JP2004071984A - 導電性有機分子薄膜を有する電極 - Google Patents

導電性有機分子薄膜を有する電極 Download PDF

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山本 伸一
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小川 一文
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Abstract

【課題】導電性分子薄膜の金属電極との導通方法の改良及び導電性分子薄膜が切断された場合でも別の部分が導通可能な構造を提供する。
【解決手段】基板表面に少なくとも一対の電極(21,22)を備え、前記電極(21,22)間の基板表面には共有結合された分子膜(13)が形成され、前記分子膜(13)を構成する有機分子は共役結合基を含み、かつ前記共役結合基は他の分子の共役結合基と重合して導電性有機薄膜を形成しており、前記一対の電極(21,22)は、電極間距離の異なった部分を有する。前記電極(21,22)は、櫛形とするのが好ましい。これにより分子薄膜と電極との電気的接触部位をより大面積で、より多く確保し、電流量を多く流すことができる。また導電性有機薄膜に欠陥ができたり、導通パスがなくなったときに自己修復が可能な構造体を提供する。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機材料を用いた導電性有機薄膜に関する。本発明の導電性有機薄膜は、分子デバイスや有機トランジスタの構築に有用であり、例えば導電性分子薄膜のスイッチング素子、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス装置等に応用できる。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスのパターンが微細化し、回路の集積度も増々高くなっていく傾向にあることから、数ナノメートル(nm)〜数十nmの導電性薄膜を形成する技術の確立が望まれている。このような薄い導電性薄膜は、規則性の高い分子膜によって実現できる。そこで導電性分子薄膜を半導体基板上に形成する技術が検討されている。このような導電性分子薄膜を用いる場合、薄膜の材料の選定やデバイスの特性を把握するためには、導電性分子薄膜の導通する技術を確立することが必要である。
(1)分子内にSH基を有するオリゴフェニレン誘導体を金基板上に化学吸着させ、走査型トンネル顕微鏡を用いて、オリゴフェニレン誘導体の分子内の導電性を測定した例は報告されている(P.Weiss et al.science vol.271,p.1705,1996)。
(2)金属間のインタ−フェイスとして有機分子を用いた例は、Science(M.R.Reed et. al. 278,p.252,1997)に提案されており、分子の両端末にSH基を導入することにより実現されている。また、従来から電子デバイスには、シリコン結晶に代表されるように無機系の半導体材料が用いられている。有機系の電子デバイス(以下、有機電子デバイス)としては、例えば日本国特許第2034197号及び第2507153号等に開示されている。これら各公報に記載されている有機電子デバイスは、印加された電界に応答し、端子間に流れる電流をスイッチングする有機電子デバイスである。
【0003】
前記従来の有機系導電膜は、導電性が金属に比較すると低いという問題があった。また、従来から用いられてきた無機結晶では、微細化が進展するに伴い結晶欠陥が問題となり、デバイス性能が結晶に大きく左右される問題があった。また、フレキシビリティーが悪いという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
分子間の導電性を確認する場合に,用いる金属電極基板と分子とが実際に確実に接触していることが必要であるが、上記の(1)及び(2)に報告されているオリゴフェニレン誘導体のような化合物の場合、分子内の導電性の測定例は報告されているものの、金属電極間と導電性分子薄膜との導通方法やそれを用いた構造体は確立されておらず、報告例もないのが現状である。
【0005】
また特に(2)の方法では配線のために分子の長さまで、後から二本の線を近付けなければならず、成功の確立が極端に低い。このため、スイッチング素子の実現までは遠くなる。
【0006】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、導電性分子薄膜の金属電極との導通方法の改良及び導電性分子薄膜が切断された場合でも別の部分が導通可能な構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の導電性有機分子薄膜を有する電極は、基板表面に少なくとも一対の電極を備え、前記電極間の基板表面には共有結合された分子膜が形成され、前記分子膜を構成する有機分子は共役結合基を含み、かつ前記共役結合基は他の分子の共役結合基と重合して導電性有機薄膜を形成しており、前記一対の電極は、電極間距離の異なった部分を有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の導電性有機分子薄膜の金属電極との接触は、例えば、最初に少なくとも一対の電極を形成しておき、次に前記電極間の基板表面の活性水素に、導電性基を含むクロロシラン化合物又はアルコキシシラン化合物もしくはイソシアネーートシシラン化合物を接触させ、脱塩化水素反応または脱アルコール反応もしくは脱イソシアネート反応を起こさせ、前記シラン化合物を共有結合により固定し、分子を配向させ、次に前記導電性基を電解重合などにより重合させる。これにより得られた導電性有機薄膜を形成している分子ユニットは、下記化学式(A)で示される。
【0009】
【化2】
Figure 2004071984
【0010】
(但し、Bは水素、炭素数1〜10のアルキル基を含む有機基、活性水素導入可能基またはその残基、Aはピロール基、チェニレン基、アセチレン基及びジアセチレン基から選ばれる少なくとも一つの共役結合基、Zはエステル基(−COO−)、オキシカルボニル基(−OCO−)、カルボニル基(−CO−)及びカーボネイト(−OCOO−)基、アゾ(−N=N−)基から選ばれる少なくとも一つの官能基または化学結合(−)、m,nは整数でありm+nは2以上25以下、Yは酸素(O)または窒素(N)、Eは水素または炭素数1−3のアルキル基、pは1,2又は3の整数である。)
これにより、電極―導電性分子間が0.01オーム以上10Gオーム以下となり、電気的にオーミック接触させることができる。
【0011】
さらに具体的には下記化学式(B)〜(E)で示される分子ユニットが好ましい。
【0012】
【化3】
Figure 2004071984
【0013】
【化4】
Figure 2004071984
【0014】
【化5】
Figure 2004071984
【0015】
【化6】
Figure 2004071984
【0016】
(但し、前記化学式(B)−(E)において、Xは水素または不飽和基を含む有機基、qは0〜10の整数、Zはエステル基(−COO−)、オキシカルボニル基(−OCO−)、カルボニル基(−CO−)、カーボネイト(−OCOO−)基、アゾ基(−N=N−)または化学結合(−)、Eは水素または炭素数1−3のアルキル基、m、nは整数でありm+nは2以上25以下、好ましくは10以上20以下の整数、pは整数であり、1、2又は3である。)
前記導電性有機薄膜を形成するための化合物は、下記化学式(F)で示されることが好ましい。
【0017】
【化7】
Figure 2004071984
【0018】
(但し、Bは水素、炭素数1〜10のアルキル基を含む有機基または活性水素導入可能基、
Aはピロール基、チェニレン基、アセチレン基及びジアセチレン基から選ばれる少なくとも一つの共役結合基、
Zはエステル基(−COO−)、オキシカルボニル基(−OCO−)、カルボニル基(−CO−)及びカーボネイト(−OCOO−)基、アゾ(−N=N−)基から選ばれる少なくとも一つの官能基または化学結合(−)、
m,nは整数でありm+nは2以上25以下、
Dはハロゲン原子、イソシアネート基及び炭素数1−3のアルコキシル基から選ばれる少なくとも一つの反応基、
Eは水素または炭素数1−3のアルキル基、
pは1,2又は3の整数である。)
さらに具体的には、下記化学式(G)で示されるピロリル化合物、下記化学式(H)で示されるチェニル化合物、下記化学式(I)で示されるエチニル化合物(アセチレン基を含む化合物ともいう)、下記化学式(J)で示されるジエチニル化合物(ジアセチレン基を含む化合物ともいう)が好ましい。
【0019】
【化8】
Figure 2004071984
【0020】
【化9】
Figure 2004071984
【0021】
【化10】
Figure 2004071984
【0022】
【化11】
Figure 2004071984
【0023】
(但し、前記式(G)−(J)において、Xは水素または不飽和基を含む有機基、qは0〜10の整数、Dはハロゲン原子、イソシアネート基または炭素数1−3のアルコキシル基、Eは水素または炭素数1−3のアルキル基、nは2以上25以下の整数、pは整数であり1、2または3である。)
前記末端結合基は、脱塩化水素反応、脱アルコール反応および脱イソシアネート反応から選ばれる少なくとも一つの脱離反応によって形成されている。例えば分子末端の官能基が−SiCl,−Si(OR)(但しRは炭素数1−3のアルキル基),または−Si(NCO)の場合、基材表面または基材の上に形成した下地層表面に−OH基,−CHO基,−COOH基,−NH基,>NH基等に含まれる活性水素が存在すると、脱塩化水素反応、脱アルコール反応または脱イソシアネート反応が起こり、化学吸着分子を基材表面または基材の上に形成した下地層表面に共有結合させる。
【0024】
この方法によって形成される分子膜は、当業界では”化学吸着膜”または”セルフ アセンブリング フィルム(self assembling film)”と言われているが、本発明においては”化学吸着膜”と呼ぶ。また、その形成方法を”化学吸着法”と呼ぶ。
【0025】
本発明において、分子の配向は、ラビングによる配向処理、脱離反応によって基材表面に分子を共有結合した後の反応溶液からの傾斜液切り処理、偏光の照射処理、および重合工程における分子のゆらぎによる配向から選ばれる少なくとも一つによって形成されていることが好ましい。
【0026】
前記導電性有機薄膜は可視領域の波長を有する光に対して透明である。これは、膜厚がナノメーターレベル(通常10nm以下、分子修飾しても50nm以下)であり、可視光線の波長領域(300nm〜800nm)よりはるかに薄いからである。
【0027】
前記有機分子は単分子層状に形成されていることが好ましい。
【0028】
基板は、シリコン半導体基板、ゲルマニウム半導体基板または化合物半導体基板等であって、その表面部が酸化されて酸化膜が形成されているものを挙げることができる。また、ガラス基板やポリイミド樹脂フィルム、酸素プラズマ処理などを施して表面を水酸基としたポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニルオキサイド、ポリエステルスルホン、ポリメチルメタクリレートなどの絶縁性基板を用いても良い。
【0029】
また電極材料としては、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金などの金属またはそれらの合金を用いることができるが、表面に酸化膜を作りにくい貴金属を用いることが好ましい。
【0030】
更に本発明では、導電性分子薄膜を基板上に形成した後、ヨウ素、テトラシアノキノジメタンなどの電子受容体をド−ピング剤として薄膜に添加すれば、より高い導電性が得られるので好ましい。また、この導電性分子薄膜は、触媒重合法、電解重合法、またはX線、電子線、または紫外線などのエネルギービーム照射重合法を用いて、共役結合可能な部位を重合させることより導電性を高める効果を発揮する。
【0031】
本発明の一実施形態である櫛形電極を用いると、電極間の距離を順番に変えていくことにより、より構造体の効果を発揮することができる。まず距離の一番短い部分を動作させる。つぎにその部分が動作不可能となったときに2番目に短い部分を動作させることができる。さらに長期使用することにより2番目に短い部分の動作が不可能になった場合に、3番目に短い部分を動作させることにより常にその構造体を動作させることが出来る。また電極が櫛形構造になっているために、例えば全面を同時に用いた場合は、電流量を大きくすることも可能である。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下具体的な実施例を図を用いて説明する。
【0033】
(実施例1)
導電性有機分子薄膜は次のようにして形成した。下記化学式(K)に示す11−(1−ピロリル)−ウンデセニルトリクロロシランを、脱水したジメチルシリコーン溶媒で1%に薄めて化学吸着液を調製した。
【0034】
【化12】
Figure 2004071984
【0035】
前記化学吸着液をSiO膜表面に塗布し、脱塩化水素反応させた。その後非水系クロロホルムで洗浄し、未反応物を除去した。これにより単分子層を形成した。単分子層形成後、ガラス基板1をクロロホルム溶液に浸漬して、残留する未反応の膜材料分子を洗浄除去した。これにより、表面に汚れのない単分子膜を形成した。
【0036】
このとき、SiO膜表面には、活性水素を含む水酸基が多数存在するので、それらの水酸基と化学吸着分子の−SiCl結合基との脱塩素反応により共有結合で化学結合して、化学式(L)に示す化学吸着分子で構成された単分子膜が形成されている。ただし、化学式(L)において、化学吸着分子中の全ての−SiCl結合基がSiO膜の表面と反応した場合を示したが、少なくとも1つの−SiCl結合基がSiO膜の表面と反応していればよい。
【0037】
【化13】
Figure 2004071984
【0038】
次に、形成した単分子膜の表面に、液晶配向膜の作製に使用するラビング装置使用してラビング処理を行い、単分子膜を構成する化学吸着分子を配向させた(傾斜処理工程)。ラビング処理においてレーヨン製のラビング布を巻き付けた直径7.0cmのラビングロールを用い、押し込み深さ0.3mm、ニップ幅11.7mm、回転数1200回転/s、テーブルスピード(基板走行速度)40mm/sの条件でラビングを行った。このとき、ラビング方向と略平行に配向(傾斜)した単分子膜となった。
【0039】
次に、真空蒸着法、フォトリソグラフィ法及びエッチング法を適用して、単分子膜の表面に、長さ50mmの一対の白金電極を5mm隔てて蒸着形成した後、室温下で超純水中に浸漬し、かつ、一対の白金電極間に8Vの電圧を6時間印加して、電解酸化重合を行った(導電領域形成工程)。これにより、下記化学式(M)を重合単位とする、所定の方向(ラビング方向)に連なる導電性のポリピロール型共役系を含む導電ネットワークを有する導電領域を一対の白金電極間に形成できた(導電領域形成工程)。
【0040】
【化14】
Figure 2004071984
【0041】
得られた有機導電膜の膜厚は約2.0nm、ポリピロール部分の厚さは約0.2nmであった。
【0042】
前記の一対の白金電極間に有機導電膜を介して8Vの電圧印加で1mAの電流を流すことができた。したがって、ドナーやアクセプタ等の不純物をドープしなくとも、導電ネットワークの導電率が約10S/cmの導電領域を有する単分子膜が得られた。
【0043】
図1(a)−(c)は、本発明の実施の形態に係る導電性有機分子薄膜を有する2端子有機デバイス構造体の断面図の一例を示している。ポリイミド樹脂基板10の表面には絶縁層であるSiO酸化膜12が形成され、その表面には導電性有機分子薄膜13が形成されている(図1(a))。次に、マスク14の上方から、蒸着またはスパッタリング法により、一対の金属電極(以下単に電極という)21、22を形成する(図1(c))。この例では電極21、22は櫛形に形成され、互いに嵌まり合う格好のパタ−ンに形成されている。この例を図2−4に示す。図4は櫛形電極21と22の距離はほぼ同一であり、図3はa1−a4に向かって徐々に長くなり、図4はb1−b3に向かって徐々に長くなる例を示す。
【0044】
なお電極21、22間に電圧を印加したときには、分子薄膜13は、一方の電極21の櫛歯部分(帯状に伸びる部分)と他方の櫛歯部分との間の隙間の部分だけが実質の導電路となる。
【0045】
このように櫛形にすることにより導通路面積が大きくなり、流れる電流の絶対値が増加する利点がある。
【0046】
(実施例2)
電極パターンは、例えばメタルマスクを利用して形成することができる。図4(a)−(e)は3端子有機デバイス構造体の作製工程を示す図であり、シリコン基板10の表面部を形成するSiO酸化膜12の上に導電性有機膜13を実施例1と同様に形成する(図4(a))。しかる後に基板10の表面に電極材料である例えば金21,22を所定のパターンに真空蒸着する(図4(b)−(c))。電極21,22の厚さは、10〜200nm程度、電極21、22の幅(櫛歯部分の幅)は、0.001〜1.0mm、電極21,22間の隙間(相互の櫛歯部分の間の隙間は、10nm以下であることが望ましい。続いて図4(d)に示すようにSiO酸化膜15を形成し、これをゲート酸化膜とし、最後に第3の金属電極23を形成して構造体を作製することができる。
【0047】
基板10としては、例えば半導体基板例えばシリコン基板の表面部にシリコン酸化膜が形成されたものが用いられる。この酸化膜は自然酸化膜、水蒸気酸化膜あるいはドライ雰囲気の熱酸化膜などであり、これら酸化膜の表面には通常水酸基が形成されている。酸化膜12は、例えば20nm以上の厚さに形成される。また、ガラス基板や酸素プラズマ処理などを施して表面を水酸基としたポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニルオキサイド、ポリエステルスルホン、ポリメチルメタクリレートなどの絶縁性基板を用いても良いことは前述した通りである。
【0048】
本実施例の場合も、電極21,22,23は図2〜4に示す櫛形電極形状に形成した。このように櫛形にすることにより導通路面積が大きくなり、流れる電流の絶対値が増加する。また、万一有機導電膜が破壊しても、次の電極間が導通するので、動作の支障はない。
【0049】
(実施例3)
11−(3−チェニル)−ウンデセニルトリクロロシランを、脱水したジメチルシリコーン溶媒で1%に薄めて化学吸着液を調製した。この化学吸着液を、SiO膜の上にコーティングし、室温で3時間保持し、SiO膜の表面に化学吸着分子を化学吸着させた(単分子層形成工程)。単分子層形成工程後、ガラス基板をクロロホルム溶液に浸漬して、残留する未反応の膜材料分子を洗浄除去した。これにより、表面に汚れのない単分子膜が形成できた。
【0050】
ガラス基板表面には、活性水素を含む水酸基が多数存在するので、それらの水酸基と化学吸着分子の−SiCl結合基との脱塩素反応により共有結合で化学結合して、下記化学式(N)に示す化学吸着分子で構成された単分子膜が形成されている。ただし、化学式(N)において、化学吸着分子中の全ての−SiCl結合基がガラス基板表面と反応した場合を示したが、少なくとも1つの−SiCl結合基がガラス基板表面と反応していればよい。
【0051】
【化15】
Figure 2004071984
【0052】
次に、形成した単分子膜の表面に、液晶配向膜の作製に使用するラビング装置を使用してラビング処理を行い、単分子膜を構成する化学吸着分子を配向させた(傾斜処理工程)。ラビング処理においてレーヨン製のラビング布を巻き付けた直径7.0cmのラビングロールを用い、押し込み深さ0.3mm、ニップ幅11.7mm、回転数1200回転/s、テーブルスピード(基板走行速度)40mm/sの条件でラビングを行った。このとき、ラビング方向と略平行に配向(傾斜)した単分子膜となった。
【0053】
次に、真空蒸着法、フォトリソグラフィ法及びエッチング法を適用して、単分子膜の表面に、長さ50mmの一対の白金電極を5mm隔てて蒸着形成した後、室温下で超純水中に浸漬し、かつ、一対の白金電極間に8Vの電圧を6時間印加して、電解酸化重合を行った(導電領域形成工程)。これにより、下記化学式(O)を重合単位とする、所定の方向(ラビング方向)に連なる導電性のポリピロール型共役系を含む導電ネットワークを有する導電領域を一対の白金電極間に形成できた(導電領域形成工程)。
【0054】
【化16】
Figure 2004071984
【0055】
得られた有機導電膜の膜厚は約2.0nm、ポリチェニレン部分の厚さは約0.2nmであった。
【0056】
前記の一対の白金電極間に有機導電膜を介して8Vの電圧印加で1mAの電流を流すことができた。したがって、ドナーやアクセプタ等の不純物をドープしなくとも、導電ネットワークの導電率が約10S/cmの導電領域を有する単分子膜が得られた。
【0057】
次に単分子薄膜を基板上の電極間に形成する方法について述べる。基板としてはシリコンやゲルマニウムなどの半導体基板上に酸化膜を形成したもの、GaAs(ガリウム ヒ素)等の化合物半導体上に酸化膜を形成したもの、あるいは表面に水酸基を有するガラス基板などを用いることができる。また、表面に水酸基をもつポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニルオキサイド、ポリエステルスルホン、ポリメチルメタクリレートなどの絶縁性基板でも良い。
【0058】
例としてSi基板について説明する。基板の表面に電極パターンを形成した後、基板の酸化膜の表面に導電性分子を化学吸着させるが、その前に基板の表面をトリクロロエチレンで洗浄した後、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で乾燥させるのが好ましい。
【0059】
本実施例の場合は、図6に示すように電流源54の両極にそれぞれ導電路51、52を介して電極21、22に接続した。そして、電圧計53を設けて各測定値に基づいて導電性(電導度)を測定した。測定結果は前記したとおりである。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、導電性分子薄膜の金属電極との導通方法の改良及び導電性分子薄膜が切断された場合でも別の部分が導通可能な構造を提供できる。また、導通路面積が大きくなり、流れる電流の絶対値を増加させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)−(c)は本発明の実施例1における電極の断面図である。
【図2】同、電極の平面図である。
【図3】同、別の電極の平面図である。
【図4】同、別の電極の平面図である。
【図5】(a)−(e)は本発明の実施例2における電極の断面図である。
【図6】本発明の実施例3における電極の平面図である。
【符号の説明】
10 基板
11’ ガラス基板
12,15 酸化膜
51,52 導電路
53 電圧計
54 電源

Claims (10)

  1. 基板表面に少なくとも一対の電極を備え、
    前記電極間の基板表面には共有結合された分子膜が形成され、前記分子膜を構成する有機分子は共役結合基を含み、かつ前記共役結合基は他の分子の共役結合基と重合して導電性有機薄膜を形成しており、
    前記一対の電極は、電極間距離の異なった部分を有することを特徴とする導電性有機分子薄膜を有する電極。
  2. 電極間距離の異なった部分の形状が、櫛形である請求項1に記載の導電性有機分子薄膜を有する電極。
  3. 前記電極間距離の異なった部分のうち、少なくとも1個所が導通する請求項1に記載の導電性有機分子薄膜を有する電極。
  4. 前記電極間距離の異なった部分のうち、1個所が動作不能になったのち、別の個所が導通可能である請求項1に記載の導電性有機分子薄膜を有する電極。
  5. 前記電極間の距離が規則的に変化している請求項1に記載の導電性有機分子薄膜を有する電極。
  6. 前記電極間距離の異なった部分のうち、距離が一番短い部分を最初に動作させる請求項1に記載の導電性有機分子薄膜を有する電極。
  7. 前記重合した共役結合基が、ポリピロール、ポリチェニレン、ポリアセチレン、ポリジアセチレンおよびポリアセンから選ばれる少なくとも一つの共役結合基である請求項1に記載の導電性有機分子薄膜を有する電極。
  8. 前記末端結合基が、シロキサン(−SiO−)およびSiN−結合から選ばれる少なくとも一つの結合(但し、SiおよびNには価数に相当する他の結合基があっても良い。)である請求項1に記載の導電性有機分子薄膜を有する電極。
  9. 前記導電性有機薄膜を形成している分子ユニットが下記化学式(A)で示される請求項1に記載の導電性有機分子薄膜を有する電極。
    Figure 2004071984
    (但し、Bは水素、炭素数1〜10のアルキル基を含む有機基、活性水素導入可能基またはその残基、Aはピロール基、チェニレン基、アセチレン基及びジアセチレン基から選ばれる少なくとも一つの共役結合基、Zはエステル基(−COO−)、オキシカルボニル基(−OCO−)、カルボニル基(−CO−)及びカーボネイト(−OCOO−)基、アゾ(−N=N−)基から選ばれる少なくとも一つの官能基または化学結合(−)、m,nは整数でありm+nは2以上25以下、Yは酸素(O)または窒素(N)、Eは水素または炭素数1−3のアルキル基、pは1,2又は3の整数である。)
  10. 前記導電性有機薄膜が、さらにドーパント物質を含む請求項1に記載の導電性有機分子薄膜を有する電極。
JP2002231941A 2002-08-08 2002-08-08 導電性有機分子薄膜を有する電極 Withdrawn JP2004071984A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7462865B2 (en) 2005-12-07 2008-12-09 Samsung Electronics Co., Ltd. Display and manufacturing method thereof
DE102007056924A1 (de) * 2007-08-31 2009-03-05 Osram Opto Semiconductors Gmbh Strahlungsemittierendes Bauelement

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