JP2005015852A - 硬質炭素膜及びその製造方法 - Google Patents

硬質炭素膜及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低摩擦な硬質炭素膜、特にエンジン油やトランスミッション油等の潤滑油存在下での使用に適し、潤滑油存在下で0.04以下の摩擦係数を示す、低摩擦な硬質炭素膜及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも表面層が、窒素を3〜25原子%と、IIb族元素、IIIa族元素、IVa族元素、Va族元素、VIa族元素、VIIa族元素及びVIII族元素から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属元素を4〜22原子%含有する硬質炭素膜。
金属元素及び窒素を含有した硬質炭素膜を形成する際に、イオンプレーティング法、スパッタリング法、プラズマ処理及びイオン注入処理等の処理方法を利用し、形成条件を制御する硬質炭素膜の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質炭素膜及びその製造方法に係り、更に詳細には、低摩擦な硬質炭素膜、特にエンジン油やトランスミッション油等の潤滑油存在下での使用に適した、低摩擦な硬質炭素膜及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
硬質炭素膜は、アモルファス状の炭素又は水素化炭素から成る膜であり、アモルファスカーボン又は水素化アモルファスカーボン(a−C:H)、アイカーボン(i−C)、ダイヤモンドライクカーボン又はディーエルシー(DLC)などとも呼ばれている。
その形成には、炭化水素ガスをプラズマ分解して成膜するプラズマCVD法及び炭化水素を用いるイオンビーム蒸着法、アークイオンプレーティング法等の気相合成法が用いられる。この硬質炭素膜は高硬度で表面が平滑であり耐摩耗性に優れ、更にはその固体潤滑性から摩擦係数が低く、優れた摺動特性を有している。例えば、通常の平滑な鋼材表面の無潤滑下での摩擦係数が0.5〜1.0であるのに対し、硬質炭素膜は無潤滑下での摩擦係数が0.1程度である。
硬質炭素膜は上記の優れた特性を活かし、ドリルの刃を始めとする切削工具や研削工具等の加工工具、塑性加工用金型、及びバルブコックやキャプスタンローラのような無潤滑下での摺動部品等に応用されている。
【0003】
また、潤滑油中で摺動する内燃機関などの機械部品においても、エネルギー消費や環境問題の面からできるだけ機械的損失を低減したいという要求があり、摩擦損失の大きい、摺動条件の厳しい部位への硬質炭素膜の適用が検討されている。
一方、エンジン油やトランスミッション油等の潤滑油中で、摩擦係数μ=0.04以下の低摩擦性を実現するように、固体潤滑性を有する二硫化モリブデン(MoS)やポリ四フッ化エチレン(PTFE)を表面に処理した摺動部材もすでに適用が多くされている。
更に、摩擦係数を下げる方法として、下地金属(主に鋼)を露出させ、その部分に優先的に極圧添加剤を付着させる方法(例えば、特許文献1参照。)や硬質炭素膜中にある種の金属元素を添加する方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−320674号公報
【特許文献2】
特開2000−297373号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記硬質炭素膜をコーティングした部材をエンジン油やトランスミッション油等の潤滑油中で摺動させた場合、その平滑性からある程度の低摩擦性能とはなるが、他の固体潤滑性を有していない硬質の被膜処理をした摺動部材、例えば窒化チタン(TiN)や窒化クロム(CrN)のイオンプレーティング被膜処理をした摺動部材と同等の低摩擦性しか示さないという問題点が明らかになった。
また、MoS等を表面に処理した摺動部材も、更に面圧の高い厳しい摺動条件で使用すると耐摩耗性が不足し、初期においてその性能は達成できるが長期間使用すると摩滅していまい、その性能が維持できないという問題点があった。
【0006】
特許文献1に示される上記従来の方法では、確かに摩擦係数を下げることは可能であるが、材料表面に硬質炭素膜を形成した後に、更に表面にパターンを切る工程が必要でありコスト的に有利でない面がある。また、極圧添加剤を含まない潤滑油を用いた場合は摩擦係数を下げることができないという問題点があった。特許文献2に示される上記従来の方法では、摩擦係数をある程度下げることはできるが、摩擦係数の低減は引き続き望まれている。
【0007】
より効果的に摩擦係数低減を図ることが可能な方法の検討を重ね、硬質炭素膜に含まれる窒素と金属元素の量、更にそれらの量の相関が潤滑油中での摩擦特性に及ぼす影響について着目し、潤滑油中で低摩擦性を実現し得る硬質炭素膜中の窒素及び金属元素の存在比を制御することにより、潤滑油中での摩擦係数μが下がるという技術知見を得た。
その機構の詳細は現時点では不明であるが、硬質炭素膜中に存在する金属と窒素の間に何らかの協調作用が生じ、表面に潤滑油中の添加剤などがより付着し易い構造になっているものと推測される。
また、潤滑油の基油及び添加剤についても検討を重ね、本発明の硬質炭素膜に対し好適な潤滑油についても明らかにした。
【0008】
本発明は、このような知見に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低摩擦な硬質炭素膜、特にエンジン油やトランスミッション油等の潤滑油存在下での使用に適し、潤滑油存在下で0.04以下の摩擦係数を示す、低摩擦な硬質炭素膜及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、硬質炭素膜中の窒素及び金属元素の存在比を制御することなどにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の硬質炭素膜は、少なくとも表面層が、窒素を3〜25原子%と、IIb族元素、IIIa族元素、IVa族元素、Va族元素、VIa族元素、VIIa族元素及びVIII族元素から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属元素を4〜22原子%含有する。
本発明の硬質炭素膜の第一の製造方法は、上記本発明の硬質炭素膜を製造する方法であって、金属元素を含有した硬質炭素膜を形成し、次いで、プラズマ処理及び/又はイオン注入処理をし、この硬質炭素膜に窒素を含有させる方法である。
本発明の硬質炭素膜の第二の製造方法は、上記本発明の硬質炭素膜を製造する方法であって、硬質炭素膜の形成をイオンプレーティング法及び/又はスパッタリング法により行い、更に成膜時の雰囲気ガスに少なくとも窒素及び/又は窒素含有化合物を加えることにより、硬質炭素膜に窒素を含有させる方法である。
本発明の硬質炭素膜の第三の製造方法は、上記本発明の硬質炭素膜を製造する方法であって、硬質炭素膜をスパッタリング法により形成する際、スパッタリングターゲットの一部に金属窒化物を配置し、この硬質炭素膜に金属元素及び窒素を含有させる方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の硬質炭素膜において、低い摩擦係数が得られる理由は、本発明者らは現時点では以下のように推測している。
硬質炭素膜を無潤滑条件で摺動すると、一般に低い摩擦係数を示す。その機構はまだ完全には説明されていないが、硬質炭素膜自体が持つ固体潤滑性能、低ヤング率及び高硬度などの物性が寄与していると言われている。
一方、硬質炭素膜を潤滑油中で用いる場合は、上記の無潤滑条件下での摺動とは当然特性が異なってくる。通常の硬質炭素膜は、炭素と不可避不純物、又は炭素と水素と不可避不純物とから成る。このような硬質炭素膜の表面は、一般に反応性が低く、硬質炭素膜の低摩擦性・低摩耗性とも関連しているが、潤滑油中の基油・添加剤との相互作用が弱いために、潤滑油中であっても無潤滑条件下に比してあまり摩擦係数が下がらないことがある。
【0012】
本発明の硬質炭素膜は、少なくともその表面層が、窒素を3〜25原子%と、元素周期律表のIIb族元素、IIIa族元素、IVa族元素、Va族元素、VIa族元素、VIIa族元素又はVIII族元素及びこれらの任意の組合せに係る金属元素の少なくとも1種を、4〜22原子%含有する。
ここで、本発明における「表面層」とは、最表面から、摩耗を考慮した上で機能を発現・維持させるために必要な深さまでをいう。より詳しくは後述する。
【0013】
硬質炭素膜中に窒素を3〜25原子%及び金属元素を4〜22原子%含有させると、窒素と金属元素との協調作用により潤滑油中の添加剤が硬質炭素膜表面に付着し易くなると推測され、これにより摩擦係数を下げることができる。
硬質炭素膜中の金属元素量が、4原子%未満では、硬質炭素膜中に所定量の窒素を導入することが困難であり、22原子%を超えると、理由は推定ではあるが、硬質炭素膜の炭素間の結合状態が変化する、又は硬質炭素膜自体の固体潤滑性が一部損なわれるなどのために、摩擦係数が再び高くなる。
一方、硬質炭素膜中の窒素量が、3原子%未満では、金属との協調作用が得られずに摩擦係数が高くなり、25原子%を超えると、理由は推定であるが、硬質炭素膜の炭素間の結合状態が変化して硬質炭素膜の性状が変わるために、摩擦係数が再び高くなる。
なお、本発明の硬質炭素膜においては、金属元素がチタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)又は鉄(Fe)であると特に摩擦低減効果が大きいため望ましく、上述したようにこれらを組合せて用いることもできる。
【0014】
本発明の硬質炭素膜では少なくともその表面層において、金属元素の存在比a(原子%)と窒素の存在比b(原子%)との比が、次式▲1▼
b/a≧0.6…▲1▼
で表される関係を満足することが好ましい。0.6未満では摩擦係数がやや高くなり好ましくない。なお、窒素を相対的に多く含ませることにより摩擦係数をより低減することができる。
【0015】
また、本発明の硬質炭素膜においては、金属元素及び窒素の一方の原子は硬質炭素膜中に均一に分散していることが望ましく、双方の原子が硬質炭素膜中に均一に分散していることが更に望ましい。巨視的に見た場合、金属元素及び窒素は、全面にわたって、又は深さ方向の全体にわたって含有させる必要はなく、面内では最低限相手部材と摺動する範囲に、深さ方向では製品の寿命や交換時期の間に摩耗が見込まれる深さにまで含有させれば足りる。もちろん、全面や全ての深さにわたって金属元素及び窒素を含有させてもよく、面内や深さ方向において含有量に分布があってもよい。本発明の請求項1に規定する「表面層」とはこのように、機能発現と維持に最低限必要な、深さ方向の領域のことを指す。
一方、金属元素、窒素及び金属窒化物などが凝集した状態は、表面において油や添加剤の付着できる箇所が限られるために摩擦係数が下がりにくい傾向となる。これらの元素や化合物が不可避的にクラスターを形成してしまう場合でも、その径は0.3μm以下、好ましくは70nm以下、より好ましくは30nm以下とすることが望ましい。油の分子や添加剤の分子のサイズが大きい場合には許容されるクラスターの上限サイズは大きくなる傾向にある。
【0016】
硬質炭素膜は、化学気相合成(CVD)や物理気相合成(PVD)などの方法によって成膜される。一般に、CVD法で成膜すると硬質炭素膜中には原料の有機化合物に由来する水素が含まれ、その含有量は典型的には15〜40原子%である。PVD法では水素を含むようにも、含まないようにも制御することができる。本発明の硬質炭素膜においては、水素量が少ないほど摩擦低減効果が得られるので、硬質炭素膜中の水素量は6原子%以下であることが好ましく、1原子%以下であることがより好ましく、0.3原子%以下であることが更に好ましい。
【0017】
本発明の硬質炭素膜においては、硬質炭素膜の膜厚が0.05〜10μmであり、硬質炭素膜の摺動面の表面粗さがRa0.05μm以下であることが好ましい。
膜厚が0.05μm未満では摩擦低減効果が初期摩耗によりすぐに失われてしまう可能性がある。一方、膜厚が厚くなると膜内の残留応力が大きくなり、硬質炭素膜が、被着する基材から剥離してしまう可能性がある。初期摩耗後も硬質炭素膜が残る範囲で硬質炭素膜を薄く設計すれば、基材との界面での剥離が生じにくく且つ成膜の工程時間を短縮することができ有利である。また、基材との間に応力緩和を目的として、適宜中間層を設けてもよく、かかる中間層の組成や構造については公知のものを適宜用いることができる。
一方、表面は平滑であればあるほどよいので、粗さの下限は特に定められないが、実際には製造加工のコストを適宜勘案して上述のような適切な粗さの表面に仕上げることになる。
【0018】
一般に、硬質炭素膜は無潤滑下でも潤滑油中でも使用することができる。本発明の硬質炭素膜は、潤滑油の存在下で特に優れた摩擦低減効果を示す。
この場合の潤滑油については、鉱油や合成油を基油とするものを適宜用いることができる。代表的な例としては、自動車用エンジン油、タービン油及びスピンドル油などが挙げられる。また、基油としてポリαオレフィンを用いた場合には、摩擦低減効果が特に大きく望ましい。
また、潤滑油に添加剤としてエステルを加えることも、摩擦低減効果をより大きくするために望ましい。添加量は使用条件に応じて適宜加減することができるが、潤滑油中の添加剤量を0.5〜8質量%とすることが好ましい。
更に、エステルの種類としては脂肪酸モノグリセリドが好適であり、高級脂肪酸とアルコールのエステルも好適である。この他にも使用条件に応じ適宜のエステルを用いることができる。
本発明の硬質炭素膜は、上述したような性能を発揮し得る摩擦損失の大きい部位や摺動条件が厳しい部位に用いること、即ち硬質炭素膜摺動部材として用いることが有効であり、例えば、内燃機関の動弁機構のアジャスティングシムやバルブリフターなどに用いることも好ましい。
【0019】
次に、本発明の硬質炭素膜の製造方法について説明する。
上述の如く、本発明の硬質炭素膜の第一の製造方法は、上記本発明の硬質炭素膜を製造する方法であって、金属元素を含有した硬質炭素膜を形成し、次いで、窒素プラズマ処理及び窒素イオン注入処理の一方又は双方をし、この硬質炭素膜に窒素を含有させる方法である。
この製造方法では、硬質炭素膜中の窒素の量や深さの分布を広範囲に制御できる利点がある。
【0020】
また、上述の如く、本発明の硬質炭素膜の第二の製造方法は、上記本発明の硬質炭素膜を製造する方法であって、硬質炭素膜の形成をイオンプレーティング法及びスパッタリング法の一方又は双方により行い、更に成膜時の雰囲気ガスに少なくとも窒素及び窒素含有化合物の一方又は双方を加えることにより、硬質炭素膜に窒素を含有させる方法である。なお、金属元素に関しては、イオンプレーティングに用いる原料炭素塊やスパッタリングターゲットに用いる炭素板に予め添加しておくことなどにより、硬質炭素膜に含有させることができる。
この製造方法では、工程が一段階で済み、更にコスト的にも有利である。また、上述した雰囲気ガスの一部又は全部を窒素にすることも可能である。更に、窒素分圧を制御することにより硬質炭素膜中の窒素の量を制御することができる。更にまた、工程の進行とともに窒素分圧を動的に変化させれば、硬質炭素膜中の窒素の含有量を深さによって変化させた、いわゆる傾斜組成材料にすることも可能である。傾斜組成の形成は、下地材との応力緩和にも有効な手段である。
【0021】
更に、上述の如く、本発明の硬質炭素膜の第三の製造方法は、上記本発明の硬質炭素膜を製造する方法であって、硬質炭素膜をスパッタリング法により形成する際、スパッタリングターゲットの一部に金属窒化物を配置し、この硬質炭素膜に金属元素及び窒素を含有させる方法である。膜中の窒素量を調整するために、スパッタリングの際の雰囲気ガスに窒素及び窒素含有化合物の一方又は双方を適宜加えてもよい。
この製造方法でも、工程が一段階で済み、更にコスト的にも有利である。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)
実施例1は浸炭鋼(日本工業規格 SCM415)よりなる直径30mmの円板状基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングしたものである。このときターゲット上の一部にTiNのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりTi及びNが膜中に入るようにした。スパッタリングの際の雰囲気ガスにはアルゴン(Ar)を用いた。
【0024】
成膜前に試料の一部をマスクしておき、成膜プロセス完了後に硬質炭素膜が付着した部分とそうでない部分との段差を表面粗さ計で計測することにより膜厚を求めた。この試料について膜厚は0.9μmであった。
続いて試料の表面をラッピングにより軽く研磨した。その後に被膜表面の粗さを測定したところRa0.04μmであった。
【0025】
膜中の各元素の存在比X線光電子分光法により定量した。まず分析装置内で試料表面を一定時間Arガスでエッチングし、次に分析装置から取り出してエッチングされた部分の深さを求めた。これを総エッチング時間に対し直線的に割り付けてエッチングレートを求めた。求められたエッチングレートは1分あたり3.4nmであった。
次にこのエッチングレートをもとに一定の深さを掘り取るための時間を逆算し、試料の別の個所をその時間だけ掘り取ってはX線光電子分光法により組成を分析する操作を所定の回数だけこれを繰り返し、各元素の深さ方向の分布(デプスプロファイル)を求めた。最表面及び試料表面から2.5nmごとに10nmの深さまで、その後10nmごとに50nmの深さまで9点の測定を行った。この9点の平均をもって膜中各元素の存在比とみなした。
この分析の結果、実施例1の試料では膜中にTiが8原子%、Nは11原子%存在していることが分かった。
【0026】
水素量はX線光電子分光では測定できないので、二次イオン質量分析(SIMS)によって測定した。試料の別の箇所をArで深さ50nmまでエッチングしながら、掘り取られて出てくる二次イオンの質量分析を行い、これを深さ50nmまでの部分で平均して水素の存在比とした。その結果水素の存在量は0.1原子%であった。
【0027】
次にこの試料の摩擦特性の評価を行った。試験にはボールオンディスク法を用いた。この試験では円板上試料の上でボールを摺動させる。この試験ではボールは転がらないように固定されている。荷重は10N、ピンの周速は0.01m/sである。ボールの材質は軸受鋼(SUJ2)で直径は6mmである。潤滑油には市販の自動車用エンジンオイル5W−30SJを用い、ボールとピンの全体が潤滑油中に浸るようにした。油温は温度調節計により80℃に設定し、試料を油に浸した後試料の温度が油の温度に一致するまで十分時間をおいてから測定を開始した。初期のなじみ効果を考慮して、試験開始から5分経過した時点の測定値を以ってその材料の摩擦係数とみなした。実施例1の摩擦係数は0.031であった。
【0028】
(実施例2)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部に窒化タングステン(WN+WN)のプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりW及びNが膜中に入るようにした。スパッタリングの際のガスにはArを用いた。
プロセスが完了した後表面を研磨し、表面粗さを測定したところRa0.04μmであった。また膜の厚さは0.6μmであった。また実施例1と同様にX線光電子分光法により膜中のW量及びN量の定量を行った結果、Wは5原子%、Nは7原子%含まれていることが分かった。
水素量は実施例1と同様にSIMSで分析したところ、これも0.1原子%であった。
更に実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.029であった。
【0029】
(実施例3)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部に窒化ニオブ(NbN)のプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりNb及びNが膜中に入るようにした。スパッタリングの際のガスにはArを用いた。
被膜表面の粗さはRa0.03μm、膜の厚さは0.3μmであった。膜中にNbは8原子%、Nは14原子%含まれていることが分かった。
実施例1と同様に水素量の分析を行ったところ、0.2原子%であった。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.026であった。
【0030】
(実施例4)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部に窒化モリブデン(MoN+MoN)のプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりMo及びNが膜中に入るようにした。スパッタリングの際のガスにはArを用いた。
被膜表面の粗さはRa0.04μm、膜の厚さは1.3μmであった。膜中にMoは7原子%、Nも7原子%含まれていることが分かった。水素量は0.1原子%であった。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.030であった。
【0031】
(実施例5)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上にはFeのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりFeが膜中に入るようにした。スパッタリングの雰囲気ガスにはArと窒素の混合ガスを用いた。Arと窒素の割合は6:4(体積比)とした。
研磨後の被膜表面の粗さはRa0.06μm、膜の厚さは2.0μmであった。 膜中にFeは10原子%、Nは18原子%含まれていることが分かった。水素量は0.1原子%であった。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.027であった。
【0032】
(実施例6)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にMnのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりMnが膜中に入るようにした。スパッタリングの雰囲気ガスにはArと窒素の混合ガスを用いた。Arと窒素の割合は6:4(体積比)とした。
研磨後の被膜表面の粗さはRa0.07μm、膜の厚さは1.1μmであった。 膜中にMnは6原子%、Nは9原子%含まれていることが分かった。水素量は0.1原子%であった。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.024であった。
【0033】
(実施例7)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.04μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にZnのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりZnが膜中に入るようにした。スパッタリングの雰囲気ガスにはArと窒素の混合ガスを用いた。Arと窒素の割合は6:4(体積比)とした。
被膜表面の粗さはRa0.06μm、膜の厚さは0.7μmであった。膜中にZnは5原子%、Nは6原子%含まれていることが分かった。水素量は0.1原子%であった。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.030であった。
【0034】
(実施例8)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.04μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTi及びMoのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりTi及びMoが膜中に入るようにした。スパッタリングの際のガスにはArと窒素の混合ガスを用い、アルゴンと窒素の比は5:5(体積比)とした。
被膜表面の粗さはRa0.04μm、膜の厚さは1.4μmであった。分析の結果膜中にTiは6原子%、Moは3原子%、Nは14原子%含まれていることが分かった。水素量は0.2原子%であった。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.026であった。
【0035】
(実施例9)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTiのプレートを置いた。Tiのプレートの形状・寸法は実施例1と同等にした。同時にスパッタリングを行うことによりTiが膜中に入るようにした。スパッタリングの際のガスにはArと窒素を9:1(体積比)の割合で混合して用いた。
被膜表面の粗さはRa0.02μm、膜の厚さは1.6μmであった。分析の結果膜中にTiは8原子%、Nは6原子%含まれていることが分かった。水素量は0.1原子%であった。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.032であった。
【0036】
(実施例10)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTiNのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりTi及びNが膜中に入るようにした。スパッタリングの際のガスにはArを用いた。
更にこの試料の表面窒素量を増すためにプラズマ処理を行った。浸炭鋼表面に設けた硬質炭素膜を真空槽に収め、5×10−3Pa程度まで真空に排気し、次いで槽内に窒素を供給しつつ外部から高周波電力(13.56MHz)を送り込んで窒素プラズマを発生させた。窒素分圧は0.7Paとした。真空槽(基準電位)に対し試料には0.5kVのバイアス電圧をかけ窒素が効率よく硬質炭素膜表面に到達するようにした。
プラズマ処理後の被膜表面の粗さはRa0.04μm、膜の厚さは0.9μmであった。
この実施例では窒素量が本質的に深さ方向の分布を持つため、各元素の存在量に関しては最表面及び深さ2.5nmの地点での量を平均して含有量とした。分析の結果膜中にTiは4原子%、Nは11原子%含まれていることが分かった。
水素の存在量については深さ50nmまでの平均を取った。その結果、水素の存在量は0.3原子%と求められた。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.029であった。
【0037】
(実施例11)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTiのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりTiが膜中に入るようにした。スパッタリングの際のガスにはArを用いた。
更にこの試料の表面窒素量を増すためにイオン注入処理を行った。浸炭鋼表面に設けた硬質炭素膜を真空槽に収め、5×10−3Pa程度まで真空に排気し、次いで槽内に窒素をイオンガンから供給しつつ、イオンガンと試料との間に8kVのバイアス電圧をかけ窒素を表面から硬質炭素膜に打ち込んだ。
プラズマ処理後の表面粗さはRa0.02μm、膜の厚さは0.8μmであった。
これも実施例10と同様に、各元素、特に窒素の量が深さ方向の分布を持つために、組成分析では実施例10と同様に最表面及び深さ2.5nmの2点の測定で得られた値を代表値とした。分析の結果膜中にTiは6原子%、Nは5原子%含まれていることが分かった。水素量は実施例10と同様に深さ50nmまでの平均をとり、0.7原子%と求められた。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.033であった。
【0038】
(実施例12)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、アークイオンプレーティング法により、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。イオン源として炭素及びTiをアーク放電により供給した。反応槽中に供給するガスはArと窒素を8:2(体積比)の割合で混合して用いた。
研磨後の被膜表面の粗さはRa0.05μm、膜の厚さは2.1μmであった。この方法では原理的に、元素の存在量に深さ方向の分布はないので、実施例1と同様に全9点の平均をとった。その結果、膜中にTiは14原子%、Nは23原子%含まれていることが分かった。水素量は0.2原子%であった。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.023であった。
【0039】
(実施例13)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTiのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりTiが膜中に入るようにした。スパッタリングの際のガスにはArと窒素を8:2(体積比)の割合で用いた。
プロセスが完了した後、試料の表面粗さを測定したところ被膜表面の粗さはRa0.03μmであった。また膜の厚さは0.8μmであった。また実施例1と同様にX線光電子分光法により膜中のTi量及びN量の定量を行った結果、Tiは11原子%、Nは18原子%含まれていることが分かった。水素量は0.2原子%であった。
更に実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.023であった。
【0040】
(実施例14)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTiのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりTiが膜中に入るようにした。このときターゲット上でTiが占める割合は実施例9より大きくした。スパッタリングの際のガスにはArと窒素を8:2(体積比)の割合で用いた。
プロセスが完了した後、試料の表面粗さを測定したところ被膜表面の粗さはRa0.05μmであった。また膜の厚さは0.8μmであった。また実施例1と同様にX線光電子分光法により膜中のTi量及びN量の定量を行った結果、Tiは20原子%、Nは24原子%含まれていることが分かった。水素量は0.3原子%であった。
更に実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.033であった。
【0041】
(実施例15)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTiのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりTiが膜中に入るようにした。スパッタリングの際のガスにはArと窒素を8:2(体積比)の割合で用いた。膜厚を薄くするために成膜時間を短く調整した。
プロセスが完了した後、試料表面に研磨加工を施してから粗さを測定したところ、被膜表面の粗さはRa0.04μmであった。また膜の厚さは0.08μmであった。また実施例1と同様にX線光電子分光法により膜中のTi量及びN量の定量を行った結果、Tiは6原子%、Nは6原子%含まれていることが分かった。水素量は0.2原子%であった。
更に実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.032であった。
【0042】
(実施例16)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTiのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりTiが膜中に入るようにした。スパッタリングの際のガスにはArと窒素を8:2(体積比)の割合で用いた。膜を厚くするために意図的にプロセス時間を長くした。
プロセスが完了した後、試料表面に研磨を施してから表面粗さを測定したところ、被膜表面の粗さはRa0.03μmであった。また膜の厚さは9.6μmであった。また実施例1と同様にX線光電子分光法により膜中のTi量及びN量の定量を行った結果、Tiは7原子%、Nは8原子%含まれていることが分かった。水素量は0.1原子%であった。
更に実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.025であった。
【0043】
(実施例17)
実施例13の試料で、潤滑油を変更した実施例である。
試験法、試験条件、相手材などは実施例1と同様であるが、潤滑油だけポリαオレフィンに変更した。摩擦整数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.022であった。
【0044】
(実施例18)
実施例13の試料で、潤滑油を更に変更した実施例である。
試験法、試験条件、相手材などは実施例1と同様であるが、潤滑油の基油をポリαオレフィンとし、更にエステル成分として脂肪酸モノグリセリド(脂肪酸は主にオレイン酸)を潤滑油全量の2質量%となるように添加して十分に混合した後に用いた。摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.016とさらに低い値を示した。
【0045】
(実施例19)
実施例13の試料で、潤滑油を更に変更した実施例である。
試験法、試験条件、相手材などは実施例1と同様であるが、潤滑油の基油をポリαオレフィンとし、更にエステル成分として脂肪酸モノグリセリド(脂肪酸は主にオレイン酸)を潤滑油全量の8質量%となるように添加して十分に混合した後に用いた。摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.020であった。
【0046】
(実施例20)
実施例13の試料で、潤滑油を更に変更した実施例である。
試験法、試験条件、相手材などは実施例1と同様であるが、潤滑油の基油をポリαオレフィンとし、更にエステル成分として脂肪酸モノグリセリド(脂肪酸は主にパルミチン酸)を潤滑油全量の3質量%となるように添加して十分に混合した後に用いた。摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.019であった。
【0047】
(実施例21)
実施例13の試料で、潤滑油を更に変更した実施例である。
試験法、試験条件、相手材などは実施例1と同様であるが、潤滑油の基油をポリαオレフィンとし、更にエステル成分として脂肪酸モノグリセリド(脂肪酸は主にステアリン酸)を潤滑油全量の0.7質量%となるように添加して十分に混合した後に用いた。摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.018であった。
【0048】
(実施例22)
実施例13の試料で、潤滑油を更に変更した実施例である。
試験法、試験条件、相手材などは実施例1と同様であるが、潤滑油の基油をポリαオレフィンとし、更にエステル成分としてパルミチン酸イソプロピルを潤滑油全量の4質量%となるように添加し十分に混合した後に用いた。摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.020であった。
【0049】
(実施例23)
実施例13の試料で、潤滑油を更に変更した実施例である。
試験法、試験条件、相手材などは実施例1と同様であるが、潤滑油の基油を自動車用エンジン油5W−30SJに戻し、これにエステル成分として脂肪酸モノグリセリド(脂肪酸は主にパルミチン酸)を潤滑油全量の5質量%となるように添加し十分に混合してから用いた。摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.025であった。
【0050】
(実施例24)
実施例13と同様に、浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTiのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりTiが膜中に入るようにした。スパッタリングの際の雰囲気ガスは実施例13から変更した。Arと窒素の他に水素を加え、その比率を88:10:2(体積比)の割合で用いた。
プロセスが完了した後、試料の表面粗さを測定したところ被膜表面の粗さはRa0.04μmであった。また膜の厚さは2.3μmであった。また実施例1と同様にX線光電子分光法により膜中のTi量及びN量の定量を行った結果、Tiは7原子%、Nは7原子%含まれていることが分かった。水素量は1.2原子%であった。
更に実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.035であった。
【0051】
(実施例25)
実施例13と同様に、浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTiのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりTiが膜中に入るようにした。スパッタリングの際の雰囲気ガスは実施例24から更に変更した。Arと窒素の他に水素を加え、その比率を8:1:1(体積比)の割合で用いた。
プロセスが完了した後、試料の表面粗さを測定したところ被膜表面の粗さはRa0.04μmであった。また膜の厚さは2.6μmであった。また実施例1と同様にX線光電子分光法により膜中のTi量及びN量の定量を行った結果、Tiは7原子%、Nは5原子%含まれていることが分かった。水素量は6.7原子%であった。
更に実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.039であった。
【0052】
(実施例26)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.02μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTiのプレートを置き、同時にスパッタリングを行うことによりTiが膜中に入るようにした。スパッタリングの際のガスにはArを用いた。
更にこの試料の表面窒素量を増すためにプラズマ処理を行った。浸炭鋼表面に設けた硬質炭素膜を真空槽に収め、5×10−3Pa程度まで真空に排気し、次いで槽内に窒素を供給しつつ外部から高周波電力(13.56MHz)を送り込んで窒素プラズマを発生させた。窒素分圧は0.1Paとした。真空槽(基準電位)に対し試料には0.5kVのバイアス電圧をかけた。
プラズマ処理後の被膜表面の粗さはRa0.03μm、膜の厚さは1.4μmであった。
この実施例では窒素量が本質的に深さ方向の分布を持つため、各元素の存在量に関しては最表面及び深さ2.5nmの地点での量を平均して含有量とした。分析の結果膜中にTiは7原子%、Nは4原子%含まれていることが分かった。
水素の存在量については深さ50nmまでの平均を取った。その結果、水素の存在量は0.1原子%と求められた。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.038であった。
【0053】
(比較例1)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.04μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。実施例1と異なり、ターゲット上にの一部にTiのプレートなどは置かずに炭素のみとした。スパッタリングの際のガスにはArを用いた。
実施例1と同様に表面に研磨を施した。研磨後の被膜表面の粗さはRa0.04μm、膜の厚さは1.2μmであった。分析の結果、膜中のTi、Nとも含有量は1原子%以下であった。水素量は0.1原子%であった。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.091であり実施例1より大きかった。金属元素量、窒素量ともに少なかったために摩擦係数が高くなったものと推測される。
【0054】
(比較例2)
比較例1と同様の手順で作製した試料に、実施例10の方法に従って窒素によるプラズマ処理を施した。プラズマ処理の条件は実施例10と同様で、試料を真空槽に収め、5×10−3Pa程度まで真空に排気し、次いで槽内に窒素を供給しつつ外部から高周波電力(13.56MHz)を送り込んで窒素プラズマを発生させた。窒素分圧は0.7Paとした。真空槽(基準電位)に対し試料には0.5kVのバイアス電圧をかけ窒素が効率よく硬質炭素膜表面に到達するようにした。
プラズマ処理後の被膜表面の粗さはRa0.03μm、膜の厚さは1.0μmであった。
この実施例では窒素量が本質的に深さ方向の分布を持つため、各元素の存在量に関しては最表面及び深さ2.5nmの地点での量を平均して含有量とした。分析の結果膜中にTiは1原子%以下しか存在しなかった。またNは2原子%含まれていることが分かった。水素量は0.1原子%であった。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.081であり実施例1より大きかった。金属元素が実質的に含まれないために、窒素プラズマ処理を行っても窒素が膜中に入らず、その結果摩擦係数が下がらなかったものと考えられる。
【0055】
(比較例3)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.04μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTiのプレートを置いた。Tiのプレートの大きさは実施例1より小さくした。スパッタリングの際のガスにはArと窒素の混合ガスを用い、その混合比は5:5とした。
実施例1と同様に表面に研磨を施した。研磨後の被膜表面の粗さはRa0.06μm、膜の厚さは1.6μmであった。分析の結果膜中にTiは3原子%、Nは5原子%含まれていることが分かった。水素量は0.2原子%であった。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.069であり実施例1より大きかった。
【0056】
(比較例4)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.04μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTiのプレートを置いた。Tiのプレートの大きさは実施例1より大きくした。スパッタリングの際のガスにはArと窒素の混合ガスを用い、その混合比は5:5とした。
実施例1と同様に表面に研磨を施した。研磨後の被膜表面の粗さはRa0.04μm、膜の厚さは1.1μmであった。分析の結果膜中にTiは23原子%、Nは24原子%含まれていることが分かった。水素量は0.1原子%であった。実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.081であり、実施例1より大きかった。
【0057】
(比較例5)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.04μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTiのプレートを置いた。Tiのプレートの大きさは実施例1と同じにした。スパッタリングの際のガスにはArと窒素の混合ガスを用い、その混合比は3:7とした。
実施例1と同様に表面に研磨を施した。研磨後の被膜表面の粗さはRa0.04μm、膜の厚さは0.9μmであった。分析の結果膜中にTiは14原子%、Nは26原子%含まれていることが分かった。水素量は0.1原子%であった。実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.092であり、実施例1より大きかった。
【0058】
(比較例6)
実施例1と同様に浸炭鋼よりなる基材の表面をRa0.04μmに超仕上げ加工した後、炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリングにより、この基材表面に硬質炭素膜をコーティングした。このときターゲット上の一部にTiのプレートを置いた。Tiのプレートの大きさは実施例1より小さくした。スパッタリングの雰囲気ガスにはArと窒素を95:5の割合で混合して用いた。
実施例1と同様に表面に研磨を施した。研磨後の被膜表面の粗さはRa0.04μm、膜の厚さは0.9μmであった。分析の結果膜中にTiは4原子%、Nは2原子%含まれていることが分かった。水素量は0.4原子%であった。
実施例1と同様の手法・条件により摩擦係数の測定を行った結果、その摩擦係数は0.106であり、実施例1より大きかった。
【0059】
上記各例の結果より、本発明の範囲に属する実施例1〜26は、本発明外の比較例1〜6よりも摩擦係数が低いことが分かる。
現時点では、摩擦係数が低いという点では、実施例18が最も好ましく、これに次ぐものとして実施例19も推奨される。また、用いることのできる油種に制限があり、従来の自動車用エンジン油しか使えない場合は、実施例12や実施例13も良い。更に本発明のような硬質炭素膜を設けるには、最初に金属添加の膜を形成してから、後に別途窒素を添加する実施例10や実施例11の方法もあるが、プロセスが2段階で複雑になるので、実施例12に代表されるように成膜と窒素添加を同時に行う方がコスト的には有利である。
【0060】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、硬質炭素膜中の窒素及び金属元素の存在比を制御することなどとしたため、低摩擦な硬質炭素膜、特にエンジン油やトランスミッション油等の潤滑油存在下での使用に適し、潤滑油存在下で0.04以下の摩擦係数を示す、低摩擦な硬質炭素膜及びその製造方法を提供することができる。

Claims (15)

  1. 少なくとも表面層が、窒素を3〜25原子%と、IIb族元素、IIIa族元素、IVa族元素、Va族元素、VIa族元素、VIIa族元素及びVIII族元素から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属元素を4〜22原子%含有することを特徴とする硬質炭素膜。
  2. 表面層における、金属元素の存在比a(原子%)と窒素の存在比b(原子%)との比が、次式▲1▼
    b/a≧0.6…▲1▼
    で表される関係を満足することを特徴とする請求項1に記載の硬質炭素膜。
  3. 含有する金属元素及び/又は窒素の原子が硬質炭素膜中に均一に分散していることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬質炭素膜。
  4. 含有する金属元素がチタン、タングステン、モリブデン、ニオブ及び鉄から成る群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の硬質炭素膜。
  5. 硬質炭素膜中の水素が6原子%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の硬質炭素膜。
  6. 硬質炭素膜中の水素が1原子%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の硬質炭素膜。
  7. 硬質炭素膜中の水素が0.3原子%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の硬質炭素膜。
  8. 硬質炭素膜の膜厚が0.05〜10μmであり、硬質炭素膜の表面粗さがRa0.05μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の硬質炭素膜。
  9. 潤滑油の存在下で用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の硬質炭素膜。
  10. 潤滑油がポリαオレフィンを基油とすることを特徴とする請求項9に記載の硬質炭素膜。
  11. 潤滑油が添加剤としてエステルを含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の硬質炭素膜。
  12. 内燃機関の動弁機構のアジャスティングシム及び/又はバルブリフターに用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つの項に記載の硬質炭素膜。
  13. 請求項1〜12のいずれか1つの項に記載の硬質炭素膜を製造するに当たり、
    金属元素を含有した硬質炭素膜を形成し、次いで、プラズマ処理及び/又はイオン注入処理をし、この硬質炭素膜に窒素を含有させることを特徴とする硬質炭素膜の製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれか1つの項に記載の硬質炭素膜を製造するに当たり、
    硬質炭素膜の形成をイオンプレーティング法及び/又はスパッタリング法により行い、更に成膜時の雰囲気ガスに少なくとも窒素及び/又は窒素含有化合物を加えることにより、硬質炭素膜に窒素を含有させることを特徴とする硬質炭素膜の製造方法。
  15. 請求項1〜12のいずれか1つの項に記載の硬質炭素膜を製造するに当たり、
    硬質炭素膜をスパッタリング法により形成する際、スパッタリングターゲットの一部に金属窒化物を配置し、この硬質炭素膜に金属元素及び窒素を含有させることを特徴とする硬質炭素膜の製造方法。
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