JP2005015678A - 真空紫外線励起発光素子用の蛍光体 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマ曝露後の輝度の低下が少ない真空紫外線励起発光素子用の蛍光体を提供する。
【解決手段】式aM1O・bM2 2O3・cP2O5(式中のM1はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M2はBおよびAlからなる群より選ばれる1種以上であり、aは0.5以上6.0以下の範囲であり、bは0を超え1.5以下の範囲であり、cは0.5以上3.5以下の範囲である。)で示される化合物に付活剤としてEuが含有されてなることを特徴とする真空紫外線励起発光素子用の蛍光体。
【選択図】 なし
【解決手段】式aM1O・bM2 2O3・cP2O5(式中のM1はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M2はBおよびAlからなる群より選ばれる1種以上であり、aは0.5以上6.0以下の範囲であり、bは0を超え1.5以下の範囲であり、cは0.5以上3.5以下の範囲である。)で示される化合物に付活剤としてEuが含有されてなることを特徴とする真空紫外線励起発光素子用の蛍光体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」という。)および希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子用の蛍光体およびその蛍光体を用いてなる真空紫外線励起発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蛍光体は、PDPや希ガスランプなどのような真空紫外線励起発光素子に用いられており、真空紫外線によって励起され発光する蛍光体はすでに知られている。そのうち、ホウ酸塩蛍光体またはリン酸塩蛍光体としては、(Y,Gd)BO3:Euが赤色蛍光体として、LaPO4:Tbが緑色蛍光体として、実用化または提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
これらの蛍光体を用いてなる真空紫外線励起発光素子は、希ガス中の放電によりプラズマを発生させ、プラズマを発生させた場所の近傍に配置した真空紫外線励起発光素子用の蛍光体にプラズマから放射された真空紫外線が照射されることにより蛍光体にエネルギーが供給されて励起され、その結果、蛍光体から放射される可視光により発光する仕組みとなっている。このような蛍光体は、蛍光体へエネルギーを供給するプラズマに曝露される結果、従来の真空紫外線励起発光素子用の蛍光体では輝度が低くなるという問題があった。このため、蛍光体へのエネルギー供給による輝度の低下が少ない真空紫外線励起発光素子用の蛍光体が求められていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−12979号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、プラズマ曝露後の輝度の低下が少ない真空紫外線励起発光素子用の蛍光体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく蛍光体の組成について鋭意研究を重ねた結果、アルカリ土類金属元素と、B元素および/またはAl元素と、P元素とを含有する特定の化合物に付活剤としてEuが含有されてなる蛍光体が、真空紫外線励起で強い発光を示し、プラズマ曝露後の輝度の低下が少ないことを見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち本発明は、式aM1O・bM2 2O3・cP2O5(式中のM1はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M2はBおよびAlからなる群より選ばれる1種以上であり、aは0.5以上6.0以下の範囲であり、bは0を超え1.5以下の範囲であり、cは0.5以上3.5以下の範囲である。)で示される化合物に付活剤としてEuが含有されてなることを特徴とする真空紫外線励起発光素子用の蛍光体を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明の真空紫外線励起発光素子用の蛍光体は式(I)
aM1O・bM2 2O3・cP2O5・・・(I)
で示される化合物に、付活剤としてEuが含有されてなる。式中のM1がCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M2がBおよびAlからなる群より選ばれる1種以上であり、aが0.5以上6.0以下の範囲であり、bが0を超え1.5以下の範囲であり、cが0.5以上3.5以下の範囲である場合に、この蛍光体は真空紫外線励起で強い発光を示し、プラズマ曝露後の輝度の低下が少ない。bが0であり、Bおよび/またはAlが含有されない場合は、真空紫外線励起による発光の輝度が低くなる。
【0009】
ここで、a=2.0、b+c=1.0(ただし、b>0である。)である場合の式(I)で示される化合物に付活剤としてEuが含有されてなり、式(II)
(M3 1−dEud)2(P1−eM4 e)2O7−2e・・・(II)
(式中のM3はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、M4はBおよびAlからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、dは0を超え0.5以下の範囲であり、eは0を超え0.6以下の範囲である。)で示される化合物からなる真空紫外線励起発光素子用の蛍光体は、真空紫外線励起で強い発光を示し、プラズマ曝露後の輝度の低下が特に少ないので好ましい。
【0010】
ここで、Euの含有量を表すdの値は0.001以上0.4以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.005以上0.2以下の範囲であり、さらに好ましくは0.01以上0.10以下の範囲である。そして、M4の含有量を表すeの値は、0.0001以上0.6以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.001以上0.5以下の範囲であり、さらに好ましくは0.01以上0.4以下の範囲である。M3はSrである場合が好ましく、M4はBである場合が好ましい。
【0011】
また、a=3.0、b=0.5、c=1.5であり、M2がBである場合の式(I)で示される化合物に付活剤としてEuが含有されてなり、式(III)
(M5 1−fEuf)3BP3O12・・・(III)
(式中のM5はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、fは0を超え0.4以下の範囲である。)で示される化合物からなる真空紫外線励起発光素子用の蛍光体は、真空紫外線励起で強い発光を示し、プラズマ曝露後の輝度の低下が特に少ないので好ましい。M5がSrである場合が好ましく、fの範囲が0.001以上0.3以下の範囲であることがより好ましく、fの範囲が0.005以上0.15以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0012】
また、a=3.0、b=c=0.5であり、M2がBである場合の式(I)で示される化合物に付活剤としてEuが含有されてなり、式(IV)
(M6 1−gEug)3BPO7・・・(IV)
(式中のM6はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、gは0を超え0.4以下の範囲である。)で示される化合物からなる真空紫外線励起発光素子用の蛍光体は、真空紫外線励起で強い発光を示し、プラズマ曝露後の輝度の低下が特に少ないので好ましい。M6がSrである場合が好ましく、gの範囲が0.001以上0.2以下の範囲であることがより好ましく、gの範囲が0.005以上0.15以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0013】
さらに、a=6.0、b=0.5、c=2.5であり、M2がBである場合の式(I)で示される化合物に付活剤としてEuが含有されてなり、式(V)
(M7 1−hEuh)6BP5O20・・・(V)
(式中のM7はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、hは0を超え0.3以下の範囲である。)で示される化合物からなる真空紫外線励起発光素子用の蛍光体は、真空紫外線励起で強い発光を示し、プラズマ曝露後の輝度の低下が特に少ないので好ましい。M7はSrからなる場合が好ましく、hの範囲が0.0001以上0.15以下の範囲であることがより好ましく、hの範囲が0.001以上0.01以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0014】
これらの式(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物からなる蛍光体のうち、高い輝度を示すので、前記の式(II)、(IV)、(V)で示される化合物からなる蛍光体がより好ましく、前記の式(II)で示される化合物からなる蛍光体がさらに好ましい。
【0015】
次に、本発明の蛍光体の製造方法について説明する。
本発明の蛍光体の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、酸素以外の所定の元素を含む化合物の混合物を焼成することによって製造することができる。例えば、好ましい組成の一つである組成式Sr1.98Eu0.02P1.68B0.32O6.68で示される化合物からなる蛍光体は、SrCO3、Eu2O3、(NH4)2HPO4、B2O3をSr:Eu:P:Bが1.98:0.02:1.68:0.32となるように秤量し、混合して焼成することにより製造することができる。
【0016】
本発明の蛍光体を製造するためのカルシウム化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物、リン化合物、ホウ素化合物、アルミニウム化合物としては、例えば高純度(99%以上)の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解し酸化物になりうるものかまたは高純度の酸化物を用いることができる。
【0017】
リン化合物としては、高温で分解して酸化物になりうるリン酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウムなどのリン化合物か高純度(99%以上の)の酸化物を用いることができる。さらに、カルシウムとリンとを含む第2リン酸カルシウム、アルミニウムとリンとを含むリン酸アルミニウムなどの複合酸化物も用いることができる。
【0018】
これらの化合物の混合には、通常工業的に用いられているボールミル、V型混合機、攪拌装置等を用いることができる。
【0019】
混合して得られた混合物を、例えば、900℃から1300℃の温度範囲にて1時間から数十時間保持して焼成することにより本発明の蛍光体が得られる。また、出発原料の化合物として、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解し酸化物になりうるものを用いた場合、該化合物を酸化物としたり、水分を除去するために焼成の前に例えば、400℃以上900℃未満の温度範囲で仮焼することができる。
【0020】
焼成時の雰囲気としては、特に限定されるものではなく、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気;空気、酸素、酸素含有窒素、酸素含有アルゴン等の酸化性雰囲気;水素含有窒素、水素含有アルゴン等の還元性雰囲気のいずれも用いることができるが、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガスに水素を0.1から10体積%含有させた還元性雰囲気が好ましい。また、還元性の強い雰囲気で焼成するために適量の炭素を出発原料の化合物の混合物に添加して焼成することもできる。仮焼時の雰囲気は不活性雰囲気、酸化性雰囲気、還元性雰囲気のいずれでもよい。
【0021】
焼成時の固相反応を促進させるためにフラックスを添加することもできる。本発明においては原料のホウ酸を0.5〜100重量%過剰に添加することで同様の効果を得ることも可能である。さらに、蛍光体の結晶性を高めるために、必要に応じて2回以上焼成してもよい。
【0022】
以上の方法により得られた蛍光体の粉末を、ボールミルやジェットミルなどを用いて粉砕することができ、粉砕と焼成を2回以上繰り返してもよい。得られた蛍光体粉末は必要に応じて洗浄あるいは分級することも可能である。
【0023】
以上の方法などにより得られる蛍光体は、電子線、X線、紫外線、真空紫外線などで励起されて通常は紫〜青色で発光し、特に青色アルミン酸塩蛍光体BAMに比べ、真空紫外線励起時の輝度が高く、またプラズマ曝露後の輝度低下が少ないためPDPおよび希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子用に好適である。
【0024】
ここで、本発明の蛍光体を用いてなる真空紫外線励起発光表示素子の例としてPDPを挙げてその製造方法について説明する。PDPの作製方法としては例えば、特開平10−195428号公報に開示されているような公知の方法が使用できる。すなわち、青色、緑色、赤色発光用のそれぞれの真空紫外線励起発光素子用蛍光体を、例えば、セルロース系化合物、ポリビニルアルコールのような高分子化合物および有機溶媒からなるバインダーと混合して蛍光体ペーストを調製する。本発明の背面基板の内面の、隔壁で仕切られアドレス電極を備えたストライプ状の基板表面と隔壁面に、蛍光体ペーストをスクリーン印刷などの方法によって塗布し、300〜600℃の温度範囲で焼成し、それぞれの蛍光体層を形成させる。これに、蛍光体層と直交する方向の透明電極およびバス電極を備え、内面に誘電体層と保護層を設けた表面ガラス基板を重ねて接着する。内部を排気して低圧のXeやNe等の希ガスを封入し、放電空間を形成させることにより、PDPを作製することができる。
【0025】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、発光輝度の測定は蛍光体を真空槽内に設置し、6.7Pa(5×10−2torr)以下の真空に保持し、エキシマ146nmランプ(ウシオ電機株式会社製H0012型)を用いて真空紫外線を照射することで行った。また、蛍光体を空気中において500℃で30分保持して加熱処理を行った後に前記と同様にして輝度の測定を行った。さらに、加熱処理後の蛍光体を、圧力が13.2Paで組成が5体積%Xe−95体積%Neの雰囲気中に設置し、50Wのプラズマに15分間曝露させてプラズマ曝露処理を行った後に前記と同様にして輝度の測定を行った。
【0026】
実施例1
Sr1.98Eu0.02P1.68B0.32O6.68(式(II):(M3 1−dEud)2(P1−eM4 e)2O7−2eにおいてM3がSrであり、M4がBであり、dが0.01、eが0.16の場合である。)を製造するにあたり、炭酸ストロンチウム(関東化学株式会社製:純度99.9%)とリン酸水素アンモニウム(関東化学株式会社製:純度99.0%)と酸化ユーロピウム(信越化学工業株式会社製:純度99.99%)とホウ酸(関東化学株式会社製:純度99.5%)を用いた。これらの原料をモル比でSr:Eu:P:B=1.98:0.02:1.68:0.32となるように秤量し、アセトン中、メノウ乳鉢により十分湿式混合した後、乾燥させた。混合粉末をステンレス製の金型に入れ30MPaの圧力で15mm×3mmの円形ペレットに成型した。得られたペレットをアルミナボートに入れ、電気炉内を空気雰囲気にし、600℃で12時間保持した後、室温まで徐冷した。この成型体を十分に粉砕し、再度円形ペレットに成型した後、アルミナボートに入れ、電気炉内を水素とアルゴンとの混合ガス(水素を5体積%含有)雰囲気中にし、1100℃で12時間保持して再焼成し、その後室温まで徐冷した。得られた蛍光体に254nmの紫外線を照射したところ青色に発光し、146nmの真空紫外線を照射したところ、強い青色発光が観測された。146nmの真空紫外線を照射した時、市販の青色蛍光体BaMgAl10O17:Euの輝度を100とすると、実施例1の蛍光体の輝度は188であった。市販の青色蛍光体BaMgAl10O17:Euにおいて、加熱処理後の輝度が90、プラズマ曝露処理後の輝度が70と変化するのに対し、実施例1の蛍光体では加熱処理後の輝度が188、プラズマ曝露後の輝度は180であった。
【0027】
実施例2
Sr2.97Eu0.03BP3O12(式(III):(M5 1−fEuf)3BP3O12においてM5がSrであり、fが0.01の場合である。)を製造するにあたり、炭酸ストロンチウム(関東化学株式会社製:純度99.9%)とリン酸水素アンモニウム(関東化学株式会社製:純度99.0%)と酸化ユーロピウム(信越化学工業株式会社製:純度99.99%)とホウ酸(関東化学株式会社製:純度99.5%)を用いた。これらの原料をモル比でSr:Eu:B:P=2.97:0.03:1.0:3.0となるように秤量し、アセトン中、メノウ乳鉢により十分湿式混合した後、乾燥させた。混合粉末をステンレス製の金型に入れ30MPaの圧力で15mm×3mmの円形ペレットに成型した。得られたペレットをアルミナボートに入れ、電気炉内を空気雰囲気にし、600℃で12時間保持した後、室温まで徐冷した。この成型体を十分に粉砕し、再度円形ペレットに成型した後、アルミナボートに入れ、電気炉内を水素とアルゴンとの混合ガス(水素を5体積%含有)雰囲気中にし、1000℃で12時間保持して再焼成し、その後室温まで徐冷した。得られた蛍光体に254nmの紫外線を照射したところ青色に発光し、146nmの真空紫外線を照射したところ、強い青色発光が観測された。146nmの真空紫外線を照射した時、市販の青色蛍光体BaMgAl10O17:Euの輝度を100とすると、実施例2の蛍光体の輝度は80であった。青色蛍光体BaMgAl10O17:Euにおいて、加熱処理後の輝度が90、プラズマ曝露処理後の輝度が70と変化するのに対し、実施例2の蛍光体では加熱処理後の輝度が80、プラズマ曝露後の輝度は75であった。
【0028】
実施例3
Sr2.97Eu0.03BPO7(式(IV):(M6 1−gEug)3BPO7においてM6がSrであり、gが0.01の場合である。)を製造するにあたり、炭酸ストロンチウム(関東化学株式会社製:純度99.9%)とリン酸水素アンモニウム(関東化学株式会社製:純度99.0%)と酸化ユーロピウム(信越化学工業株式会社製:純度99.99%)とホウ酸(関東化学株式会社製:純度99.5%)を用いた。これらの原料をモル比でSr:Eu:B:P=2.97:0.03:1.0:1.0となるように秤量した以外は、実施例2と同様に行なった。得られた蛍光体に254nmの紫外線を照射したところ紫色に発光し、146nmの真空紫外線を照射したところ、紫色発光が観測された。146nmの真空紫外線を照射した時、実施例3の蛍光体の輝度を100とすると加熱処理後の輝度が101、プラズマ曝露処理後の輝度が92であった。
【0029】
実施例4
Sr5.94Eu0.06BP5O20(式(V):(M7 1−hEuh)6BP5O20においてM7がSrであり、hが0.01の場合である。)を製造するにあたり、炭酸ストロンチウム(関東化学株式会社製:純度99.9%)とリン酸水素アンモニウム(関東化学株式会社製:純度99.0%)と酸化ユーロピウム(信越化学工業株式会社製:純度99.99%)とホウ酸(関東化学株式会社製:純度99.5%)を用いた。これらの原料をモル比でSr:Eu:B:P=5.94:0.06::1.0:5.0となるように秤量した以外は、実施例2と同様に行なった。得られた蛍光体に254nmの紫外線を照射したところ青色に発光し、146nmの真空紫外線を照射したところ、強い青色発光が観測された。146nmの真空紫外線を照射した時、市販の青色蛍光体BaMgAl10O17:Euの輝度を100とすると、実施例4の蛍光体の輝度は114であった。青色蛍光体BaMgAl10O17:Euにおいて、加熱処理後の輝度が90、プラズマ曝露処理後の輝度が70と変化するのに対し、実施例4の蛍光体では加熱処理後の輝度が112、プラズマ曝露後の輝度は110であった。
【0030】
比較例1
Sr1.98Eu0.02P2O7(式(II):(M3 1−dEud)2(P1−eM4 e)2O7−2eにおいてM3がSrであり、M4がBであり、dが0.01、eが0の場合である。)を製造するにあたり、炭酸ストロンチウム(関東化学株式会社製:純度99.9%)とリン酸水素アンモニウム(関東化学株式会社製:純度99.0%)と酸化ユーロピウム(信越化学工業株式会社製:純度99.99%)を用いた。これらの原料をモル比でSr:Eu:P=1.98:0.02:2.0となるように秤量し、その後の操作は実施例1と同様に行なった。焼成後に得られた蛍光体に254nmの紫外線を照射したところ青色に発光したが、146nmの真空紫外線を照射するとほとんど発光しなかった。146nmの真空紫外線を照射した時、市販の青色蛍光体BaMgAl10O17:Euの輝度を100とすると、比較例1の蛍光体の輝度は6であった。輝度が低いため、比較例1における加熱処理およびプラズマ処理後の輝度は測定できなかった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の蛍光体は、真空紫外線励起時に高い輝度で発光し、プラズマ曝露後の輝度低下が少ないため、PDPおよび希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子用に好適であり、高輝度の真空紫外線励起発光素子が実現できるため工業的に極めて有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」という。)および希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子用の蛍光体およびその蛍光体を用いてなる真空紫外線励起発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蛍光体は、PDPや希ガスランプなどのような真空紫外線励起発光素子に用いられており、真空紫外線によって励起され発光する蛍光体はすでに知られている。そのうち、ホウ酸塩蛍光体またはリン酸塩蛍光体としては、(Y,Gd)BO3:Euが赤色蛍光体として、LaPO4:Tbが緑色蛍光体として、実用化または提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
これらの蛍光体を用いてなる真空紫外線励起発光素子は、希ガス中の放電によりプラズマを発生させ、プラズマを発生させた場所の近傍に配置した真空紫外線励起発光素子用の蛍光体にプラズマから放射された真空紫外線が照射されることにより蛍光体にエネルギーが供給されて励起され、その結果、蛍光体から放射される可視光により発光する仕組みとなっている。このような蛍光体は、蛍光体へエネルギーを供給するプラズマに曝露される結果、従来の真空紫外線励起発光素子用の蛍光体では輝度が低くなるという問題があった。このため、蛍光体へのエネルギー供給による輝度の低下が少ない真空紫外線励起発光素子用の蛍光体が求められていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−12979号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、プラズマ曝露後の輝度の低下が少ない真空紫外線励起発光素子用の蛍光体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく蛍光体の組成について鋭意研究を重ねた結果、アルカリ土類金属元素と、B元素および/またはAl元素と、P元素とを含有する特定の化合物に付活剤としてEuが含有されてなる蛍光体が、真空紫外線励起で強い発光を示し、プラズマ曝露後の輝度の低下が少ないことを見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち本発明は、式aM1O・bM2 2O3・cP2O5(式中のM1はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M2はBおよびAlからなる群より選ばれる1種以上であり、aは0.5以上6.0以下の範囲であり、bは0を超え1.5以下の範囲であり、cは0.5以上3.5以下の範囲である。)で示される化合物に付活剤としてEuが含有されてなることを特徴とする真空紫外線励起発光素子用の蛍光体を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明の真空紫外線励起発光素子用の蛍光体は式(I)
aM1O・bM2 2O3・cP2O5・・・(I)
で示される化合物に、付活剤としてEuが含有されてなる。式中のM1がCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M2がBおよびAlからなる群より選ばれる1種以上であり、aが0.5以上6.0以下の範囲であり、bが0を超え1.5以下の範囲であり、cが0.5以上3.5以下の範囲である場合に、この蛍光体は真空紫外線励起で強い発光を示し、プラズマ曝露後の輝度の低下が少ない。bが0であり、Bおよび/またはAlが含有されない場合は、真空紫外線励起による発光の輝度が低くなる。
【0009】
ここで、a=2.0、b+c=1.0(ただし、b>0である。)である場合の式(I)で示される化合物に付活剤としてEuが含有されてなり、式(II)
(M3 1−dEud)2(P1−eM4 e)2O7−2e・・・(II)
(式中のM3はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、M4はBおよびAlからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、dは0を超え0.5以下の範囲であり、eは0を超え0.6以下の範囲である。)で示される化合物からなる真空紫外線励起発光素子用の蛍光体は、真空紫外線励起で強い発光を示し、プラズマ曝露後の輝度の低下が特に少ないので好ましい。
【0010】
ここで、Euの含有量を表すdの値は0.001以上0.4以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.005以上0.2以下の範囲であり、さらに好ましくは0.01以上0.10以下の範囲である。そして、M4の含有量を表すeの値は、0.0001以上0.6以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.001以上0.5以下の範囲であり、さらに好ましくは0.01以上0.4以下の範囲である。M3はSrである場合が好ましく、M4はBである場合が好ましい。
【0011】
また、a=3.0、b=0.5、c=1.5であり、M2がBである場合の式(I)で示される化合物に付活剤としてEuが含有されてなり、式(III)
(M5 1−fEuf)3BP3O12・・・(III)
(式中のM5はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、fは0を超え0.4以下の範囲である。)で示される化合物からなる真空紫外線励起発光素子用の蛍光体は、真空紫外線励起で強い発光を示し、プラズマ曝露後の輝度の低下が特に少ないので好ましい。M5がSrである場合が好ましく、fの範囲が0.001以上0.3以下の範囲であることがより好ましく、fの範囲が0.005以上0.15以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0012】
また、a=3.0、b=c=0.5であり、M2がBである場合の式(I)で示される化合物に付活剤としてEuが含有されてなり、式(IV)
(M6 1−gEug)3BPO7・・・(IV)
(式中のM6はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、gは0を超え0.4以下の範囲である。)で示される化合物からなる真空紫外線励起発光素子用の蛍光体は、真空紫外線励起で強い発光を示し、プラズマ曝露後の輝度の低下が特に少ないので好ましい。M6がSrである場合が好ましく、gの範囲が0.001以上0.2以下の範囲であることがより好ましく、gの範囲が0.005以上0.15以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0013】
さらに、a=6.0、b=0.5、c=2.5であり、M2がBである場合の式(I)で示される化合物に付活剤としてEuが含有されてなり、式(V)
(M7 1−hEuh)6BP5O20・・・(V)
(式中のM7はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、hは0を超え0.3以下の範囲である。)で示される化合物からなる真空紫外線励起発光素子用の蛍光体は、真空紫外線励起で強い発光を示し、プラズマ曝露後の輝度の低下が特に少ないので好ましい。M7はSrからなる場合が好ましく、hの範囲が0.0001以上0.15以下の範囲であることがより好ましく、hの範囲が0.001以上0.01以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0014】
これらの式(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物からなる蛍光体のうち、高い輝度を示すので、前記の式(II)、(IV)、(V)で示される化合物からなる蛍光体がより好ましく、前記の式(II)で示される化合物からなる蛍光体がさらに好ましい。
【0015】
次に、本発明の蛍光体の製造方法について説明する。
本発明の蛍光体の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、酸素以外の所定の元素を含む化合物の混合物を焼成することによって製造することができる。例えば、好ましい組成の一つである組成式Sr1.98Eu0.02P1.68B0.32O6.68で示される化合物からなる蛍光体は、SrCO3、Eu2O3、(NH4)2HPO4、B2O3をSr:Eu:P:Bが1.98:0.02:1.68:0.32となるように秤量し、混合して焼成することにより製造することができる。
【0016】
本発明の蛍光体を製造するためのカルシウム化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物、リン化合物、ホウ素化合物、アルミニウム化合物としては、例えば高純度(99%以上)の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解し酸化物になりうるものかまたは高純度の酸化物を用いることができる。
【0017】
リン化合物としては、高温で分解して酸化物になりうるリン酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウムなどのリン化合物か高純度(99%以上の)の酸化物を用いることができる。さらに、カルシウムとリンとを含む第2リン酸カルシウム、アルミニウムとリンとを含むリン酸アルミニウムなどの複合酸化物も用いることができる。
【0018】
これらの化合物の混合には、通常工業的に用いられているボールミル、V型混合機、攪拌装置等を用いることができる。
【0019】
混合して得られた混合物を、例えば、900℃から1300℃の温度範囲にて1時間から数十時間保持して焼成することにより本発明の蛍光体が得られる。また、出発原料の化合物として、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解し酸化物になりうるものを用いた場合、該化合物を酸化物としたり、水分を除去するために焼成の前に例えば、400℃以上900℃未満の温度範囲で仮焼することができる。
【0020】
焼成時の雰囲気としては、特に限定されるものではなく、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気;空気、酸素、酸素含有窒素、酸素含有アルゴン等の酸化性雰囲気;水素含有窒素、水素含有アルゴン等の還元性雰囲気のいずれも用いることができるが、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガスに水素を0.1から10体積%含有させた還元性雰囲気が好ましい。また、還元性の強い雰囲気で焼成するために適量の炭素を出発原料の化合物の混合物に添加して焼成することもできる。仮焼時の雰囲気は不活性雰囲気、酸化性雰囲気、還元性雰囲気のいずれでもよい。
【0021】
焼成時の固相反応を促進させるためにフラックスを添加することもできる。本発明においては原料のホウ酸を0.5〜100重量%過剰に添加することで同様の効果を得ることも可能である。さらに、蛍光体の結晶性を高めるために、必要に応じて2回以上焼成してもよい。
【0022】
以上の方法により得られた蛍光体の粉末を、ボールミルやジェットミルなどを用いて粉砕することができ、粉砕と焼成を2回以上繰り返してもよい。得られた蛍光体粉末は必要に応じて洗浄あるいは分級することも可能である。
【0023】
以上の方法などにより得られる蛍光体は、電子線、X線、紫外線、真空紫外線などで励起されて通常は紫〜青色で発光し、特に青色アルミン酸塩蛍光体BAMに比べ、真空紫外線励起時の輝度が高く、またプラズマ曝露後の輝度低下が少ないためPDPおよび希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子用に好適である。
【0024】
ここで、本発明の蛍光体を用いてなる真空紫外線励起発光表示素子の例としてPDPを挙げてその製造方法について説明する。PDPの作製方法としては例えば、特開平10−195428号公報に開示されているような公知の方法が使用できる。すなわち、青色、緑色、赤色発光用のそれぞれの真空紫外線励起発光素子用蛍光体を、例えば、セルロース系化合物、ポリビニルアルコールのような高分子化合物および有機溶媒からなるバインダーと混合して蛍光体ペーストを調製する。本発明の背面基板の内面の、隔壁で仕切られアドレス電極を備えたストライプ状の基板表面と隔壁面に、蛍光体ペーストをスクリーン印刷などの方法によって塗布し、300〜600℃の温度範囲で焼成し、それぞれの蛍光体層を形成させる。これに、蛍光体層と直交する方向の透明電極およびバス電極を備え、内面に誘電体層と保護層を設けた表面ガラス基板を重ねて接着する。内部を排気して低圧のXeやNe等の希ガスを封入し、放電空間を形成させることにより、PDPを作製することができる。
【0025】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、発光輝度の測定は蛍光体を真空槽内に設置し、6.7Pa(5×10−2torr)以下の真空に保持し、エキシマ146nmランプ(ウシオ電機株式会社製H0012型)を用いて真空紫外線を照射することで行った。また、蛍光体を空気中において500℃で30分保持して加熱処理を行った後に前記と同様にして輝度の測定を行った。さらに、加熱処理後の蛍光体を、圧力が13.2Paで組成が5体積%Xe−95体積%Neの雰囲気中に設置し、50Wのプラズマに15分間曝露させてプラズマ曝露処理を行った後に前記と同様にして輝度の測定を行った。
【0026】
実施例1
Sr1.98Eu0.02P1.68B0.32O6.68(式(II):(M3 1−dEud)2(P1−eM4 e)2O7−2eにおいてM3がSrであり、M4がBであり、dが0.01、eが0.16の場合である。)を製造するにあたり、炭酸ストロンチウム(関東化学株式会社製:純度99.9%)とリン酸水素アンモニウム(関東化学株式会社製:純度99.0%)と酸化ユーロピウム(信越化学工業株式会社製:純度99.99%)とホウ酸(関東化学株式会社製:純度99.5%)を用いた。これらの原料をモル比でSr:Eu:P:B=1.98:0.02:1.68:0.32となるように秤量し、アセトン中、メノウ乳鉢により十分湿式混合した後、乾燥させた。混合粉末をステンレス製の金型に入れ30MPaの圧力で15mm×3mmの円形ペレットに成型した。得られたペレットをアルミナボートに入れ、電気炉内を空気雰囲気にし、600℃で12時間保持した後、室温まで徐冷した。この成型体を十分に粉砕し、再度円形ペレットに成型した後、アルミナボートに入れ、電気炉内を水素とアルゴンとの混合ガス(水素を5体積%含有)雰囲気中にし、1100℃で12時間保持して再焼成し、その後室温まで徐冷した。得られた蛍光体に254nmの紫外線を照射したところ青色に発光し、146nmの真空紫外線を照射したところ、強い青色発光が観測された。146nmの真空紫外線を照射した時、市販の青色蛍光体BaMgAl10O17:Euの輝度を100とすると、実施例1の蛍光体の輝度は188であった。市販の青色蛍光体BaMgAl10O17:Euにおいて、加熱処理後の輝度が90、プラズマ曝露処理後の輝度が70と変化するのに対し、実施例1の蛍光体では加熱処理後の輝度が188、プラズマ曝露後の輝度は180であった。
【0027】
実施例2
Sr2.97Eu0.03BP3O12(式(III):(M5 1−fEuf)3BP3O12においてM5がSrであり、fが0.01の場合である。)を製造するにあたり、炭酸ストロンチウム(関東化学株式会社製:純度99.9%)とリン酸水素アンモニウム(関東化学株式会社製:純度99.0%)と酸化ユーロピウム(信越化学工業株式会社製:純度99.99%)とホウ酸(関東化学株式会社製:純度99.5%)を用いた。これらの原料をモル比でSr:Eu:B:P=2.97:0.03:1.0:3.0となるように秤量し、アセトン中、メノウ乳鉢により十分湿式混合した後、乾燥させた。混合粉末をステンレス製の金型に入れ30MPaの圧力で15mm×3mmの円形ペレットに成型した。得られたペレットをアルミナボートに入れ、電気炉内を空気雰囲気にし、600℃で12時間保持した後、室温まで徐冷した。この成型体を十分に粉砕し、再度円形ペレットに成型した後、アルミナボートに入れ、電気炉内を水素とアルゴンとの混合ガス(水素を5体積%含有)雰囲気中にし、1000℃で12時間保持して再焼成し、その後室温まで徐冷した。得られた蛍光体に254nmの紫外線を照射したところ青色に発光し、146nmの真空紫外線を照射したところ、強い青色発光が観測された。146nmの真空紫外線を照射した時、市販の青色蛍光体BaMgAl10O17:Euの輝度を100とすると、実施例2の蛍光体の輝度は80であった。青色蛍光体BaMgAl10O17:Euにおいて、加熱処理後の輝度が90、プラズマ曝露処理後の輝度が70と変化するのに対し、実施例2の蛍光体では加熱処理後の輝度が80、プラズマ曝露後の輝度は75であった。
【0028】
実施例3
Sr2.97Eu0.03BPO7(式(IV):(M6 1−gEug)3BPO7においてM6がSrであり、gが0.01の場合である。)を製造するにあたり、炭酸ストロンチウム(関東化学株式会社製:純度99.9%)とリン酸水素アンモニウム(関東化学株式会社製:純度99.0%)と酸化ユーロピウム(信越化学工業株式会社製:純度99.99%)とホウ酸(関東化学株式会社製:純度99.5%)を用いた。これらの原料をモル比でSr:Eu:B:P=2.97:0.03:1.0:1.0となるように秤量した以外は、実施例2と同様に行なった。得られた蛍光体に254nmの紫外線を照射したところ紫色に発光し、146nmの真空紫外線を照射したところ、紫色発光が観測された。146nmの真空紫外線を照射した時、実施例3の蛍光体の輝度を100とすると加熱処理後の輝度が101、プラズマ曝露処理後の輝度が92であった。
【0029】
実施例4
Sr5.94Eu0.06BP5O20(式(V):(M7 1−hEuh)6BP5O20においてM7がSrであり、hが0.01の場合である。)を製造するにあたり、炭酸ストロンチウム(関東化学株式会社製:純度99.9%)とリン酸水素アンモニウム(関東化学株式会社製:純度99.0%)と酸化ユーロピウム(信越化学工業株式会社製:純度99.99%)とホウ酸(関東化学株式会社製:純度99.5%)を用いた。これらの原料をモル比でSr:Eu:B:P=5.94:0.06::1.0:5.0となるように秤量した以外は、実施例2と同様に行なった。得られた蛍光体に254nmの紫外線を照射したところ青色に発光し、146nmの真空紫外線を照射したところ、強い青色発光が観測された。146nmの真空紫外線を照射した時、市販の青色蛍光体BaMgAl10O17:Euの輝度を100とすると、実施例4の蛍光体の輝度は114であった。青色蛍光体BaMgAl10O17:Euにおいて、加熱処理後の輝度が90、プラズマ曝露処理後の輝度が70と変化するのに対し、実施例4の蛍光体では加熱処理後の輝度が112、プラズマ曝露後の輝度は110であった。
【0030】
比較例1
Sr1.98Eu0.02P2O7(式(II):(M3 1−dEud)2(P1−eM4 e)2O7−2eにおいてM3がSrであり、M4がBであり、dが0.01、eが0の場合である。)を製造するにあたり、炭酸ストロンチウム(関東化学株式会社製:純度99.9%)とリン酸水素アンモニウム(関東化学株式会社製:純度99.0%)と酸化ユーロピウム(信越化学工業株式会社製:純度99.99%)を用いた。これらの原料をモル比でSr:Eu:P=1.98:0.02:2.0となるように秤量し、その後の操作は実施例1と同様に行なった。焼成後に得られた蛍光体に254nmの紫外線を照射したところ青色に発光したが、146nmの真空紫外線を照射するとほとんど発光しなかった。146nmの真空紫外線を照射した時、市販の青色蛍光体BaMgAl10O17:Euの輝度を100とすると、比較例1の蛍光体の輝度は6であった。輝度が低いため、比較例1における加熱処理およびプラズマ処理後の輝度は測定できなかった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の蛍光体は、真空紫外線励起時に高い輝度で発光し、プラズマ曝露後の輝度低下が少ないため、PDPおよび希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子用に好適であり、高輝度の真空紫外線励起発光素子が実現できるため工業的に極めて有用である。
Claims (6)
- 式aM1O・bM2 2O3・cP2O5(式中のM1はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上であり、M2はBおよびAlからなる群より選ばれる1種以上であり、aは0.5以上6.0以下の範囲であり、bは0を超え1.5以下の範囲であり、cは0.5以上3.5以下の範囲である。)で示される化合物に付活剤としてEuが含有されてなることを特徴とする真空紫外線励起発光素子用の蛍光体。
- 請求項1記載の蛍光体であって、式(M3 1−dEud)2(P1−eM4 e)2O7−2e(式中のM3はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、M4はBおよびAlからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、dは0を超え0.5以下の範囲であり、eは0を超え0.6以下の範囲である。)で示されることを特徴とする真空紫外線励起発光素子用の蛍光体。
- 請求項1記載の蛍光体であって、式(M5 1−fEuf)3BP3O12(式中のM5はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、fは0を超え0.4以下の範囲である。)で示されることを特徴とする真空紫外線励起発光素子用の蛍光体。
- 請求項1記載の蛍光体であって、式(M6 1−gEug)3BPO7(式中のM6はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、gは0を超え0.4以下の範囲である。)で示されることを特徴とする真空紫外線励起発光素子用の蛍光体。
- 請求項1記載の蛍光体であって、式(M7 1−hEuh)6BP5O20(式中のM7はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、hは0を超え0.3以下の範囲である。)で示されることを特徴とする真空紫外線励起発光素子用の蛍光体。
- 請求項1から5のいずれかに記載の蛍光体を用いてなることを特徴とする真空紫外線励起発光素子。
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CN102134487A (zh) * | 2010-01-26 | 2011-07-27 | 海洋王照明科技股份有限公司 | 一种等离子体显示面板用绿色荧光粉及其制备方法 |
-
2003
- 2003-06-27 JP JP2003184280A patent/JP2005015678A/ja active Pending
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