JP2005017146A - 回転角度検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気抵抗素子を2つ配設した上で、本体を小型化した回転角度検出装置を提供する。
【解決手段】回転角度検出装置は、回転体としてのステアリングシャフトSの周囲の構造体に固定されたハウジング11を備え、このハウジング11には回転板12と、該回転板のギア部12aに噛合するギア体13と、該ギア体13の中央部に固定された永久磁石16と、該永久磁石に対向する箇所に配設された磁気抵抗素子21とを備える。
永久磁石16と磁気抵抗素子21の同軸上の飽和磁界に別の磁気抵抗素子22を配設することにより、2つの磁気検出手段を有しながらギア体13を1つにすることができ、ハウジング内のスペースを小さくする。
【選択図】 図2
【解決手段】回転角度検出装置は、回転体としてのステアリングシャフトSの周囲の構造体に固定されたハウジング11を備え、このハウジング11には回転板12と、該回転板のギア部12aに噛合するギア体13と、該ギア体13の中央部に固定された永久磁石16と、該永久磁石に対向する箇所に配設された磁気抵抗素子21とを備える。
永久磁石16と磁気抵抗素子21の同軸上の飽和磁界に別の磁気抵抗素子22を配設することにより、2つの磁気検出手段を有しながらギア体13を1つにすることができ、ハウジング内のスペースを小さくする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両においてステアリングホイールの操舵角を検出する回転角度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車において、VSC(Vehicle Stability Control )システム(R)、ESP(Electronic Stability Program)システム(R)といった車両安定性制御システムや、電子制御サスペンションシステムなどを搭載する場合には、そのシステム制御のためにステアリングの操舵角を検出する必要がある。このため、従来、こうした車両においては、操舵角を検出するための回転角度検出装置をステアリングコラム内に組み込むことが行われている。
【0003】
回転角度検出装置としては、例えば特許文献1に示すような構成が知られている。この回転角度検出装置は、外周面にギア部を有する回転板と、前記ギア部に噛合した2つのギア体と、このギア体の中心部に固定された2つの永久磁石と、前記永久磁石に対して対向配設された2つの磁気抵抗素子とを備えている。前記回転板は、ステアリングシャフトに一体的に固定されている。従って、ステアリングシャフトが回転すると、ステアリングシャフトの回転に応じて回転板、及び永久磁石が固定されたギア体も回転する。前記磁気抵抗素子はステアリングシャフトが回転してもその位置が変化しない。このため、ステアリングシャフトが回転することにより永久磁石と磁気抵抗素子との相対位置が変化する。
【0004】
前記磁気抵抗素子は、永久磁石が発生する磁束を検出してギア体の回転角に応じて連続的に変化する角度検出用の検出信号をマイコン(マイクロコンピュータ)に出力する。マイコンは、前記磁気抵抗素子からの検出信号に基づいて、ステアリングシャフトの回転角度検出と、回転角度検出装置の異常を検出するように構成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−213944号公報(図6)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記回転角度検出装置では、2つの磁気抵抗素子に対して2つの永久磁石と2つのギア体を配設している。そのため、部品点数が多く、生産性を悪くするばかりでなく、回転板やギア体等を格納するハウジングを大きくする必要があり、ステアリングシャフトまわりの狭いスペースの中での搭載性も悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、素子の異常検出が行えるとともに、本体を小型化することが可能な回転角度検出装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、回転板の回転に伴い回転磁界を発生する磁界発生手段と、前記磁界発生手段にて発生する前記回転磁界を受け、前記回転板の回転に応じて連続して変化する第1検出信号を出力する第1磁気検出手段と、前記磁界発生手段にて発生する前記回転磁界の飽和磁界内に設けられ、前記回転板の回転に応じて変化する第2検出信号を出力する第2磁気検出手段と、前記第1検出信号の周期及び出力値に基づいて前記回転板の回転角度を算出する角度算出手段と、前記第1検出信号と前記第2検出信号とを比較して前記第1磁気検出手段又は前記第2磁気検出手段が故障しているか否かを判断する故障判断手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転角度検出装置において、前記第1磁気検出手段と前記第2磁気検出手段とを、前記磁界発生手段により発生する前記回転磁界の軸線上に配設したことを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の回転角度検出装置において、前記第1磁気検出手段と前記第2磁気検出手段とをプリント配線板の表裏に配設したことを要旨とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の回転角度検出装置を車両におけるステアリングの操舵角を検出する操舵角検出装置として具体化した実施形態を図1〜図4に基づき詳細に説明する。
【0012】
図1に示すように、回転角度検出装置としての操舵角検出装置10は、図示しない車両のステアリングコラム内に配設され、回転体としてのステアリングシャフトSに装着されている。操舵角検出装置10は、ステアリングシャフトSの周囲の構造体に固定されたハウジング11を備え、このハウジング11には回転板12が回転可能に支持されている。この回転板12はステアリングシャフトSに外嵌した状態で固定され、ステアリングシャフトSと共に回動する。つまり、回転板12は、ステアリングシャフトSが回転されると、同ステアリングシャフトSと等しく回転する。また、回転板12の外周面にはギア部12aが形成されている。そして、回転板12の近辺には、ギア部12aと歯合するギア体13が配設されている。ギア体13は、ハウジング11内に収容固定されたギアホルダ14と、ハウジング11に形成された軸受け部15とにより軸支されている。このため、ステアリングシャフトSが回転されると、回転板12の回転に伴ってギア体13も回転する。なお、回転板12が1回転するとギア体13が6回転するように、回転板12とギア体13との間の歯車比がそれぞれ設定されている。
【0013】
図1及び図2に示すように、ギア体13の軸線上には、磁界発生手段としての永久磁石16が固定されている。永久磁石16は、ギア体13において所定の径方向に磁束を発生させるように設けられている。そして、永久磁石16は、ギア体13の回転平面と平行な平面に沿って回転するように固定されている。このため、ギア体13が1回転(即ち、360°回転)すると、永久磁石16が発生する磁束の方向も360゜回転する。
【0014】
図1及び図2に示すように、ハウジング11内においてギア体13の軸線上には、第1磁気検出手段としての第1磁気抵抗素子21が配設されている。第1磁気抵抗素子21は、ギアホルダ14に固定されたプリント配線板17の表面に実装されている。
【0015】
第1磁気抵抗素子21は永久磁石16が発生する磁束を検出してギア体13の回転角に応じて連続的に変化する角度検出用のアナログ信号を出力する。詳しくは、回転板12が60゜回転する毎にギア体13が1回転(360゜回転)する。このため、図4に示すように、第1磁気抵抗素子21は、回転板12が60゜回転する毎に1周期となる正弦波からなる第1アナログ信号An1と、その第1アナログ信号An1に対して1/4周期だけ位相がずれた正弦波からなる第2アナログ信号An2とを出力する。前記第1アナログ信号An1は第1角度検出用アナログ信号に相当し、前記第2アナログ信号An2は第2角度検出用アナログ信号に相当する。
【0016】
また、図2に示すように、ハウジング11内においてギア体13の軸線上には、第2磁気検出手段としての第2磁気抵抗素子22が配設されている。第2磁気抵抗素子22は、プリント配線板17の裏面に実装されている。即ち、ギアホルダ14には、2つの磁気抵抗素子21,22が表裏に実装されたプリント配線板17が固定され、永久磁石16と第1及び第2磁気抵抗素子21,22が同一線上に配列されている。
【0017】
第2磁気抵抗素子22は、前記第1磁気抵抗素子21と同等の特性を持つ素子であり、永久磁石16が発生する磁束を検出してギア体13の回転角に応じて連続的に変化する角度検出用のアナログ信号を出力する。詳しくは、図4に示すように、第2磁気抵抗素子22は、回転板12が60゜回転する毎に1周期となる正弦波からなる第3アナログ信号An3と、その第3アナログ信号An3に対して1/4周期だけ位相がずれた正弦波からなる第4アナログ信号An4とを出力する。前記第3アナログ信号An3は第3角度検出用アナログ信号に相当し、前記第4アナログ信号An4は第4角度検出用アナログ信号に相当する。
【0018】
次に、こうした操舵角検出装置10の電気的構成について説明する。
図3に示すように、操舵角検出装置10は、前記磁気抵抗素子21,22、角度算出手段及び故障判断手段としてのマイコン(マイクロコンピュータ)23、電源回路24及びインターフェイス部25を備えている。
【0019】
マイコン23は、具体的には図示しないCPU、ROM、RAM、A/D変換器等を備えたCPUユニットであり、図2に示すプリント配線板17に配設されている。このマイコン23の第1及び第2入力端子IN1,IN2には、前記第1磁気抵抗素子21からの第1及び第2アナログ信号An1,An2がそれぞれ入力されるようになっている。また、マイコン23の第3及び第4入力端子IN3,IN4には、前記第2磁気抵抗素子22からの第3及び第4アナログ信号An3,An4がそれぞれ入力されるようになっている。
【0020】
また、マイコン23の電源入力端子Vinには電源回路24が電気的に接続され、マイコン23はこの電源回路24から電力供給されている。電源回路24は、バッテリ電圧を降圧してマイコン23の駆動電圧に変換するDC−DCコンバータによって構成され、2つの入力端子を備えている。そして、一方の入力端子には図示しないイグニッションONリレーを介してバッテリ電圧が入力され、他方の入力端子にはイグニッションONリレーを介さずにバッテリ電圧が入力されている。また、電源回路24には、トランジスタTr1を介して磁気抵抗素子21,22がそれぞれ電気的に接続されている。詳しくは、トランジスタTr1のコレクタ端子が電源回路24に電気的に接続され、エミッタ端子が磁気抵抗素子21,22にそれぞれ電気的に接続されている。そして、トランジスタTr1のベース端子はマイコン23の出力端子OUTに電気的に接続されている。
【0021】
マイコン23からトランジスタTr1に対してベース電流が通電された際にトランジスタTr1が作動し、電源回路24から磁気抵抗素子21,22に対して電力が供給される。即ち、第1磁気抵抗素子21は、マイコン23によって給電が制御され、給電されているときに前記第1及び第2アナログ信号An1,An2を出力する。また、第2磁気抵抗素子22は、マイコン23によって給電が制御され、給電されているときに前記第3及び第4アナログ信号An3,An4を出力する。
【0022】
マイコン23は、第1磁気抵抗素子21から第1及び第2アナログ信号An1,An2が入力されると、第1及び第2アナログ信号An1,An2の出力値としての第1及び第2アナログ信号An1,An2の電圧値に基づいて前記回転板12の回転角度を算出する。マイコン23は、算出した回転角度をインターフェイス部25を介して種々の車両システム(例えば車両安定性制御システムや、電子制御サスペンションシステムなど)に対して出力する。
【0023】
また、マイコン23は、第2磁気抵抗素子22から入力される第3及び第4アナログ信号An3,An4に基づいて、第1及び第2磁気抵抗素子21,22が正常か否かを判断する。第1又は第2磁気抵抗素子21,22自体が故障しているとき、マイコン23には所望の波形を持つ信号An1〜An4が入力されない。このとき、第1又は第2磁気抵抗素子21,22が正常ではない(異常である)という。
【0024】
ステアリングが操作されていない場合、第1及び第2磁気抵抗素子21,22に対する永久磁石16による磁束の方向が変化しないため、両磁気抵抗素子21,22は一定電圧の第1及び第2アナログ信号An1,An2、第3及び第4アナログ信号An3,An4を出力する。一方、第1又は第2磁気抵抗素子21,22が故障している場合、故障している第1又は第2磁気抵抗素子21,22は、ステアリングが操作されても一定電圧の第1及び第2アナログ信号An1,An2、又は第3及び第4アナログ信号An3,An4しか出力しない。
【0025】
どちらか一方の磁気抵抗素子が所望の波形を持つ信号を出力しているにも関わらず、もう一方の磁気抵抗素子が一定電圧の信号を出力している場合は、一定電圧の信号を出力している磁気抵抗素子に異常等の故障が生じていると判断する。
【0026】
そして、マイコン23は、第1磁気抵抗素子21又は第2磁気抵抗素子22に異常が生じたと判断した場合、図示しないインストルメントパネルに設けられたインジケータやブザーなどに作動信号を出力して該異常が生じた旨を搭乗者に報知する。また、マイコン23は、第1磁気抵抗素子21又は第2磁気抵抗素子22に異常が生じたと判断した場合、ステアリングシャフトSの回転角度を利用して制御を行う車両システムに対して禁止信号を出力して該車両システムによる制御を禁止させる。
【0027】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)回転板12が回転しているにも関わらず、第1〜第4アナログ信号An1〜An4が変化しない際には、磁気抵抗素子が異常であるものとしてインジケータやブザーなどに作動信号を出力して該異常が生じた旨を搭乗者に報知できる。マイコン23は、第1〜第4アナログ信号An1〜An4が回転板の回転に対して変化している際には、回転角度の算出結果が正しいものとして、その回転角度を種々の車両システムへ出力することができる。よって、マイコン23は磁気抵抗素子21,22が正常であるか否かを判断できる。
【0028】
(2)永久磁石とギア体を配設し、その磁束が及ぶ範囲に磁気抵抗素子を2つ配設したため、部品点数を少なくすることができ、組立てが容易になり生産性も向上する。
【0029】
(3)部品点数が少なくなったことから、ギア体等を格納するハウジング11のスペースを小さくすることができ、ステアリングシャフトまわりの狭いスペースの中での搭載性も向上できる。
【0030】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態では、磁気抵抗素子を2つのみ設けたが、磁気抵抗素子を3つ以上(3つや4つ等)設けた構成にしてもよい。
【0031】
・回転角度検出装置は、ステアリングホイールの回転角度を検出する操舵角検出装置10以外の用途、例えば回転軸を備えた工作機械における回転軸の回転角度を検出する回転角度検出装置として用いてもよい。
【0032】
・前記実施形態では、第1及び第2磁気検出手段として磁気抵抗素子21,22を用いている。これに限らず、磁気検出手段として巨大磁気抵抗素子(GMR素子)や、磁気インピーダンス素子、ホール素子などの各種磁気センサや、ポテンションメータなどの接触型の素子を用いてもよい。要は、磁気検出手段は、ステアリングシャフトSの回転に伴って連続的に変化するアナログ信号を出力する素子によって構成されていればよい。
【0033】
・前記実施形態において、第1〜第4アナログ信号An1〜An4が1周期となる回転板12の回転角度は、60°に限らず、例えば90°、120°、180°、360°、720°、1080°など、任意の角度に変更してもよい。
【0034】
・前記実施形態では、第2磁気検出手段としての第2磁気抵抗素子22の位置を前記永久磁石16と前記第1磁気抵抗素子21とを結ぶ同軸上であって、前記第1磁気抵抗素子21が配設されているプリント配線板17の裏面としたが、永久磁石16の飽和磁界の範囲内であれば、任意に配設してもよい。
【0035】
次に、上記実施形態より把握される技術的思想を以下に列挙する。
(イ)請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の回転角度検出装置において、前記第1磁気検出手段及び前記第2磁気検出手段は、磁気抵抗素子または磁気インピーダンス素子であることを特徴とする回転角度検出装置。
【0036】
(ロ)請求項1乃至請求項3、上記(イ)のうちいずれか1つに記載の回転角度検出装置において、前記回転体は車両におけるステアリングホイールであることを特徴とする回転角度検出装置。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、本体の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における操舵角検出装置の概略構成図。
【図2】図1におけるA−A線矢視断面図。
【図3】本実施形態における電気的構成を概略的に示すブロック図。
【図4】本実施形態の作用を説明するために模式的に示すタイムチャート。
【符号の説明】
10…回転角度検出装置としての操舵角検出装置、
12…回転板、16…永久磁石、17…プリント配線板、
21…第1磁気検出手段としての磁気抵抗素子、
22…第2磁気検出手段としての磁気抵抗素子、
23…角度算出手段としてのマイコン(マイクロコンピュータ)、
An1…第1角度検出用アナログ信号としての第1アナログ信号、
An2…第2角度検出用アナログ信号としての第2アナログ信号、
An3…第3角度検出用アナログ信号としての第3アナログ信号、
An4…第4角度検出用アナログ信号としての第4アナログ信号、
S…回転体としてのステアリングシャフト
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両においてステアリングホイールの操舵角を検出する回転角度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車において、VSC(Vehicle Stability Control )システム(R)、ESP(Electronic Stability Program)システム(R)といった車両安定性制御システムや、電子制御サスペンションシステムなどを搭載する場合には、そのシステム制御のためにステアリングの操舵角を検出する必要がある。このため、従来、こうした車両においては、操舵角を検出するための回転角度検出装置をステアリングコラム内に組み込むことが行われている。
【0003】
回転角度検出装置としては、例えば特許文献1に示すような構成が知られている。この回転角度検出装置は、外周面にギア部を有する回転板と、前記ギア部に噛合した2つのギア体と、このギア体の中心部に固定された2つの永久磁石と、前記永久磁石に対して対向配設された2つの磁気抵抗素子とを備えている。前記回転板は、ステアリングシャフトに一体的に固定されている。従って、ステアリングシャフトが回転すると、ステアリングシャフトの回転に応じて回転板、及び永久磁石が固定されたギア体も回転する。前記磁気抵抗素子はステアリングシャフトが回転してもその位置が変化しない。このため、ステアリングシャフトが回転することにより永久磁石と磁気抵抗素子との相対位置が変化する。
【0004】
前記磁気抵抗素子は、永久磁石が発生する磁束を検出してギア体の回転角に応じて連続的に変化する角度検出用の検出信号をマイコン(マイクロコンピュータ)に出力する。マイコンは、前記磁気抵抗素子からの検出信号に基づいて、ステアリングシャフトの回転角度検出と、回転角度検出装置の異常を検出するように構成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−213944号公報(図6)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記回転角度検出装置では、2つの磁気抵抗素子に対して2つの永久磁石と2つのギア体を配設している。そのため、部品点数が多く、生産性を悪くするばかりでなく、回転板やギア体等を格納するハウジングを大きくする必要があり、ステアリングシャフトまわりの狭いスペースの中での搭載性も悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、素子の異常検出が行えるとともに、本体を小型化することが可能な回転角度検出装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、回転板の回転に伴い回転磁界を発生する磁界発生手段と、前記磁界発生手段にて発生する前記回転磁界を受け、前記回転板の回転に応じて連続して変化する第1検出信号を出力する第1磁気検出手段と、前記磁界発生手段にて発生する前記回転磁界の飽和磁界内に設けられ、前記回転板の回転に応じて変化する第2検出信号を出力する第2磁気検出手段と、前記第1検出信号の周期及び出力値に基づいて前記回転板の回転角度を算出する角度算出手段と、前記第1検出信号と前記第2検出信号とを比較して前記第1磁気検出手段又は前記第2磁気検出手段が故障しているか否かを判断する故障判断手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転角度検出装置において、前記第1磁気検出手段と前記第2磁気検出手段とを、前記磁界発生手段により発生する前記回転磁界の軸線上に配設したことを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の回転角度検出装置において、前記第1磁気検出手段と前記第2磁気検出手段とをプリント配線板の表裏に配設したことを要旨とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の回転角度検出装置を車両におけるステアリングの操舵角を検出する操舵角検出装置として具体化した実施形態を図1〜図4に基づき詳細に説明する。
【0012】
図1に示すように、回転角度検出装置としての操舵角検出装置10は、図示しない車両のステアリングコラム内に配設され、回転体としてのステアリングシャフトSに装着されている。操舵角検出装置10は、ステアリングシャフトSの周囲の構造体に固定されたハウジング11を備え、このハウジング11には回転板12が回転可能に支持されている。この回転板12はステアリングシャフトSに外嵌した状態で固定され、ステアリングシャフトSと共に回動する。つまり、回転板12は、ステアリングシャフトSが回転されると、同ステアリングシャフトSと等しく回転する。また、回転板12の外周面にはギア部12aが形成されている。そして、回転板12の近辺には、ギア部12aと歯合するギア体13が配設されている。ギア体13は、ハウジング11内に収容固定されたギアホルダ14と、ハウジング11に形成された軸受け部15とにより軸支されている。このため、ステアリングシャフトSが回転されると、回転板12の回転に伴ってギア体13も回転する。なお、回転板12が1回転するとギア体13が6回転するように、回転板12とギア体13との間の歯車比がそれぞれ設定されている。
【0013】
図1及び図2に示すように、ギア体13の軸線上には、磁界発生手段としての永久磁石16が固定されている。永久磁石16は、ギア体13において所定の径方向に磁束を発生させるように設けられている。そして、永久磁石16は、ギア体13の回転平面と平行な平面に沿って回転するように固定されている。このため、ギア体13が1回転(即ち、360°回転)すると、永久磁石16が発生する磁束の方向も360゜回転する。
【0014】
図1及び図2に示すように、ハウジング11内においてギア体13の軸線上には、第1磁気検出手段としての第1磁気抵抗素子21が配設されている。第1磁気抵抗素子21は、ギアホルダ14に固定されたプリント配線板17の表面に実装されている。
【0015】
第1磁気抵抗素子21は永久磁石16が発生する磁束を検出してギア体13の回転角に応じて連続的に変化する角度検出用のアナログ信号を出力する。詳しくは、回転板12が60゜回転する毎にギア体13が1回転(360゜回転)する。このため、図4に示すように、第1磁気抵抗素子21は、回転板12が60゜回転する毎に1周期となる正弦波からなる第1アナログ信号An1と、その第1アナログ信号An1に対して1/4周期だけ位相がずれた正弦波からなる第2アナログ信号An2とを出力する。前記第1アナログ信号An1は第1角度検出用アナログ信号に相当し、前記第2アナログ信号An2は第2角度検出用アナログ信号に相当する。
【0016】
また、図2に示すように、ハウジング11内においてギア体13の軸線上には、第2磁気検出手段としての第2磁気抵抗素子22が配設されている。第2磁気抵抗素子22は、プリント配線板17の裏面に実装されている。即ち、ギアホルダ14には、2つの磁気抵抗素子21,22が表裏に実装されたプリント配線板17が固定され、永久磁石16と第1及び第2磁気抵抗素子21,22が同一線上に配列されている。
【0017】
第2磁気抵抗素子22は、前記第1磁気抵抗素子21と同等の特性を持つ素子であり、永久磁石16が発生する磁束を検出してギア体13の回転角に応じて連続的に変化する角度検出用のアナログ信号を出力する。詳しくは、図4に示すように、第2磁気抵抗素子22は、回転板12が60゜回転する毎に1周期となる正弦波からなる第3アナログ信号An3と、その第3アナログ信号An3に対して1/4周期だけ位相がずれた正弦波からなる第4アナログ信号An4とを出力する。前記第3アナログ信号An3は第3角度検出用アナログ信号に相当し、前記第4アナログ信号An4は第4角度検出用アナログ信号に相当する。
【0018】
次に、こうした操舵角検出装置10の電気的構成について説明する。
図3に示すように、操舵角検出装置10は、前記磁気抵抗素子21,22、角度算出手段及び故障判断手段としてのマイコン(マイクロコンピュータ)23、電源回路24及びインターフェイス部25を備えている。
【0019】
マイコン23は、具体的には図示しないCPU、ROM、RAM、A/D変換器等を備えたCPUユニットであり、図2に示すプリント配線板17に配設されている。このマイコン23の第1及び第2入力端子IN1,IN2には、前記第1磁気抵抗素子21からの第1及び第2アナログ信号An1,An2がそれぞれ入力されるようになっている。また、マイコン23の第3及び第4入力端子IN3,IN4には、前記第2磁気抵抗素子22からの第3及び第4アナログ信号An3,An4がそれぞれ入力されるようになっている。
【0020】
また、マイコン23の電源入力端子Vinには電源回路24が電気的に接続され、マイコン23はこの電源回路24から電力供給されている。電源回路24は、バッテリ電圧を降圧してマイコン23の駆動電圧に変換するDC−DCコンバータによって構成され、2つの入力端子を備えている。そして、一方の入力端子には図示しないイグニッションONリレーを介してバッテリ電圧が入力され、他方の入力端子にはイグニッションONリレーを介さずにバッテリ電圧が入力されている。また、電源回路24には、トランジスタTr1を介して磁気抵抗素子21,22がそれぞれ電気的に接続されている。詳しくは、トランジスタTr1のコレクタ端子が電源回路24に電気的に接続され、エミッタ端子が磁気抵抗素子21,22にそれぞれ電気的に接続されている。そして、トランジスタTr1のベース端子はマイコン23の出力端子OUTに電気的に接続されている。
【0021】
マイコン23からトランジスタTr1に対してベース電流が通電された際にトランジスタTr1が作動し、電源回路24から磁気抵抗素子21,22に対して電力が供給される。即ち、第1磁気抵抗素子21は、マイコン23によって給電が制御され、給電されているときに前記第1及び第2アナログ信号An1,An2を出力する。また、第2磁気抵抗素子22は、マイコン23によって給電が制御され、給電されているときに前記第3及び第4アナログ信号An3,An4を出力する。
【0022】
マイコン23は、第1磁気抵抗素子21から第1及び第2アナログ信号An1,An2が入力されると、第1及び第2アナログ信号An1,An2の出力値としての第1及び第2アナログ信号An1,An2の電圧値に基づいて前記回転板12の回転角度を算出する。マイコン23は、算出した回転角度をインターフェイス部25を介して種々の車両システム(例えば車両安定性制御システムや、電子制御サスペンションシステムなど)に対して出力する。
【0023】
また、マイコン23は、第2磁気抵抗素子22から入力される第3及び第4アナログ信号An3,An4に基づいて、第1及び第2磁気抵抗素子21,22が正常か否かを判断する。第1又は第2磁気抵抗素子21,22自体が故障しているとき、マイコン23には所望の波形を持つ信号An1〜An4が入力されない。このとき、第1又は第2磁気抵抗素子21,22が正常ではない(異常である)という。
【0024】
ステアリングが操作されていない場合、第1及び第2磁気抵抗素子21,22に対する永久磁石16による磁束の方向が変化しないため、両磁気抵抗素子21,22は一定電圧の第1及び第2アナログ信号An1,An2、第3及び第4アナログ信号An3,An4を出力する。一方、第1又は第2磁気抵抗素子21,22が故障している場合、故障している第1又は第2磁気抵抗素子21,22は、ステアリングが操作されても一定電圧の第1及び第2アナログ信号An1,An2、又は第3及び第4アナログ信号An3,An4しか出力しない。
【0025】
どちらか一方の磁気抵抗素子が所望の波形を持つ信号を出力しているにも関わらず、もう一方の磁気抵抗素子が一定電圧の信号を出力している場合は、一定電圧の信号を出力している磁気抵抗素子に異常等の故障が生じていると判断する。
【0026】
そして、マイコン23は、第1磁気抵抗素子21又は第2磁気抵抗素子22に異常が生じたと判断した場合、図示しないインストルメントパネルに設けられたインジケータやブザーなどに作動信号を出力して該異常が生じた旨を搭乗者に報知する。また、マイコン23は、第1磁気抵抗素子21又は第2磁気抵抗素子22に異常が生じたと判断した場合、ステアリングシャフトSの回転角度を利用して制御を行う車両システムに対して禁止信号を出力して該車両システムによる制御を禁止させる。
【0027】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)回転板12が回転しているにも関わらず、第1〜第4アナログ信号An1〜An4が変化しない際には、磁気抵抗素子が異常であるものとしてインジケータやブザーなどに作動信号を出力して該異常が生じた旨を搭乗者に報知できる。マイコン23は、第1〜第4アナログ信号An1〜An4が回転板の回転に対して変化している際には、回転角度の算出結果が正しいものとして、その回転角度を種々の車両システムへ出力することができる。よって、マイコン23は磁気抵抗素子21,22が正常であるか否かを判断できる。
【0028】
(2)永久磁石とギア体を配設し、その磁束が及ぶ範囲に磁気抵抗素子を2つ配設したため、部品点数を少なくすることができ、組立てが容易になり生産性も向上する。
【0029】
(3)部品点数が少なくなったことから、ギア体等を格納するハウジング11のスペースを小さくすることができ、ステアリングシャフトまわりの狭いスペースの中での搭載性も向上できる。
【0030】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態では、磁気抵抗素子を2つのみ設けたが、磁気抵抗素子を3つ以上(3つや4つ等)設けた構成にしてもよい。
【0031】
・回転角度検出装置は、ステアリングホイールの回転角度を検出する操舵角検出装置10以外の用途、例えば回転軸を備えた工作機械における回転軸の回転角度を検出する回転角度検出装置として用いてもよい。
【0032】
・前記実施形態では、第1及び第2磁気検出手段として磁気抵抗素子21,22を用いている。これに限らず、磁気検出手段として巨大磁気抵抗素子(GMR素子)や、磁気インピーダンス素子、ホール素子などの各種磁気センサや、ポテンションメータなどの接触型の素子を用いてもよい。要は、磁気検出手段は、ステアリングシャフトSの回転に伴って連続的に変化するアナログ信号を出力する素子によって構成されていればよい。
【0033】
・前記実施形態において、第1〜第4アナログ信号An1〜An4が1周期となる回転板12の回転角度は、60°に限らず、例えば90°、120°、180°、360°、720°、1080°など、任意の角度に変更してもよい。
【0034】
・前記実施形態では、第2磁気検出手段としての第2磁気抵抗素子22の位置を前記永久磁石16と前記第1磁気抵抗素子21とを結ぶ同軸上であって、前記第1磁気抵抗素子21が配設されているプリント配線板17の裏面としたが、永久磁石16の飽和磁界の範囲内であれば、任意に配設してもよい。
【0035】
次に、上記実施形態より把握される技術的思想を以下に列挙する。
(イ)請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の回転角度検出装置において、前記第1磁気検出手段及び前記第2磁気検出手段は、磁気抵抗素子または磁気インピーダンス素子であることを特徴とする回転角度検出装置。
【0036】
(ロ)請求項1乃至請求項3、上記(イ)のうちいずれか1つに記載の回転角度検出装置において、前記回転体は車両におけるステアリングホイールであることを特徴とする回転角度検出装置。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、本体の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における操舵角検出装置の概略構成図。
【図2】図1におけるA−A線矢視断面図。
【図3】本実施形態における電気的構成を概略的に示すブロック図。
【図4】本実施形態の作用を説明するために模式的に示すタイムチャート。
【符号の説明】
10…回転角度検出装置としての操舵角検出装置、
12…回転板、16…永久磁石、17…プリント配線板、
21…第1磁気検出手段としての磁気抵抗素子、
22…第2磁気検出手段としての磁気抵抗素子、
23…角度算出手段としてのマイコン(マイクロコンピュータ)、
An1…第1角度検出用アナログ信号としての第1アナログ信号、
An2…第2角度検出用アナログ信号としての第2アナログ信号、
An3…第3角度検出用アナログ信号としての第3アナログ信号、
An4…第4角度検出用アナログ信号としての第4アナログ信号、
S…回転体としてのステアリングシャフト
Claims (3)
- 回転板の回転に伴い回転磁界を発生する磁界発生手段と、
前記磁界発生手段にて発生する前記回転磁界を受け、前記回転板の回転に応じて連続して変化する第1検出信号を出力する第1磁気検出手段と、
前記磁界発生手段にて発生する前記回転磁界の飽和磁界内に設けられ、前記回転板の回転に応じて変化する第2検出信号を出力する第2磁気検出手段と、
前記第1検出信号の周期及び出力値に基づいて前記回転板の回転角度を算出する角度算出手段と、
前記第1検出信号と前記第2検出信号とを比較して前記第1磁気検出手段又は前記第2磁気検出手段が故障しているか否かを判断する故障判断手段と、
を備えたことを特徴とする回転角度検出装置。 - 請求項1に記載の回転角度検出装置において、
前記第1磁気検出手段と前記第2磁気検出手段とを、前記磁界発生手段により発生する前記回転磁界の軸線上に配設したことを特徴とする回転角度検出装置。 - 請求項1又は2に記載の回転角度検出装置において、
前記第1磁気検出手段と前記第2磁気検出手段とをプリント配線板の表裏に配設したことを特徴とする回転角度検出装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003183748A JP2005017146A (ja) | 2003-06-27 | 2003-06-27 | 回転角度検出装置 |
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JP (1) | JP2005017146A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010038682A (ja) * | 2008-08-04 | 2010-02-18 | Panasonic Corp | 回転角度検出装置 |
JP2011185747A (ja) * | 2010-03-09 | 2011-09-22 | Alps Electric Co Ltd | 異常検知装置 |
JP2012018150A (ja) * | 2010-07-10 | 2012-01-26 | Tamagawa Seiki Co Ltd | モータ磁極検出システムおよびホールセンサ |
JP2019070568A (ja) * | 2017-10-06 | 2019-05-09 | アイシン精機株式会社 | 自動車用ブレーキの回転角検出装置 |
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2003
- 2003-06-27 JP JP2003183748A patent/JP2005017146A/ja not_active Withdrawn
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