JP2005016602A - 熱収縮性管継ぎ手及び管接合部 - Google Patents

熱収縮性管継ぎ手及び管接合部 Download PDF

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Abstract

【課題】加工が容易で、製品貯蔵中の自然収縮が少なく、直管はもちろんのことエルボや異径管等の結合が容易で、50〜120℃で収縮が可能で、収縮後は機械的強度、耐候性、耐薬品性、耐熱性とゴム弾性に優れた熱可塑性エラストマー製の熱収縮性管継ぎ手を提供する。
【解決手段】100%引張応力が4.5MPaから15.0MPa、伸びが200%から1000%の熱可塑性エラストマーを使用してなる熱収縮性管継ぎ手であって、管継ぎ手の長さ(Le)、管継ぎ手の内径(De)、管継ぎ手を自由状態で熱収縮させた時の収縮後内径(Do)、収縮後肉厚(to)、被接合管外径(Dp)の関係が下記式▲1▼〜▲4▼を満たす熱収縮性管継ぎ手。
1<(De)/(Dp) …▲1▼
1.2≦(Dp)/(Do)≦2.5 …▲2▼
0.35≦(Le)/(Dp)≦3.0 …▲3▼
0.005≦(to)/(Do) ≦ 0.2 …▲4▼
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱収縮性管継ぎ手に関し、さらに詳しくは、機械的強度、耐候性、耐薬品性、耐熱性とゴム弾性に優れ、密封性の高い熱収縮性管継ぎ手、特にチューブ状の成形体である熱収縮性管継ぎ手に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、管の接合には、管本体を直接溶接し接合する方法、管本体に設けられたフランジ部をネジ止めし接合する方法、管の一方を受け口、他方を直管にし差し込んで接合する方法、筒状の継ぎ手を使用し両端から管を挿入し接合する方法などが用いられている。溶接以外の方法では、密封性を高めるために、別途成形したゴム製パッキン等を接合部に挿入している。これらの接合法は、接合直後の密封性が充分であっても、可とう性に乏しいために、接合部に応力が加わると密封性の低下や、接合部または管本体の割れが生じる場合がある。
【0003】
また特許文献1には、架橋剤を配合したポリ塩化ビニルからなるチユ−ブ素体を化学架橋した後,仕上り内径よりも大きい内径に加熱膨張し、膨張下に冷却する事により、収縮率が大きく、機械的特性も優れた標記チユ−ブを得る方法が開示されているが、この発明から得られた熱収縮性チューブを管継ぎ手に応用すると、締め付け応力が小さく密封性が不足する。
【0004】
また特許文献2には、シングルサイト触媒を用いて反応させたエチレン−αオレフイン共重合体に、低密度ポリエチレンと多量の充填剤等を混合した、高倍率で延伸可能な収縮チューブが開示されている。この方法は加硫工程を必要とし生産性が劣ることと、この発明から得られた熱収縮性チューブを管継ぎ手に応用すると、加硫ゴムの永久伸びが大きく、収縮率が不足し、充分な密封性が得られない。
【0005】
また特許文献3には、低圧法直鎖状低密度PE(LLDPE)と,エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)またはそれと高圧法分岐状低密度PE(BLDPE)との混合物からなる重合体組成物に加速電子線を照射して,高熱収縮力の収縮チューブを製造する方法が開示されているが、この方法は大掛かりな成形装置が必要なことと、この発明から得られた熱収縮性チューブを管継ぎ手に応用すると、チューブのゴム弾性が不足し締め付け力が不充分で、充分な密封性が得られない。
【0006】
また、特許文献4には、エチレン−αオレフイン共重合体をベ−ス樹脂として、ビニルトリメトキシシランとトリアリルイソシアヌレ−トとを添加することにより、高価な設備を要することなく、大きい延伸倍率の熱収縮チユ−ブを製造する方法が開示されているが、この方法は成形後、シラン架橋が完了するまでに長時間を必要とし、生産性が劣る。
【0007】
また特許文献5にはエチレン・酢酸ビニル共重合体とブチルゴム混合物を動的加硫してなる熱収縮性熱可塑性エラストマーが開示されているが、この発明から得られた熱収縮性チューブを管継ぎ手に応用すると、残留伸びが大きく、充分な熱収縮率が得られず、密封性が劣る。
【0008】
特許文献6には、エチレン・1−ブテン・ポリエンランダム共重合ゴムの架橋延伸物からなる熱収縮性ゴムに関する発明が開示されている。この発明から得られた熱収縮性チューブを管継ぎ手に応用すると、40℃程度の低温で収縮が可能であるが、貯蔵時に自然収縮し寸法減少を来たし、管の挿入が出来なくなる不都合が生じる場合がある。
【0009】
また特許文献7には、エチレン・α− オレフィン・ポリエンランダム共重合ゴムにポリプロピレンを微分散したフィルム、シートまたはチューブ状の熱収縮性成形体に関する発明がが開示されている。この発明から得られた熱収縮性加硫ゴムチューブは十分なゴム弾性を有していたが、収縮温度が高く、短時間に20%以上の収縮率を得るためには、160℃以上の収縮温度を必要とし、ポリ塩化ビニールやポリエチレン等の融点の比較的低い樹脂製品の管継ぎ手に利用できない。
【0010】
また特許文献8には収縮チューブ内部に、筒体状のインナーコアを挿入し、使用時にこのインナ−コアを引き出すとともに、拡径されたチューブを収縮させる常温収縮チユ−ブが開示されているが、この発明から得られた熱収縮性チューブを管継ぎ手に応用すると、作業性を損なうことや、コア材が廃材として発生する問題がある。
【0011】
したがって、管継ぎ手には、貯蔵中の自然収縮が少なく、収縮温度が50〜120℃と、汎用のポリ塩化ビニールやポリエチレン成形品の融点より低く、管の接合が容易で、密封性、機械的強度、可とう性の高い熱収縮性管継ぎ手の出現が望まれている。
【0012】
近年、高度情報化・防災・環境整備のため、光ケーブルを収容する情報ボックス、電線・通信ケーブルを収容する電線共同溝や、高水密性排水管の埋設が盛んである。これらは数メートル単位のポリ塩化ビニール製や、ポリエチレン製で、圧縮強度を高めるために外面にリング状かスパイラル状の波形加工が施されたコルゲート管が広く使用され、ゴム製パッキンを付属した樹脂製継ぎ手で繋いだものを埋設してつくられることが、一般に知られている。この場合、継ぎ手の構造が複雑であること、施工に手間が掛かること、充分な密封性が得られないことや、可とう性が不十分であること等の問題がある。
【0013】
耐震性や可とう性を改良したものとして、EPDMにポリエチレンを混ぜてつくった熱収縮チューブの利用が知られているが、ゴム弾性が不十分なこと、収縮温度が高く施工に手間がかかること、ポリエチレンより融点の低いポリ塩化ビニール管に使用できない等の問題がある。
【0014】
ゴム弾性を高め、短時間で施工でき、融点の低いポリ塩化ビニール管に使用出来るものとして、加硫ゴムを拡径し、貯蔵時の自然収縮を防ぐために、内部に樹脂製のスパイラルコアを挿入した常温収縮チューブの利用が考えられるが、この物は構造が複雑で製品コストが高いことと、管を接合時に取り除くスパイラルコアが廃棄物として発生すること等の問題がある。
【0015】
また下水道管においては、本管と小口径の宅内配管を接合する際や、曲線施工する際は、複数個の樹脂製アダプターを接着剤で接着しているが、資材が多数必要であること、施工に手間がかかること等の問題がある。
【0016】
【特許文献1】特開昭57−187214号公報
【特許文献2】特開平9−278910号公報
【特許文献3】特開昭57−144716号公報
【特許文献4】特開昭61−76345号公報
【特許文献5】特公平6−62816号公報
【特許文献6】特公平3−60664号公報
【特許文献7】特公平9−309986号公報
【特許文献8】特開平11−218267号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記問題を解決するために、加工が容易で、製品貯蔵中の自然収縮が少なく、直管はもちろんのことエルボや異径管等の結合が容易で、50〜120℃で収縮が可能で、収縮後は機械的強度、耐候性、耐薬品性、耐熱性とゴム弾性に優れた熱可塑性エラストマー製の熱収縮性管継ぎ手を提供することにある。
【0018】
【発明の目的】
本発明の目的は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、被接合管の材質や形状を選ばず、接着剤やゴム輪等の特別のシール材が不要で、短時間で容易に管接合ができ、接合後は充分な密封性、可とう性、機械的強度、耐候性を有し、且つリサイクルが可能な熱収縮性管継ぎ手と、熱収縮性管継ぎ手を用いた管接合部を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は次ぎの熱収縮性管継ぎ手、及び熱収縮性管継ぎ手を用いた管接合部である。
(1)100%引張応力が4.5MPaから15.0MPa、伸びが200%から1000%の熱可塑性エラストマーを使用してなる熱収縮性管継ぎ手であって、管継ぎ手の長さ(Le)、管継ぎ手の内径(De)、管継ぎ手を自由状態で熱収縮させた時の収縮後内径(Do)、収縮後肉厚(to)、被接合管外径(Dp)の関係が次ぎの式(1)〜(4)を満たす熱収縮性管継ぎ手。
1<(De)/(Dp)・・・▲1▼
1.2≦(Dp)/(Do)≦2.50・・・▲2▼
0.35≦(Le)/(Dp)≦3.0・・・▲3▼
0.005≦(to)/(Do) ≦ 0.2・・・▲4▼
(2)前記管継ぎ手の熱収縮温度が50〜120℃、熱収縮率が20%〜75%であることを特徴とする上記(1)記載の熱収縮性管継ぎ手。
(3)前記管継ぎ手が、架橋された平均粒径30μm以下の粒状ゴム(A)とビカット軟化点121〜180℃の熱可塑性樹脂(B)と融点50〜120℃の熱可塑性樹脂(C)、及び軟化剤(D)を含む熱可塑性エラストマーであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の熱収縮性管継ぎ手。
(4)前記管継ぎ手の架橋された粒状ゴム(A)が、エチレンと炭素原子数3〜20のα− オレフィンとからなるエチレン・α− オレフィン共重合体ゴム、またはエチレンと炭素原子数3〜20のα− オレフィンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α− オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムで、粒状ゴム(A)/オレフィン系樹脂(B)の重量比が75/25〜25/75(両者合計100重量部である)、(A)と(B)の合計量100重量部に対し融点50〜120℃の樹脂(C)を5〜70重量部および軟化剤(D)を5〜70重量部の割合で含むことを特徴とする上記(3)に記載の熱収縮性管継ぎ手。
(5)前記管継ぎ手のビカット軟化点121〜180℃の熱可塑性樹脂(B)が、高圧法または低圧法のいずれかによる、1種またはそれ以上のモノオレフィンの重合から得られる結晶性の高分子量固体樹脂であることを特徴とする上記(3)または(4)に記載の熱収縮性管継ぎ手。
(6)前記管継ぎ手の融点50〜120℃の熱可塑性樹脂(C)が、炭素原子数2〜12のα− オレフィンから選ばれる2種以上のα− オレフィンからなる共重合体である、上記(3)〜(5)のいずれかに記載の熱収縮性管継ぎ手。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱収縮性管継ぎ手と、被接合管とからなる耐内水圧が5kPa以上である管接合部。
(8)被接合管の外面がフラット形状のフラット管、若しくはスパイラル形状やリング形状の波付き管を、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱収縮性管継ぎ手を使用して接合した管接合部。
【0020】
上記のような、本発明に係わる熱収縮性管継ぎ手は、熱可塑性樹脂(B)のビカット軟化点未満、熱可塑性樹脂(C)の融点以上の温度で拡径された後に、熱可塑性樹脂(C)の融点未満の温度に冷却されることにより得ることができる。
【0021】
本発明に係る熱収縮性管継ぎ手は、特定の引張応力、伸び、寸法と収縮温度、熱収縮率と管接合時の耐内水圧を有する。
(i)使用する熱可塑性エラストマーの100%引張応力が4.5MPaから15
.0MPa、好ましくは5.0MPaから12.0MPa
(ii)使用する熱可塑性エラストマーの伸びが200%から1000%、好ましく
は250%から900%
(iii)熱収縮性管継ぎ手内径(De)と被接合管外径(Dp)の比(De)/(Dp)が1より大、好ましくは1.05から2.0、より好ましくは1.1〜1.8
(iv)被接合管外径(Dp)と、熱収縮性管継ぎ手を自由状態で熱収縮させた時の熱収縮後内径(Do)の比(Dp)/(Do)が1.20〜2.50、好ましくは1.25〜2.30より好ましくは、1.30〜2.00
(v)熱収縮性管継ぎ手の長さ(Le)と被接合管外径(Dp)の比[(Le)/ (Dp)]が0.35〜3.0、好ましくは0.40から2.5
(vi)熱収縮性管継ぎ手の熱収縮後肉厚(to)と熱収縮性管継ぎ手を自由状態で熱収縮させた時の熱収縮後内径(Do)の比[(to)/(Do)]が 0.0 05〜0.20、好ましくは0.01〜0.15
(vii)熱収縮温度が好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜110℃、より好ましくは60から100℃
(viii)熱収縮率が好ましくは20%〜75%、より好ましくは25%〜70%
(ix)被接合管を接合した時の耐内水圧が、好ましくは5kPa以上、より好ましくは10kPa以上を有する。
【0022】
使用する熱可塑性エラストマーの100%引張応力と伸びは、次ぎのようにして測定する。
熱可塑性エラストマー組成物を、プレス成形機を使用し、金型中で融点以上の温度(樹脂Bがポリプロピレンの場合190℃)で溶融状態(通常6分)まで加熱後、その温度で4分間加圧、次いで金型ごと冷却プレスに移し、加圧盤を水冷しながら金型を5分冷却し、20cm×20cm×2mmのプレスシートを調整する。このシートからJIS K6251記載の3号ダンベル試験を打ち抜き、同法記載の方法で測定する。
製品を使用する必要のある場合は、試験片を打ち抜く前に120℃のオーブンに20分間放置し延伸を除去後、一昼夜、室温中に放冷したものを使用する。
【0023】
熱収縮性管継ぎ手の熱収縮率と収縮温度は、次ぎのようにして測定する。
(1)熱収縮率
熱収縮性管継ぎ手の管軸と直角方向に、JIS K6251記載の3号ダンベル試験片を打ち抜き、次いでこの試験片の中央に20mmの標線を引き、50℃以上120℃以下の任意の温度に設定したオーブンに、収縮を妨げない方法で10分間放置後、オーブンから取りだし、表面が平らで平滑な台上に、室温で1時間放冷する。しかる後に、標線間距離(L1、単位はmm)を測定し以下の式(1)で、任意の各温度の熱収縮率を測定する。
次いで、得られた任意温度での収縮率から、温度・収縮率曲線を作成し、収縮率が平衡状態になった時の値(図1点C)を、熱収縮性管継ぎ手の熱収縮率とする。なお、3号ダンベル試験片が打ち抜けない場合は、近似の形状の試験片を使用する。
【0024】
【数1】
Figure 2005016602
(2)熱収縮温度
(1)で得られた収縮率が平衡状態になった時の温度(図1点D)を収縮温度とする。
【0025】
上記の熱収縮性管継ぎ手内径(De)、被接合管外径(Dp)、熱収縮性管継ぎ手を自由状態で熱収縮させた時の熱収縮後内径(Do)、管継ぎ手の長さ(Le)、管継ぎ手の収縮後肉厚(to)は次のようにして求められる。
(3)熱収縮性管継ぎ手内径(De)
管が円の場合は内径、楕円の場合は内短径と内長径の平均値、異形の場合は内周を実測し内径=内周実測値/πにより換算し求める。
(4)被接合管外径(Dp)
管が円で表面がフラットの場合は外径、管が円でスパイラル形状、リング形状等の凹凸を有する場合は最外周の径、管が楕円で表面が平滑の場合は外短径と外長径の平均値、管が異形の場合は最外周を実測し計算により、(3)と同様の方法で円の外径に換算し求める。
(5)熱収縮性管継ぎ手を自由状態で熱収縮させた時の熱収縮後内径(Do)
熱収縮性管継ぎ手に張力を与えること無く、収縮温度で収縮が平衡状態に達するまで加熱収縮させた後、上記(3)と同様の方法で内径を測定する。
(6)熱収縮性管継ぎ手の長さ(Le)
管軸方向の長さを測定し求める。管の断面が平坦でない時や管軸に対し直角でない場合は、管軸方向の長さの最小値を測定し求める。
(7)熱収縮性管継ぎ手の熱収縮後肉厚(to)
(5)と同様の方法で収縮させた後、肉厚を測定し平均値で求める。
【0026】
(8)管結合部の耐内水圧(P)
被接合管の外面がフラット形状のフラット管、若しくはスパイラル形状やリング形状の波付き管など、任意の形状で管の長さが熱収縮性管継ぎ手の長さ以上の被接合管2本を用意し、それぞれの一端をキャップ等でシールし、その内の1本に圧力計とバルブを有す注水管を接続、他の1本の上部に排水バルブを取りつけ、キャップが取りつけられていない方から、合わせ面が熱収縮性管継ぎ手の中央に来るように、熱収縮性管継手の両端から挿入し、熱風加熱機で熱収縮性管継の中央の合わせ面から、熱収縮性管継ぎ手両端方向に向かって、全周を均等に加熱し、熱収縮させて2本の被接合管を接合し試験体を作製する。この試験体を2時間、室温で状態調整した後、以下の方法で直線水圧試験を実施する。
排水バルブを開放状態で注水管から注水し、試験体内部を満水状態にした後、排水バルブを閉じて内水圧5kPaまで徐徐に昇圧した後、その圧力を3分間保持し漏水がないことを確認、以後5kPa毎、昇圧と3分間保持を繰り返し、3分間漏水しない最高の水圧を耐内水圧(kPa)とする。
【0027】
本発明に係る熱収縮性管継ぎ手を形成する熱可塑性エラストマーは、特定の100%引張応力と伸びと熱収縮率を有している。100%引張応力が4.5MPaから15.0MPaの範囲にあると、ジョイントの肉厚を広範囲に選べると共に良好な密封性、特に高い耐内水圧が得られる。伸びが200%から1000%の範囲にあると、熱収縮性を付与するための拡径が容易に、且つ広範囲の拡径率で行え、エルボや、小口径管と大口径管の異径管結合用の継ぎ手を容易に得ることが出来る。
【0028】
また、管継ぎ手の長さ(Le)、管継ぎ手の内径(De)、管継ぎ手を自由状態で熱収縮させた時の収縮後内径(Do)、収縮後肉厚(to)、被接合管外径(Dp)が規定の関係を満たすと、十分な強度、密封性と優れた施工性を有す管継ぎ手を、安価に生産できる。
【0029】
本発明に係わる熱収縮性管継ぎ手においては、熱収縮温度が50〜120℃であることが好ましい。熱収縮温度が50〜120℃の範囲にあると、従来製品よりも低温で収縮でき、ポリ塩化ビニル管や低密度ポリエチレン管など、融点の低い樹脂管への適用も可能になり、利用範囲が広い。また加熱熱量の低減効果から加熱収縮装置の小型化や施工時間の大幅な短縮が可能になる。更に貯蔵時の自然収縮が少なく、施工トラブルが防止できる。
【0030】
本発明に係わる熱収縮性管継ぎ手においては、熱収縮率が20%〜75%であることが好ましい。熱収縮率が20%〜75%の範囲にあると、作業性がよく、十分な密封性が得られるばかりでなく、スパイラルまたはリング状の波付管に使用した時、ジョイントが溝部に十分嵌まり込み強固な結合ができる。 なお、75%以上の範囲については、拡径率を300%(元チューブ内径の4倍)以上にする必要があり、拡径時のチューブの切断が多発し、生産が難しい。
【0031】
本発明で用いられる架橋された粒状ゴム(A)の原料ゴムとしては、公知の方法で架橋することが可能なゴムが制限無く使用できるが、エチレン・α−オレフィン共重合体体ゴムまたはエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムが好ましく、特にエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムが好ましい。
【0032】
架橋された粒状ゴム(A)の原料ゴムとして用いられる、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムないしエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを製造する際のα−オレフィンとしては炭素原子数3〜20、好ましくは3〜10である。具体的なものとしてはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどがあげられる。これらの中ではプロピレン、1−ブテンが好ましい。すなわち、架橋された粒状ゴム(A)の原料としては、エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴム、エチレン・1−ブテン・非共役ポリエン共重合体ゴムが好ましく、特にエチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴムが好ましく用いられる。
【0033】
架橋された粒状ゴム(A)の原料ゴムとして用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、ないしエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、エチレンとα−オレフィンに由来する構造単位のモル比(エチレン/α−オレフィン)が好ましくは55/45〜85/15、より好ましくは60/40〜80/20の範囲にある。
【0034】
架橋された粒状ゴム(A)の原料ゴムとして用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを製造する際の非共役ポリエンとしては、環状あるいは鎖状の非共役ポリエンが用いられる。環状非共役ポリエンとしては、たとえば5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニ−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデンなどが挙げられる。また、鎖状の非共役ポリエンとしては、たとえば1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエンなどが挙げられる。これらの非共役ポリエンは、単独あるいは2種以上混合して用いられ、その共重合量は、ヨウ素価表示で好ましくは1〜40、より好ましくは3〜35、より好ましくは3〜30である。
【0035】
架橋された粒状ゴム(A)の原料ゴムとして用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定した極限粘度[η]は、好ましくは0.8〜6.0dl/g、より好ましくは1.0〜5.0dl/g、より好ましくは1.5〜4.0dl/gの範囲にある。
【0036】
上記のような特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、ないしエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、「ポリマー製造プロセス((株)工業調査会発行)」、309〜330頁などに記載されるている従来公知の方法により調製することができる。
【0037】
架橋された粒状ゴム(A)の原料ゴムとしては、上記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、ないしエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体以外のポリマーを用いることもでき、例えば天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、水添NBRなどが挙げられる。これらは単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできるし、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムと併用することも出来る。
【0038】
架橋された粒状ゴム(A)の粒子を均一に分散させる方法としては、例えば架橋された粒状ゴム(A)の原料ゴムである非架橋のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体とビカット軟化点121〜180℃のオレフィン系樹脂(B)と架橋剤、その他の配合剤を二軸押出機、バンバリーミキサーなどにより混練し、当該装置中または他の混練機中で、高温でエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの平均粒径が30μm以下となるように動的架橋する方法、架橋された粒状ゴム(A)の原料ゴムである非架橋のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に架橋剤、その他の配合剤等を混合後架橋し、架橋物を平均粒径が30μm以下となるようにコロイドミル等で粉砕した後、この粒子を二軸押出機、バンバリーミキサーなどによりビカット軟化点121〜180℃のオレフィン系樹脂(B)および融点50〜120℃の樹脂(C)と混練する方法等があげられる。もちろん、本発明の熱収縮性管継ぎ手の製造方法が上述の方法に限定されるわけではない。
【0039】
架橋された粒状ゴム(A)の平均粒子径は30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下が、良好な熱収縮性管継ぎ手の表面平滑性と機械的強度を維持するために望ましい。
【0040】
本発明で用いられるオレフィン系樹脂(B)のビカット軟化点は121〜180℃、好ましくは125〜165℃であり、1種またはそれ以上のモノオレフィンの重合から得られる結晶性の高分子量固体樹脂で、MFR(ASTM D1238−65T,230℃)が通常0.1〜100g/10分、特に0.5〜70g/10分の範囲に有る事が好ましい。 前記結晶性ポリオレフィン樹脂は組成物の流動性及び機械的強度を向上させる役目を持ち、代表例としてはポリエチレン、ポリプロピレンを挙げる事が出来るが、ポリプロピレンが特に好ましい。
【0041】
本発明で用いられる融点50〜120℃の樹脂(C)は、α−オレフィンの単独重合体又は共重合体、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン等を挙げることが出来る。
【0042】
本発明で樹脂(C)に用いられる オレフィン系樹脂の重合形式はランダム重合又はブロック重合の何れでも良い。ランダム重合体の場合、少ない方のα−オレフィン構成単位が通常40モル%以下、好ましくは30モル%以下で含まれているα−オレフィン共重合体が望ましい。
【0043】
α−オレフィンとしては炭素数2〜12、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。これらの中ではエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン等が好ましい。
【0044】
単独重合体としてはエチレンまたは1−ブテンの単独重合体が好ましく、α−オレフィンの共重合体としては、好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは2〜10のα−オレフィンから選ばれる2種以上のα−オレフィンが共重合されたα−オレフィン共重合体が挙げられ、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンと炭素数2〜10のα−オレフィンとの共重合体、1−ブテンと炭素数2〜10のα−オレフィンとの共重合体、特に結晶性のα−オレフィン共重合体が好ましい。
【0045】
ポリスチレンの場合は、スチレンの単独重合体、スチレンとアクリロニトリル、メタクリル酸メチル、α−メチルスチレンなどとの共重合体が好ましい。
【0046】
ABS樹脂の場合は、アクリロニトリル構成単位を20〜35モル%、ブタジエン構成単位を20〜30モル%、スチレン構成単位を40〜60モル%含有するABS樹脂が好ましい。
【0047】
本発明で用いられる樹脂(C)としては、融点が50〜120℃、好ましくは60〜115℃のものが制限無く使用できる。融点が50〜120℃にある樹脂(C)を使用するので、低温でしかも短時間で形状回復させることができるとともに、貯蔵時の自然回復が少ない熱収縮性管継ぎ手を得ることができる。
【0048】
本発明の熱収縮性管継ぎ手における、架橋された粒状ゴム(A)とオレフィン系樹脂(B)の重量比は75/25〜25/75、好ましくは70/30〜30/70、さらに好ましくは65/35〜35/65であるのが望ましい(両者合計100重量部である)。架橋された粒状ゴム(A)とオレフィン系樹脂(B)の重量比が上記割合にあるので、成形性と柔軟性、ゴム弾性、機械的強度と耐内水圧性の優れた熱収縮性管継ぎ手を得ることができる。
【0049】
本発明の熱収縮性管継ぎ手における融点が50〜120℃にある樹脂(C)の含有量は、架橋された粒状ゴム(A)とオレフィン系樹脂(B)の合計量100重量部に対し5〜70重量部、好ましくは5〜60重量部、さらに好ましくは10〜50重量部であることが望ましい。樹脂(C)の含有量が上記割合にあるので、貯蔵中の自然回復が防止され、ゴム弾性及び回復率に優れ、しかも永久歪の小さい熱収縮性管継ぎ手を得ることが出来る。
【0050】
本発明の熱収縮性管継ぎ手における軟化剤(D)の含有量は、架橋された粒状ゴム(A)とオレフィン系樹脂(B)の合計量100重量部に対し5〜70重量部、好ましくは10から65重量部であることが望ましい。
【0051】
本発明の軟化剤(D)としては、たとえば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、密ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩、ナフテン酸またはその金属石鹸、パイン油、ロジンまたはその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤、ジイソドデシルカーボネート等の炭酸エステル系可塑剤、その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。中でも石油系軟化剤と炭化水素系合成潤滑油が好ましい。
【0052】
本発明の架橋された粒状ゴム(A)を製造する際に用いられる架橋剤としては、有機過酸化物、イオウ系化合物、及びゴム工業界で日常的に使用されるものを挙げることができる。有機過酸化物としては、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5− ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ジブチルヒドロペルオキシドなどが挙げられる。中でも、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが好ましく用いられる。
【0053】
有機過酸化物は、架橋された粒状ゴム(A)として用いる原料ゴム100gに対して、通常1×10−3 〜3×10−2モル、好ましくは2×10−3〜2×10−2モルの割合で用いられる。
【0054】
架橋剤として有機過酸化物を使用する場合は、架橋助剤の併用が好ましい。架橋助剤としては、たとえば、硫黄;p−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の(メタ)アクリル系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系化合物;その他マレイミド系化合物、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0055】
このような架橋助剤は、使用する有機過酸化物1モルに対し、0.5〜2モル、好ましくは等モルの割合で使用する。
【0056】
イオウ系化合物としては、たとえばイオウ、塩化イオウ、二塩化イオウ、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレンなどが挙げられる。中でも、イオウが好ましい。
【0057】
イオウ系化合物は、架橋された粒状ゴム(A)として用いるゴム100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは1.0〜3.0重量部の割合で用いられる。
【0058】
架橋剤としてイオウ系化合物を使用する場合には、加硫促進剤の併用が好ましい。加硫促進剤としては、たとえば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルフォリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジル−ジスルフィド等のチアゾール系化合物;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン等のグアニジン系化合物;アセトアルデヒド−アニリン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物等のアルデヒドアミン系化合物;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア等のチオウレア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;その他酸化亜鉛などを挙げることができる。
【0059】
これらの加硫促進剤は、架橋された粒状ゴム(A)として用いる原料ゴム100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の割合で用いられる。
【0060】
本発明に係る熱収縮性管継ぎ手の成分として、上述したような架橋剤、架橋助剤、加硫剤、加硫促進剤により架橋された粒状ゴム(A)とビカット軟化点121〜180℃のオレフィン系樹脂(B)および融点50〜120℃の樹脂(C)と軟化剤の他に必要により、その他の従来公知の配合剤、たとえば補強剤、充填剤、加工助剤、顔料、老化防止剤、発泡剤等の通常ゴムや熱可塑性樹脂の製造に使用される配合剤が本発明の目的を損なわない範囲で使用される。
【0061】
前記補強剤としては、たとえばSRF、GPF、FEF、MAF、ISAF、SAF、FT、MT等の各種カーボンブラック、微粉ケイ酸などが適宜用いられる。
【0062】
充填剤としては、たとえば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが用いられる。
【0063】
これらの補強剤および充填剤は、架橋された粒状ゴム(A)とビカット軟化点121〜180℃のオレフィン系樹脂(B)と融点50〜120℃の樹脂(C)の合計量100重量部に対し5〜50重量部、好ましくは10〜45重量部の割合で用いられる。
【0064】
前記加工助剤としては、通常のゴムや熱可塑性樹脂の加工に使用される加工助剤を使用することができる。このような加工助剤としては、たとえばリシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸塩;リシノール酸エステル、ステアリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ラウリン酸エステル等の高級脂肪酸エステル類などが挙げられる。
【0065】
加工助剤は、通常、架橋された粒状ゴム(A)とビカット軟化点121〜180℃のオレフィン系樹脂(B)と融点50〜120℃の樹脂(C)の合計量100重量部に対し約10重量部以下、好ましくは約0.5〜5重量部の割合で用いるのが望ましい。
【0066】
顔料としては、従来公知の無機顔料(たとえばチタンホワイト)および有機顔料(たとえばナフトールグリーンB)が使用される。
【0067】
顔料は、架橋された粒状ゴム(A)とビカット軟化点121〜180℃のオレフィン系樹脂(B)と融点50〜120℃の樹脂(C)の合計量100重量部に対し、通常は最大50重量部、好ましくは最大40重量部の量で用いられる。
【0068】
前記老化防止剤としては、たとえば、フェニルブチルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等の芳香族第二アミン系安定剤、ジブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン等のフェノール系安定剤、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系安定剤、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系安定剤などが挙げられる。
【0069】
老化防止剤は、単独あるいは2種以上の組み合わせて用いることができる。このような老化防止剤は、架橋された粒状ゴム(A)とビカット軟化点121〜180℃のオレフィン系樹脂(B)と融点50〜120℃の樹脂(C)の合計量100重量部に対し、通常0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部の割合で用いられる。
なお、本発明に係る熱収縮性管継ぎ手は、老化防止剤を使用しなくても、優れた耐熱性、耐久性を示すが、さらに老化防止剤を使用すれば、製品寿命を長くすることが可能である。
【0070】
本発明に係る熱収縮性管継ぎ手は、非発泡体であってもよいし、また発泡体であってもよい。発泡体形成に際して使用される発泡剤としては、超臨界炭酸ガスや水などの物理的発泡剤や市販の化学発泡剤の何れもが好適に使用することができる。化学発泡剤としては、たとえば、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機系発泡剤;N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルフォニルヒドラジド)ジフエニルスルフォン−3,3’−ジスルフェニルヒドラジド等のスルフォニルヒドラジド化合物、カルシウムアジド、4,4’−ジフェニルジスルホニルアジド、パラトルエンスルホニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。なかでも、アゾ化合物、スルフォニルヒドラジド化合物、アジド化合物が好適に使用される。
【0071】
発泡剤の配合量は、加硫発泡後の発泡体の比重が0.01〜0.8になるよう適宜選択されるが、架橋された粒状ゴム(A)とビカット軟化点121〜180℃のオレフィン系樹脂(B)と融点50〜120℃の樹脂(C)の合計量100重量部に対し通常0.5〜40重量部、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは2〜25重量部の割合で用いるのが望ましい。
【0072】
また、必要に応じて発泡剤とともに発泡助剤を併用しても差し支えない。発泡助剤の添加は、発泡剤の分解温度の調節、気泡の均一化などに効果がある。発泡助剤としては、たとえばサリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、シュウ酸等の有機酸、尿素およびその誘導体などが挙げられる。
【0073】
[熱収縮性管継ぎ手の調製]
本発明に係る熱収縮性管継ぎ手は、たとえば次のような方法で調製することができる。すなわち、本発明に係る熱収縮性管継ぎ手の必須成分である架橋された粒状ゴム(A)として用いられる、例えば非架橋のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムと、ビカット軟化点121〜180℃のオレフィン系樹脂(B)と軟化剤(D)と、架橋剤、その他の配合剤を二軸押出機、バンバリーミキサーなどにより、オレフィン系樹脂(B)の融点以上で混練し、当該装置中または他の混練機中で、高せん断下、架橋剤反応温度以上で動的に架橋し、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムが、平均粒径30μm以下の架橋された粒状ゴム(A)の状態で、オレフィン系樹脂(B)中に均一に分散した組成物となるように混練する。軟化剤は非架橋のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム中に予め油展しておくと、混練性が改良され好ましい。
【0074】
次いで、当該組成物に融点50〜120℃の樹脂(C)と必要に応じ軟化剤等を二軸押出機、バンバリーミキサーなどにより混練し、ペレタイザーによりペレット化し、ペレット状の熱収縮性管継ぎ手用の熱可塑性エラストマーを調製する。もちろん、本発明に使用する熱可塑性エラストマーの製造方法が上述の方法に限定されるわけではない。
【0075】
このようにして調製された熱収縮性管継ぎ手用の熱可塑性エラストマーは、押出機、カレンダーロール、プレス、射出成形機、トランスファー成形機などにより、オレフィン系樹脂(B)の融点以上の温度で所望の形状に成形され、熱収縮性管継ぎ手用成形体となる。
【0076】
熱収縮性管継ぎ手用成形体は、前記の熱可塑性エラストマーから得られる成形体であり、熱収縮性は次の方法により付与することが出来る。先ず熱収縮性管継ぎ手用成形体をオレフィン系樹脂(B)のビカット軟化点以下の温度で拡径または延伸する。例えば、チューブ、シートまたはロッドの成形体を、室温から120℃未満の温度で拡径または延伸を行う。次ぎに拡径または延伸した状態で樹脂(C)の融点以上、オレフィン系樹脂(B)のビカット軟化点未満の温度雰囲気下、好ましくは樹脂(C)の融点+10℃以上、オレフィン系樹脂(B)のビカット軟化点−10℃未満に、1〜60分間、好ましくは3〜40分間保持し、その後拡径または延伸状態のまま樹脂(C)の融点未満に冷却する。冷却方法は、放冷、水冷、空冷等、特に制限はない。
【0077】
上記のようにして得られた本発明の熱収縮性管継ぎ手は、拡径または延伸のために加えた力を除いても、拡径や延伸された形状が保持される。
【0078】
上記のようにして得られた、本発明の熱収縮性管継ぎ手を再び樹脂(C)の融点以上の温度雰囲気下に置くと、拡径や延伸前の熱収縮性管継ぎ手用成形体に戻ろうとし、熱収縮する。本発明に係る熱収縮性管継ぎ手は、たとえば拡径後の形状が内径の大きいチューブ状のエラストマー成形体であり、拡径前の形状がこの内径よりも小さいチューブ状エラストマー成形体である場合、チューブ状エラストマー成形体の収縮と膨張を繰り返すことが可能である。
【0079】
このような効果を有する熱収縮性管継ぎ手を提供することができる理由は明確ではないが、次のように推察される。すなわち、架橋された粒状ゴム(A)とビカット軟化点121〜180℃のオレフィン系樹脂(B)からなる熱可塑性エラストマー中のオレフィン系樹脂成分中に、融点50〜120℃の樹脂(C)が微粒子状に点在し、オレフィン系樹脂(B)のビカット軟化点未満、樹脂(C)の融点以上の温度で熱可塑性エラストマーが拡径や延伸されると、樹脂(C)が変形方向に伸ばされ、冷却と共に伸縮性を失い、これがゴム弾性(形状回復性)を妨げる。形状回復時には、樹脂(C)が溶融し緊張が解かれ元の状態に戻る。元の状態に戻った樹脂(C)は、熱収縮性管継ぎ手中の充填材として働くため、収縮後の管継ぎ手は、使用温度下では高いゴム弾性を発現する。
【0080】
本発明の熱収縮性管継ぎ手は、架橋された粒状ゴム(A)または軟化剤を含んだ粒状ゴム(A)を、ビカット軟化点121〜180℃のオレフィン系樹脂(B)と融点50〜120℃の樹脂(C)、又はビカット軟化点121〜180℃のオレフィン系樹脂(B)と融点50〜120℃の樹脂(C)と軟化剤(D)中に微細に分散した高ゴム弾性の熱可塑性エラストマーで、耐熱性のコントロールをビカット軟化点121〜180℃のオレフィン系樹脂、熱収縮温度のコントロールを融点50〜120℃の樹脂(C)により行っているので使い勝手が良く、しかも加硫ゴム並みの高ゴム弾性を有している。
【0081】
本発明の架橋された粒状ゴムの平均粒子径、樹脂の融点、ビカット軟化点は次ぎの方法により求められた値である。
(1)粒状ゴムの平均粒子径
電子顕微鏡により、熱可塑性エラストマー組成物の断面を5000倍に拡大した写真を撮影し、画像解析装置により、分散した架橋ゴム成分の平均粒径を測定する。
【0082】
(2)樹脂の融点(DSC法)
樹脂の融点は、DSCを使用し、室温から200℃まで昇温して10分間保持した後、−40℃まで冷却し、その後−40℃から200℃まで昇温した時の吸熱ピークの頂点(または最下点)の温度で表示する。昇温速度は10℃/minとする。
【0083】
(3)ビカット軟化点
ASTM D1525により測定した。
【0084】
本発明の熱収縮性管継ぎ手は上記のような特性を有するので、チューブ、シート、またはロッド状の熱収縮性管継ぎ手として好適に用いることが出来る。
【0085】
本発明の熱収縮性管継ぎ手は、チューブ、シート、またはロッド状の熱収縮性管継ぎ手などとして、フラット形状、リング形状、スパイラル形状をした管のジョイント、エルボ、チーズや異種異径管のジョイント等に広く利用することが出来る。
【0086】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0087】
(実施例1)
架橋された粒状ゴム(A)用の原料ゴムとして、エチレン含量が78モル%、ヨウ素価13、極限粘度[η]が3.3dl/gであるエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム[EPT−1]100重量部に、鉱物油系軟化剤(D)(出光興産製ダイナプロセスオイルPW−380)40重量部をブレンドしたEPTペレット140重量部、オレフィン系樹脂(B)としてポリプロピレンペレット[PP−1:商品名三井住友ポリプロE121WA(三井住友ポリオレフィン製)、ビカット軟化点155℃]120重量部と、架橋剤1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン1.5重量部と架橋助剤ジビニルベンゼン1.5重量部の混合溶液を、ヘンシェルミキサー中で均一に混合した。
【0088】
次に、この架橋剤と架橋助剤が表面に付着したペレットを2軸押出機(東芝機械(株)製TEM−50)を用いて230℃で押出して、動的な熱処理を行い、PP中にEPTの架橋された粒状ゴム(A)を均一に分散させた組成物を得た。
【0089】
次ぎに、この組成物中の(A)と(B)の合計量100重量部に対し樹脂(C)としてのエチレン・1−ブテン共重合体[EBR−1:エチレン含有量90モル%、1−ブテン含有量10モル%、融点82℃]25重量部を、前述の2軸押出機を用いて230℃で押出し、ペレタイザーを通し、ペレット状の熱収縮性管継ぎ手用の熱可塑性エラストマーを得た。
【0090】
この熱可塑性エラストマーのメルトフローレートをASTM−D−1238−65Tに従い、230℃、2.16kg荷重で測定した。またこの組成物を熱盤190℃のプレス成形機で予め加熱しておいた金型内に入れ、上金型の自重で押さえながら6分加熱し溶融させた後、50トンの荷重をかけ4分間加熱後、金型に入ったままの組成物を5分間水冷プレスで冷却し、200mmx200mmx2mmのシートを作製し、100%引張応力と伸びをJIS K6251の方法で測定した。
【0091】
また同一のペレット状の熱可塑性エラストマーを、単軸押出機[日本製鋼所(株)P50−32ABV)]を用いて190℃で押出し、内径40mm、厚さ2.5mmのチューブを得た。このチューブを室温で1昼夜放冷後、長さ110mmのチューブを2個切り取り、熱収縮性管継ぎ手用成形体とした。
【0092】
この熱収縮性管継ぎ手用成形体2個をそれぞれ、120℃10分間オーブン中で予熱後、外径20mmの2本ローラーからなる拡径機を使用し、拡径率100%(元内径の2倍)まで延伸拡径し、その状態で120℃のオーブン中で10分間保持、その後、拡径機に取り付けたままの状態で、20℃の冷風に10分間曝し、熱収縮性を付与した。しかる後、拡径機から取り外し1昼夜室温中に放置後、長さ90mmに切断して熱収縮性管継ぎ手2個を得た。
【0093】
この熱収縮性管継ぎ手の1個を使用し、前述の方法に従って熱収縮率、収縮温度、熱収縮性管継ぎ手の収縮後内径(Do)と熱収縮性管継ぎ手の収縮後肉厚(to)を測定した。他の1個の熱収縮性管継ぎ手の内径(De)と熱収縮性管継ぎ手の長さ(Le)を測定後、被接合管として外径(Dp)60mm、管肉厚(tp)4.1mm、長さ200mmの硬質塩化ビニル管(JIS K6741 VP50)2個を用意し、それぞれの一端をキャップでシールし、その内の一つに圧力計とバルブを有す注水管を接続、他の一つに排水バルブを取りつけ、キャップが取りつけられていない方から、合わせ面が熱収縮性管継ぎ手の中央に来るように、管継手の両端から挿入し、1020Wの熱風加熱機で2分間、中央の合わせ面から熱収縮性管継ぎ手両端方向に向かって、全周を均等に加熱し、熱収縮させて被接合管を接合し試験体を作製した。
【0094】
この熱収縮性管継ぎ手で接合した試験体を2時間、室温で状態調整した後、以下の方法で直線水圧試験を実施した。排水バルブを開放状態で注水管から注水し、試験体内部を満水状態にした後、排水バルブを閉じて内水圧5kPaまで徐徐に昇圧した後、その圧力を3分間保持し漏水がないことを確認、以後5kPa毎、昇圧と3分間保持を繰り返し、漏水しない最高の水圧を耐内水圧とし、結果を表1に示す。
【0095】
(実施例2)
実施例1においてポリプロピレンペレット[PP−1]を150重量部使用した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0096】
(実施例3)
実施例1においてポリプロピレンペレット[PP−1]を90重量部使用した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0097】
(実施例4)
実施例1においてポリプロピレンペレット[PP−1]を60重量部使用した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0098】
(実施例5)
実施例1において、架橋された粒状ゴム(A)用の原料ゴムとして、エチレン含量が63モル%、ヨウ素価22、極限粘度[η]が3.0dl/gであるエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(EPT−2)100重量部に、鉱物油系軟化剤(出光興産製ダイナプロセスオイルPW−380)40重量部をブレンドした油展EPT140重量部と、オレフィン系樹脂(B)(PP−1)90重量部を予め密閉式混合機[神戸製鋼(株)ミクストロンBB16]で混合し、粉砕機でペレット状にしたものを使用し、樹脂(C)としてエチレン・1−ブテン共重合体[EBR−2:エチレン含有量85モル%、1−ブテン含有量15モル%、融点59℃]を、(A)と(B)の合計量100重量部に対し25重量部使用した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0099】
(実施例6)
実施例1において、架橋された粒状ゴム(A)用の原料ゴムとして、エチレン含量が78モル%、ヨウ素価12、極限粘度[η]が4.1dl/gであるエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(EPT−3)100重量部に、鉱物油系軟化剤(D)(出光興産製ダイナプロセスオイルPW−380)70重量部をブレンドした油展EPT170重量部と、オレフィン系樹脂(B)としてのPP−1 120重量部を予め密閉式混合機[神戸製鋼(株)ミクストロンBB16]で混合し、粉砕機でペレット状にしたものを使用した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0100】
(実施例7)
実施例1において、熱収縮性管継ぎ手用成形体の内径228mm、厚さ3.5mm、長さ375mmとし、120℃10分間オーブン中で予熱後、外径40mmの2本ローラーからなる拡径機を使用し、拡径率100%(元内径の2倍)まで延伸拡径し、20℃の冷風に10分間曝し、熱収縮性を付与した内径433mm、長さ312mm、肉厚2.9mmの管継手2個を作製した。
この熱収縮性管継ぎ手の1個を使用し、被接合管として吸水管と排水バルブが取りつけられている外径(Dp)345mm、管肉厚(tp)3.0mm、長さ500mmの、外面がリング形状をしたポリエチレン製波付管を使用し、合わせ面が熱収縮性管継ぎ手の中央に来るように、管継手の両端から挿入し、灯油燃焼式ジェットヒーター(オリオン機械社製)で3分間、中央の合わせ面から熱収縮性管継ぎ手両端方向に向かって、全周を均等に加熱し、熱収縮させて被接合管を接合し試験体を作製した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0101】
(実施例8)
実施例1において、熱収縮性管継ぎ手の長さを40mmにした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0102】
(実施例9)
実施例1において、熱収縮性管継ぎ手用成形体の厚さを1.0mmにした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0103】
(実施例10)
実施例1において、熱収縮性管継ぎ手用成形体の厚さを5.0mmにした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0104】
(実施例11)
実施例1において、オレフィン系樹脂(B)としてポリプロピレンペレット[PP−2:商品名三井住友ポリプロB241(三井住友ポリオレフィン製)、ビカット軟化点135℃]、樹脂(C)として1−ブテン・エチレン共重合体[BER:1−ブテン含有量99モル%、エチレン含有量1モル%、融点112℃]を50重量部用いた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0105】
(比較例1)
実施例1において、粒状ゴム(A)を78重量部、オレフィン系樹脂(B)としてプロピレン・1−ブテン共重合体[PBR:プロピレン含有量88モル%、1−ブテン含有量12モル%、ビカット軟化点114℃]を22重量部、鉱物油系軟化剤(D)を(A)+(B)100重量部に対し、90重量部用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
100%引張応力、(Dp)/(Do)と収縮率が共に低く、十分な締め付け力が得られず,耐内水圧は著しく低かった。
【0106】
(比較例2)
実施例1において、樹脂(C)を使用しない以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。樹脂(C)を使用していないため、拡径装置から取り外した時点で収縮し、樹脂管を挿入できなかった。
【0107】
(比較例3)
実施例1において、熱収縮性管継ぎ手用成形体の内径を50mmにした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。(Dp)/(Do)が小さく、耐内水圧は著しく低かった。
【0108】
(比較例4)
実施例1において、熱収縮性管継ぎ手の長さ(Le)を15mmにした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。(Le)/(Dp)が小さく、耐内水圧は著しく低かった。
【0109】
(比較例5)
実施例1において、厚さ0.25mmのチューブを使用し、熱収縮性管継ぎ手の厚さ(to)を0.2mmにした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。(to)/(Do)が小さく、耐内水圧は著しく低かった。
【0110】
(比較例6)
実施例1において、樹脂(C)として低密度ポリエチレン[L−LDPE:商品名エボリューSP2520、融点122℃(三井住友ポリオレフィン製)]を用い、120℃10分間オーブン中で予熱後、外径20mmの2本ローラーからなる拡径機を使用し、拡径率100%(元内径の2倍)まで延伸拡径し、その状態で120℃のオーブン中で10分間保持、その後、拡径機に取り付けたままの状態で、20℃の冷風に10分間曝し、熱収縮性を付与した以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。高い収縮温度を必要とし、管継手を熱収縮する時に被接合管が変形した。また収縮率が小さく、収縮後の結合力が弱いために耐内水圧は著しく低かった。
【0111】
(比較例7)
実施例1において、粒状ゴム(A)を80重量、オレフィン系樹脂(B)を20重量部、軟化剤(D)を無しに変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。伸びが小さく拡径時の破断が多発した。得られた管継手は100%引張応力が小さく、耐内水圧は著しく低かった。
【0112】
【表1】
Figure 2005016602
【0113】
【表2】
Figure 2005016602
【発明の効果】
【0114】
本発明によれば、加工が容易で、製品貯蔵中の自然収縮が少なく、直管や異径管との結合が容易であり、50〜120℃の温度で収縮が可能であり、収縮後は機械的強度、耐候性、耐薬品性、耐熱性、ゴム弾性に優れた熱可塑性エラストマー製の熱収縮性管継ぎ手が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の収縮温度を算出時に使用する温度−収縮率曲線である。
【図2】フラット形状管の接合
【図3】リング形状管の接合
【符号の説明】
図1において、線Aは各温度における収縮率、線Bは収縮率曲線の最大勾配の接線、線Cは収縮率が平衡に達した部分の接線、線Dは線Bと線Cの交点を温度軸に垂直に下した線。点Cが当該材料の収縮率、点Dが線BとCの交点から求められる収縮温度である。
図2においてA,Bは被接合管、Cは突き合わせ面、Dは継ぎ手。
点線は熱収縮前の継ぎ手。
図3においてA,Bは被接合管、Cは突き合わせ面、Dは継ぎ手。
点線は熱収縮前の継ぎ手。

Claims (8)

  1. 100%引張応力が4.5MPaから15.0MPa、伸びが200%から1000%の熱可塑性エラストマーを使用してなる熱収縮性管継ぎ手であって、管継ぎ手の長さ(Le)、管継ぎ手の内径(De)、管継ぎ手を自由状態で熱収縮させた時の収縮後内径(Do)、収縮後肉厚(to)、被接合管外径(Dp)の関係が下記式▲1▼〜▲4▼を満たす熱収縮性管継ぎ手。
    1<(De)/(Dp) …▲1▼
    1.2≦(Dp)/(Do)≦2.5 …▲2▼
    0.35≦(Le)/(Dp)≦3.0 …▲3▼
    0.005≦(to)/(Do) ≦ 0.2 …▲4▼
  2. 前記管継ぎ手の熱収縮温度が50〜120℃、熱収縮率が20%〜75%であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性管継ぎ手。
  3. 前記管継ぎ手が、架橋された平均粒径30μm以下の粒状ゴム(A)と、ビカット軟化点121〜180℃の熱可塑性樹脂(B)と、融点50〜120℃の熱可塑性樹脂(C)、及び軟化剤(D)を含む熱可塑性エラストマーであって、粒状ゴム(A)/オレフィン系樹脂(B)の重量比が75/25〜25/75(両者合計100重量部である)、(A)と(B)の合計量100重量部に対し融点50〜120℃の樹脂(C)を5〜70重量部、および軟化剤(D)を5〜70重量部の割合で含むことを特徴とする請求項1または2に記載の熱収縮性管継ぎ手。
  4. 前記管継ぎ手の架橋された粒状ゴム(A)が、エチレンと炭素原子数3〜20のα− オレフィンとからなるエチレン・α− オレフィン共重合体ゴム、またはエチレンと炭素原子数3〜20のα− オレフィンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α− オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを原料とすることを特徴とする請求項3に記載の熱収縮性管継ぎ手。
  5. 前記管継ぎ手のビカット軟化点121〜180℃の熱可塑性樹脂(B)が、高圧法または低圧法のいずれかによる、1種またはそれ以上のモノオレフィンの重合から得られる結晶性の高分子量固体樹脂であることを特徴とする請求項3または4に記載の熱収縮性管継ぎ手。
  6. 前記管継ぎ手の融点50〜120℃の熱可塑性樹脂(C)が、炭素原子数2〜12のα− オレフィンから選ばれる2種以上のα− オレフィンからなる共重合体である請求項3〜5のいずれかに記載の熱収縮性管継ぎ手。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性管継ぎ手で被接合管を接合した時の耐内水圧が、5kPa以上であることを特徴とする管接合部。
  8. 被接合管の外面がフラット形状のフラット管、若しくはスパイラル形状やリング形状の波付き管を、請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性管継ぎ手を使用して接合した管接合部。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023160440A1 (zh) * 2022-02-25 2023-08-31 浙江脉通智造科技(集团)有限公司 热缩管的制备方法

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