JP2005019158A - プラズマディスプレイパネル用基板の製造方法及び該基板を用いたプラズマディスプレイパネル - Google Patents
プラズマディスプレイパネル用基板の製造方法及び該基板を用いたプラズマディスプレイパネル Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】平均粒径1〜100nmの金属ナノ粒子と溶剤とからなり、ガラス成分を含まない塗液を、印刷法により基板上に所定のパターンに塗布することで塗膜を得、該塗膜から誘電体層の形成時の熱処理により電極を形成することにより上記の課題を解決する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)用基板の製造方法及び該基板を用いたプラズマディスプレイパネルに関する。本発明のPDPは、民生用テレビ、コンピュータモニタや、駅、空港、証券取引所、工場及び学校等の情報表示用大型ディスプレイとして好適に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
表示装置として種々のものが知られているが、この内、PDPは大型で、薄いという特徴を有しており、現時点で多く販売されている表示装置の一つである。
図1に実用化されている代表的なPDPの概略斜視図を示す。
図1のPDPは、前面側基板と背面側基板とから構成される。
まず、前面側基板は、一般的に基板27上に形成された複数本の表示電極、表示電極を覆うように形成された誘電体層24、誘電体層24上に形成され放電空間に露出する保護層29とからなる。
表示電極は、透明電極25と、透明電極25の抵抗を下げるための透明電極25の端縁部上に積層される透明電極よりも幅狭のバス電極26とからなる。
【0003】
次に、背面側基板は、一般的に、基板23上に形成された複数本のアドレス電極A、アドレス電極Aを覆う誘電体層28、隣接するアドレス電極A間で誘電体層28上に形成された複数本の帯状の隔壁21、隔壁21間に壁面を含めて形成された蛍光体膜22とからなる。
上記前面側基板と背面側基板とを、表示電極とアドレス電極が直交するように、両電極を内側にして対向させ、基板エッジ部をシールガラスにより封止し、隔壁21により囲まれた空間に放電ガス(例えば、Ne−Xeガス)を充填することによりPDP20を形成することができる。図1中、R、G及びBは、赤色、緑色及び青色の単位発光領域をそれぞれ示し、横方向に並ぶRGBで画素を構成する。
【0004】
上記構成のPDPは、表示電極とアドレス電極間に電界をかけると放電ガスが励起されてイオン化することで真空紫外線が放出される。放出された真空紫外線が蛍光体にあたることで、蛍光体から可視光が放出され、この可視光が表示に利用される。
PDPにおいて、バス電極及びアドレス電極のような電極は、電極形成用の金属粉末と、金属粉末を結着させるための低融点ガラスとを分散させたペーストを基板上に所定パターンに塗布し、次いで焼成することにより形成されている(特開2001−345055号公報;特許文献1)。
誘電体層は、一般的に、低融点ガラスをエチルセルロース樹脂を主体としたビヒクルに分散させたガラスペーストや、低融点ガラスをアクリル樹脂等に分散させたガラスシートを焼成することで樹脂分をバーンアウトさせ、低融点ガラスを溶解させることにより形成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−345055号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように電極は、低融点ガラスを含むペーストを使用して形成されているため、電極上に誘電体層を形成する際に、電極中に含まれる低融点ガラスが再溶融することで、電極が剥離するという課題があった。
また、誘電体層の形成時に、誘電体層を構成する低融点ガラスが電極中に拡散することで、電極の抵抗が大きくなるという課題があった。
更に、電極及び誘電体層の形成用のペーストが、両方とも低融点ガラスを含むことから、低融点ガラスの相互拡散をできるだけ防ぐために、誘電体層の焼成の前に電極の焼成を行う必要があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者は、電極を形成するために使用する金属粒子の大きさをナノオーダーにすることで、低融点ガラスペーストを使用しなくても基板に対する十分な接着強度が得られることを以外にも見い出すことで、本発明に至った。
かくして本発明によれば、平均粒径1〜100nmの金属ナノ粒子と溶剤とからなり、ガラス成分を含まない塗液を、印刷法により基板上に所定のパターンに塗布することで塗膜を得、該塗膜を誘電体層形成用ガラスペースト層で覆い、焼成することで塗膜から電極を、誘電体層形成用ガラスペースト層から誘電体層を形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用基板の製造方法が提供される。
【0008】
更に、本発明によれば、平均粒径1〜100nmの金属ナノ粒子と溶剤とからなり、ガラス成分を含まない塗液を、印刷法により基板上に所定のパターンに塗布することで塗膜を得、該塗膜を覆うようにプラズマCVD法により誘電体層を形成することで、塗膜から電極を形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用基板の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記製造方法により形成されたプラズマディスプレイパネル用基板を構成要素として含むプラズマディスプレイパネルが提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
まず、本発明では、電極形成用の塗液として、平均粒径1〜100nmの金属ナノ粒子と溶剤とからなり、ガラス成分を含まない塗液が使用される。本発明では、塗液がガラス成分を含まないので、誘電体層の形成時に、ガラス成分が再溶融することによる電極の剥離及び誘電体層を構成する低融点ガラスが電極中に拡散することによる電極の抵抗の上昇を防ぐことができる。更に、本発明では、ナノオーダーの金属粒子を使用しているが、この金属粒子はガラス成分の代わりに電極を基板に結着させる役割を果たす。
【0010】
金属ナノ粒子の平均粒径が1nmより小さい場合、独立して分散させることが困難であるので好ましくなく、100nmより大きい場合、基板に対する接着強度が小さく誘電体層の形成時に電極が剥離する恐れがあるので好ましくない。より好ましい平均粒径は、2〜10nmである。なお、本明細書において平均粒径とは、電子顕微鏡写真から100個の粒子の粒径を測定し、得られた粒径の平均値を意味する。
金属ナノ粒子は、電極として使用しうる導電性を有していれば特に限定されない。具体的には、金、銀、銅、パラジウム等の金属、又はこれら金属の合金からなる粒子が挙げられる。更に、これら粒子の混合粒子であってもよい。この内、銀粒子が好ましい。
【0011】
塗液には、平均粒径0.1〜20μmの金属粒子が更に含まれていてもよい。このようなミクロンオーダーの金属粒子を含むことで、少ない塗布回数で所望の膜厚の電極を得ることができる。平均粒径が0.1μmより小さい場合、十分な膜厚を少ない塗布回数で得ることが困難であるので好ましくなく、20μmより大きい場合、通常の所望される膜厚より平均粒径のほうが大きいので好ましくない。より好ましい平均粒径は、1〜5μmである。
【0012】
金属粒子は、電極として使用しうる導電性を有していれば特に限定されない。具体的には、金、銀、銅、パラジウム等の金属、又はこれら金属の合金からなる粒子が挙げられる。更に、これら粒子の混合粒子であってもよい。また、更に、金属ナノ粒子と異なる種類の粒子であってもよい。この内、銀粒子が好ましい。
更に、金属ナノ粒子と金属粒子の配合割合は、それぞれ2〜50重量%及び98〜50重量%の割合であることが好ましい。金属ナノ粒子の配合割合が2重量%より少ない場合、電極と基板との結着が低下する場合があるので好ましくなく、50重量%より多い場合、塗布回数を減らすという効果が減少するため好ましくない。より好ましい配合割合は、5〜30重量%及び95〜70重量%の割合である。
【0013】
塗液を構成する溶剤としては、特に限定されず、公知の溶剤を使用することができる。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、トリメチルペンタン等の長鎖アルカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の環状アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオール等のアルコールが挙げられる。
【0014】
金属ナノ粒子と金属粒子の合計量は、溶剤100重量部に対して、70〜95重量部の範囲であることが好ましい。70重量部より少ない場合、所望の厚さの電極を得るための塗布回数を減らすことが困難であり、95重量部より多い場合、所望のパターンに塗布することが困難となるため好ましくない。より好ましい金属ナノ粒子と金属粒子の合計量は、溶剤100重量部に対して、85〜95重量部の範囲である。
塗液には、上記成分以外に、分散剤等が含まれていてもよい。
【0015】
分散剤としては、アルキルアミン、カルボン酸アミド、アミノカルボン酸塩等が挙げられる。具体的には、
・ブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサドデシルアミン、オクタデシルアミン、ココアミン、タロウアミン、水素化タロウアミン、オレイルアミン、ラウリルアミン及びステアリルアミン等の第1級アミン、ジココアミン、ジ水素化タロウアミン及びジステアリルアミン等の第2級アミン、ドデシルジメチルアミン、ジドデシルモノメチルアミン、テトラデシルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、ココジメチルアミン、ドデシルテトラデシルジエチルアミン及びトリオクチルアミン等の第3級アミンのようなアルキルアミン;
・ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸ラウリルアミド、オレイン酸アミド、オレイン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ラウリルアミドのようなカルボン酸アミド;
・ステアラニリド、オレイルアミノエチルグリシンのようなアミノカルボン酸塩;
・ナフタレンジアミン、ステアリルプロピレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナンジアミン
等が挙げられる。
【0016】
この内、炭素数4〜20の主骨格を有するアルキルアミンが好ましく、炭素数8〜18の主骨格を有するアルキルアミンが、安定性、ハンドリング性の観点からより好ましい。更に好ましいアルキルアミンは、第1級のアルキルアミンである。
上記塗液は、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法又は凹版印刷法により基板上に所定のパターンに塗布することで塗膜となる。
基板としては、特に限定されず、ガラス基板、石英ガラス基板、シリコン基板等が挙げられる。更に、予め透明電極のようなPDPを構成する部材が形成された基板も含まれる。
【0017】
インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法及び凹版印刷法は、特に限定されず、公知の条件を採用できる。更に、所望の厚さの塗膜が得られるまで、塗布を繰り返してもよい。また、塗布後、次工程の誘電体層の形成前に、塗膜を乾燥させてもよい。乾燥の条件は、使用した溶剤を蒸発させて除去しうる条件であることが好ましい。
次に、塗膜を覆う誘電体層が形成される。誘電体層の形成方法としては、誘電体層形成用ガラスペーストを塗布及び焼成する方法、プラズマCVD法が挙げられる。
【0018】
誘電体層形成用ガラスペーストは、低融点ガラス、バインダ、溶剤等から構成される。このペーストを構成する成分は、特に限定されず、当該分野で使用できる成分をいずれも使用することができる。具体的には、低融点ガラスとして、鉛ガラス等が挙げられる。また、バインダとしては、ポリメチルメタクリレート、エチルセルロース、ニトロセルロース等が挙げられる。溶剤としては、エチレングリコール、ターピネオール、メチルエチルケトン、カルビトール等が挙げられる。
【0019】
誘電体層形成用ガラスペーストの塗布方法は、特に限定されず、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法及び凸版印刷法等の公知の方法をいずれも使用できる。更に、所望の厚さの誘電体層形成用ガラスペースト層が得られるまで、塗布を繰り返してもよい。
次に、誘電体層形成用ガラスペースト層は、焼成することで誘電体層となる。焼成温度及び時間は、ペースト層に含まれるバインダ、溶剤等の低融点ガラス以外の成分を除去しうる温度及び時間であることが好ましい。具体的には、500〜600℃で10〜60分間の条件が挙げられる。この焼成時に電極形成用の塗膜も焼成され、その結果、塗膜中の金属ナノ粒子が溶融して基板に結着した電極が形成される。
【0020】
プラズマCVD法での誘電体層は、特に限定されず、公知の条件で形成することができる。
プラズマCVD法に使用する原料ガスは、シラン:SiH4、テトラエトキシシラン:Si(OC2H5)4、メチルトリメトキシシラン:CH3Si(OCH3)3等のシリコンソースと、N2O、CO2、CO、H2O、O2等の非シリコンソースが挙げられる。
プラズマCVD法の成膜条件としては、形成を望む基板の大きさ及び誘電体層の性質により異なるが、RF出力10〜20kW、300〜400℃、0.1〜10Torr等の条件が挙げられる。プラズマCVD法においても、前記温度で電極形成用の塗膜も焼成され、その結果、塗膜中の金属ナノ粒子が溶融して基板に結着した電極が形成される。
【0021】
本発明は、少なくとも基板上に電極及び電極を覆う誘電体層を有しさえすれば、種々の構成のPDPに適用することができる。例えば、反射型及び透過型のいずれのAC型にPDPにも使用することができ、更に、2電極AC型放電PDPや3電極AC型面放電PDPにも使用することができる。この内、3電極AC型面放電PDPに使用することが好ましい。
以下では、本発明を適用した3電極AC型面放電PDPの一例を記載する。図1のPDPは、サブピクセルがストライプ状の隔壁によって形成された場合を例示している。
【0022】
図1のPDP20は、前面基板と背面基板とから構成される。
まず、前面基板は、一般的に、基板27上に形成された複数本のストライプ状の表示電極、表示電極を覆うように形成された誘電体層24、誘電体層24上に形成され放電空間に露出する保護層29とからなる。
表示電極は、ITOのような透明電極25からなる。また、表示電極の抵抗を下げるために、透明電極25上にバス電極(例えば、Ag、Cr/Cu/Crの3層構造)26を形成してもよい。本発明は、バス電極26及び誘電体層24の形成に使用することができる。
【0023】
保護層29は、表示の際の放電により生じるイオンの衝突による損傷から誘電体層24を保護するために設けられる。保護層29は、例えば、MgO、CaO、SrO、BaO等からなる。
次に、背面基板は、一般的に、基板23上に形成された複数本のストライプ状のアドレス電極A、アドレス電極Aを覆う誘電体層28、隣接するアドレス電極A間で誘電体層28上に形成された複数本のストライプ状の隔壁21、隔壁21間に壁面を含めて形成された蛍光体膜22とからなる。図1では、蛍光体膜22は赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体からなる。
【0024】
アドレス電極Aは、例えば、Al、Cr、Cu等の金属層や、Cr/Cu/Crの3層構造からなる。本発明は、アドレス電極A及び誘電体層28の形成に使用することができる。
隔壁21は、低融点ガラスとバインダとからなるペーストを誘電体層28上に塗布し、焼成した後、サンドブラスト法で切削することにより形成することができる。また、バインダに感光性の樹脂を使用した場合、所定形状のマスクを使用して露光及び現像した後、焼成することにより形成することも可能である。更に、隔壁にはストライプ状以外に、メッシュ状のものを使用することができる。
蛍光体膜22は、溶媒中にバインダが溶解された溶液に粒子状の蛍光体を分散させたペーストを、隔壁21間に塗布し、空気中で焼成することにより形成することができる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
平均粒径5nmの銀の金属ナノ粒子を溶剤としてのデカンに分散させることで、金属ナノ粒子2を90重量%含む塗液を得た。得られた塗液を用いて、オフセット印刷法によりガラス基板1上に5回塗布を繰り返すことで、5μm厚の所望の電極パターン状の塗膜3を得た(図2(a))。得られた塗膜を150℃で10分間加熱することで乾燥させた。
次に、低融点ガラス4としての鉛ガラスを80重量%、溶剤としてのテルピネオールを14重量%、バインダとしてのエチルセルロースを6重量%含む誘電体層形成用ガラスペーストを、上記塗膜を覆うようにスクリーン印刷法によりガラス基板上に1回塗布することで、40μm厚の誘電体層形成用ガラスペースト層5を得た(図2(b))。
【0026】
次に、誘電体層形成用ガラスペースト層を600℃で10分間焼成することで30μm厚の誘電体層7を得た(図2(d))。この焼成時の昇温の過程で、金属ナノ粒子2はガラス基板1及び粒子相互に融着してガラス基板1に結着し、剥離のない4μm厚の電極6を得ることができた(図2(c))。なお、得られた電極6の接着強度は2kg/mm2であり、抵抗率は8μΩcmであった。
上記接着強度は、セバスチャンテスト引っ張り試験により測定した値を意味する。抵抗率は、直接配線抵抗を測定し、長さと断面積より算出した値を意味する。
【0027】
比較例1
平均粒径3μmの銀の金属粒子を及び低融点ガラスとしての鉛ガラスを溶剤としてのテルピネオールに分散させることで、金属ナノ粒子及び低融点ガラスをそれぞれ90重量%及び10重量%含む塗液を得た。得られた塗液を用いて、スクリーン印刷法によりガラス基板1上に1回塗布することで、5μm厚の所望の電極パターン状の塗膜2を得た(図6(a))。図6(a)中、8は金属粒子を意味し、他の参照番号は図2と同じ。
【0028】
得られた塗膜を600℃で30分間焼成して4μm厚の電極6を得た(図6(b))。以降の工程は、実施例1と同様にして、30μm厚の誘電体層7を得た(図6(c)及び(d))。
比較例1では、図6(d)に示すように、誘電体層7の形成時に電極6が再溶融し、ガラス基板からの剥離が生じた。また、得られた電極の接着強度は1kg/mm2であり、抵抗率は10μΩcmであった。
【0029】
実施例2
実施例1では金属ナノ粒子のみを使用したが、それに代えて、平均粒径5nmの銀の金属ナノ粒子を30重量%、平均粒径2〜5μmの銀の金属粒子を70重量%の混合金属粒子を使用したこと以外は実施例1と同様にして、電極6及び誘電体層7を形成した(図3(a)〜(d))。図中、9は金属粒子を意味し、他の参照番号は図2と同じ。なお、得られる塗膜の厚さは7μm、電極の厚さは5μmであった。
この実施例でも、実施例1と同様に、この焼成時の昇温の過程で、金属ナノ粒子2はガラス基板1及び粒子相互に融着してガラス基板1に結着し、剥離のない電極6を得ることができた(図3(c))。加えて、金属ナノ粒子2は、金属粒子9同士を結着させる役割も果たし(図3(c))、抵抗率を更に下げることができた。なお、得られた電極6の接着強度は2kg/mm2であり、抵抗率は6μΩcmであった。
【0030】
更に、金属ナノ粒子と金属粒子の割合を変化させること以外は、上記と同様にして電極及び誘電体層を形成し、得られた電極の接着強度を測定した。結果を図4に示す。図4から、金属ナノ粒子の割合が、約40重量%まで増えるごとに接着強度が向上し、その後一定の値を示すことがわかる。
【0031】
実施例3
実施例1と同様にして、電極形成用の金属ナノ粒子2を含む塗膜3をガラス基板1上に形成した(図5(a))。
次に、プラズマCVD装置を用い、RF出力1kW、基板温度350℃、圧力1Torrの条件で、原料ガスとしてSiH4とN2Oをそれぞれ50sccmと400sccmの流量で装置内に流すことで、電極6を覆う15μm厚のSiO2からなる誘電体層7を形成した(図5(c))。
プラズマCVD法による基板の加熱により、金属ナノ粒子2はガラス基板1及び粒子相互に融着してガラス基板1に結着し、剥離のない電極6を得ることができた(図5(b))。なお、得られた電極6の接着強度は2kg/mm2であり、抵抗率は8μΩcmであった。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、低融点ガラスを含まない電極の形成材料を使用するので、
(1)電極上に誘電体層を形成する際に、電極中に含まれる低融点ガラスが再溶融することで、電極が剥離すること、
(2)誘電体層を構成する低融点ガラスが電極中に拡散することで、電極の抵抗が大きくなること
を防ぐことができる。
更に、電極と誘電体層の形成のための焼成を兼ねることができるので、製造工程を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PDPの概略斜視図である。
【図2】実施例1の電極と誘電体層の製造工程の概略断面図である。
【図3】実施例2の電極と誘電体層の製造工程の概略断面図である。
【図4】金属ナノ粒子の割合と電極の接着強度との関係を示すグラフである。
【図5】実施例3の電極と誘電体層の製造工程の概略断面図である。
【図6】比較例1の電極と誘電体層の製造工程の概略断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 金属ナノ粒子
3 塗膜
4 低融点ガラス
5 誘電体層形成用ガラスペースト層
6 電極
7 誘電体層
8、9 金属粒子
20 PDP
21 隔壁
22 蛍光体膜
23、27 基板
24、28 誘電体層
25 透明電極
26 バス電極
29 保護層
A アドレス電極
Claims (4)
- 平均粒径1〜100nmの金属ナノ粒子と溶剤とからなり、ガラス成分を含まない塗液を、印刷法により基板上に所定のパターンに塗布することで塗膜を得、該塗膜を誘電体層形成用ガラスペースト層で覆い、焼成することで塗膜から電極を、誘電体層形成用ガラスペースト層から誘電体層を形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用基板の製造方法。
- 平均粒径1〜100nmの金属ナノ粒子と溶剤とからなり、ガラス成分を含まない塗液を、印刷法により基板上に所定のパターンに塗布することで塗膜を得、該塗膜を覆うようにプラズマCVD法により誘電体層を形成することで、塗膜から電極を形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用基板の製造方法。
- 前記塗液が、平均粒径0.1〜20μmの金属粒子を更に含み、金属ナノ粒子及び金属粒子が、それぞれ2〜50重量%及び98〜50重量%の割合で塗液に含まれる請求項1又は2に記載のプラズマディスプレイパネル用基板の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により形成されたプラズマディスプレイパネル用基板を構成要素として含むプラズマディスプレイパネル。
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