以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図36は本発明の一実施形態によるエンジン駆動式空気調和装置を説明するためのものであり、図1〜図4は該装置の正面図,背面図,右側面図(図2のIII-III 線断面図),左側面図(図2のIV-IV 線断面図)、図5は室外熱交換室の床面の平面模式図、図6は機関室及び配管室の断面平面模式図、図7,図8はエンジンの一部断面右側面図,図9は一部断面正面図、図10は潤滑油の流れを示す図,図11はオイル分離室を示す図、図12は吸気,排気系を示す図、図13はエアクリーナ,吸気管接続要領を示す断面正面図、図14〜17は各種配管系を説明するための図、図18〜30は各要部を示す図、図31〜34は全体構成図、図35はフローチャート図、図36は給水口部分の模式図である。
本実施例装置の全体構成を線図で示す図31において、1はエンジン駆動式空気調和装置であり、これは室外空調ユニット2と、室内空調ユニット3とで構成されている。上記室内空調ユニット3は冷媒用室内熱交換器4,減圧用の膨張弁18,及び図示しない室内熱交換用送風ファンとを備えている。上記室外空調ユニット2は、エンジン5,圧縮機6,6等が配設された機関室7と、メインアキュムレータ8,サブアキュムレータ9,電装ボックス50,及び各機器同士を接続する管路等が配設された配管室10と、冷媒用室外上部,下部熱交換器11,12及びエンジン冷却水用熱交換器(温水熱交換器)13等が配設された室外熱交換室14とを備えている。なお、上部熱交換器11は図4で分かる通り、2個の対称のものを逆置配置しているが、図31においては便宜的に一つのみ表示している。
上記エンジン5は水冷式ガス燃料エンジンであり、該エンジン5の吸気ポートには吸気管21aが接続され、該吸気管21aにはガスミキサ21b,エアクリーナ21cが介設されており、該吸気管21aは機関室7の天壁及び上記室外熱交換室14の天壁を貫通して外部に開口している。なお、上記吸気管21aは後述するように、機関室7内で開口させても良い。
上記ガスミキサ21bはガス管路22dにより端子室22内において外部のガス燃料源からの供給管に接続される。該ガス管路22dにはガスミキサ21bに一体化された流量制御弁22a,ゼロガバナ(減圧弁)22b,及び2個の電磁弁22cが介設されている。また上記エンジン5の排気ポートには排気管23aが接続され、該排気管23aには排気ガス熱交換器23b,排気サイレンサ23c,ミストセパレータ23dが介設されており、該排気管23aは熱交換室14の外方に開口している。なお、ミストセパレータ23dは図12について後述するように、熱交換室14の天壁の外側に配置しても良い。また、24aは潤滑油を貯溜するオイルタンクであり、オイルパン内の潤滑油量が減少すると後述する潤滑制御装置によって電磁弁24bが開き、潤滑油が重力によって供給されるようになっている。
上記エンジン5の出力軸にクラッチ6a,6aを介して上記圧縮機6,6が接続されている。該圧縮機6の吐出口は冷媒管路200,16a,冷房運転位置に切り替えられた四方弁15,冷媒管路16bを介して上記冷媒用室外上部,下部熱交換器11,12に接続され、該両熱交換器11,12は冷媒管路16c,メインアキュムレータ8内熱交換器,冷媒管路101を介して端子室22内において、冷媒用室内熱交換器4からの冷媒管路17aに継手101aにより接続されている。なお、102はドライヤ、103はこれをバイパスするフィルタである。
そして上記室内熱交換器4からの冷媒管路17bは上記端子室22内において室外ユニットからの冷媒管路100に継手100aにより接続されている。冷媒管路100は、四方弁15,冷媒管路16d,メインアキュムレータ8,冷媒管路202,サブアキュムレータ9,冷媒管路201を介して上記圧縮機6,6の吸い込み口に接続されている。なお、300,301は毛細管であり、210,210は各々温度検知器と毛細管を組み合わせたものであり、冷却温度を検知する事によりアキュムレータ8内の液相冷媒のレベルを検知するためのものである。また、302は開閉弁,303はオイル排出通路であり、アキュムレータ下部にたまるオイル量が多くなると手動あるいは自動により開閉弁を開けオイルをアキュムレータ8からサブアキュムレータ9の方へ流すようにしている。
また上記冷媒管路200と16aとの間には冷媒中の潤滑油を分離するオイルセパレータ19aが介設されており、該セパレータ19aで分離された潤滑油量が所定値以上になると、オイルストレーナ19b,上記所定値以上時に開く電磁弁19cを介してメインアキュムレータ8に戻される。なお、上記潤滑油はサブアキュムレータ9にも戻される。また上記冷媒管路16aはオイルストレーナ20a,管内圧力が所定圧以上時に開く電磁弁20bを介してメインアキュムレータ8に接続されており、これにより冷媒管路圧力の異常上昇を回避している。
また上記エンジン5の冷却ジャケット28bの冷却に関して、冷却水温度が所定値以下のとき、冷却水ポンプ28a,水管路29a,冷却ジャケット28b,水管路29a′,切り替え弁(サーモスタット弁)28c,水管路29sの経路で冷却水を循環させる低温時循環回路の一つである冷却ジャケット循環回路(エンジン冷却水循環回路)が構成されている。
また冷却水温度が所定値を越えた場合に、冷却水ポンプ28e,水管路29e,排気ガス熱交換器23b,水管路29e′冷却水ポンプ28a,水管路29a,冷却ジャケット28b,水管路29a′,切り替え弁28c,水管路29b,三方弁28d,水管路29c,冷却水用熱交換器13,水管路29d,29p,冷却水ポンプ28eの経路で冷却水を循環させる高温時循環回路が構成されている。なお、上記切り替え弁28cが低温時循環位置に切り替えられている場合には、冷却水ポンプ28eからの冷却水はバイパス通路29rを通って水管路29b方向に流れる。すなわち、もう1つの低温時循環回路である排ガス熱交換器循環回路が構成される。これにより、排ガス熱交換器23bの排熱が三方弁28dを通って冷却水用熱交換器13で捨てられるか、アキュムレータ8のヒータ29gで冷媒に与えられる。これにより、始動時暖機中であっても排熱の利用が可能となり、特に早い暖房の立上がりが必要な場合に有効となる。
上記冷却系において、30aは冷却水用リザーバタンクであり、これは水管路30c,注入口30bを介して上記冷却水用熱交換器13に接続されている。なお、後述するように、冷却水用リザーバタンクの上部には注入口30bとは独立の注入口が配置されており、又上記注入口30bには上記切り替え弁28cの1つのポートも接続されている。該ポートは絞りを介して常時冷却水ジャケット28bと連通しており,これにより冷却ジャケット循環回路内の空気抜きが可能となる。また上記エンジン冷却水は三方弁28dが切り替えられると水管路29dによって上記メインアキュムレータ8内のヒータ29gに供給され、これにより冷媒に熱を供給する。90は電磁弁、89はオイルストレーナであり冷房時室内機4の負荷が特に小さくなる時電磁弁90が開き、冷媒を室内機4を迂回してアキュムレータ8へ流す様にし、負荷とのバランスを取る様にしている。
次に上記室外空調ユニット2の具体的な構造を図1〜図31に基づいて説明する。上記室外空調ユニット2のケーシング31は、1対の土台32上に床板33を載置固定するとともに、4隅に支柱34を立設し、該四本の支柱34の上端を右側面上及び左側面上でそれぞれ各1本の不図示の天井梁で接続し、床板33の前後端を折り曲げて床梁33aを形成し、左,右側面を左,右側板37c,37dで、天井面を天板37eでそれぞれ覆った構造のものである。なお天井板37eには、前後左右端部を折り曲げることにより、各側板との、あるいは各支柱34との連結部が形成されている。さらに、前側面は図34に示す様に、折り曲げられた機関室側仕切板41a,41bに、それぞれ上端が折り曲げられた左,右の前側板37a,37aを取付ネジ35により締結している。同様に後側面は、折り曲げられた配管室側仕切板42a,42bに、それぞれ上端が折り曲げられた正面から見て左,右の後側板37b,37bが取付けられている。上記前,後側板37a,37bは該ケーシング31の前,後側面の下側部分を覆っており、また左,右側板37c,37dはケーシング31の左,右側面全体を覆っている。そしてこれらの前,後,左,右側板37a〜37dは各機器の整備性を確保するために着脱可能になっている。
また上記ケーシング31の上記前,後側面の前側板37a,後側板37bの上部は外気導入開口となっており、該各開口にはフィルタとして機能する金網38a,38bが横枠36a,36bの各々の上下に着脱可能に装着されている。また上記天板37eには上記導入された外気を上方に排出する排出開口37fが形成されており、該排出開口37fには、外気を上記金網38a,38b部分から上記室外熱交換室14内に吸引し、該室外熱交換室14の上方に排出する室外熱交換用送風ファン44が配設されている。なお38cは上記排出開口37fの周囲に立設された金網である。
上記仕切板39は、室外熱交換室14と機関室7,及び配管室10とを画成するためのものであり、機関室7の天井を構成する中央仕切板40,及び機関室側仕切板41a,41bと、配管室10の天井を構成する配管室側仕切板42a,42bとで構成されている。上記機関室側仕切板41a,41b、及び配管室側仕切板42a,42bは上方に着脱可能となっている。なお脱の時、前,後側板37a,37bも脱となることになり、機関室7は天井側,前側及び両方の角部が開放され、配管室10は天井側,後側及び両方の角部が開放され、それぞれの室内の機器の整備作業がやり易い。
また上記中央仕切板40と配管室側仕切板42a,42bとの境界部で、かつ機関室7の後側壁を構成する後中板44aの外側上部(配管室10側上部)には横樋48(排水通路)がこれらの中央,配管室側仕切板40,42a,42bと分解可能に、つまり新しいものと交換可能に配設されている。上記横樋48は該室外空調ユニット2の長手方向(図2左右方向)、つまり上記熱交換器の配置面方向に延びる溝状のもので、右側(図2,図5右側)ほど低くなるように傾斜している。上記横樋48の最高所に位置する高端部48bは上記右側板37dを取り外すことにより、あるいは開口部(清掃用穴)を設けることにより外方に露出可能となっている。なお中央仕切板40が横樋48をV字形状で覆う様にし、横樋48上方のV字形底に複数の雨水滴下用穴を設ける様にしても良い。
また上記横樋48の最低所に位置する低端部48aには筒状の縦樋(排水管)43が分解可能に接続されている。この縦樋43は左側板37cの内面と機関室10の後中板44aの外面とで構成されるコーナ部を下方に延びており、その下端に開口する排水口43aは床板33の下方に位置し、かつ外方に向いている。この縦樋43は左側板37cを取り外すことにより、新しいものと交換可能となっている。
また上記機関室側仕切板41a,41b,配管室側仕切板42a,42b,及び中央仕切板40は、上記横樋48側ほど低くなるように傾斜している。そのため上記室外熱交換室14内に進入した雨水等は直ちに横樋48に集水され、縦樋43を通って外方に排出される。また上記傾斜により機関室側仕切板41a,41b,及び配管室側仕切板42a,42bの外側端部の位置が高くなり、前,後側板37a,37bを取り外して内部を点検整備する場合の開口が大きくなっている。
また上記中央仕切板40には、換気用空気の排出口40bが室外熱交換室14内に開口するように2箇所に形成されている。該排出口40bは消音ボックス40cにより囲まれている。またこの消音ボックス40cの開口40dは上記横樋48より上方に位置するとともに、排出口40bに対しては横樋48の下流側に位置している。これにより上記室外熱交換室14内に進入した雨水等、あるいは横樋48内を流れる雨水等が上記排出口40bから機関室7内に進入するのを防止している。なお、消音ボックス40cの内側にはスポンジ状の吸音シートが貼り付けられている。
上記機関室7の側壁は上記前側板37a,左側板37c,後中板44a,右中板44bで構成され、天壁は上記機関室側仕切板41a,41b,及び中央仕切板40で構成され、また底壁は上記床板33との間に間隔を開けて配置された底板45で構成されている。上記後中板44a,右中板44bの上,下端面は上記仕切り板39,床板33に気密に接続されており、このようにして機関室7は防音構造に構成されている。
上記底板45と上記床板33との間の空間はボックス状の空気導入室46となっており、底板45には、機関室7内に換気用空気を吹き出す噴出口45aが多数、全面に渡って略均等に配置形成されている。また上記空気導入室46の右中板44b側には配管室10内に開口する2つの機関室空気取入口46aが形成されており、該各空気取入口46aには換気ファン47が配設されている。ここで上記縦樋43の排水口43aは上記機関室空気取入口46aの反対側に、つまり該空気取入口46aから充分離間した位置に設けられている。
上記配管室10内の後側板37b内面側には各種コントロール機器等が収容配置された電装ボックス50,及び外部配管との接続を行う端子室22が配設されている。上記電装ボックス50の底面には空気取入口50aが、側面上部には排出口50bが形成されており、かつ上記底面と上記床板33との間には空気通路となる隙間が開けてある。上記床板33には外気を配管室10内に導入するための配管室空気取入口33bが形成されており、この空気取入口33bを通って外気が配管室10内に導入される。また上記導入された外気の一部は空気取入口50aから電装ボックス50内に導入され排出口50bから排出され、該ボックス50内を換気する。なお、縦樋43の排水口43aは配管室空気取入口33bから離れた位置で、かつ該空気取入口33bより下方に位置している。
なお、上記端子室22の下方には床板33が無く、また天井も無い。端子室22は配管室10とケーシング31の外とを結ぶ連通路となっている。また端子室22は後側板37bを外した状態で後方外部に開放される。冷媒管路100,1001の各継手100a,101a及びガス管路22dの継手はこの端子室22内に位置し、端子室22下方から導入される外部配管とそれぞれ接続される。外部電源に接続される電源コード600なども、この端子室22の下方から外部に延長される。外部配管類の取り回しが端子室22下方に向かってなされるのでケーシング31の外寸がコンパクトになるとともに、配管室22が配管室空気取入口を兼ねることとなる。
上記室外熱交換室14内の前側,後側の上部に上記冷媒用室外上部熱交換器11,11が、後側の下部に上記冷媒用室外下部熱交換器12が、また前側下部に上記エンジン冷却水用熱交換器13がそれぞれ配設されている。ここで上部熱交換器11,11は垂直方向に向けてかつ上記金網38a,38bに沿うように配置されているのに対し、下部の室外熱交換器12,及び冷却水用熱交換器13は下部ほど内側に位置するように傾斜させて配置されており、この冷却水用熱交換器13の上端右端部に上述の注水口30bが設けられている。
ここで、上記注水口30bは、図3,図19,図23に示すように、斜め上向きに配置された上記冷却水用熱交換器13のヘッドパイプの上端にゴムホース13cを介して接続された給水筒60と、該給水筒60の開口60aを開閉するキャップ61と、該キャップ61内に配設されたプレッシャバルブ62とを備えている。上記開口60aの前方には、上記室外空調ユニット2のケーシング31の側壁を構成する横枠36aの右端部及び支柱34に設けられた開口及び開口を開閉可能となるふた材63が配置されている。なお、上記プレッシャバルブ62はその弁体62bで上記給水筒60の中間部に形成された弁座口60bを開閉するようになっており、該弁体62bはスプリング62aで閉方向に付勢されている。
上記プレッシャバルブ62は、冷却水の両循環回路の最高内圧を規定する。すなわち循環回路の内圧が開弁圧を越えるとプレッシャバルブ62が開き、残留する空気,水蒸気あるいは温水を冷却水用リザーバタンク30aに導き、異常な水蒸気圧が発生したとしても循環回路構成部品を保護可能としている。
62cは循環回路の外方と内方の差圧が所定値以上になると開いて外方から内側への流れを許容するプレッシャバルブである。エンジンを停止し、冷却水温が下がり、循環回路中の水蒸気分が凝結して内圧が大気圧以下に下がり外方と内方との差圧が大きくなるとプレッシャバルブ62cが開き、冷却水用リザーバタンク内の水が大気圧により押し上げられ、循環回路中に補充される。
冷却水の点検のためキャップ61を外すと、シール61aによる気密性がなくなり、管路30c中の水はリザーバタンク30a内に戻ってしまい、その水位が下がってしまう。エンジン運転による回路中の水の蒸発,プレッシャバルブ62を通過しての水蒸気のリザーバタンク30aへの移動、エンジン停止により移動した水蒸気量に相当する水量分の水位上昇の繰り返しにより少しづつ水位が上昇し、循環回路内に補充可能となるが、それまでの間は冷却水量が不足する可能性がある。しかし、本実施例は注水口30bを低所に配置されたエンジン冷却水用熱交換器13の端部に配置したので、給水筒60の位置が低所となり、それだけ水位上昇が早く、冷却水量不足になりにくい。その分アキュムレータ8あるいは、冷却水用熱交換器13での熱交換を充分に実施させることができる。熱交換により発生蒸気圧が下がっても補充可能となるまでの時期が短くなるからである。上記冷却水用熱交換器13の下端部は機関室側仕切板41a,41bを越えて中央仕切板40と消音ボックス40cとの上側コーナ部上に位置している。また冷媒用室外下部熱交換器12の下端部は配管室側仕切板42a,42bからさらに横樋48を越えて中央仕切板40と消音ボックス40cとの下側コーナ部上に位置している。
ここで上記冷却水用熱交換器13,冷媒用熱交換器11,12と配管室10内の各機器と接続する各管路29c,29d,16b,16c,及び30cは、配管室10の右側板37d側でかつ前後方向中央部にまとめられており、この管束Pは中央仕切板40の右端部に配設された1つのシール用パッド49内を貫通しており、このように複数の管束Pが1つのパッドによってシールされている。シール用パッド49には各管路穴と左側板37c方向側端部を結ぶ各切り込み49aがある。これにより配管が終わった後、右側板37dを取り外した状態で右側からシール用パッド49を配管に嵌め込むことができる。シール用パッド49の周囲は中央仕切板40及び右側板37dとシール状態を形成することにより配管室10と熱交換室14を区画する。また各熱交換器11〜13に接続された管路は、下側の熱交換器12,13の斜め配置に沿って斜めに配索されている。
本実施例エンジン5は、水冷式並列4気筒OHVエンジンであり、機関室10内に、クランク軸5gを機関室の前側板37aと平行に向けて、かつ気筒軸を上部ほど前側板37aに近接するよう傾斜させた傾斜軸Xをもって前傾状態に配置され、4隅に配置された弾性体からなるエンジンマウント81を介して床板45上に固定されている。
本実施例エンジン5は、図7〜図9に示すように、シリンダブロック5aの下合面にオイルパン5bをボルト締め固定し、上合面にシリンダヘッド5cをヘッドボルトで締結し、該シリンダヘッド5cにヘッドカバー5dを被せた構造のものである。上記シリンダブロック5aのシリンダボア内に摺動自在に挿入配置されたピストン5eはコンロッド5fでクランク軸5gに連結されており、また上記シリンダヘッド5cには動弁系5hが配設されている。この動弁系5hは、吸気弁5i,排気弁5i′をロッカアーム5j,プッシュロッド5k,を介して上記クランク軸5gの近傍に配設されたカム軸5lで開閉するように構成されている。
そして本実施例エンジン5では、上記シリンダブロック5aは4つのシリンダを一体化してなる1ブロック構造をなしているのに対し、上記シリンダヘッド5cは2つのシリンダボアについて1つ、つまり2組に分割した構造となっており、これに対応してヘッドカバー5dも2組設けられている。そして上記各ヘッドカバー5dのそれぞれにブリーザ室5mが形成されている。
次に本実施例エンジン5における吸気,排気系統、潤滑系統、冷却系統について説明する。上記エンジン5の各吸気ポート5pは上記傾斜軸Xの上側に導出されており、該各吸気ポート5pに接続された吸気マニホールド73′はクランク軸5g方向に右側板37d側に延び、端部にはガスミキサ21bが連結され、該ガスミキサ21bには機関室10の上記圧縮機6の上方に配設された上記エアクリーナ21cに吸気ホース21a′で接続されている。
上記エアクリーナ21cは、図24,25に示すように、吸気サイレンサ部77とエアクリーナ部78とを結合したものであり、中央部が一体に形成されている。吸気サイレンサ部77の空気入口77aに上記吸気管21aが接続され、空気出口77bに上記吸気ホース21a′が接続されている。上記エアクリーナ部78はケーシング78a内にエレメント78bを挿入配置した構造のものであり、該エレメント78bの内部に上記サイレンサ部77の上流側が、外部に下流側がそれぞれ連通している。
上記ケーシング78aには、エレメント出し入れ用の開口78cが形成されており、該開口78cには蓋78dが着脱可能に装着されている。このエアクリーナ21cは上記蓋78dが上記前側板37a側を向くように配設されている。これにより前側板37aを取り外すことにより、エアクリーナ21cのエレメントの掃除,交換等の点検整備を容易に行うことが可能である。
また、穴気入口77aから導入される新気は膨張室77dに入り、吸気サイレンサ部77とエアクリーナ部78との連通穴77eから、ガイド羽根78eによりエレメント78bの外周に沿う方向に曲げられてエアクリーナ部78へ導かれる。エレメント78bを通過した新気はエアクリーナ部78に戻り膨張室77fを経て空気出口77bに到る。ここの膨張室77d,77fにて消音され、ガイド羽根によりエレメント78bの広い表面がゴミ除去に寄与可能となる。
上記エアクリーナ21cの空気入口77aと上記吸気管21aとは、図13に示す構造により接続されている。なお、図13は吸気系接続構造,排気系接続構造の両方を一つの図で示したものであり、かっこなし数字のものは吸気系接続構造を、かっこ付き数字のものは排気系接続構造をそれぞれ示すためのものである。機関室7と室外熱交換室14との画壁を構成する中央仕切り板40に上記空気入口77aより大径の開口40eを形成し、該開口40eに上記空気入口77aに嵌合装着された弾性体製のシール部材77dを嵌合挿入する。このときエアクリーナ21cによってシール部材77dが中央仕切り板40の下面に押圧されるように、エアクリーナ21cを中央仕切り板40に設けられたブラケット(図示せず)にボルト締め等によって固定する。そして上記空気入口77aの上方突出部に吸気管21aの下端を嵌合装着し、固定バンド77eで固定する。
上記エンジン5の4つの排気ポート5qは上記傾斜軸Xの下側に導出されており、これら排気ポート5qの外部接続口には排気ガス熱交換器23bが直接、即ち排気管を介在させることなく接続されている。この熱交換器23bは、図7,30に示すように、上側に位置するインナフィン型熱交換部73と、下側に位置するスクリュー型熱交換部74とを一体化した構造のものであり、上記両端の排気ポート5q,5qの間隔より長く設定されている。
上記インナフィン型熱交換部73は、排気通路を利用して形成されたものであり、必要な熱交換面積を確保するために略U字状をなすよう上段部と下段部とを屈曲成形し、その外表面を冷却ジャケット73aで囲むとともに、その内面に多数のフィン73bを突出形成した構造のものである。上記上段部内に上記各排気ポート5qが連通しており、また上記冷却ジャケット73aの冷却水出口73cには上記水管路29e′が接続されている。
また上記スクリユュー型熱交換部74は、冷却ジャケット(ケーシング)74aを円筒状に形成し、該ジャケット74a内に多数の螺旋状のスクリューパイプ74bを配設し、該パイプ74bの上流端を上記インナフィン型熱交換部73を通過した排気ガスが導入される上流室74cに、下流端を下流室74dにそれぞれ開口させた構造のものである。なお、上記スクリューパイプ74bの下流端部は、熱膨張量を吸収できるよう冷却ジャケット74aの下流室74d側端部に対してスライド可能となっている。
また上記冷却ジャケット74aの下部には該ジャケット74a内に冷却水を導入する冷却水入口74eが形成されており、該冷却水入口74eには上記水管路29eが接続されている。なお、図30では、排気ガスの流れ方向を破線の矢印で、冷却水の流れ方向を実線の矢印でそれぞれ示している。
上記スクリュー型熱交換部74の排気ガス出口74gは、排気管23a′を介して排気サイレンサ23cに接続されている。74hは排気ガス中に含まれる水蒸気が冷却されて生じる凝縮水を中和器82に導くためのドレン水出口である。そして排気サイレンサ23cは、上記機関室7内の上記圧縮機6の上方に上記エアクリーナ21cに隣接して配置されている。上記排気サイレンサ23cは、図28,29に示すように、サイレンサ部75にオイルセパレータ部76を一体形成した構造のものである。
上記サイレンサ部75は上下2分割式のもので、内部を多数の膨張室75aに画成するとともに該各膨張室75a同士を縮小管75bで連通した構造のものである。このサイレンサ部75の排気ガス入口75cに上記排気管23a′が接続されており、排気ガス出口75dに上記排気管23aが接続されている。
上記排気管(23a)と排気ガス出口(75d)との接続構造は、図13に示す上記エアクリーナ21cの空気入口77aと吸気管21aと同様に構成されている。即ち、図13においてカッコ付き符号により示す様に排気ガス出口(75d)に嵌合装着されたシール部材(75e)を該排気サイレンサ(75)によって中央仕切り板40の下面に押圧し、該排気ガス出口(75d)の室外熱交換室14内突出部に排気管(23a)を接続固定する。なお、上記シール部材は、排気ガス温度に応じた耐熱性を有する材料で構成する必要があるのは言うまでもない。なお、(40f)は排気ガス出口(75d)より大径の開口を、(75f)は固定バンドを示す。
上記オイルセパレータ部76は,上記サイレンサ部75の下部でかつ上記前側板37a側部分に独立のチャンバ76aを一体形成し、該チャンバ部76a内にエレメント76bを挿入配設した構造のものである。上記チャンバ76aの図示上側壁76c,及び右側壁76dは、上記サイレンサ部76の底壁と共通となっている。また上記チャンバ76aの上記前側板37a側にはエレメント76bを出し入れするための開口76eが形成されている。該開口76eには蓋76fが着脱可能に装着されており、この蓋76fは上記前側板37aを取り外すとケーシング31の外方に臨むようになっている。
上記オイルセパレータ部76のブリーザエア入口76gにブリーザホース69が接続されており、オイルセパレータ部奥の左側面に設けられたブリーザエア出口76hはホース79で上記エアクリーナ21cのサイレンサ部77のブリーザ空気入口77cに接続されている。上記ブリーザホース69は、上記各ヘッドカバー5dのブリーザ室5mの接続口5nに接続された分岐ホース69a,69bと、上記オイルセパレータ部76に近い側のブリーザ室真上で合流する合流ホース69cと、T字管69dとブリーザ部入口76gに接続される接続ホース69eで構成されている。また上記オイルセパレータ部76で分離された潤滑油は、接続ホース69e,T字管69dの各壁を伝って流下しT字管69dとオイルパン5bのオイルパン内油面より下方に接続されているオイル回収ホース80からオイルパン5b内に回収される。また上記ホース80のオイルパンへの接続口はドレンプラグ5v´より上方に位置しており、これによりホース80を持ち上げてのホース80内のオイル抜きを可能にしている。なおオイルセパレータ部の底壁はブリーザ部入口76gに向かって奥から手前側にゆるやかに傾斜し、分離されるオイルの排出を容易にしている。
上記機関室7の床板45上の上記圧縮機6下方位置には、排気ガス中の酸性ガスを含む凝縮水を中和するための中和器82が配置されている。この中和器82には、上記排気ガス熱交換器23bのドレン口74h、上記排気サイレンサ23cのドレン口75c´、上記ミストセパレータ83のドレン口83aが、それぞれドレンホース84a,84b,84cによって接続されている。
本実施例エンジン5の潤滑系統は、図32,図8,図10に示すように、オイルポンプ61により上記オイルパン5b内の潤滑油をオイルスクリーン61bを解して吸い上げ、オイルフィルタ62を介してカム軸中央に配置されるメインギャラリ63に圧送し、ここから各所の被潤滑部に分配供給するように構成されている。なお61aはオイルポンプ61の吐出圧力を所定値以下に保持するためのリリーフバルブ、62aはオイルフィルタ62に内蔵され、オイルフィルタ62の通過圧が所定値以上になったとき潤滑油をバイパスさせるリリーフバルブ、63aはメインギャラリ63とオイルフィルタ62を結ぶ油路である。
上記潤滑系統は、上記メインギャラリ63からカム軸5lのジャーナル64,クランク軸5gのジャーナル65,及びコンロンド5fの大端部66に給油し、オイルパン5bに戻す第1潤滑系Aと、上記メインギャラリ63から上記各シリンダヘッド5cの各動弁系5hに給油し、オイルパン5bに戻す第2潤滑系Bと、上記オイルフィルタ62bからミドルギヤケースm内に配設された出力取出軸(PTO軸)の軸受67,及びギヤ68に給油し、該ギヤケースmの底部に落下した潤滑油を上記オイルパン5b内に戻す第3潤滑系Cとを備えている。
ここで上記潤滑系Bにおいては、メインギャラリ63からタペット5jが配置されたタペット室へのオイル通路5tをシリンダヘッド5cの数と同じだけ、本実施例の場合は左,右2組だけ設けており、必要最小限の数量としている。またこの2つのオイル通路5tの少なくとも一方には絞り5uが配設されており、これにより左,右オイル通路の流量を調整している。この潤滑系Bでは、動弁系5hを潤滑した潤滑油は、プッシュロッド5kの配置穴5sを通ってオイルパン5bに戻ることとなるが、本実施例エンジン5では、上記エンジン傾斜軸Xの下側に上記配置穴5sを配設したので、上記潤滑油の戻りがスムーズに行われる。
また上述のように、上記各ヘッドカバー5dに形成されたブリーザ室5mはブリーザ出口5nからブリーザ通路69を介して上記オイルセパレータ部76に連通接続されており、該オイルセパレータ部76によって分離された潤滑油はオイル戻りホース80を介して上記オイルパン5bに戻される。このオイル戻りホース80は機関室7の右中板44bに沿って下方に延び、底板45に沿って機関室中央に延び、オイルパン5bの後述するオイルフィルタ62の装着部近傍に接続されている。これによりオイル戻りホース80の機関室7内における配置スペースの増大,及びエンジン点検整備等の支障を回避している。なお、上記オイルセパレータ部76によって潤滑油が分離された空気(ブリーザエア)は、該センパレータ部76に隣接配置されたエアクリーナ21cにブリーザホース79で供給されており、両者を隣接配置したので、ブリーザホース79が短くて済む。
さらにまた上記オイルパン5bには、オイルホース24c,24dを介してエンジン5と別体で、かつオイルパン5bの油面より高所に配置された上記オイルタンク24aが接続されており、上記オイルホースの途中には電磁弁24bが介設されている。この電磁弁24bを開くと潤滑油が自重によりオイルパン5b内に補給される。
上記オイルタンク24aは機関室7の右中板44bとケーシンク31の右側板37dとの間、即ち機関室7より低底の配管室10内に、その補給口24eが前側板37a側を向くように配置されている。この補給口24eにはオイルの消費に伴い大気を導く逆止弁付きブリーザ通路を設けたキャップが脱着可能に取付けられている。また上記オイルタンク24aは、図3に示すように、L字状をなすようその下部に切欠部が形成されており、該切欠部内に上記リザーブタンク30aが配置されている。これにより狭いスペースに比較的大型のオイルタンク24a及びリザーブタンク30aを無理なく配置している。このリザーブタンク30aの上部には大気の出入りを可能とするブリーザ通路30eと、キャップを脱着可能に取り付けられる補給口30dが設けられている。また上記前側板37aを取り外すことにより、両タンク24a,30aの補給口24e,30dが外方に臨むことから、潤滑油補給,冷却水補給等を同時に、かつ容易に行うことができる。
上記電磁弁24bは、上記床板45上面の上記左側のエンジンマウント81近傍でかつオイルパン5bへの潤滑油入口5r近傍に支持ブラケットを介して固定されている。該電磁弁24bと上記入口5rとは可撓性のオイルホース24cによって接続されており、また該電磁弁24bと上記オイルタンク24aも可撓性のオイルホース24dで接続されている。上記潤滑油入口5rはオイルパン内の油面より高所に位置しており、これによりオイルパン5b内の汚れたオイルが電磁弁24bに逆流するのを防止している。
ここで本実施例では、潤滑油消費量に応じた量の潤滑油をオイルパン5bに自動的に供給するための給油量制御装置を備えている。この給油量制御装置は、図32に示すように、エンジン回転数検出センサ91aと、オイルパン5b内の潤滑油レベルを検出するオイルレベル検出センサ91bと、負荷検出センサ91cと、該各センサからの検出値が入力され、給油手段としての上記電磁弁24bの開閉タイミングを制御するECU92とを備えている。なお、上記負荷検出センサ91cには、具体的にはスロットル開度,燃料供給量,ブースト圧を検出するセンサの1つ又は複数が採用される。
上記ECU92は、エンジン回転数検出センサ91aからのエンジン回転数を、負荷検出センサ91cからの検出負荷に応じて補正しつつ積算するエンジン回転数積算手段92aと、積算された総エンジン回転数を記憶しておくメモリ92bと、上記積算された総エンジン回転数が基準積算回転数に達したとき電磁弁24bを開く給油制御手段92cとして機能する。
上記オイルポンプ61は、図7,図8に示すように、オイルパン5bとシリンダブロック5aのスカート部との境界付近内で、かつ上記傾斜軸X下方部分に配置されている。また上記オイルフィルタ62は上記シリンダブロック5aのスカート部外面の上記傾斜軸X下方部分に取付けられたオイルフィルタブラケト5vに着脱可能に取り付けられている。これにより、上記オイルフィルタ62は、上記排気ガス熱交換器23bの下方に位置し、かつ上述の前側板37aを取り外すと外方に臨むようになっており、外方から脱着可能である。また上記オイルフィルタブラケット5vがあるのでオイルフィルタ62の脱着部が損傷してもオイルフィルタブラケット5vのみの交換で良い。
また上記オイルフィルタ62は、上記オイルポンプ61の吐出口61a,及びエンジン側入口63aより下方に位置しており、そのため該オイルフィルタ62内に溜まった潤滑油は、オイルポンプ61を長期間停止した場合にも抜けることはない。従って、エンジン長期間停止した後の再運転時には、オイルフィルタ内に潤滑油が溜まる時間が不要である分だけ潤滑系の立ち上がりが速くなる。なお、オイルフィルタ62とエンジンの間にオイルフィルタブラケット5vを介装しているので、上記ポンプ吐出口61a,油面等との高さ関係を自由に設定でき、また該オイルフィルタ62の取り付け方向に対する自由度も高い。
本実施例エンジンの冷却系の具体的配置構造を説明する。上記一方の低温時循環回路である冷却ジャケット循環回路では、図15,16に実線の矢印で示すように、冷却水ポンプ28a,水管路29aから図7のウエットライナ500aの外周部の冷却ジャケット28b,シリンダヘッドの冷却ジャケット28bを通り、さらに水管路29a′,切り替え弁28c,水管路29s,29t,冷却水ポンプ28aの回路でもって冷却水が循環する。
この場合に、図15,16に示すように、上記冷却水ポンプ28aを最低所に配置し、上記切り替え弁28cを最高所に配置し、該ポンプ28aから切り替え弁28cまでの間の各部品,被冷却部は、下流側ほど高所に位置するように配置されている。そして上記切り替え弁28cと上記冷却水用熱交換器13の注水口30bとは上述のバイパスホースAで接続されている。従って、低温時循環回路における冷却水中の空気は、ポンプ28aの運転中,及び運転停止中の何れにおいても、上記切り替え弁28cに集まり、ここからバイパスホースAを通って注水口30bに上昇し、ここに溜まることとなる。
上記低温時循環回路の一つである排気ガス熱交換器循環回路では、図15,16に一点鎖線の矢印で示すように、冷却水ポンプ28e,水管路29e,排気ガス熱交換器23b,水管路29e′,上記切り替え弁28cをバイパスするバイパス管29r,水管路29b,三方弁28d,水管路29c,冷却水用熱交換器13,水管路29d,29p,冷却水ポンプ28eの回路で冷却水が循環する。なお、高温時には、上記冷却水ポンプ28e及び上記冷却水ポンプ28aが直列に継がる形となるので上記水も高温時循環回路を循環することとなる。即ち冷却水ポンプ28e,水管路29e,排ガス熱交換器23b,水管路29e´,水管路29t,冷却水ポンプ28a,水管路29a,冷却ジャケット28b,水管路29a´,切り替え弁28c,水管路29b,三方弁28d,ここから分岐して冷却水用熱交換器13あるいはアキュムレータ8の熱交換部29gから水管路29pを経て冷却水ポンプ28eに戻る。
低温時の排ガス熱交換器循環回路では、上記冷却水ポンプ28eを最低所に配置し、冷却水用熱交換器13を最高所に配置しており、該ポンプ28eから熱交換器13までの間の各部品及び被冷却部は、下流側ほど高所に位置するように配置されている。従って、冷却水中の空気は、ポンプ運転中,及び停止中の何れにおいても、上記熱交換器13に上昇し、これの注水口30bに溜まることとなる。
また上記アキュムレータ8の熱交換部29gへの三方弁28dからの給水系の空気抜きは、三方弁28dが途中開度に設定される時、三方弁28dにおいて水管路29b,29c,29fが互いに連通する状態になるので、空気は水管路29fを逆流し、冷却水用熱交換器13から注水口30bに溜まる。即ち、ポンプ停止中に三方弁28dが途中開度に設定されるようにすることにより、空気抜きはより確実になされる。また水管路29bの一部は切り替え弁28cから遠ざかる程下方に位置することとなる。この部分の空気抜きは、ポンプ停止中に空気が切り替え弁28c部分に上昇し、ここからバイパスホースAを通って上記注水口30bに溜まることによってなされる。
さらにまた上記アキュムレータ8の熱交換部29gからの戻り水系は、第1戻り路としての水管路29f′を、上記注水口30bからの第2戻り路としての水管路29dの途中に合流することにより構成されている。この場合に、上記水管路29f′は上記合流部が高所に位置するように斜め上方に延びている。従って、ポンプ停止中においては、上記戻り水系内の空気は、上記水管路29f′,29dを上昇して上記注水口30bに溜まることとなる。
次に本実施例装置の作用効果について説明する。
冷房運転時には、四方弁15が図31に示す室外熱交換器側に切り替えられる。上記圧縮機6,6によって圧縮されて高温,高圧となった冷媒ガスは、冷媒管路16a,四方弁15,冷媒管路16bを介して冷媒用室外熱交換器11,12に供給され、ここで外気により冷却されて液化する。この液化した高圧の冷媒液は冷媒管路16cによりメインアキュムレータ8内を通り、冷媒管路17aの膨張弁18によって減圧される。この減圧された低圧の冷媒液は室内熱交換器4で室内空気から熱を奪って蒸発し、この蒸発熱により冷却効果が生じて室内の冷房が行われる。蒸発した冷媒ガスは冷媒管路17bから上記四方弁15,冷媒管路16dを通り、メインアキュムレータ8,サブアキュムレータ9を経て上記圧縮機6に戻り、同様のサイクルが繰り返される。
暖房運転時には、四方弁15が室内熱交換器側に切り替えられ、圧縮機6,6からの高温,高圧の冷媒ガスは、冷媒管路16a,17bを介して室内熱交換器4に供給され、ここで室内空気によって冷却されて液化し、この場合の凝縮熱によって室内空気が暖められ、暖房効果が得られる。この液化した冷媒液は膨張弁18で減圧される。この減圧された低圧の冷媒液は室外熱交換器11,12にて外気の熱を奪うことにより蒸発し、メインアキュムレータ8,サブアキュムレータ9を介して圧縮機6に戻り、同様のサイクルが繰り返される。
室外熱交換室14における熱交換は以下のようにして行われる。上記室外熱交換用送風ファン44の回転により、外気が上記金網38a,38b部分から室外熱交換室14内に吸引され、天井の開口37fから上方に排出される。この場合、図2に示すように、室外熱交換室14の上部では、送風ファン44に近いことから略水平方向に空気が流入する。そして上部熱交換器11は垂直に配置されているので、該上部熱交換器11を通る空気は矢印aで示すように、上部熱交換器11に対して略直角方向に流れる。
一方、室外熱交換室14の下部では、送風ファン44に遠いことから斜め上方に空気が流入する。これに対して下部熱交換器12,13は下端が内側に位置するように傾斜配置されているので、該下部熱交換器12,13を通る空気は矢印bで示すように、該下部熱交換器12,13に対して略直角方向に流れる。
このように本実施例では、上部熱交換器11を垂直に配置するとともに、下部熱交換器12,13を傾斜配置したので、何れの熱交換器においても空気流が熱交換器に対して略垂直に流れ、これにより空気流量を各熱交換器11〜13の略全面に渡って略均一化でき、熱交換効率を向上できる。ちなみに、下部熱交換器12,13を垂直配置した場合は、空気の流れ方向に対して熱交換器の空気通路が斜めとなることから抵抗が大きくなり、空気量が減少する。
また下部熱交換器12,13については、内側に傾斜させて配置したので、同じ熱交換面積の場合は垂直方向に配置するよりも室外熱交換室14の熱交換器配置面が狭くて済み、室外空調ユニット2の大型化を抑制でき、重量増加,配置スペースの増加の問題を回避できる。
また、エンジン冷却水の注水作業においては、フタ63を開いて注水口30bのキャップ61を取り外す。そして該空調ユニット2の後面から開口60aに注水する。この場合、上記注水口30bは下側にかつ傾斜配置されている冷却水用熱交換器13のヘッドパイプ13cの上端部に設けられているので、その高さ位置が例えば天壁に設けられた従来例に比べて低く、それだけ冷却水の注入が容易である。また注水用の開口60aが斜め上向きに開口しているのでこの点からも注水が容易である。
そしてエンジン点検,冷却系の点検のために冷却水回路から冷却水を抜いた後、再度冷却水を注入した場合、冷却系中の空気抜きは、以下のようにして行われる。まず、低温時循環回路では、ポンプ28aの下流側に位置する切り替え弁28cが最高所に位置しており、かつこの切り替え弁28cを冷却系全体の最高所に位置する注水口30aにバイパスホースAで接続したので、該回路中の空気はポンプ運転中,及び停止中の何れにおいても上記切り替え弁28cから注水口30dに溜まり、これのキャップ61を緩めることにより空気抜きが可能となる。また排ガス熱交換器循環回路では、ポンプ28eから熱交換器13までの各水管路,被冷却部が下流側ほど高所に位置しているので、空気は水管路29e,排気ガス熱交換器23b,水管路29e′,29r,29b,三方弁28d,水管路29cを通って熱交換器13の注水口30bに溜まり、外部に抜くことができる。
アキュムレータ8の熱交換部29gへの三方弁28dからの給水系の空気抜きは、三方弁28dが途中開度に設定される時、三方弁28dにおいて水管路29b,29c,29fが互いに連通する状態になるので、空気は水管路29fを逆流し、冷却水用熱交換器13から注水口30bに溜まる。また水管路29bの一部は切り替え弁28cから遠ざかる程下方に位置しているので、この部分の空気抜きは、ポンプ停止中に切り替え弁28c部分に上昇し、ここからバイパスホースAを通って上記注水口30bに溜まることによってなされる。熱交換部29gからの排水系では、水管路29f′,29dを通って同様に注水口30bに溜まり、従って外部に抜くことが可能である。
また本実施例では、下側熱交換器12,13を傾斜させて下端部を中央仕切板40上に配置したので、下側の熱交換器12,13を移動させることなく配管室側仕切板42a,42b,及び機関室側仕切板41a,41bを着脱でき、特に前後側板37a,37bを前,後に脱すことによりエンジン,各配管等を上方から点検する場合の作業が容易である。特に前,後側板37a,37b各々2枚を仕切板と一緒に脱する時、エンジンについては上方,前方,斜め方向から、各配管等については上方の後方,斜め方向から各々点検が可能となり、作業が容易である。
ここで冷媒用室外熱交換器の蒸発器としての使用時(暖房時)は、大気中の水蒸気が熱交換器表面に凝縮するが、上述のように下部の熱交換器12,13を傾斜配置し、熱交換器12の下端部が横樋48を越えるように配置したので、上記凝縮水はそのほとんどが熱交換器12の傾斜面に沿って流れ横樋48内に、または該横樋48に近い位置に落下する。従って機関室側仕切板41a,41b、配管室側仕切板42a,42bに凝縮水が付着する機会が少ない分だけこれらの仕切板の腐食を抑制できる。
さらにまた上記熱交換器12,13の傾斜配置において、機関室7の換気用排出口40bが両熱交換器12,13の下端部同士の間に位置しているので、機関室7内の温度の高い空気が熱交換器内を通ることがなく、熱交換効率への悪影響を回避できる。
また雨水等の排水は以下のようにして行われる。金網38a,38b部分から室外熱交換室14内に進入した雨水等は、仕切板39上に落下すると、該仕切板39から横樋48に流入し、縦樋43を通って排水口43aから該室外空調ユニット2の床板36の下方に排水される。
この場合に、上記仕切板39を構成する中央,機関室側,配管室側仕切板を上記横樋48側が低くなるように傾斜させたので、上記雨水等を短時間で横樋48内に流入させることができる。このように雨水等が室外熱交換室14の床部材を構成する仕切板39上に滞留することなく短時間で排水されるので、これら床部材の耐腐食性を向上できる。
また上記機関室7,配管室10の天井を構成する仕切板39を傾斜配置配置したので、該両室7,10の外側高さを高くでき、従って前側板37a,後側板37bを取り外した場合の開口を大きくでき、整備性を向上できる。
また横樋48,縦樋43を機関室10の外方に配置するとともに、機関室下方に排水するようにしたので、仮にこれらの樋に穴があいても雨水等が機関室内に進入することはない。従って雨水等が高温のエンジン等にかかることはなく、エンジン等の耐ヒートショック性,耐腐食性を向上できる。また縦樋43の排水口43aを機関室7の空気取入口36aの反対側に位置させたので、雨水等が機関室7内に進入することはなく、水滴がエンジン内に吸い込まれたことによるエンジンの故障を防止できる。排水口43aの位置を配管室空気取入口33bより下方とするとともに、離間しているので雨水等が配管室10へ進入することもない。なお、機関室7の空気取入口36aを配管室空気取入口33bを離間しており、機関室7の空気取入口36aは排水口43aからより離間したこととなる。
そして上記横樋48,縦樋43を合成樹脂製とすれば、それだけ耐腐食性を向上でき、また他の床部材と別部品として交換可能としたので、全体としての耐久性を向上できる。この縦樋43の交換に当たっては右側板37dを取り外すことにより可能であり、作業が容易である。さらにまた上記横樋48の上流側に位置する左端部48bを外方に露出可能としたので、外部からの清掃が可能である。なお清掃は、右側板37cを取り外すことによりさらに効率よく実施可能である。
また配管室10,機関室7の換気は以下のようしてに行われる。外気が換気ファン47の回転により、床板33の配管室空気取入口33b及び端子室22から配管室10内に導入される。このとき導入空気の一部が電装ボックス50内を換気するので、電装品の冷却ができる。上記配管室10内に導入された空気は、上記換気ファン47により機関室7の底板45と床板33との間に形成された空気導入室46内に押し込められ、噴出口45aから機関室7内全体に噴出する。この時換気ファン47手前に配置される冷却水ポンプ28eを冷却する。また、噴出口45aはオイルパン5bやオイルフィルタ62の下方に開孔している。またエンジンマウント81の近くにも開孔しており、オイルパン5b,オイルフィルタ62,ゴム部分を含むエンジンマウント81を効果的に冷却する。また空気導入室46の端部は機関室7へ開口し、ここに冷却水ポンプ28aが配置され、冷却される。特に両冷却水ポンプ28a,28eは電動ポンプであり発熱があり、軸受部やシール部の耐久性を確保する上で換気流による冷却は効果的である。この噴出した空気は機関室7内を換気しつつ天井壁に形成された排出口40bから消音ボックス40cを通って室外熱交換室14内に排出される。この場合、上記空気導入室46を機関室7の底面全面に渡るボックス状とし、底板45に多数の噴出口45aを形成したので、機関室7内の略全域に換気用空気を導入でき、換気を確実に行うことができる。
また上記機関室7への換気用空気取入口46aを配管室10に開口させたので、機関室7内の騒音は配管室10内に洩れるものの直接外部に洩れるということはなく、また上記配管室10は容積が大きいので上記騒音の減衰機能が得られ、その結果騒音を低減できる。また機関室7の底板45に形成された噴出口45aを上記ボックス状の空気導入室46内に開口させたので、この空気導入室46によっても減衰機能が得られ、この点からも騒音を低減できる。また雨水の跳ねたものは配管室10への空気取入口36aから配管室10内に進入するものの機関室7内に進入することはない。
ここで配管室10に配設されたメイン,サブアキュムレータ8,9には液相の冷媒が蓄えられており、この冷媒による冷却機能が得られる。本実施例では、配管室10への空気取入口33bから機関室7への空気取入口46aとの間に上記各アキュムレータが配置されているので、外気は配管室10内で冷却された後機関室7内に導入されることとなる。従って機関室7内は比較的温度の低い空気によって換気されるので、より確実に冷却される。また上記冷媒について見ると、配管室10内の空気の熱によりエネルギーが与えられ、熱効率が向上する。
上記換気において、機関室7への空気噴出口45aと該機関室7からの排出口40bとが離れた位置に設けられており、かつその間にエンジン5が配置されているので、該エンジン5に比較的温度の低い空気が確実にあたることとなり、この点からエンジン5の冷却性が向上する。
また上記機関室7から空気を排出する排出口40bを消音ボックス40cで囲み、消音ボックス40cの開口40dを、仕切板39のパッド49部分を通る各管路から離れた位置に設け、かつ反対方向に流出させるように配置したので、機関室からの排出空気が該各管路を加熱することがなく、管路の耐腐食性上有利であり、また熱交換器の熱交換作用に悪影響を与えることがない。
また上記消音ボックス40c,及び排出口40bを上記横樋48より高所に位置させたので、横樋48を流れる水が消音ボックス40cの開口40dから機関室7内に進入するのを防止できる。
また本実施例では、機関室7を構成する前側板37aを着脱可能とし、エンジン5の上記前側板37aに対向する部位にオイルフィルタ62を配置したので、オイルフィルタ62の着脱作業が容易である。特に本実施例のように、室外ユニットの横幅を抑えるために機関室7と配管室10とを前後に重ねるように配置した場合に、オイルフィルタを配管室10側から着脱するのは極めて困難であり、本実施例の配置構造はこのように機関室7と配管室10とを重ねて配置した場合に効果が大きい。
またエンジン5の傾斜軸X下方に排気ガス熱交換器23bを配置し、その下方にオイルフィルタ62を配置しので、オイルフィルタ着脱時,又はガスケットの劣化等により、仮に潤滑油が洩れた場合にも、高温の排気通路に潤滑油が触れることがない。
上記オイルパン5bに別個のオイルタンクから潤滑油を供給する場合に、上記電磁弁24bをオイルパン5bへの接続口5rより低所に配置したので、電磁弁24bを閉じた後、電磁弁24bより下流側の潤滑油がオイルパン5b内に流入するのを防止でき、それだけ電磁弁開閉に伴う応答性を向上できる。
また上記電磁弁24bを低所に配置するために床板45上に固定したので、オイルホース24dを床板45に這わせて配索でき、これにより特にオイルフィルタ62のエレメント交換等の点検整備時,排気ガス熱交換器23bの着脱作業時等にオイルホース24dが障害になることがなく、作業性を確保できる。
また上記電磁弁24bとオイルパン5bの接続口5rとを可撓性を有するオイルホース24cで接続したので、エンジン振動が電磁弁24bに直接伝達されるのを回避できる。そしてこの場合に、電磁弁24bを上記接続口5rの近傍に配置することによりオイルホース24cを比較的短くしたので、この可撓性を有するオイルホース24cのエンジン振動による振れを小さくでき、該ホース24cの寿命を確保できる。
ここで上記潤滑油のオイルパン5bへの供給量制御は、図35に示すように行われる。エンジンが運転開始されると、検出されたエンジン回転数を、検出された負荷に応じて小負荷ほど小回転数に修正し、大負荷ほど大回転数に修正して累積し、これをエンジンが停止するまで継続する(ステップS1〜S3)。エンジンが停止すると、オイルレベルが下限以下でなく、かつ上限以上でない場合において、エンジン回転数の累積値が予め設定された基準累積数を超えたか否かを判断し(ステップS3〜6)、超えた場合は上記電磁弁24bを開き、オイルレベルが上限になると上記電磁弁24bを閉じ、各データをリセットして動作を終了する(ステップS7〜10)。
上記電磁弁を開いている場合において、オイルレベルが上限になるまでに規定以上の時間が経過したか否かを監視しておき、規定以上の時間が経過した場合には、上限のオイルレベルセンサ,電磁弁24b,オイルタンク24a及び途中のホース24c,24d等に異常があると判定し、点検整備が必要なことを予告表示し(ステップS11,12)、上記ステップS9に移行する。また上記ステップS4においてオイルレベルが下限以下の場合はステップS7に移行して直ちに潤滑油を供給し、またステップS6で累積エンジン回転数が基準値を超えない場合は、その累積回転数を記憶して動作を終了し、次回のエンジン運転時に、上記記憶されたエンジン回転数にさらに累積していく。
オイル上がりによる潤滑油の消費量は総エンジン回転数に依存すると考えられるが、本実施例では、エンジン回転数を累積し、該回転数が基準値に達したとき潤滑油を供給するようにしたので、潤滑状態を長期に安定化でき、エンジンの耐久性を向上できる。
この場合、エンジン負荷が大きいほど燃焼圧力が大きくなり、クランク室からのブリーザガス量が増大し、潤滑油消費量が増加すると考えられるが、本実施例ではエンジン負荷が大きいほどエンジン回転数を大きい側に修正して累積するようにしたので、クランク室からオイルミストとして大気に排出されるオイル量を加味した実際の潤滑油消費量により精度良く対応した量の潤滑油を供給できる。なお、上記エンジン回転数の累積に当たって、エンジン回転数を負荷の大きさに応じて修正して累積するようにしたが、これは必ずしも必要ないものであり、修正することなくそのまま累積し、該累積値が基準値に達した時点で潤滑油を供給するようにしても良い。このようにした場合にも、潤滑油の消費量に応じた潤滑油の供給が可能である。
また本実施例エンジン5では、4つの気筒に対してシリンダヘッド5cを2組としたので、つまりシリンダヘッドを複数に分割したので、それぞれのシリンダヘッド5cを小型化でき、鋳造における型の構造が簡素化され、また機械加工等における取り扱いが容易である。
またシリンダヘッドは上部にあり、温度の高いブリーザガスが侵入し易い。本実施例ではシリンダヘッド5cにブリーザ室5mを設けたので、該ブリーザ室5mがクランク室から遠いことからオイルの分離性を向上できる。また2つのシリンダヘッド5c,5cの両方にブリーザ室を設けたので、仮に片方に詰まりが生じた場合にもブリーザ機能を維持できる。
また、各シリンダヘッド5cにブリーザ室5mを形成した上で、これを外部のオイルセパレータ部76に接続したので、エンジン側のブリーザ機能が得られる分だけオイルセパーレータ部76の負担が軽減され、該オイルセパレータ部76の機能を長期に維持できる。また上記各ブリーザ室をオイルセパレータ部76にブリーザホース69で接続するに当たって、両分岐ホースを合流し、該合流通路をオイルセパレータ76部に接続したので、別個独立に接続する場合に比較して総ホース長を短くできる。
上記オイルセパレータ部76を構成するに当たって、該オイルセパレータ部76を排気サイレンサ部75に一体化したので、部品点数の削減,小型化を図ることができ、また排気ガスの熱利用により結露を防止でき、分離された潤滑油のマヨネーズスラッジ発生による劣化を防止できる。この場合、オイルセパレータ部76の天壁76c,右壁76dを排気サイレンサ部75の壁と共通化したので、排熱利用効率を向上できる。
またオイルセパレータ部76の蓋76fを、前側板37aを取り外すと外方に臨む位置に配置したので、オイルセパレータ部76の点検整備性を向上できる。排気ガス熱交換器23bを配設するに当たって、該熱交換器23bに対向する前側板37aを着脱可能としたので、該熱交換器23bの点検整備が容易である。またこの熱交換器23bをインナーフィン型熱交換器73と、これに一体化されたスクリュー型熱交換器74とで構成したので、必要な熱交換面積を確保しながら排気ガス熱交換器23b全体を小型化できる。
また上記イナーフィン型熱交換器73を、スクリュー型熱交換器74に排気ガスを導く排気通路にフィン73bを突設した構造とするとともに、排気ポート5qに直結したので、スクリュー型熱交換器74に排気ガスを導く排気通路をも熱交換器として機能させることができ、スペースの有効利用を図りながら排気ガスとの熱交換能力を高めることができる。この場合に、フィン73bによって伝熱面積が増加し、かつ流れが乱流となり熱交換効率が向上する。ちなみに、例えばパーティション方式とすると流路抵抗が大きくなるとともに、流れによどみができ、熱交換効率が低い。また、スクリュー型熱交換器74の螺旋状スクリューパイプ74bの長さを両端の排気ポート5q間長さより長くしたので、充分な熱交換面積を得ることができる。
またエンジン5の傾斜軸X下側に排気ポート5qを配置し、これの下方に排気ガス熱交換器23bを配置したので、該熱交換器23b内に発生した凝縮水がエンジン内に侵入することを確実に防止できる。即ち上記排気ガス熱交換器23bには上記アキュームレータ8で冷却された水が導入されるが、アキュムレータ8内の温度は約0℃であり、従って排気ガス熱交換器23b内で凝縮水が発生し易い。この凝縮水が排気脈動によってエンジン内に侵入するおそれがある。そこで本実施例では排気ガス熱交換器23bの特にスクリュー型熱交換器74を排気ポート58より下方に配置したので上記侵入を回避できる。
排気ガス熱交換器23bを冷却水用熱交換器13より低所に配置したので、冷房運転時には排気ガス熱交換器23bで加熱された冷却水が自然対流によって冷却水用熱交換器13にスムーズに流れる。
また上記排気サイレンサ部75を排気ガス熱交換器23bより上側に配置するとともに、該熱交換器23より下側に中和器82を配置したので、上記排気サイレンサ部75及び排気ガス熱交換器23bからの凝縮水を確実に中和器82に導くことができる。
また吸気管21a,排気管23aの配置に当たって、エアクリーナ21c,排気サイレンサ23cの空気入口77a,排気ガス出口75dを室外熱交換室14内に突出させるとともに、該エアクリーナ21c,排気サイレンサ23cでシール部材77d,75dを中央仕切り板40に押圧するように構成したので、部品点数が少なくて済み、またそれだけ組み立て工数を削減できる。
なお、上記実施例では、注水時には図36に示すように、上記注水口30bと対面する開閉窓63を開けるようにすればよい。なお、上述から分かる通り、注水口30bは前方右端に配置しており、前側板37aを外してのリザーブタンク30aの補給口30dへの注水と両方を簡単に実施できる。また上述した通り、前側板37aを外すことにより、オイルフィルタ62の交換,エアクリーナ21cのエレメント78bの交換,オイルセパレータ部76のエレメント76bの交換,オイルタンク24aへの注油,エンジン5の傾斜に伴い前方を向く点火プラグ5wの点検,シリンダヘッドカバー5dに設けられキャップされた注油口5xへの注油,オイルパン5bのオイルドレン5u位置が前方に寄っていることによる廃油,オイルレベルゲージ5zの点検等、エンジン5の保守のために必要な作業がほとんど全て前方からできることとなり、整備性が良い。
また、上記実施例ではエンジン冷却水用熱交換器13が冷媒用熱交換器11より下側に配置されている場合について説明したが、本発明は、エンジン冷却水用熱交換器13が上側に冷媒用熱交換器11が下側に配置されている場合にも適用でき、この場合には上側のエンジン冷却水用熱交換器に注水口を設けても良い。また、上記注水口30bを上記エンジン冷却水用熱交換器13に取付けたが、この注水口は熱交換器13から独立して別体として取り付けるようにしても良く、このようにした場合、上記注水口の配設位置の自由度を向上できる。なお、いずれの場合においても、注水口は、空調ユニットの側壁内面に向かって斜め上向きに開口させることとなる。
ここで上記実施例では、吸気管21aを室外熱交換室14の天井外方にて開口させたが、この吸気管21aは機関室7の内部にて開口させるようにしてもよい。このようにすれば、上記配管室10内の比較的温度の低い空気がエンジン内に供給されることとなり、充填効率が向上する。またエンジン5を点検整備のために機関室7から取り出す場合、上記吸気管を外すことなくエンジン5を外方に取り出すことができるので、それだけ点検整備性が向上する。
また、エンジン右側に配置される圧縮機6の上部空間を有効に利用してエアクリーナ21cと排気サイレンサ23cを配置するとともに、エンジン5の右側にガスミキサ21bを配置しているので、吸気ホース21a´,79の配管長さが短くなる。また配管類69,80,23a´84a,84b,84cの一部,流量調整弁22a,電磁弁24b,オイルレベルゲージ5zは前方に障害物のない位置に配置されるので前側板37aを外しての点検作業が容易となる。また、中和気82は圧縮機6の下部空間を有効に利用して配置されている。
配管室10と熱交換室14との配管30c,29c,29d,16b,16cを全てアキュムレータ8が配置される右側に集中したので配管作業がし易い。また中央仕切板40cの貫通部へのシール用パッド49の脱着が容易である。
オイルタンク24aとリザーブタンク30を配管室10、さらにはアキュムレータ8の近傍に配置したので冷却効果がある。
クランク軸5gのメインジャーナル軸受65はシリンダブロック5aとオイルパン5bの結合締結部に配置されるので、軸受キャップは不用となる。またオイルパン5bにはこの結合部に向かって凹部が形成されるのでオイルパン5bの剛性,強度が増加する。
また、シリンダブロック5aはアルミ合金ダイキャクト製であり鋼鉄製のウエットライナ500aを挿入し、ウエットライナ500aの下部には水シール用のOリング500bが3本配置されている。この構造によりエンジン5の計量化,加工性向上等が図れる。