JP2004325317A - 回転角度演算装置及び回転角度検出装置 - Google Patents
回転角度演算装置及び回転角度検出装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】回転体の算出回転角度値を求める演算処理を軽減できる回転角度演算装置及び回転角度検出装置を提供する。
【解決手段】第1アナログ信号は、ステアリングシャフトSが所定角度回転する毎に1周期となる。第2アナログ信号は、ステアリングシャフトSが所定角度回転する毎に1周期となると共に第1アナログ信号に対して1/4周期の位相差を持つ。マイコンは、第1アナログ信号の信号値及び第2アナログ信号の信号値に基づいて、ROMに記憶した複数の角度要素値のうち一つの角度要素値を選定する。その角度要素値を用いて加減算処理することでステアリングシャフトSのステアリング操舵角を求める。
【選択図】 図1
【解決手段】第1アナログ信号は、ステアリングシャフトSが所定角度回転する毎に1周期となる。第2アナログ信号は、ステアリングシャフトSが所定角度回転する毎に1周期となると共に第1アナログ信号に対して1/4周期の位相差を持つ。マイコンは、第1アナログ信号の信号値及び第2アナログ信号の信号値に基づいて、ROMに記憶した複数の角度要素値のうち一つの角度要素値を選定する。その角度要素値を用いて加減算処理することでステアリングシャフトSのステアリング操舵角を求める。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転体の回転角度を演算する回転角度演算装置及び回転角度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動体(回転体)の回転角度に応じて磁気センサなどから出力されるsinθのアナログ信号とcosθのアナログ信号に基づいて移動体の回転角度を検出する位置検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、位置検出装置は、入力したsinθのアナログ信号及びcosθのアナログ信号と、ROMに記憶された所定の値とを用いて乗算処理、微分処理、減算処理などを行うことにより移動体の回転角度を求めている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−350185号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この回転角度演算装置を車両のステアリングホイール(上記移動体に相当する)の回転角度を求めるものに採用すると、回転角度をリアルタイムで求める必要性がある。そして、特許文献1においては、乗算処理や微分処理を行うことから演算回数が多い。従って、多くの演算を短時間で行わなければならないことから、演算処理が早い演算回路を用いなければならならない。しかしながら、演算処理が早い演算回路ほどその回路のコストが高くなるため、この結果、回転角度演算装置が全体としてコスト高となってしまうことがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は回転体の算出回転角度値を求める演算処理を軽減できる回転角度演算装置及び回転角度検出装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、回転体が所定角度回転する毎に1周期となる正弦波形の第1アナログ信号と、前記回転体が所定角度回転する毎に1周期となる正弦波形であり前記第1アナログ信号に対して1/4周期の位相差の第2アナログ信号とに基づいて前記回転体の算出回転角度値を求める回転角度演算装置であって、複数の角度要素値を記憶した記憶手段を備え、前記第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値に基づいて前記記憶手段に記憶した複数の角度要素値のうち一つの角度要素値を選定する選定手段を備え、前記選定した角度要素値を用いた加減算にて前記回転体の前記算出回転角度値を求めることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転角度演算装置において、所定時間毎に前記選定手段に前記角度要素値を選定させる制御手段を備え、前記制御手段は、前記選定手段が前に選定した角度要素値に基づいて求めた要素回転角度値と、前記選定手段が今回選定した角度要素値に基づいて求めた要素回転角度値との差である回転角度値差を求め、前記制御手段は、前に求めた算出回転角度値に前記回転角度値差を加算して今回の算出回転角度値を求めることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の回転角度演算装置において、前記各角度要素値は、複数の行及び複数の列からなる行列データの要素であり、前記選定手段は、前記第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値に基づいて行及び列を選んで角度要素値を選定することを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の回転角度演算装置において、互いに直交するx軸及びy軸が平面を4つに分けたそれぞれの部分を第1象限、第2象限、第3象限、及び第4象限とし、前記第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値のうち一方をxの値、他方をyの値とした場合に、xの値とyの値とがなす点が前記第1象限及び前記第3象限に位置する際と、xの値とyの値とがなす点が前記第2象限及び前記第4象限に位置する際とでは、前記第1及び第2アナログ信号の信号値に基づいてそれぞれ選ぶ行と列とが互いに反対になることを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、回転体が所定角度回転する毎に1周期となる正弦波形の第1アナログ信号及びその第1アナログ信号に対して1/4周期の位相差の正弦波形の第2アナログ信号を出力する角度検出手段と、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の回転角度演算装置とを備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の回転角度検出装置において、回転体が所定角度回転する毎に磁束が一回転する磁束発生体を備え、前記角度検出手段は、前記磁束が一回転する毎に1周期となる前記第1アナログ信号及び前記第2アナログ信号を出力することを要旨とする。
【0012】
(作用)
従って、請求項1に記載の発明においては以下に示す作用を得る。回転体が所定角度回転すると、第1アナログ信号及び第2アナログ信号は1周期となる。選定手段は、第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値に基づいて記憶手段に記憶した複数の角度要素値のうち一つの角度要素値を選定する。選定した角度要素値を用いた加減算にて回転体の算出回転角度値を求める。
【0013】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の発明の作用に加えて以下に示す作用を得る。制御手段は、所定時間毎に選定手段に角度要素値を選定させる。制御手段は、選定手段が前に選定した角度要素値に基づいて求めた要素回転角度値と、選定手段が今回選定した角度要素値に基づいて求めた要素回転角度値との差である回転角度値差を求める。制御手段は、前に求めた算出回転角度値に回転角度値差を加算して今回の算出回転角度値を求める。
【0014】
請求項3に記載の発明においては、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて以下に示す作用を得る。選定手段は、第1アナログ信号の信号値及び第2アナログ信号の信号値に基づいて行及び列を選んで角度要素値を選定する。
【0015】
請求項4に記載の発明においては、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の発明の作用に加えて以下に示す作用を得る。第1アナログ信号の信号値及び第2アナログ信号の信号値のうち一方をxの値、他方をyの値とする。xの値とyの値とがなす点が第1象限及び第3象限に位置する際と、xの値とyの値とがなす点が第2象限及び第4象限に位置する際とでは、第1及び第2アナログ信号の信号値に基づいてそれぞれ選ぶ行と列とが互いに反対になる。
【0016】
請求項5に記載の発明においては、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の発明の作用に加えて以下に示す作用を得る。角度検出手段は、回転体が所定角度回転する毎に1周期となる正弦波形の第1アナログ信号及びその第1アナログ信号に対して1/4周期の位相差の正弦波形の第2アナログ信号を出力する。選定手段は、第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値に基づいて記憶手段に記憶した複数の角度要素値のうち一つの角度要素値を選定する。選定した角度要素値を用いた加減算にて回転体の算出回転角度値を求める。
【0017】
請求項6に記載の発明においては、請求項5に記載の発明の作用に加えて以下に示す作用を得る。回転体が所定角度回転すると、磁束発生体の磁束が一回転する。磁束が一回転すると、第1アナログ信号及び第2アナログ信号は1周期となる。選定手段は、第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値に基づいて記憶手段に記憶した複数の角度要素値のうち一つの角度要素値を選定する。選定した角度要素値を用いた加減算にて回転体の算出回転角度値を求める。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の回転角度検出装置を車両におけるステアリングの操舵角を検出する操舵角検出装置として具体化した一実施形態を図1〜図8に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、回転角度検出装置としての操舵角検出装置1は、ハウジング2、回転板3、ギア体4、磁束発生体としての永久磁石5、角度検出手段としての磁気抵抗素子11を備えている。操舵角検出装置1は、図示しない車両のステアリングコラム内に配設され、回転体としてのステアリングシャフトSに装着されている。略円環形状をなすハウジング2は図示しない固定部材に固定され、そのハウジング2にはステアリングシャフトSが遊挿されている。ハウジング2には回転板3が回転可能に支持されている。
【0020】
この回転板3はステアリングシャフトSに外嵌した状態で固定され、ステアリングシャフトSと共に回動する。つまり、回転板3は、ステアリングシャフトSが回転されると、同ステアリングシャフトSと等しく回転する。また、回転板3の外周面にはギア部3aが形成されている。そして、回転板3の近辺には、ギア部3aと歯合するギア体4が回転可能にハウジング2に支持されている。このため、ステアリングシャフトSが所定角度回転する毎に、回転板3の回転に伴ってギア体4が一回転するようになっている。本実施形態では、例えばギア体4は、ステアリングシャフトS(回転板3)の1回転当たり3回転する歯数比で形成されている。
【0021】
図2にも併せ示すように、ギア体4の中心部には、永久磁石5が固定されている。この永久磁石5は、ギア体4において所定の径方向に磁束を発生させるように設けられている。このため、ギア体4が1回転すると、永久磁石5が発生する磁束の方向も360゜回転する。
【0022】
図2に示すように、ハウジング2内において永久磁石5と対向する箇所には、角度検出手段としての磁気抵抗素子11が配設されている。この磁気抵抗素子11は永久磁石5が発生する磁束を検出してギア体4の回転角に応じて連続的に変化する角度検出用のアナログ信号を出力する。詳しくは、ステアリングシャフトSが120゜回転する毎にギア体4が1回転(360゜回転)する。このため、図4に示すように、磁気抵抗素子11は、ステアリングシャフトSが120゜回転する毎に1周期となる正弦波形の第1アナログ信号An1と、その第1アナログ信号An1に対して1/4周期だけ位相がずれた正弦波形の第2アナログ信号An2とを出力する。
【0023】
次に、こうした操舵角検出装置1の電気的構成について説明する。
図3に示すように、操舵角検出装置1は、前記磁気抵抗素子11、マイコン(マイクロコンピュータ)12、電源回路13及びインターフェイス部14を備えている。マイコン12は、回転角度演算装置、選定手段、制御手段に相当する。
【0024】
マイコン12は、具体的には記憶手段としてのROM12a、及び図示しないCPU、RAM、A/D変換器等を備えたCPUユニットであり、図2に示すプリント配線板6に配設されている。このマイコン12の第1入力端子IN1及び第2入力端子IN2には、前記磁気抵抗素子11からの第1アナログ信号An1及び第2アナログ信号An2がそれぞれ入力されるようになっている。
【0025】
また、マイコン12の電源入力端子Vinには電源回路13が電気的に接続され、マイコン12はこの電源回路13から電力供給されている。電源回路13は、バッテリ電圧を降圧してマイコン12の駆動電圧に変換するDC−DCコンバータによって構成され、2つの入力端子を備えている。そして、一方の入力端子には図示しないイグニッションONリレーを介してバッテリ電圧が入力され、他方の入力端子にはイグニッションONリレーを介さずにバッテリ電圧が入力されている。また、電源回路13には、トランジスタTr1を介して磁気抵抗素子11が電気的に接続されている。詳しくは、トランジスタTr1のコレクタ端子が電源回路13に接続され、エミッタ端子が磁気抵抗素子11に接続されている。そして、トランジスタTr1のベース端子はマイコン12に接続されている。このため、マイコン12からトランジスタTr1に対してベース電流が通電された際にトランジスタTr1が作動し、電源回路13から磁気抵抗素子11に対して電力が供給される。よって、磁気抵抗素子11は、マイコン12によって給電が制御され、給電されているときに前記第1及び第2アナログ信号An1,An2を出力する。
【0026】
前記マイコン12のROM12a内には、第1及び第2アナログ信号An1,An2の電圧値に基づいてステアリングシャフトSの回転角度(以下、ステアリング操舵角φkという。)を求めるための「角度要素値Ta」を選定する行列データとしての二次元配列テーブルT(図6参照)を備えている。マイコン12は、今回選定した「角度要素値Ta」に基づいて求めた「要素回転角度値θk」と、前回選定した「角度要素値Ta」に基づいて求めた「要素回転角度値θz」との差である回転角度値差Δθを求める。また、マイコン12は、その回転角度値差Δθを前回のステアリング操舵角φz(ステアリングシャフトSの回転角度)に加算することにより今回のステアリング操舵角φkを算出する。「今回のステアリング操舵角φk」は「今回の算出回転角度値」に相当し、「ステアリング操舵角φz」は、「前に求めた算出回転角度値」及び「前回の算出回転角度値」に相当する。
【0027】
次に、上記今回のステアリング操舵角φk(ステアリングシャフトSの回転角度)の算出方法について図4〜6及び図7,8に示すフローチャートに基づいて詳述する。
【0028】
図7に示すように、ステップ(以下、ステップを単に「S」と示す)101では、第1及び第2アナログ信号An1,An2をディジタル変換(A/D変換)する。詳述すると、図4に示すように、本実施形態では、例えば、第1及び第2アナログ信号An1,An2の振幅の最大値を4V、最小値を1V、中間値を2.5Vとしている。マイコン12は、第1及び第2アナログ信号An1,An2が入力されると、第1及び第2アナログ信号An1,An2を例えば8bitの第1及び第2ディジタル信号D1,D2にそれぞれ変換する。8bitのA/D変換の場合には、第1及び第2ディジタル信号D1,D2は、「0」〜「255」のうち何れかの数値と対応する。
【0029】
本実施形態では、例えば第1及び第2アナログ信号An1,An2が振幅の中心の電圧値である2.5Vの際にA/D変換された第1及び第2ディジタル信号D1,D2は「128」の数値に対応する。また、第1及び第2アナログ信号An1,An2が4Vの際にA/D変換された第1及び第2ディジタル信号D1,D2は「205」の数値に対応し、第1及び第2アナログ信号An1,An2が1Vの際にA/D変換された第1及び第2ディジタル信号D1,D2は「51」の数値に対応する。
【0030】
S102では、以下の式に基づいてxの値、yの値を設定する。
x=D1−128
y=D2−128
従って、図4に示すように、ステアリングシャフトSの回転角度である横軸の値が例えば0deg(0°)の時には、
x=205−128=77(第1アナログ信号An1に対応)
y=128−128=0(第2アナログ信号An2に対応)
となる。
【0031】
S103では、「x≧0,y≧0」か否かを判定している。
なお、S103及び後述するS109,S113,S117では、マイコン12は、xの値とyの値とがなす点Pが図5に示すx軸及びy軸からなる平面の第1〜第4象限のうちいずれの象限に位置するかを判定している。点Pが第1象限、第2象限、第3象限、第4象限にそれぞれ位置する際には、それぞれS103、S109、S113、S117において「Yes」の判定を行うようになっている。
【0032】
S103では、図5は互いに直交するx軸及びy軸において、xの値とyの値とがなす点Pの0deg〜120degまでの変位をグラフにしたものである。なお、例えば120degはステアリングシャフトSの回転角度(ステアリング操舵角φk)120°に相当する。即ち、図5は三角関数のグラフである。
【0033】
S103では、「x≧0,y≧0」の際に点Pが第1象限に位置しているものとしS104へ移り、そうでない際にはS109へ移る。
S104では、予めマイコン12のROM12a内に記憶されている二次元配列テーブルT(図6参照)から、xの値及びyの値に基づく角度要素値Taを選定する。詳述すると、二次元配列テーブルTは複数の列Aと複数の行Bとからなる。本実施形態では、0〜127の数値がそれぞれ付された128個の列Aと、0〜127の数値がそれぞれ付された128個の行Bとからなる。二次元配列テーブルTには、128個×128個の角度要素値Taを備えている。二次元配列テーブルTには、図5の第1象限における点Pの角度θ1が座標値(x,y)に対応づけて記憶されている。即ち、各角度要素値Taが第1象限における点Pの角度θ1にそれぞれ対応している。
【0034】
そして、xの値に対応する列Aを選び、さらにyの値に対応する行Bを選ぶことによりその交点の角度要素値Taを選定している。
例えば、点Pが(77,0)に位置する際には、図6に示す列Aの「77」と、行Bの「0」とから「0deg(θ1=0°)」が選定される。また例えば、点Pが(0,77)に位置する際には、図6に示す列Aの「0」と、行Bの「77」とから「30deg(θ1=30°)」が選定される。
【0035】
二次元配列テーブルTには、点Pと対応しない要素に「FAIL」を示す値が記憶されている。例えば、第1アナログ信号An1及び第2アナログ信号An2のうち少なくとも一方にノイズが含まれていることにより、点Pが図5に示す円周上又は円周上の付近に位置しないことがある。点Pが図5に示す円周上又は円周上の付近に位置しない場合に、「FAIL」の角度要素値Taを選定するようになっている。
【0036】
S105では、選定した角度要素値Taが「FAIL」か否かを判定している。角度要素値Taが「FAIL」の際には一旦このルーチンを終了し、角度要素値Taが「FAIL」でない際には、S106へ移る。詳しく述べると、選定した角度要素値Taが「FAIL」である場合には、xの値及びyの値のうち少なくとも一方が不正であるものとして、この角度要素値Taを無視するべく今回のフローチャートのルーチンは終了する。なお、フローチャートのルーチンを所定回数繰り返し、その各ルーチンで角度要素値Taが全て「FAIL」となった場合には、操舵角検出装置1が異常であるものとして警告信号を操舵角検出装置1以外の所望の装置へ出力するように構成してもよい。
【0037】
S106では、角度要素値Taを要素回転角度値θk(θk←Ta)に代入してS107へ移る。
S107では、以下に示す加減算により今回のステアリング操舵角φkを求める。まず、今回求めた要素回転角度値θkと前回求めた要素回転角度値θzとの差である回転角度値差Δθを求める。
【0038】
Δθ←θk−θz
前回のステアリング操舵角φzに上記回転角度値差Δθを加えたものを今回のステアリング操舵角φkとする。
【0039】
φk←φz+Δθ
即ち、上記の2式により、
φk←φz+(θk−θz)
となり、この式に基づいて今回のステアリング操舵角φkを求める。
【0040】
S108では、以下に示す式のように、今回のステアリング操舵角φkを前回のステアリング操舵角φz(φz←φk)に代入し、今回求めた要素回転角度値θkを前回求めた要素回転角度値θz(θz←θk)に代入して一旦このルーチンを終了する。
【0041】
一方、S109では、「x<0,y≧0」の際に点P(図5参照)が第2象限に位置しているものとしS110へ移り、そうでない際にはS113へ移る。
S110では、予めマイコン12のROM12a内に記憶されている二次元配列テーブルTからxの絶対値に対応する行Bを選び、yの値に対応する列Aを選ぶことによりその交点の角度要素値Taを選定している。
【0042】
例えば、点P(図5において「P’」と図示する。)が(−54,54)に位置する際には、図6に示す行Bの「54」と、列Aの「54」とから「15deg」が選定される。ここでの「15deg」は図5におけるθ2に対応する。この「15deg(θ2)」に「30deg」を加えるとθ3に対応する(詳しくは、後述する「S112」参照)。このように、図6は本来点Pが第1象限に位置する際に参照するデータであるが、このデータを、点Pが第2象限及び後述する第3,第4象限に位置する際にも流用し、この結果、要素回転角度値θkを求めるようにしている。
【0043】
S111では、選定した角度要素値Taが「FAIL」か否かを判定している。角度要素値Taが「FAIL」の際には一旦このルーチンを終了する。角度要素値Taが「FAIL」でない際にはS112へ移る。
【0044】
S112では、角度要素値Taに「30deg」を加えた数値を要素回転角度値θk(θk←30deg+Ta)としてS107へ移り、上記したS107,S108の処理を行い一旦このルーチンを終了する。
【0045】
また、図8に示すように、S113では、「x<0,y<0」の際に点P(図5参照)が第3象限に位置しているものとしS114へ移り、そうでない際にはS117へ移る。
【0046】
S114では、予めマイコン12のROM12a内に記憶されている二次元配列テーブルTからxの絶対値に対応する列Aを選び、yの絶対値に対応する行Bを選ぶことによりその交点の角度要素値Taを選定している。
【0047】
S115では、選定した角度要素値Taが「FAIL」か否かを判定している。角度要素値Taが「FAIL」の際には一旦このルーチンを終了する。角度要素値Taが「FAIL」でない際にはS116へ移る。
【0048】
S116では、角度要素値Taに「60deg」を加えた数値を要素回転角度値θk(θk←60deg+Ta)として図7に示すS107へ移り、上記したS107,S108の処理を行い一旦このルーチンを終了する。
【0049】
さらに、S117では、「x≧0,y<0」の際に点P(図5参照)が第4象限に位置しているものとしS118へ移り、そうでない際には一旦このルーチンを終了する。
【0050】
S118では、予めマイコン12のROM12a内に記憶されている二次元配列テーブルTからxの値に対応する行Bを選び、yの絶対値に対応する列Aを選ぶことによりその交点の角度要素値Taを選定している。
【0051】
S119では、選定した角度要素値Taが「FAIL」か否かを判定している。角度要素値Taが「FAIL」の際には一旦このルーチンを終了する。角度要素値Taが「FAIL」でない際にはS120へ移る。
【0052】
S120では、角度要素値Taに「90deg」を加えた数値を要素回転角度値θk(θk←90deg+Ta)として図7に示すS107へ移り、上記したS107,S108の処理を行い一旦このルーチンを終了する。
【0053】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)マイコン12は、第1アナログ信号An1の信号値及び第2アナログ信号An2の信号値に基づいて、ROM12aに記憶した複数の角度要素値Taのうち一つの角度要素値Taを選定した。その角度要素値Taを用いて加減算処理することでステアリングシャフトSのステアリング操舵角φkを求めるようにした。
【0054】
特許文献1の演算回路では、乗算処理、微分処理、減算処理などの複雑な演算処理を行うことにより移動体(回転体)の算出回転角度値を求めてた。従って、本実施形態のマイコン12は、加減算処理のみの単純な演算処理にてステアリングシャフトSのステアリング操舵角φkを求めることができ、特許文献1に比して演算処理を軽減できる。このため、車両のステアリングホイールの回転角度のようにリアルタイムで求める必要性があるのもに本実施形態のマイコン12を操舵角検出装置1に採用しても演算遅れが発生することを抑制でき、回転角度検出を良好に行うことができる。
【0055】
また、本実施形態のマイコン12は、特許文献1の演算回路に比して演算処理が遅い演算回路を採用しても、特許文献1の演算回路と同等の速さでステアリングシャフトSのステアリング操舵角φkを求めることができる。一般的に、演算処理が早い演算回路ほどその回路のコストが高くなる。従って、本実施形態のマイコン12は、特許文献1の演算回路に比して安価な回路を採用してもステアリングシャフトSのステアリング操舵角φkを同等の速さで求めることができる。
【0056】
(2)マイコン12は、所定時間毎に角度要素値Taを選定し、今回選定した角度要素値Taに基づいて求めた要素回転角度値θkと、前回求めた要素回転角度値θzとの差から回転角度値差Δθを求める。そして、マイコン12はその回転角度値差Δθを前回求めたステアリング操舵角φzに加算することで、今回のステアリング操舵角φkとした。従って、所定時間毎に前回求めたステアリング操舵角φzに回転角度値差Δθを加算処理するだけで今回のステアリング操舵角φkを求めることができるため、乗算処理、微分処理、減算処理などを行う必要がなく容易に演算処理できる。
【0057】
(3)マイコン12は、点Pが第1及び第3象限に位置する際に、第1アナログ信号An1の信号値に基づいて列Aを選ぶと共に第2アナログ信号An2の信号値に基づいて行Bを選んで角度要素値Taを選定する。マイコン12は、点Pが第2及び第4象限に位置する際に、第1アナログ信号An1の信号値に基づいて行Bを選ぶと共に第2アナログ信号An2の信号値に基づいて列Aを選んで角度要素値Taを選定する。従って、状況に応じて一つの二次元配列テーブルTが四つの二次元配列テーブルTと同じ働きをするため、その分、二次元配列テーブルTのデータ量(角度要素値Taの数)を4分の1にできる。この結果、記憶容量が少ないROM12aを採用でき、ROM12aのコストを抑えることができる。
【0058】
(4)磁気抵抗素子11は、その中心をギア体4の中心に一致するように配置し、ギア体4(永久磁石5)の回転を介してステアリングシャフトSの回転角度を間接的に検出するように構成した。このため、磁気抵抗素子11の中心をステアリングシャフトSの中心に一致するように配置する必要がなく、ステアリングシャフトSと磁気抵抗素子11との互いの配置位置の自由度を高めることができる。従って、設計時間を短縮でき、この結果、製作コストを低減できる。
【0059】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は以下のような他の実施形態に変更して具体化してもよい。
【0060】
・前記実施形態では、角度検出手段として磁気抵抗素子11を用いていた。これに限らず、角度検出手段として例えば巨大磁気抵抗素子(GMR素子)や、磁気インピーダンス素子、ホール素子などの各種磁気センサや、ポテンションメータ等の接触型の素子に変更してもよい。要するに、角度検出手段は、ステアリングシャフトSの回転に伴って連続的に変化するアナログ信号を出力する素子によって構成されていればよい。
【0061】
・回転角度検出装置は、ステアリングシャフトSの回転角度(ステアリング操舵角φk)を検出する操舵角検出装置1以外の用途、例えば回転軸を備えた工作機械における回転軸の回転角度を検出する回転角度検出装置として用いられてもよい。
【0062】
・前記実施形態では、今回選定した角度要素値Taに基づいて求めた要素回転角度値θkと、前回求めた要素回転角度値θzとの差から回転角度値差Δθを求める。そして、マイコン12はその回転角度値差Δθを前回求めたステアリング操舵角φzに加算することで、今回のステアリング操舵角φkとしていた。これに限らず、今回選定した角度要素値Taに基づいて求めた要素回転角度値θkと、所定回数前に求めた要素回転角度値θzとの差から回転角度値差Δθを求める。そして、マイコン12はその回転角度値差Δθを所定回数前に求めたステアリング操舵角φzに加算することで、今回のステアリング操舵角φkとしてもよい。なお、「所定回数」とは、フローチャートの「START」から「END」までの一連の工程を一回とした際に、その繰り返しを所定の数行ったことをいう。
【0063】
・前記実施形態では、二次元配列テーブルTは点Pが第1象限に位置する際のデータ(複数の角度要素値Ta)を備え、そのデータを点Pが第2〜第3象限に位置する際においても流用していた。これに限らず、二次元配列テーブルTは、点Pが第1及び第2象限に位置する際のデータ(複数の角度要素値Ta)を備え、そのデータを点Pが第3及び第4象限に位置する際において流用するようにしてもよい。この場合、点Pが第1及び第2象限に位置する際には、第1アナログ信号An1に基づいて行又は列を選び、第2アナログ信号An2に基づいて列又は行を選ぶことにより、その二次元配列テーブルTから角度要素値Taを選定する。点Pが第3及び第4象限に位置する際には、第1アナログ信号An1に基づいて行又は列を選び、第2アナログ信号An2に基づいて列又は行を選ぶことにより、その二次元配列テーブルTから角度要素値Taを選定し、その角度要素値Taに60degを加えて要素回転角度値θkとする。このようにすると、各象限毎に二次元配列テーブルのデータを備えている場合と比べて、二次元配列テーブルTのデータ量(角度要素値Taの数)を半減でき、この結果、記憶容量が少ないROM12aを採用でき、ROM12aのコストを抑えることができる。
【0064】
・前記実施形態では、二次元配列テーブルTは点Pが第1象限に位置する際のデータ(複数の角度要素値Ta)を備え、そのデータを点Pが第2〜第3象限に位置する際においても流用していた。これに限らず、第1〜第4象限の各象限において、それぞれ独立した二次元配列テーブルTをROM12aに備え、第1アナログ信号An1に基づいて行又は列を選び、第2アナログ信号An2に基づいて列又は行を選ぶことにより、その二次元配列テーブルTから角度要素値Taを選定するようにしてもよい。この場合、S112,S116,S120の処理を省略する。
【0065】
・前記実施形態では、ギア体4は、ステアリングシャフトSの1回転当たり3回転するように構成していた。これに限らず、例えばギア体4は、ステアリングシャフトSの1回転当たり2回転するように構成したり、ステアリングシャフトSの1回転当たり4回転するように構成したりしてもよい。この場合、二次元配列テーブルTの各角度要素値Taのデータや、S112,S116,S120の計算式を予め適宜変更する。
【0066】
次に、上記実施形態及び他の実施形態から把握できる技術的思想について以下に追記する。
・所定時間毎に前記選定手段に前記角度要素値を選定させる制御手段を備え、前記制御手段は、前記選定手段が前回選定した角度要素値に基づいて求めた要素回転角度値と、前記選定手段が今回選定した角度要素値に基づいて求めた要素回転角度値との差である回転角度値差を求め、前記制御手段は、前回求めた算出回転角度値に前記回転角度値差を加算して今回の算出回転角度値を求めることを特徴とする請求項1に記載の回転角度演算装置。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、回転体の算出回転角度値を求める演算処理を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の操舵角検出装置の概略構成図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】同実施形態の操舵角検出装置の概略ブロック図。
【図4】同実施形態のステアリングシャフトの回転角度と第1及び第2アナログ信号の特性図。
【図5】同実施形態のxの値とyの値との関係を示す特性図。
【図6】同実施形態の二次元配列テーブル。
【図7】同実施形態のマイコンの処理を示すフローチャート。
【図8】同実施形態のマイコンの処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…回転角度検出装置としての操舵角検出装置、5…磁束発生体としての永久磁石、11…角度検出手段としての磁気抵抗素子、12…回転角度演算装置、選定手段、制御手段としてのマイコン、12a…記憶手段としてのROM、A…列、B…行、P…点、S…回転体としてのステアリングシャフト、T…行列データとしての二次元配列テーブル、An1…第1アナログ信号、An2…第2アナログ信号、Ta…角度要素値、Δθ…回転角度値差、θk…「今回求めた要素回転角度値」としての「要素回転角度値」、θz…「前に求めた要素回転角度値」としての「要素回転角度値」、φk…「今回の算出回転角度値」としての「今回のステアリング操舵角」、φz…「前に求めた算出回転角度値」としての「ステアリング操舵角」。
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転体の回転角度を演算する回転角度演算装置及び回転角度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動体(回転体)の回転角度に応じて磁気センサなどから出力されるsinθのアナログ信号とcosθのアナログ信号に基づいて移動体の回転角度を検出する位置検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、位置検出装置は、入力したsinθのアナログ信号及びcosθのアナログ信号と、ROMに記憶された所定の値とを用いて乗算処理、微分処理、減算処理などを行うことにより移動体の回転角度を求めている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−350185号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この回転角度演算装置を車両のステアリングホイール(上記移動体に相当する)の回転角度を求めるものに採用すると、回転角度をリアルタイムで求める必要性がある。そして、特許文献1においては、乗算処理や微分処理を行うことから演算回数が多い。従って、多くの演算を短時間で行わなければならないことから、演算処理が早い演算回路を用いなければならならない。しかしながら、演算処理が早い演算回路ほどその回路のコストが高くなるため、この結果、回転角度演算装置が全体としてコスト高となってしまうことがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は回転体の算出回転角度値を求める演算処理を軽減できる回転角度演算装置及び回転角度検出装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、回転体が所定角度回転する毎に1周期となる正弦波形の第1アナログ信号と、前記回転体が所定角度回転する毎に1周期となる正弦波形であり前記第1アナログ信号に対して1/4周期の位相差の第2アナログ信号とに基づいて前記回転体の算出回転角度値を求める回転角度演算装置であって、複数の角度要素値を記憶した記憶手段を備え、前記第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値に基づいて前記記憶手段に記憶した複数の角度要素値のうち一つの角度要素値を選定する選定手段を備え、前記選定した角度要素値を用いた加減算にて前記回転体の前記算出回転角度値を求めることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転角度演算装置において、所定時間毎に前記選定手段に前記角度要素値を選定させる制御手段を備え、前記制御手段は、前記選定手段が前に選定した角度要素値に基づいて求めた要素回転角度値と、前記選定手段が今回選定した角度要素値に基づいて求めた要素回転角度値との差である回転角度値差を求め、前記制御手段は、前に求めた算出回転角度値に前記回転角度値差を加算して今回の算出回転角度値を求めることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の回転角度演算装置において、前記各角度要素値は、複数の行及び複数の列からなる行列データの要素であり、前記選定手段は、前記第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値に基づいて行及び列を選んで角度要素値を選定することを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の回転角度演算装置において、互いに直交するx軸及びy軸が平面を4つに分けたそれぞれの部分を第1象限、第2象限、第3象限、及び第4象限とし、前記第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値のうち一方をxの値、他方をyの値とした場合に、xの値とyの値とがなす点が前記第1象限及び前記第3象限に位置する際と、xの値とyの値とがなす点が前記第2象限及び前記第4象限に位置する際とでは、前記第1及び第2アナログ信号の信号値に基づいてそれぞれ選ぶ行と列とが互いに反対になることを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、回転体が所定角度回転する毎に1周期となる正弦波形の第1アナログ信号及びその第1アナログ信号に対して1/4周期の位相差の正弦波形の第2アナログ信号を出力する角度検出手段と、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の回転角度演算装置とを備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の回転角度検出装置において、回転体が所定角度回転する毎に磁束が一回転する磁束発生体を備え、前記角度検出手段は、前記磁束が一回転する毎に1周期となる前記第1アナログ信号及び前記第2アナログ信号を出力することを要旨とする。
【0012】
(作用)
従って、請求項1に記載の発明においては以下に示す作用を得る。回転体が所定角度回転すると、第1アナログ信号及び第2アナログ信号は1周期となる。選定手段は、第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値に基づいて記憶手段に記憶した複数の角度要素値のうち一つの角度要素値を選定する。選定した角度要素値を用いた加減算にて回転体の算出回転角度値を求める。
【0013】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の発明の作用に加えて以下に示す作用を得る。制御手段は、所定時間毎に選定手段に角度要素値を選定させる。制御手段は、選定手段が前に選定した角度要素値に基づいて求めた要素回転角度値と、選定手段が今回選定した角度要素値に基づいて求めた要素回転角度値との差である回転角度値差を求める。制御手段は、前に求めた算出回転角度値に回転角度値差を加算して今回の算出回転角度値を求める。
【0014】
請求項3に記載の発明においては、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて以下に示す作用を得る。選定手段は、第1アナログ信号の信号値及び第2アナログ信号の信号値に基づいて行及び列を選んで角度要素値を選定する。
【0015】
請求項4に記載の発明においては、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の発明の作用に加えて以下に示す作用を得る。第1アナログ信号の信号値及び第2アナログ信号の信号値のうち一方をxの値、他方をyの値とする。xの値とyの値とがなす点が第1象限及び第3象限に位置する際と、xの値とyの値とがなす点が第2象限及び第4象限に位置する際とでは、第1及び第2アナログ信号の信号値に基づいてそれぞれ選ぶ行と列とが互いに反対になる。
【0016】
請求項5に記載の発明においては、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の発明の作用に加えて以下に示す作用を得る。角度検出手段は、回転体が所定角度回転する毎に1周期となる正弦波形の第1アナログ信号及びその第1アナログ信号に対して1/4周期の位相差の正弦波形の第2アナログ信号を出力する。選定手段は、第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値に基づいて記憶手段に記憶した複数の角度要素値のうち一つの角度要素値を選定する。選定した角度要素値を用いた加減算にて回転体の算出回転角度値を求める。
【0017】
請求項6に記載の発明においては、請求項5に記載の発明の作用に加えて以下に示す作用を得る。回転体が所定角度回転すると、磁束発生体の磁束が一回転する。磁束が一回転すると、第1アナログ信号及び第2アナログ信号は1周期となる。選定手段は、第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値に基づいて記憶手段に記憶した複数の角度要素値のうち一つの角度要素値を選定する。選定した角度要素値を用いた加減算にて回転体の算出回転角度値を求める。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の回転角度検出装置を車両におけるステアリングの操舵角を検出する操舵角検出装置として具体化した一実施形態を図1〜図8に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、回転角度検出装置としての操舵角検出装置1は、ハウジング2、回転板3、ギア体4、磁束発生体としての永久磁石5、角度検出手段としての磁気抵抗素子11を備えている。操舵角検出装置1は、図示しない車両のステアリングコラム内に配設され、回転体としてのステアリングシャフトSに装着されている。略円環形状をなすハウジング2は図示しない固定部材に固定され、そのハウジング2にはステアリングシャフトSが遊挿されている。ハウジング2には回転板3が回転可能に支持されている。
【0020】
この回転板3はステアリングシャフトSに外嵌した状態で固定され、ステアリングシャフトSと共に回動する。つまり、回転板3は、ステアリングシャフトSが回転されると、同ステアリングシャフトSと等しく回転する。また、回転板3の外周面にはギア部3aが形成されている。そして、回転板3の近辺には、ギア部3aと歯合するギア体4が回転可能にハウジング2に支持されている。このため、ステアリングシャフトSが所定角度回転する毎に、回転板3の回転に伴ってギア体4が一回転するようになっている。本実施形態では、例えばギア体4は、ステアリングシャフトS(回転板3)の1回転当たり3回転する歯数比で形成されている。
【0021】
図2にも併せ示すように、ギア体4の中心部には、永久磁石5が固定されている。この永久磁石5は、ギア体4において所定の径方向に磁束を発生させるように設けられている。このため、ギア体4が1回転すると、永久磁石5が発生する磁束の方向も360゜回転する。
【0022】
図2に示すように、ハウジング2内において永久磁石5と対向する箇所には、角度検出手段としての磁気抵抗素子11が配設されている。この磁気抵抗素子11は永久磁石5が発生する磁束を検出してギア体4の回転角に応じて連続的に変化する角度検出用のアナログ信号を出力する。詳しくは、ステアリングシャフトSが120゜回転する毎にギア体4が1回転(360゜回転)する。このため、図4に示すように、磁気抵抗素子11は、ステアリングシャフトSが120゜回転する毎に1周期となる正弦波形の第1アナログ信号An1と、その第1アナログ信号An1に対して1/4周期だけ位相がずれた正弦波形の第2アナログ信号An2とを出力する。
【0023】
次に、こうした操舵角検出装置1の電気的構成について説明する。
図3に示すように、操舵角検出装置1は、前記磁気抵抗素子11、マイコン(マイクロコンピュータ)12、電源回路13及びインターフェイス部14を備えている。マイコン12は、回転角度演算装置、選定手段、制御手段に相当する。
【0024】
マイコン12は、具体的には記憶手段としてのROM12a、及び図示しないCPU、RAM、A/D変換器等を備えたCPUユニットであり、図2に示すプリント配線板6に配設されている。このマイコン12の第1入力端子IN1及び第2入力端子IN2には、前記磁気抵抗素子11からの第1アナログ信号An1及び第2アナログ信号An2がそれぞれ入力されるようになっている。
【0025】
また、マイコン12の電源入力端子Vinには電源回路13が電気的に接続され、マイコン12はこの電源回路13から電力供給されている。電源回路13は、バッテリ電圧を降圧してマイコン12の駆動電圧に変換するDC−DCコンバータによって構成され、2つの入力端子を備えている。そして、一方の入力端子には図示しないイグニッションONリレーを介してバッテリ電圧が入力され、他方の入力端子にはイグニッションONリレーを介さずにバッテリ電圧が入力されている。また、電源回路13には、トランジスタTr1を介して磁気抵抗素子11が電気的に接続されている。詳しくは、トランジスタTr1のコレクタ端子が電源回路13に接続され、エミッタ端子が磁気抵抗素子11に接続されている。そして、トランジスタTr1のベース端子はマイコン12に接続されている。このため、マイコン12からトランジスタTr1に対してベース電流が通電された際にトランジスタTr1が作動し、電源回路13から磁気抵抗素子11に対して電力が供給される。よって、磁気抵抗素子11は、マイコン12によって給電が制御され、給電されているときに前記第1及び第2アナログ信号An1,An2を出力する。
【0026】
前記マイコン12のROM12a内には、第1及び第2アナログ信号An1,An2の電圧値に基づいてステアリングシャフトSの回転角度(以下、ステアリング操舵角φkという。)を求めるための「角度要素値Ta」を選定する行列データとしての二次元配列テーブルT(図6参照)を備えている。マイコン12は、今回選定した「角度要素値Ta」に基づいて求めた「要素回転角度値θk」と、前回選定した「角度要素値Ta」に基づいて求めた「要素回転角度値θz」との差である回転角度値差Δθを求める。また、マイコン12は、その回転角度値差Δθを前回のステアリング操舵角φz(ステアリングシャフトSの回転角度)に加算することにより今回のステアリング操舵角φkを算出する。「今回のステアリング操舵角φk」は「今回の算出回転角度値」に相当し、「ステアリング操舵角φz」は、「前に求めた算出回転角度値」及び「前回の算出回転角度値」に相当する。
【0027】
次に、上記今回のステアリング操舵角φk(ステアリングシャフトSの回転角度)の算出方法について図4〜6及び図7,8に示すフローチャートに基づいて詳述する。
【0028】
図7に示すように、ステップ(以下、ステップを単に「S」と示す)101では、第1及び第2アナログ信号An1,An2をディジタル変換(A/D変換)する。詳述すると、図4に示すように、本実施形態では、例えば、第1及び第2アナログ信号An1,An2の振幅の最大値を4V、最小値を1V、中間値を2.5Vとしている。マイコン12は、第1及び第2アナログ信号An1,An2が入力されると、第1及び第2アナログ信号An1,An2を例えば8bitの第1及び第2ディジタル信号D1,D2にそれぞれ変換する。8bitのA/D変換の場合には、第1及び第2ディジタル信号D1,D2は、「0」〜「255」のうち何れかの数値と対応する。
【0029】
本実施形態では、例えば第1及び第2アナログ信号An1,An2が振幅の中心の電圧値である2.5Vの際にA/D変換された第1及び第2ディジタル信号D1,D2は「128」の数値に対応する。また、第1及び第2アナログ信号An1,An2が4Vの際にA/D変換された第1及び第2ディジタル信号D1,D2は「205」の数値に対応し、第1及び第2アナログ信号An1,An2が1Vの際にA/D変換された第1及び第2ディジタル信号D1,D2は「51」の数値に対応する。
【0030】
S102では、以下の式に基づいてxの値、yの値を設定する。
x=D1−128
y=D2−128
従って、図4に示すように、ステアリングシャフトSの回転角度である横軸の値が例えば0deg(0°)の時には、
x=205−128=77(第1アナログ信号An1に対応)
y=128−128=0(第2アナログ信号An2に対応)
となる。
【0031】
S103では、「x≧0,y≧0」か否かを判定している。
なお、S103及び後述するS109,S113,S117では、マイコン12は、xの値とyの値とがなす点Pが図5に示すx軸及びy軸からなる平面の第1〜第4象限のうちいずれの象限に位置するかを判定している。点Pが第1象限、第2象限、第3象限、第4象限にそれぞれ位置する際には、それぞれS103、S109、S113、S117において「Yes」の判定を行うようになっている。
【0032】
S103では、図5は互いに直交するx軸及びy軸において、xの値とyの値とがなす点Pの0deg〜120degまでの変位をグラフにしたものである。なお、例えば120degはステアリングシャフトSの回転角度(ステアリング操舵角φk)120°に相当する。即ち、図5は三角関数のグラフである。
【0033】
S103では、「x≧0,y≧0」の際に点Pが第1象限に位置しているものとしS104へ移り、そうでない際にはS109へ移る。
S104では、予めマイコン12のROM12a内に記憶されている二次元配列テーブルT(図6参照)から、xの値及びyの値に基づく角度要素値Taを選定する。詳述すると、二次元配列テーブルTは複数の列Aと複数の行Bとからなる。本実施形態では、0〜127の数値がそれぞれ付された128個の列Aと、0〜127の数値がそれぞれ付された128個の行Bとからなる。二次元配列テーブルTには、128個×128個の角度要素値Taを備えている。二次元配列テーブルTには、図5の第1象限における点Pの角度θ1が座標値(x,y)に対応づけて記憶されている。即ち、各角度要素値Taが第1象限における点Pの角度θ1にそれぞれ対応している。
【0034】
そして、xの値に対応する列Aを選び、さらにyの値に対応する行Bを選ぶことによりその交点の角度要素値Taを選定している。
例えば、点Pが(77,0)に位置する際には、図6に示す列Aの「77」と、行Bの「0」とから「0deg(θ1=0°)」が選定される。また例えば、点Pが(0,77)に位置する際には、図6に示す列Aの「0」と、行Bの「77」とから「30deg(θ1=30°)」が選定される。
【0035】
二次元配列テーブルTには、点Pと対応しない要素に「FAIL」を示す値が記憶されている。例えば、第1アナログ信号An1及び第2アナログ信号An2のうち少なくとも一方にノイズが含まれていることにより、点Pが図5に示す円周上又は円周上の付近に位置しないことがある。点Pが図5に示す円周上又は円周上の付近に位置しない場合に、「FAIL」の角度要素値Taを選定するようになっている。
【0036】
S105では、選定した角度要素値Taが「FAIL」か否かを判定している。角度要素値Taが「FAIL」の際には一旦このルーチンを終了し、角度要素値Taが「FAIL」でない際には、S106へ移る。詳しく述べると、選定した角度要素値Taが「FAIL」である場合には、xの値及びyの値のうち少なくとも一方が不正であるものとして、この角度要素値Taを無視するべく今回のフローチャートのルーチンは終了する。なお、フローチャートのルーチンを所定回数繰り返し、その各ルーチンで角度要素値Taが全て「FAIL」となった場合には、操舵角検出装置1が異常であるものとして警告信号を操舵角検出装置1以外の所望の装置へ出力するように構成してもよい。
【0037】
S106では、角度要素値Taを要素回転角度値θk(θk←Ta)に代入してS107へ移る。
S107では、以下に示す加減算により今回のステアリング操舵角φkを求める。まず、今回求めた要素回転角度値θkと前回求めた要素回転角度値θzとの差である回転角度値差Δθを求める。
【0038】
Δθ←θk−θz
前回のステアリング操舵角φzに上記回転角度値差Δθを加えたものを今回のステアリング操舵角φkとする。
【0039】
φk←φz+Δθ
即ち、上記の2式により、
φk←φz+(θk−θz)
となり、この式に基づいて今回のステアリング操舵角φkを求める。
【0040】
S108では、以下に示す式のように、今回のステアリング操舵角φkを前回のステアリング操舵角φz(φz←φk)に代入し、今回求めた要素回転角度値θkを前回求めた要素回転角度値θz(θz←θk)に代入して一旦このルーチンを終了する。
【0041】
一方、S109では、「x<0,y≧0」の際に点P(図5参照)が第2象限に位置しているものとしS110へ移り、そうでない際にはS113へ移る。
S110では、予めマイコン12のROM12a内に記憶されている二次元配列テーブルTからxの絶対値に対応する行Bを選び、yの値に対応する列Aを選ぶことによりその交点の角度要素値Taを選定している。
【0042】
例えば、点P(図5において「P’」と図示する。)が(−54,54)に位置する際には、図6に示す行Bの「54」と、列Aの「54」とから「15deg」が選定される。ここでの「15deg」は図5におけるθ2に対応する。この「15deg(θ2)」に「30deg」を加えるとθ3に対応する(詳しくは、後述する「S112」参照)。このように、図6は本来点Pが第1象限に位置する際に参照するデータであるが、このデータを、点Pが第2象限及び後述する第3,第4象限に位置する際にも流用し、この結果、要素回転角度値θkを求めるようにしている。
【0043】
S111では、選定した角度要素値Taが「FAIL」か否かを判定している。角度要素値Taが「FAIL」の際には一旦このルーチンを終了する。角度要素値Taが「FAIL」でない際にはS112へ移る。
【0044】
S112では、角度要素値Taに「30deg」を加えた数値を要素回転角度値θk(θk←30deg+Ta)としてS107へ移り、上記したS107,S108の処理を行い一旦このルーチンを終了する。
【0045】
また、図8に示すように、S113では、「x<0,y<0」の際に点P(図5参照)が第3象限に位置しているものとしS114へ移り、そうでない際にはS117へ移る。
【0046】
S114では、予めマイコン12のROM12a内に記憶されている二次元配列テーブルTからxの絶対値に対応する列Aを選び、yの絶対値に対応する行Bを選ぶことによりその交点の角度要素値Taを選定している。
【0047】
S115では、選定した角度要素値Taが「FAIL」か否かを判定している。角度要素値Taが「FAIL」の際には一旦このルーチンを終了する。角度要素値Taが「FAIL」でない際にはS116へ移る。
【0048】
S116では、角度要素値Taに「60deg」を加えた数値を要素回転角度値θk(θk←60deg+Ta)として図7に示すS107へ移り、上記したS107,S108の処理を行い一旦このルーチンを終了する。
【0049】
さらに、S117では、「x≧0,y<0」の際に点P(図5参照)が第4象限に位置しているものとしS118へ移り、そうでない際には一旦このルーチンを終了する。
【0050】
S118では、予めマイコン12のROM12a内に記憶されている二次元配列テーブルTからxの値に対応する行Bを選び、yの絶対値に対応する列Aを選ぶことによりその交点の角度要素値Taを選定している。
【0051】
S119では、選定した角度要素値Taが「FAIL」か否かを判定している。角度要素値Taが「FAIL」の際には一旦このルーチンを終了する。角度要素値Taが「FAIL」でない際にはS120へ移る。
【0052】
S120では、角度要素値Taに「90deg」を加えた数値を要素回転角度値θk(θk←90deg+Ta)として図7に示すS107へ移り、上記したS107,S108の処理を行い一旦このルーチンを終了する。
【0053】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)マイコン12は、第1アナログ信号An1の信号値及び第2アナログ信号An2の信号値に基づいて、ROM12aに記憶した複数の角度要素値Taのうち一つの角度要素値Taを選定した。その角度要素値Taを用いて加減算処理することでステアリングシャフトSのステアリング操舵角φkを求めるようにした。
【0054】
特許文献1の演算回路では、乗算処理、微分処理、減算処理などの複雑な演算処理を行うことにより移動体(回転体)の算出回転角度値を求めてた。従って、本実施形態のマイコン12は、加減算処理のみの単純な演算処理にてステアリングシャフトSのステアリング操舵角φkを求めることができ、特許文献1に比して演算処理を軽減できる。このため、車両のステアリングホイールの回転角度のようにリアルタイムで求める必要性があるのもに本実施形態のマイコン12を操舵角検出装置1に採用しても演算遅れが発生することを抑制でき、回転角度検出を良好に行うことができる。
【0055】
また、本実施形態のマイコン12は、特許文献1の演算回路に比して演算処理が遅い演算回路を採用しても、特許文献1の演算回路と同等の速さでステアリングシャフトSのステアリング操舵角φkを求めることができる。一般的に、演算処理が早い演算回路ほどその回路のコストが高くなる。従って、本実施形態のマイコン12は、特許文献1の演算回路に比して安価な回路を採用してもステアリングシャフトSのステアリング操舵角φkを同等の速さで求めることができる。
【0056】
(2)マイコン12は、所定時間毎に角度要素値Taを選定し、今回選定した角度要素値Taに基づいて求めた要素回転角度値θkと、前回求めた要素回転角度値θzとの差から回転角度値差Δθを求める。そして、マイコン12はその回転角度値差Δθを前回求めたステアリング操舵角φzに加算することで、今回のステアリング操舵角φkとした。従って、所定時間毎に前回求めたステアリング操舵角φzに回転角度値差Δθを加算処理するだけで今回のステアリング操舵角φkを求めることができるため、乗算処理、微分処理、減算処理などを行う必要がなく容易に演算処理できる。
【0057】
(3)マイコン12は、点Pが第1及び第3象限に位置する際に、第1アナログ信号An1の信号値に基づいて列Aを選ぶと共に第2アナログ信号An2の信号値に基づいて行Bを選んで角度要素値Taを選定する。マイコン12は、点Pが第2及び第4象限に位置する際に、第1アナログ信号An1の信号値に基づいて行Bを選ぶと共に第2アナログ信号An2の信号値に基づいて列Aを選んで角度要素値Taを選定する。従って、状況に応じて一つの二次元配列テーブルTが四つの二次元配列テーブルTと同じ働きをするため、その分、二次元配列テーブルTのデータ量(角度要素値Taの数)を4分の1にできる。この結果、記憶容量が少ないROM12aを採用でき、ROM12aのコストを抑えることができる。
【0058】
(4)磁気抵抗素子11は、その中心をギア体4の中心に一致するように配置し、ギア体4(永久磁石5)の回転を介してステアリングシャフトSの回転角度を間接的に検出するように構成した。このため、磁気抵抗素子11の中心をステアリングシャフトSの中心に一致するように配置する必要がなく、ステアリングシャフトSと磁気抵抗素子11との互いの配置位置の自由度を高めることができる。従って、設計時間を短縮でき、この結果、製作コストを低減できる。
【0059】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は以下のような他の実施形態に変更して具体化してもよい。
【0060】
・前記実施形態では、角度検出手段として磁気抵抗素子11を用いていた。これに限らず、角度検出手段として例えば巨大磁気抵抗素子(GMR素子)や、磁気インピーダンス素子、ホール素子などの各種磁気センサや、ポテンションメータ等の接触型の素子に変更してもよい。要するに、角度検出手段は、ステアリングシャフトSの回転に伴って連続的に変化するアナログ信号を出力する素子によって構成されていればよい。
【0061】
・回転角度検出装置は、ステアリングシャフトSの回転角度(ステアリング操舵角φk)を検出する操舵角検出装置1以外の用途、例えば回転軸を備えた工作機械における回転軸の回転角度を検出する回転角度検出装置として用いられてもよい。
【0062】
・前記実施形態では、今回選定した角度要素値Taに基づいて求めた要素回転角度値θkと、前回求めた要素回転角度値θzとの差から回転角度値差Δθを求める。そして、マイコン12はその回転角度値差Δθを前回求めたステアリング操舵角φzに加算することで、今回のステアリング操舵角φkとしていた。これに限らず、今回選定した角度要素値Taに基づいて求めた要素回転角度値θkと、所定回数前に求めた要素回転角度値θzとの差から回転角度値差Δθを求める。そして、マイコン12はその回転角度値差Δθを所定回数前に求めたステアリング操舵角φzに加算することで、今回のステアリング操舵角φkとしてもよい。なお、「所定回数」とは、フローチャートの「START」から「END」までの一連の工程を一回とした際に、その繰り返しを所定の数行ったことをいう。
【0063】
・前記実施形態では、二次元配列テーブルTは点Pが第1象限に位置する際のデータ(複数の角度要素値Ta)を備え、そのデータを点Pが第2〜第3象限に位置する際においても流用していた。これに限らず、二次元配列テーブルTは、点Pが第1及び第2象限に位置する際のデータ(複数の角度要素値Ta)を備え、そのデータを点Pが第3及び第4象限に位置する際において流用するようにしてもよい。この場合、点Pが第1及び第2象限に位置する際には、第1アナログ信号An1に基づいて行又は列を選び、第2アナログ信号An2に基づいて列又は行を選ぶことにより、その二次元配列テーブルTから角度要素値Taを選定する。点Pが第3及び第4象限に位置する際には、第1アナログ信号An1に基づいて行又は列を選び、第2アナログ信号An2に基づいて列又は行を選ぶことにより、その二次元配列テーブルTから角度要素値Taを選定し、その角度要素値Taに60degを加えて要素回転角度値θkとする。このようにすると、各象限毎に二次元配列テーブルのデータを備えている場合と比べて、二次元配列テーブルTのデータ量(角度要素値Taの数)を半減でき、この結果、記憶容量が少ないROM12aを採用でき、ROM12aのコストを抑えることができる。
【0064】
・前記実施形態では、二次元配列テーブルTは点Pが第1象限に位置する際のデータ(複数の角度要素値Ta)を備え、そのデータを点Pが第2〜第3象限に位置する際においても流用していた。これに限らず、第1〜第4象限の各象限において、それぞれ独立した二次元配列テーブルTをROM12aに備え、第1アナログ信号An1に基づいて行又は列を選び、第2アナログ信号An2に基づいて列又は行を選ぶことにより、その二次元配列テーブルTから角度要素値Taを選定するようにしてもよい。この場合、S112,S116,S120の処理を省略する。
【0065】
・前記実施形態では、ギア体4は、ステアリングシャフトSの1回転当たり3回転するように構成していた。これに限らず、例えばギア体4は、ステアリングシャフトSの1回転当たり2回転するように構成したり、ステアリングシャフトSの1回転当たり4回転するように構成したりしてもよい。この場合、二次元配列テーブルTの各角度要素値Taのデータや、S112,S116,S120の計算式を予め適宜変更する。
【0066】
次に、上記実施形態及び他の実施形態から把握できる技術的思想について以下に追記する。
・所定時間毎に前記選定手段に前記角度要素値を選定させる制御手段を備え、前記制御手段は、前記選定手段が前回選定した角度要素値に基づいて求めた要素回転角度値と、前記選定手段が今回選定した角度要素値に基づいて求めた要素回転角度値との差である回転角度値差を求め、前記制御手段は、前回求めた算出回転角度値に前記回転角度値差を加算して今回の算出回転角度値を求めることを特徴とする請求項1に記載の回転角度演算装置。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、回転体の算出回転角度値を求める演算処理を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の操舵角検出装置の概略構成図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】同実施形態の操舵角検出装置の概略ブロック図。
【図4】同実施形態のステアリングシャフトの回転角度と第1及び第2アナログ信号の特性図。
【図5】同実施形態のxの値とyの値との関係を示す特性図。
【図6】同実施形態の二次元配列テーブル。
【図7】同実施形態のマイコンの処理を示すフローチャート。
【図8】同実施形態のマイコンの処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…回転角度検出装置としての操舵角検出装置、5…磁束発生体としての永久磁石、11…角度検出手段としての磁気抵抗素子、12…回転角度演算装置、選定手段、制御手段としてのマイコン、12a…記憶手段としてのROM、A…列、B…行、P…点、S…回転体としてのステアリングシャフト、T…行列データとしての二次元配列テーブル、An1…第1アナログ信号、An2…第2アナログ信号、Ta…角度要素値、Δθ…回転角度値差、θk…「今回求めた要素回転角度値」としての「要素回転角度値」、θz…「前に求めた要素回転角度値」としての「要素回転角度値」、φk…「今回の算出回転角度値」としての「今回のステアリング操舵角」、φz…「前に求めた算出回転角度値」としての「ステアリング操舵角」。
Claims (6)
- 回転体が所定角度回転する毎に1周期となる正弦波形の第1アナログ信号と、前記回転体が所定角度回転する毎に1周期となる正弦波形であり前記第1アナログ信号に対して1/4周期の位相差の第2アナログ信号とに基づいて前記回転体の算出回転角度値を求める回転角度演算装置であって、
複数の角度要素値を記憶した記憶手段を備え、
前記第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値に基づいて前記記憶手段に記憶した複数の角度要素値のうち一つの角度要素値を選定する選定手段を備え、
前記選定した角度要素値を用いた加減算にて前記回転体の前記算出回転角度値を求めることを特徴とする回転角度演算装置。 - 所定時間毎に前記選定手段に前記角度要素値を選定させる制御手段を備え、
前記制御手段は、前記選定手段が前に選定した角度要素値に基づいて求めた要素回転角度値と、前記選定手段が今回選定した角度要素値に基づいて求めた要素回転角度値との差である回転角度値差を求め、
前記制御手段は、前に求めた算出回転角度値に前記回転角度値差を加算して今回の算出回転角度値を求めることを特徴とする請求項1に記載の回転角度演算装置。 - 前記各角度要素値は、複数の行及び複数の列からなる行列データの要素であり、
前記選定手段は、前記第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値に基づいて行及び列を選んで角度要素値を選定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転角度演算装置。 - 互いに直交するx軸及びy軸が平面を4つに分けたそれぞれの部分を第1象限、第2象限、第3象限、及び第4象限とし、
前記第1アナログ信号の信号値及び前記第2アナログ信号の信号値のうち一方をxの値、他方をyの値とした場合に、
xの値とyの値とがなす点が前記第1象限及び前記第3象限に位置する際と、xの値とyの値とがなす点が前記第2象限及び前記第4象限に位置する際とでは、前記第1及び第2アナログ信号の信号値に基づいてそれぞれ選ぶ行と列とが互いに反対になることを特徴とする請求項3に記載の回転角度演算装置。 - 回転体が所定角度回転する毎に1周期となる正弦波形の第1アナログ信号及びその第1アナログ信号に対して1/4周期の位相差の正弦波形の第2アナログ信号を出力する角度検出手段と、
請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の回転角度演算装置と
を備えたことを特徴とする回転角度検出装置。 - 回転体が所定角度回転する毎に磁束が一回転する磁束発生体を備え、
前記角度検出手段は、前記磁束が一回転する毎に1周期となる前記第1アナログ信号及び前記第2アナログ信号を出力することを特徴とする請求項5に記載の回転角度検出装置。
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