と第2電極とは導電ネットワークで電気的に接続されていることになる。
そして、導電率変化膜の表面にBF- イオンをドープした後、第3電極を基板側から取り出した。このようにして、第1電極と第2電極と、両電極を電気的に接続する微小面積の導電率変化膜と、第3電極とを備えた3端子有機電子デバイスを製造した。
このようにして得られたデバイスを、図12に示すように、第1電極22と第2電極23との間に1Vの電圧を印加して実際に評価すると、両電極間はポリピロール型の導電ネットワーク24で接続され、しかもBF- イオンがドープされているので、0.5mA程度の電流が流れた。つぎに、引き続き第1電極22と第3電極16との間に5Vの電圧を印加すると、第1電極22と第2電極23との間の電流は略0アンペアとなった。また、その後、5Vの印加電圧を0Vに戻すと元の導電性が再現された。
上記のような挙動を示すのは、つぎのような理由によると考えられる。すなわち、電極間の導電性が低下したのは、第3電極と第1電極の間に電圧を印加した際、有極性の官能基であるオキシカルボニル基(−OCO−)の分極が進んで導電率変化膜内の分子配向が歪み、ポリピロール型の共役結合の共役度が低下したためと考えられる。また、導電性が回復したのは、分極が通常の状態に戻り、導電率変化膜内の分子配向のひずみが回復し、共役度が元に戻ったためと考えられる。
以上より、実施例2の3端子有機電子デバイスは、第3電極と第1電極との間に電圧を印加することにより、膜内の共役結合の共役度を制御して、第1電極と第2電極との間の電流をスイッチングできた。
〔実施例2に関連したその他の事項〕
なお、実施例2では、前記化学式(14)で表される化合物を用いたが、実施例2のデバイスはこれに限定するものではない。本デバイスの構成であると、導電ネットワークの導電性等の観点から、下記の一般式(15)で表される化合物が好適に用いられる。
Figure 2005020016
上記式(15)中のB′としては、オキシカルボニル基、カルボニル基等の電界印加により分極する分極性の官能基が好適である。オキシカルボニル基であると、スイッチングを極めて高速で行えたことを確認している。また、カルボニル基であっても、スイッチングを行えたことを確認している。なお、上記式(15)中のA、D、E、m、nについては、前記式(9)と同様である。
上記式(15)で表される化合物のなかでも、下記の一般式(16)〜(19)で表される化合物が好適である。
Figure 2005020016
また、実施例2では、導電ネットワークの形成に電解重合法を採用したが、本デバイスは、この方法に限定するものではなく、触媒重合法や、光、電子線、X線等のエネルギービームを照射する重合法を採用しても導電ネットワークを形成できることを確認している。
さらに、上記導電ネットワークとしてポリピロール型の共役系以外に、ポリアセチレン型、ポリジアセチレン型、ポリアセン型、ポリチェニレン型といった共役系が利用でき、これら共役系であれば導電率が高かったことを確認している。なお、電解重合法の場合は、重合性基として前記ピロール基以外に、チェニレン基が好適であり、触媒重合法の場合は、ピロール基、チェニレン基の他に、アセチレン基、ジアセチレン基が好適であり、エネルギービーム照射による重合法の場合は、アセチレン基、ジアセチレン基が好適であったことを確認している。
なお、実施例2では、ドープする物質としてBF- イオンを用いたが、これに限定するものではなく、他のドーパント物質を用いてもよい。また、オン電流が小さくてもよい場合は、ドーパント物質をドープしなくても差し支えはない。ちなみに、導電率変化膜内にBF- イオンをドープしなかった場合は、1Vの電圧印加で約50nAの電流が流れたことを確認している。
また、実施例2のデバイス構成において、より大きいオン電流を必要とする場合には、実施例1と同様、電極間距離を小さくしたり、電極幅を広げたり、単分子膜を累積して単分子累積膜状の導電率変化膜にすることが好適である。
そして、単分子膜または単分子累積膜の作製には、化学吸着法以外に、ラングミュアーブロジェット法が採用できたことを確認している。
さらに、第1電極と、第2電極と、外部電極とを利用して、単分子累積膜状の導電率変化膜を形成してもよい。ちなみに、基板上に、第3電極と、ピロール基またはチェニレン基を有する単分子膜と、第1電極と、第2電極とを形成した後に、ピロール基またはチェニレン基と有極性の官能基とを有する化合物を溶かした有機溶媒中に浸漬し、かつ、前記第1電極と第2電極との間に第1の電圧を印加し、さらに前記第1電極または第2電極と前記有機溶媒に接触し前記単分子膜の上方に配置された外部電極との間に第2の電圧を印加することにより、前記単分子膜の上に被膜を形成するとともに、単分子膜と被膜にそれぞれ導電ネットワークを形成できたことを確認している。この場合、このデバイスは、多段構成の導電ネットワークを有している。
また、基板上に、第3電極と、ピロール基またはチェニレン基を有する有機分子群からなる単分子膜と、第1電極と、第2電極とを形成し、さらに単分子膜中のピロール基またはチェニレン基を重合反応させて導電ネットワークを有する単分子層状の導電率変化膜を形成した後に、ピロール基またはチェニレン基と有極性の官能基とを有する化合物を溶かした有機溶媒中に浸漬し、かつ、前記第1電極と第2電極との間に第1の電圧を印加し、さらに前記第1電極または第2電極と前記有機溶媒に接触し前記単分子状の導電率変化膜の上方に配置された外部電極との間に第2の電圧を印加することにより、上記単分子状の導電率変化膜の上に被膜を形成するとともに、その被膜に導電ネットワークを形成できたことを確認している。この場合、このデバイスは、多段構成の導電ネットワークを有している。
〔実施例1、2に関連するその他の事項〕
なお、実施例1、2において、表面に活性水素が露出していない表面絶縁性基板として、アクリル樹脂透明基板を用いたが、これに限定するものではない。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等の合成樹脂からなる単層基板や、金属基板の表面に合成樹脂製の被膜が形成された積層基板等を用いることもできる。金属基板等の導電性基板の表面に活性水素が露出していない絶縁性膜が形成された積層基板を用いると、基板自体が帯電しないので、デバイスの動作安定性が向上することを確認している。
また、実施例1、2では、活性水素露出化処理として、エキシマUV光照射法を採用したが、これに限定するものではなく、紫外線照射法、プラズマ処理法、コロナ処理法であってもよいことを確認している。すなわち、従来公知のエキシマUV光照射装置、UVオゾン処理装置、プラズマ酸化処理装置、コロナ処理装置を利用すれば、活性水素露出化処理が行えたことを確認している。
さらに、実施例1、2はともに、レジストパターン除去後に単分子膜の形成を行ったが、レジストパターン除去前であっても成膜できたことを確認している。
なお、前記膜形成工程において、シラン系の化学吸着物質を非水系の有機溶媒に溶かした化学吸着液を用いると、効率よく、しかもきれいな成膜が行えたことを確認している。また、アクリル樹脂透明基板を損なわない非水系の有機溶媒を用いて洗浄を行うと、よりきれいな成膜が行えたことを確認している。
(実施例3)
図13〜図16に基づいて説明する。図13〜図16は、表面に活性水素が露出した基板を用いての2端子有機電子デバイスの製造方法の各工程を説明するための模式的な説明図である。
まず、図13(a)に示すように、表面に活性水素が露出した表面絶縁性基板である透明ガラス基板30を準備し、この基板30表面にフォトレジストを塗布し露光現像して、レジスト部が縦方向および横方向に離隔して配列した状態になったレジストパターン31を形成した。
ついで、図13(b)に示すように、前記パターン31形成済み基板30を、活性水素除去用の化学吸着物質であるメチルトリクロロシラン(CH3 SiCl3 )を脱水したジメチルシリコーン系の有機溶媒に溶かした化学吸着液中に浸漬することにより、前記基板表面に露出した活性水素を除去し、さらに表面をエタノール洗浄して、前記メチルトリクロロシランからなる単分子膜32を形成した。その後、前記レジストパターン31を除去することにより、基板表面の所定部分が、多数の水酸基が露出した領域33となった基板を作製した。なお、単分子膜32表面の露出活性水素密度は実質的に0である。
つぎに、上記のようにして作製された基板を用い、実施例1と同様にして、前記化学式(8)で表される化合物からなる単分子膜34を形成し(図14参照)、さらに第1電極35および第2電極36を形成した後(図15参照)、両電極を電気的に接続するように前記単分子膜34中の重合性基を重合して、導電ネットワークを有する導電率変化膜を形成した。このようにして、2端子有機電子デバイスを製造した。
このようにして得られたデバイスを、実施例1と同様、第1電極と第2電極との間に数Vの電圧を印加して実際に評価すると、両電極間はポリアセチレン型の導電ネットワークで接続されているので、数ナノアンペアーの電流(1Vで2nA程度)が流れた(図6参照)。ただし、評価前に導電率変化膜には可視光線を照射しているので、アゾ基はトランス型であった。つぎに、引き続き導電率変化膜に紫外線11を照射すると、膜中のアゾ基がトランス型からシス型に転移して、電流値が略0アンペアとなった。また、その後、可視光線12を照射すると、アゾ基がシス型からトランス型に転移して元の導電性が再現された。
以上より、実施例3の2端子有機電子デバイスは、波長の異なる2種の光を照射することにより、膜内の共役結合の共役度を制御して、電極間の電流をスイッチングできた。
(実施例4)
実施例4について、図16〜図19に基づいて説明する。図16〜図19は、表面に活性水素が露出した基板を用いての3端子有機電子デバイスの製造方法の各工程を説明するための模式的な説明図である。
まず、図16に示すように、表面に活性水素が露出した表面絶縁性基板である透明ガラス基板41を準備し、この基板表面にアルミニウム(Al)を蒸着し、フォトリソグラフィ法を用いて長さが15μmで幅が40μmで厚みが0.05μmのAl製第3電極42をエッチング形成した。その後、しばらく空気中に放置して、第3電極42表面を自然酸化させた。
ついで、図17(a)に示すように、第3電極42を被うようにして基板41表面にレジストを塗布し露光現像して、レジスト部が縦方向および横方向に離隔して配列した状態になったレジストパターン43を形成した。
つぎに、図17(b)に示すように、前記パターン43形成済み基板41を、活性水素除去用の化学吸着物質であるメチルトリクロロシラン(CH3 SiCl3 )を脱水したジメチルシリコーン系の有機溶媒に溶かした化学吸着液中に浸漬することにより、前記基板表面に露出した活性水素を除去し、さらに表面をエタノール洗浄して、前記メチルトリクロロシランからなる単分子膜44を形成した後、前記レジストパターン43を除去することにより、基板表面の所定部分が、多数の水酸基が露出した領域45となった基板を作製した。なお、第3電極42の表面には、自然酸化膜が形成されており、活性水素が露出した状態になっていた。また、単分子膜44表面の露出活性水素密度は実質的に0である。
そして、上記基板を用い、実施例2と同様にして、前記化学式(14)で表される化合物からなる単分子膜46を形成し(図18参照)、さらに第1電極47および第2電極48を形成した後(図19参照)、両電極を電気的に接続するように前記単分子膜46中の重合性基を重合して、導電ネットワークを有する導電率変化膜を形成し、さらにその表面にBF- イオンをドープした。このようにして、3端子有機電子デバイスを製造した。
このようにして得られたデバイスを、実施例2と同様、第1電極と第2電極との間に1Vの電圧を印加して実際に評価すると、両電極間はポリピロール型の導電ネットワークで接続され、しかもBF- イオンがドープされているので、0.5mA程度の電流が流れた(図12参照)。つぎに、引き続き第1電極と第3電極との間に5Vの電圧を印加すると、第1電極と第2電極との間の電流は略0アンペアとなった。また、その後、5Vの印加電圧を0Vに戻すと元の導電性が再現された。
以上より、実施例4の3端子有機電子デバイスは、第3電極に電圧を印加することにより、膜内の共役結合の共役度を制御して、第1電極と第2電極との間の電流をスイッチングできた。
〔実施例3、4に関連するその他の事項〕
なお、実施例3、4において、表面に活性水素が露出した表面絶縁性基板として、透明ガラス基板を用いたが、これに限定するものではない。表面が酸化された絶縁性を示す単層基板や、各種の基板の表面に、表面が酸化された絶縁性膜が形成された積層基板等を用いることもできる。金属基板等の導電性基板の表面に活性水素が露出した絶縁性膜が形成された積層基板を用いると、基板自体が帯電しないので、デバイスの動作安定性が向上する。
また、実施例3、4では、活性水素除去処理として、メチルトリクロロシランを用いる方法を採用したが、他の化学吸着物質〔例えば、前記式(2)〜(7)で表される化合物等〕を用いても活性水素を除去できる。
なお、実施例3、4のデバイスは、それぞれ実施例1、2と比較して、基板が異なっていることを除いて実質的に同様であるので、ドーパント物質等のその他の事項に関しても略同様のことがいえる。よって、その説明は省略する。
上記実施例1〜4で説明した有機電子デバイスは、各種の電子機器のデバイスとして用いることができる。以下に、前記有機電子デバイスをスイッチ素子として表示装置に用いた場合について、実施例に基づいて説明する。
(実施例5)
まず、上記実施例2と同様の方法で、複数の有機電子デバイスを液晶の動作スイッチとしてアクリル基板表面に配列配置し、さらにその表面に配向膜を形成して、TFTアレイ基板を作製した。一方、従来公知の方法で、複数の色要素を基板表面にマトリックス状に配列配置し、さらにその表面に配向膜を作製した。つぎに、TFTアレイ基板の配向膜面に、スクリーン印刷法を用いてシール接着剤を液晶注入口となる部分を除いてパターン形成した後、プレキュアーしてカラーフィルター基板の配向膜面を向かい合わせにし、貼り合わせて圧着し前記パターン形成された接着剤を硬化させ、空セルを作製した。そして、所定の液晶を前記液晶注入口から真空注入し封止して液晶セルを作製し、液晶表示装置を製造した。
上記のようにして得られた液晶表示装置は、TFTアレイ基板の製造において、基板加熱の必要がないので、アクリル基板のようなガラス転移点(Tg点)が低い基板を用いても、充分高画質なTFT型の液晶表示装置となっていた。
なお、実施例4と同様の方法で製造した3端子有機電子デバイスを用いても、上記実施例5と同様の液晶表示装置が製造できた。
(実施例6)
上記実施例2と同様の方法で、複数の3端子有機電子デバイスを動作スイッチとしてアクリル基板表面に配列配置してTFTアレイ基板を作製した。その後、従来公知の方法を用いて前記3端子有機電子デバイスに接続される画素電極を形成し、TFTアレイ基板上に電界が印加されると発光する蛍光物質から成る発光層を形成し、TFTアレイ基板に対向する透明共通電極を発光層上に形成して、EL型表示装置を製造できた。
また、発光層を形成する際、赤、青、緑色の光を発光する3種類の素子をそれぞれ所定の位置に形成することにより、EL型カラー表示装置が製造できた。
なお、実施例4と同様の方法で製造した3端子有機電子デバイスを用いても、上記実施例6と同様のEL型表示装置が製造できた。
実施例1にかかる2端子有機電子デバイスの製造方法(前処理工程)を説明するための模式図であって、(a)はレジストパターンが形成された状態を示す斜視図であり、(b)は(a)の部分拡大断面図である。 実施例1にかかる2端子有機電子デバイスの製造方法(前処理工程)を説明するための模式的な断面図であって、活性水素露出化処理の状況を示している。 実施例1にかかる2端子有機電子デバイスの製造方法(膜形成工程)を説明するための模式的な断面図である。 図3のA部を分子レベルまで拡大した模式的な断面図である。 導電ネットワークが形成された状態を模式的に示す断面図である。 実施例1にかかる2端子有機電子デバイスの製造方法(対電極形成工程)を説明するための模式的な断面図である。 実施例1にかかる2端子有機電子デバイスの製造方法によって製造されたデバイスを、光でスイッチングしている状況を説明するための模式的な断面図である。 実施例2にかかる3端子有機電子デバイスの製造方法(電極形成工程)を説明するための模式的な断面図である。 実施例2にかかる3端子有機電子デバイスの製造方法(前処理工程)を説明するための模式的な断面図である。 実施例2にかかる3端子有機電子デバイスの製造方法(膜形成工程)を説明するための模式的な断面図である。 実施例2にかかる3端子有機電子デバイスの製造方法(対電極形成工程)を説明するための模式的な断面図である。 実施例2にかかる3端子有機電子デバイスの製造方法によって製造されたデバイスを、電界でスイッチングしている状況を説明するための模式的な断面図である。 実施例3にかかる2端子有機電子デバイスの製造方法(前処理工程)を説明するための模式的な断面図であって、(a)はレジストパターンを形成した状態を示す図であり、(b)は活性水素除去処理後にレジストパターンを除去した状態を示す図である。 実施例3にかかる2端子有機電子デバイスの製造方法(膜形成工程)を説明するための模式的な断面図である。 実施例3にかかる2端子有機電子デバイスの製造方法(対電極形成工程)を説明するための模式的な断面図である。 実施例4にかかる3端子有機電子デバイスの製造方法(電極形成工程)を説明するための模式的な断面図である。 実施例4にかかる3端子有機電子デバイスの製造方法(前処理工程)を説明するための模式的な断面図であって、(a)はレジストパターンを形成した状態を示す図であり、(b)は活性水素除去処理後にレジストパターンを除去した状態を示す図である。 実施例4にかかる3端子有機電子デバイスの製造方法(膜形成工程)を説明するための模式的な断面図である。 実施例4にかかる3端子有機電子デバイスの製造方法(対電極形成工程)を説明するための模式的な断面図である。
符号の説明
1 アクリル樹脂透明基板
2 開口部
3 レジストパターン
4 エキシマUV光照射
5 多数の水酸基が露出した領域
6 導電率変化膜になる前の単分子膜
7 ポリアセチレン型の導電ネットワーク
8 第1電極
9 第2電極
10 導電率変化膜
11 スイッチング用に集光された紫外光
12 スイッチング用に集光された可視光
15 アクリル樹脂透明基板
16 第3電極
17 レジストパターン
18 エキシマUV光照射
19 酸化被膜
20 アルミナ膜
21 導電率変化膜になる前の単分子膜
22 第1電極
23 第2電極
24 ポリピロール型の導電ネットワーク
30 透明ガラス基板
31 レジストパターン
32 活性水素除去用の単分子膜
33 多数の水酸基が露出した領域
34 導電率変化膜になる前の単分子膜
35 第1電極
36 第2電極
41 透明ガラス基板
42 第3電極
43 レジストパターン
44 活性水素除去用の単分子膜
45 多数の水酸基が露出した領域
46 導電率変化膜になる前の単分子膜
47 第1電極
48 第2電極

Claims (29)

  1. 基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜とを備え、
    前記導電率変化膜は、光異性化する官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、
    かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に照射される光に応じて変化する2端子の有機電子デバイスを製造する方法であって、
    前記基板表面の所定部分に活性水素露出化処理を施して、その所定部分を、所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、
    前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と光異性化する官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、上記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、
    前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、
    前記基板上に第1電極と第2電極を形成する対電極形成工程と、
    を備えたことを特徴とする2端子の有機電子デバイスの製造方法。
  2. 基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜と、前記基板と前記導電率変化膜との間に挟まれ、それぞれと絶縁された第3の電極とを備え、
    前記第3電極は、第1電極または第2電極との間に電圧を印加することにより前記導電率変化膜に作用させる電界を制御する電極であり、
    かつ、前記導電率変化膜は、有極性の官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、
    かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に印加される電界に応じて変化する3端子の有機電子デバイスを製造する方法であって、
    前記基板の表面に第3電極を形成する電極形成工程と、
    前記第3電極が形成された基板表面の所定部分に活性水素露出化処理を施して、その所定部分を、所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、
    前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と有極性の官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、
    前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、
    前記基板上に第1電極と第2電極とを形成する対電極形成工程と、
    を備えたことを特徴とする3端子の有機電子デバイスの製造方法。
  3. 基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜とを備え、
    前記導電率変化膜は、光異性化する官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、
    かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に照射される光に応じて変化する2端子の有機電子デバイスを製造する方法であって、
    前記基板の所定部分を除く部分に活性水素除去処理を施して、所定部分を、その所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、
    前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と光異性化する官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、
    前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、
    前記基板上に第1電極と第2電極を形成する対電極形成工程と、
    を備えたことを特徴とする2端子の有機電子デバイスの製造方法。
  4. 基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜と、前記基板と前記導電率変化膜との間に挟まれ、それぞれと絶縁された第3の電極とを備え、
    前記第3電極は、第1電極または第2電極との間に電圧を印加することにより前記導電率変化膜に作用させる電界を制御する電極であり、
    かつ、前記導電率変化膜は、有極性の官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、
    かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に印加される電界に応じて変化する3端子の有機電子デバイスを製造する方法であって、
    前記基板の表面に第3電極を形成する電極形成工程と、
    前記第3電極が形成された基板表面の所定部分を除く部分に活性水素除去処理を施して、所定部分を、その所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、
    前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と有極性の官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、
    前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、
    前記基板上に第1電極と第2電極とを形成する対電極形成工程と、
    を備えたことを特徴とする3端子の有機電子デバイスの製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記基板として、表面に活性水素が露出していない表面絶縁性基板を用いる、
    ことを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
  6. 請求項3または4に記載の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記基板として、表面に活性水素が露出した表面絶縁性基板を用いる、
    ことを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記導電率変化膜は、単分子層状に配列した単分子膜または単分子膜が複数積層した単分子累積膜である、
    ことを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記膜形成工程で化学吸着法またはラングミュアーブロジェット法を適用する、
    ことを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
  9. 請求項8に記載の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記化学吸着法を適用した膜形成工程で、シラン系の化学吸着物質を用いる、
    ことを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
  10. 請求項1または3に記載の2端子の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記光異性化する官能基として、アゾ基を用いる、
    ことを特徴とする2端子の有機電子デバイスの製造方法。
  11. 請求項2または4に記載の3端子の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記有極性の官能基として、カルボニル基または/およびオキシカルボニル基を用いる、
    ことを特徴とする3端子の有機電子デバイスの製造方法。
  12. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記共役結合で結合しうる重合性基として、触媒重合性の官能基、電解重合性の官能基およびエネルギービーム照射により重合する官能基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を用いる、
    ことを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
  13. 請求項12記載の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記触媒重合性の官能基として、ピロール基、チェニレン基、アセチレン基およびジアセチレン基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を用いる、
    ことを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
  14. 請求項12記載の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記電解重合性の官能基として、ピロール基または/およびチェニレン基を用いる、
    ことを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
  15. 請求項12記載の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記エネルギービーム照射により重合する官能基として、アセチレン基または/およびジアセチレン基を用いる、
    ことを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
  16. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記共役結合で結合しうる重合性基が電解重合性の官能基である場合に、
    前記重合工程に先立って、前記対電極形成工程を行い、
    かつ、前記重合工程において、前記第1電極と第2電極との間に電圧を印加することにより、電解重合性の官能基同士を電解重合反応させて、導電ネットワークを形成する、
    ことを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
  17. 請求項1または3に記載の2端子の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記共役結合で結合しうる重合性基が電解重合性の官能基であるピロール基または/およびチェニレン基である場合に、
    前記前処理工程、膜形成工程、重合工程および対電極形成工程を経由して、単分子層状の導電率変化膜を形成した後、この導電率変化膜が形成されてなる基板を、ピロール基または/およびチェニレン基と光異性化する官能基とを有する化合物を溶かした有機溶媒中に浸漬し、かつ、前記第1電極と第2電極との間、および前記第1電極または第2電極と前記有機溶媒に接触し前記導電率変化膜の上方に配置された外部電極との間に、それぞれ電圧を印加して、前記単分子状の導電率変化膜の表面に、前記化合物の分子群の一部または全部が共役結合されて導電ネットワークが形成されてなる被膜を形成する工程を行う、
    ことを特徴とする2端子の有機電子デバイスの製造方法。
  18. 請求項1または3に記載の2端子の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記共役結合で結合しうる重合性基が電解重合性の官能基であるピロール基または/およびチェニレン基である場合に、
    前記前処理工程、膜形成工程および対電極形成工程を経由して、重合させる前の単分子膜を形成した後、この単分子膜が形成されてなる基板を、ピロール基または/およびチェニレン基と光異性化する官能基とを有する化合物を溶かした有機溶媒中に浸漬し、かつ、前記第1電極と第2電極との間、および前記第1電極または第2電極と前記有機溶媒に接触し前記単分子膜の上方に配置された外部電極との間に、それぞれ電圧を印加して、前記単分子膜中の電解重合性の官能基同士を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成するとともに、前記単分子膜の表面に、前記化合物の分子群の一部または全部が共役結合されて導電ネットワークが形成されてなる被膜を形成する工程を行う、
    ことを特徴とする2端子の有機電子デバイスの製造方法。
  19. 請求項2または4に記載の3端子の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記共役結合で結合しうる重合性基が電解重合性の官能基であるピロール基または/およびチェニレン基である場合に、
    前記電極形成工程、前処理工程、膜形成工程、重合工程および対電極形成工程を経由して、単分子層状の導電率変化膜を形成した後、この導電率変化膜が形成されてなる基板を、ピロール基または/およびチェニレン基と有極性の官能基とを有する化合物を溶かした有機溶媒中に浸漬し、かつ、前記第1電極と第2電極との間、および前記第1電極または第2電極と前記有機溶媒に接触し前記導電率変化膜の上方に配置された外部電極との間に、それぞれ電圧を印加して、前記単分子状の導電率変化膜の表面に、前記化合物の分子群の一部または全部が共役結合されて導電ネットワークが形成されてなる被膜を形成する工程を行う、
    ことを特徴とする3端子の有機電子デバイスの製造方法。
  20. 請求項2または4に記載の3端子の有機電子デバイスの製造方法において、
    前記共役結合で結合しうる重合性基が電解重合性の官能基であるピロール基または/およびチェニレン基である場合に、
    前記電極形成工程、前処理工程、膜形成工程および対電極形成工程を経由して、重合させる前の単分子膜を形成した後、この単分子膜が形成されてなる基板を、ピロール基または/およびチェニレン基と有極性の官能基とを有する化合物を溶かした有機溶媒中に浸漬し、かつ、前記第1電極と第2電極との間、および前記第1電極または第2電極と前記有機溶媒に接触し前記導電率変化膜の上方に配置された外部電極との間に、それぞれ電圧を印加して、前記単分子膜中の電解重合性の官能基同士を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成するとともに、前記単分子膜の表面に、前記化合物の分子群の一部または全部が共役結合されて導電ネットワークが形成されてなる被膜を形成する工程を行う
    ことを特徴とする3端子の有機電子デバイスの製造方法。
  21. 基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜と、前記基板と前記導電率変化膜との間に挟まれ、かつ、それぞれと絶縁された第3の電極とを備え、前記第3電極は、第1電極または第2電極との間に電圧を印加することにより前記導電率変化膜に作用させる電界を制御する電極であり、かつ、前記導電率変化膜は、有極性の官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に印加される電界に応じて変化する3端子の有機電子デバイスをスイッチ素子として用いた液晶表示装置を製造する方法であって、
    第1の基板上に複数の前記スイッチ素子がマトリックス状に配列配置され、かつ、その表面に第1の配向膜が形成されたアレイ基板を作製する工程と、
    第2の基板上に複数の色要素がマトリックス状に配列配置され、かつ、その表面に第2の配向膜が形成されたカラーフィルター基板を作製する工程と、
    前記第1の配向膜と第2の配向膜とを内側にして前記アレイ基板と前記カラーフィルター基板とを所定の間隔で向かい合わせ、両基板の間に液晶を充填し封止する工程と、
    を備え、
    前記アレイ基板を作製する工程は、
    前記第1の基板の表面に、第3電極をマトリックス状に形成する電極形成工程と、
    前記第3電極が形成された基板表面の所定部分に活性水素露出化処理を施して、その所定部分を、所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、
    前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と有極性の官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、
    前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、
    前記第1の基板上に第1電極と第2電極とを形成する対電極形成工程と、
    前記第1電極と第2電極と第3電極と導電率変化膜とが形成された基板上に第1の配向膜を形成する配向膜形成工程と、
    を含んだ工程であることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  22. 請求項21に記載の液晶表示装置の製造方法において、
    前記第1の基板として、表面に活性水素が露出していない表面絶縁性基板を用いる、
    ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  23. 基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜と、前記基板と前記導電率変化膜との間に挟まれ、かつ、それぞれと絶縁された第3の電極とを備え、前記第3電極は、第1電極または第2電極との間に電圧を印加することにより前記導電率変化膜に作用させる電界を制御する電極であり、かつ、前記導電率変化膜は、有極性の官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に印加される電界に応じて変化する3端子の有機電子デバイスをスイッチ素子として用いた液晶表示装置の製造方法であって、
    第1の基板上に複数の前記スイッチ素子がマトリックス状に配列配置され、かつ、その表面に第1の配向膜が形成されたアレイ基板を作製する工程と、
    第2の基板上に複数の色要素がマトリックス状に配列配置され、かつ、その表面に第2の配向膜が形成されたカラーフィルター基板を作製する工程と、
    前記第1の配向膜と第2の配向膜とを内側にして前記アレイ基板と前記カラーフィルター基板とを所定の間隔で向かい合わせ、両基板の間に液晶を充填し封止する工程と、
    を備え、
    前記アレイ基板を製造する工程は、
    前記第1の基板の表面に第3電極をマトリックス状に形成する電極形成工程と、
    前記第3電極が形成された基板表面の所定部分を除く部分に活性水素除去処理を施して、所定部分を、その所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、
    前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と有極性の官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、
    前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、
    前記第1の基板上に第1電極と第2電極とを形成する対電極形成工程と、
    前記第1電極と第2電極と第3の電極と導電率変化膜とが形成された基板上に第1の配向膜を形成する配向膜形成工程と、
    を含んだ工程であることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  24. 請求項23に記載の液晶表示装置の製造方法において、
    前記第1の基板として、表面に活性水素が露出した表面絶縁性基板を用いる、
    ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  25. 基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜と、前記基板と前記導電率変化膜との間に挟まれ、かつ、それぞれと絶縁された第3の電極とを備え、前記第3電極は、第1電極または第2電極との間に電圧を印加することにより前記導電率変化膜に作用させる電界を制御する電極であり、かつ、前記導電率変化膜は、有極性の官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に印加される電界に応じて変化する3端子の有機電子デバイスをスイッチ素子として用いたエレクトロルミネッセンス型表示装置の製造方法であって、
    基板上に複数の前記スイッチ素子がマトリックス状に配列配置するアレイ基板を作製する工程と、
    前記アレイ基板上に、電圧の印加により発光する蛍光物質からなる発光層を形成する工程と、
    前記発光層上に共通電極膜を形成する工程と、
    を備え、
    前記アレイ基板を作製する工程は、
    前記基板の表面に第3電極をマトリックス状に形成する電極形成工程と、
    前記第3電極が形成された基板表面の所定部分に活性水素露出化処理を施して、その所定部分を、所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、
    前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と有極性の官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、
    前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、
    前記基板上に第1電極と第2電極とを形成する対電極形成工程と、
    を含んだ工程であることを特徴とするエレクトロルミネッセンス型表示装置の製造方法。
  26. 請求項25に記載のエレクトロルミネッセンス型表示装置の製造方法において、
    前記基板として、表面に活性水素が露出していない表面絶縁性基板を用いる、
    ことを特徴とするエレクトロルミネッセンス型表示装置の製造方法。
  27. 基板上に形成された、第1の電極と、前記第1の電極と離隔した第2の電極と、前記第1電極と第2電極とを電気的に接続する導電率変化膜と、前記基板と前記導電率変化膜との間に挟まれ、かつ、それぞれと絶縁された第3の電極とを備え、前記第3電極は、第1電極または第2電極との間に電圧を印加することにより前記導電率変化膜に作用させる電界を制御する電極であり、かつ、前記導電率変化膜は、有極性の官能基を有する有機分子群のうちの一部または全部が共役結合で連結されてなる導電ネットワークを有しており、かつ、前記導電ネットワークの導電率は、前記導電率変化膜に印加される電界に応じて変化する3端子有機電子デバイスをスイッチ素子として用いたエレクトロルミネッセンス型表示装置の製造方法であって、
    基板上に複数の前記スイッチ素子がマトリックス状に配列配置するアレイ基板を製造する工程と、
    前記アレイ基板上に、電圧の印加により発光する蛍光物質からなる発光層を形成する工程と、
    前記発光層上に共通電極膜を形成する工程と、
    を備え、
    前記アレイ基板を製造する工程は、
    前記基板の表面に第3電極をマトリックス状に形成する電極形成工程と、
    前記第3電極が形成された基板表面の所定部分を除く部分に活性水素除去処理を施して、所定部分を、その所定部分を除く部分よりも露出活性水素密度が高い領域にする前処理工程と、
    前記露出活性水素密度が高い領域に、活性水素に反応しうる官能基と有極性の官能基と共役結合で結合しうる重合性基とを有する化合物を接触させて、この化合物と上記領域内の活性水素とを反応させ、前記基板表面の所定部分に前記化合物からなる有機分子群を共有結合で固定する膜形成工程と、
    前記有機分子群のうちの一部または全部を重合反応により共役結合させて導電ネットワークを形成する重合工程と、
    前記基板上に第1電極と第2電極とを形成する対電極形成工程と、
    を含んだ工程であることを特徴とするエレクトロルミネッセンス型表示装置の製造方法。
  28. 請求項27に記載のエレクトロルミネッセンス型表示装置の製造方法において、
    前記基板として、表面に活性水素が露出した表面絶縁性基板を用いる、
    ことを特徴とするエレクトロルミネッセンス型表示装置の製造方法。
  29. 請求項25または27に記載のエレクトロルミネッセンス型表示装置の製造方法において、
    前記発光層を形成する工程で、赤、青、または緑色の光を発光する3種類の発光物質を所定の位置に形成し、カラー表示させることを特徴とするエレクトロルミネッセンス型カラー表示装置の製造方法。
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