JP2005016052A - ファサードを備えたユニット式建物 - Google Patents
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Abstract
【課題】部材点数が少なくてすむとともに、製作や管理が容易となり、取り付け作業性の向上を図ることができるファサードを備えたユニット式建物を提供する。
【解決手段】建物ユニット3,4が、複数本の柱と、これらの柱の上端間同士を結合する天井梁と、柱の下端間同士を結合する床梁とを含み形成されたフレームを有して形成され、これらの建物ユニット3,4を組み合わせて建てられたユニット式建物1がファサード5を備えている。そして、複数の建物ユニット3,4のうち少なくとも一つの建物ユニットを、ファサード5が構成されたファサード建物ユニット6,7とする。
【選択図】 図1
【解決手段】建物ユニット3,4が、複数本の柱と、これらの柱の上端間同士を結合する天井梁と、柱の下端間同士を結合する床梁とを含み形成されたフレームを有して形成され、これらの建物ユニット3,4を組み合わせて建てられたユニット式建物1がファサード5を備えている。そして、複数の建物ユニット3,4のうち少なくとも一つの建物ユニットを、ファサード5が構成されたファサード建物ユニット6,7とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柱、梁を含むフレームを有して形成される複数の建物ユニットを組み合わせて建てられるとともに、装飾的な仕上げが施されたファサードを備えたユニット式建物に関する。
【0002】
【背景技術】
四隅に立設される柱と、これらの柱の上端間同士を結合する天井梁と、柱の下端間同士を結合する床梁とを含み構成されたフレームを備え、予め工場で生産された箱形の建物ユニットを複数個、建設現場で、上下および水平方向に組み合わせて建てられたユニット式建物が知られている(例えば特許文献1)。
このようなユニット式建物は、複数個の箱形の建物ユニットを組み合わせて建てられるため、外観が変化に乏しく、単調になりがちである。そこで、ユニット式建物の正面、例えば玄関に至る部分に、建物の正面構成物として、装飾的な仕上げが施されたファサードを設け、建物全体に変化をもたせようとすることが行われる。
【0003】
従来のファサードを備えたユニット式建物は、例えば図8に示すような構成となっている。
すなわち、ユニット式建物80は、複数の略箱形の下階建物ユニット81および上階建物ユニット82と、これらの建物ユニット81,82の例えば正面に装着されるファサード85とを備えて構成されている。
ファサード85は、例えば装飾的な仕上げが施されるとともに建物の正面を構成する正面構成物である。このファサード85は、例えば門形に形成されており、左右に離れて配置される柱部86と、これらの柱部86の上端部に設けられる庇部87とを備えて構成されている。柱部86は、下階建物ユニット81の高さ寸法とほぼ等しい下柱86Aと、上階建物ユニット82の高さの途中までの高さ寸法の上柱86Bとを含み構成されている。そして、このような下柱86Aおよび上柱86Bが、隣接する下階建物ユニット81のそれぞれ外側寄りに設けられてユニット式建物80の正面が構成されている。
【0004】
これに対して庇部87は、上階建物ユニット82の長辺寸法とほぼ等しい長さ寸法に形成され、隣接する上階建物ユニット82にそれぞれ対応して設けられている。これらの柱部86、および庇部87は、現場において、それぞれ下階建物ユニット81、上階建物ユニット82に装着され、これらの下階建物ユニット81、上階建物ユニット82、柱部86および庇部87とで空間部(凹み部)Aが形成されている。つまり、前記ファサード85は、ユニット式建物80の正面から奥側に凹んだ状態となっている。
なお、ファサード85の柱部86および庇部87には、所定の装飾が施されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−210085号公報。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来のファサード85を備えたユニット式建物80では、ファサード85が、柱部86および庇部87で構成され、これらの柱部86、庇部87も、それぞれ細分化されており、部材点数が増えるという問題が生じている。
また、大きさや形状が異なった複数の部材で構成されているので、製作や管理が煩雑となり、また、建設現場への運搬も部材点数が多いために面倒である。
さらに、ファサード85の各部材86,87を、建設現場で建物ユニット81,82へ取り付ける際も、部材点数が多いために、全部を取り付けるのに多くの人手や手間がかかるという問題がある。特に、ファサード85の各部材86,87の一つを取り付けた後、次の部材を取り付けるとき、先に取り付けたものと位置を決めながら連結する等、多くの手間がかかり、取り付け作業性が悪い。
【0007】
本発明の目的は、部材点数が少なくてすむとともに、製作や管理が容易となり、取り付け作業性の向上を図ることができるファサードを備えたユニット式建物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、図面を参照して説明すると、図1に示すように、複数本の柱と、これらの柱の上端間同士を結合する天井梁と、前記柱の下端間同士を結合する床梁とを含み形成されたフレームを有する複数の建物ユニット3,4を組み合わせて建てられるとともに、ファサード5を備えたユニット式建物1において、前記複数の建物ユニットのうち少なくとも一つの建物ユニットは、前記ファサード5が構成されたファサード建物ユニット6,7となっていることを特徴とするファサードを備えたユニット式建物1である。
【0009】
このような本発明によれば、ユニット式建物を構成する複数の建物ユニットのうちの少なくとも一つがファサード建物ユニットとなっており、このファサード建物ユニットにファサードが構成されているので、ユニット式建物を建てる際、他の下階建物ユニット、上階建物ユニット等と組み合わせるだけで、ユニット式建物にファサードを設けることができる。従って、ファサードを構成するのにファサード建物ユニットを用いればよいので、ファサードを作るための複数の部材が不要となって部材点数が少なくてすむとともに、製作や管理が容易となり、取り付け作業性の向上を図ることができる。
【0010】
以上の本発明において、ファサードとは、建物の正面を構成する正面構成物をいい、この正面構成物は、装飾的な仕上げが施されていることが好ましいが、例えば、打放しのコンクリート等で構成されていてもよい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、図1に示すように、請求項lに記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記ファサード5は、前記ファサード建物ユニット6,7の上部または下部の一部が開口部とされ、かつ一方側側面から他方側側面に向かって凹んで形成された凹み部A,Bを含み構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
このような本発明によれば、ファサード建物ユニットに凹み部が形成され、この凹み部を仕切部材等で仕切るとともに、仕切部材等に装飾を施し、凹み部の奥の方に例えば玄関を設ければ、建物の入り口から玄関までに至る部位を、例えば門形になった通路とすることができ、外観の変化に富んだユニット式建物とすることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、図1に示すように、請求項2に記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記ファサード建物ユニット6,7は、それぞれ、前記凹み部A,B同士を連続させて上下方向に対向配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
このような本発明によれば、1階のファサード建物ユニットの凹み部と2階のファサード建物ユニットの凹み部同士を連続させて、1階のファサード建物ユニットと2階のファサード建物ユニットとが上下方向に対向配置されるので、上下方向に高さの高い空間を形成することができ、見た目に豪華な感じのファサードを形成することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、図4,5に示すように、請求項2または請求項3に記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記ファサード建物ユニット6,7の前記凹み部A,Bは、当該ファサード建物ユニット6,7の一方側側面に、その幅方向両側の端部側面6A,7Aを残して幅方向中央部に形成され、この幅方向中央部の凹み部幅寸法L1は、前記端部側面6A,7Aの幅寸法L2に対して略3倍〜10倍の範囲内に収まっていることを特徴とするものである。
【0016】
このような本発明によれば、ファサード建物ユニット中央部に、幅方向両側の端部側面を残して形成れた凹み部は、端部側面の幅寸法に対して略3倍〜10倍の大きさに形成されているので、凹み部の幅寸法が大きくなり、その結果、見た目に豪華な感じのファサードを形成することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、図6に示すように、請求項2または請求項3に記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記ファサード建物ユニット46,47は、前記凹み部Bの向きを同じとして上下方向に配置されていることを特徴とするものである。
【0018】
このような本発明によれば、上下方向に異なった趣のファサードを構成することができ、より変化に富んだ外観のユニット式建物とすることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、図7に示すように、請求項2に記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記ファサード建物ユニット56A,56B、57A,57Bは上下左右に2個づつ隣接して配置され、各ファサード建物ユニット56A,56B、57A,57Bの前記凹み部A,Bは、当該ファサード建物ユニット56A,56B、57A,57Bの一方側側面に、その幅方向一端側から他端側に至る途中までにわたるとともに、上方に平面部57Cを残して形成され、前記凹み部A,B同士を連続させて配置されていることを特徴とするものである。
【0020】
このような本発明によれば、隣接するファサード建物ユニットにわたる大きさの凹み部を形成することができる。そのため、敷地等の関係で、長辺方向の寸法が制限されるようなファサード建物ユニットを使用してユニット式建物を建てる際でも、凹み部の幅寸法を大きく形成することができ、見た目に豪華な感じのファサードを形成することができ、かつ変化に富んだユニット式建物とすることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、図1,6,7に示すように、請求項1ないし請求項6のいづれかに記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記凹み部A,Bは、前記ファサード建物ユニット6,7の長辺方向に形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
このような本発明によれば、長辺方向の寸法が短いものでも、1個のファサード建物ユニットで幅の広いファサードを形成することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のユニット式建物の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1,2には、第1実施形態のユニット式建物1の全体が示されている。このユニット式建物1は、例えばベタ基礎2の上に平面コ字状に設置される複数(8個)の下階建物ユニット3と、これらの下階建物ユニット3の上に載置される複数(8個)の上階建物ユニット4と、この平面コ字状の開口部位置、かつ下階および上階に設置される1個の下階ファサード建物ユニット6および上階ファサード建物ユニット7とを備えて構成されている。従って、下階ファサード建物ユニット6と上階ファサード建物ユニット7とは、ユニット式建物1の長さ方向中央部の前面に配置されていることになる。
そして、下階ファサード建物ユニット6と上階ファサード建物ユニット7とで、建物の正面を構成しかつ所定の装飾的な仕上げが施されたファサード5が形成されている。
【0024】
このような下階ファサード建物ユニット6には、左右方向両側にそれぞれ端部側面6Aを残して長辺方向中央部に、一方側(図1の斜め左側)側面から、他方側(図1の斜め右側)側面に向かい、かつ上方が開口部となって凹んだ空間部(凹み部)Aが形成されている。
また、上階ファサード建物ユニット7には、一方側(図1の斜め左側)側面から、他方側(図1の斜め上側)側面に向かい、かつ下方が開口部となって凹んだ空間部(凹み部)Bが形成されている。さらに、上階ファサード建物ユニット7の一方側側面上部には、所定幅に形成された上部側面7Bが形成されている。
【0025】
従って、ユニット式建物1において、下階ファサード建物ユニット6と上階ファサード建物ユニット7とを上下に組み合わせたとき、ユニット式建物1には、上下に連続する凹み部A,Bが形成されていることになる。このような凹み部A,Bを形成する側面には、それぞれ仕切部材9が張り付けられ、これらの仕切部材9には、所定の装飾仕上げが施されている。
【0026】
そして、ここにおいて、上記端部側面6A,7A、上部側面7B、および仕切部材9が張り付けられた凹み部A,Bを含み前記ファサード5が構成されている。
また、ファサード5には、下階ファサード建物ユニット6の床面に、例えばバリアフリーの状態で連続するウッドデッキ30が設けられ、その一端に形成された階段31からも庭に出入りできるようになっている。
なお、ユニット式建物1の凹み部Aの奥には、例えば玄関32が設けられている。
【0027】
ここで、ユニット式建物1を構成する下階建物ユニット3、および上階建物ユニット4は、図3に示すような構成となっている。
すなわち、両建物ユニット3,4とも、四隅に立設される4本の柱10と、これらの柱10の上端間同士を、上部仕口11を介して結合する各4本の天井梁12と、柱10の下端間同士を、下部仕口13を介して結合する各4本の床梁14とで構成されるフレーム15を備え、略箱形に形成されている。
【0028】
天井梁12は、各2本ずつの長辺天井梁12A、短辺天井梁12Bで形成されている。長辺天井梁12A間には、多数本の天井小梁16が架けわたされ、これらの天井小梁16に所定の天井面材を取り付けて天井が形成されている。
また、床梁14は、各2本ずつの長辺床梁14A、短辺床梁14Bで形成されている。長辺床梁14A間には、多数本の根太17が架けわたされ、これらの根太17に所定の床面材を取り付けて床が形成されている。
【0029】
前記下階ファサード建物ユニット6は、図4に示す構成となっている。
すなわち、下階ファサード建物ユニット6は、四隅に立設される4本の前記柱10と、これらの柱10の上端間同士を、前記上部仕口11を介して結合する天井梁12と、柱10の下端間同士を、前記下部仕口13を介して結合する4本の前記床梁14とで構成されるフレーム25を備えて形成されている。
【0030】
天井梁12は、1本の長辺天井梁12Aと、2本の短辺天井梁12Bと、長辺天井梁12Aと平行な長さ寸法L2の2本の第1長辺天井梁12Cと、これらの第1長辺天井梁12Cと平行、かつ長辺天井梁12A側に所定寸法L3だけ離れた位置に設けられる長さ寸法L1の1本の第2長辺天井梁12Dとを備えて形成されている。そして、長さ寸法L2は、前記端部側面6Aの幅寸法であり、長さ寸法L1は、前記凹み部Aの幅寸法である。
【0031】
第1長辺天井梁12Cは、長辺天井梁12Aが結合された柱10と対向する柱10と、この柱10から長辺方向に長さ寸法L2離れた位置に立設された第1中間柱20との上端間に架けわたされている。また、第2長辺天井梁12Dは、2本の中間上梁22間に架けわたされており、これらの中間上梁22は、前記第1中間柱20と、下階ファサード建物ユニット6の短辺方向において第1中間柱20の対向位置に配置された第2中間柱21とにわたって架けわたされている。
【0032】
ここで、第1長辺天井梁12Cの長さ寸法L2と、第2長辺天井梁12Dの長さ寸法L1との関係について説明する。
これらの寸長さ法L2、L1は、第1実施形態では、長さ寸法L1が長さ寸法L2の約3倍〜約10倍の範囲に収まるように設定されることが好適である。
すなわち、長さ寸法L2、L1は、下階ファサード建物ユニット6の長辺寸法Lが変わるに連れて変化するように設定されている。下階ファサード建物ユニット6の長辺寸法Lが、例えば4モジュール(M)である場合、長さ寸法L2を例えば0.5Mに設定すると、長さ寸法L1は3Mとなる。
【0033】
下階ファサード建物ユニット6の長辺寸法Lが、例えば5モジュール(M)である場合、長さ寸法L2を例えば0.5Mに設定すると、長さ寸法L1は4Mとなり、長さ寸法L2を例えば1Mに設定すると、長さ寸法L1は3Mとなる。
また、下階ファサード建物ユニット6の長辺寸法Lが、例えば6モジュール(M)である場合、長さ寸法L2を例えば0.5Mに設定すると、長さ寸法L1は5Mとなり、長さ寸法L2を例えば1Mに設定すると、長さ寸法L1は4Mとなる。
【0034】
なお、モジュール(M)とは、予め決められた建物ユニットの製作基準値であり、1Mは例えば910mmとされている。しかし、この数値は910mmに限らず、例えば900mm、1000mm等、任意に設定することができる。
従って、1Mが例えば910mmとされ、下階ファサード建物ユニット6の長辺寸法Lが6Mのものを使用した場合で、寸法L2を例えば1Mとすれば、下階ファサード建物ユニット6の両側に910mm幅の端部側面6Aが形成され、中央部に3640mm幅の凹み部Aが形成されることになる。
【0035】
前述のように、第2長辺天井梁12Dは、第1長辺天井梁12Cから長辺天井梁12側に所定寸法L3だけ入り込んだ位置に設けられている。また、第2長辺天井梁12Dと長辺天井梁12間には、短い寸法の天井小梁26が架けわたされている。
そして、2本の中間上梁22の所定寸法L3の部分と、第2長辺天井梁12Dと、床梁14および根太17とで、平面下階ファサード建物ユニット6の前記上方が開口部とされた凹み部Aが形成されるとともに、この凹み部Aの周囲には前述のように仕切部材9が設けられている。
【0036】
前記上階ファサード建物ユニット7は、図5に示す構成となっている。
この上階ファサード建物ユニット7は、前記下階ファサード建物ユニット6を上下方向に勝手違いに形成したものである。従って、上階ファサード建物ユニット7は、下階ファサード建物ユニット6とほぼ同じ構成となっているので、下階ファサード建物ユニット6と同一部材には同一符号を付し、それらの詳細な説明は省略または簡略化し、以下には異なる部分のみ説明する。
【0037】
この上階ファサード建物ユニット7は、前記下階ファサード建物ユニット6の上に載せられるため、床部側が開口部となって凹み部Bが形成されている。
上階ファサード建物ユニット7は、前記4本の柱10と、これらの柱10の上端間同士を結合する4本の前記天井梁12と、柱10の下端間同士を結合する床梁14とで構成されるフレーム35を備えて形成されている。
【0038】
床梁14は、1本の長辺床梁14Aと、2本の短辺床梁14Bと、長辺床梁14Aと平行な長さ寸法L2の2本の第1長辺床梁14Cと、これらの第1長辺床梁14Cと平行、かつ長辺床梁14A側に所定寸法L3だけ離れた位置に設けられる長さ寸法L1の1本の第2長辺床梁14Dとを備えて形成されている。そして、幅寸法L2は、前記端部側面7Aの幅寸法であり、長さ寸法L1は、前記凹み部Aの幅寸法である。
【0039】
第1長辺床梁14Cは、長辺床梁14Aが結合された柱10と対向する柱10と、この柱10から長辺方向に長さ寸法L2離れた位置に立設された前記第1中間柱20との下端間に架けわたされている。また、第2長辺床梁14Dは、2本の中間下梁32間に架けわたされており、これらの中間下梁32は、前記第1中間柱20と、上階ファサード建物ユニット7の短辺方向において第1中間柱20の対向位置された第2中間柱21とにわたって架けわたされている。
【0040】
前述のように、第2長辺床梁14Dは、第1長辺床梁14Cから長辺床梁14側に所定寸法L3だけ入り込んだ位置に設けられている。また、第2長辺床梁14Dと長辺床梁14間には、短い寸法の根太27が架けわたされている。
つまり、2本の第1長辺床梁14C、1本の第2長辺床梁14D、および2本の中間下梁32は、前記下階ファサード建物ユニット6の2本の第1長辺天井梁12C、1本の第2長辺天井梁12D、および2本の中間上梁22と、それぞれ対向配置している。
【0041】
そして、2本の中間下梁32の所定寸法L3の部分と、第2長辺床梁14Dと、天井梁12および天井小梁16とで、上階ファサード建物ユニット7の前記下方が開口部とされた凹み部Bが形成されるとともに、この凹み部Bの周囲には前記仕切部材9が設けられている。この仕切部材9と、前記下階ファサード建物ユニット6の凹み部Aの仕切部材9とは、現場において上下方向に連続して設けられるようになっている。
【0042】
次に、以上のようなユニット式建物1の施工方法を説明する。
まず、基礎2の上に所定の下階建物ユニット3を順次設置するとともに、ユニット式建物1の前面、かつ中央部に下階ファサード建物ユニット6を設置し、それらを図示しないシアプレート等で連結する。
次いで、それぞれの下階建物ユニット3の上に上階建物ユニット4を載せるとともに、下階ファサード建物ユニット6の上に上階ファサード建物ユニット7を載せ、それぞれのユニット6,7を結合させた後、当該ユニット6,7の凹み部A,Bの仕切部材9,9同士を連続させる。
【0043】
このような実施形態によれば、次のような効果がある。
(1) ユニット式建物1を構成する複数の建物ユニットのうちの少なくとも一つが下階および上階ファサード建物ユニット6,7となっており、これらのファサード建物ユニット6,7にファサード5が構成されているので、ユニット式建物1を建てる際、下階および上階ファサード建物ユニット6,7と他の下階建物ユニット3、上階建物ユニット4等とを組み合わせるだけで、ユニット式建物1にファサード5を設けることができる。従って、ファサード5を構成するのにファサード建物ユニット6,7を用いればよいので、ファサード用の複数の部材が不要となって部材点数が少なくてすむとともに、製作や管理が容易となり、取り付け作業性の向上を図ることができる。
【0044】
(2) 下階および上階ファサード建物ユニット6,7に凹み部A,Bが形成されテファサード5が構成されるので、この凹み部A,Bを仕切部材9で仕切り、仕切部材9に装飾を施し、凹み部A,Bの奥の方に例えば玄関32を設ければ、建物の入り口から玄関までに至る部位を、例えば門形になった通路とすることができ、外観の変化に富んだユニット式建物1とすることができる。
【0045】
(3) 下階ファサード建物ユニット6の凹み部Aと上階ファサード建物ユニット7の凹み部7B同士を連続させて、下階ファサード建物ユニット6と上階ファサード建物ユニット7とが上下方向に対向配置されるので、上下方向に高さの高い空間を形成することができ、見た目に豪華な感じのファサード5を形成することができる。
【0046】
(4) 下階および上階ファサード建物ユニット6,7の中央部に形成れた凹み部A,Bの幅寸法は、それぞれ、幅方向両側の端部側面6A,7Aの幅寸法に対して略3倍〜10倍の大きさに形成されているので、凹み部A,Bの幅寸法を大きく形成することができ、見た目に豪華な感じのファサード5を形成することができる。
【0047】
次に、図6に基づいて、本発明の第2実施形態を説明する。
本実施形態のユニット式建物41は、その下階と上階とに、それぞれ別個のファサード45A,45Bが設けられているものである。
この実施形態において、前記第1実施形態の構成部材と同一部材には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0048】
前記ファサード45Aは、そのフレーム構造が前記第1実施形態の上階ファサード建物ユニット7のフレーム構造とほぼ同じとなった下階ファサード建物ユニット46により構成されている。
すなわち、下方が開口部とされた凹み部Bを有し、この凹み部Bには仕切部材9が設けられ、また、前記玄関、前記ウッドデッキ30が設けられている。
また、前記ファサード45Bも、そのフレーム構造が前記第1実施形態の上階ファサード建物ユニット7のフレーム構造とほぼ同じとなった上階ファサード建物ユニット47により構成されている。しかし、この上階ファサード建物ユニット47では、その凹み部Bがインナーバルコニ48となっている。そして、このインナーバルコニ48は、上階建物ユニット4の室内から出入りできるようになっている。
【0049】
以上のような第2実施形態によれば、前記第2実施形態と同様な作用、および前記(1) 、(2) 、(4) と同様な効果がある他、
(5) 下階ファサード建物ユニット46と、上階ファサード建物ユニット47とが、それぞれの凹み部Bの向きを同じとして上下方向に配置されているので、上下方向に異なった趣のファサード45A,45Bを構成することができ、より変化に富んだ外観のユニット式建物とすることができる。
【0050】
次に、図7に基づいて、本発明の第3実施形態を説明する。
この第3実施形態において、前記第1,2実施形態の構成部材と同一部材には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施形態のユニット式建物51は、複数個の下階建物ユニット3および上階建物ユニット4を組み合わせるとともに、建物51の正面に、左右方向に2つの下階ファサード建物ユニット56A,56Bを隣接させるとともに、これらの下階ファサード建物ユニット56A,56Bの上に、互いに隣接する2つの上階ファサード建物ユニット57A,57Bを載せて構成されている。
そして、下階ファサード建物ユニット56A,56Bおよび上階ファサード建物ユニット57A,57Bによりユニット式建物51のファサード55が形成されている。
【0051】
この第3実施形態では、下階ファサード建物ユニット56A,56B、および上階ファサード建物ユニット57A,57Bは、それぞれ左右方向に勝手違いに形成され、下階ファサード建物ユニット56A,56Bと上階ファサード建物ユニット57A,57Bとは、それぞれ上下方向に勝手違いに形成されている。
下階ファサード建物ユニット56A,56Bの骨組みは、建物の前方側の天井梁の一部が、幅寸法L2の端部側面56Dから所定寸法L3だけ奥側に後退した位置に設けられた構成となっており、正面視L字状となっている。なお、上部には、上部側面57Cが形成されている。
また、上階ファサード建物ユニット57A,57Bの骨組みは、前述のように、下階ファサード建物ユニット56A,56Bの骨組みと上下方向に勝手違いに形成されており、端部側面57Dを有して正面視L字状となっている。
【0052】
そして、下階ファサード建物ユニット56A,56BのL字の内側部が凹み部Aとなっており、上階ファサード建物ユニット57A,57BのL字の内側部が凹み部Bとなっている。従って、本実施形態のユニット式建物51では、凹み部Aと凹み部Bとが連続し、広い空間が形成されている。また、凹み部Aと凹み部Bの内周には仕切部材9,9が連続して設けられている。
なお、凹み部A、Bの幅寸法L4は、端部側面56D、57Dの幅寸法L2の3倍〜10倍の範囲内に収まるように設定されている。
【0053】
以上のような第3実施形態によれば、前記第1,2実施形態と同様な作用、および前記(1) 、(2) 、(4) と同様な効果がある他、
(6) 隣接する下階ファサード建物ユニット56A,56B、および上階ファサード建物ユニット57A,57Bにわたる大きさの凹み部A,Bを形成することができる。そのため、敷地等の関係で、建物全体の長辺方向の寸法が制限されるような場合で、長辺寸法が短い建物ユニットしか使えないときでも、凹み部A,Bの幅寸法を大きく形成することができ、見た目に豪華な感じのファサード55を形成することができ、変化に富んだユニット式建物とすることができる。
【0054】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できるものであれば、次のような変形形態でもよいものである。
例えば、前記第1実施形態では、ユニット式建物1のそれぞれの下階ファサード建物ユニット6および上階ファサード建物ユニット7が、両側の下階建物ユニット3、および上階建物ユニット4に挟まれて配置されているが、下階ファサード建物ユニット6および上階ファサード建物ユニット7の配置はこれに限らない。右側または左側に下階ファサード建物ユニット6および上階ファサード建物ユニット7を配置してもよい。
【0055】
また、前記第1実施形態では、ユニット式建物1のそれぞれの下階ファサード建物ユニット6、および上階ファサード建物ユニット7における両側の端部側面6A,7Aの幅寸法L2が同じ寸法に設定されていたが、これに限らない。左右両側の幅寸法L2を左右で違う寸法に設定してもよい。
【0056】
さらに、前記第2実施形態では、ユニット式建物41のそれぞれの下階ファサード建物ユニット46および上階ファサード建物ユニット47が、両側の下階建物ユニット3、および上階建物ユニット4に挟まれて配置されているが、下階ファサード建物ユニット46および上階ファサード建物ユニット47の配置はこれに限らない。前記変形形態と同じように、右側または左側に下階ファサード建物ユニット46および上階ファサード建物ユニット47を配置してもよい。
【0057】
また、前記第3実施形態では、ユニット式建物51の下階ファサード建物ユニット56A,56B、および上階ファサード建物ユニット57A,57Bの凹み部A,Bが連続する大きな空間となっているが、第2実施形態と同じように、下階ファサード建物ユニット56A,56B、および上階ファサード建物ユニット57A,57Bに、それぞれ別個のファサードを構成するようにしてもよい。
【0058】
また、前記各実施形態では、ユニット式建物1,41,51の、それぞれのファサード5,45A,45B,55が、下階ファサード建物ユニット6,46,56および上階ファサード建物ユニット7,47,57を備えた2階建てのユニット式建物1,41,51に設けられていたが、必ずしも2階建てに限らない。例えば、複数の下階建物ユニットと、1個または2個の下階ファサード建物ユニットとを組み合わせて建てられる平屋建てのユニット式建物としてもよく、あるいは3階建てのユニット式建物としてもよい。
【0059】
また、前記各実施形態では、ユニット式建物1,41,51の、それぞれの下階ファサード建物ユニット6,46,56および上階ファサード建物ユニット7,47,57の凹み部A,Bは、各建物ユニット6等の長辺方向の一側面から奥側に凹んだ状態で形成されているが、これに限らない。例えば、下階ファサード建物ユニットの短辺方向の一側面に凹み部を形成するとともに、その下階ファサード建物ユニットを短辺方向に隣接させ、前記第3実施形態と同じように、2つの下階ファサード建物ユニットの凹み部を連続させるような構成としてもよい。このような構成とすれば、凹み部の奥行きを深くとることができ、より変化に富んだユニット式建物とすることができる。
直線状、上部をアーチ状に形成してもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1の発明によれば、ユニット式建物を構成する複数の建物ユニットのうちの少なくとも一つがファサード建物ユニットとなっており、このファサード建物ユニットにファサードが構成されているので、ユニット式建物を建てる際、他の下階建物ユニット、上階建物ユニット等と組み合わせるだけで、ユニット式建物にファサードを設けることができる。従って、ファサードを構成するのにファサード建物ユニットを用いればよいので、ファサードを作るための複数の部材が不要となって部材点数が少なくてすむとともに、製作や管理が容易となり、取り付け作業性の向上を図ることができる。
【0061】
請求項2の発明によれば、ファサード建物ユニットに凹み部が形成され、この凹み部を仕切部材等で仕切るとともに、仕切部材等に装飾を施し、凹み部の奥の方に例えば玄関を設ければ、建物の入り口から玄関までに至る部位を、例えば門形になった通路とすることができ、外観の変化に富んだユニット式建物とすることができる。
【0062】
請求項3の発明によれば、ファサード建物ユニット6の凹み部Aとファサード建物ユニット7の凹み部7B同士を連続させて、ファサード建物ユニット6とファサード建物ユニット7とが上下方向に対向配置されるので、上下方向に高さの高い空間を形成することができ、見た目に豪華な感じのファサードを形成することができる。
【0063】
請求項4の発明によれば、ファサード建物ユニット中央部に、幅方向両側の端部側面を残して形成れた凹み部は、端部側面の幅寸法に対して略3倍〜10倍の大きさに形成されているので、凹み部の幅寸法が大きくなり、その結果、見た目に豪華な感じのファサードを形成することができる。
【0064】
請求項5の発明によれば、上下方向に異なった趣のファサードを構成することができ、より変化に富んだ外観のユニット式建物とすることができる。
【0065】
請求項6の発明によれば、隣接するファサード建物ユニットにわたる大きさの凹み部を形成することができる。そのため、敷地等の関係で、長辺方向の寸法が制限されるようなファサード建物ユニットを使用してユニット式建物を建てる際でも、凹み部の幅寸法を大きく形成することができ、見た目に豪華な感じのファサードを形成することができ、かつ変化に富んだユニット式建物とすることができる。
【0066】
請求項7の発明によれば、凹み部が、ファサード建物ユニットの長辺方向に形成されているので、長辺方向の寸法が短いものでも、1個のファサード建物ユニットで幅の広いファサードを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るユニット式建物の第1実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】前記実施形態のユニット式建物の構成を示す全体平面図である。
【図3】前記実施形態のユニット式建物を構成する建物ユニットのフレームを示す全体斜視図である。
【図4】前記実施形態のユニット式建物を構成する下階ファサード建物ユニットのフレームを示す全体斜視図である。
【図5】前記実施形態のユニット式建物を構成する上階ファサード建物ユニットのフレームを示す全体斜視図である。
【図6】本発明に係るユニット式建物の第2実施形態を示す全体斜視図である。
【図7】本発明に係るユニット式建物の第3実施形態を示す全体斜視図である。
【図8】従来のユニット式建物を示す全体斜視図である。
【符号の説明】
1,41,51 ユニット式建物
3 下階建物ユニット
4 上階建物ユニット
5,45A,45B,55 ファサード
6,46,56 下階ファサード建物ユニット
7,47,57 上階ファサード建物ユニット
10 柱
12 天井梁
14 床梁
15,25,35 フレーム
A,B 凹み部
【発明の属する技術分野】
本発明は、柱、梁を含むフレームを有して形成される複数の建物ユニットを組み合わせて建てられるとともに、装飾的な仕上げが施されたファサードを備えたユニット式建物に関する。
【0002】
【背景技術】
四隅に立設される柱と、これらの柱の上端間同士を結合する天井梁と、柱の下端間同士を結合する床梁とを含み構成されたフレームを備え、予め工場で生産された箱形の建物ユニットを複数個、建設現場で、上下および水平方向に組み合わせて建てられたユニット式建物が知られている(例えば特許文献1)。
このようなユニット式建物は、複数個の箱形の建物ユニットを組み合わせて建てられるため、外観が変化に乏しく、単調になりがちである。そこで、ユニット式建物の正面、例えば玄関に至る部分に、建物の正面構成物として、装飾的な仕上げが施されたファサードを設け、建物全体に変化をもたせようとすることが行われる。
【0003】
従来のファサードを備えたユニット式建物は、例えば図8に示すような構成となっている。
すなわち、ユニット式建物80は、複数の略箱形の下階建物ユニット81および上階建物ユニット82と、これらの建物ユニット81,82の例えば正面に装着されるファサード85とを備えて構成されている。
ファサード85は、例えば装飾的な仕上げが施されるとともに建物の正面を構成する正面構成物である。このファサード85は、例えば門形に形成されており、左右に離れて配置される柱部86と、これらの柱部86の上端部に設けられる庇部87とを備えて構成されている。柱部86は、下階建物ユニット81の高さ寸法とほぼ等しい下柱86Aと、上階建物ユニット82の高さの途中までの高さ寸法の上柱86Bとを含み構成されている。そして、このような下柱86Aおよび上柱86Bが、隣接する下階建物ユニット81のそれぞれ外側寄りに設けられてユニット式建物80の正面が構成されている。
【0004】
これに対して庇部87は、上階建物ユニット82の長辺寸法とほぼ等しい長さ寸法に形成され、隣接する上階建物ユニット82にそれぞれ対応して設けられている。これらの柱部86、および庇部87は、現場において、それぞれ下階建物ユニット81、上階建物ユニット82に装着され、これらの下階建物ユニット81、上階建物ユニット82、柱部86および庇部87とで空間部(凹み部)Aが形成されている。つまり、前記ファサード85は、ユニット式建物80の正面から奥側に凹んだ状態となっている。
なお、ファサード85の柱部86および庇部87には、所定の装飾が施されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−210085号公報。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来のファサード85を備えたユニット式建物80では、ファサード85が、柱部86および庇部87で構成され、これらの柱部86、庇部87も、それぞれ細分化されており、部材点数が増えるという問題が生じている。
また、大きさや形状が異なった複数の部材で構成されているので、製作や管理が煩雑となり、また、建設現場への運搬も部材点数が多いために面倒である。
さらに、ファサード85の各部材86,87を、建設現場で建物ユニット81,82へ取り付ける際も、部材点数が多いために、全部を取り付けるのに多くの人手や手間がかかるという問題がある。特に、ファサード85の各部材86,87の一つを取り付けた後、次の部材を取り付けるとき、先に取り付けたものと位置を決めながら連結する等、多くの手間がかかり、取り付け作業性が悪い。
【0007】
本発明の目的は、部材点数が少なくてすむとともに、製作や管理が容易となり、取り付け作業性の向上を図ることができるファサードを備えたユニット式建物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、図面を参照して説明すると、図1に示すように、複数本の柱と、これらの柱の上端間同士を結合する天井梁と、前記柱の下端間同士を結合する床梁とを含み形成されたフレームを有する複数の建物ユニット3,4を組み合わせて建てられるとともに、ファサード5を備えたユニット式建物1において、前記複数の建物ユニットのうち少なくとも一つの建物ユニットは、前記ファサード5が構成されたファサード建物ユニット6,7となっていることを特徴とするファサードを備えたユニット式建物1である。
【0009】
このような本発明によれば、ユニット式建物を構成する複数の建物ユニットのうちの少なくとも一つがファサード建物ユニットとなっており、このファサード建物ユニットにファサードが構成されているので、ユニット式建物を建てる際、他の下階建物ユニット、上階建物ユニット等と組み合わせるだけで、ユニット式建物にファサードを設けることができる。従って、ファサードを構成するのにファサード建物ユニットを用いればよいので、ファサードを作るための複数の部材が不要となって部材点数が少なくてすむとともに、製作や管理が容易となり、取り付け作業性の向上を図ることができる。
【0010】
以上の本発明において、ファサードとは、建物の正面を構成する正面構成物をいい、この正面構成物は、装飾的な仕上げが施されていることが好ましいが、例えば、打放しのコンクリート等で構成されていてもよい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、図1に示すように、請求項lに記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記ファサード5は、前記ファサード建物ユニット6,7の上部または下部の一部が開口部とされ、かつ一方側側面から他方側側面に向かって凹んで形成された凹み部A,Bを含み構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
このような本発明によれば、ファサード建物ユニットに凹み部が形成され、この凹み部を仕切部材等で仕切るとともに、仕切部材等に装飾を施し、凹み部の奥の方に例えば玄関を設ければ、建物の入り口から玄関までに至る部位を、例えば門形になった通路とすることができ、外観の変化に富んだユニット式建物とすることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、図1に示すように、請求項2に記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記ファサード建物ユニット6,7は、それぞれ、前記凹み部A,B同士を連続させて上下方向に対向配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
このような本発明によれば、1階のファサード建物ユニットの凹み部と2階のファサード建物ユニットの凹み部同士を連続させて、1階のファサード建物ユニットと2階のファサード建物ユニットとが上下方向に対向配置されるので、上下方向に高さの高い空間を形成することができ、見た目に豪華な感じのファサードを形成することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、図4,5に示すように、請求項2または請求項3に記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記ファサード建物ユニット6,7の前記凹み部A,Bは、当該ファサード建物ユニット6,7の一方側側面に、その幅方向両側の端部側面6A,7Aを残して幅方向中央部に形成され、この幅方向中央部の凹み部幅寸法L1は、前記端部側面6A,7Aの幅寸法L2に対して略3倍〜10倍の範囲内に収まっていることを特徴とするものである。
【0016】
このような本発明によれば、ファサード建物ユニット中央部に、幅方向両側の端部側面を残して形成れた凹み部は、端部側面の幅寸法に対して略3倍〜10倍の大きさに形成されているので、凹み部の幅寸法が大きくなり、その結果、見た目に豪華な感じのファサードを形成することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、図6に示すように、請求項2または請求項3に記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記ファサード建物ユニット46,47は、前記凹み部Bの向きを同じとして上下方向に配置されていることを特徴とするものである。
【0018】
このような本発明によれば、上下方向に異なった趣のファサードを構成することができ、より変化に富んだ外観のユニット式建物とすることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、図7に示すように、請求項2に記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記ファサード建物ユニット56A,56B、57A,57Bは上下左右に2個づつ隣接して配置され、各ファサード建物ユニット56A,56B、57A,57Bの前記凹み部A,Bは、当該ファサード建物ユニット56A,56B、57A,57Bの一方側側面に、その幅方向一端側から他端側に至る途中までにわたるとともに、上方に平面部57Cを残して形成され、前記凹み部A,B同士を連続させて配置されていることを特徴とするものである。
【0020】
このような本発明によれば、隣接するファサード建物ユニットにわたる大きさの凹み部を形成することができる。そのため、敷地等の関係で、長辺方向の寸法が制限されるようなファサード建物ユニットを使用してユニット式建物を建てる際でも、凹み部の幅寸法を大きく形成することができ、見た目に豪華な感じのファサードを形成することができ、かつ変化に富んだユニット式建物とすることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、図1,6,7に示すように、請求項1ないし請求項6のいづれかに記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記凹み部A,Bは、前記ファサード建物ユニット6,7の長辺方向に形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
このような本発明によれば、長辺方向の寸法が短いものでも、1個のファサード建物ユニットで幅の広いファサードを形成することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のユニット式建物の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1,2には、第1実施形態のユニット式建物1の全体が示されている。このユニット式建物1は、例えばベタ基礎2の上に平面コ字状に設置される複数(8個)の下階建物ユニット3と、これらの下階建物ユニット3の上に載置される複数(8個)の上階建物ユニット4と、この平面コ字状の開口部位置、かつ下階および上階に設置される1個の下階ファサード建物ユニット6および上階ファサード建物ユニット7とを備えて構成されている。従って、下階ファサード建物ユニット6と上階ファサード建物ユニット7とは、ユニット式建物1の長さ方向中央部の前面に配置されていることになる。
そして、下階ファサード建物ユニット6と上階ファサード建物ユニット7とで、建物の正面を構成しかつ所定の装飾的な仕上げが施されたファサード5が形成されている。
【0024】
このような下階ファサード建物ユニット6には、左右方向両側にそれぞれ端部側面6Aを残して長辺方向中央部に、一方側(図1の斜め左側)側面から、他方側(図1の斜め右側)側面に向かい、かつ上方が開口部となって凹んだ空間部(凹み部)Aが形成されている。
また、上階ファサード建物ユニット7には、一方側(図1の斜め左側)側面から、他方側(図1の斜め上側)側面に向かい、かつ下方が開口部となって凹んだ空間部(凹み部)Bが形成されている。さらに、上階ファサード建物ユニット7の一方側側面上部には、所定幅に形成された上部側面7Bが形成されている。
【0025】
従って、ユニット式建物1において、下階ファサード建物ユニット6と上階ファサード建物ユニット7とを上下に組み合わせたとき、ユニット式建物1には、上下に連続する凹み部A,Bが形成されていることになる。このような凹み部A,Bを形成する側面には、それぞれ仕切部材9が張り付けられ、これらの仕切部材9には、所定の装飾仕上げが施されている。
【0026】
そして、ここにおいて、上記端部側面6A,7A、上部側面7B、および仕切部材9が張り付けられた凹み部A,Bを含み前記ファサード5が構成されている。
また、ファサード5には、下階ファサード建物ユニット6の床面に、例えばバリアフリーの状態で連続するウッドデッキ30が設けられ、その一端に形成された階段31からも庭に出入りできるようになっている。
なお、ユニット式建物1の凹み部Aの奥には、例えば玄関32が設けられている。
【0027】
ここで、ユニット式建物1を構成する下階建物ユニット3、および上階建物ユニット4は、図3に示すような構成となっている。
すなわち、両建物ユニット3,4とも、四隅に立設される4本の柱10と、これらの柱10の上端間同士を、上部仕口11を介して結合する各4本の天井梁12と、柱10の下端間同士を、下部仕口13を介して結合する各4本の床梁14とで構成されるフレーム15を備え、略箱形に形成されている。
【0028】
天井梁12は、各2本ずつの長辺天井梁12A、短辺天井梁12Bで形成されている。長辺天井梁12A間には、多数本の天井小梁16が架けわたされ、これらの天井小梁16に所定の天井面材を取り付けて天井が形成されている。
また、床梁14は、各2本ずつの長辺床梁14A、短辺床梁14Bで形成されている。長辺床梁14A間には、多数本の根太17が架けわたされ、これらの根太17に所定の床面材を取り付けて床が形成されている。
【0029】
前記下階ファサード建物ユニット6は、図4に示す構成となっている。
すなわち、下階ファサード建物ユニット6は、四隅に立設される4本の前記柱10と、これらの柱10の上端間同士を、前記上部仕口11を介して結合する天井梁12と、柱10の下端間同士を、前記下部仕口13を介して結合する4本の前記床梁14とで構成されるフレーム25を備えて形成されている。
【0030】
天井梁12は、1本の長辺天井梁12Aと、2本の短辺天井梁12Bと、長辺天井梁12Aと平行な長さ寸法L2の2本の第1長辺天井梁12Cと、これらの第1長辺天井梁12Cと平行、かつ長辺天井梁12A側に所定寸法L3だけ離れた位置に設けられる長さ寸法L1の1本の第2長辺天井梁12Dとを備えて形成されている。そして、長さ寸法L2は、前記端部側面6Aの幅寸法であり、長さ寸法L1は、前記凹み部Aの幅寸法である。
【0031】
第1長辺天井梁12Cは、長辺天井梁12Aが結合された柱10と対向する柱10と、この柱10から長辺方向に長さ寸法L2離れた位置に立設された第1中間柱20との上端間に架けわたされている。また、第2長辺天井梁12Dは、2本の中間上梁22間に架けわたされており、これらの中間上梁22は、前記第1中間柱20と、下階ファサード建物ユニット6の短辺方向において第1中間柱20の対向位置に配置された第2中間柱21とにわたって架けわたされている。
【0032】
ここで、第1長辺天井梁12Cの長さ寸法L2と、第2長辺天井梁12Dの長さ寸法L1との関係について説明する。
これらの寸長さ法L2、L1は、第1実施形態では、長さ寸法L1が長さ寸法L2の約3倍〜約10倍の範囲に収まるように設定されることが好適である。
すなわち、長さ寸法L2、L1は、下階ファサード建物ユニット6の長辺寸法Lが変わるに連れて変化するように設定されている。下階ファサード建物ユニット6の長辺寸法Lが、例えば4モジュール(M)である場合、長さ寸法L2を例えば0.5Mに設定すると、長さ寸法L1は3Mとなる。
【0033】
下階ファサード建物ユニット6の長辺寸法Lが、例えば5モジュール(M)である場合、長さ寸法L2を例えば0.5Mに設定すると、長さ寸法L1は4Mとなり、長さ寸法L2を例えば1Mに設定すると、長さ寸法L1は3Mとなる。
また、下階ファサード建物ユニット6の長辺寸法Lが、例えば6モジュール(M)である場合、長さ寸法L2を例えば0.5Mに設定すると、長さ寸法L1は5Mとなり、長さ寸法L2を例えば1Mに設定すると、長さ寸法L1は4Mとなる。
【0034】
なお、モジュール(M)とは、予め決められた建物ユニットの製作基準値であり、1Mは例えば910mmとされている。しかし、この数値は910mmに限らず、例えば900mm、1000mm等、任意に設定することができる。
従って、1Mが例えば910mmとされ、下階ファサード建物ユニット6の長辺寸法Lが6Mのものを使用した場合で、寸法L2を例えば1Mとすれば、下階ファサード建物ユニット6の両側に910mm幅の端部側面6Aが形成され、中央部に3640mm幅の凹み部Aが形成されることになる。
【0035】
前述のように、第2長辺天井梁12Dは、第1長辺天井梁12Cから長辺天井梁12側に所定寸法L3だけ入り込んだ位置に設けられている。また、第2長辺天井梁12Dと長辺天井梁12間には、短い寸法の天井小梁26が架けわたされている。
そして、2本の中間上梁22の所定寸法L3の部分と、第2長辺天井梁12Dと、床梁14および根太17とで、平面下階ファサード建物ユニット6の前記上方が開口部とされた凹み部Aが形成されるとともに、この凹み部Aの周囲には前述のように仕切部材9が設けられている。
【0036】
前記上階ファサード建物ユニット7は、図5に示す構成となっている。
この上階ファサード建物ユニット7は、前記下階ファサード建物ユニット6を上下方向に勝手違いに形成したものである。従って、上階ファサード建物ユニット7は、下階ファサード建物ユニット6とほぼ同じ構成となっているので、下階ファサード建物ユニット6と同一部材には同一符号を付し、それらの詳細な説明は省略または簡略化し、以下には異なる部分のみ説明する。
【0037】
この上階ファサード建物ユニット7は、前記下階ファサード建物ユニット6の上に載せられるため、床部側が開口部となって凹み部Bが形成されている。
上階ファサード建物ユニット7は、前記4本の柱10と、これらの柱10の上端間同士を結合する4本の前記天井梁12と、柱10の下端間同士を結合する床梁14とで構成されるフレーム35を備えて形成されている。
【0038】
床梁14は、1本の長辺床梁14Aと、2本の短辺床梁14Bと、長辺床梁14Aと平行な長さ寸法L2の2本の第1長辺床梁14Cと、これらの第1長辺床梁14Cと平行、かつ長辺床梁14A側に所定寸法L3だけ離れた位置に設けられる長さ寸法L1の1本の第2長辺床梁14Dとを備えて形成されている。そして、幅寸法L2は、前記端部側面7Aの幅寸法であり、長さ寸法L1は、前記凹み部Aの幅寸法である。
【0039】
第1長辺床梁14Cは、長辺床梁14Aが結合された柱10と対向する柱10と、この柱10から長辺方向に長さ寸法L2離れた位置に立設された前記第1中間柱20との下端間に架けわたされている。また、第2長辺床梁14Dは、2本の中間下梁32間に架けわたされており、これらの中間下梁32は、前記第1中間柱20と、上階ファサード建物ユニット7の短辺方向において第1中間柱20の対向位置された第2中間柱21とにわたって架けわたされている。
【0040】
前述のように、第2長辺床梁14Dは、第1長辺床梁14Cから長辺床梁14側に所定寸法L3だけ入り込んだ位置に設けられている。また、第2長辺床梁14Dと長辺床梁14間には、短い寸法の根太27が架けわたされている。
つまり、2本の第1長辺床梁14C、1本の第2長辺床梁14D、および2本の中間下梁32は、前記下階ファサード建物ユニット6の2本の第1長辺天井梁12C、1本の第2長辺天井梁12D、および2本の中間上梁22と、それぞれ対向配置している。
【0041】
そして、2本の中間下梁32の所定寸法L3の部分と、第2長辺床梁14Dと、天井梁12および天井小梁16とで、上階ファサード建物ユニット7の前記下方が開口部とされた凹み部Bが形成されるとともに、この凹み部Bの周囲には前記仕切部材9が設けられている。この仕切部材9と、前記下階ファサード建物ユニット6の凹み部Aの仕切部材9とは、現場において上下方向に連続して設けられるようになっている。
【0042】
次に、以上のようなユニット式建物1の施工方法を説明する。
まず、基礎2の上に所定の下階建物ユニット3を順次設置するとともに、ユニット式建物1の前面、かつ中央部に下階ファサード建物ユニット6を設置し、それらを図示しないシアプレート等で連結する。
次いで、それぞれの下階建物ユニット3の上に上階建物ユニット4を載せるとともに、下階ファサード建物ユニット6の上に上階ファサード建物ユニット7を載せ、それぞれのユニット6,7を結合させた後、当該ユニット6,7の凹み部A,Bの仕切部材9,9同士を連続させる。
【0043】
このような実施形態によれば、次のような効果がある。
(1) ユニット式建物1を構成する複数の建物ユニットのうちの少なくとも一つが下階および上階ファサード建物ユニット6,7となっており、これらのファサード建物ユニット6,7にファサード5が構成されているので、ユニット式建物1を建てる際、下階および上階ファサード建物ユニット6,7と他の下階建物ユニット3、上階建物ユニット4等とを組み合わせるだけで、ユニット式建物1にファサード5を設けることができる。従って、ファサード5を構成するのにファサード建物ユニット6,7を用いればよいので、ファサード用の複数の部材が不要となって部材点数が少なくてすむとともに、製作や管理が容易となり、取り付け作業性の向上を図ることができる。
【0044】
(2) 下階および上階ファサード建物ユニット6,7に凹み部A,Bが形成されテファサード5が構成されるので、この凹み部A,Bを仕切部材9で仕切り、仕切部材9に装飾を施し、凹み部A,Bの奥の方に例えば玄関32を設ければ、建物の入り口から玄関までに至る部位を、例えば門形になった通路とすることができ、外観の変化に富んだユニット式建物1とすることができる。
【0045】
(3) 下階ファサード建物ユニット6の凹み部Aと上階ファサード建物ユニット7の凹み部7B同士を連続させて、下階ファサード建物ユニット6と上階ファサード建物ユニット7とが上下方向に対向配置されるので、上下方向に高さの高い空間を形成することができ、見た目に豪華な感じのファサード5を形成することができる。
【0046】
(4) 下階および上階ファサード建物ユニット6,7の中央部に形成れた凹み部A,Bの幅寸法は、それぞれ、幅方向両側の端部側面6A,7Aの幅寸法に対して略3倍〜10倍の大きさに形成されているので、凹み部A,Bの幅寸法を大きく形成することができ、見た目に豪華な感じのファサード5を形成することができる。
【0047】
次に、図6に基づいて、本発明の第2実施形態を説明する。
本実施形態のユニット式建物41は、その下階と上階とに、それぞれ別個のファサード45A,45Bが設けられているものである。
この実施形態において、前記第1実施形態の構成部材と同一部材には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0048】
前記ファサード45Aは、そのフレーム構造が前記第1実施形態の上階ファサード建物ユニット7のフレーム構造とほぼ同じとなった下階ファサード建物ユニット46により構成されている。
すなわち、下方が開口部とされた凹み部Bを有し、この凹み部Bには仕切部材9が設けられ、また、前記玄関、前記ウッドデッキ30が設けられている。
また、前記ファサード45Bも、そのフレーム構造が前記第1実施形態の上階ファサード建物ユニット7のフレーム構造とほぼ同じとなった上階ファサード建物ユニット47により構成されている。しかし、この上階ファサード建物ユニット47では、その凹み部Bがインナーバルコニ48となっている。そして、このインナーバルコニ48は、上階建物ユニット4の室内から出入りできるようになっている。
【0049】
以上のような第2実施形態によれば、前記第2実施形態と同様な作用、および前記(1) 、(2) 、(4) と同様な効果がある他、
(5) 下階ファサード建物ユニット46と、上階ファサード建物ユニット47とが、それぞれの凹み部Bの向きを同じとして上下方向に配置されているので、上下方向に異なった趣のファサード45A,45Bを構成することができ、より変化に富んだ外観のユニット式建物とすることができる。
【0050】
次に、図7に基づいて、本発明の第3実施形態を説明する。
この第3実施形態において、前記第1,2実施形態の構成部材と同一部材には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施形態のユニット式建物51は、複数個の下階建物ユニット3および上階建物ユニット4を組み合わせるとともに、建物51の正面に、左右方向に2つの下階ファサード建物ユニット56A,56Bを隣接させるとともに、これらの下階ファサード建物ユニット56A,56Bの上に、互いに隣接する2つの上階ファサード建物ユニット57A,57Bを載せて構成されている。
そして、下階ファサード建物ユニット56A,56Bおよび上階ファサード建物ユニット57A,57Bによりユニット式建物51のファサード55が形成されている。
【0051】
この第3実施形態では、下階ファサード建物ユニット56A,56B、および上階ファサード建物ユニット57A,57Bは、それぞれ左右方向に勝手違いに形成され、下階ファサード建物ユニット56A,56Bと上階ファサード建物ユニット57A,57Bとは、それぞれ上下方向に勝手違いに形成されている。
下階ファサード建物ユニット56A,56Bの骨組みは、建物の前方側の天井梁の一部が、幅寸法L2の端部側面56Dから所定寸法L3だけ奥側に後退した位置に設けられた構成となっており、正面視L字状となっている。なお、上部には、上部側面57Cが形成されている。
また、上階ファサード建物ユニット57A,57Bの骨組みは、前述のように、下階ファサード建物ユニット56A,56Bの骨組みと上下方向に勝手違いに形成されており、端部側面57Dを有して正面視L字状となっている。
【0052】
そして、下階ファサード建物ユニット56A,56BのL字の内側部が凹み部Aとなっており、上階ファサード建物ユニット57A,57BのL字の内側部が凹み部Bとなっている。従って、本実施形態のユニット式建物51では、凹み部Aと凹み部Bとが連続し、広い空間が形成されている。また、凹み部Aと凹み部Bの内周には仕切部材9,9が連続して設けられている。
なお、凹み部A、Bの幅寸法L4は、端部側面56D、57Dの幅寸法L2の3倍〜10倍の範囲内に収まるように設定されている。
【0053】
以上のような第3実施形態によれば、前記第1,2実施形態と同様な作用、および前記(1) 、(2) 、(4) と同様な効果がある他、
(6) 隣接する下階ファサード建物ユニット56A,56B、および上階ファサード建物ユニット57A,57Bにわたる大きさの凹み部A,Bを形成することができる。そのため、敷地等の関係で、建物全体の長辺方向の寸法が制限されるような場合で、長辺寸法が短い建物ユニットしか使えないときでも、凹み部A,Bの幅寸法を大きく形成することができ、見た目に豪華な感じのファサード55を形成することができ、変化に富んだユニット式建物とすることができる。
【0054】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できるものであれば、次のような変形形態でもよいものである。
例えば、前記第1実施形態では、ユニット式建物1のそれぞれの下階ファサード建物ユニット6および上階ファサード建物ユニット7が、両側の下階建物ユニット3、および上階建物ユニット4に挟まれて配置されているが、下階ファサード建物ユニット6および上階ファサード建物ユニット7の配置はこれに限らない。右側または左側に下階ファサード建物ユニット6および上階ファサード建物ユニット7を配置してもよい。
【0055】
また、前記第1実施形態では、ユニット式建物1のそれぞれの下階ファサード建物ユニット6、および上階ファサード建物ユニット7における両側の端部側面6A,7Aの幅寸法L2が同じ寸法に設定されていたが、これに限らない。左右両側の幅寸法L2を左右で違う寸法に設定してもよい。
【0056】
さらに、前記第2実施形態では、ユニット式建物41のそれぞれの下階ファサード建物ユニット46および上階ファサード建物ユニット47が、両側の下階建物ユニット3、および上階建物ユニット4に挟まれて配置されているが、下階ファサード建物ユニット46および上階ファサード建物ユニット47の配置はこれに限らない。前記変形形態と同じように、右側または左側に下階ファサード建物ユニット46および上階ファサード建物ユニット47を配置してもよい。
【0057】
また、前記第3実施形態では、ユニット式建物51の下階ファサード建物ユニット56A,56B、および上階ファサード建物ユニット57A,57Bの凹み部A,Bが連続する大きな空間となっているが、第2実施形態と同じように、下階ファサード建物ユニット56A,56B、および上階ファサード建物ユニット57A,57Bに、それぞれ別個のファサードを構成するようにしてもよい。
【0058】
また、前記各実施形態では、ユニット式建物1,41,51の、それぞれのファサード5,45A,45B,55が、下階ファサード建物ユニット6,46,56および上階ファサード建物ユニット7,47,57を備えた2階建てのユニット式建物1,41,51に設けられていたが、必ずしも2階建てに限らない。例えば、複数の下階建物ユニットと、1個または2個の下階ファサード建物ユニットとを組み合わせて建てられる平屋建てのユニット式建物としてもよく、あるいは3階建てのユニット式建物としてもよい。
【0059】
また、前記各実施形態では、ユニット式建物1,41,51の、それぞれの下階ファサード建物ユニット6,46,56および上階ファサード建物ユニット7,47,57の凹み部A,Bは、各建物ユニット6等の長辺方向の一側面から奥側に凹んだ状態で形成されているが、これに限らない。例えば、下階ファサード建物ユニットの短辺方向の一側面に凹み部を形成するとともに、その下階ファサード建物ユニットを短辺方向に隣接させ、前記第3実施形態と同じように、2つの下階ファサード建物ユニットの凹み部を連続させるような構成としてもよい。このような構成とすれば、凹み部の奥行きを深くとることができ、より変化に富んだユニット式建物とすることができる。
直線状、上部をアーチ状に形成してもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1の発明によれば、ユニット式建物を構成する複数の建物ユニットのうちの少なくとも一つがファサード建物ユニットとなっており、このファサード建物ユニットにファサードが構成されているので、ユニット式建物を建てる際、他の下階建物ユニット、上階建物ユニット等と組み合わせるだけで、ユニット式建物にファサードを設けることができる。従って、ファサードを構成するのにファサード建物ユニットを用いればよいので、ファサードを作るための複数の部材が不要となって部材点数が少なくてすむとともに、製作や管理が容易となり、取り付け作業性の向上を図ることができる。
【0061】
請求項2の発明によれば、ファサード建物ユニットに凹み部が形成され、この凹み部を仕切部材等で仕切るとともに、仕切部材等に装飾を施し、凹み部の奥の方に例えば玄関を設ければ、建物の入り口から玄関までに至る部位を、例えば門形になった通路とすることができ、外観の変化に富んだユニット式建物とすることができる。
【0062】
請求項3の発明によれば、ファサード建物ユニット6の凹み部Aとファサード建物ユニット7の凹み部7B同士を連続させて、ファサード建物ユニット6とファサード建物ユニット7とが上下方向に対向配置されるので、上下方向に高さの高い空間を形成することができ、見た目に豪華な感じのファサードを形成することができる。
【0063】
請求項4の発明によれば、ファサード建物ユニット中央部に、幅方向両側の端部側面を残して形成れた凹み部は、端部側面の幅寸法に対して略3倍〜10倍の大きさに形成されているので、凹み部の幅寸法が大きくなり、その結果、見た目に豪華な感じのファサードを形成することができる。
【0064】
請求項5の発明によれば、上下方向に異なった趣のファサードを構成することができ、より変化に富んだ外観のユニット式建物とすることができる。
【0065】
請求項6の発明によれば、隣接するファサード建物ユニットにわたる大きさの凹み部を形成することができる。そのため、敷地等の関係で、長辺方向の寸法が制限されるようなファサード建物ユニットを使用してユニット式建物を建てる際でも、凹み部の幅寸法を大きく形成することができ、見た目に豪華な感じのファサードを形成することができ、かつ変化に富んだユニット式建物とすることができる。
【0066】
請求項7の発明によれば、凹み部が、ファサード建物ユニットの長辺方向に形成されているので、長辺方向の寸法が短いものでも、1個のファサード建物ユニットで幅の広いファサードを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るユニット式建物の第1実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】前記実施形態のユニット式建物の構成を示す全体平面図である。
【図3】前記実施形態のユニット式建物を構成する建物ユニットのフレームを示す全体斜視図である。
【図4】前記実施形態のユニット式建物を構成する下階ファサード建物ユニットのフレームを示す全体斜視図である。
【図5】前記実施形態のユニット式建物を構成する上階ファサード建物ユニットのフレームを示す全体斜視図である。
【図6】本発明に係るユニット式建物の第2実施形態を示す全体斜視図である。
【図7】本発明に係るユニット式建物の第3実施形態を示す全体斜視図である。
【図8】従来のユニット式建物を示す全体斜視図である。
【符号の説明】
1,41,51 ユニット式建物
3 下階建物ユニット
4 上階建物ユニット
5,45A,45B,55 ファサード
6,46,56 下階ファサード建物ユニット
7,47,57 上階ファサード建物ユニット
10 柱
12 天井梁
14 床梁
15,25,35 フレーム
A,B 凹み部
Claims (7)
- 複数本の柱と、これらの柱の上端間同士を結合する天井梁および下端間同士を結合する床梁とを含み形成されたフレームを有する建物ユニットを複数組み合わせて建てられるとともに、ファサードを備えたユニット式建物において、
前記複数の建物ユニットのうち少なくとも一つは、前記ファサードが構成されたファサード建物ユニットとなっていることを特徴とするファサードを備えたユニット式建物。 - 請求項lに記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記ファサードは、前記ファサード建物ユニットの上部または下部の一部が開口部とされ、かつ一方側側面から他方側側面に向かって凹んで形成された凹み部を含み構成されていることを特徴とするファサードを備えたユニット式建物。
- 請求項2に記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記ファサード建物ユニットは、それぞれ前記凹み部同士を連続させて上下方向に対向配置されていることを特徴とするファサードを備えたユニット式建物。
- 請求項2または請求項3に記載のファサードを備えたユニット式建物において、
前記ファサード建物ユニットの前記凹み部は、当該ファサード建物ユニットの一方側側面に、その幅方向両側の端部側面を残して幅方向中央部に形成され、この幅方向中央部の凹み部幅寸法は、前記端部側面の幅寸法に対して略3倍〜10倍の範囲内に収まっていることを特徴とするファサードを備えたユニット式建物。 - 請求項2または請求項3に記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記ファサード建物ユニットは、前記凹み部の向きを同じとして上下方向に配置されていることを特徴とするファサードを備えたユニット式建物。
- 請求項2に記載のファサードを備えたユニット式建物において、前記ファサード建物ユニットは上下左右に2個づつ隣接して配置され、各ファサード建物ユニットの前記凹み部は、当該ファサード建物ユニットの一方側側面に、その幅方向一端側から他端側に至る途中までにわたるとともに上方に平面部を残して形成され、前記凹み部同士を連続させて配置されていることを特徴とするファサードを備えたユニット式建物。
- 請求項1ないし請求項6のいづれかに記載のファサードを備えたユニット式建物において、
前記凹み部は、前記ファサード建物ユニットの長辺方向に形成されていることを特徴とするファサードを備えたユニット式建物。
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