JP2005015540A - 粘着シート用基材フィルムとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)重量平均分子量(Mw)が1×105を越えて、1×106以下の範囲にあり、メルトフローレート(MFR)が1.0g/10分以下であり、酢酸ビニル含量が28〜35重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体20〜80重量%と(b)ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物から選ばれ、メルトフローレートが0.3〜4.0g/10分の範囲にあるポリオレフィン樹脂80〜20重量%の樹脂組成物からなる粘着シート用基材フィルム。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着シート用基材フィルムとその製造方法に関し、詳しくは、救急絆創膏を含む皮膚貼付用粘着シートのための基材フィルムとして好適に用いることができる粘着シート用基材フィルムとそのカレンダー加工による製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、柔軟な基材フィルム上に粘着剤層を設けてなる皮膚貼付用粘着シートは、ドレッシング、巻絆等として用いられているほか、粘着剤層の表面の中央域にガーゼ等の吸液性パッドを設けることによって、救急絆創膏として、一般家庭において、広く用いられている。更に、種々の薬剤を含有させた粘着剤からなる層を基材フィルム上に設けた粘着性皮膚貼付薬シートは、種々の医療用途に用いられている。
【0003】
このような皮膚貼付用粘着シートのための基材フィルムとしては、従来、柔軟で皮膚によく追従して、なじみよいほか、風合や印刷性にすぐれる等の点から、所謂軟質塩化ビニル樹脂からなるフィルムが広く用いられてきている。
【0004】
しかし、軟質塩化ビニル樹脂においては、柔軟性を有するように、ポリ塩化ビニルにジオクチルフタレート等のような可塑剤が多量に配合されており、このような可塑剤が粘着剤層に移行すれば、粘着剤層の凝集力を低下させて、粘着力の低下を招くのみならず、貼付した皮膚面に所謂糊残りを生じる等の問題があった。
【0005】
更に、近年においては、「脱塩素」なる環境保護の観点から、上記皮膚貼付用粘着シートのための基材フィルムを含めて、種々の塩化ビニル樹脂製品について、非塩素材料への代替が求められるに至っており、特に、経済性や安全性を考慮して、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が代替材料として重要視されている。
【0006】
このような事情の下に、これまでにも、軟質塩化ビニル樹脂からなる基材フィルムに代えて、ポリオレフィン樹脂からなる基材フィルムを用いて、軟質塩化ビニル樹脂からなる基材フィルムと同等の柔軟性を与えるべく、基材フィルムの厚みを薄くし、更に、伸縮性を与えるために、エラストマー成分を混合することが試みられているが、得られる基材フィルムが機械的強度において十分でなく、皮膚に施用した後、皮膚から剥離する際に破断することさえあった。
【0007】
そこで、基材フィルムの素材として、ある範囲の特性、即ち、ある範囲の重量平均分子量(Mw)、分子量分布、メルトフローレート(MFR)及び酢酸ビニル含量を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いてなる粘着シート用基材フィルムが提案されている(特許文献1参照)。しかし、これに用いられているエチレン−酢酸ビニル共重合体は、カレンダー加工時の溶融粘度が低いので、カレンダー加工によるフィルムの製造において、ロールからフィルムを引き剥がす際にフィルムに垂れや破断が生じやすく、特に、厚み100μm以下の薄手のフィルムの製造は実際上、非常に困難であった。他方、フィルムの厚みを厚くすれば、このような問題は、幾分、回避されるが、しかし、フィルムの製造コストが徒に上昇する。また、カレンダー加工によって得られたフィルムを巻き取ったロールから繰り出す、即ち、開反する際に、フィルムがブロッキングのためにネックインや破断を起こす等の不都合もあった。
【0008】
更に、このように、従来より知られているエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるフィルムは、表面の滑り性が劣るので、皮膚貼付薬や絆創膏用基材フィルムとして用いた場合に、衣類と擦れて容易に剥がれる欠点があった。
【0009】
他方、適度の溶融粘度を有するポリオレフィン樹脂、特に、所謂リアクターTPO樹脂(オレフィン系熱可塑性エラストマー)が、従来、知られており、このようなポリオレフィン樹脂のカレンダー加工によるフィルムも既に知られている(例えば、特許文献2参照)。このようなリアクターTPO樹脂は、カレンダー加工性はすぐれているが、しかし、得られたフィルムの片面に粘着剤層と剥離紙とを積層して粘着シートとし、これを皮膚に貼付する際に、剥離紙を粘着シートから引き剥がしたときに、その応力によって容易にフィルムがカール(弯曲)する所謂カール性が著しいので、皮膚に貼付し辛く、場合によっては、皮膚に密着して貼り付けることができない等の問題があった。
【0010】
【特許文献1】特開平11−206869号公報
【0011】
【特許文献2】特開2001−131383号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、従来の塩化ビニル樹脂フィルムからなる粘着シート用基材フィルムの代替品における上述した問題を解決するために鋭意研究した結果、ある範囲の特性を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物がカレンダー加工性にすぐれており、従って、そのカレンダー加工によって薄手のフィルムも容易に得ることができるのみならず、このようにして得られるフィルムは、柔軟で、皮膚によく追従するので、皮膚に貼り付けたときに違和感がなく、しかも、フィルムの表面の滑り性にすぐれており、また、上記カール性もなく、従って、救急絆創膏を含む皮膚貼付用粘着シートのための基材フィルムとして好適に用いることができることを見出して、本発明に至ったものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明によれば、
(a)重量平均分子量が1×105 を越えて、1×106 以下の範囲にあり、メルトフローレートが1.0g/10分以下であり、酢酸ビニル含量が28重量%を越えて、35重量%以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体20〜80重量%と
(b)ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物から選ばれ、メルトフローレートが0.3〜4.0g/10分の範囲にある少なくとも1種のポリオレフィン80〜20重量%と
からなる樹脂組成物からなることを特徴とする粘着シート用基材フィルムが提供される。
【0014】
このような粘着シート用基材フィルムは、本発明に従って、上記樹脂組成物をカレンダー加工にてフィルムにすることによって得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明による粘着シート用基材フィルムは、
(a)重量平均分子量(Mw)が1×105 を越えて、1×106 以下の範囲にあり、メルトフローレート(MFR)が1.0g/10分以下であり、酢酸ビニル含量が28重量%を越えて、35重量%以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体20〜80重量%と
(b)ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物から選ばれ、メルトフローレートが0.3〜4.0g/10分の範囲にある少なくとも1種のポリオレフィン80〜20重量%と
からなる樹脂組成物からなる。
【0016】
本発明において、メルトフローレートは、JIS K−6730に準拠して測定するものとする。
【0017】
用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体が1×105 以下の重量平均分子量を有するときは、得られるフィルムが強度において十分でなく、特に、厚み100μm以下の薄手のフィルムを基材フィルムとして得られる粘着性皮膚貼付薬シートは、これを皮膚から剥がすときに破断を生じる等、不都合が生じやすい。しかし、エチレン−酢酸ビニル共重合体として、重量平均分子量が1×105 を越えるものを用いても、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量が28重量%以下であるときは、得られるフィルムが柔軟性において十分でない。他方、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量が35重量%を越えるときは、得られるフィルムが著しいブロッキング性を有すると共に、表面滑り性においても劣ることとなる。しかし、用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量が1×106 を越えるときは、得られるフィルムの表面が荒れて、均一なフィルムを得ることができない。特に、本発明によれば、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含量は30〜33重量%の範囲が好ましい。
【0018】
更に、用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレートが1.0g/10分を越えるときは、そのような共重合体は、溶融粘度が低いために、カレンダー加工に際して、樹脂がロールに付着しやすく、特に、カレンダー装置の最終ロールからフィルムを引き取ることができない所謂ロール取られが起こったり、また、カレンダーロールからの引き取りに際して、ドローダウンや破断等の不都合が生じるので、表面が平滑で欠陥のないフィルムを得ることが困難である。しかし、用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレートが余りに小さいときも、得られるフィルムの表面が荒れて、均一なフィルムを得ることができないので、本発明によれば、用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、0.05g/10分以上のメルトフローレートを有することが好ましい。
【0019】
そこで、本発明によれば、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、重量平均分子量(Mw)が1×105 を越えて、1×106 以下の範囲にあり、メルトフローレート(MFR)が1.0g/10分以下であり、好ましくは、0.05〜0.5g/10分の範囲であり、酢酸ビニル含量が28重量%を越えて、35重量%以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体が用いられる。
【0020】
しかし、このようなエチレン−酢酸ビニル共重合体も、単独では、これをカレンダー加工にてフィルムとしても、得られるフィルムは、表面滑り性が悪く、従って、そのようなフィルムを基材フィルムとして得られる粘着性皮膚貼付薬シートは、これを皮膚に施用したとき、衣類との摩擦によって容易に皮膚から剥がれやすい。
【0021】
従って、本発明によれば、上述したような特性を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体を80重量%以下の範囲で用い、これにポリオレフィン樹脂を組合わせることによって、カレンダー加工性にすぐれる樹脂組成物を得ることができるのみならず、このような樹脂組成物のカレンダー加工によって、救急絆創膏を含む皮膚貼付用粘着シートのための基材フィルムとして好適に用いることができる粘着シート用基材フィルムを得ることができる。
【0022】
但し、エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリオレフィン樹脂とからなる樹脂組成物であっても、エチレン−酢酸ビニル共重合体の割合が20重量%よりも少ないときは、得られるフィルムを基材フィルムとして粘着性皮膚貼付薬シートとするとき、剥離紙を引き剥がした際のカール性が著しく、粘着シート用基材フィルムとしての適性に欠けることとなる。特に、本発明によれば、エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリオレフィン樹脂とからなる樹脂組成物において、エチレン−酢酸ビニル共重合体の割合は40〜70重量%の範囲であることが好ましい。
【0023】
本発明において、上述したようなエチレン−酢酸ビニル共重合体と組合わせて用いるポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物から選ばれ、メルトフローレートが0.3〜4.0g/10分の範囲にある少なくとも1種である。なかでも、本発明によれば、得られるフィルムのブロッキングを著しく軽減し得る点から、ポリオレフィン樹脂としては、メタロセンポリエチレンとして知られている線状低密度ポリエチレンが好ましい。特に、本発明によれば、メタロセンポリエチレンのなかでも、メルトフローレートが2.0〜3.0/10分の範囲にあるものが好ましい。
【0024】
しかし、本発明によれば、メタロセンポリエチレン以外にも、例えば、メルトフローレートが上記0.4〜4.0g/10分、好ましくは、1.0〜3.0g/10分の範囲にあるポリプロピレンやリアクターTPOもポリオレフィン樹脂として用いることができる。
【0025】
本発明において用いるメタロセンポリエチレンやリアクターTPOは、既によく知られている。メタロセンポリエチレンは、メタロセン触媒を用いて、エチレンを重合させて得られる線状低密度ポリエチレン樹脂であり、従来のチーグラー・ナッタ触媒を用いて得られる低密度ポリエチレン樹脂に比べて、分子量分布や組成分布が揃っており、べたつき、衝撃強度等が大幅に改善されている。日本ポリケム(株)製の「カーネル」等を市販品として入手することができる。
【0026】
また、リアクターTPOは、融点が100℃以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)の一つであって、通常、ポリプロピレンと(場合によっては、ポリブテンと、)エチレン−プロピレン共重合体成分とを有するブロック又はグラフト共重合体である。このようなリアクターTPOとしては、モンテル社の「キャタロイ」、(株)トクヤマの「PER」、チッソ(株)の「ニューコン」等が知られている。
【0027】
このように、上述したエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリオレフィン樹脂とからなる樹脂組成物は、カレンダー加工性にすぐれており、カレンダー加工によって容易にフィルムとすることができる。また、必要に応じて、このカレンダー加工時にエンボスを施して表面性状を任意に、即ち、例えば、梨子地等の平滑な表面から絹目等の深い絞りまで調節することができる。
【0028】
本発明による粘着シート用基材フィルムは、皮膚に違和感なく、よく追従し、柔軟でありながら、皮膚貼付用粘着シートのための基材フィルムとして必要な強度を有するように、10%モジュラスが5.0N/19mm幅以下であることが好ましい。この10%モジュラスは、小さければ小さい程、皮膚への施用感(貼付感)にすぐれる。しかし、10%モジュラスは、一般に、破断強度に比例するので、本発明によれば、得られるフィルムが粘着シート用基材フィルムとして実用的な強度をもたせるために、破断強度として、20N/19mm幅以上を有せしめるのが好ましい。
【0029】
また、本発明による粘着シート用基材フィルムは、その厚みは、救急絆創膏を含む皮膚貼付用粘着シートのための基材フィルムとして、上記と同様に、皮膚に違和感なく、よく追従し、柔軟であって、好適に用いることができるように、通常、20〜200μmの範囲である。
【0030】
更に、本発明による粘着シート用基材フィルムは、これを用いて得られる粘着性皮膚貼付薬シートがこれを皮膚に貼付したとき、衣類との摩擦によって容易に皮膚から剥がれないように、表面滑り性にすぐれることが必要であり、そのためには、荷重200g、試験速度100mm/分の条件下に測定した動摩擦係数が1.5N以下であることが好ましく、特に、0.3〜1.0Nの範囲であることが好ましい。
【0031】
本発明による基材フィルムは、それ自体で、粘着剤に対する接着力にすぐれているが、基材フィルム上に粘着剤を塗布する際に、予め、その表面をコロナ放電処理したり、既に知られている種々のプライマーを塗布したりして、基材フィルムと粘着剤との間の濡れ性や投錨効果を高めることができる。しかし、好ましくは、コロナ放電処理することによって、その処理面にプライマー処理を要せずして、基材フィルム上に粘着剤層を十分な投錨力をもたせて形成することができる。
【0032】
基材フィルム上に粘着剤を塗布するには、基材フィルム上に粘着剤の溶液を直接、塗布し、乾燥させ、また、基材フィルム上にホットメルト粘着剤を溶融させ、直接、押出機にて塗布してもよい。しかし、基材フィルムに不必要な伸びや弯曲が生じるのを避けるためには、適宜の方法にて剥離紙の片面に予め粘着剤層を形成し、この粘着剤層の上に基材フィルムを貼り合わせて、上記粘着剤層を基材フィルムに転写する所謂転写法によるのが好ましい。
【0033】
本発明による粘着シート用基材フィルムは、その表面に粘着剤層を設けることによって、ドレッシングや巻絆等として用いることができるほか、粘着剤層の表面の中央域にガーゼ等の布帛やスポンジパッド等の創傷部を保護するための吸液性パッドを設けることによって、救急絆創膏とすることができる。
【0034】
本発明による粘着シート用基材フィルムには、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、滑剤、充填剤、顔料等を適宜に配合してもよい。
【0035】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。また、表中のポリオレフィン樹脂は次のような特性を有するものである。
【0036】
ウルトラセンYX11:東ソー(株)製エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含量32重量%、Mw=1.26×105、MFR=0.25g/10分
ウルトラセン635:東ソー(株)製エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含量25重量%、Mw=6.3×104、MFR=5.7g/10分
ウルトラセン751:東ソー(株)製エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含量28重量%、Mw=5.5×104、MFR=2.4g/10分
キャタロイKS353P:モンテル社製リアクターTPO、MFR=0.45g/10分
カーネルKF282:日本ポリケム(株)製メタロセンポリエチレン樹脂、MFR=2.2g/10分
EG7F:日本ポリケム(株)製ポリプロピレン樹脂、MFR=1.3g/10分
【0037】
実施例1
表1に示す組成を有する樹脂組成物を表面温度170℃の2本ロールを用いて、厚み100μmのフィルムに成形加工した。この加工に際して、離型性と引き取り性に基づいて、樹脂組成物のカレンダー加工性について調べた。即ち、離型性は、ロールからフィルムを引き剥がす際に、樹脂組成物のロール離れがよいときを○とし、ロールに樹脂とられがあるときを×とした。また、引き取り性は、ロールからフィルムを引き剥がす際に、不具合なしに引き取ることができるときを○とし、フィルムをロールから引き剥がすときに垂れや破断が生じたときを×とした。
【0038】
次に、上記離型性と引き取り性に基づくカレンダー加工性を有する樹脂組成物を密閉式混合機で混練し、ストレーナを通過させた後、ロール表面温度180℃の逆L型4本カレンダー装置を用いて、厚み70μmのフィルムを製造し、これをロールに巻き取った後、このフィルムをロールから開反する際のブロッキングの有無を調べた。ブロッキングがみられないときを○、ブロッキングがみられたときを×とした。
【0039】
また、このようにして得られたフィルムを63mm四方に裁断し、ヘイドン型摩擦試験機を用い、JIS K−7100に準拠した標準雰囲気中、荷重200g、試験速度100mm/分の条件下に相手材をステンレス鋼として、このフィルムの動摩擦係数を求めた。この動摩擦係数が1.5N以下であるとき、フィルムは表面滑り性にすぐれると判定できる。更に、フィルムを19mm×150mmの寸法に裁断し、チャック間隔50mm、ヘッド速度300mm/分の条件で引張試験を行って、10%伸長時のモジュラスを測定した。このモジュラスが5.0N/19mm幅以下であるとき、フィルムは柔軟性にすぐれると判定できる。
【0040】
他方、フィルムのカール性を次のようにして調べた。市販のアクリル系粘着剤(リキダイン(株)製AR−2045)100重量部に架橋剤として変性ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL)を固形分で0.002重量部配合して粘着剤を調製した。片面に剥離処理を施した剥離紙のその剥離処理面に上記粘着剤を乾燥厚み35μmに塗布し、乾燥させて、粘着剤層を形成した。片面にコロナ放電処理したフィルムのその処理面に上記剥離紙上に形成した粘着剤層を転写して、粘着剤層と剥離紙とを有する粘着シートとした。この粘着シートの粘着剤層上の上記剥離紙を剥離し、この際のフィルムのカール(弯曲)の状況を目視にて調べて、カールが著しい(評価1)からカールがない(評価5)までの5段階評価を行った。評価4(以上)であるとき、カール性は実使用上、支障ないと判定できる。結果を表1に示す。
【0041】
実施例2〜8
それぞれ表1に示す樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のカレンダー加工性を調べた後、同様に、厚み70μmのフィルムにカレンダー成形し、得られたフィルムについて、実施例1と同様にして、ブロッキングの有無、表面滑り性、柔軟性及びカール性について評価した。結果を表1に示す。
【0042】
比較例1〜11
それぞれ表2に示す組成を有する樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のカレンダー加工性を調べ、カレンダー加工性を有する樹脂組成物を用いて、同様に、厚み70μmのフィルムにカレンダー成形し、得られたフィルムについて、実施例1と同様にして、ブロッキングの有無、表面滑り性、柔軟性及びカール性について評価した。結果を表2及び表3に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
比較例1、8、10及び11はいずれも、本発明で規定するエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いるが、ポリオレフィン樹脂との組成物において、その割合が多すぎるために、カレンダー加工に供する樹脂組成物は、カレンダー性にはすぐれるものの、得られるフィルムがブロッキング性において著しい。反対に、比較例2及び7は、本発明で規定するエチレン−酢酸ビニル共重合体に対して、メタロセンポリエチレン樹脂及びリアクターTPOの割合がそれぞれ多すぎる結果、樹脂組成物のカレンダー加工性が悪く、目的とするフィルムを得ることができない。
【0047】
比較例9は、本発明で規定するエチレン−酢酸ビニル共重合体に対して、ポリプロピレン樹脂の割合が多すぎるので、得られるフィルムは、滑り性にはすぐれるが、硬く、皮膚への使用感が悪い。比較例5及び6は、用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体が本発明で規定する重量平均分子量やメルトフローレートをもたないので、カレンダー加工によってフィルムを得ることができない。
【0048】
比較例3及び4は、本発明で規定するエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いずに、本発明で規定するポリオレフィン樹脂のみを用いて、カレンダー加工したものであって、フィルムを得ることはできるが、しかし、得られるフィルムはカール性が著しい。
【0049】
これらの比較例に対して、本発明によれば、樹脂組成物はカレンダー加工性にすぐれ、しかも、得られるフィルムは、柔軟で、皮膚によく追従するので、皮膚に貼り付けたときに違和感がなく、しかも、フィルムの表面の滑り性にすぐれており、また、カール性もない。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明による粘着シート用基材フィルムは、ある範囲の特性を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリオレフィン樹脂とからなる樹脂組成物をフィルムとしたものであり、粘着シート用基材フィルムして、実用上、必要な柔軟性や強度を有することは勿論、皮膚に貼付したときに皮膚によくなじんで、追従するので、違和感がなく、また、表面滑り性にすぐれるので、衣類等に擦れても容易に皮膚から剥離しない。
【0051】
更に、上記樹脂組成物は、カレンダー加工において、ロールからの離型性や引き取り性、即ち、カレンダー加工性にすぐれており、薄手のフィルムでも安定して製造することができ、しかも、このようにして得られたフィルムを粘着シート用基材フィルムとして、例えば、これに粘着剤層を塗工するために、フィルムをそのロールから開反する際にブロッキングがなく、また、基材フィルム上に設けた粘着剤層から剥離紙を剥離してもカールすることがない。かくして、本発明による粘着シート用基材フィルムは、救急絆創膏を含む皮膚貼付用粘着シートのための基材フィルムとして好適に用いることができる。
Claims (7)
- (a)重量平均分子量が1×105 を越えて、1×106 以下の範囲にあり、メルトフローレートが1.0g/10分以下であり、酢酸ビニル含量が28重量%を越えて、35重量%以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体20〜80重量%と
(b)ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物から選ばれ、メルトフローレートが0.3〜4.0g/10分の範囲にある少なくとも1種のポリオレフィン樹脂80〜20重量%と
からなる樹脂組成物からなることを特徴とする粘着シート用基材フィルム。 - 10%モジュラスが5.0N/19mm幅以下である請求項1に記載の粘着シート用基材フィルム。
- 荷重200g、試験速度100mm/分の条件下に測定した動摩擦係数が1.5N以下である請求項1に記載の粘着シート用基材フィルム。
- 厚さが20〜200μmである請求項1に記載の粘着シート用基材フィルム。
- 請求項1から4のいずれか記載の基材フィルムからなる皮膚貼付用基材フィルム。
- 請求項1から4のいずれか記載の基材フィルムからなる救急絆創膏用基材フィルム。
- (a)重量平均分子量が1×105 を越えて、1×106 以下の範囲にあり、メルトフローレートが1.0g/10分以下であり、酢酸ビニル含量が28重量%を越えて、35重量%以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体20〜80重量%と
(b)ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物から選ばれ、メルトフローレートが0.3〜4.0g/10分の範囲にある少なくとも1種のポリオレフィン樹脂80〜20重量%とからなる樹脂組成物をカレンダー加工にてフィルムにすることを特徴とする粘着シート用基材フィルムの製造方法。
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