JP2005014589A - 軟質ポリウレタンフォーム及び該軟質ポリウレタンフォームからなる吸音材 - Google Patents

軟質ポリウレタンフォーム及び該軟質ポリウレタンフォームからなる吸音材 Download PDF

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Abstract

【課題】 軟質ポリウレタンフォームだけでも騒音を十分に低減できる優れた吸音性能と形状を保持できる十分な硬度を有する軟質ポリウレタンフォームを提供する。
【解決手段】 (イ)水酸基価をA(mgKOH/g)、水酸基数をBとした時、下記式
4≦B≦5 (1)
−10B+80≦A≦50(4≦B≦4.5) (2)
−30B+170≦A≦50(4.5≦B≦5) (3)
を満足し、エチレンオキシド単位含有量が5重量%以上〜30重量%未満であるポリエーテルポリオール、及び
(ロ)ポリエーテルポリオールの存在下にエチレン性不飽和化合物を重合させて得られるポリマー分散ポリオール、
からなる活性水素化合物、有機ポリイソシアネート化合物及び発泡剤からなり、NCOインデックスが1.0〜1.1である組成物から軟質ポリウレタンフォームを得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、軟質ポリウレタンフォーム及び該軟質ポリウレタンフォーム用に好適な組成物に関するものである。詳しくは、優れた吸音性能を有する軟質ポリウレタンフォーム及び該軟質ポリウレタンフォーム用に好適な組成物及び該軟質ポリウレタンフォームからなる吸音材に関する。
一般に、軟質ポリウレタンフォームはクッション等に広く用いられている。近年自動車分野等に用いられる吸音材としての使用も検討されている。しかし、従来のポリウレタンフォームそれだけでは車室内への騒音を低減するのに十分な吸音性能が得られないことが多く、吸音材であるウレタンフォームと遮音材である塩化ビニル樹脂などを一体成形したものが使用されている。ところが、遮音材に使用されている塩化ビニル樹脂は、比重が高く製品重量が重たくなるという欠点がある。
近年、自動車用吸音材にも軽量化が要求されるようになってきた。例えば、自動車分野においては、温暖化防止を目的とした燃費向上に対する取組みが行われており、その一環としての車輌重量の軽量化が挙げられる。このように自動車分野を始めとして環境保護、材料の軽量化の観点から、塩化ビニル樹脂などの遮音材を使用せずに車室内への騒音を低減できる吸音材が求められていた。
防音効果の優れたポリウレタンフォームとして、高分子量ポリオールの少なくとも一部として、官能基数が5以上の末端ポリオキシエチレン鎖含有ポリオールを全ポリオールの重量を基準として20%以上とエチレン性不飽和単量体で変性された重合体ポリオールを使用し、NCO/OHの当量比が0.4〜0.9であるポリウレタンフォームが開示されている(特許文献1参照)。
特公平7−64908号公報
特許文献1に記載のポリウレタンフォームは、防音特性に優れているものの、塩化ビニル樹脂などを用いずにポリウレタンフォーム単体で使用できる吸音材とするには硬度が低く、単独で使用した場合、製品としての形状を保持できないという問題があった。
本発明は、上記問題を解決し、遮音材などを使用せずポリウレタンフォーム単体で、車室内への騒音が低減できる優れた吸音性能と製品としての形状を保持できる十分な硬度を有する軟質ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、軟質ポリウレタンフォームだけでも車室内への騒音を十分に低減でき、形状を保持するための十分な硬度を有する材料を提供することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、周波数500Hzにおける吸音率が0.35〜0.50、周波数1000Hzにおける吸音率が0.65〜0.80、周波数2000Hzにおける吸音率が0.8〜1.0であり、且つ25%ILD硬度が300N/314cm2〜500N/314cm2であるモールド成形してなる軟質ポリウレタンフォームである。
本発明はまた、活性水素化合物、有機ポリイソシアネート化合物及び発泡剤からなる軟質ポリウレタンフォーム用組成物であって、
該活性水素化合物が、
(イ)水酸基価をA(mgKOH/g)、水酸基数をBとしたとき、下記式、
4≦B≦5 (1)
−10B+80≦A≦50(4≦B≦4.5) (2)
−30B+170≦A≦50(4.5≦B≦5) (3)
を満足し、エチレンオキシド単位含有量が5重量%以上〜30重量%未満であるポリエーテルポリオール、及び
(ロ)ポリエーテルポリオールの存在下にエチレン性不飽和化合物を重合させて得られるポリマー分散ポリオール、
からなり、
且つNCOインデックスが1.0〜1.1である軟質ポリウレタンフォーム用組成物である。
本発明は、また上記組成物を発泡してなる軟質ポリウレタンフォームであり、本発明はまた上記軟質ポリウレタンフォームからなる吸音材である。
本発明によれば、吸音性能に優れた軟質ポリウレタンフォームを提供することができる。更に、軟質ポリウレタンフォームだけでも自動車車室内への騒音を十分に低減できる優れた吸音性能と形状を保持するための十分な硬度を有する軟質ポリウレタンフォームを提供することができる。
[軟質ポリウレタンフォーム]
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、周波数500Hzにおける吸音率が0.35〜0.50、周波数1000Hzにおける吸音率が0.65〜0.80であり、且つ周波数2000Hzにおける吸音率が0.8〜1.0である。
本発明における軟質ポリウレタンフォームの吸音性能は、ISO 10534−2の方法に示される2マイクロホン法による垂直入射測定により得られる吸音率により評価される。上記方法により得られる吸音率は、0〜1.0で示され、その値の高いほど吸音率が高く、吸音性能が良好である。
吸音率が上記範囲のものは、後述する本発明の処方により得られるものであり、この範囲であれば、自動車用の吸音材として用いた時、軟質ポリウレタンフォーム単体でも車室内への騒音を十分に低減できるものとなる。周波数500Hzにおける吸音率は0.35以上であることが好ましく、周波数1000Hzにおける吸音率は0.7以上であることが好ましく、周波数2000Hzにおける吸音率は0.9以上であることが好ましい。
本発明における軟質ポリウレタンフォームの硬度としては、25%ILD硬度が300〜500N/314cm2である。25%ILD硬度とは、JIS K 6400の方法により測定される、モールドフォームを25%圧縮した状態で測定される硬度である。
この25%ILD硬度が上記範囲のものは、後述する本発明の処方により得られるものであり、300〜500N/314cm2であることにより、吸音材として用いた時、軟質ポリウレタンフォーム単体でもその形状を十分維持することができる。25%ILD硬度は、前述の吸音性能とのバランスを考慮すると、320〜480N/314cm2であることが好ましく、350〜450N/314cm2であることが更に好ましい。
本発明の軟質ポリウレタンフォームはモールド成形してなるものである。モールド成形とは、型内(モールド内)で発泡させ成形する方法であり、得られるフォームをモールドフォームという。
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、オーバーオール密度が、吸音性能の点では通常100kg/m3以下であることが好ましい。下限値に特に限定はないが、硬度の点では60kg/m3以上とすることが好ましい。即ち、より好ましくは60〜100kg/m3であり、特に好ましくは80〜100kg/m3である。オーバーオール密度とは、モールドより取出した状態のスキン層を伴う状態での密度をいう。
本発明の軟質ポリウレタンフォームを製造するに好ましい組成物について、以下にその態様を示すことで本発明を詳細に説明する。
本発明の軟質ポリウレタンフォームには、活性水素化合物、有機ポリイソシアネート化合物、発泡剤から得られる軟質ポリウレタンフォーム用組成物であって、
該活性水素化合物が、
(イ)水酸基価をA(mgKOH/g)、水酸基数をBとしたとき、下記式、
4≦B≦5 (1)
−10B+80≦A≦50(4≦B≦4.5) (2)
−30B+170≦A≦50(4.5≦B≦5) (3)
を満足し、エチレンオキシド単位含有量が5重量%以上〜30重量%未満であるポリエーテルポリオール、及び
(ロ)ポリエーテルポリオールの存在下にエチレン性不飽和化合物を重合させて得られるポリマー分散ポリオール、
からなり、
且つNCOインデックスが1.0〜1.1であるような組成物が用いられる。
以下に、その製造方法を示すことで本発明の軟質ポリウレタンフォームについて詳細に説明する。まず、それらの原料について説明する。
[活性水素化合物]
本発明の活性水素化合物とは、ポリエーテルポリオール(イ)とポリエーテルポリオールから得られるポリマー分散ポリオール(ロ)の混合物である。
<ポリエーテルポリオール(イ)>
本発明において用いられるポリエーテルポリオール(イ)は、水酸基価をA(mgKOH/g)、水酸基数をBとしたとき、下記式、
4≦B≦5 (1)
−10B+80≦A≦50(4≦B≦4.5) (2)
−30B+170≦A≦50(4.5≦B≦5) (3)
を満足するものである。
この範囲は、以下のようにして定めることができた。
1.水酸基数と水酸基価を種々変更した種々のポリエーテルポリオールについて、これを用いて得られたポリウレタンフォームの吸音率が、特定値以上となる時の水酸基数と水酸基価を確認し、また活性水素化合物と有機ポリイソシアネート化合物を反応させる際のNCOインデックスについても確認し、1.0〜1.1であることが良好な硬度と成形性が得られる点で好ましいことを見出した。こうして、NCOインデックスをこの範囲とし、且つ吸音率が特定値以上となる時のポリエーテルポリオールの水酸基数と水酸基価を確認できた。
2.上記条件下では水酸基数と水酸基価(mgKOH/g)の関係は、水酸基数は4〜5であり、水酸基数が4〜4.5の時は、−10×水酸基数+80≦水酸基価≦50であり、水酸基数が4.5〜5の時は、−30×水酸基数+170≦水酸基価≦50であった。
本発明において水酸基数は、ポリエーテルポリオールの原料として用いる原料活性水素化合物の価数である。原料活性水素化合物が、単独のものである場合はその価数であり、混合物である場合は混合物1モル当りの平均価数を計算で求めたものである。また、水酸基価とは、試料1g中の水酸基に相当する水酸化カリウムのmg数のことであり、JIS K 1557−1970に基づいて測定される。
水酸基数と水酸基価が上記式を満足する範囲であれば、より吸音性能が良好で、硬度が良好なポリウレタンフォームが得られる。好ましくは水酸基数が4.5〜5で、水酸基価が24〜45である。
また、エチレンオキシド単位の含有量は、5重量%以上〜30重量%未満であり、好ましくは10重量%から25重量%である。エチレンオキシド単位含有量を5重量%以上〜30重量%未満とすることで反応性と成形性のバランスが良好となるモールドフォームが得られる。
<ポリエーテルポリオール(イ)の製造方法>
本発明において用いられるポリエーテルポリオール(イ)は、1分子中の活性水素数が2〜8の原料活性水素化合物から選ばれる単独または複数の活性水素化合物を用い、計算上1モル当りの活性水素数が4〜5になるように調整した開始剤に、エチレンオキシドを必須とし、他に1種類以上のアルキレンオキシドを水酸基価が前述の式(2)又は(3)を満足する範囲となり、エチレンオキシド単位含有量が5重量%以上〜30重量%未満となるように付加することにより得られる。
触媒、反応条件等、製造方法については、「ポリウレタン」第8刷、松平信孝、前田哲郎共編、槙書店(1964)、P41〜P45や「改訂 高分子合成の化学」第2版第11刷、大津 隆行著、化学同人(1989)P172〜P176等に示されている従来公知の方法が採用できる。
活性水素数2〜8の原料活性水素化合物としては、例えば、グリセリン、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、ソルビトール、シュガー、メチルグルコシド等の糖類、エチレンジアミン、ジ(2−アミノエチル)アミン等の1級もしくは2級アミノ基を有する脂肪族アミン類、メチルイミノビスプロピルアミン、N,N,2,2−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン等の3級アミノ基を有する脂肪族アミン類、トルイレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族アミン類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、5−アミノ−1,3−ジイソプロピル−5−ヒドロキシメチルヘキサヒドロピリミジン等の3級アミノ基を有する環状アミン類、ビスフェノールA、ノボラック等のフェノール類、水等が挙げられる。
上記開始剤に付加するアルキレンオキシドとしては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
このポリエーテルポリオール(イ)としては、活性水素数2〜8の原料活性水素化合物から選ばれる開始剤に1種類以上のアルキレンオキシドを付加したものを2種以上混合し、その混合物が、混合物の計算上1モル当りの平均水酸基数が4〜5、平均水酸基価が前述の式(2)又は(3)を満足する範囲、平均エチレンオキシド単位含有量が5重量%以上〜30重量%未満となるように調整したものであっても良い。
アルキレンオキシドの付加の好ましい態様としては、炭素数3以上のアルキレンオキシドを付加し、次いでエチレンオキシドを付加する態様である。
また、本発明において、ポリエーテルポリオール(イ)の少なくとも一部を、前述の活性水素数2〜8の原料活性水素化合物として挙げたアミン類を開始剤として製造したアミンポリオールとすると、アミン系触媒の使用を低減しても良好なポリウレタンフォームを得ることができるため、臭気等の原因となる揮発性アミン成分を低減でき好ましい。この時、使用する開始剤としては、例えば、メチルイミノビスプロピルアミン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン等を用いることが好ましい。また、反応性とフォーム物性を両立させるという点で、アミンポリオールの水酸基価としては、350〜700mgKOH/gであるものが好ましく、また使用量としては0.5〜5重量部とすることが好ましい。
<ポリマー分散ポリオール(ロ)>
次に、本発明において用いられるポリマー分散ポリオール(ロ)は、活性水素数2〜8の原料活性水素化合物より選ばれる単独または複数の開始剤に1種類以上のアルキレンオキシドを付加して得られるポリエーテルポリオールの存在下にエチレン性不飽和化合物を(ラジカル)重合させ、エチレン性不飽和化合物のホモポリマーまたはコポリマーを上記ポリエーテルポリオールに分散させて得られるものである(ポリマーポリオールと呼称されることもある)。
ここで活性水素数2〜8の原料活性水素化合物、アルキレンオキシドとしては上記ポリエーテルポリオール(イ)を製造するのに用いられるものとして例示したものと同様のものが例示される。
エチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸及びその誘導体;例えばアクリロニトリル、アクリル酸及びその塩等、芳香族ビニル化合物;例えば、スチレン等が挙げられる。
エチレン性不飽和化合物のポリマーの分散安定性、およびポリマー分散ポリオールの粘度が高くなりすぎないようにという観点から、該ポリマーの濃度は、ポリエーテルポリオール中でエチレン性不飽和化合物を重合して得られるポリマー分散ポリオール100重量部中、10〜50重量部であり、好ましくは15〜30重量部になるようにすることが好ましい。
該ポリマー分散ポリオール(ロ)を混合することによりフォームの収縮を制御することができ、必要な成形性に応じて添加する。ポリエーテルポリオール(イ)とポリマー分散ポリオール(ロ)の混合重量比は、ポリマー分散ポリオール中のポリマー濃度によって異なるが、70〜50/30〜50の範囲が好ましく、65〜55/35〜45の範囲が更に好ましい。
(イ)と(ロ)を70〜50/30〜50の範囲とすることで遮音材を使用しない吸音材としての形状を維持するためのより十分な製品硬度とより優れた吸音性能を持つポリウレタンフォームが得られる。
[有機ポリイソシアネート化合物]
本発明で使用する有機ポリイソシアネート化合物としては、通常のポリウレタンの製造に用いることができるものであればいずれでも用いることができる。これらは単独でも複数を混合した組成物のいずれでもよい。
例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI−PH)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI、水添MDI(H12MDI)、2,5(6)−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(NBDI)、水添トリレンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート、上記イソシアネートのカルボジイミド変性イソシアネートなどが挙げられる。
これらの中でも、反応性と線状ポリマーを形成することから、反応性の速い、MDI、カルボジイミド変性MDI(液状MDI)、TDIの使用が特に好ましく、これらは2種以上を混合使用してもよい。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ポリメリックMDI(p−MDI)や、上記イソシアネートのイソシアヌレート変性体、TMPアダクト体のような3官能以上のポリイソシアネートやカルボジイミド変性体を併用してもよい。
<NCOインデックス>
本発明におけるNCOインデックス(有機ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基と活性水素化合物および発泡剤中の活性水素の和との当量比)は、1.0〜1.1の範囲であり、1.03〜1.07の範囲が好ましい。NCOインデックスが1.0より小さくなると得られたフォームの硬度が低下し、遮音材を使用しない吸音材として形状を維持するための十分な製品硬度が得られない。
NCOインデックスを1.0〜1.1の範囲とすることで良好な成形性を維持しながら遮音材を使用しない吸音材として形状を保持するための十分な製品硬度が得られる。
[発泡剤]
本発明において用いられる発泡剤としては、本発明の特性を有する軟質ポリウレタンフォームを製造しうるものであればいずれでも用いることができるが、特に水が好適に用いられる。発泡剤の総量としては、通常、ポリオール100部に対して2重量部乃至7重量部である。発泡剤の量をこの範囲とすることによって、モールドフォームの成形性をより良好に維持することができる。好ましくは2.2重量部乃至6重量部であり、より好ましくは2.5重量部乃至5.5重量部である。
[整泡剤]
本発明においては、原料の混合の促進と気泡の安定化のために整泡剤を使用することができる。整泡剤としては、特に限定されるものではないが、有機ケイ素系界面活性剤などが好ましく利用される。使用量としては、活性水素化合物100重量部あたり0.1〜5重量部でよく、好ましくは0.1〜3重量部である。
[触媒]
本発明においては、必要に応じて、反応を促進するために触媒を使用する。触媒としては、公知のものでよく特に限定されるものではないが、具体的には、例えばトリエチレンジアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン等のアミン系触媒、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属系触媒がある。これらの触媒は単独、又は混合して使用することができる。その使用量は、通常、ポリウレタンフォームの製造で用いられている活性水素化合物100重量部あたり0.001〜5重量部であればよく、好ましくは0.1〜5重量部である。
[その他添加剤]
本発明においては、必要に応じて、難燃剤、着色剤、老化防止剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤等、軟質ポリウレタンフォームの製造に一般的に用いられるその他の添加剤を使用することができる。難燃剤としては、ハロゲン化合物、リン化合物、窒素化合物、メラミン、水酸化アルミニウムなどの公知のものが挙げられる。着色剤としては、顔料、反応性着色剤、カーボン、酸化鉄などの公知のものが挙げられる。
上記、発泡剤、整泡剤、その他添加剤については、前述の「ポリウレタン」のP134〜P137や「機能性ポリウレタン」第1刷、松尾 仁、国井 宣明、田辺 清士共編、株式会社シーエムシー(1989年)、P54〜P68に詳しい。
[軟質ポリウレタンフォームの製造方法]
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法としては、ポリウレタンフォームを製造する従来と同様の方法が適用できるが、通常は、前述のポリエーテルポリオール、ポリマー分散ポリオールおよび発泡剤などの活性水素化合物と有機ポリイソシアネート化合物を反応及び発泡させることによって得ることができる。例えば、原料混合物を型内で発泡させ、成形するモールド成形により製造される。具体的には、前記ポリエーテルポリオールおよびポリマー分散ポリオールをあらかじめ発泡剤、必要に応じ、整泡剤、触媒、その他の添加剤等と混合してレジンプレミックスとし、該レジンプレミックスと有機ポリイソシアネートとを、通常ポリウレタンフォームを製造する際と同様の方法により、例えば高圧発泡機を使用して混合し、金型内に注入して、反応及び発泡させることにより製造することができる。
この時、原料として用いるポリエーテルポリオールの水酸基数と水酸基価を前述の式、即ち、水酸基価をA(mgKOH/g)、水酸基数をBとしたとき、下記式、
4≦B≦5 (1)
−10B+80≦A≦50(4≦B≦4.5) (2)
−30B+170≦A≦50(4.5≦B≦5) (3)
を満足する範囲でコントロールすることにより、更に有機ポリイソシアネート化合物のNCOインデックスを1.0〜1.1の範囲でコントロールすることにより、所望の吸音率および硬度のものを得ることができる。即ち、周波数500Hzにおける吸音率が0.35〜0.50、周波数1000Hzにおける吸音率が0.65〜0.80、周波数2000Hzにおける吸音率が0.8〜1.0であり、25%ILD硬度が300N/314cm2〜500N/314cm2である軟質ポリウレタンフォームとすることができる。
[軟質ポリウレタンフォームの用途]
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、吸音材として有用であり、自動車分野、例えば、ダッシュサイレンサー、フロアーマット、エンジンルーム、天井材、トランクルームなどに用いられ、特に、ダッシュサイレンサーに好適に用いられる。
以下、本発明について実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何等制限されるものではない。
なお、ポリエーテルポリオールの水酸基価は、JIS K 1557−1970に準じて測定した。
(実験に用いたポリエーテルポリオールの合成)
ポリエーテルポリオールAの合成
攪拌装置、窒素導入管および温度計を装備した500mlの4つ口フラスコにグリセリンとショ糖からなる混合物の平均水酸基数が4.7になるように調整した開始剤1モルに対して0.38モルのCsOHの50重量%水溶液を加え、窒素をキャピラリー管で導入し、105℃、1,333Pa以下、4時間の減圧脱水操作を行った。その後、フラスコ内容物をオートクレーブに仕込み、窒素置換を行った後、大気圧状態から反応温度を80℃とし、反応時の最大圧力が490kPaの条件で水酸基価(OHV)41mgKOH/gになるまでプロピレンオキサイドの付加重合を行った。引き続き、窒素により216kPaに調整し、反応温度100℃、反応時の最大圧力が490kPaの条件でOHV35mgKOH/gになるまでエチレンオキサイドの付加重合を行った。オートクレーブの内圧の変化が無くなった時点で105℃、667Pa、30分間減圧処理を行い、粗製ポリエーテルポリオールAを得た。
セシウムを含んだ粗製ポリエーテルポリオールA100重量部に対して4重量部のイオン交換水を加え、次いで、粗製ポリエーテルポリオールA中のセシウム1モルに対して1.1モルのリン酸を75.1重量%の水溶液の形態で装入し、85℃で2時間の中和反応を行った。中和反応終了後に、t−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)を粗製ポリエーテルポリオールA100重量部に対して1000ppm添加し、減圧下で脱水を行い、オートクレーブ内の圧力が67kPaの状態で吸着剤(富田製薬(株)製、商品名:AD−600NS)を2000ppm加えた。更に、減圧下で脱水を行いながら最終的に105℃、1,333Pa以下で4時間、同操作を行った。その後、窒素により減圧から大気圧状態にした後、アドバンテック東洋株式会社製の5Cろ紙により減圧ろ過を行い、ポリエーテルポリオールAの回収を行った(酸中和除去法)。
・ポリエーテルポリオールA:水酸基数=4.7
水酸基価=35
エチレンオキシド含有量=15重量%
上記と同様の操作法により下記ポリエーテルポリオールB〜ポリエーテルポリオールHを得た。
・ポリエーテルポリオールB:開始剤 ペンタエリスリトール
水酸基数=4
水酸基価=43
エチレンオキシド含有量=15重量%
・ポリエーテルポリオールC:開始剤 グリセリン
水酸基数=3
水酸基価=33
エチレンオキシド含有量=14重量%
・ポリエーテルポリオールD:開始剤 グリセリンとショ糖の混合物
水酸基数=4.95
水酸基価=25
エチレンオキシド含有量=14重量%
・ポリエーテルポリオールE:開始剤 グリセリンとショ糖の混合物
水酸基数=4.1
水酸基価=32
エチレンオキシド含有量=14重量%
・ポリエーテルポリオールF:開始剤 グリセリンとショ糖の混合物
水酸基数=4.8
水酸基価=21
エチレンオキシド含有量=14重量%
・ポリエーテルポリオールG:開始剤 グリセリンとショ糖の混合物
水酸基数=4.2
水酸基価=32
エチレンオキシド含有量=14重量%
・ポリエーテルポリオールH:開始剤 グリセリンとショ糖の混合物
水酸基数=4.45
水酸基価=32
エチレンオキシド含有量=14重量%
ポリマー分散ポリオールの合成
温度計、撹拌装置、送液装置付の1リットルオートクレーブに、上記と同様の操作法により得たグリセリンを開始剤とした水酸基数3、水酸基価28のポリオールを満液状態に仕込み、撹拌しながら120℃まで昇温した。ポリオール、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アクリロニトリル、トリエチルアミンの混合液を連続的に装入し、排出口より連続的にポリマー分散ポリオールを得た。このとき、反応圧力は441kPa、滞留時間は50分であった。得られたポリマー分散ポリオールを120℃、2.67kPaで4時間減圧吸引処理し、未反応単量体およびトリエチルアミンを除去し下記ポリマー分散ポリオールを得た。
・ポリマー分散ポリオール :水酸基数=3
水酸基価=28
ポリマー濃度=23%
実施例1
(1)レジンプレミックスの調製
表1に示した組成のポリオール組成物100重量部にイオン交換水3.0重量部、整泡剤A(東レ・ダウコーニングシリコーン社製、商品名:SF−2962)1.0重量部、アミン触媒A(活材ケミカル社製、商品名:Minico L−1020)0.4重量部、アミン触媒B(花王社製、商品名:カオーライザーNo.25)0.8重量部の割合で配合し、攪拌混合したものをレジンプレミックスとした。
(2)有機ポリイソシアネート組成物の調製
粗製MDIが20重量部とTDI80重量部を混合し、有機ポリイソシアネート組成物を調製した。
(3)ウレタンフォームの発泡
60℃に温調された400mm×400mm×20mm厚の金型にレジンプレミクスとイソシアネートを混合した反応液を注入する。注入には高圧発泡機を使用した。注入後3分経過した後に金型よりフォームを取りだし、3mmのクラッシングローラーを1回通し、クラッシングを行った。
得られたポリウレタンフォームの吸音性能、物性を測定した。結果を表1に示す。
(4)ポリウレタンフォームの吸音性能、25%ILD硬度の測定方法
吸音性能は、ISO10534−2による2マイクロホン法により測定した。500Hzの吸音率は大型管(内径100mm)にて測定し、1000Hzの吸音率は大型管と小型管(内径29mm)にて測定した値を平均した。2000Hzの吸音率は小型管にて測定した。これら測定により得られた吸音率はその値が高いほど吸音性能に優れていることを示す。
25%ILD硬度は、JIS K 6400に準じて測定した。
実施例2〜6
表1の通りポリオールの種類、NCOインデックス等を変化させて実施した以外は実施例1と同様にしてモールド発泡を実施し、同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2005014589
比較例1〜9
表2の通り、ポリオールの種類、NCOインデックス等を変化させた以外は実施例1と同様にしてモールド発泡を実施し、同様に評価した。得られた結果を表2に示す。
Figure 2005014589
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、優れた吸音性能と形状を保持するための十分な硬度を有し、自動車車室内の吸音材などに好適に利用できる。

Claims (8)

  1. 周波数500Hzにおける吸音率が0.35〜0.50、周波数1000Hzにおける吸音率が0.65〜0.80、周波数2000Hzにおける吸音率が0.8〜1.0であり、且つ25%ILD硬度が300N/314cm2 〜500N/314cm2 であるモールド成形してなる軟質ポリウレタンフォーム。
  2. 活性水素化合物、有機ポリイソシアネート化合物及び発泡剤からなる軟質ポリウレタンフォーム用組成物であって、該活性水素化合物が、
    (イ)水酸基価をA(mgKOH/g)、水酸基数をBとしたとき、下記式、
    4≦B≦5 (1)
    −10B+80≦A≦50(4≦B≦4.5) (2)
    −30B+170≦A≦50(4.5≦B≦5) (3)
    を満足し、エチレンオキシド単位含有量が5重量%以上〜30重量%未満であるポリエーテルポリオール、及び
    (ロ)ポリエーテルポリオールの存在下にエチレン性不飽和化合物を重合させて得られるポリマー分散ポリオール、
    からなり、
    且つNCOインデックスが1.0〜1.1である軟質ポリウレタンフォーム用組成物。
  3. (イ)のポリエーテルポリオールの少なくとも一部としてアミンポリオールを用いる請求項2に記載の組成物。
  4. 吸音材用である請求項2又は請求項3に記載の組成物。
  5. 請求項2〜請求項4に記載の組成物を発泡してなる軟質ポリウレタンフォーム。
  6. 請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォームからなる吸音材。
  7. 請求項5に記載の軟質ポリウレタンフォームからなる吸音材。
  8. 周波数500Hzにおける吸音率が0.35〜0.50、周波数1000Hzにおける吸音率が0.65〜0.80、周波数2000Hzにおける吸音率が0.8〜1.0であり、且つ25%ILD硬度が300N/314cm2 〜500N/314cm2 である請求項7に記載の吸音材。

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